[0037] 本明細書は、本発明の特徴を組み込んだ1つ以上の実施形態を開示する。開示される1つ以上の実施形態は本発明を例示するにすぎない。本発明の範囲は開示される1つ以上の実施形態に限定されない。本発明は、本明細書に添付される特許請求の範囲によって定義される。
[0038] 記載された1つ以上の実施形態、及び本明細書で「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的実施形態」、「幾つかの実施形態」などに言及した場合、それは記載された1つ以上の実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含むことができるが、それぞれの実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含まないことがあることを示す。更に、このようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態に言及するものではない。更に、ある実施形態に関連して特定の特徴、構造、又は特性について記載している場合、明示的に記載されているか、記載されていないかにかかわらず、このような特徴、構造、又は特性を他の実施形態との関連で実行することが当業者の知識の範囲内にあることが理解される。
[0039] このような実施形態を詳述する前に、本発明の実施形態を実施することができる例示の環境を提示することが有用であろう。
例示的反射型及び透過型リソグラフィシステム
[0040] 図1A及び図1Bは、本発明の実施形態を実施し得るリソグラフィ装置100及びリソグラフィ装置100’のそれぞれの概略図である。リソグラフィ装置100及びリソグラフィ装置100’は各々以下を、すなわち放射ビームB(例えばDUV又はEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク、レチクル、又は動的パターニングデバイス)MAを支持するように構成され、パターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、基板Wを正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、を含んでいる。リソグラフィ装置100及び100’はまた、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分(例えば1つ以上のダイの一部を含む)Cに投影するように構成された投影システムPSも有している。リソグラフィ装置100では、パターニングデバイスMA及び投影システムPSは反射型である。リソグラフィ装置100’では、パターニングデバイスMA及び投影システムPSは透過型である。幾つかの実施形態では、投影システムPSは反射屈折型である。
[0041] 照明システムILは、放射Bの誘導、整形、又は制御を行うための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型等の光学コンポーネント、又はそれらの任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
[0042] 支持構造MTは、パターニングデバイスMAの向き、リソグラフィ装置100及び100’の設計、及び、パターニングデバイスMAが真空環境内で保持されているか否かなどのその他の条件に応じた形で、パターニングデバイスMAを保持する。支持構造MTは、機械式、真空式、静電式又はその他のクランプ技術を用いて、パターニングデバイスMAを保持することができる。支持構造MTは、例えば、必要に応じて固定又は可動式にできるフレーム又はテーブルであってよい。支持構造MTは、パターニングデバイスを、例えば投影システムPSに対して所望の位置に確実に配置することができる。
[0043] 「パターニングデバイス」MAという用語は、基板Wのターゲット部分C内にパターンを形成するように、放射ビームBの断面にパターンを付与するために使用できるあらゆるデバイスを指すと広く解釈されるべきである。放射ビームBに付与されたパターンは、集積回路などのターゲット部分C内に形成されるデバイス内の特定の機能層に対応していてもよい。
[0044] パターニングデバイスMAは、(図1Bのリソグラフィ装置100’のような)透過型であっても、又は、(図1Aのリソグラフィ装置100のような)反射型であってもよい。パターニングデバイスMAの例は、レチクル、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルを含む。マスクはリソグラフィ分野では周知であり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、更には様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小型ミラーのマトリクス配列を使用し、各小型ミラーを個別に傾斜させて入射する放射ビームを様々な方向に反射させることができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射される放射ビームBにパターンを付与する。
[0045] 「投影システム」PSという用語は、用いられる露光放射線に、又は、液浸液の使用若しくは真空の使用などの他の要素に適切な屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はそれらのあらゆる組合せを含むあらゆるタイプの投影システムを含んでいてもよい。その他のガスは放射線又は電子を吸収し過ぎる可能性があるため、EUV又は電子ビーム放射線には真空環境を使用してもよい。したがって、真空環境は、真空壁及び真空ポンプを用いてビーム経路全体に提供してもよい。
[0046] リソグラフィ装置100及び/又はリソグラフィ装置100’は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブルWT(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプのものでよい。このような「マルチステージ」機械では、追加の基板テーブルWTを並行して使用することができ、又は1つ以上の他の基板テーブルWTが露光用に使用されている間に1つ以上のテーブル上で予備工程を実施することができる。
[0047] 図1A及び図1Bを参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受光する。放射源SO及びリソグラフィ装置100、100’は、例えば放射源SOがエキシマレーザである場合は別個の構成要素でよい。このような場合は、放射源SOはリソグラフィ装置100又は100’の一部を形成するものとは見なされず、放射ビームBは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBD(図1B)を用いて放射源SOからイルミネータILに送られる。別の場合、例えば放射源SOが水銀ランプである場合は、放射源SOはリソグラフィ装置100、100’の一体部品であることができる。放射源SO及びイルミネータILは、必要ならばビームデリバリシステムBDと共に放射システムと呼ぶことができる。
[0048] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調整するためのアジャスタAD(図1B)を含むことができる。一般に、イルミネータILの瞳面での強度分布の少なくとも外径範囲及び/又は内径範囲(一般にそれぞれ、「σ-outer」及び「σ-inner」と呼ばれる)を調整することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータIN、及びコンデンサCOなどの様々な他のコンポーネント(図1B)を備えることができる。イルミネータILは、放射ビームBの断面が所望の均一性と強度分布とを有するように放射ビームを調節するために使用できる。
[0049] 図1Aを参照すると、放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT上に保持されるパターニングデバイス(例えばマスク)MA上に入射し、パターニングデバイスMAによってパターニングされる。リソグラフィ装置100では、放射ビームBはパターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射された後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、これは放射ビームBを基板Wのターゲット部分Cに合焦する。第2のポジショナPW、及び位置センサIF2(例えば干渉計デバイス、リニアエンコーダ、又は容量センサ)を用いて、基板テーブルWTは(例えば異なるターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように)正確に移動可能である。同様に、第1のポジショナPM及び別の位置センサIF1を用いて、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることができる。マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を用いてパターニングデバイス(例えばマスク)MA及び基板Wを位置合わせすることができる。
[0050] 図1Bを参照すると、放射ビームBは、基板構造(例えばマスクテーブルMT)上に保持されるパターニングデバイス(例えばマスクMA)に入射し、パターニングデバイスによってパターニングされる。マスクMAを横切ると、放射ビームBは投影システムPSを通過し、これがビームを基板Wのターゲット部分Cに合焦する。投影システムは、照明システムの瞳IPUと共役な瞳PPUを有する。放射の一部は照明システムの瞳IPUで強度分布から発して、マスクパターンでの回折によって影響されずにマスクパターンを横切り、照明システムの瞳IPUで強度分布の像を生成する。
[0051] 第2のポジショナPWと位置センサIF(例えば干渉計デバイス、リニアエンコーダ、又は容量センサ)とを用いて、基板テーブルWTは(例えば異なるターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように)正確に移動可能である。同様に、第1のポジショナPMと別の位置センサ(図1Bには図示せず)を用いて、(例えばマスクライブラリからの機械的検索後、又はスキャン中に)マスクMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることができる。
[0052] 一般に、マスクテーブルMTの移動は、第1のポジショナPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)を用いて実現できる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2のポジショナPWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。マスクMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分の間の空間に位置してもよい(スクライブレーンアライメントマークとして知られている)。同様に、マスクMA上に複数のダイを設ける状況では、マスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
[0053] マスクテーブルMT及びパターニングデバイスMAは真空チャンバ内にあってもよく、そこで真空内ロボットIVRを使用してマスクなどのパターニングデバイスを真空チャンバ内外に移動させることができる。あるいは、マスクテーブルMT及びパターニングデバイスMAが真空チャンバ外にある場合は、真空内ロボットIVRと同様の様々な移送動作のために真空外ロボットを使用することができる。真空内と真空外の両方のロボットは、任意のペイロード(例えばマスク)を移送ステーションの固定キネマティックマウントにスムーズに移送するために較正する必要がある。
[0054] リソグラフィ装置100及び100’は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
[0055] 1.ステップモードにおいては、支持構造(例えば、マスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームBに与えたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。
