JP6042073B2 - 腹腔鏡診断装置 - Google Patents

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Description

本発明は、センチネルリンパ節の正確な位置を容易且つ迅速に特定することができる腹腔鏡診断装置及びその腹腔鏡診断装置を用いたセンチネルリンパ節の検査方法に関する。
一般に固形癌の手術では、病変部を切除すると共に、その病変部の周囲で癌の転移が疑われる複数のリンパ節を切除することが多い(「リンパ節廓清」と呼ばれる。)。リンパ節廓清は、癌の根治のためには有効である。しかしながら、例えば早期胃癌に限った場合では、リンパ節への転移比率は3〜10%程度であり、転移していない90%以上の患者にとっては無用なリンパ節廓清が行われたことになり、患者の負担が大きいという難点がある。
癌の原発巣からリンパ管に入った癌細胞が最初に到達するリンパ節をセンチネルリンパ節(Sentinel−Lymph−Node)といい、癌がリンパ節に転移している場合には、必ずセンチネルリンパ節に転移があると考えられている。そのため、早期癌の手術では、センチネルリンパ節を見つけ、生検し、迅速に病理検査を行うことにより、リンパ節への転移の有無を判定することができる。センチネルリンパ節に癌が転移していない場合は、腹腔鏡手術による病変部だけの切除で済むか、又は、リンパ節廓清が不要となる。一方、センチネルリンパ節に癌が転移している場合は、転移状況に応じたリンパ節廓清が必要となる。例えばリンパ節転移をきたしている胃癌の場合には、リンパ節廓清を伴う胃1/2以上の切除手術が必要となる。
こうしたリンパ節は臓器の外側にある。そのため、癌の転移があるかどうかは、内視鏡で発見することができず、臓器の外側から観察する必要がある。
近年、蛍光色素を用いて病変組織を検出する蛍光色素法が提案されている。例えば特許文献1には、励起光によって蛍光を発する光感受性物質(シアニン系色素)を蛍光診断薬として予め生体に投与し、その光感受性物質の励起波長帯域にある励起光を照射し、病変部に集積した蛍光診断薬から蛍光を生じさせ、生じた蛍光を受光して、病変部の局在及び浸潤範囲を検出する方法が提案されている。そして、この方法は、センチネルリンパ節にも適用可能であると提案されている。
特許文献2には、そうしたセンチネルリンパ節を生体組織表面から容易に且つ高精度に検出するための検出システムが提案されている。この検出システムは、近赤外蛍光色素であるインドシアニングリーンを予め腫瘍周囲に局注し、所定時間後に開腹手術を行い、観察部に励起光を照射してインドシアニングリーンを発光させるものである。具体的には、同文献の図2に示されているように、観察部に励起光照射ユニットから近赤外励起光を照射する。センチネルリンパ節には、インドシアニングリーンが蓄積されているため、近赤外蛍光が発せられ、その近赤外蛍光は、イメージインテンシファイアで増倍され、蛍光板で可視化像に変換される。観察者は、ハーフミラーを透過した通常像と、ミラー及びハーフミラーを反射した可視化像とを同時に観察する。励起光及び蛍光は、センチネルリンパ節を覆っている脂肪等の生体組織により吸収されにくい近赤外波長の光であるため、生体組織表面からセンチネルリンパ節を検出できるというものである。
開腹手術は患者の負担が大きいため、最近では、例えば特許文献3に示すような腹腔鏡を利用した非開腹手術が行われるようになってきた。この特許文献3に記載の腹腔鏡は、患者に空けられた小さな穴から内部に腹腔鏡を挿入し、患部の画像を取得して診断するものである。同文献で提案されている腹腔鏡は、挿入される所定長さの先端部を有し、この先端部には患部の画像を取得し、取得した患部の画像を伝達する機構が設けられている。画像を伝達する機構は、剛性のある部材で形成された長いシースチューブと、このシースチューブ内に配置され、画像を伝達する手段の外表面を横切って流体を流し、そこから画像の邪魔になる物を除去するための手段とを備えている。
特許文献4には、内視鏡システムを構成するバンドルを腹腔鏡として用いることが提案されている。同文献に記載の内視鏡システムで用いるバンドルは、中心に励起用光ファイバがあり、その周囲に受光用光ファイバが複数配置されている。励起用光ファイバは検査制御装置の励起用光源に接続され、受光用光ファイバは蛍光検出用検出器に接続されている。同文献で提案されている内視鏡システムは、バンドルの先端がすり鉢状に形成され、中心部が凹み、中心から外側までの部位がバンドルの先方に向けて斜めに張り出すように形成されている。この内視鏡システムは、観察範囲にバンドルの先端を突き当てて、受光用光ファイバが受光する蛍光を外部に漏らさないようにして使用される。
WO98/48845号公報 特開2001−299676号公報 特開平6−22902号公報 特開2010−158358号公報
特許文献2で提案されている技術は、励起光を照射する腹腔鏡と、白色照明光を照射する腹腔鏡とが同一の腹腔鏡である。そのため、励起光と白色照明光とを切り替え装置を用いて交互に照射し、蛍光分光測定時に白色照明光の影響を受けない工夫がされていた。同一の腹腔鏡を用いた場合、励起光の照射位置と白色照明光の照射位置とが一致するというメリットがある。しかしながら、励起光と白色照明光とで照射位置や照射範囲を変えることができないので、センチネルリンパ節を探索する場合、腹腔鏡の照射範囲に探索範囲が限定されてしまい、センチネルリンパ節の位置を正確に且つ迅速に探索するには限界があった。
また、特許文献2で提案されている技術では、連続的に蛍光画像を計測できないため、試薬注入からの蛍光強度の時間変化を詳細に計測できず、センチネルリンパ節の最適な検出時間の把握が難しく、検出の効率と精度が適正化できておらず、いずれも改善の必要がある。また、励起光と白色照明光とが同時に照射されるので、白色照明光による蛍光波長帯でのノイズが発生し、蛍光の感度が悪化するという問題があった。また、センチネルリンパ節の検出は、リンパの形状とモニター上での相対輝度とから判定していたが、相対輝度は、蛍光物質(検査試薬)の投薬や注入からの時間に依存するので、適切な時間の画像を選定して判断する必要があり、センチネルリンパ節の位置により測定誤差が大きくなるという懸念もあった。
また、特許文献3で提案されている技術は、腹腔鏡で撮像する際に、腹腔鏡が汚れて画像を撮像することができないことを防止するために、腹腔鏡を洗浄することができるようにしたものであり、センチネルリンパ節の検出手段については提案されていない。
また、特許文献4で提案されている技術は、腹腔鏡の先端を観察範囲に突き当てて使用するため、突き当てられた部位がセンチネルリンパ節の位置であったとしても、その部位が全体のどの辺りに位置するのかを特定することが極めて困難である。また、センチネルリンパ節の検出手段については提案されていない。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、センチネルリンパ節の正確な位置を容易且つ迅速に特定することができる腹腔鏡診断装置及び腹腔鏡診断装置を用いたセンチネルリンパ節の検査方法を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の第1の観点に係る腹腔鏡診断装置は、白色照明光を観察範囲に照射する白色照明用導波路と、前記観察範囲で反射した反射光を受光して撮像部に導光する撮像用導波路とを有する撮像用腹腔鏡と、蛍光物質を励起する励起光を前記観察範囲に照射する励起用導波路と、前記観察範囲に存在する蛍光物質が前記励起光によって発した蛍光を受光し、受光した前記蛍光を蛍光分光測定部に導光する受光用導波路とを有する励起用腹腔鏡と、を独立に備え、
前記撮像用腹腔鏡は、前記白色照明用導波路が白色照明光源に接続され、前記撮像用導波路が受光した前記反射光と前記蛍光とをカラー画像(通常画像とも呼ぶ。)及び蛍光画像として撮像する前記撮像部に接続され、前記励起用腹腔鏡は、前記励起用導波路が励起用光源に接続され、前記受光用導波路が受光した前記蛍光を測定する前記蛍光分光測定部に接続されていることを特徴とする。
この発明によれば、白色照明用導波路及び撮像用導波路を有する撮像用腹腔鏡と、励起用導波路及び受光用導波路を有する励起用腹腔鏡とを独立に備えるので、撮像用腹腔鏡から照射される白色照明光の照射位置及び照射範囲と、励起用腹腔鏡から照射される励起光の照射位置及び照射範囲とを変えることができる。その結果、センチネルリンパ節の探索範囲を任意に変更できるので、撮像用腹腔鏡の観察範囲よりも広い範囲で励起用腹腔鏡による探索が行える。また、白色照明光と励起光とが独立した腹腔鏡から照射されるので、白色照明光の励起光波長帯をカットすることで蛍光波長帯でのノイズの発生を抑制できる。また、撮像用腹腔鏡によって照射した白色照明光の観察範囲に、励起用腹腔鏡によって励起光を照射するので、反射光から得られるカラー画像(通常画像)と蛍光から得られる蛍光画像とを同じ撮像用腹腔鏡で重畳的に取得し、撮像部に送ることができる。その結果、観察範囲のカラー画像と蛍光画像とを重畳して得ることができる。また、励起用腹腔鏡は、励起光を照射するのと同時に蛍光を受光し、受光した蛍光を蛍光分光測定部に送ることができるので、前記した撮像部での画像取得と同時に、蛍光分光測定部での蛍光スペクトル分布の測定を行うことができる。
本発明に係る腹腔鏡診断装置において、前記蛍光分光測定部で測定した蛍光スペクトルを表示するモニターを有するように構成する。
この発明によれば、蛍光分光測定部で測定した蛍光スペクトルを表示するモニターを有するので、蛍光スペクトルをリアルタイムにモニタリングすることができる。その結果、蛍光スペクトルをモニタリングしながらセンチネルリンパ節を探索することができ、センチネルリンパ節の正確な位置を容易且つ迅速に特定することができる。これは、蛍光画像による検出よりも蛍光スペクトルでの検出感度の方が高いためである。さらに、蛍光画像を用いた場合、センチネルリンパ節の検出はその蛍光画像の目視判断で行うが、蛍光スペクトルを用いた場合は、蛍光物質特有のスペクトル波形とその強度の変化とにより検出することができるので、その判断に個人差が出にくく、正確に測定できるからである。
