JP6017235B2 - ナノ粒子含有膜の形成方法およびナノ粒子含有膜 - Google Patents

ナノ粒子含有膜の形成方法およびナノ粒子含有膜 Download PDF

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Description

本発明はナノ粒子含有膜の形成技術に関するものであり、特定的には、セラミックナノ粒子を含有する膜の形成技術に関する
近年の活発な研究開発により、セラミックスナノ粒子を作製する種々の技術が開発されている。
上記のセラミックスナノ粒子を実際に利用するためには、セラミックスナノ粒子を用いた製品の耐久性やセラミックスナノ粒子の安定性の観点から、基板に固定することが必須である。
基板にセラミックスナノ粒子を形成する方法として、金属元素を含んだ前駆体溶液あるいはセラミックスナノ粒子の懸濁液を基板の表面にディップコートあるいはスピンコートなどにより塗布して、前駆体溶液の層あるいはセラミックスナノ粒子の懸濁液の層を形成し、得られた層に熱処理を施して乾燥及び焼成し、セラミックスナノ粒子の層を形成する方法が知られている。
例えば、特許文献1に、上記の方法を用いたセラミックス焼結体の製造方法が開示されている。
しかし、上記の方法を用いて基板上にセラミックスナノ粒子の層を形成した場合、セラミックスナノ粒子が基板から容易に剥離してしまうという問題がある。
また、セラミックスナノ粒子同士の凝集や物質移動による粒子成長が起こり、セラミックスナノ粒子の機能が低下してしまうという問題がある。
また、特許文献2には、アルミナ粉末の表面に、ゾルゲル法によりジルコニアおよび/または安定化ジルコニアを層状に被覆し、さらにアルミナを層状に被覆して得たジルコニアおよびアルミナ被覆アルミナ粉末をホットプレスしてアルミナ基セラミックスを製造する方法が開示されている。
また、特許文献3には、基材上に炭化物形成金属元素の被膜を形成し、その上層にジルコニアなどの酸化物系のセラミックス被膜を形成し、セラミックス被膜の空隙にゾルゲル法によりアルミナなどのセラミックス充填物を形成する方法が開示されている。
また、特許文献4には、アルミナなどの母材粒子の表面をジルコニアなどのナノ粒子添加物で被覆し、得られた複合粒子を金型プレスで成型する方法が開示されている。
また、特許文献5には、チタンまたはチタン合金からなる基材の表面に、ジルコニウムなどを含む被覆層を形成し、溶融拡散により被覆層の一部と基材表面部とを合金化する方法が開示されている。
例えば、非特許文献1及び非特許文献2には、イオン導電性セラミックスの接合方法として開発された液相酸化接合についての記載がある。
特開2006−1806号公報 特開平5−345661号公報 特開平5−98414号公報 特開2010−64945号公報 特開平5−148598号公報
財団法人JFE21世紀財団大学研究助成 技術研究報告書 第103〜108ページ(2008年) Journal of the Ceramic Society of Japan, 117, pp.983-986 (2009)
解決しようとする課題は、従来の方法を用いて基板上にナノ粒子の層を形成した場合、ナノ粒子が基板から容易に剥離するのを抑制することが難しいことである。
本発明のナノ粒子含有膜の形成方法は、基板に前記基板より融点が低い材料の第1層を形成する工程と、前記第1層の上層にナノ粒子の層を形成する工程と、前記第1層を溶融し、前記第1層を構成する材料中に前記ナノ粒子が固定された膜とする熱処理工程とを有する。
上記の本発明のナノ粒子含有膜の形成方法は、基板に基板より融点が低い材料の第1層を形成し、第1層の上層にナノ粒子の層を形成し、熱処理を施して第1層を溶融し、第1層を構成する材料中にナノ粒子が固定された膜とする。
上記の本発明のナノ粒子含有膜の形成方法は、好適には、前記ナノ粒子の層を形成する工程が、前記第1層の上層に前記第1層を構成する材料の融点より低く、かつ前記ナノ粒子の融点より低い温度で、焼成する工程を含む。
上記の本発明のナノ粒子含有膜の形成方法は、好適には、前記第1層を構成する材料中に前記ナノ粒子が固定された膜とする熱処理工程において、前記基板の融点と前記ナノ粒子の融点より低く、かつ、前記第1層を構成する材料の融点、または前記基板と前記第1層を構成する材料との共融点より高い温度で熱処理を行う。
