以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(生体機能診断装置の概略)
図1は本発明の実施形態例に係る生体機能診断装置の構成を示すブロック図である。
本発明の実施形態例に係る生体機能診断装置Kは、図1に示すように、生体の生体機能の異なる複数の部位にそれぞれ光を照射し、出射する光を受光する複数の生体用プローブ1と、生体に関する時間以外の事象経過情報を計測する事象経過情報計測部13と、複数の生体用プローブ1によって検出された光情報を入力し、演算、制御又は記憶を行う装置本体2とを有し、近赤外分光法を利用して生体機能を診断するために用いられる。
各生体用プローブ1は、生体の任意の計測部位(組織)に光を照射する少なくとも2以上の発光素子(発光ダイオード)1a…と、計測部位からの透過光、反射光あるいは散乱光等、生体と相互作用した後の光を受光する少なくとも2以上の受光素子(フォトダイオード)1b…とで構成されている。
なお、生体用プローブ1は、脳、腕の筋肉、顎の筋肉、指先の筋肉、口腔の歯肉等に設置して計測されるが、設置箇所に応じて生体用プローブ1の形状、計測面積、設置方法等が設定される。
発光素子1aと受光素子1bとの間隔は、脳の計測の場合には1.5cmから3cm程度、腕の筋肉や顎の筋肉の計測の場合には2−3cm程度、指先の筋肉の計測の場合には5−10mm程度、口腔の歯肉の計測の場合には2−3.5mm程度である。
また、生体用プローブ1を腕の筋肉に配置する際、腕に対して平行に配置する場合には、特定の筋肉の縦断面の伸びと収縮に伴う筋肉の酸素代謝を計測することができる。筋肉の縦断面の方向では、筋肉の縦方向の伸び縮みが反映されるからである。生体用プローブ1を腕に対して垂直に配置する場合には、特定の筋肉の横断面の伸びと収縮に伴う筋肉の酸素代謝を計測することができる。筋肉の横断面では、筋肉の屈曲伸展に伴って、横断面の面積変化が反映されるからである。
また、生体用プローブ1は、その発光素子1aと受光素子1bとの距離を等間隔に複数(マトリックス状に)配列するのが好ましい。ただ、選択した筋肉運動と最も関連性のある脳部位を、複数の脳の計測部位から、もっとも酸素代謝の変化(増加、減少)を引き起こす場所と脳血液量の変化(増加、減少)を引き起こす場所、もっとも相関性の高い部位を同定する目的のため、発光素子1aと受光素子1bとの距離は、必ずしも等間隔である必要なく、ランダムの配置することも可能である。
また、一端、関連性の強い部位が判明すれば、さらに、高密度の(発光素子1aと受光素子1bの距離も短い)生体用プローブ1の配列をして、該当部位を精密に同定する2段階計測法も可能である。すなわち、従来問題であった、計測部位ごとの光のS/Nの違い、光路長の違い、生体用プローブ1にはさまれたサンプリングする領域の大きさの違いの影響を排除して、筋肉と脳の関連性を調べることができる。
装置本体2は、発光素子1a…の発光光量を調節する光量調節部3と、任意の受光素子1b…を選択的に有効化又は無効化し、全部の計測感度を調節する選択調節部4と、受光素子1b…からの信号を増幅するゲイン制御可能な信号増幅部5と、信号増幅部5の出力を数値化するA/D変換部6と、各部の制御処理やA/D変換部6の出力に基づいて所定の演算処理を実行する制御部7と、A/D変換部6の出力、各部の制御用データあるいは演算結果等の記憶に使用される記憶部8と、A/D変換部6の出力結果や演算結果等に基づく表示を行う表示部9とを有する。
なお、装置本体2には、各種データを印刷したり、通信ネットワークを介してデータを送受信する機能を有してもよい。
制御部7は、複数の各生体用プローブ1からの光情報に基づいて、酸化型ヘモグロビンの濃度変化量と脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量又はこれらの関係から導きだされるパラメータを算出する算出部10と、算出部10によって算出された生理的指標の時系列変化を示す各種グラフ又は画像を、事象経過情報計測部13から入力された時間以外の事象経過情報に基づいた変化を示す各種グラフ又は画像に変換して、表示部9に表示させる変換部11とを有する。
生体用プローブ1の発光素子1a…は、波長730nmの光を照射するものと、波長850nmの光を照射するものの二種類が用意される(なお、この光の波長の数値は一例であり、これに限定されるものではなく、3波長以上組み合わせてもよい)。これらは、例えば列方向に交互に配置されるが、その他のパターンを検討するに当たっては、組織中での波長に依存する減衰を考慮して、受光光量をバランスよく計測できるような配置にすることが重要である。全ての発光素子1a…は、装置本体2の光量調節部3に接続されており、全体的にあるいはそれぞれ独立的に発光光量の調節が可能である。
一方、全ての受光素子1b…は、装置本体2の選択調節部4を介して信号増幅部5に接続されており、それぞれの受光素子1bから出力される受光信号は、全部あるいは一部が選択調節部4で選択調節された状態で信号増幅部5に出力され、ここで増幅される。そして、増幅された受光信号は、A/D変換部6で数値化されて制御部7に出力される。
制御部7は、A/D変換部6から入力されたデジタルデータをローパスフィルタにかけてノイズ除去処理を実行した後、この処理データ(以下、「受光光量」という)をタイムテーブル的に記憶部8に記憶させる。
また、制御部7は、得られた受光光量に基づき、以下に説明する演算処理を実行する。まず、波長730nmの吸光度(O.D.730)を式(1)により、そして、波長850nmの吸光度(O.D.850)を式(2)により算出すると共に、該算出結果をタイムテーブル的に記憶部8に記憶させる。
O.D.730=log10(I0 730/I730 )・・・式(1)
O.D.850=log10(I0 850/I850)・・・式(2)
I0 730 :波長730nmの発光光量
I730 :波長730nmの受光光量
I0 850 :波長850nmの発光光量
I850 :波長850nmの受光光量
ここで、酸化型ヘモグロビンの濃度変化量と脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量と吸光度変化量との間には、式(3),式(4)の関係があることが公知理論によりわかっている。
ΔO.D.730 =a1Δ[HbO2]+a1’Δ[Hb]・・・式(3)
ΔO.D.850=a2Δ[HbO2]+a2’Δ[Hb]・・・式(4)
ΔO.D.730:波長730nmの吸光度変化量
ΔO.D.850:波長850nmの吸光度変化量
Δ[HbO2] :酸化型ヘモグロビンの濃度変化量
Δ[Hb] :脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量
a1,a1’,a2,a2’ :吸光度係数
従って、この公知の連立方程式から、式(5),式(6)が求められる。
Δ[HbO2]=a{ΔO.D.730−(a1’/a2’)ΔO.D.850}・・・式(5)
Δ[Hb] =a(a2 /a2’){(a1 /a2 )ΔO.D.850−ΔO.D.730 }・・・式(6)
a=a2’/(a1a2’−a1’a2 )≒1(1あるいはその近傍値)
そこで、波長730nmの吸光度変化量(ΔO.D.730 )及び波長850nmの吸光度変化量(ΔO.D.850)を求めた上で、酸化型ヘモグロビンの濃度変化量(Δ[HbO2 ])を式(5)により、そして、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量(Δ[Hb])を式(6)により算出すると共に、該算出結果をタイムテーブル的に記憶部8に記憶させる。なお、総ヘモグロビンの濃度変化量(Δ[total-Hb])は、式(7)で表される。
Δ[total-Hb]=Δ[HbO2]+Δ[Hb]・・・式(7)
ところで、組織に対する刺激によって誘発される毛細血管中の酸化型ヘモグロビン及び脱酸化型ヘモグロビンの各濃度変化量の変化態様は、その増減の組み合わせによって以下の9パターンを示す。
(1) Δ[HbO2]増加 Δ[Hb]増加
(2) Δ[HbO2]増加 Δ[Hb]減少
(3) Δ[HbO2]増加 Δ[Hb]ゼロ
(4) Δ[HbO2]減少 Δ[Hb]増加
(5) Δ[HbO2]減少 Δ[Hb]減少
(6) Δ[HbO2]減少 Δ[Hb]ゼロ
(7) Δ[HbO2]ゼロ Δ[Hb]増加
(8) Δ[HbO2]ゼロ Δ[Hb]減少
(9) Δ[HbO2]ゼロ Δ[Hb]ゼロ
実際のところ、組織の代謝活動は、刺激の印加条件や安静状態の生理的状態の違いにより経時的に上記のパターンが変化している。毛細血管中の酸化型ヘモグロビンから組織中に酸素を取り込むための血流代謝活動として、毛細血管のΔ[Hb]とΔ[HbO2]が変動する。
そこで、本発明においては、酸化型ヘモグロビンの濃度変化量Δ[HbO2]と脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量Δ[Hb]に基づいて導き出される各種パラメータを制御部7の算出部10により算出する。
事象経過情報計測部13によって計測される事象経過情報は、例えば生体の移動距離、生体に対する刺激数、ニュートン力学や熱力学等の物理学で定義される各種の物理量である。
生体の移動距離は、実際に前記生体が移動した実動移動距離、例えば生体が運動して移動した距離(生体が歩行又は走行した距離など)や、自転車や車両等の乗り物に乗った生体が移動した距離である。
また、生体の移動距離は、生体がトレーニング機器(例えばエアロバイク)のペダルを漕ぐ運動を行って移動したとされる仮想移動距離であってもよく、パソコン等のディスプレイの画面上に表示された仮想空間を生体が見て、生体が移動したとされる仮想移動距離であってもよい。
生体に対する刺激数は、生体の視覚、聴覚、触覚、味覚又は嗅覚のいずれかの感覚に対する刺激の累積数である。
ニュートン力学や熱力学等の物理学で定義される物理量は、例えば力(F=質量×加速度)、運動量(P=質量×速度)、仕事量(W=力F×移動した距離)、運動エネルギー(K=1/2×質量×速さ2)、熱量(J=4.184×運動エネルギー)、速度(単位時間当たりの生体の位置の変化率)、加速度(単位時間当たりの速度の変化率)、加加速度(躍度:単位時間あたりの加速度の変化率)等である。
変換部11は、例えば横軸を時間以外の事象経過情報とし、縦軸を生理的指標としたグラフに変換したり、生理的指標同士の関係を示し、時系列にプロットしたグラフを、時間以外の事象経過情報の事象経過順にプロットしたグラフに変換する。
