JP6029184B2 - ディーゼルエンジン - Google Patents
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Description
ラックの動作が異常であると判定される原因としては、プランジャの外周に燃料の膜等ができて、これにより、プランジャが固着して回動しにくい状態になっていることが挙げられる。
そこで、ラックの動作が異常であると判定されて、ディーゼルエンジンの始動が牽制された場合、オペレータは、手作業でプランジャの外周にできた燃料の膜等を除去していた。
しかし、手間がかかり、ディーゼルエンジンを円滑に始動させることが困難となるおそれがあった。
アクチュエータによってラックを動かして、プランジャの回動位置を変更することで燃料噴射量を調整する燃料噴出ポンプと、
前記ラックを動かす際に、前記ラックに対して、前記アクチュエータよりも大きい押圧力を付与することが可能なサブアクチュエータと、
キースイッチの操作に応じて、前記アクチュエータ、及び前記サブアクチュエータの動作を制御する制御装置と、
を具備し、
前記制御装置は、前記キースイッチがOFF位置からON位置に操作された場合に、前記アクチュエータを用いて前記ラックに所定動作を行わせ、前記ラックが前記所定動作を所定時間内に完了させることができなかったときには、前記サブアクチュエータを用いて前記ラックを動かす。
前記サブアクチュエータは、前記アクチュエータと前記ラックの間に介装されるリンク機構に接続される。
前記サブアクチュエータは、前記ラックに接続される。
前記サブアクチュエータは、前記アクチュエータに接続される。
エンジン本体10は、シリンダブロック12、及びシリンダブロック12の上端に配設されたシリンダヘッド13を有する。シリンダブロック12には、複数の気筒11が設けられている。各気筒11内には、ピストン14が往復動可能に嵌挿されている。ピストン14には、コンロッド15を介してクランク軸16が連結されている。ピストン14の上端とシリンダヘッド13の下端の間には、燃焼室17が形成されている。シリンダヘッド13には、給気ポート18及び排気ポート19が形成されている。給気ポート18及び排気ポート19には、燃焼室17側の開口を開閉する吸気弁20及び排気弁21がそれぞれ配置されている。また、シリンダヘッド13には、燃料噴射ノズル22が、その先端部を燃焼室17内に突出するようにして設けられている。
吸気行程では、給気ポート18が開いた状態でピストン14が下死点まで下がり、外気が給気ポート18から燃焼室17内に供給される。
圧縮行程では、給気ポート18及び排気ポート19が閉じた状態で、ピストン14が上死点まで上がり、これにより燃焼室17内の空気が圧縮される。この圧縮により燃焼室17内の空気が高温となる。そして、この圧縮行程の終わり近くで燃料噴射ノズル22から燃料が噴射される。この燃料は自然着火して燃焼する。
膨張行程では、燃料の燃焼により急激に温度と圧力が上昇してピストン14が下死点まで下がる。
排気行程では、排気ポート19が開いた状態でピストン14が上死点まで上がり、燃料の燃焼により生じたガス(排気ガス)が燃焼室17内から排気ポート19を介して流出する。
図2に示すように、燃料噴射ポンプ30は、ハイドロリックヘッド31を有する。ハイドロリックヘッド31にはプランジャバレル33が挿嵌されており、プランジャバレル33内にプランジャ34が上下方向に摺動自在に内装される。プランジャ34の外周側面には、プランジャリード34aが形成されている。プランジャリード34aは、螺旋状の溝である。プランジャ34の下方には、ローラ状のタペット36が回転可能に軸支される。タペット36には、カム37が当接している。カム37は、カム軸38に固定されている。カム軸38は、図示しない歯車を介してエンジン本体10のクランク軸16に接続されている。クランク軸16が回転するときに、これに伴ってカム軸38(カム37)が回転し、その結果、プランジャ34が上下方向にストローク動作する。
その結果、燃料圧室40内の燃料は、プランジャ34の上昇に伴って加圧されて、プランジャ34の上方のバルブ41を開けて、噴出口42から噴出する。噴出口42から噴出した燃料は、噴射管44を通ってエンジン本体10の燃料噴射ノズル22から噴射されて、燃焼室17内へ供給される。
その結果、プランジャバレル33内の燃料が前記メインポートへ逆流する。すなわち、燃料噴射ポンプ30による燃料の噴射が停止される。
そして、アクチュエータ48によりラック45が往復動されるのに伴って、プランジャ34がその軸回りに回動されることとなる。
アクチュエータ48によりプランジャ34の回動位置が変更されることで、プランジャ34の上昇時における、プランジャリード34aとメインポート39との連通するタイミングが変更される。その結果、燃料噴射ポンプ30による燃料噴射量が調整される。
本実施形態では、ラック45が他端位置P2側に摺動されることによって、燃料噴射量が増方向に調整され、ラック45が一端位置P1側に摺動されることによって、燃料噴射量が減方向に調整されることとする。
