JP6010347B2 - イソプレン重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
一方、燃料油の分野のみならず、家電製品、生活雑貨、自動車などの分野においても化石資源由来の化合物が多く用いられている。
一例として、自動車のタイヤの素材として使用されている天然ゴムは、タイヤ用の
原料として優れており、タイヤ用原料として汎用的に使用されている。この天然ゴムは、ゴムの木から得られるラテックスから生産されている。しかしながら、世界的な自動車生産の増大に伴って、限りある天然ゴムの生産も将来的には不足するという事態を招く恐れがある。
1.イソプレン単量体を含むイソプレン系重合体の製造方法であって、該イソプレン単量体が植物資源を含む生物由来の資源から合成されるバイオイソプレン単量体であり、かつ、以下の(A)成分及び(B)成分を含む触媒を用いて重合させるイソプレン系重合体の製造方法、
(A)成分は周期律表第3族(ランタノイドを含む)及び4族から選択される金属化合物もしくは該金属化合物と中性ルイス塩基との反応物である、
(B)成分はアルミノキサン及び/又は非配位性アニオンである、
2.(A)成分が下記一般式(I)、一般式(II)、一般式(III)及び一般式(IV)のいずれかで表わされる上記1に記載のイソプレン系重合体の製造方法、
MX2・LW ・・・(I)
MX3・LW ・・・(II)
MX4・Lw ・・・(III)
3.前記イソプレン系重合体のδ13Cの値が−30‰〜−28.5‰、又は−22‰以上である上記1又は2に記載のイソプレン系重合体の製造方法、
4.前記イソプレン系重合体のΔ14Cの値が−75〜−225‰である上記1〜3のいずれかに記載のイソプレン系重合体の製造方法、
5.前記イソプレン系重合体のδ13Cの値が−29.5‰〜−28.5‰の範囲である上記1〜4のいずれかに記載のイソプレン系重合体の製造方法、
6.前記イソプレン系重合体のδ13Cの値が−30‰〜−29‰の範囲である上記1〜5のいずれかに記載のイソプレン系重合体の製造方法、
7.前記イソプレン系重合体の数平均分子量が350000〜2000000である上記1〜6のいずれかに記載のイソプレン系重合体の製造方法、
8.上記1〜7のいずれかに記載のイソプレン系重合体の製造方法により得られるイソプレン系重合体、
9.上記8に記載のイソプレン系重合体を含むゴム組成物、
10.上記9に記載のゴム組成物を含むタイヤ、
を提供する。
[イソプレン系重合体の製造方法]
本発明の実施形態に係るイソプレン系重合体の製造方法は、イソプレン単量体を含むイソプレン系重合体の製造方法であって、該イソプレン単量体が植物資源を含む生物由来の資源から合成されるバイオイソプレン単量体であり、かつ、以下の(A)成分及び(B)成分を含む触媒を用いて重合させるイソプレン系重合体の製造方法である。
(A)成分は周期律表第3族(ランタノイドを含む)及び4族から選択される金属化合物もしくは該金属化合物と中性ルイス塩基との反応物である、
(B)成分はアルミノキサン及び/又は非配位性アニオンである、
<バイオイソプレン単量体>
バイオイソプレン単量体は、植物資源を含む生物由来の資源から、各種菌等の微生物細胞を用いて得られる。バイオイソプレン単量体を、植物資源を含む生物由来の資源から、各種菌等の微生物を用いて得る方法については、例えば特表2011−526943号公報や特表2011−505841号公報等で公知となっている。これらの方法は、イソプレンの生産に適した培養状態下でイソプレン・シンターゼ・ポリペプチドをコードする異種核酸を含む細胞を培養し、該培養物からバイオイソプレン単量体を製造し、回収するものである。これらの手法は、イソプレンを生産する天然物由来の微生物細胞をそのまま使用してもよいし、該天然物由来の微生物細胞から遺伝子操作により、その微生物細胞中のイソプレン・シンターゼ・ポリペプチドを大腸菌等の各種菌類に組み込んで、イソプレン生産菌として使用することもできる。
植物資源を含む生物由来の資源としては、セルロース等を含む植物資源やその植物資源から得られる各種のグルコース等の糖類を使用することができる。
次に、本発明のイソプレン系重合体の製造方法に使用される触媒について説明する。
本発明のイソプレン系重合体の製造方法に使用される触媒は、以下の(A)成分及び(B)成分を含む触媒が用いられる。
(A)成分は周期律表第3族(ランタノイドを含む)及び4族から選択される金属化合物もしくは該金属化合物と中性ルイス塩基との反応物である、
(B)成分はアルミノキサン及び/又は非配位性アニオンである、
(A)成分である周期律表第3族(ランタノイドを含む)及び4族から選択される金属化合物もしくは該金属化合物と中性ルイス塩基との反応物は、下記一般式(I)、一般式(II)、一般式(III)及び一般式(IV)のいずれかで表わされる反応物を用いることが好ましい。
MX2・LW ・・・(I)
MX3・LW ・・・(II)
MX4・Lw ・・・(III)
