JP6034858B2 - 心臓手術のための動脈カニューレ - Google Patents

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Description

本発明は、手術デバイスの分野に関し、特に、微侵襲の心臓手術に適した心臓手術のための動脈カニューレに関する。
最先端技術
心臓手術は、心臓外科医が、患者の静穏な心臓に外科的補正を行うときに、血液が酸素化された体外循環のようなものを提供する必要性を含む。最先端技術は、胸骨での完全に開いた胸部(完全な胸骨切開)から、胸骨の部分切開(最小胸骨切開)を介してあるいは病変に依存する肋骨間のアプローチ(最小胸腔切開)を介して、より小さな切開を生じるアプローチまで、患者の胸部で行われた外科的切開の大きさを低減しようとしていることに基づく、より“最小侵襲的”アプローチに発展した。
患者に対し提供された利点が多くあるが、結果として生じる視覚化の分野は、常に、完全な胸腔切開のものと比べてはるかに小さい。手術領域に見る能力は、多くの場合、完全に限定され、このタイプの処置の器具が特殊であることを意味する。これらのタイプの処置に使用されるカニューレは、体外の回路を通るように患者に及び患者から血液を導く物理的導管として使用され、特殊である。この対外回路は、手術処理の経過中に患者の血液をくみ上げ、酸素を注入し、及び温度調節するために使用される。血液が患者に戻されるポイントは、患者の体に必要な動脈血が動脈カニューレを通じて実際の患者の動脈血管系に送り込まれることを意味する、動脈カニューレと呼ばれる。動脈カニューレ挿入部位は、例えば、上行大動脈、大動脈弓、大腿動脈、または任意の他の主要な動脈を含む、多くの様々な位置にすることができる。
現在のカニューレは、心臓外科医が、大動脈カニューレ挿入中に一方の手でカニューレを保持して操作しなければならず、他方の手は、多くの場合、カニューレがある程度見えないと共に外科医に対してあまりにも遠い位置の中に挿入されながら、切開領域を開き、止血帯及びがま口糸を保持するため、これらのより最小侵襲性外科手術処置に対して十分に自動化されていない。このため、米国特許第6488693号に開示されたような導入器上の単一の位置格納式ブレードが、自動化された自己格納式ブレードシステムとしてカニューレの切断及び挿入を可能にし、このアプローチに関する大きな欠陥は、ブレードが拡張されたか否か確かにわからないことであり、それは、カニューレ挿入される血管の反対側の壁を貫通する実質的なリスクを有する。この特許に開示された商業的に入手可能なデバイスに関する直接的な経験は、患者の安全性に重大なリスクをもたらすカニューレ挿入部位の反対側の壁を切開する、カニューレの中にブレードをあまりにも遠く押し入れることに不安はないことを示す。この第2の切込み又は穴は、外科手術処置に移る前に修復しなければならず、遠位側切断を得ることは、特に、最小の開胸アプローチにおいて簡単な作業ではなく、これは、最初の場所において避けることを試みることが何であるかという完全な胸骨切開への変換につながる。従って、カニューレ/ブレードアッセンブリがカニューレ挿入される血管の所望の位置以外の場所を切断することを防止するシステムを実現する必要がある。
また、これは、カニューレ挿入部位の可視化はこれらの最小侵襲性処置において問題となるので、所定の位置にカニューレの案内を助けるためにも必要である。
本発明の目的は、挿入及び抜き出しの時に、最小限の失血で安全な単一の壁の動脈切開を可能にする心臓手術のための動脈カニューレ、及び、カニューレ挿入部位での固定及び安定化を容易にしながらカニューレの案内を支援するシステムと組み合わされた心臓手術のための動脈カニューレを提供することである。
本発明の主題は、図1乃至3に関し、(a)カニューレの先端に近接するカニューレの外表面と機械的接合する綿撒糸/ストッパー(102/101)アッセンブリと、(b)カニューレの内側において同軸に配置されるために適した寸法を有する導入器(104)であって、5mm以下でカニューレの先端を突出するブレード又は鋭利なエッジを有する導入器(104)と、を備える心臓手術のための動脈カニューレ(100)である。
上記開示されたカニューレは、大動脈カニューレ挿入のための従来の技術と比較して、カニューレ挿入を容易にし、大動脈カニューレ挿入の安全性を改善することを意図している。
カニューレが、必要とされるカニューレ挿入部位以上を切断することを防止するために機械的ストッパーと組み合わされた綿撒糸の使用、及び、カニューレを所定の位置に案内して固定する手段としての綿撒糸の使用は、新しく新規であり、現在の技術水準を超える重要な進歩を表し、外科医のための使いやすさを改善し、患者の安全性を向上させる。