[0056] 2.スキャンモードにおいては、支持構造(例えば、マスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームBに与えられるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造(例えば、マスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。
[0057] 3.別のモードでは、支持構造(例えば、マスクテーブル)MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して実質的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームBに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。パルス状放射源SOを使用し、基板テーブルWTを移動させるごとに、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に適用できる。
[0058] 上述した使用モードの組合せ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
[0059] 本明細書ではリソグラフィ装置をICの製造に使用するために特定の参照が可能であるが、本明細書に記載のリソグラフィ装置は、集積光学系、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、及び薄膜磁気ヘッドなどの他の用途にも使用可能であることを理解されたい。このような代替的な用途に照らして、本明細書で用いる「ウェーハ」又は「ダイ」という用語はそれぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」というより一般的な用語と同義であると見なすことができることが当業者には理解されよう。本明細書で言及する基板は、露光前、又は露光後に例えばトラック(通常、基板にレジストの層を塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、及び/又はインスペクションツールで処理できる。適宜、本明細書の開示はこのようなツール、及びその他の基板処理ツールに適用できる。さらに、例えば多層ICを製造するために基板を複数回処理することができるので、本明細書で使用される基板という用語が、1つ以上の処理層を既に含む基板も指すことができる。
[0060] 光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明は文脈によってはその他の分野、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組合せを印加することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると、内部にパターンが残される。
[0061] 別の実施形態では、リソグラフィ装置100は、EUVリソグラフィ用のEUV放射ビームを生成するように構成された極端紫外線(EUV)放射源を含んでいる。一般に、EUV放射源は放射システム内に構成され、対応する照明システムはEUV放射源のEUV放射ビームを調節するように構成されている。
[0062] 本明細書に記載の実施形態では、「レンズ」及び「レンズ要素」という用語は、状況が許せば、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、及び静電型光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか1つ、又はそれらの組合せを指すことができる。
[0063] さらに、本明細書で用いる「放射」及び「ビーム」という用語は、(例えば波長λが365、248、193、157または126nmの)紫外線(UV)放射、(波長が例えば13.5nmなどの5〜20nmの)極端紫外線(EUV、又は軟X線)放射、又は5nm未満で操作する硬X線、並びにイオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームを含むすべてのタイプの電磁放射を包含する。一般に、波長が約780〜3000nm(又はそれ以上)の間の放射は、IR放射であると見なされる。UVは、波長が約100〜400nmの放射を指す。リソグラフィでは、「UV」という用語は、水銀放電ランプで生成可能な波長、G線436nm、H線405nm、及び/又はI線365nmにも適用される。真空UV又はVUV(すなわちガスにより吸収されるUV)は、波長が約100〜200nmの放射を指す。深UV(DUV)は一般に、波長が126nm〜428nmの範囲の放射を指し、ある実施形態では、エキシマレーザはリソグラフィ装置で使用されるDUV放射を生成できる。波長が例えば5〜20nmの範囲の放射は、少なくともその一部が5〜20nmの範囲である特定の波長帯域の放射に関するものであることを理解されたい。
[0064] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折型、反射型、磁気型、電磁型及び静電型光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はそれらの組合せを指すことができる。
パターニングデバイスの温度を制御するように構成されたパターニングデバイス支持体の例示的実施形態
[0065] 図2A及び図2Bは、実施形態によるパターニングデバイス202の温度を制御するように構成されたパターニングデバイス支持体200の側面図を示している。これらの実施形態の例では、パターニングデバイス支持体200は、構造及び機能が図1A及び図1Bを参照して上述したようなリソグラフィ装置100及び100’と同様のリソグラフィ装置の一部でもよい。パターニングデバイス支持体200は、可動コンポーネント204、例えばパターニングデバイス202を支持するショートストロークモジュールなどのレチクルステージの可動コンポーネントを備えることができる。上記の図1A及び図1Bに記載した放射ビームBなどの放射206は、パターニングデバイス202上に誘導される。幾つかの実施形態では、パターニングデバイス202はレチクル、又はその他のタイプの透過性マスクであってよい。放射206はパターニングデバイス202に入射してこれを通過し、パターニングデバイス202は放射206からのエネルギーの一部を吸収し、これが温度上昇と、関連する熱膨張と、を引き起こすことがある。
[0066] パターニングデバイス支持体200は、パターニングデバイス支持体200の片側に1つ以上のガス入口208を含んでいてもよい。ガス入口208は、幾つかの実施形態では、図2Aに示すように可動コンポーネント204と一体であってもよい。幾つかの実施形態では、ガス入口208は、図2Bに示すような可動コンポーネント204により画定される開口205を通過する別個のノズルなどのコンポーネント204と別個であってもよい。ガス入口208はパターニングデバイス202の端部に隣接している。幾つかの実施形態では、可動コンポーネント204は、ノズルが通過し得る2つ以上の開口205を画定する。
[0067] 幾つかの実施形態では、ガス入口208は、リソグラフィ装置の動作時の使用中にガス入口208がパターニングデバイス202と共に移動するように構成されている。
[0068] 可動コンポーネント204はまた、1つ以上のガス出口210を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、ガス出口210は図2Aに示すように可動コンポーネント204と一体であってもよく、又は幾つかの実施形態では、ガス出口210は、図2Bに示すような可動コンポーネント204により画定される開口207を通過する別個のノズルなどのコンポーネント204と別個であってもよい。ガス出口210はガス入口208に対してパターニングデバイス202と反対側に位置してもよい。ガス出口210は、ガス入口208が隣接しているパターニングデバイス202の端部とは反対側でパターニングデバイス202の端部に隣接していてもよい。幾つかの実施形態では、ガス出口210は別の適切な位置に配置することができる。ガス入口208とガス出口210とは、近接して位置してもよく、例えばパターニングデバイス202の同じ表面、例えばパターニングデバイス202の上面に隣接していてもよい。
[0069] ガス入口208とガス出口210とは、ガス流212がパターニングデバイス202の表面を横切って進行するように位置決めされ、構成されている。幾つかの実施形態では、ガス流212はガス入口208から、パターニングデバイス202の表面と実質的に平行に進行する。ガス出口210は、ガス流212がパターニングデバイス202の反対側に達するとガス流212を抽出する。ガス出口210でのガス流212の抽出は能動的でも受動的でもよい。
[0070] ガス流212は、パターニングデバイス202の温度を変更する。例えば、ガス流212は、パターニングデバイス202の温度を低下、上昇、又は維持することができる。幾つかの実施形態では、ガス流212は放射の吸収により生じるパターニングデバイス202の加熱に抗し、それによってパターニングデバイス202の熱膨張、及びパターニングデバイス202の周囲のガスの加熱を低減する。パターニングデバイス202の熱膨張、及びパターニングデバイス202の周囲のガス温度のこの低減で像歪みが低減する。幾つかの実施形態では、ガス流212はパターニングデバイス202を大気圧での20℃又は20℃付近に維持する。その他の目標温度が可能であり、及び/又は所与の用途向けにより望ましい温度でもよいことが当業者には理解されよう。幾つかの実施形態では、ガス流212の1つ以上の特性、例えば温度、圧力、又は流量を動的に調整してパターニングデバイス202の所望の温度を達成し得る。パターニングデバイス202の所望の温度は静的でも動的でもよく、均一でも不均一でもよい。幾つかの実施形態では、ガス流212を形成するガスはヘリウムから成り、又は実質的にヘリウムから成っている。ヘリウムは同じ速度で他のガスよりもパターニングデバイス202の冷却を40〜50%向上させる。この向上は部分的には、ヘリウムが従来のガスよりも約6倍の熱伝導率を有することによるものである(ガスの0.026に対してヘリウムは0.148)。幾つかの実施形態では、ガス流212は極度に清浄な乾燥ガス、又は空気を含んでいる。幾つかの実施形態では、パターニングデバイス202がパターニングデバイス支持体200に装填され、又はそこから取り出される際に装填プロセスを妨げないように、ガス流212を一時的に、且つ選択的に停止することができる。幾つかの実施形態では、パターニングデバイス202の冷却が不要である場合は、ガス流212を一時的に、及び選択的に停止することができる。幾つかの実施形態では、ガス入口208を通るガス流212の流れが停止すると、ガス出口210を通るガス流212の流れが停止する。幾つかの実施形態では、パターニングデバイス202をリソグラフィ装置のパターニングデバイス支持体200などの可動コンポーネントに装填し、又はそこから取り出す際に、パターニングデバイス202の表面を横切るガス流212の流れが停止してもよい。
[0071] 幾つかの実施形態(図示せず)では、ガス入口208及びガス出口210は、ガス流212がパターニングデバイス202の底面を横切って流れるように位置していてもよい。
[0072] 幾つかの実施形態(図示ぜず)では、パターニングデバイス202の上方面に近接したガス入口208に加えて、追加のガス入口がパターニングデバイス202の底面に近接したパターニングデバイス支持体200と一体化されてもよく、これに対応してガス出口がパターニングデバイス202の上面及び底面に近接していてもよい。この構成は、パターニングデバイス202の上面と底面とを横切る二重の平行なガス流を生成する。
[0073] 幾つかの実施形態では、パターニングデバイス202は、上記の図1Aに関して記載したように(図2には図示せず)、反射型パターニングデバイスである。放射ビーム206は依然としてパターニングデバイス202に入射するが、パターニングデバイス202から反射されよう。このような環境では、パターニングデバイス202は依然として加熱、及び結果として生じるパターニングデバイス202の熱膨張、及びパターニングデバイス202の周囲のガスの加熱による劣化作用にさらされる。パターニングデバイス支持体200は依然として、上述のようにパターニングデバイス202の表面に近接して位置するガス入口208と、ガス出口210と、を備えてもよい。
