JP6014737B1 - 定水位弁装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】給水開始位置を容易に調整することが可能であり、給水開始位置と給水停止位置との水位差を確保して開閉弁が安定して動作可能な定水位弁装置を提供する。【解決手段】本発明の定水位弁装置10は、水を貯水槽内に吐水する吐水口12を開閉する開閉弁13と、開閉弁13を駆動する駆動体15とを有する。駆動体15は、開閉弁13に接続されるリンク機構20から水中へ向けて垂下するガイド部材70と、ガイド部材70に移動可能に保持されるフロート42とを有する。上側ストッパ72と下側ストッパ71との間で浮動するフロート42は、上側ストッパ72および下側ストッパ71にそれぞれ当接することによりガイド部材70を介してリンク機構20を作動させて開閉弁13を閉塞位置と解放位置との間で切り換える。【選択図】 図3

Description

本発明は、オフィスビルやマンションなどに設置される受水槽、高置水槽等の貯水槽内の水位を制御するのに用いられる定水位弁装置に関する。
一般的に上記した貯水槽1には、水道管2に接続された給水バルブ3を介して水が供給され、貯水槽1内に貯留された水は、給水管5を介して揚水ポンプ(図示せず)へ送られて所定の消費箇所に供給されるようになっている(図1及び図2参照)。この場合、貯水槽1内に貯留された水は、消費されるにしたがって水位が低下することから、一定量の水が貯留されるように、水の消費に伴って給水バルブ3を解放して貯水槽1内に水を供給するとともに、予め設定された水位になったときに給水バルブ3を閉鎖して水位を制御することが行われている。
水位の制御については、定水位弁装置(ボールタップと称することもある)を用いることが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。これら公知の定水位弁装置は、図1の符号10で示されるように、貯水槽1内に設置された状態でパイロット管7を介して給水バルブ3に接続されており、給水バルブ3からパイロット管7を通じて送られてくる水を貯水槽1内に吐水する吐水口12と、吐水口12を開閉する開閉弁と、開閉弁を駆動する駆動体15とを備えている。この駆動体15は、前記開閉弁にリンク機構20を介して接続されたシャフト40と、シャフト40の先端に装着され貯水槽1内の水に浮いた状態に保持されるフロート42とを備えている(吐水口12、駆動体15、及びリンク機構20の構成については図2参照)。
上記した定水位弁装置10では、貯水槽1内の水位が下がり、それと共にフロート42が下がるとシャフト40が降下方向に回動し、前記リンク機構20を介して開閉弁を降下させて開閉弁を開放する。すると、パイロット管7内に貯留されていた水は、吐水口12から貯水槽1内に放出され、これによりパイロット管7内の圧力が低下することで給水バルブ3が開放され、流入管3aを介して貯水槽1内に水が供給される。その後、水の供給に伴って貯水槽1内の水が上昇するとフロート42も上昇し、フロート42を装着しているシャフト40が反対方向(上昇方向)に回動して、リンク機構20を介して次第に開閉弁を上昇させる。そして、一定の水位(給水停止水位P1)に達すると開閉弁が閉塞してパイロット管7内に水が満たされた高圧状態となり、これにより給水バルブ3が閉塞して貯水槽1内への水の供給が停止される。
また、定水位弁装置としては、図2に示すように、上記したようなシャフト40を用いることなく、リンク機構20に接続されたレバー21の先端に鎖40Aを設置し、この鎖40Aの先端にフロート42’を締結する方式も知られている。このフロート42’は、内部に砂などの重量物を封入しており、浮力を有すると共にある程度の重量があるように構成されている。このような鎖締結式の定水位弁装置10’は、鎖40Aの長さに対応する位置まで水位が下がって(給水開始位置P2まで下がる)フロート42’の重量が作用すると、前記リンク機構20を介して開閉弁を開放し、これにより給水バルブが開放されて貯水槽1内に水が供給される。この場合、開閉弁は、バネ等の付勢手段によって閉塞方向に付勢されており、フロート42’の位置が下がってフロート42’の重量が付勢手段に作用し始めると、この重量が付勢力に抗して開閉弁を開放するように作用する。したがって、水位が上昇して開閉弁を閉じて給水を停止するのは、付勢手段の付勢力に依存しており、給水開始位置P2と給水停止位置P1との水位差は、上記したシャフト方式と比較すると小さくなる。
