JP6044823B2 - 透明電極、導電性透明薄膜の製造方法ならびに導電性透明薄膜 - Google Patents

透明電極、導電性透明薄膜の製造方法ならびに導電性透明薄膜 Download PDF

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Description

本発明は、透明電極、導電性透明薄膜の製造方法ならびに導電性透明薄膜に関する。
従来から、カーボンナノチューブ(carbon nanotubes)等からなる導電性透明薄膜を用いた透明電極(transmissive electrode)が提案されている。
多くの透明電極では、透過率80パーセント乃至95パーセントとなるように導電性の薄膜の厚さを設定して、ガラスやプラスチック等の絶縁性の(non-conductive)透明もしくは半透明の(transparent or translucent)基材(substrate)の上に配置することにより、導電性(conductance)と透明性(transmittance)を実現している。
たとえば、特許文献1では、透明基材の上に、直接、カーボンナノチューブの網目状薄膜を形成した透明電極が開示されている。
この技術では、まず、カーボンナノチューブと粒状物とが混合された薄膜が、基材上に形成される。すると、カーボンナノチューブは、粒状物同士の間に位置することになる。この後、粒状物が除去されると、多数の空隙が生じる。この技術では、立体的な空隙を有するカーボンナノチューブの網目状構造が形成され、空隙の比率とカーボンナノチューブの密度によって、透明度が決まる。
一方、非特許文献1では、配線として利用するために、カーボンナノチューブで電子回路のパターンを形成する技術が提案されている。
この技術では、まず、メンブレンフィルタ(membrane filter)上に、回路のパターンを形成するためのマスク(resist)が配置される。そして、マスク・パターンおよびメンブレンフィルタを介して、カーボンナノチューブを含むガスを濾過(filtration)する。すると、カーボンナノチューブによる薄膜が、メンブレンフィルタ上に形成される。この後、マスクを除去してから、薄膜を基材に転写することにより、電子回路が形成される。
一般に、カーボンナノチューブの面密度が低ければ、光の透過率は高くなるが、シート抵抗は高くなる。また、シート抵抗の高低は、カーボンナノチューブの種類にも依存する。
特許文献1に開示されるカーボンナノチューブの網目状薄膜では、光の透過率92パーセント〜95パーセントに対して表面抵抗が、1100Ω/sq.〜6100Ω/sq.である。
特開2008−177165号公報
Chaehyun Lim,Dong-Hun Min and Seung-Beck Lee, Direct patterning of carbon nanotube network devices by selective vacuum filtration, Applied Physics Lettes, Vol.91,No.243117, American Institute of Pysics 2007年
しかしながら、光の透過率を高く維持したまま、シート抵抗を低くすることができる導電性透明薄膜ならびにこれを用いた透明電極が、強く望まれている。
また、強度上の問題がある立体的な空隙を有する網目状構造ではなく、カーボンナノチューブなどの導電体が密に結合している構造を有する透明電極に対する要望も大きい。
本発明は、上記のような課題を解決するもので、透明電極、導電性透明薄膜の製造方法ならびに導電性透明薄膜を提供することを目的とする。
本発明の第1の観点に係る透明電極は、
光を透過させる絶縁性の基材と、
前記基材上に配置される導電層と、
を備え、
前記導電層は、シート抵抗を低下させるための複数の畝を有し、
前記複数の畝のそれぞれの幅は、視覚による認識ができない幅であり、
前記複数の畝における光の反射率は、所定の暗性閾値以下であり、
前記複数の畝における光の透過度は、所定の不透明閾値以下であり、
前記複数の畝の間の透過領域における光の透過度は、所定の透明閾値以上である
ように構成する。
また、本発明の透明電極において、
前記複数の畝は、格子をなす
ように構成することができる。
また、本発明の透明電極において、
前記導電層は、カーボンナノチューブにより形成される
ように構成することができる。
また、本発明の透明電極において、
前記所定の不透明閾値は、50パーセント以下の定数であり、
前記所定の透明閾値は、80パーセント以上の定数であり、
前記複数の畝は、前記導電層の1パーセント乃至20パーセントを覆い、
前記複数の畝のそれぞれの幅は、0.1μm乃至10μmであり、
前記複数の畝におけるカーボンナノチューブの面密度は、10μg/cm2乃至500μg/cm2であり、
前記透過領域におけるカーボンナノチューブの面密度は、0.1μg/cm2乃至2μg/cm2以下である
ように構成することができる。
また、本発明の透明電極において、
前記導電層は、前記基材に接する第1導電体からなる第1層と、前記第1層の上に配置され第2導電体からなる第2層と、を有し、
前記第1層の上に前記第2層が配置されることにより、前記複数の畝が形成される
ように構成することができる。
また、本発明の透明電極において、
前記第1導電体と前記第2導電体とのいずれか一方もしくは双方は、カーボンナノチューブにより形成される
ように構成することができる。
本発明の第2の観点に係る導電性透明薄膜の製造方法は、
支持材の上に、一様に広がる透過導電体からなる透過層を形成する工程と、
前記透過層の上に、パターンを有する不透過導電体からなる不透過層を形成する工程と、
を備え、
前記透過層における光の透過度は、所定の透明閾値以上であり、
前記不透過層における光の透過度は、所定の不透明閾値以下であり、
前記パターンの幅は、視覚による認識ができない幅である
ように構成する。
本発明の第3の観点に係る導電性透明薄膜の製造方法は、
支持材の上に、パターンを有する不透過導電体からなる不透過層を形成する工程と、
前記支持材ならびに前記不透過層の上に、一様に広がる透過導電体からなる透過層を形成する工程と、
を備え、
前記透過層における光の透過度は、所定の透明閾値以上であり、
