JP6028367B2 - オレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、気相流動層型反応器によるオレフィン重合体の製造方法に関するものである。
気相流動層型反応器を用いて、オレフィン重合体を製造する場合には、反応器へ予めシードポリマー粒子を導入して流動層を形成させた後、オレフィンとオレフィン重合用触媒とを導入して連続重合を開始する方法が一般的である。重合を開始した直後は、塊状のポリマーが発生しやすく、配管等を閉塞する場合があり、それを防ぐために、例えば特許文献1には、まず有機アルミニウム化合物のみを反応器へ導入して反応系内の乾燥を行った後に、シードポリマー粒子を導入して、重合を開始する方法が記載されている。
特開平6−199942号公報
しかし、特許文献1に記載の方法でオレフィンの連続気相重合を開始した場合、重合開始後初期に生産される重合体のメルトフローレートが所望の値よりも大幅に増加してしまうことがあった。気相流動層型反応器を用いたオレフィンの重合では、生成したオレフィン重合体の平均滞留時間が長いため、一旦規格外のメルトフローレートの重合体が生成すると、メルトフローレートが目標範囲内である重合体を得るまでに、長時間を要する。よって、メルトフローレートが高すぎて規格外となる重合体を多く生産することになり生産性が低下してしまうことがあった。
かかる状況のもと、本発明の目的は、重合開始後初期に生産される重合体のメルトフローレートの増加を抑制し、メルトフローレートが高すぎて規格外となる重合体の生産量を少なくして生産性を向上させることにある。
すなわち、本発明は、以下の工程(1)〜(4)を順に行うオレフィン重合体の製造方法に関するものである。
工程(1):気相流動層型反応器へポリマー粒子と有機金属化合物とを導入して流動層を形成させてそれを維持する工程。
工程(2):工程(1)で流動層を形成したポリマー粒子と有機金属化合物とを気相流動層型反応器から排出する工程。
工程(3):工程(2)でポリマー粒子と有機金属化合物を排出した後、気相流動層型反応器へシードポリマー粒子を導入して流動層を形成させる工程。
工程(4):工程(3)で流動層を形成した後、気相流動層型反応器へオレフィンとオレフィン重合用触媒とを導入してオレフィンの重合を開始する工程。
本発明により、重合開始後初期に生産される重合体のメルトフローレートの増加を抑制し、メルトフローレートが高すぎて規格外となる重合体の生産量を少なくして、生産性を向上させることが可能である。
<オレフィン重合用触媒>
本発明に用いるオレフィン重合用触媒としては、例えば、チタンとマグネシウムとハロゲンとを含有する固体触媒成分と有機アルミニウム化合物とを接触させてなるチーグラー触媒、シクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基を少なくとも一つ有する第4族遷移金属化合物を含むメタロセン触媒等が挙げられる。チーグラー触媒としては、特開2002−187909公報に記載の触媒が挙げられ、メタロセン触媒としては、特開2003−171412公報に記載の触媒が挙げられる。
メタロセン触媒として、好ましくは、シクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基を少なくとも一つ有する第4族遷移金属化合物(以下、「成分(A)」と記載することがある。)と、粒子状固体触媒成分(以下、「成分(B)」と記載することがある。)とを接触させて形成されるオレフィン重合用触媒であり、より好ましくは、成分(A)と、成分(B)と、有機アルミニウム化合物(以下、「成分(C)」と記載することがある。)とを接触させて形成されるオレフィン重合用触媒である。
成分(A)のシクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基を少なくとも一つ有する第4族遷移金属化合物としては、例えば、下記一般式[1]で表される第4族遷移金属化合物またはそのμ−オキソタイプの遷移金属化合物二量体が挙げられる。

[1]

