JP6010050B2 - 経胸腔的な心肺モニター - Google Patents

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Description

[関連出願の相互参照]
この出願は、2011年2月3日に出願された、米国仮出願特願第61/439,213号の利益を主張し、同出願を、参照により本願明細書に取り込む。
不安定な病状または重篤な病状の患者は、多くの場合、持続的なバイタルサインモニタリングを必要とする。これは、ICU、内科医学、心臓学、外科学等における入院患者を含む。同様に、養護施設または自宅における患者は、モニターを必要とし得る。モニタリングシステムにより収集されたデータは、多くの場合、現場のディスプレイおよび分析、(養護施設、遠隔医療センター等の現場における)遠隔のディスプレイおよび分析に中継される。オンラインまたはオフラインにより分析され得るデータにより、種々の警報器も、駆動され得る。
実際には、非ICU環境において、モニターされる主要なパラメータは、しばしば、呼吸を伴うECG、血液酸素飽和レベルおよび血圧である。しかしながら、これらのパラメータが患者の臨床状態を提供する情報には、限界があり、信頼性のある警告サインまたは警報を十分早期に提供するモニターなしに、患者は、危険な危篤状態に陥り得る。この失敗は、ECGにより提供される情報が、主に不整脈に関し、一部の場合では、著しい心虚血に関するものであり、O飽和により提供される情報が、深刻な心肺機能不全には限界があるという事実により得る。結果として、他の危険な症状は、察知され得ない。
本発明の一態様は、患者の呼吸速度を測定する方法に関する。この方法は、患者の肺に向けられる超音波プローブを使用して、複数の心臓周期に対応する期間、ドップラー超音波出力および速度のデータを取得する工程を含む。前記取得工程で得られた出力および速度のデータを、少なくとも1つのノイズ低減アルゴリズムを使用して処理する。ついで、時間に対する前記出力および速度におけるデータの包絡線を抽出する。前記包絡線抽出に使用される少なくとも1つのパラメータは、予期された呼吸周期に対応する変化を監視するために選択される。前記抽出された包絡線の周期的な特徴を特定し、前記特定された周期的な特徴のタイミングを測定する。ついで、呼吸速度の表示を、前記測定されたタイミングに基づいて出力する。一部の実施形態において、前記少なくとも1つのパラメータは、0.25Hz未満の周波数を通過し、1.5Hzより大きい周波数を減衰するように構成される。
本発明の他の態様は、患者の呼吸速度を測定するための装置に関する。この装置は、超音波トランスデューサを駆動するように構成された超音波振動数シグナル発生器と、患者の肺における対象領域から反射された超音波振動数帰還シグナルを受信し、前記帰還シグナルのドップラー偏移を検出するように構成されたレシーバとを含む。同装置は、(a)前記検出されたドップラー偏移をノイズ低減アルゴリズムで処理し、複数の心臓周期に対応する期間、処理された出力および速度のデータを出力し、(b)時間に対する前記出力および速度におけるデータの包絡線を抽出し、前記包絡線抽出に使用される少なくとも1つのパラメータが、予期された呼吸周期に対応する変化を監視するために選択され、(c)前記抽出された包絡線の周期的な特徴を特定し、(d)前記特定された周期的な特徴のタイミングを測定し、(e)前記測定されたタイミングに基づく呼吸速度の表示を出力するように構成されたプロセッサも含む。前記装置は、前記超音波トランスデューサを含む超音波プローブと併用するように構成される。
本発明の他の態様は、患者の心臓をモニターする方法に関する。この方法は、患者の肺に向けられる超音波プローブを使用して、複数の心臓周期に対応する期間、ドップラー超音波出力および速度のデータを取得する工程を含む。前記取得工程で得られた出力および速度のデータを、少なくとも1つのノイズ低減アルゴリズムを使用して処理し、心臓周期あたりに1回生じる前記出力および速度のデータにおける特徴を特定する。ついで、前記特定された特徴間のタイミングを測定する。
前記特定された特徴は、場合により、(a)収縮期の心室収縮に対応する特徴、(b)心室弛緩に対応する特徴、(c)拡張期の急速充満段階に対応する特徴、(d)心拍静止期に対応する特徴および(e)心房収縮に対応する特徴の少なくとも1つでもよい。
一部の実施形態は、前記測定工程において測定されたタイミングに基づいて、患者の心臓がどのくらい速く拍動しているかの表示を出力する更なる工程を含む。他の実施形態は、特定の特徴が特定された特徴の過去の発生に基づいて予期される時間を予測し、前記予測工程において予測されなかった時間での前記特定の特徴の存在を検出し、前記特定の特徴が予測されない時間で検出されたことの表示を出力する、更なる工程とを含む。
発明の他の態様は、患者の心臓をモニターするための装置に関する。この装置は、超音波トランスデューサを駆動するように構成された超音波振動数シグナル発生器と、患者の肺における対象領域から反射された超音波振動数帰還シグナルを受信し、前記帰還シグナルのドップラー偏移を検出するように構成されたレシーバとを含む。同装置は、(a)前記検出されたドップラー偏移をノイズ低減アルゴリズムで処理し、複数の心臓周期に対応する期間、処理された出力および速度のデータを出力し、(b)心臓周期あたりに1回生じる出力および速度のデータにおける特徴を特定し、(c)前記特定された特徴間のタイミングを測定するように構成されたプロセッサも含む。