前記不透過層における光の透過度は、所定の不透明閾値以下であり、
前記パターンの幅は、視覚による認識ができない幅である
ように構成する。
また、本発明の導電性透明薄膜の製造方法において、
前記透過層と、前記不透過層と、のいずれか一方もしくは双方は、カーボンナノチューブにより構成される層である
ように構成することができる。
また、本発明の導電性透明薄膜の製造方法において、
前記透過層と、前記不透過層と、は、それぞれ、カーボンナノチューブにより構成される層であり、
前記パターンの幅は、0.1μm乃至10μmであり、
前記不透過層におけるカーボンナノチューブの面密度は、10μg/cm2乃至500μg/cm2であり、
前記透過層におけるカーボンナノチューブの面密度は、0.1μg/cm2乃至2μg/cm2以下である
ように構成することができる。
また、本発明の導電性透明薄膜の製造方法において、
前記支持材は、フィルタであり、
前記透過層と、前記不透過層と、は、いずれも、カーボンナノチューブのエアロゾル、もしくは、カーボンナノチューブの分散液を、前記フィルタで濾過することにより得られる薄膜であり、
前記透過層と、前記不透過層と、が、前記フィルタ上に形成された後に、前記透過層および前記不透過層を絶縁性で光を透過させる基材上に転写する工程
をさらに備える
ように構成することができる。
また、本発明の導電性透明薄膜の製造方法において、
前記フィルタの表面もしくは裏面には、前記パターンを形成するための有機膜もしくは無機膜のマスクが配置される
ように構成することができる。
また、本発明の導電性透明薄膜の製造方法において、
前記支持材は、光を透過させる絶縁性の基材であり、
カーボンナノチューブのエアロゾル、もしくは、カーボンナノチューブの分散液を、フィルタで濾過することにより、前記透過層用の薄膜と、前記不透過層用の薄膜と、を、形成し、前記透過層用の薄膜と、前記不透過層用の薄膜と、の、一方を、前記基材上に転写した後、前記透過層用の薄膜と、前記不透過層用の薄膜と、の、他方を、前記基材上に転写する工程
をさらに備える
ように構成することができる。
本発明の第4の観点に係る導電性透明薄膜は、
支持材と、
前記支持材上に配置される導電層と、
を備え、
前記導電層は、複数の畝を有し、
前記複数の畝における光の透過度は、所定の不透明閾値以下であり、
前記複数の畝の間の透過領域における光の透過度は、所定の透明閾値以上であり、
前記所定の不透明閾値は、50パーセント以下の定数であり、
前記所定の透明閾値は、80パーセント以上の定数であり、
前記複数の畝は、前記導電層の1パーセント乃至20パーセントを覆う
ように構成する。
本発明によれば、透明電極、導電性透明薄膜の製造方法ならびに導電性透明薄膜を提供することができる。
本実施形態に係る透明電極の平面図である。 本実施形態に係る透明電極の断面図である。 本実施形態の透明電極の実験例と従来技術の透明電極の、シート抵抗と透過度の関係を示すグラフである。 マスクを使用せずにフィルタによる濾過を行う手法を説明する断面図である。 マスクを上流側に配置してフィルタによる濾過を行う手法を説明する断面図である。 マスクを下流側に配置してフィルタによる濾過を行う手法を説明する断面図である。 全体膜とパターン膜を基材に転写する手順の例を説明する断面図である。 全体膜とパターン膜を基材に転写する手順の例を説明する断面図である。 全体膜とパターン膜を基材に転写する手順の例を説明する断面図である。 全体膜とパターン膜を基材に転写する手順の例を説明する断面図である。 全体膜とパターン膜を基材に転写する手順の例を説明する断面図である。 全体膜とパターン膜を基材に転写する手順の例を説明する断面図である。 パターン膜が形成された後も、マスクの開口部以外のところに全体膜として十分な厚さの導電性素材が蓄積されるまで、継続して濾過を行った様子を示す断面図である。 パターン膜が形成された後も、マスクの開口部以外のところに全体膜として十分な厚さの導電性素材が蓄積されるまで、継続して濾過を行った様子を示す断面図である。 親和性を利用した転写の手順の様子を示す断面図である。 親和性を利用した転写の手順の様子を示す断面図である。 親和性を利用した転写の手順の様子を示す断面図である。 親和性を利用した転写の手順の様子を示す断面図である。 親和性を利用した転写の手順の様子を示す断面図である。 親和性を利用した転写の手順の様子を示す断面図である。 親和性を利用した転写の手順の様子を示す断面図である。
以下に本発明の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
図1は、本実施形態に係る透明電極の平面図であり、図2は、本実施形態に係る透明電極の断面図である。以下、本図を参照して説明する。なお、これらの図ならびに以降の図においては、理解を容易にするため、各部の寸法は誇張して図示している。
これらの図に示す透明電極101では、絶縁性の光を透過する基材121の上に、導電性の導電層141が配置されている。
基材121は、透明もしくは半透明の材料で形成される基板、たとえば、ガラス基板、石英基板、プラスチック等により形成されるフレキシブル透明基板等が利用可能である。
フレキシブル透明基板の材料としては、たとえば、アクリル樹脂、オレフィンマレイミド共重合体、ノルボルネン系樹脂、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエステル(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、あるいは、これらの組み合わせ等を採用することができる。
導電層141の材料としては、カーボンナノチューブが典型的であるが、たとえば、金ナノロッド、酸化亜鉛、窒化ガリウム等の繊維、微細ワイヤを利用することも可能である。
以下では、理解を容易にするため、導電層141を断面から見て、第1層151と第2層152の2つに分類して説明する。
第1層151は、基材121に広がるように接する薄膜であり、その厚さは、光を十分に透過させる程度に薄い透過層である。
