本発明は、以下の詳細な説明、実施例、図面、および請求の範囲、ならびにそれらの先または後の記述を参照すれば、より簡単に理解することができる。しかし、本発明の装置、システムおよび/または方法が開示されて記述される前に、本発明は、特に記載されてない限り、開示された特定の装置、システムおよび/または方法に限定されるものではなく、したがって勿論のこと変わる可能性があることを理解されたい。また、本明細書において使用する用語は、特定の態様だけを説明するためのものであり、限定を意図するものではない。
以下の本発明の説明は、本発明の現在知られている最良の実施形態の形で、本発明を可能にする教示として提示される。この目的で、当業者は、本明細書に記載される本発明の様々な態様に対して、本発明の有益な結果を得ながら、多数の変更を行うことが可能であることを認識し、理解するであろう。本発明の所望の便益の一部は、他の特徴を使用することなく、本発明の特徴の一部を選択することによって得ることができることが明白であろう。したがって、本発明に対する多数の修正形態および適合形態が可能であり、ある種の環境においては望ましいことさえあり、それらは本発明の一部であることを、当業者は理解するであろう。したがって、以下の説明は、本発明の原理の説明として提供されるものであり、その限定ではない。
本明細書およびそれに続く特許請求の範囲においては、以下の意味を有するように定義されるべき、複数の用語を参照する。
全体を通して使用されるときに、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈からそうでないことが明確に決まらない限り、複数の参照物を含む。すなわち、例えば、「1つの圧力センサ」への言及は、文脈からそうでないことが示されない限り、2つ以上のそのような圧力センサを含むことができる。
本明細書において、範囲は、「約」1つの特定値から、かつ/または「約」別の特定値までと表すことができる。そのような範囲が表される場合には、別の態様は、その1つの特定値から、かつ/または他方の特定値までを含む。同様に、値が近似として表されるときには、「約」という先行詞を使用することによって、その特定値が別の態様を形成することが理解されるであろう。さらに、範囲のそれぞれの端点は、他方の端点との関係において、および他方の端点と独立して、の両方において意味があることが理解されるであろう。
本明細書において使用されるときには、「任意選択的な」または「任意選択的に」という用語は、その後に記載される事象または状況が発生するか、または発生しないこと、およびその説明が、前記事象または状況が発生する場合と、それが発生しない場合とを含むことを意味する。
本明細書において使用されるときには、「ヘッドスペース(head space)」という用語は、ガスで充填された、バイアルまたは他の容器の部分を意味する。すなわち、固体サンプルが容器の中に入れられている場合には、ヘッドスペースは、ガス状物質で充填された容器の部分を含むが、固体サンプルで占有される容器の部分を含まない。同様に、容器の内部にガス状物質だけが収納されている場合には、ヘッドスペースは、容器の全内容物を含むことになる。
本明細書において使用されるときには、「サンプルループ(sample loop)」という用語は、ガス、液体、または流体のサンプル用の容器を意味する。本明細書に記載するように、サンプルループは、ヘッドスペースサンプリング装置とヘッドスペース分析器のいずれかと流体連通して選択的に配置することができる。サンプルループは、ヘッドスペースサンプリング装置と流体連通するバイアルまたは他のサンプル容器からのサンプルの少なくとも一部分を受け入れるように構成される。サンプル容器からサンプルの一部分を受け入れた後に、サンプルループは、ヘッドスペース分析器へとサンプルを転送することを可能にするように構成される。実施形態によっては、サンプルループは、サンプルループとヘッドスペース分析器の間、またはサンプルループと通気経路の間のいずれかにおいて、しかし両者においてではなく、流体連通を可能にするように構成される。本明細書において使用されるときに、サンプルループは、例えば、限定することなく、本明細書に記載される例示的なサンプルループのような、従来のサンプルループ、従来のサンプルトラップ、従来のサンプルセルなどとすることができる。
本明細書において使用されるときには、「バイアル(vial)」という用語は、気体、液体、流体、または固体のサンプルを含むか、または含まないヘッドスペースを包含することのできる任意の容器を意味する。例えば、限定することなく、バイアルは、従来のガラスサンプルバイアルとすることができる。上述のように、気体によって占拠されるバイアル内の空間がヘッドスペースである。バイアルは、ヘッドスペース、および、例えば、約5ミリリットル(mL)から約22ミリリットル(mL)までの範囲の組合せ体積(combined volume)を有するサンプルを収納するように構成することができることが企図されている。しかし、特定のヘッドスペースとサンプルに好適な任意の体積を、本明細書に開示するように、使用することができる。
本明細書において開示されるのは、図1〜2に示されているように、ガスサンプルを収納するヘッドスペースを有するバイアル内部のガス減圧率を制御する方法である。以下に記載するように、ヘッドスペース内部のガスサンプルは、ヘッドスペースサンプリング装置によってサンプリングすることができる。例示的な態様では、ヘッドスペースサンプリング装置は、低圧環境と流体連通して接続可能な通気経路、ヘッドスペースと通気経路の間に、それらと連通して接続可能なサンプルループ、および通気経路内に位置する通気バルブを備えることができる。通気バルブは、ヘッドスペースからサンプルループを介して低圧環境へのガス流量を制御するように選択的に調節可能にすることができることが企図されている。ヘッドスペースサンプリング装置は、サンプルループとヘッドスペースの間の流体連通を確立するための手段を備えることができることがさらに企図されている。
バイアルは従来のガラスサンプルバイアルにすることができることが企図されている。バイアルは、約5ミリリットル(mL)から約22ミリリットル(mL)の範囲の体積を有するサンプルを収納するように構成することができることがさらに企図されている。加圧ガスは、特定のサンプルの目的に対して好適な任意のガスとすることができることがさらに企図されている。例えば、加圧ガスは、特定のサンプル用としては、実質的に非反応性または不活性とすることができる。すなわち、加圧ガスは、例えば、限定することなく、ヘリウムガス、水素ガス、窒素ガス、アルゴンガスなどにすることができることが企図されている。例示的な一態様では、加圧ガスは、例えば、限定することなく、5%のメタンを含むアルゴンなどの、メタンとアルゴンの混合物にすることができることが企図されている。
例示的な一態様では、サンプルループは、サンプルループとヘッドスペースサンプリング装置の構成要素の間に選択的に流体連通をもたらす従来のバルブに取り付けるか、またはその内部に配置することができることが企図されている。例えば、限定することなく、サンプルループは、6ポートロータリバルブ、マルチポートダイアフラムバルブなどのマルチポートバルブに取り付けるか、またはその内部に配置することができる。サンプルループは、複数のマルチポートバルブまたはダイアフラムバルブを備える、マイクロマシン型電気機械的システムの一部とすることができることがさらに企図されている。サンプルループは、本明細書に記載されたような、従来のトラップにすることができることがさらに企図されている。
低圧環境は、バイアル内部の加圧後圧力よりも低い圧力を有する任意の圧力環境とすることができることが企図されている。例えば、低圧環境は、周囲環境、準大気圧(subambient pressure)環境、または周囲圧力よりも大きな圧力を有する圧力環境とすることができる。
例示的な態様では、ヘッドスペースサンプリング装置は、図3およびそれに対応する説明において開示された、ヘッドスペースサンプリング装置などの、本明細書に開示したような、ヘッドスペースサンプリング装置とすることができることが企図されている。ヘッドスペースサンプリング装置は、図4A〜4Bおよびその対応する記述に開示されたヘッドスペース分析システムなどの、本明細書に開示されたようなヘッドスペース分析システムの部分とすることができることがさらに企図されている。
図1に示すように、一態様では、バイアル内部のガス減圧率を制御する方法には、サンプルループとバイアルのヘッドスペースの間に流体連通を確立するステップ10を含めることができる。この態様では、サンプルループとヘッドスペースの間に流体連通を確立するステップ10には、ニードル、または本明細書で開示するように、サンプルループと流体連通する穴を有する、マルチポートバルブのような、ニードルまたは他の好適なサンプルプローブで、バイアルのセプタム(septum)を貫通させることを含めることができることが企図されている。