一部の実施形態において、前記プロセッサは、さらに、前記測定されたタイミングに基づいて、患者の心臓がどのくらい速く拍動しているかの表示を出力するように構成される。他の実施形態において、前記プロセッサは、さらに、特定の特徴が特定された特徴の過去の発生に基づいて予期される時間を予測し、予測されなかった時間での前記特定の特徴の存在を検出し、前記特定の特徴が予測されない時間で検出されたことの表示を出力するように構成される。
図1は、経胸壁肺ドップラー(「TPD」)システムの一実施形態のブロック図である。 図2は、図1のシステムにより生成された出力の一例を示す。 図3は、図2に示す出力における5つの特徴を模式的に示す。 図4Aは、臨床治療におけるドップラー測定の「標準的なモデル」を示す。 図4Bは、TPDを使用して取得されるドップラーシグナルの起源を示す。 図5Aは、肺動脈および肺静脈における血流速度の出力波形を伴う正常な対象のTPD出力を比較する。 正常な呼吸および種々の呼吸操作中についてのTPD出力である。 正常な呼吸および種々の呼吸操作中についてのTPD出力である。 正常な呼吸および種々の呼吸操作中についてのTPD出力である。 正常な呼吸および種々の呼吸操作中についてのTPD出力である。 図6は、正常な対象からの10回の心臓周期を平均したTPD出力を示す。 図7Aは、伝搬性心房性期外収縮に続く、正常な洞律動についてのTPD出力を示す。 図7Bは、非伝搬性心房性期外収縮が存在する時のTPD出力を示す。 図8は、期外収縮が存在する時のTPD出力を示す。 図9は、心房細動発生時のTPD出力を示す。 図10は、TPDを使用した患者の呼吸速度の測定を示す。 図11は、疑似血液についての測定されたドップラー出力スペクトルを示す。 図12は、肺線維症の患者から記録されたTPD出力を示す。 図13Aおよび13Bは、期外収縮の2人の患者から記録された肺のドップラーシグナルを示す。 図13Aおよび13Bは、期外収縮の2人の患者から記録された肺のドップラーシグナルを示す。 図13Cおよび13Dは、図13Aおよび13Bそれぞれに対応する種々の特徴における出力を示す。 図13Cおよび13Dは、図13Aおよび13Bそれぞれに対応する種々の特徴における出力を示す。 図14は、出力と心臓収縮力とを関連付ける方法を示す。 図15Aおよび15Bは、不安定な心臓の状態の患者から得られたTPD出力を示す。 図15Aおよび15Bは、不安定な心臓の状態の患者から得られたTPD出力を示す。 図16は、出力および速度が、呼吸の深さにより徐々に変化する方法を示す。 図17は、出力が相対肺容量により影響を受ける方法を示す。 図18は、自動特徴認識アルゴリズムにより測定された特徴間の境界線を示す。
本発明は、肺循環および肺の超音波散乱特性が、各種の心肺の病態生理学的症状および疾病において著しく修飾され得ること、ならびに、このような情報が、重要な診断的および治療的重要性であり得ること、と認識される。本願明細書に記載される実施形態は、ドップラー超音波を使用して、肺における動脈および静脈の機能性、ならびに、前記動脈および静脈を囲む肺組織の完全性および機能性をモニターするために設計される。本願明細書において、「経胸壁肺ドップラー」または「TPD」と呼ばれる。
図1は、このような一実施形態のブロック図である。(超音波トランスデューサを含む)プローブ11と連結されたドップラー超音波マシン12は、従来の方法において時間とともに、対象10の対象領域における関連のある速度ごとに出力を測定するのに使用される。これは、パルス状の超音波ビームを生成し、反射エネルギーを取得し、ドップラー偏移を算出し、このようにして得られたデータを処理して、超音波反射体の出力および対応する速度のマトリックスを提供することにより達成され得る。適切なドップラー超音波マシン12の一例は、パルスドップラーシステムである、Sonara/tekパルス経頭蓋ドップラー装置(Viasys、Madison、Wisconsin、USから入手できる)である。ドップラー超音波マシン12は、自身がキャプチャーするデータを、従来のドップラー超音波表示を(例えば、コンピュータ13に使用されるモニター上に)生成するためのソフトウェアがロードされているパーソナルコンピュータ13に送信する。前記表示において、x軸が時間を表し、y軸が速度を表し、出力が色により表される。超音波パラメータを制御するための適切なソフトウェアも、Viasysから入手できる。ここで留意すべきは、別の実施形態では、ドップラー超音波マシン12およびパーソナルコンピュータ13の機能は、単一の装置に組み合わせられてもよいことである。
好ましくは、ECGシステム14も備えられる。ECGシステム14は、従来のECGリード線15と接続し、任意の従来の方法で出力を生成する。前記出力は、好ましくは、追ってドップラー超音波マシン12と同期され、それにより、ECGおよび超音波表示の両方が、同じ時間スケールで表示され得る。ECGシステム14の出力は、任意の従来の方法でパーソナルコンピュータ13に供給される。別の実施形態では、ECGシステム14が、代わりとしてドップラー超音波マシン12に組み合わせられてもよい。