なお、装置本体2には脳波、心電図、fMRI等の外部生体計測部14が接続され、外部生体計測部14によって計測された計測データが制御部7に入力される。
図2は、本発明の実施形態例に係る生体機能診断装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図2に示すように、まず、生体の所定の部位(例えば脳や筋肉の部位)を生体用プローブ1を用いて計測する(ステップS1)と同時に、事象経過情報計測部により時間以外の事象経過情報を計測する(ステップS2)。
次いで、制御部7の算出部10によって、複数の各生体用プローブ1からの光情報に基づいて、酸化型ヘモグロビンの濃度変化量と脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量又はこれらの関係から導きだされるパラメータを算出する(ステップS3)。
次いで、制御部7の変換部11によって、算出部10により算出された生理的指標の時系列変化を示す各種グラフ又は画像を、事象経過情報計測部13から入力された時間以外の事象経過情報に基づいた変化を示す各種グラフ又は画像に変換し(ステップS4)、各種グラフや画像等を表示部9に表示する(ステップS5)。
(具体例1:生体の移動距離に応じた変化)
本発明者は、サーキットシュミレーターに乗車して、運転席でドライブ映像を4分40秒見ているときに、脳の前頭葉から計測された複数のHb変化をサンプリングした実験を行った。
速度変化から、変換部11により時系列データを移動距離系列データに変換することで、時系列データからは、想定できなかった移動距離と複数のHb変化の相関性を明らかにすることが可能となる。
また、二次元表示では、位相変化が時系列データと移動距離系列データでは異なることもわかる。
図3は、上記サーキットシュミレーターで仮想走行するコースを示す説明図である。図3中、番号(1−17)は、コース中のカーブ箇所を示し、数字に○が囲んでいる箇所は走行方向(矢印)に対して左カーブ、○が囲んでいない箇所は走行方向(矢印)に対して右カーブである。
図4は横軸を時間、縦軸をHb濃度変化量として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量及び総ヘモグロビンの濃度変化量の時系列変化を示すグラフであり、(A)は前頭葉の右脳の1chの場合、(B)は左脳の5chの場合をそれぞれ示す。
図4から、チャンネル(1chと5ch)によって、各ヘモグロビンの変化量の変化が異なっていることはわかるが、コースに設置されたカーブによって変化しているかどうか等の相関性について明確に示しているとはいえない。
図5は横軸を移動距離(仮想移動距離)、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を速度として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、総ヘモグロビンの濃度変化量及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフであり、(A)は右脳(前頭葉)の1chの場合、(B)は左脳(前頭葉)の5chの場合をそれぞれ示す。
図5において、上に表示された下向きの矢印はカーブの位置を示す。
図5からわかるように、カーブによって速度が減速された箇所(下向きの矢印)では、ヘモグロビンの濃度変化量が急激に変化しており、相関性があると考えられる。
図6(A)は横軸を時間、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を速度として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、CBVの濃度変化量、COEの濃度変化量及び速度の時系列変化を示すグラフであり、(B)は横軸を時間から移動距離(仮想移動距離)に変換し、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を速度として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、CBVの濃度変化量、COEの濃度変化量及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
COEとは脳の酸素交換量の変化量、すなわちCerebral(脳の)Oxygen Exchangeの略であり、COE=Δ[Hb]−Δ[HbO2]で算出される。Δ[Hb]は脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、Δ[HbO2]は酸化型ヘモグロビンの濃度変化量である。
CBVとは脳の血液量の変化量、すなわちCerebral(脳の) Blood Volumeの略であり、CBV=Δ[Hb]+Δ[HbO2]で算出される。Δ[Hb]は脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、Δ[HbO2]は酸化型ヘモグロビンの濃度変化量である。
トリガーとは、地形情報(右カーブや左カーブ等)を示す。
図6(B)からわかるように、横軸が移動距離の場合、速度が上がると、ヘモグロビンの濃度変化量が低下して、反比例していることがわかる。
一方、図6(A)のように横軸が時間の場合、速度とヘモグロビンとの相関が明確ではない。
図7(A)は横軸を時間、左縦軸をL値、右縦軸を速度としてL値及び速度の時系列変化を示すグラフであり、(B)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をL値、右縦軸を速度としてL値及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
ここで、L値は酸素交換量であり、計測上の任意点(計測開始を原点としてもよい)から計測点に至るベクトルの距離として定義される(本出願人の日本特許第4625809号の明細書段落0213参照)。
図7(B)からわかるように、横軸が移動距離の場合、カーブのために速度が下がると、L値が上がることがわかる。
一方、図7(A)のように横軸が時間の場合、速度とL値との相関が明確ではない。
図8(A)は横軸を時間、左縦軸をk角、右縦軸を速度としてk角及び速度の時系列変化を示すグラフであり、(B)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をk角、右縦軸を速度としてk角及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
ここで、k角は酸化型ヘモグロビン量(O)と脱酸化型ヘモグロビン量(D)の関係を示すOD平面上での傾きであり、
k=D/Oの式で算出される。
図8(A)及び(B)からわかるように、横軸が時間の場合と、移動距離の場合とで、k角の変化はほとんど同じであることがわかる。
図9(A)は横軸をCBVの濃度変化量(ΔCBV)、縦軸をCOEの濃度変化量(ΔCOE)とし、時系列的にプロットした二次元ダイアグラム、(B)は横軸をCBVの濃度変化量(ΔCBV)、縦軸をCOEの濃度変化量(ΔCOE)とし、時間から移動距離に変換してプロットした二次元ダイアグラムである。
図9中、□は1週目スタート、△は1週目のトリガー(11)、○は2週目スタート、◇は2週目スタートをそれぞれ示す。
図9(B)からわかるように、時間から移動距離に変換することにより、スタート時の急激な変化をとらえることが可能となる。
図10(A)は横軸を時間、左縦軸をL値、右縦軸をk角としてL値及びk角の時系列変化を示すグラフ、(B)は横軸を時間を移動距離に変換し、左縦軸をL値、右縦軸をk角としてL値及びk角の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
図10(A)に示すように、L値に対してベースラインを図のようにカーブフィットして変化量をカットして解析していた。この手法は、fMRI、fNIRSの解析で汎用されてきた。
しかし、このようなカーブフィットは、距離移動を考えたとき、互換性がなく、
誤った手法であることが明らかである。
一方、図10(B)に示すように、時間を移動距離に変換した場合、L値が平坦になるとともに、変化がわかりやすくなり、変化量をカットして解析する必要がないので、正確な解析が可能となる。
以上のように、横軸を時間から移動距離に変換することにより、時間の違いに関わらず、道路標識や地形の地点をHbのデータ上に明示できて挙動を比較することが可能となる。
また、一定区間の累積を行うので、データ数が軽減し、計算量を軽減したり、スムージングができる
また、加速区間でのスパイキーな増加の検出や減速区間の比較が容易である。
また、地形勾配の変化による脳負荷がでているが、速度では勾配の影響が起こっていないので、両者の比較や診断が容易である。
さらに、2次元ダイアグラムを用いて、血液量の増大をともなう位相変化(k角)ストレスが加わり、不快な反応と診断できる。
(具体例2:生体の移動距離に応じた変化)
本発明者は、約5分間、反復横跳び運動を行い、2か所の筋肉(右外側広筋及び右前脛骨筋)及び脳の前頭葉から計測されたHb変化を同時に計測した実験を行った。
変換部11により時系列データを移動距離系列データに変換することで、時系列データからは、想定できなかった移動距離と複数のHb変化の相関性を明らかにすることが可能となる。
また、二次元表示では、位相変化が時系列データと移動距離系列データでは異なることもわかる。
図11は右外側広筋から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を時間、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を運動のペース(回数/分)として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量及びペースの時系列変化を示すグラフ、(B)は横軸を時間、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を運動のペース(回数/分)としてMBV、MOE及びペースの時系列変化を示すグラフ、(C)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を速度(km/h)として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフ、(D)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を速度(km/h)としてMBV、MOE及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
