本発明は、例えば、限定するものではないが、特に様々なクリーニング用途に好適であり、及び有用である、セリンプロテアーゼ変異体及びサブチリシンプロテアーゼ変異体を包含する、プロテアーゼ変異体を提供する。一態様では、本発明は、本明細書に前述したプロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)を少なくとも1種含む組成物を包含する。このような組成物のうち一部のものは、洗剤組成物を含む。一態様では、本発明は、バチルス種のサブチリシン変異体及びそのようなサブチリシン変異体を1種以上含む組成物を提供する。本発明は、既知のプロテアーゼに、例えば、既知のセリンプロテアーゼ及び/又はサブチリシンプロテアーゼなどの既知のプロテアーゼと洗浄性能が匹敵するか又はそれよりも洗浄性能が改善された酵素組成物も提供する。
別途記載のない限り、本発明の実施には、分子生物学、微生物学、タンパク質精製、タンパク質工学、タンパク質及びDNAの配列決定、組み換えDNA分野、並びに工業用途の酵素使用及び開発に一般的に使用される従来の技術が包含され、これらのすべては当該技術分野の範囲内のものである。
更に、本明細書で提供される表題は本発明の様々な態様又は実施形態を制限するものではなく、総じて本明細書において参照として用いられ得るものである。したがって、直下に定義される用語は、総じて本明細書において参照されることでより充分に定義されることになる。それでも尚、本発明に対する理解を容易にさせる目的で、多数の用語に関する定義が以下に提供される。
本明細書において別途記載のない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明の属する技術分野の当業者により一般に理解される意味と同様の意味を持つ。本願に記載されているものと類似した又は等価な多くの方法及び部材は本発明の実施において使用を見出すことができるが、一部の方法及び部材を本明細書に記載する。したがって、直下に定義される用語は、総じて本明細書を参照することでより充分に説明されることになる。また、本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」、及び「the」には、特に明示しない限り、複数形も含む。別途記載のない限り、核酸は左から右に向かって5’から3’配向になるように、並びに、アミノ酸配列は、左から右に向かってアミノ基からカルボキシ基という配向になるようにそれぞれ記載される。当業者により使用される状況に基づき、方法論、プロトコル、及び試薬は変化することから、本発明は記載される特定の方法論、プロトコル、及び試薬に制限されるものではないことは理解されるであろう。
本明細書全体を通じて記載されているあらゆる最大数値限定には、それよりも小さいあらゆる数値限定が、そのような小さい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように包含されることが意図される。本明細書全体を通じて記載される最小数値限定は、それより大きいあらゆる数値限定を、そのような大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書全体を通じて記載される数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入るそれよりも狭いあらゆる数値範囲を、そのようなより狭い数値範囲がすべて本明細書に明確に記載されているかのように含む。
プロテアーゼ(プロテイナーゼとしても既知)は、他のタンパク質を分解する能力を有する酵素タンパク質である。プロテアーゼは、ペプチド鎖又はポリペプチド鎖中のアミノ酸を連結させてタンパク質を形成するペプチド結合を加水分解することで、タンパク質の異化作用を開始する、タンパク質分解を行なうことができる。プロテアーゼの、タンパク質消化酵素としてのこのような活性は、タンパク質分解活性と呼ばれる。タンパク質分解活性の測定に関する多くの周知の手順が存在する(Kalisz,「Microbial Proteinases,」In:Fiechter(ed.)Advances in Biochemical Engineering/Biotechnology,(1988))。例えば、タンパク質分解活性は、各プロテアーゼが市販の基質を加水分解する能力を解析する、比較アッセイにより確認することができる。プロテアーゼ活性又はタンパク質分解活性の解析に有用な代表的な基質としては、限定するものではないが、ジメチルカゼイン(Sigma C−9801)、ウシコラーゲン(Sigma C−9879)、ウシエラスチン(Sigma E−1625)、及びウシケラチン(ICN Biomedical 902111)が挙げられる。これらの基質を用いる比色分析は当該技術分野において周知である(例えば、いずれも参照により本案件に組み込まれる国際公開第99/34011号及び米国特許第6,376,450号を参照されたい)。pNAアッセイ(例えば、Del Mar et al.,Anal.Biochem.99:316〜320(1979)を参照されたい)は、勾配溶離時に回収される画分について活性酵素濃度を測定する際の用途も見出されている。このアッセイは、可溶性の合成基質、スクシニル−アラニン−アラニン−プロリン−フェニルアラニン−p−ニトロアニリド(suc−AAPF−pNA)を酵素が加水分解した際にp−ニトロアニリンが放出される速度を測定する。加水分解反応により黄色味が生じる速度を分光光度計で410nmにて測定する。この速度は活性酵素濃度に比例する。加えて、280ナノメートル(nm)での吸光度測定を使用して、合計タンパク質濃度を測定することもできる。活性酵素/合計タンパク質比は酵素の純度も与える。
本明細書で使用するとき、「サブチリシン」及び「サブチリシンプロテアーゼ」は、ペプチダーゼデータベースのMEROPS(Rawlings et al.,MEROPS:the peptidase database,Nucl.Acids Res.34 Database issue,D270〜272(2006))に記載されるようなS8セリンプロテアーゼファミリーの任意のメンバーを指す。MEROPSに記載されるペプチダーゼファミリーS8には、セリンエンドペプチダーゼのサブチリシン及びその相同体が包含される(Biochem.J.290:205〜218(1993))。サブチラーゼファミリーとしても既知であるファミリーS8は、セリンペプチダーゼファミリーのうち2番目に大きいファミリーである。現在では、S8ファミリーのうちの幾つかのメンバーの立体構造が決定されている。典型的なS8タンパク質の構造は、2層のヘリックス鎖に挟まれた7本鎖のβシート構造の三層から構成される。サブチリシン(S08.001)は、SB属(SB)の構造型である。構造が異なるのにも関わらず、サブチリシン及びキモトリプシン(S01.001)の活性部位が重なることは、この類似性が分岐進化ではなく収束進化の結果であることを示唆する。多くのバチルス種は、多量のサブチリシンを分泌する。本明細書で使用するとき、用語「プロテアーゼ変異体(protease variant)」、「プロテアーゼ変異体(variant protease)」、「変異型プロテアーゼ(mutant protease)」、及び「変異型プロテアーゼ(protease mutant)」は、少なくとも1箇所のアミノ酸置換、欠失、又は付加などにより、参照プロテアーゼ(野生型プロテアーゼであり得る)のアミノ酸配列とアミノ酸が少なくとも1個異なる、アミノ酸配列の異なるプロテアーゼに関して互換的に使用される。プロテアーゼ変異体(variant protease)、変異型プロテアーゼ(mutant protease)、又は変異型プロテアーゼ(protease mutant)のタンパク質分解活性は、当業者に周知である手順及び/又は本明細書に記載の手順を用い測定することができる。
本明細書で使用するとき、用語「サブチリシン変異体(variant subtilisin)」、「サブチリシン変異体(subtilisin variant)」、「変異型サブチリシン(mutant subtilisin)」、及び「変異型サブチリシン(subtilisin mutant)」は、少なくとも1箇所のアミノ酸置換、欠失、又は付加などにより、参照サブチリシンプロテアーゼ(野生型サブチリシンプロテアーゼであり得る)のアミノ酸配列とアミノ酸配列が異なる、サブチリシンプロテアーゼに関して互換的に使用される。サブチリシン変異体(subtilisin variant)、サブチリシン変異体(variant subtilisin)、変異型サブチリシン(mutant subtilisin)、又は変異型サブチリシン(subtilisin mutant)のタンパク質分解活性は、当業者に周知である手順及び/又は本明細書に記載の手順を用い測定することができる。
本明細書で使用するとき、「バチルス(Bacillus)」属としては、当業者に既知のバチルス属のすべての種を包含し、限定するものではないが、例えば、B.サブチリス(B. subtilis)、B.リケニフォルミス(B. licheniformis)、B.レンタス(B. lentus)、B.ブレビス(B. brevis)、B.ステアロサーモフィルス(B. stearothermophilus)、B.アルカロフィルス(B. alkalophilus)、B.アミロリケファシエンス(B. amyloliquefaciens)、B.クラウシイ(B. clausii)、B.ハロドュランス(B. halodurans)、B.メガテリウム(B. megaterium)、B.コアギュランス(B. coagulans)、B.サーキュランス(B. circulans)、B.ロータス(B. lautus)、及びB.チューリンゲンシス(B. thuringiensis)が挙げられる。バチルス属は分類上の認識を受け続けるものと認識される。したがって、属には、限定するものではないが、現在「ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)」と命名されている、バチルス・ステアロサーモフィルス(B. stearothermophilus)などの微生物が包含される種分類を包含することが意図される。酸素の存在下での耐性内生胞子の産生は、バチルス属に定義される特徴であると考慮されるが、この特徴は、近年では名称アリシクロバチルス(Alicyclobacillus)、アンフィバチルス(Amphibacillus)、アネウリニバチルス(Aneurinibacillus)、アノキシバチルス(Anoxybacillus)、ブレビバチルス(Brevibacillus)、フィロバチルス(Filobacillus)、グラシリバチルス(Gracilibacillus)、ハロバチルス(Halobacillus)、パエニバチルス(Paenibacillus)、サリバチルス(Salibacillus)、サーモバチルス(Thermobacillus)、ウレイバチルス(Ureibacillus)、及びビルジバチルス(Virgibacillus)に対しても適用される。
本明細書で互換的に使用される用語「ポリヌクレオチド」及び「核酸」は、ヌクレオチドモノマーが鎖状に共有結合している任意の長さのポリマーを指す。DNA(デオキシリボ核酸)、デオキシリボヌクレオチドを含むポリヌクレオチド、及びRNA(リボ核酸)、リボヌクレオチドのポリマーは、異なる生物学的機能を有するポリヌクレオチド又は核酸の例である。ポリヌクレオチド又は核酸としては、限定するものではないが、単鎖、二本鎖、又は三本鎖DNA、ゲノムDNA、cDNA、RNA、DNA−RNAハイブリッド形成体、又はプリン及びピリミジン塩基を含むポリマー、又は他の天然の、化学的に改変された、生物学的に改変された、非天然の又は誘導体化されたヌクレオチド塩基が挙げられる。次のものはポリヌクレオチドの非限定例である:遺伝子、遺伝子断片、染色体断片、発現配列タグ(EST)、エキソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、リボザイム、相補的DNA(cDNA)、組み換えポリヌクレオチド、分枝状ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、核酸プローブ、及びプライマー。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びヌクレオチド類似体などの修飾されたヌクレオチド、ウラシル、他の糖、並びにフルオロリボース及びチオエートなどの結合基、並びに分岐ヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、ヌクレオチド配列はヌクレオチド配列以外により中断される。
本明細書で使用するとき、用語「ベクター」は、核酸又はポリヌクレオチドを標的細胞又は組織に導入又は移行するために使用される核酸コンストラクト又はポリヌクレオチドコンストラクトを指す。ベクターは、典型的には、外来DNAを他の細胞又は組織に導入する際に使用される。概してベクターは、導入遺伝子のDNA配列、及びベクターの「骨格」として機能するより長いポリヌクレオチド配列を含む。典型的には、ベクターは、挿入された導入遺伝子などの遺伝子情報を、標的細胞又は組織で挿入断片が単離、複製、又は発現されるように、標的細胞又は組織に移動させるよう機能する。ベクターとしては、プラスミド、クローニングベクター、バクテリオファージ、ウイルス(例えば、ウイルスベクター)、コスミド、発現ベクター、シャトルベクター、カセット、及びこれに類するものなどが挙げられる。典型的には、ベクターには複製起点、マルチクローニング部位、及び選択マーカーが挙げられる。ベクターを標的細胞に挿入するプロセスは、一般に形質移入と呼ばれる。ウイルスベクターによる細胞の形質移入は、一般に形質導入と呼ばれる。一態様では、本発明には、DNA配列を好適なホストで発現させるよう機能し得る好適な配列(例えば、分泌型のシグナルペプチド配列など)に制御可能なように連結される、プロテアーゼ変異体(例えば、前駆型又は成熟型プロテアーゼ変異体)をコードしているDNA配列を含むベクターが包含される。
本明細書で使用するとき、用語「発現カセット」又は「発現ベクター」は、対象とする核酸(例えば、外来核酸又は導入遺伝子)を標的細胞で発現させるにあたり組み換え的に又は合成的に生成される核酸コンストラクト又はベクターを指す。典型的には、対象とする核酸は、対象とするタンパク質を発現する。発現ベクター又は発現カセットは、典型的には外来核酸の発現を駆動又は促進するプロモーターヌクレオチド配列を含む。また、典型的には発現ベクター又はカセットは、標的細胞で特定の核酸を転写させる他の特異的な核酸配列を包含する。組み換え型発現カセットには、プラスミド、染色体、ミトコンドリアDNA、プラスミドDNA、ウイルス、又は核酸断片を組み込むことができる。一部の発現ベクターは、宿主細胞に非相同的なDNA断片を組み込み、発現させることができる。多くの原核生物発現ベクター及び真核生物発現ベクターが市販されている。適切な発現ベクターは、当業者の知識の範囲内で選択される。発現ベクターに組み込まれた核酸配列からタンパク質を発現させるのに適切な発現ベクターの選択は、当業者の知識の範囲内のものである。
DNAコンストラクトは、標的細胞又は組織に導入することのできる、人工的に構築された核酸断片である。一般的には、DNAコンストラクトは、対象とするタンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含む、ベクターにサブクローニングされたDNAの挿入断片を含む。ベクターは、バクテリア中での増殖に関係するバクテリア由来の耐性遺伝子、並びに対象とするタンパク質を微生物で発現させるためのプロモーターを含有し得る。DNAはPCRによりインビトロで生成されるか、あるいは当業者に既知である任意の他の好適な技術により生成される。一部の実施形態では、DNAコンストラクトは対象とする核酸配列を含む。一部の実施形態では、配列は、制御配列(例えば、プロモータなど)などの追加の配列に制御可能なように連結される。DNAコンストラクトは、更に選択マーカーを含んでもよく、及びホメオボックスに隣接する組み込み配列を更に含んでもよい。コンストラクトは、他の相同性ではない配列を末端に組み込んで含んでもよい(例えば、スタッファー配列(stuffer sequences)又は隣接配列)。一部の実施形態では、配列末端は、DNAコンストラクトが閉環を形成するよう閉じられる。当業者に周知である技術を用いDNAコンストラクトに組み込まれる、対象とする核酸配列は、野生型、変異型、又は修飾型核酸であり得る。一部の実施形態では、DNAコンストラクトは、宿主細胞染色体と配列相同性である核酸を1種以上含む。他の実施形態においては、DNAコンストラクトは、非相同的なヌクレオチド配列を1種以上含む。DNAコンストラクトをインビトロで組み換えたなら、例えば:1)非相同配列を宿主細胞の所望の標的配列に挿入する工程;及び/又は2)宿主細胞の染色体領域に変異を導入する工程(すなわち、非相同配列により内在性配列を置き換える工程);3)標的遺伝子を欠失させる工程;及び/又は4)複製プラスミドを宿主に導入する工程;に使用することもできる。「DNAコンストラクト」は、本明細書において「発現カセット」と互換可能に使用される。
本明細書で使用するとき、「プラスミド」は、染色体DNAとは独立して複製することのできる染色体外のDNA分子を指す。プラスミドは二本鎖(ds)であり、及び環状であってもよく、典型的にはクローニングベクターとして使用される。
本明細書で使用するとき、核酸配列を細胞に導入する文脈において、用語「導入」は、核酸配列を細胞に移入させるのに好適な任意の方法を指す。導入に関する方法としては、限定するものではないが、プロトプラストの融合、形質移入、形質転換、電気穿孔法、接合、及び形質導入が挙げられる(例えば、Ferrari et al.,「Genetics,」in Hardwood et al.(eds.),Bacillus,Plenum Publishing Corp.,pp.57〜72(1989)を参照されたい)。
形質転換は、遺伝子材料(例えば、DNA)の取り込み、遺伝的組み込み、及び発現により細胞に生じる遺伝的な変更を指す。
本明細書で使用するとき、核酸は、他の核酸配列と機能的に関係があるよう配置された場合、他の核酸配列に「操作可能に連結」される。例えば、プロモーターがコード配列の転写に影響を与える場合、プロモーター又はエンハンサーは、ヌクレオチドコード配列に制御可能なように連結される。コード配列の翻訳が促進されるような位置に配置される場合、リボソーム結合部位は、コード配列に制御可能なように連結されてもよい。通常、「操作可能なように連結された」DNA配列は連続的な配列である。しかしながら、エンハンサーは隣接していなくてもよい。都合の良い制限部位にてライゲーションすることで連結することができる。このような部位が存在しない場合、従来技術に従い合成オリゴヌクレオチドアダプタ又はリンカーを使用してもよい。
本明細書で使用するとき、用語「遺伝子」は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、DNAセグメント)を指し、コード領域の前及び後に続く領域、並びにそれぞれのコード配列(エキソン)の間に存在する介在配列(イントロン)を包含する。
本明細書で使用するとき、「組み換え」が細胞に関し使用される場合、典型的には、非相同な核酸配列の導入により細胞が改質されていることを、あるいは細胞から誘導された細胞が改質されていることを意味する。例えば、組み換え細胞は、同一形態のものがネイティブ(非組み換え)形態の細胞では見られない遺伝子を含む場合があり、又は組み換え細胞は、ネイティブな遺伝子(ネイティブ形態の細胞で見られる遺伝子)ではあるが、改変されており細胞に再導入された遺伝子を含んでもよい。組み換え細胞は、細胞から核酸を移動させることなく改変された、細胞内在性の核酸を含む場合もあり、このような改変としては、遺伝子置換、部位特異的変異導入、及び当業者に既知の関連技術により得られる改変が挙げられる。組み換えDNA技術には、インビトロでの組み換えDNA産生技術、並びに組み換えDNA移動技術が包含され、ここで、これは発現又は増殖することができ、これにより組み換えポリペプチドを産生できる。ポリヌクレオチド又は核酸に関し、「組み換え(Recombination)」、「組み換える(recombining)」及び「組み換えられた(recombined)」は、概して、2つ以上の核酸若しくはポリヌクレオチド鎖若しくは断片を組み立て、又は組み合わせることで、新しいポリヌクレオチド又は核酸を生成することを指す。組み換えポリヌクレオチド又は核酸は、しばしばキメラ体と呼ばれる。核酸又はポリペプチドは、人工的なもの又は設計されたものである場合、あるいは人工的な又は設計されたタンパク質又は核酸から誘導される場合「組み換え体」である。
本明細書で使用するとき、用語核酸又は遺伝子「増幅」は、増幅させた核酸又は遺伝子が、開始時にゲノム中に存在していたコピー数よりもより多くのコピー数で存在する様になるように、特異的なDNA配列を不均一に複製させるプロセスを指す。一部の実施形態では、薬剤(例えば、阻害され得る酵素に関する阻害剤)の存在下で増殖させることによる細胞選別の結果、薬剤の存在下での増殖に必要とされる遺伝子産物をコードしている内在性遺伝子が複製されるか、あるいは核酸又は遺伝子産物又は両方をコードしている外因性の(即ち、導入)配列が増幅されることになる。
「増幅」は、核酸複製の特殊例であり、テンプレート特異性を包含する。非テンプレート特異的な複製(すなわち、複製はテンプレートに依存するものの、特定のテンプレートによるものではない)と対照的である。ここでは、テンプレート特異性は、複製の忠実度(すなわち、適切なポリヌクレオチド配列の合成度)及びヌクレオチド(リボ又はデオキシリボヌクレオチド)特異性により識別される。テンプレート特異性は、しばしば「標的」特異性に関し記載される。標的配列は、探索され他の核酸から選別されるという観点から、「標的」である。主にこの探索のために増幅技術が設計されてきた。
本明細書で使用するとき、用語「プライマー」は、制限消化断片の精製物として天然由来で生じるか又は合成的に生成されるかのいずれかの、核酸鎖に対して相補的であるプライマー伸長産物の合成が誘導される条件(すなわち、ヌクレオチド及びDNAポリメラーゼなどの誘導剤の存在下で、かつ好適な温度及びpH)下に置かれた場合に、合成の開始点として機能することができるオリゴヌクレオチド(ヌクレオチド残基のポリマー)を指す。好ましくはプライマーは増幅効率を最大にするために単鎖であるが、あるいは、二本鎖であってもよい。二本鎖の場合、プライマーは、伸長産物を調製するために使用される前に、その鎖を単離するように最初に処理される。一態様では、プライマーはオリゴデオキシリボヌクレオチドである。プライマーは、誘導剤の存在下において、伸長産物の合成を開始するのに十分に長くなければならない。プライマーの正確な長さは、温度、プライマー源、及び使用方法などの様々な要因により異なる。
本明細書で使用するとき、用語「プローブ」は、精製された制限酵素消化断片として天然に生じるか又は組み換え的に若しくはPCR増幅により合成的に産生されるかのいずれかの、オリゴヌクレオチドを指し、典型的には、対象とする他のオリゴヌクレオチドとハイブリッド形成することができる。プローブは一本鎖であっても二本鎖であってもよい。プローブは、特定の遺伝子配列の検出、識別、及び単離に有用である。本発明で使用される任意のプローブが、限定するものではないが酵素(例えば、ELISA、並びに酵素を用いる組織化学アッセイ)、蛍光、放射活性、及び発光系などの任意の検出系で検出され得るように、任意の「リポーター分子」によりプローブを標識することが想到される。本発明は、任意の特定の検出系又は標識に制限されることを意図しない。
本明細書で使用するとき、用語「標的」は、ポリメラーゼ連鎖反応に関し使用する場合、ポリメラーゼ連鎖反応に使用されるプライマーにより結合される核酸領域を指す。したがって、「標的」は他の核酸配列から探索され、選別される。ヌクレオチド「断片」は、標的とする核酸配列内部の核酸領域である。
本明細書で使用するとき、用語「ポリメラーゼ連鎖反応」(PCR)は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、及び同第4,965,188号の方法を指し、クローニング又は精製せずにゲノムDNA混合物中の標的配列断片の濃度を増加させる方法を包含する。この標的配列の増幅プロセスは当業者に周知である。
本明細書で使用するとき、用語「増幅剤」は、プライマー、核酸テンプレート、及び増幅酵素を除く、増幅に必要とされる試薬を指す(例えば、デオキシリボヌクレオチド三リン酸、緩衝液など)。通常、増幅剤は他の反応成分と共に反応容器(試験管、マイクロウェルなど)に配置され、収容される。
本明細書で使用するとき、用語「制限エンドヌクレアーゼ」又は「制限酵素」は、制限部位として既知である、ヌクレオチドに特異的な配列に又は配列近傍に存在する二本鎖又は一本鎖DNAを切断することのできる酵素(例えば、細菌性酵素)を指す。制限部位を含むヌクレオチド配列は、所定の制限エンドヌクレアーゼすなわち制限酵素により認識及び切断され、しばしばDNA断片の挿入部位になる。制限部位は、発現ベクター又はDNAコンストラクト中に設計することができる。
「相同組み換え」は、2つのDNA分子間、又は同一の若しくはほとんど同一のヌクレオチド配列部位で対となった染色体間で生じる、DNA断片の交換を指す。一部の実施形態では、染色体の組み込みは相同組み換えである。
核酸又はポリヌクレオチドが、ネイティブなポリペプチドを、又は当業者に既知の手法により操作されたポリペプチドを「コードしている」と記載される場合、このような核酸又はポリヌクレオチドは、転写及び/又は翻訳によりポリペプチド又はそれらの断片を産生できる。このような核酸のアンチセンス鎖も、同様に配列をコードすると記載される。
当該技術分野において既知であるように、DNA配列をRNAポリメラーゼにより転写することでRNA配列を産生できるが、RNA配列を逆転写酵素により逆転写することでDNA配列を産生することもできる。
「宿主株」又は「宿主細胞」は、対象とするDNA配列を含む発現ベクターにとって好適な宿主を指す。対象とするDNA配列は、対象とするタンパク質を宿主株又は宿主細胞で発現することができる。
「タンパク質」又は「ポリペプチド」は、アミノ酸残基のポリマー配列を含む。用語「タンパク質」及び「ポリペプチド」は、本明細書で互換可能に使用される。IUPAC−IUB Joint Commission on Biochemical Nomenclature(JCBN)に従い定義されるようなアミノ酸の三文字表記を本開示を通して使用する。遺伝子暗号の縮重に起因し、ポリペプチドは1種以上のヌクレオチド配列によりコードされる場合があることも理解されたい。
「プロ配列」又は「プロペプチド配列」は、シグナルペプチド配列及び成熟プロテアーゼ配列の間に存在し、プロテアーゼの分泌に必要とされるアミノ酸配列を指す。プロ配列又はプロペプチド配列の開裂により、活性な成熟型プロテアーゼが生じる。
用語「シグナル配列」又は「シグナルペプチド」は、成熟型又は前駆型タンパク質の分泌又は直接的な輸送に参加し得るアミノ酸残基の配列を指す。シグナル配列は、典型的には、前駆型又は成熟型タンパク質配列に対しN末端に位置する。シグナル配列は内在性のものであっても外来性であってもよい。外来性シグナル配列の一実施例は、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)(ATCC 21536)由来のサブチリシンのシグナル配列の残部に融合させた、バチルス・スブチルスのサブチリシン由来の、7個のアミノ酸残基を含む第一シグナル配列を含む。シグナル配列は通常では成熟タンパク質には含まれない。シグナル配列は、典型的には、タンパク質の輸送後にシグナルペプチダーゼによりタンパク質から切断される。
用語「ハイブリッド型シグナル配列(hybrid signal sequence)」は、発現させる遺伝子に関するシグナル配列と融合させた発現宿主から配列の一部が得られる、シグナル配列を指す。一部の実施形態では、合成配列が用いられる。
用語、タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドの「成熟」形態は、シグナルペプチド配列及びプロペプチド配列を含まない、タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドの機能形態を指す。
用語「前駆体」タンパク質又はペプチドは、タンパク質のアミノ末端又はカルボニル末端に制御可能なように連結されたプロ配列を有している、成熟型タンパク質を指す。前駆体は、プロ配列のアミノ末端に、制御可能なように連結された「シグナル」配列を有する場合もある。前駆体は、翻訳後活性に関与する追加のポリヌクレオチド(例えば、前駆体からこのポリヌクレオチドが切断されると、成熟型のタンパク質又はペプチドが得られる)を有する場合もある。
アミノ酸配列又は核酸配列に関して、用語「野生型」は、アミノ酸配列又は核酸配列がネイティブであるか、又は天然に生じた配列であることを意味する。
本明細書でアミノ酸残基の位置に関して使用するとき、用語「対応する(「corresponding to」又は「corresponds to」又は「corresponds」)」は、タンパク質又はペプチド中の数え上げられた位置のアミノ酸残基、あるいはタンパク質又はペプチド中の数え上げられた残基に対して類似、相同、又は等価であるアミノ酸残基を指す。本明細書で使用するとき、用語「対応する領域」は、概して、関連するタンパク質又は参照タンパク質中の類似する位置を指す。
用語「から誘導される」及び「から得られる」は、対象とする生物株により産生されるあるいは産生され得るプロテアーゼだけでなく、このような株から単離されるDNA配列によりコードされるプロテアーゼ、及びこのようなDNA配列を含有している宿主生物で産生されるプロテアーゼも指す。更にこれらの用語は、合成DNA配列及び/又はcDNA由来のDNA配列によりコードされ、かつ対象とするプロテアーゼと同一の特徴を有する、プロテアーゼを指す。例示すると、「バチルスから誘導されるプロテアーゼ」は、バチルスにより天然に産生された、タンパク質分解活性を有する酵素、並びにバチルス供給源により産生されるが、遺伝子工学技術の使用を介して、セリンプロテアーゼをコードしている核酸でバチルスではない生物を形質転換することにより産生される、セリンプロテアーゼ様の酵素を指す。
2つの核酸又はポリペプチド配列の文脈において、用語「同一」は、以下の配列比較又は解析アルゴリズムのうちの1つを用いて評価する際に、最も一致するようにアライメントしたときに、2つの配列中の残基が同じものであることを意味する。
本明細書で使用するとき、用語「相同の遺伝子」は、互いに対応し、かつ同一であるか又は互いに非常に類似している、異なるが通常は関連する種由来の遺伝子のペアを指す。用語は、種分化(すなわち、新種の発生)により分離される遺伝子(例えば、オルソロガス遺伝子)、並びに遺伝子複製により分離されている遺伝子(例えば、パラロガス遺伝子)を包含する。
本明細書で使用するとき、用語「相同性」は、配列の類似性又は同一性を指し、同一性を指す方が好ましい。相同性は当該技術分野において既知の標準法により判定することができる(例えば、Smith and Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981);Needleman and Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970);Pearson and Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444(1988);Wisconsin Genetics Software Package(Genetics Computer Group,Madison,WI)のGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTAなどのソフトウェアプログラム;並びにDevereux et al.,Nucl.Acid Res.12:387〜395(1984)を参照されたい)。有用なアルゴリズムの一例はPILEUPである。PILEUPは、累進ペアワイズアライメントを用いて、関連する配列群から複数の配列アライメントを作製する。このアルゴリズムは、アライメントを作製するために使用されるクラスタの関係性を示す、樹形図をプロットすることもできる。PILEUPは、Feng and Doolittleの累進アライメント法を単純化したものを使用する(Feng and Doolittle,J.Mol.Evol.35:351〜360(1987)を参照されたい)。この方法は、Higgins and Sharpにより記載されるものと類似のものである(Higgins and Sharp,CABIOS 5:151〜153(1989))を参照されたい。有用なPILEUPパラメーターは、デフォルトのギャップ・ウェイト:3.00、デフォルトのギャップ長・ウェイト:0.10、及びエンド・ギャップのウェイト化を含む。他の有用なアルゴリズムの例は、Altschul et al.,(Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403〜410,(1990);並びにKarlin et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873〜5787(1993))により記載されるBLASTアルゴリズムである。特に有用なBLASTプログラムは、WU−BLAST−2プログラム(Altschul et al.,Meth.Enzymol.266:460〜480(1996))である。WU−BLAST−2は、いくつかの検索パラメーターを用いる。このパラメーターのほとんどにデフォルト値を設定する。調節可能なパラメーターは、以下の値に設定する:overlap span=1、overlap fraction=0.125、word threshold(T)=11。HSP S及びHSP S2パラメーターは、動的な値であり、検索される対象となる配列に対し、特定のデータベースの特定の配列及び組成物の組成に基づきプログラム自体によって制定される。しかしながら、値は感度が上昇するよう調整することができる。
参照配列と対象とする試験配列との配列同一性は、当業者により用意に判定することができる。ポリヌクレオチド又はポリペプチド配列により共有される同一性は、配列をアライメントし、当該技術分野において既知の方法により同一性を判定することによって分子間での配列情報を直接比較することにより、判定される。配列類似性を判断するのに好適なアルゴリズムの例は、BLASTアルゴリズムである。このアルゴリズムは、Altschul,et al.,J.Mol.Biol.215:403〜410(1990)に記載されている。BLAST解析を実行するためのソフトウェアは、米国国立生物工学情報センター(the National Center for Biotechnology Information)により公開されている。このアルゴリズムは、まず始めに、データベース配列中の同じ長さのワードとアライメントさせた場合に、クエリー配列中の、何らかの正に値付けされた閾値スコアTと一致するか又は基準を満たす長さWの短い配列を同定することで、HSP(high scoring sequence pairs)を同定することを包含する。これらの最初に隣接するワードは、ヒットすると、それらのワードを含有しているより長いHSPを発見するための開始点として機能する。ワードのヒットは、累積アライメントスコアが増加し得る限り、比較される2つの配列の各々の両方向に向かって進められる。ヒットするワードの延長は、累積アライメントスコアが、得られる最大の値から、数量Xだけ落ち込んだ場合、累積スコアが0以下になった場合、又はいずれかの配列が末端に達した場合に停止される。BLASTアルゴリズムパラメーターW、T、及びXは、アライメントの感度及び速度を決定する。BLASTプログラムは、デフォルトとして、ワード長(W):11、BLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff & Henikoff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915,(1992)を参照されたい)アラインメント(B):50、期待値(E):10、M’5、N’−4、及び両鎖の比較を使用する。
次に、BLASTアルゴリズムは2つの配列間の類似性について統計解析を実施する(例えば、Karlin and Altschul,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 90:5873〜5787,(1993)を参照されたい)。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の測定法のうちの1つは、偶然に生じ得る2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間の一致による見込みを識別する、最小合計類似度(smallest sum probability)(P(N))である。例えば、試験核酸をセリンプロテアーゼの核酸と比較した際の最小合計類似度が、約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、及び最も好ましくは約0.001未満である場合、核酸は本発明のセリンプロテアーゼ核酸と類似していると考えられる。セリンプロテアーゼポリペプチドをコードしている試験核酸は、最小合計類似度の比較結果が約0.5未満、及びより好ましくは約0.2未満である場合に、特定のセリンプロテアーゼ核酸と類似していると考えられる。
2つ以上の核酸又はポリペプチド配列についての文脈において、「同一性(percent identical又はpercent identity)」は、2つ以上の配列を最も一致するように比較及びアライメントし、配列比較アルゴリズムを用いて又は目視検査を用いて判定したときに、2つ以上の配列が、同一であるか、あるいは核酸残基又はアミノ酸残基と、表記される割合で同一であることを指すものである。参照(すなわち、クエリー)アミノ酸配列に対する、対象とするアミノ酸配列の、「配列同一性」又は「同一性(%)」又は「配列同一性(%)」又は「アミノ酸配列同一性」は、対象とするアミノ酸配列が、配列を最適にアライメントした際の比較長さにわたってクエリーアミノ酸配列に対して表記される割合(すなわち、アミノ酸とアミノ酸を並べたときの同一度)だけ同一であることを意味する。したがって、2つのアミノ酸配列に対するアミノ酸配列同一性80%又は同一性80%は、最適にアライメントした2つのアミノ酸配列中のアミノ酸残基のうち80%が同一であることを意味する。
参照(すなわち、クエリー)核酸配列に対する、対象とする核酸配列の、「配列同一性」又は「同一性(%)」又は「配列同一性(%)」又は「核酸配列同一性(%)」は、対象とする核酸配列が、配列を最適にアライメントした際の比較長さにわたってクエリー配列に対して表記される割合(すなわち、ヌクレオチドとヌクレオチドを並べたときの同一度)だけ同一であることを意味する。したがって、2つの核酸配列に対するヌクレオチド配列同一性80%又は同一性80%は、最適にアライメントした2つの核酸配列中のヌクレオチド残基のうち80%が同一であることを意味する。
一態様では、クエリー配列に対する対象とする配列の「配列同一性又は配列同一性(%)」、又は「同一性(%)」は、2つの配列を最適にアライメントし、比較長さにわたって、2つの最適にアライメントした配列を比較することで、算出することができる。最適なアライメントにおいて、両方の配列の残基が一致している位置の数は、一致する位置の数を求め、一致する位置の数を比較長さ(別途記載のない限り、クエリー配列の長さである)のうちの位置の合計数で除することで決定される。得られる数に100を乗じることで、クエリー配列に対する対象とする配列の配列同一性を算出する。
「最適なアライメント」又は「最適にアライメントされた」は、最も高い同一性のスコアを与える、2つ(又は2つ以上)の配列のアライメントを指す。例えば、2つのタンパク質配列の最適なアライメントは、各配列中の同一のアミノ酸残基が最多数アライメントされるように、配列を手動でアライメントさせることで、あるいはソフトウェアプログラム又は本明細書に記載の若しくは当該技術分野において既知の手順を用いることで、達成することができる。例えば、2つの核酸配列の最適なアライメントは、各配列中の同一のヌクレオチド残基が最多数アライメントされるように、配列を手動でアライメントさせることで、あるいはソフトウェアプログラム又は本明細書に記載の若しくは当該技術分野において既知の手順を用いることで、達成することができる。
一態様では、2つのポリペプチド配列は、配列対に関し可能性のある最も高い類似性スコアが得られるように、定義されたアミノ酸置換行列、ギャップ開始ペナルティ(ギャップオープンペナルティとも呼ばれる)、及びギャップ伸長ペナルティなどの定義されたパラメーターを用いてアライメントされたときに、「最適にアライメントされた」と見なされる。BLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff and Henikoff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89(22):10915(1992))は、多くの場合、ポリペプチド配列のアラインメントアルゴリズム(BLASTPなど)において、デフォルトのスコアリング置換マトリックス(scoring substitution matrix)として使用される。アライメントされた配列のうちの一方に導入された単独のアミノ酸ギャップに対し、ギャップ開始ペナルティが課せられ、ギャップの各残基位置に対しギャップ伸長ペナルティが課せられる。採用される例示的なアライメントパラメーターは:BLOSUM62スコア行列、ギャップ開始ペナルティ=11、及びギャップ伸長ペナルティ=1である。アライメントスコアは、アラインメントが開始及び終了する(例えば、アライメント・ウインドウ)各配列のアミノ酸位置によって、及び、最も高い類似性スコアが得られるように、配列の他方又は両方に1つ以上のギャップを挿入することによっても、決定される。
