実施の形態1.
図1、図2、および図3は、それぞれ、この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置の左側面図、正面図、および斜視図である。この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置の構成について、図1〜図3により説明する。
図1〜3において、10は、導体で構成された自立する鉄塔であり、鉄塔10は、3本の、同じ長さの導体の柱(以下、励振用導体柱という)10a〜10cを有し、隣接するものどうし、複数の補助導体10xで連結されている。励振用導体柱10a〜10cは、それぞれ、鉄塔10を支え、安定させるために、地面に設けられた構造物である基礎20に、絶縁ブロック30a〜30cを挟んで一方の端が固定されている。励振用導体柱10a〜10cの他方の端はそれぞれ同じ高さとなっている。励振用導体柱10a〜10cは、補助導体10xで連結されたことにより互いに支えあい、支線等による支え無しで地上に直立している。鉄塔10は、絶縁ブロック30a〜30cにより、地面および基礎20から絶縁されている。
50は、複数の金属線を網目状に接続した地線と呼ばれる接地導体であり、鉄塔10付近の地表面60を覆っている。また、鉄塔10の基底部付近のそれぞれの励振用導体柱10a〜10cの固定された一方の端の付近から、同軸ケーブル40を介して、決められた周波数(以下励振周波数と言う)の高周波信号が同相で給電される。この様に構成し、鉄塔10の高さを、給電される高周波信号の電波の波長(以下励振波長と言う)のおよそ1/4にすることにより、鉄塔10全体で1つの垂直偏波のモノポールアンテナの励振部として動作させることができる。励振用導体柱10a〜10cに同相で給電することにより、励振用導体柱10a〜10cの間を水平または斜めに接続し固定する補助導体10xの両端に生じる電位差が小さくなり、補助導体10xに流れる電流を抑圧することができる。これにより、鉄塔10に流れる電流の総和の水平方向成分が小さくなるため、不要な水平偏波利得、即ち交差偏波利得を抑圧することができる。
図4は、この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置の平面図であり、図5は、鉄塔10の基底部付近を拡大した斜視図である。鉄塔10の電気的接続を、図4および図5により説明する。尚、図5においては、図を見やすくするため、鉄塔10の補助導体10x、信号中継導体8の支持構造、および地線固定枠70に固定される地線5は図から省略している。
励振用導体柱10a〜10cは、上方から見て(図1にAで示す方向に見て)同一円周上、かつ等角度間隔に配置されている。地線固定枠70は、鉄塔10を固定する基礎20の周囲に設けた導体枠であり、地線50は、この地線固定枠70に固定され、電気的に導通される。同軸ケーブル40の芯線は、鉄塔10の基底部に設けられた、信号中継導体80に金属線90aを介して接続される。信号中継導体80は、上方から見て、信号中継導体80と金属線90aとの接点を中心とした同一円周上、かつ等角度間隔に配置された3個の接続端子を備え、等長の金属線90b〜90dを介してそれぞれ励振用導体柱10a〜10cの(鉄塔10の基底部付近の)一方の端から同じ高さとなる部分に接続される。また、同軸ケーブル40の外導体は、接地中継導体81に、金属線91aを介して接続される。接地中継導体81は、鉄塔10の基礎20に設けられており、信号中継導体80とは絶縁されている。接地中継導体81には上方から見て、接地中継導体81と金属線91aとの接点を中心とした同一円周上、かつ等角度間隔に配置された3個の接続端子を備え、等長の金属線91b〜91dを介して地線固定枠70に接続される。
図6は、図4および図5のように接続されたアンテナ装置の等価回路であり、電気的な動作を模式的に示した図である。41は、同軸ケーブル40による仮想的な給電点である。同軸ケーブル40の外導体は、接地中継導体81の中心に接続され、等長の金属線91b〜91dを介し、地線50と導通する地線固定枠70に接続される構成であるため、給電点41は、等価的に1点で地線50に接地される。また、同軸ケーブル40の芯線は、信号中継導体80の中心に接続され、等長の金属線90b〜90dを介して基底部付近で励振用導体柱10a〜10cに接続されている。このため、例えば、給電点41に励振用導体柱10a〜10cの側の電位が低くなる電位差を生じるように給電すると、図6に矢印で示すように、地線50から給電点41を経由し、同位相の電流が励振用導体柱10a〜10cに流れる。逆に、励振用導体柱10a〜10cの側の電位が高くなる電位差を生じるように給電すると、同位相の電流が励振用導体柱10a〜10cから給電点41を経由して地線50に流れる。この様に、等位相で鉄塔10の励振用導体柱10a〜10cに給電することにより、励振用導体柱10a〜10cの互いの電位が任意の高さで等しくなり、流れる電流の位相が等しくなるため、鉄塔10は、1つの垂直偏波のモノポールアンテナとして動作する。更に、励振用導体柱10a〜10cの任意の高さで互いに電位が等しいため、鉄塔10を自立させるために励振用導体柱10a〜10cの間を補助導体10xを用いて水平または斜めに接続して互いに固定しても、補助導体10xの両端の電位差は小さく、流れる電流も小さいため、不要な水平偏波利得、即ち交差偏波利得は抑圧される。
