手術患者の血圧が、鎮静/麻酔の誘導中において事前麻酔誘導レベルからこれよりも低いレベルまで降下することが知られている。この血圧低下は、麻酔医が少なくとも、信頼性をもって患者の生体機能を維持できる可能性のあるレベルまで修正する必要がある。
麻酔誘導段階の間の血圧降下は、投与麻酔薬が動脈樹血管の拡張反応をもたらすことに起因する体血管抵抗(SVR;SVR=[((平均動脈圧−中心静脈圧)×80)/心拍出量)];SVRを表現するべく通常使用される単位はdynes・sec・cm−5である)の降下の結果として広くみなされている。動脈及び前毛細血管細動脈が、血管系の流れ抵抗のほぼ3分の2を与える。動脈血管拡張は動脈の容量を増加させ、その結果、影響を受けた脈管構造の血流抵抗が低下する。平均動脈圧(MAP)は心拍出量(CO)と体血管抵抗との積であり(MAP=CO×SVR)、心拍出量が同じままであれば、SVR低下は対応する血圧低下をもたらす。
血圧の降下が動脈の血管拡張及び上述の関連する体血管抵抗の低下に起因し得る一方、他のいくつかの因子も血圧に影響を与える。心拍出量の変化はまた、血圧/MAPにも影響を与え得る。心拍出量(l/minで表現)は、一回拍出量(SV:mlで表現)と心拍数(HR:bpmで表現)との積である。心拍数の降下により、心拍出量及び動脈圧が低下する。
今度は、心臓一回拍出量がいくつかの因子により影響を受ける。当該因子の一つは、左室の収縮前における充填度である。この因子は前負荷と称することが多い。健康な心臓においては、心室が心収縮期(収縮)前に充填されればされるほど、放出される一回拍出量は所定限界まで増加する。これは、フランク・スターリング曲線からわかる。左室の充填が、心臓の右側への有効静脈血液還流に依存することを、前負荷依存性と称することが多い。心臓への静脈血流が左室を、その収縮前に適切に充填するのに不十分である場合、一回拍出量が低下する。
主要収集静脈は、総循環血液量の64%を含む。主要収集静脈の直径及びトーンが、静脈の平滑筋コンポーネントに対するホルモン/神経の作用を介して調整される。薬剤は、主要収集静脈のトーン及び容量に影響を与える。主要収集静脈の拡張及び/又は失血が前負荷を低下させ、結果的に一回拍出量をも低下させる。
血圧に影響を与える他の因子は、左室から大動脈弁を横切り体動脈循環へ放出される血液に対する抵抗である。この抵抗は、心室筋肉が短縮することに対抗するすべての力の合計とみなすことができる。この因子は後負荷と称することが多く、正式には(及び不正確には)体血管抵抗(SVR)と同じ/類似するとみなされる。単純な例により、後負荷及びSVRが実際には同じでないことを示すことができる。等しい心室寸法を有する2人の患者を考える。ここで、第1の患者はMAPが60mmHg及び心拍出量が4l/minであり、第2の患者はMAPが120mmHg及び心拍出量が8l/minである。これらの患者は双方とも同じSVRを有する。しかしながら、左室からの血液の放出に対する抵抗は、MAPの差異から明らかなように、2倍異なる。
左室が前負荷から独立した態様で機能している場合、心収縮中に加わる心室内部線維負荷が、放出される一回拍出量を損なうことはない。この場合、患者の血行動態パフォーマンスは後負荷依存とみなされる。しかしながら、後負荷の増加は、前負荷予備能(フランク・スターリング曲線の頂部における)のない患者(水分過負荷となり得る患者)及び/又は左室収縮不全の患者には認容性が低い。
さらに血圧は、心臓の収縮性により影響を受ける。用語「収縮性」とは、左室心筋層の筋収縮状態、すなわち心筋層線維が心拍ごとに収縮する力及び速度をいう。臨床患者の場合、多様な収縮段階指数/パラメータが使用される。例えば、線維短縮速度、心室圧力上昇のピークレート、及び収縮終期圧対容量関係である。左室の筋収縮状態は、アドレナリンのような筋収縮薬の投与により変更/支持できる。低収縮性及び高後負荷が一回拍出量を低下させる。
本明細書にそのすべてが参照として組み入れられる特許文献1及び特許文献2は、動脈圧測定に基づいて一回拍出量を決定する血行動態モニタを開示する。
人工呼吸器をつけている患者の胸腔の正圧が、当該患者の心臓の一回拍出量に影響を与え得る。特許文献2は、この圧力の必然的な変動が、呼吸サイクルにわたる一回拍出量の著しい変動をもたらし得ることを開示する。特許文献2は、これは血管内脱水患者に特に当てはまると認識し、呼吸サイクルにわたる一回拍出量の変動程度を血行動態の指標として使用することを提案する。
臨床環境において、特に手術室において、パラメータを画面上に表示することの主要な制約は、何らかの種類の表示のために利用できる空間が著しく限られていることである。しかしながら、ディスプレイは同時に、たとえ観察者が当該ディスプレイに接近していなくとも、表示される情報が直観的に理解できるような態様でなければならない。
本発明の一側面によれば、意識レベルを示す信号を取得する部分と、動脈圧信号を取得する部分と、ディスプレイと、プロセッサとを含むモニタリングデバイスが与えられる。プロセッサは、ディスプレイが、同時観察を目的として、経時的な血圧信号を示す画像と、経時的な心拍出量又は一回拍出量を示す画像と、経時的な体血管抵抗を示す画像と、意識レベルを示す信号に基づいて経時的な意識レベルを示す画像とを表示するように構成される。心拍出量、一回拍出量、及び体血管抵抗は、動脈圧信号に少なくとも部分的に基づいて決定できる。
発明者は、麻酔中の麻酔深さ/意識レベルと患者の血行動態パラメータとの関係を見出した。この関係の強さは患者ごとに異なることが見出されたにもかかわらず、低い意識レベルが血流及び血圧の低下と関連づけられることが見出された。これらの知見に基づいて、発明者がわかったことは、患者の血圧、心拍出量、体血管抵抗、血圧、及び輸液反応性を同時にモニタリングする(人工呼吸器をつけている患者の一回拍出量変動又は脈拍圧変動をモニタリングすることにより)一方で、麻酔深さ/患者の意識レベルを所定目標に維持及び制限することが、患者の血行動態変化の精細な弁別及び有効な制御を可能にするということである。
上述のモニタリングデバイスにより、挿管処置前に定量化ができる患者の意識レベル及び患者の血行動態パラメータ、すなわち血圧、心拍出量又は一回拍出量、心拍数、及び体血管抵抗、の同時観察が可能となり、かつ、当該ディスプレイの観察によりユーザは、これらのパラメータの変化を患者の意識レベルの変化に相関させることができる。これは、上述のように、血行動態パラメータの劇的な変化が生じ得る鎮静/麻酔の誘導段階中に特に有用である。
同時観察のためのディスプレイは例えば、上述の画像が当該ディスプレイ上に表示される画像のみであるようにできる。この性質のディスプレイは有利である。表示される画像を、上述のパラメータを表示するべく割り当てられるディスプレイ領域又は当該ディスプレイ領域の一部のサイズと同じ大きさとすることを許容して、観察者を関連表示情報に導く支援となるからである。この性質の構成はまた、ディスプレイの必要なサイズを小さいままとすることにより手術室の貴重な空間を節約するのに役立つ。当該画像と並べて数字を表示することが、画像の形態でも表示されるパラメータ又は画像の形態では表示されないパラメータの現行値を迅速に確認するのに役立ち得る。画像は、利用可能な/割り当てられるディスプレイ領域の大部分、例えば70%超過又は80%超過、を占めるようにできる。