2つ以上の配列同士の最適なアラインメントは、目視確認により、又は限定するものではないが、例えば、アミノ酸配列に関してはBLASTPプログラム、及び核酸配列に関してはBLASTNプログラムなどのようにコンピュータを用いることにより、手動で判定することができる(例えば、Altschul et al.,Nucleic Acids Res.25(17):3389〜3402(1997);同様にNational Center for Biotechnology Information(NCBI)ウェブサイトを参照されたい)。
対象とするポリペプチドは、対象とするポリペプチドが、参照ポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は少なくとも約99.5%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む場合、参照ポリペプチドと「実質的に同一」であるものとして参照される。2つのこのようなポリペプチド間の同一性(%)は、最適に整列された2つのポリペプチド配列を目視確認することにより、又は標準的なパラメーターを用いるソフトウェアプログラム又はアルゴリズム(例えば、BLAST、ALIGN、CLUSTAL)を使用することで、手入力で判定することができる。2つのポリペプチドが実質的に同一であることの1つの指標としては、第1ポリペプチドが、第2ポリペプチドと免疫的に交差反応性であることが挙げられる。典型的には、保存的なアミノ酸置換により異なるポリペプチドは、免疫学的に交差反応性である。したがって、例えば、2つのペプチドが、保存的なアミノ酸置換のみ、又は1つ以上の保存的なアミノ酸置換のみで異なっている場合、このポリペプチドは第2ポリペプチドと実質的に同一である。
対象とする核酸は、対象とする核酸が、参照核酸のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は少なくとも約99.5%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む場合、参照核酸と「実質的に同一」であるものとして参照される。2つのこのような核酸間の同一性(%)は、最適に整列された2つの核酸配列を目視確認することにより、又は標準的なパラメーターを用いるソフトウェアプログラム又はアルゴリズム(例えば、BLAST、ALIGN、CLUSTAL)を使用することで、手入力で判定することができる。厳密な条件下(例えば、中程度に厳密〜非常に厳密という範囲)で、2つの核酸分子が互いにハイブリッド形成することは、核酸配列が実質的に同一であることの1つの指標になる。中程度に厳密な条件〜非常に厳密な条件下、又は最も厳密な条件下で、配列番号9、配列番号10、又は配列番号11のポリヌクレオチド配列とハイブリッド形成させることのできるポリヌクレオチド配列を含む核酸によりコードされるプロテアーゼ変異体は、それぞれ配列番号6、配列番号7、又は配列番号8のうちの任意のポリペプチド配列を有するプロテアーゼ変異体と「等価」であると見なすことができる。
核酸又はポリヌクレオチドは、他の成分(例えば、限定するものではないが、他のタンパク質、核酸、細胞など)から一部又は完全に分離された場合に「単離」されたことになる。同様に、ポリペプチド、タンパク質又はペプチドは、他の成分(例えば、限定するものではないが、他のタンパク質、核酸、細胞など)から一部又は完全に分離された場合に「単離」されたことになる。単離された種は、組成物中の他の種よりもモルベースで豊富に含まれる。例えば、単離種は、存在するすべての高分子種のうち、少なくとも約50%、70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%(モルベース)を構成する。好ましくは、対象種は、本質的に均一に精製される(すなわち、従来の検出方法により組成物への他種の混入が検出されることはない)。純度及び均一度は、タンパク質又は核酸試料をアガロース又はポリアクリルアミドゲル電気泳動後に染色により可視化するなどの、当業者に周知である数多くの手法を用い測定することができる。必要に応じて、高解像度の技術、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)又は同様の手法を用いて材料を精製することができる。
核酸又はポリペプチドに使用される場合、用語「精製した」は、概して、当業者に周知の解析技術により測定した場合に、核酸又はポリペプチドが他の成分を本質的に含まないことを意味する(例えば、精製ポリペプチド又はポリヌクレオチドは、電気泳動ゲルで、クロマトグラフィーによる溶出で、及び/又は密度勾配遠心分離にかけた媒質中で、別個のバンドを形成する)。例えば、電気泳動ゲルで本質的に1本のバンドのみが生じる核酸又はポリペプチドは、「精製されている」。精製された核酸又はポリペプチドは、少なくとも純度約50%であり、通常、少なくとも純度約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、又は99.8%以上である(例えば、モルベースの重量%で)。これに関連し、本発明は、本発明の1種以上のポリペプチド又はポリヌクレオチドなどの、本発明に関する1種以上の分子について組成物を濃縮する方法を提供する。精製又は濃縮技術の適用後に分子の濃度が実質的に上昇している場合、この組成物はその分子について濃縮されている。本発明の、実質的に純粋なポリペプチド又はポリヌクレオチド(例えば、それぞれ、本発明のプロテアーゼ変異体をコードしている実質的に純粋なプロテアーゼ変異体又はポリヌクレオチド)は、通常、特定の組成物中で、すべての高分子種の少なくとも約55重量%、60重量%、70重量%、80重量%、85重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%又は99.5重量%以上(モルベースで)を構成する。
これに関連し、本発明は、本発明に関する1種以上のポリペプチド(例えば、本発明に関する1種以上のプロテアーゼ変異体)、あるいは本発明に関する1種以上の核酸(例えば、本発明に関する1種以上のプロテアーゼ変異体をコードしている1種以上の核酸)などといった、本発明に関する1種以上の分子について組成物を濃縮する方法を提供する。精製又は濃縮技術の適用後に分子の濃度が実質的に上昇している場合、この組成物はその分子について濃縮されている。実質的に純粋なポリペプチド又はポリヌクレオチドは、通常、特定の組成物中で、すべての高分子種の少なくとも約55重量%、60重量%、70重量%、80重量%、85重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%又は99.5重量%以上(モルベースで)を構成する。
本明細書で使用するとき、用語「コンビナトリアルな変異導入」は、参照核酸配列の核酸変異体に関するライブラリを作製する方法を指す。これらのライブラリでは、変異体は所定の変異組から選択された1つ以上の変異を含有している。この方法は、所定の変異組のメンバーではないランダム変異を導入する手段も提供する。このような手法のうちのいくつかのものは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,582,914号に記載されている。このようなコンビナトリアルな変異導入法のうちのいくつかのものは、市販のキット(例えば、QuikChange(登録商標)多部位特異的変異導入キット(Stratagene))で具現されている方法を包含する。
本明細書で使用するとき、プロテアーゼ変異体と関連させて使用される「改良された特性を有する」は、対応する参照プロテアーゼ(例えば、野生型又は天然に生じるプロテアーゼ)と比較した場合に、プロテアーゼ変異体が改良されていること、すなわち洗浄性能若しくはクリーニング性能が強化されていること、及び/又は場合により洗浄又はクリーニング性能は保持されたまま安定性が改良されていること若しくは強化されていることを意味する。プロテアーゼ変異体の特性の改良には、洗浄又はクリーニング性能の改良及び/又は安定性の改良が含まれ得る。一態様では、本発明は、次の特性:参照プロテアーゼ(例えば、野生型サブチリシンなどの野生型プロテアーゼ)と比較した場合に、手洗い性能の改良、食器手洗い若しくは手動洗浄性能の改良、自動食器洗浄性能の改良、洗濯性能の改良、及び/又は安定性の改良のうち1つ以上を呈する、本発明に関するプロテアーゼ変異体を提供する。
本明細書で使用するとき、用語「機能アッセイ」は、タンパク質活性の指標を提供するアッセイを指す。一部の実施形態では、この用語は、タンパク質が通常の性能で機能できるかに関して解析されるアッセイ系を指す。例えば、酵素の場合、機能アッセイは反応触媒時の酵素の効力を判定することを包含する。
本明細書で使用するとき、用語「標的特性」は、開始遺伝子から変更されることになる特性を指す。本発明が、任意の特定の標的特性に制限されることは意図しない。しかしながら、一部の実施形態では、標的特性は遺伝子産物の安定性(例えば、変性、タンパク質分解性又は他の分解要因に対する抵抗性)である一方、他の実施形態では、産生宿主による産生レベルが変更される。
本明細書で使用するとき、用語「特性」又はそれらの文法的に等価な表現は、核酸に関する文脈において、選別又は検出が可能な核酸の任意の特性若しくは属性を指す。これらの特性としては、限定するものではないが、ポリペプチドに対する結合性に影響する特性、特定の核酸を含む細胞に与えられた特性、遺伝子の転写に影響を与える特性(例えば、プロモーター強度、プロモーター認識、プロモーター制御、エンハンサー機能)、RNAのプロセシング(例えば、RNAスプライシング、RNA安定性、RNA認識、及び転写後修飾)に影響を与える特性、翻訳に影響を与える特性(例えば、強度、制御、リボソームタンパク質に対するmRNAの結合、翻訳後修飾)が挙げられる。例えば、核酸の、転写因子、ポリメラーゼ、制御因子などの結合部位を変更させることで、所望の特性を生成すること、又は所望されない特性を確認することができる。
本明細書で使用するとき、用語「特性」又はそれらの文法的に等価な表現は、ポリペプチド(タンパク質を包含する)に関する文脈において、選別又は検出が可能なポリペプチドの任意の特性若しくは属性を指す。これらの特性としては、限定するものではないが、酸化安定性、基質特異性、触媒活性、酵素活性、熱安定性、アルカリ安定性、pH活性プロファイル、タンパク質分解耐性、KM、kcat、kcat/kM比、タンパク質フォールディング、免疫応答の誘導、リガンドに対する結合能、受容体に対する結合能、分泌され得るか否か、細胞の表面に提示され得るか否か、多量体化し得るか否か、シグナル伝達し得るか否か、細胞の増殖を阻害し得るか否か、アポトーシスを誘導し得るか否か、リン酸化又はグリコシル化により修飾され得るか否か、及び/又は病気を処置し得るか否かなどが挙げられる。
本明細書で使用するとき、用語「スクリーニング」は、当該技術分野で通常使用される意味を有する。スクリーニングプロセスの一実施例では、変異型核酸、又はこの核酸にコードされているポリペプチド変異体が提供され、変異型核酸又は変異型ポリペプチドの特性はそれぞれ評価され、又は測定される。変異型核酸又は変異型ポリペプチドの特性は、測定後にそれぞれ対応する前駆体(親)核酸又は対応する親ポリペプチドの特性と比較することもできる。
開始材料の特性に応じて、特性の変更された核酸又はタンパク質を得る際のスクリーニング手順は当事者には明白であろう。このような変異型核酸の生成により、開始材料の改変が促進されることが意図される。したがって、当事者は、本発明が、スクリーニングされる任意の特定の特性に制限されるものではなく、以下の特性に関する記載は、例示目的のみで掲載されるものであることを認識する。任意の特定の特性に関するスクリーニング方法は、一般的に当該技術分野で記載されているものである。例えば、ある方法では、変異の前後の結合性、pH、特異性などを測定することができる。変化は変更を示す。好ましくは、スクリーニングは、複数の試料を同時にスクリーニングする、例えば、限定するものではないが、チップを利用するアッセイ、ファージディスプレイ、並びに複数の基質及び/又は指示薬を包含する、高スループットな方式で実施される。
本明細書で使用するとき、一部の実施形態では、スクリーニングプロセスは、対象とする変異体を変異体集団から濃縮する選別工程を一工程以上包含する。これらの実施形態の例としては、宿主生物に増殖優位性を与える変異体の選別、並びにファージディスプレイ又は任意の他のディスプレイ法が挙げられる。ディスプレイ法では、変異体の結合特性又は触媒特性に基づき、変異体を変異体集団から捕捉することができる。一部の実施形態では、変異体ライブラリはストレス(熱、プロテアーゼ、変性)にさらされ、続いてインタクトなままの変異体がスクリーニングにより識別され、又は選別により濃縮される。この用語は、選別に関する任意の好適な手段を包含することを意図するものである。実際のところ、本発明は、任意の特定のスクリーニング方法に制限されることを意図しない。
用語「改変核酸配列」及び「改変遺伝子」は、天然に生じる(即ち、野生型)核酸配列の欠失、挿入又は中断を包含する核酸配列を指すために、本明細書において互換的に使用される。一部の実施形態では、改変された核酸配列による発現産物は、切断型タンパク質である(例えば、改変が配列の欠失又は中断であった場合)。一部の実施形態では、切断型タンパク質は生物活性を保持している。代替的な実施形態では、改変された核酸配列の発現産物は、伸長されているタンパク質である(例えば、改変が核酸配列の挿入を含む場合)。一部の実施形態では、核酸配列にヌクレオチドが挿入されることで、切断型タンパク質が得られる(例えば、挿入により停止コドンが形成される場合)。したがって、挿入により、発現産物として、切断型タンパク質又は伸長型タンパク質のいずれかが生じ得る。
「変異型」核酸配列は、典型的には、変異型核酸配列の発現産物が、野生型タンパク質と比較してアミノ酸配列が変更されたタンパク質になるような、少なくとも1つのコドンの変更を宿主細胞の野生型配列中に有する核酸配列を指す。発現産物の機能的能力は変更されてもよい(例えば、酵素活性が増強されるなど)。
本明細書で使用するとき、語句「基質特異性の変更」は、酵素の基質特異性における変化を指す。一部の実施形態では、基質特異性の変化は、酵素の変異、又は反応条件の変更により生じる、特定の基質に対するkcat及び/又はKmの変化として定義される。酵素の基質特異性は、異なる基質に対して呈する、触媒効率を比較することで測定することができる。概して、対象とする基質に対するkcat/Km比がより大きい変異体酵素を産生することが所望されることから、これらの定量は、変異型酵素の効率を評価する特定の用途で見られる。しかしながら、本発明は、特定の基質組成物又は基質特異性に制限されることを意図しない。
本明細書で使用するとき、「表面特性」は、静電荷、並びにタンパク質の表面により示される疎水性及び親水性などの特性に関して使用される。
用語「熱的に安定な」及び「熱安定」及び「熱安定性」は、タンパク質分解、加水分解、クリーニング、又は本発明の他のプロセス(例えば、温度が変更されるなど)時に一般的に適用される条件下で、所定の時間にわたって所定の温度に曝露した後でも、特定の程度の酵素活性をプロテアーゼが保持していることを意味する。温度変更としては、温度の上昇及び低下が挙げられる。一部の実施形態では、プロテアーゼは、例えば、変更された温度に少なくとも約60分、約120分、約180分、約240分、約300分などの所定の時間にわたって曝露された後に、少なくとも約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約92%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%のタンパク質分解活性を保持する。
酸化安定性、キレート化安定性、熱安定性及び/又はpH安定性のプロテアーゼに関する文脈において、用語「安定性の増加」は、他のプロテアーゼ(例えば、サブチリシンプロテアーゼ)及び/又は野生型酵素と比較した場合に、タンパク質分解活性が経時的により高く維持されていることを意味する。
酸化安定性、キレート化安定性、熱安定性及び/又はpH安定性のプロテアーゼに関する文脈において、用語「安定性の減少」は、他のプロテアーゼ(例えば、サブチリシンプロテアーゼ)及び/又は野生型酵素と比較した場合に、タンパク質分解活性が経時的により低く維持されていることを意味する。
用語「クリーニング活性」は、タンパク質分解、加水分解、クリーニング、又は他の本発明のプロセス時に一般的に適用される条件下で、プロテアーゼ変異体又は参照プロテアーゼにより得られるクリーニング性能を指す。一態様では、物品又は表面上の、1種以上の様々な酵素反応性の染み(例えば、食物、草類、血液、牛乳又は卵タンパク質など)をクリーニングさせる、様々なアッセイを用いることで、プロテアーゼ変異体又は参照プロテアーゼのクリーニング性能を測定することもできる。プロテアーゼ変異体又は参照プロテアーゼのクリーニング性能は、物品又は表面上の染みを標準的な洗浄条件に晒し、及び染みが除去される程度を、様々なクロマトグラフィー、分光光度法、又はその他の定量法を用い評価することで判定できる。例示的なクリーニングアッセイ及び方法としては、限定するものではないが、例えば、国際公開第99/34011号及び米国特許第6,605,458号(いずれも本明細書に参照により組み込まれる)に記載のもの、並びに本発明の以下の実施例に包含されるクリーニングアッセイ及び方法が挙げられる。
用語、プロテアーゼ変異体又は参照プロテアーゼの「クリーニングに有効な量」は、特定のクリーニング組成物中で、所望される程度の酵素活性を達成するようなプロテアーゼ量を意味する。このような有効量は、当業者により容易に確認され、及び使用される具体的なプロテアーゼ、クリーニング用途、クリーニング組成物の具体的な組成、及び必要とされる組成物が液体又は乾燥しているもの(例えば、顆粒状、バー状)のいずれであるのか、などの多くの要因に基づくものである。
用語「クリーニング助剤」は、クリーニング組成物に含まれる、本発明のプロテアーゼ変異体以外の任意の液体、固体、又はガス状の成分を指す。本発明のクリーニング組成物は、クリーニング助剤を1種以上包含し得る。各クリーニング助剤は、典型的には、クリーニング組成物の具体的な種類及び形態(例えば、液体、顆粒、粉末、バー、ペースト、スプレー、錠剤、ゲル;又はフォーム組成物)に基づいて選択される。好ましくは、各クリーニング助剤は、組成物に使用されるプロテアーゼ酵素と適合性がある。
用語「性能が増感された」は、クリーニング活性の文脈において、標準的な洗浄サイクル及び/又は複数回洗浄サイクル後に通常の評価により判定された場合に、卵、牛乳、草類又は血液などの特定の酵素反応性の染みのクリーニング活性が、増加又は増強されていることを指す。
用語「性能が減感された」は、クリーニング活性の文脈において、標準的な洗浄サイクル後に通常の評価により判定された場合に、卵、牛乳、草類又は血液などの特定の酵素反応性の染みのクリーニング活性が、減少又は低下していることを指す。
本発明のプロテアーゼ変異体のクリーニング活性の文脈において、用語「匹敵する性能」は、例えば、限定するものではないが、OPTIMASE(商標)プロテアーゼ(Genencor)、PURAFECT(商標)プロテアーゼ製品(Genencor)、SAVINASE(商標)プロテアーゼ(Novozymes)、BPN’−変異体(例えば、米国再発行特許第34,606号を参照されたい)、RELASE(商標)、DURAZYME(商標)、EVERLASE(商標)、KANNASE(商標)プロテアーゼ(Novozymes)、MAXACAL(商標)、MAXAPEM(商標)、PROPERASE(商標)プロテアーゼ(Genencor;米国再発行特許第34,606号及び米国特許第5,700,676号;同第5,955,340号;同第6,312,936号;及び同第6,482,628号も参照されたい)、及びB.レンタスのプロテアーゼ変異体産物(例えば、国際公開第92/21760号、同第95/23221号及び/又は同第97/07770号に記載のものなど)などの比較又は参照プロテアーゼ(例えば、市販のプロテアーゼ)のクリーニング活性の、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%を意味する。クリーニング性能は、標準的な洗浄サイクル条件後に、通常の分光光度法による又は解析論的な手法を用いて測定する場合、草類、血液又は牛乳などの酵素反応性の染みを対象とする様々なクリーニングアッセイにおいて、本発明のプロテアーゼ変異体を参照サブチリシンプロテアーゼと比較することで判定することができる。
本明細書で使用するとき、本発明の「クリーニング組成物」又は「クリーニング配合物」は、例えば、限定するものではないが、布地、布製物品、食器類、食卓用食器類、ガラス製品、コンタクトレンズ、他の固体基材、毛髪(シャンプー)(ヒト又は動物の毛髪を包含する、皮膚(石鹸又は及びクリーム)、歯(マウスウォッシュ、歯磨き粉)、物品又は対象物の表面(例えば、硬質表面、例えば、テーブル、卓上、壁、家具、床、天井、非食器類、非食卓用食器類などの硬質表面)、コンタクトレンズなどが挙げられる、クリーニングされる対象物、物品、又は表面から、化合物(例えば、所望されない化合物)を除去又は排除するのに有用な本発明の任意の組成物を指す。クリーニング組成物は、その組成が、組成物に使用されるプロテアーゼ及び他の酵素と適合するのであれば、所望されるクリーニング組成物の具体的な種類及び製品形態(例えば、液体組成物、ゲル組成物、顆粒組成物、又はスプレー組成物)に即して選択される任意の成分及び/又は添加化合物を包含する。クリーニング組成物の成分の具体的な選別は、クリーニングされる表面、対象物、物品、又は布地を考慮することにより、及び使用時のクリーニング条件に所望される組成物の形態を考慮することにより、容易に行われる。
クリーニング組成物及びクリーニング配合物は、任意の対象物、物品、及び/又は表面をクリーニング、漂白、消毒、及び/又は殺菌するのに好適な任意の組成を含む。このような組成物及び配合物としては、限定するものではないが、例えば、クリーニング又は洗剤組成物(例えば、液体、錠剤、ゲル、顆粒、及び/又は固形洗濯洗浄又は洗剤組成物及びおしゃれ着用洗剤組成物など);硬質表面クリーニング組成物及び配合物(例えば、ガラス、木、セラミック及び金属製のカウンター及び窓);カーペットクリーナー;オーブンクリーナー;布地フレッシュナー;布地柔軟剤;及び繊維製品、洗濯用洗浄性能増進(laundry booster)クリーニング又は洗剤組成物、洗濯用添加型クリーニング組成物、及び洗濯物の染み抜き用クリーニング組成物;食器洗浄用組成物、例えば、食器手洗い用又は食器手動洗浄用組成物(例えば、食器手洗い用又は食器手動洗浄用の洗剤)及び食器自動洗浄用組成物(例えば、食器自動洗浄用洗剤)などの液体及び/又は固形組成物が挙げられる。
本明細書で使用するとき、クリーニング組成物又はクリーニング配合物としては、別途記載のない限り、顆粒型又は粉末型汎用又は強力洗浄剤、特に、クリーニング洗剤;液体型、顆粒型、ゲル型、固形、錠剤型又はペースト型汎用洗浄剤、特にいわゆる強力液体(HDL)洗剤又は強力粉末洗剤(HDD)型;液体リネン洗剤;高起泡型のものを含む食器手洗い又は食器手洗い洗剤;食器手洗い又は食器手洗浄、食器自動洗浄、又は家事用及び業務用の様々な錠剤型、粉末型、固形、顆粒型、液体型、ゲル型及びすすぎ助剤型の食器類若しくは食卓用食器類洗浄剤;抗菌手洗浄型のもの、クリーニングバー、マウスウォッシュ、義歯クリーナー、カーシャンプー、カーペットシャンプー、風呂場クリーナーなどの液体クリーニング及び消毒剤;ヒト及び他の動物用毛髪用シャンプー及び/又は毛髪リンス;シャワージェル及びバブルバス及び金属クリーナー;加えて漂白添加剤及び「染み抜き剤」又は前処理型のクリーニング助剤;が挙げられる。一部の実施形態では、顆粒状組成物は「コンパクト」形態であり;一部の実施形態では、液体組成物は「濃縮された」形態である。
本明細書で使用するとき、「布地クリーニング組成物」としては、洗濯用助剤組成物などの手動洗濯用及び自動洗濯機用洗剤組成物、並びに染みの付いた布地(例えば、衣類、下着、及び他の繊維製品)の浸け置き及び/又は前処理に使用するのに好適な組成物が挙げられる。
本明細書で使用するとき、「非布地クリーニング組成物」としては、限定するものではないが、例えば、食器手洗い用若しくは食器手動洗浄用又は自動食器洗浄用洗剤組成物、口腔洗浄用組成物、義歯洗浄用組成物、及びパーソナルクレンジング組成物などの、非織物(すなわち、非布地)表面用のクリーニング組成物が挙げられる。
本明細書で使用するとき、用語「洗剤組成物」又は「洗剤配合物」は、特定の布地及び/又は非布製対象物又は物品を包含する汚れた又は泥のついた対象物のための、洗浄媒質に使用することが意図される、組成物を参照する際に使用される。本発明のこのような組成物は、任意の特定の洗剤組成物又は洗剤配合物に限定されない。実際に、一部の態様では、本発明の洗剤は、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種に加え、界面活性剤、転移酵素、加水分解酵素、酸化還元酵素、ビルダー(例えば、ビルダー塩など)、漂白剤、漂白活性化剤、ブルーイング剤、蛍光染料、ケーキング防止剤、マスキング剤、酵素活性化剤、抗酸化物質、及び/又は可溶化剤を1種以上含有する。場合によっては、ビルダー塩はケイ酸塩とリン酸塩の混合物であり、好ましくはケイ酸塩(例えば、メタケイ酸ナトリウム)をリン酸塩(例えば、トリポリリン酸ナトリウム)よりも多く含む。例えば、限定するものではないが、クリーニング組成物又は洗剤組成物などの、本発明の一部の組成物は、リン酸塩(例えば、リン酸塩又はリン酸塩ビルダー)を含有しない。
本明細書で使用するとき、用語「漂白」は、物質の増白(すなわち、ホワイトニング)(すなわち、増白化)及び/又はクリーニングをもたらすのに十分な長さの時間にわたる並びに/あるいは適切なpH下での並びに/あるいは温度条件下での物質(例えば、布地、洗濯物、パルプなど)又は表面の処理を指す。漂白に好適な化学物質の例としては、限定するものではないが、例えば、ClO2、H2O2、過酸、NO2、などが挙げられる。
本明細書で使用するとき、プロテアーゼ(例えば、本発明のプロテアーゼ変異体)の「洗浄性能」は、プロテアーゼ変異体が、組成にプロテアーゼ変異体を加えていない洗剤と比較して、追加のクリーニング性能を洗剤に提供するよう、洗浄に貢献することを指す。洗浄性能は、関連する洗浄条件下で比較される。一部の試験系では、洗剤組成物、泡濃度、水硬度、洗浄機構、時間、pH、及び/又は温度などの他の関連する要因を、特定の市場区分における典型的な家事用途の条件(例えば、食器手洗い又は食器手動洗浄、食器自動洗浄、食器類クリーニング、食卓用食器類クリーニング、及び布地クリーニングなど)に限定されるような様式に調節することもできる。
本明細書では、用語「関連する洗浄条件」は、実際に、食器手洗い、自動食器洗浄、又は洗濯洗剤市場区分に含まれる家事で使用される、特に、洗浄温度、時間、洗浄機構、泡濃度、洗剤及び水硬度の型などの条件を意味するために使用される。
用語「改良された洗浄性能」は、関連する洗浄条件下で、染み除去において、より良好な仕上がり結果が得られること、あるいは対応する野生型又は開始親プロテアーゼと比較して同様の仕上がり結果を得るにあたり必要とされるプロテアーゼ変異体が、重量ベースでより少量になることを意味して使用される。
本明細書で使用するとき、用語「消毒」は、表面からの汚染物の除去、並びに物品表面上に存在する微生物を抑制又は殺傷することを指す。本発明は、任意の特定の表面、物品、又は除去される汚染物若しくは微生物に限定されることを意図しない。
本明細書では、「コンパクト」形態のクリーニング組成物は、最も密度が反映されるものであり、組成の点で言えば無機充填剤塩の量が反映される。無機充填剤塩は、粉末形態の洗剤組成物の従来成分である。一般的な洗剤組成物では、充填剤塩は、典型的には組成物の合計量の約17〜約35重量%相当の量で存在する。対照的に、コンパクト組成物では、充填剤塩は、組成物の合計量の約15重量%以下の量で存在する。一部の実施形態では、充填剤塩は、組成物の約10重量%以下、より好ましくは約5%重量以下の量で存在する。一部の実施形態では、無機充填剤塩は、硫酸及び塩酸の、アルカリ塩及びアルカリ土類金属塩から選択される。一部の実施形態では、充填剤塩は硫酸ナトリウムである。
所定のアミノ酸配列中のアミノ酸残基の位置は、典型的には、本明細書において、配列番号2で示されるB.アミロリケファシエンス(B. amyloliquefaciens)のサブチリシンBPN’アミノ酸配列の、対応するアミノ酸残基の位置に対して割り振られた番号を使用して、番号付けされる。したがって、配列番号2の、B.アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列は、参照配列として機能する。本明細書に記載されるプロテアーゼ変異体のアミノ酸配列などの、所与のアミノ酸配列を、本明細書に記載されるような整列アルゴリズムを使用してBPN’配列(配列番号2)と整列させることができ、及びサブチリシンBPN’配列中の対応するアミノ酸残基を参照することで、BPN’配列中のアミノ酸残基と整列させた(好ましくは部分的に整列させた)所与のアミノ酸配列中のアミノ酸残基を都合よく番号付けすることができる。例えば、本発明のプロテアーゼ変異体PX4は、配列番号1に対して6個のアミノ酸置換N76D+S87R+G118R+S128L+P129Q+S130Aを含むアミノ酸配列を含む、配列番号1で示されるプロテアーゼGG36のプロテアーゼ変異体として記載することができ、プロテアーゼ変異体PX4のアミノ酸残基の位置は、配列番号2で示されるサブチリシンBPN’のアミノ酸配列において対応するアミノ酸位置に割り振られた番号に従って番号付けされ、PX4のアミノ酸配列をサブチリシンBPN’のアミノ酸配列と整列させることで決定される。
あるいは、プロテアーゼ変異体PX4の配列中のアミノ酸残基の位置が、GG36のアミノ酸配列(配列番号1)中のアミノ酸残基の位置に実際に割り振られた番号を使用して番号付けされ、整列時のBPN’配列の対応するアミノ酸位置は参照されない場合、プロテアーゼ変異体PX4は、6個のアミノ酸置換N74D+S85R+G116R+S126L+P127Q+S128Aを含むアミノ酸配列を含む、配列番号1を示すプロテアーゼGG36のプロテアーゼ変異体として記載することができる。
概して、本明細書で使用する命名法、並びに以下に記載される細胞培養、分子遺伝学、分子生物学、核酸化学、及びタンパク質化学的な実験手順の多くは周知のものであり、当業者により一般的に採用される。Sambrook et al.,Molecular Cloning−−A Laboratory Manual(2nd Ed.),Vols.1〜3,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989(以降「Sambrook」として参照)、及びCURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,F.M.Ausubel et al.,eds.,Current Protocols,a joint venture between Greene Publishing Associates,Inc.and John Wiley & Sons,Inc.(1994、1999にかけて補足)(以降「Ausubel」として参照)に記載されるものなどの標準技法が、核酸組み換え法、核酸合成法、細胞培養法及び導入遺伝子の組み込み法、例えば、形質移入法、電気穿孔法に使用される。オリゴヌクレオチドの合成工程及び精製工程は、典型的には本明細書に従って実施される。概して技術及び手法は、当業者に周知の従来法、並びに本文書を通して提供される様々な一般参照に従って実施される。それらの手順は当業者に周知のものであると考えることができ、読み手には便宜上提供される。
本発明のポリペプチド
本発明は、総じて「本発明のポリペプチド」として参照することのできる新規ポリペプチドを提供する。本発明のポリペプチドとしては、単離されたプロテアーゼ変異体ポリペプチド、組み換えプロテアーゼ変異体ポリペプチド、実質的に純粋なプロテアーゼ変異体ポリペプチド又は非天然に生じるプロテアーゼ変異体ポリペプチドが包含され、例えば、酵素活性(例えば、タンパク質分解活性)を有するサブチリシン変異体ポリペプチドが包含される。一態様では、本発明のポリペプチドは、クリーニング用途に有用であり、クリーニングされる必要のある物品又は表面(例えば、物品表面)のクリーニング方法に有用なクリーニング組成物に組み込むことができる。
一態様では、本発明のプロテアーゼ変異体には、「サブチリシン変異体」が含まれる。一態様では、本発明は、「バチルス種(Bacillus sp.)のプロテアーゼ変異体」を提供する。一態様では、本発明は、「バチルス種のサブチリシン変異体」を提供する。
一態様では、本発明は、タンパク質分解活性を有する単離されたプロテアーゼ変異体ポリペプチド、組み換えプロテアーゼ変異体ポリペプチド、実質的に純粋なプロテアーゼ変異体ポリペプチド又は非天然に生じるプロテアーゼ変異体ポリペプチドを包含し、このポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列に対し少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、又は100%の配列同一性を有するポリペプチド配列からなり、上記プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列は、配列番号1の位置76、87、118、128、129、130、188、及び244のそれぞれのアミノ酸残基に異なるアミノ酸残基による置換を含み、各アミノ酸位置は、プロテアーゼ変異体の配列番号2で示されるアミノ酸配列をバチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列と整列させることで決定される(図1を参照されたい)、バチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列中の対応するアミノ酸位置に割り振られた番号に従って番号付けされる。一態様では、このようなプロテアーゼ変異体にはサブチリシン変異体が含まれる。
他の態様では、本発明は、タンパク質分解活性を有する単離されたプロテアーゼ変異体ポリペプチド、組み換えプロテアーゼ変異体ポリペプチド、実質的に純粋なプロテアーゼ変異体ポリペプチド又は非天然に生じるプロテアーゼ変異体ポリペプチド(例えば、サブチリシン変異体)を包含し、上記プロテアーゼ変異体は、配列番号1のアミノ酸配列に対し少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、又は100%の配列同一性を有し、上記プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列は、配列番号1の位置76、87、118、128、129、130、188、及び244のそれぞれのアミノ酸残基に異なるアミノ酸残基による置換を含み、各アミノ酸位置は、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列を配列番号2で示されるバチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列と整列させることで決定される(図1を参照されたい)、バチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列中の対応するアミノ酸位置に割り振られた番号に従って番号付けされる。同様に、単離されたプロテアーゼ変異体ポリペプチド、組み換えプロテアーゼ変異体ポリペプチド、又は非天然に生じるプロテアーゼ変異体ポリペプチドも提供され、上記プロテアーゼ変異体は、配列番号1のアミノ酸配列に対し少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、上記プロテアーゼ変異体アミノ酸配列は、配列番号1の位置76、87、118、128、129、130、188、及び244のそれぞれのアミノ酸残基に異なるアミノ酸残基による置換を含み、各アミノ酸位置は、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列を配列番号2で示されるバチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列と整列させることで決定される、バチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列中の対応するアミノ酸位置に割り振られた番号に従って番号付けされる。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものでは、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列が、配列番号1のアミノ酸位置76、87、118、128、129、130、188、及び244のそれぞれのアミノ酸残基に異なるアミノ酸残基による置換を含むことから、−2、−1、0、+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、若しくは+8の合計電荷を有するプロテアーゼ変異体が生成され、又は一態様では、プロテアーゼ変異体は、−2、−1、0、+1、+2、+3、若しくは+4、又は一態様では、−2、−1、0、+1、若しくは+2、又は一態様では、+1の合計電荷を有する。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものでは、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列において、(i)位置76及び188のそれぞれのアミノ酸残基は、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群から選択された、負電荷をもつアミノ酸残基により置換され;(ii)位置87、118、及び244のそれぞれのアミノ酸残基は、アルギニン、ヒスチジン、及びリシンからなる群から選択された、正電荷をもつアミノ酸残基により置換され;並びに(iii)位置128、129、及び130のそれぞれのアミノ酸残基は、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、アラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる群から選択された、中性のアミノ酸残基により置換される。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものでは、上記プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列は、アミノ酸置換N76D+S87R+G118R+S128L+P129Q+S130A+S188D+V244Rを含む。一態様では、プロテアーゼ変異体は、配列番号8で示されるアミノ酸配列を含む。
他の態様では、本発明は、タンパク質分解活性を有する単離されたポリペプチド、組み換えポリペプチド、実質的に純粋なポリペプチド又は非天然に生じるポリペプチドを包含し、ポリペプチドは、配列番号6、配列番号7、及び配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、又は100%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。
一態様では、本発明は、タンパク質分解活性を有する単離されたプロテアーゼ変異体、組み換えプロテアーゼ変異体、実質的に純粋なプロテアーゼ変異体又は非天然に生じるプロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)を提供し、上記プロテアーゼ変異体は、配列番号1のアミノ酸配列に対し少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、上記プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列は、配列番号1に対するアミノ酸位置76、87、118、128、129、及び130のそれぞれのアミノ酸残基に異なるアミノ酸残基による置換を含み、かつ(i)アミノ酸位置188のセリン残基、若しくはアスパラギン酸残基ではない異なるアミノ酸残基による位置188のセリン残基の置換、及び/又は(ii)アミノ酸位置248のアスパラギン残基、若しくはアルギニン残基ではない異なるアミノ酸残基による位置248のアスパラギン残基の置換を含み、アミノ酸位置は、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列を、配列番号1で示されるバチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列と整列させることで決定される(図1を参照されたい)、バチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列中の対応するアミノ酸位置に割り振られた番号に従って番号付けされる。