なお、上記した貯水槽1には、オーバーフロー管が設置されている。このオーバーフロー管は、貯水槽1の水がある一定量(予め定められた越流面)を超えると、その水を外部に流出させるために配設するものであり、排出管100を壁面1aに挿通させ、その端部を上向きに屈曲してホッパー101を設置して構成される。ホッパー101の開口縁101aの位置が越流面Pであり、水がこの越流面Pを超えると、その水はホッパー101から排出管100を介して外部に排出される。
また、貯水槽1には、漏水事故が起きた場合等の早期発見が可能となるように、警報装置の設置が義務付けられている。この警報装置120は、水位が給水停止面P1と越流面Pとの間の範囲内における所定の位置(満水警報位置)P3になったときに作動するものであり、水位が満水警報位置P3を超えると外部に警報を発するようになっている。例えば、警報装置120は、2本の電極棒120a,120bを備えており、一方の電極棒120aを貯水槽1の水の中に設置し、他方の電極棒120bを所定の満水警報位置P3となるように位置決めして設置する。すなわち、水位が上昇して電極棒120bに達すると警報装置は通電状態となって、外部に警報を発するように構成されている。
特開2003−342980号 特開2011−231912号
ところで、水道水には塩素が含まれており、水道法では蛇口からの給水時における水の残留塩素の量が一定値(遊離残留塩素を0.1mg/L)以上になることを義務付けている。上記した貯水槽1は、供給先において水の使用量が減る等の状況が発生すると、残留塩素の量が減ってしまい、したがって、残留塩素の基準を満たすためには貯水量を減らす必要性が生じる。この場合、貯水槽1内の貯水量を減らすためには、保守作業によって上記した給水開始位置P2の水位を下げる必要があり、図1に示すようなシャフト40を用いた定水位弁装置10では、それまで使用していたシャフトよりも長いシャフトに付け替える必要がある。また、図2に示すような鎖40Aを用いた定水位弁装置10’では、それまで使用していた鎖よりも長い鎖に付け替える必要がある。
このように、従来の貯水槽1に設置されている定水位弁装置では、給水開始位置P2を下げようとすると、シャフト40や鎖40Aを長いものに交換する作業が必要となり、作業性が悪いという問題が生じる。また、鎖40Aを用いた定水位弁装置10’では、上述したように、給水開始位置P2と給水停止位置P1との水位差が小さいため、給水と停止を頻繁に繰り返して小刻みに振動する、いわゆるチャタリングを引き起こし易く、このようなチャタリングは増幅されて本弁(給水バルブ3)に伝わり易く、本弁の開閉動作に支障をきたすことがある。この点、シャフト40を用いた定水位弁装置10では、シャフト40の回動によって開閉弁を開閉するため、ある程度の水位差を確保することが可能であるものの、上記したように長いシャフトに付け替えると、重量が重くなると共に、水圧等によってシャフト40が撓み易く、開閉弁の動作が不安定になってしまう(給水開始位置P2と給水停止位置P1が不安定となる)。
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、給水開始位置を容易に調整することが可能であり、給水開始位置と給水停止位置との水位差を確保して開閉弁が安定して動作可能な定水位弁装置を提供することを目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明は、貯水槽内に設置された状態でパイロット管を介して給水バルブに接続されており、前記給水バルブからパイロット管を通じて送られてくる水を貯水槽内に吐水/停止することで前記パイロット管の内圧を切り換えて前記給水バルブを開放/閉塞する定水位弁装置において、前記定水位弁装置は、パイロット管を通じて送られてくる水を貯水槽内に吐水する吐水口と、該吐水口を開閉する開閉弁と、該開閉弁をその閉塞位置へ向けて常時付勢する付勢手段と、前記開閉弁の閉塞位置で前記付勢手段による付勢力を補助する補助力を発生させる補助力発生手段とを具備する本体と、前記本体に設けられ、前記開閉弁を駆動する駆動体と、を有し、前記駆動体は、前記開閉弁に接続されて開閉弁の閉塞位置と解放位置との間で変位するリンク機構と、第1重量を具備して前記リンク機構の支持部から水中へ向けて垂下するガイド部材と、第2重量を具備して前記ガイド部材に移動可能に保