4cmの焦点距離を有する、直径21mm、2MHzのセンサ等の標準的なTCDプローブを、プローブ11として使用してもよい。適切なプローブを、Sonara/tekマシンと共に使用するために、Viasysから入手できる。抹消血管または心臓血管のドップラー超音波測定を行うための従来のプローブも、使用し得る。しかしながら、これらの用途は、しばしば、フェーズド・アレイ・トランスデューサを使用して形成される、典型的に狭いビームを使用して、比較的小さな標的の幾何学的な特徴付けを行うのに役立つ高い空間分解能を提供する。これらの狭いビームは、TPDに関して使用可能な結果を生じ得るが、一部の好ましい別の実施形態では、比較的広いビーム、例えば、少なくとも1/4cm(例えば、1/4から3cmの間)の実行断面積を有するビームを使用する。これは、より小型のトランスデューサを使用することにより達成されてもよいし、他の解剖用途において一般的なフェーズド・アレイ・トランスデューサに代えて、単一要素のトランスデューサを使用することにより達成されてもよい。別の実施形態において、比較的少数(例えば、4−6)の要素を有するトランスデューサを、使用し得る。コイン型(貨幣形)の超音波ドップラープローブ(例えば、直径約2cm)が、この用途に適している。より広いビームを使用する場合、前記システムは、肺が、血管(動脈および静脈の両方)ならびにそれらの周辺の肺組織からなる、詳細不明の幾何学的形状の比較的大きな複合体を含むという事実を活用し得る。
ここで留意すべきは、超音波による肺の画像化は、散乱により不可能であるため、既知の生体構造以外の指針なしに、標的をスキャンしなければならないことである。ここで留意すべきは、散乱が、フェーズアレイまたは機械的手段のいずれかによるスキャニングの利点を低下させることでもある。さらに、肺の深さ全体が散乱を引き起こすため、CW(連続波)超音波は、肺への適用について、PW(パルス波)ドップラー超音波より有効性が低い。したがって、一部の好ましい実施形態では、比較的広いビームを有するPW超音波を利用する。場合により、このような実施形態では、身体の表面に配置された複数のセンサを使用してもよい。
場合により、特別に選択または設計された超音波プローブおよび/または適切なビーム出力制御装置を、使用してもよい。前記ビームは、種々の容量の組織を測定可能な、動的に調整可能なビーム形状およびサイズを含む。ここで留意すべきは、ドップラーを他の標的組織に使用する場合と対照的に、比較的大きな容量から生じるシグナルの平均および積分は、有用な情報を含むことである。
ドップラーシグナルからの表示を生成するための標準的なソフトウェアに加えて、パーソナルコンピュータ13は、好ましくは、TPDを作動させ、所望の動作モード、表示モードおよび保管モードを選択するためのソフトウェアを含む。パーソナルコンピュータ13は、適切なデータ・ストレージ・リソース(例えば、ローカル・ハード・ドライブまたはリモート・ハード・ドライブ)を含むか、または、同データ・ストレージ・リソースにアクセスできる。パーソナルコンピュータ13は、好ましくは、肺組織によるシグナル散乱および減衰により生成されたノイズを最小化するのに最適化された、1つ以上のノイズ低減(NR)アルゴリズムを使用して、速度および出力対時間の元データを処理する。
ノイズ低減に対する1つの好ましい取り組みは、平均化とエッジ検出との2つの段階を含む。第一段階において、多数の心臓周期からの平均化されたシグナルを、N個の特性シグナルの出力/速度データを平均化することにより取得する。N個のシグナルそれぞれは、好ましくは、単一の心臓周期を表わす。Nは、好ましくは、4から20(例えば、10)の整数である。好ましくは、各シグナルは、各端部においてR波により境界を示されるが、別の実施形態では、心臓周期上の他の点を、時間基準点として使用してもよい。算出された平均化シグナルは、対象についてのスペクトルグラムの挙動を特徴付けていると考えられる。したがって、関連する特徴を後に測定するための基礎となる。ここで留意すべきは、この平均化段階を行うのが好ましいが、別の実施形態では、この段階を省略でき、つぎの処理を単一の心臓周期からのデータに対して行えることである。
第2段階は、エッジ検出および包絡線算出である。この段階では、振幅および時間に関して、出力および速度信号の出力波形対時間を描出し、これにより、血管移動を表す区分(すなわち、シグナル)をノイズから分離する。1つ以上のノイズ低減アルゴリズムを、この段階中に使用してもよい。好ましい一実施形態では、本願明細書においてアルゴリズムAおよびアルゴリズムBと呼ばれる、2種類の特別なエッジ検出アルゴリズムを、前記データに適用する。アルゴリズムAおよびアルゴリズムBの両方は、平均化されたシグナルに適用され、平均化された画像におけるシグナルとノイズとの間のエッジ(すなわち、包絡線)を算出する。
アルゴリズムAは、所定時間でのシグナルとノイズとの間のエッジ(e)が、この時点の近傍でのデータの統計のみに基づいて規定される、局所的一次元的方法である。このアルゴリズムは、2段階を含む。第1段階では、任意の所定時間(ti)において、各出力スペクトルA(ti)についての閾値「thr(ti)」を、tiの近傍における最も低いエネルギーの領域を探索することにより規定する。ついで、thr(ti)を、この領域における最も高い出力レベルと等しく設定する。つぎに、thr(ti)をA(ti)に適用し、thr(ti)より上のA(ti)の全ての部分を、移動領域に対応するとみなし、他の部分の全てをノイズに対応するとみなす。
アルゴリズムAの第2工程では、ノイズの統計を使用することにより、流れとノイズとの間の最初の区別を洗練する。この工程では、推定値(ノイズ領域に含まれる流れ)を想定し、包絡線検出を調節してノイズ領域からの流れのピクセルを除外し、その相対的に高い値により、ノイズ領域における流れのピクセルを特定する。記号的に、これは、下記の3工程:
(a)各t={1,2,...N}について、P(t)={ノイズ領域におけるA(t)の平均}を算出する工程
(b){P(1),P(2),...P(N)}の平均および基準に基づく閾値「thr2」を規定する工程
(c)P(t’)>thr2である各t’について、P(t’)<=thr2となるまで、上方の包絡線を高くすること、または、下方の包絡線を低くすることにより、P(t’)を減少させる工程、により表され得る。
