JP6034542B2 - β−シクロデキストリンを含む抗腫瘍剤 - Google Patents

β−シクロデキストリンを含む抗腫瘍剤 Download PDF

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Description

本発明は主に、β−シクロデキストリン(bCD)またはその誘導体(以下、誘導体を含め単に「β−シクロデキストリン」または「bCD」と称することもある)を含む抗腫瘍剤に関する。また本発明は、他の抗腫瘍剤と併用されることを特徴とするbCD、それを含む抗腫瘍剤、bCDと他の抗腫瘍剤との癌などの治療における併用療法などに関する。
外科手術および/または化学療法後に癌細胞が1つ残ることで、癌は再発の原因となり得る。したがって、癌化学療法の狙いは癌細胞の完全な除去でなければならない。しかしながら、腫瘍中の癌細胞に異種性が与えられると、特定の遺伝子産物を標的とする単一の薬剤では癌細胞を完全に除去することは困難である。
そこで、我々は、Bcl−2、Bcl−xLのような抗アポトーシスタンパク質を不活化させてアポトーシスを誘導するのにはたらくABT−263(Navitoclax、以下、単に「ABT」と称することもある)と、癌細胞内のグルコースの解糖系を阻害する2−デオキシグルコース(2DG)とを組み合わせた2−デオキシグルコース−ABT−263(2DG−ABT)併用療法を開発し、両剤を組み合わせることで相乗的にアポトーシスを誘導することを見出した(非特許文献1)。
しかしながら、2DG−ABTの併用効果は細胞株によってばらつきがあった。その効果のばらつきの原因の一つは、癌細胞に存在するホスホイノシチド3−キナーゼ−AKT(PI3K−AKT)プロサバイバルシグナルの様々な強度のためであると考えられる。また、PI3K−AKTの経路は、多くの正常組織においても存在するので、アポトーシス誘導を介した癌療法のためにこの経路を標的にすることは多くの副作用の原因となる問題もあった。
また、上皮増殖因子受容体(EGFR)、インスリン様増殖因子1型受容体(IGF1R)などの受容体チロシンキナーゼ(RTK)も、特定のタイプの癌においてしばしば活性化され、PI3K−AKTの活性化を引き起こすことから、これらのPI3K−AKTの活性化を引き起こす受容体や酵素に対する特定の阻害剤を用いて、特定のRTKなどを標的とすることも、ほとんど副作用がなく、癌細胞のプロサバイバルシグナルを減少させる有用な方法となり得、実際これらをターゲットとした癌治療剤は既に開発されており、いくつかは実際医療現場で用いられている。しかしながら、実際の腫瘍の集まりは恐らく一つの細胞株からの癌細胞でなく、腫瘍におけるいくつかの細胞はIGF1Rを発現し、一方同じ腫瘍の他の細胞はEGFRやインスリン受容体などを発現できるので標的は定まらず、且つそれらはすべてPI3K−AKTプロサバイバルシグナルを生成することができるので、例えばIGF1RもしくはEGFR、または両方の阻害だけというターゲティングでは、十分ではないと考えられた。
このように、癌治療の有効なプロセスとして、アポトーシス誘導を促すPI3KとAKTのシグナル伝達を阻害する薬剤は既にいくつか知られているが、必ずしもその効果は十分でなく、副作用などの点でも問題があった。
β−シクロデキストリン(bCD)は、7つの糖鎖をつなげた円錐形の分子構造をしており、内部が空洞というユニークな分子構造を有しており、また親水性のヒドロキシ基が分子の外側に、疎水性基が分子の内側にあることから、相関移動触媒などの合成化学的適用や、また、その内部に別の分子を取り込む性質を利用した生体での適用も行われている(非特許文献2)。
また、bCDはその内部にコレステロールを取り込む性質が広く知られている(非特許文献3)。一方、コレステロールは原形質膜において、外から入ってくる多くのシグナルを細胞内に伝達する重要なはたらきを有しており、また血中コレステロール値が高い患者群は癌になる率が低いという報告が1980年頃から盛んに行われたことから(非特許文献4)、コレステロールがターゲットとなるbCDの癌治療への試みはこれまでないか、あってもごくわずかと考えられた。
Yamaguchi R, at al., PloS one 2011, 6(9):e24102. Curr. Top Med. Chem. 2014 14(3), 330-339 Journal of Lipid Research Vol. 38, 1997, 2264 QJM 2012, 105: 383-388
本発明の課題は、癌などの治療の有効なプロセスとして、PI3KとAKTのシグナル伝達をより効率的に阻害してアポトーシス誘導を促す薬剤を見出すことである。
本発明者らは上記課題を解決するため、種々検討したところ、コレステロールを取り込むことから癌治療などの試みには用いられてこなかったβ−シクロデキストリン(bCD)が、意外にもPI3K−AKTのプロサバイバルシグナルを弱体化させ、アポトーシスを誘導し、抗腫瘍作用を有することを見出した。
また、bCDを2−デオキシグルコース(2DG)と併用することで、bCDがAKTを不活性化し、その間に2DGが、アポトーシス促進タンパク質Bakを、抗アポトーシスタンパク質Mcl−1から解離できることを見出し、さらにBcl−2アンタゴニストであるABT−263などを併用することで、Bakが抗アポトーシスタンパク質Bcl−xLからも解離され、BakがMcl−1とBcl−xLの両タンパク質から完全に解き放たれ、アポトーシスを実行できることを見出した。更にBcl−2アンタゴニスト以外のアポトーシス誘導因子であるTNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)などをbCD−2DGと併用することでも、効果的なアポトーシスが実行できることを見出した。
以上のように、各種抗腫瘍剤に、β−シクロデキストリンを併用して投与することで、更にその抗腫瘍剤の効果が増強されることも見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は下記の各種の態様の発明を提供するものである。