任意選択的に、さらに別の態様では、バイアル内部のガス減圧率を制御する方法には、ヘッドスペース内に気相を生成するためにバイアル内部のサンプルの温度を調節するステップを含めることができる。この態様では、ヘッドスペース内で気相を生成するために、サンプルを加熱することができることが企図されている。また、ヘッドスペースには、サンプルのガス状部分を含めることができることがさらに企図されている。例示的な一態様では、サンプルループとヘッドスペースの間に流体連通を確立するステップ10の前に、バイアル内部のサンプルの温度を調節することができることが企図されている。代替的に、サンプルループとヘッドスペースの間に流体連通を確立するステップ10の後に、バイアル内部のサンプルの温度を調節することができることがさらに企図されている。
別の態様では、図1に示すように、バイアル内部のガス減圧率を制御する方法には、ヘッドスペース内部でサンプルガス圧力を確立するステップ20を含めることができる。この態様では、サンプルガス圧力は、低圧環境における圧力よりも大きくすることができる。サンプルガス圧力は、約100〜約800キロパスカル(kPa)の範囲とすることができることが企図されている。より好ましくは、サンプルガス圧力は、約130〜約310kPaの範囲とすることができる。一例示的な態様では、サンプルガス圧力は、約200kPaとすることができる。
さらに別の態様では、図1に示すように、バイアル内部のガス減圧率を制御する方法には、サンプルループを、通気経路を介して低圧環境と流体連通して接続するステップ30を含めることができる。
図1に示すように、さらに別の態様では、バイアル内部のガス減圧率を制御する方法には、ガスをヘッドスペースからサンプルループを介して低圧環境へと放出するように、通気バルブを調節するステップ40を含めることができる。この態様では、ヘッドスペースからサンプルループを介して低圧環境へガスを放出することによって、サンプルガスをヘッドスペースからサンプルループへと流すことを可能にすることができることが企図されている。任意選択的に、一態様では、ガスをヘッドスペースからサンプルループを介して低圧環境へと所定の率で放出するように、通気バルブを調節することができる。この態様では、ヘッドスペースからサンプルループを介して低圧環境への所定のガス放出率は、毎秒約0〜約25kPa(kPa/sec)、より好ましくは約0.5〜約6kPa/secの範囲とすることができることが企図されている。例示的な一態様では、ヘッドスペースからサンプルループを介して低圧環境への所定のガス放出率は、約2.3kPa/secとすることができる。本明細書において使用するときには、ヘッドスペースからサンプルループを介して低圧環境への所定のガス放出率とは、ヘッドスペース内部で圧力が低下する率を示している。したがって、ヘッドスペースからサンプルループを介して低圧環境への所定のガス放出率は、正の率として与えられるが、この率は、バイアルのヘッドスペース内部での減少する圧力を反映する。
いくつかの態様では、ヘッドスペースサンプリング装置は、バイアルのヘッドスペースと流体連通して接続可能な加圧ガス導管をさらに備えることができる。これらの態様では、加圧ガス導管は、加圧ガスを受け入れるための入口を有することができる。加圧ガスは、特定のサンプルに対して好適な任意のガスとすることができることが企図されている。例えば、加圧ガスは、特定のサンプルの目的のためには、実質的に非反応性または不活性とすることができる。すなわち、加圧ガスは、例えば、限定することなく、ヘリウムガス、水素ガス、窒素ガス、アルゴンガスなどとすることができることが企図されている。例示的な一態様では、加圧ガスは、例えば、限定することなく、5%のメタンを含むアルゴンなどの、メタンとアルゴンの混合物とすることできることが企図されている。別の態様では、加圧ガス導管は、通気経路およびサンプルループと流体連通して接続可能とすることができることが企図されている。
図2に示すように、一態様では、バイアル内部のガス減圧率を制御する方法には、ヘッドスペースサンプリング装置のヘッドスペース、サンプルループ、および加圧ガス導管の間の流体連通を確立するステップ110を含めることができる。この態様では、ヘッドスペースサンプリング装置のヘッドスペース、サンプルループ、および加圧ガス導管の間の流体連通を確立するステップ110には、本明細書で記述したような、サンプルループと流体連通する穴を有する、ニードルまたは他の好適なプローブで、バイアルのセプタムを貫通させることを含めることができることが企図されている。(1)加圧ガス導管がバイアルのヘッドスペースと流体連通して接続可能であり、かつ(2)サンプルループが、ヘッドスペースと通気経路の間で、それらと流体連通して接続可能であれば、ヘッドスペース、サンプルループ、および加圧ガス導管の任意の配設が、開示されている方法では好適であることが企図されている。例えば、本明細書において記載されて、示されたいくつかの実施例は、加圧ガス導管は、通気経路と流体連通して接続可能であることを示すが、加圧ガス導管と通気経路は、別個に、ヘッドスペースと流体連通して接続可能にすることもできることが企図されている。
任意選択的に、さらに別の態様では、図2に示すように、バイアル内部のガス減圧率を制御する方法には、ヘッドスペース内に気相を生成するためにバイアル内部のサンプルの温度を調節するステップ100を含めることができる。この態様では、サンプルは、ヘッドスペース内に気相を生成するために加熱することができることが企図されている。ヘッドスペースには、サンプルのガス状部分を含めることができることがさらに企図されている。例示的な一態様では、ヘッドスペースサンプリング装置のヘッドスペース、サンプルループ、および加圧ガス導管の間の流体連通を確立するステップ110の前に、バイアル内部のサンプルの温度を調節することができることが企図されている。代替的に、ヘッドスペースサンプリング装置のヘッドスペース、サンプルループ、および加圧ガス導管の間の流体連通を確立するステップ110の後に、バイアル内部のサンプルの温度を調節することができるとさらに考えられる。
別の態様では、図2に示すように、バイアル内部のガス減圧率を制御する方法には、加圧ガスによって加圧ガス導管を加圧して、ヘッドスペース内部にサンプルガス圧力を確立するステップ120を含めることができる。この態様では、サンプルガス圧力は、低圧環境における圧力よりも大きくすることができる。サンプルガス圧力は、約100〜約800kPaの範囲にすることができることが企図されている。より好ましくは、サンプルガス圧力は、約130〜約310kPaの範囲とすることができる。例示的な一態様では、サンプルガス圧力は、約170kPaとすることができる。別の態様では、サンプルガス圧力は、ヘッドスペースサンプリング装置のユーザによって設定可能にすることができることが企図されている。
さらに別の態様では、図2に示すように、バイアル内部のガス減圧率を制御する方法には、サンプルループを、通気経路を介して低圧環境と流体連通して接続するステップ130を含めることができる。さらに別の態様では、バイアル内部のガス減圧率を制御する方法には、バイアルのヘッドスペース内部のガス圧力をモニタリングするステップ140をさらに含めることができる。ヘッドスペース内部のガス圧力をモニタリングするステップ140は、加圧ガス導管と流体連通して配置された従来圧力センサを使用して達成することができることが企図されている。しかし、圧力センサは、バイアルのヘッドスペース内部の圧力に実質的に相当する圧力をモニタリングすることを可能にする、ヘッドスペースサンプリング装置内部の任意の場所に配置することができることが企図されている。
図2に示すように、さらに別の態様では、バイアル内部のガス減圧率を制御する方法には、ガスをヘッドスペースからサンプルループを介して低圧環境へと放出するように通気バルブを調節するステップ150を含めることができる。この態様では、ヘッドスペースからサンプルループを介して低圧環境へガスを放出することによって、サンプルガスがヘッドスペースからサンプルループへと流すことが可能となることが企図されている。任意選択的に、一態様では、ガスをヘッドスペースからサンプルループを介して低圧環境へと所定の率で放出するように、通気バルブを調節することができる。この態様で、ヘッドスペースからサンプルループを介して低圧環境への所定のガス放出率は、約0〜25kPa/sec、より好ましくは約0.5〜約6kPa/secの範囲とすることができることが企図されている。例示的な一態様では、ヘッドスペースからサンプルループを介して低圧環境への所定のガス放出率は、約2.3kPa/secとすることができる。このように制御して圧力を低減することによって、サンプルループおよび通気経路を介するガス流の制御および/または低減を強化することができることが企図されている。結果的に、制御して圧力を低減することによって、既知の方法およびシステムと付随する、サンプルループおよび通気経路を通過する急激な拡張および高い流量によって生じる、ヘッドスペース内部のいかなる変化をも最小化することができる。本明細書において使用するときには、ヘッドスペースからサンプルループを介して低圧環境への所定のガス放出率は、ヘッドスペースと共に圧力が減少している率を示す。したがって、ヘッドスペースからサンプルループを介して低圧環境への所定のガス放出率が正の率として与えられたとしても、この率は、バイアルのヘッドスペース内部の減少する圧力を反映する。