第2層152は、第1層151の表面に広がるグリッドをなす不透過層であり、グリッドの線部分のみを指す。第2層152の厚さは、光を透過させない程度に厚くても良いが、グリッド線の幅は、人間の目で視認できない程度に狭いことを要する。典型的には、グリッド線の幅は、グリッド線の厚さ(第2層152の厚さ)と同程度か、これより広いように構成すると、第2層152の強度を増すことができる。
また、第2層152は、光の反射率が十分に低く、暗い材質で作られることが望ましい。第2層152のグリッド線の幅が視覚で認識できない幅である場合であっても、グリッド線の幅が可視光波長と同程度以上である場合には、グリッド線が光を反射しうる。したがって、反射率の高い金属などを第2層152の材料として利用すると、透明電極の表面の反射によって、第2層152の存在が知得されてしまうことがありうるからである。
ただし、透明電極101の用途によっては、第2層152の幅や素材における上記の条件を緩和することが可能である。たとえば、太陽電池に透明電極101を適用する場合には、第2層152が人間の視覚で認識できても問題はない。したがって、第2層のグリッド線の幅を広くしたり、素材を金属や金属の化合物にしたりすることも可能である。
一方、導電層141は、上面から見ると、光を透過させないだけの厚みがある畝(ridges)161と、畝に囲まれ、光を十分に透過させるだけの薄さの透過領域(transmissive regions)162を有する。
なお、本実施例では、畝161における光の透過度の上限値を、不透明閾値と呼び、透過領域162における光の透過度の下限値を、透明閾値と呼び、畝161における光の反射率の上限を、暗性閾値と呼ぶこととする。
一般に、不透明閾値は、50パーセント以下の定数であり、透明閾値は、80パーセント以上の定数であり、暗性閾値は、10パーセント以下の定数であるが、用途に応じて適宜、その値が定められる。
さて、畝161は、第2層152に相当し、本図に示す例では、畝が複数の正方形の辺をなすように、相互に交差してグリッドを形成する。グリッドのグリッド線が、畝161に相当する。グリッド線の光の透過度は低く、不透明であるが、グリッドを形成する畝161の幅は十分に細いため、人間の目では知覚できない。
また、透過領域162は、第1層151のうち、第2層152に隠されずに露出しているほぼ正方形の形状の領域である。
透過領域162の厚さは、第1層151の厚さであり、畝161における厚さは、第1層151の厚さと第2層152の厚さの和であるから、第1層151と第2層152とが、同じ素材、同じ面密度で形成されている場合には、畝161における導電体の面密度は、透過領域162における導電体の面密度より高い。
したがって、導電層141全体の導電体の面密度は、第1層151の導電体の面密度よりも、当然に高いことになる。
従来の透明電極は、本実施例において、第1層151のみを導電層141として採用して基材121上に配置したものと考えることができる。
したがって、本実施例に係る透明電極101は、従来の透明電極に比べて、第2層152の分だけ、導電体の面密度が高い、すなわち、シート抵抗が低いことになる。
シート抵抗を低くするためには、第2層152の厚さや幅を大きくしたり、第2層152による導電層141の表面の被覆率を高くすれば良い。しかしながら、第2層152は光の透過度が低いため、あまりに厚さや幅を大きくすると、人間の目に視認できるようになってしまう。また、被覆率を高くし過ぎると、透明電極101全体の光の透過率が低下してしまう。
そこで、本実施例では、第2層152のグリッド線の幅、すなわち、導電層141の畝161の幅と、第2層152の厚さ(第2層152のグリッド線の厚さ)を、人間の目に視認できない幅および厚さとする。たとえば、導電層141の畝161の幅や第2層152の厚さを、10μm以下とする。
人間の視力の解像度では、10μm以下の知得はできない。このため、導電層141を人間が観察しても、第2層152のグリッドや畝161の存在は知得できないと考えられる。特に、カーボンナノチューブは、導電性があり、細線に加工することが可能であるのみならず、光の反射率を数パーセント以下とすることができる極めて暗い素材である。したがって、カーボンナノチューブを第2層152の材料として、採用した場合には、人間が肉眼で第2層152のグリッドや畝161を直接認識することは難しい。
また、第2層152の被覆率は、透明電極101の用途に応じて定めれば良いが、典型的には、1パーセント乃至20パーセント程度である。
以下では、簡単な計算例を説明する。
まず、従来の技術を利用して、光の透過率が90パーセントの透明電極101を、第1層151のみから作成した場合を考える。この場合のカーボンナノチューブの諸元例として、第1層151の厚さを20nmとし、単位面積あたりのカーボンナノチューブ量を10mg/m2 = 1μg/cm2とする。
本発明では、不透明な畝161は、光を透過させないのに対し、透過領域162では、光が透過する。そこで、畝161による導電層141表面の被覆率によって、透明電極101の全体としての透過度が決まる。
たとえば、透過領域162における光の透過率を95パーセントとし、第2層152が第1層151を被覆する被覆率を5パーセントとすれば、両者を差し引いて、上記の従来例と同様に光の透過率90パーセントを達成する透明電極101が作成できる。
さて、光の透過率は、厚さや単位面積あたりのカーボンナノチューブ量に対して指数的に減少すると考えられる。0.952≒0.90であるから、光の透過率が95パーセントとなる厚さは、光の透過率が90パーセントとなる厚さのほぼ半分である。
すなわち、第1層151の厚さを10nm、単位面積あたりのカーボンナノチューブ量を5mg/m2 = 0.5μg/cm2とすれば、光の透過率を95パーセントを実現することができる。
一方、第2層152の被覆率は5パーセントであるから、第2層152のグリッド線の幅および高さ(第2層152の厚さ)が決まれば、グリッドをなす各正方形の一辺の長さ、すなわち、グリッド線の間隔が決まる。
ここで、図2に示すように、グリッドの辺の長手方向に垂直な断面を考える。グリッド線は直交配置されているから、被覆率が5パーセントということは、あるグリッド線と、それに隣り合うグリッド線との周期は、グリッド線幅の40倍(5パーセントの逆数の2倍)である。
