JP6023998B2 - インピーダンス回路及び生体信号計測装置 - Google Patents

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Description

本発明はインピーダンス回路及び生体信号計測装置に関し、例えば人間の脳波を計測する際に適用して好適なものである。
近年、ブレイン−コンピュータ・インターフェイス(Brain-Computer Interface : BCI)や、ブレイン−マシン・インターフェイス(Brain-Machine Interface : BMI)の研究が盛んに行われている(例えば、特許文献1参照)。これらBCIやBMIの脳インターフェースでは、脳活動により生じる電気的信号を脳波計測装置により読み取り、この脳波計測装置により読み取った電気的信号を用いて、手を使わずにコンピュータ等の電子機器を直感的に操作することも考えられており、幅広い分野への応用が期待されている。
ここで、このような脳インターフェースにおいて、被験者の動作意図を脳活動により生じる電気的信号から推測する場合には、脳内領域からピンポイントで脳波信号を検出し得ることが望ましく、そのため最も性能がよい脳波信号は脳内脳波となり、その次に脳表脳波、頭表脳波となる。これら脳内脳波、脳表脳波及び頭表脳波のうち、脳内脳波及び脳表脳波を検出するためには、電極を頭部に埋め込む侵襲的な手法を用いる必要があり、被験者にとって負担が大きく、適用可能な場面がごく限られている。
これに対して頭表脳波は、頭部に電極を埋め込まず、脳の活動に伴う脳内の電気的変化を頭皮上から検出する非侵襲的な手法を用いて検出することから、被験者に大きな負担をかけることがないため、応用範囲が広いという特徴がある。
そこで、頭表脳波によって脳表脳波や脳内脳波なみの脳インターフェース性能を実現するためには、高密度・多チャネルの電極で数十チャネルの脳波計測を行う頭表脳波計測を行い、その結果を空間フィルタ法により解析して脳内の脳波信号源を推定し、ピンポイントで脳波を抽出する必要があった。しかしながら、この高密度・多チャネルの頭表脳波計測では、頭皮に装着する電極数が多く、その分、コストが高くなり、かつ電極の装着にも手間がかかることから、この点において改善されることが望まれている。
特開2012-5777号公報
このように脳波計測装置の分野では、被験者の脳活動により生じる電気的信号をいかにして検出し得るかが日々研究されており、特に非侵襲的な手法を用いて使用者が所望する種々の脳波信号を正確に検出し得ることが望ましく、そのため従来にない全く新しい信号検出手法の開発も望まれている。
そこで、本発明は以上の点を考慮してなされたもので、従来にない新規な信号検出手法により使用者が所望する生体信号の取得を実現し得るインピーダンス回路及び生体信号計測装置を提案することを目的とする。
本発明の請求項1は、生体の皮膚表面に配置される第1電極及び第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極により得られる前記生体内の生体信号を増幅する生体アンプとを備えた生体信号計測装置に設けられるインピーダンス回路であって、前記第1電極及び前記第2電極間に接続され、前記生体アンプに対して並列接続される抵抗手段を備え、前記抵抗手段に発生する電気的信号を前記生体信号として前記生体アンプにより増幅させる構成を備え、前記抵抗手段が負性抵抗であり、前記電気的信号として前記負性抵抗に生じる電圧を前記生体アンプにより検出させることを特徴とするインピーダンス回路である。
また、本発明の請求項は、生体の皮膚表面に配置される第1電極及び第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極により得られる前記生体内の生体信号を増幅する生体アンプと、入力側に前記第1電極及び前記第2電極が接続されるとともに、出力側に前記生体アンプが接続されるインピーダンス回路とを備え、前記インピーダンス回路は請求項1〜のうちいずれか1項記載のインピーダンス回路であることを特徴とする生体信号計測装置である。
本発明の請求項1及びによれば、抵抗手段の抵抗値を適宜変更することで、生体内における特定の生体信号源が観測結果へ及ぼす影響を減少させたり、或いは増加させたりすることができ、このような従来にない新規な信号検出手法により使用者が所望する生体信号の取得を実現し得る。
本発明による脳波計測の原理の説明に供する概略図である。 本発明によるインピーダンス回路の装着による脳波計測の伝達ゲインを示すグラフである。 図2に示す伝達ゲインの一部を拡大したグラフである。 本発明によるインピーダンス回路を用いた脳波計測装置の構成を示す概略図である。 C3電極及びC4電極に設けたインピーダンス回路のおける負性抵抗の抵抗値と、各電極での電圧との関係を示すグラフである。 他の実施の形態による脳波計測装置の構成を示す概略図である。 他の実施の形態によるインピーダンス回路を用いた脳波計測装置の構成を示す概略図である。 C3電極及びC4電極に設けたインピーダンス回路のおける抵抗の抵抗値と、各電極での電圧との関係を示すグラフである。
以下図面に基づいて本発明の実施の形態を詳述する。
(1)本発明による脳波計測の原理