このアプローチが、特に、最小侵襲的なアプローチに適し、そして、中央の完全な胸骨切開の従来のアクセスにおいて標準なカニューレとしても用いることができることに留意することが重要である。主な違いは、最小の胸腔切開バージョンとは対照的に、中央または最小の胸骨切開バージョンが短くなるような長さであり、それによって、切開の性質及び切開部から大動脈切開までの距離が、かなり長くなる。
図1(A)は、血管(103)上に固定されたストッパー/綿撒糸(101/102)アッセンブリと係合された本発明のカニューレ(100)を示し、また、導入器(104)がこの図に示される。図1(B)は、カニューレ挿入される血管(103)にすでに固定されたストッパー/綿撒糸(101/102)アッセンブリと係合されていない本発明に係るカニューレ/導入器(100/104)アッセンブリを示し、カニューレの先端から突出する導入器のブレード又は鋭利なエッジが、この図において見ることができる。 図2は、カニューレ挿入される血管(103)にすでに固定されたストッパー/綿撒糸(101/102)アッセンブリの詳細を示し、この図に示された実施形態において、綿撒糸は最小の二つの縫合線(106)によって血管に固定され、ストッパーは露出されたループ(107)を有する縫合糸によって綿撒糸に係合される。 図3は、血管(103)内に所定の位置にあり、機械的接合部(108)によって綿撒糸/ストッパー(101/102)アッセンブリに機械的に係合され、そして、カニューレが固定された領域のみに入るのを可能にするストッパーに対する係止部である成型特徴部(109)によって、血管の中に更に突出しないように更に固定されている、本発明に係るカニューレ(100)の詳細を示す。 図4は、カニューレ(100)の外部本体に着脱可能に取り付けられた止血帯(111)を示し、綿撒糸/ストッパー(101/102)アッセンブリを血管に固定する縫合線(106)は、綿撒糸/ストッパー(101/102)アッセンブリによって予め処置されたカニューレ挿入部位にカニューレを正確に案内するために止血帯の中に導入されることができる。
本発明によるカニューレは、3つの別個の構成要素である、カニューレ本体(100)と、綿撒糸及びストッパーアッセンブリ(101/102)と、導入器(104)とを含む。
カニューレの形状及びその寸法は、好ましくは、すでに公知のものに従う。
導入器(104)は、カニューレの配置を容易にするためにカニューレの内側に同軸的に配置された半剛性チューブであり、導入器及びカニューレアッセンブリを必要な場所まで案内するために一般的に使用されるワイヤ導入器のための穴を含むことができる。導入器は、指定されたカニューレ挿入部位にカニューレアッセンブリを案内するのに役立つポリオレフィン(polyolephin)や他のプラスチックなどの半剛性材料から作られることができる。この実施形態に特有で、挿入器は、カニューレ先端を超えて突出する鋭利な端部を含み、カニューレ挿入部位で簡単で容易な血管の侵入を可能にするために、材料自体がカニューレ挿入部位で血管をつなぐのに十分に鋭いか、深さが1乃至3mmの小さなブレードが導入器先端に含まれる。
血管内への最小の推奨先端深さが10mmであるこの実施形態では、カニューレの先端は、血液への損傷を低減するためあるいはカニューレの外部への流れを改善するために、任意の形状又は所望の様に設計されることができる。カニューレの先端は、導入器のブレード又は鋭利なエッジが1−5mm以上、好ましくは1−3mm以上カニューレ先端の外側に突出するのを避けるために導入器よりも小さな直径を有する。
本発明の本質的な特徴の一つは、綿撒糸及びストッパーアッセンブリ(101/102)が、締めしろ、又はボール戻り止め機構、あるいは、インクペンキャップに見られるのと同様なオス/メスジョイントに基づく機械的接合部(108)によってカニューレの外部本体と機械的接合する、カチッとかみ合う、あるいは連結することである。ストッパーは、カニューレ及び導入器アッセンブリが、ストッパーの設計によって確立されたポイントを超えてカニューレ挿入部位の中にあまりも深く移動するのを防止すると共に、血管の反対側の壁の不慮の穿刺を防止する安全機構として機能する。さらに、外部カニューレ本体は、カニューレが、(血管内への最大の推奨先端深さが15mmである)これ以上ない一定の深さまで大動脈に入るのを許容する成型特徴部(109)を提供する。成型特徴部(109)は、上記ストッパーにおける、機械的接合部(108)に対する第2の固定ストッパーである。