[0074] 幾つかの実施形態では、ガス流212はガス出口210により抽出され、ガス入口208に再循環されてもよい。
[0075] 図3は本発明の実施形態によるパターニングデバイス支持体300の上面図を示している。パターニングデバイス支持体300は、パターニングデバイス支持体200と同様のコンポーネントを含んでもよい。これらの同様のコンポーネントには同様の番号が付されており、異なる範囲、又は開示する実施形態を説明するのに役立つ範囲のみを記載する。図3では、パターニングデバイス支持体300は、図1A及び図1Bに関して上述したように、ショートストロークモジュール304aと、ロングストロークモジュール304bと、を含んでもよい。ガス入口308は、ロングストロークモジュール304bと一体でもよく、又はこれに結合されてもよい。ガス入口308は、パターニングデバイス302の表面の近傍に位置するガス供給ノズル309を含んでもよい。ガス出口310は、パターニングデバイス302の反対側でロングストロークモジュール304bと一体でもよく、これに結合されてもよい。ガス出口310は、ガス供給ノズル309と同じパターニングデバイス302の表面の近傍に位置するガス抽出ノズル311を含んでもよい。
[0076] 図3に示すように、ガス供給ノズル309とガス抽出ノズル311の高さは各々、パターニングデバイス302の高さにほぼ等しい。この構成では、図2のガス流212などのガス流はパターニングデバイス202の表面のほぼ全体に十分に達することができる。ガス供給ノズル309とガス抽出ノズル311との長さは、パターニングデバイス302の長さよりも長くても短くてもよい。ガス供給ノズル309の長さはガス抽出ノズル311の長さよりも長くても短くてもよい。
[0077] ガス入口308は、ショートストロークモジュール304aにより画定される開口305を経てショートストロークモジュール304aを通って延在してもよい。ガス入口308は、ショートストロークモジュール304aから分離されてもよい。同様に、ガス出口310は、ショートストロークモジュール304aにより画定される開口307を経てショートストロークモジュール304aを通って延在してもよい。ガス出口310は、ショートストロークモジュール304aから分離されてもよい。開口305及び307を、ショートストロークモジュール304aの一部を貫くギャップ、ポート又は穴と呼んでもよい。開口305及び307は、ショートストロークモジュール304aがパターニングデバイス302を基板に対して(線356に沿った移動などで)正確に位置決めできるように十分に広くてもよい。開口305及び307の長さは、ガス入口308又はガス出口310がショートストロークモジュール304aの移動を妨げず、又はショートストロークモジュール304aに接触しないような長さでよい。その結果、ガス入口308とガス出口310からのショートストロークモジュール304a上でのパターニングデバイス支持体300との動的な衝撃を一般に最小限にできる。
[0078] さらに、(ショートストロークモジュール304aにより行われる微動位置決め以外は)両方のノズル309と311とがパターニングデバイス302に対して実質的に固定されているため、パターニングデバイス302を横切るガス流の動的衝撃を最小限にできる。ガス供給ノズル309とガス抽出ノズル311の位置決めは、ガス流をパターニングデバイス302上で固定状態に保つことができ、パターニングデバイス302又はパターニングデバイス支持体300のいずれかに対する動的擾乱を最小限にする。例えば、ガス供給ノズル309とガス抽出ノズル311は両方ともロングストロークモジュール304bと共に移動できるので、パターニングデバイス302とパターニングデバイス支持体300に対するノズル309及び311の相対運動は最小限になる。その結果、ガス流はパターニングデバイス302の表面を横切って通過するため、ガス供給ノズル309からのガス流によってパターニングデバイス302への過渡的な力が生じることはない。さらに、ガス流はそれがショートストロークモジュール304aの側に達する前にガス抽出ノズル311によって抽出されるため、ショートストロークモジュール304aに加わる合力を最小限にできる。
[0079] 図4は、ある実施形態によるパターニングデバイス支持体400の側面図を示している。パターニングデバイス支持体400は、パターニングデバイス支持体200及び/又は300と同様のコンポーネントを含んでもよい。これらの同様のコンポーネントには同様の番号が付されており、異なる範囲、又は開示する実施形態を説明するのに役立つ範囲のみを記載する。ガス入口408とガス出口410とはロングストロークモジュール404bと一体でもよく、又はこれに結合されてもよい。ロングストロークモジュール404bと一体である場合は、ガス入口408は開口405を経てショートストロークモジュール404aの片側を貫いて延在し、ガス出口410は開口407を経てショートストロークモジュール404aの別の反対側を貫いて延在する。この構成によって、ガス入口408又はガス出口410がショートストロークモジュール404aの移動を妨げることなく、ショートストロークモジュール404aはパターニングデバイス402を基板に対して正確に位置決めできる。
[0080] ガス供給ノズル409は、ガス流412が表面を横切ってガス出口410のガス抽出ノズル411の方向に流れるように、パターニングデバイス402の一端に隣接するパターニングデバイス402の表面の近傍に位置してもよい。ガス抽出ノズル411は、ガス流412を抽出するためにパターニングデバイス402の反対端のパターニングデバイス402の同じ表面に近接して位置してもよい。ガス流412がパターニングデバイス402の表面を横切って通過すると、ガス流412は熱を、例えば図2及び図3に関して上述したように、パターニングデバイス402に放射ビームが入射することにより発生した熱を除去できる。ガス流412はパターニングデバイス402の温度を変更するか、又はパターニングデバイス402を一定温度に維持することができる。
[0081] ノズル409及び411は任意の適切な形状、サイズ又は構成のものでよい。幾つかの実施形態では、ノズル409及び411は各々、ガス流412がそれを通って流出し(ノズル409)、また流入する(ノズル411)実質的にパターニングデバイス402の表面に面する複数の穴を有する長管であってもよい。例えば、穴の方向は略平行であるが、パターニングデバイス402の表面に向かってやや傾いた角度でよい。幾つかの実施形態では、ノズル409及び411は、パターニングデバイス402の表面に平行な複数の穴を有してもよい。幾つかの実施形態では、ノズル409及び411は各々、ガス流412がパターニングデバイス402の表面を横切って通過する態様をより特定的に誘導し、これに影響を及ぼす、パターニングデバイス402の表面に面する複数の個々のノズルを有する長管を有してもよい。これらのノズル構成は例示的なものであるに過ぎない。当業者であれば、本開示の実施形態での精神及び範囲から離れずに、パターニングデバイス402の表面を横切るガス流412を提供することができるその他のノズル構成があることを理解するであろう。
[0082] パターニングデバイス支持体400はまた、ガス流412の異なる特性を変更することによってパターニングデバイス402の温度を動的に調整してもよい。幾つかの実施形態では、パターニングデバイス支持体400は1つ以上の温度センサ419を含んでいる。温度センサ419は異なる位置に配置されてもよく、パターニングデバイス402に対して異なる構成を有してもよい。例えば、温度センサ419をパターニングデバイス402に取り付けてもよく、ショートストロークモジュール404aと一体でもよく、又はパターニングデバイス402の1つ以上の位置から短い間隔を隔てて配置されてもよい。パターニングデバイス402の1つ以上の位置での温度を示す温度センサ419からの信号を受信するようにコントローラ420、例えばプロセッサを構成してもよい。システム内の位置の温度、例えばパターニングデバイス402の温度、パターニングデバイス402を含む環境に流入するガス流412の温度、パターニングデバイス402を含む環境から流出するガス流412の温度、パターニングデバイス402を含む環境内のガスの温度、又はこれらの温度のいずれかの組み合せを検知するように1つ以上の温度センサ419を位置決めし、構成してもよい。
[0083] コントローラ420を、冷却サブシステム(図示せず)と通信するように構成してもよい。幾つかの実施形態では、コントローラ420は、パターニングデバイス402の所望の温度を達成するため、例えばガス流412の温度、圧力、流量などのガス流412の1つ以上の特性を変更することによってパターニングデバイス402の温度を動的に調整する。パターニングデバイス402のこれらの所望の温度は静的でも動的でもよく、均一でも不均一でもよい。コントローラ420は、上述のようにノズル409の構成に応じてガス供給ノズル409の複数の出口でのガス流412の流量を変更してもよい。
[0084] 幾つかの実施形態では、ガス供給ノズル409は付加的に温度制御要素、例えばガス流412がガス供給ノズル409から流出する際にガス流412の温度を変更するように構成された熱交換器を含んでもよい。この温度制御要素は、例えばガス供給ノズル409に取り付けられ、又はこれと一体の1つ以上のヒータでよい。この温度制御要素は別の位置、例えばガス供給ノズル409の上流の位置に配置されてもよい。コントローラ420は付加的に、上述のようにノズル409の構成に応じて、ガス供給ノズル409内の複数の出口で異なる量のガス流412の温度を動的に調整してもよい。
[0085] さらに、パターニングデバイス支持体400は、ガス流412の流量及びガス流412の温度の変更を組み合わせることによってパターニングデバイス402の温度を制御してもよい。幾つかの実施形態では、コントローラ420は、リソグラフィ装置の状態に基づいてガス流412の1つ以上の特性を調整するように構成されてもよい。例えば、コントローラ420は、システムが基板を結像していない場合はガス流412の速度及び/又は容積を低減し、システムが基板を結像している場合はガス流412の速度及び/又は容積を上昇させてもよい。当業者であれば、本開示の実施形態の範囲内に含まれる制御のその他のバリエーションも可能であることが理解されよう。
[0086] 図5A及び図5Bは、実施形態によるリソグラフィ装置のパターニングデバイス502の温度を制御するように構成されたパターニングデバイス支持体500、及び固定コンポーネント503の側面図を示している。パターニングデバイス支持体500は、パターニングデバイス支持体200、300、及び/又は400と同様のコンポーネントを含んでもよい。これらの同様のコンポーネントには同様の番号が付されており、異なる範囲、又は開示する実施形態を説明するのに役立つ範囲のみを記載する。パターニングデバイス支持体500は、可動コンポーネント504、例えばパターニングデバイス502を支持するレチクルステージの可動コンポーネントを備えてもよい。図1A及び図1Bで説明した放射ビームBなどの放射506はパターニングデバイス502に誘導される。幾つかの実施形態では、パターニングデバイス502はレチクル、又はその他のタイプの透過性マスクでよい。放射506がパターニングデバイス502に入射し、これを通過すると、パターニングデバイス502は放射506からのエネルギーを吸収し、これがパターニングデバイス502の温度上昇、及びそれに関連する熱膨張、並びにパターニングデバイス502の周囲のガスの加熱を生じる。幾つかの実施形態では、コンポーネント503はリソグラフィ装置の非可動コンポーネント、例えば固定パージプレートである。固定パージプレート503は、例えばパターニングデバイス支持体500から約1.5mm上方にあってよい。固定パージプレート503は、パターニングデバイス502と固定パージプレート503の底面との間の区域内に清浄ガスを含む加圧環境の一部を画定する。ガス出口510は、例えば、プレート503内のスキャンステージの長軸に沿った開口又はポートに位置してもよい。スキャンステージの長軸は、例えば図3に示す移動356の方向に沿っていてもよい。幾つかの実施形態では、ガス出口510は、スキャンステージの長軸に沿って可能な移動の全範囲に及んで延在していてもよい。ガス出口510が固定パージプレート503に位置する幾つかの実施形態では、ガス出口510はリソグラフィ装置の動作時の使用中に静止状態を保つ。