サブアクチュエータ57は、例えば、空圧シリンダ、油圧シリンダ、又は、電磁ソレノイドで構成される。サブアクチュエータ57の最大出力は、アクチュエータ48の最大出力よりも大きい。これにより、サブアクチュエータ57は、ラック45を動かす際に、ラック45に対して、アクチュエータ48よりも大きい押圧力を付与することが可能である。サブアクチュエータ57は、アクチュエータ48とラック45の間に介装されるリンク機構(例えば、連動レバー52、連結リンク46等)に接続されており、当該リンク機構を介してラック45に押圧力を付与する(図10参照)。
なお、サブアクチュエータ57をラック45に接続して、サブアクチュエータ57によりラック45に対して直接に押圧力を付与するように構成してもよい(図11参照)。また、サブアクチュエータ57をアクチュエータ48に接続して、サブアクチュエータ57が、アクチュエータ48を押すことで、ラック45に対して押圧力を付与するように構成してもよい(図12参照)。
サブアクチュエータ57の取付構造の説明は後述する。
図1に示すように、スタータ60は、電動モータを有する。スタータ60は、エンジン本体10のクランク軸16に接続されており、クランク軸16を回転させることが可能である。また、スタータ60は、クランク軸16を回転させるのに伴って、プランジャ34を上下方向にストローク動作させることが可能である。
スタータ60は、クランク軸16を回転させることによって、ディーゼルエンジン1を始動させる。ディーゼルエンジン1が始動するとは、スタータ60を停止させた状態で、前記吸気行程、圧縮行程、膨張行程、及び排気行程が連続的に成立するようになった状態をいう。
キースイッチ80は、ディーゼルエンジン1の始動及び停止を行うための操作具である。キースイッチ80は、そのキーポジションを、OFF位置、ON位置、及びSTART位置に変更可能に構成されている。キースイッチ80が前記OFF位置に操作されているときには、スタータ60及び制御装置70が通電されておらず、停止している状態となっている。キースイッチ80が前記ON位置に操作されているときには、アクチュエータ48、スタータ60及び制御装置70が通電されており、作動可能な状態となっている。制御装置70は、キースイッチ80が前記ON位置から前記START位置に操作されたときに、スタータ60を作動させると共に、ディーゼルエンジン1を始動させるための各種制御プログラムを実行する。
ラック45の動作検査とは、ラック45に所定動作Xを行わせて、ラック45が所定動作Xを所定時間Ta内に完了させることができたか否かを判定することである。
所定動作Xは、ラック45を、その可動範囲P1〜P2の全域に亘って移動させることである。本実施形態では、制御装置70は、ラック45を、一端位置P1→他端位置P2→一端位置P1の順に移動させることとする。
所定時間Taは、アクチュエータ48の駆動に伴って、ラック45が正常に動作した場合において、ラック45が所定動作Xを完了させるのに通常要する時間である。所定時間Taの情報は、予め制御装置70に記憶されている。
図5に示すように、制御装置70は、ラック45が所定動作Xを所定時間Ta内に完了させることができたときには、ラック45の動作が正常であると判定する。
図6〜図9に示すように、制御装置70は、ラック45が所定動作Xを所定時間Ta内に完了させることができなかったときには、ラック45の動作が異常であると判定する。
制御装置70により、ラック45の動作が異常であると判定された場合には、(ステップS43、異常)、ステップS47に移行する。
キースイッチ80が前記START位置に操作されておらず、前記ON位置にある場合、制御装置70は、キースイッチ80が前記START位置に操作されるまで待機する。
キースイッチ80が前記START位置に操作されている場合、ステップS46に移行する。
なお、ステップS47において、制御装置70は、アクチュエータ48とサブアクチュエータ57の両方を用いてラック45を動かすように構成してもよい。
なお、キースイッチ80が、前記ON位置又は前記START位置に保持されていることを条件に、制御装置70は、ラック45の動作検査を実施することが可能である。従って、図9に示すように、ラック45の動作検査中に、キースイッチ80が前記OFF位置に操作されると、ラック45の動作検査が中断される。
制御装置70により、ラック45の動作が異常であると判定された場合には、(ステップS48、異常)、ステップS49に移行する。
ステップS50において、制御装置70が本牽制をした後に、キースイッチ80が前記ON位置又は前記START位置に保持されている場合には、(ステップS50、No)、エラー判定、及び本牽制の状態が保持される。
図5には、フローチャート(図4参照)において、ステップS41→ステップS42→ステップS43→ステップS44→ステップS45→ステップS46の順に移行したときの、ディーゼルエンジン1の動作を示すタイムチャートが表示されている。
図6には、フローチャート(図4参照)において、ステップS41→ステップS42→ステップS43→ステップS47→ステップS48→ステップS44→ステップS45→ステップS46の順に移行したときの、ディーゼルエンジン1の動作を示すタイムチャートが表示されている。
図7には、フローチャート(図4参照)において、ステップS41→ステップS42→ステップS43→ステップS47→ステップS48→ステップS49の順に移行したときの、ディーゼルエンジン1の動作を示すタイムチャートが表示されている。