ここで、MBVとは筋肉の血液量の変化量、すなわちMuscular(筋肉の) Blood Volumeの略であり、MBV=Δ[Hb]+Δ[HbO2]で算出される。Δ[Hb]は脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、Δ[HbO2]は酸化型ヘモグロビンの濃度変化量である。
MOEとは筋肉の酸素交換量の変化量、すなわちMuscular(筋肉の)Oxygen Exchangeの略であり、MOE=Δ[Hb]−Δ[HbO2]で算出される。Δ[Hb]は脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、Δ[HbO2]は酸化型ヘモグロビンの濃度変化量である。
図11(A)及び(B)と(C)及び(D)とを比較すればわかるように、時系列変化のグラフよりも移動距離に応じた変化のグラフの方がより変化が明確になる。
図12は右前脛骨筋から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を時間、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を運動のペース(回数/分)として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量及びペースの時系列変化を示すグラフ、(B)は横軸を時間、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を運動のペース(回数/分)としてMBV、MOE及びペースの時系列変化を示すグラフ、(C)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を速度(km/h)として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフ、(D)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を速度(km/h)としてMBV、MOE及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
図12(A)及び(B)と(C)及び(D)とを比較すると、時系列変化のグラフと移動距離に応じた変化のグラフとはかなり異なることがわかる。
図13は右外側広筋から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を移動距離、左縦軸をk角(度)、右縦軸を速度としてk角及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフ、(B)は横軸を移動距離、左縦軸をL値、右縦軸を速度としてL値及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフ、(C)は横軸を移動距離、左縦軸をL/k、右縦軸を速度としてL/k及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
図14は右前脛骨筋から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を移動距離、左縦軸をk角(度)、右縦軸を速度としてk角及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフ、(B)は横軸を移動距離、左縦軸をL値、右縦軸を速度としてL値及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフ、(C)は横軸を移動距離、左縦軸をL/k、右縦軸を速度としてL/k及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
図13及び図14とを比較すると、右外側広筋と右前脛骨筋とで場所が異なると、ヘモグロビンの利用効率が違うことがわかる。
図15(A)及び(B)は右外側広筋から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸をMBVの濃度変化量(ΔMBV)、縦軸をMOEの濃度変化量(ΔMOE)とし、時系列的にプロットした二次元ダイアグラム、(B)は横軸をMBVの濃度変化量(ΔMBV)、縦軸をMOEの濃度変化量(ΔMOE)とし、移動距離に応じてプロットした二次元ダイアグラムである。
図15(C)及び(D)は右前脛骨筋から計測されたデータのグラフであり、(C)は横軸をMBVの濃度変化量(ΔMBV)、縦軸をMOEの濃度変化量(ΔMOE)とし、時系列的にプロットした二次元ダイアグラム、(D)は横軸をMBVの濃度変化量(ΔMBV)、縦軸をMOEの濃度変化量(ΔMOE)とし、移動距離に応じてプロットした二次元ダイアグラムである。
図15(A)及び(B)と(C)及び(D)とを比較すると、移動距離に応じた変化の方がより明確であることがわかる。
図16は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を時間、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を速度(km/h)として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、CBV、COE及び速度の時系列変化を示すグラフ、(B)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を速度(km/h)として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、CBV、COE及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
図16(B)に示すように、移動距離に変換したグラフでは、初動の段階で各パラメータが急激に変化していることがわかるが、図16(A)の時系列変化では変化が明確でない。
図17は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を時間、左縦軸をL値の変化量、右縦軸を速度(km/h)としてL値及び及び速度の時系列変化を示すグラフ、(B)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をL値の変化量、右縦軸を速度(km/h)としてL値及び及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
図17中、△は0.0km/hの最終点、□は4.2km/hの最終点、○は6.7km/hの最終点である。
図17(A)から、最初の70秒ではHb/s(従来単位)では、時間に比例している。後半の70秒ではHb変化がほぼ一定とだけわかる。
一方、図17(B)から、最初の50mでは移動に対してHb/m(新しい単位)が高く、効率が悪い。後半の50メートルでも疲れのためか効率が悪くなっていると診断できる。
図18は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を時間、左縦軸をk角の変化量、右縦軸を速度(km/h)としてk角及び及び速度の時系列変化を示すグラフ、(B)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をk角の変化量、右縦軸を速度(km/h)としてk角及び及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
図18(A)のグラフでは静止状態が入っているので、わかりにくかったKの動向が、図18(B)のグラフでは、移動距離と平行して増加していることがわかる。
図19(A)及び(B)は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸をCBVの濃度変化量(ΔCBV)、縦軸をCOEの濃度変化量(ΔCOE)とし、時系列的にプロットした二次元ダイアグラム、(B)は横軸をCBVの濃度変化量(ΔCBV)、縦軸をCOEの濃度変化量(ΔCOE)とし、移動距離に応じてプロットした二次元ダイアグラムである。
図19中、△は0.0km/hの最終点、□は4.2km/hの最終点、○は6.7km/hの最終点である。
図20は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を時間、左縦軸をL値の変化量、右縦軸をk角の変化量としてL値及びk角の時系列変化を示すグラフ、(B)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をL値の変化量、右縦軸をk角の変化量としてL値及びk角の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
図20(B)からわかるように、移動距離が進むことで、L/k比が低下し、酸素交換Hb利用効率が増加している。図20(A)に示す変換前の時系列のグラフでは、酸素交換Hb利用効率は、移動開始に最も高くなってると診断される。
このように、時系列データ、移動距離系列データに互換性があることで、異なった生体情報を効率よく、視覚的に比較できる。
また、多チャンエル計測で行っているので、時系列データ、移動距離系列データに依存した生体部位が異なって表示されることはいうまでもない。
(具体例3:生体の移動距離に応じた変化)
本発明者は、90秒間のスクワット運動を行い、2か所の筋肉(右外側広筋及び右前脛骨筋)及び脳の前頭葉から計測されたHb変化を同時に計測した実験を行った。
変換部11により時系列データを移動距離系列データに変換することで、時系列データからは、想定できなかった移動距離と複数のHb変化の相関性を明らかにすることが可能となる。
また、二次元表示では、位相変化が時系列データと移動距離系列データでは異なることもわかる。