より良い結果のために、工程(a)−(c)を、好ましくは、複数回(例えば、10回)繰り返す。
アルゴリズムBは、二次元画像としてデータを処理するエッジ検出アルゴリズムである。この方法では、シグナルは、ノイズにより囲まれ、ノイズから区分された対象としてみなされ、それに応じて、エッジ(e)が算出される。この区分方法は、Chan−Veseアルゴリズムの実行である。(参照により本願明細書に取り込まれる、Chan T.F., Vese L.A., Active contours without edges. Image Processing IEEE, Transactions on, Volume10, Issue2:266−277(Feb2001)を参照のこと。)
ついで、アルゴリズムA(e=[e(t1),e(t2),...])により算出されたエッジを、アルゴリズムB(e=[e(t1),e(t2),...])により算出されたエッジと組み合わせる。これらの2つのエッジを組み合わせる1つの適切な取り組みは、所望のエッジが、見出された2つのエッジの間を通過することを想定することによる。これは、各種取り組みを使用して行われ得る。1つの取り組みは、各点でのアルゴリズムAおよびアルゴリズムBからの結果を単純に平均化することである。これらの2つのエッジを組み合わせるための他の取り組みは、下記のように:(1)間隔における画像の出力レベルを時間で積分し、(2)その結果を、最大値「1」および最小値「0」を有するように線形変換し、ついで、(3)時点tiでのエッジについての出力を、下記式:e(ti)=w(ti)(ti)+(1−w(ti))(ti)により規定する、重みのアレイ(w=[w(t1),w(t2),...])を作成するものである。
得られた出力は、好ましくは、一次元メジアンフィルター(例えば、次数3)により平坦化され、表示される。図2に、得られた出力の一例を示す。ここで留意すべきは、別の実施形態では、1つのアルゴリズムのみ(すなわち、アルゴリズムAもしくはアルゴリズムBまたは異なるNRアルゴリズムのいずれか)を、単独で使用してもよいし、他のNRアルゴリズムと組み合わせてもよいことである。
図2に、胸骨の右に約3cmで、剣状骨の先端の高さから上に7cmの位置(およそ4番目の肋間腔)に配置されたプローブを含む2MHzのドップラー超音波システムを使用して得られた、正常な対象の右肺における超音波反射体の速度22を示す。超音波ビームは、胸の表面に対しておおよそ垂直とした。図2において、より暗い領域が、より高い出力に対応する。従来のECG24も、好ましくは、図2の下部に表示する。類似の記録を、14cmまでの深さ(ゲート)での記録、および、心臓に占められていない領域の左胸から得た。右胸についての最大シグナル強度を、表面下8−9cmの深さで記録した。
従来のTCDシステムで使用されるのと同様のパルス繰り返し周波数(PRF)(すなわち、3−10kHz)を、TPDシステムに使用してもよい。しかしながら、TPDソノグラム22は、心臓周期と同じ周期性を有し、通常約30cm/秒までの値に達するのみである、複数の媒質速度シグナルを含む。(大きな動脈におけるドップラー流れ測定と比較して)これらのピーク速度が相対的に低いために、使用されるTPDのPRFを、標準的なパルスドップラーシステムより低い値に設定してもよい。PRFを1−2kHzに低くすることにより、実効ビーム透過深さが、従来のPRFと比較して少なくとも2倍になる。これは、肺における超音波速度が、脂肪、筋肉等におけるより、約30−50%低くなり、実効透過深さが低くなるため、重要である。好ましくは、前記ソフトウェアは、このより低い速度を考慮して構成される。シグナルを肺において発生する転移点を、肺シグナル(すなわち、非常に大きな応答を有するシグナル)が現れる最も浅い点を認識することにより検出し得る。ここで留意すべきは、異なる肺深さからの測定が、非常に類似する軌跡をもたらすこと、他の明らかに正常な対象についての軌跡が、一般的に類似の特性を有したことである。
各極性(正または負)において、比較的高いエネルギーを有し、形状がおおよそ三角形である、5つの顕著な特徴を、通常特定し得ることが分かる。図3に、これらの5つの特徴を模式的に示し、#1−5の番号を付ける。これらの特徴はそれぞれ、正/負の高い対称性を有する、正の成分(すなわち、流れの方向がプローブに向かっていることを示す正の速度)、および、対応する負の成分(すなわち、流れの方向がプローブから離れることを示す負の速度)を含む。したがって、これらの特徴はそれぞれ、反対方向への同時移動を示す。図3に示すように、これらの特徴は、心臓周期と同期している(ECG24におけるR波26に留意のこと)。
動作原理
肺について記録された上記シグナルは、唯一の起源を有するとみられる。周知のように、肺は、非常に多くの肺胞管、肺胞嚢および、非常に薄い膜により封入された小規模の気体容積とみなされ得る肺胞からなる。肺胞は、球状体により論理的に表されると考えられることができ、50−150μの範囲の大きさを有する。超音波にさらされる場合、これらの天然の肺の構成要素は、超音波検査で使用される超音波造影剤と、多くの点で似ている。(超音波造影剤は、高いエコー輝度、すなわち、超音波を反射する物体としての能力を有する気体で満たされた微小気泡である。)肺胞と軟組織とのエコー輝度の差異が、非常に大きいため、ほとんどのエネルギーが反射される。