ヘッドスペース内部のガス圧力が所定の圧力設定点まで徐々に減少するように、ガスを、ヘッドスペースからサンプルループを介して低圧環境まで所定の変化率で放出することができることがさらに企図されている。所定の圧力設定点は、約100〜約800kPa、さらに好ましくは約130〜約310kPaの範囲とすることができることがさらに企図されている。例示的な一態様では、所定の圧力設定点は、約170kPaとすることができる。一態様では、ヘッドスペース内部のガス圧力は実質的に直線的に減少させることができることが企図されている。例えば、所定の圧力設定点が絶対圧力で170kPaであり、サンプルガス圧力が200kPaであって、サンプルループから低圧環境への所定のガス放出率が毎秒2kPa(kPa/sec)である場合に、ヘッドスペース内部のガス圧力は、所定の圧力設定点に到達するまで、約15秒間実質的に直線的に減少させることができることが企図されている。別の態様では、ヘッドスペース内部のガス圧力は、実質的に指数関数的に減少させることができることが企図されている。ヘッドスペース内部のガス圧力における指数関数的および直線的な減少に加えて、開示された方法、システムおよび装置は、連続的であれ不連続であれ、また線形であれ非線形であれ、任意の関数曲線、または曲線の系列に対応する、ヘッドスペース内部のガス圧力の減少を生成するのに使用することができることが企図されている。
漏洩がない場合に、通気バルブが閉じられている所与の時間において、通気経路とバイアルとの間の任意の位置における測定圧力は、通気経路とバイアルの間の他任意の位置におけるガス圧力、ならびにバイアル内部の圧力と実質的に等しくすることができることが企図されている。圧力制御バルブが加圧ガス導管内部に配置されている場合には、圧力バルブの下流に位置する、加圧ガス導管内部の任意の位置に対して、上記の関係は成り立つ。通気バルブが開かれている場合には、ヘッドスペースサンプリング装置内部で圧力勾配を確立することができることが企図されている。例示的な一態様では、バイアル内部のヘッドスペースの圧力を測定するのに使用される圧力センサは、サンプルループを介して大気へと放出されるヘッドスペースの部分に圧力センサが接触しないように、配置することができる。この態様では、圧力センサは、本明細書に記載のように、加圧導管と流体連通して配置すると共に、放出の間に、ヘッドスペースがそれに続く経路から、間隔を空けておくことができることが企図されている。したがって、態様によっては、加圧ガス導管内部で測定されるガス圧力は、バイアルのヘッドスペース内部の圧力に実質的に一致させることができることが企図されている。しかし、圧力センサによって測定される圧力が、バイアルのヘッドスペース内部の圧力に実質的に相当する、ヘッドスペースサンプリング装置内部の任意の位置に、圧力センサを配置することができることが企図されている。別の態様では、2つ以上の圧力センサを、ヘッドスペースサンプリング装置内部に選択的に配置して、バイアルのヘッドスペース内部の圧力を示す、1つまたは複数の出力を提供することができる。
任意選択的に、別の態様では、ヘッドスペースサンプリング装置は、ヘッドスペース分析器と、キャリアガスを受け入れるための入口を備えるキャリアガス導管とに、接続可能とすることができる。この態様で、ヘッドスペースと通気経路の間、またはキャリアガス導管とヘッドスペース分析器との間で流体連通を可能にするように、サンプルループを接続可能とすることができる。すなわち、図2に示すように、バイアル内部のガス減圧率を制御する方法には、キャリアガス導管、サンプルループ、およびヘッドスペース分析器の間の流体連通を確立するステップ170をさらに含めることが考えられる。一態様では、キャリアガス導管、サンプルループ、およびヘッドスペース分析器の間の流体連通を確立するステップ170は、ヘッドスペースサンプリング装置のヘッドスペースおよび/またはサンプルループが、加圧ガスから切断された後に、行われる。別の態様では、サンプルループとヘッドスペース分析器の間の流体連通を確立するステップ170は、任意選択的に、ヘッドスペースからサンプルループを介して低圧環境へガスを所定の変化率で放出する間に行うことができる。その間にガスがヘッドスペースからサンプルループを介して低圧環境まで所定の変化率で放出される期間を、サンプルループを通過する実質的に一定のガス流の期間と一致させることができることが企図されている。さらに別の態様では、バイアル内部のガス減圧率を制御する方法には、本明細書に記載のように、サンプルループ内部のサンプルガスの少なくとも一部分が、ヘッドスペース分析器、またはヘッドスペース分析器と連通して接続可能な分析装置の要素中に送り込まれるように、キャリアガスでキャリアガス導管を加圧するステップ180を含めることができる。
例示的な態様では、ヘッドスペース分析器は、分析カラムなどの分析装置と流体連通するクロマトグラフィ検出器を備えることができる。これらの態様では、分析装置は、サンプルループからサンプルガスを受け入れるように構成することができると共に、クロマトグラフィ検出器は、ヘッドスペース内部の成分を示す出力信号を生成するように構成することができる。ヘッドスペース分析器は、クロマトグラフィ検出器からの出力信号を受け入れて処理するように適合された、クロマトグラフィ分析器を備えることができることがさらに企図されている。一態様では、サンプルループとヘッドスペース分析器の間の流体連通を確立するステップには、サンプルループ、キャリアガス導管、および分析カラムの間の流体連通を確立することを含めることができる。
ヘッドスペース分析器は、ヘッドスペースサンプリング装置から流体サンプルを受け入れて、流体サンプルを分析用の分析装置中に送り、分析の結果を検出して報告するように構成されている。分析装置は、ヘッドスペース分析器を装備していないユーザ選択可能な構成要素、例えば、ガスクロマトグラフィカラムとすることができる。通常、ユーザは、カラムを選び、分析システムの動作の前に、それをヘッドスペース分析器中に装着する。サンプルがガスクロマトグラフィカラムによって分析された後に、サンプルの成分は、検出のためにヘッドスペース分析器内の検出器を通過する。実施形態によっては、ヘッドスペース分析器は、質量分析計を備えてもよい。サンプルは、質量分析の前の分離ステップなしに、質量分析計によって直接的に分析、および検出を行うことができる。代替的に、サンプルは、最初にクロマトグラフィカラムによって分析して、その後に、質量分析計によってさらに分析および検出を行うことができる。
さらに別の態様では、図2に示すように、バイアル内部のガス減圧率を制御する方法には、ヘッドスペース内部のガス圧力を実質的に安定化させるステップ160を、任意選択的に含めることができる。この態様では、その間にヘッドスペース内部でガス圧力が実質的に安定である期間が、加圧ガス導管を通って流れるガスが実質的にゼロである期間に一致させることができることが企図されている。ヘッドスペース内部のガス圧力を実質的に安定化させるステップ160は、キャリアガス導管、サンプルループ、およびヘッドスペース分析器の間の流体連通を確立するステップ170の前に行うことができるとさらに考えられる。さらに、ヘッドスペース内部のガス圧力を実質的に安定化させるステップ160には、通気バルブを閉じることを含めることができると、さらに考えられる。
本明細書に開示されるように、ヘッドスペースからサンプルループを介して低圧環境へとガスを制御された方法で放出することによって生じる、圧力の漸進的な変化によって、サンプルループに配送されてヘッドスペース分析器へと転送されるガスサンプル濃度の一貫性と再現性を改善することができることが企図されている。結果的に、単一のガスサンプルまたは複数のガスサンプルの分析における一貫性および再現性も改善することができる。例えば、開示された方法を使用することによって、特定のガスサンプルの分析における、面積再現性の相対標準偏差は、約5%未満、より好ましくは約2%未満、最も好ましくは約1%未満とすることができることが企図されている。様々なサンプルに対する面積再現性の実験例を、本明細書に記載する。
本明細書において開示される方法のステップを実施するのに、従来の処理技法を使用することができることが企図されている。例えば、開示された方法ステップは、限定することなく、コントローラ、プロセッサ、メモリ、ディスプレイ、キーボードなどのユーザ入力機構などを含む、従来の処理ハードウエアを使用して実施することができることが企図されている。従来の処理ハードウエアを、開示された方法の実施と合わせて使用することのできる、従来のコンピュータの一部とすることができることがさらに企図されている。一態様では、従来の処理ハードウエアは、開示された方法のステップを実施するソフトウエアによってプログラムすることができる。
