JP6017784B2 - 果実軟化に関連するα−マンノシダーゼのポリヌクレオチド配列および果実貯蔵寿命を延長するためのその使用 - Google Patents
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Description
本発明は、トマト(ソラナム リコペルシカム(Solanum lycopersicum))およびトウガラシ(カプシカム アンニューム(Capsicum annuum))のα-マンノシダーゼをコードするポリヌクレオチドに関する。
今日の世界的流通の世界において、果実成熟の制御は戦略的に重要である(Causier B, Kieffer M and Davies B, 2002, Science 296: 275-276(非特許文献1))。果実の貯蔵寿命および貯蔵を制限する主因のうちの一つは、過度の軟化である。これに関して、多数の酵素を抑制する試みは、貯蔵寿命の延長または軟化の所望の低下において限られた成功しか収めていない。成熟は、消費される官能特性を達成するための、果実の発達および代謝における主要な変遷を含む複雑な過程である。これらのうち、テクスチャは、嗜好性、消費者受容性、貯蔵寿命、輸送能力、および収穫後疾患/病原体に対する抵抗性に関する主要な品質特性であり、これらは全て直接コストに影響を与える。これらのテクスチャの変化が主として細胞壁構造の変化に起因することは、自明であると見なされている。細胞壁は、炭水化物と、多重遺伝子ファミリーによってコードされたタンパク質とから主になる動的な成分である。これらの細胞壁多糖は、自然界に見出される最も豊富な有機化合物であり、その構造的および機能的な多様性は、合成(糖転移酵素)、修飾(炭水化物エステラーゼ)、および分解(糖質加水分解酵素および多糖リアーゼ)に関与する一連の多数の酵素によって反映される。生物の遺伝子のおよそ1〜2%がこれらの過程に関与しており、このことは、果実成熟におけるそれらの重要性を明らかにしている(Henrissat B, Coutinho PM and Davies GJ, 2001, Plant Mol Biol 47: 55-72(非特許文献2)およびJamet E, Canut H, Boudart G and Pont-Lezica RF, 2006, Trends Plant Sci 11: 33-39(非特許文献3))。一般に、果実の堅さの低下には、多糖加水分解酵素/糖類加水分解酵素、トランスグリコシラーゼ、リアーゼ、およびエクスパンシンのような、多数の細胞壁分解酵素の発現の増加が伴う(Brummell DA, 2006, Funct Plant Biol 33: 103-119(非特許文献4))。一般的な触媒活性は配列から推論され得るが、これらのタンパク質の大部分の正確な酵素機能および生物学的役割は未知である。炭水化物代謝に関与する一式の酵素のうち、加水分解酵素は主要な部分を占める。これらの加水分解酵素は、細胞壁またはその他の細胞器官に見出されるN-糖タンパク質を標的とし、N-複合糖質を分解して、遊離N-グリカン含有量を増加させる。さらに、これらの遊離N-グリカンは、トマトにおいて成熟を刺激する生物学的活性を有することが公知である(Priem B, Gitti R, Bush CA and Gross KC, 1993 Plant Physiol 102: 445-458(非特許文献5))。
[本発明1001]
マンノシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:4に記載のアミノ酸配列と少なくとも約85%の同一性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド。
[本発明1002]
SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:4に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする、本発明1001のポリヌクレオチド。
[本発明1003]
前記ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3に記載される、本発明1001のポリヌクレオチド。
[本発明1004]
SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:4に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド。
[本発明1005]
プロモーター配列に機能的に連結されている本発明1001〜1003のいずれかのポリヌクレオチドを含むDNA構築物。
[本発明1006]
ポリヌクレオチド配列がセンスの向きである、本発明1005のDNA構築物。
[本発明1007]
ポリヌクレオチド配列がアンチセンスの向きである、本発明1005のDNA構築物。
[本発明1008]
トランスジェニック植物においてマンノシダーゼの発現を抑制するためのRNAi構築物であって、
SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:4に記載の配列に由来する少なくとも20個の連続ヌクレオチドを含むセンスポリヌクレオチド鎖、および
該センスポリヌクレオチド鎖とハイブリダイズするアンチセンスポリヌクレオチド鎖であって、該アンチセンスポリヌクレオチド鎖およびセンスポリヌクレオチド鎖が二重鎖を形成する、アンチセンスポリヌクレオチド鎖
を含むRNAi構築物。
[本発明1009]
ヘアピン核酸である、本発明1008のRNAi構築物。
[本発明1010]
センス鎖が100〜600個のヌクレオチドを含む、本発明1008のRNAi構築物。
[本発明1011]
本発明1005〜1009のいずれかのDNA構築物を含む組換えベクター。
[本発明1012]
本発明1011の組換えベクターを含む組換え宿主細胞。
[本発明1013]
アグロバクテリウム(Agrobacterium)、大腸菌(E.coli)、および酵母からなる群より選択される、本発明1012の組換え宿主細胞。
[本発明1014]
植物細胞、組織、またはそれらの一部を、マンノシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組換えベクターによって形質転換する工程を含む、植物における果実軟化を遅延させる方法であって、該ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:4に記載のアミノ酸配列と少なくとも約85%の同一性を有するポリペプチドをコードし、該ポリヌクレオチドがアンチセンスの向きである、方法。
[本発明1015]
前記ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:3に記載される、本発明1014の方法。
[本発明1016]
植物における果実軟化を遅延させる方法であって、
マンノシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの少なくとも20個の連続ヌクレオチドの断片を少なくとも含むRNA干渉(RNAi)構築物の発現によって、トランスジェニック植物におけるマンノシダーゼのレベルを非トランスジェニック植物におけるマンノシダーゼのレベルと比較して減少させ、該ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:4に記載のアミノ酸配列と少なくとも約85%の同一性を有するポリペプチドをコードする、工程;および
該非トランスジェニック植物と比べて低下したマンノシダーゼのレベルについて、得られた植物をスクリーニングする工程
を含む、方法。
[本発明1017]
前記ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列がSEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:3に記載される、本発明1016の方法。
[本発明1018]
植物における果実軟化を遅延させる方法であって、
SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3に記載の配列に由来する少なくとも20個の連続ヌクレオチドを含むセンスポリヌクレオチド鎖、および該センスポリヌクレオチド鎖にハイブリダイズするアンチセンスポリヌクレオチド鎖を含み、該アンチセンスポリヌクレオチド鎖およびセンスポリヌクレオチド鎖が二重鎖を形成する、RNA干渉(RNAi)構築物の発現によって、トランスジェニック植物におけるマンノシダーゼのレベルを非トランスジェニック植物におけるマンノシダーゼのレベルと比較して減少させる工程;ならびに
該非トランスジェニック植物と比べて低下したマンノシダーゼのレベルについて、得られた植物をスクリーニングする工程
を含む、方法。
[本発明1019]
RNAi構築物がヘアピン核酸である、本発明1018の方法。
[本発明1020]
マンノシダーゼの発現が果実軟化を遅延させるために制御されている、本発明1014〜1019のいずれかの方法によって作製されたトランスジェニック植物。
[本発明1021]
トマト、トウガラシ、パパイア、マンゴー、バナナ、モモ、セイヨウナシ、柑橘類、パイナップル、グアバ、アボカド、イチゴ、リンゴ、およびザクロからなる群より選択される、本発明1020のトランスジェニック植物。
[本発明1022]
トマトまたはトウガラシである、本発明1020のトランスジェニック植物。
[本発明1023]
本発明1018〜1022のいずれかのトランスジェニック植物の、トランスジェニック種子または子孫。
本発明は、トマトおよびトウガラシの果実軟化に関連するα-マンノシダーゼに関する。本発明は、特に、α-マンノシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に関する。ここで、植物におけるRNAiおよびアンチセンスにより媒介されるα-マンノシダーゼのサイレンシングは果実軟化を遅延させ、過剰発現は果実軟化を増強する。
左プライマー:
右プライマー:
ここで、KはGまたはTであり、RはAまたはGであり、MはAまたはCである。
