JP6010417B2 - 発光素子及び立体画像表示装置 - Google Patents
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Description
このIP方式の立体ディスプレイの特徴は、コヒーレント光を用いずに水平、垂直の両方の視差表示が可能となることである。このため、眼精疲労の少なく、しかもメガネをかける必要のない自然な立体映像を表示可能な立体ディスプレイとしての実現が望まれている。
また、LED光やレーザ光を走査する素子として、EO(Electro-Optic:電気光学)効果を使った方式が提案されている。EO効果は、印加電界で物質の屈折率が変化する現象で、マイクロ波領域までの高速応答性が実現できる。このEO効果を利用する方式では、可動ミラー(ポリゴンミラーやガルバノミラー)方式で課題となっている素子サイズの小型化や動作の高速化について、1桁以上向上させることができるため注目されている。
そこで、前記した膨大な画素数を有するディスプレイの作製を容易化する手法として、光線指向性LEDとEO結晶とを組み合わせることで発光素子に光の走査性(光線の出射方向の可変性)を持たせて、FPDに搭載する発光素子の数を低減することが考えられる。
特許文献1に記載されたKTN結晶は、LN結晶に比べて20倍の性能指数があるが、それでも2mmの結晶厚で120Vの電圧を印加する必要がある。しかも、これらの結晶は、あくまでも光を走査する機能しかもたず、光源(LEDやレーザ発光素子)と分離して構成されるため、デバイスの構造やコストの点で大きな問題となる。この組み合わせは、原理的には可能であり、単一画素のみの走査は可能であるものの、それらを多数配列した構造は、LEDとEO結晶との位置合わせやそれらの配置構成の点、EO結晶を高電圧で動作させる必要がある点などから困難である。
なお、第1半導体層と第2半導体層とは互いに導電型が異なる半導体層であって、第1半導体層をn型半導体層とする場合は、第2半導体層はp型半導体層であり、第1半導体層をp型半導体層とする場合は、第2半導体層はn型半導体層である。
かかる構成によれば、発光素子の発光構造部は、可視光領域の光を発する良好な半導体発光素子として機能するとともに、半導体層が六方晶系の結晶構造を有するため、大きな逆圧電効果を得られる圧電素子として機能する。
請求項5に記載の発光素子は、前記第1半導体層と電気的に接続される第1電極と前記第2半導体層と電気的に接続される第2電極とを備え、前記第1電極と前記第2電極との間に印加される電圧に基づいて前記発光構造部の発光が制御されるように構成した。
請求項6に記載の立体画像表示装置は、基板上に、発光素子を画素として2次元アレイ状に配列して設けた表示パネルを備えたインテグラル・フォトグラフィ方式の立体画像表示装置であって、発光制御部と、出射方向制御部と、を備え、前記発光素子は、第1半導体層と、発光層と、第2半導体層とがこの順で積層された半導体の積層体を備えた発光構造部を有し、前記第2半導体層の一部又は前記第2半導体層の上面に、前記発光層が発した光の前記発光素子からの出射方向を特定するための構造物を有する出射方向特定部を備え、前記発光構造部の上面及び下面の平面視における端部に、それぞれ絶縁層を介して下部電極及び上部電極を、少なくとも一部が互いに対向するように備え、前記下部電極と前記上部電極との間に電圧を印加して前記発光構造部を変形させることで、前記出射方向を変化させるように構成とした。
請求項1に記載の発明によれば、InGaAlN系の半導体材料を用いて発光素子及び圧電素子として機能させるため、低電圧で発光と出射方向の変調とを行うことができる。
請求項6に記載の発明によれば、光の干渉を利用した出射方向特定部によって各画素からの光線の方向が特定されるため、レンズを用いた立体画像表示装置に比べて、高精細化することができる。また、1つの発光素子が複数の出射方向に対応する画素として機能するため、立体画像表示装置に搭載する発光素子の数を削減することができる。
[発光素子の構造の概要]
まず、第1実施形態に係る発光素子1の構造について、図1及び図2を参照して説明する。なお、図2(b)は、破断線より下の部分は図2(a)のA−A線における断面を示し、破断線より上の部分は図2(a)のB−B線における断面を示す。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る発光素子1は、光を放射する発光構造部2と、発光構造部2から放射された光を特定の方向に出射させる出射方向特定部3と、を積層して構成されている。
n型半導体層(第2半導体層)23は、n側電極25から注入されるキャリアである電子を輸送する輸送層であり、上面の一部に接触するn側電極25が設けられている。また、n型半導体層23の上面には、出射方向特定部3が設けられており、発光層22の発光領域22aから放射された光を出射方向特定部3に導光する。n型半導体層23におけるキャリア移動度は、p型半導体層21におけるキャリア移動度よりも大きくなるように半導体材料が選択されている。
p型半導体層21及びn型半導体層23は、それぞれ単層構成とすることができるが、多層構造とすることもできる。
特に、AlNは、この母体材料自身が有する歪が大きいため、GaNとの固溶体であるAlGaN系の半導体材料を用いることで、大きな逆圧電効果を得ることができる。
また、前記化学式において、組成(x、y)を調整することで、可視光のほぼ全域の波長の光を発光することができ、画像表示用の発光素子の半導体材料として好ましい。
ここでは、GaN結晶を例として説明する。GaN系の半導体結晶は、六方晶系の結晶構造を有し、結晶のc軸方向に成長した結晶である。また、発光素子1において、この半導体結晶は、c軸がZ軸に平行になるように設けられている。