本発明に係る腹腔鏡診断装置は、前記撮像用腹腔鏡において、前記白色照明用導波路が前記撮像用導波路を囲む位置に配置されているように構成する。
この発明によれば、白色照明用導波路から照射された白色照明光の反射光と励起用導波路から照射された励起光が蛍光物質で発光した蛍光とを、その白色照明用導波路に囲まれた撮像用導波路で効率的に受光することができる。また、白照明用導波路と撮像用導波路とを複数の光ファイバでそれぞれ構成することにより、製造しやすいシンプルな構造になり、製造も容易になる。
本発明に係る腹腔鏡診断装置は、前記励起用腹腔鏡において、前記励起導波路が1本の励起用光ファイバであり、前記受光用導波路が前記励起用光ファイバを囲む複数の受光用光ファイバであるように構成する。
この発明によれば、1本の励起用光ファイバから照射された励起光が蛍光物質で発光した蛍光を、その励起用光ファイバを囲むように配置された複数の受光用光ファイバで効率的に受光することができる。また、励起用光ファイバを囲むように複数の受光用光ファイバを配置することにより、製造しやすいシンプルな構造になり、製造も容易になる。
本発明に係る腹腔鏡診断装置において、前記受光用導波路が複数の受光用光ファイバであり、該受光用光ファイバの一部が蛍光スペクトルを測定する前記蛍光分光測定部に接続され、残りの受光用光ファイバが蛍光の強度を測定する蛍光強度測定部に接続され、前記蛍光スペクトル及び前記蛍光強度が前記モニターに表示されるように構成する。
この発明によれば、受光用光ファイバの一部が蛍光スペクトルを測定する蛍光分光測定部に接続され、残りの受光用光ファイバが蛍光の強度を測定する蛍光強度測定部に接続され、その蛍光スペクトルと蛍光強度とがモニターに表示されるので、蛍光スペクトルと蛍光強度とを同時且つリアルタイムにモニタリングすることができる。こうした蛍光スペクトルと、前記したカラー画像及び蛍光画像を重畳した画像結果とを同時且つリアルタイムにモニタリングできるので、観察範囲に存在する蛍光物質の定性評価と定量評価を行うことができ、センチネルリンパ節の位置探索を容易且つ正確に行うことができる。なお、蛍光スペクトル及び蛍光強度を表示するモニターと、カラー画像及び蛍光画像を重畳した画像結果を表示するモニターとが、1台で構成されてもよいし、複数台で構成されてもよい。
上記課題を解決するための本発明の第2の観点に係る腹腔鏡診断装置は、撮像用腹腔鏡と励起用腹腔鏡とを用いて蛍光物質で発光した蛍光を測定してセンチネルリンパ節の位置を探索する腹腔鏡診断装置において、
前記励起用腹腔鏡が、前記蛍光物質を励起する励起光を照射する1本の励起用導波路と、前記励起光の照射により前記蛍光物質が発光する蛍光を蛍光分光測定部に導光する複数の受光用導波路とを有し、
前記蛍光分光測定部で測定した蛍光スペクトルを時系列に重畳して表示するモニターを有することを特徴とする。
この発明によれば、励起用腹腔鏡を、蛍光物質を励起する励起光を照射する1本の励起用導波路と、励起光の照射により蛍光物質が発光する蛍光を蛍光分光測定部に導光する複数の受光用導波路とを有するように構成したので、1本の励起用導波路から照射した励起光で発光した蛍光を複数の受光用光ファイバで効率的に受光することができる。また、その蛍光分光測定部で測定した蛍光スペクトルを表示し、表示された蛍光スペクトルのピーク強度がある閾値以上となる場所を探索するためのモニターを有するので、蛍光スペクトルと蛍光強度とを同時且つリアルタイムにモニタリングすることができる。こうしたモニタリングが、観察範囲に存在する蛍光物質の定性評価と定量評価を同時に行うことができ、センチネルリンパ節の位置探索を容易且つ正確に行うことができる。
本発明に係る腹腔鏡診断装置において、前記複数の受光用導波路の一部が前記蛍光分光測定部に接続され、残りの受光用導波路が蛍光の強度を測定する複数の蛍光強度測定部に接続され、前記モニターが、前記複数の蛍光強度測定部で測定された複数の蛍光強度情報を表示すると共に、蛍光強度の強い方向に前記励起用腹腔鏡及び前記撮像用腹腔鏡を誘導して得られた画像情報を表示するように構成する。
この発明によれば、複数の受光用導波路の一部を蛍光分光測定部に接続して前記した蛍光スペクトルを得ることができ、残りの受光用導波路を蛍光の強度を測定する複数の蛍光強度測定部に接続して前記した蛍光強度を得ることができる。さらに、モニターが、複数の蛍光強度測定部で測定された蛍光強度情報を表示すると共に、蛍光強度の強い方向に撮像用腹腔鏡を誘導する画像情報表示(ナビゲーション表示)をするので、蛍光スペクトルだけでも探索の時間を短縮できるが、加えて蛍光強度測定部での測定結果を表示し、その結果を基にして蛍光物質がより存在していると思われる方向に撮像用腹腔鏡を誘導するので、センチネルリンパ節の位置の探索時間をさらに短縮できる。
上記課題を解決するための本発明に係るセンチネルリンパ節の検査方法は、白色照明光を観察範囲に照射すると共に、該観察範囲で反射した反射光を受光して撮像部に導光する撮像用腹腔鏡と、蛍光物質を励起する励起光を前記観察範囲に照射すると共に、該観察範囲に存在する蛍光物質から発した蛍光を受光して蛍光分光測定部に導光する励起用腹腔鏡と、を独立に備える腹腔鏡診断装置を用いたセンチネルリンパ節の検査方法であって、
前記撮像用腹腔鏡で受光した光信号を画像化して得た画像情報と、前記励起用腹腔鏡で受光した光信号を蛍光解析手段で解析した蛍光解析結果とを、同時且つ時系列に取得し、前記蛍光解析結果の時系列変化を測定し、測定結果をモニターに表示してセンチネルリンパ節の検査情報とすることを特徴とする。
この発明によれば、白色照明用導波路及び撮像用導波路を有する撮像用腹腔鏡と、励起用導波路及び受光用導波路を有する励起用腹腔鏡とを独立に備える腹腔鏡診断装置を用いるので、撮像用腹腔鏡から照射される白色照明光の照射位置及び照射範囲と、励起用腹腔鏡から照射される励起光の照射位置及び照射範囲とを変えることができる。その結果、センチネルリンパ節の探索範囲を任意に変更できるので、撮像用腹腔鏡の観察範囲よりも広い範囲で励起用腹腔鏡による探索が行える。また、白色照明光と励起光とが独立した腹腔鏡から照射されるので、白色照明光の励起光波長帯をカットすることで蛍光波長帯でのノイズの発生を抑制できる。また、撮像用腹腔鏡の観察対象に向けて励起用腹腔鏡から励起光を照射するので、白色照明光の反射光から得られるカラー画像(通常画像)と蛍光物質から発した蛍光から得られる蛍光画像とを同じ撮像用腹腔鏡で重畳的に取得し、撮像部に送ることができる。また、撮像用腹腔鏡で受光した光信号(反射光と蛍光)を画像化して得た画像情報と、励起用腹腔鏡で受光した蛍光を蛍光スペクトルとして画像化した蛍光解析結果とを同時且つ時系列に取得し、その蛍光画像の時系列変化を測定してセンチネルリンパ節の検査情報とすることができるので、観察範囲のカラー画像と蛍光画像とによる重畳画像と、蛍光スペクトルとを同時に取得してモニターに表示することができる。その結果、センチネルリンパ節の位置の探索を正確且つ迅速に行うことができる。
本発明に係るセンチネルリンパ節の検査方法において、センチネルリンパ節を可視化する前記蛍光物質を検査対象範囲に注入又は投与し、前記観察範囲を含む領域に含ませて、該蛍光物質から発した蛍光を受光してセンチネルリンパ節の位置を特定するように構成する。
この発明によれば、センチネルリンパ節を可視化する蛍光物質を検査対象範囲に注入又は投与し、観察範囲を含む領域に含ませて、その蛍光物質から発した蛍光を受光して病変部周辺のセンチネルリンパ節の位置を特定するので、その特定をより正確且つ迅速に行うことができる。その結果、センチネルリンパ節の位置を正確に同定でき、同定したセンチネルリンパ節を摘出して病理検査を行うことで癌転移の有無を診断できる。
本発明に係るセンチネルリンパ節の検査方法において、前記蛍光解析手段が、蛍光分光測定器と蛍光強度測定器であり、前記モニターが、前記蛍光分光測定器で測定された蛍光スペクトルの時系列変化と、前記蛍光強度測定部で測定された蛍光強度の情報とを表示し、前記励起用腹腔鏡及び前記撮像用腹腔鏡を前記蛍光強度の強い方向に誘導するように構成する。
本発明に係る腹腔鏡診断装置及びその腹腔鏡診断装置を用いたセンチネルリンパ節の検査方法によれば、撮像用腹腔鏡から照射される白色照明光の照射位置及び照射範囲と、励起用腹腔鏡から照射される励起光の照射位置及び照射範囲とを変えることができ、センチネルリンパ節の探索範囲を任意に変更できる。撮像用腹腔鏡の観察範囲より広い範囲で励起用腹腔鏡による探索が行えるので、センチネルリンパ節の位置探索を迅速に行うことができる。また、白色照明光と励起光とが独立した腹腔鏡から照射されるので、白色照明光の励起光波長帯をカットすることで蛍光波長帯でのノイズの発生を抑制できる。また、撮像用腹腔鏡によって照射した白色照明光の観察対象に向けて励起用腹腔鏡から励起光を照射するので、白色照明光の反射光から得られるカラー画像と蛍光物質から発した蛍光から得られる蛍光画像とを同じ撮像用腹腔鏡で重畳的に取得し、撮像部に送ることができ、その結果、観察範囲のカラー画像と蛍光画像とを重畳してモニターに表示することができる。また、その画像取得と蛍光分光測定部で取得した蛍光スペクトルとを同時に取得し、モニターに表示することができる。
