JP6022018B1 - ディザ電流給電制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
このようなディザ電流給電制御装置に関する技術的背景として、車載バッテリの電源電圧が、例えばDC7VからDC14Vまで変動すると、電流上昇の余裕電圧を最低限度のDC1Vに見積もっても、最低電圧DC6Vでも最大電流が流れるように設計された比例電磁コイルが必要となり、これをDC14Vの高電圧で使用して、最大電流の20%の目標平均電流を得ようとすれば6×20/14=8.6%の電圧に制御する必要がある。
また、120℃の高温環境で、比例電磁コイル自体の温度上昇40℃を加算した160℃の負荷抵抗において、最低電圧DC6Vでも正常動作するように設計された比例電磁コイルの場合、−40℃の低温環境で比例電磁コイル自体の温度上昇10℃を加算した−30℃の負荷抵抗においては、DC4.2Vでも最大電流が流れる低抵抗となっており、この状態でDC14Vが印可されて、最大電流の20%の目標平均電流を得ようとした場合には、4.2×20/14=6%の電圧に制御する必要がある。
更なる困難として、誘導性電気負荷である比例電磁コイルは、そのインダクタンスLと負荷抵抗Rとの比率である時定数τ=L/Rによって負荷電流の増減に応答遅れが発生し、ディザ小電流I1からディザ大電流I2への立上り時間と、ディザ大電流I2からディザ小電流I1への立上り時間とが異なると、ディザ大電流I2とディザ小電流I1とのディザ中間電流I0=(I1+I2)/2の値と、ディザ電流の時間積分値をディザ振幅周期Tdで割って得られるディザ平均電流Iaとが異なった値となる。
従って、ディザ中間電流I0に注目しないで、単に目標平均電流Iaaと検出平均電流Ifaを一致させるような負帰還制御が行われている場合には、均質なディザ制御が行えなくなる問題点があることに留意しておく必要がある。
しかし、駆動電流の増減は図4(b)で示すとおり、なだらかに増減する正弦波となっていて、所定のディザ振幅を得るためにはディザ周期が大きくなり、可動鉄片14(図2参照)が静止摩擦抵抗により固着するおそれがある。
この特許文献2の図4によれば、目標設定手段20は、基本設定部21で基本電流値Ibを決定し、ディザ平均算出部22では被検出励磁電流信号Siからディザ平均電流値Iave2を算出し、減算部23で偏差値ΔI2を算出し、補正部24で基本電流値Ibの比例積分補正値を発生し、ディザ設定部25でディザ電流Idを設定し、加算部26で目標電流値Itを算出している。
なお、図2において、PWM信号生成手段40はPWM信号Spwmを生成して駆動回路に出力し、目標電流ItはPWM信号SpwmのPWM周期の10倍に設定されているディザ周期で周期的に変化する値である。
この特許文献2の図3におけるフィードフォワード制御部34(33の誤記)は、ディザ電流の基本波が、図15の三角波となるようにデューティ比Rd/ffを付与するものであって、この三角波に追従してデューティ比Rd/fbによるフィードバック制御を行うためには、三角波は徐々に増減する緩やかな波形となり、所定のディザ振幅を得るためにはディザ周期が大きくなり、スプール942(図1参照)が静止摩擦抵抗により固着するおそれがある。
前記特許文献1による「比例電磁弁の制御方法及び制御装置」は、ディザ電流波形がなだらかに変化する正弦波となっていて、このとおりに制御されればディザ電流の立上り時間と立下り時間は一致する。
しかし、電流制御が追従できるように正弦波の周期を大きくすると、可動鉄片14の静止状態が発生して静止摩擦抵抗が発生する問題があるとともに、正弦波の周期を短縮すると電流制御が追従できず、ディザ電流の立上り時間と立下り時間が一致しなくなる問題がある。
また、脈動する指示電流と脈動する検出電流の偏差信号からその変化度合である微分係数を算出することは至難であって、正確な微分制御を行うことは期待できない問題点がある。
なお、この特許文献1による装置及び方法は、比例電磁弁10に給電する定電流駆動器5の電源は定電圧電源を使用し、環境温度は一定となるような冷暖房機が使用されていることも想像できるが、MPU3のデジタル出力をDA変換器によってアナログ信号に置換し、定電流駆動器5によって比例電磁弁10への給電電流を連続制御しているので、定電流駆動器5の消費電力が大きくなる問題点がある。
また、正弦波状の電流波形で電流減衰を行うためには、定電流駆動器5が比例電磁弁10の電磁エネルギーを吸収する必要があるので定電流駆動器5の消費電力がますます大きくなる問題点がある。
しかし、電流制御が追従できるように三角波の周期を大きくすると、スプール942の静止状態が発生して静止摩擦抵抗が発生する問題があるとともに、三角波の周期を短縮すると電流制御が追従できず、ディザ電流の立上り時間と立下り時間が一致しなくなる問題がある。
なお、特許文献2の図2におけるソレノイド95は車載バッテリ(電源)53から給電され、給電用のトランジスタ51が開路したときのフライホイール電流はダイオード52に転流するようになっていて、電源電圧が高いときのディザ電流立上り時間は異常に速くなるが、平均目標電流が小さいときのディザ電流立下り時間が遅くなる問題がある。
また、特許文献2においては、図3におけるPWM平均電流値Iave1の算出方法、及びフィードフォワード制御の方法は一切記載されていないが、高速応答のマイクロプロセッサと高速応答のAD変換器が必要となるものと推定される。
この発明の目的は、電源電圧の変動、環境温度の変動、目標平均電流の変動に対応して安定したディザ振幅電流を重畳加算することができて、ディザ振幅周期を短縮しても波形歪の少ない負荷電流を供給することができるディザ電流給電制御装置を提供することである。
前記比例電磁コイルは、共用可変定電圧電源から給電されて、その通電電流を個別に断続制御する駆動開閉素子と電流検出抵抗とが直列接続されるとともに、前記比例電磁コイルと前記電流検出抵抗との直列回路に対して並列接続される転流回路素子を備え、
前記共用可変定電圧電源は、この共用可変定電圧電源に入力される電源電圧Vbbが変動して最小電圧となっていて、しかも、高温環境で前記比例電磁コイルの負荷抵抗Riが最大負荷抵抗Rmmiとなっていても、ここに100%の通電電流である最大電流Imiを通電したいときに要求される、各前記比例電磁コイルに共通した最大要求電圧V2m以下の安定化電圧Vbaを発生し、
前記安定化電圧Vbaは、少なくとも第一又は第二の電圧抑制手段によってその発生電圧が可変調整されるようになっている。
前記第二の電圧抑制手段は、負荷電流がディザ小電流I1iからディザ大電流I2iに増量変化する時点の所定期間において、前記比例電磁コイルのインダクタンス成分に打勝って所定値以上の電流上昇率を得るための余裕電圧ΔVmを加算した急速駆動電圧Vmを一次的に発生し、常時は前記最大要求電圧V2mに抑制制御し、
前記駆動開閉素子は、前記目標平均電流Iaaiに対して前記ディザ振幅電流ΔIiを増減付加した前記ディザ大電流I2iと、前記ディザ小電流I1iと、設定監視電圧Vxとに対応し、(算式1)(算式2)による通電デューティγ2i、γ1iによって、前記比例電磁コイルを個別に断続制御し、
前記設定監視電圧Vxは、前記共用可変定電圧電源に対する設定現在値Vstである前記急速駆動電圧Vm又は前記最大要求電圧V2mであるか、或いは得られた前記安定化電圧Vbaに対する監視現在値Vbdが適用されるようになっている。
γ1i=I1i×Ri/Vx、I1i=Iaai−ΔIi/2・・・・(算式1)
γ2i=I2i×Ri/Vx、I2i=Iaai+ΔIi/2・・・・(算式2)
従って、共用可変定電圧電源は、電源電圧の変動と、環境温度変化による負荷抵抗の変動又は急速駆動の要否とに対応して、可変一定の安定化電圧を発生して、デューティ制御の外乱要素を除去し、駆動開閉素子は要求された目標平均電流の大小に応じて断続制御を行えばよいので、通電デューティの変動幅が大幅に小さくなって、より高精度なディザ電流給電制御を行うことができるようになる効果がある。
また、共用可変定電圧電源は複数個の比例電磁コイルに共用されていて、そのコスト負担が軽減されるとともに、環境温度状態又は急速駆動の要否に応じた必要最小限度の出力電圧を発生すればよいので、これにより消費電力が削減される効果がある。
なお、共用可変定電圧電源を使用しない場合において、電源電圧の変動と環境温度の変動及び目標平均電流の変動を考慮するとディザ振幅電流を最大電流の±5%とした場合には、通電デューティ6±1.5%の断続制御を行う必要となるが、共用可変定電圧電源によって電源電圧変動と比例電磁コイルの環境温度変動を考慮した一定電圧を供給している場合には、通電デューティは20±5%の制御を行えばよいので、高精度で安定した電流制御を行うことができるものである。
(1)構成の詳細な説明
以下、この発明の実施の形態1に係るディザ電流給電制御装置の全体回路ブロック図である図1について説明する。
図1において、ディザ電流給電制御装置100Aは、例えば自動車用変速機における変速段選択用の複数の油圧電磁弁に設けられた比例電磁コイル105i(i=1・2・・・n)に対して、ディザ電流を含む励磁電流を供給するものであって、図示しない電源スイッチが閉路されたときに付勢される電源リレーの出力接点102を介して、車載バッテリである外部電源101から電源電圧Vbbが印可されるようになっている。
なお、複数の比例電磁コイル105iのそれぞれには、励磁電流対油圧特性の個体バラツキ変動を補正するための図示しないラベル抵抗が設けられているとともに、変速機内にはその環境温度を代表して油温を測定する温度センサ103aが設けられている。
ディザ電流給電制御装置100AはマイクロプロセッサCPUを含む演算制御回路部120Aを主体として構成されていて、この演算制御回路部120Aには定電圧電源110を介して例えばDC5Vの安定化電圧である制御電圧Vccが印可されている。
なお、温度センサ103aは入力センサ群103の一部であり、比例電磁コイル105iは電気負荷群104の一部となっている。
入力インタフェース回路130は、例えばギアシフトレバーの選択位置に応動するギアシフトセンサ、エンジン回転センサ、車速センサ、アクセルペダルの踏込度合を検出するアクセルポジションセンサなどの入力センサ群103から得られるアナログ又はオンオフ動作の入力信号を演算制御回路部120Aの入力ポートに接続する。
なお、温度センサ103aは入力インタフェース回路130を介して多チャンネルAD変換器124に入力されている。
出力インタフェース回路140は、例えば油圧ポンプや前後進選択用油圧電磁弁などの電気負荷群104と演算制御回路部120Aの出力ポートとの間に接続されている。
なお、Pチャネル型の電界効果型トランジスタである駆動開閉素子151iは、駆動制御信号PWMiの論理レベルが「H」となったときに、駆動ゲート回路152i内のNPN形トランジスタが導通して、ソース端子とゲート端子間に閉路駆動電圧が印可されるようになっている。
比例電磁コイル105iの下流位置は電流検出抵抗150iを介してグランド回路GNDに接続されていて、電流検出抵抗150iの両端電圧は電流検出回路158iを介して増幅されて、比例電磁コイル105iの通電電流に比例した電圧となる電流検出信号Ifiが多チャンネルAD変換器124に入力されている。
転流回路素子153iは、駆動開閉素子151iと比例電磁コイル105iとの接続点に接続されるとともに、転流ダイオード154iを介してグランド回路GNDに接続されていて、駆動開閉素子151iが開路したときに、比例電磁コイル105iに流れていた励磁電流が、電流検出抵抗150iと転流ダイオード154iを介して転流するようになっている。
