JP2011021499A - 内燃機関およびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】カムレス方式のディーゼルエンジンにおいて、吸気用および排気用のバルブとピストンとの衝突に起因する内燃機関の破壊を防止する。
【解決手段】カムレス方式のディーゼルエンジン1の停止時に、回転数が予め設定された回転数以下(かつ角度同期の下限回転数より高い回転数)になった場合に、ディーゼルエンジン1の全ての吸気用および排気用のバルブ4を強制的に閉じる。これにより、エンジン停止時および始動時において角度同期失陥に起因するバルブ制御不能領域での吸気用および排気用のバルブとピストンとの衝突を防止できるので、吸気用および排気用のバルブ4とピストンとの衝突に起因するディーゼルエンジン1の破壊を防止することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関およびその制御方法に関し、更に詳しくは、カムを用いることなくクランクシャフトの回転角度に依存しない任意のタイミングで吸気用および排気用のバルブを開閉可能な駆動装置を有するカムレス方式の内燃機関において、吸気用および排気用のバルブとピストンとの衝突に起因する内燃機関の破壊を防止することが可能な内燃機関およびその制御方法に関する。
近年、自動車用エンジンに対する排ガス規制強化や燃費改善の要求増大に伴って燃焼制御の高度化が進んでいる。燃焼制御を改善するための1つの方法として、エンジンの吸気用および排気用のバルブの動作タイミングを運転状態に応じて任意に変化させる可変バルブ機構があり、中でも、カムシャフトが無く、クランクシャフトの回転角度をセンサ等の検出手段によって認識し、コントローラが各気筒の運転行程(吸気、圧縮、膨張、排気)に合わせて最適なタイミングで吸気用および排気用のバルブの動作を制御する、カムレスエンジンの開発が進められている(例えば特許文献1,2参照)。
特開2003−328713号公報 特開2007−321737号公報
ところで、上記したカムレスエンジンは、吸気用および排気用のバルブの動作(タイミング、リフト量)の自由度が極めて高い反面、誤った指示を与えると吸気用および排気用のバルブがピストンに簡単に干渉してエンジンに大きなダメージを与える危険性がある。このため、ピストンの位置(すなわち、クランク角度)の認識は、カムレスエンジンにおいて非常に重要であるが、一般のエンジンコントローラではソフトおよびハードの性能に限界があり、エンジンの始動時および停止時の極低速領域で、クランク角度を認識することができない領域がある。
ベンチテストでの試験時にエンジンを停止する際は、オペレータ操作により、燃料噴射を停止して動力計(エンジンの性能評価をするためのダイナモメータ設備)をモータリング状態とし、コントローラへの手動指示で全ての吸気用および排気用のバルブを全閉状態に保持してから動力計を停止させるという一連の複雑な手順が必要である。
操作性および安全性の改善のため量産エンジン(または試作エンジン)では、エンジン停止時における吸気用および排気用のバルブの閉弁シーケンスの自動化が必須となる。万が一バルブ閉弁待避を行わないでエンジンを停止した場合、角度同期の下限回転数以下ではクランク角度の認識ができず、吸気用および排気用のバルブは角度同期失陥の直前位置でホールドされ、ピストンと衝突してしまう。エンジン始動時も機関速度が一定回転数以上になるまで吸気用および排気用のバルブを動かせないため(始動時は吸気用および排気用のバルブの作動油の圧力が上昇するまで吸気用および排気用のバルブを駆動できず更に条件が厳しい)、バルブとピストンとが衝突する危険がある。
本発明の目的は、カムレス方式の内燃機関において、吸気用および排気用のバルブとピストンとの衝突に起因する内燃機関の破壊を防止することができる内燃機関およびその制御方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の内燃機関は、カムを用いることなくクランクシャフトの回転角度に依存しない任意のタイミングで吸気用および排気用のバルブを開閉することが可能な駆動装置を備える内燃機関において、前記内燃機関の停止時に、前記内燃機関の回転数が予め設定された回転数以下になった場合に、前記内燃機関の全ての前記吸気用および排気用のバルブを強制的に閉じるように前記駆動装置に指示する制御部を備えるものである。
