JP6020531B2 - 高炉の微粉炭吹込設備における配管の詰まり検知方法 - Google Patents
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Description
このように、高炉への微粉炭吹込設備の配管における微粉炭の詰まりは、高炉操業に多大な損失を与える。よって微粉炭吹込み操業においては、微粉炭が配管に付着したり閉塞したりすることなくスムーズに流れることが要請されるとともに、詰まりが発生した場合には速やかにこれを検知することが望まれている。
すなわち、特許文献1〜3の技術を用いても、配管の周辺に配置された設備の影響を完全に除外できないという問題がある。加えて特許文献3の技術の場合、測温される配管は比熱を有するため、配管の表面温度が変化するとともにその温度変化を熱電対が捕捉して安定した測定温度として表示するまでにある程度の時間がかかるという問題も生じる。
本発明は、上記した未解決の問題を解決するために案出されたものであって、高炉の微粉炭吹込設備における配管の詰まりを検知する方法において、配管周辺に配置された設備の影響を受けることがないとともに、配管に微粉炭の詰まりが生じてから詰まりの発生を検知するまでの時間を、従来に比し短縮できる技術を提供することを目的とする。
まず、微粉炭が上流気送系で詰まっている場合の上流気送系内の圧力測定値及び下流気送系内の圧力測定値の変化を図2に、また、微粉炭が下流気送系で詰まっている場合の同変化を図3に示す。これらはいずれも溶銑1トン当たり130〜150kgの微粉炭を高炉に吹き込んだ場合に得られたものである。
本発明のある態様に係る高炉への微粉炭吹込設備における配管の詰まり検知方法は、微粉炭を蓄えたインジェクションタンク及びこのインジェクションタンクに接続された輸送配管を有する上流気送系と、輸送配管に接続されるとともに高炉に連結された吹込本管を有する下流気送系と、を備える高炉の微粉炭吹込設備における配管の詰まりを検知する方法であって、上流気送系内の圧力測定値と下流気送系内の圧力測定値との間の差圧の絶対値を算出する差圧算出ステップと、この算出された差圧の絶対値の大きさが予め設定された上流側閾値以上であり、かつ、下流気送系内の圧力測定値が予め設定された第1の下流側圧力閾値以下のときは、上流気送系の配管に微粉炭の詰まりが生じたと判定し、算出された差圧の絶対値の大きさが予め設定された下流側閾値以上であり、かつ、下流気送系内の圧力測定値が予め設定された第2の下流側圧力閾値より大きいときは、下流気送系の配管に微粉炭の詰まりが生じたと判定して、配管の詰まりを検知する詰まり検知ステップと、を含むことを要旨とする。
また、圧力測定値は、配管の詰まりの発生によって上流気送系内の圧力又は下流気送系内の圧力が変化するのと略同じタイミングで変化するので、これに連動して差圧も略同じタイミングで変化する。そのため詰まりの発生後、配管の詰まりを検知するまでの時間が、大きく短縮される。
また、前記詰まり検知ステップは、前記差圧の絶対値の大きさが前記下流側閾値以上であり、かつ、前記下流気送系内の圧力測定値が下流側圧力閾値より大きい状態が、予め設定された下流側基準時間以上継続したときに、前記下流気送系の配管に微粉炭の詰まりが生じたと判定することとしてもよい。
まず本発明の実施形態に係る詰まり検知方法が実施される高炉の微粉炭吹込設備について、図1を用いて説明する。微粉炭吹込設備は、上記した石炭破砕機(不図示)、バグフィルター(不図示)、篩分装置(不図示)、微粉炭ホッパー(不図示)を備えるとともに、吹込み用のインジェクションタンク3を備える。また、微粉炭吹込設備は、インジェクションタンク3に接続された輸送配管4と、輸送配管4に接続された吹込本管5とを有する。輸送配管4は吹込本管5と合流部6で合流する。吹込本管5は、中途に設けられた分岐部7で分岐して複数の分岐管8となる。複数の分岐管8の先端には高炉10の羽口11に開口した微粉炭吹込み用のランス9がそれぞれ設けられ、吹込本管5が高炉10の羽口11に連結されている。
次に、上記した微粉炭吹込設備において用いられる詰まり検知方法を説明する。まず、上流気送系側圧力計1を用いてインジェクションタンク3内の圧力を測定するとともに下流気送系側圧力計2を用いて吹込本管5内の圧力を測定する。そして、インジェクションタンク3及び吹込本管5の経時的な圧力測定値を得るとともにこれらの差圧の絶対値を算出する(差圧算出ステップ)。上流気送系又は下流気送系に属する配管に微粉炭の詰まりが発生すると、インジェクションタンク3内の圧力測定値、吹込本管5内の圧力測定値及びインジェクションタンク3内の圧力測定値と吹込本管5内の圧力測定値との間の差圧に、図2及び図3に示すような特徴的な変化が生じる。
上流側閾値P1、上流側基準時間T1及び第1の下流側圧力閾値B1は、いずれも上流気送系での詰まりを判定するために用いられる。上流側閾値P1は、変化する差圧の絶対値の大きさに関して予め設定された圧力用の閾値であり、上流側基準時間T1は、上流側閾値P1以上の大きさの差圧(絶対値)が継続する時間に関して予め設定された基準時間であり、第1の下流側圧力閾値B1は、下流気送系内の圧力の値に関して設定された閾値である。