しかし、駆動開閉素子151iが開路されていて転流制御信号DNSiの論理レベルが「L」ののときには、比例電磁コイル105iが発生するフライバック電圧によって、転流ダイオード154iと定電圧ダイオード155iを介してゲート電圧が印可され、転流回路素子153iは半閉路状態となって導通し、転流ダイオード154iによる第一転流電圧Vdと定電圧ダイオード155iによる第二転流電圧Vzを加算した転流減衰電圧Vzdが得られるようになっている。
電圧検出回路159iは増幅器と平滑コンデンサによって構成され、負荷印可電圧Vbiが印可される分圧抵抗157iの分圧電圧を平滑化して検出平均電圧Vfaiを多チャンネルAD変換器124に入力するようになっており、これにより比例電磁コイル105iに対する平均印可電圧Vaiが検出できるようになっている。
なお、多チャンネルAD変換器124に入力された電流検出信号Ifiは、図5で後述するとおり演算制御回路部120A内では検出現在値Ifdiとなり、これを移動平均化手段128iで平滑して検出平均電流Ifaiを得るようになって、平均印可電圧Vaiを検出平均電流Ifaiで割ると、比例電磁コイル105iの現在抵抗Riiを知ることができるようになっている。
また、比例電磁弁には比例電磁コイル105iの電流増加に伴って出力圧力が増大する正特性のものと、比例電磁コイル105iの電流増加に伴って出力圧力が減少する負特性のものがあるが、ここでは、正特性比例電磁弁が所定の最大出力圧力を発生するか、又は負特性のものが所定の最小出力圧力を発生するときの比例電磁コイル105iの励磁電流を最大電流Imi(又は定格電流)と言い、最大環境温度で最大温度上昇状態における比例電磁コイル105iの負荷抵抗Riを最大負荷抵抗Rmmiとした場合、個別の比例電磁コイル105iにおいて、最大電流Imiと最大負荷抵抗Rmmiの値は異なっていてもよい。
なお、各比例電磁コイル105iのコイル仕様が同一であれば、個別の最大電流Imiは共通の最大電流Imとなり、個別の最大現在抵抗Rmiは共通の最大現在抵抗Rmとなる。同様に、前述した個別の平均抵抗Raiは共通の平均抵抗Raとなり、個別の最大負荷抵抗Rmmiは共通の最大負荷抵抗Rmmとなる。
次に、図1の制御装置における共用可変定電圧電源200Aの詳細回路ブロック図である図2についてその構成を詳細に説明する。
図2において、共用可変定電圧電源200Aは、断続動作する昇圧回路素子202を介して電源電圧Vbbが印可される誘導素子201と、昇圧回路素子202が開路したときに、誘導素子201に蓄積されていた電磁エネルギーが逆流防止素子205を介して放出される昇圧コンデンサ206と、昇圧コンデンサ206の両端電圧が、目標電圧設定回路209で可変設定された所定電圧となったときに昇圧回路素子202の断続動作を停止する負帰還回路208とを備え、昇圧コンデンサ206の両端電圧である安定化電圧Vbaは、変動する電源電圧Vbbの最大値以上の電圧となっている。
負帰還回路208には安定化電圧Vbaが印可される帰還分圧抵抗207による分圧電圧が入力されて、目標電圧設定回路209に設定された急速駆動電圧Vm又は最大要求電圧V2mと比較されるようになっている。
演算制御回路部120Aは、目標電圧Vtrgとして、図3で後述する急速駆動電圧Vmと最大要求電圧V2mを順次前記目標電圧設定回路209に設定する。
この実施の形態においては、電源電圧Vbbの変動幅を例えばDC7〜14Vとした場合には、急速駆動電圧Vmは例えばDC22V、最大要求電圧V2mは比例電磁コイル105iの共通の環境温度によってDC14〜20Vに可変調整されるようになっている。
そして、この可変の安定化電圧Vbaは監視分圧抵抗212を介して多チャンネルAD変換器124に入力され、監視現在値VbdとしてマイクロプロセッサCPUに入力されるようになっている。
以下、図1・図2のとおり構成されたこの発明の実施の形態1に係るディザ電流給電制御装置において、図3・図4のタイムチャートと、図5・図6のフローチャートに基づいて、その作用と動作を詳細に説明する。
まず、図1・図2において、図示しない電源スイッチが閉路されると、電源リレーの出力接点102が閉路して、ディザ電流給電制御装置100Aに電源電圧Vbbが印加される。
その結果、定電圧電源110が例えばDC5Vの安定化電圧である制御電圧Vccを発生して、演算制御回路部120Aを構成するマイクロプロセッサCPUが制御動作を開始するとともに、共用可変定電圧電源200Aは急速駆動電圧Vmと最大要求電圧V2mを交互に発生する。
マイクロプロセッサCPUは、入力インタフェース回路130から入力される入力センサ群103の動作状態と、不揮発性のプログラムメモリ121に格納された制御プログラムの内容とに応動して、出力インタフェース回路140に接続された電気負荷群104に対する負荷駆動指令信号を発生し、電気負荷群の中の特定の電気負荷である複数の比例電磁コイル105iに対しては、駆動開閉素子151iを介してオン/オフ制御を行って、その通電電流を制御するようになっている。
図3(A)は、横軸を時間軸とし、縦軸に共用可変定電圧電源200Aが発生する安定化電圧Vbaの値を示したものであり、ディザ電流大期間Bとディザ電流小期間Aに分割されたディザ振幅周期Td(=B+A)を周期として、定期的に短時間の急速駆動電圧Vm(例えばDC22V)を発生し、それ以外の時刻では最大要求電圧V2mを発生し、この最大要求電圧V2mは各比例電磁コイル105iに共通の環境温度−40℃から+120℃と自身の最大温度上昇(例えば40℃)に対応して、例えばDC14〜20Vの間で可変の一定電圧となっていて、この最大要求電圧V2mの値は電源電圧Vbbが変動しても変化しないように安定化されている。
急速駆動電圧Vmから最大要求電圧V2mを減じた余裕電圧ΔVm=Vm−V2mは、負荷電流をディザ小電流I1iからディザ大電流I2iに急増させたいときに必要となるものであり、実際の余裕電圧ΔVmは比例電磁コイル105iの環境温度や目標平均電流Iaaiの大きさによって変化することになるが、最大温度で最大の目標平均電流Iaaiある場合でも最低限度の例えばDC2Vが確保されるようになっている。
また、この急速駆動電圧Vmの発生期間は、図3(D)で後述する上昇期待時間Tupiの最大値Tupよりも長い時間となっている。
ディザ電流大期間Bが開始すると、図3(D)で後述する上昇期待時間Tupが経過するまでは、駆動開閉素子151iが100%通電することによって比例電磁コイル105iには急速駆動電圧Vmが印可されている。
しかし、全ての比例電磁コイル105iがそれぞれの上昇期待時間Tupiを経過して、急速駆動電圧Vmの発生が停止した段階では、駆動開閉素子151iの通電デューティγ2iが(算式2a)で示された値で制御され、その結果として比例電磁コイル105iにはディザ大電圧V2i=I2i×Riが印可される。
γ2i=I2i×Ri/Vx、(Vx=V2m)・・・(算式2a)
なお、(算式2a)において、この実施の形態における設定監視電圧Vxは、共用可変定電圧電源200Aに対する設定現在値Vstである最大要求電圧V2mが適用されている。
また、急速駆動電圧Vmの発生期間であって、速やかにディザ大電流I2iに到達したものの通電デューティγmiは(算式3a)によって算出されている。
γmi=I2i×Ri/Vx、(Vx=Vm)・・・(算式3a)
やがて、ディザ電流小期間Aが開始すると、図3(D)で後述する減少期待時間Tdniが経過するまでは、駆動開閉素子151iが不導通となることによって比例電磁コイル105iに対する印可電圧はゼロとなり、これを過ぎると駆動開閉素子151iの通電デューティγ1iが(算式1a)で示された値で制御され、その結果として比例電磁コイル105iにはディザ小電圧V1i=I1i×Riが印可される。
γ1i=I1i×Ri/Vx、(Vx=V2m)・・・(算式1a)
図3(D)は、横軸を時間軸とし、縦軸に比例電磁コイル105iに流れる負荷電流(励磁電流ということもある)の波形を示したものであり、図示された上昇期待時間Tupは、個別の上昇期待時間Tupiの中の最大値を意味し、減少期待時間Tdnも、個別の減少期待時間Tdniの中の最大値を示している。
この実施の形態においては、ディザ電流大期間Bとディザ電流小期間Aは等しい時間幅であって、それぞれは、駆動開閉素子151iのPWM周期τ0の7倍の時間幅に設定されている。
駆動開閉素子151iは、PWM信号発生手段123iに対して順次設定された通電デューティ(γmi又はγ2i又はγ1i)の値に応じて、その閉路時間τonを変化させて、τon/τ0が設定された通電デューティと等しくなるようにオン/オフ制御を行って、その平均電流によって(算式1b)(算式2b)で示すディザ大電流I2i又はディザ小電流I1iが得られるようになっている。
I1i=Iaai−ΔIi/2・・・・(算式1b)
I2i=Iaai+ΔIi/2・・・・(算式2b)
但し、Iaaiは比例電磁コイル105iに対する目標平均電流、ΔIiは所定のディザ振幅電流である。
また、上昇期待時間Tupiは後述するとおり目標平均電流Iaaiの大きさによって変動し、短時間であればPWM周期τ0以下の時間となり、長時間であってもPWM周期τ0の3倍以下の時間となるように抑制制御されている。
同様に、ディザ大電流I2iからディザ大電流I1iに低下するまでの減少期待時間Tdniの過渡期間においても、PWM周期τ0によるデューティ制御は行われているが、減少完了するまでは、駆動開閉素子151iに対して開路指令が論理積されていて、駆動開閉素子151iは不導通状態となり、減少完了すると論理積開路指令が解除されて通電デューティγ1iによる断続制御が有効となるようになっている。
また、減少期待時間Tdniは後述するとおり目標平均電流Iaaiの大きさによって変動し、短時間であればPWM周期τ0以下の時間となり、長時間であってもPWM周期τ0の3倍以下の時間となるように抑制制御されている。
以上のとおり、ディザ振幅周期Td=B+Aは、上昇期待時間Tupiや減少期待時間Tdniが変動しても、常にPWM周期τ0の整数倍(例えば14倍)となっている。
比例電磁コイル105iの負荷抵抗をRi、インダクタンスをLi、誘導時定数をτi=Li/Riとし、ディザ電流大期間Bが開始した時刻t=0において急速駆動電圧Vmが印可された場合、初期電流であるディザ小電流I1iから、目標とするディザ大電流I2iに上昇するまでの上昇期待時間Tupは、(算式20)から算出される。
I2i=I1i×exp(−Tup/τi)
+(Vm/Ri)×(1−exp(−Tup/τi))・・・(算式20)
ここで、Tup/τi<<1であれば、指数関数exp(−Tup/τi)≒1−Tup/τiとなるので、(算式20)は(算式20a)によって近似される。
Tup/τi=ΔVi/(Vm−V1i)・・・・・・(算式20a)
但し、ΔVi=(V2i−V1i)、V2i=I2i×Ri、V1i=I1i×Riである。従って、ディザ小電圧V1iが最大値であって、V1i=V2m−ΔViであるときには、右辺の分母であるVm−Vi1=Vm−V2m+ΔVi=ΔVm+ΔViは最小値となり、(算式20a)によるTup/τiは、(算式20b)で示される最大値となる。
(Tup/τi)max=ΔVi/(ΔVm+ΔVi)
=1/(1+ΔVm/ΔVi)・・(算式20b)
ディザ電流小期間Aが開始した時刻t=0において、転流減衰電圧Vzdが発生した場合、初期電流であるディザ大電流I2iから、目標とするディザ小電流I1iに減少するまでの減少期待時間Tdnは、(算式10)から算出される。
I1i=I2i×exp(−Tdn/τi)
−(Vzd/Ri)×(1−exp(−Tdn/τi))・・・(算式10) ここで、Tdn/τi<<1であれば、指数関数exp(−Tdn/τi)≒1−Tdn/τiとなるので、(算式10)は(算式10a)によって近似される。