しかしながら、本発明は、上述の画像を表示するだけのモニタリングデバイスに限られない。モニタリングデバイスの一部として大きなサイズのディスプレイを使用することが許されるか、又は小さな形態の画像を表示することが許される場合、他の画像(又はより一般的にはアイテム)を当該ディスプレイ上に表示できる。この場合、画像のディスプレイはそれでも、観察者に表示される情報がその表示を介して当該観察者に容易にアクセス可能であるようにするべきである。これは、上述の画像をまとめてグループ分けすることにより達成できる。その結果、観察者は当該画像間に与えられる他の情報に邪魔される/注意をそらされることがなくなる。換言すれば、画像は、隣接する態様で/隣接するディスプレイパネルに配置することで表示できる。画像のいくつかはもちろん、当該画像を同時観察するべく表示する目的がなおも達成できる限りにおいて、互いに重ね合わせることができる。ディスプレイパネルはまた、数値形態で表示するコンポーネントを含む。当該コンポーネントの表示は、観察者が表示される画像を評価することを支援する。上述したパラメータの現行値を数値形態で表示することが、この一例である。
本発明の他側面によれば、意識レベルを示す信号を取得する部分と、動脈圧信号を取得する部分と、ディスプレイと、プロセッサとを含むモニタリングデバイスが与えられる。プロセッサは、ディスプレイに、同時観察を目的として、経時的な血圧信号を示す画像と、経時的な心拍出量又は一回拍出量を示す画像と、経時的な体血管抵抗を示す画像と、一の動作モードにおいて意識レベルを示す信号に基づいて経時的な意識レベルを示す画像又は他の動作モードにおいて一回拍出量の変動、脈拍圧(心収縮期・心拡張期動脈圧)の変動、及び/若しくは脈波変動(パルスオキシメータ波形振幅)指数を示す画像のいずれかとを表示させる。動脈圧信号に少なくとも部分的に基づいて、心拍出量、一回拍出量、体血管抵抗、一回拍出量の変動及び脈拍圧の変動を決定することができる。
モニタリングデバイスは、意識レベル表示と一回拍出量又は脈拍圧変動表示との切り替え機能を与えることの代わりに又はこれに加えて、意識レベルと一回拍出量若しくは脈拍圧変動又は脈波変動指数との同時表示を与えることが、利用可能な画面サイズが当該表示を許容する場合においてできる。いずれの場合も、モニタリングデバイスは、患者のハイドレーションレベル(一回拍出量及び/若しくは脈拍圧変動又は脈波変動指数を観察することにより)及び意識レベルの観察を、同時に可能とするか、又はモニタリングデバイス上に、例えばタッチ感受性画面上に表示されるアイコンの形態で設けられるトグルスイッチのアクティベーションを介して可能とする。このモニタリングデバイスは、一回拍出量変動及び/若しくは脈拍圧変動又は脈波変動指数についての有意なデータが利用可能な場合、挿管処置後に特に有利である。
表示される画像を、介入に対する患者の反応を示す画像に置換することが、臨床医にとってさらに有用な情報を与え得ることが認識されている。当該表示を促すべく、プロセッサはさらに、上述の動作モード以外の動作モードにおいて、前記画像の一つの表示を、介入に対する血行動態パラメータの反応を示す画像の表示に置換するべく構成することができる。当該反応を示す画像は、介入直前のパラメータレベルに対する当該パラメータのパーセンテージ変化を表示し得る。当該画像は、心拍出量、一回拍出量、体血管抵抗、又は心収縮期若しくは平均動脈圧の変化を表示し得る。プロセッサは、経時的な心収縮期若しくは平均動脈圧の絶対値及び/又は患者の心拍数の指標を示す画像をディスプレイ上に保持するべく構成され得る。
上述の表示のいずれかにより、臨床医が異なるモニタリングデバイスを観察しなければならない必要性及び/又は特定のモニタリングデバイスの異なる表示間で変更を行わなければならない必要性が回避される。これは、血圧の単独の/隔離されたモニタリングが、圧力降下の決定因子の特定及びその血圧変化への相対的な寄与の特定を可能とはしないことから、有利である。したがって、本発明のモニタリングデバイスは、他のモニタリングデバイスよりもユーザフレンドリーである。理解されることだが、このことは、これにより臨床医が、潜在的な臨床状況に対処している間にモニタリングデバイス上に表示されるパラメータを変更しなければならない必要性を低減することから、臨床上重要となり得る。
発明者はさらに、麻酔に対する患者の血行動態反応が複雑かつ患者ごとに個別であって血圧モニタリング単独では十分に理解できないことから、血圧及び/又は血流の回復を目標とする標準プロトコルを追従することは賢明でないことを見出した。その代わり、患者の血圧及び/又は血流及び/又は酸素送達の回復に対する治療アプローチは、患者の血圧及び/又は血流の回復を制限する因子をなくすか又は少なくとも低減することを目標とする、情報に基づくアプローチとするべきである。当該アプローチのいずれかを、異なる因子に対して一回に一つ及び/又は段階的な態様で対処するように計画的に行うことができる。臨床医が、例えば体血管抵抗の表示に基づいて、患者の体血管抵抗又は患者の後負荷が心拍出量の障害となっていると決定する場合、当該臨床医は、動脈トーンの低下を引き起こす血管拡張剤を投与すべきと決断することができる。当該血管拡張剤投与の効果は、ディスプレイ上の患者の血行動態パラメータ表示を介して観察することができる。当該血管拡張剤投与が効果なし又は効果不十分の場合は、代替的な又は付加的な介入を行うことができる。血管拡張剤は代替的に、静脈トーンの低下をもたらして前負荷及び可能な結果としての一回拍出量を低下させるべく使用し得る。血管拡張剤の当該使用の正味の効果は、後負荷、体血管抵抗、及び前負荷間の低下の結果的なバランスであって、上述のモニタリングデバイスのいずれかを使用して観察することができる。当該観察が、動脈トーンの低下が患者の血行動態パラメータを改善するのに有効であることを示す場合、当該動脈トーンの低下は、臨床医により例えば動脈血管拡張剤の投与を介してさらに促進され得る。静脈の血管拡張が支配的な場合は、静脈トーン効果が強調された薬剤の方が適している。他の観察が、例えば動脈トーンの増加による血圧増加に対して、動脈の血管収縮が望ましいことを示唆する場合、投与すべき血管収縮剤のタイプ選択が重要となる。静脈トーンではなく、動脈に対して際立った効果を有する血管収縮剤もあるからである。心室の筋肉収縮性を増加させるには、筋収縮剤が投与され得る。
