JP6045712B2 - 最大エネルギーマップを決定するための医療機器 - Google Patents

最大エネルギーマップを決定するための医療機器 Download PDF

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Description

本発明は、高密度焦点式超音波治療法に関し、特に、最大超音波処理(sonication)エネルギーの決定に関する。
集束超音波トランスデューサからの超音波は、体内の領域を選択的に治療するために使用され得る。超音波は高エネルギーの機械的振動として伝達される。これらの振動は弱められるのに伴い組織の加熱を引き起こし、また、キャビテーションをもたらし得る。組織加熱及びキャビテーションはいずれも臨床環境において組織を破壊するために利用され得る。しかし、超音波による組織の加熱は、キャビテーションよりも制御が容易である。超音波治療は、組織のアブレーションのために及び選択的に癌細胞領域を殺すために用いられ得る。この技術は子宮筋腫の治療に適用されており、子宮摘出手術の必要性を低下させた。
組織を選択的に治療するために、集束超音波トランスデューサを使用して、超音波が特定の治療又は標的ボリュームに集束され得る。トランスデューサは、典型的には、例えば脱気水等の超音波を伝搬可能な媒体内に設置される。この場合、アクチュエータを用いて超音波トランスデューサの位置が調節され、もって治療される組織領域が調節される。
また、集束超音波トランスデューサは通常複数のトランスデューサ素子を有し、トランスデューサ素子の振幅及び/又は位相は制御可能である。特に、超音波の焦点位置を制御するために、個別のトランスデューサ素子又はトランスデューサ素子のグループの位相がしばしば制御される。これは焦点位置の素早い調節、及び異なる超音波処理点又は位置の連続的な超音波照射を可能にする。トランスデューサと超音波処理点との間の対象(被験者、患者)の組織は、通常、近傍領域と呼ばれる。超音波は近傍領域を通過して超音波処理ボリュームに到達する。超音波処理ボリュームほどではないが、この中間組織も加熱される。複数の超音波処理点を超音波処理する場合、異なる超音波処理点の近傍領域が重複し得る。近傍領域の特定の部分が重なる可能性があるため、かかる部分が複数回加熱され得る。この重なる近傍領域の過熱を防ぐために、複数の超音波処理点の超音波照射間の遅延及び/又は超音波照射パワーの低減が必要な場合がある。
米国特許US8,016,757B2は、後方散乱超音波を用いたHIFU治療のための非侵襲的な温度推定技術を開示する。治療の開始前に熱源及び組織の塊から超音波データが集められ、生体伝熱方程式(BHTE)の2つのパラメータが測定される。特定の組織の塊及び特定の熱源に対して較正を行うことで、BHTEを用いて当該熱源及び組織に対して較正された温度依存曲線、並びに空間−時間温度マップを生成することができ、治療の計画を容易化することができる。国際出願WO2010/029479は、エネルギーの蓄積前に引き起こされる加熱の推定を提供する制御モジュールを備えた治療システムを開示する。
本発明は、独立請求項において医療機器、コンピュータプログラム製品、及び方法を提供する。従属請求項では実施形態が与えられる。
当業者によって理解されるように、本発明の側面は、装置、方法、又はコンピュータプログラム製品として具現化され得る。したがって、本発明の側面は、完全なハードウェア実施形態、完全なソフトウェア実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等)、又はソフトウェア側面とハードウェア側面とを組み合わせる実施形態を取り、いずれもが本明細書において概して「回路」、「モジュール」、又は「システム」と呼ばれ得る。更に、本発明の側面は、コンピュータ実行可能コードを含む1つ以上のコンピュータ読み取り可能媒体内に具現化されたコンピュータプログラム製品の形態を取り得る。
1つ以上のコンピュータ読み取り可能媒体の任意の組み合わせが使用され得る。コンピュータ読み取り可能媒体は、コンピュータ読み取り可能信号媒体又はコンピュータ読み取り可能記憶媒体であり得る。本明細書で使用される「コンピュータ読み取り可能記憶媒体」は、コンピューティングデバイスのプロセッサにより実行可能な命令を記憶可能なあらゆる有形記憶媒体を含む。コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能非一時的記憶媒体と称され得る。また、コンピュータ読み取り可能記憶媒体は有形コンピュータ読み取り可能媒体とも称され得る。一部の実施形態では、コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、コンピューティングデバイスのプロセッサがアクセス可能なデータを記憶可能であってもよい。コンピュータ読み取り可能記憶媒体の例は、限定されないが、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ハードディスクドライブ、ソリッドステートハードディスク、フラッシュメモリ、USBサムドライブ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、光学ディスク、光磁気ディスク、及びプロセッサのレジスタファイルを含む。光学ディスクの例はコンパクトディスク(CD)及びデジタルバーサタイルディスク(DVD)、例えばCD−ROM、CD−RW、CD−R、DVD−ROM、DVD−RW、又はDVD−Rディスクを含む。コンピュータ読み取り可能記憶媒体との用語は、ネットワーク又は通信リンクを介してコンピュータデバイスによってアクセスされ得る多様な記録媒体も指す。例えば、データはモデム、インターネット、又はローカルエリアネットワークを介して引き出され得る。コンピュータ読み取り可能媒体上に組み込まれるコンピュータ実行可能コードは、限定はされないが、無線、有線、光ファイバケーブル、RF等、又はこれらの任意の適切な組み合わせを含む任意の適切な媒体を使用して送信され得る。
コンピュータ読み取り可能信号媒体は、例えばベースバンド内に又は搬送波の一部としてコンピュータ実行可能コードが組み込まれた伝搬データ信号を含み得る。このような伝搬信号は多様な形態を取り、限定はされないが、電磁的形態、光学的形態、又はこれらの任意の適切な組み合わせが含まれる。コンピュータ読み取り可能信号媒体は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体ではない、命令実行システム、装置、又はデバイスによって又はこれらと共に使用されるプログラムを伝送、伝搬、又は輸送し得る任意のコンピュータ読み取り可能媒体であり得る。
「コンピュータメモリ」又は「メモリ」は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体の一例である。コンピュータメモリは、プロセッサに直接アクセス可能な任意のメモリである。「コンピュータストレージ」又は「ストレージ」は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体の更なる例である。コンピュータストレージは任意の不揮発性コンピュータ読み取り可能記憶媒体である。一部の実施形態ではコンピュータストレージはコンピュータメモリであり、その逆も成り立つ。
本明細書で使用される「プロセッサ」は、プログラム、マシン実行可能命令、又はコンピュータ実行可能コードを実行可能な電子コンポーネントを含む。「プロセッサ」を含むコンピューティングデバイスへの言及は、2つ以上のプロセッサ又は処理コアを含み得ると解されるべきである。プロセッサは例えばマルチコアプロセッサであり得る。また、プロセッサは、単一のコンピュータシステム内の又は複数のコンピュータシステムに分散されたプロセッサの集合も指し得る。コンピューティングデバイスとの用語も、それぞれが1つ又は複数のプロセッサを含むコンピューティングデバイスの集合又はネットワークを指し得ると解されるべきである。コンピュータ実行可能コードは、同じコンピューティングデバイス内の、又は場合によっては複数のコンピューティングデバイスにわたって分散され得る複数のプロセッサによって実行され得る。
コンピュータ実行可能コードは、プロセッサに本発明の側面を実行させるマシン実行可能命令又はプログラムを含み得る。本発明の側面に関する動作を実行するためのコンピュータ実行可能コードは、Java(登録商標)、Smalltalk、C++等のオブジェクト指向プログラミング言語、及びCプログラミング言語等の従来の手続き型プログラミング言語を含む1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれ、マシン実行可能命令にコンパイルされ得る。一部の場合では、コンピュータ実行可能コードは高級言語の形態又はプリコンパイルされた形態を取り、オンザフライでマシン実行可能命令を生成するインタープリターと併せて使用され得る。
コンピュータ実行可能コードは、全体としてユーザーコンピュータ上で、部分的にユーザーコンピュータ上で、スタンドアローンソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザーコンピュータ上で及び部分的に遠隔コンピュータ上で、又は全体として遠隔コンピュータ若しくはサーバ上で実行され得る。後者のシナリオでは、遠隔コンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又は広域ネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを介してユーザーコンピュータに接続されてもよく、又は、(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを介して)外部コンピュータへの接続が確立されてもよい。