上記の本発明のナノ粒子含有膜の形成方法は、好適には、前記第1層の上層にナノ粒子の層を形成する工程において、セラミックスナノ粒子の層を形成する。
上記の本発明のナノ粒子含有膜の形成方法は、好適には、前記熱処理工程において、前記第1層を溶融し、溶融された前記第1層の少なくとも一部を酸化して前記第1層を構成する材料の酸化物層とする。
上記の本発明のナノ粒子含有膜の形成方法は、好適には、前記熱処理工程において、前記第1層を溶融し、溶融された前記第1層中に前記ナノ粒子が均一に分散して取り込まれた層とする。
上記の本発明のナノ粒子含有膜の形成方法は、好適には、前記熱処理工程において、前記第1層を溶融し、溶融された前記第1層の少なくとも一部を前記基板中に固溶させることによって前記第一層と前記基板との化合物を生成することなく、均質化させる。
本発明によれば、基板上にナノ粒子の層を形成したときに、従来方法と比べてナノ粒子が基板から容易に剥離するのを抑制することができる。
図1(a)〜(e)は本発明の実施形態に係るナノ粒子含有膜の形成方法の工程を示す模式図である。 図2(a)及び図2(b)は比較例及び実施例に係る試料表面の電子顕微鏡写真であり、図2(c)及び図2(d)は比較例及び実施例に係る試料に対して超音波照射を行った後の表面の電子顕微鏡写真である。 図3は比較例及び実施例に係る試料の耐磨耗性を示すグラフである。 図4(a)は比較例に係る試料の耐磨耗試験後の表面の電子顕微鏡写真であり、図4(b)は図4(a)中X−X’で示す断面での表面高さのプロファイルであり、図4(c)は実施例に係る試料の耐磨耗試験後の表面の電子顕微鏡写真であり、図4(d)は図4(c)中Y−Y’で示す断面での表面高さのプロファイルである。
以下に、本発明のナノ粒子含有膜の形成方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
<実施形態>
本実施形態に係るナノ粒子含有膜の形成方法は、液相酸化接合(LPO:Liquid Phase Oxidation)によりナノ粒子を基板表面に形成する方法である。
図1(a)〜(e)は本実施形態に係るナノ粒子含有膜の形成方法の工程を示す模式図である。
まず、図1(a)に示すように、例えば、合金からなる基板10を用いる。合金基板としては、例えば、ニッケル合金を用いることができ、特に、Niが72重量%以上、Crが16重量%、Feが8重量%のものを用いることができる。あるいは、ステンレス合金またはチタン合金などのニッケル合金以外の合金基板を用いることもできる。
基板10の大きさ(径)及び厚みは特に制限はなく、ナノ粒子含有膜を形成しようとする対象に応じて適宜選択できる。
例えば、上記の基板10の表面は、後述のアルミニウムなどからなる第1層の膜厚以下の表面粗さを有する平坦な面を得るために適宜研磨処理を施しておく。例えば、9μm及び3μmの径のダイヤモンド砥粒で研磨し、さらに1μmの径のアルミナ砥粒で鏡面研磨する。
上記の基板10の研磨された表面に、例えば、基板10より融点が低い材料からなる第1層11を形成する。
例えば、基板10として上記のニッケル合金基板を用いる場合には、第1層11としてアルミニウムを用いることができる。アルミニウムからなる第1層を形成するには、例えば真空蒸着法により約1μmの膜厚で形成する。
上記のように第1層を形成した後、第1層の剥離防止のため、例えば500℃で1時間のアニール処理を施す。
第1層11としては、アルミニウムの他、インジウム、スズ、鉛などの低融点金属を用いることもできる。
次に、例えば、第1層11の上層に、第1層11を形成する材料の融点より低く、かつナノ粒子の融点より低い温度で焼成されてナノ粒子の層となる第2層12を形成する。
第2層12は、例えば、第1層11を形成する材料の融点より低く、かつナノ粒子の融点より低い温度で焼成されて、酸化ジルコニウムなどのセラミックスナノ粒子となる層である。
酸化ジルコニウムなどのセラミックスナノ粒子を形成する場合、第2層12として、例えば、2−メトキシエタノール、Zr n−ブトキシドのブタノール溶液、及びポリ酢酸ビニルの混合溶液からなる酸化ジルコニウムの前駆体溶液をディップコート、スピンコートあるいは他の塗布方法により塗布して、前駆体溶液層を形成する。
前駆体溶液としては、例えば、2−メトキシエタノールを6mlに対してZr n−ブトキシドのブタノール溶液(ZrOとして28.8質量%含有)を0.59g、ポリ酢酸ビニルを1.2g含有することが好ましい。