理解されることだが、血圧及び血流を回復させる目的は、患者の組織が十分な酸素添加を受けていることを確保することにある。組織に到達する血液量及び血流が組織に到達する容易性に加え、酸素添加性を決定する因子は、酸素送達のため血液中で利用可能な飽和ヘモグロビン量である。血中ヘモグロビン値が低い場合、血流を増加させるのが望ましい可能性が高い。したがって、理解されることだが、血中ヘモグロビン濃度を知ること及び血中ヘモグロビン飽和度を知ることが有利である。モニタリングデバイスは、この目的のため、血中ヘモグロビンレベルの指標、利用可能なヘモグロビンの飽和度、及び/又は血中酸素含有量を、例えば、関連値の入力が可能なグラフィカルユーザインターフェイスの形態で、又は他の測定デバイスからの当該値のいずれかを代表する信号を受信するべく構成される入力の形態で、入力する入力を含む。プロセッサは、低血中ヘモグロビン濃度の原因となる血流に対する、又はモニタリング開始時の若しくは外科的処置の開始時のヘモグロビン/飽和濃度若しくは目標値からのヘモグロビン及び/若しくは飽和濃度の変化の原因となる血流に対する目標値を増加させるべく構成される。
発明者は、正常血液量を回復させること及び麻酔が十分ではあるが過剰ではないことを確保することが、手術中にある患者の血圧状態/血行動態の良好な制御への大きなステップであることを見出した。本発明のモニタリングデバイスは、この2つの目的において臨床医を支援するのに適している。また、適切な血圧若しくは血流を回復させるには操作するべきでないか又はたとえ操作されるとしても血圧若しくは血流の改善をもたらすことがない血行動態パラメータ及び意識レベルのパラメータを特定できることが有利であることが見出された。当該パラメータの特定により、効率的又は有効な態様で血圧低下を治癒させることができないか又は患者の状態に有害でさえある輸液チャレンジ又は薬剤の投与を防ぐことができるからである。例えば、患者の体血管抵抗が、麻酔誘導過程にわたって著しくは変化していないことが予想し得る。したがって、何らかの血圧低下が、低下した心拍出量により引き起こされる可能性が高い。これは、体血管抵抗を増加させる薬剤が禁忌であることを示唆する。当該薬剤が、後負荷を増加させる可能性が高く、明確な陽性効果なしに血流を低下させ得るからである。
本発明のモニタリングデバイスは、あり得る血圧低下原因を特定する上で、及び当該低下に対する関連した適切な治癒及び当該低下を治癒しようとするには不適切な方法を特定する上で臨床医を支援することができる。したがって、本発明のモニタリングデバイスにより、麻酔医は、患者の麻酔深さ/意識レベル及び輸液状態を十分に制御することができる。
本発明のモニタリングデバイスは、麻酔誘導中の血圧変化の背後にある駆動因子の特定及び可能であれば定量化さえも、上述のパラメータを表示することにより促すことができる。本発明のモニタリングデバイスはさらに、血圧(及び意識レベル)を目標レベルまで修正するべく臨床医がとる手段の有効性のモニタリングを、当該目標レベルを表示することにより促すことができる。当該目標値は例えば、誘導前の血行動態パラメータ若しくは血圧の値に対応するか又は近似する。例えば、患者が(外科的)介入前に十分な血流を有すると評価されている場合、患者の血中酸素含有濃度が変化しないままであれば、このレベルの血流が良好な血流目標として使用される。誘導前の血圧又は血行動態パラメータのレベルに基づく目標値を使用することにより、モニタリングデバイスを、当該モニタリングデバイスを絶対値表示のため較正する必要なしに、関連する変化を表示するべく使用することができる。
代替的に、何らかの目標値を所定値とし得る。所定値の使用は、誘導前の値が不適切な目標値である状況において、例えば通常高血圧である患者に対して、特に有利である。血圧及び心拍出量に対する目標値を与えることは特に有利であり、モニタリングデバイスを、血圧及び心拍出量に対する目標値を与えるように構成し得る。
情報/目標に基づく態様で手術中に血流パラメータを最適化することは、手術の結果を改善することが示されている。特に、手術後に患者が被る副作用を低減し得ることが示されている。その結果、患者が手術後入院しなければならない期間も低減し得る。
意識レベルを示す信号は、生体電位信号又は生体電位信号に基づくものであり得る。生体電位信号は例えば、生体電位信号が導出されている患者の意識レベルの指標を決定するための基礎として使用され得るEEG信号であり得る。モニタリングデバイスは、生体電位信号から意識レベルを決定する手段を含む。代替的に、意識レベルを示す信号は、モニタリングデバイスの外部に与えられるデバイスから受信し得る。したがって、当該信号は、例えば上述の生体電位信号に基づいて意識レベルを決定するデバイスの出力信号であり得る。当該出力信号は例えば、二波長指数(BIS)信号であり得る。この場合、モニタリングデバイスの、意識レベルを示す信号を取得する部分は、意識レベルを決定するデバイスからの接続/ケーブル又は無線送信を受信するべく構成される簡単な入力(コネクタ)であり得る。意識レベルを決定する一つの適切な外部デバイスは、Covidien社の二波長指数(RTM)デバイス(Covidien pic, Cherrywood Business Park , Loughlinstown, Co. Dublin, Ireland)である。このような他のデバイスは、SEDline(登録商標)脳機能モニタ(SEDline, Irvine, CA, USA)である。意識レベルを示す信号を取得する部分はまた、外部デバイスから受信される任意信号がアナログ信号の場合、アナログ・デジタル変換器を含む。
プロセッサはさらに、麻酔深さ/意識レベルに対する目標レベルを表示するべく及び/又は意識レベル/麻酔深さが所定範囲内にあるか否かの指標を与えるべく構成することができる。この所定範囲は、術後想起/認識を防ぐ一方で術後想起を防ぐ目的に必要なレベルより低くはない意識レベルを示すものとして知られている範囲である。意識レベル/麻酔深さが二波長指数により測定される場合、適切な範囲は40から60とすることができる。
特許文献1、特許文献2、及び同時係属の英国特許出願第1002331.5号明細書は、患者の左室一回拍出量を当該患者の動脈圧に基づいて決定する方法を開示する。当該文献及びこれらに開示される方法は、本明細書に明示的に参照として組み入れられ、本発明の実施例における表示を目的として一回拍出量を決定するべく使用することができる。心拍出量は、一回拍出量と心拍数の積として計算することができる。心拍数自体は、動脈圧信号から直接導出することができるか、又は代替的に、モニタリングデバイス、例えばECG装置、の外部入力を介して得ることができる。平均動脈圧はまた、既知の方法により、動脈圧信号から直接導出することができる。体血管抵抗はその後、平均動脈圧と心拍出量の比として計算することができる。
一回拍出量の変化は、例えば一以上の呼吸サイクルにわたる一回拍出量の変化を評価できるように、数回の心拍にわたってモニタリングすることができる。人工呼吸が施されている患者の一呼吸サイクルにわたり一回拍出量が変動するのは通常である。これは、当該患者の胸郭圧力が変わるからである。一回拍出量の大きな変動は、患者が血管内脱水であることを示し得る。したがって、一回拍出量の変化の表示は、患者が血管内脱水であるか否かを臨床医が決定することを支援し得る。また、患者のハイドレーション状態は、患者の脈波変動指数を測定することにより決定することができる。この指数を決定するのに適切なデバイスは、マシモレインボー(登録商標)SET SpHbトータルヘモグロビン測定器(Masimo, Irvine, California)である。