たとえば、グリッド線の幅および高さを1μmとすると、グリッド線同士の周期は40μmとなる。また、被覆率は5パーセントであるから、第2層152の平均厚さは、1μm×5/100 = 0.05μm = 50nmである。したがって、第1層151の厚さ10nmと加算すれば、本計算例の導電層141は、厚さ50nm + 10nm = 60nmの一様なカーボンナノチューブ薄膜と同じだけの単位面積あたりのカーボンナノチューブ量30mg/m2 = 3μg/cm2を有することになる。
シート抵抗値は、単位面積あたりのカーボンナノチューブ量に反比例すると近似できる。したがって、本計算例の透明電極101では、従来と同じ光の透過度で、シート抵抗値を3分の1に減少させることができる。
このほか、グリッド線の幅および高さを10μmとすると、グリッド線同士の周期は400μmとなり、第2層152の平均厚さは、10μm×5/100 = 0.5μm = 500nmである。この場合の導電層141は、厚さ500nm + 10nm = 510nmの一様なカーボンナノチューブ薄膜と同じだけの単位面積あたりのカーボンナノチューブ量255mg/m2 = 25μg/cm2を有することになる。本計算例では、シート抵抗値は、従来の25分の1に減少する。
なお、上記の計算例では、グリッド線の長手方向におけるシート抵抗値を計算している。それ以外の断面では、導電層141の断面積は上記計算例よりも大きくなるから、実際の透明電極101のシート抵抗値は、方向によっては、上記よりも低い値を呈することになる。
このように、本実施形態では、導電層141に人間が知得できない幅および厚さの畝161を設けることで、単位面積あたりの導電体の量を増加させ、シート抵抗を劇的に低下させることができる。また、畝161に囲まれた透過領域162を十分な薄さとし、畝161の被覆面積比を適切に調整することで、透明電極101全体として、所望の透明度を実現することができる。
図3は、本実施形態の透明電極101の実験例と、従来技術の透明電極の、シート抵抗と透過度の関係を示すグラフである。以下、本図を参照して説明する。
本図において「film」と標記されているものが、従来技術に係る透明電極の特性を表すプロットであり、「film+grid」と標記されているものが、本実施形態に沿って製造された透明電極101の実験例特性を表すプロットである。グラフの横軸(Sheet Resistance(Ω/sq.))は、シート抵抗であり、縦軸(Transmittance(%))は、光の透過率である。
理論的には、光の透過度Tと、シート抵抗Rsと、の関係は、ある定数Kを用いて、
T = exp〔-1/(K×Rs)〕
のように表現されるが、従来技術filmに係るシート抵抗は、これに準じていることがわかる。
以下、film+gridで表現される透明電極101の諸元ならびに製造の過程について簡単に説明する。
film+gridで表現される透明電極101の導電層141は、カーボンナノチューブにより形成されている。
まず、化学気相成長法により、カーボンナノチューブそのものを成長させた。その後、フィルタによりカーボンナノチューブを濾過してから、ポリエチレンナフタレート製の基材121に転写して、第1層151を形成した。
さらに、フォトレジストを用いてフィルタ上にグリッド状のマスク・パターンを形成してから、カーボンナノチューブを収集してから、第1層151の上に転写して、第2層152を形成した。
そして、2−プロパノール(IPA)による高密度化処理、ならびに、硝酸を用いたドーピングを行ってから、光の透過率の測定、および、四端子測定法によるシート抵抗の評価を行った。
なお、第2層152のグリッド周期は37.5μmm、グリッド線の幅は3μmである。また、第2層152におけるカーボンナノチューブの面密度を種々変更して、測定ならびに評価を行っている。
本図に示すように、本実施形態に係る透明電極101(film+grid)は、従来の透明電極(film)に比べて、同じ透過率であってもシート抵抗が格段に低いことがわかる。
たとえば、光の透過率が80パーセントである場合、従来の透明電極(film)は、シート抵抗が95Ω/sq.であるのに対し、本実施形態に係る透明電極101(film+grid)は、53Ω/sq.に低下していることがわかる。
なお、現在材料として利用されているカーボンナノチューブの繊維の一本一本の長さは、10μm程度である。第2層のグリッド線の幅をこれより細く、たとえば、0.1μm乃至5μm程度にすると、繊維の方向を揃えることができると考えられる。
すなわち、グリッド線の幅を、カーボンナノチューブ単体の長さよりも短くすることで、繊維の方向を揃えることができ、導電率をより一層向上させ、シート抵抗を低減することができる。
このほか、図2に示す断面では、畝161の断面形状は略正方形となっているが、長方形や台形、三角形、半円形など、任意の形状とすることができる。すなわち、畝161は、所望のシート抵抗を実現するのに十分な断面積を有し、強度を維持するため幅と高さ(厚さ)がほぼ同じか、高さ(厚さ)が幅より小さいものであれば、任意の形状とすることができる。
なお、高密度化処理やドーピングを行うと、畝161の断面形状は変化してしまうが、畝161の幅や導電体の面密度はほとんど変化しない。
また、高密度化処理では、光の散乱が抑制され、ドーピングを行うと、価電子帯の電子が減少するため、可視光を含む帯域の光を吸収できなくなる。このため、光の透過率は若干向上する。
すなわち、本実施形態に係る効果を奏するためには、光の透過率が高い透過領域162と、光の透過率が低い畝161とを用意し、所望の透過率やシート抵抗値を達成するように、畝161の被覆率、畝161ならびに透過領域162における導電体の面密度を設計すれば良いのである。
以下では、本実施形態に係る透明電極101の製造方法、および、導電性透明薄膜の製造方法について詳細に説明する。
なお、基材121上に配置された導電層141のみ、あるいは、基材121上に配置される以前の導電層141のみを導電性透明薄膜と呼ぶ。
基材121とは独立に導電性透明薄膜を製造した場合には、当該導電性透明薄膜を基材121の上に配置することによって、透明電極101が作られる。一方、基材121の上で、導電性透明薄膜を製造することも可能である。
以下では、フィルタを用いた濾過により、導電性透明薄膜からなる導電層141が基材121に支持された透明電極101を製造する手法について説明する。