同様に、タンパク質分解活性を有する単離されたプロテアーゼ変異体、組み換えプロテアーゼ変異体、実質的に純粋なプロテアーゼ変異体又は非天然に生じるプロテアーゼ変異体も提供し、上記プロテアーゼ変異体は、配列番号1のアミノ酸配列に対し少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、上記プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列は、配列番号1に対するアミノ酸位置76、87、118、128、129、及び130のそれぞれのアミノ酸残基に、異なるアミノ酸残基による置換を含み、かつ(i)アミノ酸位置188のセリン残基、若しくはアスパラギン酸残基ではない異なるアミノ酸残基による位置188のセリン残基の置換、及び/又は(ii)アミノ酸位置248のアスパラギン残基、若しくはアルギニン残基ではない異なるアミノ酸残基による位置248のアスパラギン残基の置換を含み、アミノ酸位置は、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列を配列番号2で示されるバチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列と整列させることで決定される(図1を参照されたい)、バチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列中の対応するアミノ酸位置に割り振られた番号に従って番号付けされる。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものでは、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列は、アミノ酸位置188にセリン残基を含み、及び/又はアミノ酸位置248にアルギニン残基を含む。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものでは、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列が、配列番号2に対するアミノ酸位置76、87、118、128、129、及び130のそれぞれのアミノ酸残基に、異なるアミノ酸による置換を含むことから、−2、−1、0、+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、若しくは+8の合計電荷を有するプロテアーゼ変異体が生成され、又は一態様では、プロテアーゼ変異体は−2、−1、0、+1、+2、+3、若しくは+4の合計電荷を有し、又は一態様では、プロテアーゼ変異体は+1の合計電荷を有する。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものでは、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列では、(i)位置76のアミノ酸残基が、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群から選択された負電荷をもつアミノ酸残基により置換され、(ii)位置87及び118のそれぞれのアミノ酸残基が、アルギニン、ヒスチジン、及びリシンからなる群から選択された、正電荷をもつアミノ酸残基により置換され、並びに(iii)位置128、129、及び130のそれぞれのアミノ酸残基が、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、アラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる群から選択された非荷電(中性)のアミノ酸残基で置換される。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものでは、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列は、アミノ酸置換N76D+S87R+G118R+S128L+P129Q+S130Aを含む。一態様では、プロテアーゼ変異体は、配列番号7で示されるアミノ酸配列を含む。
同様に、タンパク質分解活性を有する単離されたプロテアーゼ変異体、組み換えプロテアーゼ変異体、実質的に純粋なプロテアーゼ変異体又は非天然に生じるプロテアーゼ変異体も提供され、上記プロテアーゼ変異体は、配列番号1のアミノ酸配列に対し少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、上記プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列は、配列番号1に対するアミノ酸位置76、87、118、128、129、及び130のそれぞれのアミノ酸残基に異なるアミノ酸残基による置換を含み、かつ(i)アミノ酸位置188のセリン残基、若しくはアスパラギン酸残基ではない異なるアミノ酸残基による位置188のセリン残基の置換、及び(ii)アルギニン残基による位置248のアスパラギン残基の置換を含み、ここで、アミノ酸位置は、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列を配列番号2で示されるバチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列と整列させることで決定される(図1を参照されたい)、バチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列中の対応するアミノ酸位置に割り振られた番号に従って番号付けされる。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものでは、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列が、配列番号2に対するアミノ酸位置76、87、118、128、129、及び130のそれぞれのアミノ酸残基に、異なるアミノ酸による置換を含むことから、−2、−1、0、+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、若しくは+8の合計電荷を有するプロテアーゼ変異体が生成され、又は一態様では、プロテアーゼ変異体は−2、−1、0、+1、+2、+3、若しくは+4の合計電荷を有し、又は一態様では、プロテアーゼ変異体は+1の合計電荷を有する。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものでは、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列では、(i)位置76のアミノ酸残基が、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群から選択された負電荷をもつアミノ酸残基により置換され、(ii)位置87及び118のそれぞれのアミノ酸残基が、アルギニン、ヒスチジン、及びリシンからなる群から選択された、正電荷をもつアミノ酸残基により置換され、並びに(iii)位置128、129、及び130のそれぞれのアミノ酸残基が、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、アラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる群から選択された非荷電(中性)のアミノ酸残基で置換される。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものでは、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列は、アミノ酸置換N76D+S87R+G118R+S128L+P129Q+S130A+N248Rを含む。
同様に、タンパク質分解活性を有する単離されたプロテアーゼ変異体、組み換えプロテアーゼ変異体、実質的に純粋なプロテアーゼ変異体又は非天然に生じるプロテアーゼ変異体も提供され、上記プロテアーゼ変異体は、配列番号1のアミノ酸配列に対し少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、上記プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列は、配列番号1に対するアミノ酸位置76、87、118、128、129、及び130のそれぞれのアミノ酸残基に異なるアミノ酸残基による置換を含み、かつ(i)アスパラギン酸残基による位置188のセリン残基の置換、及び(ii)アミノ酸位置248のアスパラギン残基、若しくはアルギニン残基ではない異なるアミノ酸残基による位置248のアスパラギン残基の置換を含み、ここで、アミノ酸位置は、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列を配列番号2で示されるバチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列と整列させることで決定される(図1を参照されたい)、バチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列中の対応するアミノ酸位置に割り振られた番号に従って番号付けされる。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものでは、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列が、配列番号2に対するアミノ酸位置76、87、118、128、129、及び130のそれぞれのアミノ酸残基に、異なるアミノ酸による置換を含むことから、−2、−1、0、+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、若しくは+8の合計電荷を有するプロテアーゼ変異体が生成され、又は一態様では、プロテアーゼ変異体は−2、−1、0、+1、+2、+3、若しくは+4の合計電荷を有し、又は一態様では、プロテアーゼ変異体は+1の合計電荷を有する。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものでは、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列では、(i)位置76のアミノ酸残基が、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群から選択された負電荷をもつアミノ酸残基により置換され、(ii)位置87及び118のそれぞれのアミノ酸残基が、アルギニン、ヒスチジン、及びリシンからなる群から選択された、正電荷をもつアミノ酸残基により置換され、並びに(iii)位置128、129、及び130のそれぞれのアミノ酸残基が、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、アラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる群から選択された非荷電(中性)のアミノ酸残基で置換される。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものでは、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列は、アミノ酸置換N76D+S87R+G118R+S128L+P129Q+S130A+S188Dを含む。
同様に、タンパク質分解活性を有する単離されたプロテアーゼ変異体、組み換えプロテアーゼ変異体、実質的に純粋なプロテアーゼ変異体又は非天然に生じるプロテアーゼ変異体が提供され、上記プロテアーゼ変異体は、配列番号1のアミノ酸配列に対し少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、上記プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列は、配列番号1に対するアミノ酸位置76、87、118、128、129、130、188、及び248のそれぞれに、異なるアミノ酸残基によるアミノ酸残基の置換を含み、ここで、アミノ酸位置は、配列番号2で示されるプロテアーゼ変異体のアミノ酸配列をバチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列と整列させることで決定される(図1を参照されたい)、バチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列中の対応するアミノ酸位置に割り振られた番号に従って番号付けされる。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものでは、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列が、配列番号2に対するアミノ酸位置76、87、118、128、129、及び130のそれぞれのアミノ酸残基に、異なるアミノ酸による置換を含むことから、−2、−1、0、+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、若しくは+8の合計電荷を有するプロテアーゼ変異体が生成され、又は一態様では、プロテアーゼ変異体は−2、−1、0、+1、+2、+3、若しくは+4の合計電荷を有し、又は一態様では、プロテアーゼ変異体は+1の合計電荷を有する。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものでは、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列では、(i)位置76及び188のアミノ酸残基が、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群から選択された負電荷をもつアミノ酸残基により置換され、(ii)位置87、118、及び248のアミノ酸残基が、アルギニン、ヒスチジン、及びリシンからなる群から選択された、正電荷をもつアミノ酸残基により置換され、及び(iii)位置128、129、及び130のそれぞれのアミノ酸残基が、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、アラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる群から選択された非荷電(中性)のアミノ酸残基で置換される。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものでは、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列は、アミノ酸置換N76D+S87R+G118R+S128L+P129Q+S130A+S188D+N248Rを含む。一態様では、プロテアーゼ変異体は、配列番号6で示されるアミノ酸配列を含む。
他の態様では、本発明は、タンパク質分解活性を有する単離されたプロテアーゼ変異体、組み換えプロテアーゼ変異体、実質的に純粋なプロテアーゼ変異体又は非天然に生じるプロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)を提供し、上記プロテアーゼ変異体は、配列番号1のアミノ酸配列に対し少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、上記プロテアーゼ変異体は、配列番号1に対する以下のアミノ酸置換の組:
(i)上記プロテアーゼ変異体がN248R+S188Dをいずれも含まない場合にはN76D+S87R+G118R+S128L+P129Q+S130A、又は
(ii)N76D+S87R+G118R+S128L+P129Q+S130A+S188D+V244R、
のうちの1組を含み、アミノ酸位置は、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列を配列番号2で示されるバチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列と整列させることで決定される(図1を参照されたい)、バチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列中の対応するアミノ酸位置に割り振られた番号に従って番号付けされる。
他の態様では、本発明は、タンパク質分解活性を有する単離されたプロテアーゼ変異体、組み換えプロテアーゼ変異体、実質的に純粋なプロテアーゼ変異体又は非天然に生じるプロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)を提供し、上記プロテアーゼ変異体は、配列番号1のアミノ酸配列に対し少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、上記プロテアーゼ変異体は、配列番号1に対する以下のアミノ酸置換の組:
(i)上記プロテアーゼ変異体がN248R+S188Dをいずれも含まない場合にはN76D+S87R+G118R+S128L+P129Q+S130A、又は
(ii)N76D+S87R+G118R+S128L+P129Q+S130A+S188D+V244R、
のうちの1組を含み、アミノ酸位置は、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列を配列番号2で示されるバチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列と整列させることで決定される(図1を参照されたい)、バチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列中の対応するアミノ酸位置に割り振られた番号に従って番号付けされる。
他の態様では、本発明は、タンパク質分解活性を有する単離されたプロテアーゼ変異体、組み換えプロテアーゼ変異体、実質的に純粋なプロテアーゼ変異体又は非天然に生じるプロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)を提供し、上記プロテアーゼ変異体は、配列番号1のアミノ酸配列に対し少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、上記プロテアーゼ変異体は、配列番号1に対する以下のアミノ酸置換の組:
(i)上記プロテアーゼ変異体がN248R及びS188Dをいずれも含まない場合にはN76D+S87R+G118R+S128L+P129Q+S130A、又は
(ii)N76D+S87R+G118R+S128L+P129Q+S130A+S188D+V244R、
のうちの1組を含み、アミノ酸位置は、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列を配列番号2で示されるバチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列と整列させることで決定される(図1を参照されたい)、バチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列中の対応するアミノ酸位置に割り振られた番号に従って番号付けされる。
一態様では、本発明は、親プロテアーゼ(例えば、サブチリシン)の単離されたプロテアーゼ変異体、実質的に純粋なプロテアーゼ変異体、又は組み換えプロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)を提供し、上記プロテアーゼ変異体は、親プロテアーゼのアミノ酸配列に対して、以下のアミノ酸置換の組のうちの1組を含むアミノ酸配列を含む:
(i)上記プロテアーゼ変異体がN248R及びS188Dをいずれも含まない場合にはN76D+S87R+G118R+S128L+P129Q+S130A、又は
(ii)N76D+S87R+G118R+S128L+P129Q+S130A+S188D+V244R。
一態様では、本発明は、親サブチリシンの単離されたサブチリシン変異体、実質的に純粋なサブチリシン変異体、又は組み換えサブチリシン変異体を提供し、上記サブチリシン変異体は、親サブチリシンのアミノ酸配列に対して、以下のアミノ酸置換の組のうちの1組を含むアミノ酸配列を含む:
(i)上記プロテアーゼ変異体がN248R及びS188Dをいずれも含まない場合にはN76D+S87R+G118R+S128L+P129Q+S130A、又は
(ii)N76D+S87R+G118R+S128L+P129Q+S130A+S188D+V244R。
他の態様では、本発明は、親プロテアーゼの単離されたプロテアーゼ変異体、組み換えプロテアーゼ変異体、又は非天然に生じるプロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)を提供し、上記親プロテアーゼは、配列番号1のアミノ酸配列に対し少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、上記プロテアーゼ変異体は、タンパク質分解活性を有し、かつ上記親プロテアーゼに対して、以下のアミノ酸置換の組:
(i)上記プロテアーゼ変異体がN248R及びS188Dをいずれも含まない場合にはN76D+S87R+G118R+S128L+P129Q+S130A、又は
(ii)N76D+S87R+G118R+S128L+P129Q+S130A+S188D+V244R、
のうちの1組を含み、アミノ酸位置は、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列を配列番号2で示されるバチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列と整列させることで決定される(図1を参照されたい)、バチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列中の対応するアミノ酸位置に割り振られた番号に従って番号付けされる。
他の態様では、本発明は、タンパク質分解活性を有する単離されたプロテアーゼ変異体、組み換えプロテアーゼ変異体、又は非天然に生じるプロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)も提供し、上記プロテアーゼ変異体は、配列番号1のアミノ酸配列に対し少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、上記プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列は、配列番号1に対するアミノ酸位置87、118、128、129、及び130のそれぞれのアミノ酸残基に、異なるアミノ酸残基による置換を含み、並びに(i)アミノ酸位置188のセリン残基、若しくはアスパラギン酸残基ではない異なるアミノ酸残基による位置188のセリン残基の置換並びに/あるいは(ii)アミノ酸位置248のアスパラギン残基、若しくはアルギニン残基ではない異なるアミノ酸残基による位置248のアスパラギン残基の置換、並びに/あるいは(iii)位置76のアスパラギン残基、又はアスパラギン酸残基ではない異なるアミノ酸残基による位置248のアスパラギン残基の置換、を含み、アミノ酸位置は、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列を配列番号2で示されるバチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列と整列させることで決定される(図1を参照されたい)、バチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’中の対応するアミノ酸位置に割り振られた番号に従って番号付けされる。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものでは、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列は、アミノ酸位置188にセリン残基を、又はアミノ酸位置248にアルギニン残基を含む。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものでは、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列は、配列番号1に対するアミノ酸位置87、118、128、129、及び130のそれぞれのアミノ酸残基に異なるアミノ酸による置換を含むことから、−2、−1、0、+1、+2、+3、又は+4の正味電荷を有するプロテアーゼ変異体が生成される。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものでは、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列では、(i)位置76のアミノ酸残基は、アスパラギン残基、グルタミン酸残基、又は、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、アラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる群から選択された非荷電(中性)のアミノ酸残基であり、(ii)位置118のアミノ酸残基は、アルギニン、ヒスチジン、及びリシンからなる群から選択された、正電荷をもつアミノ酸残基で置換され、及び(iii)位置128、129、及び130のそれぞれのアミノ酸残基は、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、アラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる群から選択された非荷電(中性)のアミノ酸残基で置換される。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものでは、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列は、アミノ酸置換S87R+G118R+S128L+P129Q+S130Aを含む。
他の態様では、本発明は、タンパク質分解活性を有する単離されたプロテアーゼ変異体、組み換えプロテアーゼ変異体、又は非天然に生じるプロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)を提供し、上記プロテアーゼ変異体は、配列番号1のアミノ酸配列に対し少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、上記プロテアーゼ変異体は、配列番号1に対する以下のアミノ酸置換の組:
(i)上記プロテアーゼ変異体がN248R、S188D、及びN76Dのすべてを含まない場合にはS87R+G118R+S128L+P129Q+S130A、又は
(ii)上記プロテアーゼ変異体がN76Dを含まない場合にはS87R+G118R+S128L+P129Q+S130A+S188D+V244R、
のうちの1つを含み、アミノ酸位置は、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列を配列番号2で示されるサブチリシンBPN’のアミノ酸配列と整列させることで決定される、サブチリシンBPN’のアミノ酸配列中の対応するアミノ酸位置に割り振られた番号に従って番号付けされる。
他の態様では、本発明は、タンパク質分解活性を有する単離されたプロテアーゼ変異体、組み換えプロテアーゼ変異体、又は非天然に生じるプロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)を提供し、上記プロテアーゼ変異体は、(a)9〜15個のアミノ酸残基が、配列番号1で示されるアミノ酸配列と異なっており、かつ(b)アミノ酸置換N76D+S87R+G118R+S128L+P129Q+S130A+S118D+N248Rを含む、アミノ酸配列からなり、アミノ酸位置は、整列させることで決定される、配列番号2で示されるサブチリシンBPN’のアミノ酸配列中の対応するアミノ酸位置に割り振られた番号に従って番号付けされる。
他の態様では、本発明は、タンパク質分解活性を有する単離されたプロテアーゼ変異体、組み換えプロテアーゼ変異体、又は非天然に生じるプロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)を提供し、上記プロテアーゼ変異体は、(a)30個以下、25個以下、20個以下、15個以下、14個以下、13個以下、12個以下、11個以下、10個以下、9個以下、又は8個以下のアミノ酸残基が、配列番号1で示されるアミノ酸配列と異なっており、かつ(b)配列番号1のアミノ酸位置76、87、118、128、129、130、188、及び244のそれぞれのアミノ酸残基に、異なるアミノ酸残基による置換を含む、アミノ酸配列からなり、アミノ酸位置は、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列を配列番号2で示されるサブチリシンBPN’のアミノ酸配列と整列させることで決定される、サブチリシンBPN’のアミノ酸配列中の対応するアミノ酸位置に割り振られた番号に従って番号付けされる。一部のこのようなプロテアーゼ変異体ポリペプチドは、1箇所以上のアミノ酸欠失、アミノ酸付加若しくは挿入、及び/又はアミノ酸置換により、配列番号1のポリペプチド配列と異なっている。アミノ酸置換は、典型的には、他の19種の天然に生じるアミノ酸のうちの1種により生じ、かつ保存的な又は非保存的なアミノ酸置換であり得る。保存的なアミノ酸置換の例は、本明細書の他の箇所で議論されている。一態様では、得られるポリペプチドが、当業者に周知である標準アッセイ(例えば、本明細書に記載されるアッセイ)により測定される酵素活性(例えば、タンパク質分解活性)を呈するよう、配列中の少なくとも1個のアミノ酸が欠失しており、及び/又は少なくとも1個のアミノ酸が置換されている。
タンパク質分解活性を有する一部のこのようなプロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)は、(a)25個以下、20個以下、15個以下、14個以下、13個以下、12個以下、11個以下、10個以下、9個以下、又は8個以下のアミノ酸残基が、配列番号1で示されるアミノ酸配列とは異なっており、かつ(b)配列番号1のアミノ酸位置76、87、118、128、129、130、188、及び244のそれぞれのアミノ酸残基に置換を含むアミノ酸配列からなり、アミノ酸位置は、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列を配列番号2で示されるサブチリシンBPN’のアミノ酸配列と整列させることで決定される、サブチリシンBPN’のアミノ酸配列中の対応するアミノ酸位置に割り振られた番号に従って番号付けされる。一部のこのようなプロテアーゼ変異体ポリペプチドは、1箇所以上のアミノ酸欠失、アミノ酸付加若しくは挿入、及び/又はアミノ酸置換により、配列番号1のポリペプチド配列と異なっている。アミノ酸置換は、典型的には、他の19種の天然に生じるアミノ酸のうちの1種により生じ、かつ保存的な又は非保存的なアミノ酸置換であり得る。例示的な保存的アミノ酸置換は、本明細書の他の箇所で議論されている。一態様では、得られるポリペプチドが、当業者に周知であるアッセイ(例えば、本明細書に記載されるアッセイ)により測定される酵素活性(例えば、タンパク質分解活性)を呈するよう、配列中の少なくとも1個のアミノ酸が欠失しており、及び/又は少なくとも1個のアミノ酸が置換されている。
同様に、タンパク質分解活性を有する単離されたプロテアーゼ変異体、組み換えプロテアーゼ変異体、又は非天然に生じるプロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)も提供され、上記プロテアーゼ変異体は:
(a)30個以下、25個以下、20個以下、15個以下、14個以下、13個以下、12個以下、11個以下、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、又は6個以下のアミノ酸残基が、配列番号1で示されるアミノ酸配列と異なっており;かつ
(b)配列番号1のアミノ酸位置76、87、118、128、129、及び130のそれぞれのアミノ酸残基に、異なるアミノ酸残基による置換を含み、かつ(i)アミノ酸位置188のセリン残基、若しくはアスパラギン酸残基ではない異なるアミノ酸残基による位置188のセリン残基の置換、及び/又は(ii)アミノ酸位置248のアスパラギン残基、若しくはアルギニン残基ではない異なるアミノ酸残基による位置248のアスパラギン残基の置換を含む、アミノ酸配列からなり、アミノ酸位置は、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列を配列番号2で示されるサブチリシンBPN’のアミノ酸配列と整列させることで決定される、サブチリシンBPN’のアミノ酸配列中の対応するアミノ酸位置に割り振られた番号に従って番号付けされる。一部のこのようなプロテアーゼ変異体ポリペプチドは、1箇所以上のアミノ酸欠失、アミノ酸付加若しくは挿入、及び/又はアミノ酸置換により、配列番号1のポリペプチド配列と異なっている。アミノ酸置換は、典型的には、他の19種の天然に生じるアミノ酸のうちの1種により生じ、かつ保存的な又は非保存的なアミノ酸置換であり得る。例示的な保存的アミノ酸置換は、本明細書の他の箇所で議論されている。一態様では、得られるポリペプチドが、当業者に周知であるアッセイ(例えば、本明細書に記載されるアッセイ)により測定される酵素活性(例えば、タンパク質分解活性)を呈するよう、配列中の少なくとも1個のアミノ酸が欠失しており、及び/又は少なくとも1個のアミノ酸が置換されている。
同様に、タンパク質分解活性を有する単離されたプロテアーゼ変異体、組み換えプロテアーゼ変異体、又は非天然に生じるプロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)も提供され、上記プロテアーゼ変異体は:
(a)25個以下、20個以下、15個以下、14個以下、13個以下、12個以下、11個以下、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、又は6個以下のアミノ酸残基が、配列番号1のアミノ酸配列と異なっており;かつ
(b)配列番号1のアミノ酸位置76、87、118、128、129、及び130のそれぞれのアミノ酸残基に、異なるアミノ酸残基による置換を含み、かつ(i)アミノ酸位置188のセリン残基、若しくはアスパラギン酸残基ではない異なるアミノ酸残基による位置188のセリン残基の置換、及び/又は(ii)アミノ酸位置248のアスパラギン残基、若しくはアルギニン残基ではない異なるアミノ酸残基による位置248のアスパラギン残基の置換を含む、アミノ酸配列からなり、アミノ酸位置は、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列を配列番号2で示されるサブチリシンBPN’のアミノ酸配列と整列させることで決定される、サブチリシンBPN’のアミノ酸配列中の対応するアミノ酸位置に割り振られた番号に従って番号付けされる。一態様では、一部のこのようなプロテアーゼ変異体は、(i)アミノ酸位置188のセリン残基、若しくはアスパラギン酸残基ではない異なるアミノ酸残基による位置188のセリン残基の置換、及び(ii)アルギニン残基による位置248のアスパラギン残基の置換を含む。一態様では、一部のこのようなプロテアーゼ変異体は、(i)アスパラギン酸残基による位置188のセリン残基の置換、及び(ii)位置248のアスパラギン残基、若しくはアルギニン残基以外の異なるアミノ酸残基による位置248のアスパラギン残基の置換、を含む。
一部のこのようなプロテアーゼ変異体ポリペプチドは、1箇所以上のアミノ酸欠失、アミノ酸付加若しくは挿入、及び/又はアミノ酸置換により、配列番号1のポリペプチド配列と異なっている。アミノ酸置換は、典型的には、他の19種の天然に生じるアミノ酸のうちの1種により生じ、かつ保存的な又は非保存的なアミノ酸置換であり得る。保存的なアミノ酸置換の例は、本明細書の他の箇所で議論されている。一態様では、得られるポリペプチドが、当業者に周知であるアッセイ(例えば、本明細書に記載されるアッセイ)により測定される酵素活性(例えば、タンパク質分解活性)を呈するよう、配列中の少なくとも1個のアミノ酸が欠失しており、及び/又は少なくとも1個のアミノ酸が置換されている。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものでは、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列は、アミノ酸位置188にセリン残基を、又はアミノ酸位置248にアルギニン残基を含む。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものでは、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列は、配列番号2に対するアミノ酸位置76、87、118、128、129、及び130のそれぞれのアミノ酸残基に異なるアミノ酸による置換を含むことから、−2、−1、0、+1、+2、+3、又は+4の正味電荷を有するプロテアーゼ変異体が生成される。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものでは、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列では、(i)位置76のアミノ酸残基が、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群から選択された負電荷をもつアミノ酸残基により置換され、(ii)位置87及び118のそれぞれのアミノ酸残基が、アルギニン、ヒスチジン、及びリシンからなる群から選択された、正電荷をもつアミノ酸残基により置換され、並びに(iii)位置128、129、及び130のそれぞれのアミノ酸残基が、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、アラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる群から選択された非荷電(中性)のアミノ酸残基で置換される。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものでは、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列は、アミノ酸置換N76D+S87R+G118R+S128L+P129Q+S130Aを含む。
他の態様では、本発明は、タンパク質分解活性を有する単離されたプロテアーゼ変異体、組み換えプロテアーゼ変異体、又は非天然に生じるプロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)を提供し、上記プロテアーゼ変異体は、配列番号7又は配列番号8に対し少なくとも99%又は99.5%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
他の態様では、本発明は、タンパク質分解活性を有する単離されたプロテアーゼ変異体、組み換えプロテアーゼ変異体、又は非天然に生じるプロテアーゼ変異体を提供し、上記プロテアーゼ変異体は、1個以下のアミノ酸残基が、配列番号7又は配列番号8のアミノ酸配列と異なる、アミノ酸配列を含む。例えば、プロテアーゼ変異体配列は、アミノ酸の置換(非保存的又は保存的アミノ酸置換など)、アミノ酸の欠失、又はアミノ酸の挿入により、配列番号7又は配列番号8のアミノ酸配列と異なっていてもよい。
一態様では、本発明は、タンパク質分解活性を有する単離されたプロテアーゼ変異体、組み換えプロテアーゼ変異体、又は非天然に生じるプロテアーゼ変異体を提供し、上記プロテアーゼ変異体は、1箇所以下のアミノ酸置換(非保存的又は保存的アミノ酸置換など)により、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1箇所以下のアミノ酸の欠失により、及び/又は15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1箇所以下のアミノ酸の欠失、アミノ酸の挿入若しくは付加により、配列番号7のアミノ酸配列と異なっているアミノ酸配列を含む。
一態様では、本発明は、タンパク質分解活性を有する単離されたプロテアーゼ変異体、組み換えプロテアーゼ変異体、又は非天然に生じるプロテアーゼ変異体を提供し、上記プロテアーゼ変異体は、1箇所以下のアミノ酸置換(非保存的又は保存的アミノ酸置換など)により、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1箇所以下のアミノ酸の欠失により、及び/又は15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1箇所以下のアミノ酸の欠失、アミノ酸の挿入若しくは付加により、配列番号8のアミノ酸配列と異なっているアミノ酸配列を含む。
上記のように、本発明のプロテアーゼ変異体ポリペプチドは酵素活性(例えば、タンパク質分解活性など)を有し、ひいては、例えば、限定するものではないが、食器類、食卓用食器類、布地、及び硬質表面を有する物品(例えば、テーブル、卓上、壁、家具、床、天井などの硬質表面)などのクリーニング方法などといった、クリーニング用途に有用である。本発明のプロテアーゼ変異体ポリペプチドを1種以上含む例示的なクリーニング組成物は、以下に記載される。本発明のプロテアーゼ変異体ポリペプチドの酵素活性(例えば、プロテアーゼ活性)は、当業者に周知の手順を用い、容易に測定することができる。以下に記載される実施例は、酵素活性、クリーニング性能、及び/又は洗浄性能を評価するための方法を記載する。染み除去(例えばタンパク質がこびりつくなどして生じた染みなどの除去)、硬質表面のクリーニング、又は洗濯物、食器類又は食卓用食器類のクリーニング時の本発明のプロテアーゼ変異体の性能は、当業者に周知の手順を用い、及び/又は実施例に記載される手順を用い容易に測定することができる。