動脈圧信号を取得する部分は、センサから受信される信号に基づいて動脈圧信号を生成し、当該センサ自体を含み得る。代替的に、動脈圧信号を取得する部分は、当該信号を生成するデバイスからの信号を受信する入力である。この目的に適切な一つのデバイスは、LiDCO Ltd. of 16 Orsman Road, London, N1 5QJ, UKから入手可能なLiDCOrapid又はLiDCO(登録商標)plus血行動態モニタのような侵襲動脈圧モニタリングシステムである。適切な信号を与え得る他のデバイスも、関連する生理学的信号を非侵襲的な態様で取得することができる。CNSystems Medizintechnik AG Reininghausstrasse 13, 8020 Graz, Austriaから入手可能なCNAP(登録商標)500モニタ、及びBMEYE(BMEYE Headquarters, Centerpoint 1 , 4th floor, Hoogoorddreef 60, 1 101 BE Amsterdam, The Netherlands)から入手可能なNexfin(登録商標)テクノロジである。非侵襲的に決定される動脈圧信号を使用することは、モニタリングを、侵襲的に動脈圧が測定され得る動脈へのアクセスがなされる前の著しく早い段階に開始できる点で有利である。したがって、動脈圧を決定する非侵襲的技術は、患者のBIS/血行動態特性曲線のための第1データポイントを、当該患者が意識を有している間に得るのに役立つ。動脈圧を測定する何らかの非侵襲的技術は、ひとたび関連動脈アクセスがなされれば、所望に応じ、血圧を測定する侵襲的技術により補完又は置換され得る。
プロセッサは、ディスプレイに上述のパラメータの画像を表示させることに加え、当該パラメータの一以上の現行値を表示することができる。当該現行値は、対応画像と並べて画像の形態で表示される。これにより、当該表示はさらに明確となる。特に予想されることだが、モニタリングが、意識レベルの画像と、一回拍出量若しくは脈拍圧変動又は脈波変動指数の画像との間でトグルするべく構成される場合、患者の意識レベルの現行値は、一回拍出量変動若しくは脈拍圧変動又は脈波変動指数の画像と並べて表示される。
さらに予想されることだが、意識レベルの現在値及び過去値が、別個画像の形態で表示されない構成においては、ディスプレイに表示される画像の一つの上に数値形態で重ね合わせられる。意識レベルの現在値及び過去値は有利なことに、正確な時点/これらの発生時点に表示することができる。その結果、意識レベルの指標が、実質同時に取得/決定される血行動態パラメータと並べて与えられる。
これは本質的に有利であると認識されており、本発明の他側面によれば、意識レベルを示す信号を取得する部分と、動脈圧信号を取得する部分と、ディスプレイと、プロセッサとを含むモニタリングデバイスが与えられる。プロセッサは、ディスプレイが、経時的な血圧信号を示す画像、経時的な心拍出量又は一回拍出量を示す画像、及び経時的な体血管抵抗を示す画像の一以上を表示するように構成される。プロセッサはさらにディスプレイに、意識レベルの値を、前記表示される画像上に重ね合わせた数値形態で、当該意識レベルの値が発生した当該画像における時点で表示させるように構成される。
表示される画像は、意識レベル又は上述の経時的な血行動態パラメータをプロットし得る。画像は、互いに時刻が同期するように表示され得る。この性質の表示により、ユーザは、意識レベルの及び一以上の血行動態パラメータの同時変化を容易に検知することができる。当該同時変化の何らかの特定は、信頼性がありかつ迅速な、当該変化の原因の特定、及び何らかの望ましくない変化を計数するのに適切な方法の特定に役立つ。
一回拍出量の変化の表示は、所定期間にわたる一回拍出量のパーセンテージ変化の表示であり得る。当該表示は数値形態とすることができる。一回拍出量の変化は、代替的に又は付加的に、一回拍出量を、心拍ごとに一回の原則で経時的にプロットする曲線の形態で表示することができる。平均一回拍出量を中心とし、かつ、一回拍出量がこれを超えると患者の血管内脱水を示す上限及び/又は下限しきい値を示す一回拍出量値の範囲がさらに、一回拍出量の過剰な変動を容易に視覚化するべく当該曲線のいずれかの上に重ね合わせられる。
プロセッサの動作は、モニタリングデバイスに格納されたソフトウェアコードに基づく。
モニタリングデバイスはさらに、意識レベルを示す信号、意識レベルの指標、動脈圧信号、及び当該血圧信号から導出される上述の血行動態パラメータの一以上、の一以上を格納するメモリを含む。これらのパラメータの一以上の格納は、患者介護にとって、例えば麻酔処置及び/又は患者の血行動態状況を術後に検討することにとって、有用である。
これらの値を格納することはさらに、格納値間の何らかの相関分析を許容することができる。モニタリングデバイスは、当該相関のいずれかを特定するべく格納されたデータ値を分析するべく構成され得る。モニタリングデバイスは、当該相関のいずれかの特定をディスプレイ上に表示するべく構成され得る。特定された相関は、患者の血行動態パラメータの、何らかの将来的な変化を予測するのに有用となり得る。モニタリングデバイスは、この目的のために、血行動態パラメータ又は意識レベルが所定量だけ変化する場合に達成される可能性が高い変化又は改善を示す値をディスプレイに表示し得る。これは、患者の意識レベルの変化、心拍出量の変化、一回拍出量の変化、心拍数の変化、及び体血管抵抗の変化の一以上から達成できる可能性が高い心収縮期又は平均動脈圧の変化予測を与えることができる。当該予測は、従前に得られた値間で内挿することにより得ることができる。例えば、特性曲線を、従前に得られた患者の意識レベルの値と当該患者の心収縮期又は平均動脈圧の値とのペアにフィッティングすることによって、患者の意識レベルを臨床医が選択する量だけ増加させることにより達成し得る心収縮期又は平均動脈圧の増加の指標を得ることができる。例えば、線形関数が格納値にフィッティングできる/フィッティングされる場合、この関数の勾配が表示され(数値形態で及び/又は正確な勾配を有する曲線を表示することにより)、臨床医は、潜在的に達成可能なゲインの指標を得ることができる。線形関数は例えば、患者の意識レベルの値及び血圧の値を示す値を含む一連のデータセットにフィッティングされる。この関数の勾配を表示することによって、臨床医は、所定レベル、例えば単位値、だけ意識レベルを増加させることにより達成されるであろうあり得る血圧増加を知ることができる。したがって、モニタリングデバイスによって臨床医は、患者に投与される麻酔薬の量が低減される場合における心収縮期又は平均動脈圧の、達成可能性の高い増加に関する情報を得ることができる。これは、現行意識レベルが、患者が受けている処置の目的に必要なレベルよりも低い場合に特に有用である。このようにして/患者の意識レベルを、現行レベルよりは高いが当該患者が受けている処置/手術に適するほど依然として十分低いレベルにまで増加させることによって、達成されるか又は達成可能な心収縮期又は平均動脈圧の値の増加は、さらなる介入を必要としないようにしてこれを回避できるようになされる。
