JP6040639B2 - 圧延機の制御システムおよび制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、圧延機の制御システムおよび制御方法に関する。
圧延機による圧下量は、圧延機のワークロール間の開度および圧延荷重により基本的に定まる。したがって、圧延機による圧下量の制御において、ワークロール間の開度および圧延荷重を適正に制御することが非常に重要である。具体的には、ワークロール間の開度の制御は、ワークロールの位置を調整する油圧シリンダ内に供給される油量を制御することによって行われる。なお、油圧シリンダ内に供給される油量は、油圧シリンダ内における油柱の高さをもって規定されるので、この量を油柱高さと云い、ワークロール間の開度の制御における制御量として用いられる。また、圧延荷重の制御は、ワークロールを圧下する油圧シリンダ内に供給される油圧を制御することによって行われる。
ところで、被圧延材の端部の圧延に対する圧延機の制御は大きな困難が伴う。なぜならば、ワークロールの間に被圧延材が噛み込まれる際の衝撃により、油圧シリンダ内の油柱高さが変動してしまうからである。そこで、前工程の圧延における圧延荷重およびロール開度を実測し、この実測値と次工程の圧延における噛み込み速度から次工程の圧延における噛み込み時の圧延荷重の変動を推定して、油圧シリンダ内の油柱高さを補正する方法が実施されている(特許文献1,2参照)。
特開昭63−72416号公報 特開平06−304635号公報
しかしながら、ワークロールの間に被圧延材が噛み込まれる際の油圧シリンダ内の油柱高さの変動は、噛み込み時の圧延荷重の変動値のみには依存せず、圧延荷重の変化率にも依存する。すなわち、被圧延材の端部の形状が異なれば、圧延荷重の変動値が同じでも、その変化率が異なり、油圧シリンダ内の油柱高さの変動に影響が生じる。従来技術では、被圧延材が噛み込まれる端部の形状を考慮していないので、油圧シリンダ内の油柱高さの変動の補正に誤差が生じ、圧延精度に誤差が発生するという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、被圧延材の端部の形状に起因する圧延荷重の変化率により発生する圧延精度の誤差を抑制することができる圧延機の制御システムおよび制御方法を提供することにある。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の圧延機の制御システムは、前圧延工程の圧延機の出側に設けられ、次圧延工程における被圧延材の先端の形状を測定する形状測定手段と、前記形状測定手段による測定に基づいて前記被圧延材の先端の位置から圧延の目標幅に至る最初の位置までの長さとしてのクロップ長を取得するクロップ長取得手段と、前記前圧延工程におけるワークロール間の開度および圧延荷重の実績を取得して、前記次圧延工程における圧延荷重を予測する圧延荷重予測手段と、前記次圧延工程における前記被圧延材の噛み込み速度を取得する設定速度取得手段と、前記クロップ長と前記次圧延工程における圧延荷重および前記被圧延材の噛み込み速度とに基づいて、前記次圧延工程の圧延機におけるワークロール間の開度にかかる補正量を計算する補正量計算手段と、前記補正量に基づいて前記次圧延工程の圧延機におけるワークロール間の開度を補正する開度調節手段とを備えることを特徴とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の圧延機の制御方法は、少なくとも前圧延工程と次圧延工程とを有する圧延工程により被圧延材を圧延する圧延機の制御方法であって、前記前圧延工程において圧延された前記被圧延材の先端の位置から圧延の目標幅に至る最初の位置までの長さとしてのクロップ長を取得するクロップ長取得ステップと、前記前圧延工程におけるワークロール間の開度および圧延荷重の実績を取得して、前記次圧延工程における圧延荷重を予測する圧延荷重予測ステップと、前記次圧延工程における前記被圧延材の噛み込み速度を取得する設定速度取得ステップと、前記クロップ長と前記次圧延工程における圧延荷重および前記被圧延材の噛み込み速度とに基づいて、前記次圧延工程の圧延機におけるワークロール間の開度にかかる補正量を計算する補正量計算ステップと、前記補正量に基づいて前記次圧延工程の圧延機におけるワークロール間の開度を補正する開度調節ステップとを含むことを特徴とする。