この場合、図3(a)に示すように、−Z軸方向(GaN結晶の[000−1]方向)に電界Ezが印加されると、面内圧縮歪が生じて、c軸方向に引っ張り応力が作用してGaN結晶が伸張する。この電界Ezの向きとc軸方向の伸縮との関係は反転させることができる。すなわち、図3(b)に示すように、電界Ezの向きを+Z軸方向(GaN結晶の[0001]方向)とすることで、面内引っ張り歪が生じて、c軸方向に圧縮応力が作用してGaN結晶が圧縮される。
GaNを用いたLEDの場合、InNの固溶比率によって異なるが、GaNとInNとのヘテロ結合部における電界強度は、108V/mに達する。この電界により電子と正孔とが引き離されるため、LEDの発光効率は低下するものの、大きな逆圧電効果を利用することができる。
また、AlGaNのa軸方向の格子定数はGaNの格子定数よりも小さいため、半導体層中にAlGaNとGaNとの接合構造を有するように構成することでも、大きな逆圧電効果を得ることができて好ましい。
発光領域22aは、発光層22の、p側電極24とp型半導体層21との接触面の直上領域及びその近傍に位置する領域である。前記したように、発光領域22aは、p型半導体層21及びn型半導体層23におけるキャリア移動度と再結合時間との関係により、発光層22において選択的に発光する領域である。
なお、p側電極24の形状は円柱状に限定されず、角柱状、針状、球状、半球状など、任意の形状とすることができる。また、p型半導体層21との接触面の形状は、円形状に限定されず、楕円形や多角形とすることもでき、接触面の形状及び大きさは、構造物3aの構造に応じて定めることができる。
前記したように、半導体としてGaNを用いた場合は、キャリア移動度と再結合時間との関係から、p側電極24の直径Leと、発光領域22aの直径Lpとは、略同じとなる(Lp≒Le)。発光領域22aから放射された光は、n型半導体層23を伝搬する際に広がりを生じるが、n型半導体層23から外部に放射される際に、n型半導体層23の屈折率(誘電率)と外部の屈折率とで決まる臨界角θcによる制限を受けるため、外部に取り出される光の直径も制限される。すなわち、臨界角θcよりも大きな入射角でn型半導体層23と外部との界面に入射する光は、界面で全反射するため外部には取り出されない。この臨界角θcとなるときの発光領域22aの直上領域からの広がりをwとする。また、n型半導体層23の厚さをdとする。
このとき、これらのパラメータの間には、式(1)の関係がある。
Ls=Lp+2w
=Lp+2d・tanθc …式(1)
出射方向特定部3は、発光構造部2の上面に設けられ、発光構造部2の発光層22が発光する光を、光の干渉作用を利用して発光素子1から出射する光の方向を特定する構造物3aを有している。本実施形態では、出射方向特定部3は、平坦面であるn型半導体層23の上面に構造物3aを有している。また、構造物3aは、所定領域を取り囲むように、3つの柱状部31,32,33を有し、少なくとも一つの柱状部のn型半導体層23の上面からの高さ(以下、単に「柱状部の高さ」という)が、他の柱状部の高さと異なり、これらすべての柱状部31,32,33の上面から光を射出する。そして、これらの柱状部31,32,33の上面から出射する光同士の干渉を利用して、特定の方向に強度を有するようにするものである。
なお、出射方向特定部3により光の出射方向を特定する原理の詳細については、後記する。
また、本実施形態における出射方向特定部3は、n型半導体層23の上面に直接に柱状部31,32,33を設けるように構成したが、これに限定されるものではない。例えば、n型半導体層23の上面に均一な厚さの層を土台として設け、構造物3aである柱状部31,32,33を、この土台の上面に設けるようにしてもよい。また、発光構造部2の上面に出射方向特定部3を設けるのではなく、発光構造部2の上部であるn型半導体層23の一部(例えば、n型バッファ層)を加工して、柱状部31,32,33を形成するようにしてもよい。
また、柱状部31,32,33は、円柱形状に限定されるものではなく、多角柱であってもよい。また、柱状部の数は、3本以上であればよく、例えば、6本とすることもできる。
柱状部31,32,33は、発光素子1の発光領域22aから放出される光の波長λ0程度以上の径を有する。ここで、波長λ0は、自由空間における放射光の波長を示す。図5及び図6では柱状部31,32,33の平面視での形状を円形で示した。各柱状部31,32,33の太さは等しいものとした(半径をφとする)。柱状部31,32,33は、図5に示すように、発光素子1の光の出射面において、所定の原点Mの周囲に均等な角度α(この例では、α=120度)の方位に、互いに間隔pだけ離間して配置されている。また、柱状部31,32,33の間隔pは、隣り合った柱状部31,32,33から出射される光が干渉可能な程度に設定されている。すなわち、柱状部31,32,33は、出射光の可干渉長以下であることが好ましい。なお、光の可干渉長は、光源である発光構造部2(図1参照)が放射する光の発光スペクトルの中心波長と半値幅とに依存する。光源がLEDの場合は、例えば真空中において10〜数十μm程度の長さとなる。
図5に示した例では、所定の原点Mとは、発光構造部2(図1及び図2参照)の上面において3つの柱状部31,32,33により環状に取り囲まれた所定領域の中央に位置する点である。また、この原点は、柱状部33の中心O3と、柱状部32の中心O2と、柱状部31の中心O1とから等距離にある点であり、中心O1,O2,O3を頂点とする正三角形の重心のことである。ここで、3つの柱状部31,32,33は、円環状かつ均等に配置されることが好ましい。なお、柱状部31,32,33により取り囲まれた所定領域の形状やサイズは、柱状部31,32,33の直径とバランスを取りながら所望のものとして適宜設計できる。例えば柱状部31,32,33の直径が、発光波長λ0の数波長程度分であれば、所定領域のサイズは、数分の1波長〜数波長程度とすることができる。