特許文献1に開示されるように、カーボンナノチューブ等からフィルタを用いた濾過により、薄膜を形成する技術は広く知られている。
この技術では、カーボンナノチューブ等の導電性素材を含むエアロゾル(気相分散)やコロイド溶液(液相分散)などの分散媒を用意して、これをメンブレンフィルタで濾過する。すると、フィルタの供給側(上流側)に、導電性素材が集積されて、薄膜が形成される。ここで形成された薄膜を、透明な基材に転写すれば、従来技術に基づく透明電極が製造できる。
しかしながら、本実施形態では、導電層141に、導電性素材の面密度が異なる畝161と透過領域162とを形成する必要がある。そこで、フィルタを用いた濾過の際に、畝161の形状を抜き出すためのマスクを利用する。
この際には、スリットのある金属箔をフィルタに密着させてマスクとする手法と、フィルタ自体に有機膜もしくは無機膜のレジストパターンをあらかじめ付着させておく手法と、がある。
また、フィルタに対してマスクを、分散媒の供給の上流側に配置する手法と、下流側に配置する手法とがある。
たとえば、非特許文献1に開示される技術は、フィルタの上流側にレジストパターンを付着させてマスクとする手法に相当する。
図4Aは、マスクを使用せずにフィルタによる濾過を行う手法を説明する断面図である。図4Bは、マスクを上流側に配置してフィルタによる濾過を行う手法を説明する断面図である。図4Cは、マスクを下流側に配置してフィルタによる濾過を行う手法を説明する断面図である。
これらの図に示すように、カーボンナノチューブ等の導電性素材を含むエアロゾルやコロイド溶液などの分散媒を、フィルタ401の上流から下流へ通過させて、濾過を行う。
図4Aに示すように、マスク402を使用しない場合には、分散媒は、フィルタ401の全面を抜けて上流から下流に通過することとなるので、フィルタ401の上流側全体を覆うように導電性素材が蓄積され、全体膜404が形成される。
図4B、図4Cに示すように、マスク402をフィルタ401の上流側もしくは下流側に設置した場合には、分散媒は、マスク402の開口部403を抜けて上流から下流に通過することとなるので、フィルタ401の開口部403の近傍に、導電性素材が蓄積され、パターン膜405が形成される。したがって、開口部403をグリッド状など、所望の形状に用意しておけば、畝161を形成するためのパターン膜405を作ることができる。
このようにして形成された全体膜404とパターン膜405を、フィルタ401から基材121上に転写すれば、基材121上に導電層141を形成することが可能である。
さて、マスク402が設置されたフィルタ401を製造する手順の一例を以下に説明する。
まず、メンブレンフィルタなどをフィルタ401として用意し、その表面にフッ素をコーティングする。その後、フォトレジストを滴下してスピンコートする。さらに、フォトリソグラフィにより、パターンの露光の後に現像を行うことで、フォトレジストの一部を除去して、フォトレジストの残余をマスク402とする。
本手法では、フッ素コーティングにより疎水性を増して、フォトレジストがメンブレンフィルタに浸透するのを防止し、メンブレンフィルタを回転させることで滴下したフォトレジストをフィルタの全面に一様に広げることとしている。このため、フィルタ401に設置されるマスク402の製造を容易にするとともに、マスク402のパターンを精細にすることができる。
図5A、図5B、図5Cは、全体膜404とパターン膜405を基材121に転写する手順の例を説明する断面図である。以下これらの図を参照して説明する。
第1の手順では、まず、図5Aに示すように、全体膜404を支持するフィルタ401を、基材121に近接・密着させる。すると、図5Bに示すように、基材121に全体膜404が転写される。
ついで、図5Bに示すように、パターン膜405を支持するフィルタ401を、基材121に近接・密着させる。すると、図5Cに示すように、基材121の全体膜404上に、パターン膜405が転写される。
この結果、全体膜404とパターン膜405により、畝161と透過領域162を有する導電層141が基材121上に形成され、透過電極101ができあがることになる。なお、この後、上記のように、高密度化処理やドーピングを施すこととしても良い。以下説明する各手法ならびに実施形態においても同様である。
図5D、図5E、図5Fは、全体膜404とパターン膜405を基材121に転写する手順の例を説明する断面図である。以下これらの図を参照して説明する。
第2の手順では、まず、図5Dに示すように、パターン膜405を支持するフィルタ401を、基材121に近接・密着する。すると、図5Eに示すように、フィルタ401から基材121にパターン膜405が転写される。
ついで、図5Eに示すように、全体膜404を支持するフィルタ401を、基材121に近接・密着する。すると、図5Fに示すように、基材121ならびにパターン膜405を覆うように、全体膜404が転写される。
この結果、図5Fに示すように、全体膜404とパターン膜405により、畝161と透過領域162を有する導電層141が基材121上に形成され、透明電極101ができあがることになる。
なお、これらの説明図においては、マスク402が分散媒の供給の下流側に配置される態様によって、パターン膜405が形成されているもので、パターン膜405と、マスク402と、が、フィルタ401を挟むように配置されている。したがって、転写の際にマスク402を除去する必要はないが、金属箔をマスク402としてフィルタ401に密着させて濾過を行った場合には、転写の前にマスク402を除去しても良い。
一方、マスク402が分散媒の供給の上流側に配置されている場合には、非特許文献1に開示するように、フィルタ401からマスク402を除去した後であれば、転写を行うことができる。
ただし、マスク402から少々溢れる程度にまで導電性素材を集積してパターン膜405を形成した場合や、基材121にマスク402を介してフィルタ401を密着すると、基材121やマスク402の弾性によってパターン膜405が基材121に近接、接触する場合には、パターン膜405がフィルタ401から引き剥がされることがある。この場合には、転写前のマスク402の除去は不要である。