本発明にかかる圧延機の制御システムおよび制御方法は、被圧延材の端部の形状に起因する圧延荷重の変化率により発生する圧延精度の誤差を抑制することができるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施形態にかかる圧延機の構成例を示す断面図である。 図2は、被圧延材の端部形状の代表例を示す平面図である。 図3は、本発明の第1実施形態にかかる圧延機の制御システムの概略構成を示す模式図である。 図4は、本発明の第2実施形態にかかる圧延機の制御システムを適用するリバース式圧延工程を示す模式図である。 図5は、本発明の第2実施形態にかかる圧延機の制御システムの概略構成を示す模式図である。 図6は、本発明の実施形態にかかる開度調節機構の詳細構成を示す模式図である。 図7は、本発明の実施形態にかかる圧延機の制御方法を示すフローチャートである。 図8は、従来技術と本発明の実施形態とを比較した被圧延材における製品化可能領域の平面図である。
以下に、本発明の実施形態にかかる圧延機の制御システムおよび制御方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
〔圧延機〕
図1は、本発明の実施形態にかかる圧延機の構成例を示す断面図である。図1に示されるように、本発明の実施形態にかかる圧延機1は、被圧延材Mのパスラインを挟んで上下に1対のワークロール2a,2bを備える構造である。上側のワークロール2aは、上方に配置されたバックアップロール3aによって下方に圧延荷重が印加される構造を有している。一方、下側のワークロール2bは、下方に配置されたバックアップロール3bによって上方に圧延荷重が印加される構造を有している。このように1対のワークロール2a,2bは、被圧延材Mをそれぞれ上下から圧延荷重を印加する構成となっている。
ワークロール2a,2bは、それぞれワークロールチョック4a,4bを介して、圧延機1のハウジング5に固定されている。ワークロールチョック4a,4bは、ワークロール2a,2bの軸を回転可能に保持する機構であり、ワークロール2a,2bの軸受けとその周辺機構を一体化したユニットである。ワークロールチョック4a,4bと圧延機1のハウジング5とは、シリンダ6を介して結合されており、ワークロール2a,2bが上下に駆動し得るよう構成されている。
同様に、バックアップロール3a,3bは、それぞれバックアップロールチョック7a,7bを介して、圧延機1のハウジング5に固定されている。バックアップロールチョック7a,7bは、バックアップロール3a,3bの軸を回転可能に保持する機構であり、バックアップロール3a,3bの軸受けとその周辺機構を一体化したユニットである。
上側のバックアップロールチョック7aと圧延機1のハウジング5とは、圧下シリンダ8を介して結合されており、圧下シリンダ8は、圧延機1が被圧延材Mを圧延する圧延荷重を調整する機能を担っている。一方、下側のバックアップロールチョック7bと圧延機1のハウジング5とは、開度調整機構9を介して結合されており、開度調整機構9は、ワークロール2bの上下方向の位置を調整することにより、ワークロール2a,2b間の開度が調整される構成である。
〔端部形状〕
次に、圧延機1により圧延される被圧延材Mの端部形状について説明する。
図2は、圧延機1により圧延される被圧延材Mの端部形状の代表例を示す平面図である。図2には、被圧延材Mの端部形状の代表例として、(a)凹型の端部形状と(b)凸型の端部形状とが記載されている。
図2に示されるように、被圧延材Mの端部形状は矩形にはならない。したがって、被圧延材Mの端部は、製品として出荷できず、適切な長さに剪断される。この剪断される被圧延材Mの端部の長さは、一般にクロップ長と呼ばれている。具体的には以下のように規定される。
各被圧延材には製品幅Wが定められており、被圧延材Mは、この製品幅Wに余裕量を加えた目標幅Wに至るまで圧延される。また、通常の圧延工程は、複数回の圧延工程からなり、各圧延工程において目標幅Wが設定されている。被圧延材Mの先端の位置Pから被圧延材Mの幅が目標幅Wに至る最初の位置をPとすると、位置Pから位置Pまでの長さがクロップ長Cである。
