以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態では、後輪系にディスクブレーキタイプのEPBを適用している車両用ブレーキシステムを例に挙げて説明する。図1は、本実施形態にかかる駐車ブレーキ制御装置が適用された車両用のブレーキシステムの全体概要を示した模式図である。また、図2は、ブレーキシステムに備えられる後輪系のブレーキ機構の断面模式図である。以下、これらの図を参照して説明する。
図1に示すように、ブレーキシステムは、ドライバの踏力に基づいてブレーキ力を発生させるサービスブレーキ1と駐車時に車両の移動を規制するためのEPB2とが備えられている。
サービスブレーキ1は、ドライバによるブレーキペダル3の踏み込みに応じた踏力を倍力装置4にて倍力したのち、この倍力された踏力に応じたブレーキ液圧をマスタシリンダ(以下、M/Cという)5内に発生させ、このブレーキ液圧を各車輪のブレーキ機構に備えられたホイールシリンダ(以下、W/Cという)6に伝えることでブレーキ力を発生させる。倍力装置2は、エンジン負圧に基づいて踏力を倍力し、その力でプッシュロッドを介してM/Cピストンを押圧することでM/C圧を発生させている。また、M/C5とW/C6との間にブレーキ液圧制御用のアクチュエータ7が備えられており、サービスブレーキ1により発生させるブレーキ力を調整し、車両の安全性を向上させるための各種制御(例えば、アンチスキッド制御等)を行える構造とされている。
アクチュエータ7を用いた各種制御は、ESC(Electronic Stability Control)−ECU8にて実行される。例えば、ESC−ECU8からアクチュエータ7に備えられる図示しない各種制御弁やポンプ駆動用のモータを制御するための制御電流を出力することにより、アクチュエータ7に備えられる油圧回路を制御し、W/C6に伝えられるW/C圧を制御する。これにより、車輪スリップの回避などを行い、車両の安全性を向上させる。例えば、アクチュエータ7は、各車輪毎に、W/C6に対してM/C5内に発生させられたブレーキ液圧もしくはポンプ駆動により発生させられたブレーキ液圧が加えられることを制御する増圧制御弁や、各W/C6内のブレーキ液をリザーバに供給することでW/C圧を減少させる減圧制御弁等を備えており、W/C圧を増圧・保持・減圧制御できる構成とされている。このアクチュエータ7の構成に関しては、従来より周知となっているため、ここでは詳細については省略する。
一方、EPB2は、モータ10にてブレーキ機構を制御することでブレーキ力を発生させるものであり、モータ10の駆動を制御するEPB制御装置(以下、EPB−ECUという)9を有して構成されている。
ブレーキ機構は、本実施形態のブレーキシステムにおいてブレーキ力を発生させる機械的構造であり、前輪系のブレーキ機構はサービスブレーキ1の操作によってブレーキ力を発生させる構造とされているが、後輪系のブレーキ機構は、サービスブレーキ1の操作とEPB2の操作の双方に対してブレーキ力を発生させる共用の構造とされている。前輪系のブレーキ機構は、後輪系のブレーキ機構に対して、EPB2の操作に基づいてブレーキ力を発生させる機構をなくした従来から一般的に用いられているブレーキ機構であるため、ここでは説明を省略し、以下の説明では後輪系のブレーキ機構について説明する。
後輪系のブレーキ機構では、サービスブレーキ1を作動させたときだけでなくEPB2を作動させたときにも、図2に示す摩擦材であるブレーキパッド11を押圧し、ブレーキパッド11によって被摩擦材であるブレーキディスク12を挟み込むことにより、ブレーキパッド11とブレーキディスク12との間に摩擦力を発生させ、ブレーキ力を発生させる。
EPB2の加圧機構はモータ10、平歯車15、平歯車16、回転軸17、推進軸18により構成され、この加圧機構により駐車ブレーキ力を発生させる。具体的には、ブレーキ機構は、図1に示すキャリパ13内において、図2に示すようにブレーキパッド11を押圧するためのW/C6のボディ14に直接固定されているモータ10を回転させることにより、モータ10の駆動軸10aに備えられた平歯車15を回転させ、平歯車15に噛合わされた平歯車16にモータ10の回転力を伝えることによりブレーキパッド11を移動させ、EPB2によるブレーキ力を発生させる。
キャリパ13内には、W/C6およびブレーキパッド11に加えて、ブレーキパッド11に挟み込まれるようにしてブレーキディスク12の端面の一部が収容されている。W/C6は、シリンダ状のボディ14の中空部14a内に通路14bを通じてブレーキ液圧を導入することで、ブレーキ液収容室である中空部14a内にW/C圧を発生させられるようになっており、中空部14a内に回転軸17、推進軸18、ピストン19などを備えて構成されている。ボディ14は有底シリンダ状でその底面はブレーキパッド11と反対側に位置し、開口部がブレーキパッド11側に位置するように設けられている。このボディ14の開口部はピストン19で塞がれている。