[0087] パターニングデバイス支持体500は、ガス入口508を含んでもよい。幾つかの実施形態では、ガス入口508は図5Aに示す可動コンポーネント504と一体であってもよい。例えば、可動コンポーネント504はノズルを形成してもよく、ノズルに直接結合されてもよい。幾つかの実施形態では、ガス入口508はコンポーネント504とは別個でもよく、例えば図5Bに示すような可動コンポーネント504によって画定される開口505を通過する別のノズルでもよい。コンポーネント503はガス出口510を含んでもよい。図5A及び図5Bに示すように、ガス出口510は、パターニングデバイス502の上方の固定パージプレート503と一体でもよく、又はこれに結合されてもよい。ガス出口510は、ガス入口508に対してパターニングデバイス502の反対側に位置してもよい。ガス入口508とガス出口510は各々近接するように、例えばパターニングデバイス502の同じ表面、例えばパターニングデバイス502の上面の近傍にあるように位置してもよい。
[0088] ガス入口508及びガス出口510は、パターニングデバイス502の表面を横切るガス流512を供給するように位置している。図5A及び図5Bでは、ガス流512はガス入口508からパターニングデバイス502の上面を横切り、これに実質的に平行に進行する。ガス流512がパターニングデバイス502の反対側に達すると、ガス出口510はガス流512を抽出する。
[0089] ガス流512はパターニングデバイス502の温度を変更する。例えば、ガス流512はパターニングデバイス502の温度を低減させ、上昇させ、又は維持することができる。幾つかの実施形態では、ガス流512は放射の吸収によるパターニングデバイス202の加熱に抗し、それによってパターニングデバイス202の熱膨張と、パターニングデバイス202の周囲のガスの加熱を低減する。パターニングデバイス202のこの熱膨張、及びパターニングデバイス202の周囲のガスの温度の低減により像歪みが軽減される。幾つかの実施形態では、パターニングデバイス502の所望の温度を達成するため、ガス流512の特性、例えば温度、圧力、又は流量が動的に調整されてもよい。パターニングデバイス502の所望の温度は静的でも動的でもよく、均一でも不均一でもよい。幾つかの実施形態では、ガス流512のガスはヘリウムを含む、又は実質的にヘリウムからなっている。幾つかの実施形態では、ガス流512は極度に清浄な乾燥ガス、又は空気を含んでいる。
[0090] ガス出口510によって抽出されるガス流512は上述のようにガス入口508に再循環されることができる。
[0091] 図6は、ある実施形態による例示的インフラストラクチャの概略図である。図6では、ガス供給源601がガスを供給する。ガス供給源601は例えば、極度に清浄な乾燥ガス、又は空気を供給してもよい。幾つかの実施形態では、ガス供給源601からのガスは毎秒約20標準リットルの速度で流れてもよい。本開示の範囲から離れることなく他のガス流量、及び他のガスも可能であることが当業者には理解されよう。
[0092] インフラストラクチャはまた、供給源601からガスをリソグラフィ装置のパターニングデバイス支持体への1つ以上の供給ホース616に移送する供給流入ダクト603も含んでいる。供給ホース616は例えば直径が等しい、又は異なる5本のホースを含んでもよい。幾つかの実施形態では、各供給ホース616の内径は約10mmでよい。幾つかの実施形態では、各供給ホース616の直径は、過圧、例えば数バールの過圧を生成するようなサイズでよい。幾つかの実施形態では、限定部材のノズルが過圧を生成してもよい。過圧は速度を低下させ、パターニングデバイスを横切る良好な流層を生成し得る。供給ホース616は任意の材料、例えば清浄又は極めて清浄であり、供給源601から供給されたガス流への分子汚染物の放出、例えばガス放出が最小限のポリテトラフルオロエチレン製のものでもよい。幾つかの実施形態では、供給ホース616はポリウレタン製でよい。他の材料及び直径を用いてもよく、又、ガス流を1つ以上の供給ノズルに移送するために6本以上、又は5本未満のホースを用いてもよいことを当業者であれば理解するであろう。供給ホース616は、水及びガスをパターニングデバイス支持体に給送するように構成されたシステムと一体形成されてもよい。
[0093] 供給ホース616はパターニングデバイス支持体の可動コンポーネントでガス入口608に接続されてもよい。ガス入口608は、上述のように1つ以上のノズルを含んでいてもよい。供給源601からのガスはガス入口608から放出され、ガス流612としてパターニングデバイの表面を横切って流れる。幾つかの実施形態では、パターニングデバイスの表面はパターニングデバイスの上面である。幾つかの実施形態では、ガス入口608はガス流612をパターニングデバイスの表面に向かって、また幾つかの実施形態では、パターニングデバイスの中心に向かって誘導するように傾いている。ガス流612はパターニングデバイスを冷却し、またはその温度を一定に保ち得る。
[0094] ガス流612がパターニングデバイスの表面を横切った後、ガス出口610はガス流612を抽出する。幾つかの実施形態では、ガス出口610は、図5A及び図5Bに関して上述したように、ガス入口608の反対側のパターニングデバイスの端部で固定パージプレート内のガス抽出スロットに結合され、又はこれと一体化されている。ガス出口610はパターニングデバイス支持体の長軸に沿って延在していてもよい。インフラストラクチャはまた、ガス流612の抽出を容易にするファン613を含んでいてもよい。
[0095] ガス流612がガス出口610で抽出された後、ガス流612は抽出ホース614を通過してもよい。抽出ホース614の直径は、例えば約50mmである。抽出ホース614の直径は、所望の特定のガス流量、例えば毎秒約20標準リットルのガス流量を達成するサイズでよい。抽出ホース614の直径はまた、抽出後にガス流612の流動状態を保つサイズであってもよい。関連分野の当業者が理解するように、その他の直径及び流量も可能である。抽出ホース614の直径がかなりある場合、例えば約50mmであり、ロングストロークモジュールと一体にし、又はこれに結合することが必要な場合のように抽出ホース614をレチクルステージの近傍に延在させることが困難な場合は、固定パージプレートをパターニングデバイス支持体の可動コンポーネントと一体にし、又はこれに結合するのではなく、ガス出口610を固定パージプレート内に位置決めすることが有利である。
[0096] 当業者であれば理解されるように、ファン613は、リソグラフィシステム又は付加的な別個のファンシステムの別の態様で既に使用されている既存のファンであってもよい。幾つかの実施形態では、ファン613は、ガス出口610からファン613へと、例えば、パターニングデバイスの表面から離れる方向にガス流を生じさせる圧力差を生成する。
[0097] 図21及び図22は、実施形態による例示的閉ループ制御用インフラストラクチャの概略図である。図21及び図22のインフラストラクチャは、図6の上記インフラストラクチャと同様のコンポーネントを含んでいる。これらの同様のコンポーネントには同様の番号が付されており、異なる範囲のみを記載する。図21に示すように、温度制御要素2130、例えば熱交換器は、ガス供給源2101とガス入口2108との間に動作可能に結合されている。温度制御要素2130は、ガス供給源2101から供給されるガスの温度を調整するように構成される。ガスの温度を判定するように構成された温度センサ2119は、ガス出口2110の下流に位置してもよい。インフラストラクチャは、温度センサ2119と温度制御要素2130とに動作可能に結合されたコントローラ2120を含むことができる。コントローラ2120は温度センサ2119から信号を受信するように構成され、コントローラ2120は受信信号に基づいて熱交換器2130と通信してガス供給源2101により供給されたガス流の温度を調整する。図22では、温度センサ2219はガス入口2208とガス出口2210との間に位置している。
[0098] 図21及び図22には1つのセンサ2119とセンサ2219だけが図示されているが、1つ以上のセンサ2119と2219とを使用してもよい。コントローラ2120及び2220は、温度センサ2119及び2219から受信した1つ以上の信号の他に別の信号を処理してもよい。例えば、コントローラ2120及び2220は、パターニングデバイス2102及び2202の露光中に使用される予測線量を処理してもよく、またコントローラ2120及び2220は、例えばフィードフォワードモード中に使用される制御ループを最適化するため、予測線量に基づいてガス流2112及び2213の1つ以上の特性を変更してもよい。
[0099] 幾つかの実施形態(図示せず)では、温度センサ2119及び2219はガス入口2108及び2208でノズル内に位置している。このような実施形態では、例えばノズル内の圧力センサを使用して、又は設計又は較正によってノズル内の圧力を知るためにジュール・トムソン効果を補償することもできよう。
[00100] 温度センサ2119及び2219は、例えば入口2108及び2208、出口2110及び2210、又は入口2108及び2208の上流などの他の適切な位置に配置されてもよい。
[0100] 図7Aは、ある実施形態によるパターニングデバイス支持体700を示している。パターニングデバイス支持体700は上記パターニングデバイス支持体と同様のコンポーネントを含んでいる。これらの同様のコンポーネントには同様の番号が付されており、異なる範囲、又は開示する実施形態を説明するのに役立つ範囲のみを記載する。パターニングデバイス支持体700の可動コンポーネント704、例えばショートストロークモジュールはパターニングデバイス702の片側に第1のチャネル732を、またパターニングデバイス702の反対側に第2のチャネル734を画定することができる。図7Aに示すように、この温度制御システムにはガスの供給は必要ない。むしろ、パターニングデバイス702の表面、例えば上面又は底面の温度は、チャネル732を通り、次いでチャネル734を通ってパターニングデバイス702の表面を横切るガス流を生成することによって制御される。チャネル732及び734は、幾つかの実施形態では可動コンポーネント704を完全に貫いて延在してもよい。チャネル732及び734は可動コンポーネント704の反対端に、又は可動コンポーネント704の周囲の実質的に全体にわたって位置してもよい。可動コンポーネント704は幾つかの実施形態では、ショートストロークモジュール又はロングストロークモジュールであってよい。幾つかの実施形態では、チャネル732及び734はロングストロークモジュールとショートストロークモジュールの両方を貫いて延在してもよい。可動コンポーネント704は軸に沿ってスキャンしてもよい。
[0101] パターニングデバイス702はパターニングデバイス支持体700上に載置されてもよい。可動コンポーネント704が移動すると、支持体700の周りの周囲ガスが先行するチャネル、例えばチャネル732又はチャネル734を通って押し込まれる。チャネル732及び734の形状及び向きは、図7Aに示すようにガス流がパターニングデバイス702の表面全体と実質的に平行であるように設計されてもよい。例えば、チャネル732及び734は、ガスを誘導するように先細の形状でもよく、又はパターニングデバイス702の表面を横切るガスの収束を助けるように湾曲面を含んでもよい。一実施形態では、ガスをパターニングデバイス702の上面と底面の両方に実質的に平行に、これを横切って誘導するように、チャネル732及び734はパターニングデバイス702の上と下の両方に存在してもよい。幾つかの実施形態では、ガスをパターニングデバイス702の底面だけに実質的に平行に、これを横切って誘導するように、チャネル732及び734はパターニングデバイス702の下だけに存在してもよい。パターニングデバイス702の表面(一方又は両方)を横切るガスの移動がパターニングデバイス702の温度を制御してもよい。例えば、パターニングデバイス702よりも低温のガス流はパターニングデバイス702の温度を低下させる。