肺構造体の超音波画像を取得するのは、散乱により不可能であるが、血管および/または軟組織(本願明細書ではまとめて、血管/軟組織と呼ぶ)と肺胞との間の高く反射する境界の移動を検出するのに実際に役立つ。この境界の移動は、呼吸により引き起こされ、心収縮ならびに、血液および肺血管中を伝わる機械的なパルス波によっても引き起こされる。肺血管が、非常に高い適合性(すなわち、体循環の適合性より非常に大きい)を有すること、および、血管を囲む空気で満たされた肺胞組織が、高い圧縮性であることは周知である。したがって、肺の動脈および静脈における圧力波は、それらの直径に大幅な変化をもたらす。つぎに、この変化により、高く反射する境界が移動し、その近辺における肺胞、肺胞嚢等を圧迫し、移動させる。組織と空気との超音波伝播速度が非常に異なるため、高いエコー輝度および強い超音波反射をもたらすそれらの境界での、機械的結合ミスマッチがある。この場合において、機械的結合ミスマッチは、ドップラー偏移をもたらす移動する反射体に由来する。これらの反射は、(ノイズレベルより上の20−40dBの範囲である、動脈中を流れる血液から測定される典型的な強度と比較して、)多くの場合、ノイズレベルより上の100dBオーダーである。これらのシグナルは非常に強力であるため、応答は、超音波エネルギーを約40dB/cm減衰する、動かない肺組織の層により、それが部分的に隠されている場合でも、ドップラーシステムにより取得される。
図4Aおよび図4Bに、従来のドップラーシグナルと胸壁を通してTPDにより取得されたシグナルとの差異を示す。図4Aは、臨床治療におけるドップラー測定の「標準的なモデル」を示す。同図では、装置により、動脈および静脈中の血流42による、または、より詳細には、それらの血管44を通る(超音波を反射する)赤血球43の移動によるドップラー周波数偏移が測定される。
図4Bに、TPDを使用して取得されるドップラーシグナルの起源を示す。ここで、心拍が、血管を通して血液32を押す圧力パルスを生成し、血管壁34が、一瞬に外側へ膨張し、それらを囲む空気で満たされた肺胞、肺胞嚢等35を圧迫するため、圧力の変化は、血管の直径を変化させる。血管/軟組織と肺胞との間の移動する境界線により引き起こされる反射された超音波のドップラー偏移は、出力および速度対時間プロットに変換され、TPDシステムにより表示される。これらのシグナルの大部分は、小さいサイズおよび中間サイズの動脈および静脈により生成されることが予想される。このモードにおいて生成される(身体の残りの部分における血液の流れにより生成されるシグナルとは対照的な)シグナルの特有の特徴は、双方向性である。相対的なビーム方向に関係なく、肺柔組織があらゆる角度から血管/柔組織を取り囲んでおり、より近くの境界線が、ビーム源の方向に移動し、一方、遠くの側での境界線がビーム源から離れるために、この現象は起こり得る。結果として、異極性の類似のシグナルが生成される。一部の場合において、図2に示すように、シグナルが、ほぼ完全に対称的に見える。このような対称性は、肺以外のドップラー記録においてめったにみられない。
血管を通る血流についての従来のドップラー測定(この場合、移動は血流自体である)において、プローブは、超音波ビームが最大速度を得られるように流れの軸に対して可能な限り平行となるように配置されることが重要である。対照的に、本願明細書に記載のTPD測定を生じさせる動きは、血流の方向に対して直角であり、したがって、最適な位置は、流れの軸に対して垂直であり、血管の半径に対して平行である。しかし、肺には非常に多くの血管があるため、位置決めは、TPDに関しては(血管を通る血流についての従来のドップラー測定と比較して)重要ではない。
図2における特徴は、ECG24のR−R間隔に対応する反復サイクルを常に有するため、心拍と同期して移動する間に超音波エネルギーを反射する構造体に由来するはずだと結論付けてきた。これらの実体は、心臓自身、肺の血管中を流れる血液、脈動血管または、肺胞、肺胞嚢、空気等とのそれらの接続部であり得る。
記録されたシグナルを、肺ドップラー速度シグナル(LDVS)と呼ぶこととする。図5Aにおいて、同じ時間スケールに正規化された心臓周期の持続時間と共に、1回の心臓周期について、正常な対象の典型的なLDVS52と、肺の動脈および静脈の両方における血流速度の軌跡55、56とを比較する(ECG24のR波26に留意のこと)。重要な相関関係が存在する。図5B−Eにおいて、正常な呼吸のLDVS56(図5B)と、複数の心臓周期にわたる種々の呼吸操作中に記録されるLDVSとを比較する。例えば、FRC(機能的残気量)での呼吸停止中において(図5C)、特徴57は、正常な形状および速度を有するが、強度が減衰する。胸腔圧力が大きく上昇するバルサルバ操作中において(図5D)、特徴58は、実質的には消滅しているように見える。対照的に、胸腔内に陰圧を生成するミュラー操作中において(図5E)、LDVS59の速度およびシグナル強度は両方とも向上する。
5つの特徴(#1−5)と、心拍および関連する機械的事象との同期は、シグナル源が、心臓および血管により起こされる拍動と関係することを示し、呼吸操作による特徴を強く調節すること(図5C−Eを参照のこと)は、肺柔組織の状態が、その形状に強く影響することを示す。肺柔組織の強力な機械的ダンピング特性にも関わらず、類似のシグナルが、肺全体にわたって記録されるという事実は、心臓および太い血管の直接的な関与を除外する。したがって、拍動の展開は、比較的細い血管を含めた、肺における血管に沿った伝播によるものである可能性が最も高い。