回転軸17は、一端がボディ14に形成された挿入孔14cを通じて平歯車16に連結され、平歯車16が回動させられると、平歯車16の回動に伴って回動させられる。この回転軸17における平歯車16と連結された端部とは反対側の端部において、回転軸17の外周面には雄ネジ溝17aが形成されている。一方、回転軸17の他端は、挿入孔14cに挿入されることで軸支されている。具体的には、挿入孔14cには、Oリング20と共に軸受け21が備えられており、Oリング20にて回転軸17と挿入孔14cの内壁面との間を通じてブレーキ液が漏れ出さないようにされながら、軸受け21により回転軸17の他端を軸支持している。
推進軸18は、中空状の筒部材にて構成され、内壁面に回転軸17の雄ネジ溝17aと螺合する雌ネジ溝18aが形成されている。この推進軸18は、例えば回転防止用のキーを備えた円柱状もしくは多角柱状に構成されることで、回転軸17が回動しても回転軸17の回動中心を中心として回動させられない構造になっている。このため、回転軸17が回動させられると、雄ネジ溝17aと雌ネジ溝18aとの噛合いにより、回転軸17の回転力を回転軸17の軸方向に推進軸18を移動させる力に変換する。推進軸18は、モータ10の駆動が停止されると、雄ネジ溝17aと雌ネジ溝18aとの噛合いによる摩擦力により同じ位置で止まるようになっており、目標ブレーキ力になったときにモータ10の駆動を停止すれば、その位置に推進軸18を保持することができる。
ピストン19は、推進軸18の外周を囲むように配置されるもので、有底の円筒部材もしくは多角筒部材にて構成され、外周面がボディ14に形成された中空部14aの内壁面と接するように配置されている。ピストン19の外周面とボディ14の内壁面との間のブレーキ液洩れが生じないように、ボディ14の内壁面にシール部材22が備えられ、ピストン19の端面にW/C圧を付与できる構造とされている。また、ピストン19は、回転軸17が回転しても回転軸17の回動中心を中心として回動させられないように、推進軸18に回転防止用のキーが備えられる場合にはそのキーが摺動するキー溝が備えられ、推進軸18が多角柱状とされる場合にはそれと対応する形状の多角筒状とされる。
このピストン19の先端にブレーキパッド11が配置され、ピストン19の移動に伴ってブレーキパッド11を紙面左右方向に移動させるようになっている。具体的には、ピストン19は、その外周面がボディ14の中空部14aの内壁面に接して、推進軸18の移動に伴って紙面左方向に移動可能で、かつ、ピストン19の端部(ブレーキパッド11が配置された端部と反対側の端部)にW/C圧が付与されることで推進軸18から独立して紙面左方向に移動可能な構成とされている。そして、推進軸18が初期位置(モータ10が回転させられる前の状態)のときに、中空部14a内のブレーキ液圧が付与されていない状態(W/C圧=0)であれば、図示しないリターンスプリングもしくは中空部14a内の負圧によりピストン19が紙面右方向に移動させられ、ブレーキパッド11をブレーキディスク12から離間させられるようになっている。また、モータ10が回転させられて推進軸18が初期位置から紙面左方向に移動させられているときにW/C圧が0になると、移動した推進軸18によってピストン19の紙面右方向への移動が規制され、ブレーキパッド11がその場所で保持される。
このように構成されたブレーキ機構では、サービスブレーキ1が操作されると、それにより発生させられたW/C圧に基づいてピストン19が紙面左方向に移動させられることでブレーキパッド11がブレーキディスク12に押圧され、ブレーキ力を発生させる。また、EPB2が操作されると、モータ10が駆動されることで平歯車15が回転させられ、それに伴って平歯車16および回転軸17が回転させられるため、雄ネジ溝17aおよび雌ネジ溝18aの噛合いに基づいて推進軸18がブレーキディスク12側(紙面左方向)に移動させられる。そして、それに伴ってピストン19も同方向に移動させられることでブレーキパッド11がブレーキディスク12に押圧され、ブレーキ力を発生させる。このため、サービスブレーキ1の操作とEPB2の操作の双方に対してブレーキ力を発生させる共用のブレーキ機構とすることが可能となる。
また、サービスブレーキ1が作動されることでW/C圧が発生させられている状態でEPB2が操作されると、W/C圧によってピストン19が既に紙面左方向に移動させられているため、推進軸18に掛かる負荷が軽減される。このため、推進軸18がピストン19に当接するまではモータ10はほぼ無負荷状態で駆動される。そして、推進軸18がピストン19に当接するとピストン19を紙面左方向の押す押圧力が加えられ、EPB2によるブレーキ力が発生させられるようになっている。