持されるとともに前記ガイド部材に沿って浮動自在なフロートと、前記ガイド部材に対してその位置を調整可能に取り付けられるとともに前記フロートが自由に浮動できる浮動範囲を上下方向で規定して給水停止位置を特定する上側ストッパおよび給水開始位置を特定する下側ストッパとを備え、前記フロートが前記給水停止位置から下降して下側ストッパに当接したとき前記開閉弁が閉塞状態から開放するように、前記第1重量と前記第2重量との和に基づく下向き荷重は、前記付勢手段の付勢力と前記補助力発生手段の補助力との和に基づく弁閉塞荷重よりも大きく設定され、前記フロートが前記給水開始位置から上昇して上側ストッパに当接するまで前記開閉弁が解放状態を維持するように、前記第1重量のみに基づく下向き荷重は、前記付勢手段の付勢力に伴う付勢荷重よりも大きく設定されていることを特徴とする。
上記した構成の定水位弁装置によれば、付勢手段の付勢力と補助力発生手段の補助力との和に基づく弁閉塞荷重によって開閉弁が閉塞された状態で、貯水槽内の水位が低下してフロートがガイド部材に沿って下降し、その結果、フロートが下側ストッパに当接すると、フロートの第2重量が下側ストッパに作用し、それにより、リンク機構には支持部を介してガイド部材の第1重量とフロートの第2重量との和に基づく下向き荷重が作用する。この下向き荷重は、付勢手段の付勢力と補助力発生手段の補助力との和に基づく弁閉塞荷重よりも大きいため、リンク機構が作動されて開閉弁が閉塞状態から解放する。また、このような開閉弁の解放に伴う給水バルブを通じた給水によって貯水槽内の水位が上昇すると、それに伴ってフロートも上昇し、その結果、フロートが下側ストッパから離れる。このようにフロートが下側ストッパから離れると、フロートの第2重量が下側ストッパに作用しなくなるが、第1重量のみに基づく下向き荷重は付勢手段の付勢力に伴う付勢荷重よりも大きいため、この段階で開閉弁は付勢力によって閉塞しない。
その後引き続いて貯水槽内の水位が上昇し続け、フロートがガイド部材に沿って上昇し、その結果、フロートが上側ストッパに当接すると、水から受けるフロートの浮力が上側ストッパ(したがってガイド部材の第1重量)に作用する。このとき、第1重量は浮力によって軽減され、それに伴う下向き荷重は付勢手段の付勢力に伴う付勢荷重を下回るようになる。そのため、リンク機構が作動されて開閉弁が付勢手段の付勢力によって閉塞する。また、この閉塞位置において、開閉弁には、付勢手段による付勢力に加えて、補助力発生手段による補助力も作用する。
そして、付勢手段の付勢力と補助力発生手段の補助力との和に基づく弁閉塞荷重によって開閉弁が閉塞されたこの状態で、貯水槽内の水が消費されて貯水槽内の水位が下がり始めると、それに伴ってフロートも下降し、その結果、フロートが上側ストッパから離れるようになる。このとき、上側ストッパにフロートの浮力が作用しなくなり、リンク機構にはガイド部材の第1重量のみが作用することとなるが、第1重量は、フロートが下側ストッパに当接するまで(第2重量が作用するまで)は開閉弁の閉塞状態を維持するように設定されている。
このように、上記した構成の定水位弁装置によれば、フロートが下側ストッパに当接するまで開閉弁が解放せず、フロートが上側ストッパに当接するまで開閉弁が閉塞しない。そのため、ガイド部材に対する上側ストッパおよび下側ストッパの位置を調整することにより、開閉弁を閉塞位置と解放位置との間で切り換えるためのフロートの浮動範囲、すなわち、給水開始位置および給水停止位置を容易に調整することができる。したがって、従来のように残留塩素の基準を満たすべく給水開始位置を下げるためにシャフトや鎖などの駆動体部品を交換する必要がなく、そのため、作業性が良くなるだけでなく、部品交換に伴う重量増に起因する様々な不都合(例えば、長いシャフトの使用によるシャフトの重量増や撓みに起因する開閉弁の不安定な動作)も回避できる。また、給水開始位置と給水停止位置との水位差を十分に確保してチャタリングを防止し、それにより、開閉弁の安定した動作を実現することもできる。
本発明によれば、給水開始位置を容易に調整することが可能であり、給水開始位置と給水停止位置との水位差を確保して開閉弁が安定して動作可能な定水位弁装置が得られる。