上記で説明した動作原理に基づいて、図2および3に示された5つの特徴を、下記のように解釈する。特徴#1は、通常非常に高くなっており、R波後にすぐに表れ、収縮期の心室収縮と同時に起こる。特徴#2は、ピーク速度がより低く、ECGのT波、再分極および心室弛緩と同時に起こる。特徴#3は、しばしば2重のこぶとなり、比較的長く持続し、主に拡張期の急速充満段階の間に現れると考えられる。特徴#4は、典型的にピーク速度がより低く、心拍静止期に対応する。心拍静止期の後半は、しばしば、検出可能なシグナルを伴わない。特徴#5は、通常ピーク速度が高く、心房収縮と同時に起こる。
したがって、これらの5つの特徴の相対的な振幅、立ち上がり時間、降下時間、持続性等は、血液の血行動態、種々の心血管系構成要素の受動的機械特性、および活動(収縮)力に関する情報を提供する。加えて、その表示は、主に肺系に関する情報を提供する。
応答が組織−空気の移動する境界線により生成されるという原理を検証するために、ドップラーソノグラムを、微小気泡(0.5mm以下)を包含する疑似血液(Doppler test fluid 707、ATS Laboratories Inc. CT、USA)が、適切な血管内を流れるファントムを使用して行った。前記ソノグラムでは、泡は、明るい「ブリップ」として表れる。流れる疑似血液および泡の出力スペクトルは、移動する気泡により生成されるピーク出力が、同様の条件下で記録された流れる疑似血液および冠血流のピーク出力より、約40dB高いことを明らかにする。これらの結果は、上記で説明した原理と一致する。
座位または背臥位の対象の胸壁に配置された超音波センサ手段により、右または左の肺に関して、27−72歳の10人の正常なボランティアに対して測定を行った。4cmの焦点距離を有する21mm、2MHzのセンサは、標準的な超音波ゲルによる胸壁と適合するインピーダンスであった。胸壁に対する異なる位置における測定を、パルス状のTCD装置(Sonara/tek、Viasys、Madison、WI、USA)を使用して、3kHzのパルス繰り返し周波数(PRF)で行った。送信されたパルス出力を、許容最大ISPTA.3(492mW/cm)の10%以下とした。標準的な3本のECGリード線(Norav Medical Ltd,Yokneam,Israel)に、対象をつなぎ、その出力が表示に含まれた。
上記で提案された原理の更なる検証が、双方向性の壁移動シグナルが、脈動性抹消動脈から報告されている観察から得られる。ここで留意すべきは、肺血管の適合性は、全身の血管の適合性より高く一致すること、肺パルス圧が比較的低いにも関わらず、血管の直径の変化が顕著であることである。したがって、肺柔組織により引き起こされる著しい減衰にも関わらず、身体の表面に達する際に、LDVSは、比較的高い出力(80−90dB)を有する。LDVSピーク速度値は、文献で報告されたのと同様に、動脈壁移動速度と一致する値として、20−40cm/秒に達し得る。血管適合性により決定されるパルス波伝播速度を、記録されたR波と特徴#1のタイミングとの間の遅延に基づいて算出し得る。ここで留意すべきは、ドップラーシグナルは、高く適合した肺血管に沿って非常に迅速に伝わる圧力パルス波を有する血管膨張を反映することである。血管中のパルス伝播の速度が2−5m/秒として、典型的な遅延は、10−40m秒のオーダーである。
得られた速度および出力対時間の軌跡を観察することにより、肺柔組織の機械的な特性一般についての診断情報、および、それらの軌跡が予期された正常な軌跡から逸れる場合の、特定の場所における肺柔組織の機械的な特性についての診断情報が提供され得る。これは、(肺気腫、線維症、肺拡張不全等に関連し得る)組織構造、血管系または、肺胞内もしくは肺胞周囲の液体の存在(うっ血性心不全または肺炎、塞栓および出血等の血管事象)等に関する情報を含んでもよい。正常からのこれらの逸脱は、種々の組織要素の弾性特性および質量、ならびに、空間分布の変化に起因し得る。このような変化が、出力スペクトルプロファイル、時定数、持続時間または軌跡の(相対的もしくは絶対的)振幅についての、全体または局所に対応する変化をもたらすであろう。生理学的な操作、例えば、深呼吸、強制呼気、息こらえ、バルサルバ操作、運動等を、診断能力の向上に使用し得る。ここで留意すべきは、任意の肺内部の要素から反射された超音波が、それらの間に介在する肺柔組織および胸壁を通過する時に修飾されることである。この組織は、特定の特性の機械的なフィルタとして機能する。これらの特性は、このフィルタを通過するシグナルの出力スペクトルが、Gavriely N., Y. Palti&G. Elroyに記載のように、音響シグナルについてのフィルタ特性を反映するように、関連する柔組織状態により決められる(参照により本願明細書に取り込まれる、Spectral Characteristics of Normal Breath Sounds, J. Appl. Physiol. 50:307〜314(1981))。
場合により、1人の対象のみからのシグナルを、ECG24のR波26を基準点として使用して、複数の心臓周期について平均化してもよい。例えば、図6に、右肺について記録された、正常な対象からの10回の心臓周期の平均62を示す。前述の特徴#1−5に対応する5つの特徴#61−65を、みることができる。一般的に、軌跡は、他の正常な対象についても同様である。
心臓および肺の機能の検出および特性決定
本願明細書に記載のTPDシステムの1つの有用な用途は、肺のTPD測定により心肺系の機能を間接的に確認するためのツールとしての用途である。これは、心臓の活動の結果が、心臓における起源から肺容積の全体まで肺血管に沿って伝播するため、可能である。正常な機械的心臓の活動からの複数の臨床的に重要な逸脱を、このようにTPDを使用して、検出し、特徴付けし得る。いくつかの例は、以下のとおりである。