EPB−ECU9は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のマイクロコンピュータによって構成され、ROMなどに記憶されたプログラムにしたがってモータ10の回転を制御することにより駐車ブレーキ制御を行うものである。このEPB−ECU9が本発明の駐車ブレーキ制御装置に相当する。EPB−ECU9は、例えば車室内のインストルメントパネル(図示せず)に備えられた操作スイッチ(SW)23の操作状態に応じた信号や、車両の前後方向の加速度を検出する前後Gセンサ24およびW/C圧センサ25の検出信号を入力し、操作SW23の操作状態や車両の前後方向のGセンサ値およびW/C圧に応じてモータ10を駆動する。さらに、EPB−ECU9は、インストルメントパネルに備えられたロック/リリース表示ランプ26に対してモータ10の駆動状態に応じて、ロック中であるかリリース中であるかを示す信号を出力する。
具体的には、EPB−ECU9は、モータ10に流される電流(モータ電流)をモータ10の上流側もしくは下流側で検出するモータ電流検出、ロック制御を終了させるときの目標モータ電流値(目標電流値)を演算する目標モータ電流演算、モータ電流が目標モータ電流に達したか否かの判定、操作SW23の操作状態に基づくモータ10の制御など、ロック・リリース制御を実行するための各種機能部を有している。このEPB−ECU9により操作SW23の状態やモータ電流に基づいてモータ10を正回転や逆回転させたりモータ10の回転を停止させることで、EPB2をロック・リリースする制御を行う。
続いて、上記のように構成されたブレーキシステムを用いてEPB−ECU9が上記各種機能部および図示しない内蔵のROMに記憶されたプログラムに従って実行する駐車ブレーキ制御について説明する。ただし、ロック制御や再ロック制御を含むロック動作にかかる制御処理以外の処理、例えばリリース制御処理などについては従来より変更が無いため、ここではロック制御や再ロック制御を含むロック動作にかかる制御処理についてのみ説明する。
まず、本実施形態で行うロック制御や再ロック制御を含むロック動作にかかる制御処理のメカニズムについて説明する。ロック動作にかかる制御処理は、操作SW23にてロック操作されたときに実行される。例えば、操作SW23がシーソースイッチによって構成されている場合、一方を押すことでロック操作、他方を押すことでリリース操作を指示できるようになっており、ロック操作が指示されたときにロック動作にかかる制御処理が開始される。
ロック動作にかかる制御処理では、まずロック制御を行うことで所望の駐車ブレーキ力を発生させる。具体的には、モータ10を正回転させることによって平歯車15を駆動する。これにより、平歯車16および回転軸17が回転させられ、雄ネジ溝17aおよび雌ネジ溝18aの噛合いに基づいて推進軸18がブレーキディスク12側に移動させられる。そして、ピストン19も同方向に移動させられることでブレーキパッド11がブレーキディスク12に押圧され、駐車ブレーキ力が発生させられる。このときの駐車ブレーキ力は、推進軸18がブレーキパッド11を押すことによってブレーキディスク12に加えている押圧力に対応した値となり、この押圧力は推進軸18に掛かる軸力に相当する値となる。そして、その軸力は、モータ10に掛かる負荷に対応した値となり、モータ10に流されるモータ電流値はその負荷に対応した値となる。したがって、基本的にはモータ電流値をモニタすることによって駐車ブレーキ力を推定することができる。このため、ロック制御時にモータ電流値が所望値になったことに基づいて所望の駐車ブレーキ力が発生させられたとして、ロック制御を終了すれば良い。
しかしながら、ブレーキパッド11やブレーキディスク12が高温状態のときにロック制御が行われた場合に、その後の温度低下により駐車ブレーキ力が低下する“熱緩み”が発生することがある。このような熱緩みが発生すると、坂路などにおいて車両の停止を維持できるのに必要な最小の駐車ブレーキ力(以下、停車維持制動力という)が維持できなくなり、車両が坂路に対して下向きにずり下がる可能性がある。
具体的には、熱緩みは以下のようなメカニズムによって発生する。これについて、図3に熱緩み前後のブレーキパッド11の様子を示して説明する。なお、熱緩みはブレーキパッド11の熱収縮だけでなくブレーキディスク12の熱収縮も要因となるが、ここでは理解を容易にするために、より熱収縮の大きくなるブレーキパッド11のみを例に挙げて説明する。
高温時、ブレーキパッド11は熱膨張している。その状態でEPB2を動作させて押圧力Aで車輪をロックした場合、ブレーキパッド11は熱膨張で図中斜線部の体積V1があったものが押圧力Aにより所定量ΔV1だけ弾性変形することで図中白抜き部の体積(V1−ΔV1)まで圧縮された状態となる。この弾性反力に基づく摩擦力によってロックが行われる。このため、ブレーキパッド11がブレーキディスク12に押し当てられていない状態であったとした場合の実際の体積は図中斜線部と白抜き部の総和(=V1)となるが、押圧状態となることで図中白抜き部の体積(厚みV1−ΔV1)となっている。この状態から温度低下が生じると、熱膨張していたブレーキパッド11の体積(厚み)が収縮する。
ここで、ロック状態ではブレーキパッド11の位置は変化しないため、温度低下後の体積V2が所定量ΔV2だけ弾性変形したときの図中白抜き部分の体積(V2−ΔV2)は温度低下前の体積(V1−ΔV1)から変化しない(実際には、ブレーキディスク12の熱収縮があるため、若干増加する)。したがって、温度低下により押圧状態となっていないときのブレーキパッド11の実際の体積(厚み)が縮小した分、ブレーキパッド11の弾性変形量が減少し、押圧力がAからA’に低下する。このため、駐車ブレーキ力が低下するのである。