理解されることだが、血圧又は他の血行動態パラメータの患者の意識レベルへの依存性が強い場合(すなわち上述の勾配が急な場合)、意識レベルの変化は血圧又は他の血行動態パラメータに大きな影響を与える。この場合、意識レベルをモニタリングデバイスによって目立つように表示することが有利である。したがって、プロセッサは、当該勾配(又はその絶対値)が所定しきい値を超える場合に意識レベルを目立つ態様で表示するべく構成し得る。プロセッサは例えば、この場合の現行意識レベルを示す数値のみではなく、経時的な意識レベルの画像表示をもたらし得るか、又はこの態様で表示を変更することをユーザに提案し得る。
メモリが、モニタリングデバイスの内部に及び/又は取り外し可能な態様で与えられる。当該取り外し可能メモリは、モニタのレセプタクルに受容されるカードの形態で与えられる。この性質のカードは患者特有とすることができる。その結果、ひとたび当該カードがもはや当該患者のモニタリングに必要とされなくなると、患者のファイルとともにこれを保持することができる。
一連のデータセットを記録し及び当該記録されたデータセットを患者の特性曲線を与えるべく使用することは、本質的に有利と認められている。本発明の他側面によれば、意識レベルを示す信号を取得する部分と、動脈圧信号を取得する部分と、ディスプレイと、所定期間にわたり一連のデータセットを記録するべく構成されるプロセッサとを含むモニタリングデバイスが与えられる。各データセットは、所定時点の意識レベルを示す信号の少なくとも値と、所定時点の動脈圧信号の値、血行動態パラメータ、又は当該血圧信号に基づいて決定される血行動態パラメータの一以上とを含む。プロセッサはさらに、当該一連のデータセットに基づいて、心収縮期又は平均動脈圧の、体血管抵抗の、心拍出量の、一回拍出量の、一回拍出量変動の、及び脈拍圧変動の、意識レベル依存変化の一以上の特性を決定するべく構成される。
プロセッサはさらに、ディスプレイに当該特性の一以上と、当該特性に基づいて、表示される意識レベルの単位変化に対して予測される血圧変化の指標とを表示させるべく構成され得る。
モニタリングデバイスはさらに、動脈圧信号及び/又は意識レベルを示す信号にタイムスタンプを与えるべく構成され得る。タイムスタンプが与えられた信号を使用することで、得られた又は受信された信号をデータセット内で実質同時に照合することができる。モニタリングデバイスは、例えば一連のデータセットに数学的関数をフィッティングすることにより、当該データセット間で内挿するべく構成され得る。一連のデータセットは、意識状態の範囲、心収縮期又は平均動脈圧の値の範囲、一回拍出量の値の範囲、心拍数の範囲、体血管抵抗の値の範囲、心拍出量の値の範囲の一以上に及び得る。プロセッサは、当該データから得られた患者の特性曲線として、ひとたびフィッティングされた数学的関数を使用するべく構成され得る。プロセッサは、患者の意識レベルの一以上又は血行動態パラメータの一以上を変えることにより達成される可能性が高い血行動態パラメータの及び/又は心収縮期若しくは平均動脈圧の変化の予測を導出することができる。プロセッサは例えば、体血管抵抗、心拍出量、及び/又は意識レベルに誘導された変化により達成可能な心収縮期又は平均動脈圧のあり得る変化の予測を導出することができる。フィッティングされた数学的関数は線形関数であり得る。
モニタリングデバイスにより、ユーザは、事象の発生を入力することができる。例えば、鎮静/麻酔誘導の開始、人工呼吸の開始、外科的処置の開始、又は薬剤若しくは輸液チャレンジ投与の時点である。プロセッサは、ディスプレイにより表示される画像上にマーカを表示するべく構成し得る。これは、当該事象の正確な時点を、当該画像と並べて又はデータ上に重ね合わせて示す。モニタリングデバイスは、関連事象が発生したことをユーザがモニタリングデバイスに示すことができる入力手段を含み得る。当該入力手段はまた、ユーザが当該事象の性質を特定できるように構成され得る。
プロセッサはさらに、上述のパラメータのいずれか(又はすべて)の2つの画像を表示するべく構成され得る。当該2つの画像の一方は、一つの(長い)期間にわたる当該パラメータの変化/傾向を表示し、他方の画像は、短い期間にわたる当該パラメータの変化/傾向を表示する。この性質のディスプレイは、第1画像において当該パラメータ変化の長期的傾向の特定、及び第2画像における最近又は急性の変化の詳細分析を促す。予想されることだが、例えば、プロセッサは、心収縮期又は平均動脈圧、心拍数、及び一回拍出量の一以上の長期表示を、対応パラメータの対応短期表示と並んで与えるべく構成され得る。
本発明がモニタリングデバイスに関連して記載されたが、本発明はこれに限られない。本発明はまた、患者をモニタリングする方法、及び患者をモニタリングするべくトレーニングする方法に拡張される。本発明の他側面によれば、所定期間にわたり一連のデータセットを記録することを含む、麻酔誘導をモニタリングする方法が与えられる。各データセットは、所定時点において適用可能な患者又は模擬患者の意識レベルを示す信号の値と、当該時点において適用可能な前記動脈圧信号の値とを含む。
期間は、麻酔薬及び/又は鎮静薬の投与前の期間、麻酔薬及び/又は鎮静薬の投与と挿管処置との間の期間、並びに挿管処置後の期間を含む。
本発明の他側面によれば、患者の血圧若しくは血流を回復させる方法、又は麻酔及び/若しくは鎮静誘導に引き続き模擬患者の血圧を回復させるトレーニングの方法が与えられる。方法は、麻酔誘導中の患者又は模擬患者の意識レベルの所望レベルからの偏差を修正することを含む。この修正により、患者の血圧が改善される。当該改善のいずれかが不十分な場合、患者又は模擬患者のハイドレーションレベルが考慮され、当該患者が血管内脱水と決定されると、一以上の輸液チャレンジが投与される。患者又は模擬患者の血流又は血圧が所望目標未満のままである場合、適切な薬剤が、潜在的に適切な薬剤を計画的な態様で投与することにより決定される。
本発明の他側面によれば、患者の血圧若しくは血流を回復させる方法、又は麻酔及び/若しくは鎮静誘導に引き続き模擬患者の血圧を回復させるトレーニングの方法が与えられる。方法は、患者又は模擬患者への麻酔薬又は鎮静薬の投与を、当該患者又は模擬患者の意識レベルが所定範囲内となるように調整することと、当該患者が血管内脱水か否かを決定することと、当該患者が血管内脱水であると決定される場合に一以上の輸液チャレンジを投与することとを含む。方法はさらに、患者又は模擬患者の心収縮期又は平均動脈圧が所望値に到達したか否かを決定することと、当該患者の心収縮期又は平均動脈圧が当該所望値に到達していない場合に、計画的な適用を介して、当該患者若しくは模擬患者の血管系の静脈部分に優先的に作用する昇圧薬、当該患者若しくは模擬患者の血管系の動脈部分に優先的に作用する昇圧薬、並びに/又は当該患者若しくは模擬患者の血圧及び/若しくは血流を増加させるのに適した筋収縮薬のいずれかを決定することとを含む。