Tdn/τi=ΔVi/(Vzd+V2i)・・・・・・(算式10a)
但し、ΔVi=(V2i−V1i)、V2i=I2i×Ri、V1i=I1i×Riである。なお、ディザ大電圧V2iはディザ振幅電圧ΔVi=ΔIi×Ri以下になることはないので、(算式10a)によるTdn/τiの最大値は(算式10b)によって算出することができる。
(Tdn/τi)max=ΔVi/(Vzd+ΔVi)
=1/(1+Vzd/ΔVi)・・(算式10b)
従って、実際の上昇期待時間Tupの最大値と減少期待時間Tdnの最大値とを一致させるためには、(Tdn/τi)max=(Tup/τi)max/2としておく必要があり、そのためには(算式30)の関係にしておくのが望ましい。
Vzd=2×ΔVm+ΔVi・・・・・(算式30)
なお、(算式20)関係、及び(算式10)関係で用いられた誘導時定数τiは、インダクタンスLiと負荷抵抗Riの変動によって大幅に変化するが、その変動幅はディザ振幅周期Tdの30〜100%の範囲となっている。
図3(D)の電流波形を簡略表示した模式電流波形を示す特性線図である図4において、ディザ小電流I1iからディザ大電流I2iへの立上り時間を上昇期待時間Tupとし、ディザ大電流I2iからディザ小電流I1iへの立下り時間を減少期待時間Tdnとし、(算式40)を参照しながらディザ振幅周期Td期間におけるディザ電流波形の面積を算出すると、次のとおりである。
I2i=I0i+ΔIi/2、I1i=I0i−ΔIi/2
・・・・・・・(算式40)
但し、ディザ中間電流I0i=(I1i+I2i)/2、
ディザ振幅電流ΔIi=ΔI2i−ΔI1i、
立上り期間Tupの面積=Tup×(I1i+I2i)/2=Tup×I0i、
期間(B−Tup)の面積=(B−Tup)×I2i=(B−Tup)×(I0i+ΔIi/2)、
立下り期間Tdnの面積=Tdn×(I1i+I2i)/2=Tdn×I0i、
期間(A−Tdn)の面積=(A−Tdn)×I1i=(A−Tdn)×(I0i−ΔIi/2)、
期間Tdの全面積=Td×I0i+[(B−Tup)−(A−Tdn)]×ΔIi/2
である。
Ia=I0i+0.5×ΔIi[(B−Tup)
−(A−Tdn)]/Td・・・・(算式50)
なお、波形平均電流Iaは図1の電流検出回路158iと多チャンネルAD変換器124と移動平均化手段128iによって検出される検出平均電流Ifaiに相当するものとなる。
(算式50)において、もしも(B−Tup)=(A−Tdn)となるように、ディザ電流大期間B又はディザ電流小期間Aを調整すれば、波形平均電流Ia(=検出平均電流Ifai)とディザ中間電流I0iとは等しくなるので、検出平均電流Ifaiを中心としてディザ振幅電流ΔIi/2が増減付加されることになる。
目標平均電流Iaaiと検出平均電流Ifaiとは、相互に一致するように負帰還制御されているので、この場合には中間電流I0iは目標平均電流Iaaiと合致し、この目標平均電流Iaaiを中心電流として±ΔIi/2のディザ電流が付加されていることになる。
しかし、(B−Tup)>(A−Tdn)であれば、Ia>I0iとなり、(B−Tup)<(A−Tdn)であれば、Ia<I0iとなって、検出平均電流Ifaiとディザ中間電流I0iは一致しないことになる。
図5において、工程500はマイクロプロセッサCPUが図5と図6で示された制御動作を開始するステップであり、一連の制御フローが実行されて図5又は図6における動作終了工程510cに至ると、図示しない他の制御プログラムを実行してから、再度動作開始工程500に復帰して、一連の制御フローを繰返し実行するように構成されている。
工程500に続く工程510aは、電源投入直後であるか、又はA期間中期のタイムスロットであるかどうかを判定し、このA期間中期とはディザ電流小期間Aで減少期待時間Tdnが経過してからディザ電流大期間Bが開始する前の期間であり、該当時期であればYESの判定を行って工程501aへ移行し、後述の工程610(図6参照)で準備完了フラグが作動した後では、A期間中期でなければNOの判定を行って工程510bへ移行する第一タイムスロットの判定ステップである。
工程510bは、上昇期待時間Tup及び減少期待時間Tdnのそれぞれを含む増減過渡期においてYESの判定を行って、中継端子Aを経由して図6の工程610へ移行し、増減過渡期でなければNOの判定を行って動作終了工程510cへ移行する第二タイムスロットの判定ステップである。
工程501bは、電磁弁選択プログラムの中で選択指定されている、制御動作の対象となる比例電磁コイル105iの負荷番号i=1・2・・・nが順次読み出され、その読出し操作が完了していなければNOの判定を行って工程502へ移行し、読出完了しておればYESの判定を行って動作終了工程510cへ移行する判定ステップである。
工程502は、電磁弁選択プログラムの中で算出決定されている目標圧力Ptiを、各比例電磁コイル105iごとにRAMメモリ122上に読み出してから工程503aへ移行するステップである。
工程503bは、プログラムメモリ121に予め格納されている電流対圧力特性データと、工程501aで読み出されたディザ振幅圧力Pdに対応するディザ振幅電流ΔIiを各比例電磁コイル105iごとに算出してから工程504へ移行するステップである。
なお、ディザ振幅電流ΔIiは各比例電磁コイル105iの電流対圧力特性の非線形性を考慮して、目標平均電流Iaaiの大きさによって補正するのが望ましいが、以下の説明では目標平均電流Iaaiの大きさとは無関係に一定の値であると仮定して説明する。
工程504は、現在の環境温度Taと各比例電磁コイル105iの負荷抵抗Riを算出推定するステップであり、負荷抵抗Riは、環境温度検出手段によって検出された現状の環境温度Taに対して、比例電磁コイル105i自体の所定の最大温度上昇値Tmaxを加算して得られる最大現在温度Tam=Ta+Tmaxに対応した最大現在抵抗Rmi、又は比例電磁コイル105i自体の中間の温度上昇値Tmax/2を加算して得られる平均現在温度Taa=Ta+Tmax/2に対応した平均現在抵抗Rai、又は現在抵抗測定手段によって測定された個別の現在抵抗Riiのいずれかが算出されるようになっている。
また、現在抵抗測定手段は、比例電磁コイル105iの両端電圧を測定する電圧検出回路159iによって測定された平均印可電圧Vaiを、電流検出回路158iによって測定された電流検出信号Ifiを、平均化して得られる検出平均電流Ifaiによって除算して現在抵抗Riiを算出するようになっている。
但し、負荷駆動が開始されて平均印可電圧が測定できるまでの間は、所定の基準温度に置ける負荷抵抗、又は温度センサによって測定された環境温度に対応した平均抵抗が適用されるようになっている。
続く工程505aは、工程504で算出された環境温度Taにおける最大現在抵抗Rmiと、比例電磁コイル105iの最大電流Imiとを掛け合わせることによって、最大要求電圧V2mを算出し、共用可変定電圧電源200Aへ送信設定してから工程505bへ移行するステップである。
なお、各比例電磁コイル105iのコイル仕様が全て共通仕様で設計された同一製品である場合には、個別の最大電流Imiは同一の最大電流Imとなり、個別の最大現在抵抗Rmiは共通の最大現在抵抗Rmとなり、個別の平均現在抵抗Raiは共通の平均現在抵抗Raとなるが、現在抵抗Riiは個別の温度上昇値の相違によってそれぞれが異なる値となる。
また、最大要求電圧V2mは環境温度Taが高くなるに伴って増大し、最大環境温度における最大要求電圧V2mがその最大値となるものであるが、たとえ各比例電磁コイル105iのコイル仕様が共通仕様でない場合であっても、最大要求電圧V2mは共通の値であり、負荷電流の大きな比例電磁コイルの負荷抵抗は小さくなるように設計されている。
但し、実態としては上昇期待時間Tupiと減少期待時間Tdniとは過大とならないように余裕電圧ΔVmや転流減衰電圧Vzdを定められているとともに、上昇期待時間Tupiは目標平均電流Iaaiの増大に伴って大きくなり、減少期待時間Tdniは目標平均電流Iaaiの減少に伴って大きくなるので、簡略的には目標平均電流Iaaiの大中小に応じて3ランクのディザ電流大期間Biとディザ電流小期間Aiを選択設定すればよい。
なお、ディザ振幅周期TdはPWM周期τ0の整数倍の値であるから、実態としてはディザ電流大期間Biとディザ電流小期間Aiとの調整は、PWM周期τ0の一回分を一方に加算して他方から差し引くことであればよい。
なお、この検出現在値Ifd1は図3(D)で説明した上昇期待時間Tupや減少期待時間Tdnを判定するためのリアルな現在値であって、多チャンネルAD変換器124はこれに対応できる高速動作を行っている。
工程506bは、工程506aによる検出現在値Ifdiを移動平均化手段128iによって平均化して得られる検出平均電流Ifaiを読み出して工程507aへ移行するステップである。なお、この検出平均電流Ifaiは図3(D)で示されたディザ振幅周期Td間における波形平均電流(図では目標平均電流Iaai)に対応した平均電流である。
工程507aは、工程503aで設定された目標平均電流Iaaiと工程506bで読み出された検出平均電流Ifaiとの偏差値を時間積分し、積分誤差を算出して工程507bへ移行するステップである。
工程507bは、工程507aで算出された積分誤差に比例した補正値ΔIaiを決定して工程507cへ移行するステップであり、通電開始直後で検出平均電流Ifaiが確定するまでの過渡期間においては、補正値ΔIai=0となっている。
I1i=Iaai+ΔIai−ΔIi/2・・・・(算式1c)
I2i=Iaai+ΔIai+ΔIi/2・・・・(算式2c)
なお、工程507aと工程507bと工程507cとによって構成された工程ブロック508は負帰還制御手段となるものである。
工程509は、急速駆動電圧Vmの発生期間(以下Vm期間ということがある)における駆動開閉素子151iの通電デューティγmiと、その後のディザ電流大期間B(以下B−Vm期間ということがある)における通電デューティγ2iと、ディザ電流小期間Aにおける通電デューティγ1iを、前述した(算式1a)(算式2a)(算式3a)によって算出してから工程501bへ復帰移行するステップである。
以上のとおり、工程501a〜工程503bでは、制御対象となった各比例電磁コイル105iの全てについて基本データが読み出され、工程504〜工程505bでは読み出された基本データに基づいて負荷抵抗Riの算出、現在温度における最大要求電圧V2mの算出、ディザ電流大期間Biとディザ電流小期間Aiの調整が行われ、工程506a〜工程508においてディザ電流に対する負帰還補正が行われ、工程509では通電デューティの算出が行われ、ここで算出された通電デューティは後述の実行デューティ設定手段となる工程604m・604b・604aにおいて適用されるようになっている。
図6において、工程610は、図5における一連の工程501a〜509が実行されてから、第二タイムスロット510bを経由して実行され、ここで準備完了フラグが発生し、その後は一定のディザ振幅周期Tdによって定期的にディザ電流大期間Bと、これに続くがディザ電流小期間Aが発生するようになっている。
続く工程601bは、ディザ電流大期間Bが発生し、制御対象となっている全ての比例電磁コイル105iの上昇期待時間Tupが到達完了したかどうかを判定し、未完了であればYESの判定を行って工程602bへ移行し、全て完了であればNOの判定を行って工程601aへ移行する判定ステップである。
工程601aは、ディザ電流小期間Aが発生し、制御対象となっている全ての比例電磁コイル105iの減少期待時間Tdnが到達完了したかどうかを判定し、未完了であればYESの判定を行って工程603aへ移行し、全て完了であればNOの判定を行って動作終了工程510cへ移行する判定ステップである。