マスク402の素材として適切な有機膜もしくは無機膜を採用し、フィルタ401からマスク402を除去せずにパターン膜405を転写する手法では、マスク402が設置されたフィルタ401を、そのまま再利用することができるので、製造コストの抑制を図ることができる。
このように、全体膜404の転写とパターン膜405の転写の順序は、いずれを先に、いずれを後にしても良い。これらの手順を採用することにより、導電性透明薄膜である導電層141は、支持体である基材121に支持されることになる。
なお、上記の手順ではパターン膜405と全体膜404は、独立して、あるいは、並行して製造することが可能である。したがって、たとえば、パターン膜405としてはカーボンナノチューブを導電性素材とする一方で、他の素材から全体膜404を形成することも可能である。
ここで、フィルタ401から基材121へパターン膜405や全体膜404が転写されるためには、導電性素材とフィルタ401との間の親和性(相互作用)は、導電性素材と基材121との間の親和性(相互作用)よりも弱い必要がある。
導電性素材としてカーボンナノチューブを採用し、基材121としてポリエチレンテレフタレート製のフィルムを採用した場合には、フィルタ401の素材として、ポリテトラフルオロエチレンやポリビリニデンフロライドなどを採用することができる。
一般に、親和性を強くする手法としては、表面エネルギー(表面張力)の大きい材料を利用したり、酸素プラズマ処理によって表面改質したりする等が考えられる。また、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)等のカーボンナノチューブとの相互作用の強い材料を利用することもできる。
一方、親和性を弱くする手法としては、表面エネルギー(表面張力)の低い材料を利用したり、フッ素プラズマ処理を行う等が考えられる。
たとえば、表面エネルギーは、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートでは、44mN/m、ポリエステルでは、36mN/m、ポリプロピレンでは、32mN/m、ポリテトラフルオロエチレンでは、22mN/m、のように、素材によって値が異なる。
そこで、適切に基材121への転写が行われるように、上記の手法により、フィルタ401の上流側や、上流側に設置されるマスク402の表面におけるカーボンナノチューブとの親和性(相互作用)を調整することが望ましい。
上記製造手順では、導電層141をなす導電性透明薄膜は、2度の転写によって基材121により支持された状態で完成する。
以下では、フィルタ401上に導電層141の畝161と透過領域162を形成することにより、フィルタ401に支持される導電性透明薄膜を形成してから、これを基材121に転写することにより、導電性透明薄膜を支持する支持体をフィルタ401から基材121に置き換える手法について説明する。
本手法では、図4B、図4Cに図示するように、マスク402の開口部403に導電性素材が蓄積されて、パターン膜405が形成された後も、マスク402の開口部403以外のところに全体膜404として十分な厚さの導電性素材が蓄積されるまで、さらに継続して濾過を行う。
一般に、マスク402の開口部403では、導電性素材の蓄積は、分散媒の流れに乗って高速に行われるが、開口部403以外では、分散媒内に分散した導電性素材がゆっくり堆積する。したがって、これらの速度を調整することで、パターン膜405と全体膜404を同時に形成することができるのである。
図6A、図6Bは、パターン膜405が形成された後も、マスク402の開口部403以外のところに全体膜404として十分な厚さの導電性素材が蓄積されるまで、継続して濾過を行った様子を示す断面図である。以下、これらの図を参照して説明する。
これらの図に示すように、パターン膜405が形成された後も、継続して濾過を行うと、マスク402の開口部403以外のところにも、導電性素材が集積されていく。すなわち、継続して濾過を行うことにより、全体膜404がパターン膜405を覆うように形成されることになる。
なお、これらの図では明示していないが、全体膜404の厚さは、マスク402の開口部403付近で厚くなり、開口部403から離れると薄くなる傾向にある。しかしながら、パターン膜405が形成された後の上流と下流の圧力差や流量を変化させたり、導電性素材に対する親和力を勘案してフィルタ401の素材を選択することにより、全体層404の厚さの均質性を調整することが可能である。
パターン膜405を覆うように全体膜404が形成されると、パターン膜405と全体膜404の2つから、フィルタ401に支持される導電性透明薄膜601ができあがる。
この後、導電性透明薄膜601を、基材121に転写すれば、上記実施例と同様に、透明電極101ができあがることになる。
この際には、上記実施例と同様に、フィルタ401の上流側や、上流側に設置されるマスク402の表面におけるカーボンナノチューブとの親和性を調整することで、全体層404の厚さや厚さの均質性を所望の範囲としたり、基材121への転写が適切に行えるようにすることができる。
なお、当初はフィルタ401にはマスク402を設置せずに濾過を行って全体膜404を形成し、その後に、フィルタ401の下流側、もしくは、全体膜404の上流側にマスク402を設置してから濾過を行って導電性透明薄膜601を形成する、という手法もある。
この手法では、1つのフィルタ401に対して、マスク402が設置されていない状態と、マスク402が設置された状態と、を、切り替える必要があり、切り替えの際にはフィルタ401に導電性素材が付着しているので、マスク402として金属箔を利用する手法に、より適している。
本実施例では、フィルタ401を用いずに転写を行って基材121上に導電層141を形成する手法について説明する。
本手法では、カーボンナノチューブを、畝161を形成するための素材とし、カーボンナノチューブと他の素材との親和性の差を利用する。図7A、図7B、図7Cは、親和性を利用した転写の手順の様子を示す断面図である。以下、これらの図を参照して説明する。
上記のように、カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブとの親和性が低い(相互作用が弱い)側からカーボンナノチューブとの親和性が高い(相互作用が強い)側へ、転写される。