(式中、Mは、周期表第4族の遷移金属原子を表す。Lはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を表し、Lが複数ある場合、複数のLは互いに同じであっても異なっていてもよく、複数のLは互いに直接連結されているか、または、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子もしくはリン原子を含有する残基を介して連結されていてもよい。Xは、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基(但し、シクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を除く)、または置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素オキシ基を表す。LとXとは、直接連結されているか、または、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子もしくはリン原子を含有する残基を介して連結されていてもよい。aは、0<a<4を満足する数を表し、bは、0<b<4を満足する数を表す。ただし、a+bは、4を超えないものとする。)
上記一般式[1]において、Mは、周期表(IUPAC1989年)第4族の遷移金属原子を表す。第4族の遷移金属原子としては、例えば、チタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子が挙げられ、好ましくは、ジルコニウム原子である。
上記一般式[1]におけるa及びbとして好ましくは、2である。
成分(B)の粒子状固体触媒成分としては、例えば、粒子状担体に担持された亜鉛含有化合物(以下、「成分(B−1)」と記載することがある。)、粒子状担体に担持された有機アルミニウム化合物(以下、「成分(B−2)」と記載することがある。)、粒子状担体に担持された有機アルミニウムオキシ化合物(以下、「成分(B−3)」と記載することがある。)、粒子状担体に担持されたホウ素化合物(以下、「成分(B−4)」と記載することがある。)、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物(以下、「成分(B−5)」と記載することがある。)等が挙げられる。
成分(B−1)の粒子状担体に担持された亜鉛含有化合物としては、好ましくは、特開2003−171412公報に記載の亜鉛含有化合物であり、より好ましくは、下記成分(b1)、成分(b2)、成分(b3)、および成分(b4)を接触させて形成されるものである。
成分(b1)は、ジメチル亜鉛またはジエチル亜鉛である。
成分(b2)は、フッ素化フェノール、またはフッ素化アルコールであり、好ましくは、ペンタフルオロフェノール、3、5−ジフルオロフェノール、3、4、5−トリフルオロフェノール、2、4、6−トリフルオロフェノール等が挙げられる。
成分(b3)は、水またはペンタフルオロアニリンであり、より好ましくは水である。
成分(b4)は、多孔性の物質である粒子状担体であり、例えば、無機酸化物、粘土、粘土鉱物または有機ポリマーが挙げられ、好ましくはSiO2である。
成分(B−2)の粒子状担体に担持された有機アルミニウム化合物の有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハイドライド、ジアルキルアルミニウムハライド等が挙げられ、好ましくは、トリイソブチルアルミニウムまたはトリノルマルオクチルアルミニウムである。粒子状担体としては、前記成分(b4)として例示したものと同じものを挙げることができる。
また、成分(B−2)は、前記成分(b2)として例示した化合物で接触処理されたものであっても良い。
成分(B−3)の粒子状担体に担持された有機アルミニウムオキシ化合物の有機アルミニウムオキシ化合物としては、例えば、テトラメチルジアルミノキサン、テトラエチルジアルミノキサン、テトラブチルジアルミノキサン、テトラヘキシルジアルミノキサン、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、ヘキシルアルミノキサンなどがあげられ、それらの混合物を用いてもよい。
また、成分(B−3)は、前記成分(b2)として例示した化合物で接触処理されたものであっても良い。
成分(B−4)の粒子状担体に担持されたホウ素化合物のホウ素化合物としては、例えば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N、N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、あるいはこれらを微粒子状担体に化学結合で固定化するために修飾した誘導体などをあげることができる。
成分(B−5)の粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物としては、特開2000−95809号公報に記載されているものを用いることができる。
成分(B)として、好ましくは、成分(B−1)の粒子状担体に担持された亜鉛含有化合物である。