また、上記の目的を達成するための本発明の内燃機関の制御方法は、カムを用いることなくクランクシャフトの回転角度に依存しない任意のタイミングで吸気用および排気用のバルブを開閉することが可能な駆動装置を備える内燃機関の制御方法において、前記内燃機関の停止時に、前記内燃機関の回転数が予め設定された回転数以下になった場合に、前記内燃機関の全ての前記吸気用および排気用のバルブを強制的に閉じる制御を行うものである。
本発明によれば、内燃機関の停止時に内燃機関の全ての吸気用および排気用のバルブを閉じることにより、内燃機関の始動時および停止時に、角度同期失陥に起因するバルブ制御不能領域での吸気用および排気用のバルブとピストンとの衝突を防止することができる。このため、吸気用および排気用のバルブとピストンとの衝突に起因する内燃機関の破壊を防止することができるので、カムレス方式の内燃機関の安全性を向上させることができる。
本発明の実施の形態の内燃機関の要部構成図である。 ノーマルカムおよびカムレスに関してバルブプロファイルを比較して示したグラフ図である。 図1の内燃機関のエンジン停止時のタイミングチャート図である。
以下、本発明の実施の形態の内燃機関について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本実施の形態の内燃機関の要部の構成図を示している。
本実施の形態の内燃機関は、例えばディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)1として構成される。このエンジン1は、シリンダ(燃焼室)内において圧縮されて高温になった空気に燃料を供給して自己着火させ、この時に起こる自己着火をもとにした膨張でシリンダ内のピストンを押し出す構成を有しており、例えばトラックのような自動車に搭載される。なお、本発明はディーゼルエンジンに限定されず、ガソリンエンジン等に適用することもできる。
このエンジン1は、電子制御ユニット(制御部:Engine Control Unit:以下、ECUという)2と、動弁機構部3とを備えている。
ECU2は、エンジン1の運転における電気的な制御を総合的に行うためのマイクロコントローラである。ECU2には、エンジン1の運転状態(クランク角度、回転速度、エンジン負荷等)を検出するセンサが電気的に接続されている。ECU2は、その各センサからの信号に基づいてエンジン1の運転状態を把握し、それに応じた駆動信号をインジェクタ(燃料噴射装置)の電磁ソレノイドに送信することにより、インジェクタからの燃料の噴射を実行したり停止したりする。
動弁機構部3は、カムを用いることなくクランクシャフトの回転角度に依存しない任意のタイミングと任意のリフト量とでバルブ4を開閉できるカムレス型の駆動機構部で構成される。なお、図1では1個のバルブ4を例示している。このバルブ4は吸気用または排気用のバルブのいずれかである。通常のエンジンでは、1気筒あたり、例えば2〜4本のバルブ4が設置されている。
バルブ4は、バルブヘッド4aとバルブステム4bとを一体的に有している。このバルブ4は、昇降可能な状態でシリンダヘッド6に設置されている。バルブステム4bの外周には、リフトセンサ7が設置されている。このリフトセンサ7は、バルブ4のリフト量を検出するためのセンサであり、ECU2と電気的に接続されている。また、バルブステム4bの外周には、バルブスプリング8がバルブステム4bの外周を囲繞するように設置されている。このバルブスプリング8は、例えばコイルバネからなり、バルブ4を閉弁方向に付勢するように圧縮状態で設置されている。
また、バルブ4は、例えば油圧で動作する。この油圧は、専用の高圧供給ポンプ(油圧ポンプ)11により形成される。この高圧供給ポンプ11は、ドライバ回路(駆動装置)12を介してECU2と電気的に接続されており、そのポンプ動作がECU2により制御される。