本発明の一実施形態に係る定水位弁装置が設置可能な貯水槽の一例であって、従来の一例に係る定水位弁装置が設置された概略図。 図1に示す貯水槽において、従来の他の例に係る定水位弁装置が設置された状態の概略機能を説明する図。 フロートが下側ストッパに当接して開閉弁が解放した状態を示す、本発明の一実施形態に係る定水位弁装置の一部断面を有する側面図。 フロートが上側ストッパに当接して開閉弁が閉塞した状態を示す、本発明の一実施形態に係る定水位弁装置の一部断面を有する側面図。 図3の状態における定水位弁装置の本体側部分の一部断面を有する拡大側面図。 図4の状態における定水位弁装置の本体側部分の一部断面を有する拡大側面図。
以下、本発明に係る定水位弁装置の一実施形態について、図3乃至図6を参照して説明する。なお、これらの図において、図1及び図2で示した構成と共通する部分については同一の参照符号を付してある。
本実施形態の定水位弁装置10の本体10Aは、給水バルブ3からのパイロット管7が接続されるように水平方向に延出した円筒状の接続管11と、接続管11を介して流入してくる水を吐水するように垂直方向に延出した円筒状の吐水口(吐水管)12とを備えている。接続管11と吐水口12との間の内部空間には、例えば水平方向で往復動(前後動)する開閉弁13が配設されており、開閉弁13の弁体は、本体10Aの内部に形成されたフランジ(弁座)10aに対して当て付くようになっている。
この場合、開閉弁13は、後側(図3〜図6中の右側)へ移動することでフランジ10aに当て付いて接続管11と吐水口12との連通状態を遮断する閉塞状態(閉塞位置;フランジ10aと開閉弁13の弁体との間には、パッキン89が配設されている)となり、また、前側(図3〜図6中の左側)へ移動することでフランジ10aから離間して接続管11と吐水口12とを連通させる開放状態(解放位置)となる。そして、この開閉弁13を開閉させるための開閉弁13の前後動は、開閉弁13を支持するスピンドル39と一体を成すピストン18をシリンダ19内に嵌挿することによって案内されるようになっている。ここで、ピストン18の外面とシリンダ19の内面との間(摺動面)にはOリング90が介挿されている。また、本体10Aの前端部には、本体10Aの内部空間を閉じるキャップ10Bが取着されている。
なお、接続管11を通じて送られてくる水は、シリンダ19の外周面に形成される流路としての溝状の凹部(本実施形態では、シリンダ19の周方向に等しい角度間隔を隔てて4つ設けられる)を通じてピストン18と開閉弁13との間のシリンダ空間S1内に流入するようになっている。また、ピストン18の後方に位置されるシリンダ空間S2内の空気が開閉弁13の閉塞方向(後方)の移動を妨げないように、スピンドル39には外気へと連通する通気孔99が設けられる(図5および図6参照)。
また、定水位弁装置10の本体10Aは、開閉弁13をその閉塞方向(閉塞位置)へ向けて常時付勢する付勢手段を更に備える。具体的に、本実施形態において、この付勢手段は、キャップ10Bの内面と開閉弁13の前端面との間に介挿される圧縮バネ65によって構成される。
また、本実施形態では、ピストン18と開閉弁13との間のシリンダ空間S1内の水圧がピストン18に及ぼす力(水圧×ピストン18の受圧面積)を開閉弁13に及ぼす力(水圧×開閉弁13の受圧面積)よりも大きくするように開閉弁13の受圧面積とピストン18の受圧面積との面積比を設定して、ピストン18と開閉弁13との間のシリンダ空間S1内の水圧が開閉弁13を閉塞する方向で作用するようにしている。しかしながら、水圧の変動等によってこれらの力関係が変動して、圧縮バネ65の付勢力のみにより開閉弁13をその閉塞位置に確実に保持することができない場合も生じ得る。そのため、本実施形態の定水位弁装置10は、開閉弁13をその閉塞位置に確実に保持するために、圧縮バネ65による開閉弁閉塞方向への付勢力を補助する補助力を発生させるための補助力発生手段を更に備える。
具体的に、そのようなの補助力発生手段は、本実施形態では、磁石60によって構成される。この磁石60は、環状を成して、ピストン18よりも後方のシリンダ19内に配置されており、ピストン18をスピンドル39に対して締結する磁性体(例えば鉄)から成る締め付けナット97を磁気的に引き付けて(したがって、スピンドル39に保持される開閉弁13をその閉塞位置へ向けて引き付けて)、開閉弁13の閉塞位置で締め付けナット97を内側に受け入れる(磁気的に吸着する)ことにより(図4および図6参照)、開閉弁13をその閉塞位置に確実に保持するようにしている。