このため、低下した駐車ブレーキ力を再び所望の駐車ブレーキ力に戻すために再ロック制御を行う。具体的には、再ロック制御によって再度モータ10を正回転させることで、ブレーキパッド11をブレーキディスク12側に更に押し込んで押圧力を大きくし、所望の駐車ブレーキ力が得られるようにする。
この再ロック制御では、まず、ロック制御が完了した時点T(1)での温度を推定し、ロックからの経過時間に基づく温度低下の予測に基づいて押圧力の低下、つまり駐車ブレーキ力の低下を推定する。そして、推定した押圧力が停車維持制動力を発生させる程度のレベルまで低下した時点T(2)のときに、再度のロック制御となる再ロック制御を行ってブレーキパッド11を押し込み、駐車ブレーキ力を上昇させるという手法が採用できる。
図4は、1つの押圧力低下曲線を用いる場合の再ロック制御の様子を示したタイミングチャートである。時点T(1)において所望のモータ電流値I(1)になることで所望の駐車ブレーキ力が発生した状態になると、モータ10への通電が止められる。その後、経過時間に伴ってブレーキパッド11やブレーキディスク12の熱収縮によって熱緩みが発生し、押圧力が低下していく。そして、経過時間に応じた温度低下を予測でき、その温度低下に対応する押圧力低下量も予測できることから、経過時間と押圧力低下量との関係を示す押圧力低下曲線を予め実験などに基づいてマップ(もしくは関数式)にしておき、押圧力が車両の停止維持ができなくなるレベルとなる再ロック要求押圧力F’まで低下する時点T(2)を求めることができる。このため、時点T(2)において再ロック制御を行い、ブレーキパッド11を押し込み、駐車ブレーキ力を上昇させることで、停車を維持することが可能となる。
ただし、1つの押圧力低下曲線のみを用いて押圧力を求めたのでは、例えば想定よりも風速が早い場合や雨天の場合やパッドの磨耗による剛性変化や熱膨張変化等で、その押圧力低下曲線と一致しなくなることがある。また、ロック時点での温度を正確に推定することは難しく、温度推定を誤ると温度低下の予想と実際の温度低下との乖離が大きくなってしまう。このため、本願の実施形態では、経過時間と押圧力低下の関係を示す押圧力低下曲線のマップ(以下、押圧力低下マップという)を複数記憶しておき、どのマップに該当する状況であるかを選択し、その選択したマップに基づいて再ロック制御を行うようにする。
具体的に、図5に示した複数の押圧力低下曲線を用いる場合の再ロック制御の様子を示したタイミングチャートを参照して、本実施形態の再ロック制御について説明する。ここでは、図中に示すように、複数の押圧力低下マップMとしてマップM1〜M5の5個を有している場合を例に挙げてある。
まず、ロック制御終了時の押圧力F(1)から所定時間TC経過後にチェック用にモータ10にモータ電流を供給して正回転させ、そのときのモータ電流値ICを求める。このとき、モータ電流ICについては、図5に示すように、モータ10を駆動して直ぐに突入電流が発生することから、電流印加後にモータ電流値が低下してから上昇に移行したことを検出し、そのボトムのときの値をモータ電流値ICとして求めるようにしている。また、このモータ電流値ICより推進軸18がブレーキパッド11を押すことによってブレーキディスク12に加えている押圧力FCを求める。そして、ロック制御終了時の押圧力F(1)と所定時間TC経過後の押圧力FCとの差分(F(1)−FC)から、押圧力低下マップMがマップM1〜M5のいずれに該当するかを選択する。
すなわち、チェック用にモータ10を正回転させる所定時間TCについてはロック動作にかかる制御処理を実行するEPB−ECU9にて把握していることから、その所定時間TCが経過時間に相当すると共に差分(F(1)−FC)が押圧力低下量に相当するとして、これらが押圧力低下曲線で表される関係になる。したがって、所定時間TCと差分(F(1)−FC)がマップM1〜M5のいずれに該当するものであるかを選択することで、そのときの環境に応じた押圧力低下マップMを選択することができる。
次に、停車路面の勾配などに基づいて停車維持制動力を発生させるのに必要な再ロック要求押圧力F’、つまり再ロック制御を要求するか否かの判定基準を求め、ロック制御終了時の押圧力F(1)と再ロック要求押圧力F’との差分と選択した押圧力低下マップMから、再ロック制御開始時間T(2)を設定する。このとき、今後押圧力が低下したとしても、押圧力低下マップMに基づけば再ロック要求押圧力F’までは低下しないと想定される場合には、再ロックの必要がないため、EPB2を停止する。