本発明の側面は、本発明の実施形態に係る方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート、図面、及び/又はブロック図を参照して説明される。フローチャート、図面、及び/又はブロック図の各ブロック又は一部のブロックが、該当する場合は、コンピュータ実行可能コードの形態でコンピュータ実行可能命令によって実装され得ることが理解されよう。また、相容れない場合を除き、異なるフローチャート、図面、及び/又はブロック図のブロックが組み合わせられ得ることが理解される。これらのコンピュータプログラム命令は、マシンを生成するために汎用コンピュータ、特定用途向けコンピュータ、又は他のプログラム可能データ処理装置に提供されてもよく、コンピュータ又は他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロック内に指定される機能/動作を実現するための手段を作成し得る。
また、これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、又は他のデバイスに特定の態様で機能するよう命令し得るコンピュータ読み取り可能媒体内に記憶されてもよく、コンピュータ読み取り可能媒体内に記憶された命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロック内に指定される機能/動作を実現する命令を含む製品を生成してもよい。
また、コンピュータプログラム命令はコンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、又は他のデバイス上にロードされ、コンピュータ又は他のプログラム可能デバイス上で実行される命令がフローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロック内に指定される機能/動作を実現するためのプロセスを提供するよう、コンピュータ、他のプログラム可能装置、又は他のデバイス上で一連の動作ステップを実行させ、コンピュータ実行プロセスを生成してもよい。
本明細書で使用される「ユーザーインターフェイス」は、ユーザー又はオペレータがコンピュータ又はコンピュータシステムとインタラクトすることを可能にするインターフェイスである。「ユーザーインターフェイス」は、「ヒューマンインターフェイスデバイス」とも称され得る。ユーザーインターフェイスは、オペレータに情報若しくはデータを供給しかつ/又はオペレータから情報若しくはデータを受信し得る。ユーザーインターフェイスは、オペレータからの入力がコンピュータによって受信されることを可能にし、コンピュータからユーザーへの出力を提供し得る。言い換えれば、ユーザーインターフェイスは、オペレータがコンピュータを制御又は操作することを可能にし、また、コンピュータがオペレータの制御又は操作の結果を示すことを可能にし得る。ディスプレイ又はグラフィカルユーザーインターフェイス上のデータ又は情報の表示は、オペレータへの情報提供の一例である。キーボード、マウス、トラックボール、タッチパット、ポインティングスティック、グラフィックスタブレット、ジョイスティック、ゲームパッド、ウェブカム、ヘッドセット、ギアスティック、ステアリングホイール、ペダル、データグローブ、ダンスパッド、リモコン、及び加速度計を介するデータの受信は、いずれも、オペレータから情報又はデータを受信することを可能にするユーザーインターフェイス要素の例である。
本明細書で使用される「ハードウェアインターフェイス」は、コンピュータシステムのプロセッサが外部コンピューティングデバイス及び/又は装置とインタラクト又はこれらを制御することを可能にするインターフェイスを含む。ハードウェアインターフェイスは、プロセッサが外部コンピューティングデバイス及び/又は装置に制御信号又は命令を送信することを可能にし得る。また、ハードウェアインターフェイスは、プロセッサが外部コンピューティングデバイス及び/又は装置とデータを交換することを可能にし得る。ハードウェアインターフェイスの例は、限定はされないが、ユニバーサルシリアルバス、IEEE−1394ポート、パラレルポート、IEEE−1284ポート、シリアルポート、RS−232ポート、IEEE−488ポート、Bluetooth(登録商標)接続、無線ローカルエリアネットワーク接続、TCP/IP接続、イーサネット(登録商標)接続、制御電圧インターフェイス、MIDIインターフェイス、アナログ入力インターフェイス、及びデジタル入力インターフェイスを含む。
本明細書で使用される「ディスプレイ」又は「ディスプレイデバイス」は、画像又はデータを表示するよう適合された出力デバイス又はユーザーインターフェイスを含む。ディスプレイは視覚的、聴覚的、及び/又は触覚的データを出力し得る。ディスプレイの例は、限定はされないが、コンピュータモニタ、テレビ画面、タッチスクリーン、触覚電子ディスプレイ、点字スクリーン、ブラウン管(CRT)、蓄積管、バイステーブルディスプレイ、電子ペーパー、ベクターディスプレイ、フラットパネルディスプレイ、蛍光表示管(VF)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、ELディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)、プロジェクター、及びヘッドマウントディスプレイを含む。
本明細書で使用される「超音波窓」は、超音波又はエネルギーを透過可能な窓を含む。典型的には、薄膜又はメンブレンが超音波窓として使用される。超音波窓は、例えば、BoPET(biaxially−oriented polyethylene terephthalate)の薄膜によって形成され得る。
本発明の一側面は、対象を超音波処理するための高密度焦点式超音波治療システムを含む医療機器を提供する。医療機器は、医療機器を制御するためのプロセッサを更に含む。医療機器は、更に、プロセッサによる実行のためのマシン実行可能命令を記憶するためのメモリを含む。命令の実行により、プロセッサは、高密度焦点式超音波治療システムによる対象の先の超音波処理を表す超音波処理データを生成する。先の超音波処理データは、先の超音波処理のために高密度焦点式超音波治療システムを制御するために使用され、又は、様々な超音波処理点の位置及びそれらが高密度焦点式超音波治療システムによって如何に超音波処理されたかを表すデータであり得る。先の超音波処理データは、本質的に、超音波が如何に対象に入射し及び集束したかを表す。また、先の超音波処理データは、先の超音波処理に用いられた時間、期間、及びパワーを含み得る。
命令の実行により、プロセッサは更に、先の超音波処理データ及び熱音響モデルを用いて対象の熱特性マップを構築する。熱特性マップは空間依存性及び時間依存性である。すなわち、熱特性マップは熱特性を空間的に表し、また時間依存性である。例えば、熱特性が温度又は経時的に対象に蓄積したエネルギー密度である場合、エネルギーは放散し、温度は通常の体温に戻る。命令の実行により、プロセッサは更に、熱音響モデル及び熱特性マップを用いて最大エネルギーマップを決定する。最大エネルギーは時間依存性である。最大エネルギーマップは、対象のボリューム内に蓄積され得る最大エネルギーを表す。この最大エネルギーは、熱音響モデルを用いた計算を行い、空間的に異なる位置における別の超音波処理の実行の効果をモデル化することにより決定され得る。
典型的には、超音波が高密度焦点式超音波治療システムの焦点までの経路で対象を通過するので、特定の位置の最大エネルギーが先の超音波処理によって制限され得る。特に、近傍領域は、高密度焦点式超音波治療システムのためのトランスデューサと焦点との間の領域である。超音波処理を繰り返し実行することにより、近傍領域は加熱され得る。近傍領域の過熱を防ぐために、かかる超音波処理点を後で超音波処理することを可能にすることが必要であり得る。命令の実行により、プロセッサは更に、ユーザーインターフェイスから少なくとも1つの超音波処理ボリュームの選択を受け取る。本明細書で使用される「超音波処理ボリューム」は、超音波処理されると決定又は選択された対象のボリュームである。本質的には、医療機器のオペレータは最大エネルギーマップを見て、自身が現在エネルギーを蓄積させることができる対象の領域を知ることができる。このデータを空間的に表示することにより、オペレータは医療機器をより効率的に使用できる可能性がある。最大エネルギーマップを表示することは、オペレータがすぐに又は少しの時間の後に超音波処理することができる領域を識別し得る。これは、高密度焦点式超音波治療システムに関するダウンタイム及びコストを低減し得る。
他の実施形態では、高密度焦点式超音波治療システムは、超音波を超音波処理ボリュームに集束させるよう動作する超音波トランスデューサを含む。超音波処理ボリュームは、インターフェイスを用いて選択された少なくとも1つの超音波処理ボリュームのうちの1つであり得る。熱音響モデルは、対象の超音波処理領域内の熱特性マップを決定するために使用され得る。本明細書で使用される「超音波処理領域」は、測定可能な又は多量の超音波が対象を通過する対象の領域を含む。これは超音波処理ボリュームだけでなく、近傍領域及び遠方領域も含む。熱音響モデルは、熱特性マップ及び予測超音波ビーム形状を用いて超音波処理領域内の予測熱特性マップを決定するために使用され得る。