この様に、3本の励振用導体柱10a〜10cを有する鉄塔10を用いて上記の様に構成することにより、垂直偏波のモノポールアンテナの励振部として動作し、支線等を用いなくても自立して直立させることができ、部材の費用、設置やメンテナンスの手間や費用が少ない大型の垂直偏波のモノポールアンテナの励振部を得ることができる。
尚、信号中継導体80と励振用導体柱10a〜10cとを接続する金属線90b〜90d等の数は何本でも良い。特に、信号中継導体80と励振用導体柱10a〜10cとを接続する金属線90b〜90d等の数が、主導体の本数の整数倍であって、上方から見て等角度間隔で放射状に接続する場合、モノポールアンテナの交差偏波成分を抑圧する効果がある。また、鉄塔10は風による自己共振を防ぐため、基底部から頂部へと向かって鉄塔10の断面が連続的に、あるいは段階的に小さくなる、テーパつきの三角柱構造としても良い。絶縁ブロック30a〜30cは、1つの大きな絶縁板であってもよい。地線50は四角形の網の目状に布設されていたが、他の多角形形状や、鉄塔10を中心として放射状に布設されていても良い。基礎20、地線固定枠70、信号中継導体80、接地中継導体81は三角形であるものを示したが、他の多角形や円形であっても良い。基礎20がコンクリート等の絶縁体から成り、地面と絶縁されていれば、絶縁ブロック30a〜30cは無くても良い。接地導体50は接地されていなくても良い。交差偏波利得の抑圧が設計要件で無ければ、励振用導体柱10a〜10cは同じ高さでなくても良く、また、金属線91b〜91dは、各々一本以上の任意の数であれば良い。
また、励振用導体柱10a〜10cは、地線50から絶縁されていれば良い。このため、基礎20に励振用導体柱10a〜10cを固定する際に、絶縁ブロック30a〜30cを挟まずに、基礎20の周囲を絶縁物で覆うことにより、地面や地線50との間を絶縁するようにしても良い。さらに、基礎20により安定的に励振用導体柱10a〜10cと地線50との間の絶縁が保てるようであれば、励振用導体柱10a〜10cを直接基礎20に埋め込んで固定しても良い。
実施の形態2.
実施の形態1では、鉄塔10が3本の同じ長さの励振用導体柱10a〜10cにより直立する構成を示したが、鉄塔10が直立するためには、励振用導体柱の数は、3本以上任意の本数で良い。また、鉄塔10が、3本以上の任意の本数の場合、図6と同様、鉄塔10を構成するそれぞれの導体柱の任意の高さで流れる電流の位相が等しくなればよい。この例として、鉄塔10が4本の導体柱10a〜10dを有する場合の例を説明する。
図7は、この発明の実施の形態2に係るアンテナ装置の斜視図である。図7では、鉄塔10は、4本の、同じ長さの励振用導体柱10a〜10dを有する。また、50は、図1等に示されたものと同様の、地線と呼ばれる地表導体であり、鉄塔10付近の地表面60を覆っている。鉄塔10の励振用導体柱10a〜10dは、基礎20に、絶縁ブロック30a〜30dを挟んで一方の端が固定され、このため、絶縁ブロック30a〜30dにより、地面および基礎20から絶縁されている。また、鉄塔10の基底部付近の、それぞれの励振用導体柱10a〜10dの基礎20に固定された一方の端からは、同軸ケーブル40から、高周波信号が同相で給電される。鉄塔10の4本の励振用導体柱10a〜10cは、隣接するものどうし、複数の補助導体10xで連結されている。励振用導体柱10a〜10dは、それぞれ、基礎20に固定され、補助導体10xで連結されたことにより互いに支えあい、支線等の支え無しで地上に直立している。
図8は、鉄塔10が4本の励振用導体柱10a〜10dを有する場合のアンテナ装置の平面図である。導体柱10a〜10dは、上方から見て同一円周上、かつ等角度間隔に配置されている。同軸ケーブル40の芯線は、鉄塔10の基底部の中心に設けられた、信号中継導体80に金属線90aを介して接続される。信号中継導体80は、上方から見て信号中継導体80と金属線90aとの接点を中心とした同一円周上、かつ等角度間隔に配置された4個の接続端子を備え、鉄塔10の基底部付近で等長の金属線90b〜90eを介して励振用導体柱10a〜10dに接続される。また、同軸ケーブル40の外導体は、塔10の基礎20に設けられており、信号中継導体80とは絶縁された、接地中継導体81に、金属線91aを介して接続される。接地中継導体81には上方から見て接地中継導体81と金属線91aとの接点を中心とした同一円周上、かつ等角度間隔に配置された4個の接続端子を備え、等長の金属線91b〜91eを介して地線固定枠70に接続される。
図7および図8のように構成されたアンテナ装置の等価回路は、励振用導体柱が10a〜10dの4本であることを除き、図6と同様であり、等位相で鉄塔10の励振用導体柱10a〜10dに給電することにより、励振用導体柱10a〜10dの任意の高さで流れる電流の位相が等しくなるため、鉄塔10は、1つのモノポールアンテナとして動作する。また、鉄塔10の励振用導体柱の本数が5本以上となった場合であっても、同様に対称な構造の信号中継導体80により等長の金属線を介して給電することにより、それぞれの励振用導体柱の任意の高さで流れる電流の位相を等しくし、垂直偏波のモノポールアンテナの励振部とすることができる。
この様に、4本以上の任意の本数の励振用導体柱を有する鉄塔10を用いて上記の様に構成することにより、垂直偏波のモノポールアンテナとして動作し、支線等を用いなくても自立して直立させることができ、部材の費用、設置やメンテナンスの手間や費用が少ない大型のモノポールアンテナを得ることができる。
実施の形態3.