これらの例に基づいて、経胸腔的な心肺モニター(「TCPM」)を実施して、患者の心肺の状態に関する情報を提供し得る。TCPMについてのハードウェアブロック図は、図1に示すTPDシステムと同様であるが、更なる機能性が、コンピュータ13に組み込まれている。例えば、コンピュータ13を、以下に説明するように患者の生体信号(例えば、心拍数、呼吸数等)の状況を報告するように構成してもよい。TCPMを、心収縮の起源、心収縮力の大きさ、呼吸数および呼吸の深さ、ならびに、(液体の蓄積および連結を含めた)肺柔組織の状態を測定するのに使用してもよい。場合により、コンピュータ13を、問題のある健康条件に伴って起こり得る状態を特定し、このような状態を検出した場合に警報を鳴らし、および/または、データを取得するようにプログラムしてもよい。TCPMを、独立型の診断ツールまたは他のモニターとの組み合わせとして使用し得る。
ここで留意すべきは、5つの特徴(#1−#5)の形状は、心臓の活動および、肺の血管の適合性に関する情報を含むことである。後者は、肺高血圧および結合組織の疾病等の患者における肺血管についての変化の存在を示し得る。
TCPMを使用して検出され得る1つの異常な状態は、期外収縮の存在である。図7Aに、心房性期外収縮による不整脈の場合において、肺シグナルの正常パターンからの変化を示す。心房性期外収縮は、更なる異常な状態の心臓収縮の一種である。図7Aの左側に、正常な洞律動に特有のシグナルを示し、右側に、心室に伝播する心房性期外収縮71(すなわち、洞結節により生じた早期の電気的拍動により生成されたシグナル)の出現を示す。これらのシグナルは、基本的に、正常律動複合体の複製である。すなわち、それらは、心房性期外収縮(特徴#5)、それに続く期外心室収縮(特徴#1)および心室弛緩(特徴#3)を含む。それらが十分早期に発生する場合、心房収縮シグナル(特徴#5)は、前の心室弛緩(特徴#3)に遅れずに重ね合わせ得る。図7Bに、異常な状態の更なる特徴#5の後に、特徴#1および#3が存在しないことで明示するように、心房から心室に伝播しない、心房収縮をもたらす心房性期外収縮73により生じたシグナルの特性(特徴#5)を示す。
図8に、心室における異常な電気的活動82により生成された期外収縮により生じたシグナル(特徴#1)を示す。図9に、心房細動を患う患者における心室起源の収縮に対応するシグナル(#1)を示す。この症状であることは、(心房収縮を表す)特徴#5がないため、図9から明らかである。心室性期外収縮の特性が、心房性期外収縮の特性とは大きく異なり、機械的な活動の機能における大きな差異を反映していることも分かる。心室収縮および弛緩(特徴#1および#3)の特性が、正常な場合の特性と全く類似であることも分かる。このような記録された軌跡は、医師が、異常な活動の伝播経路を判断するのに役立ち得る。
したがって、図7A、7B、8および9に関連して、上記のいずれかの異常な特徴の存在を、患者が対応する問題を有するという兆候として使用し得る。これは、ディスプレイを見て、関連する特徴を認識することにより、視覚的になされてもよい。別の実施形態において、パターン認識ソフトウェアを、関連する特徴を自動で認識するのに使用してもよい。
患者における異常な心拍の特徴を検出するための1つの方法は、上記の超音波プローブを使用して、複数の心臓周期に対応する期間、ドップラー超音波出力および速度のデータを取得することである。得られた出力および速度のデータを、少なくとも1つのノイズ低減アルゴリズムを使用して処理する。ノイズ低減アルゴリズムとしては、制限されず、上記のものがあげられる。心臓周期あたりに1回発生する出力および速度のデータにおける特徴(例えば、#1−5)を、特定する。ついで、特定された特徴間のタイミングを、測定する。このタイミングに基づいて、所定の特徴の予期された到達時間を予測し得る。例えば、特徴1を探知した場合、特徴#1の連続的な発生間の時間間隔は、1秒である。前記システムは、新たな特徴#1が、前の特徴#1の1秒後に到達するであろうことを予測し得る。または、新たな特徴#1が、1/3秒後にのみ到達する場合、前記システムは、早期の到達を異常として認識し、特定の特徴が予期しない時間で検出されたことを示す適切な出力を生成する。適切な出力の例としては、(異常が、その後にオペレータにより見られ得るように)警報、プリントアウトまたは、データ保存ルーティンを開始するフラグがあげられる。
肺胞および境界線の移動を検出するために、TCPMを、心拍数をモニターするのに使用してもよい。肺について記録されたシグナルが完全に心拍と同期する時、心拍数を、(しばしば、動きアーチファクトにより間違った結果を生じさせる)ECGとは独立して測定できる。
患者の心拍数を測定する1つの方法は、上記の超音波プローブを使用して、複数の心臓周期に対応する期間、ドップラー超音波出力および速度のデータを取得することである。得られた出力および速度のデータを、少なくとも1つのノイズ低減アルゴリズムを使用して処理する。ノイズ低減アルゴリズムとしては、制限されず、上記のものがあげられる。心臓周期あたりに1回発生する出力および速度のデータにおける特徴(例えば、特徴#1−5)を、特定する。ついで、特定された特徴間のタイミングを、測定する。例えば、特徴1を使用する場合、特徴#1の連続的な発生間の時間間隔は、2秒である。ついで、心拍数は、1分あたり30回(bpm)であろう。ついで、心拍数が30bpmである指示を、出力する。
TCPMを、患者の呼吸数を測定するのに使用してもよい。図10に、TCPMを使用して、例えば、右の胸について記録されたシグナルの速度および出力の両方の変化に従って、患者の呼吸数を測定することを示す。これらの変化は、呼吸周期中における、肺の空気/組織容積比の変化、ならびに、血圧および呼吸による心臓出力の調節による。