図21は右外側広筋から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を時間、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸をスクワップのピッチ(回数/分)としてch1(チャンネル1)の酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、ピッチ及び運動した距離の時系列変化を示すグラフ、(B)は横軸を時間、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸をスクワップのピッチ(回数/分)としてch1(チャンネル1)のMBV、MOE、ピッチ及び運動した距離の時系列変化を示すグラフ、(C)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を速度(km/h)として、ch1(チャンネル1)の酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量及び速度の
移動距離に応じた変化を示すグラフ、(D)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を速度(km/h)としてMBV、MOE及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
図22は右前脛骨筋から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を時間、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸をスクワップのピッチ(回数/分)としてch2(チャンネル2)の酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、ピッチ及び運動した距離の時系列変化を示すグラフ、(B)は横軸を時間、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸をスクワップのピッチ(回数/分)としてch2(チャンネル2)のMBV、MOE、ピッチ及び運動した距離の時系列変化を示すグラフ、(C)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を速度(km/h)として、ch2(チャンネル2)の酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフ、(D)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を速度(km/h)としてMBV、MOE及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
図23は右外側広筋から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を移動距離、左縦軸をk角(度)、右縦軸を速度としてk角及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフ、(B)は横軸を移動距離、左縦軸をL値、右縦軸を速度としてL値及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフ、(C)は横軸を移動距離、左縦軸をL/k、右縦軸を速度としてL/k及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
図24は右前脛骨筋から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を移動距離、左縦軸をk角(度)、右縦軸を速度としてk角及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフ、(B)は横軸を移動距離、左縦軸をL値、右縦軸を速度としてL値及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフ、(C)は横軸を移動距離、左縦軸をL/k、右縦軸を速度としてL/k及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
図23及び図24に示すように、移動距離が進むと、各生理的指標の変化が安定していくのがわかる、
図25(A)及び(B)は右外側広筋から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸をMBVの濃度変化量(ΔMBV)、縦軸をMOEの濃度変化量(ΔMOE)とし、時系列的にプロットした二次元ダイアグラム、(B)は横軸をMBVの濃度変化量(ΔMBV)、縦軸をMOEの濃度変化量(ΔMOE)とし、移動距離に応じてプロットした二次元ダイアグラムである。
図25かわかるように、距離変換したものは、スクワットのペースが20(回/分)では、MBV減少による調節であるが、ペースが40(回/分)へ早くなると、MOE増加方向の調節に代わる。
図26(A)及び(B)は右前脛骨筋から計測されたデータのグラフであり、(C)は横軸をMBVの濃度変化量(ΔMBV)、縦軸をMOEの濃度変化量(ΔMOE)とし、時系列的にプロットした二次元ダイアグラム、(D)は横軸をMBVの濃度変化量(ΔMBV)、縦軸をMOEの濃度変化量(ΔMOE)とし、移動距離に応じてプロットした二次元ダイアグラムである。
図26からわかるように、スクワットのペースが20(回/分)から40(回/分)へ早くなると、波形の変動が少なくなる。
図27は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を時間、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を速度(km/h)として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、CBV、COE及び速度の時系列変化を示すグラフ、(B)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を速度(km/h)として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、CBV、COE及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
図28は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を時間、左縦軸をL値の変化量、右縦軸を速度(km/h)としてL値及び及び速度の時系列変化を示すグラフ、(B)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をL値の変化量、右縦軸を速度(km/h)としてL値及び及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
図29は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を時間、左縦軸をk角の変化量、右縦軸を速度(km/h)としてk角及び及び速度の時系列変化を示すグラフ、(B)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をk角の変化量、右縦軸を速度(km/h)としてk角及び及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
図29に示すように、変換前の時系列変化(図29(A)参照)では静止状態が入っているので、わかりにくかったが、移動距離に応じた変化(図29(B)参照)では、Kの動向が移動距離と平行して安定して増加していることがわかる。
図30(A)及び(B)は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸をCBVの濃度変化量(ΔCBV)、縦軸をCOEの濃度変化量(ΔCOE)とし、時系列的にプロットした二次元ダイアグラム、(B)は横軸をCBVの濃度変化量(ΔCBV)、縦軸をCOEの濃度変化量(ΔCOE)とし、移動距離に応じてプロットした二次元ダイアグラムである。
図30中、◇は0.56km/hの開始点、○は1.92km/hの開始点である。
図31は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を時間、左縦軸をL値の変化量、右縦軸をk角の変化量としてL値及びk角の時系列変化を示すグラフ、(B)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をL値の変化量、右縦軸をk角の変化量としてL値及びk角の時系列変化を示すグラフである。
図31(B)に示すように、移動距離が進むことで、L/k比が低下し、酸素交換Hb利用効率が増加している。図31(A)に示すように、変換前の時系列データでは、むしろ逆に、最初の30秒でL/kが低くなっている。
このことから、時系列依存性生体反応と移動距離依存性生体反応を区別して診断することができる。
(具体例4:生体に対する刺激数に応じた変化)
本発明者は、約4分間、生体に対して周波数の異なる音を聞かせる課題を行い、脳の前頭葉から計測されたHb変化を計測した実験を行った。
具体的には、メトロノームの振り子を振って、一定の間隔で刻まれる音を刺激とし、刻まれた音の累積数を刺激数として計測を行った。また、音が刻まれる間隔を変えることにより周波数を変えた。
変換部11により時系列データを刺激数系列データに変換することで、時系列データからは、想定できなかった刺激数と複数のHb変化の相関性を明らかにすることが可能となる。
また、二次元表示では、位相変化が時系列データと刺激数系列データでは異なることもわかる。
図32は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を時間、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を周波数(Hz)として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、CBV、COE及び周波数の時系列変化を示すグラフ、(B)は横軸を時間から刺激数に変換し、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を周波数(Hz)として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、CBV、COE及び周波数の刺激数に応じた変化を示すグラフである。