[項1]
β−シクロデキストリンまたはその誘導体を含む抗腫瘍剤。
ここでβ−シクロデキストリンまたはその誘導体はPI3KとAKTとの間のシグナル伝達を阻害する阻害剤としてはたらく。
[項2]
1つまたは2つ以上の他の抗腫瘍剤と併用されることを特徴とする、β−シクロデキストリンまたはその誘導体。
[項3]
他の抗腫瘍剤が2−デオキシグルコースを含む項2のβ−シクロデキストリンまたはその誘導体。
[項4]
他の抗腫瘍剤がアポトーシス誘導作用を有する抗腫瘍剤を含む項2のβ−シクロデキストリンまたはその誘導体。
[項5]
他の抗腫瘍剤が2−デオキシグルコースおよびアポトーシス誘導作用を有する抗腫瘍剤を含む項2のβ−シクロデキストリンまたはその誘導体。
[項6]
他の抗腫瘍剤の投与と同時、または前もしくは後にβシクロデキストリンまたはその誘導体が投与される、項2〜5のいずれかのβ−シクロデキストリンまたはその誘導体。
[項7]
項2〜6のいずれか一項のβ−シクロデキストリンまたはその誘導体を含む抗腫瘍剤。
[項8]
治療上の有効量のβ−シクロデキストリンまたはその誘導体を治療が必要な患者に投与することを特徴とする、腫瘍の治療方法。
[項9]
β−シクロデキストリンまたはその誘導体がPI3KとAKTのシグナル伝達を阻害し、アポトーシスを誘導して行われる項8の治療方法。
[項10]
1つまたは2つ以上の他の抗腫瘍剤と併用されることを特徴とする、項8または9の治療方法。
[項11]
他の抗腫瘍剤が2−デオキシグルコースを含む項10の治療方法。
[項12]
他の抗腫瘍剤がアポトーシス誘導作用を有する抗腫瘍剤を含む項10の治療方法。
[項13]
他の抗腫瘍剤が2−デオキシグルコースおよびアポトーシス誘導作用を有する抗腫瘍剤を含む項10の治療方法。
[項14]
腫瘍の治療に使用するためのβ−シクロデキストリンまたはその誘導体。
[項15]
1つまたは2つ以上の他の抗腫瘍剤と併用されることを特徴とする、項14のβ−シクロデキストリンまたはその誘導体。
また、上記項1〜15において、β−シクロデキストリンを2−ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン(HPGCD)に置換した各態様も本発明に包含される。
本発明においては、bCDを用いたコレステロールのターゲティングが、PI3KとAKTとの間のシグナル伝達を阻害し、AKTプロサバイバルシグナルを減弱させることを見出した。そして、更にそれらのシグナルを減弱させたことで、2−デオキシグルコース(2DG)や他のアポトーシス誘導作用を有する抗腫瘍剤が、ミトコンドリア内のアポトーシス誘導因子Bakの遊離を促し、ミトコンドリアからシトクロムcを放出することでアポトーシスを誘導することを、インビトロおよびインビボで確認した。
一般的に抗腫瘍剤は、癌などの腫瘍細胞にのみ局在化させ、他の健康な細胞には運搬されないことが、副作用の観点から望ましい。しかしながら、アポトーシス誘導をターゲットするような抗腫瘍剤では、体内のすべての細胞内のミトコンドリアがターゲット部位となってしまい、腫瘍細胞内のミトコンドリアのみに抗腫瘍剤を局在化させることは難しく、作用が強すぎる抗腫瘍剤は、健康な細胞への影響を考慮すれば実用化は困難である。
一方、本発明の複数剤の併用療法においては、それぞれ単独薬剤では健康な細胞への影響が少ないと考えられる程度の作用であるが、複数剤が同じ細胞内で作用することでその作用が相乗的に飛躍する特徴を有する。
2DGは疑似グルコースとして、グルコース代謝が高い細胞のみグルコーストランスポーターを通して細胞内に取り込まれる性質を有する。ここで体内のグルコース代謝が盛んな細胞は、炎症を起こした組織の細胞、過剰な運動の後の心臓を含む筋肉細胞、癌などの腫瘍細胞、および脳細胞であるが、本発明の併用療法による腫瘍の治療にあたって患者の炎症を抑え、過剰な運動を制御すれさえすれば、2DGは腫瘍細胞と脳細胞にほぼ局在化できる。
一方、bCDは血液脳関門を通過できないので、体内では脳以外の組織に存在することになる。したがって、両剤が同時に存在できる細胞はほぼ腫瘍細胞に限定することができ、bCDと2DGとの併用療法においては、健康な細胞への影響が少ない、腫瘍細胞への効果的なアポトーシス誘導作用が期待できる。
また、本発明のbCD単独、または2DG以外の抗腫瘍剤とのbCDの併用療法においても、bCDが脳内に移行しないことから、bCD単独の効果および併用における効果の脳細胞への悪影響は完全に回避できる。
bCDによるPI3KとAKTとの間のシグナル伝達の阻害は、投与後数時間に限られ、短時間で元の状態に戻る。この性質を利用して、他剤との併用においては、他剤が副作用の少ない比較的作用の弱い抗腫瘍剤であってもbCDと併存している間のみ強いアポトーシス誘導作用を示し、bCDの阻害作用がなくなった以降は副作用を抑えられるので、併用のタイミングをはかることで効率的な治療計画が立てられる一方、正常細胞でのPI3K−AKTの経路への影響は最小限に抑えられ、副作用の軽減が図れる。
図1は実施例1の結果を示し、A〜Cはそれぞれ方法A〜方法Cでの結果を示す。 Aは実施例2の結果を、BおよびCは実施例3の結果を、Dは実施例4の結果を、Eは実施例5の結果を示す。 図3は3剤投与する際の実験のプロトコールを示す。 図4は実施例5における図2Eの1μM ABT濃度での結果をまとめて、計算した結果を示す。 図3は実施例6の結果を示す。 図4は実施例7の結果を示す。 図7は実施例8の結果を示す。 図8は実施例9の結果を示す。 図9は実施例10の結果を示す。