(a)SEQ ID NO:2に記載のアミノ酸配列との90%の類似性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(b)SEQ ID NO:4に記載のアミノ酸配列との90%の同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(c)(a)または(b)のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列
(d)SEQ ID NO:1に記載のヌクレオチド配列;
(e)SEQ ID NO:3に記載のヌクレオチド配列;
(f)(d)または(e)のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列
からなる群より選択される。
トマト由来のα-マンノシダーゼの精製および酵素アッセイ
トマト種子(cv.プサ ルビー(Pusa Ruby)および変異体)を、予め滅菌した土壌で発芽させ、その後、実生を、およそ25℃の温度、70%の湿度、および14/10hの明/暗管理の温室に移植した。分析のため、開花期に花にタグを付した後、緑熟期、催色期、桃熟期、および完熟期に果実を採取した。研究において使用された変異体は、Tomato Genetics Resource Center(TGRC)より取得された。
二次元ゲル電気泳動、SDS-PAGE、およびイムノブロット分析
13cmのゲルストリップで、250μLの2-D再水和緩衝液で、精製されたタンパク質試料20μgを用いて、等電点フォーカシングを実施した。まず、タンパク質を、13cm長のイモビリン(immobiline)ドライストリップ(pH4-7)上で、受動的な再水和後に、電荷に従って分離した。エレクトロフォーカシングは、20℃で、20,000Vhr、IPGphorシステム(Amersham Biosciences)を使用して実施された。フォーカシング後のストリップを、10mlの平衡緩衝液において、1%(w/v)DTTにより還元し、続いて2.5%(w/v)ヨードアセトアミドによりアルキル化した。次いで、SDS-PAGE上での二次元目分離のため、ストリップを12.5%ポリアクリルアミドゲル上に負荷した。電気泳動されたタンパク質を、silver stain plusキット(Bio-Rad, CA, USA)により染色した。スポットをゲルから切り出し、エレクトロスプレーイオントラップ飛行時間型質量分析(LC-MS/MS)(Q-Star Pulsar i, Applied Biosystems)によって分析した。スペクトルを、緑色植物亜界(Viridiplantae)(緑色植物)データベースに対して、Mascot配列マッチングソフトウェア(www.matrixscience.com)によって分析した。
糖タンパク質染色およびEndoH消化
糖タンパク質染色を、製造業者の指示(GelCode(登録商標)Glycoprotein Staining Kit, PIERCE biotechnology)に従って実施した。EndoH消化を、製造業者の指示(New England Biolabs)に従って実施した。反応後、それを12.5%SDS PAGEで分解し、ニトロセルロースメンブレン上へブロットし、マンノシダーゼ抗体により検出した。
クローニング、特徴決定、およびノーザンハイブリダイゼーション
多重配列アラインメントによって同定されたペプチドタグおよびモチーフを使用して、縮重プライマーを設計した。増幅断片を、pGEM T-Easyベクターにクローニングし配列決定した。次いで、残りの5'領域および3'領域を、RACE(Invitrogen)を使用して増幅した。
免疫局在性
緑熟期および催色期の果実を採取し、果皮の5mm×5mm切片を4%パラホルムアルデヒドで一夜固定した。翌日、切片を1×PBSにより洗浄し、クリオスタット(Lieca CM1510S)上に乗せた。凍結組織を切片化し(10〜15μm)、1時間室温でスライド上で乾燥させた。スライドを1×PBSにより洗浄し、続いて、非特異的な部位をブロッキングするため室温で1時間3%BSA中でインキュベートし、1×PBSにより3回洗浄した。果実果皮切片を有するスライドを、マンノシダーゼのポリクローナル抗体と共に4℃で一夜インキュベートした。翌日、切片を、1×PBSにより3回洗浄し、FITCにより標識された二次抗体と共に3時間インキュベートした。次いで、10分間隔で8回、1×PBSにより切片を洗浄した。次いで、試料を適切なフィルターを有する蛍光顕微鏡において観察した。これにより、マンノシダーゼが細胞壁タンパク質であることが確認された。
高性能陰イオン交換クロマトグラフィ
タンパク質1μgを、各々100ngのN結合型オリゴ糖(Dextra, U.K)と共に37℃で一夜インキュベートし、酵素を除去するため、試料をPVDFメンブレンでろ過した。ろ過された試料10μlを分析のために使用した。勾配ポンプ(GP 40)、陰イオン交換カラム(Carbopac PA-I、4×250mm)、アルゴンによって溶出液を加圧するためのeluant degas module(EDM-2)が装備されたHPAE-PADシステム(Dionex DX 500 BioLC)を、単糖の分析のために使用した。分離された単糖を、金電極およびAg/AgCl基準電極が装備されたED 40検出器によって検出した。得られたクロマトグラフィデータを、PCに基づくoracle 2データ取得システム(Indtech Analytical, Bombay)を使用して、積分し、プロットした。結果を確認するため、各試料の分析の前後に、標準物(マンノース)を100 nmolの濃度で注入した。これにより、マンノシダーゼのN-グリカンプロセシング能力が確認された。