工程602bは工程501aで読み出された急速駆動電圧Vmの値を目標電圧Vtrgとして共用可変定電圧電源200Aに送信して工程603bへ移行するステップである。
工程604mは、駆動開閉素子151iの通電デューティを、工程509で算出されたγmiに設定し、転流回路素子153iの閉路指令を有効にしたままで工程605bへ移行するステップである。
工程605bは、工程506aで検出された負荷電流の検出現在値Ifdiと工程504で算出された現在の負荷抵抗Riとの積が、期待電圧V2i=I2i×Ri以上となったかどうかを判定し、ディザ小電流I1iからディザ大電流I2iへの上昇変化が完了していないときにはNOの判定を行って工程606bへ移行し、上昇完了するとYESの判定を行って工程608bへ移行する判定ステップである。
工程606bは、駆動開閉素子151iを100%通電とし、転流回路素子153iの閉路指令を有効(転流制御信号DNSiの論理レベルを「H」にする)にしたままで、工程605bへ復帰移行するステップである。
工程608bは、負荷番号iの更新が完了したかどうかを判定し、未完了であればNOの判定を行って工程603bへ復帰移行し、完了であればYESの判定を行って工程609へ移行する判定ステップである。
工程609は、工程505aで算出された最大要求電圧V2mの値を目標電圧Vtrgとして共用可変定電圧電源200Aに送信して工程604bへ移行するステップである。
工程604bは、駆動開閉素子151iの通電デューティを、工程509で算出されたγ2iに設定し、転流回路素子153iの閉路指令を有効にしたままで工程601aへ移行するステップである。
以上のとおり、一連の工程601b〜工程604bにおいて、制御対象となっている駆動開閉素子151iは、ディザ電流大期間Bの到来に伴って順次完全導通状態となり、目標とするディザ大電流I2iに到達すると順次通電デューティγmiが有効となっている。
やがて、ディザ電流小期間Aが到来すると、ディザ電流の減少未完の状態では工程601aを経由して工程603aへ移行する。
工程603aは、目標平均電流Iaaiが大きな比例電磁コイル105iから順次該当する比例電磁コイルiの番号を更新設定して工程605aへ移行する降順更新ステップとなっている。
工程605aは、工程506aで検出された負荷電流の検出現在値Ifdiと工程504で算出された現在の負荷抵抗Riとの積が、期待電圧V1i=I1i×Ri以下となったかどうかを判定し、ディザ大電流I2iからディザ小電流I1iへの下降変化が完了していないときにはNOの判定を行って工程606aへ移行し、下降完了するとYESの判定を行って工程604aへ移行する判定ステップである。
工程606aは、駆動開閉素子151iを不導通とし、転流回路素子153iの閉路指令を無効(転流制御信号DNSiの論理レベルを「L」にする)にして工程605aへ復帰移行するステップである。
工程604aは、駆動開閉素子151iの通電デューティを、工程509で算出されたγ1iに設定し、転流回路素子153iの閉路指令を有効にしてから工程608aへ移行するステップである。
なお、工程604aで適用された通電デューティγ1iは、前述の工程604mによる通電デューティγmiへの変更指令が発生するまでは継続して有効となっている。
工程608aは、負荷番号iの更新が完了したかどうかを判定し、未完了であればNOの判定を行って工程603aへ復帰移行し、完了であればYESの判定を行って動作終了工程510cへ移行する判定ステップである。
以上のとおり、一連の工程601a〜工程608aにおいて、制御対象となっている駆動開閉素子151iは、ディザ電流小期間Aの到来に伴って順次完全開路状態となり、目標とするディザ小電流I1iに下降すると順次通電デューティγ1iが有効となる。
工程509を省略して、通電デューティγmi・γ2i・γ1iの算出を、工程604m・604b・604aの中で行いながら同時に実行設定することも可能であるが、工程509において予め算出しておけば、負荷電流の増減過渡期における演算処理が簡略化され、高速処理を行うことができる。
以上の説明では、最大要求電圧V2m=Imi×Rmiは共通の環境温度の大小によって可変設定されるのに対し、急速駆動電圧Vmは固定値としたので、余裕電圧ΔVm=Vm−V2mは温度環境によって可変の値となっている。
また、実際の負荷電流が最大電流Imiよりも小さなディザ大電流I2iであって、環境温度も低い場合には、この特定負荷に対する現実の余裕電圧ΔVm=Vm−I2i×Riは更に増大して、速やかに電流上昇が行われることになる。
同様に、ディザ大電流I2iが最大電流Imiに近い大きな値であるときには、電流下降が過度に急峻となるのを抑制するために、工程606aにおける転流回路素子153iの完全開路を避けて、所定の通電率で断続制御することも可能である。
また、この実施の形態では、負荷抵抗Riを推定するために、温度センサ103aと電圧検出回路159iが併用されているが、これを温度センサ103aのみ、或いは電圧検出回路159iのみ、或いは図7で後述する抵抗検出回路160のみとすることも可能であり、電圧検出回路159iのみを使用する場合には、検出平均電圧Vfaiが得られるまでの始動期間においては、所定の基準温度における負荷抵抗の値を適用すればよい。
これは、他の実施の形態の場合も同様である。
以上の説明で明らかなとおり、この発明の実施の形態1によるディザ電流給電制御装置は、液体圧力を比例制御する複数個の比例電磁弁のそれぞれに設けられた複数個の比例電磁コイル105iの中の一部又は全部である制御対象負荷i(i=1・2・・・n、以下同様)に対して、個別に可変設定された目標平均電流Iaaiを中心として、所定のディザ(Dither)振幅電流ΔIiを、所定のディザ振幅周期Tdで付加する演算制御回路部120Aを備えたディザ電流給電制御装置100Aであって、
前記比例電磁コイル105iは、共用可変定電圧電源200Aから給電されて、その通電電流を個別に断続制御する駆動開閉素子151iと電流検出抵抗150iとが直列接続されるとともに、前記比例電磁コイル105iと前記電流検出抵抗150iとの直列回路に対して並列接続される転流回路素子153iを備え、
前記共用可変定電圧電源200Aは、この共用可変定電圧電源に入力される電源電圧Vbbが変動して最小電圧となっていて、しかも、高温環境で前記比例電磁コイル105iの負荷抵抗Riが最大負荷抵抗Rmmiとなっていても、ここに100%の通電電流である最大電流Imiを通電したいときに要求される、各前記比例電磁コイル105iに共通した最大要求電圧V2m以下の安定化電圧Vbaを発生し、
前記安定化電圧Vbaは、少なくとも第一又は第二の電圧抑制手段505a・609によってその発生電圧が可変調整されるようになっている。
前記第二の電圧抑制手段609は、負荷電流がディザ小電流I1iからディザ大電流I2iに増量変化する時点の所定期間において、前記比例電磁コイル105iのインダクタンス成分に打勝って所定値以上の電流上昇率を得るための余裕電圧ΔVmを加算した急速駆動電圧Vmを一次的に発生し、常時は前記最大要求電圧V2mに抑制制御し、
前記駆動開閉素子151iは、前記目標平均電流Iaaiに対して前記ディザ振幅電流ΔIiを増減付加した前記ディザ大電流I2iと、前記ディザ小電流I1iと、設定監視電圧Vxに対応し、(算式1)(算式2)による通電デューティγ2i、γ1iによって、前記比例電磁コイル105iを個別に断続制御し、
前記設定監視電圧Vxは、前記共用可変定電圧電源200A〜200Cに対する設定現在値Vstである前記急速駆動電圧Vm又は前記最大要求電圧V2mであるか、或いは得られた前記安定化電圧Vbaに対する監視現在値Vbdが適用されるようになっている。
γ1i=I1i×Ri/Vx、I1i=Iaai−ΔIi/2・・・・(算式1)
γ2i=I2i×Ri/Vx、I2i=Iaai+ΔIi/2・・・・(算式2)
前記演算制御回路部120Aは、目標電圧Vtrgとして、前記急速駆動電圧Vmと前記最大要求電圧V2mを順次前記目標電圧設定回路209に設定し、前記駆動開閉素子151iに対しては、前記目標平均電流Iaaiが小さいものから、順次前記ディザ大電流I2iに切換える駆動制御信号PWMiを発生するようになっている。
従って、共用可変定電圧電源の出力電圧は、入力電源電圧の最大値未満になることがないので、低電圧大電流仕様の比例電磁コイルに代わって、高電圧小電流仕様の比例電磁コイルを使用することによって、制御回路素子の消費電力を低減することができる特徴がある。
また、駆動開閉素子に対しては、目標平均電流が小さいものから、順次ディザ大電流に切換え移行するようになっており、その内、現在の目標平均電流が小さい比例電磁コイルの場合には、最大要求電圧であっても十分な余裕電圧があるので、急速駆動電圧の立上り応答性の問題が発生せず、ディザ小電流からディザ大電流に切換わりは順次行われることによって一斉に過負荷状態となって急速駆動電圧の立上り応答性が悪化するのを防止することができる特徴がある。
前記比例電磁コイル105iの負荷抵抗Riは、環境温度検出手段によって検出された現状の環境温度Taに対して、前記比例電磁コイル105i自体の所定の最大温度上昇値Tmaxを加算して得られる最大現在温度Tam=Ta+Tmaxに対応した最大現在抵抗Rmi、又は前記比例電磁コイル105i自体の中間の温度上昇値Tmax/2を加算して得られる平均現在温度Taa=Ta+Tmax/2に対応した平均現在抵抗Rai、又は現在抵抗測定手段によって測定された個別の現在抵抗Riiのいずれかが適用され、
前記環境温度検出手段は、前記比例電磁コイル105iの設置環境温度又は前記比例電磁弁によって制御される液体温度を測定する温度センサ103aであるか、又は前記比例電磁コイル105iの一つに接続された抵抗検出回路160によって、不作動中の比例電磁コイル105iの抵抗値を測定することによって環境温度が算出されるようになっている。
前記最大要求電圧V2mは、前記最大現在抵抗Rmiと、前記比例電磁コイル105iの最大電流Imiとの積によって算出され、
前記実行デューティ設定手段604b・604b・604mは、前記(算式1)(算式2)によって前記通電デューティγ2i・γ1iを算出するときの前記負荷抵抗Riとして、前記平均現在抵抗Raiを適用するか、又は個別の前記現在抵抗Riiを適用するとともに、
前記負帰還制御手段508は、前記目標平均電流Iaaiと実測された前記検出平均電流Ifaiとの偏差積分値に応動して、前記目標平均電流Iaaiに補正電流ΔIaiを代数加算することによって、前記負荷抵抗Riの推定誤差又は検出誤差、及び前記安定化電圧Vbaの設定制御誤差を補正するようになっている。
従って、負帰還制御手段は負荷抵抗の推定誤差又は検出誤差、及び前記安定化電圧Vbaの設定制御誤差を補正すればよいので、目標平均電流の変動に対する応答性が速く、しかも静止制御誤差を抑制して高精度な電流制御が行えるようになる特徴がある。
なお、環境温度を検出する温度センサはセンサ用の信号配線が必要となるのに対し、特定の比例電磁コイルの抵抗値を測定して環境温度を推定する抵抗検出回路によるものは追加の信号配線が不要となる特徴がある。
また、各比例電磁コイルに対する平均印可電圧と検出平均電流の値から負荷抵抗を算出するものは、追加の信号配線が不要であるとともに、温度変動に追従した現在抵抗を個別に測定することができる特徴がある。
但し、負荷駆動が開始されて平均印可電圧が測定できるまでの間は、所定の基準温度に置ける負荷抵抗、又は温度センサによって測定された環境温度に対応した平均現在抵抗が適用されるようになっている。
これは、実施の形態2及び3についても同様である。