先に開示された方法のステップを実施するのに使用することのできるヘッドスペースサンプリング装置も、開示される。そのようなヘッドスペースサンプリング装置を備える、ヘッドスペース分析システムも開示される。図3に示すように、例示的な態様では、ヘッドスペースサンプリング装置200は、バイアル220のヘッドスペース222からのガスサンプルをサンプリングするように構成することができる。バイアル220は、従来のガラスサンプルバイアルとすることができることが企図されている。バイアル220は、約5ミリリットル(mL)から約22ミリリットル(mL)範囲の体積を有するヘッドスペース222を収納するように構成することができることがさらに企図されている。さらに別の態様では、バイアル220はセプタム224を備えることができることが企図されている。この態様では、セプタム224には、例えば、限定することなく、ゴムなどの従来のエラストマー材料を含めることができることが企図されている。セプタム224には、テフロン(登録商標)コートされたシリコーンゴムを含めることができることがさらに企図されている。
一態様では、図3に示すように、ヘッドスペースサンプリング装置200は、加圧ガスを受け入れる入口231を有する加圧ガス導管230を備えることができる。この態様では、加圧ガス導管230は、バイアル220のヘッドスペース222と流体連通して接続可能とすることができることが企図されている。加圧ガスは、特定のサンプルに好適な任意のガスとすることができることがさらに企図されている。例えば、加圧ガスは、特定のサンプルの目的のために、実質的に非反応性または不活性とすることができる。すなわち、加圧ガスは、例えば、限定することなく、ヘリウムガス、水素ガス、窒素ガス、アルゴンガスなどとすることができることが企図されている。例示的な一態様では、加圧ガスは、例えば、限定することなく、5%のメタンを含むアルゴンなどの、メタンとアルゴンの混合物とすることができることが企図されている。一態様では、加圧ガス導管230は、加圧ガス導管230を通過するガスの流れを制御するための、バルブ232を有することができる。加圧ガス導管230のバルブ232は、従来の電気機械式ソレノイドバルブとすることができることが企図されている。
さらに別の態様では、図3を参照すると、ヘッドスペースサンプリング装置200は、加圧ガス導管230と流体連通して配置された圧力センサ234を備えることができる。この態様では、圧力センサ234は、加圧ガス導管230内部のガス圧力を示す圧力信号を発生するように構成することができる。圧力センサ234は、従来の圧電抵抗圧力センサとすることができることが企図されている。本明細書に記載のように、圧力センサ234は、バイアル220のヘッドスペース222内部の圧力に実質的に相当する圧力を測定することを可能にする、ヘッドスペースサンプリング装置200内部の任意の場所に配置することができることが企図されている。
さらに別の態様では、図3に示すように、ヘッドスペースサンプリング装置200は、低圧力環境と流体連通して接続可能な通気経路235を備えることができる。例示的な一態様では、通気経路235は、加圧ガス導管230への入口231の下流の加圧ガス導管230に結合することができることが企図されている。低圧環境は、バイアル220内部の加圧後圧力よりも低い圧力を有する任意の圧力環境とすることができることがさらに企図されている。例えば、低圧力環境は、周囲環境、準大気圧環境、または周囲圧力よりも大きいが、バイアル220のヘッドスペース222内部の加圧後圧力よりも低い、圧力を有する圧力環境とすることができる。
図3に示すように、別の態様では、ヘッドスペースサンプリング装置200は、ヘッドスペース222および通気経路235と流体連通して接続可能なサンプルループ240を備えることができる。例示的な一態様では、サンプルループ240は、サンプルループとヘッドスペースサンプリング装置200の構成要素の間に選択的に流体連通をもたらす従来のバルブに取り付けるか、またはその内部に配置することができることが企図されている。例えば、限定することなく、サンプルループ240は、6ポートロータリバルブ、マルチポートダイアフラムバルブなどのマルチポートバルブに取り付けるか、またはその内部に配置することができる。サンプルループ240は、複数のマルチポートバルブまたはダイアフラムバルブを備える、マイクロマシン型電気機械的システムの一部とすることができることがさらに企図されている。サンプルループ240は、本明細書に記載されたもののような、従来の化学トラップにすることができることがさらに企図されている。
加圧ガス導管230、通気経路235、およびサンプルループ240の例示的な構成は、ヘッドスペースサンプリング装置200のこれらの要素の1つの可能な構成にすぎない。(1)加圧ガス導管がバイアル220のヘッドスペース222と流体連通して接続可能であり、かつ(2)サンプルループが、バイアルのヘッドスペースと通気経路の間で、それらと流体連通して接続可能であれば、加圧ガス導管230、通気経路235、およびサンプルループ240の任意の構成が、開示された方法、システムおよび装置の目的に対して容認できることが企図されている。
さらに別の態様では、図3に示すように、ヘッドスペースサンプリング装置200は、サンプルループ240とヘッドスペース222を収納するバイアル220の間の流体連通を確立するための手段を備えることができることが企図されている。一態様では、サンプルループ240とヘッドスペース222の間の流体連通を確立する手段は、サンプルループと流体連通する穴を有するニードル226を備えることができる。この態様では、セプタム224は、バイアル220のヘッドスペース222中にニードルを挿入したときに、ニードル226のまわりにシールを形成するように構成することができることが企図されている。サンプルループ240とヘッドスペース222の間の流体連通を確立するために、流体連通を確立するための任意の従来の手段を使用することができることが企図されている。例えば、限定することなく、サンプルループ240とヘッドスペース222を収納するバイアル220の間に流体連通を確立する手段は、複数容器を通過する選択的サンプリングのためのストリーム選択バルブ、ならびにバイアルへの取り付けのための再シール可能(resealable)なバルブを備えることができる。
図3に示すように、さらに別の態様では、ヘッドスペースサンプリング装置200は、通気経路235に配置されて、ヘッドスペース222からサンプルループ240を介して低圧環境へのガス流量を制御するように選択的に調節可能な、通気バルブ238を備えることができる。この態様では、通気バルブ238は開閉することによって、ヘッドスペース222、サンプルループ240、および低圧力環境の間の選択的な流体連通をもたらすことができることが企図されている。例示的な一態様では、通気バルブ238は、例えば、限定することなく、電気機械式比例バルブなどの、従来の比例バルブとすることができる。
漏洩がない場合に、通気バルブ238が閉じられている所与の時間において、通気経路235とバイアル220との間の任意の位置における測定圧力は、通気経路とバイアルの間の他任意の位置におけるガス圧力、ならびにバイアルのヘッドスペース222内部の圧力と実質的に等しくすることができることが企図されている。圧力バルブ232が加圧ガス導管230内部に配置されている場合には、圧力バルブの下流に位置する、加圧ガス導管内部の任意の位置に対して、上記の関係は成り立つ。通気バルブ238が開かれている場合には、ヘッドスペースサンプリング装置200内部で圧力勾配を確立することができることが企図されている。例示的な一態様では、バイアル220内部のヘッドスペース222の圧力を測定するのに使用される圧力センサ234は、サンプルループ240および通気経路235を介して大気へと放出されるヘッドスペースの部分に圧力センサが接触しないように、配置することができる。この態様では、圧力センサ234は、加圧導管230と流体連通して配置すると共に、本明細書で記述するように、放出中にヘッドスペース222がそれに続く経路から間隔を空けることができることが企図されている。したがって、加圧ガス導管230内部で測定されたガス圧力は、バイアル220のヘッドスペース222内部の圧力に実質的に一致させることができることが企図されている。しかし、圧力センサ234は、圧力センサで測定された圧力が、バイアル220のヘッドスペース222内部の圧力に実質的に相当する、ヘッドスペースサンプリング装置200内部の任意の位置に配置することができることが企図されている。他の態様では、ヘッドスペースサンプリング装置200は、ヘッドスペースサンプリング装置内部に選択的に配置されて、バイアル220のヘッドスペース222内部の圧力を示す1つまたは複数の出力を提供する、2つ以上の圧力センサを備えることができる。