また、以下の説明において、柱状部31,32,33によって出射方向を特定するに際して、機能の違いから、柱状部31,32を導波柱、柱状部33を制御柱と呼ぶことがある。
次に、図6を参照(適宜図1及び図2参照)して、発光領域22aの寸法と、柱状部31,32,33の寸法との相互関係について説明する。
なお、以下の説明では、簡便のため、n型半導体層23及び出射方向特定部3は、同じ屈折率の材料で構成されているものとして説明する。異なる屈折率の材料で構成されている場合は、発光領域22aの寸法として、直径Lpに代えて、前記した式(1)で算出されるLsを用いるものとする。
SL = πΨ2 …式(2)
SO = π(2φ+ρ)2 …式(3)
SP = πφ2 …式(4)
このとき、発光領域22aの面積SLと、柱状部31,32,33をすべて囲む最小の円の面積SOとの間に、式(5)の関係が成立することが望ましい。
SL ≦ SO …式(5)
3SP ≦ SL …式(6)
よって、これらをまとめると、光線の明瞭性の向上と、光線の方向制御の任意性の向上とを両立させるためには、式(7)に示す関係が成立することが望ましい。
N×SP ≦ SL ≦ SO …式(7)
但し、Nは柱状部の設置数を示し、3以上の整数である。
なお、平面視において、発光領域22aの面積SLは、前記したようにp側電極24の面積、より正確にはp側電極24の上面とp型半導体層21の下面とが接触する面積と同じであるとみなすことができる。
次に、発光素子1から出射される光線の方向を特定する原理である、発光素子1の柱状部31,32,33から出射される光の干渉の原理について図7を参照しつつ、適宜数式を用いて説明する。なお、柱状部31及び柱状部32は高さが同じであるので、図7及び数式を用いた説明では、簡便のため、高さの異なる2つの柱状部32と柱状部33とから出射される光の干渉を例に説明する。
位置r1にある波源と、位置r2にある波源とからそれぞれ射出された光によって、3次元空間の位置rに時刻tにおいて合成される光の強度I(r)は、次の式(12)で与えられる。
なお、柱状部32,33間の水平方向の間隔pが微小であるときには、光の進行方向が曲げられる大きさは、柱状部32と柱状部33との高さの差δが支配的な要因となる。
下部電極41a及び下部電極41bは、それぞれ下部絶縁層42a及び下部絶縁層42bを介して、発光構造部2の下面の左端及び右端に沿って設けられた帯状の電極である。
また、上部電極44a及び上部電極44bは、それぞれ上部絶縁層43a及び上部絶縁層43bを介して、発光構造部2の上面の前端及び後端に沿って設けられた帯状の電極である。下部電極41aと上部電極44aと、及び下部電極41bと上部電極44bとは、それぞれ発光構造部2を挟んで、一部が対向するように設けられている。
下部電極41a,41b及び上部電極44a,44bは、逆圧電効果を利用して発光構造部2の半導体結晶に歪を生じさせることで、発光構造部2の上面を傾斜させ、発光構造部2の上面に設けられた出射方向特定部3によって特定される光の出射方向を、発光構造部2の上面の傾斜角の分だけ変化させるための出射方向可変用の電極である。
ここでは、発光構造部2の上面を、左右方向(X軸方向)に傾斜させる場合を例として、光線の出射方向の変調について説明する。
図8(a)に示すように、発光構造部2の下部電極41a,41bと上部電極44a,44b(図2参照)との間に電圧が印加されない場合は、発光構造部2の上面は、基板40の上面(XY平面に平行な面)と平行である。このとき、出射方向特定部3によって特定される光線の出射方向が、発光構造部2の上面の法線に対してθxであるとする。
なお、本例では、電圧の印加のさせ方により、3方向に変調が可能であるが、印加電圧を細かく制御することで、更に多段階に変調することも可能である。逆に、左又は右に傾斜した2状態、すなわち、(θx+φx)と(θx−φx)との2段階に変調するようにしてもよい。この場合は、変調度は、左右の傾斜角の差である2φxとすることができる。
また、左端又は右端の一方にのみ電極を設けて電圧を印加して、伸張又は/及び圧縮するように構成してもよい。
また、上部電極及び下部電極を、それぞれ平面視で四辺に分離して設け、X軸方向だけでなく、Y軸方向についても、光線の出射方向を変調するようにしてもよい。
例えば、IP立体ディスプレイの要素画像が60×60画素相当の要素画素群であって、立体視が可能となる視野角を40°と想定した場合について考える。このとき、1つの発光素子1が出射方向を変調して、要素画像の隣接画素相当の刻みで、隣接する方向の光線を一定の角度刻みで出射する場合の角度ピッチ(角度分解能)は、
40°/60=0.66667°
となる。
40°/600=0.06667°
となる。
このような多数の要素画素数相当のIP立体ディスプレイを構成する場合は、逆圧電効果を利用して、出射方向を角度分解能の刻みで連続的に変えながら、LEDの発光輝度についても連続的に輝度変調することになる。
なお、前記した傾斜角φxは一例を示すものであり、表示パネルからの観察距離や出射方向の密度に応じて、適宜定めることができる。
次に、図1及び図2を参照して第1実施形態にかかる発光素子1の動作について説明する。
第1実施形態に係る発光素子1は、n側電極25及びp側電極24間に電力を供給することにより発光構造部2の発光層22が発光し、その光が出射方向特定部3に入射される。発光構造部2から出射方向特定部3に入射された光は、出射方向特定部3の構造物である柱状部31,32,33の構成によって特定される方向に出射される。また、下部電極41a,41b及び上部電極44a,44b間に電圧が印加されると、発光構造部2を構成する半導体層が逆圧電効果により印加された電圧に応じて変形する。そして、印加された電圧に応じて、発光構造部2の上面が傾斜し、これに連動して、出射方向特定部3が傾斜する。このとき、出射方向特定部3から出射される光線の方向は、出射方向特定部3が傾斜した分だけ変調される。