このようにして、再ロックを掛ける開始時間を予測し、再ロック制御開始時間T(2)になったときに再ロックを掛けるべくモータ10を正回転させてEPB2をロック動作させる。これにより、所望の駐車ブレーキ力を発生させるために必要な押圧力F(2)を発生させることができる。なお、このときの押圧力F(2)については、ロック制御終了時に発生させた押圧力F(1)と同じ値にしても良いが、再ロックを掛ける迄に要する時間中にも若干温度低下が発生し、それに基づく押圧力低下が生じることから、図5に示すように押圧力F(1)より押圧力低下を見込んだ値としても良い。また、ロック制御終了時に発生させた押圧力F(1)とは無関係の値としても構わない。
続いて、今度は再ロックによって発生させた押圧力F2と再ロック要求押圧力F’との差分と選択した押圧力低下マップMから、再び再ロック制御開始時間T(3)を設定する。このとき、今後押圧力が低下したとしても、押圧力低下マップMに基づけば再ロック要求押圧力F’までは低下しないと想定される場合には、再ロックの必要がないため、EPB2を停止する。
このようにして、再び再ロックを掛ける開始時間を予測すると共に、再ロック制御開始時間T(3)になったときに再ロック制御を実行し、モータ10を正回転させてEPB2をロック動作させることで、所望の駐車ブレーキ力を発生させるために必要な押圧力F(3)を発生させる。この後も、再ロック制御の必要がないと判定されるまで上記動作を繰り返すことで、温度低下に伴う押圧力低下が生じても、確実に停車維持制動力F’を発生させることが可能となる。したがって、従来のような押圧力センサを必要とせず、風速の変化や雨天の場合のように環境が変化しても熱緩みに対する再ロック制御を行うべき開始時間を予測して再ロック制御を実行することが可能となる。
また、再ロック制御を行った後の押圧力低下マップMについては、最初に選択された押圧力低下マップMをそのまま用いることも可能であるが、最初に押圧力低下マップMを選択してから風速の変化など環境が変化する可能性もあり得る。このため、再ロック制御を行う毎に改めて押圧力低下マップMの選択を行うようにしても良い。このようなマップ再選択について、図6に示したマップ再選択を行う場合の再ロック制御の様子を示したタイミングチャートを参照して説明する。
まず、ロック制御終了時の押圧力F(1)と所定時間TC経過後の押圧力FCとから最初のマップ選択が行われたのち、再ロック制御開始時間T(2)に至ると再ロック制御が行われ、再度ロックが掛けられる。この再ロック制御を実施する瞬間のモータ電流値IC2を検出し、このモータ電流値IC2から再ロック制御開始時間T(2)のときに発生していた押圧力FC2を求める。そして、ロック制御終了時の押圧力F(1)もしくは所定時間TC経過後の押圧力FCと再ロック制御開始時間T(2)の押圧力FC2との差分(F(1)−FC2またはFC−FC2)より、押圧力低下マップMがマップM1〜M5のいずれに該当するかを再選択する。これを再ロック後の押圧力低下マップMとして用いる。このように、マップ選択後にも、マップ再選択が行えるようにすることで、最初に押圧力低下マップMを選択してから風速の変化など環境が変化したとしても、それに対応した押圧力低下マップMとすることが可能となる。
また、本実施形態のように、同じブレーキパッド11を用いてサービスブレーキ1によるブレーキ力とEPB2による駐車ブレーキ力を発生させる形態のブレーキ機構の場合、EPB2の作動中に同時にサービスブレーキ1によるW/C圧も作用している場合がある。
例えば、ロック制御終了時におけるEPB2による押圧力をF(1)A、サービスブレーキ1に基づくW/C圧による押圧力をF(1)Pとした場合、押圧力F(1)はこれらトータルの値、つまりF(1)=F(1)A+F(1)Pとなる。この場合、ロック制御が終了してEPB2における推進軸18の位置が決まると、サービスブレーキ1によるW/C圧がなくなっても、EPB2の作動に基づくロックによって押圧力F(1)が上記トータルの値F(1)A+F(1)Pに維持される。
一方、所定時間TC経過時に押圧力FCを検出しようとする場合、EPB2はロック状態から更にブレーキパッド11をブレーキディスク12に押し込む状態に変化する。この場合、所定時間TC経過時にW/C圧による押圧力FCPが発生しているとすると、EPB2の作動に基づくロックの力で発生する押圧力FCAに加えて押圧力FCPが掛かっている状態から更に押し込んだときの押圧力に応じて力がモータ電流値に現れる。そして、押圧力FCについては、EPB2が推進軸18の位置固定で発生できる押圧力の低下分を検出する必要があるため、モータ電流値ICから求めた押圧力FCA’に押圧力FCPを加えることによって、EPB2の作動に基づく実際の押圧力FCを検出することができる。
このように、EPB2の作動中に同時にサービスブレーキ1によるW/C圧も作用している場合であっても、正確にEPB2の作動に基づく実際の押圧力FCを検出することができる。