ハロゲン原子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、などが挙げられる。これらの中でも、塩素原子、臭素原子が好ましい。
アルコキシド基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の脂肪族アルコキシ基;フェノキシ基、6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェノキシ基等のアリールオキシド基;などが挙げられる。これらの中でも、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基が好ましい。
チオラート基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオn−ブトキシ基、チオイソブトキシ基、チオsec−ブトキシ基、チオtert−ブトキシ基等の脂肪族チオラート基;チオフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルチオフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルチオフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−チオネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−チオネオペンチルフェノキシ基、2,4,6−トリイソプロピルチオフェノキシ基等のアリールチオラート基;などが挙げられる。これらの中でも、2,4,6−トリイソプロピルチオフェノキシ基が好ましい。
アミド基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジイソプロピルアミド基等の脂肪族アミド基;フェニルアミド基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルアミド基、2,6−ジイソプロピルフェニルアミド基、2,6−ジネオペンチルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニルアミド基等のアリールアミド基;ビストリメチルシリルアミド基等のビストリアルキルシリルアミド基、などが挙げられる。これらの中でも、ビストリメチルシリルアミド基が好ましい。
シリル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリメチルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基、ビス(トリメチルシリル)メチルシリル基、トリメチルシリル(ジメチル)シリル基、トリイソプロピルシリル(ビストリメチルシリル)シリル基、などが挙げられる。これらの中でも、トリス(トリメチルシリル)シリル基が好ましい。
アルデヒド残基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サリチルアルデヒド、2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド、2-ヒドロキシ-3-ナフトアルデヒド、などが挙げられる。
ケトン残基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニルアセトン、イソブチルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン、などが挙げられる。
カルボン酸残基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソ吉草酸、カプリル酸、オクタン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、シクロペンタンカルボン酸、ナフテン酸、エチルヘキサン酸、ビバール酸、バーサチック酸[シェル化学(株)製の商品名、C10モノカルボン酸の異性体の混合物から構成される合成酸]、フェニル酢酸、安息香酸、2-ナフトエ酸、マレイン酸、コハク酸、などが挙げられる。
チオカルボン酸残基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヘキサンチオ酸、2,2-ジメチルブタンチオ酸、デカンチオ酸、チオ安息香酸、などが挙げられる。