β−シクロデキストリン(bCD)は7つの糖鎖をつなげた円錐形の分子構造をしており、本発明においてβ−シクロデキストリンとは、β−シクロデキストリン自身の他に、その誘導体を含む概念である。ここでその誘導体とは、β−シクロデキストリンに各種置換基を有したメチル−β−シクロデキストリン(MBCD)、(2−ヒドロキシプロピル)−β−シクロデキストリン(HPBCD)、カルボキシメチル−β−シクロデキストリン、カルボキシメチル−エチル−β−シクロデキストリン、ジエチル−β−シクロデキストリン、ジメチル−β−シクロデキストリン、グルコシル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシブテニル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、マルトシル−β−シクロデキストリン、ランダム メチル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、2−セレニウム架橋−β−シクロデキストリン、2−テルリウム架橋−β−シクロデキストリンが挙げられる。好ましいβ−シクロデキストリンとしては、メチル−β−シクロデキストリン(MBCD)、(2−ヒドロキシプロピル)−β−シクロデキストリン(HPBCD)、ヒドロキシブテニル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、ランダム メチル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンが挙げられ、更に好ましいβ−シクロデキストリンとしては、β−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン(MBCD)、(2−ヒドロキシプロピル)−β−シクロデキストリン(HPBCD)が挙げられる。また、bCDだけでなく、2−ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン(HPGCD)についてもコレステロールを包含する点で優れており、本発明に用いることができる。
本発明で用いるbCDおよびその誘導体は、経口または注射や点滴などの非経口で投与される。
bCDの投与量は患者に対して大きな悪影響を及ぼさず、PI3KとAKTとの間のシグナル伝達の阻害を発揮できる治療上の有効量である限り特に制限はないが、1回の治療あたり2〜5000mg、好ましくは2〜100mgの用量で投与される。
本発明において、bCDと併用される抗腫瘍剤としては、2DGの他に、アポトーシス誘導作用を有する抗腫瘍剤が挙げられ、例えばこれに限定されないが、抗アポトーシスタンパク質であるMcl−1やBcl−xLからBakを解離する作用を有する薬剤、具体的にはA−385358、ABT−199、ABT−263(navitoclax)、ABT−737、AT−101、GX15−070(obatoclax)、HA14−1、oblimersen等が挙げられる。他にFas関連アポトーシス誘導リガンド、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)などが挙げられ、具体的にはTRAILとその誘導体(AMG951など)、もしくはTRAIL受容体を活性化できる抗体(mapatumumab、lexatumumabなど)等が挙げられる。
更に小胞体とミトコンドリアの間で生じるシグナルを基にして2DG−bCDと併用することでアポトーシスを誘導できると想定できる薬剤、具体的にはHSP90の阻害剤(gamitrinibs、PU24FCl、PU−H58、PU−H71、shepherdinなど)、小胞体ストレス剤、thapsigarginとその誘導体(G−202)等が挙げられる。
本発明で用いる2DGは、経口または注射や点滴などの非経口で投与される。
2DGの投与量は患者に対して大きな悪影響を及ぼさない限り特に制限はないが、1回の治療あたり100〜5000mg、好ましくは500〜2000mgの用量で投与される。
その他のアポトーシス誘導作用を有する抗腫瘍剤については、経口または注射や点滴などの非経口で投与されるが、それぞれの薬剤で定められた投与経路に従って投与されるのが望ましい。
投与量についても、それぞれの薬剤で定められた用量に従って投与されるのが望ましく、またアポトーシス誘導作用を有する抗腫瘍剤自身の副作用を抑える観点から、適宜減量してもよい。
また2DGを投与の際は、グルコースと合わせて用いてもよく、その量は2DGと同量付近が好ましい。
なお、bCDによってPI3K−AKTのプロサバイバルシグナルを抑制できるのは数時間だけに限定されるので、他の抗腫瘍剤との併用療法では、AKTが不活性な時間帯に他の抗腫瘍剤が作用するよう投与のタイミングをはかる必要がある。通常の投与後速やかに作用を発現する抗腫瘍剤との併用においては、bCD投与と同時から2時間程度経過してから抗腫瘍剤を投与するのが望ましい。逆に投与してから活性を発現するのに時間を要する場合は、先に抗腫瘍剤を投与してからbCDを投与するのが望ましい。例えば、2DGとの併用においては、2DGの効果を発揮するのに1〜2時間掛かり、bCDは30分以内に作用するので、両剤の併用ではまず2DGを投与し、1〜2時間経ったところでbCDを投与するのが望ましい。
本発明で用いる剤型としては、経口剤では、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤、シロップ剤、懸濁剤等が挙げられ、非経口剤では注射剤、坐剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製することができる。すなわち、錠剤、カプセル剤、経口液剤のような製剤は、常法によって製造できる。錠剤は、活性成分を、ゼラチン、デンプン、乳糖、ステアリン酸マグネシウム、タルク、アラビアガムなどのような通常の医薬担体と混合することで製造してもよい。カプセル剤は、医薬的に不活性な充填剤または希釈剤と混合し、硬ゼラチンカプセルまたは軟カプセルに充填することで製造してもよい。シロップ剤またはエリキシル剤のような経口液剤は、活性成分と、甘味料(例えば、ショ糖)、保存剤(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン)、着色料、および香料などとを混合して製造される。非経口投与用製剤もまた、常法、例えば、本発明の活性成分を無菌の水性担体(好ましくは水または生理食塩水)に溶かして調製してもよい。錠剤及び顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。更に、これらの製剤は治療上価値ある他の成分を含有してもよい。製剤の組成物に対して有効成分は0.1〜70重量%含まれていてもよい。