被圧延材Mのクロップ長の測定については、以下のように実施することが考えられる。1つの方法は、被圧延材Mの幅方向に在荷センサを配列し、被圧延材Mを長手方向に搬送しながら走査することにより、先端の位置Pおよび目標幅Wに至る最初の位置Pを検出する方法である。もう1つの方法は、被圧延材Mの端部の2次元画像を撮像し、撮像された被圧延材Mの端部形状から先端の位置Pおよび目標幅Wに至る最初の位置Pを検出する方法である。
〔制御システム〕
図3は、本発明の第1実施形態にかかる圧延機の制御システムの概略構成を示す模式図である。図3に示されるように、本発明の第1実施形態にかかる圧延機の制御システムは、第1の圧延機1aと、第2の圧延機1bと、制御部10とを備える。また、第1の圧延機1aおよび第2の圧延機1bの出側には、形状測定器11が設けられ、形状測定器11が第1の圧延機1aおよび第2の圧延機1bにより圧延された被圧延材Mの端部の形状を測定する。
第1の圧延機1aおよび第2の圧延機1bは、同一の圧延ラインLに設けられている。そして、第1の圧延機1aにより圧延された被圧延材Mは、次に第2の圧延機1bにより圧延される。
第1の圧延機1aおよび第2の圧延機1bは、荷重計13と開度計14と開度調節機構9とを備える。荷重計13は、それぞれ第1の圧延機1aおよび第2の圧延機1bに設けられたロードセルにより構成され、ワークロール2a,2bが被圧延材Mに印加する圧延荷重の実績を測定する。開度計14は、それぞれ開度調節機構9における油圧シリンダの油柱高さを測定することにより、ワークロール2a,2b間の開度を測定する。開度調節機構9は、後に詳述するように、ワークロール2a,2b間の開度を調節するための油圧シリンダの油柱高さを制御するための機構である。
制御部10は、第1の圧延機1aによる圧延工程の実績に基づいて、第2の圧延機1bによる圧延工程におけるワークロール2a,2b間の開度をフィードフォワード制御する制御手段である。
制御部10は、クロップ長取得手段10aと、圧延荷重予測手段10bと、設定速度取得手段10cと、補正量計算手段10dとを備える。これら制御部10における各手段は、ハードウェアとして構成することも、ソフトウェアとして構成することもできる。例えば、制御部10は、PLC(プログラマブルロジックコントローラー)により構成され得る。
クロップ長取得手段10aは、第1の圧延機1aの出側に設けられた形状測定器11により測定された被圧延材Mの先端部のクロップ長を取得する。図2を参照しながら説明したように、クロップ長Cとは、被圧延材Mの先端の位置Pから目標幅Wに至る最初の位置Pまでの長さである。クロップ長取得手段10aは、形状測定器11により測定された被圧延材Mの先端部の形状から、このクロップ長Cを算出する。
圧延荷重予測手段10bは、第1の圧延機1aのワークロール2a,2b間の開度および圧延荷重の実績を取得して、第2の圧延機1bにおける圧延荷重を予測する手段である。すなわち、圧延荷重予測手段10bは、第1の圧延機1aの荷重計13および開度計14からの出力に基づいて、第2の圧延機1bにおける圧延荷重を予測する。第1の圧延機1aのワークロール2a,2b間の開度および圧延荷重の実績が解ると、第1の圧延機1aにより圧延された被圧延材Mの板厚hは、以下の式(1)により計算される。
h = d+P/K ・・・(1)
ここで、dはワークロール2a,2b間の開度であり、Pは被圧延材Mに印加される圧延荷重であり、Kは第1の圧延機1aのミル剛性である。同様の関係式が第2の圧延機1bにおいても成り立つ。なお、一般に第1の圧延機1aのミル剛性Kと第2の圧延機1bのミル剛性K’とは異なる値であるが、装置に固有の既知定数である。したがって、圧延荷重予測手段10bは、上記式(1)に基づいて、第1の圧延機1aのワークロール2a,2b間の開度dおよび圧延荷重Pの実績から第2の圧延機1bにおける圧延荷重を予測することができる。