本発明の他側面によれば、患者の血圧及び/若しくは血流を回復させる方法、又は麻酔及び/若しくは鎮静誘導に引き続き模擬患者の血圧及び/若しくは血流を回復させるトレーニングの方法が与えられる。方法は、経時的な患者又は模擬患者の血圧レベル及び当該患者又は模擬患者の意識レベルの進展を示す画像をディスプレイ上に表示することと、当該患者又は模擬患者に、当該患者の意識レベルが所定目標ゾーン内となるまで投与される麻酔薬及び/又は鎮静薬の量を調整することとを含む。挿管処置に引き続き、患者又は模擬患者の経時的な血圧レベルの進展を示す画像と、当該患者若しくは模擬患者の左室一回拍出量の、及び/又は当該患者若しくは模擬患者の脈拍圧の、及び/又は当該患者若しくは模擬患者の脈波変動指数の変動の画像がディスプレイ上に表示される。その後、左室一回拍出量、脈拍圧、及び/又は脈波変動指数の変動の画像に基づいて、当該患者が血管内脱水である可能性が高いか否かが決定され、そうである場合、現行血圧が所望値に到達していなければ輸液チャレンジが投与される。患者又は模擬患者の経時的な一回拍出量の変化の画像が、前記輸液チャレンジ投与に引き続いて表示される。その後、患者又は模擬患者の血圧が所望値に到達しているか否かが決定され、当該患者又は模擬患者の血圧が所望値に到達していない場合、当該患者又は模擬患者の血圧を増加させるのに適した薬剤が、適した可能性がある様々な薬剤の計画的な適用を介して決定される。短期的効果を有する薬剤が、患者又は模擬患者の長期的効果を有する薬剤の前に適用され得る。これにより、2つの薬剤の効果が重ね合わせられて患者の状況変化を特定の薬剤に帰することが困難となることが回避される。
マーカを、介入のときに設定することができる。表示画像のマーカの位置に基づいて、当該介入が心収縮期又は平均動脈圧又は血流の観測される変化に影響を与えているか否かを決定することができる。
本発明の実施例が、例示のみとしてかつ添付図面を参照して以下に記載される。
本発明の一実施例が以下に記載される。図1は、本発明の一実施例に係るモニタ100の概要である。モニタ100は入力ポート110を含む。入力ポート110には、アナログ圧力波形を与えるデバイスを接続することができる。これを介して、アナログ圧力波形をモニタ100に入力することができる。アナログ・デジタル変換器120が、入力ポート110を介して受信された任意のアナログ圧力波形をデジタル信号に変換するべく与えられる。さらなる処理のため、デジタル信号をバス130に与えることができる。モニタ100は入力ポート140をさらに含む。入力ポート140には、BIS信号を与えるデバイスを接続することができる。これを介して、BIS信号をモニタ100に入力することができる。この場合において、BIS信号はデジタル信号と仮定されるので、モニタ100はこれを、アナログ・デジタル変換を予めすることなく使用することができる。しかしながら、理解されることだが、患者の意識レベルを示すアナログ信号を、当該信号をバス130に供給する前に変換するべくアナログ・デジタル変換器が使用される他の構成も考慮される。モニタ100は、マイクロプロセッサ150、バッファとして機能し得るRAM160、ハードドライブ170の形態で与えられる永久格納手段、及びいくつかの入力/出力手段180をさらに含む。当該入力/出力手段の例は、モニタ、プリンタ、及びキーボード等である。図示されていないが、モニタ100は入力手段をさらに含み、これを介して患者の心拍数を示す信号を受信することができる。
Kings College Hospital, London, UKにおいて行われた調査結果を以下に説明する。当該調査の目的は、麻酔誘導にわたって動脈圧、心拍出量、及び体血管抵抗に発生する、末梢血管手術患者の誘導前ベースラインレベルからの変化を定量化することにある。当該血行動態変化と誘導後の前負荷反応パラメータとの相関及び麻酔深さの変化も調査された。
身体状況分類(ASA)グレードが2から4(94%がグレード3から4)であって、複合末梢血管手術(平均継続時間4.1時間)を受けている平均年齢73歳(範囲46から92)の46人の成人患者(男性36人、女性10人)が調査された。麻酔誘導には、レミフェンタニル及びプロポフォール標的濃度調節持続静注(TCI)が使用された。誘導前ベースラインから挿管処置直後までの血行動態データの変化が、LiDCO血行動態モニタ(LIDCO Ltd., UK)を使用した末梢動脈圧力波形の分析から記録された。誘導前ベースラインから挿管処置直後までの麻酔深さの変化は、患者の前額から記録された(Covidien社からのBIS)。血行動態及びBIS結果の一分平均変化が比較された。
平均動脈圧の平均降下は−40%±12%(範囲−13%から−62%)であった。この降下は、心拍出量の降下−33%±14%(範囲+15から−58%)、及び体血管抵抗のベースラインからの少量の平均低下−6%±18%(範囲+31から−36%)により支配的に駆動されていた。平均では、心拍出量の低下は圧力降下の82%に寄与し、46人の患者のうち一人だけに増加がみられた。対照的に、体血管抵抗は、46人の患者のうち28人に降下がみられ、当該46人中18人は変わらないか又は上昇した。心拍出量の降下は、一回拍出量の低下28%(±15%、範囲+10から−63%)、及び平均心拍数のずっと小さな低下−7%(±13%、範囲34から−37%)を反映していた。
誘導及び挿管処置直後の平均一回拍出量変動SVV%は17%であった。16人の患者(35%)が輸液反応性ではなかった(一回拍出量変動10%未満、SVV%<10%)。20人の患者(44%)が輸液反応性であった(一回拍出量変動0%以上、SVV%≧10%)。10人の患者に、一回拍出量に基づく輸液反応性評価を妨げる、挿管処置後の所定程度の心拍数変動があった。輸液反応性患者の心拍出量及び一回拍出量の低下は、非反応性患者よりも著しく大きかった(t検定SPSS、輸液反応性患者の心拍出量低下−36%を輸液非反応性患者の心拍出量低下−24%と比較、輸液反応性患者のP<0.001及び一回拍出量低下−31%を輸液非反応性患者の一回拍出量低下−17%、P<0.001と比較)。
BISの平均降下は58%±11%(範囲91.3から39.5)であった。各患者に対し、反応血行動態パラメータと絶対BIS値及びBIS値のパーセンテージ変化との間には、良好な相関/線形関係(ピアソン相関係数)が存在した。患者の一人に対する記録データが図2に示される。BISと平均動脈圧(MAP)、一回拍出量(SV)、及び体血管抵抗(SVR)それぞれとの相関が図3に示され、データが図2に示される。誘導前レベルと比較すると、BISの単位変化当たりの血行動態パラメータの平均低下は、心拍出量47ml/min(範囲0.11から−0.01l/min)、平均動脈圧0.75mmHg(範囲1.74から0.14mmHg)、心拍数0.108beats/min(範囲0.76から−0.41bpm)、一回拍出量0.461ml(範囲1.5から−0.16ml)、及び体血管抵抗1.9dynes・sec・cm−5(範囲17.69から−9.82dynes・sec・cm−5)であった。