結果として得られるカニューレ挿入は、Gannoeなどによる米国特許第648863号に開示された同様の実施形態と比較された本質的な安全で行われた。
導入器及びカニューレアッセンブリは、ストッパーの設計によって確立された一定の深さまで血管をつなぐ。ひとたびカニューレがストッパーの適所にあると、導入器は、取り下げられて捨てられる。導入器は、導入器が取り下げる際にカニューレが血液で満たされることを意味する止血の方法で取り出され、導入器がほぼ完全にカニューレの外にあるとき、次に、外科医は、カニューレの近位端をクランプして、血液がカニューレから出るのを防止する。
綿撒糸−ストッパーアッセンブリ(101/102)は、カニューレ処置する血管(103)に縫合され、そして、カニューレ挿入部位が綿撒糸−ストッパーアッセンブリの中心になる状態で、カニューレ及び導入器(100及び104)を案内するように使用される。綿撒糸は、カニューレ及びストッパーがひとたび引き出されると綿撒糸(102)が血管(103)に接続されたままであるように作られることができる。
綿撒糸−ストッパーアッセンブリは、カニューレ処置される血管に綿撒糸を固定するのに使用される最小の二つの縫合線(106)を含み、これらの縫合線は、アッセンブリに含まれることができる、あるいは、外科医によって手動で綿撒糸の上に固定されることができる。ストッパーは、あらゆる材料、好ましくはポリカーボネート又は上述したようにカニューレの先端と機械的に接続する他の成形可能なプラスチックから作られることができる。綿撒糸は、丈夫なウール又はそれが取り付けられる血管(103)の曲率形状をとるのに十分に柔軟である他の包帯材料のような、典型的な綿撒糸/包帯の材料から作られる。綿撒糸に含まれる縫合は、アッセンブリを血管に縫い合わせるために使用される。縫合線の各端部に含まれる針を有する最小の二つの縫合が好ましいが、二つ以上のラインが、本発明の改良や他の実施形態として容易に含まれることができる。
カニューレ及び接続されたストッパーは、カニューレ挿入部位から取り除かれると、綿撒糸は、その後、血管に残された穴(すなわち、カニューレ挿入部位)を閉じるために使用され、失血を防止する。これは、外科医が多くの場合にMICSの最小の開胸または最小の胸骨切開アプローチにおいて大動脈及びカニューレ挿入部位に明確な可視のアクセスを有しないために、本発明の非常に有利な追加機能である。血管上に綿撒糸を残すことができること及び血管を閉じるために縫合線(106)を使用することは、以下に述べるように、従って、視覚化の欠如のせいで非常に有利である。
従って、綿撒糸及びストッパーは、ひとたび処置が完了してカニューレを除去する必要があると、ストッパーの容易な取り外しを可能にするように、機械的に互いに接合されるのが好ましい。一実施形態は、ストッパーを綿撒糸に接合する露出ループ(107)を有する縫合糸を用いることができる。露出ループは、切断することができ、ストッパーを綿撒糸に接合する縫合糸を破断し、その結果、縫合線は引き抜かれ、ストッパーを綿撒糸から解放する。ストッパーは、カニューレに取り付けられたままであり、アッセンブリが取り除かれるときに、綿撒糸が血管に取り付けられたままで、カニューレと共に引き抜かれる。縫合糸(106)を交差することによって、縫合糸が交差されて、結び目で又はより洗練された結び技術を使用して手動的に結ばれるときに、血管は、容易に閉じられ、カニューレ挿入部位の簡単な閉鎖を可能にする。再度、少なくとも二つの縫合線が必要とされるが、しかしながら、二つ以上の任意の数がこの設計において実現されることができる。
カニューレ挿入部位が完全に見ることができない多くの場合において、ストッパーの中心軸をカニューレの先端に整合する方法は、非常に有利である。そのような技術は、綿撒糸−ストッパーアッセンブリのシートに対するカニューレ先端の適当な接地を可能にすることができ、そして、縫合糸(106)及びカニューレの先端をストッパーの中に直接的に案内するために縫合糸の使用を可能にするカニューレ本体上の機械的ガイドの使用によってきわめて容易に提供されることができる。これらの同じ縫合糸(106)は、その後、チューブ(典型的に止血帯(111)と呼ばれ、カニューレの外表面に対して全く対向的に機械的に取り付けられる)の中に配置されることができる。これは、内部に縫合線を有する止血帯アッセンブリが視野の外で安全に固定されるのを許容し、それは、外科的切開及びその結果としての手術分野が非常に小さい場合には、特に重要である。
[形態1] 心臓手術のための動脈カニューレ(100)であって、
(a)カニューレの先端に近接するカニューレの外表面と機械的接合する綿撒糸/ストッパー(102/101)アッセンブリと、