本発明における脳波計測の原理について、図1に示す仮想頭部VHに設けたシステム構成図を用いて説明する。図1は、2個の脳波信号源に対し2チャネルで脳波計測を行う等価電気回路を示す。この場合、人の頭部と見なした仮想頭部VHを四角状の枠体で示し、脳を含む頭部全体を分布定数線形回路網であると仮定している。また、脳内部には、空間配置の異なる2個の脳波信号源(電圧u1,u2とし、内部インピーダンスをそれぞれz1,z2とし、流れる電流をそれぞれj1,j2とする)が存在するものとした。
ただし、これらの脳波信号源は、縦続行列Fで表されるシステムに対しては外側に存在するとする。このため、システム境界での電圧を改めてu´1,u´2とおく。一方、2個の電極ch.1,ch.2でそれぞれ抵抗r1,r2を介して観測されるグランドからの電位をそれぞれv1,v2(流れる電流をそれぞれi1,i2)とする。このとき下記の式が成り立つ。
1からシステムを見た入力インピーダンスをZ´1とすると、上記数1とv1=i1 r1より、下記数2の式がとなる。
ここで,α11121112)は、置き換えによって生じた変数(α11=a11r1+b11、α12=a12r2+b12、γ11=c11r1+d11、γ12=c12r2+d12)であるが、r1(r2)の1次式であることに注意する。Z´1を用いると、j1は下記の数3のように表せる。
上述した数1と数3とにより、u1ついては下記の数4のように表せる。
また、上述した数4と同じようにu2ついても計算し、これらu1,u2について纏めると、下記の数5のように表せる。
これをv1,v2について解くと下記の数6となる。
従って、r1,r2を適切に設定することで、観測v1,v2に対するu1,u2の寄与を変更する空間フィルタを構成できる。例えば、最も簡単なr1=r2=rとすると、上述した数6は下記の数7のようになる。
u1,u2からv1,v2へのゲイン行列の各項は、分母・分子ともにrについて2次の有理関数による伝達ゲインを有する。すなわち、この伝達ゲインは、抵抗値rを変数する有理関数であり、2個の極(分母の多項式が0となる解)と、2個の零点(分子の多項式が0となる解)を有する。
まず、このゲイン行列の各項に共通する極について考える。極においては、分母の多項式が0となることから、理論上、v1又はv2が発散する。このことは、上述した数3等に示すv1及びj1の関係、v2及びj2の関係から、j1又はj2が発散することと等価になる。すなわち、有界なu1,u2に対しj1又はj2が発散するのであるから、オームの法則( j1=u1/r、j2=u2/r )より、これらを含む閉回路の抵抗値が0になることを意味する。
いま、一方の電極ch.1及びグランド間に抵抗rを接続してから、他方の電極ch.2及びグランド間にも抵抗rを接続するとする。まず、一方の電極ch.1のみに抵抗rが接続されている状態で、他方の電極ch.2の電圧をv´2rとし、他方の電極ch.2からシステムを見たインピーダンスをZ´2rとする。鳳・テブナンの定理より、他方の電極ch.2から見たシステムは内部抵抗がZ´2rの電源v´2rと等価である。
すなわち、他方の電極ch.2に接続する抵抗がr = - Re{Z´2r}のとき、閉回路(rとRe{Z´2r}の直列接続:r+Re{Z´2r})の抵抗値は0となりv2は発散する。しなしながら、一方の電極ch.1に抵抗r≧0を接続しても、Re{Z´2r}
< 0とはならないので、一方の電極ch.1と同じ抵抗値rを、他方の電極ch.2に接続してもv2は発散しない。
一方、抵抗値rが負性抵抗であれば、r+Re{Z´2r}=0を満足するようなrが存在し、v2は発散する。ここまでの議論は、電極ch.1と、電極ch.2とを入れ替えても成立する。従って、極の実部は必ず負である。
次に、ゲイン行列の各項で分子の多項式が0となる零点について考える。零点は、ゲイン行列の各項共通のr=0と自明に共通ではないもうひとつが存在する。ここでは、簡単に考えられるように、共通の極を例えばr=-2,-4と仮におき、共通ではない零点を例えばr=1,-1,-3,-5と仮に変化させたときの伝達ゲインの振る舞いについて考察すると、図2と、図2の原点付近を一部拡大した拡大図である図3とに示すようなTypeI〜IVの4種類の伝達ゲインが得られる。なお、図2及び図3は、横軸が抵抗値rを示し、縦軸が伝達ゲインを示している。
各電源(脳波信号源)から各電極ch.1,ch.2への抵抗又は負性抵抗の違いによる伝達ゲインは、図2に示すTypeI〜IVの4種類のうちいずれかになる。本発明では、抵抗又は負性抵抗からなるインピーダンス回路を電極及びグランド間に接続し、図2に示すTypeI〜IVを根拠に、後述する設定1や設定2、設定3に従ってインピーダンス回路の抵抗値を所定値に設定することで、脳内における特定の電源(脳波信号源)が観測結果へ及ぼす影響を減少させたり、或いは脳内における特定の電源が観測結果へ及ぼす影響を増加させたりすることができる。
そして、本発明では、このような脳内における特定の電源(脳波信号源)が観測結果へ及ぼす影響を減少又は増加させたりできることが、空間フィルタを構成していると言い得、従来とは異なる信号検出手法により、所望の周波数でなる脳波信号を検出し得る脳波計測装置を実現できる。
特に、図2に示すTypeI〜IVからは、rに負性抵抗を用いた場合、r開放(r→∞)の伝達ゲインより高い伝達ゲインが得られることが分かる。そして、u1からv1への伝達ゲインをTypeIIIになるように設定し、u2からv1への伝達ゲインをTypeIII以外になるように設定できれば、負性抵抗の抵抗値を伝達ゲイン0(例えば、図2では抵抗値-3)とすることで、u1のv1への寄与が零となり、その一方で、u2からv1への伝達ゲインがTypeIII以外であることからu2の伝達ゲインが0以外となる。これにより、電極ch.1では、極めて高いu1の抑制効果と、u2の寄与によるv1の高伝達ゲインを得ることができ、かくして、1つの電極ch.1にてu1を抑制しつつu2を検出し得るという空間フィルタを構成することができる。