観察されたBISと血行動態パラメータとの間の相関は、BISによる脳EEG活動レベルモニタリング及び可能であれば他のEEGモニタ/EEGモニタが、時間推移を反映し、血圧/血行動態に対する麻酔薬の作用の強さに正比例するということを意味する。過剰な麻酔の結果である過剰に低いレベルの脳活動は、麻酔の目的に必要な程度を超えて血圧及び血流/酸素送達を低下させるので、結果的には患者にとって潜在的に有害となる。
調査は、麻酔誘導中の血圧降下、特に血流低下、が患者の輸液状態によって部分的に駆動され、患者の意識レベル/麻酔深さによっては少ない程度までであることを示した。この血流低下は、大部分が左室一回拍出量の低下に起因する。体血管抵抗の変化が果たすのは小さな役割である。心拍出量及び一回拍出量に見られる降下は、輸液反応性ではない患者においてよりも、前負荷反応性の存在下において著しく悪化する。麻酔深さ/意識レベルの変化は、BISによる測定のように、当該血行動態変化に対して良好に相関する。BISと血行動態パラメータ変動との関係を示す、フィッティングされた線形関数の勾配は患者ごとに異なるが、高いBISスコアを許容することが一般に、血流及び血圧双方に対する改善と関連づけられることは当該調査により明らかである。麻酔深さを目標に維持しながら血流、SVR、血圧、及び輸液反応性を同時にモニタリングすることにより、誘導の結果見られる血行動態変化を精細に弁別して有効に制御することができる。
図4−1及び4−2は、一実施例に係るディスプレイ200の一例を示す。ディスプレイは、2つの領域220及び230を含むフラットパネルディスプレイである。プロセッサ150は、ディスプレイの領域220に血行動態パラメータを表示させ、領域230に意識レベルの指標、この場合は二波長指数、を表示させる。
領域220は次に、上部、中間、下部パネルに分かれる。上部パネルはディスプレイ領域240を含む。このディスプレイ領域240には、受信された動脈圧信号が経時的にプロットされ、図4−1及び4−2の当該領域には広帯域が表示される。さらに経時的にプロットされるのは、患者の平均動脈圧及び患者の心拍数である。平均動脈圧及び心拍数双方のトレースは、この例において、血圧信号の表示によりもたらされる帯域にわたり重ね合わせられる。これらの値は長期間、この例では10分を超える、にわたりディスプレイ領域240に表示される。これにより、臨床医は、一見してかつ表示パラメータを操作する必要なしに、表示パラメータの何らかの傾向又は長期的変化を観察することができる。ディスプレイ領域240により選択される期間は、長期的変化及び傾向の評価が可能である限り、この例において選択される10分の時間スケールと異なり得る。モニタリングデバイスはさらに、ユーザの要求に応えるべく、この表示窓の時間スケールのユーザ設定を許容し、及び/又は表示の継続時間に対する時間スケールの自動スケーリングを促し得る。
プロセッサはさらに、長期ディスプレイ領域240に事象マーカ260を与え、介入が行われた時点が示される。プロセッサは、当該事象の性質に関する記述のユーザ入力を許容し得る。図4−1及び4−2における事象マーカのナンバリングにより、モニタリングデバイスにより保持される事象記述のリストを介して当該事象の性質を容易に特定することができる。
上部ディスプレイパネルはまた、短期ディスプレイ領域250を含む。ディスプレイ領域250に表示されるパラメータはディスプレイ領域240に表示されるものと同じである。しかしながら、ディスプレイ領域250のために選択される時間スケールは、ディスプレイ領域240のために選択される時間スケールよりも短い(この場合2分)。ディスプレイ領域250に表示される細部(解像度)の量は、ディスプレイ領域240に表示されるものよりも多い。したがって、ディスプレイ領域240と250との組み合わせにより、表示パラメータの長期変化を(ディスプレイ領域240を介して)観察し、かつ、短期変化/急性変化を(ディスプレイ領域250を介して)観察することが許容される。平均動脈圧(MAP)並びに心収縮期(systolic)及び心拡張期(diastolic)血圧がさらに、領域270において数値形態で表示される。さらに心拍数が数値形態で領域280に表示される。
領域220の中間パネルはまた、領域220の上部パネルの長期及び短期ディスプレイ領域240及び250に類似する長期ディスプレイ領域290及び短期ディスプレイ領域300を含む。しかしながら、患者又は模擬患者の及び短期ディスプレイ領域290及び300は経時的に心拍出量をプロットする。心拍出量(cardiac output)がさらに、領域320における一回拍出量(stroke volume)の数値形態指標と並んで、領域310に数値形態で表示される。
ディスプレイ領域200の下部パネルは、事象の発生又は入力以来の血行動態パラメータ、この場合は一回拍出量、の経時的な変化をプロットする事象反応ディスプレイ330である。この変化は、この例においては、事象時点の一回拍出量(stroke volume)のパーセンテージ変化としてプロットされる。このパーセンテージ変化の現行値はまた、領域340に数値形態で示される。
プロセッサは、患者の意識レベルの指標、この場合は二波長指数、を領域230のディスプレイ領域350に表示させる。意識レベルは経時的にプロットされる。帯域360は、通常、認識/術後想起を防ぐ一方で、麻酔プロセスの副作用を最小限にするほど十分に高いとして臨床的に許容される二波長指数値の範囲(40から60)を示す。また与えられるのは、現行二波長指数値の数値形態ディスプレイ370である。
理解されることだが、ディスプレイ350は図4−1及び4−2において、ディスプレイ240及び290(これらは互いに時刻同期される)又はディスプレイ250及び300(これらもまた互いに時刻同期される)とは時刻同期態様で与えられていないにもかかわらず、ディスプレイ350の、ディスプレイ240、250、290、及び300の一以上との時刻同期も与えることができる。付加的に又は代替的に、図4−1及び4−2に示される事象マーカ260はまた、ディスプレイ領域350にも与えられる。その結果、臨床医は、一見してかつモニタリングデバイスの表示を操作する必要なしに、ディスプレイ領域240及び/又は290からの変化事象を、領域350に表示される意識レベルとリンクさせることができる。
図5はさらなるディスプレイパネル400を示す。このさらなるディスプレイパネル400は、図4−1及び4−2に示されるディスプレイパネルと並んで、例えばその直上若しくは直下、又はディスプレイ領域330を含む図4−1及び4−2の下部ディスプレイパネルに追加して、表示され得る。代替的に、ディスプレイパネル400は、例えば図4−1及び4−2に示される上部、中間、下部ディスプレイパネルの一つと置換し得る。ディスプレイパネル400は、所定期間にわたる最大一回拍出量変動が経時的にプロットされるディスプレイ領域410を含む。当該所定期間は呼吸サイクルであり得る。その結果、ディスプレイ領域410は、呼吸サイクルにわたる一回拍出量の変化を表示する。領域410においてさらに表示されるのは、一回拍出量変動(stroke volume variation)に対する境界ゾーン420である。当該境界ゾーンは、一回拍出量の10%変動領域を画定する。この領域を逸脱する一回拍出量変動は、臨床医により、患者が血管内脱水であることを示すとみなされる。ディスプレイ領域410の時間スケールは、長期的な一回拍出量変動が観察できるようにされる。理解されることだが、図5には示されていないにもかかわらず、図4−1及び4−2に示される事象マーカ260と類似又は同等の事象マーカを表示することもできる。さらに与えられるのは、一回拍出量の経時的な短期プロット430(一回拍出量変動ではなく)である。プロット430の時間スケールは、少数の呼吸サイクルにわたる一回拍出量変動が観察できるように選択される。実際一回拍出量の10%変動を示す帯域440もまた表示され、臨床医は、患者が血管内脱水であるか又はそうなり得るか否かについての見解を形成することができる。現行一回拍出量変動値もまた、数値形態で領域450に領域430と並べて表示される。