なお、ここでは、チェック用にモータ10に対して電流印加を行うタイミングをロック制御終了から所定時間TCとして説明した。この所定時間TCについては、予め決められた一定時間であっても良いが、可変としても良い。具体的には、ロック制御終了時の押圧力F(1)と再ロック要求押圧力F’との差分が小さいときには、大きいときと比較して所定時間TCが短くなるようにしても良い。すなわち、押圧力F(1)と再ロック要求押圧力F’との差分が小さい場合、温度低下に伴う押圧力低下が生じたときに押圧力F(1)から再ロック要求押圧力F’に至るまでの時間が短くなるため、再ロック制御が必要であるかチェックする前に再ロック要求押圧力F’まで低下してしまう可能性がある。このため、所定時間TCを設定するための時間設定手段を備えるようにし、押圧力F(1)と再ロック要求押圧力F’との差分が小さいときには所定時間TCも短く設定されるようにすることで、押圧力が再ロック要求押圧力F’まで低下する前に再ロック制御が必要であるか否かのチェックを行うことが可能となる。
続いて、上記のようなメカニズムに基づいた具体的なロック制御や再ロック制御を含むロック動作にかかる制御処理の詳細について、図7〜図10を参照して説明する。図7は、ロック動作にかかる制御処理の全体のフローチャートである。図8は、ロック制御や再ロック制御およびこれら各制御時における押圧力検出の詳細を示したフローチャートである。図9は、押圧力FCの検出処理の詳細を示したフローチャートである。図10は、ロック動作にかかる制御処理のタイミングチャートである。
まず、操作SW23にてロック操作がなされると、図7に示すロック動作にかかる制御処理が実行される。この処理は、所定の制御周期毎に実行され、ロック動作が完了するまで実行される。
ステップ100では、ロック制御処理を実行すると共にロック制御終了時の押圧力F(1)を検出する(図10の時点T(1))。ロック制御処理および押圧力検出は、図8に示したフローチャートに基づいて行われる。なお、図8は、再ロック制御処理やそのときの押圧力検出にも用いられるフローチャートでもあり、通常のロック制御処理と再ロック制御処理の共通のフローチャートとされている。
ロック制御処理および押圧力検出では、ステップ200で図示しないメモリに記憶されている各種値をリセットするなどの初期化処理を行った後、ステップ210以降の各種処理を実行する。
ステップ210では、モータ10を正回転させ、そのときのモータ電流値MI(n)を検出すると共に、W/C圧センサ25の検出信号に基づいてW/C圧WC(n)を検出する。さらに、目標モータ電流値MIT(n)を演算する。目標モータ電流値MIT(n)は、停車維持制動力以上の制動力を発生させるのに必要な押圧力と対応するモータ電流値であり、例えば停車路面の勾配に基づいて演算される。停車路面の勾配については、前後Gセンサ24の検出信号に基づいて周知の手法により求めることができ、その勾配に対応するモータ電流値についても予め実験などに基づいて作成したマップもしくは関数に基づいて求めることができる。なお、nは、ロック制御および押圧力検出の処理を実行した回数に相当する値であり、MI(n)やWC(n)およびMIT(n)はn回目の演算周期において得られた各値を意味している。
そして、ステップ220に進み、制御中タイマーt2のカウントアップを行う。制御中タイマーt2は、モータ10を正回転させ始めてからの経過時間を計測するものである。モータ10への電流印加を開始した直後には突入電流が発生し、突入電流の発生期間中のモータ電流値はEPB2による押圧力を表したものではない。このため、制御中タイマーt2にて突入電流が収まると想定される時間である突入電流マスク時間IJT以上経過していることを計測している。そして、ステップ230で制御中タイマーt2が突入電流マスク時間IJT以上になるまではステップ210に戻って上記処理を繰り返し、それ以上になるとステップ240に進む。
ステップ240では、今回の制御周期に検出されたモータ電流値MI(n)が目標モータ電流値MIT(n)以上になったか否か、つまり所望の駐車ブレーキ力を発生させ得るモータ電流値に至ったか否かを判定する。そして、このステップで肯定判定されるまではステップ210に戻って上記処理を繰り返し、肯定判定されるとステップ250に進んでモータ停止を行うと共に、このときの押圧力F(N)を演算する。
ここで、押圧力F(N)は、上記したように、EPB2による押圧力とサービスブレーキ1に基づくW/C圧による押圧力のトータルの値となる。EPB2による押圧力については、今回の制御周期のときのモータ電流値MI(n)(ここではロック制御終了時のモータ電流値)をI(N)とすると、このI(N)の関数として表されることからFI(I(N))と表記される。また、サービスブレーキ1に基づくW/C圧による押圧力については、今回の制御周期のW/C圧WC(n)(ここではロック制御終了時のW/C圧)をW(N)とすると、このW(N)の関数として表されることからFW(W(N))と表記される。これらFI(I(N))とFW(W(N))の加算値がロック制御終了時のトータルの押圧力F(N)となる。そして、モータ電流値やW/C圧と押圧力との関係は、例えば図11(a)、(b)の特性図にて表されることから、この特性図を示したマップもしくは関数式よりI(N)やW(N)と対応する押圧力を求めることにより、FI(I(N))やFW(W(N))を求めることができる。このようにして、ロック制御が終了すると共に、そのときの押圧力F(N)を演算することができる。