[0102] リソグラフィ装置はまた、パターニングデバイス702の上方に位置するプレート703を含むこともできる。プレート703は、幾つかの実施形態でパターニングデバイス702の温度を維持し、ガス流を収容するためにプレート703とパターニングデバイス702との間の区域を部分的に囲んでもよい。プレート703は、例えばパターニングデバイス支持体700のスキャンステージから約1.5mm上方にあってもよい。プレート703は、放射ビーム706がパターニングデバイス702の表面に衝突できるように開口を含んでもよい。放射ビーム706は光学要素711、例えばリソグラフィ装置内の照明光学系のコンポーネントから出射してもよい。
[0103] 図7Bは、可動コンポーネント704を貫いて延びるチャネル732又は734の拡大図を示している。パターニングデバイス702の端部は、可動コンポーネント704の表面に載置されているように示されている。幾つかの実施形態では、温度制御要素710、例えば熱交換器はチャネル732内に位置している。温度制御要素710は、チャネル732を通って移動するガスの温度を制御し得る。例えば、温度制御要素710は、ガスがパターニングデバイス702の表面を横切って流れる前にこれを冷却し得る。
[0104] 幾つかの実施形態では、温度制御要素710はガスを冷却するため粗冷却水(RCW)を使用してもよい。RCWは、例えば可動コンポーネント704を制御するモータを冷却するために既に使用されてもよい。したがって、パターニングデバイス支持体700の他の部分を冷却するために使用されているものと同じRCWシステムを使用してチャネル732内のガスを冷却してもよい。幾つかの実施形態では、RCWシステムは、他のコンポーネント、例えば可動コンポーネント704を制御するモータを冷却するために水が使用される前にチャネル732内のガスが冷却されるように設計されている。
[0105] 幾つかの実施形態では、温度制御要素710は熱電冷却器である。例えば、熱電冷却器は、印加電流によって冷却器の片側のガスを冷却するペルティエ素子であってよい。チャネル732を通って移動するガスの温度を制御するために電流を調整してもよい。温度制御要素710が使用されるかどうかに応じて、チャネル732内の熱伝達を2倍又は3倍にしてもよい。
[0106] 図8は、ある実施形態によるパターニングデバイス支持体800を示している。パターニングデバイス支持体800は、上記のパターニングデバイス支持体と同様のコンポーネントを含んでいる。これらの同様のコンポーネントには同様の番号が付されており、異なる範囲、又は開示する実施形態を説明するのに役立つ範囲のみを記載する。パターニングデバイス支持体800の可動コンポーネント804a、例えばショートストロークモジュールは図7A及び図7Bに示すように、パターニングデバイス802の片側に第1のチャネル832を、またパターニングデバイス802の反対側に第2のチャネル834を画定することができる。図8に示すように、この温度制御システムも図4を参照して上述したようにガス入口808とガス出口810とを使用してもよい。パターニングデバイス802を横切るガス流812は、ガス入口808によって供給されたガスと、可動コンポーネント804aによって制裁されたチャネル832を通過するガスとの組合せによって生成される。
レチクルにわたって実質的に均一な温度分布をもたらすように構成されたレチクル冷却システムの例示的実施形態
[0107] 図2A、図2B、図3、図4、図5A、図5B、図7A及び図8を参照して記載したように、パターニングデバイス支持体200、300、400及び/又は500は、レチクルの温度を制御し、レチクルの熱膨張を低減するのに役立ち得るが、これらのパターニングデバイス支持体はレチクル(例えば、パターニングデバイス202、302、402及び/又は502)にわたる均一な冷却をもたらさないかもしれない。レチクルの冷却が不均一になると、レチクルの不均一な熱膨張を、ひいてはレチクル上のパターンフィーチャの不均一な歪みを、引き起こすことがある。このような不均一なレチクルの熱膨張は、アライメント及び/又はオーバーレイ誤差の補正プロセスに悪影響を及ぼすことがある。例えば、このような不均一な熱膨張により、膨張予測システムに基づく誤差補正プロセスがより複雑になる。
[0108] 図23A及び図23Bは、様々な実施形態による、レチクル502の対称線と位置合わせされた対称線を有してもよいレチクル502の表面(例えば上面及び/又は後面)の熱画像を達成するため、レチクル502内の実質的に均一な温度分布をもたらすように構成されてもよいシステム2300の側面図を示している。様々な実施形態によれば、熱画像とレチクル502の両方の対称線は、レチクル502の表面に対して平行で、またX軸及び/又はY軸に沿っていてもよい。
[0109] 例示的実施形態では、システム2300は、パターニングデバイス支持体2302と、プレート503と、レチクル冷却システムと、を備えてもよい。別の例では、システム2300は、構造及び機能が図1A及び図1Bを参照して上述したようなリソグラフィ装置100及び100’と同様のリソグラフィ装置の一部であってもよい。パターニングデバイス支持体2302は、構造及び機能が図2A、図2B、図3、図4、図5A、図5B、図7A及び図8を参照して上述したようなパターニングデバイス支持体200、300、400、500、700及び/又は800と同様であってもよい。図5A、図5B、図23A及び図23Bでの同様のコンポーネントには同様の番号が付され、それらが異なる範囲のみ、又は開示する実施形態を説明するのに役立つ範囲のみ記載する。
[0110] ある実施形態によれば、パターニングデバイス支持体2302はレチクル502を支持するように構成されてもよく、可動コンポーネント504、例えばリソグラフィプロセス中に、例えばスキャン方向(例えばY軸)に沿ってレチクル502を移動させるように構成されてもよいショートストロークモジュールなどのレチクルステージの可動コンポーネント504を備えてもよい。ある例では、レチクル502は、レチクル502内に熱膨張を、またレチクル502の周囲のガスの加熱を引き起こすことがある図1A及び図1Bで上述した放射ビームBなどの放射506からのエネルギーの一部を吸収してもよい。
[0111] プレート503は、ある実施形態によれば、リソグラフィ装置の非可動コンポーネント、例えば固定パージプレートであってもよい。固定パージプレート503は、例えばパターニングデバイス支持体2302の約1.5mm上方に位置してもよく、その一部はレチクル502と固定パージプレート503の底面との間の区域内にクリーンガスを含む加圧環境を画定してもよい。
[0112] レチクル冷却システムは、ある実施形態によれば、パターニングデバイス支持体2302の第1の側面に沿ったガス入口2308aのアレイと、パターニングデバイス支持体2302の第2の側面に沿ったガス入口2308bのアレイと、を備えてもよい。パターニングデバイス支持体2302の第1及び第2の側面は互いに反対側であってもよく、Y軸と実質的に平行であってもよい。この実施形態の例では、ガス入口2308a及び2308bは、図23Aに示すように、可動コンポーネント504と一体であってもよい。別の例では、ガス入口2308a及び2308bは、コンポーネント504とは別個であってもよく、例えば図23Bに示すように、可動コンポーネント504によって画定される開口505を貫通し得る別個のノズルであってもよい。ガス入口2308a及び2308bは、リソグラフィ装置の動作時の使用中に例えばスキャン方向(例えばY軸)に沿ってレチクル502と共に移動するように構成されてもよい。
[0113] 図23A及び図23Bに示すように、レチクル冷却システムは、実施形態によれば、任意選択として、例えばパターニングデバイス支持体2302の第1及び第2の側面に対してそれぞれ固定パージプレート503の反対側の、Y軸に沿った開口又はポートに位置するガス出口2310a及び2310bを備えてもよい。幾つかの実施形態では、ガス出口2310a及び2310bは、スキャン方向(例えばY軸)に沿ったレチクルステージの全移動範囲に広がるように延在してもよい。
[0114] ガス入口2308a及び2308bのアレイの各々のガス入口は、構造及び機能が図3及び図4を参照して上述したようなガス供給ノズル309又は409と同様の、レチクル502の表面の近傍に位置するガス供給ノズル(図示せず)を含んでいてもよい。ガス出口2310a及び2310bは各々、構造及び機能が図3及び図4を参照して上述したようなガス抽出ノズル311又は411と同様の、ガス供給ノズルと同じレチクル502の表面の近傍に位置するガス抽出ノズル(図示せず)を含んでいてもよい。ガス供給ノズル及びガス抽出ノズルは、任意の適切な形状、サイズ、又は構成を有してもよい。幾つかの実施形態では、ガス供給ノズル及びガス抽出ノズルは各々、図23A及び図23Bに示すように、ガス流2312a及び2312bがそれらを通ってそれぞれ出入りする、実質的にレチクル502の表面に面する複数の穴を有する細長いチューブでよい。これらのノズル構成は例示に過ぎない。本開示の精神及び範囲から逸脱することなく他のノズル構成も可能であることが当業者には理解されよう。
[0115] 図23A及び図23Bにさらに示すように、ガス入口2308a及びガス出口2310aは、ガス流2312aがガス入口2308aから出て、レチクル502の表面を横切り、及びこれと実質的に平行に進行した後に抽出するためにガス出口2310aに入ることができるように位置決めされ、構成されてもよい。同様に、ガス入口2308b及びガス出口2310bは、ガス流2312bがガス入口2308bから出て、レチクル502の表面を横切り、及びこれと実質的に平行に進行した後に抽出するためにガス出口2310bに入ることができるように位置決めされ、構成されてもよい。それぞれのガス出口2310a及び2310bでのガス流2312a及び2312bの抽出は、能動的に行われても受動的に行われてもよい。幾つかの実施形態では、上述のようなガス入口2308a及びガス出口2310aを通るガス流2312a、及びガス入口2308b及び2310bを通るガス流2312bは、代替として、以下に詳細に記載するようにレチクル502の冷却中に提供されてもよい。
[0116] レチクル502の冷却プロセス中、ガス流2312a及び2312bが交互にレチクル502の表面を横切って通過する際に、ガス流2312a及び2312bはレチクル502から熱を吸収し、除熱して、上述のように放射線吸収に起因するレチクル502の加熱に抗し、レチクル502の所望温度を維持してもよい。幾つかの実施形態では、ガス流2312a及び2312bの特性、例えば温度、圧力、又は流量を動的に調整してレチクル502の所望の温度を達成し得る。幾つかの実施形態では、ガス流2312a及び2312bのガスは、ヘリウムを含んでもよい。幾つかの実施形態では、ガス流2312a及び2312bは、超クリーン乾性ガス、又は空気を含んでもよい。幾つかの実施形態では、それぞれのガス出口2310a及び2310bにより抽出されるガス流2312a及び2312bは、それぞれのガス入口2308a及び2308bに戻るように再循環されてもよい。
[0117] ある実施形態(図示せず)によれば、追加的に又は代替的に、ガスがレチクル502の底面を横切って流れるようにガス入口2308a及び2308bを位置決めし、構成してもよい。
[0118] ある実施形態によれば、レチクル冷却システムはさらに、ガスシステム2320と、切換え制御システム2322と、レチクル温度測定システム2324と、を含んでもよい。ガスシステム2320は、上述のように、例えばガス入口2308a及び2308bを通ってガスを供給するように構成されてもよい。任意選択として、ガスシステム2320は、上述のように、例えばガス出口2310a及び2310bを通ってガスを抽出するように構成されてもよい。ある実施形態では、ガスシステムは、切換え制御システム2322から受信した1つ以上の制御信号2322aに基づいてガス入口2308aと2308bとで交互にガスを供給するように構成されてもよい。別の実施形態では、ガスシステムは、切換え制御システム2322から受信した1つ以上の制御信号2322aに基づいてガス出口2310aと2310bとで交互にガスを抽出するように構成されてもよい。2308aを通したガスの供給が1つ以上の制御信号2322aに基づいてオンに切換えられ、2308aを通したガス供給がオフに切換えられると、2310aを通してガスが抽出されてもよい。あるいは、2308bを通したガスの供給が1つ以上の制御信号2322aに基づいてオンに切換えられ、2308aを通したガス供給がオフに切換えられると、2310bを通してガスが抽出されてもよい。