セラミックスナノ粒子としては、酸化ジルコニウム(ジルコニア:ZrO)のほか、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)などの安定化ジルコニア、酸化チタン(チタニア:TiO)、酸化セリウム(セリア:CeO)、酸化ハフニウム(ハフニア:HfO)、及び(Ce,Zr)O固溶体などを用いることができる。
上記において、第2層12として前駆体溶液層を形成した場合、次に、図1(b)に示すように、例えば、第2層から後述のように形成するナノ粒子をより均一なものにするためにゲル化し、ゲル化された第2層12aとする。
これは、第2層12を構成する前駆体溶液中において酸化ジルコニウムなどのセラミックスからなるナノ粒子を形成することでゲル化するものであり、例えば空気中において常温で経時させることにより行うことができる。
次に、図1(c)に示すように、例えば、第1層11を形成する材料の融点より低く、かつナノ粒子の融点より低い温度で第1熱処理を施して、ゲル化された第2層12aを焼成して第2層をナノ粒子12bの層とする。
例えば、ナノ粒子12bとして酸化ジルコニウムを形成する場合、第1熱処理は500〜800℃で1時間程度行う。このようにして得られる酸化ジルコニウムナノ粒子の平均粒径は例えば20nmであり、粒径分布は例えば±10nmである。
このようにして得られる酸化ジルコニウムナノ粒子の好ましい平均粒径は例えば20nmであり、好ましい粒径分布は例えば±10nmである。
上記のナノ粒子ゲル化工程及び第1熱処理の処理温度及び時間を変化させることにより、得られるナノ粒子の平均粒径及び粒径分布を調整することができ、例えば800℃1時間の熱処理では平均粒径が30nmとなる。
後述の第1層11を溶融する工程において、溶融された第1層11a中にナノ粒子12bが完全に取り込まれた状態となるように、アルミニウムからなる第1層11の膜厚より小さいことが好ましい。
次に、図1(d)に示すように、例えば、真空雰囲気中において、基板の融点より低く、かつ、第1層を形成する材料の融点より高い温度で第2熱処理を施して第1層11を溶融し、溶融された第1層11a中にナノ粒子12bが均一に分散して取り込まれた状態となる。
例えば、ナノ粒子12bとして酸化ジルコニウムを用い、第1層11としてアルミニウムを用いた場合には、第2熱処理は700〜1000℃で1時間程度行う。
さらに、例えば、上記の第2熱処理工程において、図1(e)に示すように、第1層11を溶融し、溶融された第1層11aの少なくとも一部を酸化して第1層11を形成する材料の酸化物からなる第1層11bとする。溶融された第1層11aの全部を酸化してもよい。
上記の構成において、酸化物からなる第1層11bを構成する材料中にナノ粒子12bが固定された膜とする。
ここで、例えば、第2熱処理工程において、第1層11を溶融し、溶融された第1層11a中にナノ粒子12bが均一に分散して取り込まれた層とすることができる。
上記の「均一に」とは、第1層中のナノ粒子分布に大きな偏りがないことを意味し、上記において、ナノ粒子をゲル化し、焼成することで、溶融された第1層中にナノ粒子が均一に分散して取り込まれた層とすることができる。
また、ここで、例えば、第2熱処理工程において、第1層11を溶融し、溶融された第1層11aの少なくとも一部を基板10中に固溶させることによって第一層と基板との化合物を生成することなく、均質化させることができる。
上記の第2熱処理の溶融過程で基板とナノ粒子の間に液相が生成し、基板とナノ粒子の間を埋めこむ。この時、液相(溶融された第1層)の一部が基板中に固溶し、これを「均質化」と称する。
上記の第2熱処理において、溶融された第1層11aの例えば基板10と反対側の表面側の一部を酸化して第1層11を形成する材料の酸化物からなる第1層11bとし、溶融された第1層11aの例えば基板10側の一部を基板中に固溶することによって第一層と基板との化合物を生成することなく、均質化した構成とすることができる。
上記の場合、第1層11を形成する材料の酸化物からなる第1層11bと、溶融された第1層11aが基板中に固溶した固溶体の部分の間に、溶融した第1層11aが酸化も固溶もせずそのまま第1層11と同じ組成で固化した領域が形成されてもよい。
上記の第1熱処理と第2熱処理は、連続した1つの熱処理工程として実施することも可能である。