実施の形態1および2では、3本以上の励振用導体柱を有する鉄塔10により、励振部を備えたアンテナ装置を構成する構成を示したが、さらに、3本以上の導体柱を有する鉄塔により、無給電素子である反射部を備えたアンテナ装置の構成を示す。
図9は、この発明の実施の形態3に係るアンテナ装置の左側面図であり、図10は、この発明の実施の形態3に係るアンテナ装置の斜視図である。図9および図10において、鉄塔10は、図1〜図3に示したものと同様の鉄塔であり、鉄塔10の基底部付近で基礎20に絶縁ブロック30a〜30cを挟んで一方の端を固定された励振用導体柱10a〜10cの固定された一方の端付近から同軸ケーブル40により所定の励振周波数の高周波信号を給電することで励振部としたものである。地線50、地表面60は、図1〜3と全く同様である。
11は、導体で構成された自立する鉄塔であり、励振部から、このアンテナ装置を指向させようとする方向(このアンテナ装置が電波を送信する方向または、このアンテナ装置が受信しようとする電波が到来する方向)の反対側に、所定の距離だけはなれて設置されている。モノポール型アンテナによる励振部と反射部を備えたアンテナ装置の場合、励振部と反射部の間の距離は、励振周波数の電波の波長である励振波長の1/4以下とすることが多いが、アンテナ装置に要求される利得の値等により調整される。鉄塔11は、地線50との接続部から頂部の端までの長さが励振波長の1/4よりやや長い、同じ長さの3本の接地された導体の柱(以下、接地導体柱という)11a〜11cを有し、隣接するものどうし、複数の補助導体11xで連結されている。接地導体柱11a〜11cは、鉄塔11の基底部付近で、それぞれの一方の端を、鉄塔11を支え、安定させるために地面に設けられた構造物である基礎21の内部に埋め込まれて固定され、他方の端はそれぞれ同じ高さとなっている。接地導体柱11a〜11cは、一方の端が固定され、互いに補助導体11xで連結され支えあうことで、支線等による支え無しで地上に直立している。
図11は、鉄塔11の平面図であり、図12は、鉄塔11の基底部付近を拡大した斜視図である。鉄塔11の電気的接続を、図11および図12により説明する。尚、図12においては、図を見やすくするため、鉄塔11の補助導体11xおよび地線固定枠71に固定される地線5は図から省略している。
接地導体柱11a〜11cは、上方から見て(図9にBで示す方向に見て)同一円周上、かつ等角度間隔に配置されている。地線固定枠71は、鉄塔11を固定する基礎21の周囲に設けられた導体枠であり、地線50は、この地線固定枠71に固定され、導通している。それぞれの接地導体11a〜11cは、等長の金属線92a〜92cによりそれぞれ地線固定枠71に接続されることにより、接地されている。接地導体柱11a〜11cは、それぞれの接地点からの長さが等しい、励振波長の1/4より長い導体であるため、励振周波数で共振するときも、それぞれの任意の高さにおける電位が等しくなり、垂直偏波のモノポール反射部として動作する。
この様に、3本の、接地導体柱11a〜11cを有する鉄塔11を用いて上記の様に構成することにより、垂直偏波のモノポールアンテナの反射部として動作し、支線等を用いなくても自立して直立させることができ、部材の費用、設置やメンテナンスの手間や費用が少ない大型の垂直偏波のモノポールアンテナ反射部を得ることができる。
尚、上記の例では、3本の接地導体柱11a〜11cを有する鉄塔11について説明したが、鉄塔11が支線等の支え無しに直立することにおいては、鉄塔11が、4本の接地導体柱11a〜11dを有する場合でも、また、5本以上の接地導体柱を有する場合でも全く同様である。さらに、接地導体柱の設置方法についても、鉄塔11が、4本の接地導体柱11a〜11dを有する場合でも、図13のように、等長の金属線により、接地点からの接地導体柱11a〜11dの長さが同じになるよう設置することができる。また、鉄塔11が、5本以上の接地導体柱を有する場合でも、図13と同様にして、等長の金属線により、それぞれの接地導体柱の接地点からの長さが同じになるよう設置することができる。
この様に、3本以上の任意の本数の接地導体柱を有する鉄塔11を用いて上記の様に構成することにより、垂直偏波のモノポールアンテナの反射部として動作し、支線等を用いなくても自立して直立させることができ、部材の費用、設置やメンテナンスの手間や費用が少ない大型のモノポールアンテナの反射部を得ることができる。
実施の形態4.