本発明における腫瘍とは癌のような悪性腫瘍、良性腫瘍、または腫瘍性疾患を意味し、本発明のアポトーシス誘導によって治療が可能となり得る過形成(hyperplasia)も本発明の腫瘍の範疇に含まれる。本発明の対象となる腫瘍の疾患については、アポトーシス誘導によって治療が可能な脳外の腫瘍の疾患であれば特に制限はなく、例えば、これに限定されないが、繊維肉腫、筋肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、胃癌、食道癌、直腸癌、膵臓癌、卵巣癌、前立腺癌、子宮癌、頭頚部癌、皮膚癌、扁平上皮癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性肺癌、腎細胞癌、肝細胞癌、ウイルムス腫瘍、子宮頚癌、精巣癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起神経膠腫、髄膜腫、メラノーマ、網膜芽細胞腫、白血病、リンパ腫、カポジ肉腫、子宮内膜増殖症、限局性結成性過形成肝、前立腺肥大、原発性アルドステロン症などが挙げられる。
以下の実施例で用いた試薬、試験方法等は以下のとおりである。
試薬
β−シクロデキストリン(bCD)は、インビトロ試験ではメチル−βシクロデキストリン(MBCD)を用い、インビボ試験では(2−ヒドロキシプロピル)−βシクロデキストリン(HPBCD)を用いた。
抗p−PI3K抗体はSanta Cruz(sc-12929)から、オリゴクローナル抗PI3K抗体(6HCLC)はPierceから、抗PI3KクラスII抗体(D3Q5B)はCSTから、抗シトクロムc抗体はBD Pharmingen(Cat. 556433 for blots and Cat. 556432 for microscopy)から、その他すべての一次抗体はCell Signalingから購入した。
HRPと結合する二次抗体はGE Healthcareから購入し、Alexa Fluor結合二次抗体はLife Technologiesから入手した。
IGF1、EGF、インスリン、ヨウ化プロピジウムおよびβシクロデキストリンはWakoから購入した。
ABT−263はChemietekから購入した。
2−デオキシ−D−グルコース、MBCDおよびHPBCDはSigmaから購入した。
汎カスパーゼ阻害剤z−VADはPromegaから購入した。
細胞株および細胞培養
エンプティベクターRCC4またはVHLをコードするベクターで安定にトランスフェクトされた腎細胞癌細胞株は、Harada Laboratory(Kyoto University Hospital, Dept. of Anesthesia)から提供を受け、細胞株UOK121およびVHL発現ベクターで安定にトランスフェクトされたUOK121+VHLは、Dr. Marston Linehan(Center for Cancer Research, Urologic Oncology Branch, NCI)から提供を受けた。
Panc-1膵臓癌細胞およびA431類表皮癌細胞は、10%血清で補充された高グルコースDMEM中で培養した。
Panc-1細胞はDr. Koji Yamada(Dept. of Bioscience and Biochemistry, Faculty of Agriculture, Kyusyu University, Japan)から提供を受け、A431細胞はDr. Masaya Imoto(Dept. of Bioscience and Informatics, Faculty of Science and Technology, Keio University, Japan)から提供を受けた。
これらの細胞およびHeLa細胞は10%FBSで補充された高グルコースDMEM(4.5g/ml)中培養した。
血清はGE Health, Cosmo Bisocience等いくつかの異なる起源から入手した。
ウェスタンブロット法および免疫沈殿法
レーンあたり20μgのタンパク質でウェスタンブロットを実行した。ウェスタンブロットで検出されるタンパク質のサイズに応じて、8、10、12.5、および15%ゲルで実行した。2つのタンパク質が同じようなサイズの場合は、それぞれにゲルを流し、それぞれをウェスタンブロット分析する。免疫沈澱は可溶化された細胞から200μgのタンパク質と、免疫沈澱抗体でプレコンジュゲートされたProtein-GセファロースまたはProtein-Aセファロース(Sigma P3296/P9242)を、免疫沈澱用バッファーに投入し、それを入れたチューブを終夜4℃でゆっくり回転させた。免疫沈殿バッファーは20mM Tris Ph7.5、1% Triton−X100、150mM NaCl、ホスファターゼ阻害剤混合物(Cell Signaling(#58709S))、および10%グリセロールを含む。チューブ内の内容物を翌朝遠心で隔離し、沈殿物を同じバッファーで2回洗浄した後、SDSバッファーに溶解し、15% SDS−PAGE、もしくは12.5% SDS−PAGEを用いてタンパク質を分離し、ウェスタンブロット法で供沈物を確認した。
FACS分析
アポトーシスが化学的に誘導された後、細胞をPBS中洗浄し、通常の培地中再インキュベートし、終夜インキュベートした。細胞死アッセイを、ヨウ化プロピジウム取り込みアッセイを用いて翌朝実施した。細胞をBD FACS Canto IIまたはFACS Calibur IIで分析した。結果を、FlowJoを用いて解析した。これらの実験は3回行い、エラーバーは標準偏差を示す。