本発明の一実施形態に係る腹腔鏡診断装置の模式的な構成図である。 撮像用腹腔鏡の一例を示す模式的な断面図である。 励起用腹腔鏡の一例を示す模式的な断面図である。 撮像用腹腔鏡及び各種制御機器の一例を示す模式的な構成図である。 励起用腹腔鏡及び各種制御機器の一例を示す模式的な構成図である。 分光器に受光用導波路を接続するコネクタの正面図である。 観察範囲で得られた画像情報をモニターに表示した例を示す模式的な説明図である。 (A)は励起用腹腔鏡を移動させて蛍光強度の高い場所を探索して得られた蛍光スペクトルの結果を示す模式的なグラフであり、(B)は(A)で得られた結果を基にプロットした蛍光強度の時間との関係を示す模式的なグラフである。 励起用腹腔鏡及び各種制御機器の他の一例を示す模式的な構成図である。 励起用腹腔鏡の他の一例を示す模式的な断面図、蛍光強度測定部に導光する導波路の例を示す断面図、及び蛍光分光測定部に導光する導波路の例を示す断面図である。 励起用腹腔鏡及び各種制御機器のさらに他の一例を示す模式的な構成図である。 励起用腹腔鏡を移動させてセンチネルリンパ節を探索して得られた蛍光強度測定結果と、複数の蛍光強度測定器で同時測定したときの蛍光強度測定結果とを併せて用いた探索方法の一例を示す模式的なグラフである。 励起用腹腔鏡を移動させてセンチネルリンパ節を探索して得られた蛍光強度測定結果と、複数の蛍光強度測定器で同時測定したときの蛍光強度測定結果とを併せて用いた探索方法の他の一例を示す模式的なグラフである。 励起用腹腔鏡を構成する受光用光ファイバの位置関係を説明する模式的な断面図である。
本発明に係る腹腔鏡診断装置及びその腹腔鏡診断装置を用いたセンチネルリンパ節の検査方法について、以下に挙げた実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明の技術的範囲は、以下の記載や図面にのみ限定されるものではない。
[腹腔鏡診断装置]
本発明に係る腹腔鏡診断装置1は、蛍光物質による蛍光を測定してセンチネルリンパ節を探索し、センチネルリンパ節の位置を特定するための装置であり、図1に示すように、撮像用腹腔鏡10と励起用腹腔鏡20とを相互に独立に備えている。撮像用腹腔鏡10は、白色照明光3を観察範囲Pに照射する白色照明用導波路17と、その観察範囲Pで反射した反射光4を受光して撮像部90に導光する撮像用導波路16とを有している。また、励起用腹腔鏡20は、蛍光物質を励起する励起光5を観察範囲Pに照射する励起用導波路26と、観察範囲Pに存在する蛍光物質から発した蛍光6を受光し、受光した蛍光6を蛍光分光測定部80に導光する受光用導波路27とを有している。
さらに、撮像用腹腔鏡10を構成する白色照明用導波路17は、白色照明光源50に接続され、撮像用導波路16は、反射光4をカラー画像(通常画像とも呼ぶ。)及び蛍光画像として撮像する撮像部90に接続されている。また、励起用腹腔鏡20を構成する励起用導波路26は、励起用光源70に接続され、受光用導波路27は、蛍光6を分光測定する蛍光分光測定部80に接続されている。本発明に係る腹腔鏡診断装置1は、こうした構成を備えることにより、センチネルリンパ節の正確な位置を容易且つ迅速に特定することができる。
腹腔鏡診断装置1の全体構成は、図1に示すように、撮像用腹腔鏡10と、撮像用腹腔鏡10の白色照明用導波路17に白色照明光3を入射する白色照明光源50と、撮像用腹腔鏡10で受光した反射光4を取得して画像化する撮像部90とを有している。さらに、励起用腹腔鏡20と、励起用腹腔鏡20の励起用導波路26に励起光5を入射する励起用光源70と、励起用導波路26が受光した蛍光6を分光分析する蛍光分光測定部80とを有している。さらに、各種制御を行うための制御装置100と、観察範囲Pのカラー画像及び蛍光画像を映し出すモニター200と、蛍光分光測定部80で測定した結果を表示するモニター200とを有している。
これらのうち、制御装置100は、カラー画像及び蛍光画像を処理する画像処理部110を備えており、撮像腹腔鏡10によって導光される反射光4及び蛍光6に基づいて各種の画像処理を行っている。また、制御装置100にはタイミング制御部150が設けられており、そのタイミング制御部150は白色照明光源50及び励起用光源70に接続されていて、白色照明光3の照射及び励起光5の照射のタイミングの制御を行っている。
タイミング制御部150は、白色照明光3の反射光4を受光して得たカラー画像と、励起光5により蛍光物質が発した蛍光6を受光して得た蛍光画像とをモニター200に表示させる。モニター200には、タイミング制御部150からの指令によって、カラー画像及び蛍光画像を単独に又は重畳的に表示できるようになっている。モニターは、1台であっても2以上の複数台であってもよい。また、各画像を記録装置(図示しない)に保存し、保存した通常画像及び蛍光画像の一方又は両方をモニター200に表示することもできる。
さらに、制御装置100は、蛍光分光測定部80による分光測定結果をモニター200に表示させる制御を行う測定結果表示制御部160を備えている。蛍光分光測定部80は、励起光5の照射によって励起された蛍光物質が発する蛍光6の蛍光スペクトル測定を行っている。
以下、本発明に係る腹腔鏡診断装置の構成を詳しく説明する。
<撮像用腹腔鏡>
撮像用腹腔鏡10は、図1及び図2に示すように、白色照明光3を導光して該白色照明光3を観察範囲Pに照射する白色照明用導波路17と、その観察範囲Pで反射した反射光4を受光して撮像部90に導光する撮像用導波路16とを有している。この撮像用導波路16は、図1に示すように、患者に形成された挿入口Hからあらかじめ腹部に炭酸ガスを導入して膨らませておき、先端側を内部に向けて挿入して用いられる。
撮像用腹腔鏡10は、図1に示すように、撮像用腹腔鏡10を患者に装着するためのホルダ11と、ホルダ11により外周部が保持された細長い円筒状のシースチューブ12とを備えている。シースチューブ12の内部には、白色照明用導波路17及び撮像用導波路16が挿入されている。
(ホルダ)
ホルダ11は、円筒状又は略円筒状に形成された部材であり、患者の外皮に形成された挿入口Hの内側に挿入させて撮像用腹腔鏡10を挿入口Hに保持させるように作用する。ホルダ11の中央には、軸方向に延びる貫通部が形成されており、シースチューブ12が、その貫通部に挿入されてホルダ11に保持される。
(シースチューブ)
シースチューブ12は、内部に挿入された白色照明用導波路17及び撮像用導波路16を位置固定することができるように、一定の剛性及び強度を有する部材で形成されている。このシースチューブ12に挿入された白色照明用導波路17及び撮像用導波路16の先端は、シースチューブ12の先端に位置合わせされている。また、シースチューブ12の先端には、その先端を密閉する透明封止部13が設けられている。この透明封止部13は、ガラス等の透明な部材で形成されており、白色照明用導波路17の先端から出射される白色照明光3を観察範囲Pに向けて照射できるようになっている。なお、撮像用導波路16の端面と透明封止部13と間には、必要に応じてレンズ15を設けることができ、観察する視野範囲Pや焦点位置を調整することができる。
(白色照明用導波路)
白色照明用導波路17は、白色照明光源50に接続されており、白色照明光源50が発する白色照明光3を導光させ、観察範囲Pを照射する。この白色照明用導波路17は、図2に示すように、撮像用導波路16を囲むように配置された複数の光ファイバ(17,…,17)で構成されている。このように配置することによって、図1に示すように、白色照明用導波路17から照射された白色照明光3の反射光4と、後述する励起用導波路16から照射された励起光5が蛍光物質で発光した蛍光6とを、その白色照明用導波路17に囲まれた撮像用導波路16で効率的に受光することができる。なお、撮像用腹腔鏡10から白色照明光源50までの間は、後述する図4に示すように、白色照明用導波路17を例えば保護層で覆った構造からなる白色照明用ケーブル17aとなっており、白色照明用導波路17を保護すると同時に可とう性を持たせている。
(撮像用導波路)
撮像用導波路16は、撮像部90に接続されており、先端で受光した反射光5と蛍光6とをカラー画像及び蛍光画像として撮像する撮像部90に導光させている。この撮像用導波路16は、図2示すように、複数の光ファイバが束ねられた光ファイババンドルであり、撮像用腹腔鏡10の中央に配置されてその周囲に白色照明用導波路17が設けられている。なお、撮像用腹腔鏡10から撮像部90までの間は、後述する図4に示すように、撮像用導波路16を例えば保護層で覆った構造からなる撮像用ケーブル18となっており、白色照明用導波路17を保護すると同時に可とう性を持たせている。
<励起用腹腔鏡>
励起用腹腔鏡20は、図1及び図3に示すように、蛍光物質を励起する励起光5を観察範囲Pに照射する励起用導波路26と、その観察範囲Pに存在する蛍光物質が励起光5によって発した蛍光6を受光し、受光した蛍光6を蛍光分光測定部80に導光する受光用導波路27とを有している。励起用腹腔鏡20は、励起用導波路26が励起用光源70に接続され、受光用導波路27が受光した蛍光6を測定する蛍光分光測定部80に接続されている。この励起用腹腔鏡20は、既述した撮像用腹腔鏡10と同様、図1に示すように、患者に形成された挿入口Hからあらかじめ腹部に炭酸ガスを導入して膨らませておき、先端側を内部に向けて挿入して用いられる。
励起用腹腔鏡20も、図1に示すように、励起用腹腔鏡20を患者に装着するためのホルダ21と、ホルダ21により外周部が保持された細長い円筒状のシースチューブ22とを備えている。シースチューブ22の内部には、励起用導波路26及び受光用導波路27が挿入されている。
(ホルダ)
ホルダ21は、円筒状又は略円筒状に形成された部材であり、患者の外皮に形成された挿入口Hの内側に挿入させて励起用腹腔鏡20を挿入口Hに保持させるように作用する。ホルダ21の中央には、軸方向に延びる貫通部が形成されており、シースチューブ22が、その貫通部に挿入されてホルダ21に保持される。
(シースチューブ)
シースチューブ22は、内部に挿入された励起用導波路26及び受光用導波路27を位置固定することができるように、一定の剛性及び強度を有する部材で形成されている。このシースチューブ22に挿入された励起用導波路26及び受光用導波路27の端部は、シースチューブ22の先端に位置合わせされている。また、シースチューブ22の先端には、当該シースチューブ22の先端を密閉する透明封止部23が設けられている。この透明封止部23は、ガラス等の透明な部材で形成されており、励起用導波路26の先端から出射される励起光5を観察範囲Pに向けて照射できるようになっている。なお、励起用導波路26の端面と透明封止部23と間には、必要に応じてレンズ(図示しない)を設けてもよく、励起光を照射する範囲を調整することができる。