設定速度取得手段10cは、第2の圧延機1bに被圧延材Mが噛み込まれる際の被圧延材Mの速度を取得する手段である。第2の圧延機1bに被圧延材Mが噛み込まれる際の被圧延材Mの速度は、オペレーターによるマニュアル設定または計算機による自動設定により定まる。したがって、設定速度取得手段10cは、マニュアル設定または自動設定された設定値を設定入力手段12から受信し、第2の圧延機1bに被圧延材Mが噛み込まれる際の被圧延材Mの速度を取得する。
補正量計算手段10dは、クロップ長取得手段10aの出力と、圧延荷重予測手段10bの出力と、設定速度取得手段10cの出力とに基づいて、第2の圧延機1bの開度調節機構9に対する補正量を計算する。すなわち、補正量計算手段10dは、第1の圧延機1aにより圧延された被圧延材Mの先端部のクロップ長と、第2の圧延機1bにおける圧延荷重の予測値と、第2の圧延機1bに被圧延材Mが噛み込まれる際の被圧延材Mの速度とに基づいて、第2の圧延機1bの開度調節機構9に対する補正量を計算する。
補正量計算手段10dが行う補正量ΔSの計算は、例えば以下の式(2)が用いられる。
ΔS=α×F×V/C ・・・(2)
ここで、αは、実験により定められる定数であり、開度調節機構9の油圧シリンダ内の油柱のバネ定数、被圧延材Mの幅、および被圧延材Mの塑性定数などに依存する定数である。また、Fは、第2の圧延機1bにおける圧延荷重の予測値であり、Vは、第2の圧延機1bに被圧延材Mが噛み込まれる際の被圧延材Mの速度であり、Cは、第1の圧延機1aにより圧延された被圧延材Mの先端部のクロップ長である。
また、補正量計算手段10dが行う補正量ΔSの計算は、例えば以下の式(3)が用いられる。
ΔS=α×F×f(ΔA/Δt) ・・・(3)
ここで、ΔA/Δtは、被圧延材Mが第2の圧延機1bのワークロール2a,2bの間に噛み込まれる幅の時間変化量であり、fは、被圧延材Mの端部形状に基づいて選択される関数である。つまり、図2に例示したように、被圧延材Mの端部形状は異なるので、これらの形状に基づいて最適な関数fが選択される。すなわち、上記式(2)では、被圧延材Mの端部における圧延荷重は、先端の噛み込み時からクロップ長の終点の圧延まで直線的に変化すると仮定しているが、上記式(3)では、この圧延荷重の変化が一般化されている。
上記のように計算された補正量ΔSは、第2の圧延機1bの開度調節機構9に送信され、第2の圧延機1bによる被圧延材Mの圧延工程におけるワークロール2a,2b間の開度調節の補正に用いられる。
図4は、本発明の第2実施形態にかかる圧延機の制御システムを適用するリバース式圧延工程を示す模式図であり、図5は、本発明の第2実施形態にかかる圧延機の制御システムの概略構成を示す模式図である。
圧延機1による被圧延材Mの圧延方法として、リバース式圧延工程と云われる方法がある。図4に示されるように、リバース式圧延工程では、被圧延材Mが同一の圧延機1を複数回往復して通板されることにより、被圧延材Mが所望の厚さにまで圧延される。図4には、被圧延材Mが圧延機1に通板され被圧延材M’となり、さらに被圧延材M’が反対方向から圧延機1に通板される様子が図示されている。
図4に示されるように、前圧延工程における被圧延材Mの先端および尾端は、それぞれ次圧延工程における被圧延材Mの尾端および先端となる。したがって、圧延機1の出側に設けられる形状測定器11は、被圧延材Mの尾端の形状を測定することにより、次圧延工程における被圧延材Mの先端の形状を測定することになる。また、リバース式圧延工程では、圧延機1の出側と入側の役割も反転するので、形状測定器11が圧延機1の出側および入側のそれぞれに設けられている。
図5に示される制御システムは、リバース式圧延工程において本発明を適用した実施形態である。図5に示されるように、本発明の第2実施形態にかかる圧延機の制御システムは、圧延機1と制御部10とを備え、圧延機1の出側および入側のそれぞれに形状測定器11が設けられている。
圧延機1は、圧延ラインLにて被圧延材Mをリバース圧延工程により圧延する装置である。制御部10は、圧延機1の前圧延工程の実績データを入力し、同一の圧延機1の次圧延工程の制御を行う制御手段である。制御部10は、同一の圧延機1から信号を入力して出力するのであるが、前圧延工程と次圧延工程とでは、ワークロール2a,2b間の開度および圧延荷重の設定が異なるので、制御部10が行う制御は、フィードフォワード制御である。この点を考慮して、図5には、同一の圧延機1を重複して記載している。