生細胞数
生死細胞はトリパンブルー色素排除試験でカウントした。これらの実験は3回行い、エラーバーは標準偏差を示す。
シトクロムc放出アッセイ
カバーガラス上で成長、処置されたRCC4細胞を、最初3.7%ホルムアルデヒド/PBSで10分間固定化した。次いで、カバーガラスを−20℃冷凍庫中保存された100%メタノールに素早く曝した。カバーガラスを10%血清/PBSでインキュベートし、次いでマウス抗シトクロムc抗体で終夜染色した。翌朝、カバーガラスを洗浄し、10%血清/PBSで30分間遮断した。次いで、カバーガラスをAF488と結合した二次抗マウス抗体に30分間曝した。カバーガラスを再度洗浄し、ヨウ化プロピジウム(1μg/mL PBS中)に15分間曝し核内のDNAを染色し、次いで洗浄し、スライドガラスに取り付けた。観察には顕微鏡(Keyence BZ9000)で100倍の対物レンズを用いて行った。
マウス異種移植
20週齢NSGマウス(JAXTM Mice strain NOD.Cg-Prkdcscid l2rgtm1Wjl/SzJ obtained from Charles River, Japan)の左右いずれかの側腹部の皮下に、0.2mlの50%マトリゲル(Falcon 356234)に5×10のUOK121細胞を混ぜ、移植した。腫瘍を有するマウスを4つか5つの処置群に分け、第1の実験および第2の実験はそれぞれ1つの群に3匹のマウスを有した。マウスには、2mgの2DGおよび2mgのグルコース/0.2ml PBS、または2mg HPBCD/0.2ml PBSを経口投与した。ABT−263を最初経口投与した(2mg/kg ABT−263/10%エタノール、30%ポリエチレングリコール400(Wako)、および60% Cremphore EL(Sigma))。最初、2DG/グルコース混合物を投与し、次いで2時間半後HPBCDを投与し、30分後ABTを投与した。いくつかのマウスにはこれらの試薬をすべて投与し、他はその一部を投与し、または全く投与しなかった。第1週は、マウスを2度処置した。続く3週間、マウスを週3度処置した。腫瘍のサイズは電子ノギス(volume = (length×width2)/2)で週3〜4回測定した。3匹のマウスの1群は各処置条件で処置され、翌日腫瘍のサイズを記録した。グラフのエラーバーは標準偏差を示す。UOK121異種移植されていないNSGマウスは、3つの薬物の組み合わせで処置され、体重が記録された。尾静脈からの血液を用いて、血液中の白血球、赤血球、血小板の数をHoriba Hematology Analyzer LC-152で測定し、血中グルコースレベルをMediSafe Mini(Terumo, Japan)で測定した。
実施例1.bCDの効果(インビトロ)
EGFRおよびIGF1Rの両方を発現するHeLa細胞を用いて、EGF活性化およびIGF1活性化の低下に関してbCDの効果を評価した。なお、bCDとしてはMBCDを用いた。
(方法)
(実験A)HeLa細胞を、0、1.75、3.5、および7.0mMの濃度のbCDでそれぞれ2つずつ、30分間無血清培地中培養した。それぞれの濃度の一方の培地を、20ng/mlのIGF1で20分間刺激し、他方の培地を対照群とした。細胞を収集し、AKTのリン酸化をAKTの活性化の指標とし、ホスホセリンAKTおよびAKTについてウェスタンブロット法で分析した。
(実験Bおよび実験C)HeLa細胞を、10mMのbCDで30分間無血清培地中培養し、無処置の対照群(Untreated)の培地も調製した。これらの細胞を次いで、実験Bでは0、2.5、および5.0分間、100ng/mLのEGFで、実験Cでは0、5、および10分間、10ng/ml IGF1で刺激した。細胞を収集し、EGFR、IGF1R、ERK、PI3K、およびAKT、並びに各リン酸化体についてウェスタンブロット法で分析した。PI3Kの検出については、抗PI3KクラスII抗体を用いた。
(結果)
結果を図1のA〜Cに示す。
実験Aにおいては、7mM bCDにより、IGF1がAKTへのシグナルを生成することを完全に遮断した(図1A)。
次に、実験Bおよび実験Cにおいては、bCDで処置されていないHeLa細胞は、どちらも明らかに活性化された。bCDで処置された細胞においては、EGFR、IGF1R、PI3Kのいずれも活性化したが、AKT活性化はかなり減少した(図1Bおよび図1Cの各下段のレーン)。
このように、bCDはPI3KからAKTへのシグナル伝達を妨害できると考えられる。
(考察)
・ほとんどのRTKは2つの異なるシグナル伝達カスケード:RTK−Ras−ERK増殖経路とRTK−PI3K−AKTプロサバイバル経路を活性化する。
・同時に、RTK−Ras−ERKシグナルは影響を受けないようである(図1Bおよび図1Cの2番目のボックス)。
・このように、PI3KとAKTの間のシグナル伝達を破壊し、これらのRTKで生成されるPI3K−AKTプロサバイバルシグナルを減少させ、一方Ras−ERK増殖シグナルを損なわなかった。
実施例2.bCDおよび2DG相乗効果(1)
VHL欠損腎臓癌細胞(例えば、RCC4細胞)は、IGF1Rを発現するので2DG−ABTへの感受性が低い。ここでbCDと組み合わせた2DG−ABTがその効果を増加させるかどうか確認するにあたっては、2DGが多くの癌細胞株においてAKTリン酸化を刺激することも考慮する必要がある。そこで、bCDを用いた2DGの組み合わせ治療がRCC4細胞におけるAKTリン酸化を増加させるか減少させるか、まず試験した。
一般的に2DGの効果を認識するのに1〜2時間掛かり、bCDは実施例1の結果より30分以内に作用するので、血清を含まない培地を用い、RCC4細胞は最初2DGで2時間処理し、最後の30分以内に細胞をbCDでも処理することとする。なお、bCDとしてはMBCDを用いた。
(方法A)