前記増減期間判定処理手段607a・607bは、前記ディザ振幅周期Td(=A+B)を構成するディザ電流小期間Aに続いて、ディザ電流大期間Bが到来した直後の第二期間と、ディザ電流大期間Bに続いて、ディザ電流小期間Aが到来した直後の第一期間において作用し、
前記第二期間においては、前記駆動開閉素子151iに対する通電デューティを前記算式(2)による通電デューティγ2iを超過し、100%通電以下となる所定の増大デューティとして、前記電流検出回路158iによって検出された負荷電流の検出現在値Ifdiが前記ディザ大電流I2iに増大するまでは前記増大デューティを維持して、前記ディザ振幅電流ΔIiの増加速度を促進し、
前記第一期間においては、前記駆動開閉素子151iに対する通電デューティを前記算式(1)による通電デューティγ1i未満で、0%通電以上となる所定の減少デューティとして、負荷電流の前記検出現在値Ifdiが前記ディザ大電流I1iに減少するまでは前記減少デューティを維持して、前記ディザ振幅電流ΔIiの減少速度を促進するようになっている。
従って、増減移行完了後は直ちに通電デューティが制御されて、所定のディザ大電流又はディザ小電流となるように制御される特徴がある。
これは、実施の形態2及び3についても同様である。
前記転流回路素子153iは、前記負荷電流がディザ大電流I2iからディザ小電流I1iに減少変化する時点の第一期間において、前記比例電磁コイル105iの転流回路に転流減衰電圧Vzdを発生し、この転流減衰電圧Vzdは、前記目標平均電流Iaaiが最大であるときの前記余裕電圧ΔVm以上の電圧となっているか、少なくとも前記転流減衰電圧Vzdの発生期間である減少期待時間Tdnは、前記余裕電圧ΔVmの発生時間以下となっている。
なお、比例電磁コイルのインダクタンスと負荷抵抗Riとの比率を時定数τiとし、ディザ振幅電流ΔIiと負荷抵抗Riとの積をディザ振幅電圧ΔVi=Ri×ΔIiとし、負荷電流がディザ小電流I1iからディザ大電流I2iに増量変化するまでの上昇期待時間をTupとすると、(算式20b)の関係が成立し、
(Tup/τi)max=ΔVi/(ΔVm+ΔVi)
=1/(1+ΔVm/ΔVi)・・(算式20b)
若しも、急速駆動電圧Vmを一定値とした場合には、目標平均電流Iaaiが最大であるときに余裕電圧ΔVm=Vm−V2mは最小となり、目標平均電流Iaaiが小さくなると、V2i=I2i×Ri<V2mとなって、余裕電圧ΔVm=Vm−V2iが増加し、上昇期待時間Tupが短縮される。
一方、転流減衰電圧Vzdで負荷電流がディザ大電流I2iからディザ小電流I1iに減少変化するまでの減少期待時間をTdnとすると、目標平均電流Iaaiが小さいときには(算式10b)の関係が成立し、
(Tdn/τi)max=ΔVi/(Vzd+ΔVi)
=1/(1+Vzd/ΔVi)・・(算式10b)
実際には、転流減衰電圧VzdにはI2i×Riが加算されるので、平均負荷電流Iaaiが大きくなるほど減少期待時間Tdnは短縮されるものであって、(算式10b)では最大の減少期待時間Tdnが算出されている。
従って、最悪条件における上昇期待時間Tupと、最悪条件における減少期待時間Tdnを相互に一致させ、所定の制限時間以内に負荷電流の増減が完了するようになっているので、負荷電流の波形平均値と目標平均電流との間の誤差が抑制され、波形歪の少ない電流波形によって正確な電流制御が行える特徴がある。
これは、実施の形態2についても同様である。
前記転流回路素子153iは、転流ダイオード154iと直列接続されて、前記比例電磁コイル105iと前記電流検出抵抗150iとの直列回路に対して並列接続されていて、前記第一期間を除く全期間において転流制御信号DNSiによって閉路駆動されており、
前記第一期間においては、前記転流制御信号DNSiによる閉路駆動は停止されているが、前記比例電磁コイル105iが発生する誘導電圧によって半閉路状態となり、このときの前記転流回路素子153iの閉路電圧は、定電圧ダイオード155iによって定まる所定電圧に維持されて、前記転流ダイオード154iと協働して前記転流減衰電圧Vzdを得るようになっている。
従って、常時は電圧降下の小さい転流ダイオードを介して転流しているので、断続制御されている負荷電流の脈動が抑制されるとともに、消費電力が低減される特徴がある。
なお、昇圧形式の共用可変定電圧電源が使用されて、比例電磁コイルが高電圧小電流仕様のものとなると、低電圧大電流仕様のものに比べて転流ダイオードの消費電力は減少するが、急速減衰させたいときには電圧降下が不足し、これを直列接続された転流開閉素子によって補って急速減衰を達成するようになっている。
また、目標平均電流を最大設定したときのディザ電流上昇特性と、目標平均電流を最小設定したときのディザ電流減衰特性とを略一致させることにより、目標平均電流と実際の平均電流との差異を抑制することができる特徴がある。
これは、実施の形態2についても同様である。
前記目標平均電流Iaaiの値が、前記最大電流Imiに対する中間帯域であるときには、前記ディザ電流大期間Biと前記ディザ電流小期間Aiは同じ時間幅であるのに対し、
前記目標平均電流Iaaiの値が、前記最大電流Imiに対する中間帯域より大きな電流である大電流帯域であるときには、前記ディザ電流大期間Biの時間幅を広げて、前記ディザ振幅周期Tdは同じとなるように前記ディザ電流小期間Aiは短縮し、
前記目標平均電流Iaaiの値が、前記最大電流Imiに対する中間帯域より小さな電流である小電流帯域であるときには、前記ディザ電流小期間Aiの時間幅を広げて、前記ディザ振幅周期Tdは同じとなるように前記ディザ電流大期間Biの時間幅を短縮するようになっている。
従って、目標平均電流の大きさによって変動する上昇期待時間と減少期待時間の影響を排除して、ディザ大電流とディザ小電流との中間電流が、目標平均電流に接近するように補正して、期待するディザ振幅電流を得ることができる特徴がある。
また、この補正制御に伴って、ディザ振幅周期は一定値となっているので、各比例電磁コイルに対して、同じ時間帯に余裕電圧を発生するように一斉制御することができる特徴がある。
これは、実施の形態2及び3についても同様である。
(1)構成の詳細な説明
以下、この発明の実施の形態2に係るディザ電流給電制御装置の全体回路ブロック図である図7について、図1の構成との相違点を中心にしてその構成を詳細に説明する。
なお、各図において共通符号は同一又は相当部分を示し、符号末尾の大文字のアルファベット文字によって実施の形態の相違を示している。
まず、図1と図7の主な相違点として、共用可変定電圧電源200Bは図8で示された選択出力形式のものに変更されているとともに、電圧検出回路159iに代わるものとして抵抗検出回路160が使用されている。
図7において、ディザ電流給電制御装置100Bには、図1の構成と同様に、電源リレーの出力接点102を介して、車載バッテリである外部電源101から電源電圧Vbbが印可され、例えば自動車用変速機内の複数の複数の油圧電磁弁に設けられた比例電磁コイル105iと、入力センサ群103と、電気負荷群104とが接続されている。
演算制御回路部120Bは、図1の構成と同様に、不揮発性のプログラムメモリ121と演算処理用のRAMメモリ122と、PWM信号発生手段123iと、多チャンネルAD変換器124と、移動平均化手段128iとによって構成され、プログラムメモリ121には給電制御手段125Bとなる制御プログラムが格納されている。
入力インタフェース回路130は、図1の構成と同様に、入力センサ群103から得られるアナログ又はオンオフ動作の入力信号を演算制御回路部120Bの入力ポートに接続する。
出力インタフェース回路140は、図1の構成と同様に、電気負荷群104と演算制御回路部120Bの出力ポートとの間に接続されている。
駆動開閉素子151i、駆動ゲート回路152i、転流回路素子153i、転流ダイオード154i、定電圧ダイオード155i、転流ゲート回路156i、電流検出抵抗150i、及び、電流検出回路158iも、図1と同様に構成されている。
但し、抵抗値Rsは負荷抵抗Riよりは十分に大きく、印可電圧Vs≒Vcc×Ri/Rsとなっているとともに、測定抵抗162を介して比例電磁コイル105iに流入する電流Vcc/Rsは微小であって、これによって油圧電磁弁が作動することはないようになっている。
このようにして負荷抵抗Riが測定されると、プログラムメモリ121に格納されている比例電磁コイル105iの温度対抵抗特性を参照して、比例電磁コイル105iの現在の環境温度を知ることができるので、温度センサ103aは省略することができるものである。
次に、図7の制御装置の共用可変定電圧電源200Bの詳細回路ブロック図である図8についてその構成を詳細に説明する。
図8において、共用可変定電圧電源200Bは、断続動作する一対の昇圧回路素子202a・202bを介して電源電圧Vbbが印可される一対の誘導素子201a・201bと、昇圧回路素子202a・202bが開路したときに、誘導素子201a・201bに蓄積されていた電磁エネルギーが一対の逆流防止素子205a・205bを介して放出される一対の昇圧コンデンサ206a・206bと、この昇圧コンデンサの両端電圧が、一対の目標電圧設定回路209a・209bで可変設定された所定電圧となったときに昇圧回路素子202a・202bの断続動作を停止する負帰還回路208a・208bと、一対の昇圧コンデンサ206a・206bの出力電圧を選択切換えして一つの安定化電圧Vbaを発生する一対の選択回路素子811a・811bと、この選択回路素子に電圧切換信号SEL1・SEL2を与える選択指令回路810a・810bとを備え、安定化電圧Vbaは、変動する前記電源電圧Vbbの最大値以上の電圧となっている。
なお、一対の昇圧回路素子202a・202bのそれぞれには電流検出抵抗203a・203bが直列接続されていて、この昇圧回路素子202a・202bが閉路して誘導素子201a・201bに対する励磁電流が所定値以上に上昇すると、一対の駆動回路204a・204bを介して昇圧回路素子202a・202bが所定時間だけ開路し、この開路期間に昇圧コンデンサ206a・206bへの充電が行われるようになっている。
また、選択回路素子811bには逆流防止素子811cとなるダイオードが直列接続されていて、選択回路素子811aが閉路駆動されたときに、急速駆動電圧Vmによって昇圧コンデンサ206bが充電されることがないようになっている。
演算制御回路部120Bは、目標電圧Vtrgとして、急速駆動電圧Vmを目標電圧設定回路209aに設定し、最大要求電圧V2mを目標電圧設定回路209bに設定するとともに、一対の電圧切換信号SEL1・SEL2を発生して、一対の選択回路素子811a・811bのどちらか一方を順次閉路し、駆動開閉素子151iに対しては、急速駆動電圧Vmが選択されたことに伴って、順次ディザ大電流I2iに切換える駆動制御信号PWMiを発生する。
そして、この可変の安定化電圧Vbaは監視分圧抵抗212を介して多チャンネルAD変換器124に入力され、監視現在値VbdとしてマイクロプロセッサCPUに入力されるようになっている。
以下、図7・図8のとおり構成されたこの発明の実施の形態2に係るディザ電流給電制御装置において、図3のタイムチャートと、図6のフローチャートに基づいて、図1・図2の構成との相違点を中心にしてその作用と動作を詳細に説明する。
まず、図7・図8において、図示しない電源スイッチが閉路されると、電源リレーの出力接点102が閉路して、ディザ電流給電制御装置100Bに電源電圧Vbbが印加される。
その結果、定電圧電源110が例えばDC5Vの安定化電圧である制御電圧Vccを発生して、演算制御回路部120Bを構成するマイクロプロセッサCPUが制御動作を開始するとともに、共用可変定電圧電源200Bは急速駆動電圧Vmと最大要求電圧V2mを交互に発生する。