実施の形態3では、3本以上の導体柱を有する鉄塔10による励振部および3本以上の導体柱を有する鉄塔11による反射部を備えたアンテナ装置の構成を示したが、アンテナ装置として使用する高周波信号の周波数が2つ以上となる場合(同軸ケーブル40を介して、励振部給電される高周波信号の励振周波数が2つ以上有る場合)、それぞれの励振周波数に対応した反射部を設けることができる。
図14は、この発明の実施の形態4に係るアンテナ装置の左側面図であり、図14において、鉄塔10は、図1〜図3に示したものと同様の鉄塔である。鉄塔10は、鉄塔10の基底部付近で基礎20に絶縁ブロック30a〜30cを挟んで一方の端を固定した励振用導体柱10a〜10cに、固定した一方の端付近から同軸ケーブル40により所定の2つの周波数(第1の励振周波数および第2の励振周波数)の高周波信号を給電することで励振部としたものである。尚、以下の説明のため、ここでは、第1の励振周波数より第2の励振周波数が高いものとするが、どちらの周波数が高いものとしても、一般性を失うものではない。
鉄塔11は、図9および図10に示されたものと同様であり、一方の端が鉄塔11の基底部付近で基礎21に固定され、基底部付近で接地された、11a〜11cなどの3本以上の接地導体柱により、第1の励振周波数に対する反射部である、第1の反射部を構成するものである。鉄塔11の接地導体柱11a〜11cなどの地線50との接続部から頂部の端までの長さは、第1の励振周波数の電波の波長である第1の励振波長の1/4より長くなっている。また、鉄塔11Aは、鉄塔11と同様の鉄塔であるが、一方の端が鉄塔11Aの基底部付近で基礎21Aに固定され、基底部付近で接地された、11e〜11gなどの3本以上の接地導体柱により、第2の励振周波数に対する反射部である、第2の反射部を構成するものである。鉄塔11Aの接地導体柱11e〜11gなどの地線50との接続部から頂部の端までの長さは、第2の励振周波数の電波の波長である第2の励振波長の1/4より長くなっている。このため、一般には、第2の鉄塔は、第1の鉄塔よりも長さが短いものとなる。
鉄塔11および鉄塔11Aは、導体で構成された自立する鉄塔であり、励振部から、このアンテナ装置を指向させようとする方向(このアンテナ装置が電波を送信する方向または、このアンテナ装置が受信しようとする電波が到来する方向)の反対側に、所定の距離だけ離れて設置されている。また、モノポール型アンテナによる励振部と反射部を備えたアンテナ装置の場合、励振部と反射部の間の距離は、それぞれの励振振波長の1/4以下とすることが多いが、アンテナ装置に要求される利得の値等により調整される。このため、第1の励振周波数より第2の励振周波数が高い場合、一般には、このアンテナ装置を指向させようとする方向から励振部、第2の反射部、第1の反射部の順に一列に並べられる。
鉄塔11や11Aが支線等による支え無しで地上に直立していること、鉄塔11が第1の励振周波数の電波に対して反射部として働くこと、鉄塔11Aが第2の励振周波数の電波に対して反射部として働くことは、実施の形態3で説明したことと全く同様である。また、第1の励振周波数と第2の励振周波数が十分離れた周波数である場合、第1の周波数において鉄塔11Aは、励振部10に対してあまり影響せず、鉄塔10と鉄塔11が励振部と反射部として動作する。また、第2の周波数において鉄塔11は、励振部10に対してあまり影響せず、鉄塔10と鉄塔11Aが励振部と反射部として動作する。このため、鉄塔10に加えて鉄塔11および11Aを用いることにより、2つの励振周波数のそれぞれに対して、垂直偏波のモノポールアンテナの励振部と反射部として動作し、支線等を用いなくても自立して直立させることができ、部材の費用、設置やメンテナンスの手間や費用が少ない大型の垂直偏波のモノポールアンテナを得ることができる。
実施の形態5.