リン化合物残基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リン酸ジブチル、リン酸ジペンチル、リン酸ジヘキシル、リン酸ジヘプチル、リン酸ジオクチル、リン酸ビス(2-エチルヘキシル)、リン酸ビス(1-メチルヘプチル)、リン酸ジラウリル、リン酸ジオレイル、リン酸ジフェニル、リン酸ビス(p-ノニルフェニル)、リン酸ビス(ポリエチレングリコール-p-ノニルフェニル)、リン酸(ブチル)(2-エチルヘキシル)、リン酸(1-メチルヘプチル)(2-エチルヘキシル)、リン酸(2-エチルヘキシル)(p-ノニルフェニル)等のリン酸エステルの残基;2-エチルヘキシルホスホン酸モノブチル、2-エチルヘキシルホスホン酸モノ-2-エチルヘキシル、フェニルホスホン酸モノ-2-エチルヘキシル、2-エチルヘキシルホスホン酸モノ-p-ノニルフェニル、ホスホン酸モノ-2-エチルヘキシル、ホスホン酸モノ-1-メチルヘプチル、ホスホン酸モノ-p-ノニルフェニル等のホスホン酸エステルの残基、ジブチルホスフィン酸、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフィン酸、ビス(1-メチルヘプチル)ホスフィン酸、ジラウリルホスフィン酸、ジオレイルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(p-ノニルフェニル)ホスフィン酸、ブチル(2-エチルヘキシル)ホスフィン酸、(2-エチルヘキシル)(1-メチルヘプチル)ホスフィン酸、(2-エチルヘキシル)(p-ノニルフェニル)ホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、2-エチルヘキシルホスフィン酸、1-メチルヘプチルホスフィン酸、オレイルホスフィン酸、ラウリルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、p-ノニルフェニルホスフィン酸等のホスフィン酸の残基などが挙げられる。
無置換もしくは置換インデニル基は、インデニル環を基本骨格とし、C9H7-XRX又はC9H11-XRXで示され得る。ここで、Xは0〜7又は0〜11の整数である。また、Rはそれぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基としては、例えば、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基、などが好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドとしては、例えば、ゲルミル、スタニル、シリルが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は前記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基としては、例えば、トリメチルシリル基、などが挙げられる。前記置換インデニルとしては、例えば、2−フェニルインデニル、2−メチルインデニル、などが挙げられる。
無置換もしくは置換シクロペンタジエニル基は、シクロペンタジエニル環を基本骨格とし、C5H5-XRXで示される。ここで、Xは0〜5の整数である。また、Rとしては、それぞれ独立して、ヒドロカルビル基又はメタロイド基が好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数としては、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜8が特に好ましい。該ヒドロカルビル基としては、例えば、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基、などが好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドとしては、例えば、ゲルミル、スタニル、シリル、などが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基としては、例えば、トリメチルシリル基、などが挙げられる。シクロペンタジエニル環を基本骨格とするものとして、具体的には、以下のものが例示される。
一般式(VI)で表されるメタロセン錯体は、シリル配位子[−SiX'3]を含む。シリル配位子[−SiX'3]に含まれるX'は、前述した一般式(I)〜(III)のXと同様に定義される基であり、好ましい基も同様である。
また、前記一般式(V)及び一般式(VI)で表されるメタロセン錯体は、単量体として存在していてもよく、二量体又はそれ以上の多量体として存在していてもよい。
上記一般式A又は一般式Bで示されるメタロセン錯体は、特開平2001−294607号公報にエチレンと共役ジエンとのコポリマーを製造するための触媒として開示されている。
上記一般式(VII)又は一般式(VIII)で示される反応物は、特開平11−315109号公報にオレフィンやα−オレフィン・共役ジエン共重合体を製造する触媒として開示されているものである。
フルオレニル環を基本骨格とするCpR'は、C13H9-XRX又はC13H17-XRXで示され得る。ここで、Xは0〜9又は0〜17の整数である。また、Rはそれぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。