本実施形態では、カーボンナノチューブの薄膜701aを支持している支持材702a、カーボンナノチューブの薄膜701bを支持している支持材702b、基材121、基材121の表面に畝161のパターン形状を表すように塗布されたバインダー703の、4種の親和性の差を利用して、転写を行う。ここで、カーボンナノチューブとの親和性(相互作用)は、支持材702b、基材121、支持材702a、バインダー703の順に強くなるものとする。
まず、図7Aに示すように、バインダー703が塗布された基材121に、支持材702aを近接・密着させる。すると、薄膜701aのカーボンナノチューブは、バインダー703に対向している箇所では、支持材702aからバインダー703へ転写される(バインダー703の親和性は、支持材702aより強い)。しかし、基材121に対向している領域では、支持材702aからのカーボンナノチューブの転写はされない(支持材702aの親和性は、基材121より強い)。この転写によって、図7Bに示すように、パターン膜405が形成される。
つぎに、図7Bに示すように、畝161が形成された基材121に、支持材702bを近接・密着させる。すると、薄膜701bのカーボンナノチューブは、支持材702bから畝161および基材121に転写される(カーボンナノチューブ同士の親和性および基材121の親和性は、支持材702bより強い)。
この転写によって、図7Cに示すように、パターン膜405を覆う全体膜404が形成される。
なお、バインダー703を塗布するかわりに、基材121の表面を畝161のパターン形状に表面改質することによって、上記のような親和性(相互作用)の強度順を実現しても良い。
上記の例では、基材121の上にバインダー703を配置したが、転写用のカーボンナノチューブを支持するための支持材に、バインダーを、畝161のパターン形状に塗布して、親和性を利用して転写を行う手法もある。図8A、図8B、図8C、図8Dは、親和性を利用した転写の手順の様子を示す断面図である。以下、これらの図を参照して説明する。
本実施形態では、カーボンナノチューブの薄膜801aを支持している支持材802a、支持材802b、支持材802bの表面に畝161のパターン形状に塗布されたバインダー803、カーボンナノチューブの薄膜801cを支持している支持材802c、基材121、の5種の親和性の差を利用して、転写を行う。ここで、カーボンナノチューブとの親和性(相互作用)は、支持材802b、支持材802a、バインダー803、基材121の順に強くなるものとする。また、基材121における親和性は、支持材802cにおける親和性よりも強い。
まず、図8Aに示すように、カーボンナノチューブの薄膜801aを支持している支持材802aを、畝161のパターン形状にバインダー803が塗布された支持材802bに、近接・密着させる。
すると、図8Bに示すように、支持材802bのバインダー803の上面に、パターン膜405が形成される。
ついで、図8Bに示すように、支持材802bを基材121に近接・密着させる。
すると、図8Cに示すように、パターン膜405が、基材121に転写される。
さらに、図8Cに示すように、支持材802cを基材121に近接・密着させる。
すると、図8Dに示すように、全体膜404が、基材121およびパターン膜405を覆うように転写されて、導電層141が形成される。
本手法では、基材121そのものに対する表面加工は不要であり、全体膜404の転写、パターン膜405の転写の順は逆にすることもできる。
以上説明した通り、本実施例では、簡易な転写によって、フィルタ401を利用せずに、基材121上に畝161と透過領域162を有する導電層141を形成して、透明電極101を製造することができる。
上記実施例においては、カーボンナノチューブ等の導電性素材を転写することにより、導電層141を形成していたが、転写を使わずに、導電層141を形成することもできる。
たとえば、全体膜404を、基材121上や、パターン膜405上に設置するには、ラウリル硫酸ナトリウム等の界面活性剤を利用してカーボンナノチューブを水等の溶媒に分散させた後、スプレーで塗布するスプレーコート法を採用することができる。
また、基材121上にカーボンナノチューブを含むペーストを塗布してから、ドクターブレードを用いてペーストが一定の厚さとなるように表面を削った後、ペーストに含まれる溶剤を除去することによって、カーボンナノチューブのみを残存させ、全体膜404を形成することも可能である。
このほか、パターン膜405を基材121上や、全体膜404上に設置するには、カーボンナノチューブを含むインクを用いた印刷の技術を利用することができる。
たとえば、デオキシコール酸ナトリウム等の界面活性剤を利用してカーボンナノチューブを含有するインクを精製し、これをインクジェットプリンタで基材121の表面に畝161のパターン形状を印刷したり、スクリーン印刷を利用することにより、パターン膜405を形成することができる。
なお、これらの手法は、上記の製造方法と適宜組み合わせることも可能である。たとえば、全体膜404の基材121上への形成は、転写により行い、パターン膜405の基材121上への形成は、インクジェット印刷を利用する等である。
なお、上記実施例においては、畝161が正方形のグリッド形状をなすように構成しているが、本発明の態様は、これに限られるものではない。たとえば、正三角形格子、正六角形格子、台形格子、長方形格子、ランダムな格子など、種々の格子形状を採用することもできる。
また、畝161を互いに交差しない平行線とすることも可能である。この場合には、特定の方向にはシート抵抗が低いが、特定の方向にはシート抵抗が高い異方性の透明電極101を実現することができる。
上記実施例においては、透明電極101を液晶ディスプレイ等で利用することを想定して、畝161が人間に視認できないようにすることを想定していた。
しかしながら、たとえば太陽電池用の透明電極を実現する場合には、畝161が人間に視認できても問題はない。このような態様では、畝161の幅の制限は不要である。
したがって、畝161における光の反射率を暗性閾値以下とし、光の透過度を不透明閾値以下とするとともに、透過領域162における光の透過度を透明閾値以上とするだけで十分である。