RNAi/アンチセンス/過剰発現/MYMIVプラスミドの構築およびアグロバクテリウムに基づく一過性形質転換
pHANNIBAL(細菌におけるアンピシリン耐性を有する)ベクターを使用して、マンノシダーゼをサイレンシングした。アンチセンス構築物は、GUS遺伝子を交換して、マンノシダーゼの全長を逆向きにクローニングすることにより、pBI 121で調製された。VIGSベクターについては、GFP配列を交換することにより600bpをMYMIVベクターにクローニングした。過剰発現構築物は、ゲートウェイ(gateway)クローニング法によってPK7FWG2ベクターにクローニングされた全長マンノシダーゼ遺伝子からなっていた。アグロインジェクションのため、アグロバクテリウム予備培養物(3ml)を、抗生物質を含むYEP(酵母抽出物1%、ペプトン1%、およびNaCl 0.5%)培地において28℃で個々のコロニーから24時間増殖させた。この培養物の1/10を、抗生物質を含む50mlの誘導培地(0.5%牛肉抽出物、0.1%酵母抽出物、0.5%ペプトン、0.5%ショ糖、2mM MgSO4、20mMアセトシリンゴン、10mM MES、pH5.6)に移し、一夜増殖させた。翌日、培養物を遠心分離によって回収し、浸透培地(10mM MgCl2、10mM MES、200mMアセトシリンゴン、pH5.6)に再懸濁させ、4時間、温和に撹拌しながら室温でインキュベートした。次いで、0.5mmの針を有する1mlの注射器を使用して、花柱の先端の近くで1〜2mmの深さにまで針を導入し、穏和に注入することにより、果実への培養物のアグロインジェクションを行った。
RNA単離および定量的リアルタイムRT-PCR
RNAを塩化リチウム法に従って単離し、nanodrop(ND-100)を使用して定量化した。5μgの全RNAをsuperscript II(Invitrogen)を使用してcDNAへと逆転写した。サイバーグリーン(cyber green)を用い、light Cycler Version 4.05(Roche diagnostics)を使用して、定量的RT-PCRを実施した。サイクルは、95℃で10分の初期Taq活性化、それに続く、94℃10s、55℃10s、および72℃10sからなる45サイクルからなっていた。次いで、増幅の正確さを確証するため融解曲線分析を実施した。2-ΔΔCT法を使用して、データは、内因性参照遺伝子に対して規準化された、対照と比べた遺伝子発現の変化倍率として提示される。アクチンをコードする遺伝子を、内因性対照として使用した。
低分子RNAの単離およびノーザンハイブリダイゼーション
全RNAを、以前に記載されたようにして単離した。LiClによりRNAを沈殿させた後、それを70%エタノールにより洗浄し、ペレットを空気乾燥させた。次いで、ペレットをDEPC水1mlに溶解させ、5分間65℃に加熱し、2分間氷上で冷却した。高分子量RNAを沈殿させるため、ポリエチレングリコール(分子量8000)およびNaClを、それぞれ5%および0.5Mの最終濃度で添加した。氷上で30分のインキュベーションの後、RNAを30分間13,000rpmで遠心分離した。上清を分離し、3倍容量のエタノールおよび1/10容量の3M酢酸ナトリウム(pH5.2)により沈殿させた。チューブを-20℃に一夜置いた。翌日、低分子量RNAを、10分間の13,000rpmでの遠心分離によって沈殿させた。ペレットを乾燥させ、DEPC水50μlに溶解させ、70Vで4〜5時間15%尿素PAGE上で分解した。次いで、ゲルを一定の100Vで1時間0.5×TBEを使用してナイロンメンブレンに転写した。メンブレンをUV架橋し、40℃で、50%ホルムアミド、7%SDS、および50mM Na2HPO4/NaH2PO4 pH7.2においてプレハイブリダイズさせた。4時間後、変性プローブを添加し、30℃で14〜16時間ハイブリダイズさせた。ブロットを、RTで2分間、2×SSCおよび1%SDSを使用して洗浄し、次いで、0.5×SSCおよび0.1%SDSにより洗浄し、フィルムに曝した。21〜23ヌクレオチドの遺伝子特異的なsiRNAが、RNAi果実において検出され、RNAiによって媒介されたマンノシダーゼのサイレンシングが確認された。
トマト形質転換
トランスジェニックトマト植物を生成するため、2週齢の実生からの子葉を、記載されるようにして使用した。トマト種子を4%市販漂白剤を使用して滅菌し、ムラシゲ スクーグ(Murashige and Skoog)(MS)培地上で発芽させた。発芽の2週間後、子葉を切り取り、異なる構築物を含有しているA.ツメファシエンス(tumefaciens)株EHA105と、30分間、共培養した。次いで、子葉を、選択のため、50mg/lカナマイシンを含有しているMSプレート上に収集した。小植物が再生した時、それらを発根培地に移した。発根後、植物を温室に移動させ、成熟するまで生長させた。