任意選択的に、一態様では、ヘッドスペースサンプリング装置200は、従来の化学トラップ(図示せず)を備えることができる。この態様では、化学トラップは、通気経路とサンプルループ240の間の加圧ガス導管230内部に配置することができることが企図されている。化学トラップは、サンプルの部分が、通気バルブ238を介して低圧環境へと脱出すること、および/または通気バルブを損傷することを防止することができることがさらに企図されている。
任意選択的に、別の態様では、図3に示していないが、ヘッドスペースサンプリング装置200は、バイアル220内部のサンプルの温度を調節する手段を備えることができる。サンプルの温度を調節する手段は、例えば、ホットプレート、従来のオーブン、対流オーブン、バーナー、水浴、油浴、カートリッジヒータ、加熱マントル、ペルチエ素子などを含むがこれらには限定されない、温度を制御する任意の従来の機構を備えることができることが企図されている。
さらに別の態様では、図3に示すように、ヘッドスペースサンプリング装置200は、通気バルブ238と流体連通して、ヘッドスペース222内部の圧力を制御するように、通気バルブ238を調節するように適合された、コントローラ250を備えることができる。この態様では、コントローラ250は、ガスがヘッドスペース222からサンプルループ240を介して低圧環境へと所定の率で放出されるように、通気バルブ238を調節するように適合させることができる。ヘッドスペース222からサンプルループ240を介して低圧環境への所定のガスの放出率は、約0〜約25kPa/sec、より好ましくは約0.5〜約6kPa/secの範囲とすることができることが企図されている。例示的な一態様では、ヘッドスペース222からサンプルループ240を介して低圧環境への所定のガスの放出率は、約2.3kPa/secとすることができる。本明細書で使用されるときには、ヘッドスペース222からサンプルループ240を介して低圧環境への所定のガス放出率は、ヘッドスペース内部で圧力が減少する率を示す。したがって、ヘッドスペース222からサンプルループ240を介して低圧環境への所定のガス放出率は正の変化率として与えられたとしても、この率は、バイアル220のヘッドスペース内部で減少する圧力を反映する。
さらに別の態様では、コントローラ250は、圧力センサ234からの圧力信号を受け取るように適合させることができる。この態様では、コントローラ250は、圧力センサ234からの圧力信号を、所定の圧力設定点と比較するように適合させることができることが企図されている。さらに別の態様では、コントローラ250は、ヘッドスペース222内部のガス圧力が、初期サンプルガス圧力から所定の圧力設定点まで徐々に低下するように、通気バルブ238を調節するようにさらに適合させることができる。所定の圧力設定点は、約100〜約800kPa、より好ましくは約130〜約310kPaの範囲とすることができることが企図されている。例示的な一態様では、所定の圧力設定点を約170kPaとすることができる。
本発明で開示するモニタリングされた圧力および所定の圧力設定点の範囲は絶対圧力を基準としているが、モニタリングされる圧力および所定の圧力設定点は、標準大気圧(101.3kPa)または周囲圧力を基準とすることもできることが企図されている。すなわち、加圧ガス導管230内部の圧力センサ234は、絶対圧力センサ(真空を基準とする)、シールドセンサ(標準大気圧を基準とする)、および現在周囲圧力を基準とするセンサの内の1種とすることができることが企図されている。全体圧力値がサンプル毎に実質的に一定である場合に、所望の分析再現性を得ることができることがさらに企図されている。圧力センサ234が絶対圧力センサである場合に、圧力センサの出力を、本明細書において使用するときには、加圧ガス導管230の所望設定点圧力に相当する、制御圧力値として直接的に使用することができる。圧力センサ234が、1標準大気圧を基準とする、シールドセンサである場合には、絶対圧力は、加圧ガス導管内部の測定圧力プラス101.3kPaに実質的に等しいが、この関係は特定の温度においてのみ成り立つ。したがって、圧力センサ234が、1標準大気圧を基準とするシールドセンサである場合には、ヘッドスペースサンプリング装置は、圧力センサの温度の変化を補正するように構成することができる。圧力センサ234が周囲圧力を基準とする場合には、絶対圧力は、加圧ガス導管内部の測定圧力と周囲圧力の合計に等しい。周囲圧力は時間または場所において一定ではないので、指示された圧力を一定に保つことによっては、一定絶対圧力を得ることができない。すなわち、図3には示していないが、圧力センサ234が周囲圧力を基準とする場合には、ヘッドスペースサンプリング装置には、周囲圧力を測定する少なくとも1つの絶対圧力センサを含めることができる。圧力センサ234および絶対圧力センサからコントローラ250によって回収される測定値は、次いで、対応する制御圧力値を計算するのに使用することができる。
図3にさらに示すように、コントローラ250は、電気通信リンク253を介して圧力センサ234からの圧力信号を受信することができる。さらに別の態様では、コントローラ250は、加圧ガス導管230の通気バルブ238を制御すると共に、それと流体連通することができることが企図されている。この態様では、コントローラ250は、通気バルブ238を開閉することによって、ヘッドスペース222、加圧ガス導管230、およびヘッドスペース分析装置の他の要素の、1つまたは複数の内部の圧力およびそれを通過する流れの少なくとも一方を制御するように構成することができる。図3に示すように、コントローラ250は、電気通信リンク254を介して加圧ガス導管230の通気バルブ238と通信することができる。さらに別の態様では、コントローラ250は、加圧ガス導管230のバルブ232を制御すると共に、それと流体連通することができる。この態様では、コントローラ250は、バルブ232を開閉することによって、ヘッドスペース222、加圧ガス導管230、およびヘッドスペース分析装置の他の要素の、1つまたは複数の内部の圧力およびそれを通過する流れの少なくとも一方をさらに制御するように構成することができる。図3に示すように、コントローラ250は、電気通信リンク252を介して加圧ガス導管230のバルブ232と通信することができる。電気通信リンク252、253、および254は、例えば、限定することなく、従来の有線伝送機構、および例えば、限定することなく、無線周波数(RF)通信機構および赤外線(IR)通信機構を含む、従来の無線伝送機構を含む、電気通信用の任意の従来の手段を備えることができることが企図されている。
さらに別の態様では、ヘッドスペースサンプリング装置200のコントローラ250は、ヘッドスペース22内部のガス圧力、およびヘッドスペース内部のガス圧力の変化、の内の少なくとも一方を示す出力を提供するように適合させることができる。この態様では、コントローラ250は、所定の圧力設定点および/またはヘッドスペース222からサンプルループ240を介して低圧環境までの所定のガス放出率が達成されたかどうかを象徴する警報を生成するように適合させることができることが企図されている。例示的な一態様では、ヘッドスペース222の圧力は、加圧ガス導管230内部の測定圧力に実質的に一致させることができることが企図されている。別の態様では、コントローラ250は、単独の装置とするか、または互いに電気的に通信して接続された複数の装置とすることができることが企図されている。
さらに別の態様では、ヘッドスペースサンプリング装置200のコントローラ250は、バイアル220内部のサンプルの温度を調節する手段と電気通信させることができる。この態様では、コントローラ250は、所望の通りにサンプルの温度を調節するように、ユーザによって選択的にプログラムすることができることが企図されている。
別の態様では、ヘッドスペースサンプリング装置200は、例えば、限定することなく、キーボードおよびモニタを有するコンピュータなどの、従来のユーザインターフェイス280を備えることができる。この態様では、ヘッドスペースサンプリング装置200のユーザインターフェイス280は、コントローラ250と電気通信させることができる。一態様では、ユーザインターフェイス280は、コントローラ250の出力を表示するように構成することができる。別の態様では、ユーザインターフェイス280は、ヘッドスペースサンプリング装置200のユーザから少なくとも1つの入力を受け取るように構成することができる。この態様では、ユーザからの少なくとも1つの入力には、コントローラ250の出力に応答するヘッドスペースサンプリング装置200の動作に対する命令を含めることができることが企図されている。さらに、ユーザからの少なくとも1つの入力は、例えば、限定することなく、ヘッドスペース222内部の達成しようとする、および/または維持しようとする選択されたガス圧力、およびヘッドスペース222からサンプルループ240を介して低圧環境への選択されたガス放出率を含む、ヘッドスペースサンプリング装置200の動作に対する命令を含めることができることが企図されている。