図32(A)及び(B)からわかるように、時系列データでは周波数の変化をとらえることが困難であるが、刺激数に応じたデータでは、周波数の変化をとらえることが可能である。従って、生体の音の変化をとらえる前頭葉では、音刺激に対して、時間経過依存ではなく、刺激数依存で反応することが明らかになった。
図33は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を時間、左縦軸をL値の変化量、右縦軸を周波数(Hz)としてL値及び周波数の時系列変化を示すグラフ、(B)は横軸を時間から刺激数に変換し、左縦軸をL値の変化量、右縦軸を周波数(Hz)としてL値及び周波数の刺激数に応じた変化を示すグラフである。
図33中、◇、△はそれぞれ一致する箇所である。
図33(B)に示すように、刺激数が多くなることでL値が低下していることがわかる。
図34は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を時間、左縦軸をk角の変化量、右縦軸を周波数(Hz)としてk角及び周波数の時系列変化を示すグラフ、(B)は横軸を時間から刺激数に変換し、左縦軸をk角の変化量、右縦軸を周波数(Hz)としてk角及び周波数の刺激数に応じた変化を示すグラフである。
図34(B)に示すように、K値が刺激数の頻度に依存していることがわかる。
図35(A)及び(B)は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸をCBVの濃度変化量(ΔCBV)、縦軸をCOEの濃度変化量(ΔCOE)とし、時系列的にプロットした二次元ダイアグラム、(B)は横軸をCBVの濃度変化量(ΔCBV)、縦軸をCOEの濃度変化量(ΔCOE)とし、刺激数に応じてプロットした二次元ダイアグラムである。
図35のグラフにより、時間に依存している脳の箇所や、刺激数に依存している脳の箇所を区別することができる。
図36は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を時間、左縦軸をL値の変化量、右縦軸をk角の変化量としてL値及びk角の時系列変化を示すグラフ、(B)は横軸を時間から刺激数に変換し、左縦軸をL値の変化量、右縦軸をk角の変化量としてL値及びk角の刺激数に応じた変化を示すグラフである。
図36(B)に示すように、刺激数が累積されることで、L/k比が低下し、酸素交換Hb利用効率が増加している。
図36(A)に示す変換前の時系列データでは、むしろ逆に、最初の30秒でL/kが低くなっている。
このことから、時系列依存性生体反応と刺激数依存性生体反応を区別して診断することができる。
(具体例5:生体に対する刺激数に応じた変化)
本発明者は、約4分間、生体に対して周波数の異なる光刺激を与える課題を行い、脳の前頭葉から計測されたHb変化を計測した実験を行った。
具体的には、照明装置等で一定の間隔で点滅させる光を刺激とし、点滅される光の累積数を刺激数として計測を行った。また、光の点滅される間隔を変えることにより周波数を変えた。
変換部11により時系列データを刺激数系列データに変換することで、時系列データからは、想定できなかった刺激数と複数のHb変化の相関性を明らかにすることが可能となる。
また、二次元表示では、位相変化が時系列データと刺激数系列データでは異なることもわかる。
図37は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を時間、左縦軸をHb濃度変化量として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、CBV、COEの時系列変化を示すグラフ、(B)は横軸を時間から刺激数に変換し、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を周波数(Hz)として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、CBV、COE及び周波数の刺激数に応じた変化を示すグラフである。
図37(A)及び(B)からわかるように、時系列データでは周波数の変化をとらえることが困難であるが、刺激数に応じたデータでは、周波数の変化をとらえることが可能である。従って、生体の光の変化をとらえる前頭葉では、光刺激に対して、時間経過依存ではなく、刺激数依存で反応することが明らかになった。
図38は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を時間、左縦軸をL値の変化量、右縦軸をk角の変化量としてL値及びk角の時系列変化を示すグラフ、(B)は横軸を時間から刺激数に変換し、左縦軸をL値の変化量、右縦軸をk角の変化量としてL値及びk角の刺激数に応じた変化を示すグラフである。
図38(A)に示すように、変換前の時系列データでは、k角が時間的にはほぼ変動しない。
一方、図38(B)に示すように、刺激数と周波数との関係が明確になり、k角が刺激数に対応して変化していることがわかる。また、L/k比の変動が周波数ごとに起こっていることがわかる。
図39(A)及び(B)は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸をCBVの濃度変化量(ΔCBV)、縦軸をCOEの濃度変化量(ΔCOE)とし、時系列的にプロットした二次元ダイアグラム、(B)は横軸をCBVの濃度変化量(ΔCBV)、縦軸をCOEの濃度変化量(ΔCOE)とし、刺激数に応じてプロットした二次元ダイアグラムである。
図39のグラフにより、時間に依存している脳の箇所や、刺激数に遺贈している脳の箇所を区別することができる。
(刺激数データサンプリング法の積分方式と平均方式)
A地点からB地点までのHb変動をすべて加算するのが積分方式で、A地点からB地点までのHb変動をすべて加算して、かかった時間で割るのが平均方式である。
例えば、0−1mにかかった時間は2秒(40ポイント)、1−2mにかかった時間は1秒(20ポイント)とすると、1ポイント50msとすると、
積分方式では、
・Σ(0−1mのHb量)
・Σ(1−2mのHb量)
平均方式では、
・Σ(0−1mのHb量)/40ポイント
・Σ(1−2mのHb量)/20ポイント
で、1サンプリング50msあたりの変化量になっている。
ポイント数でわらないで、秒数で割れば、速さになる。
図40(A)は、図37(B)に対応した積分方式のグラフ、(B)は平均方式のグラフである。
図40からわかるように、積分方式のグラフの方が、変化が明確である。、
図41(A)は図39(B)に対応した積分方式のグラフ、(B)は平均方式のグラフである。
図41からわかるように、積分方式のグラフの方が、変化が明確である。、
(L/kを使った単位)
Lは、絶対座標上の開始点から移動後の距離をいう。
L/k/s=L/s/k=L速度を酸素交換角で除する。単位はモル/秒/度となる。
1秒間に1度酸素交換角を移動させるヘモグロビン交換量となる。
L/k/m=L/m/k=L速度を酸素交換角で除する。単位はモル/m/度となる。
1m間に1度酸素交換角を移動させるヘモグロビン交換量となる。
図42は、横軸をO(酸化型ヘモグロビンの濃度変化量)、縦軸をD(脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量)の二次元ダイアグラムである。
図42に示すように、低酸素化するベクトル(細胞が酸素を消費する作用)と高酸素化するベクトル(低酸素にさせない作用)との2つの作用は釣り合っており、生体の同じ部位で起こる場合と、異なった部位で起こる場合がある。
(L/Kのマップ作成も可能)
L/Kを計算すると、以下のように、重量にともなって、脳の第一次運動野(M1)も運動野の周囲もコアベクトルを1度動かすHb変化量は、以下になる。
M1 周囲
0kg 0.13 ー0.57
4.5kg 0.98 −1.15
9.5kg 2.94 −2.94
L/kを使って ORAを算出すると0.5LxL/kとなり、コアベクトルを1度動かすHb変化量による力を表す。
なお、ORAは、計測開始点(原点)からt秒後のLtが、K=0°の△CBV軸からKt度分掃いた、COREの軌道の累積面積を示す。ORAが正の場合、酸素交換増加方向(0 < K)に面積が膨らんだことを示し、ORAが負の場合、酸素の素通り方向(K< 0)に面積が膨らんだことを示すと定義される。
図43は横軸を時間、縦軸をL/kとしてダンベルを持ち上げる課題を行ったときのL/kの時系列変化を示すグラフであり、(A)はダンベルを持ち上げていない場合、(B)は4.5kgのダンベルを持ち上げた場合、(C)は9.5kgのダンベルを持ち上げた場合、(D)は14.5kgのダンベルを持ち上げた場合を示す。
ここで、k=ΔD(脱酸化型ヘモグロビンの変化量)/
ΔO(酸化型ヘモグロビンの変化量)である。太線部は課題中を示す。
図44は横軸を時間、縦軸をL/kとしてダンベルを持ち上げる課題を行ったときのL/kの時系列変化を示すグラフであり、(A)はダンベルを持ち上げていない場合、(B)は4.5kgのダンベルを持ち上げた場合、(C)は9.5kgのダンベルを持ち上げた場合、(D)は14.5kgのダンベルを持ち上げた場合を示す。
ここで、K=ΔMOE(筋肉の酸素交換量の変化量)/
ΔMBV(筋肉の血液量の変化量)である。太線部は課題中を示す。
二次元ダイアグラム上の酸素交換ベクトルを1度移動させるHb変化量を示し、ダンベルの重量によって増加している。課題中に対応して変化することがわかる。また、重いダンベルを持ち上げた場合、課題後も回復しにくいことがわかる。
図45は、横軸を周波数(Hz)、縦軸をパワーとしてKの周波数を示すグラフであり、(A)はダンベルを持ち上げていない場合、(B)は4.5kgのダンベルを持ち上げた場合、(C)は9.5kgのダンベルを持ち上げた場合である。
ここで、Kの周波数は、各ダンベルの重さで運動時している最中の上腕二頭筋のHbデータから位相Kを算出して、そのデータ(サンプリング数900)を周波数分析した結果から算出され、酸素代謝の均一性が診断できる。
ダンベル運動時の筋肉のKの周波数を分析した結果、1Hz以下のパワーが低下してフラットになり低周波依存が高くなることがわかる。
(距離系列データについて)
図46は、具体例1の計測データに関するグラフであり、(A)は横軸を移動距離、縦軸を変化量として、速度、加速度、躍度(加加速度)の移動距離に応じた変化を示すグラフ、(B)は横軸を移動距離、左縦軸をHb/速度の変化量、右縦軸を速度として、酸化型ヘモグロビンの濃度変化量と脱酸化型ヘモグロビンにおけるそれぞれのHb変化/速度及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