第1実施形態と同様に、圧延機1は、荷重計13と開度計14と開度調節機構9を備える。荷重計13は、圧延機1に設けられたロードセルにより構成され、ワークロール2a,2bが被圧延材Mに印加された圧延荷重の実績を測定する。開度計14は、開度調節機構9における油圧シリンダの油柱高さを測定することにより、ワークロール2a,2b間の開度を測定する。開度調節機構9は、後に詳述するように、ワークロール2a,2b間の開度を調節するための油圧シリンダの油柱高さを制御するための機構である。
第1実施形態と同様に、制御部10は、クロップ長取得手段10aと、圧延荷重予測手段10bと、設定速度取得手段10cと、補正量計算手段10dとを備える。クロップ長取得手段10a、圧延荷重予測手段10b、設定速度取得手段10c、および補正量計算手段10dの機能は、第1実施形態と同様であるのでここでは説明を省略する。なお、第2実施形態では、同一の圧延機1を用いるので、前圧延工程と次圧延工程とにおいてミル剛性Kが同一の値になることが第1実施形態とは異なる。
図6は、本発明の実施形態にかかる開度調節機構9の詳細構成を示す模式図である。本発明の実施形態にかかる開度調節機構9の構成は、本発明の第1実施形態にかかる制御システムおよび本発明の第2実施形態にかかる制御システムにおいて共通の構成である。
図6に示されるように、開度調節機構9は、油圧シリンダ9aと、サーボ弁9bと、フォースモータ9cと、開度制御部9dと、油柱高さセンサー9eとを備える。油圧シリンダ9aは、内部の油量すなわち油柱高さが調節されることにより、ワークロール2a,2b間の開度を変更する。サーボ弁9bは、フォースモータ9cにより駆動されるサーボ弁9b内部のスプール9fの位置を変更することにより、油圧シリンダ9aに供給される油量を調整するアクティブ弁である。
開度制御部9dは、油圧シリンダ9aに設けられた油柱高さセンサー9eが測定した油柱高さの実測値と予め定められた油柱高さの設定値との偏差に基づいて、フォースモータ9cを制御してサーボ弁9b内部のスプール9fの位置を変更する制御手段である。なお、油圧シリンダ9aに設けられた油柱高さセンサー9eは、油圧シリンダ9a内部の油柱高さを測定することにより、ワークロール2a,2b間の開度を測定する開度計14として機能する。
図6に示されるように、制御部10の補正量計算手段10dにより計算された補正量ΔSは、油柱高さの設定値に加算されることにより、油圧シリンダ9a内部の油柱高さに反映される。結果、制御部10の補正量計算手段10dにより計算された補正量ΔSは、ワークロール2a,2b間の開度にも反映される。
〔制御方法〕
次に、図7を参照しながら本発明の実施形態にかかる圧延機の制御方法について説明する。以下では、本発明の実施形態にかかる圧延機の制御システムの構成にかかる図面を参照しながら、本発明の実施形態にかかる圧延機の制御方法を説明するが、本発明の実施形態にかかる圧延機の制御方法の実施は、これら図面の構成により限定されるものではない。
図7は、本発明の実施形態にかかる圧延機の制御方法を示すフローチャートである。始めに、本発明の実施形態にかかる圧延機の制御方法は、前圧延工程によるクロップ長を取得する(ステップS1)。すなわち、前圧延工程の圧延機1aの出側に設けられた形状測定器11が、被圧延材Mの端部形状を測定し、制御部10のクロップ長取得手段10aが、被圧延材Mの端部形状からクロップ長を取得する。
次に、本発明の実施形態にかかる圧延機の制御方法は、次圧延工程の圧延荷重を予測する(ステップS2)。すなわち、荷重計13および開度計14が、前圧延工程における圧延荷重およびワークロール2a,2b間の開度の実績を測定し、制御部10の圧延荷重予測手段10bが、前圧延工程における圧延荷重およびワークロール2a,2b間の開度の実績に基づいて、次圧延工程における圧延荷重を予測する。