なお、ここでいうNとは、ロック制御および再ロック制御によってロック動作を行う回数を示したもの、つまり何回目のロック動作であるかを示したものであり、ロック制御処理に関してはN=1である。このため、IN(N)やW(N)およびF(N)は、それぞれIN(1)、W(1)、F(1)として記憶される。
続いて、図7のステップ105に進み、停車路面の勾配より停車維持制動力を発生させるのに必要な再ロック要求押圧力F’を検出する。この再ロック要求押圧力F’についても、目標モータ電流値MIT(n)の演算と同様、前後Gセンサ24の検出信号に基づいて周知の手法により求めることができる。
続いて、ステップ110に進んでロック制御終了時間T(1)からの経過時間tのカウントアップを行ったのちステップ115に進み、経過時間tがチェックを行う所定時間TC以上になったか否かを判定する。そして、否定判定されればステップ110に戻って経過時間tが所定時間TCに至るまで待機し、肯定判定されればステップ120に進んで経過時間tが所定時間TCであるか否か、つまり所定時間TCであるかそれを超えているかを判定する。ここで肯定判定されればステップ125に進み、押圧力FCを検出し(図10の時点TC)、押圧力低下マップMを選択すると共に、押圧力最大低下量Fdmを算出する。
具体的には、ステップ125の処理は図9に示すフローチャートに基づいて行われる。すなわち、ステップ300で図示しないメモリに記憶されている各種値をリセットするなどの初期化処理を行った後、ステップ310以降の各種処理を実行する。
ステップ310では、モータ10を正回転させ、そのときのモータ電流値MI(n)を検出すると共に、W/C圧センサ25の検出信号に基づいてW/C圧WC(n)を検出する。次に、ステップ320に進み、モータ電流値MI(n)が上昇しているか否かについて、今回の制御周期で得たモータ電流値MI(n)と前回の制御周期のときに得たモータ電流値MI(n−1)との差(MI(n)−MI(n−1))が正であるか否かに基づいて判定する。ここで肯定判定されればステップ330に進んでモータ電流上昇中フラグをオンし、否定判定されればステップ340に進んでモータ電流上昇中フラグをオフする。そして、ステップ350に進み、モータ電流上昇中フラグがオフからオンに切り替わったか否かを判定し、切り替わったタイミングであればステップ360に進んでモータ電流上昇履歴のカウントアップを行ってからステップ370に進み、切り替わったタイミングでなければそのままステップ370に進む。
ステップ370では、モータ電流上昇履歴が2になったか否かを判定する。すなわち、突入電流が発生したときにモータ電流上昇フラグがオフからオンに切り替わるためモータ電流上昇履歴の1回目のカウントアップが為され、その後、モータ電流値MI(n)が低下してから上昇に移行し、再びモータ電流上昇フラグがオフからオンに切り替わるためモータ電流上昇履歴の2回目のカウントアップが為される。このため、モータ電流上昇履歴が2になったときに、突入電流後にモータ電流値が低下してから上昇に移行したときのボトムの値に至っていると考えられる。したがって、ここで肯定判定されるとステップ380に進んで、モータ停止を行うと共に、そのときのモータ電流値MI(n)およびW/C圧WC(n)をチェック時のモータ電流値ICおよびW/C圧WCとして、これらに基づいてチェック時の押圧力FCを演算する。
上記したように、所定時間TC経過時に押圧力FCを検出しようとする場合、EPB2はロック状態から更にブレーキパッド11をブレーキディスク12に押し込む状態に変化する。この場合、所定時間TC経過時にW/C圧による押圧力が発生していると、EPB2の作動に基づくロックの力で発生する押圧力に加えてW/C圧による押圧力が掛かっている状態から更に押し込んだときの押圧力に応じて力がモータ電流値ICに現れる。したがって、モータ電流値ICに対応する押圧力FI(IC)にW/C圧WCによる押圧力FW(WC)を加えることにより、押圧力FCを演算することができる。なお、押圧力FI(IC)や押圧力FW(WC)については、上記した図11(a)、(b)の特性図に示したマップもしくは関数式よりICやWCと対応する押圧力を求めることにより、演算することができる。
このようにして、押圧力FCを演算すると、図7のステップ130に進み、ロック制御終了時の押圧力F(1)と押圧力最大低下量Fdmとの差(F(1)−Fdm)が再ロック要求押圧力F’以上であるか否かを判定する。ここで肯定判定されれば、温度低下に基づいて押圧力低下が生じたとしても、再ロック要求押圧力F’以下に低下することはなく、停車維持が可能であることから再ロック制御を行うことなく本制御処理を終了する。そして、否定判定されれば、温度低下に基づいて押圧力低下が生じたときに停車維持ができなくなることから、ステップ135に進み、ステップ125で選択した押圧力低下マップMより再ロック制御開始時間T(2)を算出する。そして、ステップ110に戻り、再び経過時間tのカウントアップを行う。