本発明の(B)成分として使用される非配位性アニオンの例としては、4価のホウ素アニオンが含まれる。4価のホウ素アニオンの例には、テトラフェニルボレート、テトラキス(モノフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル,ペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル),フェニル]ボレート、トリデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレートなどが含まれる。好ましくはテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
本発明の(B)成分として使用されアルミノキサンとしては、有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることによって得られる化合物である。例えば、一般式:(-Al(R')O-)で示される繰り返し単位を有する鎖状アルミノキサン又は環状アルミノキサン(式中、R'は炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部の炭化水素基はハロゲン原子及び/又はアルコキシ基で置換されてもよく、繰り返し単位の重合度は、5以上が好ましく、10以上が更に好ましい)を挙げることができる。ここで、R'としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基が好ましい。
また、アルミノキサンの原料として用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム及びその混合物等が挙げられ、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。例えば、トリメチルアルミニウムとトリブチルアルミニウムとの混合物を原料として用いたアルミノキサンを好適に用いることができる。
前記アルミノキサンとしては、メチルアルミノキサン(MAO)、修飾メチルアルミノキサン等のアルキルアミノキサンが好ましい。前記修飾メチルアルミノキサンとしては、MMAO−3A(東ソーファインケム社製)等が好ましい。
なお、前記重合触媒組成物におけるアルミノキサンの含有量は、(A)成分を構成する希土類元素Mと、アルミノキサンのアルミニウム元素Alとの元素比率Al/Mが、10〜1000程度、好ましくは100程度となるようにすることが好ましい。
本発明のイソプレン重合体の製造方法としては、特に制限はなく、特に制限はなく、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれも用いることができる。溶液重合での溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、上記のオレフィン化合物やシス−2−ブテン、トランス−2−ブテン等のオレフィン系炭化水素等が挙げられる。中でも、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、あるいは、シス−2−ブテンとトランス−2−ブテンとの混合物などが好適に用いられる。重合温度は−30〜150℃の範囲が好ましく、30〜100℃の範囲が特に好ましい。重合時間は1分〜12時間の範囲が好ましく、5分〜5時間が特に好ましい。所定時間重合を行った後、重合槽内部を必要に応じて放圧し、洗浄、乾燥工程等の後処理を行う。
本発明の製造方法により得られるイソプレン系重合体は、イソプレン単量体が植物資源を含む生物由来の資源から合成されるバイオイソプレン単量体を原料とするものであって、製造されたイソプレン系重合体中の炭素原子のδ13Cの値が−30‰〜−28.5‰、又は−22‰以上であって、該イソプレン系重合体中の炭素原子のΔ14Cの値が−75〜−225‰である。ここで、イソプレン系重合体中の炭素原子のδ13Cの値とは、安定同位体比測定装置により測定されたものである。
軽い同位体は、重い同位体よりも拡散が早く、反応性も高いことから、例えば、光合成によって植物体内に取り込まれた大気中の二酸化炭素の炭素原子の場合、13Cよりも12Cのほうが植物体内に固定され易いことがわかっている。
すなわち、植物体内に取り込まれた炭素原子は、大気中の炭素原子に比べて、相対的に12Cが多く13Cが少なくなる。したがって、植物体内に取り込まれた炭素の安定同位体比(δ13C)は、大気中に存在する炭素の安定同位体比よりも低くなる。
このようにして同位体比が変わることを同位体分別と呼び、Δ13Cで表される(Δ13Cは、δ13Cと区別される)。
Δ13C=(大気中のδ13C)−(試料中のδ13C)
従って、イソプレン系重合体中の炭素原子のδ13Cの値からイソプレン系重合体を製造した際に使用されたイソプレン単量体及び必要に応じて使用されるその他の単量体の原料由来物質を化石資源由来であるか植物資源を含む生物由来の資源(いわゆる、バイオマス)であるかを特定することができる。
すなわち、植物体内に取り込まれた炭素原子は、大気中の炭素原子に比べて、相対的に12Cが多く13Cが少なくなる。したがって、植物体内に取り込まれた炭素の安定同位体比(δ13C)は、大気中に存在する炭素の安定同位体比よりも低くなる。