本実施形態によれば、上記のようにして、ナノ粒子含有膜を形成することができる。
本実施形態のナノ粒子含有膜の形成方法によれば、合金基板上にアルミニウムを主成分とする膜を作製し、その上にセラミックスナノ粒子を合成し、膜の融点または膜と前記基板との共融点以上の温度で溶融・酸化処理を行うことにより、合金基板表面に機能性ナノ粒子を埋め込むことができ、合金基板上への耐剥離性の機能性セラミックスナノ粒子を固定することができる。
従って、本実施形態のナノ粒子含有膜の形成方法によれば、従来方法と比べてナノ粒子が基板から容易に剥離するのを抑制することができる。
現在までに活発に研究されてきたセラミックスナノ粒子の合成方法では、初期性能は優れるナノ粒子が合成できるものの、その耐久性に関してはほとんど検討されていない。
本実施形態により、耐剥離性に優れる機能性セラミックスナノ粒子の合金基板への固定が可能となり、合金の耐摩耗性、耐酸化性が向上する。
特許文献2〜4の方法では、形成されるセラミックスの膜中に空隙(ボイド)が発生し、膜の強度が低下してしまう可能性があるが、本実施形態によれば、空隙(ボイド)の発生が抑制され、高い強度の膜を形成することができる。
また、特許文献5の方法では、セラミックス粒子の合金基板への固定はできないが、本実施形態によれば、耐剥離性に優れる機能性セラミックスナノ粒子の合金基板への固定が可能となる。
<実施例>
直径10mmのニッケル合金棒を厚さ1mmに切断し、表面に研磨処理、さらに鏡面研磨仕上げ処理を施した。形成された研磨面上に、真空蒸着により1μmの厚さでアルミニウムを堆積し、第1層を形成した。
一方、Zr n−ブトキシドのブタノール溶液、2−メトキシエタノール及びポリ酢酸ビニルを混合させて第2層を構成する前駆体溶液を調製した。
得られた前駆体溶液を、アルミニウム被覆ニッケル合金基板上にスピンコートし、空気中で乾燥させ、500℃で1時間の第1熱処理で焼成して、前駆体溶液の層からなる第2層から、酸化ジルコニウムからなるセラミックスナノ粒子の層を形成した。
次に、以下のように第2熱処理を施した。
まず、基板が空気と接触しないように真空雰囲気中においてアルミニウムの融点以上まで加熱し、溶融されたアルミニウム中に酸化ジルコニウムのセラミックスナノ粒子が取り込まれた状態とした。
さらに、アルミニウムが溶融した後に空気を導入して接触させ、800℃で1時間の熱処理を施し、空気中の酸素で溶融したアルミニウムを酸化して酸化アルミニウムとして固化した。
上記のようにして、酸化アルミニウムからなる第1層を構成する材料中に酸化ジルコニウムからなるセラミックスナノ粒子が固定された膜を形成した。
<比較例>
上記の実施例に対して、アルミニウムからなる第1層を形成せず、基板上に直接酸化ジルコニウムからなるセラミックスナノ粒子の層を形成した。
即ち、直径10mmのニッケル合金棒を厚さ1mmに切断し、表面に研磨処理、さらに鏡面研磨仕上げ処理を施し、Zr n−ブトキシドのブタノール溶液、2−メトキシエタノール及びポリ酢酸ビニルを混合させてなる前駆体溶液を塗布し、空気中で乾燥させ、500℃で1時間の熱処理で焼成して、酸化ジルコニウムからなるセラミックスナノ粒子の層を形成した。
上記の実施例と比較例について、焼成した基板におけるナノ粒子の耐剥離性を評価するために、超音波洗浄機(40kHz、40W)にて蒸留水中で30分超音波照射を行った。
図2(a)は上記の比較例に係る試料表面の電子顕微鏡写真であり、図2(b)は上記の実施例に係る試料表面の電子顕微鏡写真である。
図2(c)は上記の比較例に係る試料に対して上記の超音波照射を行った後の表面の電子顕微鏡写真であり、図2(d)は上記の実施例に係る試料に対して上記の超音波照射を行った後の表面の電子顕微鏡写真である。
図2(a)及び図2(b)から、比較例及び実施例の試料においてナノ粒子の層が形成されていることが確認された。
また、図2(c)から、比較例では超音波照射によりナノ粒子が基板から容易に剥離してしまう一方、図2(d)から、実施例では超音波照射によりナノ粒子が基板から容易に剥離せず、耐剥離性が向上していることが確認された。
また、上記の比較例及び実施例に係る試料に対して、ボールオンディスクによる耐摩耗性評価も行った。
図3は上記の比較例及び実施例に係る試料のボールオンディスクによる耐摩耗性試験の結果を示すグラフであり、縦軸は摩擦係数、横軸は摺動距離である。図3中、Aは比較例の結果であり、aは比較例のグラフにおいて摩擦係数が一定となる摺動距離を示す。また、Bは実施例の結果であり、bは実施例のグラフにおいて摩擦係数が一定となる摺動距離を示す。