[0119] 切換え制御システム2322は、上述のように、実質的に均一な温度分布を達成するために、上述のように、ガス入口2308a及び2308bとガス出口2310a及び2310bとの間の切換えを制御するために制御信号2322aを生成するように構成されてもよい。ある例では、リソグラフィプロセス中の所定の時間間隔で、及び/又は特定の時間に、上述のように、ガス入口2308a及び2308bとガス入口2310a及び2310bとの間の動作を切換えるために制御信号2322aが生成されてもよい。別の例では、制御信号2322aは、上述のように、レチクル温度測定システム2324から受信した1つ以上の測定信号2324aに基づいて生成されてもよい。例えば、一実施形態では、ガス入口2308a及びガス出口2310a、又は、ガス入口2308b及び2310bを使用したレチクル冷却プロセス中に、測定信号2324aが、レチクル502上のガス入口2308a又は2308bにより近い区域がレチクル502上で最も冷却されている区域であることを示すと、最も冷却された区域をレチクル502の中央に向かって移動させるため、切換え制御システム2322は制御信号2322aを生成して、動作をガス入口2308aから2308bに、又は、ガス入口2308bから2308aにそれぞれ切換える。同様に、制御信号2322aは、動作をガス出口2310aから2310bに、又は、ガス出口2310bから2310aにそれぞれ切換えてもよい。別の例では、測定信号2324aが、レチクル502の表面の熱画像の対称線がレチクル502の対称線と位置ズレしていることを示すと、ガス入口2308aと2308bとの間で動作が切換えられてもよい。熱画像とレチクル502の両方の対称線は、レチクル502の表面と平行で、またX軸及び/又はY軸に沿っていてもよい。熱画像とレチクル502の両方の対称線は、ガス流2312a及び2312bに対して垂直であってもよい。このようなガス入口2308aと2308bとの間の動作の切換えによって、レチクル502の対称線と位置合わせされた対称線を有することができるレチクル502の表面の熱画像を達成することができる。
[0120] レチクル温度測定システム2324は、レチクル502の区域の温度を検出し、検出された温度に基づいて測定信号2324aを生成するように構成されてもよい。レチクル温度測定システム2324は、レチクル502の異なる区域の温度を検出するために、例えば図4を参照して上述した、ある実施形態による温度センサ419と同様の1つ以上の温度センサ(図示せず)を含んでもよい。温度センサは、異なる位置に配置されてもよく、レチクル502とは異なる構成を有してもよい。例えば、温度センサをレチクル502に結合し、コンポーネント504と一体形成し、固定パージプレート503に結合し、及び/又はリソグラフィ装置のその他のコンポーネントに結合してもよい。ある実施形態では、レチクル温度測定システムは、1つ以上の温度センサの動作を制御する信号2324bを生成するように構成されてもよい。
[0121] レチクル温度測定システム2324はさらに、コントローラ(図示せず)、例えばレチクル502の1つ以上の位置での温度を示す1つ以上の温度センサから信号2324cを受信し、1つ以上の温度センサから受信した温度測定値に基づいて1つ以上の測定信号2324aを生成するように構成されてもよい。
パターニングデバイスの温度を制御する例示的実施形態の方法
[0122] 図9は、ある実施形態によるパターニングデバイスの温度を制御する方法900の流れ図である。方法900の動作は別の順序で行われてもよく、また示された動作のすべてが必ずしも必要ではないことを理解されたい。方法900は、例えばパターニングデバイスが放射ビームで照明された時点で、901で開始される。パターニングデバイスは例えばレチクルでよい。ステップ903で、ガス流がパターニングデバイスの表面を横切って供給される。幾つかの実施形態では、ガス流はパターニングデバイスの表面、例えば上面に実質的に平行である。幾つかの実施形態では、ガスはパターニングデバイスの底面を横切って流れる。幾つかの実施形態では、ガス流は図2〜図6及び図8に関して上述したようにガス入口によって、又は図7A、図7B及び図8に関して上述したように可動コンポーネントによって画定されたチャネルによって取り込まれる。
[0123] ステップ905で、例えばガス流が低温であるため、ガス流はパターニングデバイスの温度を変更し、又は維持する。当業者には理解されるように、パターニングデバイスの温度に可変的に作用するように、ガス流の特性、例えば速度、容積及び/又は温度を調整することができる。幾つかの実施形態では、チャネルを通るガスはヘリウムを含んでいる。
[0124] ステップ907で、ガス流はパターニングデバイスの反対端でパターニングデバイスの表面から抽出される。幾つかの実施形態では、ガス流は、例えば図2〜図6に関して上述したようにガス出口によって、又は図7A、図7B及び図8に関して上述したように可動コンポーネントにより画定されたチャネルによって抽出される。
[0125] 幾つかの実施形態では、ガス流はリソグラフィ装置の動作中に継続的に供給される。幾つかの実施形態では、パターニングデバイスの温度が常に維持されるように、ガス流はリソグラフィ装置の動作中に継続的に供給される。幾つかの実施形態では、パターニングデバイスの温度は目標温度、例えば、約22℃に維持される。
[0126] 図10は、ある実施形態によるパターニングデバイスの温度を制御する方法1000の流れ図である。方法1000の動作は別の順序で行われてもよく、また示された動作のすべてが必ずしも必要ではないことを理解されたい。図10に示すように、方法1000は、パターニングデバイスに結合された可動コンポーネントを移動させることによってステップ1002で開始されてもよい。パターニングデバイスは、可動コンポーネントに取り付けられ、又はその一部である可動コンポーネントの表面に載置されてもよい。可動コンポーネントは例えばスキャン動作中に軸に沿って移動してもよい。
[0127] 方法1000はステップ1004に進み、そこで図7A〜図7Bに示すように可動コンポーネントの移動によってガスが1つ以上のチャネルを通って押し込まれる。1つ以上のチャネルは、可動コンポーネントを貫いて延在してもよい。可動コンポーネントが第1の軸に沿って移動するとガスが反対側のチャネルを通って押し込まれるように、1つ以上のチャネルは第1の軸に沿って可動コンポーネントの反対側に位置していてもよい。例えば、可動コンポーネントが第1の軸に沿って第1の方向に移動すると、ガスは可動コンポーネントの片側のチャネルを通って押し込まれ、また、可動コンポーネントが第1の方向から反対方向に移動すると、ガスは可動コンポーネントの反対側のチャネルを通って押し込まれる。流されるガスは、例えば、RCWシステム、又は熱電冷却装置などの温度制御要素を介してさらに冷却されてもよい。
[0128] ステップ1006で、チャネルを通るガスはパターニングデバイスの表面を横切って流れる。幾つかの実施形態では、ガス流はパターニングデバイスの表面に実質的に平行である。ガスの流れによってパターニングデバイスの温度変化、例えばパターニングデバイスの温度低下が生じ得る。幾つかの実施形態では、引き込まれるガスはヘリウムを含んでいる。
ガス流を再循環させるパターニングデバイス支持体の例示的実施形態
[0129] 図11は、ある実施形態によるパターニングデバイス1102の温度を制御するように構成されたパターニングデバイス支持体1100の上面図を示している。パターニングデバイス支持体1100は上記のパターニングデバイス支持体と同様のコンポーネントを含んでいる。これらの同様のコンポーネントには同様の番号が付されており、異なる範囲、又は開示する実施形態を説明するのに役立つ範囲のみを記載する。パターニングデバイス支持体1100は、第1の可動コンポーネント1104aと第2の可動コンポーネントの1104b、例えば図1A及び図1Bに関して上述したようにショートストロークモジュールとロングストロークモジュールとを備えることができる。パターニングデバイス支持体1100は、パターニングデバイス1102の表面の近傍に位置するガス入口1108を備えることができる。パターニングデバイス支持体1100はまた、ガス入口1108と同じパターニングデバイス1102の表面の近傍に位置するガス出口1110も含むことができる。幾つかの実施形態では、ガス入口1108、ガス出口1110、第1の可動コンポーネントの1104a、第2の可動コンポーネント1104bは、全体が参照により本明細書に組み込まれる2013年2月22日に出願された米国特許仮出願第61/768,125号明細書、2013年1月15日に出願された米国特許仮出願第61/752,751号明細書、及び2012年10月31日に出願された米国特許仮出願第61/720,628号明細書に記載されているように構成することができる。幾つかの実施形態では、パターニングデバイス支持体1100は、全体が参照により本明細書に組み込まれる2013年5月17日に出願された米国特許仮出願第61/824,695号明細書及び2013年2月20日に出願された米国特許仮出願第61/767,060号明細書に記載されているように構成することができる。幾つかの実施形態では、パターニングデバイス支持体1100は、全体が参照により本明細書に組み込まれる2013年2月20日に出願された米国特許仮出願第61/767,184号明細書に記載されているように構成することができる。
[0130] 図11に示すように、ガス入口1108及びガス出口1110は細長く、幾つかの実施形態では各々の長さはパターニングデバイス1102の長さにほぼ等しい。このような実施形態では、ガス流1112は実質的にパターニングデバイス1102の表面のほぼ全体にわたって適切に流れる。当業者であれば理解されるように、本発明の基本概念から離れることなくガス入口1108及びガス出口1110の長さはパターニングデバイス1102の長さよりも長くても短くてもよい。ガス入口1108及びガス出口1110は様々な形状、サイズ、タイプ及び構成のものでよい。幾つかの実施形態では、ガス入口1108とガス出口1110は各々、可動コンポーネント1104aと一体であるか、これとは分離したノズルを備えることができる。幾つかの実施形態では、ガス出口1110のノズルはガス入口1108にあるノズルよりも長くてもよい。
[0131] 図11に示すように、ガス出口1110から抽出されるガス流1112は、ガス出口1110からガス入口1108に再循環される。例えば、ガス流1112はガス入口1108を通過し、パターニングデバイス1102の表面を横切ってガス出口1110へと進行する。ガス出口1110はガス流1112を抽出する。少なくとも1つのダクトがガス出口1110からガス入口1108への再循環経路を画定する。その時点で、ガス流1112は連続サイクルでガス入口1108を再び通過して、パターニングデバイス1102を横切る。
[0132] 幾つかの実施形態では、可動コンポーネント1104bは再循環経路の少なくとも一部を備えている。例えば、図11に示すように、再循環経路は出口ダクト1114、入口ダクト1116、及び出口ダクト1114と入口ダクト1116との間に間隔を置いたガス流発生装置1118とを含んでいる。出口ダクト1114、入口ダクト1116及びガス流発生装置1118は可動コンポーネント1104b、例えばロングストロークモジュール上に位置している。
[0133] 幾つかの実施形態では、出口ダクト1114、入口ダクト1116及びガス流発生装置1118は可動コンポーネント1104a、例えばショートストロークモジュール上に位置している。例えば、ガス流発生装置1118は可動コンポーネント1104a上のガス入口1108に隣接することができる。また幾つかの実施形態では、出口ダクト1114、入口ダクト1116及びガス流発生装置1118の少なくとも1つは、可動コンポーネント1104b上に位置し、少なくとも1つは可動コンポーネント1104a上に位置している。
[0134] ガス流発生装置1118は、再循環のためにガスが流れるようにする任意の適切な装置であってよい。例えば、ガス流発生装置1118は(例えば図13を参照して後述する)ガス増幅器、ポンプ、ファン又はガスを移動させる任意の適切な装置でよい。
[0135] ガス流発生装置1118がポンプである幾つかの実施形態では、ポンプは(図17を参照して後述するように)パターニングデバイス支持体1100上に位置する1つ以上のファンによって駆動される。例えば、パターニングデバイス支持体1100のスキャン運動はファンを駆動する外部ガス流を生成することができ、それでポンプを駆動する。