例示的な一態様では、ヘッドスペースサンプリング装置200のユーザインターフェイス280とコントローラ250の少なくとも一方が、それぞれのサンプルに対応するデータファイルを記憶するメモリを有することができる。この態様では、ヘッドスペースサンプリング装置200のコントローラ250の出力が、所定の圧力設定点、および/またはヘッドスペース222からサンプルループ240を介して低圧環境への所定のガス放出率、を達成することに失敗したことを示す場合には、コントローラ250は、ユーザインターフェイス280とコントローラの少なくとも一方のメモリ内に失敗エントリーを記憶するように構成することができることが企図されている。コントローラ250の出力が、所定の圧力設定点、および/またはヘッドスペース222からサンプルループ240を介して低圧環境への所定のガス放出率、を達成することに失敗したことを示す場合に、コントローラ250は、ユーザインターフェイス280とコントローラの少なくとも一方のメモリ内に、対応するデータファイルにフラグ設定するように構成することができることがさらに企図されている。コントローラ250の出力が、所定の圧力設定点、および/またはヘッドスペース222からサンプルループ240を介して低圧環境への所定のガス放出率、を達成することに失敗したことを示す場合には、ヘッドスペースサンプリング装置200のユーザは、特定のサンプルのサンプリングおよび/または分析を継続すべきかどうかを示す、ユーザインターフェイス280への入力を行うことができることがさらに企図されている。例えば、ヘッドスペースサンプリング装置200が、一連の異なるバイアル220のヘッドスペース222をサンプリングするように構成されている場合には、ユーザは、ヘッドスペースサンプリング装置が逐次サンプリングおよび/またはバイアルのヘッドスペースの分析を継続すべきかどうかを示す、ユーザインターフェイス280への入力を行うことができる。
いくつかの態様では、コントローラ250は、プロセッサを備えることができる。この態様では、プロセッサは、ソフトウエア、ファームウエア、およびフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)コードの少なくとも1種に従って動作するようにプログラムすることができる。コントローラ250は、プロセッサの動作を制御する、ソフトウエア、ファームウエア、およびFPGAコードを記憶するように構成されたメモリを備えることができることが企図されている。代替的に、コントローラ250は、ソフトウエア、ファームウエア、およびFPGAコードを記憶する外部コンピュータと通信させることができる。一態様では、ソフトウエア、ファームウエア、およびFPGAコードの少なくとも1種が、本明細書で開示するように、所定の圧力設定点、および/または、ヘッドスペース222からサンプルループ240を介して低圧環境への所定のガス放出率、が達成されるかどうかを判定するように、コントローラ250に命令することができる。さらに別の態様では、コントローラ250は、所定の圧力設定点、および/またはヘッドスペース222からサンプルループ240を介して低圧環境への所定のガス放出率、を達成することの失敗を、メモリ内にログ記録するように構成することができる。この態様では、そのような失敗のログによって、システムのユーザが、サンプルの分析に含めるべきではない結果を識別することが可能になることが企図されている。別の態様では、ソフトウエア、ファームウエア、およびFPGAコードの少なくとも1種は、所定の方法で、所定の圧力設定点、および/またはヘッドスペース222からサンプルループ240を介して低圧環境への所定のガス放出率、の達成の失敗に応答するように、コントローラ250に命令することができる。この態様では、そのような失敗の検出に応答する所定の方法には、ユーザに命令を促すこと、サンプルの分析を中断して次のサンプルに移行すること、サンプルの分析を進めること、サンプルのすべての分析を中断すること、警報を起動すること、望まれる受信者に警報電子メイルを送付すること、ヘッドスペースサンプリング装置200内部の少なくとも1つのバルブを開くこと、およびヘッドスペースサンプリング装置内部の少なくとも1つのバルブを閉じること、の少なくとも1種を含めることができることが企図されている。さらに別の態様では、コントローラ250は、キーボードと通信させることができることが企図されている。この態様では、ユーザは、キーボードを使用して、コントローラ250によって処理するための情報を入力することができる。さらに別の態様では、コントローラ250は、従来のディスプレイと通信させることができる。この態様では、コントローラ250は、本明細書に開示された出力を表示するように構成することができる。
他の態様では、図4A〜4Bに示すように、ヘッドスペースサンプリング装置200は、ヘッドスペース分析器300と通信して、バイアル220のヘッドスペース222からのガスサンプルを分析するための、ヘッドスペース分析システム400を形成することができる。ヘッドスペース分析システム400のヘッドスペース分析器300は、例えば、限定することなく、ガスクロマトグラフィ、質量分析計、気相赤外線分光計、センサ配列などを含む、ガス状サンプルの測定を行うことのできる任意の分析装置を備えることができることが企図されている。例示的な一態様では、分析器300がガスクロマトグラフィを備える場合には、サンプルは、低温プログラム可能入口内、または低温における分離カラムのヘッド上のいずれかでトラップすることもできることが企図されている。この態様では、単一サンプルからのヘッドスペースは、複数回サンプリングして、入口内またはカラム上で濃縮させることが可能であることが企図されている。同様に、単一のサンプルを、複数ヘッドスペースバイアルに設置して、ヘッドスペースサンプルを入口内またはカラム上にトラップして、各バイアルを、ヘッドスペースサンプリング装置を使用して、1回または複数回、サンプリングすることができることが企図されている。次いで、これらのサンプルを、従来の方法を使用して、熱的に脱着させることができる。これらの方法によって、追加のサンプル濃縮が得られることが企図されている。
別の態様では、ヘッドスペース分析器300は、例えば、限定することなく、活性炭、TENAX(登録商標)、コールドフィンガ(cold finger)などの化学トラップにおける、バイアル220のヘッドスペース成分をトラップするように構成することができることが企図されている。この態様では、トラップされたヘッドスペース成分は、従来方法を使用して、熱的に気相中に脱着させるか、または液体によって脱着させることができる。記載のようにヘッドスペースが液体内で脱着される場合に、ヘッドスペース分析器300は、例えば、限定することなく、高性能液体クロマトグラフ、液体分光計などを含む、液体サンプルの測定を行うことができる任意の分析装置を備えることができることがさらに企図されている。
いくつかの態様では、ヘッドスペース分析器300は、バイアル220のヘッドスペース222からのサンプルを分析するように構成することができる。より具体的には、ヘッドスペース分析器300は、ヘッドスペースサンプリング装置200からヘッドスペースサンプルを受け入れ、ヘッドスペースサンプルを分析のための分析装置に送り、分析の結果を検出して報告するように構成することができる。分析装置は、ヘッドスペース分析器を装備していない、ユーザ選択可能な構成要素、例えば、ガスクロマトグラフィカラムとすることができる。通常、ユーザは、分析システム400を動作させる前に、カラムを選び、それをヘッドスペース分析器300中に装着する。ガスクロマトグラフィカラムによってサンプルが分析された後に、サンプルの成分が、検出のためにヘッドスペース分析器300内の検出器を通過する。実施形態によっては、ヘッドスペース分析器300は、質量分析計を備えてもよい。このサンプルは、質量分析の前の分離ステップなしに、質量分析計によって直接的に分析、検出することができる。代替的に、サンプルは、最初にクロマトグラフィカラムによって分析し、続いて、質量分析計によるさらなる分析および検出を行うことができる。
図4A〜4Bに示すように、一態様では、ヘッドスペース分析システム400は、キャリアガス導管320を備えることができる。この態様では、キャリアガス導管320は、キャリアガスを受け入れるための入口322を有することができる。加圧ガスのように、キャリアガスは、特定のサンプルの目的に対して、実質的に非反応性で不活性である任意のガスとすることができることが企図されている。すなわち、キャリアガスは、例えば、限定することなく、ヘリウムガス、水素ガス、窒素ガス、アルゴンガスなどとすることができることが企図されている。例示的な一態様では、キャリアガスは、例えば、限定することなく、5%のメタンを含むアルゴンなどの、メタンとアルゴンの混合物とすることができることが企図されている。