なお、抵抗又は負性抵抗を電極及びグランド間に設けた脳波計測装置では、これら抵抗又は負性抵抗を電極及びグランド間に接続していない電極を有している場合、これら抵抗又は負性抵抗が接続されていない電極にも影響を与えるため、抵抗又は負性抵抗を接続した電極以外の電極の計測を行うことも妨げていない。
(1−1)設定1について
ここで、設定1としては、抵抗又は負性抵抗を有するインピーダンス回路を用い、これら抵抗又は負性抵抗の抵抗値を、図2に示すTypeI〜IVのいずれかの伝達ゲインの零点に設定する。このように設定1では、インピーダンス回路の抵抗又は負性抵抗の値を伝達ゲインの零点に設定することで、脳内における特定の脳波信号源の特定の電極への影響を減少(究極的にはゼロ)させることができ、いわゆる空間フィルタとして機能する脳波計測装置を実現できる。
(1−2)設定2について
設定2では、負性抵抗からなるインピーダンス回路を用い、当該負性抵抗の抵抗値を、図2に示すTypeI〜IVのいずれかの伝達ゲインの極に設定する。これにより、インピーダンスを接続した電極のラインでは、電源容量や負性抵抗の電力が飽和しない範囲で電圧が上昇する。但し、実際は、脳内の神経細胞が電源(脳波信号源)となるため、電源の容量が先に飽和し、電源が機能しなくなる。このように設定2では、インピーダンス回路の負性抵抗の値を伝達ゲインの極に設定することで、脳内における特定の脳波信号源の特定の電極への影響を減少(究極的にはゼロ)させることができ、いわゆる空間フィルタとして機能する脳波計測装置を実現できる。
(1−3)設定3について
設定3では、負性抵抗からなるインピーダンス回路を用い、脳内の電源から見た、負性抵抗を接続した端子間のインピーダンスの実部(必ず正)と符号だけが反転する負性抵抗を、電極及びグランド間に接続することによって、電極及びグランド間の合成インピーダンスの実部を無限大にすることができる。このことによって、特定の脳波信号源の特定の電極への影響を増加(究極的には特定の脳波信号源の電力損失をゼロにし、特定の電極で検出し得る脳波信号を最大電源電圧値まで増加)させることができ、いわゆる空間フィルタとして機能する脳波計測装置を実現できる。
(2)負性抵抗を用いたインピーダンス回路について
(2−1)インピーダンス回路を設けた脳波計測装置の構成
次に、本発明のインピーダンス回路として、負性抵抗を用いたインピーダンス回路の実施の形態について、先ず初めに説明する。ここで、図4において1は、本発明によるインピーダンス回路5を用いた脳波計測装置を示し、2つの電極2a,2bを被験者の頭皮Hの所定位置に貼着し得るとともに、グランド電極3を被験者の鼻頭に貼着し、脳活動により発生する脳波信号を電圧変化により非侵襲的に計測し得るようになされている。
かかる構成に加えて、脳波計測装置1は、電極2a,2bとグランド電極3とがインピーダンス回路5に接続されているとともに、インピーダンス回路5の出力が生体アンプ6a,6bに接続されており、当該インピーダンス回路5内にある負性抵抗10a,10bの電圧を各生体アンプ6a,6bにて検出し、これを増幅して計測手段7に送出し得る。これにより計測手段7は、生体アンプ6a,6bから受け取った電圧値を周波数に変換し、これを計測結果として表示部(図示せず)に表示させ得る。このように計測手段7は、被験者の脳波信号を、例えば周波数の振幅スペクトラムで表した計測結果を使用者に提示し、電極2a,2bの貼着箇所にてデルタ波帯域や、アルファ波帯域などの各周波数帯域がどの程度出現しているかを使用者が確認させ得るようになされている。
なお、この実施の形態の場合、インピーダンス回路5は、図示しない入力端子及び出力端子が設けられており、当該入力端子に電極2a,2b及びグランド電極3からの配線が接続可能に構成されているとともに、出力端子に各生体アンプ6a,6bが接続可能に構成されている。これにより、インピーダンス回路5は、例えば電極2a,2bやグランド電極3、生体アンプ6a,6b、計測手段7からなる既存の脳波計測装置(図示せず)に対して着脱自在に構成され、既存の脳波計測装置の構成を大幅に変更させることなく、本発明の脳波計測装置1へと仕様変更し得る。
ここで、このインピーダンス回路5は、2つの電極2a,2b及び生体アンプ6a,6bに対応付けて2つの負性抵抗10a,10bが設けられており、抵抗値変更手段11からの変更命令に基づいて各負性抵抗10a,10bの抵抗値を適宜変更し得るようになされている。実際上、インピーダンス回路5は、電極2a(2b)をそれぞれ対応した生体アンプ6a(6b)の一の入力部に接続させるとともに、グランド電極3を各生体アンプ6a,6bの他の入力部に接続させ得るようになされている。
これに加えて、インピーダンス回路5は、電極2aとグランド電極3との間に負性抵抗10aが接続され、当該負性抵抗10aが生体アンプ6aに対して並列接続され得るようになされている。なお、他方の電極2b及び生体アンプ6bに対応付けて設けられた負性抵抗10bについても、上述した負性抵抗10aと同様の配置構成を有している。因みに、負性抵抗10a,10bは、抵抗値が所望の値に変更可能に構成された一般的な負性抵抗と同じ回路構成を有しており、ここではその詳細構成についての説明は省略する。