このようにして同位体比が変わることを同位体分別と呼び、Δ13Cで表される(Δ13Cは、δ13Cと区別される)。
Δ13C=(大気中のδ13C)−(試料中のδ13C)
Δ14Cは、上述したδ13Cの値から、さらに下記のようにして算出できる。
δ14C=[(14As−14AR)/14AR]×1000 (1)
δ13C=[(13As−13APDB)/13APDB]×1000 (2)
ここで、
14As:試料炭素の14C濃度:(14C/12C)sまたは(14C/13C)s
14AR:標準現代炭素の14C濃度:(14C/12C)Rまたは(14C/13C)R
(1)式の14C濃度を、δ13Cの測定値をもとに、次式に基づいて換算する。
14AN=14As×(0.975/(1+δ13C/1000))2 (14Asとして14C/12Cを使用するとき)
または
14AN=14As×(0.975/(1+δ13C/1000)) (14Asとして14C/13Cを使用するとき)
以上より、
Δ14C=[(14AN−14AR)/14AR]×1000 (‰)と算出される。
放射性炭素14Cの半減期は、約5730年であるため、化石資源中に含まれる炭素には、放射性炭素14Cは含まれない。化石資源由来のイソプレン系重合体のΔ14Cは、−1000‰程度である。
従って、イソプレン系重合体のΔ14C値、或いは14Cの壊変毎分毎グラム量、δ13Cの値により、イソプレン系重合体の原料由来物質が、化石資源であるか植物資源を含む生物由来の資源(いわゆる、バイオマス)であるかを特定することができる。
本発明のイソプレン系重合体は、少なくともバイオイソプレン単量体を含むイソプレン単量体を単独で重合させてもよいし、必要に応じて他の単量体、例えばブタジエン、スチレン等の単量体を使用して共重合させてもよい。
本発明のイソプレン系重合体の数平均分子量は、350000から2000000とすることができる。好ましくは、400000〜1800000であり、より好ましくは、450000〜1500000である。
本発明のゴム組成物としては、本発明のポリイソプレン系重合体を含む限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、本発明のポリイソプレン系重合体以外のゴム成分、無機充填剤、カーボンブラック、架橋剤、などを含むことが好ましい。
前記ゴム成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の(共)重合体、天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、各種ブタジエンゴム、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、イソブチレンとp−メチルスチレンの共重合体の臭化物、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリロブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物には、必要に応じて補強性充填剤を配合することができる。前記補強性充填剤としては、カーボンブラック、無機充填剤、などを挙げることができ、カーボンブラック及び無機充填剤から選択される少なくとも一種が好ましい。
前記無機充填剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ、水酸化アルミニウム、クレー、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、無機充填剤を用いる時は適宜シランカップリング剤を使用してもよい。
前記補強性充填剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対し、5質量部〜200質量部が好ましい。
前記補強性充填剤の含有量が、5質量部未満であると、補強性充填剤を入れる効果があまりみられないことがあり、200質量部を超えると前記ゴム成分に補強性充填剤が混ざり込まなくなる傾向があり、ゴム組成物としての性能を低下させることがある。
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤、無機架橋剤、ポリアミン架橋剤、樹脂架橋剤、硫黄化合物系架橋剤、オキシム−ニトロソアミン系架橋剤硫黄などが挙げられるが、中でもタイヤ用ゴム組成物としては硫黄系架橋剤がより好ましい。
前記架橋剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対し、0.1質量部〜20質量部が好ましい。
前記架橋剤の含有量が0.1質量部未満では、架橋がほとんど進行しなかったり、20質量部を超えると一部の架橋剤により混練り中に架橋が進んでしまう傾向があったり、加硫物の物性が損なわれたりすることがある。
その他に加硫促進剤を併用することも可能であり、加硫促進剤としては、グアジニン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、チウラム系、ジチオカルバメート系、ザンテート系等の化合物が使用できる。