成分(C)の有機アルミニウム化合物としては、前記成分(B−2)の有機アルミニウム化合物として例示したものと同じものを挙げることができる。
本発明に用いるオレフィン重合用触媒は、オレフィンが予備的に重合された予備重合済みオレフィン重合用触媒として用いてもよい。オレフィンとしては、例えば、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン等が挙げられ、炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。予備重合に用いるオレフィンは、単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。予備重合における重合量は、予備重合前のオレフィン重合用触媒1gあたり0.01〜1000gであり、好ましくは、0.1〜500g、より好ましくは、1〜100gである。
オレフィンの重合は、オレフィン重合用触媒に加え、適宜、有機アルミニウム化合物、有機アルミニウムオキシ化合物、ホウ素化合物などの他の触媒成分を用いて行われる。他の触媒成分として、好ましくは、有機アルミニウム化合物である。有機アルミニウム化合物としては、前記成分(B−2)の有機アルミニウム化合物として例示したものと同じものを挙げることができる。他の触媒成分の使用量は、オレフィン重合用触媒の活性金属原子1molに対する他の触媒成分に含まれる金属原子の量として、好ましくは、0.01〜10000molであり、より好ましくは、0.1〜5000molであり、更に好ましくは、1〜2000molである。また、オレフィンの重合は、流動化助剤、静電気除去添加剤等の添加剤の存在下で行ってもよく、水素等の連鎖移動剤や、電子供与性化合物の存在下で行なってもよい。電子供与性化合物としては、例えば、トリエチルアミン、トリノルマルオクチルアミン等が挙げられる。電子供与性化合物の使用量は、他の触媒成分に含まれる金属原子1molに対して、好ましくは、0.001〜1molであり、より好ましくは、0.005〜0.8molであり、更に好ましくは、0.01〜0.5molである。
<オレフィン>
本発明に用いるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等が挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。好ましくは、エチレン単独、またはエチレン以外のオレフィンとエチレンとを併用して、より好ましくは、エチレン単独、またはエチレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとを併用して、更に好ましくは、エチレン単独、または1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンとエチレンとを併用して用いられる。
<気相流動層型反応器>
本発明に用いる気相流動層型反応器としては、例えば、特開平2−233708公報や特開2007−9229公報に記載の反応器が挙げられ、原料オレフィンを主成分とするガスとオレフィン重合体粒子とが流動層を形成した状態でオレフィン重合体が生産されるものである。通常、オレフィン重合用触媒および原料ガスは連続的に反応器に導入され、反応器の内部のオレフィン重合体の質量または流動層の粉面高さが一定に保持されるように、オレフィン重合体が反応器から排出される。また、気相流動層型反応器を複数用いてもよく、気相流動層型反応器以外の反応器と気相流動層型反応器とを組み合わせて用いてもよい。
<オレフィン重合体の製造方法>
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、以下の工程(1)〜(4)を順に行うものである。
工程(1):気相流動層型反応器へポリマー粒子と有機金属化合物とを導入して流動層を形成させてそれを維持する工程。
工程(2):工程(1)で流動層を形成したポリマー粒子と有機金属化合物とを気相流動層型反応器から排出する工程。
工程(3):工程(2)でポリマー粒子と有機金属化合物を排出した後、気相流動層型反応器へシードポリマー粒子を導入して流動層を形成させる工程。
工程(4):工程(3)で流動層を形成した後、気相流動層型反応器へオレフィンとオレフィン重合用触媒とを導入してオレフィンの重合を開始する工程。
〔工程(1)〕
工程(1)は、気相流動層型反応器へポリマー粒子と有機金属化合物とを導入して流動層を形成させてそれを維持する工程である。工程(1)において反応器へ導入されるポリマー粒子としては、オレフィン重合体粒子が挙げられ、好ましくは、後述のシードポリマー粒子と同一または同等の物性を有するポリマー粒子である。