実施の形態3では、3本以上の導体柱を有する鉄塔11により、無給電素子である反射部を備えたアンテナ装置の構成を示したが、実施の形態5では、3本以上の導体柱を有する鉄塔10により、無給電素子である導波部を備えたアンテナ装置の構成を示す。一般的に、反射部には縦方向に励振波長の1/4よりやや長い電流経路長が必要であり、励振波長の1/4より短くなると導波部となり、さらに短くなるに従って電気的な影響は小さくなる。このため、導波部として使用する鉄塔は、その長さが、必要な電気的性能に従い、接地している部分から励振波長の1/4より短くなる範囲で調整される。
図15は、この発明の実施の形態4に係るアンテナ装置の左側面図であり、図16は、実施の形態4に係るアンテナ装置の斜視図である。図15および図16において、鉄塔10は、図1〜図3に示したものと同様の鉄塔であり、鉄塔10の基底部付近で基礎20に絶縁ブロック30a〜30cを挟んで一方の端が固定された励振用導体柱10a〜10cに、固定された一方の端付近から同軸ケーブル40により所定の励振周波数の高周波信号を給電することで励振部としたものである。
12は、導体で構成された自立する鉄塔であり、励振部から、このアンテナ装置を指向させようとする方向(このアンテナ装置が電波を送信する方向または、このアンテナ装置が受信しようとする電波が到来する方向)に、所定の距離だけ離れて設置されている。モノポール型アンテナによる励振部と導波部を備えたアンテナ装置の場合、励振部と導波部の間の距離は、励振周波数の電波の波長(励振波長)の1/4以下とすることが多いが、アンテナ装置に要求される利得の値等により調整される。鉄塔12は、地線50との接続部から頂部の端までの長さが励振波長の1/4より短い、同じ長さでそれぞれの頂部が同じ高さになるよう揃えて組まれた、12a〜12cなど3本以上の接地導体柱を有し、隣接する接地導体柱どうし、複数の補助導体12xで連結されている。接地導体柱12a〜12cは、鉄塔12の基底部付近で、それぞれの一方の端が、鉄塔を支え、安定させるために地面に設けられた構造物である基礎22の内部に埋め込まれて固定されている。接地導体柱12a〜12cは、一方の端が固定され、互いに補助導体12xで連結され支えあうことで、支線等による支え無しで地上に直立している。
接地導体柱12a〜12cは、図11あるいは図13と同様に、鉄塔12を固定する基礎22の周囲に設けられ、地線50が固定されている図示しない地線固定枠72に等長の金属で接続されることにより、それぞれの接地点からの長さが同じになっている。接地導体柱12a〜12cは、それぞれの接地点からの長さが等しく、励振波長の1/4より短い導体であるため、励振周波数で共振するときも、それぞれの任意の高さで流れる電流の位相が等しくなり、垂直偏波のモノポール導波部として動作する。
この様に、12a〜12cなどの3本以上の接地導体柱を有する鉄塔12を用いて上記の様に構成することにより、垂直偏波のモノポールアンテナの導波部として動作し、支線等を用いなくても自立して直立させることができる、部材の費用、設置やメンテナンスの手間や費用が少ない大型の垂直偏波のモノポールアンテナ導波部を得ることができる。
実施の形態6.
図17は、この発明の実施の形態6に係るアンテナ装置の左側面図である。図17において、鉄塔10は、図1〜図3に示されたものと同様の鉄塔10であり、鉄塔10の基底部付近で基礎20に絶縁ブロック30a〜30cを挟んで固定された励振用導体柱10a〜10cを有し、励振用導体柱10a〜10cが固定された一方の端付近から同軸ケーブル40により所定の励振周波数の高周波信号を給電されることで励振部として動作するものである。
鉄塔11は、図9および図10に示されたものと同様の鉄塔11であり、鉄塔11の基底部付近で基礎21に一方の端を固定された、11a〜11cなどの3本以上の接地導体柱により、反射部を構成するものである。鉄塔11を構成する接地導体11a〜11cなどは、地線50との接続部から頂部の端までの長さが励振波長の1/4より長く、基礎21に固定された一方の端付近で接地されている。また、鉄塔12は、図15および図16に示されたものと同様の鉄塔12であり、鉄塔12の基底部付近で基礎22に一方の端を固定された、12a〜12cなどの3本以上の接地導体柱により、導波部を構成するものである。鉄塔12を構成する接地導体柱12a〜12cなどは、地線50との接続部から頂部の端までの長さが励振波長の1/4より短く、基礎22に固定された一方の端付近で接地されている。反射部は、励振部からこのアンテナ装置を指向させようとする方向の反対側に、導波部は、励振部からこのアンテナ装置を指向させようとする方向に配置するため、このアンテナ装置を指向させようとする方向に向かって、鉄塔11、鉄塔10、鉄塔12の順に一直線上に配置される。
鉄塔10、11、および12それぞれの励振部、反射部、および導波部としての動作は、実施の形態1から4に記載したとおりである。鉄塔10、11、および12が、それぞれ支線無しに自立することも、実施の形態1から4に記載したとおりである。このため、鉄塔10〜12を用いる構成により、大型の垂直偏波のモノポールアンテナであり、支線等を用いなくても自立する、部材の費用、設置やメンテナンスの手間や費用が少ない、励振部、反射部、および導波部を備えたアンテナ装置を得ることができる。
実施の形態7.