ここで、従来の脳波測定装置にも設けられている生体アンプ6a,6bは、脳内の低電力源(脳波信号源)となる神経細胞から発する微弱な脳波信号の計測に用いることから、抵抗値が例えば10[MΩ]などの高入力インピーダンスとなる電子回路が設計されており、当該高入力インピーダンスにより脳内に流れる脳波信号が電極2a,2b側に大量に流れることを抑制し、脳内における脳波信号に影響を与えないように設計されている。
インピーダンス回路5は、このような生体アンプ6a,6bが設けられた脳波計測装置1に対して電極2a(2b)及びグランド電極3間に負性抵抗10a(10b)を接続し、当該負性抵抗10a(10b)を生体アンプ6a(6b)に対して並列接続させ、電極2a(2b)から負性抵抗10a(10b)を介してグランド電極3までを繋ぐ副電流路を形成し、当該副電流路により頭部内の電気的信号が頭部の外部に流れ得るようになされている。この際、インピーダンス回路5は、副電流路における負性抵抗10a(10b)の抵抗値が適宜変更されることにより、頭部内の電流分布が変化し、脳内の脳波信号源から電極2a(2b)への伝達ゲインを変化させ得るようになされている。
実際上、このインピーダンス回路5は、使用者によって抵抗値変更手段11が操作されることにより、使用者が所望する負性抵抗10a,10bの抵抗値を変更する変更命令が当該抵抗値変更手段11にて生成され得る。抵抗値変更手段11は、生成した変更命令を、対応する負性抵抗10a,10bに送出し、変更命令に従って負性抵抗10a,10bの抵抗値を変更させ得るようになされている。この場合、使用者は、例えば計測手段7により提示された計測結果を目視確認しながら、電極2a,2bに接続された負性抵抗10a,10bの抵抗値を、個別に又は一律に変更させることで、負性抵抗10a,10bにおける電圧値を低めたり、或いは高めたり調整し得、これにより脳波信号のうち調整電圧値に対応した所定の周波数帯域を低めたり、或いは高めたり調整し、いわゆる空間フィルタとして機能させ得る。
(2−2)動作及び効果
以上の構成において、インピーダンス回路5の負性抵抗10a(10b)は、例えば負性抵抗10a(10b)の端子間から見た頭部内のインピーダンスや、頭皮H及び電極2a(2b)間に生じる接触抵抗R1a(R1b)、電極2a(2b)及びグランド電極3間の配線抵抗を全て相殺するように抵抗値が調整されることにより(上述した「設定3」に相当)、脳内における脳波信号源の抵抗による電源電力の損失を低減し得、当該脳波信号源からの例えばデルタ波帯域やアルファ波帯域等の所定周波数帯域の電圧を生体アンプ6a(6b)にて検出させることができる。
この場合、頭部内のインピーダンスR[Ω]としたとき、接触抵抗R1aと負性抵抗10aの抵抗値とを合わせた抵抗値を-R[Ω]とすると、頭部から電極2a、負性抵抗10a及びグランド電極3までを、R[Ω]と-R[Ω]との並列接続と見なすことができ、そのためこれらR[Ω]と-R[Ω]との並列接続による合成抵抗(R(-R)/R+(-R))が分母0で無限大となり、これを負荷とする脳波信号源からは電流が流れずに電圧降下なく脳波信号源の電圧のみを生体アンプ6aにて検出できる。
このようにインピーダンス回路5では、接触抵抗R1a(R1b)を考慮して負性抵抗10a(10b)の抵抗値を調整することで、当該負性抵抗10a(10b)によって究極的に脳内におけるインピーダンスなどによる電力損失をゼロにし、脳波信号源からの所定周波数帯域の脳波信号を最大電源電圧値まで増幅させることができ、かくして脳内における特定の脳波信号源が観測結果へ及ぼす影響を増加させ、いわゆる空間フィルタとして機能し得る脳波計測装置1を実現できる。
また、このインピーダンス回路5では、負性抵抗10a(10b)の抵抗値が、図2に示すTypeI〜IVのいずれかの伝達ゲインの零点に設定されるように調整されることにより(上述した「設定1」に相当)、脳内の特定部位にある所定の脳波信号源から発する例えばアルファ波帯域を抑え、当該アルファ波帯域が電極2a(2b)へ及ぼす影響を減少(究極的にはゼロ)させることができ、いわゆる空間フィルタとして機能する脳波計測装置1を実現できる。
さらに、このインピーダンス回路5では、負性抵抗10a(10b)の抵抗値が、図2に示すTypeI〜IVのいずれかの伝達ゲインの極に設定されるように調整されることにより(上述した「設定2」に相当)、脳内の特定部位にある特定の脳波信号源の電流容量を飽和させ電源電圧を低下させることができる。すなわち、このインピーダンス回路5では、特定の脳波信号源の電流容量を飽和させることで当該脳波信号源を機能させなくし、当該脳波信号源から発する例えばアルファ波帯域を抑制させ、当該アルファ波帯域が電極2a(2b)へ及ぼす影響を減少(究極的にはゼロ)させることができ、いわゆる空間フィルタとして機能する脳波計測装置1を実現できる。
以上の構成によれば、頭皮に配置される電極2a(2b)及びグランド電極3と、この電極2a(2b)及びグランド電極3により得られる頭部内の脳波信号を増幅する生体アンプ6a(6b)とを備えた脳波計測装置1に設けられるインピーダンス回路5であって、電極2a(2b)及びグランド電極3間に接続され、生体アンプ6a(6b)に対して並列接続される負性抵抗10a(10b)を備え、この負性抵抗10a(10b)に発生する電気的信号たる電圧を生体アンプ6a(6b)により検出するようにした。