工程(1)において、反応器へ導入されるポリマー粒子の質量は、安定した流動層を形成させるのに十分な量であればよく、前記ポリマー粒子の質量を、後述の工程(3)において反応器へ導入されるシードポリマー粒子の質量よりも少なくすることが好ましい。より好ましくは、工程(3)におけるシードポリマー粒子の質量を100質量部とするときに、工程(1)におけるポリマー粒子の質量は、5〜50質量部、更に好ましくは、10〜30質量部である。工程(1)において、反応器へ導入されるポリマー粒子の質量を、後述の工程(3)において反応器へ導入されるシードポリマー粒子の質量よりも少なくすることにより、工程(1)において、ポリマー粒子と有機金属化合物とを反応器に導入するのに要する時間、および工程(2)において,ポリマー粒子と有機金属化合物とを反応器から排出するのに要する時間が短くなり、重合開始までに要する時間が短縮できる。
工程(1)において反応器へ導入される有機金属化合物としては、有機アルミニウム化合物や有機リチウム化合物が用いられ、好ましくは、有機アルミニウム化合物である。有機アルミニウム化合物としては、前記成分(B−2)の有機アルミニウム化合物として例示したものと同じものを挙げることができる。
工程(1)において反応器へ導入される有機金属化合物の量は、前記ポリマー粒子1kgに対して、有機金属化合物中の金属原子の量として1〜500mmolであることが好ましく、より好ましくは、5〜150mmolである。
工程(1)において流動層を維持している間の反応器の内部の温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上である。また、工程(1)において流動層を維持している間の反応器の内部の圧力は好ましくは0.1〜4.0MPaG、より好ましくは0.2〜3.0MPaGである。
工程(1)において流動層を維持している時間は、好ましくは0.5〜10時間であり、より好ましくは1〜5時間である。
ポリマー粒子と有機金属化合物とを反応器へ導入して流動層を形成させる方法としては、ポリマー粒子を反応器へ導入した後、ガスを流通させて流動層を形成し、その後有機金属化合物を反応器へ導入する方法、ガスを流通させた反応器へポリマー粒子を導入して流動層を形成させた後、有機金属化合物を反応器へ導入する方法、ポリマー粒子を反応器へ導入した後、有機金属化合物を反応器へ導入し、その後、ガスを流通させて流動層を形成する方法などが挙げられる。ポリマー粒子と有機金属化合物の導入順序としては、ポリマー粒子の反応器へ導入した後に、有機金属化合物を反応器へ導入することが好ましい。
工程(1)の前に、反応器の内部に存在する重合抑制物質をできる限り除去しておくことが好ましい。重合抑制物質は、水、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、アルコール等である。重合抑制物質の事前除去方法として、熱、ガスによる反応器の内部の乾燥が用いられ、乾燥に用いるガスとしては、重合抑制物質である水、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、アルコール等を含まないガスであり、窒素などの不活性ガス、エチレンなどのモノマー、水素などが好適に用いられる。乾燥温度は10〜150℃程度であり、乾燥の方法はガスを連続的に反応器に流通する方法、またはガスを用いて昇圧−脱圧を繰り返す方法のいずれでもよい。
〔工程(2)〕
工程(2)は、工程(1)で流動層を形成したポリマー粒子と有機金属化合物とを気相流動層型反応器から排出する工程である。本工程では、オレフィン重合体の製造時に使用する重合体排出ラインを用いることができる。反応器に導入された有機金属化合物および有機金属化合物と反応器の内部に存在する重合抑制物質との反応物の大部分は、流動層内でポリマー粒子と混合され、ポリマー粒子に同伴されて排出されることから、重合体排出ラインを用いて、ポリマー粒子と有機金属化合物との混合物を排出することができる。
〔工程(3)〕