RCC4細胞を無血清培地で10mM 2DGを加えて、または加えずに2時間培養した。終了1時間前に、各培地の細胞の分画に10mM bCDを加えた。次いで0〜30ng/ml IGF1を加え、培養を5分間続けた後、細胞を収集し、ウェスタンブロット法で分析した。
(結果A)
結果を図2Aに示す。2DGで前処置した群では、IGF1に対して感受性を示し、2DG処置された細胞におけるAKTのリン酸化は増加した。しかし、bCDとの組み合わせ処置群では、AKTリン酸化が完全に遮断された(図2A)。これらの結果はたとえ2DGがIGF1R活性を向上させても、IGF1RからのシグナルはbCDの存在下AKTに到達しなかったことを示す。
実施例3.bCDおよび2DG相乗効果(2)
上記の実施例2では特定のRTKにおけるbCDの効果を試験するために、血清を含まない培地中細胞をインキュベートし、次いで特定の成長因子で刺激した。しかしながら、通常、血清は多重の成長因子、並びにこれらの細胞中発現する多重のRTKを活性化できるインスリンを含むので、bCD自身が血清による継続的に刺激を受ける中でPI3K−AKTシグナルを制御できるかどうか確認するため、RCC4細胞をbCDで、2DGで、およびその組み合わせで処置し、AKTのリン酸化状態を試験した。なお、bCDとしてはMBCDを用いた。
(方法B)
RCC4細胞に10%血清の存在下、10mM 2DGを加えて、または加えずに2時間培養した。終了30分前に、各培地の細胞の分画に10mM bCDを加え、次いで細胞を収集し、分析した。
(方法C)
HeLa細胞を10%血清の存在下、10mM bCDで1時間培養し、次いで細胞を洗浄し、示された時間(〜120分)10%血清を含む培地中再培養した。
(結果)
方法Bの結果を図2Bに、方法Cの結果を図2Cに示す。AKTのリン酸化は、bCDでの処置および2DGとbCDで共処置において、ほとんど完全に遮断された(図2B)。
しかしながら、bCDがない10%血清を含んだ培地へ細胞を戻した場合、AKT活性を復活するのに時間は掛からなかった(図2C)。
実施例4.IGF1による血糖値低下へのbCDの効果(インビボ)
bCD誘導体の1つであるヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPBCD)をマウスに注入して4時間後の、血循環に維持される量は約50%であることは、既にいくつかの研究で示されていた(J Inherit Metab Dis 2013, 36(3): 491-498; Toxicol Pathol 2008, 36(1):30-42)。したがって、癌療法のためにはbCDによる誘導でプロサバイバルシグナルを消滅させる利点を活かすには、アポトーシスを適正に素早く誘導される必要がある。
bCDが動物におけるPI3K−AKT経路に影響を与えるかどうか知るために、以下の実験を行った。なお、bCDとしてはHPBCDを用いた。
(方法D)
5時間絶食のマウスを40μg bCDで30分間前処置し、または前処理しなかった。それらに100ng IGF1を注入した。更に30分後にマウスのしっぽから採血して血中グルコースレベルを測定した。実験は3回行い、誤差は標準偏差を示す。マウスはすべて約20gであった。
(結果)
結果を図2Dに示す。
bCDは明らかにIGF1で誘導される低血糖を弱め、bCDが動物の体内のIGF1RとAKTとの間のシグナル伝達を部分的に遮断したことを暗示した。
実施例5.ABT誘導アポトーシス向上のためのbCDおよび2DG相乗効果
bCDを2DG−ABTと組み合わせて、アポトーシス誘導が促進されるかどうか確認した。
(方法E)
RCC4細胞の分画を10%血清の存在下、1つの分画は10mM 2DGで2時間前培養し、別の分画は10mM bCDで30分間前培養し、更に別の分画は両方で処置し、いずれも処置していない対照(Untreated)も作成した。図2E中に示された量のABT−263を加えて1時間後、すべての細胞をPBSで洗浄し、10%血清を含む通常の培地中、終夜再培養した。細胞を収集し、FACSによるPI取り込みを分析した。プロトコールを図3に示す。なお、bCDとしてはMBCDを用いた。
(結果)
結果を図2Eのグラフに示す。
1μM ABT−263を用いて、2DG−bCD−ABTの組み合わせがRCC4細胞の約95%でアポトーシスを誘導した。
1μM ABT濃度での図2Eのデータを用いて、bCDと2DGが独立して作用すると仮定して、72%細胞死として期待される結果を計算したが、実測値は97%であった。その結果を図4に示す。独立性カイ二乗検定では0.0001未満のp値を示した。このようにbCDと2DGは、ABT誘導アポトーシスに相乗的にはたらくことがわかった。
実施例6.2DG−bCD−ABTの3併用の癌細胞広域スペクトルにわたる効果
まず、実験Aにて各種癌細胞株上のAKTプロサバイバルシグナルにおけるbCDの効果を試験し、A431類表皮癌細胞においては、実験BにてEGF、ERK1/2、PI3K、並びに各リン酸化体についてウェスタンブロット法で分析した。次に実験Cにて、ABTと組み合わせた場合のアポトーシス効果を確認した。なお、bCDとしてはMBCDを用いた。
(方法)
(実験A)HeLa子宮頸部癌細胞、UOK121腎臓癌細胞、Panc−1膵臓癌細胞、およびA431扁平上皮癌細胞の各細胞を、培地内に25mMグルコースの存在下、無処置、10mM 2DGでの前処置、最後の30分間の10mM bCDで共インキュベート、およびそれらの両方の処置を行い、細胞を集め、ウェスタンブロット分析した。
(実験B)(実験A)でのA431細胞溶菌液の同サンプルを、EGFR活性化、ERK1/2活性化、およびPI3K活性化について分析した。A431細胞におけるPI3K検出に関しては、抗PI3K p85オリゴクローナル抗体(6HCLC)を用いた。
(実験C)(実験A)と同様に処置された無処置の細胞、2DGとbCDで処置された細胞、1μM ABTで2時間インキュベートした細胞、および2DGとbCDの処置およびABTの処置をすべて行った細胞を調製した。細胞を集め、生細胞をトリパンブルー染色排除アッセイでカウントした。エラーバーは3サンプルからの標準偏差を示す。