超音波ビーム形状は、超音波トランスデューサモデル及びユーザーインターフェイスからの少なくとも1つの超音波処理ボリュームの選択を用いて決定され得る。すなわち、熱特性マップ及び熱音響モデルを用いて、少なくとも1つの超音波処理ボリュームの超音波処理の効果を予測することができる。予測熱特性マップは熱特性を表す。予測熱特性マップは空間依存性である。一部の実施形態では、熱特性マップは時間依存性でもあり得る。熱音響モデルは、予測熱特性マップ内の最大熱特性を所定の最大値に制限することにより、超音波処理ボリューム毎の最大パワーを決定するために使用され得る。例えば、熱音響モデルは近傍領域をモデル化し、近傍領域が複数の超音波処理によって過熱しないことを保証し得る。
一部の実施形態では、超音波処理領域について熱特性マップを決定する代わりに、熱特性マップは超音波トランスデューサと超音波処理ボリュームとの間の近傍領域に制限され得る。対象が均質であると仮定することにより、近傍領域内の熱特性マップを計算することがより容易な可能性があるので、これは一部の実施形態において有益であり得る。
他の実施形態では、命令の実行により、プロセッサは更に、ビーム形状、最大パワー、及び熱音響モデルを用いてエネルギーインテンシティマップを計算する。命令の実行により、プロセッサは更に、エネルギーインテンシティマップをディスプレイ上に表示させる。本明細書で使用される「エネルギーインテンシティマップ」は、高密度焦点式超音波治療システムのビーム経路内のエネルギー密度を推定する空間的マッピングである。本実施形態では、エネルギーインテンシティマップ及び最大エネルギーマップの両方がディスプレイ上に表示される。代わりに、エネルギーインテンシティマップのみが表示されてもよい。
他の実施形態では、超音波トランスデューサは複数の超音波トランスデューサ素子を含む。複数の超音波トランスデューサ素子は制御可能である。制御可能とは、本明細書では、トランスデューサ素子に供給される電力の位相及び/又は振幅が個別に又はグループとして制御され得ると理解されたい。複数の超音波トランスデューサ素子は、超音波トランスデューサと超音波処理ボリュームとの間の超音波ビーム経路を調節するために使用され得る。予測超音波ビーム形状は超音波ビーム経路を表す。熱音響モデルは、更に、ビーム経路超音波トランスデューサモデルを用いて超音波ビーム形状への調節を計算することによって予測熱特性を決定するために使用され得る。本質的には、ビームの経路がモデルを用いて近似又は予測され得る。レイトレーシング法又はビーム経路を表す幾何学的形状を仮定する等の単純なモデルは、これの計算的に簡単な計算方法である。
予測超音波ビーム形状は、超音波トランスデューサによって生成される超音波のビーム経路である。
他の実施形態では、超音波処理において超音波ビーム形状の調節が用いられる。
他の実施形態では、医療機器は、超音波トランスデューサを動かすための超音波トランスデューサアクチュエータを更に含む。超音波トランスデューサアクチュエータはトランスデューサ位置を決定する。命令の実行により、プロセッサは更に、トランスデューサ位置の調節を計算することにより、及びトランスレーショナル超音波トランスデューサモデルを用いることにより、予測熱特性マップを決定する。電子的に操縦可能であることに加えて、超音波トランスデューサは空間的に移動可能であり得る。これは、超音波がどこに集束されるかを制御するために使用され得る。
本明細書において、磁気共鳴(MR)データは、MRIスキャン中のMR装置のアンテナによる原子スピンによって放射されたRF信号の記録された測定結果として定められる。本明細書において、MRI画像は、MRIデータ内に含まれる解剖学的データの再構成された二次元又は三次元の可視化として定義される。この可視化はコンピュータによって実行され得る。
本明細書において、MRサーモメトリーデータは、MRサーモメトリーのために使用され得る情報を含むMRIスキャン中のMR装置のアンテナによる原子スピンによって放射されたRF信号の記録された測定結果として定義される。MRサーモメトリーは、温度感受性パラメータにおける変化を測定することによって機能する。MRサーモメトリー中に測定され得るパラメータの例は、プロトン共鳴周波数シフト、拡散係数、又はT1及び/若しくはT2緩和時間における変化が磁気共鳴を利用して温度を測定するために使用され得る。個別のプロトン、水素原子が体験する磁場は周囲の分子構造に依存するので、プロトン共鳴周波数シフトは温度依存性である。温度が水素結合に影響することにより、温度上昇は分子スクリーニングを低減させる。これは、プロトン共鳴周波数の温度依存性をもたらす。
プロトン密度は、平衡磁化に線形依存する。したがって、プロトン密度強調画像を用いて温度変化を求めることができる。
緩和時間T1、T2、及びT2スター(T2とも記される)も温度依存性である。したがって、T1、T2、T2スター強調画像の再構成は、熱又は温度マップを構築するために使用され得る。
温度は水溶液内の分子のブラウン運動にも影響を及ぼす。したがって、パルス拡散勾配スピンエコー等、拡散係数を測定可能なパルスシーケンスが温度を測定するために使用され得る。
磁気共鳴を利用して温度を測定する最も有用な方法の1つは、水プロトンのプロトン共鳴周波数(PRF)シフトを測定することによる。プロトンの共鳴周波数は温度依存性である。ボクセル内の温度が変化すると、周波数シフトが水プロトンの測定される位相を変化させる。したがって、2つの位相画像間の温度変化を求めることができる。この温度決定方法は、他の方法と比べて比較的速いという利点を有する。本明細書において、PRF法は他の方法よりも詳しく論じられる。しかし、本明細書で論じられる方法及び技術は、MRIによるサーモメトリーを実行する他の方法にも適用可能である。
他の実施形態では、医療機器は、撮像ゾーンから熱的磁気共鳴データを取得するためのMRIシステムを更に含む。超音波処理領域は撮像ゾーン内に含まれる。命令の実行により、プロセッサは更に、超音波処理領域から磁気共鳴熱データを繰り返し取得する。命令の実行により、プロセッサは更に、繰り返し取得された磁気共鳴熱データを用いて温度変化レートマップを再構成する。
他の実施形態では、高密度焦点式超音波治療システムをガイドするために使用される磁気共鳴データを取得するためにMRIシステムが使用される。例えば、対象の位置に医用画像が記録され、ディスプレイ上に表示され得る。
他の実施形態では、命令の実行により、プロセッサは、温度変化レートマップをディスプレイ上に表示する。温度変化レートマップは、超音波処理する場所を決定する上で有用な対象の組織の特性を示し得るので、本実施形態は有益であり得る。
他の実施形態では、命令の実行により、プロセッサは更に、温度変化レートマップを用いて熱音響モデルを変更する。例えば、熱音響モデルは、特定の位置において所定のレートでエネルギー又は温度が放散すると見なし得る。温度が変化するレートを実際に測定することにより、特定の対象のために熱音響モデルが更新又は補正され得る。
他の実施形態では、命令の実行により、プロセッサは更に、超音波処理エネルギーを受け取る。命令の実行により、プロセッサは更に、超音波処理エネルギー及び熱音響モデルを用いて冷却時間マップを決定する。冷却時間は空間依存性であり、選択された超音波処理ボリュームが超音波処理エネルギーでいつ超音波処理可能であるかを表す。本明細書において、選択された超音波処理ボリュームは、超音波処理されると選択された任意のボリュームとして定められる。冷却時間マップは時間依存性である。命令の実行により、プロセッサは更に、冷却時間マップをディスプレイ上に表示させる。冷却時間マップは、ユーザーインターフェイスから少なくとも1つの超音波処理ボリュームの選択が受け取られる前に、ユーザーインターフェイス上に表示される。超音波処理エネルギーは、例えば事前に定められてもよく、ユーザーインターフェイスから入力されてもよく、又は治療計画若しくは他の命令から受け取られてもよい。
本明細書で使用される超音波処理パワーは、超音波処理ボリュームに集められるパワーである。
他の実施形態では、冷却時間マップは、また、高密度焦点式超音波治療システムのためのビーム経路の変化を用いて決定される。例えば、マップ内の特定の領域について冷却時間が表示されるよう、ビーム経路が変更され得る。
他の実施形態では、命令の実行により、プロセッサは更に、超音波処理期間を受ける。最大エネルギーマップは、最大パワーマップとして表現される。エネルギーマップを表示する代わりに、所与の時間において対象の特定のボリュームにオペレータが向けることができる最大パワーに関して、最大エネルギーマップが表示される。超音波処理期間はユーザーインターフェイスを介して受け取られ、事前に定められてもよく、又は治療計画等の命令を介して受け取られてもよい。
他の実施形態では、命令の実行により、プロセッサは、少なくとも1つの超音波処理ボリュームの選択を用いて超音波処理コマンドを生成する。命令の実行により、プロセッサは更に、超音波処理コマンドを用いて、少なくとも1つの超音波処理ボリュームを超音波処理するよう高密度焦点式超音波治療システムを制御する。
他の実施形態では、命令の実行により、プロセッサは更に、熱特性マップ、超音波処理コマンド、及び熱音響モデルを用いて更新された最大パワーマップを決定する。更新された最大エネルギーマップは時間依存性であり、また、空間依存マッピングであってもよい。
命令の実行により、プロセッサは更に、更新されたエネルギーマップをディスプレイ上に表示する。命令の実行により、プロセッサは更に、更新された少なくとも1つの超音波処理ボリュームの選択をユーザーインターフェイスから受け取る。