例示的な一態様では、図4A〜4Bに示すように、分析装置は、例えば、限定することなく、クロマトグラフィカラムなどの、分析カラム324を備えることができる。さらに別の態様では、ヘッドスペース分析器300の検出器は、クロマトグラフィ検出器326を備えることができる。この態様では、クロマトグラフィ検出器326は、分析カラム324と流体連通させることができる。クロマトグラフィ検出器は、バイアル220内部のヘッドスペース222の成分を示す、出力信号を生成するように構成することができることが企図されている。さらに別の態様では、ヘッドスペース分析器300は、クロマトグラフィ検出器326からの出力信号を受け取り、処理するように適合された、クロマトグラフィ分析器328を備えることができる。図4A〜4Bに示すように、クロマトグラフィ検出器326は、電気通信リンク327を介してクロマトグラフィ分析器328と通信することができる。さらに別の態様では、ヘッドスペース分析器300は、本明細書に記載のように、コントローラ350を備えることができる。この態様では、コントローラ350は、電気通信リンク352を介して、クロマトグラフィ分析器328などの、ヘッドスペース分析器の構成要素を制御し、それと通信することができる。電気通信リンク327および352は、例えば、限定することなく、従来の有線伝送機構および、例えば、限定することなく、無線周波数(RF)通信機構および赤外線(IR)通信機構を含む、従来の無線伝送機構を含む、電気通信用の任意の従来の手段を備えることができることが企図されている。図4A〜4Bに示していないが、コントローラ250および350は、本明細書で記述したように、1つまたは複数のユーザインターフェイスと通信させることができることが企図されている。
これらの態様では、ヘッドスペースサンプリング装置200のサンプルループ240は、通気経路235とヘッドスペース222の間、またはサンプルループ240とヘッドスペース分析器300の間のいずれかの流体連通を可能にするように、接続可能であることが企図されている。図4A〜4Bに示すように、一態様では、サンプルループ240は、通気経路235とヘッドスペース222の間、またはキャリアガス導管320と分析カラム324の間のいずれかの流体連通を可能にするように接続可能である。図4A〜4Bに示すように、例示的な態様では、加圧ガス導管230は、通気経路235と流体連通して接続可能であり、ヘッドスペースサンプリング装置200のサンプルループ240は、ヘッドスペース222と、加圧ガス導管230および通気経路235の両方との通信を確立するように接続可能である。すなわち、これらの態様では、サンプルループ240は、加圧ガス導管230とヘッドスペース222の間、またはサンプルループ240とヘッドスペース分析器300の間のいずれかの流体連通を可能にするように接続可能である。図4A〜4Bに示すように、一態様では、サンプルループ240は、加圧ガス導管230とヘッドスペース222の間、またはキャリアガス導管320と分析カラム324の間のいずれかの流体連通を可能にするように接続可能である。図4Aに示すように、加圧ガス導管230がサンプルループ240に接続されている場合には、加圧ガスは、加圧ガス導管230を通り、サンプルループ240を通り、バイアル220中へと流れる。図4Bに示すように、キャリアガス導管320がサンプルループ240に接続されている場合には、キャリアガスは、キャリアガス導管を通り、サンプルループを通り、分析カラム324中へと流れる。図4Aに示すように、加圧ガス導管230がサンプルループ240に接続されている場合には、キャリアガス導管320は、サンプルループと流体連通していない。
任意選択的に、別の態様では、図4A〜4Bに示すように、ヘッドスペース分析システム400は、システムコントローラ450を備えることができる。この態様では、システムコントローラ450は、ヘッドスペースサンプリング装置200のコントローラ250およびヘッドスペース分析器300のコントローラ350の少なくとも一方と通信することによって、ヘッドスペース分析システム400に対する全体制御を行うことができることが企図されている。システムコントローラ450は、電気通信リンク452を介して、ヘッドスペースサンプリング装置200のコントローラ250と通信可能にすることができることが企図されている。システムコントローラ450は、電気通信リンク454を介してヘッドスペース分析器300のコントローラ350と通信可能にすることができることがさらに企図されている。システムコントローラ450は、本明細書で記述したコントローラのような、ヘッドスペースサンプリング装置200およびヘッドスペース分析器300と通信するように構成された、任意の従来の電気通信システムとすることができることがさらに企図されている。一態様では、ヘッドスペースサンプリング装置200のコントローラ250は、電気通信リンク354を介して、ヘッドスペース分析器300のコントローラ350と通信可能である。電気通信リンク354、452、および454は、例えば、限定することなく、従来の有線伝送機構、および例えば、限定することなく無線周波数(RF)通信機構および赤外線(IR)通信機構を含む、従来の無線伝送機構を含む、電気通信用の任意の従来の手段を備えることができることが企図されている。
さらに別の態様では、図4A〜4Bに示すように、システムコントローラ450は、電気通信リンク485を介して、本明細書に記載のような、ユーザインターフェイス480と通信することができる。電気通信リンク485は、例えば、限定することなく、従来の有線伝送機構、および例えば、限定することなく無線周波数(RF)通信機構および赤外線(IR)通信機構を含む、従来の無線伝送機構を含む、電気通信用の任意の従来の手段を備えることが考えられる。ユーザインターフェイス480は、システムコントローラ450の出力を表示するように構成することができることがさらに企図されている。別の態様では、ユーザインターフェイス480は、ヘッドスペース分析システム400のユーザから少なくとも1つの入力を受け取るように構成することができることが企図されている。この態様では、ユーザからの少なくとも1つの入力には、システムコントローラ450の出力に応答する命令などの、ヘッドスペースサンプリング装置200の動作のための命令を含めることができることが企図されている。ユーザからの少なくとも1つの入力には、システムコントローラ450の出力に応答する命令などの、ヘッドスペース分析器300の動作のための命令を含めることができることがさらに企図されている。例示的な一態様では、ヘッドスペース分析システム400のユーザインターフェイス480は、それぞれのサンプルに対応するデータファイルを記憶するためのメモリを有することができる。この態様では、ユーザインターフェイス480は、特定のサンプルのサンプリングと分析の結果として得られる、ヘッドスペースサンプリング装置200およびヘッドスペース分析器300からの出力を関連付けるように構成することができる。本明細書において開示されるように、ヘッドスペース222からサンプルループ240を介して低圧環境へのガスの制御された放出から生じる圧力の漸進的変化によって、サンプルループに配送されて、ヘッドスペース分析器300に転送される、ガスサンプル濃度の一貫性および再現性を改善できることが企図されている。結果的に、単一のガスサンプルまたは複数のガスサンプルの分析における一貫性および再現性も改善することができる。例えば、開示された方法を使用することによって、特定のガスサンプルの分析における面積再現性の相対標準偏差を、約5%未満、より好ましくは約2%未満、最も好ましくは約1%未満とすることができることが企図されている。様々なサンプルに対する面積再現性の実験例を本明細書で説明する。
以下の実験例は、本明細書において開示される、例示的な方法、装置、およびシステムを実施および使用することによって得られたデータを説明する。
一実験例において、本明細書に記載のようなヘッドスペース分析システムを使用して、以下の成分:メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、アセトン、n−プロパノール、1,4−ダイオクサン、トルエン、およびp−キシレンを有するヘッドスペースを分析した。この実施例において、ヘッドスペースは、12の異なるガスサンプルランで分析された。各ラン中に、ガスサンプルは、本明細書に記載のように、所定の率でヘッドスペースを放出中に、ヘッドスペースからサンプルループへと転送された。サンプルループがガスサンプルを受け入れた後に、本明細書に記載のように、ヘッドスペース内部の圧力の安定化に続いて、ガスサンプルは、続いてサンプルループからヘッドスペース分析器へと転送された。図5は、12のサンプルランの過程において、異なるヘッドスペース成分の正規化された面積を示すグラフを含む。このグラフは、12のサンプルの過程で、異なるヘッドスペース成分の面積の変動が最小であったことを示している。図5は、各ヘッドスペース成分に対応する面積の相対標準偏差を示す、行「領域」を備える表も含む。各ヘッドスペース成分の測定領域の相対標準偏差は、その特定のヘッドスペース成分に対する、ヘッドスペース分析システムの面積再現性に相当する。したがって、この実施例のヘッドスペース分析システムは、様々なヘッドスペース成分に対して、約1%の面積再現性を一貫して実証している。