工程(3)は、工程(2)でポリマー粒子と有機金属化合物を排出した後、気相流動層型反応器へシードポリマー粒子を導入して流動層を形成させる工程である。シードポリマー粒子としては、例えば、ポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子のようなオレフィン重合体粒子が挙げられる。ポリエチレン粒子としては、例えば、エチレン単独重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられ、ポリプロピレン粒子としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンとプロピレン以外のオレフィンとの共重合体等が挙げられる。好ましくは、シードポリマー粒子は、製造するオレフィン重合体と同一または同等の物性(メルトフローレート、密度、α−オレフィン含量など)を有するポリマー粒子である。すなわち、製造するオレフィン重合体がエチレン−α−オレフィン共重合体であれば、シードポリマー粒子としてエチレン−α−オレフィン共重合体を用い、製造するオレフィン重合体がプロピレン単独重合体であれば、シードポリマー粒子としてプロピレン単独重合体を用いることが好ましい。シードポリマー粒子の製造方法としては、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法、例えば、スラリー重合法、気相重合法などをあげることができる。
工程(3)において、反応器へ導入されるシードポリマー粒子の質量は、安定した流動層を形成させるのに十分な量であればよい。好ましくは、反応器の塔径に対して1〜10倍、より好ましくは、反応器の塔径に対して2〜6倍の高さの流動層を形成するのに必要な質量である。
シードポリマー粒子により流動層を形成した後、工程(4)を行う前に、有機金属化合物を反応器へ導入しても良く、用いられる有機金属化合物としては、有機アルミニウム化合物や有機リチウム化合物があげられ、好ましくは、有機アルミニウム化合物である。有機アルミニウム化合物としては、前記成分(B−2)の有機アルミニウム化合物として例示したものと同じものを挙げることができる。シードポリマー粒子により流動層を形成した後、工程(4)を行う前に、有機金属化合物を反応器へ導入する際の有機金属化合物の導入量は、工程(1)において反応器へ導入される有機金属化合物の導入量よりも少量であることが好ましく、より好ましくは、工程(1)において反応器へ導入される有機金属化合物中の金属量1molに対して0.05〜0.5mol、更に好ましくは、工程(1)において反応器へ導入される有機金属化合物中の金属量1molに対して0.1〜0.4molである。
工程(1)および工程(3)において、流動層形成に用いられるガスは、重合抑制物質である水、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、アルコール等を含まないガスであり、窒素などの不活性ガス、エチレンなどのモノマー、水素などが好適に用いられる。
〔工程(4)〕
工程(4)は、工程(3)で流動層を形成した後、気相流動層型反応器へオレフィンとオレフィン重合用触媒とを導入してオレフィンの重合を開始する工程である。
オレフィンの重合において、重合反応温度は、通常、30〜110℃であり、好ましくは、60〜100℃である。重合反応圧力は、気相流動層型反応器の内部でオレフィンが気相として存在し得る範囲内であればよく、通常、0.1〜5.0MPaであり、好ましくは、1.5〜3.0MPaである。また、反応器の内部のガス空塔速度は、通常、0.10〜1.0m/秒であり、好ましくは、0.20〜0.80m/秒である。
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。
実施例中の各項目の測定値は、下記の方法で測定した。
(1)メルトフローレート (MFR、単位:g/10分)
JIS K7210−1995に規定された方法に従い、荷重2.16 kg、温度190℃の条件で測定した。
[実施例1]
(1)予備重合
予め窒素置換した内容積210Lの撹拌機付き反応器に、常温下でブタン80Lを投入し、次に、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド51.7mmolを投入した。その後、反応器の内部の温度を50℃まで上昇させ、2.0時間攪拌した。反応器の内部の温度を30℃まで降温し、エチレンを0.1kg、水素を常温常圧として0.1L投入した。次に、特開2009−79182号公報の実施例1(1)および(2)に記載の方法と同様にして調製した粒子状固体触媒成分703g を投入した(ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシドの接触処理量は、粒子状固体触媒成分1kgあたり、73mmolとなる)。系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム210mmolを投入して重合を開始した。