図47は、具体例1の計測データに関するグラフであり、(A)は横軸を移動距離、左縦軸をHb/加速度の変化量、右縦軸を加速度として、酸化型ヘモグロビンの濃度変化量と脱酸化型ヘモグロビンにおけるそれぞれのHb変化/加速度及び加速度の移動距離に応じた変化を示すグラフ、(B)は横軸を移動距離、左縦軸をHb/躍度の変化量、右縦軸を躍度として、酸化型ヘモグロビンの濃度変化量と脱酸化型ヘモグロビンにおけるそれぞれのHb変化/躍度及び躍度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
次に、図3に示す走行コースのより詳細な箇所でのデータについて解析する。
図48(A)は走行コースの地形情報を示す説明図、(B)は横軸を時間、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を速度として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量及び速度の1週目の時系列変化を示すグラフ、(C)は横軸を時間、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を速度として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量及び速度の2週目の時系列変化を示すグラフである。
グラフ中の9−12の数字は走行コースの箇所(図48(A)参照)に対応する。
図48に示すように、変換前の時系列データでは、同じコースの同一区間でも走行時間が異なることがわかる。
図49は、横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を速度として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量及び速度の1週目の時系列変化を示すグラフ、(C)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を速度として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量及び速度の2週目の時系列変化を示すグラフである。
図49では、いずれも積分方式で時間を距離に変換している。サンプリング距離は30mである。
図49に示すように、変換後の距離系列データでは、同じコースの同一区間で
走行時間が異なっても地点が一致することがわかる。
なお、サンプリングの距離値は任意に設定可能である。
図50(A)は、図48(A)に対応するグラフであり、(B)は右縦軸を移動距離に変換したグラフである。時系列データは、従来、Hbデータ、時間のみ記述されてきたが、同時に、速度、または、移動距離(地形情報)を採取することで移動距離変換が可能となる。
なお、時系列データから距離系列データに変換する方法には、例えば最低3種類の方法がある。
1)抜粋方式:区間距離を決めて、サンプリング距離値として、時間に対応した地点Hb値(距離情報)を抜粋して配列する方式である。
2)平均方式:区間距離を決めて、サンプリング距離値として、その区間の平均地点Hb値(移動平均地点Hb値)を距離系列に配置する方式である。
3)積分方式:区間距離を決めて、サンプリング距離値として、その区間の積算Hb値(移動距離累積Hb値)を距離系列に配置する方式である。
図51は抜粋方式で時系列データから距離系列データに変換したグラフであり、(A)はサンプリング距離値を30mしたグラフであり、(B)はサンプリング距離値を15mにしたグラフである。
図52は平均方式で時系列データから距離系列データに変換したグラフであり、(A)はサンプリング距離値を30mしたグラフであり、(B)はサンプリング距離値を15mにしたグラフである。
図53は積分方式で時系列データから距離系列データに変換したグラフであり、(A)はサンプリング距離値を30mしたグラフであり、(B)はサンプリング距離値を15mにしたグラフである。
右カーブ、左カーブで、脱酸化Hb値、酸化Hb値の低下を観察できる。
このように、部位によって、地形情報との関係で生体反応が異なることを複数の計測点からの情報で、リアルタイムに画像化できる。例えば、地形情報と脳活動部位との関係が診断しやすくなる。
図54(A)は時系列データのグラフ、(B)はサンプリング距離値を30mにして積分方式で距離に変換したグラフ、(C)はHbと遅さの相関性を示す表である。
時系列データ表示では、COEが遅さともっと相関性が高い。しかし、変換後
時系列データでは相関性がもっと低かったCBVが距離系列ではもっとも高い
(具体例6:生体に対する運動エネルギー等に応じた変化)
本発明者は、66kgの被験者の速度を変えながら横歩き運動を行い、脳の前頭葉から計測されたHb変化を同時に計測した実験を行った。
ここで、体重、移動速度、加速度と生体Hbの変化から、運動エネルギーに対応した生体ヘモグロビンの変化量を算出できる。
また、Oxy/cal, D/cal, BV/cal、OE/cal、L/cal、ORA/calの時系列データ、と カロリーと各ヘモグロビンIndexとの比が算出できる。
・J(ジュール)=N(ニュートン:kg・m/s2)×m(距離:m)
・運動エネルギー=0.5×重さ(kg)×速さ(m/s)×速さ(m/s)
・単位は Jと運動エネルギーは同じ(kg・m2/s2)
・運動エネルギー×4.184=カロリー
となる。
図55は、 人の運動の速度、距離、時間を算出するための表である。距離=歩幅×歩数で計算され、速度=距離/時間(かかった時間)として算出される。
図56(A)は横軸を時間、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を速度として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、CBVの濃度変化量、COEの濃度変化量及び速度の時系列変化を示すグラフであり、(B)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を速度として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、CBVの濃度変化量、COEの濃度変化量及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
図56(B)に示すように、移動距離が0−50mで、Hbの変化が大きいことがわかる。
図57(A)は横軸を時間、左縦軸をk角、右縦軸を速度としてk角及び速度の時系列変化を示すグラフであり、(B)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をk角、右縦軸を速度としてk角及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
図57(B)に示すように、変換後は、移動していない時間帯(0―35秒)のKが表示されていない。
図58(A)は横軸を時間、左縦軸をL値、右縦軸を速度としてL値及び速度の時系列変化を示すグラフであり、(B)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をL値、右縦軸を速度としてL値及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
図58(B)に示すように、移動開始後のL値が増加していることがわかる。
図59(A)は横軸をCBVの濃度変化量(ΔCBV)、縦軸をCOEの濃度変化量(ΔCOE)とし、時系列的にプロットした二次元ダイアグラム、(B)は横軸をCBVの濃度変化量(ΔCBV)、縦軸をCOEの濃度変化量(ΔCOE)とし、時間から移動距離に変換してプロットした二次元ダイアグラムである。
図59中、△は0.0km/hの最終点、□は4.2km/hの最終点、○は6.7km/hの最終点である。
図59(B)に示すように、変換後では、位相が最初はΔO軸に並行に進み、その後ΔD軸に並行に進むことがわかる。
図60(A)は横軸を時間、左縦軸をORA、右縦軸を速度としてORA及び速度の時系列変化を示すグラフであり、(B)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をORA、右縦軸を速度としてORA及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
図61(A)は横軸を時間、左縦軸を運動エネルギーと運動量、右縦軸を速度として運動エネルギー、運動量及び速度の時系列変化を示すグラフであり、(B)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸を運動エネルギーと運動量、右縦軸を速度として運動エネルギー、運動量及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
図62(A)は横軸をORA、運動エネルギーとし、時系列的にプロットした二次元ダイアグラム、(B)は横軸をORA、運動エネルギーとし、時間から移動距離に変換してプロットした二次元ダイアグラムである。
図62に示すように、運動エネルギーとORAの二次元表示では、時系列データと距離系列データによる結果では、変化の軌道が異なる。図62(B)に示すように、距離系列データでは、運動エネルギーが低下している最中に、ゆっくりとORAが増加することがわかる。
図63(A)は横軸を時間、左縦軸をHb/cal(カロリー)、右縦軸を速度としてHb/cal及び速度の時系列変化を示すグラフであり、(B)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をHb/cal(カロリー)、右縦軸を速度としてHb/cal及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
図63から、OxyHbカロリー比が、運動開始直後では高く、ゆっくり低下するのに対して、DexyHbカロリー比が、運動開始から後半に向かって増加することがわかる。
図64(A)はCBV/運動エネルギー、COE/運動エネルギーを算出して1カロリーあたりのHb変化量の時系列データを示すグラフ、(B)は時間を移動距離に変換した距離系列データを示すグラフである。
図64から、CBVカロリー比が、運動開始直後では高く、ゆっくり低下し後半、再上昇するのに対して、COEカロリー比が、運動開始から後半に向かって増加することがわかる。