次に、図9から図11を参照(適宜図1及び図2参照)して、本実施形態に係る発光素子の製造方法について説明する。
なお、本例では、発光構造部2として、GaN系の化合物半導体を用いてLED構造を形成する場合について説明する。
まず、発光構造部準備工程において、図9(a)に示すように、発光構造部2を準備する。
発光構造部2は、サファイア、GaN、AlN、GaAs、SiC、Si、ZnO等からなる基板50上に、例えば、MBE(分子線エピタキシー)法、MOCVD(有機金属化学気相成長)法などの成膜方法により、剥離層51、n型半導体層23、発光層22及びp型半導体層21を順次に積層して形成することができる。
なお、各半導体層において、格子不整合となる接合面を設けると、大きな逆圧電効果を利用することができるため好ましい。
(参考文献1):特許第4653804号公報
なお、金属窒化物からなる剥離層51は、基板50上にMOCVD法により形成することができる。また、他の方法として、基板50上にスパッタリング法や蒸着法などにより金属膜を成膜した後、この金属膜をアンモニア含有ガス雰囲気で1040℃以上の温度として窒化させて金属窒化物膜を形成することもできる。
(参考文献2):特開2009−54888号公報
次に、下部絶縁層形成工程において、フォトリソグラフィ法によって、下部絶縁層42a,42bを形成する。
この工程においては、まず、図9(b)に示すように、p型半導体層21の表面全体に絶縁層42を形成する。絶縁層42は、SiO2やAl2O3などの絶縁材料を用いて、例えば、スパッタリング法やCVD法などにより形成することができる。
次に、図9(c)に示すように、絶縁層42をパターニングするためのマスク52を形成する。マスク52は、フォトレジストを絶縁層42の表面に塗布し、所望の形状にUV光を照射した後、現像することで形成する。次に、図9(d)に示すように、マスク52を用いて絶縁層42をp型半導体層21が露出するまでエッチングし、残った絶縁層42が、下部絶縁層42a,42bとなる。絶縁層42の絶縁材料としてSiO2を用いる場合は、エッチング法として、例えば、HF(フッ化水素)やKOH(水酸化カリウム)の水溶液を用いたウェットエッチングや、SF6,CHF3ガスプラズマを用いたドライエッチングを用いることができる。
なお、本実施形態では、マスク52は、次工程であるp側電極形成工程において用いるため、ここでは除去しない。
次に、下部絶縁層形成工程において、リフトオフ法により、下部絶縁層42a,42bから露出したp型半導体層21の表面にp側電極24を形成する。
この工程においては、まず、図9(e)に示すように、AlやCuなどの導電性材料を用いて導電層53を形成する。このとき、マスク52上にも導電層53が形成される。
次に、図9(f)に示すように、マスク52上に形成された不要な導電層53とともにマスク52を除去することで、導電層53がパターニングされ、p側電極24が形成される。
次に、下部電極形成製工程において、リフトオフ法によって、下部絶縁層42a,42b上に下部電極41a,41bを形成する。
この工程では、まず、図9(g)に示すように、p側電極24及びその周辺である下部絶縁層42a,42bの一部を被覆するマスク54を形成する。下部絶縁層42a,42bの一部まで被覆するのは、p側電極24と、この工程で形成される下部電極41a,41bとの短絡を防止するためである。マスク54は、フォトレジストをp側電極24及び下部絶縁層42a,42bの表面全体に塗布し、所望の形状にUV光を照射した後、現像することで形成する。次に、図9(h)に示すように、下部絶縁層42a,42b及びマスク54上にAlやCuなどの導電層55を、例えば、蒸着法により形成する。そして、図10(a)に示すように、マスク54上に形成された不要な導電層55とともにマスク54を除去することで、導電層55がパターニングされ、下部電極41a,41bが形成される。
次に、貼り合せ工程において、図10(b)に示すように、下部電極形成工程までの工程で作製したp側電極24及び下部電極41a,41bが設けられた発光構造部2を、p型半導体層12側で基板40と貼り合せる。基板40は、基体40aに、発光構造部2と融着するための接合層40bが設けられている。基体40aは、ガラス板や、Cu,Alなどの金属板を用いることができる。また、接合層40bは、300℃程度で溶融する樹脂を用いることができる。貼り合せ工程では、基板40と基板50との間に圧力をかけながら300℃程度に加熱することでp側電極24及び下部電極41a,41bを備えた発光構造部2と基板40とを融着させる。
なお、基板40を、例えば、IP立体ディスプレイの表示パネルの基板として、複数の発光素子1を配列して支持する場合は、複数の発光素子1のp側電極24、下部電極41a,41bとそれぞれ電気的に接続するための配線パターンを設けるようにしてもよい。
次に、剥離工程において、図10(c)に示すように、基板50を、発光構造部2から剥離する。
前記したレーザリフトオフ法により剥離する場合は、剥離層51であるGaNの下地層に、例えば、近紫外光のエキシマレーザのナノ秒パルス照射をしてGaNを分解し、基板50を発光構造部2から剥離することができる。
また、前記したケミカルリフトオフ法により剥離する場合は、剥離層51である金属窒化物層を、液剤を用いて化学エッチングすることで除去し、基板50を発光構造部2から剥離することができる。例えば、金属窒化物がCrNの場合は、エッチング用の液剤として、過塩素酸と硝酸二セリウムアンモニウムの混合液を用いることができる。