マイクロプロセッサCPUは、入力インタフェース回路130から入力される入力センサ群103の動作状態と、不揮発性のプログラムメモリ121に格納された制御プログラムの内容とに応動して、出力インタフェース回路140に接続された電気負荷群104に対する負荷駆動指令信号を発生し、電気負荷群の中の特定の電気負荷である複数の比例電磁コイル105iに対しては、駆動開閉素子151iを介してオン/オフ制御を行って、その通電電流を制御するようになっている。
但し、共用可変定電圧電源200Bは急速駆動電圧Vmと最大要求電圧V2mを予め個別に発生していて、その内の一方が電圧切換信号SELj(SEL1・SEL2)によって切換え使用されるようになっている。
従って、図3(A)で示された急速駆動電圧Vmから最大要求電圧V2mへの切換えや、最大要求電圧V2mから急速駆動電圧Vmへの切換えには応答遅れが発生しないようになっている。
また、図7・図8の制御装置による動作説明用のフローチャートは、図1・図2の制御装置に対する図5・図6と同じである。
但し、図6の工程602bでは電圧切換信号SEL1を有効にして急速駆動電圧Vmを選択し、工程609では電圧切換信号SEL2を有効にして最大要求電圧V2mを選択すればよい。
また、図5の工程509における通電デューティγmiは、工程604mにおいて(算式3aa)によって算出・設定してもよい。
γmi=I2i×Ri/Vx、(Vx=Vbd・・Vm)・・・(算式3aa)
なお、通電デューティγmiを算出するのに、急速駆動電圧Vmの監視現在値Vbdを用いることは他の実施の形態でも可能であるが、急速駆動電圧Vmの発生期間は、ディザ振幅周期Tdの中の20%程度以下の短時間となるので、取扱いの容易な設定現在値Vstを用いても発生する制御誤差は極めて微小なものとなるものである。
以上の説明で明らかなとおり、この発明の実施の形態2によるディザ電流給電制御装置は、液体圧力を比例制御する複数個の比例電磁弁のそれぞれに設けられた複数個の比例電磁コイル105iの中の一部又は全部である制御対象負荷i(i=1・2・・・n、以下同様)に対して、個別に可変設定された目標平均電流Iaaiを中心として、所定のディザ(Dither)振幅電流ΔIiを、所定のディザ振幅周期Tdで付加する演算制御回路部120Bを備えたディザ電流給電制御装置100Bであって、
前記比例電磁コイル105iは、共用可変定電圧電源200Bから給電されて、その通電電流を個別に断続制御する駆動開閉素子151iと電流検出抵抗150iとが直列接続されるとともに、前記比例電磁コイル105iと前記電流検出抵抗150iとの直列回路に対して並列接続される転流回路素子153iを備え、
前記共用可変定電圧電源200Bは、この共用可変定電圧電源に入力される電源電圧Vbbが変動して最小電圧となっていて、しかも、高温環境で前記比例電磁コイル105iの負荷抵抗Riが最大負荷抵抗Rmmiとなっていても、ここに100%の通電電流である最大電流Imiを通電したいときに要求される、各前記比例電磁コイル105iに共通した最大要求電圧V2m以下の安定化電圧Vbaを発生し、
前記安定化電圧Vbaは、少なくとも第一又は第二の電圧抑制手段505a・609によってその発生電圧が可変調整されるようになっている。
前記第二の電圧抑制手段609は、負荷電流がディザ小電流I1iからディザ大電流I2iに増量変化する時点の所定期間において、前記比例電磁コイル105iのインダクタンス成分に打勝って所定値以上の電流上昇率を得るための余裕電圧ΔVmを加算した急速駆動電圧Vmを一次的に発生し、常時は前記最大要求電圧V2mに抑制制御し、
前記駆動開閉素子151iは、前記目標平均電流Iaaiに対して前記ディザ振幅電流ΔIiを増減付加した前記ディザ大電流I2iと、前記ディザ小電流I1iと、設定監視電圧Vxに対応し、(算式1)(算式2)による通電デューティγ2i、γ1iによって、前記比例電磁コイル105iを個別に断続制御し、
前記設定監視電圧Vxは、前記共用可変定電圧電源200A〜200Cに対する設定現在値Vstである前記急速駆動電圧Vm又は前記最大要求電圧V2mであるか、或いは得られた前記安定化電圧Vbaに対する監視現在値Vbdが適用されるようになっている。
γ1i=I1i×Ri/Vx、I1i=Iaai−ΔIi/2・・・・(算式1)
γ2i=I2i×Ri/Vx、I2i=Iaai+ΔIi/2・・・・(算式2)
前記演算制御回路部120Bは、目標電圧Vtrgとして、前記急速駆動電圧Vmを一方の前記目標電圧設定回路209aに設定し、前記最大要求電圧V2mを他方の前記目標電圧設定回路209bに設定するとともに、一対の電圧切換信号SEL1・SEL2を発生して、前記一対の選択回路素子811a・811bのどちらか一方を順次閉路し、前記駆動開閉素子151iに対しては、前記急速駆動電圧Vmが選択されたことに伴って、順次前記ディザ大電流I2iに切換える駆動制御信号PWMiを発生するようになっている。
従って、共用可変定電圧電源の出力電圧は、入力電源電圧の最大値未満になることがないので、低電圧大電流仕様の比例電磁コイルに代わって、高電圧小電流仕様の比例電磁コイルを使用することによって、制御回路素子の消費電力を低減することができる特徴がある。
また、急速駆動電圧を生成する側の昇圧回路は、ディザ電流の上昇過渡期における短期間に使用されるものであるため、最大要求電圧を生成する側の昇圧回路に比べて平均消費電力が小さくなって、小型小容量の回路素子が適用できるとともに、急速駆動電圧が選択される前に予め昇圧動作を完了しておくことができるので立上り応答性の問題が発生せず、駆動開閉素子に対しては、順次ディザ大電流に切換え移行するようになっており、急速駆動電圧生成回路の過負荷状態を回避することができる特徴がある。
(1)構成の詳細な説明
以下、この発明の実施の形態3に係るディザ電流給電制御装置の全体回路ブロック図である図9について、図1の構成との相違点を中心にしてその構成を詳細に説明する。
なお、各図において共通符号は同一又は相当部分を示し、符号末尾の大文字のアルファベット文字によって実施の形態の相違を示している。
まず、図1と図9の主な相違点として、共用可変定電圧電源200Cは図10で示された降圧出力形式のものに変更されているとともに、転流回路素子153iの回路構成が変更されている。
図9において、ディザ電流給電制御装置100Cには、図1の構成と同様に電源リレーの出力接点102を介して、車載バッテリである外部電源101から電源電圧Vbbが印可され、例えば自動車用変速機内の複数の複数の油圧電磁弁に設けられた比例電磁コイル105iと入力センサ群103、電気負荷群104と接続されている。
演算制御回路部120Cは、図1の構成と同様に不揮発性のプログラムメモリ121と演算処理用のRAMメモリ122と、PWM信号発生手段123iと、多チャンネルAD変換器124と、移動平均化手段128iによって構成され、プログラムメモリ121には給電制御手段125Cとなる制御プログラムが格納されている。
入力インタフェース回路130は、図1の構成と同様に入力センサ群103から得られるアナログ又はオンオフ動作の入力信号を演算制御回路部120Cの入力ポートに接続する。
出力インタフェース回路140は、図1の構成と同様に電気負荷群104と演算制御回路部120Cの出力ポートとの間に接続されている。
駆動開閉素子151iと駆動ゲート回路152i、電流検出回路158iと電流検出抵抗150i、電圧検出回路159iも図1の場合と同様に構成されている。
また、転流回路素子153iのソース端子とゲート端子間に接続されている遮断トランジスタ54も、ベース抵抗56と遮断ダイオード55を介して通電駆動されていて、駆動開閉素子151iが閉路しているときには転流回路素子153iは閉路できないように構成されている。
従って、比例電磁コイル105iに流れていた励磁電流は、電流検出抵抗150iと転流回路素子153iを通じて転流し、励磁電流はなだらかに減衰することになる。しかし、転流制御信号DNSiの論理レベルを「L」にして、駆動トランジスタ53を開路した状態で、駆動開閉素子151iを開路すると、コンデンサ52に充電されていた電荷が転流回路素子153iのソース端子とゲート端子間に印可されず、転流回路素子153iは開路状態を維持することになる。
従って、比例電磁コイル105iに流れていた励磁電流は、電流検出抵抗150iと転流回路素子153iの内部寄生ダイオードを通じて転流し、励磁電流は内部寄生ダイオードの電圧降下Vd(約1.0V)の影響を受けて速やかに減衰することになる。
なお、遮断トランジスタ54のエミッタ端子とベース端子との間に接続されている安定抵抗57は、駆動開閉素子151iが開路し、駆動トランジスタ53が閉路しているときに、遮断トランジスタ54が暗電流によって閉路状態になるのを抑制して、転流回路素子153iのソース端子とゲート端子との間にコンデンサ52の充電電圧を確実に印可できるようにするためのものである。
また、電源電圧Vbbを分圧して得られる電源監視電圧Vmntとして多チャンネルAD変換器124に入力されている。
次に、図9の制御装置の共用可変定電圧電源200Cの詳細回路ブロック図である図10についてその構成を詳細に説明する。
図10において、共用可変定電圧電源200Cは、断続動作する電源回路素子201cとリアクトル202cとの直列回路を介して、電源電圧Vbbを電源コンデンサ204cと駆動開閉素子151iに印可して前記安定化電圧Vbaを供給するように構成されている。
演算制御回路部120Cは、PWM信号PWMjとして、電源電圧Vbbの測定現在電圧Vbbと急速駆動電圧Vmとの比率である通電デューティγj=Vm/Vbbであるか、又は最大要求電圧V2mとの比率である通電デューティγj=V2m/Vbbを交互に発生し、安定化電圧Vbaは、変動する前記電源電圧Vbbの最小値以下の電圧に設定されている。
なお、駆動開閉素子151iに対しては、急速駆動電圧Vmが選択されたことに伴って、順次ディザ大電流I2iに切換える駆動制御信号PWMiを発生するようになっている。
また、電源分圧抵抗206cは、電源電圧Vbbを分圧し電源監視電圧Vmntとして多チャンネルAD変換器124に入力し、監視分圧抵抗212は、安定化電圧Vbaを分圧し監視現在値Vbdとして多チャンネルAD変換器124に入力するようになっている。
以下、図9・図10のとおり構成されたこの発明の実施の形態3に係るディザ電流給電制御装置において、図11のタイムチャートと、図6のフローチャートに基づいて、図1・図2の構成との相違点を中心にしてその作用と動作を詳細に説明する。
まず、図9・図10において、図示しない電源スイッチが閉路されると、電源リレーの出力接点102が閉路して、ディザ電流給電制御装置100Cに電源電圧Vbbが印加される。
その結果、定電圧電源110が例えばDC5Vの安定化電圧である制御電圧Vccを発生して、演算制御回路部120Cを構成するマイクロプロセッサCPUが制御動作を開始するとともに、共用可変定電圧電源200Cは急速駆動電圧Vmと最大要求電圧V2mを交互に発生する。マイクロプロセッサCPUは、入力インタフェース回路130から入力される入力センサ群103の動作状態と、不揮発性のプログラムメモリ121に格納された制御プログラムの内容に応動して、出力インタフェース回路140に接続された電気負荷群104に対する負荷駆動指令信号を発生し、電気負荷群の中の特定の電気負荷である複数の比例電磁コイル105iに対しては、駆動開閉素子151iを介してオン/オフ制御を行って、その通電電流を制御するようになっている。