他の実施形態では、熱特性は温度である。
他の実施形態では、熱特性は加熱量(thermal dose)である。
他の実施形態では、熱特性はエネルギー密度である。
本発明は他の側面において、医療機器を制御するプロセッサによる実行のためのマシン実行可能命令を含むコンピュータプログラム製品を提供する。医療機器は、対象を超音波処理するための高密度焦点式超音波治療システムを含む。命令の実行は、プロセッサに、高密度焦点式超音波治療システムによる対象の先の超音波処理を表す先の超音波処理データを受け取らせる。命令の実行は、プロセッサに更に、先の超音波処理データ及び熱音響モデルを用いて対象の熱特性マップを構築させる。熱特性マップは熱特性を表し、空間依存性及び時間依存性である。命令の実行は、プロセッサに更に、熱音響モデルを用いて最大エネルギーマップを決定させる。最大エネルギーは時間依存性であり、また、空間依存性であってもよい。命令の実行は、プロセッサに更に、最大エネルギーマップをディスプレイ上に表示させる。命令の実行は、プロセッサに更に、ユーザーインターフェイスから少なくとも1つの超音波処理ボリュームの選択を受け取らせる。
本発明は他の側面において、医療機器の作動方法を提供する。医療機器は、対象を超音波処理するための高密度焦点式超音波治療システムを含む。方法は、高密度焦点式超音波治療システムにより、対象の先の超音波処理を表す先の超音波処理データを受け取るステップを含む。方法は更に、先の超音波処理データ及び熱音響モデルを用いて対象の熱特性マップを構築するステップを含む。熱特性マップは熱特性を表し、空間依存性及び時間依存性である。方法は更に、熱音響モデルを用いて最大エネルギーマップを決定するステップを含む。最大エネルギーは時間依存性である。方法は更に、最大エネルギーマップをディスプレイ上に表示するステップを含む。方法は更に、ユーザーインターフェイスから少なくとも1つの超音波処理ボリュームの選択を受け取るステップを含む。
本発明の上記実施形態の1つ以上は、組み合わされる実施形態が互いに相容れない場合を除き、組み合わせられ得ることを理解されたい。
以下、本発明の好適な実施形態をあくまで例として図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る方法を示すブロック図を示す。 図2は、本発明の他の実施形態に係る方法を示すブロック図を示す。 図3は、本発明の他の実施形態に係る方法を示すブロック図を示す。 図4は、代替的な方法を示すブロック図を示す。 図5は、本発明の一実施形態に係る医療機器を示す。 図6は、図5の一部を示す。 図7は、本発明の他の実施形態に係る医療機器を示す。 図8は、本発明の他の実施形態に係る医療機器を示す。
上記の図中、同様の符号が付された要素は等価な要素であるか又は同じ機能を実行する。先に説明された要素は、機能が同等な場合、必ずしも後の図面において説明されない。
図1は、本発明の一実施形態に係る方法を示すブロック図を示す。まず、ステップ100において、先の超音波処理データが受け取られる。先の超音波処理データは、高密度焦点式超音波治療システムによる対象の先の超音波処理を表す。次に、ステップ102において、先の超音波処理データ及び熱音響モデルを用いて対象の熱特性マップが構築される。熱特性マップは熱特性を表す。熱特性マップは空間依存性及び温度依存性である。次に、ステップ104において、熱音響モデル及び熱特性マップを用いて最大エネルギーマップが決定又は構築される。最大エネルギーは時間依存性である。次にステップ106において、最大エネルギーマップがディスプレイ上に表示される。その後、最後にステップ108において、ユーザーインターフェイスから少なくとも1つの超音波処理ボリュームの選択が受け取られる。ユーザーインターフェイスは、例えば、最大エネルギーマップと共にディスプレイ上に表示され得る。
図2は、本発明の他の実施形態に係る方法を示すブロック図を示す。この方法のステップ200〜208は、図1に示される方法のステップ100〜108に対応する。まず、ステップ200において、先の超音波処理データが受け取られる。次に、ステップ202において、熱音響モデル及び先の超音波処理データを用いて熱特性マップが構築される。次に、ステップ204において、熱音響モデル及び熱特性マップを用いて最大エネルギーマップが構築される。次に、ステップ206において、最大エネルギーマップがディスプレイ上に表示される。その後、ステップ208において、ユーザーインターフェイスから少なくとも1つの超音波処理ボリュームの選択が受け取られる。次に、ステップ210において、少なくとも1つの超音波処理ボリュームの選択を用いて、超音波処理コマンドのセットが生成される。超音波処理コマンドは、高密度集束超音波に選択された少なくとも1つの超音波処理ボリュームを超音波処理させるために使用可能なコマンドである。その後、最後にステップ212において、少なくとも1つの超音波処理ボリュームを超音波処理するよう、超音波処理コマンドを用いて高密度焦点式超音波治療システムが制御される。
図3は、本発明の一実施形態に係る方法を示すフロー図を示す。まず、ステップ300において、MRIシステムを用いて、超音波処理領域からMRI熱データが取得される。次に、ステップ302において、MRI熱データを用いて温度変化マップが再構成される。次に、ステップ304において、先の超音波処理が受け取られる。MRI熱データは先の超音波処理中に取得され得る。次に、ステップ306において、熱音響モデル及び先の超音波処理データを用いて熱特性マップが構築される。次に、ステップ308において、熱音響モデル及び熱特性マップを用いて、最大エネルギーマップが構築される。次に、ステップ310において、最大エネルギーマップ及び/又は温度変化マップがディスプレイ上に表示される。次に、ステップ312において、ユーザーインターフェイスから少なくとも1つの超音波処理ボリュームの選択が受け取られる。次に、ステップ314において、少なくとも1つの超音波処理ボリュームの選択を用いて超音波処理コマンドが生成される。その後、最後にステップ316において、超音波処理コマンドを使用して高密度焦点式超音波治療システムが制御される。これは、高密度焦点式超音波治療システムに選択された少なくとも1つの超音波処理ボリュームを超音波処理させる。
図4は、他の方法のフロー図を示す。まず、ステップ400において、先の超音波処理データが受け取られる。次に、ステップ402において、熱音響モデル及び先の超音波処理データを用いて熱特性マップが構築される。次に、ステップ404において、超音波処理エネルギーが受け取られる。その後、ステップ406において、熱音響モデル及び熱特性マップを用いて、冷却時間マップが構築される。その後、ステップ408において、冷却時間マップがディスプレイ上に表示される。その後、最後にステップ410において、ユーザーインターフェイスから少なくとも1つの超音波処理ボリュームの選択が受け取られる。
図5は、医療機器500の一例を示す。対象台504に横たわる対象502が示されている。医療機器500は高密度焦点式超音波治療システム506を含む。高密度焦点式超音波治療システム506は、流体充填チャンバ508を含む。流体充填チャンバ508内には超音波トランスデューサ510が存在する。図示されていないが、超音波トランスデューサ510は、それぞれが個別の超音波ビームを生成可能な複数の超音波トランスデューサ素子を含む。これは、各超音波トランスデューサ素子又はそのグループに供給される交流の位相及び/又は振幅を制御することにより、超音波処理ボリューム522の位置を電子的に操縦するために利用され得る。点522は、医療機器500の調節可能な焦点を表す。
超音波トランスデューサ510は、超音波トランスデューサ510を機械的にポジション変更(再配置)することを可能にする機構512に接続される。機構512は、機構512を作動するよう適合された機械的アクチュエータ514に接続される。また、機械的アクチュエータ512は、超音波トランスデューサ510に給電するための電源も表す。一部の実施形態では、電源は個別の超音波トランスデューサ素子への電力の位相及び/又は振幅を制御し得る。
超音波トランスデューサ510は、経路516を辿るように示されている超音波を生成する。超音波516は流体充填チャンバ508及び超音波窓518を通過する。この実施形態では、超音波はその後ジェルパッド520を通過する。ジェルパッド520は全ての実施形態において必ず存在するわけではないが、本実施形態では、対象台504内にジェルパッド520を受容するためのリセスが存在する。ジェルパッド520は、トランスデューサ510と対象502との間で超音波パワーを結合することを助ける。ジェルパッド520を通過した後、超音波516は対象502の近傍領域517を通って、超音波処理ボリューム522又はターゲットゾーンに集束する。
超音波処理ボリューム522は、超音波トランスデューサ510の機械的なポジショニング及び超音波処理ボリューム522の位置の電子的な操縦の組み合わせによって移動され得る。
コンピュータ540は、更に、プロセッサ544、ユーザーインターフェイス546、コンピュータストレージ548、及びコンピュータメモリ550を含む。ハードウェアインターフェイス542は、プロセッサ544が医療機器500の機能を制御するためにコマンド及びデータを送受信することを可能にする。プロセッサ544は、更に、ユーザーインターフェイス546、コンピュータストレージ548、及びコンピュータメモリ550に接続される。