また、この高圧供給ポンプ11の回転軸にはギア13aが接続されており、クランクシャフトの1/2の速度で回転している。このギア13aの近傍には回転センサ14a(カムセンサ)が配置されている。一方、クランクシャフトにはギア13bが接続されており、このギア13bの近傍には回転センサ14b(クランクセンサ)が配置されている。回転センサ14a,14bは、ギア13a,13bの回転角度を検出するためのセンサであり、回転センサ14aでエンジン1の始動時のエンジン運転行程(吸収、圧縮、膨張、排気)とクランク角度との同期をとり、回転センサ14bでクランク角度、回転数を検出する。回転センサ14a,14bは、ECU2と電気的に接続されている。ECU2は、このような速度の異なる2軸の回転速度を検出し、演算することで、クランク角度(0〜720°CA)を把握する。作動流体としては、例えばエンジン1の燃料と共通の軽油が使用されている。
高圧供給ポンプ11から供給された油圧は、それぞれのバルブ4の機構部に加わっているが、非制御状態では油圧経路が遮断されており、バルブ4は現在位置で保持されている。この油圧経路には、電磁弁(駆動装置)15が設置されており、この電磁弁15のオンオフにより、バルブ4の開閉動作が制御されている。電磁弁15は、1つのバルブ4に対して、開弁用電磁弁(駆動装置)15aと閉弁用電磁弁(駆動装置、閉弁装置)15bとの2つの電磁弁がある。例えば6気筒24バルブエンジンでは、合計で48個の電磁弁15が設置される。
開弁用電磁弁15aは、バルブ4の開弁動作を制御するための制御弁であり、高圧供給ポンプ11と圧力室18とを結ぶ油圧経路に設置されている。圧力室18は、バルブ4の開弁のための加圧された作動流体が高圧供給ポンプ11から供給される部屋であり、シリンダヘッド6上のカムレスブロック20においてバルブステム4bの上部に形成されている。圧力室18の底面にはバルブステム4bの上端面(受圧面)が露出されている。
閉弁用電磁弁15bは、バルブ4の閉弁動作を制御するための制御弁であり、低圧ライン21と圧力室18とを結ぶ油圧経路に設置されている。低圧ライン21は閉弁時に圧力室18の高圧作動流体を逃がすためのラインであり、低圧となった作動流体は高圧供給ポンプ11により再加圧される。
開弁用電磁弁15aおよび閉弁用電磁弁15bは、それぞれドライバ回路12を介してECU2に電気的に接続されており、その各々の電磁弁の開閉動作がECU2により制御される。バルブ動作量(燃焼室内へのバルブ突き出し量)は、開弁用電磁弁15aに加えるパルス幅により決定され、バルブ動作タイミングは、そのパルスをクランク角の何度で出力するかにより決定される。バルブ4を閉じる場合も同様である(ただし、必ず全閉状態になる)。
バルブ4の開弁動作に際しては、開弁用電磁弁15aを開き、閉弁用電磁弁15bを閉じた状態で、矢印Aで示すように、高圧供給ポンプ11から圧力室18に高圧の作動流体を供給するとバルブ4が開方向(図1の下方側)に押され、この押圧力がバルブスプリング8の付勢力を上回るとバルブ4が下方に開弁する。
一方、バルブ4の閉弁動作に際しては、開弁用電磁弁15aを閉じ、閉弁用電磁弁15bを開いた状態で、矢印Bに示すように、圧力室18内の不要となった高圧作動流体が低圧ライン21に流れ込み、バルブ4がバルブスプリング8の付勢力により閉方向(図1の上方側)に戻され、バルブ4が上方に閉弁する。
このようなカムレス型の動弁機構部3においては、ECU2からの制御パルス幅やタイミング等を変えることによりバルブ4の開閉を自由に制御することができる。図2は、ノーマルカムおよびカムレスに関してバルブプロファイルを比較して示している。符号V0はカムを用いるノーマルカムのバルブプロファイルを示し、符号V1はカムを用いないカムレスのバルブプロファイルを示している。カムレスの場合、バルブリフト量を種々変えることができる。なお、図2ではリフト量のみを変更しているが、カムレスの場合、動作開始・終了タイミングも自由に設定できる。
次に、本実施の形態のエンジン1の制御方法を説明する。
まず、エンジン1の通常運転中において、ECU2は、エンジン1のクランク角度をカム/クランクセンサ(回転センサ14a,14b)等の検出手段により認識し、運転状況に適したバルブ4の状態となるように開弁用電磁弁15aおよび閉弁用電磁弁15bに制御指示を出す。