なお、補助力発生手段は、前述した開閉弁13の受圧面積とピストン18の受圧面積との面積比のみによって実現されてもよいが、そのような面積比を考慮しなくて済むという点で、または、開閉弁13の確実な閉塞保持が図れるという点で、補助力発生手段を磁石60によって実現することが好ましい。
また、上記した開閉弁13は、駆動体15によって閉塞位置と解放位置との間で前後方向に駆動されるようになっている。この場合、駆動体15は、開閉弁13に接続されて開閉弁13の閉塞位置と解放位置との間で変位するリンク機構20と、リンク機構20に連結される支持部40(例えば、本実施形態では長尺なレバー部材)から水中へ向けて垂下するガイド部材70と、貯水槽1内の水に浮いた状態でガイド部材70に移動可能に保持されてガイド部材70に沿って浮動自在なフロート42とを備える。
ここで、リンク機構20の構成について説明する。
リンク機構20は、相互に回動可能に支持される複数の第1〜第4のアーム部材21,24,26,28を備えており、第4のアーム部材28が支持部40(駆動体15側)に連結され、第2のアーム部材24が開閉弁13側(詳細には、開閉弁13を支持するピストン18から延びるスピンドル39)に接続されている。
第1のアーム部材21は、本体10Aの上端面に固定された一対の対向する支持プレートから成るブラケット29に回動可能に支持されている。具体的には、第1のアーム部材21は、その後端がブラケット29の一対の支持プレート間に位置されて略T形状(または略Y形状)のビス22(以下、全てのビスが同じ形状を有するものとする)により回動可能に支持される。また、第2のアーム部材24は、その一端(図3〜図6では上端)が第1のアーム部材21の前端に回動可能に支持される。具体的には、第2のアーム部材24は、第1のアーム部材21の前端で二股状に分かれる支持部21aに挟持されてビス23により回動可能に支持される。
また、第2のアーム部材24の中間部は、キャップ10Bを貫通して外側に延びるスピンドル39の前端に回動可能に支持される。具体的には、第2のアーム部材24は、互いに接合される一対の支持プレート24aによって形成されており、これらの支持プレート24aが互いに離間して第2のアーム部材24の中間部に形成する開口内にスピンドル39の前端が挿通されることにより、この挿通されたスピンドル39に対してビス25により第2のアーム部材24が回動可能に支持される。
また、第2のアーム部材24の他端(図3〜図6では下端)は、第3のアーム部材26の前端に回動可能に支持される。具体的には、第3のアーム部材26は、一対の対向する支持プレート26aから成り、第2のアーム部材24の他端がこれらの支持プレート26a間に挟まれた状態でビス27により第3のアーム部材26に回動可能に支持される。また、第3のアーム部材26の後端は、その支持プレート26a間に挟まれるように位置される第4のアーム部材28の前端にビス31により回動可能に支持される。更に、第4のアーム部材28の中間部は、吐水口12から延びる断面コの字型のブラケット29に対してビス30により回動可能に支持される。すなわち、開閉弁13は、上記したように構成される駆動体15のリンク機構20に接続されており、このリンク機構20を介して後述するフロート42の浮動動作によって前後方向に駆動されるようになっている。
また、このようなリンク機構20を備える駆動体15は、リンク機構20の第4のアーム部材28に連結される支持部40から水中へ向けて垂下する前述したガイド部材70およびフロート42に加え、ガイド部材70の上下にそれぞれ一対のストッパ71,72も更に備える。以下、これについて更に詳しく説明する。
本実施形態のガイド部材70は、例えばグラスファイバ内蔵の金属ロープによって形成されており、第1重量G1を具備する。この第1重量G1は、ガイド部材70自体の重量(ストッパ71,72および後述する締結具73,78の重量も含む)と、ガイド部材70の下端に取り付けられる錘79の重量とによって規定される。また、ガイド部材70の一端(上端)70aは、支持部40の前端に例えば螺着されたフックボルト40aに通された後、折り返されて、締結具73により結束固定される。また、ガイド部材70の他端(下端)70bは、錘79に固着されたフック79aに通された後、折り返されて、締結具78により結束固定される。なお、錘79は、ガイド部材70が撓みやすい材料によって形成される場合に、ガイド部材70を直線状態に安定して保持できる点で好ましい。しかしながら、ガイド部材70を撓まない剛体から形成することもでき、その場合には、錘79を省くこともできる。このとき、第1重量G1は、ガイド部材70自体の重量(ストッパ71,72および締結具73,78の重量も含む)のみによって規定される。