コンピュータストレージ548は、先の超音波処理データ552を含むよう示されている。コンピュータストレージ548は、更に、熱特性マップ554を含むよう示されている。コンピュータストレージ548は、更に、最大エネルギーマップ556を含むよう示されている。また、コンピュータストレージ548は、超音波処理ボリュームの選択を含むよう示されている。
コンピュータメモリ550は、制御モジュール560を含むよう示されている。制御モジュールは、プロセッサ544が医療機器500の動作及び機能を制御することを可能にするコンピュータ実行可能コードを含む。また、コンピュータメモリ550は熱音響モデル562を含むよう示されている。熱音響モデル562は、プロセッサが先の超音波処理データ552から熱特性マップを計算し及び熱特性マップ554から最大エネルギーマップ556を計算することを可能にするコンピュータ実行可能コード544を含む。
ユーザーインターフェイス546は、グラフィカルユーザーインターフェイス570を表示しているディスプレイに接続される。グラフィカルユーザーインターフェイス570は複数の異なる領域を有する。マッピング、及び利用可能な場合は医用画像データを表示するためのグラフィック表示領域572が存在する。オペレータに対してメッセージ及びデータが表示され得るデータ表示領域574が存在し、また、ツール選択領域576が存在する。ツール選択領域576は、データを入力し及び/又は超音波処理される超音波処理ボリュームを選択するためにオペレータがインターフェイスを変更することを可能にするツールを含む。データ表示領域は、例えば、選択された超音波処理ボリュームに関するデータを表示し得る。例えば、選択された超音波処理ボリュームを超音波処理するのに使用され得る使用可能パワー、超音波処理ボリュームに蓄積され得る最大エネルギー、及び/又は冷却時間が表示され得る。
グラフィック表示領域572は、熱音響モデル562の結果をグラフィカルに示す。この領域572内には、2つの選択された超音波処理ボリューム、すなわち第1の超音波処理ボリューム580及び第2の超音波処理ボリューム582が存在する。表示領域572内に表示されるマッピングを代表する等高線586が存在する。マッピング586は、最大エネルギーマップ、熱特性マップ、エネルギーインテンシティマップ、温度マップ、温度変化レートマップ、及び冷却時間マップを表し得る。これらの様々なマッピングの1つ以上が表示され得る。これらは、例えば、等高線又は有色画像等の他のグラフィカル手段を用いて表示され得る。表示される場合、2つ以上のレイヤーを表示できるよう、これらは半透明又は透明な態様で表示され得る。例えば、使用可能パワー及び冷却時間の両方が同時に表示され得る。例えば、超音波処理ボリューム582を包囲する輪郭内の領域が、超音波処理ボリューム580よりも低い最大エネルギーにある場合、場合によっては、ユーザーは先にボリューム580を超音波処理することを選択し得る。破線588は、超音波処理され得る領域を示すオプションのインジケーターを示す。
図6は、図5の部分拡大図を示す。高密度焦点式超音波治療システム506及び対象502の一部が示されている。この例では、超音波処理点は2つの異なる位置522及び522’に示されている。これらは、続けて実行され、超音波トランスデューサ510の電子的な焦点合わせにおける変更を用いて変更された2つの超音波処理点である。破線516は、超音波処理ボリューム522に集束する円錐内の超音波の近似的な経路を示す。破線516’は、超音波処理ボリューム522’に集束する超音波の近似的な行程の円錐を示す。これらの2つの超音波516、516’の領域は、領域602において重なることが分かる。重なる領域602は、超音波処理ボリューム522、522’のいずれが超音波処理されるときにも加熱される。重なる領域602は、重ならない領域内の超音波よりも多く加熱される。この図は、熱音響モデルを用いて、点522及び522’が超音波処理された後の対象502の熱特性の変化を表す熱特性マップを構築することが有益であることを示す。また、図6には超音波処理点522、522’とトランスデューサ510との間の近傍領域527、及び、超音波処理点522、522’の向こうの遠方領域600が示されている。
図6では、2つの超音波処理ボリューム522、522’の超音波処理が電子的操作を用いて達成された。重なる領域602は、トランスデューサ510を機械的に再配置することによっても生じ得る。したがって、図6に示される例は超音波処理ボリューム522、522’の機械的ポジショニングにも当てはまる。
図7は、医療機器700の更なる実施形態を示す。図7に示される実施形態は、追加のソフトウェアコンポーネントが存在する点を除き、図5に示されるものと同様である。コンピュータストレージ548は、追加でエネルギーインテンシティマップを含むよう示されている。また、コンピュータストレージ548は、追加で超音波ビーム経路704を含むよう示されている。超音波ビーム経路704は、超音波トランスデューサ510の計算されたビーム経路を表す。コンピュータストレージ548は、更に、受け取られた超音波処理エネルギー706を含むよう示されている。コンピュータストレージ548は、更に、領域578の計算された冷却時間マップ708を含むよう示されている。コンピュータストレージ548は、更に、受け取られた超音波処理期間710を含むよう示されている。コンピュータストレージ548は、更に、最大パワーマップ712を含むよう示されている。コンピュータストレージ548は、更に、超音波処理点580及び582を超音波処理するよう高密度焦点式超音波治療システム506を制御するための超音波処理コマンド714を含むよう示されている。
コンピュータメモリ550は、更に、エネルギーインテンシティマップ計算モジュール716を含むよう示されている。エネルギーインテンシティマップ計算モジュール716は、プロセッサ544が先の超音波処理データ552を使用してエネルギーインテンシティマップ702を計算することを可能にするコンピュータ実行可能コードを含む。コンピュータメモリ550は、更に、ビーム経路予測モジュール718を含むよう示されている。ビーム経路予測モジュール718は、冷却時間マップ、エネルギーインテンシティマップ、最大パワーマップ、及び最大エネルギーマップを最適化するためのビーム成形において使用される超音波ビーム経路704をプロセッサ544が計算することを可能にするコンピュータ実行可能コードを含む。コンピュータメモリ550は、更に、最大パワーマップ計算モジュールを含むよう示されている。
最大パワーマップ計算モジュール720は、プロセッサ544が超音波処理期間710及び最大エネルギーマップ556を使用して最大パワーマップ712を計算することを可能にするコンピュータ実行可能コードを含む。本質的には、エネルギーからパワーへの変換を実行するために超音波処理期間710が使用される。コンピュータメモリ550は、更に、超音波処理コマンド生成モジュール722を含むよう示されている。超音波処理コマンド生成モジュール722は、選択された超音波処理ボリューム580及び582を超音波処理するのに必要な超音波処理コマンド714をプロセッサが計算することを可能にするコンピュータ実行可能コマンドを含む。一部の実施形態では、ビーム成形が存在し、その場合、ビーム経路予測モジュール718はモジュール722によっても使用される。
図8は、医療機器800の更なる例を示す。医療機器800は、図5に示される医療機器500及び図7に示される医療機器700に類似する。この実施形態では、熱的MRデータを取得するためのMRIシステム802が存在する。MRIシステムはマグネット804を含む。マグネット804は、中央にボア806が通る円筒型の超伝導磁石である。様々な実施形態において、機械的アクチュエータ/電源514がマグネット804のボア806の外部又は内部に配置される。
マグネットは、超伝導コイルを備えた液体ヘリウム冷却クライオスタットを有する。また、永久磁石又は抵抗磁石(resistive magnet)が使用され得る。異なる種類のマグネットの使用も可能であり、例えば、スプリット円筒型マグネット及びいわゆるオープンマグネットの両方を使用することも可能である。スプリット円筒型マグネットは、マグネットのアイソプレーン(iso−plane)にアクセスできるようクライオスタットが2つのセクションに分割されている点を除き、標準的な円筒型のマグネットに類似し、このようなマグネットは、例えば荷電粒子線治療と併せて使用され得る。オープンマグネットは、対象を受容するのに十分大きい空間を間に有する上下の2つのマグネットセクションを有し、2つのセクションの配置はヘルムホルツコイルのそれと似ている。対象がより閉塞されないため、オープンマグネットは人気がある。円筒型マグネットのクライオスタットの内部には超伝導コイルの集合が存在する。円筒型マグネットのボア806内には、磁場がMRIを実行するために十分強く均一な撮像ゾーン808が存在する。
また、マグネットのボア806内には、マグネット804の撮像ゾーン808内の磁気スピンを空間的に符号化するMRデータを取得するために使用される磁場勾配コイル810のセットが存在する。磁場勾配コイルは、磁場勾配コイル電源812に接続される。磁場勾配コイル810は、代表的であることが意図される。典型的には、磁場勾配コイルは、3つの直交する空間方向における空間的符号化のための3つの別々のコイルセットを含む。磁場勾配電源812は、磁場勾配コイル810に電流を供給する。磁場コイルに供給される電流は時間の関数として制御され、ランプ又はパルス化され得る。