[0136] ガス流発生装置1118がポンプである幾つかの実施形態では、ポンプはピストンによって駆動される。例えば、パターニングデバイス支持体1100のスキャン運動はピストンをチャンバ内で移動させる慣性を生成することができ、それでポンプを駆動する。
[0137] 幾つかの実施形態では、再循環ガス流1112には非再循環ガス流と比較して以下の利点の1つ以上がある。(1)再循環によってガス消費量が低減し、ひいては所有コストが低減し、供給インフラストラクチャの要件が低くなり、(実施と信頼性に寄与できる)ダクト工事を簡略化し、必要なガス容量を供給し、抽出するためのリソグラフィ装置内に必要なインフラストラクチャが低減する。(2)例えば固定プレートがガス出口を備えている場合、再循環によってパターニングデバイス1102の上方にパターニングデバイス支持体1100によって画定される微細環境に必要な容量を達成するために必要なイルミネータの改造が最小限になる。及び、(3)再循環によってパターニングデバイス支持体1100上のガス流の抽出が容易に可能になり、それによってパターニングデバイス1102の表面のより近傍での抽出が可能になり、抽出が固定コンポーネント、例えば固定パージプレート上で行われる場合に必要な長い抽出ダクトと比較してより不均一な抽出がなされる。
[0138] 幾つかの実施形態では、パターニングデバイス1102の上方にパターニングデバイス支持体1100によって画定される微細環境は完全には密封されない。例えば、パターニングデバイス支持体1100と固定パージプレート(図11には図示せず)との間にエアギャップがあり得る。このエアギャップは過剰なガス流が漏出する漏れ経路を形成し得る。幾つかの実施形態では、パターニングデバイス1102の上方の微細環境に過圧が生成されるため、エアギャップを通って漏出する過剰なガス流は未調整のガスが微細環境に達することを防止する。僅かな漏れ流れは、再循環するガス流1112が適切に清浄で乾燥した状態に確実に保たれることに役立つことができる。
[0139] 幾つかの実施形態では、出口ダクト1114又は入口ダクト1116は、過剰なガス流が漏出し、又は追加のガスを引き込むための漏れ経路を形成する少なくとも1つの開口を備えている。幾つかの実施形態では、出口ダクト1114又は流入ダクト1116の開口は調整可能なバルブで封止されている。圧力センサ(図示せず)が出口ダクト1114又は入口ダクト1116内で所定の圧力を検知すると、調整可能バルブは開放可能である。
[0140] 幾つかの実施形態では、システムから漏れたガスは、投影レンズ及び/又はイルミネータの要素をパージするために、又はリソグラフィ装置のモータコイル及び磁石を冷却するために送られることが可能である。
[0141] ガス流1112がパターニングデバイス1102の表面を横切って通ると、ガス流1112はパターニングデバイス1102の温度を変更し得る。例えば、ガス流1112は、例えば図2A、図2B、図5A及び図5Bに関して上述したように、パターニングデバイス1102への放射の入射により発生する熱を除熱することができる。このように、ガス流1112はパターニングデバイス1102を冷却し、又は他の方法でパターニングデバイス1102の温度を一定に保つことができる。
[0142] 幾つかの実施形態では、出口ダクト1114及び入口ダクト1116は各々、清浄、又は極めて清浄で、ガス流に最小限の分子汚染(例えばガス放出)しか放出しない任意の材料製の1本以上のホースを備えることができる。
[0143] 幾つかの実施形態では、ガス流1112は極度に清浄な乾燥ガス又は空気を含んでいる。
[0144] 幾つかの実施形態では、リソグラフィ装置は、ガス流1112の1つ以上の特性、例えば温度、流量、圧力又は速度を維持し、低減するように調整し、及び/又はパターニングデバイス1102の温度を上昇させるように構成されたコントローラ1120、例えばプロセッサを含むことができる。例えば、コントローラ1120は、温度制御要素、例えばガス流1112の温度を調整する熱交換器、ガス流1112の圧力又は流量を調整する流量制御バルブ、又は流量を制御する気流発生装置1118と動作可能に結合されることが可能である。
[0145] 幾つかの実施形態では、コントローラ1120は閉ループ制御用に構成されている。例えば、幾つかの実施形態ではコントローラ1120は、ガス流1112の特性を測定するように構成された1つ以上のセンサ、例えば1つ以上の温度センサ、1つ以上の圧力センサ、及び/又は1つ以上の流量センサからの信号を受信するように構成されている。受信した1つ以上の信号に基づいて、コントローラ1120はパターニングデバイス1102の所望の温度を達成するためにガス流1112の1つ以上の特性を調整することができる。例えば、コントローラ1120を、温度制御要素(図11には図示せず)、例えば熱交換器と通信してガス流1112の温度を調整し、又はガス流発生装置1118と通信してガス流1112の流量を調整するように構成することができる。幾つかの実施形態では、コントローラ1120は、他の信号、例えば露光中に使用される予測線量に関するシステムの他のコンポーネントからの信号を処理するように構成されている。
[0146] 例えば、図11に示すように、パターニングデバイス支持体1100は、コントローラ1120と動作可能に結合された温度センサ1119を備えている。温度センサ1119は、システム内のある位置で温度を検知するように構成されてもよい。例えば、温度センサ1119は、パターニングデバイス1102の温度、パターニングデバイス1102を含む環境に流入するガス流1112の温度、パターニングデバイス1102を含む環境から流出するガス流1112の温度、パターニングデバイス1102を含む環境中のガスの温度、又はこれらの温度の任意の組合せを測定するように構成されてもよい。例えば、図11に示すように、温度センサ1119は、パターニングデバイス1102を含む環境に流入するガス流1112の温度を測定するため、ガス流1112内のガス入口1108の下流に位置することができる。ガス入口1108又はガス出口1110が熱伝導性の実施形態では、センサ1119はガス入口1108、又はガス出口1110に位置することができる。
[0147] 幾つかの実施形態では、コントローラ1120を、リソグラフィ装置の状態に基づいてガス流1112の1つ以上の特性を調整するように構成することができる。例えば、コントローラ1120は、リソグラフィ装置が基板を結像していない場合は、ガス流1112の流量又は速度を低減し、及び/又は、ガス流1112の温度を上昇させ、システムが基板を結像している場合はガス流1112の流量又は速度を上昇させ、ガス流1112の温度を低減させることができる。
[0148] 本開示の実施形態の範囲内に含まれる制御のその他のバリエーションも可能であることが当業者には理解されよう。
[0149] 図12は、ある実施形態によるパターニングデバイス1202の温度を制御するように構成されたパターニングデバイス支持体1200の上面図を示している。パターニングデバイス支持体1200は、上記パターニングデバイス支持体と同様のコンポーネントを含んでおり、これらの同様のコンポーネントには同様の番号が付されており、異なる範囲、又は開示する実施形態を説明するのに役立つ範囲のみを記載する。パターニングデバイス支持体1200は温度センサ1219と、ガス入口1208の上流に位置する圧力センサ1221とを含んでいる。温度センサ1219及び圧力センサ1221はコントローラ1220と動作可能に結合されている。コントローラ1220は温度センサ1219及び圧力センサ1221から受信した信号を用いてガス入口1208の下流の位置、例えばパターニングデバイス1202の近傍の位置のガス流1212の温度を評価する。
[0150] 図11及び図12を参照すると、温度センサ1119及び1219、及び圧力センサ1221はパターニングデバイス1102又は1202に取り付けてもよく、又は(例えば可動コンポーネント1104a又は1204a、又は可動コンポーネント1104b又は1204b上の)パターニングデバイス支持体1100又は1200に結合されてもよい。
[0151] 幾つかの実施形態では、コントローラ420を例えば較正、又はフィードフォワード構成を用いることによって閉ループフィードバックを用いずにパターニングデバイス402の温度を制御するように構成することができる。
[0152] 図13は、ガス流発生装置1318がガス増幅器である実施形態によるパターニングデバイス1302の温度を制御するように構成されたパターニングデバイス支持体1300の上面図を示している。パターニングデバイス支持体1300は、上記パターニングデバイス支持体と同様のコンポーネントを含んでおり、これらの同様のコンポーネントには同様の番号が付されており、異なる範囲、又は開示する実施形態を説明するのに役立つ範囲のみを記載する。ガス増幅器1318は高速度の供給ガス1320の流れを用いてガス流を入口ダクト1316から出口ダクト1314に移動させる。幾つかの実施形態では、ガス増幅器1318は、供給ガス1320の流入量の容積を約20倍から500倍に増幅することができる。
[0153] 幾つかの実施形態では、供給ガス1320に1つ以上の特性を調整して、レチクルの上方のガス流1312の温度を制御することができる。例えば、熱交換器などの温度制御要素を図14に示すように供給ガスに動作可能に結合することができる。
[0154] 図14は、ある実施形態によるパターニングデバイス1402の温度を制御するように構成されたパターニングデバイス支持体1400の上面図を示している。パターニングデバイス支持体1400は、上記パターニングデバイス支持体と同様のコンポーネントを含んでいる。これらの同様のコンポーネントには同様の番号が付されており、異なる範囲、又は開示する実施形態を説明するのに役立つ範囲のみを記載する。図14に示すように、リソグラフィ装置は、ガス増幅器1418の供給ガス1420の温度を調整するように構成された温度制御要素1430を備えている。温度制御要素1430は、ガス流の温度を変更する任意の適切な装置であってよい。幾つかの実施形態では、コントローラ1420は、供給ガス1420の温度を動的に制御し、それによってガス流1412の温度、次いでパターニングデバイス1402の温度を制御するように温度制御要素1430に動作可能に結合されている。
[0155] 幾つかの実施形態では、ガス流の1つ以上の特性を再循環ダクト内で制御して、パターニングデバイスの温度を制御することができる。例えば、ガス流の温度を調整するように温度制御要素を再循環ダクトに動作可能に結合することができる。
[0156] 図15は、ある実施形態によるパターニングデバイス1502の温度を制御するように構成されたパターニングデバイス支持体1500の上面図を示している。パターニングデバイス支持体1500は、上記パターニングデバイス支持体と同様のコンポーネントを含んでいる。これらの同様のコンポーネントには同様の番号が付されており、異なる範囲、又は開示する実施形態を説明するのに役立つ範囲のみを記載する。図15に示すように、パターニングデバイス支持体1500は、再循環経路内のガスの温度を変更するように構成された温度制御要素1530を含んでいる。例えば、温度制御要素1530は、図15に示すようにガス流発生装置1518の下流で入口ダクト1516に位置することができる。幾つかの実施形態では、コントローラ1520は、再循環経路内のガスの温度を動的に変更するように温度制御要素1530に動作可能に結合されている。図16は、別の実施形態によるパターニングデバイス1602の温度を制御するように構成されたパターニングデバイス支持体1600の上面図を示している。パターニングデバイス支持体1600は、上記パターニングデバイス支持体と同様のコンポーネントを含んでいる。これらの同様のコンポーネントには同様の番号が付されており、異なる範囲、又は開示する実施形態を説明するのに役立つ範囲のみを記載する。図16に示すように、温度制御要素1630はガス流発生装置1618の下流に位置することができる。
[0157] 図17は、ガス流発生装置がポンプ1718である実施形態によるパターニングデバイス1702の温度を制御するように構成されたパターニングデバイス支持体1700の上面図を示している。パターニングデバイス支持体1700は、上記パターニングデバイス支持体と同様のコンポーネントを含んでいる。これらの同様のコンポーネントには同様の番号が付されており、異なる範囲、又は開示する実施形態を説明するのに役立つ範囲のみを記載する。ファン1733がポンプ1718を駆動する。ファン1733は、パターニングデバイス支持体1700のスキャン運動により生じる外部ガス流によって駆動される。