また、ガイド部材70の上下にそれぞれ設けられる上側ストッパ72および下側ストッパ71は、ガイド部材70に対してその位置を調整できるように例えばナット81を介して着脱自在に取り付けられるとともに、フロート42が自由に浮動できる浮動範囲を上下方向で規定するようになっている。この場合、上側ストッパ72は、前述した貯水槽1の給水停止位置P1に対応する位置でガイド部材70に取り付けられ、一方、下側ストッパ71は、前述した貯水槽1の給水開始位置P2に対応する位置でガイド部材70に取り付けられる。なお、これらのストッパ71,72の取り付け位置(位置P1,P2)は、貯水槽1の構造、および、残留塩素の調整等に応じて、ナット81の着脱により任意に設定できる。
また、ガイド部材70に移動可能に保持される浮動自在な上記したフロート42は、第2重量G2を具備しており、上側ストッパ72と下側ストッパ71との間で上下動自在(浮動自在)に位置される。具体的には、フロート42は、中空の球状に形成されており、その中心を通って貫通する貫通孔42aにガイド部材70が通されることにより、上側ストッパ72と下側ストッパ71との間で移動可能に保持される。また、フロート42は、その内部空間内に例えば砂や錘から成る加重体69を有する。この加重体69の重量は、フロート42の自重と共に、第2重量G2を規定しており、フロート42の浮力よりも小さくなるように設定される。
なお、ガイド部材70に対するフロート42の取り付け形態は、ガイド部材70をフロート42に挿通する図示の形態でなくてもよく、例えば、何らかの接続部材を介してフロート42がガイド部材70の側方で上下動可能にガイド部材70に取り付けられてもよい。要は、フロート42がガイド部材70に浮動状態で上下動可能に保持されれば、どのような取り付け形態であっても構わない。
また、以上のような構成の定水位弁装置10は、フロート42が給水停止位置から下降して下側ストッパ71に当接したとき開閉弁13が閉塞状態から開放するように、第1重量G1と第2重量G2との和に基づく下向き荷重Gが付勢手段である圧縮バネ65の付勢力F1と補助力発生手段である磁石60の磁力(補助力)との和に基づく弁閉塞荷重Fよりも大きく設定されている。また、フロート42が給水開始位置から上昇して上側ストッパ72に当接するまで開閉弁13が解放状態を維持するように、第1重量G1のみに基づく下向き荷重は、付勢手段である圧縮バネ65の付勢力F1よりも大きく設定されている。この場合、フロート42が給水開始位置から上昇して上側ストッパ72に当接すると、フロート42の浮力によって下向きの荷重Gが軽減され(浮力が大きければゼロになる)、開閉弁13は圧縮バネ65の付勢力F1によって閉塞位置に移動する(給水停止位置)。この際、開閉弁13は、磁石60の磁力(補助力)F2によっても閉塞方向に付勢される(弁閉塞荷重F)。
次に、上記したように構成される定水位弁装置10の作用について説明する。
まず、圧縮バネ65の付勢力F1と磁石60の磁力(補助力)F2との和に基づく弁閉塞荷重Fによって開閉弁13が閉塞された状態で、貯水槽1内に貯留された水が給水管5を介して揚水ポンプ(図示せず)へ送られて所定の消費箇所に供給されていくと、貯水層1内の水位が下がり、それと共にフロート42もガイド部材70に沿って下がり続ける。そして、フロート42がガイド部材70の下側ストッパ71に当接すると、フロート42の第2重量G2が下側ストッパ71に作用し、それにより、リンク機構20には支持部40を介してガイド部材70の第1重量G1とフロート42の第2重量G2との和に基づく下向き荷重Gが作用するようになる。この下向き荷重Gは、前述したように、圧縮バネ65の付勢力F1と磁石60の磁力(補助力)F2との和に基づく弁閉塞荷重Fよりも大きいため、リンク機構20が作動されて開閉弁13が解放する(図3参照)。
すなわち、スピンドル39が圧縮バネ65の付勢力F1と磁石60の磁力(補助力)F2との和に基づく弁閉塞荷重Fに抗して本体10Aから引き出され(前方へ移動され)て、開閉弁13がフランジ10aから離間される解放状態になる。そして、この動きは、リンク機構20の第4のアーム28が吐水口12の側壁に当接することで停止される(第4のアーム28が吐水口12の側壁に当接して、開閉弁13の解放動作が規制される)。この位置(図3の位置)が給水開始位置P2となる。この給水開始位置P2では、パイロット管7内の圧力が下がって給水バルブ3(図1参照)が解放され、貯水槽1内には、流入管3aを介して水が供給されるようになる。