その他に、ボイド剥離法を利用して基板50と発光構造部2とを剥離することもできる。ボイド剥離法とは、基板50と半導体層である発光構造部2との間の下地層として、微細なボイド(孔)を高密度に有し、機械強度の小さい層を剥離層51として形成し、半導体層形成し後の温度降下時に生じる熱応力を利用して、発光構造部2と基板50とを自然剥離させる方法である。
次に、上部絶縁層形成工程において、図10(d)に示すように、発光構造部2の最上層であるn型半導体層23上に、上部絶縁層43a,43b及び出射方向特定部3(図1及び図2参照)を形成するための層である、絶縁層43を形成する。絶縁層43は、SiO2やAl2O3などの誘電体を用い、スパッタリング法やCVD法などにより形成することができる。
なお、図10(d)から図10(f)及び図11(a)から図11(f)においては、図に記載された破断線より上部は、図2(b)と同様に、YZ平面(図2参照)による断面を示す。
次に、フォトリソグラフィ法及びリフトオフ法を用いて、n型半導体層23の上面に電気的に接続されるn側電極25を形成する。
この工程では、まず、図10(e)に示すように、絶縁層43をパターニングするための、n側電極25を形成する領域に開口を有するマスク56を形成する。マスク56は、フォトレジストを絶縁層43の表面に塗布し、所望の形状にUV光を照射した後、現像することで形成する。
次に、図11(b)に示すように、マスク56上に形成された不要な導電層57とともにマスク56を除去することで、導電層57がパターニングされ、n側電極25が形成される。
次に、出射方向特定部形成工程において、絶縁層43を加工して、出射方向特定部3を形成する。
出射方向特定部形成工程では、図11(c)に示すように、FIB(Focused Ion Beam:集中イオンビーム)法などにより絶縁層43を加工して、出射方向特定部3の構造物である柱状部31,32,33(図2参照)を形成する。また、出射方向特定部3の形成は、柱状部31,32,33を形成する領域をマスクし、他の領域をRIE(反応性イオンエッチング)などのドライエッチングや、薬液を用いたウェットエッチングを用いて形成することもできる。このとき、柱状部31,32を形成する領域に形成するマスクと、柱状部33に形成するマスクとの厚さを異なるようにし、一方のマスクがエッチングにより速く除去されるようにし、絶縁層43の一部がエッチングされるようにすることで、柱状部31,32と、柱状部33との高さを異なるように形成することができる。
また、出射方向特定部形成工程を行うことにより、図11(c)に示すように、n型半導体層23の上面の端部に残った絶縁層43が、上部絶縁層43a,43bとなる。
なお、SiO2のように、GaN系の半導体材料からなるn型半導体層23よりも屈折率の小さい材料を用いて出射方向特定部3を形成する場合は、柱状部31,32,33の高さの精度を緩和することができる。
次に、上部絶縁層43a,44b上に、リフトオフ法により、上部電極44a,44bを形成する。
この工程では、まず、図11(d)に示すように、n側電極25、出射方向特定部3及びこれらの周辺である上部絶縁層43a,43bの一部を被覆するマスク58を形成する。上部絶縁層43a,43bの一部まで被覆するのは、n側電極25と、この工程で形成される上部電極44a,44bとの短絡を防止するためである。マスク58は、フォトレジストをn側電極25、出射方向特定部3及び上部絶縁層43a,43bの表面全体に塗布し、所望の形状にUV光を照射した後、現像することで形成する。次に、図11(e)に示すように、上部絶縁層43a,43b及びマスク58上に、AlやCuなどの導電性材料を用いて導電層59を、例えば、蒸着法により形成する。そして、図11(f)に示すように、マスク54上に形成された不要な導電層59とともにマスク58を除去することで、導電層59がパターニングされ、上部電極44a,44bが形成される。
以上の工程により、発光素子1が完成する。
次に、本発明の第2実施形態に係る発光素子について、図12を参照して説明する。
図12に示す第2実施形態に係る発光素子1Aは、図1及び図2に示した第1実施形態に係る発光素子1において、発光構造部2に代えて基板50上に形成された発光構造部2Aを備え、n側電極25に代えてn側電極25Aを備え、p側電極24に代えてp側電極24A及び透明電極24Aaを備え、上部電極44a,44b及び上部絶縁層43a,44bに代えて、それぞれ上部電極44Aa,44Ab及び上部絶縁層43Aa,44Abを備えて構成されている。
第2実施形態に係る発光素子1Aは、発光構造部2Aが、半導体層の成長基板である基板50上にn型半導体層23、発光層22及びp型半導体層21が積層された構成となっている。すなわち、第1実施形態と異なり、半導体の積層体を反転せず、基板50を剥離せずに用いるものである。
また、p側電極24Aは、p型半導体層21の上面に、透明電極24Aaを介して設けられている。透明電極24Aaは、平面視で出射方向特定部3が設けられる領域に設けられ、金属等の電気良導体からなるp側電極24Aから供給される電流をp型半導体層21に拡散して、出射方向特定部3の直下の発光層22を良好に発光させるための電流拡散層である。透明電極24Aaは、ITOなどの透光性の導電材料を用いて形成することができる。
なお、透明電極24Aaを、p型半導体層21の上面のほぼ全面に設け、p側電極24Aは、平面視で、出射方向特定部3の構造物が設けられる領域を除く領域の透明電極24Aaの上面全域に設けるようにしてもよい。
なお、上部電極44Aa,44Abは、図1及び図2に示した第1実施形態における上部電極44a,44bと同様に、発光構造部2Aの上面の前端及び後端に、X軸方向に延伸するように設けてもよい。また、第1実施形態における上部電極44a,44bは、本実施形態における上部電極44Aa,44Abと同様に、発光構造部2の上面の左端及び右端に、Y軸方向に延伸するように設けてもよい。