図11(A)は、横軸を時間軸とし縦軸に共用可変定電圧電源200Cが発生する安定化電圧Vbaの値を示したものであり、ディザ電流大期間Bとディザ電流小期間Aに分割されたディザ振幅周期Td(=B+A)を周期として、定期的に短時間の急速駆動電圧Vm(例えばDC7V)を発生し、それ以外の時刻では最大要求電圧V2mを発生し、この最大要求電圧V2mは各比例電磁コイル105iに共通の環境温度−40℃から+120℃と自身の最大温度上昇(例えば40℃)に対応して、例えばDC4.2〜6.0Vの可変一定電圧となっていて、この最大要求電圧V2mの値は電源電圧Vbbが変動しても変化しないように安定化されている。
急速駆動電圧Vmから最大要求電圧V2mを減じた余裕電圧ΔVm=Vm−V2mは、負荷電流をディザ小電流I1iからディザ大電流I2iに急増させたいときに必要となるものであり、実際の余裕電圧ΔVmは比例電磁コイル105iの環境温度や目標平均電流Iaaiの大きさによって変化することになるが、最大温度で最大の目標平均電流Iaaiある場合でも最低限度の例えばDC1Vが確保されるようになっている。
また、この急速駆動電圧Vmの発生期間は、図11(D)で後述する上昇期待時間Tupの最大値よりも長い時間となっている。
ディザ電流大期間Bが開始すると、図11(D)で後述する上昇期待時間Tupが経過するまでは、駆動開閉素子151iが100%通電することによって比例電磁コイル105iには急速駆動電圧Vmが印可されている。
しかし、全ての比例電磁コイル105iがそれぞれの上昇期待時間Tupiを経過して、急速駆動電圧Vmの発生が停止した段階では、駆動開閉素子151iの通電デューティγ2iが(算式2a)で示された値で制御され、その結果として比例電磁コイル105iにはディザ大電圧V2i=I2i×Riが印可される。
γ2i=I2i×Ri/Vx、(Vx=Vbd・・V2m)・・・(算式2aa)
なお、(算式2aa)において、この実施の形態における設定監視電圧Vxは、共用可変定電圧電源200Aの最大要求電圧V2mに対応した監視現在値Vbdが適用されている。
また、急速駆動電圧Vmの発生期間であって、速やかにディザ大電流I2iに到達したものの通電デューティγmiは前述した(算式3a)によって算出されている。
やがて、ディザ電流小期間Aが開始すると、図11(D)で後述する減少期待時間Tdniが経過するまでは、駆動開閉素子151iが不導通となることによって比例電磁コイル105iに対する印可電圧はゼロとなり、これを過ぎると駆動開閉素子151iの通電デューティγ1iが(算式1a)で示された値で制御され、その結果として比例電磁コイル105iにはディザ小電圧V1i=I1i×Riが印可される。
γ1i=I1i×Ri/Vx、(Vx=Vbd・・V2m)・・・(算式1aa)
なお、(算式1aa)において、この実施の形態における設定監視電圧Vxは、共用可変定電圧電源200Aの最大要求電圧V2mに対応した監視現在値Vbdが適用されている。
図11(D)は、横軸を時間軸とし縦軸に比例電磁コイル105iに流れる負荷電流(励磁電流ということもある)の波形を示したものである。
この実施の形態においては、ディザ電流大期間Bとディザ電流小期間Aは等しい時間幅であって、それぞれは、駆動開閉素子151iのPWM周期τ0の7倍の時間幅に設定されている。
図11(D)は、横軸を時間軸とし縦軸に比例電磁コイル105iに流れる負荷電流(励磁電流ということもある)の波形を示したものであり、図示された上昇期待時間Tupは、個別の上昇期待時間Tupiの中の最大値を意味し、減少期待時間Tdnも、個別の減少期待時間Tdniの中の最大値を示している。
この実施の形態においては、ディザ電流大期間Bとディザ電流小期間Aは等しい時間幅であって、それぞれは、駆動開閉素子151iのPWM周期τ0の7倍の時間幅に設定されている。
但し、図5の工程509における通電デューティγ2i・γ1iを算出するときの設定監視電圧Vxは、実施の形態1・2においては設定現在値Vstであるとし、実施の形態3では監視現在値Vbdであるとしたが、これを逆にして、実施の形態1・2においては監視現在値Vbdであるとし、実施の形態3では設定現在値Vstとすることもできる。
また、実施の形態1・2における共用可変定電圧電源200A・200Bは、昇圧形式であるため、図1・図7で示された転流回路素子153iは、(算式30)で示したような比較的大きな転流減衰電圧Vzdが得やすい回路構成となっている。
しかし、実施の形態3における共用可変定電圧電源200Cは、降圧形式であって、図9で示された転流回路素子153iは、内部寄生ダイオードの電圧降下Vd以上の転流減衰電圧Vzdが得られない回路構成となっている。
このため、図5の工程505bにおいて説明したとおり、ディザ電流大期間Bよりも、ディザ電流小期間Aの時間幅を広げておく対策は、より有意義なものとなっている。
以上の説明で明らかなとおり、この発明の実施の形態3によるディザ電流給電制御装置は、液体圧力を比例制御する複数個の比例電磁弁のそれぞれに設けられた複数個の比例電磁コイル105iの中の一部又は全部である制御対象負荷i(i=1・2・・・n、以下同様)に対して、個別に可変設定された目標平均電流Iaaiを中心として、所定のディザ(Dither)振幅電流ΔIiを、所定のディザ振幅周期Tdで付加する演算制御回路部120Cを備えたディザ電流給電制御装置100Cであって、
前記比例電磁コイル105iは、共用可変定電圧電源200Cから給電されて、その通電電流を個別に断続制御する駆動開閉素子151iと電流検出抵抗150iとが直列接続されるとともに、前記比例電磁コイル105iと前記電流検出抵抗150iとの直列回路に対して並列接続される転流回路素子153iを備え、
前記共用可変定電圧電源200Cは、この共用可変定電圧電源に入力される電源電圧Vbbが変動して最小電圧となっていて、しかも、高温環境で前記比例電磁コイル105iの負荷抵抗Riが最大負荷抵抗Rmmiとなっていても、ここに100%の通電電流である最大電流Imiを通電したいときに要求される、各前記比例電磁コイル105iに共通した最大要求電圧V2m以下の安定化電圧Vbaを発生し、
前記安定化電圧Vbaは、少なくとも第一又は第二の電圧抑制手段505a・609によってその発生電圧が可変調整されるようになっている。
前記第二の電圧抑制手段609は、負荷電流がディザ小電流I1iからディザ大電流I2iに増量変化する時点の所定期間において、前記比例電磁コイル105iのインダクタンス成分に打勝って所定値以上の電流上昇率を得るための余裕電圧ΔVmを加算した急速駆動電圧Vmを一次的に発生し、常時は前記最大要求電圧V2mに抑制制御し、
前記駆動開閉素子151iは、前記目標平均電流Iaaiに対して前記ディザ振幅電流ΔIiを増減付加した前記ディザ大電流I2iと、前記ディザ小電流I1iと、設定監視電圧Vxに対応し、(算式1)(算式2)による通電デューティγ2i、γ1iによって、前記比例電磁コイル105iを個別に断続制御し、
前記設定監視電圧Vxは、前記共用可変定電圧電源200A〜200Cに対する設定現在値Vstである前記急速駆動電圧Vm又は前記最大要求電圧V2mであるか、或いは得られた前記安定化電圧Vbaに対する監視現在値Vbdが適用されるようになっている。
γ1i=I1i×Ri/Vx、I1i=Iaai−ΔIi/2・・・・(算式1)
γ2i=I2i×Ri/Vx、I2i=Iaai+ΔIi/2・・・・(算式2)
前記電源回路素子201cは、前記演算制御回路部120Cが発生するPWM信号PWMjに応動する電源駆動回路203cを介して、可変の通電デューティγjによって断続駆動されるとともに、前記リアクトル202cの上流位置には還流ダイオード205cが接続されており、
前記演算制御回路部120Cは、前記PWM信号PWMjとして、前記電源電圧Vbbの測定現在電圧Vbbと前記急速駆動電圧Vmとの比率である通電デューティγj=Vm/Vbbと、前記最大要求電圧V2mとの比率である通電デューティγj=V2m/Vbbを交互に発生し、前記安定化電圧Vbaは、変動する前記電源電圧Vbbの最小値以下の電圧に設定されており、
前記駆動開閉素子151iに対しては、前記急速駆動電圧Vmが選択されたことに伴って、順次前記ディザ大電流I2iに切換える駆動制御信号PWMiを発生するようになっている。
従って、共用可変定電圧電源は昇圧制御回路と負帰還制御回路が不要となって簡素化され、最大要求電圧から急速駆動電圧への電圧切換えを速やかに行うことができる特徴がある。
また、駆動開閉素子に対しては、順次ディザ大電流に切換え移行するようになっており、急速駆動電圧生成回路の過負荷状態を回避することができる特徴がある。
前記転流回路素子153iは、前記負荷電流がディザ大電流I2iからディザ小電流I1iに減少変化する時点の第一期間において、前記比例電磁コイル105iの転流回路に転流減衰電圧Vzdを発生し、この転流減衰電圧Vzdは、前記目標平均電流Iaaiが最大であるときの前記余裕電圧ΔVm以上の電圧となっているか、少なくとも前記転流減衰電圧Vzdの発生期間である減少期待時間Tdnは、前記余裕電圧ΔVmの発生時間以下となっている。
従って、最悪条件における上昇期待時間Tupと、最悪条件における減少期待時間Tdnを相互に一致させ、所定の制限時間以内に負荷電流の増減が完了するようになっているので、負荷電流の波形平均値と目標平均電流との間の誤差が抑制され、波形歪の少ない電流波形によって正確な電流制御が行える特徴がある。
前記転流回路素子153iは、内部寄生ダイオードが並列接続されている電界効果型トランジスタであって、前記比例電磁コイル105iと前記電流検出抵抗150iとの直列回路に対して並列接続されていて、前記第一期間において転流制御信号DNSiが停止している期間においては開路状態となって、前記内部寄生ダイオードによって転流電流が流れ、この内部寄生ダイオードによる電圧降下によって前記転流減衰電圧Vzdを得るようになっており、
前記転流制御信号DNSiが発生しているときには、前記転流回路素子153iが転流電流の通電方向に閉路している。
従って、常時は転流回路の電圧降下が微小であり、断続制御されている負荷電流の脈動が低減されるとともに、消費電力が低減される特徴がある。
なお、降圧形式の共用可変定電圧電源が使用されて、比例電磁コイルが低電圧大電流仕様のものとなると、転流ダイオードによって最低限度の転流減衰電圧は確保できるが、転流ダイオードの消費電力が増大することになるので、常時は並列接続された転流回路素子によって短絡転流させるようになっている。
また、目標平均電流を最大設定したときのディザ電流上昇特性と、目標平均電流を最小設定したときのディザ電流減衰特性とを略一致させることにより、目標平均電流と実際の平均電流との差異を抑制することができる特徴がある。
Claims (10)
- 液体圧力を比例制御する複数個の比例電磁弁のそれぞれに設けられた複数個の比例電磁コイルの中の一部又は全部である制御対象負荷i(i=1・2・・n、以下同様)に対して、個別に可変設定された目標平均電流Iaaiを中心として、所定のディザ(Dither)振幅電流ΔIiを、所定のディザ振幅周期Tdで付加する演算制御回路部を備えたディザ電流給電制御装置であって、
前記比例電磁コイルは、共用可変定電圧電源から給電されて、その通電電流を個別に断続制御する駆動開閉素子と電流検出抵抗とが直列接続されるとともに、前記比例電磁コイルと前記電流検出抵抗との直列回路に対して並列接続される転流回路素子を備え、
前記共用可変定電圧電源は、この共用可変定電圧電源に入力される電源電圧Vbbが変動して最小電圧となっていて、しかも、高温環境で前記比例電磁コイルの負荷抵抗Riが最大負荷抵抗Rmmiとなっていても、ここに100%の通電電流である最大電流Imiを通電したいときに要求される、各前記比例電磁コイルに共通した最大要求電圧V2m以下の安定化電圧Vbaを発生し、
前記安定化電圧Vbaは、少なくとも第一又は第二の電圧抑制手段によってその発生電圧が可変調整され、