そして、水の供給に伴って貯水槽1内の水位が上昇すると、それに伴ってフロート42もガイド部材70に沿って上昇し、その結果、フロート42が下側ストッパ71から離れる。このようにフロート42が下側ストッパ71から離れると、フロート42の第2重量G2が下側ストッパ71に作用しなくなるが、開閉弁13の解放状態を維持するために、第1重量G1のみに基づく下向き荷重は圧縮バネ65の付勢力F1に伴う付勢荷重よりも大きく設定されており、この段階で開閉弁13は付勢力によって閉塞することはない。
その後引き続いて貯水槽1内の水位が上昇し続け、フロート42がガイド部材70に沿って上昇し、その結果、フロート42が上側ストッパ72に当接すると、水から受けるフロート42の浮力Pが上側ストッパ72(したがってガイド部材70の第1重量G1)に作用する(図4参照)。このとき、第1重量G1が浮力Pによって軽減され、それに伴う下向き荷重は、前述したように圧縮バネ65の付勢力F1に伴う付勢荷重を下回るようになる(本実施形態では、そのような力関係となるようにフロート42の体積、第1重量G1、および、付勢力F1が設定される)。そのため、リンク機構20が作動されて開閉弁13が圧縮バネ65の付勢力F1によって閉塞する。また、この閉塞位置において、開閉弁13には、圧縮バネ65による付勢力F1に加えて、補助力発生手段としての磁石60の磁力(補助力)F2も作用するようになる。
具体的には、図4に示すように、フロート42が上側ストッパ72に当接すると、フロート42が受ける浮力Pにより錘79が持ち上がり、支持部40およびリンク機構20に作用する荷重は軽減される(ゼロとなる)。そのため、圧縮バネ65の付勢力F1によりスピンドル39が本体10A内に押し込まれ(後方へ移動され)て、開閉弁13がフランジ10aに当接する閉塞状態になるとともに、支持部40も水平に位置される。この位置(図4の位置)が給水停止位置P1となる。
この給水停止位置P1では、パイロット管7内の圧力が上がって給水バルブ3(図1参照)が閉じられ、貯水槽1内への水の供給が停止される。また、このとき、開閉弁13の閉塞状態は磁石60の磁気吸引力によって確実に保持される。すなわち、水圧、水面の変動や何らかの衝撃に起因して圧縮バネ65の付勢力を上回る力が生起した場合でも、磁石60の磁気吸引力によって開閉弁13の閉塞位置が確実に保持される。
圧縮バネ65の付勢力F1と磁石60の磁力(補助力)F2との和に基づく弁閉塞荷重Fによって開閉弁13が閉塞されたこの状態で、貯水槽1内の水が消費されて貯水槽1内の水位が下がり始めると、それに伴ってフロート42も下降し、その結果、フロート42が上側ストッパ72から離れるようになる。このとき、上側ストッパ72にフロート42の浮力Pが作用しなくなり、リンク機構20にはガイド部材70の第1重量G1のみが作用することとなるが、開閉弁13の閉塞状態が維持されるように、第1重量G1のみに基づく下向き荷重は、圧縮バネ65の付勢力F1と磁石60の磁力(補助力)F2との和に基づく弁閉塞荷重Fよりも小さく設定されているため、この段階で(すなわち、前述したようにフロート42が下側ストッパ71に当接するまで)、開閉弁13が解放することはない。
以上説明したように、本実施形態の定水位弁装置10によれば、フロート42が下側ストッパ71に当接するまで開閉弁13が解放せず、フロート42が上側ストッパ72に当接するまで開閉弁13が閉塞することはない。そのため、ガイド部材70に対する上側ストッパ72および下側ストッパ71の位置を調整することにより、開閉弁13を閉塞位置と解放位置との間で切り換えるためのフロート42の浮動範囲、すなわち、給水開始位置P2および給水停止位置P1を容易に調整することができる。したがって、従来のように残留塩素の基準を満たすべく給水開始位置P2を下げるためにシャフトや鎖などの駆動体部品を交換する必要がなく、そのため、作業性が良くなるだけでなく、部品交換に伴う重量増に起因する様々な不都合(例えば、長いシャフトの使用によるシャフトの重量増や撓みに起因する開閉弁の不安定な動作)も回避できる。