また必要に応じて、補強剤、軟化剤、充填剤、加硫助剤、着色剤、難燃剤、滑剤、発泡剤、可塑剤、加工助剤、酸化防止剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、着色防止剤、その他の配合剤など公知のものをその使用目的に応じて使用することができる。
本発明の架橋ゴム組成物は、本発明のゴム組成物を架橋して得られたものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記架橋の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、温度120℃〜200℃、加温時間1分間〜900分間が好ましい。
本発明のタイヤは、本発明のゴム組成物、又は、本発明の架橋ゴム組成物を用いたものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明のゴム組成物、又は、本発明の架橋ゴム組成物のタイヤにおける適用部位としては、例えば、トレッド、ベーストレッド、サイドウォール、サイド補強ゴム及びビードフィラーなどが挙げられるが、これに限定されない。
前記タイヤを製造する方法としては、慣用の方法を用いることができる。例えば、タイヤ成形用ドラム上に未加硫ゴムからなるカーカス層、ベルト層、トレッド層等の通常タイヤ製造に用いられる部材を順次貼り重ね、ドラムを抜き去ってグリーンタイヤとする。次いで、このグリーンタイヤを常法に従って加熱加硫することにより、所望のタイヤを製造することができる。
[イソプレン系重合体の製造例]
窒素雰囲気下のグローブボックス中で1L耐圧ガラス反応器に、トリスビストリメチルシリルアミドガドリニウム(Gd[N(SiMe3)2]3)((A)成分)5.9μmol、トリイソブチルアルミニウム2.95mmol、ビス(2−ジフェニルフォスフィノフェニル)アミン5.9μmol、トルエン5.0gを仕込んだのち30分間熟成を行った。その後、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3CB(C6F5)4)((B)成分)を5.9μmol、及びシクロヘキサン472.0gを仕込みさらに30分間熟成を行った。その後、グローブボックスから反応器を取り出し、イソプレン120.0gを添加し、室温で5時間重合を行った。重合後、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノールで重合体を分離し、70℃で真空乾燥し重合体Aを得た。得られた重合体Aの収量は118.5gであった。
重合体Aの製造において、石油資源を原料としたイソプレンを使用する代わりに、イソプレン・シンターゼ・ポリペプチドを大腸菌に組み込んだイソプレン生産菌を使用し、出発物質としてサトウキビのセルロースを分解させて得られたバイオイソプレン単量体を使用した以外は、同様に実施して重合体Bを得た。得られた重合体Bの収量は119.0gであった。
<イソプレン系重合体の各物性>
(1)ミクロ構造(シス−1,4結合量)
1H−NMRおよび13C−NMRにより得られたピーク[1H−NMR:δ4.6−4.8(3,4−ビニルユニットの=CH2)、5.0−5.2(1,4−ユニットの−CH=)、13C−NMR:[δ23.4(1,4−シスユニット)、15.9(1,4−トランスユニット)、18.6(3,4−ユニット)]の積分比からそれぞれ算出した。
重合体A及びBについて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC−8220GPC、カラム:東ソー製GMHXL−2本、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、合成ポリイソプレンのポリスチレン換算の、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。なお、測定温度は40℃とした。溶出溶媒としてTHFを用いた。
重合体A及びBについて、炭素原子のδ13Cの値を安定同位体比測定装置により測定し、上述した換算方法により、Δ14Cを算出した。
重合体A及びBについて、炭素原子14Cの壊変毎分毎グラム量値を加速器質量分析法(Accelerator Mass Spectrometry ;AMS)、液体シンチレーション法(Liquid Scintillation Counting Method; LSC)により測定した。
重合体A及びBについて、炭素原子のδ13Cの値を安定同位体比測定装置により測定した。
重合体A及びBを使用して、ゴム組成物の耐亀裂成長性および低発熱特性を下記方法によって測定した。