この後、ステップ140に進み、経過時間tが再ロック制御開始時間T(N)に至ったか否かを判定する。そして、1回目の再ロック制御処理においては、N=2であることから、今回の場合、再ロック制御開始時間T(N)はステップ135で設定した再ロック制御開始時間T(2)となる。したがって、t=T(2)になるまで待機し、t=T(2)になるとステップ145に進む。
そして、ステップ145で再ロック制御処理を実行すると共に押圧力F(N)を検出する(図10の時点T(2))。再ロック制御処理および押圧力F(N)の検出については、図8に示した各種処理を実行することによって行われ、上記したロック制御処理および押圧力F(1)の検出と同様の処理によって行われる。1回目の再ロック制御処理においては、N=2であることから、今回の場合、押圧力F(2)が演算される。
この後、ステップ150に進み、押圧力低下量Fd(N)、ここではFd(2)を算出する。押圧力低下量Fd(2)は、押圧力F(2)から後どのくらい低下するかを示す値であり、選択されている押圧力低下マップMに基づいて算出される。その後、ステップ155に進み、1回目の再ロック制御終了時の押圧力F(2)と押圧力低下量Fd(2)との差(F(2)−Fd(2))が再ロック要求押圧力F’以上であるか否かを判定する。ここで肯定判定されれば、温度低下に基づいて押圧力低下が生じたとしても、再ロック要求押圧力F’以下に低下することはなく、停車維持が可能であることから再ロック制御を行うことなく本制御処理を終了する。そして、否定判定されれば、温度低下に基づいて押圧力低下が生じたときに停車維持ができなくなることから、ステップ160に進み、選択されている押圧力低下マップMより次の再ロック制御開始時間T(N)、つまりT(3)を算出する。これにより、ステップ140におけるT(N)がT(3)に置き換えられる。そして、ステップ110に戻り、上記処理を繰り返す。このような処理がステップ155で肯定判定されるまで繰り返され、一度再ロック制御が実行されてからでも更に再ロック制御が必要であるか否かを判定し、必要に応じて再ロック制御を実行することで、温度低下に基づいて押圧力低下が生じたとしても、停車維持が可能な状態が確保される。
以上説明したように、本実施形態では、EPB2を駆動するモータ10のモータ電流値に基づき、推進軸18がブレーキパッド11を押すことでブレーキディスク12に加えている押圧力を検出する。そして、ロック制御終了時の押圧力F(1)とそれから所定時間TC経過後の押圧力FCとの差に基づいて、複数の押圧力低下マップMからどの押圧力低下マップMに該当するかを選択し、選択した押圧力低下マップMを用いての再ロックの要否を判定している。また、再ロックが必要と判定した時、選択した押圧力低下マップMに基づいて再ロック制御開始時間T(2)を予測している。
このように、モータ電流値を用いて押圧力を検出すると共に、そのときの押圧力の低下の仕方が複数の押圧力低下マップMのどれに対応するかを選択するようにしている。このため、押圧力センサを必要とせず、かつ、風速の変化や雨天の場合のように環境が変化しても、ロック時点での温度を推定や検出することなく的確に熱緩みに対する再ロックの要否を判定して再ロック制御を行うことができる。これにより、的確に停車維持を図ることが可能となる。具体的には、再ロック制御が必要と判定された時、選択したマップに基づいて再ロック制御開始時間T(2)を設定することで、的確に熱緩みに対する再ロック制御開始時間T(N)を予測して再ロック制御を行うことができる。
また、このように再ロック制御開始時間T(N)を設定できることから、ウェイクアップ動作と組み合わせることで、再ロック制御時以外はEPB−ECU9を休止状態にすることができ、消費電力を低減することができる。
(他の実施形態)
上記各実施形態では、EPB2としてサービスブレーキ1とEPB2のブレーキ機構が一体化されたものを利用する場合について説明した。しかしながら、これは単なる一例を示したに過ぎず、サービスブレーキ1とEPB2とが完全に分離されたブレーキ構成であっても、本発明を適用することができる。
また、上記各実施形態では、ディスクブレーキタイプのEPB2を例に挙げたが、他のタイプ、例えばドラムブレーキタイプのものであっても構わない。その場合、摩擦材と被摩擦材は、それぞれブレーキシューとドラムとなる。
なお、各図中に示したステップは、各種処理を実行する手段に対応するものである。すなわち、EPB−ECU9のうち、ステップ100の処理を実行する部分がロック制御手段およびロック制御終了時押圧力取得手段、ステップ115の処理を実行する部分がモータ駆動時間設定手段、ステップ125の処理を実行する部分が設定時間押圧力取得手段に相当する。ステップ130の処理を実行する部分が再ロック制御判定手段、ステップ135の処理を実行する部分が再ロック制御開始時間設定手段、ステップ145の処理を実行する部分が再ロック制御手段および第2押圧力取得手段に相当する。ステップ150の処理を実行する部分が押圧力低下量算出手段、ステップ155の処理を実行する部分が停車維持判定手段、ステップ160の処理を実行する部分が第2再ロック制御開始時間設定手段に相当する。