図65(A)はORA/運動エネルギーを算出して1カロリーあたりのORA変化量の時系列データを示すグラフ、(B)は時間を移動距離に変換した距離系列データを示すグラフである。
図65から、ORAカロリー比が、運動開始から後半に向かって増加することがわかる。
図66は(A)はL/運動エネルギーを算出して1カロリーあたりのL値の変化量の時系列データを示すグラフ、(B)は時間を移動距離に変換した距離系列データを示すグラフである。
図66から、Lカロリー比が、運動開始から後半に向かって増加し、再び増加することがわかる。
図67は運動エネルギーとヘモグロビン変化の関係を示す二次元ダイアグラムであり、(A)は横軸を酸化型ヘモグロビン、縦軸をカロリーとした時系列データを示す二次元ダイアグラム、(B)は時間を移動距離に変換した距離系列データを示す二次元ダイアグラム、(C)は横軸を脱酸化型ヘモグロビン、縦軸をカロリーとした時系列データを示す二次元ダイアグラム、(D)は時間を移動距離に変換した距離系列データを示す二次元ダイアグラムである。
図68は運動エネルギーとヘモグロビン変化の関係を示す二次元ダイアグラムであり、(A)は横軸をCBV、縦軸をカロリーとした時系列データを示す二次元ダイアグラム、(B)は時間を移動距離に変換した距離系列データを示す二次元ダイアグラム、(C)は横軸をCOE、縦軸をカロリーとした時系列データを示す二次元ダイアグラム、(D)は時間を移動距離に変換した距離系列データを示す二次元ダイアグラムである。
図69は運動エネルギーとヘモグロビン変化の関係を示す二次元ダイアグラムであり、(A)は横軸をL値、縦軸をカロリーとした時系列データを示す二次元ダイアグラム、(B)は時間を移動距離に変換した距離系列データを示す二次元ダイアグラム、(C)は横軸をORA、縦軸をカロリーとした時系列データを示す二次元ダイアグラム、(D)は時間を移動距離に変換した距離系列データを示す二次元ダイアグラムである。
図67〜図69から、距離系列データの方が時系列データに比べてスムーズが動きになることがわかる。
(具体例7:生体に対する運動エネルギー等に応じた変化)
本発明者は、66kgの被験者の速度を変えながらスクワット運動を行い、脳の前頭葉から計測されたHb変化を同時に計測した実験を行った。
ここで、体重66kgとして高さ(1回ごとに加算)、体重、重力の関係から、運動力学と脳の働きを同時に結びつけて測定値とすることができる。
図70(A)は横軸を時間、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を速度として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、CBVの濃度変化量、COEの濃度変化量及び速度の時系列変化を示すグラフであり、(B)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を速度として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、CBVの濃度変化量、COEの濃度変化量及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
図70(B)に示すように、移動距離の後半では、移動距離に対するHbの変化が小さいことが分かる。
図71(A)は横軸を時間、左縦軸をk角、右縦軸を速度としてk角及び速度の時系列変化を示すグラフであり、(B)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をk角、右縦軸を速度としてk角及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
図71(B)に示すように、変換後は、移動していない時間帯(0―35秒)のKが表示されていない。
図72(A)は横軸を時間、左縦軸をL値、右縦軸を速度としてL値及び速度の時系列変化を示すグラフであり、(B)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をL値、右縦軸を速度としてL値及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
図72(B)に示すように、移動開始の後半でL値が低下していることがわかる。
図73(A)は横軸をCBVの濃度変化量(ΔCBV)、縦軸をCOEの濃度変化量(ΔCOE)とし、時系列的にプロットした二次元ダイアグラム、(B)は横軸をCBVの濃度変化量(ΔCBV)、縦軸をCOEの濃度変化量(ΔCOE)とし、時間から移動距離に変換してプロットした二次元ダイアグラムである。
図73中、◇は0.96km/hの最終点、○は1.92km/hの開始点である。
図73(B)に示すように、移動距離に変換することにより、動きが大きくダイナミックになることがわかる。
図74(A)は横軸を時間、左縦軸をORA、右縦軸を速度としてORA及び速度の時系列変化を示すグラフであり、(B)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸をORA、右縦軸を速度としてORA及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
図74(B)に示すように、ORAはすぐ上昇し、下降した後、滑らかな変化になる。
図75(A)は横軸を時間、左縦軸を位置エネルギー、右縦軸を速度として位置エネルギー及び速度の時系列変化を示すグラフであり、(B)は横軸を時間から移動距離に変換し、左縦軸を位置エネルギー、右縦軸を速度として位置エネルギー及び速度の移動距離に応じた変化を示すグラフである。
図76(A)は横軸をORA、位置エネルギーとし、時系列的にプロットした二次元ダイアグラム、(B)は横軸をORA、位置エネルギーとし、時間から移動距離に変換してプロットした二次元ダイアグラムである。
(具体例8:生体に対する刺激数に応じた変化)
本発明者は、生体に対して音読の速度を変えながら文章を読んでいく課題を行い、脳の前頭葉から計測されたHb変化を計測した実験を行った。
具体的には、音読の速度を変えながら文章を読んで、読まれた文章の語彙の累積数を刺激数として計測を行った。また、音読の速度を変えることにより周波数を変えた。
変換部11により時系列データを刺激数系列データに変換することで、時系列データからは、想定できなかった刺激数と複数のHb変化の相関性を明らかにすることが可能となる。
また、二次元表示では、位相変化が時系列データと刺激数系列データでは異なることもわかる。
図77は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を時間、左縦軸をHb濃度変化量として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、CBV、COEの時系列変化を示すグラフ、(B)は横軸を時間から刺激数に変換し、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を周波数(Hz)として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、CBV、COE及び周波数の刺激数に応じた変化を示すグラフである。
ここで、トリガーとは周波数が変わった瞬間をいう。
図77(B)に示すように、刺激数に変換したグラフでは、各データが周波数の変化に対応して変化していることがわかる。
図78は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を時間、縦軸をL値の変化量としてL値及び周波数の時系列変化を示すグラフ、(B)は横軸を時間から刺激数に変換し、左縦軸をL値の変化量、右縦軸を周波数(Hz)としてL値及び周波数の刺激数に応じた変化を示すグラフである。
図78中、○、◇、△はそれぞれ一致する箇所である。
図79は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を時間、左縦軸をk角の変化量としてk角の時系列変化を示すグラフ、(B)は横軸を時間から刺激数に変換し、左縦軸をk角の変化量、右縦軸を周波数(Hz)としてk角及び周波数の刺激数に応じた変化を示すグラフである。
ここで、トリガーとは周波数が変わった瞬間をいう。
図80は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸をCBVの濃度変化量(ΔCBV)、縦軸をCOEの濃度変化量(ΔCOE)とし、時系列的にプロットした二次元ダイアグラム、(B)は横軸をCBVの濃度変化量(ΔCBV)、縦軸をCOEの濃度変化量(ΔCOE)とし、刺激数に応じてプロットした二次元ダイアグラムである。
図80のグラフにより、時間に依存している脳の箇所や、刺激数に遺贈している脳の箇所を区別することができる。
図81は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を時間、左縦軸をL値の変化量、右縦軸を周波数としてL値及び周波数の時系列変化を示すグラフ、(B)は横軸を時間から刺激数に変換し、左縦軸をL値の変化量、右縦軸を周波数としてL値及び周波数の刺激数に応じた変化を示すグラフ、(C)は横軸を周波数、縦軸をL値とし、時系列的にプロットした二次元ダイアグラム、(B)は横軸を周波数、縦軸をL値とし、刺激数に応じてプロットした二次元ダイアグラムである。
図82は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を時間、左縦軸をORAの変化量、右縦軸を周波数としてORA及び周波数の時系列変化を示すグラフ、(B)は横軸を時間から刺激数に変換し、左縦軸をORAの変化量、右縦軸を周波数としてORA及び周波数の刺激数に応じた変化を示すグラフ、(C)は横軸を周波数、縦軸をORAとし、時系列的にプロットした二次元ダイアグラム、(B)は横軸を周波数、縦軸をORAとし、刺激数に応じてプロットした二次元ダイアグラムである。
図83は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を周波数、縦軸をHb変化量として酸化型ヘモグロビン及び脱酸化型ヘモグロビンを時系列的にプロットした二次元ダイアグラム、(B)は横軸を周波数、縦軸をHb変化量として酸化型ヘモグロビン及び脱酸化型ヘモグロビンの刺激数に応じた変化を示すグラフ、(C)は横軸を周波数、縦軸をHb変化量としてCBV及びCOEを時系列的にプロットした二次元ダイアグラム、(D)は横軸を周波数、縦軸をHb変化量としてCBV及びCOEを刺激数に応じてプロットした二次元ダイアグラムである。