(結果)
期待どおり、bCDはHeLa子宮頸部癌細胞、UOK121腎臓癌細胞、Panc−1膵臓癌細胞、およびA431扁平上皮癌細胞におけるAKTリン酸化を弱め、すべてにおいて、bCDがAKTプロサバイバルシグナルを弱めた(図5A)。
実験Aで用いた癌細胞の中で、EGFRを過剰発現することが知られたA431扁平上皮癌細胞を用いて、bCDと2DGでの処置の効果を確認した実験Bの結果より、EGFR、ERK1/2、PI3Kは、いずれも活性化された(図5B)。
しかしながら、実験Cの結果では、ABTを含めた3剤の組み合わせにより、すべての細胞株で非常に効果的にアポトーシスを誘導したことから、実験Aと実験Bの結果を考慮すれば、AKTプロサバイバルシグナルを弱めることで、ABTのアポトーシス誘導活性が高められることが示唆された。
なお、実験Cの結果で、Panc−1細胞においては、2DGとbCDの2剤で処置された結果と、ABTを含めた3剤の結果に顕著な差はなかったが、これはPanc−1細胞がABTを細胞内に取り込まない構成となっているためと考えられる。
実施例7.2DG−bCD−ABTの3併用におけるアポトーシス誘導のメカニズムの解析
2DGとbCDに相乗効果は上記の結果から非常に高い確率であるといえるが、これを分子生物学的に確立するため、実際にどの分子上でその相乗効果がみられるかを検索するため次の実験を組み立てた。最初にBakと供沈するタンパク質を集め、ウェスタンブロット法で、どの時点でMcl−1及びBcl−xLがBak結合体から失われるかを同定し、またどの時点でシトクロムcがミトコンドリアから放出されるかを光学顕微鏡で観察した。
(方法)
(AおよびB)RCC4細胞を、実施例6と同様の方法で、2DG、bCD、2DG+bCD、または無処置で処置した。約20μgの全細胞溶菌液(WCL)をウェスタンブロットで分析した。BakおよびBcl−xL結合するタンパク質を約200μgの細胞溶菌液から免疫沈降し、ウェスタンブロットで分析した。
(C)20μM 汎カスパーゼ阻害剤z−VADを含むまたは含まない3μMのABTを、2時間2DGおよびbCDの組み合わせで前処置した細胞に加え、カスパーゼ9についてウェスタンブロットで分析した。切断したカスパーゼ9をcC9で表示した。
(D)最後の2つのサンプルから200μgを用いてBak結合タンパク質を沈殿し、BcL−xLおよびBakについてブロットした。
(E)2DG−bCDで処置されたRCC4細胞(左のパネル)、2DG−bCD−ABTで処置されたRCC4細胞(中央のパネル)、および20μM 汎カスパーゼ阻害剤z−VADの存在下2DG−bCD−ABTで処置されたRCC4細胞(右のパネル)を、抗シトクロムc抗体およびGFP抱合抗マウス抗体を用いて免疫染色した。核をヨウ化プロピジウムで赤染色した。
2DGおよびbCDの両方で処置された細胞に現れる点状の緑のスポット(左のパネル)は、ミトコンドリアに局在するシトクロムcを表し、中央と右のパネルの両方の除かれた染色は、ミトコンドリアから放出されたシトクロムcを示す。
Note: シトクロムcはABTが加えられた後のみ生じる。本件および他の実験のプロトコールの図式的な詳細は図3にある。
(結果)
結果を図6のA〜Eに示す。
Mcl−1−Bakの関係は消失した(図6A)。
それとは対照的に、ABTはBcl−xLと直接結合して、Bak−Bcl−xL複合体の解離の原因となった(図6D)。その場合だけ、カスパーゼ9が活性化された(図6C)。
このように、シトクロムcの放出は、ABTの添加後のみ起こり、カスパーゼ阻害剤の存在下、すなわち、カスパーゼ活性化がない状況でも起こった(図6DおよびE)。シトクロムc放出に続いて、カスパーゼ9が活性化された。
フルのシトクロムcの放出と、フルのカスパーゼ9活性化の両方がABT添加の2時間以内に観察され、最初に2DGを投入してから4時間以内でアポトーシスの最終段階に入ったことを我々は注目する。
これらの結果から、アポトーシス抑制因子の一つ、Mcl−1がBakから離れ、細胞が細胞死に感作されるには、2DGとbCDの両方が必要なことがわかった。つまり2DGとbCDの相乗作用でMcl−1がBak結合体から解き放された。さらにABTを加えると、ABTはBcl−xLに結合しBak結合体から失われ、すべての抑制因子から解き放されたBakは活性化し、シトクロムcをミトコンドリアから放出し、細胞死が始まることもわかった(図3C参照)。
実施例8.インビボでの2DG−bCD−ABTによる腫瘍退縮の効果
(方法)
(A)ヒト由来癌細胞であるUOK121細胞をマウスに移植し、7日目に図3のインビボのプロトコールに従い治療を開始した。治療群は、無処置、2DG−ABT、HPBCD、および2DG−HPBCD−ABTで行った。処置は更に2度行い、腫瘍の大きさを記録した。エラーバーは標準偏差を示す。なお、2DG−HPBCD−ABTで治療されたマウスに限り、50日目に4度目の治療をした。
(B)(A)の高次評価として、(A)と同様の試験について、マウスを無処置、2DG−ABT、HPBCD、HPBCD−ABT、および2DG−HPBCD−ABTの5つの治療群に分け、10日目から30日目の間に8回処置した。
(結果)
3剤の組み合わせで処置された群だけで、腫瘍退縮が観察された(図7A)。他のすべてのマウスは、腫瘍が600mm以上に成長したので、殺処分した。最初の2週間3剤の組み合わせで処置された群では、腫瘍は小さいままだった(60mm未満)。マウスはその後の数週間処置せずに放置したところ、その間腫瘍はゆっくり成長し、遂には50日で400mmに達した。
更に高次評価として行った結果では、図7Aの評価と同じく、3剤の組み合わせで処置されたマウスだけが治療に応答があり、腫瘍が小さいままだった(図7B)。他の治療群すべてのすべてのマウスにおける腫瘍が成長し、腫瘍は6週目までに600−1200mmの範囲のサイズだった。これとは対照的に、3剤の組み合わせ群におけるマウスでは腫瘍はゆっくりと成長した。