撮像ゾーン808の隣には、撮像ゾーン808内の磁気スピンの配向を操作するための及び同じく撮像ゾーン内のスピンからの無線送信を受信するためのRFコイル814がある。RFコイルは複数のコイル素子を含み得る。RFコイルはチャネル又はアンテナとも呼ばれ得る。RFコイル814はRFトランシーバ816に接続される。RFコイル814及びRFトランシーバ816は、別々の送信及び受信コイル並びに別々の送信機及び受信機によって置き換えられ得る。RFコイル814及びRFトランシーバ816は代表的であることを理解されたい。RFコイル814は、専用送信アンテナ及び専用受信アンテナも表すことを意図する。同様に、トランシーバ816は別々の送信機及び受信機も表し得る。
コンピュータストレージ548は、パルスシーケンス820を含むよう示されている。ここで使用されるパルスシーケンスは、MRIシステム802がMRデータ822を取得することを可能にする、異なる時間に実行されるコマンドのシーケンスである。コンピュータストレージ548は、MRIシステム802を用いて取得された熱的MRデータ822を含むよう示されている。コンピュータストレージ548は、更に、熱特性マップ824、温度変化レートマップ826、及び/又はMRデータ822から再構成された医用画像828を含むよう示されている。
コンピュータメモリ550は、画像再構成モジュール830を含むよう示されている。画像再構成モジュール830は、プロセッサ544が熱的MRデータ522から熱特性マップ824、温度変化レートマップ826、及び/又は医用画像828を構築することを可能にするコンピュータ実行可能コードを含む。
また、コンピュータメモリ550は、熱音響モデル補正モジュール832を含むよう示されている。これは、熱音響モデル562を補正するために温度変化レートマップ826を使用し得るオプションのモジュール832である。
MRIシステム802は、高密度焦点式超音波治療システム506をガイドするためにも使用され得る。例えば、通常のMRIを通じて、MRIシステム802は、超音波処理点880及び882の位置を特定するために対象502内の解剖学的ランドマークを特定するよう使用され得る。
HIFU治療法に関して、治療効率又は安全性に影響する複数のファクタが存在する。これらのファクタは、しばしば、患者組織特性又は選択された治療(超音波処理)パラメータに依存し、治療中にユーザーに知られず、又は少なくともそれらの空間分布は不明である。しかし、このシステムは、これらの特性を表すいくつかのパラメータを測定できる。ユーザーがこのようなパラメータに関する空間的又は治療セル依存情報を治療イベント中に利用可能であれば、ユーザーはかかるデータを用いて治療を最適化することができる。
実施形態は、以下のうちの1つ以上を可視化可能であり得る。
−治療セル依存冷却時間(計画セル毎に示される)
−治療パラメータ、組織特性、又は将来の治療の成功若しくは危険(success or danger)の予測を表す、例えば等高線又は色のマップとして可視化された任意のパラメータ表現。例えば、以下であり得る。
−冷却/加熱レートマップ
−緩和時間マップ(例えば、T2強調画像から測定される脂肪の時定数)
−セルタイプ毎の冷却時間マップ
−使用可能パワー若しくはエネルギー、又は最大治療セルサイズマップ
−エネルギー又はインテンシティ密度マップ
−先に行われた治療イベント中に蓄積されたエネルギーを考慮した使用可能治療エリア
−異なる測定方法によって得られた温度マップの結合された可視化
実施形態は、使用中にターゲットから取得された適切な情報を、使用を制御しているユーザーに提供し得る。その後、ユーザーは与えられた情報に従って使用を最適化及び調整するために情報を利用することができる。ユーザーが情報を利用可能でない場合、治療結果、効率性、又は安全性は、本発明を用いた場合に得られるものよりも劣る可能性がある。
HIFU治療において、複数の超音波処理が最近実行され、相当な熱の蓄積が存在する組織領域が存在する可能性がある。そのような領域は、十分な時間が経過して再び超音波処理するのに安全になるまで、更なる超音波処理は回避されるべきである。ユーザーはどの領域を回避すべきかについて正確に知らない。本発明のいくつかの側面は、ユーザーにそのような情報を与えるために使用され得る。
実施形態は、システムが治療中に集めた情報をパラメータ化して、ユーザーが情報を容易に理解し、治療の計画においてデータを活用することを可能にする形態でユーザーに対して情報を可視化可能であり得る。
実施形態は、患者組織特性、先の治療履歴からの回復、将来の治療イベントに対する用意、又は将来の治療イベントのために使用可能なオプションに関する情報を収集可能であり得る。実施形態はその後、容易に理解され、将来の治療を最適化するためにユーザーにとって有用な形態で情報をユーザーに対して可視化可能であり得る。
組織が加熱イベント後に冷却するレート、又は加熱イベント中に昇温するレートは、例えば組織タイプ、血管系、他の領域からの熱拡散、及び周辺組織に依存する。ユーザー(及びシステム)は、組織タイプ毎に冷却又は加熱レートを仮定し、将来の治療イベントに関する予測を計算するためにこれらの仮定を使用し得る。しかし、代わりに、システムが温度マップを十分な間隔で測定する場合、システムは組織毎の実際の温度挙動を決定し得る。決定は、例えば測定データに指数関数又は他の適切な関数を当てはめることによって行われ得る。このようなマップに基づき、システムは組織毎の温度減衰又は昇温レートの2D又は3Dマップを構築することができる。より信頼できるマップを作成するために、加熱レートマップは、治療中に組織に入射するエネルギー又はインテンシティを考慮に入れてもよい。その後、システムは例えば等高線又は色によってかかるマップをユーザーに対して可視化し得る。その後、ユーザーは可視化された情報を使用して、例えばHIFU超音波処理後の降温における違いを検知し、組織毎に適切な冷却時間を選択し得る。また、システムは、計画される将来の治療イベントのための冷却時間を計算するときに、測定冷却レートのマップを自動的に使用してもよい。又は、可視化された測定加熱レートマップに基づき、ユーザーは、各特定の位置において治療を実行するためにどれだけのエネルギーが必要かを推定し得る。また、システムは加熱レートマップを使用して、将来の治療イベントのための適切な治療パラメータに関する提案を与えてもよい。
新たな治療イベント(例えば、HIFUデバイスによる超音波処理)を開始する前に十分であると考えられる冷却時間は、将来の治療イベントの予定されるエネルギー、及びビーム経路内の組織内に蓄熱を生成した可能性がある過去の治療イベントの履歴に依存し得る。位置依存性が計算されてユーザーに対して可視化され得る(例えば、2D若しくは3D等高線又は色によって)。ユーザーは可視化を利用して、どの治療位置が将来の治療ために最も早く使用可能であるか、及び、ビーム経路における大き過ぎる蓄熱のためにどの位置がまだしばらく治療されるべきではないかを推測し得る。その後、ユーザーは、「短い」冷却時間領域として示される領域において新しい治療イベントを計画し、もって合計治療期間を減らすことができる。異なるエネルギーオプションによる治療の最適化を可能にするために、冷却時間マップも異なるエネルギーの治療、例えばセルタイプ毎に別々に計算及び可視化され得る。
治療のために使用可能又は推奨可能なパワー又はエネルギーは、治療位置に依存し得る。位置依存性は、例えば、先の治療からの蓄熱、先の超音波処理によって提供される、近くの治療位置のための適切なエネルギー若しくはパワー要求に関する情報、又はエネルギー伝搬経路内の繊細な器官の存在に起因し得る。システムは、治療領域内の治療において用いられるべき使用可能(例えば、ビーム成形においてマークされた領域を回避する等、厳密な規則が存在する場合)又は推奨可能(厳密な規則は存在しないが、特定の領域にわたり過度に高いパワーインテンシティ又はエネルギーを使用しないことを勧める情報をシステムが有する場合)なパワーインテンシティ若しくは最大パワーインテンシティ、又はエネルギー若しくは最大エネルギーを2D又は3Dマップとして計算し、例えば等高線又は色によってユーザーに対して可視化し得る。ユーザーは、治療イベント毎に適切なパワーインテンシティ若しくはエネルギー又はセルサイズを選択するために情報を利用し得る。また、システムは、計算されたマップ及び計画される治療位置又は場所に基づき、治療イベントのための使用可能パワー又はエネルギーを自動的に制限してもよい。
治療のために使用可能又は推奨可能な最大治療セルサイズは、治療位置に依存し得る。位置依存性は、例えば、先の治療からの蓄熱、先の超音波処理によって提供される、近くの治療位置のための適切なエネルギー若しくはパワー要求に関する情報、エネルギー伝搬経路内の繊細な器官の存在、又はセルタイプ毎の使用可能な偏向範囲と併せたトランスデューサの機械的動き範囲制限に起因し得る。システムは、治療領域内の治療において用いられるべき使用可能(例えば、ビーム成形においてマークされた領域を回避する等、厳密な規則が存在する場合)又は推奨可能(厳密な規則は存在しないが、特定の領域にわたり過度に大きいセルサイズを使用しないことを勧める情報をシステムが有する場合)な最大治療セルサイズを2D又は3Dマップとして計算し、例えば等高線又は色によってユーザーに対して可視化し得る。ユーザーは、治療イベント毎に適切な(又は成功の可能性が最も高い)治療セルサイズを選択するために情報を利用し得る。