本発明のポリペプチドには、1箇所以上での保存的又は非保存的なアミノ酸のいずれかでの挿入、欠失、及び/又は置換などといった様々な変更を、例えば、ポリペプチドの酵素活性を実質的に変えないような場所に加えることができる。同様にして、本発明の核酸には、特定のコドンが同一の又は異なるアミノ酸をコードするように、1箇所以上で、1つ以上のコドンに含まれる1つ以上の核酸を置換して、サイレントな変化(例えば、コードされるアミノ酸が核酸変異により変更されなかった場合、ヌクレオチド配列中の変異はアミノ酸配列中にサイレント変異を生じる)を生じさせるよう、あるいは配列中の1つ以上の核酸(又はコドン)を1箇所以上で欠失させて、配列中に1つ以上の核酸(又はコドン)を付加又は挿入して、及び/又は配列中の1つ以上の核酸(又はコドン)を切断又は1箇所以上でトランケーションさせて、サイレントではない変化を生じさせるよう、複数の変化を加えることもできる。核酸配列における多くのこのような変更は、得られる配列にコードされるプロテアーゼ変異体の酵素活性を、元の核酸配列によりコードされているプロテアーゼ変異体のものと比較して実質的に変化させなくてよい。同様に、発現系(例えば、細菌による発現系)での最適な発現をもたらすコドンが1つ以上包含されるように、必要に応じて、上記1つ以上のコドンには同一のアミノ酸をコードさせたまま、本発明の核酸を改変させてもよい。
一態様では、本発明のポリペプチドは、所望の酵素活性(例えば、プロテアーゼ活性又はクリーニング性能活性)を有するプロテアーゼ変異体ポリペプチドからなってもよく、これは本明細書に記載されるアミノ酸置換を有する配列からなり、かつ同様に保存的及び非保存的置換などの追加のアミノ酸置換を1箇所以上含み、ポリペプチドは、例えば、クリーニング活性又はプロテアーゼ変異体性能に反映されるような、所望の酵素活性(例えば、プロテアーゼ活性又はサブチリシン活性)を呈し、維持し、又はおおよそ維持する。本発明に従うアミノ酸置換には、例えば、限定するものではないが、1箇所以上での非保存的置換及び/又は1箇所以上での保存的なアミノ酸置換が包含され得る。保存的なアミノ酸残基置換は、典型的には、アミノ酸残基の機能分類に含まれるアミノ酸を、同様の機能分類(同一のアミノ酸残基は、機能的に相同であるとみなされ、すなわち算出された機能的相同性%で保存されている)に属する残基と交換することを包含する。保存的なアミノ酸置換は、典型的には、機能的に類似するアミノ酸によるアミノ酸置換をアミノ酸配列中に包含する。例えば、アラニン、グリシン、セリン、及びトレオニンは機能的に類似するものであり、ひいては互いに保存的なアミノ酸置換として機能し得る。アスパラギン酸及びグルタミン酸は、互いに保存的な置換として機能し得る。アスパラギン及びグルタミンは、互いに保存的な置換として機能し得る。アルギニン、リシン、及びヒスチジンは、互いに保存的な置換として機能し得る。イソロイシン、ロイシン、メチオニン、及びバリンは、互いに保存的な置換として機能し得る。フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファンは、互いに保存的な置換として機能し得る。
他の保存的なアミノ酸置換基も想定され得る。例えば、アミノ酸は、類似した機能又は化学構造若しくは組成(例えば、酸性、塩基性、脂肪族、芳香族、イオウ含有)により分類することができる。例えば、脂肪族群には:グリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)が包含され得る。互いに保存的な置換であるとみなされるアミノ酸を含有する他の群には:芳香族:フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);イオウ含有:メチオニン(M)、システイン(C);塩基性:アルギニン(R)、リシン(K)、ヒスチジン(H);酸性:アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);非極性非荷電残基:システイン(C)、メチオニン(M)、及びプロリン(P);親水性の非荷電残基:セリン(S)、トレオニン(T)、アスパラギン(N)、及びグルタミン(Q)、が包含される。更なるアミノ酸分類については、Creighton(1984)Proteins:STRUCTURE AND MOLECULAR PROPERTIES(2d Ed.1993),W.H.Freeman and Companyを参照されたい。上記の置換基と共に、本明細書においてポリペプチド配列を列挙することで、保存的に置換されたすべてのポリペプチド配列の一欄を提供する。
上記の部類のアミノ酸残基には、同様に又は代替的に好適であり得る、より保存的な置換が存在する。より保存的な置換のための保存的な群としては:バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リシン−アルギニン、アラニン−バリン、及びアスパラギン−グルタミンが挙げられる。したがって、例えば、特定の一態様では、本発明は、タンパク質分解活性を有する単離されたプロテアーゼ変異体又は組み換えプロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)を提供し、上記プロテアーゼ変異体ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列に対し少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は99.5%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、上記プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列は、配列番号1に対するアミノ酸位置76、87、118、128、129、及び130のそれぞれのアミノ酸残基に、異なるアミノ酸残基による置換を含み、並びに(i)アミノ酸位置188のセリン残基、若しくはアスパラギン酸残基ではない異なるアミノ酸残基による位置188のセリン残基の置換及び/又は(ii)アミノ酸位置248のアスパラギン残基、若しくはアルギニン残基ではない異なるアミノ酸残基による位置248のアスパラギン残基の置換を含み、アミノ酸位置は、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列を配列番号2で示されるサブチリシンBPN’配列と最適に整列させることで決定される、BPN’のアミノ酸配列中の対応するアミノ酸位置に割り振られた番号に従って番号付けされ、プロテアーゼ変異体配列中のアミノ酸位置76、87、118、128、129、又は130以外の位置のアミノ酸残基は、保存的なアミノ酸置換により、(BPN’番号付けスキームを用い整列させることで決定される)配列番号1中の対応するアミノ酸位置と異なっており、得られるプロテアーゼ変異体は所望される酵素活性又はクリーニング活性を呈し、又は維持する。本発明のプロテアーゼ変異体における、他のアミノ酸による1つのアミノ酸の保存的な置換は、プロテアーゼ変異体の酵素活性又はクリーニング活性を有意に変更させることを見込むものではない。得られるプロテアーゼの酵素活性又はクリーニング活性は、標準的なアッセイ及び本明細書に記載されるアッセイを用い、容易に測定することができる。したがって、プロテアーゼ変異体には、所望される酵素活性又はクリーニング活性は維持させたまま、上記の箇所以外の1箇所以上に、追加の保存的なアミノ酸置換を含有させてもよい。一部の態様では、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列中の置換の少なくとも10%、20%、50%、60%、又は70%以上(例えば、少なくとも75%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%)は、配列番号1に対する本発明のプロテアーゼ変異体のポリペプチド配列における、アミノ酸位置76、87、118、128、129、及び130以外のアミノ酸位置での1箇所以上のアミノ酸残基の、それぞれ置換されるポリペプチド配列のアミノ酸残基とそれぞれ同様の機能的に相同な分類(任意の好適な分類系により判定される)に含まれる1個以上のアミノ酸残基による置換を含み、ここで、アミノ酸位置は、配列番号2と整列され、BPN’番号付けスキームを用いることで番号付けされる。
本発明の保存的に置換された変異体のポリペプチド配列(例えば、本発明のプロテアーゼ変異体)は、ポリペプチド配列中のアミノ酸に、25%未満、20%未満、15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、又は6%未満の僅かな割合で、あるいはポリペプチド配列中のアミノ酸に5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満の僅かな割合で、同類の保存的置換基のアミノ酸から保存的に選択されたアミノ酸による置換を含有する。
本明細書内の他の箇所で詳細に記載されるように(及び下記実施例に記載されるように)、本発明のポリペプチドは、既知のサブチリシンを含む既知のプロテアーゼに匹敵し得るクリーニング活性を有し得る。例示的な既知のサブチリシンプロテアーゼとしては、限定するものではないが、例えば、B.レンタスのサブチリシンGG36(本明細書では「GCI−P036」とも呼ばれる)、B.アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’、B.アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’−Y217L、及びB.クラウシイPB92(本明細書では「GCI−P037」とも呼ばれる)が挙げられる。比較参照のため本明細書で使用される他の既知のサブチリシンプロテアーゼは、「GCI−P038」とも呼ばれる。
B.レンタスのサブチリシンGG36の成熟タンパク質(GCI−P036)のアミノ酸配列は:
AQSVPWGISRVQAPAAHNRGLTGSGVKVAVLDTGIS:THPDLNIRGGASFVPGEPST:QDGNGHGTHVAGTIAALNNSIGVLGVAPSAELYAVKVLGASGSGSVSSIAQGLEWAGNNGMHVANLSLGSPSPSATLEQAVNSATSRGVLVVAASGNSGAGSISYPARYANAMAVGATDQNNNRASFSQYGAGLDIVAPGVNVQSTYPGSTYASLNGTSMATPHVAGAAALVKQKNPSWSNVQIRNHLKNTATSLGSTNLYGSGLVNAEAATR(配列番号1)である。
B.アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’の成熟タンパク質のアミノ酸配列は:
AQSVPYGVSQIKAPALHSQGYTGSNVKVAVIDSGIDSSHPDLKVAGGASMVPSETNPFQDNNSHGTHVAGTVAALNNSIGVLGVAPSASLYAVKVLGADGSGQYSWIINGIEWAIANNMDVINMSLGGPSGSAALKAAVDKAVASGVVVVAAAGNEGTSGSSSTVGYPGKYPSVIAVGAVDSSNQRASFSSVGPELDVMAPGVSIQSTLPGNKYGAYNGTSMASPHVAGAAALILSKHPNWTNTQVRSSLENTTTKLGDSFYYGKGLINVQAAAQ(配列番号2)である。
B.アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’−Y217Lの成熟タンパク質(「FNA」とも呼ばれる)のアミノ酸配列は:
AQSVPYGVSQIKAPALHSQGYTGSNVKVAVIDSGIDSSHPDLKVAGGASMVPSETNPFQDNNSHGTHVAGTVAALNNSIGVLGVAPSASLYAVKVLGADGSGQYSWIINGIEWAIANNMDVINMSLGGPSGSAALKAAVDKAVASGVVVVAAAGNEGTSGSSSTVGYPGKYPSVIAVGAVDSSNQRASFSSVGPELDVMAPGVSIQSTLPGNKYGALNGTSMASPHVAGAAALILSKHPNWTNTQVRSSLENTTTKLGDSFYYGKGLINVQAAAQ(配列番号3)である。
PB92(GCI−P037)参照サブチリシンプロテアーゼの成熟タンパク質のアミノ酸配列は:
AQSVPWGISRVQAPAAHNRGLTGSGVKVAVLDTGISTHPDLNIRGGASFVPGEPSTQDGNGHGTHVAGTIAALNNSIGVLGVAPNAELYAVKVLGASGSGSVSSIAQGLEWAGNNGMHVANLSLGSPSPSATLEQAVNSATSRGVLVVAASGNSGAGSISYPARYANAMAVGATDQNNNRASFSQYGAGLDIVAPGVNVQSTYPGSTYASLNGTSMATPHVAGAAALVKQKNPSWSNVQIRNHLKNTATSLGSTNLYGSGLVNAEAATR(配列番号4)である。
参照サブチリシンプロテアーゼGCI−P038の成熟タンパク質のアミノ酸配列は:
AQSVPWGISRVQAPAAHNRGLTGSGVKVAVLDTGISTHPDLNIRGGASFVPGEPSTQDGNGHGTHVAGTIAALNNSIGVLGVAPNAELYAVKVLGASGSGSVSSIAQGLEWAGNNVMHVANLSLGLQAPSATLEQAVNSATSRGVLVVAASGNSGAGSISYPARYANAMAVGATDQNNNRASFSQYGAGLDIVAPGVNVQSTYPGSTYASLNGTSMATPHVAGAAALVKQKNPSWSNVQIRNHLKNTATSLGSTNLYGSGLVNAEAATR(配列番号5)である。
本発明の核酸
本発明は、単離された核酸、非天然に生じる核酸、又は組み換え核酸(本明細書ではポリヌクレオチドとも呼ばれる)を提供する。これらの核酸は、総じて本発明のポリペプチドをコードしている「本発明の核酸」又は「本発明のポリヌクレオチド」として呼ばれる。以下に記載のすべてのものを包含する本発明の核酸は、本発明のポリペプチドの組み換え体を産生(例えば、発現)するのに、典型的には、対象とするポリペプチドをコードしている配列又はそれらの断片を含むプラスミド発現ベクターによる発現を介して産生するのに有用である。上述のように、ポリペプチドには、例えば、酵素活性(例えば、タンパク質分解活性)を有する、サブチリシン変異体ポリペプチドなどのプロテアーゼ変異体ポリペプチドが包含され、プロテアーゼ変異体ポリペプチドは、クリーニング用途、及びクリーニングする必要のある物品又は表面(例えば、物品の表面)をクリーニングするためのクリーニング組成物に有用である。
一態様では、本発明は、上記の、表題「本発明のポリペプチド」と付けられた節及び本明細書の何処かに記載される、任意のポリペプチド(任意の融合タンパク質などが包含される)をコードしているヌクレオチド配列を含む、単離された核酸、組み換え核酸、実質的に純粋な核酸又は非天然に生じる核酸を提供する。本発明は、上記の、及び本明細書の何処かに記載の、本発明の任意のポリペプチドを2つ以上の組み合わせをコードしているヌクレオチド配列を含む、単離された核酸、組み換え核酸、実質的に純粋な核酸又は非天然に生じる核酸も提供する。
例えば、一態様では、本発明は、タンパク質分解活性を有するプロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)をコードするポリヌクレオチド配列を含む、単離された核酸、組み換え核酸、実質的に純粋な核酸又は非天然に生じる核酸を提供し、上記プロテアーゼは、配列番号1のアミノ酸配列に対し少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、上記プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列は、配列番号1の位置76、87、118、128、129、130、188、及び244のそれぞれのアミノ酸残基に異なるアミノ酸残基による置換を含み、各アミノ酸位置は、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列を配列番号2で示されるバチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列と整列させることで決定される(図1を参照されたい)、バチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列中の対応するアミノ酸位置に割り振られた番号に従って番号付けされる。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものは、配列番号1のアミノ酸位置76、87、118、128、129、130、188、及び244のそれぞれのアミノ酸残基に異なるアミノ酸による置換を含むアミノ酸配列を含むことから、−2、−1、0、+1、+2、+3、又は+4の正味電荷を有するプロテアーゼ変異体が生成される。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものでは:(i)位置76及び188のそれぞれのアミノ酸残基は、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群から選択された負電荷をもつアミノ酸残基により置換され;(ii)位置87、118、及び244のそれぞれのアミノ酸残基は、アルギニン、ヒスチジン、及びリシンからなる群から選択された正電荷をもつアミノ酸残基により置換され;及び(iii)位置128、129、及び130のそれぞれのアミノ酸残基は、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、アラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる群から選択された中性のアミノ酸残基により置換される。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものでは、上記プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列は、アミノ酸置換N76D+S87R+G118R+S128L+P129Q+S130A+S188D+V244Rを含む。
一態様では、本発明は、配列番号6で示されるアミノ酸配列を含むプロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)をコードしているポリヌクレオチド配列を含む単離された核酸、組み換え核酸、実質的に純粋な核酸又は非天然に生じる核酸を提供する。他の態様では、本発明は、配列番号9のポリヌクレオチド配列、又はその相補的なポリヌクレオチド配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のヌクレオチド配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離された核酸、組み換え核酸、実質的に純粋な核酸又は非天然に生じる核酸を提供する。一態様では、本発明は、配列番号9のポリヌクレオチド配列又はその相補的ポリヌクレオチド配列を含む、単離された核酸、組み換え核酸、実質的に純粋な核酸又は非天然に生じる核酸を提供する。
一態様では、本発明は、配列番号8で示されるアミノ酸配列を含むプロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)をコードしているポリヌクレオチド配列を含む単離された核酸、組み換え核酸、実質的に純粋な核酸又は非天然に生じる核酸を提供する。他の態様では、本発明は、配列番号11のポリヌクレオチド配列、又はその相補的なポリヌクレオチド配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のヌクレオチド配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離された核酸、組み換え核酸、実質的に純粋な核酸又は非天然に生じる核酸を提供する。一態様では、本発明は、配列番号11のポリヌクレオチド配列又はその相補的ポリヌクレオチド配列を含む、単離された核酸、組み換え核酸、実質的に純粋な核酸又は非天然に生じる核酸を提供する。
一態様では、本発明は、タンパク質分解活性を有するプロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)をコードするポリヌクレオチド配列を含む、単離された核酸、組み換え核酸、実質的に純粋な核酸又は非天然に生じる核酸を提供し、上記プロテアーゼ変異体は、配列番号1のアミノ酸配列に対し少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、上記プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列は、配列番号1に対するアミノ酸位置76、87、118、128、129及び130のそれぞれのアミノ酸残基に、異なるアミノ酸残基による置換を含み、並びに(i)アミノ酸位置188のセリン残基、若しくはアスパラギン酸残基ではない異なるアミノ酸残基による位置188のセリン残基の置換、及び/又は(ii)アミノ酸位置248のアスパラギン残基、若しくはアルギニン残基ではない異なるアミノ酸残基による位置248のアスパラギン残基の置換を含み、アミノ酸位置は、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列を配列番号2で示されるサブチリシンBPN’のアミノ酸配列と整列させることで決定される、サブチリシンBPN’のアミノ酸配列中の対応するアミノ酸位置に割り振られた番号に従って番号付けされる。このようにコードされるプロテアーゼ変異体の一部のものは、アミノ酸位置188にセリン残基を、又はアミノ酸位置248にアルギニン残基を含むアミノ酸配列を含む。一態様では、一部のこのようなプロテアーゼ変異体は、(i)アミノ酸位置188のセリン残基、若しくはアスパラギン酸残基ではない異なるアミノ酸残基による位置188のセリン残基の置換、及び(ii)アルギニン残基による位置248のアスパラギン残基の置換を含む。一部のこのようなプロテアーゼ変異体は、(i)アスパラギン酸残基による位置188のセリン残基の置換、及び(ii)位置248のアスパラギン残基、若しくはアルギニン残基ではない異なるアミノ酸残基による位置248のアスパラギン残基の置換を含む。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものは、配列番号1のアミノ酸位置76、87、118、128、129、及び130のそれぞれのアミノ酸残基に異なるアミノ酸による置換を含むアミノ酸配列を含むことから、−2、−1、0、+1、+2、+3、又は+4の正味電荷を有するプロテアーゼ変異体が生成される。このようなプロテアーゼ変異体の一部のものでは:(i)位置76のアミノ酸残基が、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群から選択された負電荷をもつアミノ酸残基により置換され、(ii)位置87及び118のそれぞれのアミノ酸残基が、アルギニン、ヒスチジン、及びリシンからなる群から選択された、正電荷をもつアミノ酸残基により置換され、及び(iii)位置128、129、及び130のそれぞれのアミノ酸残基が、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、アラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる群から選択された非荷電のアミノ酸残基で置換される。
一態様では、本発明は、配列番号7で示されるアミノ酸配列を含むプロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)をコードするポリヌクレオチド配列を含む、単離された核酸、組み換え核酸、実質的に純粋な核酸又は非天然に生じる核酸を提供する。
他の態様では、本発明は、配列番号10のポリヌクレオチド配列、又はその相補的なポリヌクレオチド配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のヌクレオチド配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離された核酸、組み換え核酸、実質的に純粋な核酸又は非天然に生じる核酸を提供する。一態様では、本発明は、配列番号10のポリヌクレオチド配列又はその相補的ポリヌクレオチド配列を含む、単離された核酸、組み換え核酸、実質的に純粋な核酸又は非天然に生じる核酸を提供する。
同様に、タンパク質分解活性を有するプロテアーゼ変異体をコードしているポリヌクレオチド配列を含む、単離された核酸、組み換え核酸、実質的に純粋な核酸又は非天然に生じる核酸も提供され、上記プロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)は:
(a)25個以下、20個以下、15個以下、14個以下、13個以下、12個以下、11個以下、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、又は6個以下のアミノ酸残基が、配列番号1のアミノ酸配列と異なっており;かつ
(b)配列番号1のアミノ酸位置76、87、118、128、129、及び130のそれぞれのアミノ酸残基に異なるアミノ酸残基による置換を含み、かつ(i)アミノ酸位置188のセリン残基、若しくはアスパラギン酸残基ではない異なるアミノ酸残基による位置188のセリン残基の置換、及び/又は(ii)アミノ酸位置248のアスパラギン残基、若しくはアルギニン残基ではない異なるアミノ酸残基による位置248のアスパラギン残基の置換を含む、アミノ酸配列からなり、アミノ酸位置は、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列を配列番号2で示されるバチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列と整列させることで決定される、バチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列中の対応するアミノ酸位置に割り振られた番号に従って番号付けされる。このようにコードされるプロテアーゼ変異体の一部のものは、(i)アミノ酸位置188のセリン残基、若しくはアスパラギン酸残基ではない異なるアミノ酸残基による位置188のセリン残基の置換、及び(ii)アルギニン残基による位置248のアスパラギン残基の置換を含む、アミノ酸配列を含む。このようにコードされるプロテアーゼ変異体の一部のものは、アスパラギン酸残基による位置188のセリン残基の置換を含み、かつ(ii)位置248のアスパラギン残基、若しくはアルギニン残基ではない異なるアミノ酸残基による位置248のアスパラギン残基の置換を含む、アミノ酸配列を含む。
他の態様では、本発明は、タンパク質分解活性を有する単離されたプロテアーゼ変異体、組み換えプロテアーゼ変異体、実質的に純粋なプロテアーゼ変異体又は非天然に生じるプロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)を提供し、上記プロテアーゼ変異体は、(a)25個以下、20個以下、15個以下、14個以下、13個以下、12個以下、11個以下、10個以下、9個以下又は8個以下のアミノ酸残基が、配列番号1で示されるアミノ酸配列と異なっており、かつ(b)配列番号1の位置76、87、118、128、129、130、188、及び244のそれぞれのアミノ酸にアミノ酸残基の置換を含む、アミノ酸配列からなり、アミノ酸位置は、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列を配列番号2で示されるバチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列と整列させることで決定される、バチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’中の対応するアミノ酸位置に割り振られた番号に従って番号付けされる。
一態様では、本発明は、配列番号9、10、及び11のうちの任意のポリヌクレオチド配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離された核酸、組み換え核酸、実質的に純粋な核酸又は非天然に生じる核酸を提供する。
本発明の核酸は、任意の好適な合成法、操作法及び/又は単離技術、又はこれらの組み合わせを用いることで生成することができる。例えば、本発明のポリヌクレオチドは、当業者に周知の固相合成法などの標準的な核酸合成技術を用い製造することもできる。このような技術では、典型的には最大で50個又はそれ以上のヌクレオチド塩基の断片が合成され、次いで(例えば、酵素的な若しくは化学的な連結方法、又はポリメラーゼによる組み換え方法により)連結されることで、本質的に任意の所望の連続的な核酸配列が生成される。本発明の核酸の合成は、例えば、Beaucage et al.(1981)Tetrahedron Letters 22:1859〜69に記載される古典的なホスホラミダイト法、又は例えば典型的には自動合成法で実施される、Matthes et al.(1984)EMBO J.3:801〜05に記載の方法を用いて、化学的な合成により促進することも(又は代替的に実施することも)できる。本発明の核酸は、自動DNA合成装置を用い製造することもできる。カスタマイズされた核酸は、The Midland Certified Reagent Company(mcrc@oligos.com)、the Great American Gene Company(worldwide website address genco.com)、Operon Technologies Inc.(Alameda,Calif.)、及びDNA2.0(Menlo Park,CA)などの各種供給業者に発注することができる。核酸を合成する他の技術及び関連する原理は、例えば、Itakura et al.,Annu.Rev.Biochem.53:323(1984)及びItakura et al.,Science 198:1056(1984)に記載されている。
核酸の改変に有用な組み換えDNA技術は当該技術分野において周知である。例えば、制限エンドヌクレアーゼによる消化、ライゲーション、逆転写、及びcDNA産生、並びにポリメラーゼ連鎖反応(例えば、PCR)などの技法が知られており、当業者により容易に選択される。有用な組み換えDNA技術及びそれらに関連する原理は、Sambrook et al.(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press、及びこの第3版(2001);Ausubel et al.(1994〜1999)Current Protocols in Molecular Biology,Wiley Interscience Publishers;並びにBerger and Kimmel,「Guide to Molecular Cloning Techniques,」in Methods in Enzymol.Vol.152,Acad.Press,Inc.,San Diego,CAに記載されている。
本発明のヌクレオチドは、本発明のプロテアーゼ変異体のポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドとハイブリッド形成することのできる、又はこれをPCR増幅することのできるオリゴヌクレオチドプローブを1つ以上用い、cDNAライブラリ(本明細書に記載のものを含む、当該技術分野で一般的に使用される変異導入技術を用いて生成される)をスクリーニングすることでも得ることができる。cDNAクローンのスクリーニング及び単離手順、及びPCRによる増幅手順は当業者に周知のものであり、例えば、Berger、Sambrook、及びAusubel(すべて上掲)に記載される。本発明の核酸のうち一部のものは、天然に生じるポリヌクレオチド主鎖(例えば、酵素又は親プロテアーゼをコードしているポリヌクレオチド)を、例えば既知の変異導入法(例えば、部位特異的変異導入、部位特異的飽和変異導入、及びインビトロでの組み換え)を用い改変することで得ることができる。
本発明の改変プロテアーゼ変異体の製造方法
本発明のプロテアーゼ変異体をコードしている本発明の改変ポリヌクレオチドを生成するのに好適な様々な方法が当該技術分野において既知であり、限定するものではないが、例えば、部分飽和変異導入、系統的変異導入法、挿入変異、欠失変異、ランダム変異、部位特異的変異導入、及び定向進化、並びに様々な他の組み換え手法が挙げられる。改変ポリヌクレオチド及びタンパク質(例えば、プロテアーゼ変異体)の製造法としては、DNAシャフリング法(例えば、Stemmer WP,91(22):10747〜51(1994)を参照されたい)、遺伝子の非相同組み換えに基づく例えばITCHY(Ostermeier et al.,7(10):2139〜44(1999)),SCRACHY(Lutz et al.98(20):11248〜53(2001)),SHIPREC(Sieber et al.,Nat.Biotechnol.19(5):456〜60(2001))、及びNRR(Bittker et al.,Nat.Biotechnol.20(10):1024〜9(2001);Bittker et al.,Proc Natl.Acad.Sci.USA101(18):7011〜6(2004))などの方法、並びにランダム及び標的変異を挿入、欠失、及び/又は挿入するためのオリゴヌクレオチドの使用に基づく方法(Ness et al.,Nat.Biotechnol.20(12):1251〜5(2002);Coco et al.,Nat.Biotechnol.20(12):1246〜50(2002);Zha et al.,Chembiochem.4(1):34〜9(2003),Glaser et al.,J.Immunol.149(12):3903〜13(1992),Sondek and Shortle,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89(8):3581〜5(1992),Yanez et al.,Nucleic Acids Res.32(20):e158(2004),Osuna et al.,Nucleic Acids Res.32(17):e136(2004),Gaytan et al.,Nucleic Acids Res.29(3):E9(2001),及びGaytan et al.,Nucleic Acids Res.30(16):e84(2002))が挙げられる。
本発明のプロテアーゼ変異体を製造するためのベクター、細胞、及び方法
本発明は、本明細書に記載の本発明のポリヌクレオチドを少なくとも1種含む単離された又は組み換えベクター(例えば、本明細書に記載の本発明のプロテアーゼ変異体をコードしているポリヌクレオチド)、本発明の核酸又はポリヌクレオチドを少なくとも1種含有する単離された又は組み換えプロテアーゼ発現ベクター又は発現カセット、本発明の核酸又はポリヌクレオチドを少なくとも1種含有する単離された、実質的に純粋の、又は組み換えDNAコンストラクト、本発明のポリヌクレオチドを少なくとも1種含有する単離された又は組み換え細胞、本発明のポリヌクレオチドを少なくとも1種含む細胞を含有している細胞培養物、本発明の核酸又はポリヌクレオチドを少なくとも1種含有する細胞培養物、並びにこのようなベクター、核酸、発現ベクター、発現カセット、DNAコンストラクト、細胞、細胞培養物、又はこれらの任意の組み合わせ又はこれらの混合物などを1種以上含有する組成物を提供する。
一態様では、本発明は、本発明の核酸又はポリヌクレオチドを少なくとも1種含む本発明のベクター(例えば、発現ベクター又はDNAコンストラクト)を少なくとも1つ含む組み換え細胞を提供する。このような組み換え細胞の一部のものは、このような少なくとも1つのベクターにより形質転換又は形質移入される。このような細胞は、典型的には宿主細胞と呼ばれる。このような細胞の一部のものは、細菌細胞、例えば、限定するものではないが、バチルス・スブチリス細胞などのバチルス種細胞を含む。本発明は、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種含む組み換え細胞(例えば、組み換え宿主細胞)も提供する。
一態様では、本発明は、本発明の核酸又はポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。一態様では、ベクターは、本発明のプロテアーゼ変異体をコードしている本発明のポリヌクレオチド配列が、効果的な遺伝子発現に必要とされる核酸断片に、又は追加の核酸断片に、制御可能なように連結される発現ベクター又は発現カセットである(例えば、プロモーターは、本発明のプロテアーゼ変異体をコードしている本発明のポリヌクレオチドに、制御可能なように連結される)。ベクターには、転写終結配列、及び/又は抗菌剤を含有している培地で増殖させることによりプラスミドを感染させた宿主細胞を持続的に維持培養することを可能にする、抗菌耐性遺伝子などの選別遺伝子を含ませてもよい。
発現ベクターは、プラスミド又はウイルスDNAから誘導することができ、あるいは代替的な実施形態では、これらの両方の要素を含有する。例示的なベクターとしては、限定するものではないが、Molecular Biological Methods for Bacillus,John Wiley & Sons(1990)(例えば、第3章を参照されたい)のpXX、pC194、pJH101、pE194、pHP13(Harwood and Cutting(eds.));92頁に記載のB.スブチリスに好適な複製プラスミド;Perego,M.(1993)バチルス・スブチルスの遺伝的操作用の一体型ベクター(615〜624頁);A.L.Sonenshein,J.A.Hoch,and R.Losick(ed.),Bacillus subtilis and other Gram−positive bacteria:biochemistry,physiology and molecular genetics,American Society for Microbiology,Washington,D.C.が挙げられる。
対象とするタンパク質(例えば、プロテアーゼ変異体)を細胞で発現及び産生させる際、改変プロテアーゼをコードしているポリヌクレオチドのコピーを少なくとも1つ及び好ましくは複数含む発現ベクターを少なくとも1つ用い、プロテアーゼの発現に好適な条件下で細胞を形質転換する。一態様では、プロテアーゼ変異体(並びにベクターに含有される他の配列)をコードしているポリヌクレオチド配列は宿主細胞のゲノムに組み込まれ、一方、他の態様では、プロテアーゼ変異体をコードしているポリヌクレオチド配列を含むプラスミドベクターは自律性の染色体外配列として細胞内に留まる。本発明は、染色体外の核酸配列、並びに宿主細胞のゲノムに組み込まれる組み込みヌクレオチド配列の両方を提供する。本明細書に記載のベクターは、本発明のプロテアーゼ変異体の産生に有用である。一態様では、プロテアーゼ変異体をコードしているポリヌクレオチドコンストラクトは、プロテアーゼ変異体をコードしているポリヌクレオチドを細菌染色体に組み込み及び場合により増幅することのできるベクター上に存在する。組み込むための部位の例には、当業者に周知の部位が包含される。一部の実施形態では、本発明のプロテアーゼ変異体をコードしているポリヌクレオチドの転写は、選択されたプロテアーゼ前駆体用の野生型プロモーターによりもたらされる。一部の他の実施形態では、プロモーターは、プロテアーゼ前駆体と非相同的なものであるものの、宿主細胞中で機能するものである。具体的には、細菌宿主細胞で使用するのに好適なプロモーターの例としては、限定するものではないが、例えば、amyE、amyQ、amyL、pstS、sacB、pSPAC、pAprE、pVeg、pHpaIIプロモーター、B.ステアロサーモフィルスのマルトース生成型アミラーゼ遺伝子、B.アミロリケファシエンス(BAN)アミラーゼ遺伝子、B.サブチリスのアルカリプロテアーゼ遺伝子、B.クラウシイのアルカリプロテアーゼ遺伝子、B.プミリスのキシロシダーゼ遺伝子、B.チューリンゲンシスのcryIIIA、及びB.リケニフォルミスのα−アミラーゼ遺伝子が挙げられる。追加のプロモーターとしては、限定するものではないが、A4プロモーター、並びにファージλPR又はPLプロモーター、及び大腸菌lac、trp又はtacプロモーターが挙げられる。
本発明のプロテアーゼ変異体は、微生物及び真菌を包含する任意の好適なグラム陽性細菌の宿主細胞で産生され得る。例えば、一部の実施形態では、プロテアーゼ変異体は真菌及び/又は微生物由来の宿主細胞で産生される。一部の実施形態では、宿主細胞は、バチルス種、ストレプトマイセス種(Streptomyces sp.)、エシェリキア種(Escherichia sp.)、又はアスペルギルス種(Aspergillus sp.)である。一部の実施形態では、プロテアーゼ変異体は、バチルス種の宿主細胞により産生される。本発明のプロテアーゼ変異体の産生での使用が見出されるバチルス種宿主細胞の例としては、限定するものではないが、B.リケニフォルミス、B.レンタス、B.スブチリス、B.アミロリケファシエンス、B.レンタス、B.ブレビス、B.ステアロサーモフィルス、B.アルカロフィルス、B.コアギュランス、B.サーキュランス、B.プミリス、B.チューリンゲンシス、B.クラウシイ、及びB.メガテリウム、並びにバチルス属内の他の生物が挙げられる。一部の実施形態では、B.スブチリス宿主細胞は、プロテアーゼ変異体の産生に使用される。米国特許第5,264,366号及び同第4,760,025号(再発行特許第34,606号)は、本発明のプロテアーゼ変異体の産生に使用することができる様々なバチルス宿主株を記載するが、他の好適な株も使用することができる。