実施例9.膵臓癌細胞における2DG−bCD−TRAILのアポトーシス誘導の効果
我々は2DG−bCDが効率的な癌治療に、FasやTNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)などのような、Bcl−2アンタゴニスト以外のアポトーシス誘導因子と組み合わせてできると仮説を立てた。bCDが単独または2DGと一緒になって、誘導のシトクロムc放出のためにミトコンドリアを明らかに感受性にしながら、bCDがカスパーゼ 8のデスレセプター活性化を妨げないことを暗示する報告がある(Molecular and cellular biology 2002, 22(1):207-220)。したがって、タイプII細胞中、アポトーシスの外因および内因の両経路が活性化され得るよう、TRAILはミトコンドリアを感受性にさせるのに有効であり得る。上記のことを確認するため、以下の実験を行った。
(方法)
(A)Panc−1細胞を標準的な2DG−bCD−TRAILプロトコール(図3)で処置した。生細胞を死細胞とトリパンブルー色素排除アッセイで識別し、生細胞をカウントし、グラフにした。実験は3剤の組み合わせで行い、エラーバーは標準偏差を示す。
(B)Panc−1細胞のウェスタンブロットは、無処置、TRAIL処置、2DG−bCDの組み合わせ処置、および図3に示す2DG−bCD−TRAILの組み合わせ処置で行った。細胞を6時間で収集した。実験は3回繰り返し、同様の結果を得た。
(結果)
結果を図8に示す。TRAILは10ng/mlの濃度で、Panc−1細胞において実質的に効果はなかった。しかしながら、これらの細胞を2DG−bCDで前処理した場合、同じ10ng/mlのTRAILは90%の細胞においてアポトーシスを誘導するのに十分であった。したがって、2DG−bCDはTRAILを介したアポトーシスのために、Panc−1細胞を明確に感受性にし、このことは2DG−bCD−TRAILが膵臓癌の効果的な治療であり得ることを暗示した。
実施例10.シクロデキストリンの種類による効果の違い
腎がん由来のUOK121細胞をもちいてα−、β−、およびγ−シクロデキストリンが及ぼす、AKT活性化と2DG−ABTのアポプトーシス誘導効果を確認した。
(方法)
(実験A)UOK121細胞に10%血清の存在下、それぞれ5および10mMの濃度のα−、β−、およびγ−シクロデキストリンを加え45分間培養した。シクロデキストリン無添加の対照も同様に培養した。細胞を収集し、AKTおよびERK1/2のリン酸化をAKTおよびERK1/2の活性化の指標とし、ウェスタンブロット法で分析した。
(実験B)UOK121細胞を培地内に25mMグルコースの存在下、10mM 2DGを加えて、1.5時間インキュベートし、10mMのα−、β−、およびγ−シクロデキストリンをそれぞれ加え、30分間インキュベートし、その後、0.3μMのABT−263を加え、さらに2時間インキュベートした。別途、2DGもABT−263も無添加でα−、β−、およびγ−シクロデキストリンだけをそれぞれ加えた対照、並びにすべて無添加の対照を作成した。すべての細胞をシクロデキストリン添加して2.5時間後(ABT−263添加2時間後)、培地で2回洗い、翌日生きている細胞の数をトリパンブルー染色排除アッセイで測定した。
(結果)
結果を図9のAおよびBに示す。
実験Aにおいては、β−シクロデキストリンにより処理された細胞のみ、AKTの活性化が低下した(図9A)。実験Bおいても、β−シクロデキストリンで処置されたUOK121細胞には明らかにDG−ABTとの併用効果が上昇したが、α−およびγ−シクロデキストリンでは併用による改善効果はほとんど観察されなかった(図9B)。

Claims (7)

  1. β−シクロデキストリンまたはその誘導体、および2−デオキシグルコースを含む抗腫瘍剤であって、
    β−シクロデキストリンの誘導体が、メチル−β−シクロデキストリン(MBCD)、(2−ヒドロキシプロピル)−β−シクロデキストリン(HPBCD)、カルボキシメチル−β−シクロデキストリン、カルボキシメチル−エチル−β−シクロデキストリン、ジエチル−β−シクロデキストリン、ジメチル−β−シクロデキストリン、グルコシル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシブテニル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、マルトシル−β−シクロデキストリン、ランダム メチル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、2−セレニウム架橋−β−シクロデキストリン、および2−テルリウム架橋−β−シクロデキストリンから選択される、抗腫瘍剤
  2. 更に1つまたは2つ以上の他の抗腫瘍剤を含むことを特徴とする、請求項1の抗腫瘍剤。
  3. 他の抗腫瘍剤がアポトーシス誘導作用を有する抗腫瘍剤である、請求項2の抗腫瘍剤。
  4. 2−デオキシグルコースの投与と同時、または前もしくは後にβシクロデキストリンまたはその誘導体が投与される、請求項1〜3のいずれかの抗腫瘍剤。
  5. 2−デオキシグルコースを投与し、1〜2時間後にβ−シクロデキストリンまたはその誘導体が投与される、請求項1〜3のいずれかの抗腫瘍剤。
  6. 他の抗腫瘍剤の投与と同時、または前もしくは後にβシクロデキストリンまたはその誘導体が投与される、請求項2〜5のいずれかの抗腫瘍剤。
  7. アポトーシス誘導作用を有する抗腫瘍剤が、抗アポトーシスタンパク質であるMcl−1やBcl−xLからBakを解離する作用を有する薬剤、Fas関連アポトーシス誘導リガンド、およびTNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)から選択される、請求項3〜のいずれかの抗腫瘍剤。
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