これにより、インピーダンス回路5では、負性抵抗10a(10b)の抵抗値を適宜変更することで、脳内における特定の脳波信号源が観測結果へ及ぼす影響を減少させたり、或いは増加させたりすることができ、このような従来にない新規な信号検出手法により使用者が所望する脳波信号(生体信号)の取得を実現し得る。
(2−3)検証試験
次に、上述した構成のインピーダンス回路5を設けた脳波計測装置を用意し、基本性能について検証した。ここでは、脳波電極配置として国際的な標準となっている国際10-20法を拡張した拡張10‐20法を利用し、当該拡張10‐20法に基づいて31チャネルで被験者の脳波を計測した。また、この脳波計測装置では、31チャネルのうち、C3電極及びグランド電極(鼻頭)間と、C4電極及びグランド電極(鼻頭)間との2か所にだけ負性抵抗を接続し、各負性抵抗を生体アンプに対してそれぞれ並列接続させた(図1)。なお、その他のO1電極などには負性抵抗を接続せずに、各電極とグランド電極とを生体アンプの入力部に直接接続した従来の構成のままとした。
そして、頭皮に31個の電極を配置させた被験者を安静閉眼状態とし、このときの脳波を計測した。この際、C3電極及びC4電極に接続した負性抵抗の抵抗値は同じ値に設定し、‐470[Ω]から‐22[kΩ]の間で9段階に変化させ、このときのアルファ波帯域の電圧パワーを測定したところ、図5に示すような結果が得られた。図5から、C3電極とC4電極における電圧は、負性抵抗が負に大きくなるにつれて、ゼロに近い値から高い値に推移した後、再度、低い値に戻っている。
ここで、このC3電極及びC4電極から得られた電圧波形は、上述した「(1)本発明による脳波計測の原理」から、その低い値が伝達ゲインの零点・極に相当し、図2におけるTypeI又はTypeIVの推移に合致していると推測できた。
従って、この検証試験から、例えば負性抵抗の抵抗値を、図2に示すTypeI又はTypeIVの伝達ゲインの極に設定されるように調整することにより(上述した「設定2」に相当)、脳内の特定部位にある特定の脳波信号源の電流容量を飽和させて当該脳波信号源を機能させなくし、当該脳波信号源から発する例えばアルファ波帯域を抑制させ、当該アルファ波帯域がC3電極やC4電極へ及ぼす影響を減少(究極的にはゼロ)させることができ、いわゆる空間フィルタとして機能する脳波計測装置を実現できることが分かった。
一方、このとき負性抵抗を接続したC3電極及びC4電極以外の例えばO1電極や、O2電極、Iz電極における各電圧は、図5から2峰性のピークを有しているため、図2におけるTypeIIの推移に合致していると推測できた。従って、この場合でも、例えば負性抵抗の抵抗値を、図2に示すTypeIIの伝達ゲインの極に設定されるように調整することにより(上述した「設定2」に相当)、脳内の特定部位にある特定の脳波信号源の電流容量を飽和させて当該脳波信号源を機能させなくし、当該脳波信号源から発する例えばアルファ波帯域を抑制させ、当該アルファ波帯域がC3電極やC4電極へ及ぼす影響を減少(究極的にはゼロ)させることができ、いわゆる空間フィルタとして機能する脳波計測装置を実現できることが分かった。
また、例えば負性抵抗の抵抗値を、図2に示すTypeIIの伝達ゲインの零点に設定されるように調整することにより(上述した「設定1」に相当)、脳内における特定の脳波信号源の特定の電極への影響を減少(究極的にはゼロ)させることができ、いわゆる空間フィルタとして機能する脳波計測装置を実現できることが分かった。
(2−4)他の実施の形態
なお、上述した実施の形態においては、抵抗手段が接続される第1電極及び第2電極として、頭皮Hに配置される電極2a(2b)と、鼻頭に配置されるグランド電極3とを適用し、電極2a(2b)及びグランド電極3間に負性抵抗10a(10b)を接続するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図4との対応部分に同一符号を付して示す図6のように、頭皮Hに配置される電極2a,2bを適用し、これら電極2a,2b間に負性抵抗10aを接続するようにしてもよい。
この場合、脳波計測装置21は、頭皮に貼着された2つの電極2a,2bが、インピーダンス回路22を介して高入力インピーダンスを有する生体アンプ25に接続されている。インピーダンス回路22は、これら2つの電極2a,2b間に負性抵抗10aが接続され、当該負性抵抗10aが生体アンプ25に対して並列接続された構成を有し、一の電極2aから負性抵抗10aを介して他の電極2bまでを繋ぐ副電流路を形成し、当該副電流路により頭部内の電気的信号が頭部の外部に流れ得るようになされている。なお、この負性抵抗10aも、上述した実施の形態と同様に、抵抗値が所望の値に変更可能に構成された一般的な負性抵抗と同じ回路構成を有するものであり、その説明は省略する。
このような構成の脳波計測装置21であっても、上述した実施の形態と同様に、例えばインピーダンス回路22の負性抵抗10aの端子間から見た頭部内のインピーダンスや、頭皮H及び電極2a,2b間に生じる接触抵抗R1a,R1b、2つの電極2a,2b間の配線抵抗を全て相殺するように負性抵抗10aの抵抗値が調整されることにより(上述した「設定3」に相当)、脳内における脳波信号源の抵抗による電源電力の損失を低減し得、当該脳波信号源からの例えばデルタ波帯域やアルファ波帯域等の所定周波数帯域の電圧を生体アンプ25にて検出させることができる。