実施形態は、治療イベント中にエネルギー又はインテンシティが通過する領域についての知識を有することを可能にし得る。システムは複数の方法でビーム経路内のエネルギー密度を推定し得る。HIFU治療に関しては、これは、例えば熱音響シミュレーションによって、又は何らかのより単純なモデル、例えば円錐状の超音波処理エネルギー分布を仮定し、単純に全エネルギーを調査対象の面内の円錐の面積で割ることによって得られ得る。オプションで、エネルギーが伝搬する組織の減衰も考慮されてもよい。焦点領域に蓄積する(未知の)組織の減衰又は位相コヒーレンスのいずれもエネルギー分布に大きな影響を及ぼさないので、このようなモデルは近傍領域において最適に機能する。遠方場では、事前に計算されたシミュレーションエネルギー(セル)及び偏向依存場モデルが使用され得る。これらは、同じセルサイズ及び軸偏向の超音波処理毎に焦点エネルギーがほぼ同じであり、遠方場ビーム形状が、事前にシミュレーションされた形状によって良好に近似され得るSonalleve HIFUフィードバックセルに特に適する。
過去の全ての治療イベントのエネルギー密度を計算するこれらの方法は、過去の全ての治療イベントのエネルギー密度マップを構築するために組み合わせられ、例えば等高線又は色の2D又は3Dマップとしてユーザーに対して可視化され得る。各過去の治療イベントからの経過時間は、例えば過去のエネルギー/インテンシティ密度の移動(sliding)平均を使用することにより、又は組織毎の減衰時定数を別々に仮定若しくは測定して、それを過去の治療イベント毎のエネルギー/インテンシティに使用することにより、考慮され得る。
その後、ユーザーは計画される治療イベントのビーム、又は同様にエネルギー若しくはインテンシティマップを、先の治療イベントからのエネルギー又はインテンシティ密度マップと比較し、計画される治療イベントが、既にエネルギー又はインテンシティを受け、おそらくは未だ完全に冷却していない領域内にエネルギー蓄積を引き起こすか否かを検討することができる。
実施形態は、ユーザーに対して使用可能な治療領域(ATA)を可視化可能なソフトウェアを有してもよい。現在、三次元ATAは治療履歴を考慮しない。本システムは最近大きなエネルギーを受けた治療領域内の領域を検出し、超音波処理が安全ではない領域を通過するエネルギー伝送を要する焦点領域をユーザーに示すことができる。この場合、ATAは時間依存性であり、時間が経過し組織が冷却するにつれ、より多くの領域が治療のために解放される。
立体(volumetric)超音波処理に関して、冷却時間はセルサイズに依存し得る。大きいセルは小さいセルよりも大きな総エネルギーを要する。したがって、超音波処理間の組織の十分な冷却を可能にするために、大きなセルは超音波処理間により長い待ち時間を有するべきである。また、蓄積量は温度上昇と共に複雑な指数関数的挙動で増加するので、冷却時間は、超音波処理セルを開始する前の先の超音波処理からの初期残存温度が、大きいセルでは小さく、小さいセルでは大きいように選択され得る。冷却時間は超音波処理の開始前にセル毎に予測され得る。また、一部のセル(非立体セルも同様)は、エネルギーの伝搬経路内に先に超音波処理されたセルとエネルギー分布の重なりを有さない又は重なりが最小であり、よって先のセルの直後の超音波処理を許容し得る。この場合、冷却時間は異なる将来のセル毎に大きく異なり得るが、システムによって示されない限り、ユーザーは位置又はセルタイプ依存性について知らない。本イノベーションのこの側面の重要な特徴は、セル依存冷却時間を計算し、ユーザーに対して可視化することである。本発明のこの側面は、例えば冷却時間を各セルと関連付けて可視化することによって実現され得る。例えば、セルリスト又は計画されたセルを含む画像において、セルの可視化又は他の表現の近くで冷却時間を見ることができる。
一部の実施形態の一使用例は、ビーム成形を用いたHIFUに関する。ビーム成形アルゴリズムは実際の超音波処理パワーを考慮し、器官回避領域(organ avoidance region)の許容インテンシティ又はエネルギー暴露が超過されないよう、どのトランスデューサ素子がスイッチオフされ又はインテンシティが下げされるべきかを決定することができる。本発明のこのアプローチによれば、システムは、器官回避領域のインテンシティ又はエネルギー限界を超えず、ビーム成形を使用するための他の条件(例えば、スイッチオフされる素子の最大数)を満たすよう、各焦点位置において使用可能な最大エネルギー又はパワーを示す(2D又は3D)マップを(超音波処理の前に)計算することができる。このようなマップがなければ、ユーザーは、治療領域のどの部分で如何なるパワーを使用できるか、及び、治療領域の特定の部分が臨床的に十分な治療結果が得られそうもない程度に低すぎる使用可能パワー又はエネルギーを有するか否かについての情報を計画段階において有さない。
一部の実施形態による使用の他の例は、任意のHIFU治療に関し、超音波処理のための適切なエネルギー又はインテンシティを提案する。例えばビーム経路内の組織の違いのためにいくらかの差異は存在するが、通常、同様な組織はアブレーションのために同様なエネルギーを必要とするので、特定の治療位置におけるエネルギー要求は、その近傍の位置におけるエネルギー要求に近いと予測される。より遠い組織は異なる血管系及び他の組織特性も有し、これらはアブレーションのための異なるエネルギー要求をもたらす。焦点とトランスデューサとの間の組織の減衰が焦点領域に到達するエネルギーを減少させるため、通常、奥側に位置する組織は皮膚に近い組織よりもアブレーションのために高いエネルギーを要求する。ソフトウェアは、計画される治療位置に十分近い先の成功した超音波処理に使用されたエネルギー又はインテンシティを、例えばそれらの超音波処理のエネルギーの(近接さによる)加重平均を取ることによって調査し、各使用可能な超音波処理位置において次の超音波処理のための推定「成功」パワーインテンシティ又はエネルギーを決定し、「推奨可能な」パワーの(2D又は3D)マップを構築することができる。これはセルサイズ毎に別々に決定され得る。エネルギー又はパワー要求の深度依存性のみが考慮される場合、代替的に、推奨パワーは関心組織の何らかの所定の減衰alfaを仮定することによって単純に取得され、すなわち、超音波処理パワー又はエネルギーEは法則E = Eref * e 2*alfa*(Depth-Depthref)により、超音波処理深度にのみ依存する。モデルは、基準深度Depthrefにおける基準エネルギーErefを必要とする。これは、例えば、何らかの超音波処理深度における平均(何らかの患者母集団にわたる)必要エネルギーを使用することにより、又は現在の治療内の何らかの(又は複数の)過去の超音波処理を使用することによって得られ得る。上記方法のいずれで取得されるにせよ、この情報は色又は等高線として、推奨パワーの(2D又は3D)マップとして可視化され得る。
本発明の様々な側面は、当該方法を使用するのに十分な速さで温度マップを生成可能なあらゆる画像診断法に適用され得る。一例は、MRガイドHIFU治療法である。本発明の一部の側面は、使用可能な治療領域を可視化するため及び/又はセル依存冷却時間を可視化するため等、より広いコンテキストでも使用され得る。
実施形態は、使用可能な治療領域を可視化するよう動作可能であり得る。これは、先の治療又は任意の他のアクションの履歴を考慮に入れるために、及び、治療又は他のアクションを開始するために設定された特定の条件が満たされるまで更なる治療又はアクションが回避されるべき領域を示すよう、可視化された使用領域を改変するために、治療又は任意の他のアクションのための(2D又は3D)使用可能領域を可視化する任意のモダリティにも適用され得る。
実施形態は、冷却時間、又は、要求される待ち時間の長さが先の治療若しくはアクション履歴に依存する場合、治療若しくはアクションイベント間の他の待ち時間に適用可能であり得る。適切な待ち時間が計画される将来の治療又はアクションイベント毎に計算され、治療又はアクションの順番の最適化を可能にするために、ユーザーに対して可視化又は示され得る。
図面及び上記において本発明を詳細に図示及び記述してきたが、かかる図面及び記載は制限的ではなく図解的及び説明的であると考えられるべきであり、本発明は開示の実施形態に限定されない。
図面、開示、及び添付の特許請求の範囲を分析することにより、当業者は、開示の実施形態の他の変形例を理解し実施できるであろう。請求項において、「含む(又は有する若しくは備える)」等の用語は他の要素又はステップを除外せず、要素は複数を除外しない。単一のプロセッサが複数の請求項に記載される複数のアイテムの機能を果たし得る。単にいくつかの手段が互いに異なる従属請求項内に記載されているからといって、これらの手段の組み合わせを好適に使用することができないとは限らない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又はその一部として供給される光学記憶媒体又はソリッドステート媒体等の適切な媒体上で記憶/供給されてもよいし、また、インターネット又は他の有線若しくは無線テレコミュニケーションシステム等を介して等他の態様で供給されてもよい。請求項内の如何なる参照符号も特許請求の範囲を限定するものと解されるべきではない。
500 医療機器
502 対象
504 対象台
506 高密度焦点式超音波治療システム
508 流体充填チャンバ
510 超音波トランスデューサ
512 機構
514 機械的アクチュエータ/電源
516 超音波の経路
517 近傍領域
518 超音波窓
520 ジェルパッド
522 超音波処理ボリューム
540 コンピュータシステム
542 ハードウェアインターフェイス
544 プロセッサ
546 ユーザーインターフェイス
548 コンピュータストレージ
550 コンピュータメモリ
552 先の超音波処理データ
554 熱特性マップ
556 最大エネルギーマップ
558 超音波処理ボリュームの選択
560 制御モジュール
562 熱音響モデル