図18は、この発明の実施の形態7に係るアンテナ装置の左側面図、図19は、斜視図である。この発明の実施の形態7に係るアンテナ装置の構成について、図18および図19により説明する。
鉄塔11は、図9および図10で示されたと同様の、反射部として用いられる、導体で構成された自立する鉄塔であり、11a〜11cなどの同じ長さの3本以上の接地導体柱を有する。鉄塔11が有する接地導体柱11a〜11cなどは、鉄塔11の基底部付近でそれぞれの一方の端を、鉄塔を支え、安定させるために地面に設けられた構造物である基礎21の内部に埋め込まれて固定されている。また、鉄塔12は、図14および図15で示されたと同様の、導波部として用いられる、導体で構成された自立する鉄塔であり、12a〜12cなどの同じ長さの3本以上の接地導体柱を有する。鉄塔12が有する接地導体柱12a〜12cなどは、鉄塔12の基底部付近でそれぞれの一方の端を、鉄塔を支え、安定させるために地面に設けられた構造物である基礎22の内部に埋め込まれて固定されている。
100は、樹脂等の絶縁物で構成された梁や支線等の支持部材であり、鉄塔11および鉄塔12に、固定具101aおよび101bにより固定されている。15は、モノポールアンテナの励振部となる励振用導体であり、その地上の基礎25に固定されている一方の端付近から、同軸ケーブル40により、決められた励振周波数の高周波信号が給電される。同軸ケーブル40の芯線は地表付近で励振用導体15に接続され、外導体は地線50に接続される。また、励振用導体15は、導線や導体棒などの長尺の導体であり、両端に固定具102aおよび102bを有する。励振用導体15は、一方の端にある固定具102aにより支持部材100に固定され、他方の端にある固定具102bにより、地上に設けられた基礎25に、固定ブロック30eを介して固定されている。このように構成することにより、励振用導体15と基礎25の間は絶縁され、鉄塔11、鉄塔12、および励振用導体15もそれぞれ相互に絶縁されている。
励振用導体15は、励振周波数の電波の波長(励振波長)の約1/4の長さであり、鉄塔11のそれぞれの接地導体柱11a〜11cの地線50との接続部から頂部の端までの長さは励振波長の1/4より長く、鉄塔12のそれぞれの接地導体柱12a〜12cの地線50との接続部から頂部の端までの長さは励振波長の1/4より短くなるよう構成されている。
励振用導体15は、基礎25と支持部材100に固定されているため直立している。また、支持部材100により鉄塔11や鉄塔12から絶縁され、固定ブロック30eにより地表から絶縁されているため、同軸ケーブル40により給電されることにより、地表から直立した、垂直偏波のモノポールアンテナの励振部として動作する。
鉄塔11および鉄塔12は、実施の形態3〜5に示した通り、それぞれが自立し、励振部に対する無給電素子である、反射部、導波部として動作する。また、励振部となる励振用導体15は、鉄塔11および鉄塔12に固定された支持部材100に固定され、鉄塔11及び鉄塔12の間に位置する。このため、鉄塔11、励振用導体15、および鉄塔12は、この順番で一直線上に並び、励振用導体15(または鉄塔11)から鉄塔12に向かう方向が、このアンテナ装置の指向方向となる。
鉄塔11および鉄塔12に固定された支持部材100により励振用導体15を支えているため、励振部、反射部、導波部それぞれを支線で地表に固定する場合に比べて構造が簡略化され、部材の費用、設置やメンテナンスの手間や費用が少ない簡単な構造となっている。このため、反射部としての鉄塔11と導波部としての鉄塔12と、励振用導体15により、少ない支持部材で自立する、部材の費用、設置やメンテナンスの手間や費用が少ない、励振部、反射部、および導波部を備えたアンテナ装置を得ることができる。
尚、支持部材100は、鉄塔11、鉄塔12、および励振用導体15のそれぞれを絶縁し、励振周波数の垂直偏波の電波によって励起される電流が十分小さいことが必要とされる。このため、樹脂以外でも、例えば、波長より十分短い金属線(例えば、波長の8分の1以下)を、碍子などを挟んで互いに絶縁して接続したものであっても良い。
実施の形態8.
図20は、この発明の実施の形態8に係るアンテナ装置の左側面図である。鉄塔11は、図9および図10で示されたと同様の、反射部として用いられる、導体で構成された自立する鉄塔であり、11a〜11cなどの同じ長さの3本以上の接地導体柱を有する。鉄塔11が有する接地導体柱11a〜11cなどは、鉄塔11の基底部付近でそれぞれの一方の端を、鉄塔を支え、安定させるために地面に設けられた構造物である基礎21の内部に埋め込まれて固定されている。
100aは、樹脂等の絶縁物で構成された支持部材(梁)であり、鉄塔11に固定されている。15は、図20に示されたものと同様のモノポールアンテナの励振部となる励振用導体であり、その地上に固定されている一方の端付近から、同軸ケーブル40により、決められた励振周波数の高周波信号が給電される。また、励振用導体15は、両端に固定具102aおよび102bを有する。励振用導体15は、一方の端にある固定具102aにより支持部材100aに固定され、他方の端にある固定具102bにより基礎25に、固定ブロック30eを介して固定されている。このような構成により、励振用導体15と基礎25との間は絶縁され、鉄塔11と励振用導体15との間も絶縁されている。
励振用導体15は、励振周波数の電波の波長(励振波長)の約1/4の長さであり、鉄塔11のそれぞれの接地導体柱11a〜11cの長さは励振波長の1/4より長くなるよう構成されている。励振用導体15は、基礎25と支持部材100aに固定されているため直立している。また、支持部材100aにより鉄塔11から絶縁され、固定ブロック30eにより地表から絶縁されているため、同軸ケーブル40により、基礎25に固定されている一方の端から給電されることにより、地表から直立した、垂直偏波のモノポールアンテナの励振部として動作する。また、鉄塔11が自立し、無給電素子である反射部として動作することも、既に説明の通りである。
鉄塔11に固定された支持部材100aにより励振用導体15を支えているため、励振部、反射部それぞれを支線で地表に固定する場合に比べて構造が簡略化され、部材の費用、設置やメンテナンスの手間や費用が少ない簡単な構造となっている。このため、反射部としての鉄塔11と励振用導体15により、少ない支持部材で自立する、部材の費用、設置やメンテナンスの手間や費用が少ない、励振部および反射部を備えたアンテナ装置を得ることができる。
尚、上記説明では、垂直偏波のモノポールアンテナの反射部である鉄塔11を用いて励振用導体15を固定したが、鉄塔11の代わりに、垂直偏波のモノポールアンテナの導波部である鉄塔12を用いて励振用導体15を固定する構成としても同様であり、少ない支持部材で自立する、部材の費用、設置やメンテナンスの手間や費用が少ない、励振部および導波部を備えたアンテナ装置を得ることができる。また、支持部材100aについても、例えば、波長より十分短い金属(例えば、波長の8分の1以下)を、碍子などを挟んで互いに絶縁して接続したものであっても良い。
実施の形態9.