(励起用導波路)
励起用導波路26は、励起用光源70に接続されており、励起用光源70が発する励起光5を導光させ、観察範囲Pを照射する。この励起用導波路26は、図3に示すように、1本の励起用光ファイバが励起用腹腔鏡20の中央又は略中央に配置され、その周囲に受光用導波路27が設けられている。なお、励起用導波路2は、複数の励起用光ファイバで構成されていてもよい。このように配置することによって、図3に示すように、励起用導波路26から照射された励起光5により蛍光物質が発した蛍光6を、その励起用導波路26の周りに配置された受光用導波路27で効率的に受光することができる。励起用腹腔鏡20と励起用光源70との間は、後述する図5に示すように、励起用導波路26を例えば保護層で覆った構造からなる励起用ケーブル26’となっており、励起用導波路26を保護すると同時に可とう性を持たせている。
(受光用導波路)
受光用導波路27は、蛍光分光測定部80に接続されており、先端で受光した蛍光6を蛍光分光測定部80に導光させている。この受光用導波路27は、図3に示すように、複数の受光用光ファイバで構成されており、励起用導波路26を囲むように配置されている。励起用腹腔鏡20と蛍光分光測定部80との間は、図5に示すように、受光用導波路27を例えば保護層で覆った構造からなる受光用ケーブル27’となっており、受光用導波路27を保護すると同時に可とう性を持たせている。
こうして構成された励起用腹腔鏡20は、例えば、1本の励起用光ファイバ(励起用導波路26)から照射された励起光5により蛍光物質が発光した蛍光6を、その励起用光ファイバ(励起用導波路26)を囲むように配置された複数の受光用光ファイバ(受光用導波路27)で効率的に受光することができる。また、励起用光ファイバ(励起用導波路26)を囲むように複数の受光用光ファイバ(受光用導波路27)を配置することにより、製造しやすいシンプルな構造になり、製造も容易になる。なお、励起光用光ファイバとしては、例えば、外径が0.1〜3mm、好ましくは0.5〜2mmの光ファイバを用いることができる。また、受光用光ファイバとしては、例えば、外径が0.05〜2mm、好ましくは0.1〜1mmの光ファイバを用いることができる。複数の受光用光ファイバの束の外径は、励起用腹腔鏡20のサイズに応じて任意であるが、例えば6〜12mmの範囲とすることができ、好ましくは8〜10mmの範囲とすることが好ましい。
受光用光ファイバに用いる光ファイバは、石英ファイバ、多成分ガラスファイバ及びプラスチック光ファイバ等から選択される光ファイバを使うことができる。比較的太い光ファイバを使う場合は、可とう性を考慮してプラスチック光ファイバを使うのが好ましい。なお、こうした光ファイバは、受光用光ファイバに限らず、撮像用光ファイバ、白色照明用光ファイバ、励起用光ファイバのいずれにも適用される。
この励起用腹腔鏡20には、図5に示すように、シースチューブ22の後端側に、励起用光ファイバ(励起用導波路26)と受光用光ファイバ(受光用導波路27)とが分岐する分岐部29が設けられている。分岐部29から分岐した励起用光ファイバ(励起用導波路26)は、励起用光源70に接続されている。これに対し、分岐した受光用光ファイバ(受光用導波路27)は、この受光用光ファイバ(受光用導波路27)が導光する蛍光を分析する蛍光分光測定部80に接続されている。また、シースチューブ22の先端側と後端側には、図3に示すような複数の受光用光ファイバがばらけないようにするための拘束手段(締結部)が設けられている。
<撮像用腹腔鏡に接続する装置構成>
図4は、撮像用腹腔鏡10及びその撮像用腹腔鏡10に接続する各種の制御機器の装置構成の一例を示す図である。
(撮像用腹腔鏡)
撮像用腹腔鏡10は、図2及び図4に示すように、シースチューブ12の内部に、複数の光ファイバを拘束手段19で束ねてなる撮像用導波路16(以下、ファイババンドル16ともいう。)が挿入されている。シースチューブ12は、内部に挿入されたファイババンドル16を位置固定することができるように、一定の剛性及び強度を有する細長い部材で形成されている。このシースチューブ12に挿入されたファイババンドル16の先端は、シースチューブ12の先端に位置合わせされている。シースチューブ12の先端には、その先端を密閉する透明封止部13が設けられている。この透明封止部13も透明な部材で形成されていて、出射する白色照明光3及び入射する反射光4と蛍光6が透過できるように構成されている。既述したように、撮像用導波路16の端面と透明封止部13との間には必要に応じてレンズ15を設けてもよく、観察する視野範囲Pや焦点位置を任意に調整できる。
ファイババンドル16は、複数の光ファイバを束ねたものである。このファイババンドル16の先端及び後端は、光学的な損失が生じないように研磨されている。ファイババンドル16を構成する各光ファイバは、外径が0.01〜2mmの光ファイバである。ファイババンドル16は、こうした光ファイバが束ねられて、撮像用腹腔鏡10のサイズに応じて外径が5〜12mm程度に形成されている。
ファイババンドル16は、撮像用腹腔鏡10を構成するシースチューブ12の後端から撮像部90までの間のファイババンドル16は、屈曲可能なように樹脂被覆加工またはチューブで保護された撮像用ケーブル18となって撮像部90に接続する。
(撮像部)
撮像部90は、図4に示すように、外殻をなすハウジング91と、ハウジング91の内部に設けられた光分離機構であるダイクロイックミラー92と、ダイクロイックミラー92で分離された反射光4を撮像するCCDカメラ93と、励起光5の照射により蛍光物質より発した蛍光6を撮像するCCDカメラ94とを備えている。光分離機構であるダイクロイックミラー92は、撮像用腹腔鏡10が受光した反射光4及び蛍光6の進行方向に対し斜めに傾けられて配置されている。このダイクロイックミラー92は、反射光4をそのまま透過させ、蛍光6と励起光5の反射光とを選択的に反射させる。
反射光4を撮像するCCDカメラ93は、撮像用腹腔鏡10から延びる撮像用ケーブル18の後端18aとダイクロイックミラー92の中心とを結ぶ直線上の位置で、ダイクロイックミラー92の後方に設けられ、レンズをダイクロイックミラー92に向けてセットされている。一方、蛍光6を撮像するCCDカメラ94は、ダイクロイックミラー92の側方に設けられ、レンズをダイクロイックミラー92に向けてセットされている。この撮像部90には、励起光をカットして蛍光6のみがCCDカメラ94に取り込まれるように、CCDカメラ94とダイクロイックミラー92との間に励起光カットフィルタ95が取り付けられている。CCDカメラ93及びCCDカメラ94は、いずれも画像処理部110に接続されている。
撮像部90では、撮像用腹腔鏡10から反射光4が導光されると、導光された反射光4は、ダイクロイックミラー92を透過してCCDカメラ93に導かれる。CCDカメラ93は、導かれた反射光4を撮像し、撮像した画像は、画像処理部110に供給される。
これに対し、撮像用腹腔鏡10から蛍光6が導光されると、導光された蛍光6は、ダイクロイックミラー92で反射される。蛍光6は、ダイクロイックミラー92に進入する進行方向に対してほぼ直角をなす方向に反射され、CCDカメラ94に導かれる。CCDカメラ94で蛍光6を撮像する際、レンズの前方に設けられた励起光カットフィルタ95で励起光をカットし、CCDカメラ94には蛍光物質からの蛍光6のみが導かれる。CCDカメラ94は、導かれた蛍光6を撮像し、撮像した蛍光画像情報を、画像処理部110の蛍光画像処理部120に供給する。
(白色照明光源)
白色照明光源50は、白色照明光3を発する光源であり、例えば、ハロゲンランプ、水銀ランプ、又は白色LED等の白色光を発するもの、又は、可視光を発するものを使用することができる。図4は、ランプ51と、電極52と、反射ミラー53と、近赤外線カットフィルタ54とで構成された白色照明光源の例である。こうした白色照明光源50は、タイミング制御部150に接続されており、点灯及び消灯のタイミングが制御されている。近赤外線カットフィルタ54は、蛍光物質を励起する近赤外線よりも長い波長をカットするものを使用する。白色照明光源50としては、蛍光の波長帯の光が出ない光源を用いることが好ましい。
(画像処理部)
画像処理部110は、図4に示すように、白色照明光3を照射して得られた反射光4に基づいたカラー画像を得るための通常画像処理部120と、励起光5を照射して得られた蛍光6に基づいた蛍光画像を得るための蛍光画像処理部130とを備えている。さらに、画像処理部110は、処理されたカラー画像と蛍光画像とを重ね合わせる重畳画像処理部140と、白色照明光源50と励起用光源70の点灯及び消灯のドライバのON/OFFのタイミングを制御するタイミング制御部150とを備えている。こうした画像処理部110にはモニター200が接続されており、処理された画像はモニター200に表示される。なお、図示しない記録装置を設け、撮像した画像や画像処理した後の画像を記録装置に記録する。
通常画像処理部120は、撮像部90のハウジング91内に設けられたCCDカメラ93に接続され、CCDカメラ93が撮像した反射光4を取り込んで通常画像処理(カラー画像処理)を行っている。一方、蛍光画像処理部130は、撮像部90のハウジング91内に設けられたCCDカメラ94に接続され、CCDカメラ94が撮像した蛍光6を取り込んで蛍光画像処理を行っている。また、記録装置に記録された画像を用いてモニター200に表示する処理を行うこともできる。