前記第一の電圧抑制手段は、前記比例電磁コイルの全体を代表する推定環境温度に比例して、低温時には前記最大要求電圧V2mを抑制低下し、
前記第二の電圧抑制手段は、負荷電流がディザ小電流I1iからディザ大電流I2iに増量変化する時点の所定期間において、前記比例電磁コイルのインダクタンス成分に打勝って所定値以上の電流上昇率を得るための余裕電圧ΔVmを加算した急速駆動電圧Vmを一次的に発生し、常時は前記最大要求電圧V2mに抑制制御し、
前記駆動開閉素子は、前記目標平均電流Iaaiに対して前記ディザ振幅電流ΔIiを増減付加した前記ディザ大電流I2iと、前記ディザ小電流I1iと、設定監視電圧Vxに対応し、(算式1)(算式2)による通電デューティγ2i、γ1iによって、前記比例電磁コイルを個別に断続制御し、
前記設定監視電圧Vxは、前記共用可変定電圧電源に対する設定現在値Vstである前記急速駆動電圧Vm又は前記最大要求電圧V2mであるか、或いは得られた前記安定化電圧Vbaに対する監視現在値Vbdが適用される、
γ1i=I1i×Ri/Vx、I1i=Iaai−ΔIi/2・・・・(算式1)
γ2i=I2i×Ri/Vx、I2i=Iaai+ΔIi/2・・・・(算式2)
ことを特徴とするディザ電流給電制御装置。 - 前記共用可変定電圧電源は、断続動作する昇圧回路素子を介して前記電源電圧Vbbが印可される誘導素子と、前記昇圧回路素子が開路したときに、前記誘導素子に蓄積されていた電磁エネルギーが逆流防止素子を介して放出される昇圧コンデンサと、前記昇圧コンデンサの両端電圧が、目標電圧設定回路で可変設定された所定電圧となったときに前記昇圧回路素子の断続動作を停止する負帰還回路とを備え、前記昇圧コンデンサの両端電圧である安定化電圧Vbaは、変動する前記電源電圧Vbbの最大値以上の電圧であり、
前記演算制御回路部は、目標電圧Vtrgとして、前記急速駆動電圧Vmと前記最大要求電圧V2mを順次前記目標電圧設定回路に設定し、前記駆動開閉素子に対しては、前記目標平均電流Iaaiが小さいものから、順次前記ディザ大電流I2iに切換える駆動制御信号PWMiを発生する
ことを特徴とする請求項1に記載のディザ電流給電制御装置。 - 前記共用可変定電圧電源は、
断続動作する一対の昇圧回路素子を介して前記電源電圧Vbbが印可される一対の誘導素子と、
前記昇圧回路素子が開路したときに、前記誘導素子に蓄積されていた電磁エネルギーが一対の逆流防止素子を介して放出される一対の昇圧コンデンサと、
この昇圧コンデンサの両端電圧が、一対の目標電圧設定回路で可変設定された所定電圧となったときに前記昇圧回路素子の断続動作を停止する負帰還回路と、
前記一対の昇圧コンデンサの出力電圧を選択切換えして一つの安定化電圧Vbaを発生する一対の選択回路素子と、
この選択回路素子に選択指令信号を与える選択指令回路と
を備え、
前記安定化電圧Vbaは、変動する前記電源電圧Vbbの最大値以上の電圧であり、
前記演算制御回路部は、目標電圧Vtrgとして、前記急速駆動電圧Vmを一方の前記目標電圧設定回路に設定し、前記最大要求電圧V2mを他方の前記目標電圧設定回路に設定するとともに、一対の電圧切換信号SEL1・SEL2を発生して、前記一対の選択回路素子のどちらか一方を順次閉路し、前記駆動開閉素子に対しては、前記急速駆動電圧Vmが選択されたことに伴って、順次前記ディザ大電流I2iに切換える駆動制御信号PWMiを発生する
ことを特徴とする請求項1に記載のディザ電流給電制御装置。 - 前記共用可変定電圧電源は、断続動作する電源回路素子とリアクトルとの直列回路を介して、前記電源電圧Vbbを電源コンデンサと前記駆動開閉素子に印可して前記安定化電圧Vbaを供給し、
前記電源回路素子は、前記演算制御回路部が発生するPWM信号PWMjに応動する電源駆動回路を介して、可変の通電デューティγjによって断続駆動されるとともに、前記リアクトルの上流位置には還流ダイオードが接続されており、
前記演算制御回路部は、前記PWM信号PWMjとして、前記電源電圧Vbbの測定現在電圧Vbbと前記急速駆動電圧Vmとの比率である通電デューティγj=Vm/Vbbと、前記最大要求電圧V2mとの比率である通電デューティγj=V2m/Vbbとを交互に発生し、前記安定化電圧Vbaは、変動する前記電源電圧Vbbの最小値以下の電圧に設定されており、
前記駆動開閉素子に対しては、前記急速駆動電圧Vmが選択されたことに伴って、順次前記ディザ大電流I2iに切換える駆動制御信号PWMiを発生する
ことを特徴とする請求項1に記載のディザ電流給電制御装置。 - 前記演算制御回路部は、プログラムメモリ及び演算用RAMメモリと協働するマイクロプロセッサを主体として構成されていて、前記プログラムメモリは、少なくとも、実行デューティ設定手段と負帰還制御手段とを有する給電制御手段となる制御プログラムを包含し、
前記比例電磁コイルの負荷抵抗Riは、環境温度検出手段によって検出された現状の環境温度Taに対して、前記比例電磁コイル自体の所定の最大温度上昇値Tmaxを加算して得られる最大現在温度Tam=Ta+Tmaxに対応した最大現在抵抗Rmi、又は前記比例電磁コイル自体の中間の温度上昇値Tmax/2を加算して得られる平均現在温度Taa=Ta+Tmax/2に対応した平均現在抵抗Rai、又は現在抵抗測定手段によって測定された個別の現在抵抗Riiのいずれかが適用され、
前記環境温度検出手段は、前記比例電磁コイルの設置環境温度又は前記比例電磁弁によって制御される液体温度を前記環境温度Taとして測定する温度センサから構成されるか、又は前記比例電磁コイルの一つに接続された抵抗検出回路を有し、前記抵抗検出回路によって不作動中の比例電磁コイルの抵抗値を測定することによって前記環境温度Taを検出するものであって、
前記現在抵抗測定手段は、前記比例電磁コイルの両端電圧を測定する電圧検出回路によって測定された平均印可電圧Vaiを、電流検出回路によって測定された電流検出信号Ifiを、平均化して得られる検出平均電流Ifaiによって除算して前記現在抵抗Riiを算出し、
前記最大要求電圧V2mは、前記最大現在抵抗Rmiと、前記比例電磁コイルの最大電流Imiとの積によって算出され、
前記実行デューティ設定手段は、前記(算式1)(算式2)によって前記通電デューティγ2i・γ1iを算出するときの前記負荷抵抗Riとして、前記平均現在抵抗Raiを適用するか、又は個別の前記現在抵抗Riiを適用するとともに、
前記負帰還制御手段は、前記目標平均電流Iaaiと実測された前記検出平均電流Ifaiとの偏差積分値に応動して、前記目標平均電流Iaaiに補正電流ΔIaiを代数加算することによって、前記負荷抵抗Riの推定誤差又は検出誤差、及び前記安定化電圧Vbaの設定制御誤差を補正する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のディザ電流給電制御装置。 - 前記給電制御手段は更に、増減期間判定処理手段となる制御プログラムを包含し、
前記増減期間判定処理手段は、前記ディザ振幅周期Td(=A+B)を構成するディザ電流小期間Aに続いて、ディザ電流大期間Bが到来した直後の第二期間と、ディザ電流大期間Bに続いて、ディザ電流小期間Aが到来した直後の第一期間において作用し、
前記第二期間においては、前記駆動開閉素子に対する通電デューティを前記算式(2)による通電デューティγ2iを超過し、100%通電以下となる所定の増大デューティとして、前記電流検出回路によって検出された負荷電流の検出現在値Ifdiが前記ディザ大電流I2iに増大するまでは前記増大デューティを維持して、前記ディザ振幅電流ΔIiの増加速度を促進し、
前記第一期間においては、前記駆動開閉素子に対する通電デューティを前記算式(1)による通電デューティγ1i未満で、0%通電以上となる所定の減少デューティとして、負荷電流の前記検出現在値Ifdiが前記ディザ大電流I1iに減少するまでは前記減少デューティを維持して、前記ディザ振幅電流ΔIiの減少速度を促進する
ことを特徴とする請求項5に記載のディザ電流給電制御装置。 - 前記余裕電圧ΔVmの発生時間は、前記ディザ小電流I1iから前記ディザ大電流I2iへの前記増量変化が完了する上昇期待時間Tup以上の時間となっており、
前記転流回路素子は、前記負荷電流がディザ大電流I2iからディザ小電流I1iに減少変化する時点の第一期間において、前記比例電磁コイルの転流回路に転流減衰電圧Vzdを発生し、この転流減衰電圧Vzdは、前記目標平均電流Iaaiが最大であるときの前記余裕電圧ΔVm以上の電圧となっているか、少なくとも前記転流減衰電圧Vzdの発生期間である減少期待時間Tdnは、前記余裕電圧ΔVmの発生時間以下となっている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のディザ電流給電制御装置。 - 前記共用可変定電圧電源は、前記電源電圧Vbbを昇圧して得られる前記安定化電圧Vbaを生成し、この安定化電圧Vbaは前記電源電圧Vbbの最大値以上の電圧となっており、前記転流回路素子は、転流ダイオードと直列接続されて、前記比例電磁コイルと前記電流検出抵抗との直列回路に対して並列接続されていて、前記第一期間を除く全期間において転流制御信号DNSiによって閉路駆動されており、
前記第一期間においては、前記転流制御信号DNSiによる閉路駆動は停止されているが、前記比例電磁コイルが発生する誘導電圧によって半閉路状態となり、このときの前記転流回路素子の閉路電圧は、定電圧ダイオードによって定まる所定電圧に維持されて、前記転流ダイオードと協働して前記転流減衰電圧Vzdを得るようになっている
ことを特徴とする請求項7に記載のディザ電流給電制御装置。 - 前記共用可変定電圧電源は、前記電源電圧Vbbを降圧して得られる前記安定化電圧Vbaを生成し、この安定化電圧Vbaは前記電源電圧Vbbの最小電圧以下の値となっており、
前記転流回路素子は、内部寄生ダイオードが並列接続されている電界効果型トランジスタであって、前記比例電磁コイルと前記電流検出抵抗との直列回路に対して並列接続されていて、前記第一期間において転流制御信号DNSiが停止している期間においては開路状態となって、前記内部寄生ダイオードによって転流電流が流れ、この内部寄生ダイオードによる電圧降下によって前記転流減衰電圧Vzdを得るようになっており、
前記転流制御信号DNSiが発生しているときには、前記転流回路素子が転流電流の通電方向に閉路している
ことを特徴とする請求項7に記載のディザ電流給電制御装置。 - 前記ディザ小電流I1iから前記ディザ大電流I2iへの移行期間と、移行したこのディザ大電流I2iの通電期間を含むディザ電流大期間Biと、前記ディザ大電流I2iから前記ディザ小電流I1iへの移行期間と、移行したこのディザ小電流I1iの通電期間を含むディザ電流小期間Aiとによって前記ディザ振幅周期Tdが構成され、
前記目標平均電流Iaaiの値が、前記最大電流Imiに対する中間帯域であるときには、前記ディザ電流大期間Biと前記ディザ電流小期間Aiは同じ時間幅であるのに対し、
前記目標平均電流Iaaiの値が、前記最大電流Imiに対する中間帯域より大きな電流である大電流帯域であるときには、前記ディザ電流大期間Biの時間幅を広げて、前記ディザ振幅周期Tdは同じとなるように前記ディザ電流小期間Aiは短縮し、
前記目標平均電流Iaaiの値が、前記最大電流Imiに対する中間帯域より小さな電流である小電流帯域であるときには、前記ディザ電流小期間Aiの時間幅を広げて、前記ディザ振幅周期Tdは同じとなるように前記ディザ電流大期間Biの時間幅を短縮する
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のディザ電流給電制御装置。
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