図21は、この発明の実施の形態9に係るアンテナ装置の左側面図である。13は、導体で構成された自立する鉄塔であり、鉄塔11、鉄塔12と同様に、13a〜13cなどの同じ長さの3本以上の接地導体柱を有する。鉄塔13を構成する13a〜13cなどの接地導体柱は、鉄塔13の基底部付近でそれぞれの一方の端を、鉄塔を支え、安定させるために地面に設けられた構造物である基礎23の内部に埋め込まれて固定されている。また、鉄塔13を構成する13a〜13cなどの接地導体柱は、補助導体13xで連結されたことにより互いに支えあって直立している。
15は励振用導体であり、一方の端は鉄塔13の頂部に固定用金具102aを介して接続され、もう一方の端は地面に設けられた構造物である基礎25に固定用金具102bと絶縁ブロック30eを介して固定されている。励振用導体15と鉄塔13は互いの頂部で導通しており、励振用導体15は、地面と絶縁ブロック30eにより絶縁されている。励振用導体15の長さと鉄塔13の地線50との接続部から頂部の端までの長さは波長のおよそ1/4であり、互いの中心間の距離は、波長に対して十分小さい。30f〜30hは絶縁ブロックであり、励振用導体15が風などで揺れて鉄塔13と接触し、頂部以外で導通しないように、励振用導体15を鉄塔13(または、鉄塔13が有する接地導体柱13a〜13c)と平行または、平行に近くなるよう支持するものである。励振用導体15は、基礎25に固定されている一方の端付近から、同軸ケーブル40により決められた励振周波数の高周波信号が給電される。同軸ケーブル40の芯線は地表付近で励振用導体15に接続され、外導体は地線50に接続される。
図22は、図21のように接続されたアンテナ装置の等価回路であり、電気的な動作を模式的に示した図である。図22において、破線矢印はある瞬間の鉄塔13(または、鉄塔13が有する接地導体柱13a〜13c)と励振用導体15に流れる電流の向きを表す。同軸ケーブル40の芯線は励振用導体15の地表側の一方の端に接続され、同軸ケーブル40の外導体は、地線50に接続されているため、このアンテナ装置の仮想的な給電点は、41のように表現される。また、鉄塔13が有する接地導体柱13a〜13cの基礎23に固定されている一方の端は、地線50に接続し、反対側の端は、励振用導体15に接続されているため、鉄塔13と励振用導体15とは、図22のように閉ループを形成し、その閉ループの一点の給電点41に給電する様になっている。ここで、鉄塔13と励振用導体15の長さがそれぞれ励振周波数の1/4であり、鉄塔13と励振用導体15とがそれぞれ励振波長に対して十分近い位置に有る場合、鉄塔13と励振用導体15とには互いに同じ方向にほぼ同位相で流れる電流成分を生じ、折り返しモノポールアンテナの原理により、等価的に径の大きな1本の垂直偏波のモノポールアンテナとして動作する。ここで、鉄塔13の接地導体柱13a〜13cは、励振用導体15とともに励振器の一部として動作する。尚、鉄塔13を構成する接地導体柱13a〜13cは、基礎23に固定されている一方の側とは反対側の端で励振用導体15と接続(導通)しているが、その接続の方法については、接地導体柱13a〜13cそれぞれが励振用導体15と直接接続しても、接地導体柱13a〜13cの内の一つと励振用導体15とが接続し、他の接地導体柱は、補助導体13xを介して励振用導体15と接続してもいずれでも良い。また、励振用導体15が補助導体13xと接続し、接地導体柱13a〜13cは、補助導体13xを介して励振用導体15と接続しても良い。
上記のように、接地導体柱13a〜13cを有する鉄塔13と励振用導体15は、あわせて大型の垂直偏波のモノポールアンテナとして動作するが、鉄塔13は自立しており、励振用導体15は、鉄塔13に絶縁ブロック30f〜30hを介して支持されているため、支線等を用いなくても自立する。このため、上記の構成により、支線等を用いなくても自立する、部材の費用、設置やメンテナンスの手間や費用が少ない、励振部を備えたアンテナ装置を得ることができる。
実施の形態10.