重畳画像処理部140は、通常画像処理部120から発信されたカラー画像の信号と、蛍光画像処理部130から発信された蛍光画像の信号とに基づいて、カラー画像と蛍光画像とを択一的に、又はカラー画像及び蛍光画像を重畳的にモニター200に表示させる処理を行っている。この重畳画像処理部140は、直接、又は通常画像処理部120及び蛍光画像処理部130を介してタイミング制御部150に接続されている。そのため、モニター200に表示させる画像の選択は、白色照明光3及び励起光5の照射のタイミングに関連づけられている。
例えば、観察範囲Pに白色照明光3のみを照射するように白色照明光源50及び励起用光源70が制御されているときは、モニター200には、その白色照明光3の照射によって得られた光(反射光4)を処理したカラー画像が表示される。また、観察範囲Pの所定部位に励起光5のみを照射するように白色照明光源50及び励起用光源70が制御されているときは、モニター200には、蛍光物質から発した蛍光6を処理した蛍光画像が表示される。一方、白色照明光3と励起光5の両方が照射されるように白色照明光源50及び励起用光源70が制御されているときは、モニター200には、カラー画像と蛍光画像とを重畳的に表示する。
センチネルリンパ節の検査において、白色照明光3と励起光5とが交互に照射される場合は、間欠的に一方の光源が照射される場合であってもカラー画像と蛍光画像とを重畳的に表示することで、センチネルリンパ節の検出を容易にしている。
なお、画像の表示は、カラー画像、蛍光画像及びそれらの重畳画像を任意に選択することができる。また、蛍光分光測定部80で蛍光スペクトルを測定する場合、蛍光物質は微量であるため、白色照明光3に基づいた反射光4がノイズとなることから、白色照明光源50をOFFにして蛍光スペクトルを検出することが好ましい。この腹腔鏡診断装置1では、モニター200に表示させる画像を、観察範囲Pに照射する白色照明光3及び励起光5の照射するタイミングに関連づけて自動的に切り換える自動モードを備えている他、医師が手動で切り換える手動モードを備えている。そのため、医師の意思に基づいて、モニター200に表示させる画像の種類を自由に選択できるようになっている。
そうしたモニター200は、カラー画像、蛍光画像及び重畳画像を選択的に表示できる他、蛍光分光測定部80で測定した蛍光スペクトルも選択的に表示できる。その結果、カラー画像、蛍光画像、重畳画像及び蛍光スペクトルをリアルタイムで選択的に表示でき、蛍光スペクトルをモニタリングしながらセンチネルリンパ節を探索することができるので、センチネルリンパ節の正確な位置を容易且つ迅速に特定することができる。
タイミング制御部150は、図4に示すように、白色照明光源50及び励起用光源80に接続されていて、白色照明光源50と励起用光源70の点灯及び消灯のドライバのON/OFFのタイミングを制御する。タイミングの制御は、シャッターを設けて、シャッターを開閉させてタイミングを制御してもよい。例えば、観察範囲Pに白色照明光3のみを照射する場合には、白色照明光源50のみを点灯させ、励起用光源70のドライバをOFFする。また、観察範囲Pの所定部位に励起光5のみを照射する場合には、白色照明光源50を消灯し、励起用光源70のドライバをONさせる。また、観察範囲Pに白色照明光3を照射すると共に、観察範囲Pの所定部位に励起光5を照射する場合には、白色照明光源50を点灯すると共に励起用光源70のドライバをONさせる。
タイミング制御部150は、重畳画像処理部140が接続されており、モニター200に表示させる画像の種類を白色照明光3及び励起光5の照射に関連づけて選択するように制御している。
<励起用腹腔鏡に接続する装置構成>
図5は、励起用腹腔鏡20及びその励起用腹腔鏡20に接続する各種の制御機器の装置構成の一例を示す図である。
(励起用腹腔鏡)
励起用腹腔鏡20は、図3及び図5に示すように、シースチューブ22の内部に、励起用導波路26(以下、励起用光ファイバ26ともいう。)が挿入されている。シースチューブ22は、内部に挿入された励起用光ファイバ26及び受光用導波路27(以下、受光用光ファイバ27ともいう。)を位置固定することができるように、一定の剛性及び強度を有する細長い部材で形成されている。このシースチューブ22に挿入された励起用光ファイバ26及び受光用光ファイバ27の先端は、シースチューブ22の先端に位置合わせされている。シースチューブ22の先端には、その先端を密閉する透明封止部23が設けられている。この透明封止部23も透明な部材で形成されていて、出射する励起光5及び入射する蛍光6が透過できるように構成されている。
こうした励起用光ファイバ26と受光用光ファイバ27の詳しい内容は既述したのでここでは省略する。なお、励起用光ファイバ26と受光用光ファイバ27は分岐部29で分岐され、励起用光ファイバ26は、励起用腹腔鏡20を構成するシースチューブ22の後端から励起用光源70までの間で、屈曲可能なように樹脂被覆加工又はチューブ等で保護されて励起用ケーブル26’となり、励起用光源70に接続する。
一方、受光用光ファイバ27は、コネクタ81を介して蛍光分光測定部80に接続されている。そのコネクタ81には、図6に示すように、細長いスリット状のファイバアレイ85が設けられている。受光用光ファイバ27は、ファイバアレイ85の形状に対応するように配置換えされて、ファイバアレイ85に差し込まれて蛍光分光測定部80に接続されている。また、受光用光ファイバ27は、励起用腹腔鏡20を構成するシースチューブ22の後端から撮像部90までの間で、屈曲可能なように樹脂被覆加工又はチューブ等で保護されて受光用光ファイバ27’となり、蛍光分光測定部80に接続する。
(励起用光源)
励起用光源70は、励起光5を発する光源であり、例えば、レーザ光を発する半導体レーザと、半導体レーザをON/OFFするドライバとを備えている。励起用光源70の励起光としては、発光させる蛍光物質の種類にもよるが、波長が400〜1000nmのレーザ光であることが好ましく、700〜900nmのレーザ光であることがより好ましく、使用する蛍光物質に応じて選択される。この励起用光源70は、タイミング制御部150(図1及び図4を参照)に接続されており、ドライバのON/OFFのタイミングが制御される。ドライバのON/OFFのタイミングは、上記した白色照明光源50の点灯及び消灯と関連づけて制御される。なお、タイミングの制御は、シャッターを設け、シャッターを開閉するタイミングを制御して行ってもよい。この腹腔鏡診断装置1において、白色照明光3及び励起光5を照射するタイミングは、タイミング制御部150が自動的に切り換える自動モードを備えている他、医師が手動で切り換える手動モードも備えており、医師の意思に基づいて照射のタイミングを制御することができるようになっている。
(蛍光分光測定部)
蛍光分光測定部80は、図5に示すように、受光用光ファイバ27で受光した蛍光6を分光分析して検出する装置であり、予め設定された所望の波長の蛍光のみを分光分析して検出する。蛍光分光測定部80は、受光用光ファイバ27で受光した励起光5と蛍光6のうち、励起光5をカットして蛍光6のみを通過させるフィルタ(図示しない)を備えている。蛍光分光測定部80には、受光用光ファイバ27がコネクタ81を介して接続されている。
蛍光分光測定部80での測定結果は、測定結果表示制御部160(図1を参照)を経て、必要に応じてモニター200に表示される。モニター200には、スペクトルを解析して得た波長毎の輝度を数値化して表示してもよいし、数値化された輝度に基づいて波長毎のグラフを表示してもよい。医師は、モニター200に表示された数値やグラフを分析することによって、蛍光物質が発する蛍光6が検出されているか否か、さらにはどの程度の強さで検出されているかを判断する。なお、上述のように、2つ以上のモニターを用いて検出結果や分光結果を表示してもよい。
血管B、リンパ管R及びセンチネルリンパ節Sに結合する蛍光物質を用いることでそれらの部位に蛍光物質が存在する場合、図7に示すように、この蛍光物質からは当該蛍光物質に応じた波長の蛍光6が発光される。この蛍光分光測定部80は、検出した蛍光6の波長が、蛍光物質の波長に予め設定されており、血管B、リンパ管R及びセンチネルリンパ節Sに存在する蛍光物質が発光する蛍光スペクトルを検出する。その結果、蛍光物質から発する蛍光強度が高い場所を正確に迅速に特定することができる。なお、異なる蛍光物質を使うことになった場合は、蛍光分光測定部80に内蔵されたフィルタを交換すればよい。センチネルリンパ節Sの特定は、蛍光スペクトル強度の高い場所(複数ある)に対してカラー画像と蛍光画像を測定して、カラー画像と蛍光画像とを重畳的に表示することで、重畳画像の形状及び病変部Cとの位置関係よりセンチネルリンパ節Sの同定を医師が行う。
蛍光分光測定部80は、制御装置100の測定結果表示制御部160(図1参照)に接続されていて、蛍光分光測定部80が蛍光物質からの蛍光6を検出した際に、測定結果表示制御部160からの指令に基づいて検出結果をモニター200に表示する。この腹腔鏡診断装置1では、蛍光分光測定部80で得られた測定結果を画像と共に同じモニター200で表示してもよいし、2以上のモニターにそれぞれ表示してもよい。
[センチネルリンパ節の検査方法]
こうして構成された腹腔鏡診断装置1を使用したセンチネルリンパ節の検査方法について、図7を参照しつつ説明する。図7(A)は撮像用腹腔鏡で撮像した病変部Cの表面のカラー画像であり、図7(B)は同一の場所の蛍光画像(白黒画像)である。なお、図7(A)の病変部Cがカラー画像であり、図7(B)の血管B、リンパ管R及びセンチネルリンパ節Sは白黒画像でいずれも白く見え、他は黒又は略黒に見える。
図7(C)はカラー画像と蛍光画像を重畳した画像である。図7(A)に示すカラー画像により病変部Cの表面の画像情報が得られ、その画像情報と同時に得られた図7(B)に示す蛍光画像(白黒画像)により血管Bやリンパ管Rの画像情報が得られ、これら両方の画像情報を重ねた図7(C)に示す重畳画像を表示することで、病変部C(カラー画像)、血管B(白黒画像)、リンパ管R(白黒画像)及びセンチネルリンパ節S(白黒画像)の全てが表示される。こうした重畳画像で表示されたセンチネルリンパ節S特有の病変部Cとの位置関係、形状や相対輝度等の情報から、センチネルリンパ節Sを同定することができる。この同定は医師により行われる。