(b)カニューレの内側において同軸に配置されるために適した寸法を有する導入器(104)であって、5mm以下でカニューレの先端を突出するブレード又は鋭利なエッジを有する導入器(104)と、を備える、動脈カニューレ。
[形態2] 形態1記載の動脈カニューレにおいて、
綿撒糸/ストッパーアッセンブリ(101/102)は、締めしろ又はボール戻り止め機構又はオス/メスジョイントに基づく機械的接合部(108)に係合されたカニューレの外部本体と接合する、動脈カニューレ。
[形態3] 形態1又は2記載の動脈カニューレにおいて、
カニューレの外表面に、ストッパー(102)における、機械的接合部(108)に対する第2の固定ストッパーである成型特徴部(109)を備える、動脈カニューレ。
[形態4] 形態1乃至3のいずれか一つに記載の動脈カニューレにおいて、
綿撒糸−ストッパーアッセンブリは、カニューレ処置される血管に綿撒糸を固定するのに使用される最小の二つの縫合線(106)を含む、動脈カニューレ。
[形態5] 形態1乃至4のいずれか一つに記載の動脈カニューレにおいて、
綿撒糸及びストッパーは、ひとたび処置が完了してカニューレを除去する必要があると、ストッパーの容易な取り外しを可能にするように、機械的に互いに接合される、動脈カニューレ。
[形態6] 形態1乃至5のいずれか一つに記載の動脈カニューレにおいて、
カニューレの外表面に対して正反対に対向的に取り付けられた、少なくとも二つの止血帯(111)を備える、動脈カニューレ。

Claims (10)

  1. 心臓手術のための動脈カニューレであって、
    カニューレの先端に近接するカニューレの外表面と機械的接合する綿撒糸/ストッパーアッセンブリと、
    カニューレの内側において同軸に移動可能に配置されるための適した寸法を有する導入器であって、5mm以下でカニューレの先端を突出するブレード又は鋭利なエッジを端部に有する導入器と、を備え、
    綿撒糸及びストッパーアッセンブリは、締めしろ又はボール戻り止め機構又はオス/メスジョイントに基づく機械的接合部によって、カニューレの外表面と機械的接合し、
    綿撒糸及びストッパーは、ひとたび処置が完了してカニューレを除去する必要があると、ストッパーの容易な取り外しを可能にするように、機械的に互いに接合される、動脈カニューレ。
  2. 請求項1記載の動脈カニューレにおいて、
    ストッパーには、カニューレの外表面に、機械的接合部に対する第2の固定ストッパーである成型特徴部を備える、動脈カニューレ。
  3. 請求項1記載の動脈カニューレにおいて、
    綿撒糸−ストッパーアッセンブリは、カニューレ処置される血管に綿撒糸を固定するのに使用される最小の二つの縫合線を含む、動脈カニューレ。
  4. 請求項1記載の動脈カニューレにおいて、
    カニューレの外表面に対して正反対に対向的に取り付けられた、少なくとも二つの止血帯を備える、動脈カニューレ。
  5. 医療デバイスであって、
    心臓手術のための動脈カニューレと、
    締めしろ又はボール戻り止め機構又はオス/メスジョイントに基づく機械的接合部を介して動脈カニューレの先端に近接するカニューレの外表面と機械的接合する綿撒糸/ストッパーアッセンブリと、
    動脈カニューレの内側において同軸に移動可能に配置されるための適した寸法を有する導入器であって、5mm以下で動脈カニューレの先端を突出するブレード又は鋭利なエッジを端部に有する導入器と、
    を備え、
    綿撒糸及びストッパーは、動脈カニューレが取り除かれながらストッパーの容易な取り外しを可能にするように、機械的に互いに接合される、医療デバイス。
  6. 請求項記載の医療デバイスにおいて、
    綿撒糸及びストッパーアッセンブリは、動脈カニューレの外面とスナップ接合する、医療デバイス。
  7. 請求項記載の医療デバイスにおいて、
    機械的接合部に対する第2の固定ストッパーである、動脈カニューレの外面にある成型特徴部を更に備える、医療デバイス。
  8. 請求項記載の医療デバイスにおいて、
    綿撒糸−ストッパーアッセンブリは、カニューレ処置される血管に綿撒糸を固定するのに使用される最小の二つの縫合線を含む、医療デバイス。
  9. 請求項記載の医療デバイスにおいて、
    動脈カニューレの外表面に対して正反対に対向的に取り付けられた、少なくとも二つの止血帯を更に備える、医療デバイス。
  10. 請求項記載の医療デバイスにおいて、
    綿撒糸及びストッパーは、少なくとも一つの縫合線によって接合される、医療デバイス。
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