なお、他の構成については、第1実施形態に係る発光素子1と同様であるから、同じ符号を付して説明は省略する。
なお、大きな逆圧電効果が得られる半導体層に効果的に電界を印加するためには、基板50は薄いほど好ましい。従って、製造工程において、半導体層を成長した後に、基板50の裏面を研磨して薄肉化することが好ましい。
なお、第2実施形態に係る発光素子1Aは、第1実施形態に係る発光素子1の製造方法において、貼り合せ工程で発光構造部2Aを基板50側で基板40と貼り合せ、基板50を剥離しないようにする。他の工程は、第1実施形態と同様であるから製造方法の説明は省略する。
第2実施形態に係る発光素子1Aは、n側電極25A及びp側電極24A間に電力を供給することにより発光構造部2Aの発光層22が発光し、その光が出射方向特定部3に入射される。発光構造部2Aから出射方向特定部3に入射された光は、出射方向特定部3の構造物である柱状部31,32,33(図1及び図2参照)の構成によって特定される方向に出射される。
また、下部電極41a,41b及び上部電極44Aa,44Ab間に電圧が印加されると、発光構造部2Aを構成する半導体層が逆圧電効果により変形する。そして、印加された電圧に応じて、発光構造部2Aの上面が傾斜し、これに連動して、出射方向特定部3が傾斜する。このとき、出射方向特定部3から出射される光線の方向は、出射方向特定部3が傾斜した分だけ変調される。
次に、図13及び図14を参照して、第3実施形態に係る発光素子について説明する。
図13及び図14に示すように、第3実施形態に係る発光素子1Bは、図1及び図2に示した第1実施形態に係る発光素子1において、出射方向特定部3に代えて、出射方向特定部3Bを備えるものである。第1実施形態に係る発光素子1と同様の構成については、同じ符号を付して説明は適宜省略する。
なお、図14(b)において、破断線より下部は図14(a)のA−A線における断面を示し、破断線より上部は図14(a)のB−B線における断面を示す。
なお、本実施形態では、孔31B,32B,33Bの形状は、横断面が円形の円柱状としたが、これに限定されず、横断面が多角形、楕円などの他の形状の柱状とすることもできる。
なお、出射方向特定部3Bにより光の出射方向を特定する原理は、第1実施形態における出射方向特定部3と同様であるから、説明は省略する。また、発光構造部2の動作も、第1実施形態における発光構造部2と同様であるから、説明は省略する。
但し、式(7)において、Nは孔の設置数を示すものとし、3以上の整数である。
[IP立体ディスプレイの概念]
次に、図15を参照して、第4実施形態として、本発明の発光素子を用いたIP立体ディスプレイ(立体画像表示装置)について説明する。
図15(a)及び図15(b)に示すように、本実施形態に係るIP立体ディスプレイは、第1実施形態に係る発光素子1を基板11上に多数並べることにより、IP方式のディスプレイであるIP立体ディスプレイ100を構成するものである。図示は省略するが、IP立体ディスプレイ100に対応したIP立体撮影装置がレンズ板を介して図15(b)に示す円柱や立方体等の被写体を予め撮影した要素画像群を取得しておくことが、立体を表示(再生)するためには簡便であるが、多視点映像もしくは3次元モデルのレンダリング処理などによって作成し、IP立体ディスプレイ100における発光素子1の配列に合わせてデータを構成したものを用いても構わない。
本発明によるIP立体ディスプレイ100の場合は、密集して配置された複数の発光素子1が1単位の要素画素群として要素画像を形成し、従来のIP立体ディスプレイの個々の要素レンズに相当する領域に、それぞれ対応する要素画素群(1つの単位構造)が並置される構造となる。
また、本発明の発光素子1は、前記したように、下部電極41a,41bと上部電極44a,44b(図1及び図2参照)との間に電圧を印加することで、出射方向が変調できるように構成されている。
なお、前記したように、発光素子1を基板11上に多数並べることでIP立体ディスプレイ100を提供することが可能であるが、その際に発光素子1自体を基板11に対して傾斜させて配置することで、出射方向をより広範囲に設定することができる。
本発明の1つの発光素子1が、出射方向を変調して、2つの方向に光線を出射することができる場合は、1組の要素画素群当たりに、3600個の方向に光線を出射するために、3600/2=1800個の発光素子1を備えることでIP立体ディスプレイ100を実現することができる。1つの発光素子1が、更に多くの方向に変調可能な場合は、IP立体ディスプレイ100は、光線の全出射方向数を変調数で除した数の発光素子1を備えることで実現することができる。
このように、発光素子1の出射方向を変調することで、出射方向数よりも少ない発光素子1により立体画像を投影することができる。
次に、図16を参照して、本実施形態に係るIP立体ディスプレイ100の構成について詳細に説明する。
図16に示すように、本実施形態に係るIP立体ディスプレイ100は、表示パネル(表示素子)10と、発光制御部60と、出射方向制御部63とを備えて構成されている。IP立体ディスプレイ100は、外部の表示制御部70を介して入力される画像信号を、表示パネル10にIP方式の立体画像として表示する立体画像表示装置である。
基板11の表面には、列方向(縦方向)に配列された発光素子1ごとに、p側電極24と電気的に接続する配線用電極12と、下部電極41aと電気的に接続する配線用電極13aと、下部電極41bと電気的に接続する配線用電極13bとが設けられている。同じ列に属する発光素子1のp側電極24、下部電極41a及び下部電極41bは、それぞれ配線用電極12、配線用電極13a及び配線用電極13bを介して、導通している。
また、同じ行(横方向)に配列された発光素子1は、n側電極25同士が互いにワイヤ15で電気的に接続され、上部電極44a同士が互いにワイヤ14aで電気的に接続され、上部電極44b同士が互いにワイヤ14bで電気的に接続されている。