また、給水開始位置P2と給水停止位置P1との水位差を十分に確保することができるため、チャタリングを防止し、それにより、開閉弁13の安定した動作を実現することもできる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態以外にも、適宜変形することが可能である。例えば、本実施形態では、支持部40がリンク機構20の第4のアーム部材28に連結されるが、支持部40と第4のアーム部材28とが一体であってもよい。また、リンク機構20の構成についても適宜変形することが可能である。例えば、本実施形態の開閉弁13は、本体10A内において前後方向(水平方向)に移動するように構成されていたが、上下方向(垂直方向)に移動するように構成しても良く、これにより、リンク機構20の構成についても適宜変形することが可能である。また、前述した実施形態では、補助力発生手段が磁石によって構成されるが、補助力発生手段は、磁石に限定されず、引張りバネなどの他の要素によって構成されてもよい。また、ストッパ71,72のガイド部材に対する着脱方法についても適宜変形することが可能である。
1 貯水槽
3 給水バルブ
7 パイロット管
10 定水位弁装置
10A 本体
12 吐水口
13 開閉弁
15 駆動体
20 リンク機構
40 支持部
42 フロート
60 磁石(補助力発生手段)
65 圧縮バネ(付勢手段)
70 ガイド部材
71 下側ストッパ
72 上側ストッパ
79 錘

Claims (6)

  1. 貯水槽内に設置された状態でパイロット管を介して給水バルブに接続されており、前記給水バルブからパイロット管を通じて送られてくる水を貯水槽内に吐水/停止することで前記パイロット管の内圧を切り換えて前記給水バルブを開放/閉塞する定水位弁装置において、
    前記定水位弁装置は、パイロット管を通じて送られてくる水を貯水槽内に吐水する吐水口と、該吐水口を開閉する開閉弁と、該開閉弁をその閉塞位置へ向けて常時付勢する付勢手段と、前記開閉弁の閉塞位置で前記付勢手段による付勢力を補助する補助力を発生させる補助力発生手段とを具備する本体と、前記本体に設けられ、前記開閉弁を駆動する駆動体と、を有し、
    前記駆動体は、前記開閉弁に接続されて開閉弁の閉塞位置と解放位置との間で変位するリンク機構と、第1重量を具備して前記リンク機構の支持部から水中へ向けて垂下するガイド部材と、第2重量を具備して前記ガイド部材に移動可能に保持されるとともに前記ガイド部材に沿って浮動自在なフロートと、前記ガイド部材に対してその位置を調整可能に取り付けられるとともに前記フロートが自由に浮動できる浮動範囲を上下方向で規定して給水停止位置を特定する上側ストッパおよび給水開始位置を特定する下側ストッパとを備え、
    前記フロートが前記給水停止位置から下降して下側ストッパに当接したとき前記開閉弁が閉塞状態から開放するように、前記第1重量と前記第2重量との和に基づく下向き荷重は、前記付勢手段の付勢力と前記補助力発生手段の補助力との和に基づく弁閉塞荷重よりも大きく設定され、
    前記フロートが前記給水開始位置から上昇して上側ストッパに当接するまで前記開閉弁が解放状態を維持するように、前記第1重量のみに基づく下向き荷重は、前記付勢手段の付勢力に伴う付勢荷重よりも大きく設定されている
    ことを特徴とする定水位弁装置。
  2. 前記第1重量は、前記ガイド部材に取り付けられる錘を含むことを特徴とする請求項1に記載の定水位弁装置。
  3. 前記第2重量は、前記フロートの内部に設けられる加重体を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定水位弁装置。
  4. 前記フロートは、その中心を通って貫通する貫通孔に前記ガイド部材が通されることにより前記ガイド部材に移動可能に保持されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の定水位弁装置。
  5. 前記付勢手段は、前記開閉弁を閉塞位置へと付勢するバネによって構成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の定水位弁装置。
  6. 前記補助力発生手段は、前記開閉弁をその閉塞位置へ向けて引き付ける磁石によって構成されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の定水位弁装置。
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