また、この場合、頭部内のインピーダンスをR[Ω]としたときには、接触抵抗R1a,R1bと、負性抵抗10aの抵抗値とを合わせた抵抗値を-R[Ω]とすると、頭部から一の電極2a、負性抵抗10a及び他の電極2bまでを、R[Ω]と-R[Ω]との並列接続と見なすことができ、そのためこれらR[Ω]と-R[Ω]との並列接続による合成抵抗が無限大となり、これを負荷とする脳波信号源からは電流が流れずに電圧降下なく脳波信号源の電圧のみを生体アンプ25にて検出できる。
このようにインピーダンス回路22でも、接触抵抗R1a,R1bを考慮して負性抵抗10aの抵抗値を調整することで、当該負性抵抗10aによって究極的に脳内におけるインピーダンスなどによる電力損失をゼロにし、脳波信号源からの所定周波数帯域の脳波信号を最大電源電圧値まで増幅させることができ、かくして脳内における特定の脳波信号源が観測結果へ及ぼす影響を増加させ、いわゆる空間フィルタとして機能し得る脳波計測装置21を実現できる。
また、このインピーダンス回路22でも、負性抵抗10aの抵抗値が、図2に示すTypeI〜IVのいずれかの伝達ゲインの零点に設定されるように調整されることにより(上述した「設定1」に相当)、脳内の特定部位にある所定の脳波信号源から発する例えばアルファ波帯域を抑え、当該アルファ波帯域が電極2a(2b)へ及ぼす影響を減少(究極的にはゼロ)させることができ、いわゆる空間フィルタとして機能する脳波計測装置21を実現できる。
さらに、このインピーダンス回路22でも、負性抵抗10aの抵抗値が、図2に示すTypeI〜IVのいずれかの伝達ゲインの極に設定されるように調整されることにより(上述した「設定2」に相当)、脳内の特定部位にある特定の脳波信号源の電流容量を飽和させ電源電圧を低下させることができる。すなわち、このインピーダンス回路22では、特定の脳波信号源の電流容量を飽和させることで当該脳波信号源を機能させなくし、当該脳波信号源から発する例えばアルファ波帯域を抑制させ、当該アルファ波帯域が電極2a(2b)へ及ぼす影響を減少(究極的にはゼロ)させることができ、いわゆる空間フィルタとして機能する脳波計測装置21を実現できる。
以上の構成によれば、頭皮に配置される2つの電極2a,2b間に接続され、生体アンプ25に対して並列接続される負性抵抗10aを設け、この負性抵抗10aに発生する電気的信号たる電圧を生体アンプ25により検出するようにしたことにより、負性抵抗10aの抵抗値を適宜変更することで、脳内における特定の脳波信号源が観測結果へ及ぼす影響を減少させたり、或いは増加させたりすることができ、かくして、従来にない新規な信号検出手法により使用者が所望する脳波信号の取得を実現し得る。
なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能であり、生体信号計測装置として、脳内から発する脳波信号を計測する脳波計測装置1,21を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば心臓から発する心電信号を計測する心電計測装置や、筋肉から発する筋電信号を計測する筋電計測装置を適用してもよい。また、上述した実施の形態においては、2つの電極2a,2bを設けた脳波計測装置1,21を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、3つ以上などの複数の電極を設けるようにしてもよく、また、必ずしも全ての電極に対して負性抵抗を設けなくともよい。
さらに、上述した実施の形態においては、非侵襲的な手法を用いて検頭表における脳波信号を計測する脳波計測装置1,21を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、侵襲的な手法を用いて検脳表における脳波信号を計測する脳表脳波計測装置や、侵襲的な手法を用いて検脳内の脳波信号を直接計測する脳内脳波計測装置を適用するようにしてもよい。
(3)正の抵抗を用いたインピーダンス回路について
(3−1)抵抗を備えたインピーダンス回路を有する脳波計測装置の構成
次に、本発明のインピーダンス回路として、上述した負性抵抗に替えて、正の抵抗を用いたインピーダンス回路の実施の形態について説明する。ここで、図1との対応部分に同一符号を付して示す図7において31は、本発明によるインピーダンス回路32を用いた脳波計測装置31を示し、複数の電極2a,2b,2c,…を被験者の頭皮Hの所定位置に貼着し得るとともに、グランド電極3を被験者の鼻頭に貼着し、脳活動により発生する脳波信号を電流変化により非侵襲的に計測し得るようになされている。
ここで、この実施の形態の場合、脳波計測装置31は、複数の電極2a,2b,2c,…とグランド電極3とがインピーダンス回路32に接続されているとともに、インピーダンス回路32の出力が生体アンプ36a,36b,36c,…に接続されている。実際上、このインピーダンス回路32は、複数の電極2a,2b,2c,…のうち、例えば所定位置に配置した2つの電極2a,2bに対応付けて正の抵抗34a,34bが設けられており、他の電極2c,…から直接得られた電流の他、これら2つの抵抗34a,34bに流れる電流をそれぞれ生体アンプ36a,36b,36c,…により検出し、これを増幅して計測手段37に送出し得る。
なお、図4に示した実施の形態において、インピーダンス回路5に設ける抵抗手段として負性抵抗10a,10bを用いた場合、当該負性抵抗10a,10bの生じる電圧を電気的信号として生体アンプ6a,6bにより検出するようにしたが、この実施の形態の場合のように、インピーダンス回路32に設ける抵抗手段として正の抵抗34a,34bを用いた場合には、抵抗34a,34bに流れる電流を電気的信号として生体アンプ36a,36b,36c,…により検出し得るようになされている。