本発明のプロテアーゼ変異体の産生に使用することができる幾つかの工業用菌種としては、非組み替え型(すなわち、野生型)のバチルス種株、並びに天然に生じる変異体株及び/又は組み換え株が挙げられる。一部の実施形態では、宿主株は組み換え株であり、宿主には、対象とするポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドが導入されている。一部の実施形態では、宿主株はB.スブチリス宿主株であり、特に組み換え型のバチルス・スブチルス宿主株である。数多くのB.スブチリス株が既知であり、限定するものではないが、例えば、1A6(ATCC 39085)、168(1A01)、SB19、W23、Ts85、B637、PB1753〜PB1758、PB3360、JH642、1A243(ATCC 39,087)、ATCC 21332、ATCC 6051、MI113、DE100(ATCC 39,094)、GX4931、PBT 110、及びPEP 211株(例えば、Hoch et al.,Genetics 73:215〜228(1973)を参照されたい)(同様に米国特許第4,450,235号及び同第4,302,544号、及び欧州特許第0134048号を参照されたい、これらの各々は参照によりその全文が組み込まれる)。発現宿主細胞としてのB.スブチリスの使用は当業者に周知である(例えば、Palva et al.,Gene 19:81〜87(1982);Fahnestock and Fischer,J.Bacteriol.,165:796〜804(1986);及びWang et al.,Gene 69:39〜47(1988)を参照されたい)。
一部の実施形態では、バチルス宿主細胞は、次の遺伝子:degU、degS、degR及びdegQのうち少なくとも1つの遺伝子が変異又は欠失しているバチルス種のものである。好ましくは、変異はdegU遺伝子に生じ、より好ましくは変異はdegU(Hy)32である。例えば、Msadek et al.,J.Bacteriol.172:824〜834(1990)及びOlmos et al.,Mol.Gen.Genet.253:562〜567(1997))を参照されたい。好ましい宿主株は変異degU32(Hy)を保有しているバチルス・スブチルスである。一部の実施形態では、バチルス宿主は、scoC4(例えば、Caldwell et al.,J.Bacteriol.183:7329〜7340(2001)を参照されたい);spoIIE(例えば、Arigoni et al.,Mol.Microbiol.31:1407〜1415(1999)を参照されたい);及び/又はoppA又はoppオペロンの他の遺伝子(例えば、Perego et al.,Mol.Microbiol.5:173〜185(1991)を参照されたい)に変異又は欠失を含む。実際に、本発明の改変バチルス株の一部の実施形態での使用が見出される、oppA遺伝子の変異などの同様の表現型を生じる、oppオペロンに生じる任意の変異が想到される。一部の実施形態では、これらの変異は単独で生じるものの、他の実施形態では変異の組み合わせが存在する。一部の実施形態では、本発明のプロテアーゼ変異体の産生に使用することができる改変されたバチルス宿主細胞株は、上記の遺伝子のうちの1つ以上に予め変異を含んでいるバチルス宿主株である。加えて、内因性のプロテアーゼ遺伝子に関する変異及び/又は欠失を含むバチルス種宿主細胞の使用も見出される。一部の実施形態では、バチルス宿主細胞はaprE及びnprE遺伝子の欠失を含む。他の実施形態では、バチルス種宿主細胞ではプロテアーゼ遺伝子が5つ欠失している一方で、他の実施形態では、バチルス種宿主細胞ではプロテアーゼ遺伝子が9つ欠失している(例えば、米国特許第2005/0202535号を参照されたい)。
宿主細胞は、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種コードしている核酸を少なくとも1つ用い、当該技術分野において既知の任意の好適な手段により形質転換される。ベクターに組み込まれる場合でも、あるいはプラスミドDNAを存在させずに使用される場合でも、いずれにせよ、核酸は典型的には微生物に導入され、一部の実施形態では、好ましくは大腸菌細胞又は形質転換受容性のバチルス細胞に導入される。プラスミドDNAコンストラクト又はベクターを利用して、核酸(例えば、DNA)をバチルス細胞又は大腸菌細胞に導入する方法、及びこのようなプラスミドDNAコンストラクト又はベクターにより細胞を形質転換する方法は周知である。一部の実施形態では、プラスミドは、続いて大腸菌細胞から単離され、バチルス細胞に導入される。しかしながら、必ずしも大腸菌などの微生物を介在させる必要はなく、一部の実施形態では、DNAコンストラクト又はベクターは直接バチルス宿主に導入される。
当業者であれば、本発明の核酸又はポリヌクレオチド配列をバチルス細胞に導入するのに好適な方法は充分に承知している(例えば、Ferrari et al.,「Genetics,」in Harwood et al.(ed.),Bacillus,Plenum Publishing Corp.(1989),pp.57〜72;Saunders et al.,J.Bacteriol.157:718〜726(1984);Hoch et al.,J.Bacteriol.93:1925〜1937(1967);Mann et al.,Current Microbiol.13:131〜135(1986);及びHolubova,Folia Microbiol.30:97(1985);Chang et al.,Mol.Gen.Genet.168:11〜115(1979);Vorobjeva et al.,FEMS Microbiol.Lett.7:261〜263(1980);Smith et al.,Appl.Env.Microbiol.51:634(1986);Fisher et al.,Arch.Microbiol.139:213〜217(1981);及びMcDonald,J.Gen.Microbiol.130:203(1984)を参照されたい)。実際に、プロトプラスト形質転換及び会合(congression)を包含する形質転換、形質導入、及び原形質融合などの方法は周知であり、本発明での使用に適する。本発明のプロテアーゼ変異体をコードしている核酸を含むDNAコンストラクト又はベクターを宿主細胞に導入するために、形質転換法が使用される。当該技術分野において既知である、バチルス細胞の形質転換方法としては、部分的に相同である常在性プラスミドを保持する形質転換受容性細胞による、ドナープラスミドの取り込みを包含する、プラスミドマーカーレスキュー形質転換などの方法が挙げられる(Contente et al.,Plasmid 2:555〜571(1979);Haima et al.,Mol.Gen.Genet.223:185〜191(1990);Weinrauch et al.,J.Bacteriol.154:1077〜1087(1983);及びWeinrauch et al.,J.Bacteriol.169:1205〜1211(1987))。この方法では、導入するドナープラスミドは、染色体の形質転換を模倣する方法で、常在性の「ヘルパー」プラスミドの相同領域を組み換える。
一般的に使用される方法に加えて、一部の実施形態では、宿主細胞は、本発明のプロテアーゼ変異体をコードしている核酸を含むDNAコンストラクト又はベクターにより直接的に形質転換される(すなわち、増幅に中間細胞が使用されず、あるいは別の方法では、DNAコンストラクト又はベクターは、宿主細胞への導入前に使用されない)。本発明のDNAコンストラクト又はベクターの宿主細胞への導入法には、プラスミド又はベクター中に挿入せずに核酸配列(例えば、DNA配列)を宿主細胞に導入するための、当該技術分野において既知の物理的及び化学的方法が包含される。このような方法としては、限定するものではないが、塩化カルシウム沈殿、電気穿孔法、ネイキッドDNA法、及びリポソーム法などが挙げられる。更なる実施形態では、DNAコンストラクト又はベクターは、プラスミドに挿入されず、プラスミドと共に同時形質転換に使用される。加えて、更なる実施形態では、選択マーカーは、当該技術分野において既知の方法により、改変バチルス株から削除される(Stahl et al.,J.Bacteriol.158:411〜418(1984);及びPalmeros et al.,Gene 247:255〜264(2000)を参照されたい)。
一部の実施形態では、本発明の形質転換細胞は、従来の栄養培地で培養される。温度及びpHなどの、好適な特異的な培養条件は、当業者には既知のものである。また、一部の培養条件は、Hopwood(2000)Practical Streptomyces Genetics,John Innes Foundation,Norwich UK;Hardwood et al.,(1990)Molecular Biological Methods for Bacillus,John Wiley and from the American Type Culture Collection(ATCC)などの科学文献に見出すことができる。一態様では、本発明は、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種又は本発明の核酸を少なくとも1種含む培養物(例えば、細胞培養物)を提供する。同様に、本発明の核酸、ベクター、又はDNAコンストラクトを少なくとも1つ含む組成物も提供する。
一部の実施形態では、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種コードしている少なくとも1つのポリヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞を、本発明のプロテアーゼの発現を可能にする条件下で、好適な栄養培地で培養した後、得られるプロテアーゼを培養物から回収する。細胞培養に使用する培地には、宿主細胞を増殖させるのに好適な、適切な添加剤を含有している最少培地又は複合培地などといった任意の従来の培地を含む。好適な培地は、販売元から入手することができ、又は公開されている処方に従って調製することもできる(例えば、the American Type Culture Collectionのカタログのように)。一部の実施形態では、細胞より産生されたプロテアーゼは、限定するものではないが、例えば、遠心沈降又は濾過による培地からの宿主細胞の分離、上清のタンパク質成分の沈殿又は塩(例えば、硫酸アンモニウム)を用いる濾過、クロマトグラフィー精製(例えば、イオン交換、ゲル濾過、親和性など)などの従来法により培養培地から回収される。本発明のプロテアーゼ変異体の回収又は精製に好適な任意の方法を使用することができる。
一態様では、組み換え宿主細胞により産生されたプロテアーゼ変異体は、培養培地に分泌される。精製の助けとなるドメインをコードしている核酸配列を使用して、可溶性タンパク質の精製を容易にすることもできる。プロテアーゼ変異体をコードしているポリヌクレオチド配列を含むベクター又はDNAコンストラクトには、プロテアーゼ変異体の精製を容易にするために、精製を容易にするドメインをコードしている核酸配列を更に含ませることもできる(例えば、Kroll,D.J.et al.,DNA Cell Biol.12:441〜53(1993)を参照されたい)。このような、精製を容易にするドメインとしては、限定するものではないが、例えば、固定化させた金属による精製を可能にする、ヒスチジン−トリプトファンモジュールなどの金属キレートペプチド(Porath J.,Protein Expr.Purif.3:263〜281(1992))、固定化させた免疫グロブリンによる精製を可能にする、プロテインAドメイン、及びFLAGSを用いる伸展/アフィニティ精製系(Immunex Corp.,Seattle,WA)に利用することのできるドメインが挙げられる。精製ドメイン及び非相同的なタンパク質間に、ファクターXA又はエンテロキナーゼ(Invitrogen,San Diego,CA)などの、開裂させることのできるリンカー配列を包含させることによっても精製が促進されることが見出されている。
本発明のプロテアーゼ変異体などの酵素の酵素活性の検出及び測定アッセイは周知である。例えば、本発明のプロテアーゼ変異体などのプロテアーゼの活性を検出及び測定するための様々なアッセイも当業者には既知である。具体的なアッセイを、カゼイン又はヘモグロビンからの酸可溶性ペプチドの放出に基づき、280nm下での吸光度として測定され、又はフォリン法を用いる比色測定により測定されるプロテアーゼ活性の測定に利用することができる(例えば、Bergmeyer et al.,「Methods of Enzymatic Analysis」vol.5,Peptidases,Proteinases and their Inhibitors,Verlag Chemie,Weinheim(1984)を参照されたい)。他の例示的なアッセイは、可溶性の発色性基質を包含する(例えば、Ward,「Proteinases,」in Fogarty(ed.).,Microbial Enzymes and Biotechnology,Applied Science,London,(1983),pp.251〜317を参照されたい)。他の例示的なアッセイとしては、限定するものではないが、スクシニル−Ala−Ala−Pro−Phe−パラニトロアニリドアッセイ(SAAPFpNA)及び2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩アッセイ(TNBSアッセイ)が挙げられる。当該技術分野において既知のものである多数の更なる参照文献により、好適な方法が提供される(例えば、Wells et al.,Nucleic Acids Res.11:7911〜7925(1983);Christianson et al.,Anal.Biochem.223:119〜129(1994);及びHsia et al.,Anal Biochem.242:221〜227(1999)を参照されたい)。
宿主細胞での成熟プロテアーゼ(例えば、本発明の成熟プロテアーゼ変異体)の産生レベルを判定するために、様々な方法を使用することができる。このような方法としては、限定するものではないが、例えば、プロテアーゼに特異的なポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体のいずれかを利用する方法が挙げられる。例示的な方法としては、限定するものではないが、例えば、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、放射免疫測定法(RIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、及び蛍光標示式細胞分取(FACS)が挙げられる。これらのアッセイ及びその他のアッセイは当該技術分野において周知のものである(例えば、Maddox et al.,J.Exp.Med.158:1211(1983)を参照されたい)。
他の態様では、本発明は、本発明の成熟型のプロテアーゼ変異体を製造又は産生する方法を提供する。成熟型のプロテアーゼ変異体は、シグナルペプチド配列又はプロペプチド配列を含まない。この方法の一部のものは、例えば、バチルス・スブチルス細胞などのバチルス種細胞といった、組み換え細菌宿主細胞により、本発明のプロテアーゼ変異体を製造又は産生させることを含む。一態様では、本発明は、本発明のプロテアーゼ変異体の産生方法であって、この方法は、本発明のプロテアーゼ変異体をコードしている核酸を含む組み換えプロテアーゼ発現ベクターを含む組み換え宿主細胞を、プロテアーゼ変異体の産生を誘導する条件下で培養する工程を含む、方法を提供する。このような方法の一部のものは、更に、培養物からプロテアーゼ変異体を回収する工程を含む。
一態様では、本発明は、本発明のプロテアーゼ変異体の製造方法であって、この方法は:(a)本発明のプロテアーゼ変異体をコードしている核酸を含む組み換えプロテアーゼ発現ベクターを細胞集団(例えば、バチルス・スブチルス細胞などの細菌細胞)に導入する工程;並びにb)発現ベクターによりコードされているプロテアーゼ変異体の産生を誘導する条件下で培養培地中で細胞を培養する工程、を含む、方法を提供する。このような方法のうち一部のものは、(c)細胞又は培養培地からプロテアーゼ変異体を単離する工程、を更に含む。
本発明のクリーニング組成物
他の態様では、本発明は、本発明のポリペプチド(例えば、プロテアーゼ変異体)を1種以上含む組成物(例えば、クリーニング組成物)を提供する。このような組成物は、賦形剤若しくは担体、及び/又は他の代替物、成分、若しくは材料を少なくとも1つ含み得る。本明細書で更に記載されるように、本発明のプロテアーゼ変異体を包含する本発明のポリペプチドは、洗濯物クリーニング用途、食器自動洗浄用途、食器手洗い用途、硬質表面クリーニング用途、及び本明細書に記載される他の用途を包含する、各種クリーニング用途に有用である。したがって、例えば一態様では、本発明は、本発明のポリペプチド(例えば、プロテアーゼ変異体)を少なくとも1種含むクリーニング組成物を提供する。上記のように、このようなクリーニング組成物としては、限定するものではないが、例えば、食器自動洗浄用及び手洗い用洗剤組成物、洗濯洗剤組成物(例えば、液体及び粉末洗濯洗剤組成物など)、硬質表面クリーニング組成物(限定するものではないが、例えば、非食器類、非食卓用食器類、テーブル、卓上、家具、壁、床、天井などの硬質表面)が挙げられる。クリーニングする必要のある物品又は表面をクリーニングする方法に有用である、このようなクリーニング組成物は、例えば、限定するものではないが、賦形剤、担体、及び/又は他の代替物、成分、又は材料を少なくとも1つ含み得る。一態様では、本発明は、本明細書及び本案件を通して記載される本発明の任意の組成物(例えば、クリーニング組成物又は洗剤組成物)を提供し、上記組成物は、本案件を通して及び本明細書に記載される本発明の任意のポリペプチド(例えば、本発明の任意のプロテアーゼ変異体又はサブチリシン変異体)を含有するが、ここで、上記組成物は食器自動洗浄用組成物(例えば、自動食器洗浄用洗剤組成物)ではない。
特に記載がない限り、本明細書に提供される成分又は組成物の濃度はすべて、成分又は組成物の活性レベルに対するものであり、市販の供給源に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。酵素成分の重量は活性タンパク質の合計に基づくものである。百分率及び比率はすべて、別途記載のない限り重量で計算される。百分率及び比率はすべて、別途記載のない限り組成物全体を基準にして計算される。例示された洗剤組成物において、酵素濃度は、組成物の合計重量に基づき純粋な酵素濃度として表現され、かつ別途記載のない限り、洗剤成分は組成物の合計重量に基づき表現される。
本明細書で示されるように、一部の実施形態では、本発明のクリーニング組成物は更に補助剤を1種以上含んでもよく、限定するものではないが、補助剤としては、例えば、界面活性剤を1種以上、ビルダー、漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒、他の酵素、酵素安定化剤、キレート剤、蛍光増白剤、汚れ遊離ポリマー、移染剤、分散剤、抑泡剤、染料、香料、着色剤、充填剤塩、ヒドロトロープ、光活性化剤、蛍光発色剤、布地コンディショナー、加水分解性界面活性剤、保存料、抗酸化剤、収縮防止剤、防皺剤、殺菌剤、防かび剤、色スペックル、銀ケア剤、防曇化剤及び/又は抗腐食剤、アルカリ供給源、可溶化剤、担体、加工助剤、色素、すすぎ助剤(例えば、クリーニングされる物品の表面から水を吸収することにより水滴が形成されるのを防ぐための界面活性剤を少なくとも1種含有している、液滴形成型のものではなく薄いシート形態のすすぎ助剤)、及び/又はpH調整剤(例えば、米国特許第6,610,642号、同第6,605,458号、同第5,705,464号、同第5,710,115号、同第5,698,504号、同第5,695,679号、同第5,686,014号及び同第5,646,101号を参照されたい。これらのすべては参照により本案件に組み込まれる)が挙げられる。クリーニング組成物材料の具体例は以下に詳細に例示する。所望のクリーニング組成物において、クリーニング助剤が本発明のプロテアーゼ変異体と適合性でない場合、これら2つの成分を組み合わせることが適切になるまでの間、クリーニング助剤とプロテアーゼ変異体を分離させておく(すなわち、互いに接触させずにおく)のに好適な方法が使用される。このような分離手法には、当該技術分野において既知の任意の好適な方法が包含される(例えば、ゲルキャップ法、カプセル封入、錠剤、物理的分離など)。
本発明のクリーニング組成物は、例えば、洗濯用途、硬質表面クリーニング用途、食器手洗い又は食器手動洗浄用途、食器自動洗浄用途、眼鏡クリーニング用途、並びに義歯、歯、毛髪、及び皮膚のクリーニングなどの化粧品用途に好都合に採用される。低温の溶液で効果が増加するという独特の利点に起因し、本発明のプロテアーゼ変異体酵素は、洗濯用途及び食器洗浄用途(食器手洗い及び自動洗浄用途を含む)に適する。更に、本発明のプロテアーゼ変異体酵素は、固体、ゲル、顆粒、及び/又は液体洗剤組成物及び/又は配合物を包含する、固体、ゲル、顆粒、及び/又は液体組成物での使用が見出される。
本発明のプロテアーゼ変異体は、クリーニング助剤製品での使用も見出される。一部の実施形態では、本発明のプロテアーゼ変異体は、低温の溶液を用いるクリーニング用途及び方法で有用である。一態様では、本発明は、本発明の酵素プロテアーゼ変異体を少なくとも1種含むクリーニング助剤組成物を提供し、このクリーニング助剤組成物は、更なる漂白効果が所望される場合に、洗浄プロセスに包含させるのに理想的に適している。このような場合の例としては、限定するものではないが、例えば、低温溶液クリーニング用途が挙げられる。一部の実施形態では、助剤組成物はその最も単純な形態であり、すなわち、本発明のプロテアーゼ変異体1種以上である。一部の実施形態では、助剤組成物は、クリーニング過程で添加するために、単位容量形態でパッケージングされている。一部の実施形態では、助剤組成物は、クリーニング過程で添加するために、単位容量形態でパッケージングされており、助剤組成物には過酸素源が採用され、漂白効果の増加が所望される。限定するものではないが、例えば、丸剤、錠剤、ゲルキャップ、又は予め計量された粉末若しくは液体などの他の一回用量単位が挙げられる、任意の好適な一回用量単位形態を使用することができる。したがって、一態様では、本発明は、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種含むクリーニング組成物を提供し、この組成物は、一回用量のプロテアーゼ変異体を提供するような好適な一回用量単位の好適な形態(例えば、液体、粉末、固形、丸剤、錠剤、ゲルキャップ、又は他の好適な形態)で配合される。このような洗浄製品は、限定するものではないが、例えば、機械又は手洗い洗濯法及び用途、食器自動洗浄法又は食器手洗い法及び用途などの各種クリーニング方法及び用途に有用である。このようなクリーニング方法及び用途は、低温又は低pH条件下で実施することができる。一部の実施形態では、充填剤を少なくとも1種及び/又は担体材料を少なくとも1種包含させて、組成物の容量を増量させる。好適な充填剤又は担体材料としては、限定するものではないが、例えば、様々な硫酸塩、炭酸塩及びケイ酸塩並びにタルク、及びクレイなどが挙げられる。液体組成物に好適な充填剤又は担体材料としては、限定するものではないが、例えば、水、又はポリオール及びジオールなどの低分子量の一級及び二級アルコールが挙げられる。このようなアルコールの例としては、限定するものではないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノールが挙げられる。一部の実施形態では、組成物は、このような充填剤又は担体材料を約5%〜約90%含有する。このような組成物に酸性の充填剤を含有させて、リーニング方法又は用途で得られる溶液のpHを低下させることもできる。あるいは、一部の実施形態では、以下により詳細に記載されるような1種以上の補助成分がクリーニング助剤とし含有される。
本発明のクリーニング組成物及びクリーニング助剤は、有効量の本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種、単独で、又は他のプロテアーゼ及び/若しくは追加の酵素との組み合わせで必要とする。必要とされる酵素レベルは、本発明のプロテアーゼ変異体を1種以上添加することで達成される。典型的には、クリーニング組成物は、本発明のプロテアーゼ変異体のうち少なくとも1種を、少なくとも約0.0001重量%〜約20重量%、約0.0001〜約10重量%、約0.0001〜約1重量%、約0.001〜約1重量%、又は約0.01〜約0.1重量%含む。一態様では、本発明の組成物(例えば、本発明のクリーニング組成物)は、本発明の活性プロテアーゼ変異体のうち少なくとも1種を、組成物1gあたり約0.01ミリグラム(mg)〜約10mg、約0.01〜約5mg、約0.01mg〜約2mg、約0.01〜約1mg、約0.5mg〜約10mg、約0.5〜約5mg、約0.5〜約4mg、約0.5〜約4mg、約0.5〜約3mg、約0.5〜約2mg、約0.5〜約1mg、約0.1〜約10mg、約0.1〜約5mg、約0.1〜約4mg、約0.1〜約3mg、約0.1〜約2mg、約0.1〜約2mg、約0.1〜約1mg、約0.1〜約0.5mg含む。
本発明のクリーニング組成物は、典型的には、水性クリーニング操作での使用時に、洗浄水のpHが約5.0〜約11.5又は更には約7.5〜約10.5になるように配合される。液体製品組成物又は配合物の未希釈時pHは、典型的には約3.0〜約9.0又は約3.0〜約5.0である。顆粒状洗濯製品組成物は、典型的にはpHが約9〜約11になるよう配合される。食器手洗い用及び自動食器洗浄用洗剤組成物は、方法及び具体的な用途に依存して、典型的には、pHが約8〜約11.5になるよう、例えば、限定するものではないが、約8〜約10、約9〜約11.5、及び約9.5〜約11.5のpH範囲になるよう配合される。推奨される使用量でのpHを制御する技術には、緩衝剤、アルカリ、酸などの使用を含み、当業者には周知である。
好適な低pHのクリーニング組成物は、典型的には、未希釈時pHが約3〜約5であり、典型的には、このようなpH環境で加水分解される界面活性剤を含まない。このような界面活性剤としては、エチレンオキシド部分を少なくとも1つ又は更にはエチレンオキシドを約1〜約16モル含むアルキル硫酸ナトリウム界面活性剤が挙げられる。このようなクリーニング組成物は、典型的には、未希釈時pHが約3〜約5であるクリーニング組成物をもたらすのに十分な量のpH調整剤、例えば、水酸化ナトリウム、モノエタノールアミン、又は塩酸などを含む。このような組成物は、典型的には、酸に安定な酵素を少なくとも1種含む。一部の実施形態では、組成物は液体である一方、他の実施形態では固体である。このような液体組成物のpHは、典型的には未希釈時pHとして測定される。このような固形組成物のpHは、上記組成物の固形分10%の溶液として測定され、ここで、溶媒は蒸留水である。これらの実施形態では、別途記載のない限り、PHの測定はすべて20℃で行われた。
一部の実施形態では、本発明のプロテアーゼ変異体が顆粒状組成物又は液体組成物に採用された場合、保存時に、プロテアーゼ変異体を他の顆粒状組成物の成分から保護するために、プロテアーゼ変異体は、カプセル封入された粒子の形態であることが望ましい。加えて、カプセル封入は、クリーニング過程でプロテアーゼ変異体の利用能を制御する手段でもある。一部の実施形態では、カプセル封入は、プロテアーゼ変異体及び/又は追加の酵素の性能を上昇させる。この観点から、本発明のプロテアーゼ変異体は、当該技術分野において既知の任意の好適な封入剤によりカプセル封入される。一部の実施形態では、封入剤は、典型的には、本発明のプロテアーゼ変異体に関する触媒の少なくとも一部を封入する。一般的には、封入剤は、水溶性及び/又は水分散性である。一部の実施形態では、封入剤のガラス転移温度(Tg)は0℃以上である。ガラス転移温度は、国際公開第97/11151号により詳細に記載される。封入剤は、典型的には、炭水化物、天然又は合成ゴム、キチン、キトサン、セルロース及びセルロース誘導体、ケイ酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、パラフィンワックス、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。封入剤が炭水化物である場合、典型的には、単糖、オリゴ糖、多糖、及びこれらの組み合わせから選択される。一部の典型的な実施形態では、封入剤はデンプンである(例えば、欧州特許第0 922 499号;米国特許第4,977,252号、同第5,354,559号、及び同第5,935,826号を参照されたい)。一部の実施形態では、封入剤は、熱可塑性プラスチック、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル及びこれらの混合物から製造されるプラスチック製のマイクロスフェア、並びに限定するものではないが、使用が見出される、EXPANCEL(登録商標)(Stockviksverken,Sweden)により供給されるもの、並びにPM 6545、PM 6550、PM 7220、PM 7228、EXTENDOSPHERES(登録商標)、LUXSIL(登録商標)、Q−CEL(登録商標)、及びSPHERICEL(登録商標)(PQ Corp.,Valley Forge,PA)などの市販のマイクロスフェアである。
本明細書に記載されるとき、本発明のプロテアーゼ変異体は、限定するものではないが、例えば、クリーニング、洗濯、食器手洗い、及び食器自動洗浄洗剤組成物を包含する、クリーニング方法及び用途での使用が特に見出される。これらの用途では、様々な環境ストレス下に酵素を配置する。本発明のプロテアーゼ変異体は、様々な条件下でのタンパク質分解活性及び安定性に起因し、クリーニング用途などで現在使用されている多くの酵素を上回る利点を提供する。
実際に、洗浄に関与するプロテアーゼが晒される、洗剤の配合、洗浄水の容量、洗浄水の温度、及び洗浄時間の長さの変更を含む、各種洗浄条件が存在する。加えて、異なる地理的条件下で使用される洗剤配合物では、洗浄水中に、関連する成分が異なる濃度で存在する。例えば、欧州の洗剤は一般的には100万分率(ppm)が4500〜5000の洗剤成分を洗浄水中に含有する一方、日本の洗剤は典型的には約667ppmの洗剤成分を洗浄水に有する。北アメリカ、特に合衆国では、一般的には約975ppmの洗剤成分が洗浄水中に存在する。
低濃度洗剤系には、約800ppm未満の洗剤成分が洗浄水に存在する洗剤が包含される。洗浄水中に約667ppmの洗剤成分が存在していることから、日本の洗剤は、典型的には低濃度洗剤系と見なされる。
中間濃度洗剤には、約800ppm〜約2000ppmの洗剤成分が洗浄水中に存在する洗剤が包含される。洗浄水中に約975ppmの洗剤成分が存在していることから、北アメリカの洗剤は、一般に中間濃度洗剤系であると見なされる。ブラジルでは、典型的には洗浄水中に約1500ppmの洗剤成分が存在する。
高濃度洗剤系には、約2000ppm超の洗剤成分が洗浄水中に存在しているものが包含される。洗浄水中に約4500〜5000ppmの洗剤成分が存在していることから、欧州の洗剤は、一般に高濃度洗剤系であると見なされる。
ラテンアメリカの洗剤は、概して高起泡性のリン酸ビルダー洗剤であり、洗浄水中に約1500〜6000ppmの範囲の洗剤成分が存在していることから、ラテンアメリカで使用されている洗剤の範囲は、中間濃度及び高濃度洗剤の両方に入り得る。上記のように、ブラジルでは、典型的には洗浄水中に約1500ppmの洗剤成分が存在する。しかしながら、高起泡性のリン酸ビルダー洗剤が使用されている他の地域では、例えば、限定するものではないが、他のラテンアメリカの国々では、洗浄水中に、洗剤成分が最大で約6000ppm存在している高濃度洗剤系が使用されている場合がある。
前述の内容を考慮すると洗剤組成物の濃度は、世界中の典型的洗浄溶液で、約800ppm未満の洗剤組成物(「洗剤濃度が低い地域」)、例えば、日本の約667ppmのものから、中間では約800ppm〜約2000ppmの洗剤組成物(「洗剤濃度が中程度の地域」)、例えば、アメリカの約975ppm及びブラジルの約1500ppmのもの、そして約2000ppm超の洗剤組成物(「洗剤濃度が高い地域」)、例えば、欧州の約4500ppm〜約5000ppmのもの、及び高起泡性リン酸ビルダーの地域では約6000ppmのものへと幅広く変化することが明白である。
典型的な洗浄溶液の濃度は経験的に判断される。例えば、米国では、一般的な洗濯機の洗浄溶液容量は約64.4Lである。したがって、洗剤濃度が約975ppmの洗浄溶液を得るためには、64.4Lの洗浄溶液に約62.79gの洗剤組成物を添加しなくてはならない。この量は、消費者により、洗浄水に洗剤用の軽量カップを用い量り入れられる典型的な量である。
更なる例として、異なる地域では異なる洗浄温度が使用される。日本で使用されている洗浄温度は、典型的には、欧州で使用されているものよりも低い。例えば、北アメリカ及び日本での洗浄水の温度は、典型的には約10℃〜約30℃(例えば、約20℃)の間である一方、欧州の洗浄水の温度は、典型的には約30℃〜約60℃(例えば、約40℃)である。しかしながら、エネルギーの節約の観点から、多くの消費者は冷水を用いる洗浄法に切り替えている。加えて、一部の更なる地域では、典型的には洗濯並びに食器洗浄用途には冷水が使用されている。一部の実施形態では、本発明の「冷水洗浄」は、約10℃〜約40℃、又は約20℃〜約30℃、又は約15℃〜約25℃の洗浄温度、並びに約15℃〜約35℃の範囲内の他のすべての組み合わせの洗浄温度、及び10℃〜40℃の範囲に含まれる全範囲の洗浄温度を使用するものである。
更なる例では、異なる地理条件下では、一般に異なる硬度の水が用いられている。水硬度は、通常、Ca2+/Mg2+混合物のガロンあたりのグレインとして記載される。硬度は、水に含まれるカルシウム(Ca2+)及びマグネシウム(Mg2+)の尺度である。米国ではほとんどの水は硬水であるが、硬水の程度は異なる。中硬水(60〜120ppm)〜硬水(121〜181ppm)は、百万分率で60〜181(百万分率をUSガロンあたりのグレインに変換したものは、ppm数を17.1当量のグレイン毎ガロンで除算したものに相当する)の鉱物を含有する。
欧州の水硬度は、典型的には、約180(10.5)ppm(グレイン毎ガロン)超(例えば、約180〜約343ppm(約10.5〜約20.0))のCa2+/Mg2+混合物である(例えば、約257ppm(15グレイン毎ガロン)のCa2+/Mg2+混合物)。北アメリカの水硬度は、典型的には日本の水硬度よりも高いものの、欧州の水硬度未満である。例えば、北アメリカの水硬度は、約3〜約10グレイン(約51〜約171ppm)、約3〜約8グレイン(約51〜約137ppm)又は約6グレイン(103ppm)であり得る。日本の水硬度は、典型的には北アメリカの水硬度よりも低く、通常Ca2+/Mg2+混合物は約69ppm(4)未満であり、例えば、約3グレイン毎ガロン(51ppm)である。
したがって、一部の態様では、本発明は、少なくとも一組の洗浄条件(例えば、水温、水硬度、及び/又は洗剤濃度)下で驚くべき洗浄性能を示すプロテアーゼ変異体を提供する。一部の態様では、本発明のプロテアーゼ変異体の洗浄性能は、他のサブチリシンプロテアーゼに匹敵する。一部の態様では、本発明のプロテアーゼ変異体は、市販されている現行のサブチリシンプロテアーゼを上回る洗浄性能を呈する。したがって、本発明の一部の態様では、本明細書に提供されるプロテアーゼ変異体は、酸化安定性、熱安定性、様々な条件下でのクリーニング性能、及び/又はキレート化安定性が改良されている。加えて、本発明のプロテアーゼ変異体は、洗剤を単独で含有せず、あるいは洗剤をビルダー及び安定剤との組み合わせとしても含有しないクリーニング組成物での使用が見出されている。
一態様では、本発明は、組成物の重量に基づき約0.00001重量%〜約10重量%の濃度で存在する本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種と、組成物の重量に基づき残部の分のクリーニング助剤を1種以上(例えば、約99.999重量%〜約90.0重量%)とを含む、クリーニング組成物を提供する。他の態様では、本発明は、組成物の重量の約0.0001重量%〜約10重量%、約0.001重量%〜約5重量%、約0.001重量%〜約2重量%、又は約0.005重量%〜約0.5重量%の濃度で存在する本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種と、クリーニング助剤を1種以上含むクリーニング組成物の残部(例えば、約99.9999重量%〜約90.0重量%、約99.999重量%〜約98重量%、約99.995重量%〜約99.5重量%)とを含む、クリーニング組成物を提供する。
一部の態様では、本発明のクリーニング組成物は、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種に加えて、クリーニング性能及び/又は布地ケア及び/又は食器手洗い又は食器手動洗浄及び/又は食器自動洗浄利益を提供する追加の酵素を1種以上含む。好適な酵素の例としては、限定するものではないが、例えば、ヘミセルラーゼ、セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ペクテートリアーゼ、マンナナーゼ、ケラチナーゼ、還元酵素、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及び/又はアミラーゼ、中性メタロプロテアーゼ酵素(「nprE」と略記)、又はこれらの混合物が挙げられる。一部の態様では、クリーニング組成物は、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種に加えて、例えば、追加の少なくとも1種のプロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、セルロース、及び/又はアミラーゼなどの、従来適用され得る酵素を含む追加の酵素の組み合わせ(すなわち「カクテル」)を含む。
本明細書で提供されるプロテアーゼ変異体に加えて、任意の他の好適なプロテアーゼも本発明の組成物に使用することができ、本発明の組成物に含まれ得る。一態様では、本発明は、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種及び追加のプロテアーゼを少なくとも1種含む組成物(例えば、クリーニング組成物)を提供する。好適なプロテアーゼとしては、動物、植物、又は微生物由来のものが挙げられる。一実施形態では、微生物のプロテアーゼを含ませることができる。化学的に又は遺伝的に改変させた変異型プロテアーゼを含ませることもできる。一態様では、少なくとも1種の追加のプロテアーゼはセリンプロテアーゼであり、好ましくはアルカリ性微生物のプロテアーゼ又はトリプシン様プロテアーゼである。アルカリ性プロテアーゼの例としては、サブチリシン、特にバチルス由来のサブチリシンが挙げられる(例えば、サブチリシン、B.レンタスのサブチリシン(すなわち、GG36)、B.アミロリケファシエンスのサブチリシン(すなわち、BPN’)、サブチリシンCarlsberg、サブチリシン309、サブチリシン147、PB92、及びサブチリシン168)。更なる例としては、米国再発行特許第34,606号、米国特許第5,955,340号、同第5,700,676号、同第6,312,936号、及び同第6,482,628号に記載される変異型プロテアーゼ(すなわち、プロテアーゼ変異体)が挙げられる。これらの各々は参照により本案件に組み込まれる。追加のプロテアーゼとしては、限定するものではないが、トリプシン(例えば、ブタ又はウシ由来)、及び国際公開第89/06270号に記載のフサリウムプロテアーゼが挙げられる。本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種含む本発明の組成物は、市販のプロテアーゼ酵素も少なくとも1種含み得る。本発明の組成物での使用が見出される市販のプロテアーゼ酵素としては、限定するものではないが、例えば、MAXATASE(登録商標)、MAXACAL(商標)、MAXAPEM(商標)、OPTICLEAN(登録商標)、OPTIMASE(登録商標)、PROPERASE(登録商標)、PURAFECT(登録商標)、PURAFECT(登録商標)OXP、PURAMAX(商標)、EXCELLASE(商標)、及びPURAFAST(商標)(Genencor);ALCALASE(登録商標)、SAVINASE(登録商標)、PRIMASE(登録商標)、DURAZYM(商標)、POLARZYME(登録商標)、OVOZYME(登録商標)、KANNASE(登録商標)、LIQUANASE(登録商標)、NEUTRASE(登録商標)、RELASE(登録商標)及びESPERASE(登録商標)(Novozymes);A230V+S256G+S259Nを有するKAPバチルス・アルカロフィルス(Bacillus alkalophilus)のサブチリシン(花王);及びBLAP(商標)B.レンタスプロテアーゼ、BLAP X、及びBLAP S(Henkel Kommanditgesellschaft auf Aktien,Duesseldorf,Germany)が挙げられる。本発明の組成物に含ませることのできる追加のプロテアーゼとしては、国際公開第95/23221号、同第92/21760号、米国特許出願公開第2008/0090747号、及び米国特許第5,801,039号、同第5,340,735号、同第5,500,364号、同第5,855,625号、米国再発行特許第34,606号、同第5,955,340号、同第5,700,676号、同第6,312,936号、及び同第6,482,628号、及び様々なその他の特許に記載のものが挙げられる。メタロプロテアーゼを本発明の組成物に含ませることもできる。このようなメタロプロテアーゼとしては、限定するものではないが、例えば、国際公開第07/044993号に記載される中性のメタロプロテアーゼ酵素(nprE)が挙げられる。