図8には、フローチャート(図4参照)において、ステップS41→ステップS42→ステップS43→ステップS47→ステップS48→ステップS49→ステップS50→ステップS51→ステップS41→ステップS42→ステップS43→ステップS47の順に移行したときの、ディーゼルエンジン1の動作を示すタイムチャートが表示されている。
図9には、フローチャート(図4参照)において、ステップS41→ステップS42→ステップS43→ステップS47→ステップS48→ステップS41→ステップS42→ステップS43→ステップS47→ステップS48の順に移行したときの、ディーゼルエンジン1の動作を示すタイムチャートが表示されている。
すなわち、制御装置70が、ラック45の動作検査(アクチュエータ48によりラック45に所定動作Xを行わせる工程)と、サブアクチュエータ57を用いてラック45を動かすラック動作工程(ステップS47参照)と、を交互に所定の回数Nだけ繰り返して行う間に、ラック45が所定動作Xを所定時間Ta内に完了させることができなかったときには、スタータ60によるディーゼルエンジン1の始動を牽制(本牽制)するように構成する。前記所定の回数Nは、作業者等により自由に決定される。
例えば、制御装置70が、本牽制をするまでに、ラック45の動作検査を三回実施できるように構成する場合において、本牽制をするときには、制御装置70は、ラック45の動作検査(一回目)→異常判定→前記ラック動作工程→ラック45の動作検査(二回目)→異常判定→前記ラック動作工程→ラック45の動作検査(三回目)→異常判定→本牽制、の順に各工程を実施することとなる。
図10に示すようにサブアクチュエータ57は、前記リンク機構(連動レバー52、連結リンク46等)を介して、ラック45に接続されている。サブアクチュエータ57の摺動軸57aの先端には当接プレート55が取り付けられている。サブアクチュエータ57の本体部57bは、燃料噴射ポンプ30のケーシング30aに固定されている。
上記ステップS47において、制御装置70は、サブアクチュエータ57の摺動軸57aを図10の紙面右方向に摺動させることによって、連結レバー52を反時計回りに回動させて、ラック45を左方(一端位置P1から他端位置P2)へ動かす。
図11に示すように、サブアクチュエータ57は、ラック45に接続されている。サブアクチュエータ57の本体部57bは、燃料噴射ポンプ30のケーシング30aの内周面に固定されている。サブアクチュエータ57の摺動軸57aの先端は、ラック45の外周面に形成されるフランジ部45bに取り付けられている。
上記ステップS47において、制御装置70は、サブアクチュエータ57の摺動軸57aを図11の紙面左方向に摺動させることによって、ラック45を左方(一端位置P1から他端位置P2)へ動かす。
図12に示すように、サブアクチュエータ57は、アクチュエータ48に接続されている。サブアクチュエータ57の本体部57bは、燃料噴射ポンプ30のケーシング30aに固定されている。サブアクチュエータ57の摺動軸57aの先端は、アクチュエータ48の本体部48bに固定されている。アクチュエータ48の本体部48bは、弾性部材48cにより図12の紙面左方向に付勢されている。アクチュエータ48の摺動軸48aの先端には当接プレート55が取り付けられている。
上記ステップS47において、制御装置70は、サブアクチュエータ57の摺動軸57aを図12の紙面右方向に摺動させることによって、弾性部材48cを収縮させて、アクチュエータ48全体を右方向に動かす。その結果、制御装置70は、連結レバー52を反時計回りに回動させて、ラック45を左方(一端位置P1から他端位置P2)へ動かす。
30 燃料噴出ポンプ
34 プランジャ
45 ラック
48 アクチュエータ
57 サブアクチュエータ
60 スタータ
70 制御装置
80 キースイッチ
Claims (4)
- アクチュエータによってラックを動かして、プランジャの回動位置を変更することで燃料噴射量を調整する燃料噴出ポンプと、
前記ラックを動かす際に、前記ラックに対して、前記アクチュエータよりも大きい押圧力を付与することが可能なサブアクチュエータと、
キースイッチの操作に応じて、前記アクチュエータ、及び前記サブアクチュエータの動作を制御する制御装置と、
を具備し、
前記制御装置は、前記キースイッチがOFF位置からON位置に操作された場合に、前記アクチュエータを用いて前記ラックに所定動作を行わせ、前記ラックが前記所定動作を所定時間内に完了させることができなかったときには、前記サブアクチュエータを用いて前記ラックを動かすことを特徴とする、
ディーゼルエンジン。 - 前記サブアクチュエータは、前記アクチュエータと前記ラックの間に介装されるリンク機構に接続されることを特徴とする、
請求項1に記載のディーゼルエンジン。 - 前記サブアクチュエータは、前記ラックに接続されることを特徴とする、
請求項1に記載のディーゼルエンジン。 - 前記サブアクチュエータは、前記アクチュエータに接続されることを特徴とする、
請求項1に記載のディーゼルエンジン。
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