上述のように、血圧又は血流が他のパラメータに伴って受ける可能性の高い変化の指標が利用可能であれば、臨床医にとってさらに有用であり得る。図3はそのような指標を与える。例えば、平均動脈圧(MAP)及び一回拍出量(SV)が二波長指数に正比例することが示される。すなわち、図3は、患者の意識レベルが認識/術後想起を防ぐのに必要なレベル未満に低下している場合において、患者に投与される麻酔薬又は鎮静薬量の低下が平均動脈圧及び/又は一回拍出量の改善をもたらし得るということを直観的に示す。図3はまた、患者の意識レベルの変化が、体血管抵抗(SVR)の変化をもたらしそうにないことも示す。理解されることだが、この性質の指標は臨床的に有用であり得る。ただし、どのようにして血圧及び血流を所望レベルまで引き上げるべきか又は引き上げ得るかについての決定が完全に臨床医の責任にあることはもちろんである。したがって、予想されることだが、図3に示されるフィッティング曲線の一以上がモニタリングデバイスのディスプレイに表示され得る。図3に示されるもの以外のフィッティング曲線の表示もまた予想される。付加的に又は代替的に、フィッティング曲線の勾配は、患者又は模擬患者の意識レベルに誘導された変化がもたらす、あり得る変化の指標を臨床医に与えるべく、数値形態(例えばMAPに対してmmHg/BIS単位又は一回拍出量に対してml/BIS)で表示し得る。
理解されることだが、本発明は上述の実施例に限られない。さらに予想されることだが、意識レベル及び患者の血行動態パラメータを表示する異なる方法を麻酔誘導の異なる段階の間に使用することができる。例えば、患者の挿管処置までの誘導段階において、プロセッサは、血圧、血圧、心拍出量、及び体血管抵抗の変化の駆動因子、並びに患者の意識レベルをディスプレイに表示させることができる。これらの表示は、コンパクトな表示を与えるべく互いに重ね合わせることができる。代替的に、これらの表示は、3つのパネルに分離して与えることができる。これにより、表示データの容易な分析が可能となる。挿管処置に引き続き、プロセッサは、当該表示を(例えば挿管処置の完了を示す事象のユーザ入力後に)、例えば図4−1及び4−2に示される表示に変更することができる。これにより、意識レベルの変化と並んで患者の血行動態パラメータの変化の容易かつ迅速な分析が可能となる。特に予想されることだが、この性質及びこの目的の表示は、血圧、心拍出量、平均動脈圧又は心収縮期圧、及び意識レベルの経時的なプロットを含む必要がある。
麻酔誘導中における動脈圧降下の理由の分析に引き続き、麻酔医は、当該降下に対して特定された何らかの理由に対処することに興味を持つ可能性が高い。プロセッサは、この傾向を逆転しようとする麻酔医の試みを、麻酔医がとる何らかのステップに対する患者の反応を観察するべく有用な血行動態パラメータを表示することによって支援するべく構成することができる。上述のように、経時的な一回拍出量(stroke volume)の又は経時的な一回拍出量変動(stroke volume variation)(例えば図5に示されるような)の変動のプロットは、患者の血管内脱水を特定するべく有用であり得る。一実施例において、血圧、心拍数、心拍出量、及び体血管抵抗のプロットが、患者の意識レベルの経時的なプロットと並んでさらに与えられる。
上記実施例の記載は、グラフ形態の意識レベルの表示に焦点を当ててきた。しかしながら、またも上述のように、これは本質的ではなく、図6は意識レベルを表示する代替的又は付加的な方法を示す。図6は、心拍出量(cardiac output)の長期及び短期表示を表示するディスプレイパネル500を示す。心拍出量の長期表示上に重ね合わせられるのは、患者の意識レベルの値である。これは、当該値が表示される時点のものである。図6に示唆されるように、意識レベルを示す値がディスプレイパネルの下端から上方に表示される場合の高さは、その時点で患者が有していた意識レベルを示し得る。ただし、この態様で当該数値を位置決めすることはオプションである。当然に理解されることだが、図6が心拍出量の表示を、患者の意識レベルを代表する数値の表示と組み合わせる一方で、当該数値表示は、他の血行動態パラメータの一以上の表示と、例えば一回拍出量、一回拍出量変動、及び平均又は心収縮期血圧と、ペアにすることができる。
図7は、麻酔誘導中の血圧及び/又は血流の変化に引き続いて患者の血圧及び/又は血流を増加させる方法700のフローチャートを示す。最初にステップ710において意識レベルが決定される。意識レベルが所望値範囲内にない場合、ステップ720において、麻酔薬又は鎮静薬の投与量を変えることにより意識レベルが調整される。
その後、ステップ730において、平均動脈圧、心収縮期血圧、心拍出量、及び/又は一回拍出量が所望しきい値未満か否かが決定される。これに当てはまらないありそうにない事象において、方法が終了する。これらのパラメータの一以上が所望しきい値に到達していない場合は、ステップ740において患者が血管内脱水か否かが決定される。患者が血管内脱水である場合、ステップ750において、例えば200mlの輸液チャレンジが投与され、ステップ740において患者の輸液状態が再びチェックされる。輸液チャレンジの投与は、ステップ740において患者が血管内脱水であることが繰り返し決定される場合には所定回数繰り返すことができる。
ステップ740において患者が血管内脱水ではないと決定される場合、ステップ760において再び平均動脈圧、心収縮期血圧、心拍出量、及び/又は一回拍出量が所定しきい値未満か否かが決定される。これが依然として当てはまる場合、ステップ770において、血流及び/又は血圧を増加させるのに適し得る薬剤投与の計画的なアプローチが使用され、特定患者において血圧/血流を増加させるのにどの特定薬剤が適しているかが特定される。この計画的アプローチにおいて、時限的な効果を有する薬剤を最初に投与し、その血流及び血圧への効果がモニタリングデバイス上で観察され得る。この計画的アプローチにおいて、持続的な効果を有する薬剤が後に投与され、早期に投与された薬剤が所望の効果を有することが示されなかった場合、その効果の観察が再び引き続いて行われ得る。
理解されることだが、本発明についての上記記載は本発明を説明することのみを目的として例示するものである。当業者は、本発明が上述の例に限られないことが理解できる。