重合開始後、反応器の内部の重合温度を30℃とし、0.5時間重合を行い、その後30分かけて50℃まで昇温して、その後は50℃で重合を行った。最初の0.5時間は、エチレンを粒子状固体触媒成分1kgあたり1.0kg/時間、水素を粒子状固体触媒成分1kg あたり1.0L/時間(常温常圧換算)の速度で導入し、重合開始後0.5時間からは、エチレンを粒子状固体触媒成分1kg あたり4.6kg/時間、水素を粒子状固体触媒成分1kg あたり13.7L/時間(常温常圧換算)の速度で導入し、合計6.0時間の予備重合を実施した。重合終了後、反応器の内部圧力が0.6MPaGとなるまで脱圧し、スラリー状予備重合触媒成分を乾燥器に移送して窒素流通乾燥を実施し、予備重合触媒成分を得た。該予備重合触媒成分中のエチレン重合体量は、粒子状固体触媒成分1g当り25.0gであった。
(2)気相重合
気相流動層型反応器の内部を窒素雰囲気に置換した後に、反応器の内部の圧力を0.23MPaG、温度を80℃として、窒素をガス空塔速度0.28m/秒で循環させた。その後、ポリマー粒子として、MFR=0.31g/10分のエチレン−1−ヘキセン共重合体23.4kgを反応器へ導入し、トリイソブチルアルミニウムを2000mmol投入して窒素にて流動層を形成させ、反応器の内部の圧力を0.6MPaG、反応器の内部の温度を77〜89℃の間に保った状態で3時間流動層を維持した。その後、前記ポリマー粒子とトリイソブチルアルミニウムとを反応器から排出した。次に、シードポリマー粒子として、MFR=0.31g/10分のエチレン−1−ヘキセン共重合体77.7kgを反応器へ導入し、トリイソブチルアルミニウムを200mmol投入して窒素にて流動層を形成させた。その後、エチレン、1−ヘキセン、水素および窒素で昇圧を行い、反応器の内部の圧力を2.0MPaG、反応器の内部の温度を78℃とした。反応器の内部の圧力、温度の安定を確認した後、(1)で調製した予備重合触媒成分を導入して重合を開始し、エチレンと1−ヘキセンを連続気相重合にて共重合させた。重合反応温度は78℃、重合反応圧力は2.0MPaG、ガス空塔速度は0.28m/秒であり、反応器の内部の重合体質量が80kgに保たれるように、生成した重合体を反応器から抜き出した。気相の水素濃度および1−ヘキセン濃度を、エチレン1molに対してそれぞれ0.0137mol、0.0153molに保持し、トリイソブチルアルミニウムを20mmol/時間、トリエチルアミンを0.6mmol/時間で導入した。生成するエチレン−1−ヘキセン共重合体の生産速度が20kg/時間になるように、上記(1)で得られた予備重合触媒成分の反応器への導入速度を調整した。生産されるエチレン−1−ヘキセン共重合体のMFRの目標範囲は0.5〜0.7g/10分であり、反応器から抜き出される重合体のMFRを6時間おきに測定した。
シードポリマー粒子のMFRは0.31g/10分であったが、連続重合開始後の積算生産量が35kgに達した時点で反応器から抜き出される重合体のMFRは1.01g/10分となった。その後、生産の継続とともに重合体のMFRは低下し、積算生産量が157kgに達した時点で、MFR測定値は0.67g/10分となり目標範囲内に収まった。生産される重合体のMFRが目標範囲内に収まるまでに要した規格外の重合体の生産量は、反応器の内部に保持されている重合体質量(80kg)の2.0倍に相当する量であった。
[比較例1]
(1)予備重合
予め窒素置換した内容積210Lの撹拌機付き反応器に、常温下でブタン80Lを投入し、次に、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド23.2mmol を投入した。その後、反応器の内部の温度を50℃まで上昇させ、2.0時間攪拌した。反応器の内部の温度を30℃まで降温し、エチレンを0.1kg、水素を常温常圧として0.1L投入した。次に、特開2009−79182号公報の実施例1(1)および(2)に記載の方法と同様にして調製した粒子状固体触媒成分180.5g を投入した(ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシドの接触処理量は、粒子状固体触媒成分1kgあたり、129mmolとなる)。系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム68mmolを投入して重合を開始した。