一態様では、本発明は、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種及びリパーゼを少なくとも1種含む組成物(例えば、クリーニング組成物)を提供する。好適なリパーゼとしては、限定するものではないが、例えば、微生物又は真菌由来のものが挙げられる。化学的に又は遺伝的に改質された変異型リパーゼを組成物に含ませることもできる。有用なリパーゼの例としては、ヒュミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)のリパーゼ(例えば、欧州特許第258 068号及び同第305 216号を参照されたい)、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)のリパーゼ(例えば、欧州特許第238 023号を参照されたい)、カンジダ(Candida)のリパーゼ、例えばC・アンタルクチカ(C. antarctica)のリパーゼなど(例えば、C・アンタルクチカのリパーゼA又はB;例えば、欧州特許第214 761号を参照されたい)、シュードモナス(Pseudomonas)のリパーゼ、例えば、P.アルカリゲネス(P. alcaligenes)のリパーゼ及びP.シュードアルカリゲネス(P. pseudoalcaligenes)のリパーゼなど(例えば、欧州特許第218 272号を参照されたい)、P.セパシア(P. cepacia)のリパーゼ(例えば、欧州特許第331 376号を参照されたい)、P.スタッツェリ(P. stutzeri)のリパーゼ(例えば、独国特許第1,372,034号を参照されたい)、P.フルオレッセンス(P. fluorescens)のリパーゼ、バチルスのリパーゼ(例えば、B.スブチリスのリパーゼ(Dartois et al.,Biochem.Biophys.Acta 1131:253〜260(1993));B.ステアロサーモフィルスのリパーゼ(例えば、日本国特許第64/744992号を参照されたい);及びB.プミラスのリパーゼ(例えば、国際公開第91/16422号を参照されたい))が挙げられる。
加えて、数多くのクローン化されたリパーゼを本発明の組成物(例えば、クリーニング組成物)に使用することも見出されており、このようなリパーゼとしては、限定するものではないが、例えば、ペニシリウム・カメンベルチ(Penicillium camembertii)のリパーゼ(Yamaguchi et al.,Gene 103:61〜67(1991))、ジオトリカム・カンディダム(Geotricum candidum)のリパーゼ(Schimada et al.,J.Biochem.106:383〜388(1989))、及び様々なクモノスカビのリパーゼ、例えば、R.デレマー(R. delemar)のリパーゼ(Hass et al.,Gene 109:117〜113(1991))、R.ニベウス(R. niveus)のリパーゼ(Kugimiya et al.,Biosci.Biotech.Biochem.56:716〜719(1992))及びR.オリザエ(R. oryzae)のリパーゼが挙げられる。
クチナーゼなどの他の種類の脂肪分解酵素も本発明の一部の実施形態での使用が見出されており、限定するものではないが、例えば、シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)由来のクチナーゼ(国際公開第88/09367号を参照されたい)、及びフザリウム・ソラニ・ピシ(Fusarium solani pisi)由来のクチナーゼ(国際公開第90/09446号を参照されたい)が挙げられる。
その他の好適なリパーゼとしては、M1 LIPASE(商標)、LUMA FAST(商標)、及びLIPOMAX(商標)(Genencor);LIPOLASE(登録商標)及びLIPOLASE(登録商標)ULTRA(Novozymes);及びLIPASE P(商標)「アマノ」(天野エンザイム,日本)などの市販のリパーゼが挙げられる。
一部の実施形態では、本発明は、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種、及び組成物の重量に基づき約0.00001重量%〜約10重量%の濃度で存在する追加のリパーゼを少なくとも1種、並びに組成物の重量に基づき残部でクリーニング助剤を1種以上含む、組成物(例えば、クリーニング組成物)を提供する。一態様では、本発明のクリーニング組成物は、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種に加えて、組成物の重量に基づき約0.0001重量%〜約10重量%、約0.001重量%〜約5重量%、約0.001重量%〜約2重量%、又は約0.005重量%〜約0.5重量%の濃度の少なくとも1種のリパーゼを含む。
同様に、本発明の少なくとも1種の変異体及び少なくとも1種のアミラーゼを含む組成物(例えば、クリーニング組成物)も包含される。アルカリ溶液での使用に好適な任意のアミラーゼ(例えば、α及び/又はβ)もこのような組成物に含ませるのに有用である場合がある。好適なアミラーゼとしては、限定するものではないが、例えば、微生物又は真菌由来のものが挙げられる。化学的に又は遺伝的に改変させた変異型アミラーゼを含ませることもできる。本発明の組成物での使用が見出されるアミラーゼとしては、限定するものではないが、例えば、B.リケニフォルミス(例えば、英国特許第1,296,839号を参照されたい)から得られるα−アミラーゼが挙げられる。本発明の組成物での使用が見出される市販のアミラーゼとしては、限定するものではないが、例えば、DURAMYL(登録商標)、TERMAMYL(登録商標)、FUNGAMYL(登録商標)、STAINZYME(登録商標)、STAINZYME PLUS(登録商標)、STAINZYME ULTRA(登録商標)、及びBAN(商標)(Novozymes)、並びにPOWERASE(商標)、RAPIDASE(登録商標)及びMAXAMYL(登録商標)P(Genencor)が挙げられる。
一態様では、本発明は、プロテアーゼ変異体を少なくとも1種又はアミラーゼを少なくとも1種含むクリーニング組成物を提供し、アミラーゼは、組成物の重量に基づき約0.00001重量%〜約10重量%の濃度で存在し、組成物の重量に基づき残部には、クリーニング助剤が1種以上存在する。他の態様では、本発明は、プロテアーゼ変異体を少なくとも1種、及びアミラーゼを少なくとも1種含むクリーニング組成物を包含し、組成物には、組成物の重量に基づき約0.0001重量%〜約10重量%、約0.001重量%〜約5重量%、約0.001重量%〜約2重量%、約0.005重量%〜約0.5重量%の濃度でアミラーゼが存在する。
任意の好適なセルラーゼも本発明のクリーニング組成物での使用が見出され得る。一態様では、本発明は、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種及び/又はセルラーゼを少なくとも1種含むクリーニング組成物を提供する。好適なセルラーゼとしては、限定するものではないが、例えば、微生物又は真菌由来のものが挙げられる。化学的に又は遺伝的に改変させた変異型セルラーゼも本発明の組成物に含まれ得る。好適なセルラーゼとしては、限定するものではないが、例えば、ヒュミコラ・インソレンス(Humicola insolens)のセルラーゼ(例えば、米国特許第4,435,307号を参照されたい)及び色調ケア効果のあるセルラーゼ(例えば、欧州特許第0 495 257号を参照されたい)が挙げられる。更なる好適なセルラーゼは当該技術分野において既知である。本発明のの組成物での使用が見出され、かつ組成物に含ませることのできる市販のセルラーゼとしては、限定するものではないが、例えば、CELLUZYME(登録商標)、CAREZYME(登録商標)(Novozymes)、及びKAC−500(B)(商標)(花王株式会社)が挙げられる。一部の実施形態では、セルラーゼは、野生型又は変異型成熟セルラーゼの一部又は断片として組み込まれ、変異型ではN末端の一部が欠損している(例えば、米国特許第5,874,276号を参照されたい)。一態様では、本発明のクリーニング組成物は、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種、及び組成物の重量に基づき約0.00001重量%〜約10重量%の濃度の追加のセルラーゼを少なくとも1種、並びに組成物の重量に基づき残部で1種以上のクリーニング助剤を含む。他の態様では、本発明は、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種と、組成物の重量に基づき約0.0001重量%〜約10重量%、約0.001重量%〜約5重量%、約0.001重量%〜約2重量%、約0.005重量%〜約0.5重量%の濃度の少なくとも1種のセルラーゼを含む、クリーニング組成物を提供する。
洗剤組成物での使用に好適な任意のマンナナーゼも使用が見出され、ひいては本発明のクリーニング組成物に含まれ得る。一態様では、本発明は、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種及びマンナナーゼを少なくとも1種含むクリーニング組成物を提供する。好適なマンナナーゼとしては、限定するものではないが、例えば、微生物又は真菌由来のものが挙げられる。化学的に又は遺伝的に改変させた変異型マンナナーゼも本発明の組成物に包含され得る。様々なマンナナーゼが本発明の組成物に有用であり、かつ組成物に含ませ得ることが既に分かっている(例えば、米国特許第6,566,114号、同第6,602,842号及び同第6,440,991号に記載のマンナナーゼを参照されたい。これらの各々は参照により本案件に組み込まれる)。一態様では、本発明は、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種及び組成物の重量に基づき約0.00001重量%〜約10重量%の濃度で存在するマンナナーゼを少なとも1種、並びに組成物の重量に基づき残部でクリーニング助剤を1種以上含む、クリーニング組成物を提供する。一部のこのようなクリーニング組成物では、各マンナナーゼは組成物に約0.0001重量%〜約10重量%、約0.001重量%〜約5重量%、約0.001重量%〜約2重量%、又は約0.005重量%〜約0.5重量%の濃度で存在する。
ペルオキシダーゼを過酸化水素又は過酸化水素供給源(例えば、過炭酸塩、過ホウ酸塩又は過硫酸塩)と組み合わせて本発明の組成物に使用してもよい。オキシダーゼを酸素と組み合わせて本発明の組成物に使用してもよい。これらの種類の酵素は両方とも「溶液を漂白」する(すなわち、布地を一緒に洗浄溶液で洗浄する場合に、布地の染料が、その染料で染色されている布から他の布へと色移りするするのを予防する)ために、好ましくは増感剤と共に使用される(例えば、国際公開第94/12621号及び国際公開第95/01426号を参照されたい)。本発明の組成物に含ませるのに好適なペルオキシダーゼ/オキシダーゼとしては、限定するものではないが、例えば、植物、微生物、又は真菌由来のものが挙げられる。化学的に又は遺伝的に改変させた変異型ペルオキシダーゼ又はオキシダーゼも本発明の組成物に包含され得る。一態様では、本発明は、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種及びペルオキシダーゼを少なくとも1種及び/又はオキシダーゼ酵素を少なくとも1種含むクリーニング組成物を提供する。それぞれのペルオキシダーゼ又はオキシダーゼは、組成物の重量に基づき約0.00001重量%〜約10重量%の濃度で組成物に存在し、組成物の重量に基づき残部にはクリーニング助剤が1種以上存在する。他の態様では、本発明は、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種、並びにペルオキシダーゼを少なくとも1種及び/又は少なくともオキシダーゼ酵素を含有する、クリーニング組成物を提供し、それぞれのペルオキシダーゼ又はオキシダーゼは、組成物の重量に基づき約0.0001重量%〜約10重量%、約0.001重量%〜約5重量%、約0.001重量%〜約2重量%、又は約0.005重量%〜約0.5重量%の濃度で存在する。
一態様では、本発明は、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種及び使用が見出される追加の酵素を1種以上、例えば、限定するものではないが、ペルヒドロラーゼを含有する、組成物(例えば、クリーニング組成物)を提供する(例えば、国際公開第05/056782号を参照されたい)。
他の態様では、本発明は、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種、並びに例えば、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、マンナナーゼ、及び/又はセルラーゼなどを更に1種以上包含する上記1種以上の酵素の混合物、を含有する、組成物(例えば、クリーニング組成物)を提供する。実際に、これらの酵素の多様な混合物が本発明の組成物での使用を見出され得ることは想到されている。プロテアーゼ変異体及び追加の1種以上の酵素の濃度は、いずれも独立して約10%までの範囲で変化し、クリーニング組成物の残部は1種以上のクリーニング助剤からなることも想到される。クリーニング助剤の具体的な選択は、クリーニングされる表面若しくは物品(例えば、食器類、食卓用食器類、又は布製物品)又は布地、並びに使用時のクリーニング条件下で組成物に所望される形態(例えば、食器手洗い用又は自動食器洗浄用洗剤用途)について考慮することで容易になされる。
一態様では、本発明は、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種(及び所望により必要に応じて追加の酵素を少なくとも1種)、及びクリーニング助剤を1種以上含む組成物(例えば、クリーニング組成物)を提供する。好適なクリーニング助剤の例としては、限定するものではないが、例えば、界面活性剤、ビルダー、漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒、他の酵素、酵素安定化剤、キレート剤、蛍光増白剤、汚れ遊離ポリマー、移染剤、移染防止剤、触媒材料、過酸化水素、過酸化水素源、予形成過酸、高分子分散剤、クレイ汚れ除去剤、構造弾性化剤、分散剤、抑泡剤、染料、香料、着色剤、充填剤塩、ヒドロトロープ、光活性化剤、蛍光発色剤、布地コンディショナー、布地柔軟剤、担体、ヒドロトロープ、加工助剤、溶媒、色素、加水分解性界面活性剤、保存料、抗酸化剤、収縮防止剤、防皺剤、殺菌剤、防かび剤、色スペックル(color speckles)、銀ケア、防曇剤及び/又は抗腐食剤、アルカリ源、可溶化剤、担体、加工助剤、色素、及びpH調整剤(例えば、米国特許第6,610,642号、同第6,605,458号、同第5,705,464号、同第5,710,115号、同第5,698,504号、同第5,695,679号、同第5,686,014号及び同第5,646,101号を参照されたい、これらのすべては参照により本案件に組み込まれる)。クリーニング組成物材料の具体例は以下に詳細に例示する。上記のように、所望のクリーニング組成物において、クリーニング助剤が本発明のプロテアーゼ変異体と適合性でない場合、これらの成分を組み合わせることが適切になるまでの間、クリーニング助剤とプロテアーゼを分離させておく(すなわち、互いに接触させずにおく)のに好適な方法が使用される。このような分離手法には、当該技術分野において既知の任意の好適な方法が包含される(例えば、ゲルキャップ法、カプセル封入、錠剤、物理的分離など)。
一部の態様では、本発明の組成物(例えば、クリーニング組成物)は、タンパク質系の汚れを除去する必要のある表面をクリーニングするのに有用な又は効果的な本発明のプロテアーゼ変異体を、有効量で少なくとも1種含有する。このようなクリーニング組成物としては、硬質表面、洗濯物、布地、食器、食卓用食器類、又は食器類(例えば、食器手洗い若しくは食器手動洗浄又は食器自動洗浄)をクリーニングするなどの用途用のクリーニング組成物が挙げられる。実際に、一部の実施形態では、本発明は布地クリーニング組成物を提供するが、他の実施形態では、本発明は非布地用クリーニング組成物を提供する。特に、本発明は、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種含むクリーニング組成物も提供し、このようなクリーニング組成物は、パーソナルケア、例えば口腔ケア(歯磨き剤、歯磨きペースト、マウスウォッシュなど、並びに義歯洗浄用組成物など)、皮膚及び毛髪クリーニング、並びに眼鏡クリーニングに好適である。本発明は、任意の形態(すなわち、液体、顆粒状、棒状、固形、半固形、ゲル、乳濁液、錠剤、カプセル剤など)の洗剤組成物を包含することを意図する。
例として、本発明のプロテアーゼ変異体の使用が見出される数種類のクリーニング組成物が以下により詳細に記載される。本発明のクリーニング組成物が洗濯機を用いる洗浄に使用するのに好適な組成物として配合される一部の実施例では、本発明の組成物は、好ましくは界面活性剤を少なくとも1種、及びビルダー化合物を少なくとも1種、並びにクリーニング助剤を1種以上(例えば、クリーニング助剤は有機高分子化合物、漂白剤、追加の酵素、抑泡剤、分散剤、石鹸酸化カルシウム分散剤(lime-soap dispersants)、汚れ懸濁剤及び再付着防止剤、並びに腐食防止剤からなる群から1種以上選択される)含有する。一部の実施形態では、洗濯用組成物は柔軟剤も1種以上含有する(すなわち、追加のクリーニング助剤として)。本発明のプロテアーゼ変異体を1種以上添加することのできる追加の例示的な洗濯物又は布地クリーニング組成物及び配合物は、以下の実施例に表される。
本発明の組成物は、固形又は液体形態で洗剤添加製品として使用することも見出される。このような添加剤製品は、従来の洗剤組成物の性能を補う及び/又は強化することが意図されるものであり、クリーニングプロセスの任意の段階で添加できる。組成物を20℃で測定した場合に、一部の実施形態では、洗濯洗剤組成物の密度は約400〜約1200g/リットルであり、一方で他の実施形態では、約500〜約950g/リットルの範囲である。
一態様では、本発明は、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種含む、米国特許第6,605,458号に提供されるようなクリーニング組成物を提供する。一部の実施形態では、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種含む組成物は、コンパクトな顆粒状布地クリーニング組成物である一方、他の実施形態では、組成物は着色された布地を洗濯するのに有用な顆粒状の布地クリーニング組成物であり;他の実施形態では、組成物は洗浄性能により柔軟効果を提供する顆粒状の布地クリーニング組成物であり、更なる実施形態では、組成物は強力液体布地クリーニング組成物である。一部の実施形態では、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種含む組成物は、米国特許第6,610,642号及び同第6,376,450号に記載されるものなどの布地クリーニング組成物である。欧州又は日本の洗浄条件に特に有用な、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種含む顆粒状の洗濯洗剤組成物(例えば、米国特許第6,610,642号を参照されたい)も提供される。
一部の態様では、本発明は、本明細書に提供されるプロテアーゼ変異体を少なくとも1種含む硬質表面クリーニング組成物を提供する。このような組成物の一部のものには、米国特許第6,610,642号、同第6,376,450号、及び同第6,376,450号に記載されるような、プロテアーゼ変異体を少なくとも1種含む硬質表面クリーニング組成物が包含される。
一態様では、本発明は、本明細書で提供されるプロテアーゼ変異体を少なくとも1種含む、食器手洗い用又は自動食器洗浄用洗剤組成物を提供する。このような組成物の一部のものには、米国特許第6,610,642号、及び同第6,376,450号に記載されるような、硬質表面クリーニング組成物が包含される。
一態様では、本発明は、食器手動洗浄若しくは食器手洗い又は食器自動洗浄法に使用するための、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種及び/又は界面活性剤を少なくとも1種及び/又は追加のクリーニング助剤(有機高分子化合物、起泡剤、II属金属イオン、溶媒、ヒドロトロープ、及び追加の酵素から選択される)を少なくとも1種含有するクリーニング組成物を提供する。
本発明のクリーニング組成物が食器自動洗浄機を用いる方法に使用するのに好適な組成物として配合される一部の実施例では、本発明の組成物は、典型的には界面活性剤を少なくとも1種及び/又はビルダー化合物を少なくとも1種含有し、かつクリーニング助剤、好ましくは有機高分子化合物、漂白剤、追加の酵素、抑泡剤、分散剤、石鹸酸化カルシウム分散剤、汚れ懸濁剤及び再付着防止剤及び腐食防止剤からなる群から選択されるクリーニング助剤を含有し得る。本発明のプロテアーゼ変異体を1種以上添加することのできる追加の例示的な食器洗浄用組成物及び配合物は、以下の実施例に記載される。
他の態様では、本発明は、口腔ケア(例えば、歯及び義歯のクリーニング)に有用な本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種含む口腔ケア組成物を提供する。このような組成物に有用でありかつ含ませることのできる口腔ケア組成物の成分としては、米国特許第6,376,450号に記載のものが挙げられる。本発明の組成物は、クリーニング助剤及び米国特許第6,376,450号、同第6,605,458号、及び同第6,610,642号に記載される化合物も更に含有し得る(これらのすべては本明細書に参照により組み込まれる)。
本発明のクリーニング組成物は、任意の好適な形態に配合され、好ましくは配合者により選択される任意のプロセスにより配合され、その非限定例では米国特許第5,879,584号、同第5,691,297号、同第5,574,005号、同第5,569,645号、同第5,565,422号、同第5,516,448号、同第5,489,392号、及び同第5,486,303号に記載されており、これらのすべては参照により本案件に組み込まれる。低pHのクリーニング組成物が所望される場合、このような組成物のpHは、モノエタノールアミンなどの物質又は塩化水素(HCl)などの酸性物質の添加により調整される。
本発明の目的には必須でないが、以下に例示される助剤の非限定的リストは、本クリーニング組成物での使用に好適である。一部の実施形態では、これらの助剤は、例えば、クリーニングされる基材を処理する際のクリーニング性能を補助又は強化させるために、あるいは香料、着色剤、又は染料などの場合にはクリーニング組成物の美観を改善するために組み込まれる。これらの助剤が本発明のプロテアーゼ変異体に加えて存在することは理解されたい。このような追加成分の明確な性質及びそれらを組み込む濃度は、組成物の物理的形態及びそれが使用される洗浄作業の性質に依存する。好適な助剤としては、限定するものではないが、例えば、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、付着助剤、分散剤、追加の酵素、及び酵素安定剤、触媒材料、漂白活性化剤、漂白増進剤、過酸化水素、過酸化水素源、予形成過酸、高分子分散剤、クレイ汚れ除去剤/再付着防止剤、増白剤、抑泡剤、染料、香料、構造弾性化剤、布地柔軟剤、担体、ヒドロトロープ、加工助剤及び/又は色素が挙げられる。以下の開示に加え、このような他の助剤の好適な例及び使用濃度は、米国特許第5,576,282号、同第6,306,812号、及び同第6,326,348号に記載されており、これらは参照により組み込まれる。上述の助剤成分は、本発明のクリーニング組成物の残部を構成し得る。
一部の態様では、本発明のクリーニング組成物は、少なくとも1種の界面活性剤及び/又は界面活性剤系を含み、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双極性界面活性剤、半極性非イオン性界面活性剤及びこれらの混合物から選択される。一部の低pHクリーニング組成物の実施形態(例えば、未希釈時pHが約3〜約5の組成物の場合)では、このような界面活性剤がこのような組成物の酸性成分により加水分解される恐れがあると考えられることから、典型的には組成物はアルキルエトキシル化硫酸塩を含有しない。一部の実施形態では、界面活性剤はクリーニング組成物の約0.1重量%〜約60重量%の濃度で存在する一方、代替的な実施形態では約1重量%〜約50重量%の濃度で、あるいは更に他の実施形態では約5重量%〜約40重量%の濃度で存在する。
一部の態様では、本発明のクリーニング組成物は、洗剤ビルダー又はビルダー系を1種以上含む。少なくとも1種のビルダーを組み込むこのような組成物のうち、一部のものでは、クリーニング組成物は、クリーニング組成物の少なくとも約1重量%、約3重量%〜約60重量%又は更には約5重量%〜約40重量%のビルダーを含む。ビルダーとしては、限定するものではないが、例えば、ポリリン酸のアルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアンモニウム塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ土類及びアルカリ金属炭素塩、アルミノケイ酸塩、ポリカルボン酸塩化合物、エーテルヒドロキシポリカルボン酸塩、無水マレイン酸とエチレン又はビニルメチルエーテルのコポリマー、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン−2,4,6−トリスルホン酸、及びカルボキシメチルオキシコハク酸、ポリ酢酸の様々なアルカリ金属、アンモニウム及び置換アンモニウム塩、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸及びニトリロ三酢酸、並びにポリカルボン酸塩、例えばメリト酸、コハク酸、クエン酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5−トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、及びこれらの可溶性塩が挙げられる。任意の好適なビルダーが、本発明の様々な組成物で使用を見出されることは想到される。
このような組成物の一部のものでは、ビルダーは水溶性の水硬度イオン錯体(例えば、封鎖ビルダー)、例えば、クエン酸塩及びポリリン酸塩など(例えば、トリポリリン酸ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウム六水和物、トリポリリン酸カリウム、並びにトリポリリン酸ナトリウム及びカリウムの混合物など)を形成する。当該技術分野において既知のものが挙げられる(例えば、欧州特許第2 100 949号を参照されたい)、任意の好適なビルダーが本発明での使用を見出されることが想到される。
本発明のクリーニング組成物の一部のものは、プロテアーゼ変異体を少なくとも1種に加えて、キレート化剤を少なくとも1種含む。好適なキレート化剤としては、限定するものではないが、例えば、銅、鉄、及び/又はマンガンキレート化剤及びこれらの混合物が挙げられる。キレート化剤を少なくとも1種使用する実施形態では、本発明のクリーニング組成物は、対象とするクリーニング組成物の約0.1重量%〜約15重量%又は更には約3重量%〜約10重量%のキレート化剤を含有する。
本明細書に提供されるクリーニング組成物の一部のものは、プロテアーゼ変異体を少なくとも1種に加えて、付着助剤を少なくとも1種含有する。好適な付着助剤としては、限定するものではないが、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカルボキシレート、ポリテレフタル酸などの汚れ遊離ポリマー、クレイ、カオリナイト、モンモリロナイト、アタパルジャイト(atapulgite)、イライト、ベントナイト、ハロイサイト、及びこれらの混合物が挙げられる。
本明細書に記載されるように、本発明の一部の実施形態では、再付着防止剤の使用が見出される。一部の実施形態では、非イオン性界面活性剤の使用が見出される。これらの非イオンの界面活性剤は、汚れの再付着の防止にも使用が見出される。一部の実施形態では、再付着防止剤は、当該技術分野において既知の非イオン性界面活性剤である(例えば、欧州特許第2 100 949号を参照されたい)。
一部の実施形態では、本発明のクリーニング組成物は、1種以上の移染防止剤を含む。適したポリマー移染防止剤としては、限定するものではないが、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドンとN−ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン及びポリビニルイミダゾール又はこれらの混合物が挙げられる。移染防止剤が少なくとも1種使用される実施形態では、本発明のクリーニング組成物は、クリーニング組成物の重量に基づき約0.0001重量%〜約10重量%、約0.01重量%〜約5重量%、又は更には約0.1重量%〜約3重量%を含む。
一部の実施形態では、ケイ酸塩が本発明の組成物に含まれる。このような実施形態では、ケイ酸ナトリウム塩(例えば、二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、及び結晶質フィロケイ酸塩)の使用が見出される。一部の実施形態では、ケイ酸塩は約1%〜約20%の濃度で存在する。一部の実施形態では、ケイ酸塩は組成物の約5重量%〜約15重量%の濃度で存在する。
更なる追加の実施形態では、本発明のクリーニング組成物は分散剤も含む。好適な水溶性有機物質としては、例えば、限定するものではないが、ホモポリマー若しくはコポリマーの酸又はそれらの塩が挙げられ、ポリカルボン酸は、炭素原子2個分を超えない程度に互いに離れている少なくとも2個のカルボキシルラジカルを含む。
一部の更なる実施形態では、クリーニング組成物に使用される酵素(例えば、本発明のプロテアーゼ変異体又は他の追加の酵素)は、任意の好適な技術により安定化されている。一部の実施形態では、本明細書で採用される酵素は、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを酵素に供給する、最終組成物中のカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンの水溶性供給源の存在によって安定化される。一部の実施形態では、酵素安定剤としては、オリゴ糖、多糖、及び無機二価金属塩、例えばアルカリ土類金属(カルシウム塩など)が挙げられる。酵素安定化に関する様々な技術が、本発明での使用を見出されることは想到される。例えば、一部の実施形態では、本明細書で採用される酵素は、水溶性の亜鉛(II)、カルシウム(II)及び/又はマグネシウム(II)イオンを最終組成物に存在させることで安定化され、最終組成物は、これらのイオン並びに他の金属イオン(例えば、バリウム(II)、スカンジウム(II)、鉄(II)、マンガン(II)、アルミニウム(III)、スズ(II)、コバルト(II)、銅(II)、ニッケル(II)、及びオキソバナジウム(IV))を酵素に提供する。塩酸塩及び硫酸塩も、本発明の一部の実施形態での使用が見出される。好適なオリゴ糖及び多糖(例えば、デキストリン)の例は、当該技術分野において既知である(例えば、国際公開第07/145964号を参照されたい)。一部の実施形態では、本発明の組成物での使用が見出されるホウ素含有化合物(例えば、ホウ酸塩、4−ホルミルフェニルボロン酸)及び/又はトリペプチドアルデヒドなどの、可逆的なプロテアーゼ阻害剤も所望により安定性を更に改善するために使用が見出される。
一部の実施形態では、漂白剤、漂白活性化剤、及び/又は漂白触媒が本発明の組成物に含まれる。一部の実施形態では、本発明のクリーニング組成物は、無機及び/又は有機漂白化合物を含む。無機漂白剤としては、限定するものではないが、過水和物塩(例えば、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩、及び過ケイ酸塩)が挙げられる。一部の実施形態では、無機過水和物塩はアルカリ金属塩である。一部の実施形態では、無機過水和物塩が、更なる保護はされずに結晶質の固体として含まれるが、一部の他の実施形態では、この塩はコーティングされる。当該技術分野において既知の任意の好適な塩が本発明の組成物での使用を見出される(例えば、欧州特許第2 100 949号を参照されたい)。
一部の実施形態では、漂白活性化剤が本発明の組成物に使用される。漂白活性化剤は、典型的に、60℃以下の温度で洗浄中に漂白作用を増強する有機過酸前駆体である。本明細書に用いるのに好適な漂白活性化剤としては、過加水分解条件下で好ましくは約1〜約10個の炭素原子、特に約2〜約4個の炭素原子を有する脂肪族ペルオキシカルボン酸及び/又は任意に置換された過安息香酸を与える化合物が挙げられる。追加の漂白活性化剤は当該技術分野において既知であり、本発明の組成物での使用が見出される(例えば、欧州特許第2 100 949号を参照されたい)。
加えて、一部の実施形態では、及び、本明細書に記載されるように、本発明のクリーニング組成物は、少なくとも1種の漂白触媒を更に含む。一部の実施形態では、マンガントリアザシクロノナン及び関連する錯体、並びにコバルト、銅、マンガン、及び鉄錯体も使用が見出される。追加の漂白触媒も本発明での使用が見出される(例えば、米国特許第4,246,612号、同第5,227,084号、及び同第4,810410号;国際公開第99/06521号;及び欧州特許第2 100 949号を参照されたい)。
一部の実施形態では、本発明のクリーニング組成物は、触媒金属錯体を1種以上含有する。一部の実施形態では、金属を含有している漂白触媒の使用が見出される。一部の実施形態では、金属系漂白触媒は、規定の漂白触媒活性に関する遷移金属カチオン(例えば、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン、又はマンガンカチオン)、漂白触媒活性をわずかに有する又は全く有さない補助金属カチオン(例えば、亜鉛又はアルミニウムカチオン)、及び触媒及び補助金属カチオン用の規定の安定性定数を有する隔離剤(sequestrate)を含有する触媒系からなり、特にエチレンジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)及びこれらの水溶性塩が使用される(例えば、米国特許第4,430,243号を参照されたい)。一部の実施形態では、本発明のクリーニング組成物は、マンガン化合物により触媒される。このような化合物及び使用濃度は当該技術分野において周知である(例えば、米国特許第5,576,282号を参照されたい)。更なる実施形態では、本発明のクリーニング組成物でのコバルト漂白触媒の使用が見出され、組成物にはコバルト漂白触媒が含まれる。様々なコバルト漂白触媒が当該技術分野において既知であり(例えば、米国特許第5,597,936号及び同第5,595,967号を参照されたい)、既知の手順により容易に調製される。
一部の更なる実施形態では、本発明のクリーニング組成物は、大多環状剛性配位子(MRL)の遷移金属錯体を含有する。実際的な事柄として、限定するためではないが、一部の実施形態では、本発明により提供される組成物及びクリーニングプロセスを水性洗浄媒質中に少なくとも1億分の1のオーダーの有益なMRL種を提供するように調整して、約0.005ppm〜約25ppm、約0.05ppm〜約10ppm、及び約0.1ppm〜約5ppmのMRLを洗浄溶液中に提供することができる。
一部の実施形態では、本遷移金属系漂白触媒の遷移金属としては、限定するものではないが、例えば、マンガン、鉄及びクロムが挙げられる。好ましいMRLとしては、限定するものではないが、例えば、特定の架橋型超剛性配位子(例えば、5,12−ジエチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ(6.6.2)ヘキサデカン)が挙げられる。好適な遷移金属MRLは、既知の手順により容易に調製される(例えば、国際公開第2000/32601号及び米国特許第6,225,464号を参照されたい)。
一態様では、本発明は、錠剤型の洗剤として配合される自動食器洗浄用洗剤組成物を提供する。このような錠剤は、本発明のプロテアーゼ変異体が少なくとも1種及び例えばビルダー塩などのビルダーを含む。一部のこのような錠剤は、錠剤組成物100グラムあたり少なくとも3グラム(g)の水酸化ナトリウムと等価のアルカリ性、及び少なくとも1.4グラム/立方センチメートルの密度を有する。ビルダー塩はケイ酸塩とリン酸塩の混合物を含んでよく、好ましくはケイ酸塩(例えば、メタケイ酸ナトリウム)をリン酸塩(例えば、トリポリリン酸ナトリウム)よりも多く含む。一部のこのような錠剤は、界面活性剤成分を不含であり、特に、食器自動洗浄機で使用するのに適している。
一態様では、本発明のクリーニング組成物は、金属ケア剤を含む。金属ケア剤は、アルミニウム、ステンレス鋼、及び第一鉄以外の金属(例えば、銀及び銅)を包含する金属の、変色、腐食及び/又は酸化の、予防及び/又は減少に有用である。好適な金属ケア剤としては、欧州特許第2 100 949号、国際公開第9426860号及び国際公開第94/26859号に記載のものが挙げられる。一部のこのようなクリーニング組成物では、金属ケア剤は亜鉛塩である。一部のこのようなクリーニング組成物は、約0.1重量%〜約5重量%の1種以上の金属ケア剤を含む。
上記のように、本発明のクリーニング組成物は、任意の好適な形態に配合され、好ましくは配合者により選択される任意のプロセスにより調製され、その非限定例は、米国特許第5,879,584号、同第5,691,297号、同第5,574,005号、同第5,569,645号、同第5,516,448号、同第5,489,392号、及び同第5,486,303号に記載されており、これらのすべては参照により本案件に組み込まれる。低pHのクリーニング組成物が所望される一部の他の実施形態では、このような組成物のpHは、塩化水素(HCl)などの酸性成分を添加することで調整される。
本明細書で開示されるクリーニング組成物は、部位(例えば、表面、食器類、食卓用食器類又は布地)をクリーニングする際の使用が見出される。典型的には、このような部位の少なくとも一部を、未希釈形態又は洗浄溶液に希釈された状態の、本発明のクリーニング組成物と接触させ、そしてその後、所望により、その部位を洗浄及び/又はすすいでもよい。本発明の目的に関して、「洗浄」には、限定するものではないが、擦ること及び機械的撹拌が含まれる。一部の実施形態では、クリーニング組成物は、約500ppm〜約15,000ppmの濃度の溶液として採用される。洗浄溶媒が水である場合、水温は、典型的には、約5℃〜約90℃であり、部位が布地を含む場合、水と布地との割合は、典型的には、約1:1〜約30:1である。
クリーニング組成物の製造及び使用プロセス
本明細書に記載の本発明のクリーニング組成物は、配合者により選択される、任意の好適な形態に配合すること及び任意の好適なプロセスにより調製することができる(例えば、米国特許第5,879,584号、同第5,691,297号、同第5,574,005号、同第5,569,645号、同第5,565,422号、同第5,516,448号、同第5,489,392号、同第5,486,303号、同第4,515,705号、同第4,537,706号、同第4,515,707号、同第4,550,862号、同第4,561,998号、同第4,597,898号、同第4,968,451号、同第5,565,145号、同第5,929,022号、同第6,294,514号及び同第6,376,445号を参照されたい)。
一部の実施形態では、本発明のクリーニング組成物は、錠剤、カプセル、分包剤、パウチ、及び多区画パウチなどの単位容量形態で提供される。一部の実施形態では、単位用量形式は、多区画パウチ(すなわち他の単位用量形式)内の成分を制御放出するよう設計される。好適な単位容量及び制御放出形式は、当該技術分野において既知である(単位容量及び制御放出形式での使用に好適な材料に関しては、例えば、欧州特許第2 100 949号、国際公開第02/102955号、米国特許第4,765,916号及び同第4,972,017号、及び国際公開第04/111178号を参照されたい)。一部の実施形態では、単位容量形態は、水溶性フィルム又は水溶性パウチで包装された錠剤として提供される。様々な形態の単位投与法が欧州特許第2 100 947号に提供され、及び当該技術分野において既知である。
本発明の方法
本発明は、限定するものではないが、例えば、食器類、食卓用食器類、布製物品、洗濯物、及びパーソナルケア用品などをクリーニング又は洗浄する方法を包含する、クリーニングする必要のある物品又は表面(例えば、硬質表面)をクリーニング又は洗浄する方法、並びに例えば、物品の硬質表面などの硬質又は軟質表面をクリーニング又は洗浄する方法を提供する。