図23は、この発明の実施の形態10に係るアンテナ装置の左側面図である。13は、図22と同じ、導体で構成された自立する鉄塔である。15は鉄塔13に接続された励振用導体であり、ケーブル40を介して決められた励振周波数の高周波信号が給電されることにより、垂直偏波のモノポールアンテナの励振部が得られることは、既に説明したとおりである。鉄塔11(または鉄塔12)は、図9および図10(または図15)で示されたと同様の、反射部(または導波部)として動作する無給電素子部である、導体で構成された自立する鉄塔であり、11a〜11c(または11a〜11c)などの同じ長さの3本以上の接地導体柱を有する。鉄塔11(または鉄塔12)が有する接地導体柱11a〜11c(または11a〜11c)などは、鉄塔11(または鉄塔12)の基底部付近でそれぞれの一方の端を、鉄塔を支え、安定させるために地面に設けられた構造物である基礎21(または基礎22)の内部に埋め込まれて固定されている。
無給電素子部の導体柱の地線50との接続部から頂部の端までの長さを励振周波数の電波の波長である励振波長の1/4より長くした鉄塔11を、励振部からこのアンテナ装置を指向させようとする方向(このアンテナ装置が電波を送信する方向または、このアンテナ装置が受信しようとする電波が到来する方向)の反対側に、励振波長の1/4などの所定の距離だけ離れて設置すると無給電素子部は反射部となる。無給電素子部の導体柱の地線50との接続部から頂部の端までの長さを励振波長の1/4より短くした鉄塔12を、このアンテナ装置を指向させようとする方向に、励振波長の1/4などの所定の距離だけ離れて設置すると導波部となる。このため、図23の構成により、垂直偏波のモノポールアンテナの自立した励振部および自立した無給電素子部(反射部、導波部)を備えた、アンテナ装置を得ることができる。
尚、図22では、無給電素子部である鉄塔11(12)を、鉄塔13に対して励振用導体15と同じ側に配置したが、無給電素子部である鉄塔11(12)の位置は、上記のように励振部からこのアンテナ装置を指向させようとする方向に対して決めるものであり、鉄塔13に対する励振用導体15の向きとは無関係に決めることができる。
また、上記のように、鉄塔13と励振用導体15などにより、鉄塔10などと同様に垂直偏波のモノポールアンテナの励振部が得られ、鉄塔10などと同様に鉄塔11や鉄塔12により構成する無給電素子部と組み合せて反射部、導波部を備えたアンテナ装置とすることができるため、実施の形態3〜7で示した、励振部と無給電素子の組み合わせによるアンテナ装置の、それぞれの励振部を鉄塔13と励振用導体15などによる励振部に置き換えることも可能である。
図24に示すように、図14における、鉄塔10などによる励振部を図21の構成に置き換えて、同軸ケーブル40から所定の第1の励振周波数および第2の励振周波数(ただし、第1の励振周波数より第2の励振周波数が高い)の高周波信号を励振用導体15に給電することにし、励振部からこのアンテナ装置を指向させようとする方向の反対側に地線50との接続部から頂部の端までの長さが第1の励振周波数の電波の波長の1/4より長い3本以上の第1の接地導体柱(11a〜11c)を有する鉄塔11を第1の反射部として設け、励振部と鉄塔11との間に、地線50との接続部から頂部の端までの長さが第2の励振周波数の電波の波長の1/4より長い3本以上の第2の接地導体柱(11e〜11f)を有する鉄塔11Aを第2の反射部として設ける構成とすることもできる。図24のようにすると、図14と同様に、2つの励振周波数のそれぞれに対して、垂直偏波のモノポールアンテナの励振部と反射部として動作し、支線等を用いなくても自立して直立させることができ、部材の費用、設置やメンテナンスの手間や費用が少ない大型の垂直偏波のモノポールアンテナを得ることができる。
また、図25に示すように、図17における、鉄塔10などによる励振部を図21の構成に置き換えて、同軸ケーブル40から所定の第1の励振周波数および第2の励振周波数(ただし、第1の励振周波数より第2の励振周波数が高い)の高周波信号を励振用導体15に給電することにし、励振部からこのアンテナ装置を指向させようとする方向の反対側に地線50との接続部から頂部の端までの長さが励振周波数の電波の波長の1/4より長い3本以上の接地導体柱(11a〜11c)を有する鉄塔11を反射部として設け、励振部からこのアンテナ装置を指向させようとする方向に、励振部を挟んで反射部の反対側に、地線50との接続部から頂部の端までの長さが励振周波数の電波の波長の1/4より短い3本以上の接地導体柱(12a〜12c)を有する鉄塔12を導波部として設ける構成とすることもできる。図25のようにすると、図17と同様に、大型の垂直偏波のモノポールアンテナであり、支線等を用いなくても自立する、部材の費用、設置やメンテナンスの手間や費用が少ない、励振部、反射部、および導波部を備えたアンテナ装置を得ることができる。