計測手段37は、各生体アンプ36a,36b,36c,…からそれぞれ受け取った電流を周波数に変換し、これを計測結果として表示部(図示せず)に表示させ得る。これにより計測手段37は、被験者の脳波信号を、例えば周波数の振幅スペクトラムで表した計測結果を使用者に提示し、電極2a,2b,2c,…の貼着箇所にてデルタ波帯域や、アルファ波帯域などの各周波数帯域がどの程度出現しているかを使用者が確認し得るようになされている。
なお、この場合でも、インピーダンス回路32は、図示しない入力端子及び出力端子が設けられており、当該入力端子に電極2a,2b,2c,…及びグランド電極3からの配線が接続可能に構成されているとともに、出力端子に各生体アンプ6a,6b,6c,…が接続可能に構成されている。これにより、インピーダンス回路32は、例えば電極2a,2b,2c,…やグランド電極3、生体アンプ36a,36b,36c,…、計測手段37からなる既存の脳波計測装置(図示せず)に対して着脱自在に構成され、既存の脳波計測装置の構成を大幅に変更させることなく、本発明の脳波計測装置31へと仕様変更し得る。
ここで、このインピーダンス回路32は、2つの電極2a,2bに対応付けて2つの抵抗34a,34bが設けられており、抵抗値変更手段35からの変更命令に基づいて各抵抗34a,34bの抵抗値を適宜変更し得るようになされている。実際上、インピーダンス回路は、電極2a(2b,2c,…)をそれぞれ対応した生体アンプ36a(36b,36c,…)の一の入力部に接続させるとともに、グランド電極3を各生体アンプ36a,36b,36c,…の他の入力部に接続させ得るようになされている。
これに加えて、インピーダンス回路32は、電極2aとグランド電極3との間に抵抗34aが接続され、当該抵抗34aが生体アンプ36aに対して並列接続さており、電極2a(2b)から抵抗34a(34b)を介してグランド電極3までを繋ぐ副電流路を形成し、当該副電流路により頭部内の電気的信号が頭部の外部に流れ得るようになされている。この際、インピーダンス回路5は、副電流路における抵抗34a(34b)の抵抗値が適宜変更されることにより、頭部内の電流分布が変化し、脳内の脳波信号源から電極2a(2b,2c,…)への伝達ゲインを変化させ得るようになされている。なお、他方の電極2b及び生体アンプ36bに対応付けて設けられた抵抗34bについても、上述した抵抗34aと同様の配置構成を有している。
この実施の形態の場合、抵抗34a,34bの抵抗値としては、正の抵抗値であり、かつ電極2a及びグランド電極3間における頭部内のインピーダンスよりも約10倍程度高い抵抗値以下に選定され、さらに当該インピーダンスと同等以下であることが望ましい。因みに、この抵抗34a,34bは、抵抗値が所望の正の値に変更可能に構成された一般的な抵抗と同じ回路構成を有しており、ここではその詳細構成についての説明は省略する。
実際上、インピーダンス回路32は、使用者によって抵抗値変更手段35が操作されることにより、使用者が所望する抵抗34a,34bの抵抗値を変更する変更命令が当該抵抗値変更手段35にて生成され得る。抵抗値変更手段35は、生成した変更命令を、対応する抵抗34a,34bに送出し、変更命令に従って抵抗34a,34bの抵抗値を、個別に又は一律に変更させ得るようになされている。この場合、使用者は、例えば計測手段37により提示された計測結果を目視確認しながら、電極2a,2bに接続された抵抗34a,34bの抵抗値を、個別に又は一律に変更させることで、抵抗34a,34bに流れる電流を調整し、これにより脳波信号のうち所定の周波数帯域を低めたり、或いは高めたり調整し得、いわゆる空間フィルタとして機能させ得る。
なお、インピーダンス回路32は、抵抗34a,34bを接続していない電極2c,…においても、電極2a,2bに対する抵抗34a,34bの接続による影響を受けて電流変化が生じ、それを生体アンプ36c,…にて検出し得る。これにより、使用者は、例えば計測手段37により提示された計測結果を目視確認しながら、電極2a,2bに接続された抵抗34a,34bの抵抗値を変更させることで、抵抗34a,34bが接続されていない電極2c,…により得られた脳波信号の所定の周波数帯域を低めたり、或いは高めたり調整することもでき、この点においても空間フィルタとして機能し得るものとなる。
(3−2)動作及び効果
以上の構成において、このインピーダンス回路32では、抵抗34a,34bの正の抵抗値を調整することで、特定の脳波信号源からの伝達ゲインを、図3に示すTypeIの零点に設定させることにより(上述した「(1)本発明による脳波計測の原理」における「設定1」に相当)、脳内の特定部位にある所定の脳波信号源から発する例えばアルファ波帯域を抑え、当該アルファ波帯域が電極2a,2b,2c,…へ及ぼす影響を減少(究極的にはゼロ)させることができ、いわゆる空間フィルタとして機能する脳波計測装置31を実現できる。かくして、従来にない新規な信号検出手法により使用者が所望する脳波信号の取得を実現し得る。
(3−3)検証試験