570 ユーザーインターフェイス
572 グラフィック表示領域
574 データ表示領域
576 ツール選択領域
578 超音波処理領域
580 第1の超音波処理ボリューム
582 第2の超音波処理ボリューム
584 使用可能な超音波処理領域
586 等高線
588 使用可能な超音波処理領域
600 遠方領域
602 重なっている領域
700 医療機器
702 エネルギーインテンシティマップ
704 超音波ビーム経路
706 超音波処理エネルギー
708 冷却時間マップ
710 超音波処理期間
712 最大パワーマップ
714 超音波処理コマンド
716 エネルギーインテンシティマップ計算モジュール
718 ビーム経路予測モジュール
720 最大パワーマップ計算モジュール
722 超音波処理コマンド生成モジュール
800 医療機器
802 MRIシステム
804 マグネット
806 マグネットのボア
808 撮像ゾーン
810 磁場勾配コイル
812 磁場勾配コイル電源
814 RFコイル
816 トランシーバ
820 パルスシーケンス
822 熱的MRデータ
824 熱特性マップ
826 温度変化レートマップ
828 医用画像
830 画像再構成モジュール
832 熱音響モデル補正モジュール

Claims (15)

  1. 医療機器であって、
    対象のボリュームを超音波処理するための高密度焦点式超音波治療システムと、
    前記医療機器を制御するためのプロセッサと、
    前記プロセッサによる実行のためのマシン実行可能命令を記憶するためのメモリと
    を含み、前記命令の実行により、前記プロセッサは、
    前記高密度焦点式超音波治療システムによる前記対象の超音波処理を表す超音波処理データを受け取り、
    記超音波処理データ及び前記ボリュームの超音波処理領域における熱エネルギーの放散をモデル化した熱音響モデルを用いて前記対象の熱特性マップを構築し、前記熱特性マップは熱特性を表し、前記熱特性マップは空間依存性及び時間依存性であり、
    前記熱音響モデル及び前記熱特性マップを用いて計算される、前記超音波処理の所定時間経過後において前記ボリュームに蓄積させることができる最大エネルギーを表す最大エネルギーマップを決定し、最大エネルギーは時間依存性であり、
    超音波処理期間における前記最大エネルギーマップをディスプレイ上に表示し、
    ユーザーインターフェイスから少なくとも1つの超音波処理をすべきボリュームの選択を受け取る、
    医療機器。
  2. 前記高密度焦点式超音波治療システムは、超音波処理ボリュームに超音波を集束させ得る超音波トランスデューサを含み、
    前記熱音響モデルは、制御可能な超音波トランスデューサ素子のビーム経路モデルを用いて計算された超音波ビーム形状である予測超音波ビーム形状及び前記熱特性マップを用いて前記超音波処理領域内の予測熱特性マップを決定するために使用され、
    前記予測熱特性マップは熱特性を表し、前記予測熱特性マップは空間依存性であ
    請求項1に記載の医療機器。
  3. 前記命令の実行により、前記プロセッサは、
    前記対象に対する前記超音波トランスデューサ素子から与えられる前記ビーム形状及び最大パワー、並びに前記熱音響モデルを用いてエネルギーインテンシティマップを計算させ、
    前記エネルギーインテンシティマップを前記ディスプレイ上に表示する、請求項2に記載の医療機器。
  4. 前記超音波トランスデューサは複数の超音波トランスデューサ素子を含み、
    前記複数の超音波トランスデューサ素子は制御可能であり、前記複数の超音波トランスデューサ素子は、前記超音波トランスデューサと前記ボリュームとの間の超音波ビーム経路を調節するために使用され
    請求項2又は3に記載の医療機器。
  5. 前記医療機器は、前記超音波トランスデューサを動かすための超音波トランスデューサアクチュエータを更に含み、
    前記超音波トランスデューサアクチュエータはトランスデューサ位置を決定し、
    前記命令の実行により、前記プロセッサは更に、前記トランスデューサ位置の調節を計算することによる前記ボリュームについて、超音波トランスデューサモデルを用いることにより、前記予測熱特性マップを決定する、
    請求項2乃至4のいずれか一項に記載の医療機器。
  6. 前記医療機器は、撮像ゾーンから熱的磁気共鳴データを取得するためのMRIシステムを更に含み、
    前記超音波処理領域は前記撮像ゾーン内に含まれ、
    前記命令の実行により、前記プロセッサは更に、
    前記超音波処理領域から前記熱的磁気共鳴データを繰り返し取得し、
    繰り返し取得された前記熱的磁気共鳴データを用いて温度変化レートマップを再構成する、
    請求項2乃至5のいずれか一項に記載の医療機器。
  7. 前記命令の実行により、前記プロセッサは、前記温度変化レートマップを前記ディスプレイ上に表示する、請求項6に記載の医療機器。
  8. 前記命令の実行により、前記プロセッサは、前記温度変化レートマップを用いて前記熱音響モデルを変更する、請求項6又は7に記載の医療機器。
  9. 前記命令の実行により、前記プロセッサは更に、
    予定される超音波処理エネルギーを受け取り、
    前記予定される超音波処理エネルギー、前記熱音響モデル、及び前記熱特性マップを用いて冷却時間マップを決定し、
    前記冷却時間マップを、前記ユーザーインターフェイスから前記少なくとも1つのボリュームの選択が受け取られる前に、前記ディスプレイ上に表示し、
    前記冷却時間マップは、先の超音波処理エネルギーで超音波処理されたボリュームが冷却して前記予定される超音波処理エネルギーで超音波処理可能となるまでに要する時間を空間的に表し、前記冷却時間マップは時間依存性であ
    請求項1乃至8のいずれか一項に記載の医療機器。
  10. 前記命令の実行により、前記プロセッサは更に、前記超音波処理期間を受け、前記最大エネルギーマップを用いて、最大パワーマップを計算する、
    請求項1乃至9のいずれか一項に記載の医療機器。
  11. 前記命令の実行により、前記プロセッサは、
    前記少なくとも1つのボリュームの選択を用いて超音波処理コマンドを生成し、
    前記超音波処理コマンドを用いて、前記少なくとも1つのボリュームを超音波処理するよう前記高密度焦点式超音波治療システムを制御する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の医療機器。
  12. 前記命令の実行により、前記プロセッサは更に、
    前記熱特性マップ、前記超音波処理コマンド、及び前記熱音響モデルを用いて、更新された最大エネルギーマップを決定し、前記更新された最大エネルギーマップは時間依存性であり、
    前記更新された最大エネルギーマップを前記ディスプレイ上に表示し、
    前記ユーザーインターフェイスから新たな少なくとも1つの超音波処理すべきボリュームの選択を受け取る、請求項11に記載の医療機器。
  13. 前記熱特性は、温度、加熱量、及びエネルギー密度のうちのいずれか1つである、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の医療機器。
  14. 医療機器を制御するプロセッサによる実行のためのマシン実行可能命令を含むコンピュータプログラムであって、前記医療機器は、対象のボリュームを超音波処理するための高密度焦点式超音波治療システムを含み、
    前記命令の実行は、前記プロセッサに、
    前記高密度焦点式超音波治療システムによる前記対象の超音波処理を表す超音波処理データを受け取らせ、
    記超音波処理データ及び前記ボリュームの超音波処理領域における熱エネルギーの放散をモデル化した熱音響モデルを用いて前記対象の熱特性マップを構築させ、前記熱特性マップは熱特性を表し、空間依存性及び時間依存性であり、
    前記熱音響モデル及び前記熱特性マップを用いて計算される、前記超音波処理の所定時間経過後において前記対象に蓄積可能な最大エネルギーを表す最大エネルギーマップを決定させ、最大エネルギーは時間依存性であり、
    超音波処理期間における前記最大エネルギーマップをディスプレイ上に表示させ、
    ユーザーインターフェイスから少なくとも1つの超音波処理をすべき対象の選択を受け取らせる、
    コンピュータプログラム。
  15. 医療機器の作動方法であって、前記医療機器は、対象のボリュームを超音波処理するための高密度焦点式超音波治療システムを含み、前記方法は、
    前記高密度焦点式超音波治療システムにより、前記対象の超音波処理を表す超音波処理データを受け取るステップと、
    記超音波処理データ及び前記ボリュームの超音波処理領域における熱エネルギーの放散をモデル化した熱音響モデルを用いて前記対象の熱特性マップを構築するステップであって、前記熱特性マップは熱特性を表し、空間依存性及び時間依存性である、ステップと、
    前記熱音響モデル及び前記熱特性マップを用いて計算される、前記超音波処理の所定時間経過後に蓄積可能な最大エネルギーを表す最大エネルギーマップを決定するステップであって、最大エネルギーは時間依存性である、ステップと、
    超音波処理期間における前記最大エネルギーマップをディスプレイ上に表示するステップと、
    ユーザーインターフェイスから少なくとも1つの超音波処理をすべきボリュームの選択を受け取るステップと
    を含む、
    方法。
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