腹腔鏡診断装置1を利用してセンチネルリンパ節Sの位置を特定する場合、血管、リンパ管及びセンチネルリンパ節Sに特異結合する蛍光物質を予め投与しておく。患者に投与した蛍光物質は、励起光5の照射によって蛍光物質特有の蛍光スペクトルを発する。したがって、その蛍光6を検出し、その蛍光スペクトルから蛍光強度の強い位置を感度よく迅速に特定することにより、センチネルリンパ節Sの存在しそうな場所を探索することができる。
腹腔鏡診断装置1では、撮像用腹腔鏡10と励起用腹腔鏡20とを独立に有するため、撮像用腹腔鏡10で撮像する観察範囲Pに対して比較的自由な照射範囲に励起光5を照射できる。励起用腹腔鏡20を観察部から離すことで、撮像用腹腔鏡10の撮像範囲よりも励起光5の照射範囲を広くすることができる。こうすることにより、通常行われている蛍光画像を用いて探索する場合よりも、蛍光強度の強い位置を迅速に探索できる。励起用腹腔鏡20を観察部から離した場合は蛍光強度が相対的に低くなるが、励起用腹腔鏡20の受光用光ファイバ27で受光した蛍光6を蛍光分光測定部80で測定することにより、蛍光画像よりも高感度で測定でき、センチネルリンパ節Sの探索が可能である。
図8(A)は、励起用腹腔鏡20を移動させて蛍光強度の高い場所を探索して得られた蛍光スペクトルの結果を示す模式的なグラフであり、図8(B)は図8(A)で得られた結果を基に蛍光スペクトルのピーク強度をプロットした蛍光強度の時間との関係を示す模式的なグラフである。図8(A)(B)中の符号1〜5は、励起用腹腔鏡20を移動させながら励起光5を照射させたときの位置(時間)を表すものである。蛍光強度は、符号1から符号5に向かって大きくなり、この範囲の測定結果からは、符号5の位置に蛍光強度の高い場所が存在していることが確認できる。なお、符号5の位置は、撮像用腹腔鏡10を移動させて得られた蛍光画像をモニタリングすることで確認できる。
図8(A)に示す蛍光スペクトルを測定することにより、蛍光強度の位置による変化が蛍光スペクトル強度の変化として容易に判別できる。その結果、蛍光画像から判断する従来方式と比較して、センチネルリンパ節Sの探索時間の個人差を少なくできる。また、蛍光強度の高い場所にセンチネルリンパ節Sが存在する確率が高いと思われるので、蛍光分光測定部80で測定した蛍光スペクトルの強度の高い場所を探索することで、センチネルリンパ節Sの特定を正確且つ迅速に行うことができるという格別の効果を奏する。また、励起用腹腔鏡20を観察部に近づけて照射範囲を絞ることで、狭い範囲に蛍光強度の高い位置を絞り込むことができ、センチネルリンパ節Sの探索を迅速に行うことができる。また、センチネルリンパ節Sの特定は、蛍光スペクトル強度の高い場所でのカラー画像と蛍光画像を取得し、カラー画像と蛍光画像とを重畳的に表示することで、重畳画像の形状と病変部との位置関係等より、センチネルリンパ節の同定を医師が行うことができる。この測定を蛍光スペクトル強度の高い場所に対して繰り返し行うことで、センチネルリンパ節を特定することができる。
センチネルリンパ節Sを特定するために、本発明に係る腹腔鏡診断装置1では、白色照明光源50と撮像用腹腔鏡10とを接続するとともに、励起用光源70と励起用腹腔鏡20とを接続し、前記した蛍光強度の高い位置に白色照明光3及び励起光5を照射し、撮像用導波路16で反射光4及び蛍光6を受光し、撮像部90に導光してカラー画像及び蛍光画像を重畳的に取得する。同時に、蛍光強度の高い位置から発した蛍光6を励起用腹腔鏡20で受光し、蛍光分光測定部80に導光して蛍光スペクトルを取得する。こうして、蛍光強度の高い位置での画像情報と蛍光スペクトル情報とを同時に取得することができる。なお、癌が転移しているかの判断は、癌細胞がセンチネルリンパ節Sに存在するかを、センチネルリンパ節Sを採取して病理検査をすることで行うことができる。センチネルリンパ節Sを正確に迅速に特定することは、手術時間の短縮による患者への負担軽減と感染症へのリスク低減のために重要となる。
以上説明したように、本発明に係る腹腔鏡診断装置1及び腹腔鏡診断装置1を用いたセンチネルリンパ節の検査方法は、白色照明用導波路17及び撮像用導波路16を有する撮像用腹腔鏡10と、励起用導波路26及び受光用導波路27を有する励起用腹腔鏡20とを独立に備えるので、撮像用腹腔鏡10から照射される白色照明光3の照射位置P(「照射範囲」も同義。以下同じ。)と、励起用腹腔鏡20から照射される励起光5の照射位置P(「照射範囲」も同義。以下同じ。)とを変えることができる。その結果、センチネルリンパ節Sの探索範囲を照射位置と励起用腹腔鏡20との距離を変えて照射範囲を変えることで比較的自由に変更できる。また、カラー画像と蛍光画像とを同時に測定する場合、白色照明光3に近赤外線カットフィルタ54を挿入して蛍光物質を励起する近赤外線よりも長い波長をカットすることで、蛍光波長帯でのノイズの発生を抑制できる。この結果、撮像用腹腔鏡10によって照射した白色照明光3の観察範囲Pに、励起用腹腔鏡20によって励起光5を照射するので、反射光4から得られるカラー画像と蛍光6から得られる蛍光画像とを同じ撮像用腹腔鏡で同時に取得して重畳画像処理を行うことができる。その結果、リアルタイムで観察範囲Pのカラー画像と蛍光画像とを重畳して得ることができる。また、受光した蛍光6を励起用腹腔鏡20で蛍光分光測定部80に送ることができるので、画像取得と同時に蛍光スペクトルの測定が行える。高感度で測定できる蛍光スペクトルの測定により、センチネルリンパ節Sの存在する可能性の高い蛍光強度の高い場所を正確に且つ迅速に探索でき、結果としてセンチネルリンパ節Sの位置を容易に特定することができる。また、励起光5の照射位置により、相対強度の異なる蛍光スペクトルをモニターで観察することで、蛍光強度の高い場所を探索でき、センチネルリンパ節Sの位置探索時間の個人差を低減できる。
[他の形態に係る腹腔鏡診断装置]
(蛍光強度測定部を有する例)
図9は、励起用腹腔鏡及び各種制御機器の他の一例を示す模式的な構成図である。本発明に係る腹腔鏡診断装置では、励起用腹腔鏡20の他の形態として、複数の受光用光ファイバ27からなる受光用導波路を特徴的な構成とすることができる。詳しくは、図9に示すように、複数の受光用光ファイバ27の一部の受光用光ファイバ27を、蛍光スペクトルを測定する蛍光分光測定部80に接続し、残りの受光用光ファイバ27を、蛍光6の強度を測定する蛍光強度測定部82に接続する。そして、蛍光分光測定部80で測定された蛍光スペクトルと、蛍光強度測定部82で測定された蛍光強度とを、モニター200に表示している。
蛍光強度測定部82は、蛍光6の強度を測定する装置であって、受光用光ファイバ27のうち、コネクタ81で分けられた一部の受光用光ファイバ27が接続される装置である。この蛍光強度測定部82は、蛍光波長帯を選択する手段と、光電子倍増管等の微弱な光を検出する手段とで構成されている。こうした構成を採用することにより、蛍光6の分光測定と同時に、高感度に蛍光強度の測定が可能となる。
受光用光ファイバ27は、図9に示すように、コネクタ81を介して蛍光分光測定部80と蛍光強度測定部82とに分かれて接続されている。そのコネクタ81は、図6及び図10(B)に示すように、蛍光分光測定部80に接続する受光用光ファイバ27aで短冊状のファイバアレイ85Aを構成したコネクタ81Aと、蛍光強度測定部82に接続する受光用光ファイバ27bで円形状のファイバアレイ85Bを構成したコネクタ81Bとで構成されていることが好ましい。
短冊状のコネクタ81Aは、細長いスリットに受光用光ファイバ27aを差し込んで並べた形態であり、こうして構成されたファイバアレイ85Aが蛍光分光測定部80に接続されることにより、分光感度が高まり、スリット幅を狭めることで波長分解能を高めた蛍光分光測定を行うことができる。一方、円形状のコネクタ81Bは、円筒内に受光用光ファイバ27bを差し込んで並べた形態であり、こうして構成されたファイバアレイ85Bが蛍光強度測定部82に接続される。蛍光強度測定部82は、蛍光波長を選択する透過式の波長フィルタを有し、選択された蛍光波長を高感度で測定するための光電子倍増管等を有している。
なお、図10(A)に示すように、励起用腹腔鏡20の断面内での複数の受光用光ファイバ27は、中心にある1本の励起用光ファイバ26を囲むように設けられている。複数の受光用光ファイバ27の配置は特に限定されないが、蛍光分光測定部80に接続する受光用光ファイバ27aの配置と、蛍光強度測定部82に接続する受光用光ファイバ27bの配置とを区別することが好ましい。例えば、図10(A)に示すように、蛍光分光測定部80に接続する受光用光ファイバ27aは励起用光ファイバ26の周りに配置し、蛍光強度測定部82に接続する受光用光ファイバ27bは、その受光用光ファイバ27aのさらに周りに配置することが好ましい。
こうした励起用腹腔鏡20を用いれば、励起用腹腔鏡20から励起光5を照射して蛍光物質が発した蛍光6の強度を蛍光強度測定部82で測定できる。そのため、励起用腹腔鏡20の場所を移動することにより、その移動した場所での蛍光強度を測定することができる。測定された蛍光強度と、励起用腹腔鏡20の移動場所とを特定することにより、蛍光強度の高い場所の探索に役立ち、結果としてセンチネルリンパ節の位置を特定の迅速化に寄与できる。
なお、図8(A)で説明した蛍光スペクトルによる蛍光強度の高い場所の探索と同様に、蛍光強度測定部82による蛍光強度測定結果を用いることができる。蛍光強度測定結果は、図8(B)にも示したように、横軸が時間で、縦軸が蛍光の相対強度となる時系列データが蛍光スペクトルよりも高速で測定できる。その結果、高速で蛍光強度の変化(蛍光強度が大きくなる方向)を検出でき、探索時間を短縮できる。こうした蛍光強度の測定結果と蛍光スペクトルとを併用することにより、励起用腹腔鏡20と撮像用腹腔鏡10とを移動しながら行うセンチネルリンパ節の探索を、蛍光物質による蛍光であることを蛍光スペクトルで確認しながら行うことができるので、蛍光物質からの蛍光強度が強い場所を確実に探索できる。