重合開始後、反応器の内部の重合温度を30℃とし、0.5時間重合を行い、その後30分かけて50℃まで昇温して、その後は50℃で重合を行った。最初の0.5時間は、エチレンを粒子状固体触媒成分1kgあたり1.0kg/時間、水素を粒子状固体触媒成分1kg あたり1.0L/時間(常温常圧換算)の速度で導入し、重合開始後0.5時間からは、エチレンを粒子状固体触媒成分1kg あたり5.5kg/時間、水素を粒子状固体触媒成分1kg あたり16.5L/時間(常温常圧換算)の速度で導入し、合計13.5時間の予備重合を実施した。重合終了後、温度を50℃に保ったまま1.0時間維持した。その後、反応器の内部圧力が0.6MPaGとなるまで脱圧し、スラリー状予備重合触媒成分を乾燥器に移送して窒素流通乾燥を実施し、予備重合触媒成分を得た。該予備重合触媒成分中のエチレン重合体量は、粒子状固体触媒成分1g当り41.0gであった。
(2)気相重合
気相流動層型反応器の内部を窒素雰囲気に置換した後に、反応器の内部の圧力を0.23MPaG、温度を80℃として、窒素をガス空塔速度0.28m/秒で循環させた。その後、シードポリマー粒子として、MFR=0.79g/10分のエチレン−1−ヘキセン共重合体81.7kgを反応器へ導入し、トリイソブチルアルミニウムを1000mmol投入して窒素にて流動層を形成させた。次に、エチレン、1−ヘキセン、水素および窒素で昇圧を行い、反応器の内部の圧力を2.0MPaG、反応器の内部の温度を80℃とした。反応器の内部の圧力、温度の安定を確認した後、(1)で調製した予備重合触媒成分を導入して重合を開始し、エチレンと1−ヘキセンを連続気相重合にて共重合させた。重合反応温度は80℃、重合反応圧力は2.0MPaG、ガス空塔速度は0.28m/秒であり、反応器の内部の重合体質量が80kgに保たれるように、生成した重合体を反応器から抜き出した。気相の水素濃度および1−ヘキセン濃度を、エチレン1molに対してそれぞれ0.0149mol、0.0240molに保持し、トリイソブチルアルミニウムを20mmol/時間、トリエチルアミンを0.6mmol/時間で導入した。生成するエチレン−1−ヘキセン共重合体の生産速度が20kg/時間になるように、上記(1)で得られた予備重合触媒成分の反応器への導入速度を調整した。生産される重合体のMFRの目標範囲は0.5〜0.7g/10分であり、反応器から抜き出される重合体のMFRを6時間おきに測定した。
シードポリマー粒子のMFRは0.79g/10分であったが、連続重合開始後の積算生産量が66kgに達した時点で、反応器から抜き出される重合体のMFRは3.02g/10分まで上昇した。その後、生産の継続とともに重合体のMFRは低下し、積算生産量が434kgに達した時点で、MFR測定値は0.62g/10分となり目標範囲内に収まった。生産される重合体のMFRが目標範囲内に収まるまでに要した規格外の重合体の生産量は、反応器の内部に保持されている重合体質量(80kg)の5.4倍に相当する量であった。

Claims (4)

  1. 以下の工程(1)〜(4)を順に行うオレフィン重合体の製造方法。
    工程(1):気相流動層型反応器へポリマー粒子と有機金属化合物とを導入して流動層を形成させてそれを維持する工程。
    工程(2):工程(1)で流動層を形成したポリマー粒子と有機金属化合物とを気相流動層型反応器から排出する工程。
    工程(3):工程(2)でポリマー粒子と有機金属化合物を排出した後、気相流動層型反応器へシードポリマー粒子を導入して流動層を形成させる工程。
    工程(4):工程(3)で流動層を形成した後、気相流動層型反応器へオレフィンと、シクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基を少なくとも一つ有する第4族遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒とを導入してオレフィンの重合を開始する工程。
  2. 前記工程(1)において、流動層を維持している間、気相流動層型反応器の内部の温度を50℃以上に保持する請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  3. 前記工程(1)において、流動層を維持している時間を1〜5時間とする請求項1または2に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  4. 前記工程(1)において、気相流動層型反応器へ導入する有機金属化合物の導入量が、ポリマー粒子1kgに対して、有機金属化合物中の金属原子の量として5〜150mmolである請求項1〜3のいずれか一項に記載のオレフィン重合体の製造方法。
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