また、エンジン1の停止時において、ECU2は、エンジン1の回転数(すなわち、クランクシャフトの回転数)をクランクセンサ(回転センサ14b)等の検出手段により認識し、その回転数が予め設定された回転数以下(かつ角度同期の下限回転数より高い回転数)になった場合に、エンジン1の全ての吸気用および排気用のバルブ4を強制的に閉じるように開弁用電磁弁15aおよび閉弁用電磁弁15bに制御指示を出す。
ここで、図3は、本実施の形態のエンジン1の停止時のタイミングチャートを示している。ECU2は、イグニッションキーのオフ等のようなエンジン停止指示を受けると(図3のa)、燃料噴射を停止する(図3のb)。燃料カットによりエンジン1の回転数が減少し(図3のc)、予め設定された回転数(N1)以下になると(図3のd)、全ての吸気用および排気用のバルブ4の閉弁動作を開始する(図3のe)。そして、機関速度が角度同期失陥回転数(N2)以下になるまでに、全ての吸気用および排気用のバルブ4の閉弁を完了する(図3のf)。以上の動作により、エンジン1の停止時の角度同期失陥に起因するバルブ制御不能領域での吸気用および排気用のバルブ4とピストンとの衝突を防止することができる。
また、エンジン1の始動時において、角度同期がとれる以前は吸気用および排気用のバルブ4を制御することができない状態やバルブ作動油圧不足のため吸気用および排気用のバルブ4を動かすことができない状態が発生するが、その期間においても、エンジン1を停止する時に予め全ての吸気用および排気用のバルブ4を閉じておくことにより、吸気用および排気用のバルブ4とピストンとの衝突を防止することができる。
したがって、本実施の形態のカムレス方式のエンジン1によれば、吸気用および排気用のバルブ4とピストンとの衝突に起因するエンジン1の破壊を防止することができるので、カムレス方式のエンジン1の安全性を向上させることができる。
本発明の内燃機関およびその制御方法は、内燃機関の停止時に、内燃機関の回転数が予め設定された回転数以下になった場合に、内燃機関の全ての吸気用および排気用のバルブを強制的に閉じることにより、内燃機関の始動時および停止時に、角度同期失陥に起因するバルブ制御不能領域での吸気用および排気用のバルブとピストンとの衝突を防止することができ、吸気用および排気用のバルブとピストンとの衝突に起因する内燃機関の破壊を防止することができるので、自動車等の内燃機関およびその制御方法に利用できる。
1 ディーゼルエンジン(内燃機関)
2 電子制御ユニット(制御部)
3 動弁機構部
4 バルブ
12 ドライバ回路(駆動装置)
15 電磁弁(駆動装置)
15a 開弁用電磁弁(駆動装置)
15b 閉弁用電磁弁(駆動装置)

Claims (2)

  1. カムを用いることなくクランクシャフトの回転角度に依存しない任意のタイミングで吸気用および排気用のバルブを開閉することが可能な駆動装置を備える内燃機関において、前記内燃機関の停止時に、前記内燃機関の回転数が予め設定された回転数以下になった場合に、前記内燃機関の全ての前記吸気用および排気用のバルブを強制的に閉じるように前記駆動装置に指示する制御部を備える内燃機関。
  2. カムを用いることなくクランクシャフトの回転角度に依存しない任意のタイミングで吸気用および排気用のバルブを開閉することが可能な駆動装置を備える内燃機関の制御方法において、前記内燃機関の停止時に、前記内燃機関の回転数が予め設定された回転数以下になった場合に、前記内燃機関の全ての前記吸気用および排気用のバルブを強制的に閉じる制御を行う内燃機関の制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012219739A (ja) * 2011-04-11 2012-11-12 Isuzu Motors Ltd 弁開閉制御装置
CN112267943A (zh) * 2020-10-16 2021-01-26 潍柴动力股份有限公司 一种发动机倒拖超速的保护方法、发动机及车辆

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