図84は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は時系列データから周波数とL変化速度との関係を示すグラフ、(B)は刺激数系列データから周波数とL変化速度との関係を示すグラフである。
図85は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は時系列データから周波数とORA変化速度との関係を示すグラフ、(B)は刺激数系列データから周波数とORA変化速度との関係を示すグラフである。
図86は脳の前頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は時系列データから周波数と酸化型ヘモグロビンの変化速度との関係を示すグラフ、(B)は刺激数系列データから周波数と酸化型ヘモグロビンの変化速度との関係を示すグラフ、(C)は時系列データから周波数と脱酸化型ヘモグロビンの変化速度との関係を示すグラフ、(D)は刺激数系列データから周波数と脱酸化型ヘモグロビンの変化速度との関係を示すグラフである。
(具体例9:生体に対する刺激数に応じた変化)
本発明者は、生体に対して光刺激の速度(周波数)を変えながら光刺激を見ている課題を行い、被験者の脳の後頭葉から計測されたHb変化を計測した実験を行った。
具体的には、照明装置等で一定の間隔で点滅させる光を刺激とし、点滅される光の累積数を刺激数として計測を行った。また、光の点滅される間隔を変えることにより周波数を変えた。
変換部11により時系列データを刺激数系列データに変換することで、時系列データからは、想定できなかった刺激数と複数のHb変化の相関性を明らかにすることが可能となる。
また、二次元表示では、位相変化が時系列データと刺激数系列データでは異なることもわかる。
図87は脳の後頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を時間、左縦軸をHb濃度変化量として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、CBV、COEの時系列変化を示すグラフ、(B)は横軸を時間から刺激数に変換し、左縦軸をHb濃度変化量、右縦軸を周波数(Hz)として酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、脱酸化型ヘモグロビンの濃度変化量、CBV、COE及び周波数の刺激数に応じた変化を示すグラフである。
ここで、トリガーとは周波数が変わった瞬間をいう。
図87(B)に示すように、刺激数に変換したグラフでは、各データが周波数の変化に対応して変化していることがわかる。
図88は脳の後頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を時間、左縦軸をL値の変化量としてL値の時系列変化を示すグラフ、(B)は横軸を時間から刺激数に変換し、左縦軸をL値の変化量、右縦軸を周波数(Hz)としてL値及び周波数の刺激数に応じた変化を示すグラフである。
図88中、○、◇、△はそれぞれ一致する箇所である。
図89は脳の後頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸を時間、左縦軸をk角の変化量としてk角の時系列変化を示すグラフ、(B)は横軸を時間から刺激数に変換し、左縦軸をk角の変化量、右縦軸を周波数(Hz)としてk角及び周波数の刺激数に応じた変化を示すグラフである。
ここで、トリガーとは周波数が変わった瞬間をいう。
図89(B)に示すように、刺激の周波数に対応してkの値の変動 が起こっていることは明らかである。
図90は脳の後頭葉から計測されたデータのグラフであり、(A)は横軸をCBVの濃度変化量(ΔCBV)、縦軸をCOEの濃度変化量(ΔCOE)とし、時系列的にプロットした二次元ダイアグラム、(B)は横軸をCBVの濃度変化量(ΔCBV)、縦軸をCOEの濃度変化量(ΔCOE)とし、刺激数に応じてプロットした二次元ダイアグラムである。
図90(B)のグラフにより、周波数ごとに動く向きが違うことがわかる。
なお、図90(B)で記号○だけ枠内にあり、記号◇、△は枠外にある。
(リサジュー図形について)
図91はプロットした点の軌跡をリサジュー図形とみなすことについて説明するためのグラフである。
図91に示すように、二次元上で起動するoxyHbベクトルと△O 軸、△D軸、△CBV軸、△COE軸の4軸から成る極座標平面を、脳酸素調節ベクトル平面(CORE vector plane)と定義する。
△O 軸、△D軸の組み合わせ、 △CBV軸、△COE軸の組み合わせは、相互直交する二つの単振動の順序対と考えると、得られる点の軌跡は、リサジュー図形と見なすことができる。
それぞれの振動の振幅、振動数、初期位相の違いによって、多様な曲線が描かれる。
つまり、
△O =Acos(at) △D = Bsin(bt+σ)
あるいは、
△CBV = Acos(at)、△COE == Bsin(bt+σ)
A,Bは、振幅、 σは、初期位相差である。
そこで、生体の複雑な酸素交換現象の周波数特性を計測するために、△O 軸、△D軸の組み合わせ、 △CBV軸、△COE軸の組み合わせから、縦軸からの上下に描かれた山の数と、横軸からの左右に描かれた山の数がわかる。
このリサジュー図形を用いた4つの酸素交換指標の周波数と振幅の組み合わせは、安静時、刺激中、刺激後と変化するので、生体反応と入力された刺激との関係を周波数の組み合わせから特徴付けられる。
(△O の周波数、△Dの周波数、△CBVの周波数、△COEの周波数)
また
(△O の振幅、△Dの振幅、△CBVの振幅、△COEの振幅)
同一のリサージュ曲線であっても、それぞれの軸に投影される振幅、および周波数は、かならずしも一致しないので特性がサンプリングされた時間、あるいは、位置情報の違いによって変化することがわかる。
また、2軸だけでなく、4軸の相互関係が明らかにできる。
同一周波数・同一振幅で位相差がある場合
同一周波数・位相差なしで振幅差がある場合
同一振幅・位相差なしで周波数が異なる場合
周波数差、位相差、振幅差がある場合
など図形から相互関係を分類できる。
(プログラム)
図1に示す本発明の実施形態例に係るプログラム12は、上記生体機能診断装置Kの装置本体2の制御部7の上記の処理を実行させることを特徴とするものである。
このプログラム12は、磁気ディスク、CD−ROM、半導体メモリ等の記録媒体に記録されていてもよく、通信ネットワークを介してダウンロードされるものでもよい。
次に、「時間以外の事象経過情報に基づいて生体機能を診断すると、生体反応をうまくとらえることができる」点について本発明者は次のように考察している。
(時間に依存しない脳と筋肉に成長について)
生体反応は、細胞が生きていることに起因し、細胞が生きているので、その集合体としての生体が、刺激に対して反応する。細胞の生命力は、例えば、赤血球では、約120日とされている。人間の一生も約100年である。
このように、生体が生きることにはある程度の時間的な限界が存在していることが分かっている。
この事実は、時間が経過することによって、結果的に、生体が反応できる残りの時間が短縮することを意味する。
また、生体の成長も一見、時間経過に依存しているように見える。赤ちゃんが1年、1年成長して大人になってく姿も生体の成長過程の一つである。
しかし、その一方で、生体の成長は、食物の適切な摂取によって、栄養が細胞にもたらされることで成立する。
また、一生懸命に学び、勉強することで成績があがり、脳が成長する。
このことは、発明者の脳の枝ぶりの画像化で明確である。また、筋肉は、運動することで鍛えられ太く強くなります。
すなわち、時間が経過したために、筋肉が成長したのでもなく、脳が成長したのでもないことがわかる。
もちろん筋肉や脳の成長過程にはそれぞれ固有の成長するために必要な時間や老化、あるいは萎縮、退化するために必要な時間がある。つまり、時間に依存していない生体の成長、変化が存在していることがわかる。
ところが、われわれは、時間の経過とともに生活を営んでいるので、「時間以外の事象経過情報に基づいて生体機能が営まれる」事実に気がつきにくく、さらには、「時間以外の事象経過情報に基づいて生体機能が営まれる」生体反応を計測対象にすることに、全く気がつかなかったと思われる。
人間の臓器の中で、もっとも個人差の大きい臓器は、脳と筋肉と考えられる。。
筋肉量は、スポーツマンは、スポーツの種類によって発達している筋肉が異なる。脳も使って鍛えている脳の箇所(番地)によって、成長が異なる。
特に、脳は、未熟な状態(赤ちゃん)からはじまって、100歳になっても、未熟な脳細胞が残っているので、未熟なまま一生を終える。
すなわち、人間の臓器の中で、未完の臓器、経験し続ける臓器は脳だけである。脳の役割は、「経験を蓄積すること」という新しい機能を発明者は見いだした。
そこで、経験の蓄積が、時間に依存して起こるだけでなく、刺激頻度の蓄積、あるいは、仕事量、距離などニュートン力学からのスケールに依存して蓄積されると仮説すると、生体反応の計測は、時間軸に必ずしも依存しないことがわかる。
例えば、同じ高校時代でも勉強しなければ、成績は上がらない。楽器も練習しないとうまくならない。
しかし、勉強も練習も、時間に依存しているだけでなく、勉強量と練習量にも依存している。
したがって、「経験量によって生体反応が異なる」ことが考えられる。
そこで、経験量を時間軸で集積するのか、時間以外の軸で集積するのか、の選択になる。
このように、そもそも、時間に依存して反応する生体反応もあれば、「経験を蓄積する生体反応」(経験量によって生体反応が異なる)があり、それを計測して診断することが、本発明における新規な着想といえる。
本発明は、上記実施の形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内において、種々の変更が可能である。
例えば、明細書及び図面に記載された各種生理的指標(変化量、パラメータ)の種類、調整部11による生理的指標の調整の程度、比較・調整すべき生理的指標同士の組み合わせ、生理的指標同士の相関係数、生理的指標同士の乗算の組み合わせ等は例示であり、これに限定されるものではない。
また、二次元画像だけでなく、三次元の立体的な画像で表示部9に表示してもよい。