テクスチャ分析
果実の堅さを、TA-XT Plus(Stable Microsystems UK)を使用して決定した。各果実を、幅75mmのP75圧縮プレートにより分析し、1mm s-1の試験スピードで垂直の方向に5mmおよび10mmまで圧縮した。堅さは、5gの適用された力に対する応答力として定義された。値を、統計的有意性を決定するため、t検定に供した。これらの結果は、RNAi果実が非トランスジェニック果実より2.5倍大きい堅さを有することを示した。
実生に対するゲラニオール/ACC処理
プサ ルビー種子を滅菌し、MS培地上で発芽させた。15日後、実生を、20%DMSO中の10mMゲラニオールまたは水中の1mM ACC(1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸)を含有している液体培地に移した。採取された試料からRNAを単離し、リアルタイムRT-PCR分析のためcDNAへと逆転写した。発現を、対照実生(0時間)に対して相対的に計算した。結果は、マンノシダーゼがゲラニオールおよびエチレンによってアップレギュレートされることを示した。
染色および顕微鏡検
切片をクリオスタット付きミクロトーム(Leica 1050)で切断し、スライド上で乾燥させた。スライドを、0.1Mリン酸緩衝液(pH6.8)中の0.05%トルイジンブルー(sigma)の水性溶液に2分間浸漬し、水で2分間洗浄した。染色された切片を、カバーガラス下に水で乗せ、Nikon 80i落射蛍光/位相差/明視野顕微鏡を使用して、100倍の拡大率で撮影した。壁構造を調査するため、切片を、多糖に結合する蛍光増白剤である0.05%カルコフロールに浸し、蒸留水で洗浄した。切片を適切なフィルターにより調査した。細胞壁の成分に結合したカルコフロールによって、強い水色蛍光が生じた。
Claims (27)
- マンノシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:4に記載のアミノ酸配列と少なくとも約90%の同一性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド。
- SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:4に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする、請求項1記載のポリヌクレオチド。
- 前記ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3に記載される、請求項1記載のポリヌクレオチド。
- SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:4に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド。
- プロモーター配列に機能的に連結されている請求項1〜3のいずれか一項記載のポリヌクレオチドを含むDNA構築物。
- ポリヌクレオチド配列がセンスの向きである、請求項5記載のDNA構築物。
- ポリヌクレオチド配列がアンチセンスの向きである、請求項5記載のDNA構築物。
- トランスジェニック植物においてマンノシダーゼの発現を抑制するためのRNAi構築物であって、
SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3に記載の配列に由来する少なくとも20個の連続ヌクレオチドを含むセンスポリヌクレオチド鎖、および
該センスポリヌクレオチド鎖とハイブリダイズするアンチセンスポリヌクレオチド鎖であって、該アンチセンスポリヌクレオチド鎖およびセンスポリヌクレオチド鎖が二重鎖を形成する、アンチセンスポリヌクレオチド鎖
を含むRNAi構築物。 - ヘアピン核酸である、請求項8記載のRNAi構築物。
- センス鎖が100〜600個のヌクレオチドを含む、請求項8記載のRNAi構築物。
- 請求項5〜7のいずれか一項記載のDNA構築物を含む、または請求項8〜10のいずれか一項記載のRNAi構築物を発現する、組換えベクター。
- 請求項11記載の組換えベクターを含む組換え宿主細胞。
- アグロバクテリウム(Agrobacterium)、大腸菌(E.coli)、および酵母からなる群より選択される、請求項12記載の組換え宿主細胞。
- 植物細胞、組織、またはそれらの一部を、マンノシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組換えベクターによって形質転換する工程を含む、植物における果実軟化を遅延させる方法であって、該ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:4に記載のアミノ酸配列と少なくとも約90%の同一性を有するポリペプチドをコードし、該ポリヌクレオチドがアンチセンスの向きである、方法。