一方、本発明の実施形態にかかる圧延機の制御方法は、次圧延工程における被圧延材Mの噛み込み速度を取得する(ステップS3)。すなわち、制御部10の設定速度取得手段10cは、マニュアル設定または自動設定された設定値を設定入力手段12から受信し、次圧延工程において被圧延材Mが噛み込まれる際の被圧延材Mの速度を取得する。
その後、本発明の実施形態にかかる圧延機の制御方法は、上記ステップS1〜S3に基づいて、開度調節機構9に対する補正量を計算する(ステップS4)。すなわち、制御部10の補正量計算手段10dは、前圧延工程により圧延された被圧延材Mの先端部のクロップ長と、次圧延工程における圧延荷重の予測値と、次圧延工程において被圧延材Mが噛み込まれる際の被圧延材Mの速度とに基づいて、次圧延工程の圧延機1bの開度調節機構9に対する補正量を計算する。この補正量の計算には、先述の式(1)または式(2)が用いられる。
最後に、本発明の実施形態にかかる圧延機の制御方法は、次圧延工程の圧延機1bの開度調節機構9に補正量を反映し(ステップS5)、処理を終了する。すなわち、制御部10の補正量計算手段10dにより計算された補正量は、油柱高さの設定値に加算されることにより、開度調節機構9の油圧シリンダ9a内部の油柱高さに反映される。結果、制御部10の補正量計算手段10dにより計算された補正量は、次圧延工程の圧延機1bのワークロール2a,2b間の開度にも反映される。
〔効果〕
最後に、本発明の実施形態にかかる圧延機の制御システムおよび制御方法の効果について説明する。
図8は、従来技術と本発明の実施形態とを比較した被圧延材における製品化可能領域の平面図である。図8(a)は、従来技術にかかる被圧延材の製品化可能領域を図示し、図8(b)は、本発明の実施形態にかかる被圧延材の製品化可能領域を図示している。
図8(a)および(b)を比較すると明らかなように、本発明の実施形態にかかる被圧延材の製品化可能領域は、従来技術にかかる被圧延材の製品化可能領域よりも広い。このように本発明の実施形態にかかる被圧延材の製品化可能領域が拡大した理由は、油圧シリンダ内の油柱高さの変動誤差が抑制されたことにより、被圧延材Mの端部における圧延の精度が向上し、その結果、被圧延材Mの端部における板厚などの形状精度が向上したからである。すなわち、本発明の実施形態にかかる圧延機の制御システムおよび制御方法によれば、従来は剪断していた被圧延材Mの端部における製品化可能領域が拡大し、製品の歩留まり率が向上する。
以上より、本発明の実施形態にかかる圧延機の制御システムは、第1の圧延機1aの出側に設けられ、第2の圧延機1bにおける被圧延材Mの先端の形状を測定する形状測定器11と、形状測定器11による測定に基づいて被圧延材Mの先端の位置から圧延の目標幅に至る最初の位置までの長さとしてのクロップ長を取得するクロップ長取得手段10aと、第1の圧延機1aのワークロール2a,2b間の開度および圧延荷重の実績を取得して、第2の圧延機1bにおける圧延荷重を予測する圧延荷重予測手段10bと、第2の圧延機1bにおける被圧延材Mの噛み込み速度を取得する設定速度取得手段10cと、クロップ長と第2の圧延機1bにおける圧延荷重と第2の圧延機1bにおける被圧延材Mの噛み込み速度とに基づいて、第2の圧延機1bのワークロール2a,2b間の開度にかかる補正量を計算する補正量計算手段10dと、補正量計算手段10dが計算する補正量に基づいて第2の圧延機1bの圧延機におけるワークロール2a,2b間の開度を補正する開度調節機構9とを備えるので、従来は剪断していた被圧延材Mの端部における製品化可能領域が拡大し、製品の歩留まり率が向上する。
また、本発明の実施形態にかかる圧延機の制御システムは、第1の圧延機1aと第2の圧延機1bとは同一の圧延機1であり、被圧延材Mが同一の圧延機1を往復して通板されるいわゆるリバース式圧延工程に適用可能である。
本発明の実施形態にかかる圧延機の制御システムの開度調節機構9は、油圧シリンダ9a内の油量を調節することにより第2の圧延機1bにおけるワークロール2a,2b間の開度を調整し、補正量計算手段10dが計算する補正量は、油圧シリンダ9a内の油量に関する補正量であるので、被圧延材の端部の形状に起因する油圧シリンダ内の油柱高さの変動誤差を抑制することができる。