次に、上述した正の抵抗を有するインピーダンス回路を設けた脳波計測装置を用意し、基本性能について検証した。ここでも、脳波電極配置として国際的な標準となっている国際10-20法を拡張した拡張10‐20法を利用し、当該拡張10‐20法に基づいて31チャネルで被験者の脳波を計測した。また、この脳波計測装置では、31チャネルのうち、C3電極及びグランド電極(鼻頭)間と、C4電極及びグランド電極(鼻頭)間との2か所に抵抗を接続し、各抵抗を生体アンプに対してそれぞれ並列接続させた(図1)。なお、その他の電極には抵抗を接続せずに、各電極とグランド電極とをそれぞれ生体アンプの入力部に直接接続した従来の構成のままとした。
そして、頭皮に31個の電極を配置させた被験者を安静閉眼状態とし、このときの脳波を計測した。この際、C3電極及びC4電極に接続した抵抗の抵抗値は同じ値に設定し、680[Ω]から10[kΩ]の間で5段階に変化させ、このときのアルファ波帯域の電圧パワーを測定したところ、図8に示すような結果が得られた。なお、図8では各生体アンプにより検出された電流を電圧に変換して、各電圧と抵抗値との関係を示している。
図8から、C3電極とC4電極における電圧は、単調な変化しか示していないが(図3に示すTypeII〜IV)、例えば後頭部に配置したO1電極やO2電極などでは、3.3[kΩ]あたりで一旦ピークが表れており、これは図3に示すTypeIに相当すると推測できた。これらのことを総合し、理論によって推定された図3と同じような抵抗・伝達ゲインの関係が、抵抗の接続によって達成されていることから、抵抗の接続により空間フィルタを構成し得ると推測できた。
(3−4)他の実施の形態
なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能であり、例えば、抵抗手段が接続される第1電極及び第2電極として、図4では頭皮Hに配置される電極2a(2b)と、鼻頭に配置されるグランド電極3とを適用し、電極2a(2b)及びグランド電極3間に抵抗34a(34b)を接続するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、頭皮Hに配置される2つの電極2a,2bを適用し、これら電極2a,2b間に抵抗34aを接続するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態においては、生体信号計測装置として、脳内から発する脳波信号を計測する脳波計測装置31を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば心臓から発する心電信号を計測する心電計測装置や、筋肉から発する筋電信号を計測する筋電計測装置を適用してもよい。
さらに、上述した実施の形態においては、非侵襲的な手法を用いて検頭表における脳波信号を計測する脳波計測装置31を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、侵襲的な手法を用いて検脳表における脳波信号を計測する脳表脳波計測装置や、侵襲的な手法を用いて検脳内の脳波信号を直接計測する脳内脳波計測装置を適用するようにしてもよい。
1,21,31 脳波計測装置(生体信号計測装置)
2a,2b,2c 電極(第1電極、第2電極)
3 グランド電極(第1電極、又は第2電極)
5,22,32 インピーダンス回路
6a,6b,25,36a,36b,36c 生体アンプ
10a,10b 負性抵抗(抵抗手段)
34a,34b 抵抗(抵抗手段)

Claims (6)

  1. 生体の皮膚表面に配置される第1電極及び第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極により得られる前記生体内の生体信号を増幅する生体アンプとを備えた生体信号計測装置に設けられるインピーダンス回路であって、
    前記第1電極及び前記第2電極間に接続され、前記生体アンプに対して並列接続される抵抗手段を備え、前記抵抗手段に発生する電気的信号を前記生体信号として前記生体アンプにより増幅させる構成を備え、
    前記抵抗手段が負性抵抗であり、前記電気的信号として前記負性抵抗に生じる電圧を前記生体アンプにより検出させる
    ことを特徴とするインピーダンス回路。
  2. 前記第1電極又は第2電極のいずれか一方がグランド電極である
    ことを特徴とする請求項1記載のインピーダンス回路。
  3. 前記抵抗手段は、外部からの変更命令に応じて抵抗値が調整可能に構成されている
    ことを特徴とする請求項1又は2記載のインピーダンス回路。
  4. 前記第1電極及び前記第2電極間に前記抵抗手段を接続することで、前記生体内の前記電気的信号を前記生体の外部に流す副電流路を形成する
    ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載のインピーダンス回路。
  5. 前記生体信号計測装置における前記第1電極及び前記第2電極と、前記生体アンプとに着脱自在に構成されている
    ことを特徴とする請求項1〜のうちいずれか1項記載のインピーダンス回路。
  6. 生体の皮膚表面に配置される第1電極及び第2電極と、
    前記第1電極及び前記第2電極により得られる前記生体内の生体信号を増幅する生体アンプと、
    入力側に前記第1電極及び前記第2電極が接続されるとともに、出力側に前記生体アンプが接続されるインピーダンス回路とを備え、
    前記インピーダンス回路は請求項1〜のうちいずれか1項記載のインピーダンス回路である
    ことを特徴とする生体信号計測装置。
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