[0158] 図18は、ある実施形態によるパターニングデバイス1802の温度を制御するように構成されたパターニングデバイス支持体1800の上面図を示している。パターニングデバイス支持体1800は上記パターニングデバイス支持体と同様のコンポーネントを含んでいる。これらの同様のコンポーネントには同様の番号が付されており、異なる範囲、又は開示する実施形態を説明するのに役立つ範囲のみを記載する。
[0159] 幾つかの実施形態では、出口ダクト1814は第1の分岐1822と第2の分岐1824とを含むことができる。第1の分岐1822はガス流1812の一部をガス出口1810から第1のガス流発生装置1818aに誘導することができる。第2の分岐1824はガス流1812の一部をガス出口1810から第2のガス流発生装置1818bに誘導することができる。第1のガス流発生装置1818aは、第2のガス流発生装置1818bとは反対のパターニングデバイス1802の側に位置することができる。
[0160] 幾つかの実施形態では、入口ダクト1816は第1の分岐1826と反対側の第2の分岐1828とを含むことができる。第1の分岐1826はガス流1812を第1のガス流発生装置1818aからガス入口1808に誘導することができる。第2の分岐1828はガス流1812を第2のガス流発生装置1818bからガス入口1808に誘導することができる。
[0161] 図19は、ある実施形態によるパターニングデバイス1902の温度を制御するように構成されたパターニングデバイス支持体1900の上面図を示している。パターニングデバイス支持体1900は上記パターニングデバイス支持体と同様のコンポーネントを含んでいる。これらの同様のコンポーネントには同様の番号が付されており、異なる範囲、又は開示する実施形態を説明するのに役立つ範囲のみを記載する。図19に示すように、パターニングデバイス支持体1900を、パターニングデバイス1902を含む微細環境1931内をガス流1912が再循環するように構成することができる。パターニングデバイス支持体1900は、環境1931内に位置するガス増幅器1918を含んでいる。ガス増幅器1918は供給ガス1920の高速度の流れを利用してガス流1912をガス入口1908から環境1931内に押し込むことができる。ガス流1912はガス入口1908から流出した後、パターニングデバイス1902の表面を横切って進行する。可動コンポーネント1904は、ガス流1912がパターニングデバイス1902を横切って進行した後、全体が環境1931内にあるガス出口1910に戻るように再誘導されるように整形されている。ガス増幅器1918はガス出口1910を画定することができ、又はガス出口1910に動作可能に結合することができる。ガス流1912を局所的に微細環境1931内に再循環させることの1つの利点は、可動コンポーネント1904を貫く外部接続が最小限になることである。
[0162] 図20は、図1A〜図19に記載の実施形態を実施するために有用なコンピュータシステムハードウェアを示している。図20は、1つ以上の流れ特性センサ、例えば温度及び圧力センサからの温度データを受信し、パターニングデバイスの温度を所望のレベル又は範囲に変更し、又は維持するために、ガスの流量及び/又は温度を調整する方法を決定するように構成されたプロセッサとして有用なコンピュータアセンブリを示している。コンピュータアセンブリは、本発明によるアセンブリの実施形態での制御ユニットの形態の専用コンピュータでもよく、あるいは、リソグラフィ投影装置を制御する中央コンピュータでもよい。コンピュータアセンブリは、コンピュータ実行可能コードを含むコンピュータプログラム製品をロードするように構成されてもよい。
[0163] プロセッサ2023に接続されたメモリ2001は、ハードディスクドライブ(HDD)2003、読み取り専用メモリ(ROM)2005、電気的に消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)2007、及びランダムアクセスメモリ(RAM)2009などの幾つかのメモリコンポーネントを備えていてもよい。上記のメモリコンポーネントのすべてを備える必要はない。さらに、上記のメモリコンポーネントは必ずしもプロセッサ2023に、又は互いに物理的に近接している必要はない。これらは互いに離隔した位置にあってもよい。
[0164] プロセッサ2023はまた、ある種のユーザインターフェイス、例えばキーボード2011、又はマウス2013に接続されてもよい。また、当業者に知られているタッチスクリーン、トラックボール、音声変換器、又はその他のインターフェイスを使用してもよい。
[0165] プロセッサ2023は、データ、例えばコンピュータ実行可能コードの形態のデータをフロッピーディスク2017、又は光ディスク2015などのデータ記憶媒体から読み取り、場合によってはデータをこれらに保存するように構成された読み取りユニット2019に接続されてもよい。また、DVD、フラッシュメモリ、又は当業者に知られているその他のデータ記憶媒体を使用してもよい。
[0166] プロセッサ2023はまた、出力データを紙に印字するプリンタ2021、及びディスプレイ2029、例えばモニタ、又はLCD(液晶ディスプレイ)、又は当業者に知られているその他の任意のタイプのディスプレイに接続されてもよい。
[0167] プロセッサ2023は、入力/出力(I/O)のために送信機/受信機2025によって通信ネットワーク、例えば公衆交換電話網(PSTN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)などの通信ネットワーク2027に接続されてもよい。プロセッサ2023は、通信ネットワーク2027を経て他の通信システムと通信するように構成されてもよい。本発明のある実施形態では、外部コンピュータ(図示せず)、例えばオペレータのパーソナルコンピュータが通信ネットワーク2027を経てプロセッサ2023にログインすることができる。
[0168] プロセッサ2023は独立システムとして、又は並行して動作する幾つかの処理ユニットとして実施されてもよく、各処理ユニットはより大型のコンピュータのサブタスクを実行するように構成されている。処理ユニットはまた、幾つかのサブ処理ユニットを有する1つ以上の主処理ユニットに分割されてもよい。プロセッサ2023の処理ユニットの幾つかはさらに、他の処理ユニットと離隔して配置され、通信ネットワーク2027を経て通信してもよい。モジュール間の接続は有線又は無線で行うことができる。
[0169] コンピュータシステムは、本明細書に記載の機能を実行するように構成されたアナログ及び/又はディジタル、及び/又はソフトウェア技術による任意の信号処理システムであってよい。
[0170] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学系、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
[0171] 光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明は文脈によってはその他の分野、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組合せを印加することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると、内部にパターンが残される。
[0172] 本明細書の語句又は用語は説明目的のためであり、限定的ではないため、本明細書の用語又は語句が当業者により本明細書の教示に照らして解釈されるべきであることを理解されたい。
[0173] 本明細書に記載の実施形態では、「レンズ」及び「レンズ要素」という用語は、状況が許せば、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、及び静電型光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか1つ、又はそれらの組合せを指すことができる。
[0174] さらに、本明細書で用いる「放射」及び「ビーム」という用語は、(例えば波長λが365、248、193、157または126nmの)紫外線(UV)放射、(波長が例えば13.5nmなどの5〜20nmの)極端紫外線(EUV、又は軟X線)放射、又は5nm未満で操作する硬X線、並びにイオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームを含むすべてのタイプの電磁放射を包含する。一般に、波長が約400〜約700nmの間の放射は可視放射であると見なされ、波長が約780〜3000nm(又はそれ以上)の間の放射はIR放射であると見なされる。UVは、波長が約100〜400nmの放射を指す。リソグラフィでは、「UV」という用語は、水銀放電ランプで生成可能な波長、G線436nm、H線405nm、及び/又はI線365nmにも適用される。真空UV又はVUV(すなわちガスにより吸収されるUV)は、波長が約100〜200nmの放射を指す。深UV(DUV)は一般に、波長が126nm〜428nmの範囲の放射を指し、ある実施形態では、エキシマレーザはリソグラフィ装置で使用されるDUV放射を生成できる。波長が例えば5〜20nmの範囲の放射は、少なくともその一部が5〜20nmの範囲である特定の波長帯域の放射に関するものであることを理解されたい。
[0175] 本明細書で用いられる「基板」という用語は一般に、次の材料層が上に追加される材料を言い表す。実施形態では、基板自体がパターニングされてもよく、その上に追加される材料もパターニングされてもよく、又はパターニングされずに保たれてもよい。
[0176] 本明細書で用いられる「実質的に接触する」という用語は一般に、通常は位置合わせズレの許容差の結果である互いのわずかな離間のみで互いに物理的に接触する要素又は構造を言い表す。本明細書で用いられる1つ以上の特定の特徴、構造又は特性(例えば、「垂直に位置合わせされ」、「実質的に接触する」など)は本明細書では説明目的のためだけに用いられ、本明細書に記載の構造の実際の実施には、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく位置合わせズレの許容差が含まれてもよいことを理解されたい。
[0177] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。上記説明は本発明を限定するものではない。
[0178] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。それ故、下記に示す特許請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。
[0179] 特許請求の範囲を解釈するには、「発明の概要」及び「要約書」の項ではなく、「発明を実施するための形態」の項を使用するよう意図されていることを理解されたい。「発明の概要」及び「要約書」の項は、本発明者が想定するような本発明の1つ以上の例示的実施形態について述べることができるが、全部の例示的実施形態を述べることはできず、したがって本発明及び添付の特許請求の範囲をいかなる意味でも限定しないものとする。
[0180] 以上では、特定の機能の実施態様を例示する機能的構成要素及びその関係を用いて本発明について説明してきた。これらの機能的構成要素の境界は、本明細書では説明の便宜を図って任意に画定されている。特定の機能及びその関係が適切に実行される限り、代替的境界を画定することができる。
[0181] 特定の実施形態に関する以上の説明は、本発明の全体的性質を十分に明らかにしているので、当技術分野の知識を適用することにより、過度の実験をせず、本発明の全体的概念から逸脱することなく、このような特定の実施形態を容易に修正する、及び/又はこれらを様々な用途に適応させることができる。したがって、このような適応及び修正は、本明細書に提示された教示及び案内に基づき、開示された実施形態の同等物の意味及び範囲内に入るものとする。本明細書の言葉遣い又は用語は説明のためのもので、限定するものではなく、したがって本明細書の用語又は言葉遣いは、当業者には教示及び案内の観点から解釈されるべきことを理解されたい。
[0182] 本発明の幅及び範囲は、上述した例示的実施形態のいずれによっても限定されず、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ規定されるものである。