別の実験例において、本明細書に記載のような、第1のヘッドスペース分析システム(ユニットA)を使用して、エタノールおよびn−プロパノールを収納する第1のシリーズのヘッドスペースサンプル、および本明細書に記載のような、第2のヘッドスペース分析システム(ユニットB)を使用して、エタノールおよびn−プロパノールを収納する第2のシリーズのヘッドスペースサンプルを分析した。ヘッドスペースサンプルの各シリーズは、3週間の過程で分析された、324個の異なるヘッドスペースサンプルで構成された。各分析ランの間、本明細書に記載のように、所定の率でヘッドスペースを放出する間に、ヘッドスペースの一部分がヘッドスペースからサンプルループへと転送された。サンプルループがヘッドスペースの一部分を受け入れた後に、本明細書に記載のように、ヘッドスペース内部の圧力が安定化された後に、続いて、ヘッドスペースサンプルが、サンプルループからヘッドスペース分析器へと転送された。図6Aは、ユニットAのユニット安定性を実証しており、これに対して図6Bは、ユニットBのユニット安定性を実証している。図6Aおよび6Bにおけるグラフは、324の別個のヘッドスペースサンプル分析の過程での各ヘッドスペース成分に関連するピーク面積の一貫性を示している。図6Aおよび6Bにおける表は、各ヘッドスペース成分と関連する平均ピーク面積、各ヘッドスペース成分の平均ピーク面積に関連する標準偏差、および全324個のヘッドスペースサンプルを基準として測定された、各ヘッドスペース成分のピーク面積に関連する相対標準偏差を示す。図6Aは、ユニットAの面積再現性は、エタノールに対して約1.41%、n−プロパノールに対して1.27%であったことを示す。図6Bは、ユニットBの面積再現性は、エタノールに対して約1.60%、n−プロパノールに対して1.37%であったことを示す。すなわち、ユニットAおよびユニットBの両方が、連続するヘッドスペースサンプルの成分に関連する面積において、同等の安定性をもたらした。
さらに別の実験例において、本明細書に記載のようなヘッドスペース分析システム(「能動」システム)の面積感受性が、従来のヘッドスペース分析システム(「受動」システム)の面積感受性と比較された。能動システムおよび受動システムの両方が、ヘッドスペースを収納するバイアルを、ゲージ圧15.00psi(psig)まで加圧するのに使用された。受動システムは、制御されていない率でヘッドスペースを放出するのに使用されて、圧力の急激な降下(図7に999psi/minのランプ率(ramp rate)として示されている)と、バイアル内部のゲージ圧0psiとにつながった。対照的に、能動システムは、本明細書に記載のように、20.00psig/minの所定の率でヘッドスペースを放出するのに使用された。この制御された圧力の降下は、バイアル内部で10psiの所定の圧力設定点に到達するまで、継続した。各ヘッドスペースを放出する間、各ヘッドスペースの部分は、それぞれのシステムのサンプルループ中に入った。図7における表は、各ヘッドスペース成分に対して、受動システムは、能動システムよりも有意に小さい平均面積を生成したことを示している。
さらに別の実験例において、本明細書に記載のような、ヘッドスペースサンプリングシステムを使用して、サンプルループ内部のヘッドスペースサンプルが、本明細書に記載のように、それに基づいてヘッドスペース分析器へと転送することのできる条件を評価した。図8Aおよび8Bは、両方とも、ヘッドスペースが所定の、実質的に直線状の率で放出されて、それによってヘッドスペースの一部分がサンプルループ(ヘッドスペースサンプル)中に転送されるときの、ヘッドスペースを収納するバイアル内部のゲージ圧を実証している。図8Aは、ヘッドスペースの放出の間に、ヘッドスペースサンプルをヘッドスペース分析器に転送するときのバイアル内部で発生する、ゲージ圧の変化をグラフで示している。図8Bは、本明細書に記載のように、バイアル内部の圧力を安定化した後に、ヘッドスペース分析器にヘッドスペースサンプルを転送するときに、バイアル内部で発生する、ゲージ圧の変化をグラフで示している。
例示的実施形態
本発明の例示的実施形態としては、それに限定はされないが、以下のものが挙げられる。
1.バイアルのヘッドスペースをサンプリングする方法であって、
加圧ガス源からの加圧ガスで、前記バイアルを加圧するステップと、
前記バイアルとサンプルループの間の流体連通を確立するステップと、
前記サンプルループと通気経路との間の流体連通を確立するステップと、
前記サンプルループを介して前記通気経路に前記バイアルを所定の率で放出して、それによって前記ヘッドスペースから前記サンプルループへのガス流を増強するステップと
を含む、方法。
2.前記バイアルを加熱するステップをさらに含む、実施形態1の方法。
3.前記所定の率が、約0〜約25kPa/secの範囲である、実施形態1または2の方法。
4.前記所定の率が約2.3kPa/secである、実施形態1または2の方法。
5.前記放出によって、前記バイアル内で指数関数的な圧力降下が生じる、実施形態1から3のいずれか1つの方法。
6.前記放出によって、前記バイアル内で直線状の圧力降下が生じる、実施形態1から3のいずれか1つの方法。
7.前記ヘッドスペース内部のガス圧力をモニタリングして、前記ヘッドスペース内部のガス圧力が所定圧力設定点まで低下したときに前記放出を停止するステップをさらに含む、実施形態1から6のいずれか1つの方法。
8.前記所定圧力設定点が、約100〜約800kPaの範囲である、実施形態7の方法。
9.前記所定圧力設定点が、約170kPaである、実施形態7の方法。
10.前記通気経路が、放出率を制御するように調節することのできるバルブを備える、実施形態1から9のいずれか1つの方法。
11.前記サンプルループが、前記加圧ガス源と前記通気経路の両方と接続可能であり、前記加圧ガスが、前記サンプルループを介して前記バイアルに加えられる、実施形態1から10のいずれか1つの方法。
12.前記サンプルループと記ヘッドスペース分析器との間の流体連通を確立して、前記ヘッドスペースから前記サンプルループを介して前記ヘッドスペース分析器へのガス流を可能にするステップをさらに含む、実施形態1から11のいずれか1つの方法。
13.前記サンプルループとキャリアガス源との間の流体連通を確立して、前記サンプルループ内のガスの少なくとも一部分が前記ヘッドスペース分析器中に送り込まれるように、前記キャリアガス源から前記サンプルループにキャリアガスを流すステップをさらに含む、実施形態12の方法。
14.前記サンプルループと前記ヘッドスペース分析器との間に流体連通を確立する前に、前記放出を停止するステップをさらに含む、実施形態12または13の方法。
15.ヘッドスペースを提供するためのバイアルと流体連通して接続可能なサンプルループと、
前記バイアルに加圧ガスを供給するための加圧導管と、
前記サンプルループと流体連通して接続可能であって、放出のための出口を有する、通気経路と、
前記通気経路と流体連通すると共に、前記バイアルから前記通気経路に所定の率で放出を行うように、前記通気経路を調節するように適合された、コントローラと
を備える、ヘッドスペースサンプリング装置。
16.前記加圧導管が前記サンプルループに接続されている、実施形態15のヘッドスペースサンプリング装置。
17.前記バイアルを加熱するための加熱器をさらに備える、実施形態15または16のヘッドスペースサンプリング装置。
18.前記コントローラが、実施形態1から14のいずれか1つの方法を実行するための命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体を備える、実施形態15から17のいずれか1つのヘッドスペースサンプリング装置。
19.実施形態15から18のいずれか1つのヘッドスペースサンプリング装置と、ヘッドスペース分析器とを備える、ヘッドスペース分析システム。
20.実施形態1から14のいずれか1つの方法を実行する命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
前述の明細書において、本発明のいくつかの実施形態を開示したが、前述の明細書および関連する図面において提示した教示の利益があれば、本発明が属する、本発明の多数の修正形態および他の実施形態を思い付くであろうことを、当業者には理解される。すなわち、本発明は、本明細書において開示した特定の実施形態に限定されるものではないこと、および多数の修正形態および他の実施形態は、添付の特許請求の範囲の範囲に含めることを意図することが理解される。さらに、本明細書、ならびにそれに続く特許請求の範囲において特殊な用語が使用されるが、それらの用語は、記載する発明、またはそれに続く特許請求の範囲を限定する目的ではなく、包括的および説明的な意味でのみ使用されている。