なお、ワイヤ14a,14b,15としては、例えば、金ワイヤやカーボンテープを用いることができる。
また、これらの電極間の接続は、ワイヤやテープに限定されず、多層配線基板に形成したAlやCuなどからなる金属配線パターンを用いて行うこともできる。
また、各発光素子1の上部電極44aには、左端の発光素子1の上部電極44aを介して、上部電極制御部65から出射方向を制御するための信号が入力され、上部電極44bには、左端の発光素子1の上部電極44bを介して、上部電極制御部65から出射方向を制御するための信号が入力される。表示パネル10において、下部電極41a,41bと上部電極44a,44bとの間に印加される電圧に応じて、発光素子1が出射する光線の方向が左右に変調される。
行選択部61は、表示制御部70から画像信号の行に同期した走査信号を入力し、その行に対応するn側電極(行電極)25に出力する。選択されたことを示す所定の電位(例えば0V)の行選択信号が入力された行が、発光時間を制御される対象となる。
列選択部62は、表示制御部70から画像信号を入力し、各列に対応する画像信号に分割して、各列に対応する配線用電極12に分割した画像信号を列選択信号として並行して出力する。
また、このときに列選択部62は、出射方向制御部63が発光素子1の出射方向を変更するタイミングに同期して、列選択信号として、2つの方向に対応する画像信号を時分割で切り替えて出力する。
上部電極制御部65は、各発光素子1の上部電極44a及び上部電極44bに対して、下部電極41aと上部電極44aとの間、及び下部電極41bと上部電極44bとの間がそれぞれ所定の電圧となるように、所定レベルの信号(例えば、4V)を出力するものである。
また、下部電極極41bの電位を0Vとし、上部電極44bを4Vとし、下部電極41aと上部電極44aとの間に電圧を印加しないようにすることで、発光素子1の発光構造部2(図2参照)の右端には紙面に下向き(−Z軸方向)の電界が生じて半導体層が伸張される。その結果、出射方向特定部3は右上がりに傾くため、発光素子1の出射方向は左方向に変調される。
次に、引き続き図16を参照して、本実施形態に係るIP立体ディスプレイ100の動作について説明する。
IP立体ディスプレイ100は、表示制御部70から、画像信号と共に画像信号の行に同期した走査信号を入力する。IP立体ディスプレイ100は、行選択部61によって、n側電極25を順次に選択して、表示制御部70から入力した走査信号を行選択信号として出力する。これと並行して、IP立体ディスプレイ100は、列選択部62によって、表示制御部70から入力される1行の画像信号を、列に対応するデータ信号に分割し、分割したデータ信号を、それぞれ対応する列の配線用電極12に出力する。また、このときIP立体ディスプレイ100は、列選択部62によって、1つの列について、2つの方向に対応する画像信号を入力して、これら2つの方向に対応するデータ信号に変換し、時分割で配線用電極12に出力する。
IP立体ディスプレイ100の表示パネル10において、行選択部61によって選択された行に属する各発光素子1は、列選択部62から入力されるデータ信号に応じて発光時間が制御される。
また、IP立体ディスプレイ100は、列選択部62により2つの方向に対応するデータ信号の出力を切り替えるタイミングに同期させて、出射方向制御部63によって、発光素子1の出射方向を左右の所定の方向から他方に切り替わるように下部電極41a,41bと上部電極44a,44bとの間に印加される電圧を切り替える。
これによって、各発光素子1は、2つの方向に対応する画像の画素を表示することができる。
以下、IP立体ディスプレイ100は、順次に選択する行を変えて、選択した行に属する発光素子1の発光時間を制御する。これを繰り返すことによって、IP立体ディスプレイ100は、表示制御部70を介して入力される画像信号を、表示パネル10から立体画像として投影することができる。
また、変調する出射方向は横方向に限定されず、縦方向又は横方向及び縦方向とすることもできる。また、変調数も3以上とすることも可能である。
更にまた、発光素子1ごとに下部電極41a,41bと上部電極44a,44bとの間に印加する電圧を変えることで、発光素子1ごとに出射方向の変調度(傾斜角)が異なるようにしてもよい。また、印加電圧を一定として、下部絶縁層42a,42b又は/及び上部絶縁層43a,43bの厚さを発光素子1ごとに変えて発光構造部2にかかる電界強度を変えることで、発光素子1ごとに変調度(傾斜角)が異なるようにしてもよい。
本発明の発光素子1,1A,1Bは、光線の成形と方向制御を必要とするデバイス一般に応用することが可能である。例えば、プロジェクタ用光源、空間光インターコネクションに用いる接続器、拡散板を必要としない照明用光源などに好適である。
2、2A 発光構造部
3、3B 出射方向特定部
3a、3Ba 構造物
10 表示パネル
11 基板
12 配線用電極
13a、13b 配線用電極
14a、14b ワイヤ
15 ワイヤ
21 p型半導体層(第1半導体層、第2半導体層)
22 発光層
22a 発光領域
23 n型半導体層(第2半導体層、第1半導体層)
24 p側電極(第1電極、第2電極)
25、25A、25C n側電極(第2電極、第1電極)
31、32 柱状部
33 柱状部
31a、32a、33a 上面
34 構造部形成層
30Ba 上面
31B、32B 孔(柱状凹部)
33B 孔(柱状凹部)
31Ba、32Ba、33Ba 底面
40 基板
40a 基体
40b 接合層
41a、41b 下部電極(電極)
42 絶縁層
42a、42b 下部絶縁層(絶縁層)
43 絶縁層
43a、43b、43Aa、43Ab 上部絶縁層(絶縁層)
44a、44b、44Aa、44Ab 上部電極(電極)
50 基板
51 剥離層