なお、本発明のゴム組成物には、上記イソプレン系重合体を含むゴム成分、カーボンブラックのほか、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、軟化剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、シランカップリング剤などのゴム業界で通常使用される配合剤を適宜選択し配合することができる。なお、上記ゴム組成物は、ゴム成分に、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
JIS3号試験片中心部に0.5mmの亀裂を入れ、室温で50〜100%の歪みで繰り返し疲労を与え、サンプルが切断するまでの回数を測定した。各歪みでの値を求め、その平均値を用いた。表2においては、重合体Aを配合した比較例1を100とする指標で表した。指標値が大きいほど、耐亀裂成長性が良好であることを示す。
動的スペクトロメーター(米国レオメトリックス社製)を使用し、引張動歪3%、周波数15Hz、50℃の条件で測定した。表2においては、重合体Aを配合した比較例1を100とする指標で表した。指標値が小さいほど、低発熱性(低ロス性)に優れることを示す。
重合体A,Bのそれぞれを用いて、表1に示す配合処方によりゴム組成物を調製し、145℃で33分間加硫して加硫ゴムを得た。
重合体A,Bの物性及びδ13Cの値を上記方法により測定した。また、得られた加硫ゴムの耐亀裂成長性及び低発熱性(3%tanδ)を、上述した評価方法に従って測定した。結果を表2に示す。
※2:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−p−フェニレンジアミン、大内新興化学(株)製、ノクラック6C
※3:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学(株)製、ノクセラーCZ−G
また、得られた重合体BのMnは、830,000であり、Mw/Mn=2.46であり、1,4-シス含有率は98.4%であった。
得られた重合体Bのδ13Cの値は、−14.69、Δ14Cの値は、−1000であった。また、重合体Aのδ13Cの値は、−23.00、Δ14Cの値は、−100であった。
上記結果から、バイオイソプレン系重合体中の炭素原子のδ13Cの値が−14.69である重合体B(バイオ由来のイソプレン重合体)を使用した実施例2の加硫ゴムの耐亀裂成長性の指標及び3%tanδの指標は、δ13Cの値が−23.00である重合体A(通常のイソプレン重合体)を使用した比較例2の加硫ゴムと同程度の値を示しており、耐亀裂成長性および低発熱性において、従来品と遜色ないことがわかった。
Claims (7)
- イソプレン単量体を含むイソプレン系重合体の製造方法であって、該イソプレン単量体が植物資源を含む生物由来の資源から合成されるバイオイソプレン単量体であり、かつ、以下の(A)成分及び(B)成分を含む触媒を用いて重合させるイソプレン系重合体の製造方法。
(A)成分は周期律表第3族(ランタノイドを含む)及び4族から選択される金属化合物もしくは該金属化合物と中性ルイス塩基との反応物である。
(B)成分はアルミノキサン及び/又は非配位性アニオンである。 - (A)成分が下記一般式(I)、一般式(II)、一般式(III)及び一般式(IV)のいずれかで表わされる請求項1に記載のイソプレン系重合体の製造方法。
MX2・LW ・・・(I)
MX3・LW ・・・(II)
MX4・LW ・・・(III)
[上記一般式(I)、一般式(II)、一般式(III)及び一般式(IV)において、Mは周期律表第3族(ランタノイドを含む)及び4族から選択される金属を示し、Xは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基、アルデヒド残基、ケトン残基、カルボン酸残基、チオカルボン酸残基、リン化合物残基、無置換もしくは置換インデニル基、無置換もしくは置換シクロペンタジエニル基、又は、無置換もしくは置換アントラセニル基を示し、Xはそれぞれ同一でも異なっていても良い。Lは中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3を示す。CpR’は、無置換もしくは置換シクロペンタジエニル、インデニル又はフルオレニルを示し、[B]−は、非配位性アニオンを示す。] - 前記イソプレン系重合体のδ13Cの値が−30‰〜−28.5‰、又は−22‰以上である請求項1又は2に記載のイソプレン系重合体の製造方法。
- 前記イソプレン系重合体のΔ14Cの値が−75〜−225‰である請求項1〜3のいずれかに記載のイソプレン系重合体の製造方法。
- 前記イソプレン系重合体のδ13Cの値が−29.5‰〜−28.5‰の範囲である請求項1〜4のいずれかに記載のイソプレン系重合体の製造方法。
- 前記イソプレン系重合体のδ13Cの値が−30‰〜−29‰の範囲である請求項1〜5のいずれかに記載のイソプレン系重合体の製造方法。
- 前記イソプレン系重合体の数平均分子量が350000〜2000000である請求項1〜6のいずれかに記載のイソプレン系重合体の製造方法。
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