具体的な探索手順としては、先ず、微量の試薬(例えば、インドシアニングリーン:ICG)を、術中に、胃内視鏡にて粘膜下層に注入するか又は胃壁外より腹腔鏡を用いて粘膜下層に注入する。試薬を注入した後、蛍光物質がリンパ管又はセンチネルリンパ節に取り込まれるのを待って、励起用腹腔鏡20で探索を開始する。病変部も蛍光を発するので部位の確認は容易である。その付近に撮像用腹腔鏡10及び励起用腹腔鏡20を挿入する。最初は、撮像用腹腔鏡10でカラー画像を取得し、励起用腹腔鏡20の挿入位置と励起光5の照射位置を確認する。励起用腹腔鏡20から励起光5を照射し、蛍光物質が発した蛍光6を受光し、受光用光ファイバ27で蛍光分光測定部80に導光して、ICG等の試薬特有の蛍光スペクトルを測定するとともに、蛍光強度測定部82でその強度も測定する。
測定された蛍光スペクトルは、蛍光物質の濃度に比例して相対的に大きくなる。蛍光スペクトルの測定は、蛍光画像に比べて高感度に測定できる。図8(A)に示すように、蛍光物質の濃度が高いほど蛍光スペクトルのピーク(蛍光強度に対応する)も大きくなり、蛍光強度の高い位置に近づくことになる。したがって、蛍光強度が高い場所、すなわちセンチネルリンパ節が存在する確率の高い場所を簡単に探索及び判断することができる。そして、その場所に撮像用腹腔鏡10を移動させてカラー画像と蛍光画像とを撮影し、重畳した画像によってセンチネルリンパ節であるか否かを判定する。この探索を繰り返して、センチネルリンパ節の位置を探索し、特定することができる。
こうした腹腔鏡診断装置1を用いたセンチネルリンパ節の検査方法によって、蛍光スペクトルと蛍光強度とを同時且つリアルタイムにモニタリングすることができるので、蛍光スペクトルとカラー画像及び蛍光画像を重畳した画像結果とを同時且つリアルタイムにモニタリングできる。その結果、観察範囲Pに存在するセンチネルリンパ節Sの探索と検査を容易且つ正確に行うことができる。この検査方法によって、腹腔鏡によるセンチネルリンパ節の位置を特定でき、迅速病理検査等で治療方針を決めることができる。
(複数の蛍光強度測定部を有する例)
図11は、励起用腹腔鏡及び各種制御機器のさらに他の一例を示す模式的な構成図である。この装置は、蛍光強度測定部82を複数(図11の例では4つ)有する点で、蛍光強度測定部82を1つ有する図9の装置とは異なっている。
すなわち、複数の受光用光ファイバ27の一部の受光用光ファイバ27aを、蛍光スペクトルを測定する蛍光分光測定部80に接続し、残りの受光用光ファイバ27bを、蛍光6の強度を測定する複数の蛍光強度測定部82に接続している。このとき、残りの受光用光ファイバ27bは、それぞれ、励起光の照射位置に対応させるように分けられている。分けられた受光用光ファイバ27bは、図10(B)と同様のファイバアレイ85Bをそれぞれ構成する。各ファイバアレイ85Bは、図11示すように、複数の蛍光強度測定部82A〜82Dにそれぞれ接続されている。
ここで、「励起光の照射位置に対応させるように分けられている」とは、例えば図14の断面図で説明すれば、平面視した断面を4分割し、平面視で上方の受光用光ファイバ27bを束ねて1つのファイバアレイ85Bとして蛍光強度測定部82Aに接続し、平面視で左方の受光用光ファイバ27bを束ねて1つのファイバアレイ85Bとして蛍光強度測定部82Bに接続し、平面視で下方の受光用光ファイバ27bを束ねて1つのファイバアレイ85Bとして蛍光強度測定部82Cに接続し、平面視で右方の受光用光ファイバ27bを束ねて1つのファイバアレイ85Bとして蛍光強度測定部82Dに接続する。上、下、左、右に分割する位置は、励起用腹腔鏡で対応する位置が分かるように表示がされており、励起用腹腔鏡を患者に挿入する際に、位置合わせを行う。
こうした構成により、蛍光分光測定と同時に、高感度な蛍光強度測定が可能となることに加えて、励起光5を照射した位置の上、下、左、右のいずれの方向に蛍光強度が強い部分があるかが分かる。そして、4つの蛍光強度測定器82A〜82Dのうち、出力が大きく且つ出力の時系列変化が大きくなる方向に励起用腹腔鏡20を移動させることにより、センチネルリンパ節の探索がより一層容易となる。
なお、モニター200については既述したとおりであるが、複数の蛍光強度測定部82A〜82Dで測定された複数の蛍光強度情報を表示すると共に、蛍光強度の強い方向に撮像用腹腔鏡10を誘導して得られた画像情報を表示する。
図12及び図13は、励起用腹腔鏡20を移動させてセンチネルリンパ節を探索して得られた蛍光強度測定結果と、複数の蛍光強度測定器82A〜82Dで同時測定したときの蛍光強度測定結果とを併せて用いた探索方法の例を示す模式的なグラフである。上記したように、1つの蛍光強度測定部82を有する装置(図8(A)を参照)で得られる図8(A)に示す蛍光スペクトルの測定結果だけでも探索の時間が短縮できるが、さらに、4つの蛍光強度測定部82A〜82Dを有する装置(図11を参照)で得られる測定結果を棒グラフ(図12(B)を参照)で表示し、移動する方向を表示と矢印で表示して探索方向をナビゲーションすることで、さらにセンチネルリンパ節の探索時間を短縮できる。
1又は2以上のモニター200には、図12(A)(B)の測定結果や図13(A)(B)に示す測定結果を表示することが好ましい。
モニター200に表示する蛍光スペクトルは、現在のスペクトルを符号5とし、過去の蛍光スペクトルを符号4〜符号1の4つ表示することで、変化のトレンドをわかりやすく表示することができる。また、サンプリング時間は任意に設定できるが、例えば0.1秒から5秒と0.1秒間隔で調整することができる。同時に、蛍光強度測定部82A〜82Dの信号を棒グラフにして同じ画面に表示することが好ましい。蛍光スペクトルではどの方向に移動するのが良いか判断がし難い場合がある、蛍光強度が高い方向を表示すると共に視覚的に分かるように矢印(→)の表示も併用することで、視認性が増し、より短時間で探索が行える。
なお、本発明に係る腹腔鏡診断装置1では、蛍光強度の結果にしきい値を設定して探索をより効率的に行うことができる。すなわち、蛍光強度の結果にしきい値を設定しておくことにより、蛍光スペクトルのピーク強度がある閾値以上となる場所を探索する制御を行う。その制御は、蛍光スペクトルのピーク強度がある閾値以上となる結果をモニターでリアルタイムに表示し、その値がしきい値以上になるか否かの判断を制御によって行う。こうすることにより、蛍光スペクトルと蛍光強度とを同時且つリアルタイムにモニタリングすることができる。
以上、蛍光強度測定部82を有するように構成することにより、複数の受光用光ファイバ27a(受光用導波路)の一部を蛍光分光測定部80に接続して蛍光スペクトルを得ることができ、残りの受光用光ファイバ27b(受光用導波路)を蛍光強度を測定する1つ又は複数の蛍光強度測定部82に接続して蛍光強度を得ることができる。さらに、モニター200が、1つ又は複数の蛍光強度測定部82で測定された蛍光強度情報を表示すると共に、蛍光強度の強い方向に撮像用腹腔鏡10を誘導して得られた画像情報を表示するので、蛍光スペクトルだけでも探索の時間を短縮できるが、加えて蛍光強度測定部82での測定結果を表示し、その結果を基にして蛍光物質がより存在していると思われる方向に撮像用腹腔鏡10を誘導するので、蛍光強度の強い位置の探索をさらに迅速に行える。結果としてセンチネルリンパ節の探索時間をさらに短縮できる。
[センチネルリンパ節の検査方法]
本発明に係るセンチネルリンパ節の検査方法は、上記した本発明に係る腹腔鏡診断装置1を用いて行う検査方法である。すなわち、白色照明光3を観察範囲Pに照射すると共に、その観察範囲Pで反射した反射光4を受光して撮像部90に導光する撮像用腹腔鏡10と、蛍光物質を励起する励起光5を観察範囲Pに照射すると共に、その観察範囲Pに存在する蛍光物質から発した蛍光6を受光して蛍光分光測定部80に導光する励起用腹腔鏡20とを独立に備える腹腔鏡診断装置1を用いた検査方法である。そして、撮像用腹腔鏡10で受光した光信号(反射光4と蛍光6)を画像化して得た画像情報と、励起用腹腔鏡20で受光した光信号(蛍光6)を蛍光分光測定部80で測定した蛍光スペクトルとを、同時且つ時系列に取得し、蛍光スペクトルの時系列変化を測定してセンチネルリンパ節の検査情報としている。
こうした検査方法によれば、白色照明用導波路及び撮像用導波路を有する撮像用腹腔鏡10と、励起用導波路及び受光用導波路を有する励起用腹腔鏡20とを独立に備える腹腔鏡診断装置1を用いるので、撮像用腹腔鏡10から照射される白色照明光3の照射位置Pと照射範囲、励起用腹腔鏡20から照射される励起光5の照射位置Pと照射範囲を変えることができる。その結果、センチネルリンパ節の探索範囲を任意に変更できる。また、白色照明光3の励起光波長帯をカットすることによる蛍光波長帯でのノイズの発生を抑制できる。また、撮像用腹腔鏡10から照射した白色照明光3の観察範囲Pに、励起用腹腔鏡20から励起光5を照射するので、白色照明光3の反射光4から得られるカラー画像と蛍光物質から発した蛍光6から得られる蛍光画像とを同じ撮像用腹腔鏡10で取得できるので同じ場所でのそれぞれの画像を取得できる。また、撮像用腹腔鏡10で受光した光信号(反射光4と蛍光6)を画像化して得た画像情報と、励起用腹腔鏡20で受光した光信号(蛍光6)を画像化した蛍光スペクトル結果とを同時且つ時系列に取得し、その蛍光画像の時系列変化を測定することで、センチネルリンパ節の存在確率が高いと思われる蛍光強度の高い場所を容易に且つ迅速に探索が行える。その場所のカラー画像と蛍光画像を取得し重畳して表示することで、重畳画像の形状及び病変部との位置関係などよりセンチネルリンパ節の同定を行う。その結果、センチネルリンパ節の探索を正確且つ迅速に行うことができる。