一態様では、本発明は、クリーニングする必要のある物品、対象物、又は表面のクリーニング方法であって、この方法が、物品又は表面(又はクリーニングされることが所望される物品又は表面の一部)を、本発明の任意のプロテアーゼ変異体又は本発明の組成物に、所望される程度に物品、対象物若しくは表面をクリーニングするのに十分な時間にわたって及び/又は好適若しくは有効な条件下で接触させる工程を含む、方法を提供する。一部のこのような方法は更に、物品、対象物又は表面を水ですすぐ工程を更に含む。このような方法のうち一部のものでは、クリーニング組成物は食器洗浄用洗剤組成物であり、及びクリーニングされる物品又は対象物は、食器類又は食卓用食器類である。食器類は、食事を提供する又は食事を飲食するのに一般的に使用される皿類である。食器類は、限定するものではないが、例えば、皿、プレート、カップ、ボウルなどであり得る。食卓用食器類はより幅広い用語であり、限定するものではないが、例えば、皿、カトラリー、ナイフ、フォーク、スプーン、箸、ガラス製品、ピッチャー、ソース入れ、及び飲用グラスなどが挙げられ;食卓用食器類には食事を提供する又は食事を飲食するためのこれらの任意の物品又は類似の物品が包含される。このような方法のうち一部のものでは、クリーニング組成物は自動食器洗浄用洗剤組成物又は食器手洗い用洗剤組成物であり、及びクリーニングされる物品又は対象物は、食器類又は食卓用食器類である。このような方法のうち一部のものでは、クリーニング組成物は、例えば、粉末洗濯洗剤組成物又は液体洗濯洗剤組成物などの洗濯洗剤組成物であり、クリーニングされる物品は布製物品である。
一態様では、本発明は、所望によりそれぞれクリーニング又は洗浄する必要のある布製物品をクリーニング又は洗浄する方法を提供する。このような方法の一部のものは、プロテアーゼ変異体(限定するものではないが、例えば、布地又は洗濯クリーニング組成物など)を含有する組成物及びクリーニングする必要のある布製物品又は洗濯物を準備する工程、所望される程度に布地又は洗濯物をクリーニング又は洗浄するのに十分な又は有効な条件下で布地製品又は洗濯物(又はクリーニングすることが所望される物品の一部)を組成物と接触させる工程、を含む。
一態様では、本発明は、所望によりクリーニングする必要のある物品又は表面(例えば、硬質表面)をクリーニング又は洗浄するための方法を提供し、この方法は、クリーニング又は洗浄される物品又は表面を準備する工程、並びに物品又は表面(又はクリーニング又は洗浄することが所望される物品又は表面の一部)を少なくとも1種の本発明のプロテアーゼ変異体、又はこのようなプロテアーゼ変異体を少なくとも1種含有する本発明の組成物と、所望される程度に物品又は表面をクリーニング又は洗浄するのに十分な時間にわたって及び/又は十分な若しくは有効な条件下で接触させる工程を含む。このような組成物としては、限定するものではないが、例えば、本発明のクリーニング組成物又は洗剤組成物が挙げられる(限定するものではないが、例えば、食器手洗い用洗剤組成物、食器手洗い用クリーニング組成物、洗濯洗剤又は布地洗剤又は洗濯物若しくは布地洗浄組成物、液体洗濯洗剤、液体洗濯用クリーニング組成物、粉末洗濯洗剤組成物、粉末洗濯用クリーニング組成物、食器自動洗浄洗剤組成物、洗濯増進クリーニング又は洗剤組成物、洗濯クリーニング助剤、及び洗濯前染み抜きスポッティング組成物などが挙げられる)。必要に応じて、場合によっては、特に追加のクリーニング又は洗浄が所望される場合には、この方法は1回以上繰り返すことができる。例えば、一部の例では方法は所望により更に物品又は表面をクリーニング又は洗浄するのに十分な若しくは有効な時間にわたって物品又は表面を少なくとも1種のプロテアーゼ変異体又は組成物と接触させたままにしておくことも含む。一部のこのような方法は更に、物品又は表面を水ですすぐことも包含する。一部のこのような方法は、少なくとも1種の本発明のプロテアーゼ変異体又は本発明の組成物を再度物品又は表面と接触させる工程、並びに所望される程度に物品又は表面をクリーニング又は洗浄するのに十分な時間にわたって物品若しくは表面を少なくとも1種のプロテアーゼ変異体又は組成物と接触させたままにしておく工程を更に含む。このような方法のうち一部のものでは、クリーニング組成物は食器洗浄用洗剤組成物であり、及びクリーニングされる物品は食器類又は食卓用食器類である。このような方法のうち一部のものでは、クリーニング組成物は自動食器洗浄用洗剤組成物又は食器手洗い用洗剤組成物であり、及びクリーニングされる物品は、食器類又は食卓用食器類である。このような方法のうち一部のものでは、クリーニング組成物は洗濯洗剤組成物であり、及びクリーニングされる物品は布製物品である。
一態様では、本発明は、自動食器洗浄機で食卓用食器類又は食器類をクリーニングする方法であって、この方法は、自動食器洗浄機を準備する工程、食卓用食器類又は食器類をクリーニングするのに十分な量の、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種含む自動食器洗浄用組成物又は本発明の組成物を食洗機に配置する工程(例えば、組成物を適切に配置することにより、又は食洗機の洗剤区画又は分配器中に配置することにより)、食洗機の中に食器類は又は食卓用食器類を配置する工程、並びに食卓用食器類又は食器類がクリーニングされるよう食洗機を操作する工程(例えば、製造元による取り扱い説明に従って)を含む、方法を提供する。このような方法は、本明細書に記載される任意の食器自動洗浄組成物を含むことができ、組成物には、限定するものではないが例えば、本明細書に記載される任意のプロテアーゼ変異体が含まれる。使用される食器自動洗浄組成物の量は、製造元の取扱説明又は指示に従って容易に測定することができ、本明細書に記載されるものを含む本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種(例えば、液体、粉末、固体、ゲル、錠剤など)含む任意の形態の食器自動洗浄組成物が採用され得る。
一態様では、本発明は、所望によりクリーニングする必要のある表面、物品又は対象物のクリーニング方法であって、この方法は、所望される程度に物品又は表面をクリーニング又は洗浄するのに十分な時間にわたって及び/又は十分な若しくは有効な条件下で、物品又は表面(又はクリーニングすることが所望される物品又は表面の一部)を少なくとも1種の本発明のプロテアーゼ変異体又は未希釈形態若しくは洗浄溶液に希釈した状態の本発明のクリーニング組成物に接触させることを含む。次いで必要に応じて表面、物品又は対象物を(所望により)洗浄して及び/又はすすいでもよい。本発明の目的に関し、「洗浄」には、限定するものではないが、擦ること及び機械的撹拌が含まれる。一部の実施形態では、クリーニング組成物は、約500ppm〜約15,000ppmの濃度の溶液(例えば水溶液)として採用される。洗浄溶媒が水である場合、水温は、典型的には、約5℃〜約90℃であり、部位が布地を含む場合、水と布地との割合は、典型的には、約1:1〜約30:1である。
一態様では、本発明は、洗濯機中で洗濯物又は布製物品をクリーニングする方法であって、この方法は、洗濯機を準備する工程、洗濯物又は布製物品をクリーニングするのに十分な量の、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種含有する洗濯洗剤組成物を洗濯機に配置する工程(例えば、組成物を適切に配置することにより、又は洗濯機の洗剤区画又は分配器中に配置することにより)、洗濯機の中に洗濯物又は布製物品を投入する工程、並びに食卓用食器類又は食器類がクリーニングされるよう洗濯機を操作する工程(例えば、製造元による取り扱い説明に従って)を含む、方法を提供する。このような方法は、本明細書に記載される任意の洗濯洗浄洗剤組成物を含むことができ、組成物には、限定するものではないが例えば、本明細書に記載される任意のプロテアーゼ変異体が含まれる。使用される洗濯洗剤組成物の量は、製造元の取扱説明又は指示に従って容易に測定することができ、本明細書に記載されるものを含む本発明のプロテアーゼ変異体が少なくとも1種(例えば、固体、粉末、液体、錠剤、ゲル、など)含む任意の形態の食器自動洗浄組成物が採用され得る。
その他の例示的なクリーニング方法は、以下の実施例で提供される。
本発明の更なる態様
一態様では、本発明は、本明細書及び本案件を通して記載される本発明の任意の組成物(例えば、クリーニング組成物又は洗剤組成物)を提供し、この組成物は、本案件を通して及び本明細書に記載される本発明の任意のポリペプチド(例えば、本発明の任意のプロテアーゼ変異体又はサブチリシン変異体)を含むが、ここで、上記組成物は食器自動洗浄用組成物ではない。一態様では、本発明は、本案件を通して及び本明細書に記載される本発明のプロテアーゼ変異体を含む組成物を提供するが、但し、上記組成物は親プロテアーゼのプロテアーゼ変異体を含む食器自動洗浄洗剤組成物を含まず、上記親プロテアーゼは配列番号1のアミノ酸配列に対し少なくとも97%、少なくとも99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、上記親プロテアーゼの上記プロテアーゼ変異体は、上記親プロテアーゼに対し以下のアミノ酸置換の組:
(i)上記プロテアーゼ変異体がN248R+S188Dを含まない場合にはN76D+S87R+G118R+S128L+P129Q+S130A、又は
(ii)N76D+S87R+G118R+S128L+P129Q+S130A+S188D+V244R、
(iii)及びビルダー、
のうちの1つを含み、アミノ酸位置が、プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列を配列番号2で示されるバチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列と整列させることで決定される、バチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’のアミノ酸配列中の対応するアミノ酸位置に割り振られた番号に従って番号付けされる。一態様では、このような組成物は洗剤組成物である。一態様では、このような組成物はクリーニング組成物である。一態様では、このような組成物は液体洗剤又は粉末洗剤組成物である。一態様では、このような組成物は液体型、ゲル型、錠剤型、粉末型、固形、又は顆粒型のクリーニング組成物である。一態様では、このような組成物は自動食器洗浄用洗剤組成物である。一態様では、このような組成物はリン酸を含有していないクリーニング組成物である。任意の態様では、上記組成物は追加の酵素を少なくとも1種含む。上記組成物の任意の態様では、上記組成物は、少なくともヘミセルラーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ペクテートリアーゼ、マンナナーゼ、ケラチナーゼ、還元酵素、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、及びラッカーゼからなる群から選択することのできる追加の酵素を少なくとも1種含む。上記組成物の任意の態様では、上記組成物は、ヘミセルラーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ペクテートリアーゼ、マンナナーゼ、ケラチナーゼ、還元酵素、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、及びラッカーゼからなる群から選択される追加の酵素を2種以上含んでもよい。上記組成物の任意の態様では、上記組成物は、少なくとも1種のビルダー及び/又は少なくとも1種の界面活性剤を更に含み得る。
一態様では、本発明は、クリーニングする必要のある物品又は表面のクリーニング方法であって、この方法が、物品又は表面を上記組成物と接触させることを含む、方法を提供する。上記方法の一態様では、上記方法は物品又は表面を水ですすぐことを更に含む。上記方法の一態様では、クリーニング組成物は食器洗浄用洗剤組成物であり、クリーニングされる物品は食器類又は食卓用食器類である。上記方法の一態様では、クリーニング組成物は自動食器洗浄用洗剤組成物であり、クリーニングされる物品は食器類は又は食卓用食器類である。
一態様では、本発明は、表面、物品又は対象物のクリーニング方法であって、この方法は、所望される程度に物品又は表面をクリーニング又は洗浄するのに十分な時間にわたって及び/又は十分な若しくは有効な条件下で、クリーニングされる物品又は表面の少なくとも一部を上記のいずれかの組成物に接触させる工程を含み、並びに所望により表面、物品又は対象物を水ですすぐ工程を更に含む、方法を提供する。
一態様では、本発明は、自動食器洗浄機での食卓用食器類又は食器類のクリーニング方法であって、この方法は、(i)食器自動洗浄機を準備する工程、(ii)食卓用食器類又は食器類をクリーニングするのに十分である、任意量の上記組成物又は食器自動洗浄組成物を食洗機内に配置する工程であって、上記組成物は場合により上記食洗機の区画又は分配器中に配置される、工程、(iii)食器類又は食卓用食器類を食洗機内に配置する工程、及び(iv)食洗機を操作して、食卓用食器類又は食器類をクリーニングする工程、を含む、方法を提供する。
以降の実施例は、例示目的で提供されるものであり、本発明の特定の態様を更に例示するが、発明の範囲を制限するものとして考慮されるものではない。
以降の及び本明細書のいずれかに記載される実施例の開示では、次の略記が適用される:PI(プロテイナーゼ阻害剤)、ppm(100万分率);M(モル);mM(ミリモル);μM(マイクロモル);nM(ナノモル);mol(モル);mmol(ミリモル);μmol(マイクロモル);nmol(ナノモル);gm(グラム);mg(ミリグラム);μg(マイクログラム);pg(ピコグラム);L又はl(リットル);ml及びmL(ミリリットル);μl又はμL(マイクロリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);μm(マイクロメートル);nm(ナノメートル);U(ユニット);V(ボルト);MW(分子量);sec(秒);min(分);h又はhr(時間);℃(セ氏温度);ND(測定されず);rpm(毎分回転);GH(ドイツ硬度);H2O(水);dH2O(脱イオン水);HCl(塩化水素酸);aa(アミノ酸);bp(塩基対);kb(キロ塩基対);kD(キロダルトン);cDNA(コピーDNA又は相補的DNA);DNA(デオキシリボ核酸);ssDNA(単鎖DNA);dsDNA(二本鎖DNA);RNA(リボ核酸);MgCl2(塩化マグネシウム);NaCl(塩化ナトリウム);BPN’(バチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシン);PB92(バチルス・クラウシイのサブチリシン);w/v(重量対体積);v/v(体積対体積);w/w(重量体重量);g(重力);OD(吸光度);ppm(百万分率);OD280(280nmでの光学密度);OD600(600nmでの光学密度);A405(405nmでの吸光度);PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動);PBS(リン酸緩衝生理食塩水[150mMのNaCl、10mMのリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.2]);PEG(ポリエチレングリコール);PCR(ポリメラーゼ連鎖反応);SDS(ドデシル硫酸ナトリウム);TRIS又はTris(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン);HEPES(N−[2−ヒドロキシエチル]ピペラジン−N−[2−エタンスルホン酸]);HBS(HEPES生理緩衝液);Tris−HCl(tris[ヒドロキシメチル]アミノメタン−塩酸塩);DMSO(ジメチルスルホキシド);SA(シナピン酸(s,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシケイ皮酸);TCA(トリクロロ酢酸);HPLC(高速液体クロマトグラフィー);Taq(サーマス・アクアチクスDNAポリメラーゼ);クレノウ(DNAポリメラーゼIラージ(クレノウ)フラグメント);EDTA(エチレンジアミン四酢酸);bla(β−ラクタマーゼ又はアンピシリン−耐性遺伝子);HDL(高密度の液体);HDD(強力粉末洗剤);HSG(高起泡性顆粒洗剤);CEE(中央及び東ヨーロッパ);WE(西ヨーロッパ);洗剤に対する参照で用いられる場合のNA(北アメリカ);洗剤に対する参照で用いられる場合のJapan及びJPN(日本);CFT(Center for Test Materials,Vlaardingen,the Netherlands);P&G及びProcter & Gamble(Procter & Gamble,Inc.,Cincinnati,OH);DNA2.0(DNA2.0,Menlo Park,CA);Corning(Corning Life Sciences,Corning,NY);ATCC(American Type Culture Collection,Rockville,MD);Sigma(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO);NCBI(National Center for Biotechnology Information);Operon Technologies(Operon Technologies,Inc.,Alameda,CA);Invitrogen(Invitrogen Corp.,San Diego,CA);Qiagen(Qiagen,Inc.,Valencia,CA);Molecular Devices(Molecular Devices Corp.,Sunnyvale,CA);Siegfried Handel(Siegfried Handel AG,Zofingen,Switzerland);Stratagene(Stratagene Cloning Systems,La Jolla,CA);Monsanto(Monsanto Co.,St.Louis,MO);Wintershall(Wintershall AG,Kassel,Germany);BASF(BASF Co.,Florham Park,NJ);Huntsman(Huntsman Petrochemical Corp.,Salt Lake City,UT);Enichem(Enichem Iberica,Barcelona,Spain);Fluka Chemie AG(Fluka Chemie AG,Buchs,Switzerland);Gist−Brocades(Gist−Brocades,NV,Delft,the NNetherlands);Dow Corning(Dow Corning Corp.,Midland,MI);RB(Reckitt−Benckiser,Slough,UK)。
本明細書で使用するとき、一部の記載では3桁の数値表記を提供する目的で冒頭の各桁に「0」が示される(例えば、「001」は「1」と同様であり、すなわち「A001C」は「A1C」と同様である。一部の一欄では、冒頭の「0」は記載されない。加えて、本明細書で使用するとき、「X」は任意のアミノ酸を指す。
本明細書で提供される、例示された洗剤組成物において、酵素濃度は、組成物の合計重量に基づき純粋な酵素濃度として表現され、かつ別途記載のない限り、洗剤成分は組成物の合計重量に基づき表現される。略記される用語は以下の意味を持つ:
北アメリカ(NA)及び西ヨーロッパ(WE)の強力液体洗濯(HDL)洗剤に関しては、予め計量した液体洗剤(ガラス瓶内)を、95℃のウォーターバスに2時間にわたって配置することで、市販の洗剤中に存在する酵素の加熱不活性化を実施する。NA及びWEの自動食器洗浄用洗剤を加熱不活性化するためのインキュベート時間は8時間である。不活性化率を正確に判定するために、未加熱及び加熱洗剤のどちらも、洗剤を溶解させて5分以内にアッセイする。酵素活性はAAPFアッセイにより試験する。
加熱不活性化した洗剤の酵素活性の試験に関しては、洗剤の希釈標準溶液は加熱不活性化母液から調製した。所望される条件を満たすよう、適切な水硬度(例えば、6グレイン毎ガロン(103ppm(gpg))又は12gpg(206ppm))及び緩衝剤を洗剤溶液に加えた。瓶をボルテックスにかけるか反転させるかして溶液を混合する。市販の洗剤の一部を以降の実施例に記載する。
(実施例1)
プロテアーゼ変異体の作製
本発明のプロテアーゼ変異体ポリペプチド及びこのようなプロテアーゼ変異体をコードしている本発明の核酸は、当業者に周知の各種標準法を一つ以上用い作製することができる。例えば、本発明のプロテアーゼ変異体をコードしている核酸は、結果として得られるプロテアーゼ変異体が、配列番号1で示されるGG36のアミノ酸配列に対し一箇所以上の所望のアミノ酸位置で所望のアミノ酸置換(変異)を含むよう、配列番号18で示されるB.レンタスのプロテアーゼGG36をコードしているヌクレオチド配列をコードしているプラスミドDNAの部位特異的変異導入により作製することができる。例えば、当業者は、(プロテアーゼGG36のポリペプチドをコードしている)配列番号18のヌクレオチド配列を用いる、標準的な部位特異的変異導入手法を容易に選択して、プロテアーゼGG36(配列番号1)の一箇所以上の位置のアミノ酸に所望のアミノ酸置換を含んでいるプロテアーゼ変異体のポリペプチドをコードしている核酸を製造することができる。更に、当業者は、配列番号18のヌクレオチド配列を用い、容易に既知の部位特異的変異導入手法を採用して、76、87、118、128、129、130、188、244、及び248からなる群から選択されるGG36(配列番号1)の一箇所以上の位置にアミノ酸置換を含むプロテアーゼ変異体ポリペプチドをコードしている核酸を生成することができ、各アミノ酸位置は、対象とするプロテアーゼ変異体のアミノ酸配列を配列番号2で示されるバチルス・アミロリケファシエンスのサブチリシンBPN’アミノ酸配列と整列させることで決定される、BPN’中の対応するアミノ酸位置に割り振られた番号に従って番号付けされる。
このような手順は、例えば、非保存的な及び保存的なアミノ酸置換を包含する追加のアミノ酸置換、アミノ酸欠失、及び/又はアミノ酸挿入又は付加を含む、PX3変異体、PX4変異体、及びPX5変異体などの、プロテアーゼ変異体PX3(配列番号6)、PX4(配列番号7)、及びPX5(配列番号8)、並びにこれらの各々のプロテアーゼ変異体をコードしている核酸を生成するにあたり同様に容易に採用することができる。
プロテアーゼGG36がコードしているヌクレオチド配列は以下のとおりのものである:
gtgagaagcaaaaaattgtggatcgtcgcgtcgaccgcactactcatttctgttgctttcagttcatcgatcgcatcggctgctgaagaagcaaaagaaaaatatttaattggctttaatgagcaggaagctgtcagtgagtttgtagaacaagtagaggcaaatgacgaggtcgccattctctctgaggaagaggaagtcgaaattgaattgcttcatgaatttgaaacgattcctgttttatccgttgagttaagcccagaagatgtggacgcgcttgagctcgatccagcgatttcttatattgaagaggatgcagaagtaacgacaatgGCGCAATCAGTGCCATGGGGAATTAGCCGTGTGCAAGCCCCAGCTGCCCATAACCGTGGATTGACAGGTTCTGGTGTAAAAGTTGCTGTCCTCGATACAGGTATTTCCACTCATCCAGACTTAAATATTCGTGGTGGCGCTAGCTTTGTACCAGGGGAACCATCCACTCAAGATGGGAATGGGCATGGCACGCATGTGGCCGGGACGATTGCTGCTTTAAACAATTCGATTGGCGTTCTTGGCGTAGCGCCGAGCGCGGAACTATACGCTGTTAAAGTATTAGGGGCGAGCGGTTCAGGTTCGGTCAGCTCGATTGCCCAAGGATTGGAATGGGCAGGGAACAATGGCATGCACGTTGCTAATTTGAGTTTAGGAAGCCCTTCGCCAAGTGCCACACTTGAGCAAGCTGTTAATAGCGCGACTTCTAGAGGCGTTCTTGTTGTAGCGGCATCTGGAAATTCAGGTGCAGGCTCAATCAGCTATCCGGCCCGTTATGCGAACGCAATGGCAGTCGGAGCTACTGACCAAAACAACAACCGCGCCAGCTTTTCACAGTATGGCGCAGGGCTTGACATTGTCGCACCAGGTGTAAACGTGCAGAGCACATACCCAGGTTCAACGTATGCCAGCTTAAACGGTACATCGATGGCTACTCCTCATGTTGCAGGTGCAGCAGCCCTTGTTAAACAAAAGAACCCATCTTGGTCCAATGTACAAATCCGCAATCATCTAAAGAATACGGCAACGAGCTTAGGAAGCACGAACTTGTATGGAAGCGGACTTGTCAATGCAGAAGCTGCAACTCGTTAA(配列番号18)。
上記に示されるように、配列番号18のDNA配列は、シグナルペプチドをコードしているヌクレオチド配列(上記で下線付けされず、小文字で示される箇所)、プロペプチドをコードしているヌクレオチド配列(上記で下線付けされ、小文字で示される箇所)、及び成熟型GG36ポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列(上記で大文字で示される箇所)を含む。
以下に提供されるタンパク質配列GG36では、シグナルペプチド配列は小文字で示され、プロペプチド配列は下線付けされていない小文字で示され、かつ成熟プロテアーゼGG36配列は大文字で示される:
vrskklwivastallisvafsssiasaaeeakekyligfneqeavsefveqveandevailseeeeveiellhefetipvlsvelspedvdaleldpaisyieedaevttmAQSVPWGISRVQAPAAHNRGLTGSGVKVAVLDTGISTHPDLNIRGGASFVPGEPSTQDGNGHGTHVAGTIAALNNSIGVLGVAPSAELYAVKVLGASGSGSVSSIAQGLEWAGNNGMHVANLSLGSPSPSATLEQAVNSATSRGVLVVAASGNSGAGSISYPARYANAMAVGATDQNNNRASFSQYGAGLDIVAPGVNVQSTYPGSTYASLNGTSMATPHVAGAAALVKQKNPSWSNVQIRNHLKNTATSLGSTNLYGSGLVNAEAATR(配列番号19)。
本明細書においてポリペプチドPX3として参照され、配列番号1に対してアミノ酸置換N76D+S87R+G118R+S128L+P129Q+S130A+S188D+N248R(PX3のポリペプチド配列を、配列番号2で示されるBPN’ポリペプチド配列と整列することで決定される、BPN’番号付与を用いる)を有する、成熟型のプロテアーゼ変異体のアミノ酸配列は:
AQSVPWGISRVQAPAAHNRGLTGSGVKVAVLDTGISTHPDLNIRGGASFVPGEPSTQDGNGHGTHVAGTIAALDNSIGVLGVAPRAELYAVKVLGASGSGSVSSIAQGLEWAGNNRMHVANLSLGLQAPSATLEQAVNSATSRGVLVVAASGNSGAGSISYPARYANAMAVGATDQNNNRADFSQYGAGLDIVAPGVNVQSTYPGSTYASLNGTSMATPHVAGAAALVKQKNPSWSNVQIRRHLKNTATSLGSTNLYGSGLVNAEAATR(配列番号6)である。
本明細書においてポリペプチドPX4として参照され、配列番号1に対してアミノ酸置換N76D/S87R/G118R/S128L/P129Q/S130A(PX4のポリペプチド配列を、配列番号2で示されるBPN’ポリペプチド配列と整列することで決定される、BPN’番号付与を用いる)を含む、成熟型のプロテアーゼ変異体(サブチリシン変異体)のアミノ酸配列は:
AQSVPWGISRVQAPAAHNRGLTGSGVKVAVLDTGISTHPDLNIRGGASFVPGEPSTQDGNGHGTHVAGTIAALDNSIGVLGVAPRAELYAVKVLGASGSGSVSSIAQGLEWAGNNRMHVANLSLGLQAPSATLEQAVNSATSRGVLVVAASGNSGAGSISYPARYANAMAVGATDQNNNRASFSQYGAGLDIVAPGVNVQSTYPGSTYASLNGTSMATPHVAGAAALVKQKNPSWSNVQIRNHLKNTATSLGSTNLYGSGLVNAEAATR(配列番号7)である。
本明細書においてポリペプチドPX5として参照され、配列番号1に対してアミノ酸置換N76D/S87R/G118R/S128L/P129Q/S130A/S188D/V244R(PX3のポリペプチド配列を、配列番号2で示されるBPN’ポリペプチド配列と整列することで決定される、BPN’番号付与を用いる)を含む、成熟型のプロテアーゼ変異体(サブチリシン変異体)アミノ酸配列は:
AQSVPWGISRVQAPAAHNRGLTGSGVKVAVLDTGISTHPDLNIRGGASFVPGEPSTQDGNGHGTHVAGTIAALDNSIGVLGVAPRAELYAVKVLGASGSGSVSSIAQGLEWAGNNRMHVANLSLGLQAPSATLEQAVNSATSRGVLVVAASGNSGAGSISYPARYANAMAVGATDQNNNRADFSQYGAGLDIVAPGVNVQSTYPGSTYASLNGTSMATPHVAGAAALVKQKNPSWSNRQIRNHLKNTATSLGSTNLYGSGLVNAEAATR(配列番号8)である。
成熟型のプロテアーゼ変異体(サブチリシン変異体)PX3をコードしている核酸配列は:
GCGCAATCAGTGCCATGGGGAATTAGCCGTGTGCAAGCCCCAGCTGCCCATAACCGTGGATTGACAGGTTCTGGTGTAAAAGTTGCTGTCCTCGATACAGGTATTTCCACTCATCCAGACTTAAATATTCGTGGTGGCGCTAGCTTTGTACCAGGGGAACCATCCACTCAAGATGGGAATGGGCATGGCACGCATGTGGCCGGGACGATTGCTGCTTTAGACAATTCGATTGGCGTTCTTGGCGTAGCGCCGAGAGCGGAACTATACGCTGTTAAAGTATTAGGGGCGAGCGGTTCAGGTTCGGTCAGCTCGATTGCCCAAGGATTGGAATGGGCAGGGAACAATCGTATGCACGTTGCTAATTTGAGTTTAGGACTGCAGGCACCAAGTGCCACACTTGAGCAAGCTGTTAATAGCGCGACTTCTAGAGGCGTTCTTGTTGTAGCGGCATCTGGAAATTCAGGTGCAGGCTCAATCAGCTATCCGGCCCGTTATGCGAACGCAATGGCAGTCGGAGCTACTGACCAAAACAACAACCGCGCCGATTTTTCACAGTATGGCGCAGGGCTTGACATTGTCGCACCAGGTGTAAACGTGCAGAGCACATACCCAGGTTCAACGTATGCCAGCTTAAACGGTACATCGATGGCTACTCCTCATGTTGCAGGTGCAGCAGCCCTTGTTAAACAAAAGAACCCATCTTGGTCCAATGTACAAATCCGCAGACATCTAAAGAATACGGCAACGAGCTTAGGAAGCACGAACTTGTATGGAAGCGGACTTGTCAATGCAGAAGCTGCAACTCGTTAA(配列番号9)である。
成熟型のプロテアーゼ変異体(サブチリシン変異体)PX4をコードしている核酸配列は:
GCGCAATCAGTGCCATGGGGAATTAGCCGTGTGCAAGCCCCAGCTGCCCATAACCGTGGATTGACAGGTTCTGGTGTAAAAGTTGCTGTCCTCGATACAGGTATTTCCACTCATCCAGACTTAAATATTCGTGGTGGCGCTAGCTTTGTACCAGGGGAACCATCCACTCAAGATGGGAATGGGCATGGCACGCATGTGGCCGGGACGATTGCTGCTTTAGACAATTCGATTGGCGTTCTTGGCGTAGCGCCGAGAGCGGAACTATACGCTGTTAAAGTATTAGGGGCGAGCGGTTCAGGTTCGGTCAGCTCGATTGCCCAAGGATTGGAATGGGCAGGGAACAATCGTATGCACGTTGCTAATTTGAGTTTAGGACTGCAGGCACCAAGTGCCACACTTGAGCAAGCTGTTAATAGCGCGACTTCTAGAGGCGTTCTTGTTGTAGCGGCATCTGGAAATTCAGGTGCAGGCTCAATCAGCTATCCGGCCCGTTATGCGAACGCAATGGCAGTCGGAGCTACTGACCAAAACAACAACCGCGCCAGCTTTTCACAGTATGGCGCAGGGCTTGACATTGTCGCACCAGGTGTAAACGTGCAGAGCACATACCCAGGTTCAACGTATGCCAGCTTAAACGGTACATCGATGGCTACTCCTCATGTTGCAGGTGCAGCAGCCCTTGTTAAACAAAAGAACCCATCTTGGTCCAATGTACAAATCCGCAATCATCTAAAGAATACGGCAACGAGCTTAGGAAGCACGAACTTGTATGGAAGCGGACTTGTCAATGCAGAAGCTGCAACTCGTTAA(配列番号10)である。
成熟型のプロテアーゼ変異体(サブチリシン変異体)PX5をコードしている核酸配列は:
GCGCAATCAGTGCCATGGGGAATTAGCCGTGTGCAAGCCCCAGCTGCCCATAACCGTGGATTGACAGGTTCTGGTGTAAAAGTTGCTGTCCTCGATACAGGTATTTCCACTCATCCAGACTTAAATATTCGTGGTGGCGCTAGCTTTGTACCAGGGGAACCATCCACTCAAGATGGGAATGGGCATGGCACGCATGTGGCCGGGACGATTGCTGCTTTAGACAATTCGATTGGCGTTCTTGGCGTAGCGCCGAGAGCGGAACTATACGCTGTTAAAGTATTAGGGGCGAGCGGTTCAGGTTCGGTCAGCTCGATTGCCCAAGGATTGGAATGGGCAGGGAACAATCGTATGCACGTTGCTAATTTGAGTTTAGGACTGCAGGCACCAAGTGCCACACTTGAGCAAGCTGTTAATAGCGCGACTTCTAGAGGCGTTCTTGTTGTAGCGGCATCTGGAAATTCAGGTGCAGGCTCAATCAGCTATCCGGCCCGTTATGCGAACGCAATGGCAGTCGGAGCTACTGACCAAAACAACAACCGCGCCGATTTTTCACAGTATGGCGCAGGGCTTGACATTGTCGCACCAGGTGTAAACGTGCAGAGCACATACCCAGGTTCAACGTATGCCAGCTTAAACGGTACATCGATGGCTACTCCTCATGTTGCAGGTGCAGCAGCCCTTGTTAAACAAAAGAACCCATCTTGGTCCAATCGTCAAATCCGCAATCATCTAAAGAATACGGCAACGAGCTTAGGAAGCACGAACTTGTATGGAAGCGGACTTGTCAATGCAGAAGCTGCAACTCGTTAA(配列番号11)である。
当業者に周知である例示的な部位特異的変異導入手順としては、限定するものではないが、例えば、最大でプラスミドDNA中の異なる5箇所の部位に同時に部位特異的変異導入を行なうことのできる、QuikChange(登録商標)多部位特異的変異導入キット(QCMS;Agilent Technologies−Stratagene,La Jolla,CA)に具現化されている、QuikChange(登録商標)多部位特異的変異導入法が挙げられる。他の既知の変異導入法の例は本明細書の他箇所で記載する。本明細書に記載されるような、本発明のプロテアーゼ変異体、例えば、プロテアーゼ変異体ポリペプチドPX3、PX4、及びPX5をコードしている本発明の核酸は、周知の遺伝子合成法及び/又は融合PCR法を用い、当業者により、例えば、配列番号18で示されるプロテアーゼGG36をコードしているヌクレオチド配列から容易に作製することもできる(例えば、米国特許第2006/0252155号を参照されたい。この案件は、実験例を教示するため、参照により本明細書に組み込まれる)。
プロテアーゼ変異体をコードしている核酸も、例えば古典的なホスホラミダイト法(例えば、Beaucage et al.,Tetrahedron Letters 22:1859〜69(1981)を参照されたい)又はMatthes et al.,EMBO J.3:801〜05(1984)に記載される方法を用いる、化学合成により作製することができ、合成は、例えば典型的には自動化された合成法として実施される。あるいは、プロテアーゼ変異体をコードしている核酸は、Midland Certified Reagent Company(Midland,Texas)(国際的なウェブサイトのアドレスはoligos.com)、Great American Gene Company(国際的なウェブサイトのアドレスはgenco.com)、Operon Technologies,Inc.(Alameda,Calif.)(現Qiagen,国際的なウェブサイトqiagen.comを参照されたい)、又はDNA2.0(Menlo Park,CA)などの各種外注業者に外注することもできる。核酸を合成する他の技術及び関連する原理は、例えば、Itakura et al.,Annu.Rev.Biochem.53:323(1984)及びItakura et al.,Science 198:1056(1984)に記載されている。
一態様では、例えば、プロテアーゼ変異体をコードしている核酸を遺伝子合成法を使用して作製する場合、このような核酸は、例えば、BglIIなどの隣接する制限部位と共に設計することができ、これは変異体をコードしている核酸を、BglIIにより切断することもできる本明細書に記載されるB.サブチリス発現プラスミドpHPLT−GG36などの発現プラスミド(例えば、B.サブチリス発現プラスミド)の中にクローン化するために使用することができる。この例示的なB.サブチリスの発現ベクターpHPLTは、B.リケニフォルミスLATプロモーター(Plat)、HPA2プロモーター、並びにレプリカーゼ遺伝子(reppUB)、ネオマイシン耐性遺伝子(neo)、及びブレオマイシン耐性マーカー(bleo)などのpUB110由来の追加の配列(例えば、McKenzie et al.,Plasmid,15:93〜103(1986)を参照されたい)を含有する(米国特許第6,566,112号の図4も参照されたい)。pHPLT−GG36のプラスミドマップは図2に提供し、発現カセット配列GG36は以下に提供する。本明細書に記載されるQuikChange(登録商標)多部位特異的変異導入キット(QCMSキット)又は融合PCR法に関しては、本発明のプロテアーゼ変異体を作製する際に、B.レンタスGG36をコードしている核酸を含むpHPLT−GG36プラスミドをDNAテンプレートとして使用することができる。例示的な構成では、融合PCRに関してStratageneのQCMS製品取扱説明書に、及び米国特許出願第2006/0252155号に記載されるように、所望される変異を含有しているヌクレオチドプライマーを、pHPLT−GG36プラスミド中のGG36をコードしている核酸とアニールさせ、DNAポリメラーゼにより伸長させる。表1−1は、部位特異的変異導入に使用することができるプライマーの例示的なヌクレオチド配列を提供する。
各プロテアーゼ変異体への変異の組み込みは、最終的なプロテアーゼ変異体が得られるまで、多段階で実施することができる。製造元により説明されるようにローリングサークル型増幅(GE Healthcare,Piscataway,NJ)を使用することで、B.サブチリス(GE Healthcare,Piscataway,NJ)細胞を形質転換させる前に、QCMS又は融合PCRライゲーション反応に含有される変異型プラスミドを増幅させることができる。
当該技術分野において既知の手順(例えば、国際公開第02/14490号を参照されたい)を用い、形質転換受容性のB.サブチリス細胞(表現型:ΔaprE,ΔnprE,oppA,ΔspoIIE,degUHy32,ΔamyE::(xylR,pxylA−comK))を、変異体プラスミド又は1μLのローリングサークル型増幅反応物により形質転換させることで、プロテアーゼ陽性の形質転換体を得ることができる。バクテリアは、キシロース誘導型プロモーター(例えば、Hahn et al.,Mol.Microbiol.21:763〜775(1996)を参照されたい)の制御下にcomK遺伝子を導入することで、形質転換受容性にすることができる。プロテアーゼ変異体の陽性のクローンを、スキムミルク/寒天プレートで選別し、単離し、配列決定し、及びフラスコ振盪培養法でプロテアーゼ変異体タンパク質を産生させることで、十分な量の評価用酵素試料を生成することができる。
(実施例2)
バチルス・スブチルスでのプロテアーゼ変異体の産生
10mLのTSB(トリプシン及び大豆系ブロス)培地中で、B.サブチリス形質転換体を37℃で一晩増殖させることで、プロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)を生成した。一晩培養物の250μLのアリコートを、100mLの振盪フラスコ内の25mLのMOPS系合成培地に移し、37℃で68時間増殖させた。基本培地からNH4Cl、FeSO4及びCaCl2を除外し、3mMのK2HPO4を使用し、かつ基本培地に60mMの尿素、75g/Lのグルコース、及び1%のソイトンを添加したことを除き、本質的に当該技術分野において既知であるように(Neidhardt et al.,J Bacteriol.119:736〜747,1974を参照されたい)合成培地を調製した。また、微量栄養素は、1Lあたり400mgのFeSO4・7H2O、100mgのMnSO4・H2O、100mgのZnSO4・7H2O、50mgのCuCl2・2H2O、100mgのCoCl2・6H2O、100mgのNaMoO4・2H2O、100mgのNa2B4O7・10H2O、10mLの1MのCaCl2、及び10mLの0.5Mのクエン酸ナトリウムを含有する100X原液として構成した。対象とするプロテアーゼを培養培地から単離した。