下流側閾値P2、下流側基準時間T2及び第2の下流側圧力閾値B2は、いずれも下流気送系での詰まりを判定するために用いられる。下流側閾値P2は、変化する差圧の絶対値の大きさに関して予め設定された圧力用の閾値であり、下流側基準時間T2は、下流側閾値P2以上の大きさの差圧(絶対値)が継続する時間に関して予め設定された基準時間であり、第2の下流側圧力閾値B2は、下流気送系内の圧力の値に関して設定された閾値である。
下流気送系で詰まりが発生した場合、下流気送系の圧力は図3に示すように、686kPa程度まで増加し、差圧の絶対値の大きさは58kPa程度まで拡大する。このとき、下流気送系内の圧力測定値の上昇開始から差圧の絶対値の拡大が収束するまでの平均時間は、過去のデータに基づき算出したところ、約30秒であった。
本発明の実施形態に係る詰まり検知方法によれば、上流気送系内の圧力測定値と下流気送系内の圧力測定値との間の差圧を求め、この差圧の絶対値の大きさが予め設定された上流側閾値P1以上であり、かつ、下流気送系内の圧力測定値が予め設定された第1の下流側圧力閾値B1以下のときは上流気送系の配管に微粉炭の詰まりが生じたと判定し、詰まりを検知する。また差圧の絶対値の大きさが予め設定された下流側閾値P2以上であり、かつ、下流気送系内の圧力測定値が予め設定された第2の下流側圧力閾値B2より大きいときは、下流気送系の配管に微粉炭の詰まりが生じたと判定し、詰まりを検知する。このように、熱や音といった外乱に影響されることが殆どない配管内の圧力の変化を用いて詰まりを測定するので、配管の近傍にブローパイプのような装置が配設されていても影響を受けることがない。
尚、本発明の実施形態に係る詰まり検知方法においては、インジェクションタンク3内の圧力測定値と吹込本管5内の圧力測定値との間の差圧を用いたが、差圧を導くために圧力が測定される部位はこれらに限定されるものではない。一般的には、上流気送系における圧力測定は、インジェクションタンク又はそれより上流側で、また下流気送系における圧力測定は、合流部6よりも上流側の圧縮空気ラインで行うことが好ましいが、輸送配管4や分岐管8で行われてもよい。例えば、図1中に示した、合流部6より上流側に配置された下流気送系側圧力計2に替えて、分岐管8に圧力計を設けて下流気送系における圧力測定を行ってもよい。ただしこのとき、圧力計の位置よりも上流側での詰まりを検知することとなるので、仮に図2に示すような圧力測定値の変化が生じても、微粉炭の詰まりが上流気送系内の配管でなく、下流気送系の吹込本管5で発生している場合もある。
また、本実施形態に係る微粉炭吹込設備における詰まり検知方法に加え、上流気送系内又は下流気送系内の配管に熱電対や音響センサを付加的に配設してもよい。例えば複数の熱電対を配管の表面に所定の間隔で配設して表面温度の変化を求める方法と、本実施形態に係る詰まり検知方法と組み合わせることにより、詰まりの発生部位をより効率的に特定することができ、復旧動作を速やかに行うことが可能となる。
2 下流気送系側圧力計
3 インジェクションタンク
4 輸送配管
5 吹込本管
6 合流部
10 高炉
B1 第1の下流側圧力閾値
B2 第2の下流側圧力閾値
P1 上流側閾値
P2 下流側閾値
T1 上流側基準時間
T2 下流側基準時間
Claims (3)
- 微粉炭を蓄えたインジェクションタンク及び当該インジェクションタンクに接続された輸送配管を有する上流気送系と、前記輸送配管に接続されるとともに高炉に連結された吹込本管を有する下流気送系と、を備える高炉の微粉炭吹込設備における配管の詰まりを検知する方法であって、
前記上流気送系内の圧力測定値と前記下流気送系内の圧力測定値との間の差圧の絶対値を算出する差圧算出ステップと、
当該算出された差圧の絶対値の大きさが予め設定された上流側閾値以上であり、かつ、前記下流気送系内の圧力測定値が予め設定された第1の下流側圧力閾値以下のときは、前記上流気送系の配管に微粉炭の詰まりが生じたと判定し、
前記算出された差圧の絶対値の大きさが予め設定された下流側閾値以上であり、かつ、前記下流気送系内の圧力測定値が予め設定された第2の下流側圧力閾値より大きいときは、前記下流気送系の配管に微粉炭の詰まりが生じたと判定して、前記配管の詰まりを検知する詰まり検知ステップと、
を含むことを特徴とする高炉の微粉炭吹込設備における配管の詰まり検知方法。 - 前記詰まり検知ステップは、前記差圧の絶対値の大きさが前記上流側閾値以上であり、かつ、前記下流気送系内の圧力測定値が前記第1の下流側圧力閾値以下となる状態が、予め設定された上流側基準時間以上継続したときに、前記上流気送系の配管に微粉炭の詰まりが生じたと判定することを特徴とする請求項1に記載の高炉の微粉炭吹込設備における配管の詰まり検知方法。
- 前記詰まり検知ステップは、前記差圧の絶対値の大きさが前記下流側閾値以上であり、かつ、前記下流気送系内の圧力測定値が前記第2の下流側圧力閾値より大きい状態が、予め設定された下流側基準時間以上継続したときに、前記下流気送系の配管に微粉炭の詰まりが生じたと判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の高炉の微粉炭吹込設備における配管の詰まり検知方法。
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