なお、センチネルリンパ節Sの検査を前に、センチネルリンパ節Sと結合して励起光5により近赤外光の蛍光6を発する蛍光物質を注入や投与して観察範囲Pを含む領域に供給し、センチネルリンパ節に供給した蛍光物質が反応するようにする。
こうした本発明に係るセンチネルリンパ節の検査方法は、上記した腹腔鏡診断装置1の説明中でも随時説明したが、以下の(1)〜(7)の手順に基づいて具体的に説明する。
(1:病変部を探索する準備段階)
最初に、撮像用腹腔鏡10を用いて、撮像用腹腔鏡10から白色照明光3を照射して観察位置Pをカラー画像で確認し、探索開始場所を決める。
(2:センチネルリンパ節を探索する準備段階)
励起用腹腔鏡20から照射した励起光5が撮像用腹腔鏡10で観察できるようにするために、撮像用腹腔鏡10でカラー画像を得た状態で励起用腹腔鏡20を移動させる。撮像されたカラー画像で励起用腹腔鏡20の励起光5の位置を確認する。このとき、励起光5がカラー画像で確認できるカメラを用いるか、励起光5に可視光を挿入して観察できるようにする。
(3:センチネルリンパ節の検査準備段階)
上記準備の後、蛍光物質、例えばインドシアニングリーン(ICG)をリンパ節がありそうな場所に注入する。
(4:探索段階)
励起用腹腔鏡20の励起光5を照射させつつ蛍光分光測定部80で取得した蛍光スペクトルをモニターで観測しつつ励起用腹腔鏡20の照射位置を移動させる。蛍光スペクトルによって、投与した蛍光物質とリンパ節と結合した場合に対応するパターン(以下、特定のパターンという)が得られる場所を探索する。最初は励起光5の強度を上げて照射し、蛍光6の検出感度を上げて探索することが好ましい。また、励起用腹腔鏡20と探索場所との距離を離して広い場所に励起光5を照射して探索領域を広くすると、探索効率が向上できるのでさらに好ましい。そして、蛍光分光測定部80により測定された蛍光スペクトルと蛍光強度測定部82で測定された蛍光強度とを並べてモニターに表示し、励起用腹腔鏡20を移動させて蛍光強度が高まる方向を探索する。蛍光強度の表示と同時に励起用腹腔鏡を誘導する画像情報表示(ナビゲーション表示、図12及び図13では右上の表示と矢印表示)をすることで、探索時間を短縮できる。
(5:センチネルリンパ節の特定段階)
特定のパターンの蛍光スペクトルを検出した後、蛍光スペクトルの強度が最も強くなる位置に励起用腹腔鏡20を移動させ、固定する。次に、その位置に撮像用腹腔鏡10を移動させる。撮像用腹腔鏡10は、蛍光画像を連続的に撮像するモードとしておく。蛍光画像の中で蛍光強度が高い場所や、蛍光強度が一番高い部分が蛍光画面の中心又は略中心になる場所に撮像用腹腔鏡10を固定する。
(6:センチネルリンパ節の画像取得段階)
撮像用腹腔鏡10から白色照明光3を照射して通常画像を取得する。通常画像で表面状態を観察する。また、励起用腹腔鏡20で励起光5を照射して蛍光スペクトルの測定と同時に撮像用腹腔鏡10で蛍光画像を取得し、この蛍光画像と先に求めた通常画像(カラー画像)とで重畳画像を形成する(図7(C)を参照)。
(7:センチネルリンパ節の採取)
手術用の腹腔鏡でセンチネルリンパ節と思われる部分を採取する。採取にあたり先の重畳画像を用いる。また。採取ができた否かの確認も重畳画像で確認する(採取できた場合は切除後に蛍光がなくなる)。この後は、病理検査を行い、センチネルリンパ節に癌が転移しているかを検査して、手術の方針を決める。
以上説明したように、蛍光スペクトルの強度の高い部分を探すことで、センチネルリンパ節Sを迅速に探索できる。蛍光スペクトルの検出では、蛍光強度の高い位置を、撮像用腹腔鏡により取得する蛍光画像よりも高感度で検出できるので、微量の蛍光物質の投与でも、また、蛍光物質の投与から時間があまり経っていない段階から蛍光物質が含まれる場所を高感度に探索できる。また、蛍光スペクトルのピークの変化を表示することで、蛍光強度の高い位置を容易に判断できる。従来の蛍光画像の判断では、目視による画面の輝度変化で判断するために個人差が生じ易く、検出感度も低かった。本発明に係るセンチネルリンパ節の検査方法では、励起光5を広げて照射し、複数の受光用光ファイバ27で高感度に蛍光スペクトルを検出できるので、撮像用腹腔よりも広い範囲で蛍光強度の探索が行え、探索時間を短縮できると共に蛍光強度の高い位置を正確に検出できる。
さらに、本発明では、蛍光スペクトルの感度が高いこと、応答速度が速いこと、励起光5の照射範囲Pを広くできること等により、蛍光強度の強い位置を短時間で探索できるので、結果としてセンチネルリンパ節の探索の時間が短縮できる。
また、蛍光スペクトルに加えて励起光5に対応した特定の蛍光6の強度を測定する蛍光強度測定部82を1又は2以上用いて蛍光強度を検出することにより、例えば図12及び図13に示すように、蛍光スペクトルと同時に照射位置に対応する蛍光強度上、下、左、右の4方向の位置情報を得ることができる。蛍光強度のこうした位置情報によって、蛍光強度測定部82からの出力を活用でき、センチネルリンパ節の探す方向をナビゲーションでき、探索時間をさらに短縮できる。
また、蛍光強度の表示を視覚的な棒グラフ等として表示すると共に、移動する方向を表示することや矢印で移動方向を表示するナビゲーションを行うことで、探索時間を大幅に短縮できる。
また、撮像用腹腔鏡10で受光した光信号を画像化して得た画像と、励起用腹腔鏡20で励起光5を照射して発生する蛍光6と励起光5の一部を受光し蛍光信号を取り出して得た蛍光画像とを、同時且つ時系列に取得し、蛍光画像の時系列変化を測定してセンチネルリンパ節の検査をすることで、蛍光物質を注入直後から探索が行える。
1 腹腔鏡診断装置
3 白色照明光
4 反射光
5 励起光
6 蛍光
10 撮像用腹腔鏡
11 ホルダ
12 シースチューブ
13 透明封止部
15 レンズ
16 撮像用導波路(撮像用光ファイババンドル)
17 白色照明用導波路(白色照明用光ファイバ)
17a 白色照明用ケーブル
18 撮像用ケーブル
19 拘束手段
20,20A 励起用腹腔鏡
21 ホルダ
22 シースチューブ
23 透明封止部
24 絞り用レンズ(照射範囲絞り部)
25 ファイババンドル
26 励起用導波路(励起用光ファイバ)
26’ 励起用ケーブル
27,27a,27b 受光用導波路(受光用光ファイバ)
27’ 受光用ケーブル
28 拘束手段(バンドホルダ)
29 分岐部
50 白色照明光源
51 ランプ
52 電極
53 反射ミラー
54 近赤外線カットフィルタ
70 励起用光源
80 蛍光分光測定部(蛍光分光測定器)
81,81A,81B コネクタ
82,82A,82B,82C,82D 蛍光強度測定部
84 蛍光分光測定部導光用の受光用導波路
85,85A,85B ファイバアレイ
90 撮像部
91 ハウジング
92 ダイクロイックミラー(光分離機構)
93,94 CCDカメラ
95 励起光カットフィルタ
100 制御装置
110 画像処理部
120 通常画像処理部
130 蛍光画像処理部
140 重畳画像処理部
150 タイミング制御部
160 測定結果表示制御部
200,201 モニター
P 観察範囲
H 挿入口
S センチネルリンパ節
C 病変部
B 血管
R リンパ管

Claims (6)

  1. 白色照明光を観察範囲に照射する白色照明用導波路と、前記観察範囲で反射した反射光を受光して撮像部に導光する撮像用導波路とを有する撮像用腹腔鏡と、蛍光物質を励起する励起光を前記観察範囲に照射する励起用導波路と、前記観察範囲に存在する蛍光物質が前記励起光によって発した蛍光を受光し、受光した前記蛍光を蛍光分光測定部に導光する受光用導波路とを有する励起用腹腔鏡と、を独立に備え、
    前記撮像用腹腔鏡は、前記白色照明用導波路が白色照明光源に接続され、前記撮像用導波路が受光した前記反射光と前記蛍光とをカラー画像及び蛍光画像として撮像する前記撮像部に接続され、前記励起用腹腔鏡は、前記励起用導波路が励起用光源に接続され、前記受光用導波路が受光した前記蛍光を測定する前記蛍光分光測定部に接続されていることを特徴とする腹腔鏡診断装置。
  2. 前記蛍光分光測定部で測定した蛍光スペクトルを表示するモニターを有する、請求項1に記載の腹腔鏡診断装置。
  3. 前記撮像用腹腔鏡において、前記白色照明用導波路が前記撮像用導波路を囲む位置に配置されている、請求項1又は2に記載の腹腔鏡診断装置。
  4. 前記励起用腹腔鏡において、前記励起用導波路が1本の励起用光ファイバであり、前記受光用導波路が前記励起用光ファイバを囲む複数の受光用光ファイバである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の腹腔鏡診断装置。
  5. 前記受光用導波路が複数の受光用光ファイバであり、該受光用光ファイバの一部が蛍光スペクトルを測定する前記蛍光分光測定部に接続され、残りの受光用光ファイバが蛍光の強度を測定する蛍光強度測定部に接続され、前記蛍光スペクトル及び前記蛍光強度を同一の画面に表示するモニターを有する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の腹腔鏡診断装置。
  6. 撮像用腹腔鏡と励起用腹腔鏡とを用いて蛍光物質で発光した蛍光を測定してセンチネルリンパ節を探索する腹腔鏡診断装置において、
    前記励起用腹腔鏡が、前記蛍光物質を励起する励起光を照射する1本の励起用導波路と、前記励起光の照射により前記蛍光物質が発光する蛍光を蛍光分光測定部に導光する複数の受光用導波路とを有し、
    前記複数の受光用導波路の一部が前記蛍光分光測定部に接続され、残りの受光用導波路が蛍光の強度を測定する複数の蛍光強度測定部に接続され、
    前記蛍光強度測定部で測定された複数の蛍光強度情報と、前記励起用腹腔鏡を前記蛍光強度の強い方向に誘導する画像情報表示とを同時に表示すると共に、蛍光強度の強い方向に前記励起用腹腔鏡及び前記撮像用腹腔鏡を誘導して得られた画像情報を表示するモニターを有することを特徴とする腹腔鏡診断装置。

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