- 前記ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:3に記載される、請求項14記載の方法。
- 植物における果実軟化を遅延させる方法であって、
マンノシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの少なくとも20個の連続ヌクレオチドの断片を少なくとも含むRNA干渉(RNAi)構築物の発現によって、トランスジェニック植物におけるマンノシダーゼのレベルを非トランスジェニック植物におけるマンノシダーゼのレベルと比較して減少させ、該ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:4に記載のアミノ酸配列と少なくとも約90%の同一性を有するポリペプチドをコードする、工程;および
該非トランスジェニック植物と比べて低下したマンノシダーゼのレベルについて、得られた植物をスクリーニングする工程
を含む、方法。 - 前記ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列がSEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:3に記載される、請求項16記載の方法。
- 植物における果実軟化を遅延させる方法であって、
SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3に記載の配列に由来する少なくとも20個の連続ヌクレオチドを含むセンスポリヌクレオチド鎖、および該センスポリヌクレオチド鎖にハイブリダイズするアンチセンスポリヌクレオチド鎖を含み、該アンチセンスポリヌクレオチド鎖およびセンスポリヌクレオチド鎖が二重鎖を形成する、RNA干渉(RNAi)構築物の発現によって、トランスジェニック植物におけるマンノシダーゼのレベルを非トランスジェニック植物におけるマンノシダーゼのレベルと比較して減少させる工程;ならびに
該非トランスジェニック植物と比べて低下したマンノシダーゼのレベルについて、得られた植物をスクリーニングする工程
を含む、方法。 - RNAi構築物がヘアピン核酸である、請求項18記載の方法。
- マンノシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組換えベクターを有するトランスジェニック植物であって、該ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:4に記載のアミノ酸配列と少なくとも約90%の同一性を有するポリペプチドをコードし、該ポリヌクレオチドがアンチセンスの向きである、マンノシダーゼの発現が果実軟化を遅延させるために制御されているトランスジェニック植物。
- マンノシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの少なくとも20個の連続ヌクレオチドの断片を少なくとも含むRNA干渉(RNAi)構築物または該RNAi構築物を発現するベクターを含む、トランスジェニック植物であって、該ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:4に記載のアミノ酸配列と少なくとも約90%の同一性を有するポリペプチドをコードし、トランスジェニック植物におけるマンノシダーゼのレベルが非トランスジェニック植物におけるマンノシダーゼのレベルと比較して減少している、トランスジェニック植物。
- 前記ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:3に記載される、請求項20または21記載のトランスジェニック植物。
- SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3に記載の配列に由来する少なくとも20個の連続ヌクレオチドを含むセンスポリヌクレオチド鎖、および該センスポリヌクレオチド鎖にハイブリダイズするアンチセンスポリヌクレオチド鎖を含み、該アンチセンスポリヌクレオチド鎖およびセンスポリヌクレオチド鎖が二重鎖を形成する、RNA干渉(RNAi)構築物または該RNAi構築物を発現するベクターを含む、トランスジェニック植物であって、トランスジェニック植物におけるマンノシダーゼのレベルが非トランスジェニック植物におけるマンノシダーゼのレベルと比較して減少している、トランスジェニック植物。
- RNAi構築物がヘアピン核酸である、請求項23記載のトランスジェニック植物。
- トマト、トウガラシ、パパイア、マンゴー、バナナ、モモ、セイヨウナシ、柑橘類、パイナップル、グアバ、アボカド、イチゴ、リンゴ、およびザクロからなる群より選択される、請求項20〜24のいずれか一項記載のトランスジェニック植物。
- トマトまたはトウガラシである、請求項20〜24のいずれか一項記載のトランスジェニック植物。
- 請求項20〜26のいずれか一項記載のトランスジェニック植物の、トランスジェニック種子または子孫。
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