上記の透明電極101の製造方法における寸法等の諸元を変更することにより、フィルタ401上に、本実施例に係る導電性透明薄膜601を形成したり、基材121上に導電層141を配置した透明電極101を製造することができ、上記のように、諸元の制限を緩くすることができる。
本発明によれば、透明電極、導電性透明薄膜の製造方法ならびに導電性透明薄膜を提供することができる。
101 透明電極
121 基材
141 導電層
151 第1層
152 第2層
161 畝
162 透過領域
401 フィルタ
402 マスク
403 開口部
404 全体膜
405 パターン膜
601 導電性透明薄膜
701 カーボンナノチューブの薄膜
702 支持材
703 バインダー
801 カーボンナノチューブの薄膜
802 支持材
803 バインダー

Claims (6)

  1. カーボンナノチューブのエアロゾル、もしくは、カーボンナノチューブの分散液を、フィルタで濾過することにより、前記フィルタの上に、一様に広がる透過導電体からなる透過層であってカーボンナノチューブにより構成される透過層を形成する工程と、
    カーボンナノチューブのエアロゾル、もしくは、カーボンナノチューブの分散液を、前記フィルタで濾過することにより、前記透過層の上に、パターンを有する不透過導電体からなる不透過層であってカーボンナノチューブにより構成される不透過層を形成する工程と、
    前記透過層と、前記不透過層と、が、前記フィルタの上に形成された後に、前記透過層および前記不透過層を絶縁性で光を透過させる基材上に転写する工程と、
    を備え、
    前記透過層における光の透過度は、所定の透明閾値以上であり、
    前記不透過層における光の透過度は、所定の不透明閾値以下であり、
    前記パターンの幅は、視覚による認識ができない幅である
    ことを特徴とする導電性透明薄膜の製造方法。
  2. カーボンナノチューブのエアロゾル、もしくは、カーボンナノチューブの分散液を、フィルタで濾過することにより、前記フィルタの上に、パターンを有する不透過導電体からなる不透過層であってカーボンナノチューブにより構成される不透過層を形成する工程と、
    カーボンナノチューブのエアロゾル、もしくは、カーボンナノチューブの分散液を、前記フィルタで濾過することにより、前記フィルタならびに前記不透過層の上に、一様に広がる透過導電体からなる透過層であってカーボンナノチューブにより構成される透過層を形成する工程と、
    前記透過層と、前記不透過層と、が、前記フィルタの上に形成された後に、前記透過層および前記不透過層を絶縁性で光を透過させる基材上に転写する工程と、
    を備え、
    前記透過層における光の透過度は、所定の透明閾値以上であり、
    前記不透過層における光の透過度は、所定の不透明閾値以下であり、
    前記パターンの幅は、視覚による認識ができない幅である
    ことを特徴とする導電性透明薄膜の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の導電性透明薄膜の製造方法であって、
    前記フィルタの表面もしくは裏面には、前記パターンを形成するための有機膜もしくは無機膜のマスクが配置される
    ことを特徴とする導電性透明薄膜の製造方法。
  4. カーボンナノチューブのエアロゾル、もしくは、カーボンナノチューブの分散液を、フィルタで濾過することにより、カーボンナノチューブにより構成される一様な薄膜を形成する工程と、
    光を透過させる絶縁性の基材の上に、前記一様な薄膜を転写することにより、一様に広がる透過導電体からなる透過層を形成する工程と、
    カーボンナノチューブのエアロゾル、もしくは、カーボンナノチューブの分散液を、フィルタで濾過することにより、カーボンナノチューブにより構成されるパターンを有する薄膜を形成する工程と、
    前記透過層が形成された前記基材の上に、前記パターンを有する薄膜を転写することにより、前記透過層の上に、パターンを有する不透過導電体からなる不透過層を形成する工程と、
    を備え、
    前記透過層における光の透過度は、所定の透明閾値以上であり、
    前記不透過層における光の透過度は、所定の不透明閾値以下であり、
    前記パターンの幅は、視覚による認識ができない幅である
    ことを特徴とする導電性透明薄膜の製造方法。
  5. カーボンナノチューブのエアロゾル、もしくは、カーボンナノチューブの分散液を、フィルタで濾過することにより、カーボンナノチューブにより構成されるパターンを有する薄膜を形成する工程と、
    光を透過させる絶縁性の基材の上に、前記パターンを有する薄膜を転写することにより、パターンを有する不透過導電体からなる不透過層を形成する工程と、
    カーボンナノチューブのエアロゾル、もしくは、カーボンナノチューブの分散液を、フィルタで濾過することにより、カーボンナノチューブにより構成される一様な薄膜を形成する工程と、
    前記不透過層が形成された前記基材の上に、前記一様な薄膜を転写することにより、前記基材ならびに前記不透過層の上に、一様に広がる透過導電体からなる透過層を形成する工程と、
    を備え、
    前記透過層における光の透過度は、所定の透明閾値以上であり、
    前記不透過層における光の透過度は、所定の不透明閾値以下であり、
    前記パターンの幅は、視覚による認識ができない幅である
    ことを特徴とする導電性透明薄膜の製造方法。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の導電性透明薄膜の製造方法であって、
    前記透過層と、前記不透過層と、は、それぞれ、カーボンナノチューブにより構成される層であり、
    前記パターンの幅は、0.1μm乃至10μmであり、
    前記不透過層におけるカーボンナノチューブの面密度は、10μg/cm乃至500μg/cmであり、
    前記透過層におけるカーボンナノチューブの面密度は、0.1μg/cm乃至2μg/cm以下である
    ことを特徴とする導電性透明薄膜の製造方法。
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