(実施例3)
プロテアーゼ変異体試料の純度を測定するための解析法
この実施例では、B.サブチリス培養物から得られる組み換えプロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)の純度を測定するために使用される方法を記載する。ゲル電気泳動及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、それぞれ単一のバンド又は単一のピークが観察された場合、プロテアーゼ変異体は高純度であるとみなされた。
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の存在下での、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE)を当該技術分野において既知である通りに実施した(Laemmli,Nature,227:680〜685,1970)。但し、自己分解を防ぐため、タンパク質試料の変性(例えば、SDSを含有している試料緩衝液中100℃で10分)前にプロテアーゼ活性を失活させる必要があった。プロテアーゼの失活は、タンパク質試料を1mMのPMSFと共に室温で30分間インキュベートするか、あるいは8%のトリクロロ酢酸(TCA)を用い、氷上で30分間タンパク質を沈殿させるかして行った。pH 7.45でタンパク質試料をnative PAGEにかけた。ゲル緩衝液は、20mMのヒスチジン及び50mMの3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)からなり、かつ5%のポリアクリルアミドゲルのアクリルアミド:ビスアクリルアミド比は20:1であった。タンパク質試料をスラブゲルの頂部に充填し、陰極に向けて電気泳動した。電気泳動(タンク用)緩衝液にはpHを6.3に調整した同様のヒスチジン/MOPS緩衝液を使用した。電気泳動(350Vで約1〜2時間)後、タンパク質をゲル中で固定させるためゲルを8%の酢酸に漬浸させ、続いて当該技術分野で記載されるようにクーマシーブリリアントブルーR250で染色し、ゲル上のタンパク質のバンドの位置を求めた。
プロテアーゼ試料の純度は、MonoSカチオン交換カラム、及びそれに続いてTSK 2000ゲル濾過カラムを用いるHPLC解析により確認した。カチオン交換カラムによるHPLCは、10mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH 5.5)を用い実施し、結合していたプロテアーゼの溶出には濃度を10〜300mMで線状勾配させたリン酸ナトリウム緩衝液(pH 5.5)を用いた。ゲル濾過カラムによるHPLCは、0.25Mの酢酸ナトリウム(pH 5.5)で実施した。タンパク質の溶出プロファイルを280nmでモニターし、対象とするプロテアーゼの局在を求め、試料の純度(%)を測定した。
(実施例4)
プロテアーゼ変異体の濃度の測定
この実施例では、プロテアーゼ変異体の濃度を測定するために使用した方法を記載する。一部の実験では、以下に記載のように、算出された吸光係数(ε)を用い280nmで吸収(吸光度)測定を行い、活性部位を滴定することで、生成したタンパク質溶液中のタンパク質濃度を測定した。
280nmでの吸光係数を酵素分子あたりのトリプトファン(Trp,ε=5,600M−1・cm−1)及びチロシン(Tyr,ε=1,330M−1・cm−1)の数から算出した。PB92プロテアーゼに関し、モル吸光係数はε1%に相当する26,100M−1・cm−1(Trp残基3個+Tyr残基7個)であり、280nm=9.7(Mr=26,729Da)であった。トリプトファン及び/又はチロシン残基の数が変更された変異型プロテアーゼの場合には、適宜補正を行った。
活性部位を滴定し、活性な酵素分子の濃度評価を得た。広く使用されている方法であるN−トランスシンナモイルイミダゾールによるアシル化(Bender et al.,J.Amer.Chem.Soc.,88:5890〜5931,1966)は、PB92プロテアーゼに関しては充分に機能しなかったことから、この方法の代わりに、不可逆的阻害剤であるPMSFを用いる方法を行った。この方法では、酵素濃度が既知(280nmでの吸光度から)のプロテアーゼ溶液をそれぞれ0.25、0.50、0.75、1.00及び1.25当量のPMSFと混合し、10mMのリン酸ナトリウム(pH 6.5)中で室温で1時間反応させた。スクシニル−L−アラニル−L−アラニル−L−プロリル−L−フェニル−アラニル−パラ−ニトロアニリド(suc−AAPF−pNA)を基質として用い、残存プロテアーゼ活性を分光光度的に測定した。これらの実験に関し、PMSFの純度(及びひいては濃度)をNMR−分光法により測定し、PMSF原液はイソプロパノールで調製した。活性部位滴定の結果は、HPLC法による純度の確認から得られたタンパク質濃度と一致することが判明した。
(実施例5)
アッセイ
この実施例では、本発明のプロテアーゼ変異体の安定性及びクリーニング性能の評価方法を記載する。
AAPF加水分解方法
プロテアーゼ変異体を68℃で1時間インキュベート後にAAPFアッセイを用いプロテアーゼ活性をアッセイすることで、セリンプロテアーゼ変異体の熱安定性を測定した。アッセイ条件下での、参照プロテアーゼ(例えば、野生型GG36=GCI−P036)の残存活性は約50%であった。使用した装置は:平底MTP(Costar番号9017)、Biomek FX及び/又はBiomek FXpロボット(Beckman Coulter)、Spectramax Plus 384 MTPリーダー(Molecular Devices)、iEMS恒温器/振盪器(1mm振幅)(Thermo/Labsystems)、シーリングテープ(Nunc番号236366)、及びアイスバスであった。グリシン緩衝液は3.75gのグリシン(メルク番号1.04201.1000)を960mLの水に溶解させて調製した。1mLの5%のTween(登録商標)−80(Sigma番号P−8074)及び10mLの1000mMのCaCl2(Merck番号1.02382.1000)(29.4gを200mLに溶解させた)原液をこの溶液に加えた。4NのNaOHによりpHを10.5に調整し、容量を1000mLにメスアップさせた。グリシン、CaCl2及びTWEEN(登録商標)−80の最終濃度はそれぞれ50mM、10mM及び0.005%であった。恒温器は68℃(インキュベートの際)及び25℃(AAPFアッセイの際)に設定した。空の希釈及びインキュベーションプレートにそれぞれ90μL及び190μLのグリシン緩衝液を加えた。次に希釈プレートに上清を10μL加え、続いて希釈プレートから10μLを取りインキュベーションプレートに加えた。次いでインキュベーションプレートから混合物を10μL取り、suc−AAPF−pNA基質を含有している予熱したプレートに加えた。MTPリーダーで410nmにてsuc−AAPF−pNAプレートを読み取った(t=0測定)。インキュベーションプレートをテープで覆い、400rpmで振盪させながら68℃で1時間インキュベートした。インキュベーション終了後にプレートを恒温器から取り出し、氷上で少なくとも5分冷却させた。インキュベーションプレートから混合物を10μL取り、suc−AAPF−pNA基質を含有しているプレートに移し、プレートを410nmで読み取った(t=60測定)。残存活性(%)は次のように算出した:
残存活性(%):(t=60時点でのmOD/分)/(t=0時点でのmOD/分)×100
界面活性剤及びキレート安定性アッセイ
LAS及びLAS/EDTAの存在下で、試験プロテアーゼをそれぞれインキュベーションした後に、AAPFアッセイを用い測定された残存活性の関数として、LAS及びLAS/EDTAの安定性を測定した。
LAS安定性アッセイ法
試薬:
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(=LAS):Sigma D−2525
TWEEN(登録商標)−80:Sigma P−8074
トリス緩衝液(酸不含):Sigma T−1378);6.35gを約960mLの水に溶解させ;4NのHClによりpHを8.2に調整した。TRISの最終濃度は52.5mMである。
LAS原液:10.5%のLAS/MQ水溶液(=10.5g/100mLのMQ)として調製
トリス緩衝液−100mM/pH 8.6(100mMのTris/0.005%のTween(登録商標)−80)
TRIS−Ca緩衝液(pH 8.6)(100mMのTRIS/10mMのCaCl2/0.005%のTween(登録商標)−80)
ハードウェア:
平底MTP(Costar番号9017)
Biomek FX
ASYSマルチピペッター
Spectramax MTPリーダー
iEMS恒温器/振盪器
Innova 4330恒温器/振盪器
Biohitマルチチャンネルピペット
BMG Thermostar振盪器
52.5mMのTRIS緩衝液(pH 8.2)を用い、0.063%のLAS溶液を調製した。100mg/mLのsuc−AAPF−pNA原液(DMSO中)1mLを100mL(100mM)のトリス緩衝液(pH 8.6)に加えることで、suc−AAPF−pNA希釈標準溶液を調製した。上清を希釈するため、平底プレートに希釈緩衝液を充填し、上清のアリコートを添加し、充分混合した。希釈比は増殖プレート中の対照プロテアーゼの濃度(AAPF活性)に依存して決定した。所望されるタンパク質濃度は80ppmであった。
190μLの0.063%のLAS緩衝液/ウェルに希釈上清を10μL加えた。MTPをテープで覆い、数秒振盪させた後、200rpmで撹拌させつつASPについては25℃若しくは35℃、又はBPN’若しくはGG36については45℃の恒温器(Innova 4230)に60分間配置した。10分のインキュベーション後、各ウェル中の混合物10μLを、suc−AAPF−pNA実験溶液を190μL含有している新しいMTPに移し、初期活性(t=10分)を測定した。これらの溶液を充分に混合し、MTPリーダーを用いAAPF活性を測定した(25℃にて5分毎に20回)。
更にインキュベーションの60分後に10μLの溶液をインキュベートプレートから取り出し、最終活性(t=60分)を測定した。次に上記のように、AAPF活性を測定した。次のように残存AAPF活性及び開始AAPF活性の比を算出することで試料の安定性を判定した:
残存活性(%)=(t−60値)*100/(t−10値)。
LAS/EDTAの安定性アッセイ法
代表的なアニオン性界面活性剤(LAS=直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、具体的には、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウムDOBS)及びEDTA二ナトリウムの存在下でのプロテアーゼ変異体の安定性を、所定の条件下でのインキュベーション後に測定し、かつAAPFアッセイを用いて残存活性を測定した。試薬は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(DOBS,Sigma No.D−2525)、TWEEN(登録商標)−80(Sigma No.P−8074)、EDTA二ナトリウム(Siegfried Handel No.164599−02)、HEPES(Sigma No.H−7523)、未負荷緩衝液:50mMのHEPES(11.9g/L)+0.005% TWEEN(登録商標)−80(pH 8.0)、負荷緩衝液:50mMのHEPES(11.9g/L)、0.1%(w/v)DOBS(1g/L)、10mMのEDTA(3.36g/L)(pH 8.0)、参照プロテアーゼ及びプロテアーゼ変異体培養上清(200〜400μg/mLのタンパク質を含有)を使用した。装置は、希釈プレートとしてV又はU底MTP(それぞれGreiner 651101及び650161)、未負荷及びLAS/EDTA緩衝液用平底MTP(Corning 9017)、並びにsuc−AAPF−pNAプレート、Biomek FX(Beckman Coulter)、Spectramax Plus 384 MTPリーダー(Molecular Devices)、iEMS恒温器/振盪器(1mm振幅)(Thermo Electron Corporation)、及びシーリングテープ:Nunc(236366)を使用した。
iEMS恒温器/振盪器(Thermo/Labsystems)は29℃に設定した。培養上清を、未負荷緩衝液を含有しているプレートで約25ppm濃度に希釈した(マスター希釈プレート)。マスター希釈プレートから、20μLのサンプルを取り、未負荷緩衝液を180μL含有しているプレートに加え、最終インキュベーション濃度2.5ppmを得た。含有物を混合し、室温で維持し、このプレートでAAPFアッセイを実施した。マスター希釈プレートから、20μLのサンプルを取り、180μL負荷緩衝液(50mMのHEPES(11.9g/L)、0.1%(w/v)DOBS(1g/L)、10mMのEDTA(3.36g/L)(pH 8.0))を含有しているプレートに加えた。溶液を混合し、直ちに29℃のiEMS振盪器に400rpmで振盪させながら30分間配置した。30分間のインキュベーション後、AAPFアッセイをストレスプレート上で実施した。(OD=光密度吸光度)次のように残留及び開始AAPF比を算出することにより、サンプルの安定性を判定した:残存活性(%)=(mOD/分(ストレス負荷))*100/(mOD./分(ストレス未負荷))。
(実施例6)
PX3変異体の洗浄性能試験
この実施例では、市販の食器用洗剤及び洗濯洗剤でのPX3プロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)及びGCI−P038参照サブチリシンの食器洗浄性能及び布地クリーニング性能の評価に好適な方法を記載する。
食器洗浄性能
市販の食器用洗剤で本発明のプロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)及びGCI−P038参照サブチリシンの食器洗浄性能を測定するために使用した方法を以下に記載する。
プロテアーゼ変異体の性能を様々な自動食器洗浄条件下で試験した。食器用洗剤の組成は表6−1及び6−2に示す。これらの洗剤はwfk Testmaterials(www.testgewebe.de/en/products/detergents/)から市販されており、wfk Testmaterialsの表記に基づき参照されるプロテアーゼ変異体について解析するために、これらの洗剤は酵素を含有させていない販売元から得た。
それぞれの種類の染み(卵黄、ひき肉及び溶き卵、並びに牛乳と溶いた卵)の調製に関するプロトコルを以下に提供する。試験皿にそれぞれの種類の染みをもたらす前に、皿は十分に洗浄した。試験前から皿表面にある種のしつこい染みが残っている場合もあることから、皿を十分に洗浄しておくことは特に不可欠である。新しい皿は試験の初回に使用する前にも3回しっかりと洗浄した。
ステンレス鋼上の卵黄染みの調製
これらの実験で使用されるステンレス鋼シート(10×15cm;片面をブラシ処理済み)を、市販の高アルカリ性洗剤(例えば、ECOLAB(登録商標)洗剤;Henkel)を用いて研究用食洗機で95℃で十分に洗浄することで、清潔でグリースの除去されたシートを用意した。これらのシートからは初回使用前に反りをとった。卵黄により染みを付ける前にシートを保温キャビネット内で80℃で30分間乾燥させた。ブラシ処理する表面には染み処理前には触れなかった。同様に、表面上には水染み又は毛羽立ちは存在させなかった。冷却したシートは染み処理前に秤量した。
10〜11個の卵の黄身(卵黄200g)を白身から取り分けて卵黄を調製した。ガラス製ビーカーの中で黄身をフォークで撹拌し、均一な黄身懸濁液にした。次に黄身を濾し(約0.5mmのメッシュ)、粗い粒子及び卵の殻の破片を取り除いた。
ステンレス鋼シートの各ブラシがけした面上140cm2に、平らなブラシ(2.5”(6.35cm))を使用して2.0±0.1gの卵黄懸濁液を可能な限り均一に塗り広げた。縁には約1cm幅の未染み処理部位を残した(必要に応じて接着テープを使用した)。染み処理したシートを室温で4時間(最大で24時間)水平に乾燥させた(シートの縁で液滴が形成されるのを防ぐため)。
卵黄タンパク質を変性させるため、シートを脱塩熱湯水に30秒間漬けた(必要に応じて保持デバイスを使用して)。次いでシートを再度80℃で30分間乾燥させた。乾燥させ、冷却させた後、シートを秤量した。秤量後、シートは洗浄試験にかける前に少なくとも24時間寝かせた(20℃、相対湿度40〜60%)。試験要件を満たすため、1000±100mg/140cm2(変性後の卵黄)のシートのみを試験に使用した。シートは洗浄した後、80℃の保温キャビネットで30分乾燥させ、冷却させた後に再度秤量した。洗浄によりシートから放出された卵黄の重量(mg)を、染み付けさせ変性させた卵黄の重量(mg)で除し100を乗じることで、クリーニング性能(%)を算出した。
磁器プレート上のひき肉及び卵の染みの調製
これらの実験では、EN 50242、1495型、0219番のデザート皿(Arzberg,直径19cm,白色,施釉磁器)を使用した。合計225gの赤身の豚肉及び牛肉(50:50比)を細かいみじん切りにし、低温に維持した。混合物を2度肉挽き機にかけた。温度が35℃を超えて上昇しないようにした。次にひき肉225gを75gの卵(白身及び黄身は予め一緒に混ぜておいた)と混ぜた。次に使用前に調製物を−18℃で3ヶ月間冷凍した。豚が利用できない場合には牛肉100%を使用した。これらは互換可能である。
挽肉と卵の混合物(300g)を室温に戻し、80mLの脱塩水と混合した。混合物を台所用ハンドブレンダーを用い、2分間均質化させた。フォークを使用して挽肉/卵/水混合物を各白色磁器プレートに3gずつ塗り広げた。縁には塗布しない縁部を2cm幅で残した。塗布した量は11.8±0.5mg/cm2であった。余熱した保温キャビネットでプレートを120℃で2時間乾燥させた。プレートは冷却されたら即使用のため準備した。
食器洗浄試験後、挽肉のタンパク質性の汚れの残留度をより良好に識別させるために、プレートにはニンヒドリン溶液(1%エタノール溶液)を噴霧した。着色反応を促進させるため、プレートは保温キャビネットで80℃で10分加熱させた。洗浄性能の評価は、IKWの写真カタログ(IKW−The German Cosmetic,Toiletry,Perfumery and Detergent Association)を参照して挽肉残滓の着色反応を視覚的に識別することで行った。
ステンレス鋼上の卵/牛乳染みの調製
これらの実施例で使用したステンレス鋼シート(10×15cm;片面をブラシ処理済み)は、グリースを除去しシートを清潔にするために市販の高アルカリ性洗剤を用い研究用食洗機で95℃で十分に洗浄した。シートはセルロース性の布で拭いて乾燥させた。ブラシ処理する表面には染み処理前には触れなかった。同様に、表面上には水染み又は毛羽立ちは存在させなかった。染み処理前に80℃の保温キャビネットにシートを30分配置した。冷却したシートは染み処理前に秤量した。
未加工の全卵の黄身及び白身(卵3〜4個;約160g/卵)をボウルに入れ、泡立て器でかき混ぜた。次に混合物に50mLの半脱脂乳(脂肪分1.5%、超高温、均質化)を加えた。泡立たせないよう牛乳及び卵をかき混ぜた。平らなブラシを使用して1.0±0.1gの卵/牛乳混合物をステンレス鋼シートに均一に塗り広げた。分布を確認するためにはかりを使用した。シートの短端には約1.0cmの縁を残した。染み処理したシートを室温で4時間(最大で24時間)水平に乾燥させた(シートの縁で液滴が形成されるのを防ぐため)。
シートを脱塩熱湯水に30秒間漬けた(必要に応じて保持デバイスを使用して)。次いでシートを再度80℃で30分間乾燥させた。乾燥させ、冷却させた後、シートを秤量した。秤量後、シートは、洗浄試験にかける前に少なくとも24時間寝かせた(20℃、相対湿度40〜60%)。試験要件を満たすため、190±10mg卵黄/牛乳のシートのみを試験に使用した。
シートは、洗浄した後、80℃の保温キャビネットで30分乾燥させ、冷却させた後に再度秤量した。洗浄によりシートから放出された卵黄/牛乳の重量(mg)を、染み処理した卵黄/牛乳の重量(mg)で除し100を乗じることで、クリーニング性能(%)を算出した。
洗浄装置及び条件
上記のように調製した、染み処理した食器及びステンレス鋼シートを配置し、自動食洗機(Miele G690SCモデル)で洗浄試験を実施した。規定量の洗剤を使用した。試験温度は50℃であった。水硬度は375.9ppmであった(21°GH(ドイツ硬度))。
上記のように、挽肉で染み処理したプレートを洗浄後、0〜10の光学的評価スケールを用い視覚的に評価した。「0」はプレートが完全に汚れたままであることを意味し、「10」はプレートが清潔であることを意味する。これらの値は、酵素を含有している洗剤の染み除去又は汚れ除去(SR)能に相当する。
卵黄又は卵黄/牛乳で染み処理したステンレス鋼プレートは、洗浄した後、洗浄後の染み残留度を測定するために重量測定法で解析した。サブチリシン変異体PX3及び参照サブチリシンGCI−P038を洗浄当たり0〜30mg/活性タンパク質の濃度で試験した。
様々な洗浄試験に関し、結果を表6−3〜6−6に提供する。これらのそれぞれの実験では、洗浄あたりに異なる活性プロテアーゼ濃度を用いた。参照サブチリシンGCI−P038の洗浄性能は「100」として記載し、一方変異体の洗浄性能はこの値と比較して記載した。例えば、参照サブチリシンGCI−P038が45%の染み除去性能を有し、変異体が52%の染み除去性能を有した場合、サブチリシン変異体について得られた結果は52/45×100=116の性能指数(PI)として示される。したがって、試験した両方の洗剤において、サブチリシン変異体PX3は、食器洗浄用途でのタンパク質性の染み除去に関し、参照サブチリシンGCI−P038よりも効果的であり、あるいは同程度に効果的であった。
*これらの特定の条件下でのGCI−P038waの汚れ除去率は100%であった。
(実施例7)
洗浄性能試験
本実施例は、市販の洗濯洗剤中での本発明のプロテアーゼ変異体の布地クリーニング性能の評価に好適な方法である。
* 略記:Procter & Gamble(P&G);Reckitt Benckiser(RB);強力液体洗剤(HDL);強力顆粒洗剤(HDG)。
血液牛乳インク(BMI)微小標本アッセイ
プロテアーゼ変異体の染み除去性能は、市販の洗剤でマイクロタイタープレート(MTP)スケールで評価することができる。37℃/300rpm/相対湿度90%でMTPプレートで3日間増殖させた培養物の培養ブロスを濾過し、参照プロテアーゼ酵素(例えば、参照サブチリシン)試料及びプロテアーゼ変異体試料を得た。装置は、96ウェルポリスチレンプレート(Costar番号9017の培地結合型の平底)、Biomek FX及び/又はBiomek FXp(Beckman Coulter)、Spectramax Plus 384(Molecular Devices)、1mm振幅のiEMS恒温器/振盪器(Thermo Electron Corporation)及びシーリングテープ(Nunc番号236366)を使用した。試薬は、5mMのHEPES(pH 8.0)又は5mMのMOPS(pH 7)緩衝液、中硬水用の3:1のCa:Mg(CaCl2:MgCl2・6H2O);15000グレイン毎ガロン(gpg)(25706ppm)の原液の6gpg(103ppm)希釈物、プレートあたり2枚のBMI(血液/牛乳/インク)微小標本:CFTにより加工されたEMPA−116BMI木綿標本:ウェルあたり2枚の、予洗しパンチ加工した微小標本、及びプロテアーゼ活性の存在しないことを確認することのできる、熱失活させた市販のTIDE(登録商標)2X洗剤を使用した。本アッセイにおいて、プロテアーゼは基質及び遊離顔料及び基質由来の不溶性粒子を加水分解する。
恒温器は所望の温度に設定する(16℃又は32℃)。まず始めに、酵素マスター希釈プレートから約10ppmのサンプルを10μL取り、上掲の190μLの洗剤希釈標準溶液を含有させたBMI2−スウォッチプレートに添加するアッセイプレート中でプロテアーゼ変異体の最終濃度が0.5ppmになるよう容量を調整する。プレートを直ちにiEMS恒温器に移し、1400rpmで振盪しながら所定の温度で30分間インキュベートする。インキュベーション後、上清100μLを新しい96ウェルプレートに移し、MTPリーダーで、405nm及び/又は600nmで吸光度を測定する。1枚又は2枚のマイクロスウォッチと、プロテアーゼサンプルを無添加の洗剤とを含有している対照ウェルも、試験に包含させる。405nmでの吸光度測定値はより高い値を提供し、かつ顔料除去を追跡するのに対し、600nmでの測定は濁度及び洗浄度を追跡する。
染み除去能の算出:
得られた吸光度値をブランク値(酵素を除く基質)について補正し、加水分解活性を測定する。各試料(例えば、プロテアーゼ変異体酵素又は参照プロテアーゼ酵素)に関し、性能指数(PI)を算出する。性能指数は、同様のタンパク質濃度下でプロテアーゼ変異体の性能(実測値)と標準参照プロテアーゼの性能(理論値)とを比較する。加えて、標準酵素のLangmuir等式のパラメーターを用いることで、理論値が算出できる。性能指数(PI)が1超(PI>1)の場合、参照プロテアーゼ酵素(例えば、野生型サブチリシン)と比較してプロテアーゼ変異体がより良好であることを意味する;すなわち、性能指数が1超である場合、プロテアーゼ変異体の、対象とする染み減少、消去、又は除去性能が、参照プロテアーゼ酵素の同様の又は類似する染み減少又は除去性能と比較して、強化又は改善されていることを意味する。PIが1(PI=1)である場合、プロテアーゼ変異体が参照プロテアーゼ酵素と同等に又はおおよそ同等に機能することを意味する(すなわち、プロテアーゼ変異体の、対象とする染み減少、消去、又は除去性能が、参照プロテアーゼ酵素の同様の又は類似する染み減少又は除去性能と比較して、同等又はおおよそ同等であることを意味する)。PIが1未満(PI<1)である場合、プロテアーゼ変異体は参照プロテアーゼ酵素と比較して良好に機能しないことを意味する(すなわち、プロテアーゼ変異体の、対象とする染み減少、消去、又は除去性能が、参照プロテアーゼ酵素の同様の又は類似する染み減少又は除去性能と比較して、減少しており又は参照よりも低いことを意味する)。したがって、PI値は、特定の環境又は条件下での対象とする染み減少、消去、又は除去性能が、参照プロテアーゼ酵素の同様の又は類似する染みの除去性能と比較して改善され又は強化されたプロテアーゼ変異体、並びに特定の環境下での使用がより望ましくないプロテアーゼ変異体、例えば、対象とする染み減少、消去、又は除去性能が、参照プロテアーゼ酵素の同様の又は類似する染み減少又は除去性能と比較して、減少しているプロテアーゼ変異体を識別する)。
(実施例8)
PX3、PX4、及びPX5プロテアーゼ変異体のクリーニング性能
洗濯用途でのBMI微小標本アッセイ
洗濯用途での、変異体PX4及びPX5のクリーニング性能を判定するために実施した実験結果を、表8−1に示す。熱不活性化させた市販のTIDE(登録商標)2X Free(P&G;「NA HDL」)TIDE Free(P&G;「NA HDD」)を試験洗剤として使用した。200μL容量で1400rpmで震盪させながら0.2ppmの変異体を25℃で30分用い、BMI染み処理した微小標本に対するクリーニング性能を試験した。GCI−P036変異体の性能を性能指数(Pi)で定量した。性能指数(Pi)は、親タンパク質GCI−P036の性能に対する変異体の性能の比である。サブチリシンFNA(BPN’−Y217L)及びGCI−P036−S87N−G118V−S128L−P129Q−S130Aタンパク質も試験した。
(実施例9)
PX3、PX4、及びPX5プロテアーゼ変異体のクリーニング性能
焼き付けた卵黄の洗浄用途に関する微小標本アッセイ
市販の洗濯洗剤(CALGONIT(登録商標)(Reckitt−Benckiser)及びCASCADE(登録商標)(P&G))中でのプロテアーゼ変異体(例えば、サブチリシン変異体)の染み除去性能をマイクロタイタープレート(MTP)スケールで測定した。37℃/300rpm/相対湿度90%でMTPプレートで3日間増殖させた培養物の培養ブロスを濾過し、サブチリシン変異体の試験用試料を得た。装置は以下のものを使用した:Biomek FXロボット(Beckman Coulter)、SpectraMAXマイクロタイタープレート(MTPリーダー(340型、Molecular Devices)、iEMS恒温器/振盪器(Thermo/Labsystems)、平底MTP(Costar 9017型、インキュベート後に反応プレートを読み取るために使用)、並びにV底MTP(Greiner 651101、上清の前希釈に使用)。CFT Vlaardingenから得たCS−38微小標本(卵黄と色素を混合し、加熱して経時処理したもの)を基材として使用した。ウェル当たり2つの標本を使用した。Calgonit 5in1の自動食器洗浄用(ADW)の錠剤を使用して洗剤溶液を調製した。錠剤中に存在するプロテアーゼ活性を失活させるために、21gの錠剤をミリQ水に溶解させ、ウォーターバスで60℃に加熱した。溶液を室温に冷却し、水の容量を700mLに調整した。最終濃度3g/Lになるよう溶液を更に水で希釈した。1.46mLのCa/Mg混合物(Ca/Mg混合物((3:1)、1.92MのCaCl2=282.3g/LのCaCl2・2H20;0.64MのMgCl2=130.1g/LMgCl2・6H2O)、15000gpg(25706ppm))を添加して、水硬度を21°GH(375.9ppm)に調整した。酵素試料を10mMのNaCl/0.1mMのCaCl2/0.005%のTWEEN(登録商標)−80溶液に予希釈し、適切な濃度で試験した。
恒温器を40℃又は50℃の所望の温度に設定し、空のV底プレート(=希釈プレート)に72μLの希釈緩衝液と、続いて8μLの上清を加えた。次いで、希釈プレートから9μLをとり、微小標本を入れた、171μLの洗剤溶液の入っているプレートに加えインキュベートした。微小標本プレート(洗剤及び酵素が入っている)をテープで覆い、恒温器/震盪器に1400rpmで30分間配置した。インキュベーション後、75μLの反応混合物を空のF底プレートに移し、ヘアドライヤーを用い脱気した後にMTPリーダーで405nmにて吸光度を読み取った。1つ又は2つの微小標本を含有させ、参照サブチリシンは添加せずに試料を含有させたブランク対照も同様に試験でインキュベートした。
* 略記:Procter & Gamble(P&G);及びReckitt Benckiser(RB)。
染み除去能の算出:
得られた吸光度値をブランク値(酵素を除く基質)について補正し、加水分解活性を測定した。各試料(例えば、プロテアーゼ変異体酵素又は参照プロテアーゼ酵素)に関し、性能指数(PI)を算出した。性能指数は、同様のタンパク質濃度下でプロテアーゼ変異体の性能(実測値)と参照プロテアーゼの性能(理論値)とを比較する。加えて、標準酵素のLangmuir等式のパラメーターを用いることで、理論値が算出できる。性能指数(PI)が1(PI>1)超の場合、参照プロテアーゼ酵素(例えば、野生型サブチリシン)と比較してプロテアーゼ変異体がより良好であることを意味する;すなわち、性能指数が1超である場合、プロテアーゼ変異体の、対象とする染み(例えば、卵黄と色素を混ぜ、加熱することで経時処理した染み)の減少、消去、又は除去性能が、参照プロテアーゼ酵素の同様の又は類似する染みの減少又は除去性能と比較して、強化又は改善されていることを意味する。PIが1(PI=1)である場合、プロテアーゼ変異体が参照プロテアーゼ酵素と同等に又はおおよそ同等に機能することを意味する(すなわち、プロテアーゼ変異体の、対象とする染み減少、消去、又は除去性能が、参照プロテアーゼ酵素の同様の又は類似する染み減少又は除去性能と比較して、同等又はおおよそ同等であることを意味する)。PIが1未満(PI<1)である場合、プロテアーゼ変異体は参照プロテアーゼ酵素と比較して良好に機能しないことを意味する(すなわち、プロテアーゼ変異体の、対象とする染み減少、消去、又は除去性能が、参照プロテアーゼ酵素の同様の又は類似する染み減少又は除去性能と比較して、減少しており又は参照よりも低いことを意味する)。したがって、PI値は、特定の環境又は条件下での対象とする染み減少、消去、又は除去性能が、参照プロテアーゼ酵素の同様の又は類似する染みの除去性能と比較して改善され又は強化されたプロテアーゼ変異体、並びに特定の環境下での使用がより望ましくないプロテアーゼ変異体、例えば、対象とする染み減少、消去、又は除去性能が、参照プロテアーゼ酵素の同様の又は類似する染み減少又は除去性能と比較して、減少しているプロテアーゼ変異体を識別する)。
プロテアーゼ変異体(例えば、変異型サブチリシン)のクリーニング性能は、微小標本アッセイを用い判定した(CS−38標本、例えば、卵黄と色素を混ぜ、加熱することで経時処理した染みに関するアッセイ)。変異体のLAS/EDTA安定性、熱安定性及びTCAによるタンパク質沈殿判定も上記の方法を用い測定した。結果を表9−2に示す。
表9−2に示されるように、プロテアーゼ変異体は、様々な洗剤組成物中で、50℃にて、参照プロテアーゼGG36と比較して、強化又は改善されたクリーニング性能を示した。特に、変異体PX3は、50℃ではCALGONIT(登録商標)5in 1及びCASCADE(登録商標)Complete中でプロテアーゼGG36よりも良好なクリーニング性能を、40℃ではCALGONIT(登録商標)5in 1のクリーニング性能(PI値))とほぼ同様のクリーニング性能を示した。PX4変異体は、50℃ではCALGONIT(登録商標)5in 1及びCASCADE(登録商標)Complete中で、並びに40℃ではCALGONIT(登録商標)5in 1中で、プロテアーゼGG36よりも有意に大きなクリーニング性能(PI値)を示した。したがって、プロテアーゼGG36と同様のクリーニング性能を達成するにあたり、必要とされるPX4プロテアーゼの量はより少量であるものと予想される。加えて、特筆すべき事に、PX4変異体は、低温でさえもプロテアーゼGG36と比較して実質的に良好なクリーニング性能を示した。プロテアーゼ変異体PX5は、50℃ではCALGONIT(登録商標)5in 1及びCASCADE(登録商標)Complete中でプロテアーゼGG36よりも良好なクリーニング性能を、40℃ではCALGONIT(登録商標)5in 1のクリーニング性能(PI値))とほぼ同様のクリーニング性能を示した。
(実施例10)
液体洗濯洗剤組成物
本実施例は、本発明の液体洗濯洗剤組成物に関する様々な配合を提供する。本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種添加することのできる例示的な本発明のプロテアーゼ変異体を下表10−1及び10−2に提供する。少なくとも1種の本発明のプロテアーゼ変異体を、得られる配合物(組成物)の重量の約0.0001〜約10重量%の濃度で各配合物に含ませることができる。配合者の求めるニーズに基づき、配合物は、配合者により決定される代替的な濃度のプロテアーゼ変異体を含み得る。
#1:1NのHCl水溶液を加え、配合物の未希釈時pHを約3〜約5の範囲に調整した。
配合物(I)及び(II)のpHは約5〜約7であり、かつ配合物(III)〜(V)のpHは約7.5〜約8.5である。
(実施例11)
食器手洗い用液体洗剤組成物
本実施例は、本発明の食器手洗い用液体洗剤組成物に関する様々な配合を提供する。本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種添加することのできる例示的な食器手洗い用液体洗剤組成物が以下に提供され得る。少なくとも1種の本発明のプロテアーゼ変異体を、得られる配合物(組成物)の重量の約0.0001〜約10重量%の濃度で各配合物に含ませることができる。配合者の求めるニーズに基づき、配合物は、配合者により決定される代替的な濃度のプロテアーゼ変異体を含み得る。
配合物(I)〜(VI)のpHは約8〜約11である。
(実施例12)
自動食器洗浄用液体洗剤組成物
本実施例は、本発明の自動食器洗浄用液体洗剤組成物に関する様々な配合を提供する。本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種添加することのできる例示的な自動食器洗浄用液体洗剤組成物が以下に提供され得る。少なくとも1種の本発明のプロテアーゼ変異体を、得られる配合物(組成物)の重量の約0.0001〜約10重量%の濃度で各配合物に含ませることができる。配合者の求めるニーズに基づき、配合物は、配合者により決定される代替的な濃度のプロテアーゼ変異体を含み得る。
(実施例13)
粒状及び/又は錠剤型洗濯用組成物
本実施例は、粒状及び/又は錠剤型洗濯用組成物に関する様々な配合を提供する。本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種添加することのできる例示的な粒状及び/又は錠剤型洗濯用組成物が以下に提供され得る。少なくとも1種の本発明のプロテアーゼ変異体を、得られる配合物(組成物)の重量の約0.0001〜約10重量%の濃度で各配合物に含ませることができる。配合者の求めるニーズに基づき、配合物は、配合者により決定される代替的な濃度のプロテアーゼ変異体を含み得る。
* 香料、染料、増白剤/SRP1/Naカルボキシメチルセルロース/蛍光漂白剤/MgSO
4/PVPVI/抑泡剤/高分子量ポリエチレングリコール(PEG)/クレイ。
(実施例14)
食器自動洗浄用高濃度洗剤組成物
本実施例は、本発明の食器自動洗浄用高濃度洗剤組成物に関する様々な配合を提供する。本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種添加することのできる例示的な食器自動洗浄用高濃度洗剤組成物が以下に提供され得る。少なくとも1種の本発明のプロテアーゼ変異体を、得られる配合物(組成物)の重量の約0.0001〜約10重量%の濃度で各配合物に含ませることができる。配合者の求めるニーズに基づき、配合物は、配合者により決定される代替的な濃度のプロテアーゼ変異体を含み得る。
*増白剤/染料/SRP1/Naカルボキシメチルセルロース/蛍光漂白剤/MgSO
4/PVPVI/抑泡剤/高分子量PEG/クレイ。
処方(I)〜(VI)のpHは約9.6〜約11.3である。
(実施例15)
錠剤型洗剤組成物
本実施例は、錠剤型洗剤組成物に関する様々な配合を提供する。標準的な12ヘッド式ロータリープレスを用い、粒状食器洗浄洗剤組成物を13KN/cm2の圧力で圧縮させることで、本発明のプロテアーゼ変異体が少なくとも1種添加され得る以下の本発明の例示的な錠剤型洗剤組成物を調製する。少なくとも1種の本発明のプロテアーゼ変異体を、得られる配合物(組成物)の重量の約0.0001〜約10重量%の濃度で各配合物に含ませることができる。配合者の求めるニーズに基づき、配合物は、配合者により決定される代替的な濃度のプロテアーゼ変異体を含み得る。
*増白剤/SRP1/Naカルボキシメチルセルロース/蛍光漂白剤/MgSO
4/PVPVI/抑泡剤/高分子量PEG/クレイ。
配合物(I)〜(VII)のpHは約10〜約11.5であり;配合物(VIII)のpHは約8〜約10であった。配合物(I)〜(VIII)の錠剤重量は約20グラム〜約30グラムである。
(実施例16)
液体硬質表面クリーニング洗剤
本実施例は、本発明の液体硬質表面クリーニング洗剤組成物に関する様々な配合を提供する。本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種添加することのできる例示的な液体硬質表面クリーニング洗剤組成物が以下に提供され得る。少なくとも1種の本発明のプロテアーゼ変異体を、得られる配合物(組成物)の重量の約0.0001〜約10重量%の濃度で各配合物に含ませることができる。配合者の求めるニーズに基づき、配合物は、配合者により決定される代替的な濃度のプロテアーゼ変異体を含み得る。
処方(I)〜(VII)のpHは約7.4〜9.5である。
本案件で引用されるすべての特許及び刊行物は、本発明が関連するレベルの当業者の指針になる。当業者は、本発明が、言及した目的が達成され、意図した結果及び利点に加え固有の性質が得られるよう良好に調整されることを認識する。本明細書に記載の組成物及び方法は、実施形態のうちの代表的なものであり、例示であり、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。当業者であれば、本細書で開示される本発明には、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく様々な変更及び修正を加えることができることは容易に認識するであろう。
本明細書に例示的に記載される本発明は、任意の成分の非存在下で、本開示に特記されていない制限下で実施することもできる。採用された用語及び表現は説明の観点から使用されるものであり、限定するものではなく、このような用語及び表現の使用により、本明細書に示されかつ記載される特徴の任意の等価物又はその一部を排除することを意図するものではなく、主張される本発明の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。したがって、本発明は、実施形態及び任意的な特徴により具体的に開示されているが、本明細書に開示されている概念の修正及び変更は当業者の手助けとなるであろうし、かつこのような修正及び変更は、本願により定義されるような本発明の範囲内であるものとみなされることは理解すべきである。
本発明は、本明細書において広範に及び総括的に記載されてきた。包括的な本開示に当てはまるより狭い種及び下位の集団のそれぞれも本発明に一部を形成する。本開示は、具体的に本明細書に引用される材料を制限する場合又はしない場合のいずれにせよ、属から任意の対象を外すことになる条件又は負の制限付きで、本発明の概説を包含するものである。