本発明の実施形態にかかる圧延機の制御システムの補正量は、先述の式(2)により計算されるので、先端の噛み込み時からクロップ長の終点の圧延まで直線的に変化する圧延荷重の変化率に対して適切な補正量が計算される。
1,1a,1b 圧延機
2a,2b ワークロール
3a,3b バックアップロール
4a,4b ワークロールチョック
5 ハウジング
6 シリンダ
7a,7b バックアップロールチョック
8 圧下シリンダ
9 開度調節機構
9a 油圧シリンダ
9b サーボ弁
9c フォースモータ
9d 開度制御部
9e 油柱高さセンサー
10 制御部
10a クロップ長取得手段
10b 圧延荷重予測手段
10c 設定速度取得手段
10d 補正量計算手段
11 形状測定器
12 設定入力手段
13 荷重計
14 開度計

Claims (4)

  1. 前圧延工程の圧延機の出側に設けられ、次圧延工程における被圧延材の先端の形状を測定する形状測定手段と、
    前記形状測定手段による測定に基づいて前記被圧延材の先端の位置から圧延の目標幅に至る最初の位置までの長さとしてのクロップ長を取得するクロップ長取得手段と、
    前記前圧延工程におけるワークロール間の開度および圧延荷重の実績を取得して、前記次圧延工程における圧延荷重を予測する圧延荷重予測手段と、
    前記次圧延工程における前記被圧延材の噛み込み速度を取得する設定速度取得手段と、
    前記クロップ長と前記次圧延工程における圧延荷重および前記被圧延材の噛み込み速度とに基づいて、前記次圧延工程の圧延機におけるワークロール間の開度にかかる補正量を計算する補正量計算手段と、
    前記補正量に基づいて前記次圧延工程の圧延機におけるワークロール間の開度を補正する開度調節手段と、
    を備え
    前記補正量は、下式のΔSとして計算されることを特徴とする圧延機の制御システム。
    ΔS=α×F×V/C
    ここで、Fは、前記次圧延工程の圧延機における圧延荷重の予測値であり、Vは、前記次圧延工程の圧延機に前記被圧延材が噛み込まれる際の前記被圧延材の速度であり、Cは、前記前圧延工程の圧延機により圧延された前記被圧延材の先端部のクロップ長であり、αは定数である。
  2. 前記前圧延工程の圧延機と前記次圧延工程の圧延機とは同一の圧延機であり、前記被圧延材が前記同一の圧延機を往復して通板されることにより前記前圧延工程と前記次圧延工程とが構成されることを特徴とする請求項1に記載の圧延機の制御システム。
  3. 前記開度調節手段は、油圧シリンダ内の油量を調節することにより前記次圧延工程の圧延機におけるワークロール間の開度を調整し、
    前記補正量は、前記油圧シリンダ内の油量に関する補正量であること、
    を特徴とする請求項1または2に記載の圧延機の制御システム。
  4. 少なくとも前圧延工程と次圧延工程とを有する圧延工程により被圧延材を圧延する圧延機の制御方法であって、
    前記前圧延工程において圧延された前記被圧延材の先端の位置から圧延の目標幅に至る最初の位置までの長さとしてのクロップ長を取得するクロップ長取得ステップと、
    前記前圧延工程におけるワークロール間の開度および圧延荷重の実績を取得して、前記次圧延工程における圧延荷重を予測する圧延荷重予測ステップと、
    前記次圧延工程における前記被圧延材の噛み込み速度を取得する設定速度取得ステップと、
    前記クロップ長と前記次圧延工程における圧延荷重および前記被圧延材の噛み込み速度とに基づいて、前記次圧延工程の圧延機におけるワークロール間の開度にかかる補正量を計算する補正量計算ステップと、
    前記補正量に基づいて前記次圧延工程の圧延機におけるワークロール間の開度を補正する開度調節ステップと、
    を含み、
    前記補正量は、下式のΔSとして計算されることを特徴とする圧延機の制御方法。
    ΔS=α×F×V/C
    ここで、Fは、前記次圧延工程の圧延機における圧延荷重の予測値であり、Vは、前記次圧延工程の圧延機に前記被圧延材が噛み込まれる際の前記被圧延材の速度であり、Cは、前記前圧延工程の圧延機により圧延された前記被圧延材の先端部のクロップ長であり、αは定数である。
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