52、54、56、58 マスク
53、55、57、59 導電層
60 発光制御部
61 行選択部
62 列選択部
63 出射方向制御部
64 下部電極制御部
65 上部電極制御部
70 表示制御部
100 IP立体ディスプレイ(立体画像表示装置)
Claims (6)
- 第1半導体層と、発光層と、第2半導体層とがこの順で積層された半導体の積層体を備えた発光構造部を有する発光素子であって、
前記第2半導体層の一部又は前記第2半導体層の上面に、前記発光層が発した光の前記発光素子からの出射方向を特定するための構造物を有する出射方向特定部を備え、
前記発光構造部の上面及び下面の平面視における端部に、それぞれ絶縁層を介して下部電極及び上部電極を、少なくとも一部が互いに対向するように備え、
前記下部電極と前記上部電極との間に電圧を印加して前記発光構造部を変形させることで、前記出射方向を変化させ、
前記半導体の積層体が、一般式がIn 1−x−y Ga x Al y N(但し、0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1)で表される半導体材料から構成されることを特徴とする発光素子。 - 第1半導体層と、発光層と、第2半導体層とがこの順で積層された半導体の積層体を備えた発光構造部を有する発光素子であって、
前記第2半導体層の一部又は前記第2半導体層の上面に、前記発光層が発した光の前記発光素子からの出射方向を特定するための構造物を有する出射方向特定部を備え、
前記発光構造部の上面及び下面の平面視における端部に、それぞれ絶縁層を介して下部電極及び上部電極を、少なくとも一部が互いに対向するように備え、
前記下部電極と前記上部電極との間に電圧を印加して前記発光構造部を変形させることで、前記出射方向を変化させ、
前記構造物が、柱頭の出射面から光を出射するN本(Nは3以上の整数)の柱状部からなり、
前記N本の柱状部は、平面視で前記発光層から放射される光が干渉可能な範囲内に環状に配置され、前記N本の柱状部の内、少なくとも1本の柱の高さが他の柱の高さと異なることを特徴とする発光素子。 - 第1半導体層と、発光層と、第2半導体層とがこの順で積層された半導体の積層体を備えた発光構造部を有する発光素子であって、
前記第2半導体層の一部又は前記第2半導体層の上面に、前記発光層が発した光の前記発光素子からの出射方向を特定するための構造物を有する出射方向特定部を備え、
前記発光構造部の上面及び下面の平面視における端部に、それぞれ絶縁層を介して下部電極及び上部電極を、少なくとも一部が互いに対向するように備え、
前記下部電極と前記上部電極との間に電圧を印加して前記発光構造部を変形させることで、前記出射方向を変化させ、
前記構造物が、上面から柱状に凹んだN本(Nは3以上の整数)の柱状凹部からなり、
前記N本の柱状凹部は、平面視で前記発光層から放射される光が干渉可能な範囲内に環状に設けられ、前記N本の柱状凹部の内、少なくとも1本の柱状凹部の深さが他の柱状凹部の深さと異なることを特徴とする発光素子。 - 第1半導体層と、発光層と、第2半導体層とがこの順で積層された半導体の積層体を備えた発光構造部を有する発光素子であって、
前記第2半導体層の一部又は前記第2半導体層の上面に、前記発光層が発した光の前記発光素子からの出射方向を特定するための構造物を有する出射方向特定部を備え、
前記発光構造部の上面及び下面の平面視における端部に、それぞれ絶縁層を介して下部電極及び上部電極を、少なくとも一部が互いに対向するように備え、
前記下部電極と前記上部電極との間に電圧を印加して、前記発光構造部の上面の傾斜角が変化するように前記発光構造部を変形させることで、前記出射方向を変化させることを特徴とする発光素子。 - 第1半導体層と、発光層と、第2半導体層とがこの順で積層された半導体の積層体を備えた発光構造部を有する発光素子であって、
前記第2半導体層の一部又は前記第2半導体層の上面に、前記発光層が発した光の前記発光素子からの出射方向を特定するための構造物を有する出射方向特定部を備え、
前記発光構造部の上面及び下面の平面視における端部に、それぞれ絶縁層を介して下部電極及び上部電極を、少なくとも一部が互いに対向するように備え、
前記下部電極と前記上部電極との間に電圧を印加して前記発光構造部を変形させることで、前記出射方向を変化させ、
前記第1半導体層と電気的に接続される第1電極と前記第2半導体層と電気的に接続される第2電極とを備え、前記第1電極と前記第2電極との間に印加される電圧に基づいて前記発光構造部の発光が制御されることを特徴とする発光素子。 - 基板上に、発光素子を画素として2次元アレイ状に配列して設けた表示パネルを備えたインテグラル・フォトグラフィ方式の立体画像表示装置であって、
前記画素に対して、それぞれ前記立体画像表示装置が表示する2以上の出射方向に対応する画像信号を時分割で切り替えて出力し、当該画素の発光と非発光とを制御する発光制御部と、
前記発光制御部が前記2以上の出射方向に対応して前記画素に出力する画像信号を切り替えるタイミングに同期して、前記画素の出射方向を変調する出射方向制御部と、を備え、
前記発光素子は、第1半導体層と、発光層と、第2半導体層とがこの順で積層された半導体の積層体を備えた発光構造部を有し、
前記第2半導体層の一部又は前記第2半導体層の上面に、前記発光層が発した光の前記発光素子からの出射方向を特定するための構造物を有する出射方向特定部を備え、
前記発光構造部の上面及び下面の平面視における端部に、それぞれ絶縁層を介して下部電極及び上部電極を、少なくとも一部が互いに対向するように備え、
前記下部電極と前記上部電極との間に電圧を印加して前記発光構造部を変形させることで、前記出射方向を変化させることを特徴とする立体画像表示装置。
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