アルミニウムを蒸着しないでナノ粒子を形成した比較例に対して、実施例は摩擦係数が一定となる摺動距離が大幅に長くなり、耐摩耗性が向上したことが確認された。
図4(a)は比較例に係る試料の上記の耐磨耗試験後の表面の電子顕微鏡写真であり、図4(b)は図4(a)中X−X’で示す断面での表面高さのプロファイルであり、図4(c)は実施例に係る試料の耐磨耗試験後の表面の電子顕微鏡写真であり、図4(d)は図4(c)中Y−Y’で示す断面での表面高さのプロファイルである。図4(b)及び図4(d)において、基準高さZより低い位置となっている領域の面積は磨耗量に相当する。
図4(a)及び図4(b)に示すように、比較例では耐磨耗試験後に300μm程度の幅で数μm程度の深さの溝が生じており、表面が損傷を受けている。
一方、実施例では耐磨耗試験後における表面に生じる溝は80μm程度の幅で1μm程度の深さに留まっており、耐磨耗試験で受ける試料表面の損傷が比較例より大幅に小さくなっていることが確認された。
本発明は上記の説明に限定されない。
例えば、酸化ジルコニウム以外に、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)あるいは酸化チタンなどの他のセラミックスナノ粒子を含有する膜を形成する方法にも適用できる。
また、セラミックス以外のナノ粒子を含有する膜を形成する方法にも適用できる。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
本発明により、セラミックスナノ粒子の合金基板への固定が可能となり、機能性材料としても長寿命化がなされる。また、本発明による技術により、合金の耐摩耗性や耐熱性も向上させるため、応用分野は、長寿命の機能性材料から切削工具、タービンブレード、自動車用鋼板まで多岐に渡る。
10…基板
11,11a,11b…第1層
12,12a…第2層
12b…ナノ粒子

Claims (8)

  1. 基板に前記基板より融点が低い材料の第1層を形成する工程と、
    前記第1層の上層にナノ粒子の層を形成する工程と、
    前記第1層を溶融し、前記第1層を構成する材料中に前記ナノ粒子が固定された膜とする熱処理工程と
    を有するナノ粒子含有膜の形成方法。
  2. 前記ナノ粒子の層を形成する工程が、前記第1層の上層に前記第1層を構成する材料の融点より低く、かつ前記ナノ粒子の融点より低い温度で、焼成する工程を含む
    請求項1に記載のナノ粒子含有膜の形成方法。
  3. 前記第1層を構成する材料中に前記ナノ粒子が固定された膜とする熱処理工程において、前記基板の融点と前記ナノ粒子の融点より低く、かつ、前記第1層を構成する材料の融点、または前記基板と前記第1層を構成する材料との共融点より高い温度で熱処理を行う 請求項1または2に記載のナノ粒子含有膜の形成方法。
  4. 前記第1層の上層にナノ粒子の層を形成する工程において、セラミックスナノ粒子の層を形成する
    請求項1〜3のいずれかに記載のナノ粒子含有膜の形成方法。
  5. 前記熱処理工程において、前記第1層を溶融し、溶融された前記第1層の少なくとも一部を酸化して前記第1層を構成する材料の酸化物層とする
    請求項1〜4のいずれかに記載のナノ粒子含有膜の形成方法。
  6. 前記熱処理工程において、前記第1層を溶融し、溶融された前記第1層中に前記ナノ粒子が均一に分散して取り込まれた層とする
    請求項1〜5のいずれかに記載のナノ粒子含有膜の形成方法。
  7. 前記熱処理工程において、前記第1層を溶融し、溶融された前記第1層の少なくとも一部を前記基板中に固溶させることによって前記第一層と前記基板との化合物を生成することなく、均質化させる
    請求項1〜6のいずれかに記載のナノ粒子含有膜の形成方法。
  8. 基板と、
    前記基板に前記基板より融点が低い材料で形成された第1層と、
    前記第1層の上層に形成されたナノ粒子の第2層と、
    を有し、
    前記第1層は当該第1層を構成する材料中に前記ナノ粒子が固定された膜を有する、 ナノ粒子含有膜。
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