患者の呼吸数を測定する1つの方法は、上記の超音波プローブを使用して、複数の心臓周期に対応する期間、ドップラー超音波出力および速度のデータを取得することである。得られた出力および速度のデータを、少なくとも1つのノイズ低減アルゴリズムを使用して処理する。ノイズ低減アルゴリズムとしては、制限されず、上記のものがあげられる。ついで、時間に対する出力および速度におけるデータの包絡線105を、適切な包絡線抽出アルゴリズムを使用して、LDVSから抽出する。包絡線抽出アルゴリズムのパラメータを、呼吸に関して十分に遅い周波数を通過し、心拍に関して十分に速い周波数を遮断するように設定すべきである。例えば、呼吸は通常、1分あたり15回より遅いであろうから、0.25Hzより低い周波数が、アルゴリズムにより通過されるべきである。呼吸は、まれに1分あたり90回より早くなるだろうから、1.5Hz以上の周波数が、アルゴリズムにより遮断されるべきである。通過帯と遮断帯との間のカットオフを、好ましくは、それらの2つの周波数間のどこかで選択すべきである。抽出された包絡線の周期的な特徴、例えば、最も高いピーク106、106’または最も低い谷を、複数の呼吸周期および、2つ以上の発生間のタイミングについて特定し、特定された特徴を測定する。ついで、呼吸数の表示を、測定されたタイミングに基づいて出力する。例えば、連続的なピーク106、106’が10秒離れている場合、呼吸数は、1分間あたり6回であることを意味するであろう。
TCPMを、線維性の肺を検出するのに使用してもよい。泡を含む流れる疑似血液についてのドップラー出力スペクトル図11から、流れる泡により生成されるピーク出力111が、肺について記録されたLDVSシグナル112のそれと、80−110dBの両方の到達値において、類似することが明らかである。空気−組織界面、例えば、胸膜表面−胸壁により非常に強力な反射が生じることは、周知である。これらの反射は、肺胞の類似物としてみなされ得る、小さく、膜封入された気泡からなる超音波造影材料についての基礎としての役割を果たす。これらの出力値は、血流の出力値、例えば、類似の条件下で得られた冠血流量の出力スペクトル113より非常に高い。
しかしながら、比較的透明な線維性の肺の特別な場合では、肺の大きい血管中における血流114が、肺を通して見られ得る。ここで留意すべきは、LDVSの出力スペクトルの形状および周波数成分は、典型的な血流のそれとは全く異なること、後者が血流プロファイルの放射線性質を反射するプラトーを有することである。予測された値からのこれらの逸脱を、(例えば、年齢、症状等に基づいて、)患者についての適切な閾値を選択し、閾値を超える場合に警報を発することにより検出し得る。
図12に、肺線維症の患者から記録されたLDVSを示す。このような患者では、結合組織が肺柔組織内に位置し、超音波エネルギーが肺の深くに伝わり、肺胞の空気により減衰されることなく戻ることにより、「導波路」として機能する。したがって、この場合、軌跡が、深くに位置する主要な肺の血管において、血流により生成されるシグナルを含むように、肺が半透明である。ここで留意すべきは、血流速度122は、健常な肺におけるより非常に大きいが、ドップラー出力は、著しく小さいことである。
上記から、LDVSは、心肺系の両方についての高い診断値であり得る、重要な構造的および機能的情報を含むことが分かる。シグナル出力は、肺柔組織の構造的な性質により決まる、シグナル減衰レベルを反映する。空気/組織比が向上する場合、減衰が増加することが十分確立されている。前記減衰の増加は、例えば、気胸または重篤なぜんそく発作を示し得る。反対に、前記減衰は、肺硬変または、例えば、肺浮腫およびCHFであると予期される、液体が蓄積する場合において低下する。したがって、LDVSの予期された減衰における変化は、TCPMによる適切な閾値と比較され得る。適切な出力および/または警報が、それに応じて生じ得る。TCPMは、心筋収縮の大きさをモニターするのにも使用され得る。反射されたドップラーシグナルの出力が、収縮の大きさに比例するためである。
図13Aおよび13Bに、期外収縮132を有する2人の患者の右肺から記録された肺ドップラーシグナルを示す。期外収縮132が、心臓周期において比較的早期に発生する場合、すなわち、心筋のかなりの割合が相対不応期であり、このため、収縮力が小さくなる場合、記録されたシグナル133は、対応するより低い速度および出力を有する。図13Cおよび13Dに、正常なR−R間隔に対する時間を表す横座標を有する、反射されたドップラー出力の特徴#1、#3および#5を表すバーを示す。収縮間の間隔が1である、正常な収縮に従う拍動から記録されたシグナルについてのバー136は、一般的に、早期収縮(収縮間の間隔が0.7)から記録されるバー135より大きい。対照的に、正常な収縮間の間隔より長い間隔(1.3−1.4)後に発生する拍動、すなわち、つぎの代償性休止期は、バー137により示されるように、一般的により大きい。この結果は、このような症状下で発生することが知られている、より強力な収縮と一致している。したがって、異常な症状を検出し、必要に応じて、通知および/または警報を動作させるのに使用し得る。一般的に、LDVS出力は、心筋収縮の大きさにより決まることが分かる。したがって、TCPMを、心筋収縮の大きさを測定するのに使用し得る。
TCPMを、心臓収縮力を測定するのにも使用し得る。心臓収縮力は、TCPMにより出力された、軌跡の色または強度ならびに定量的な出力パラメータにおいて表現されるように、反射された超音波の出力において十分に表現される。図14に、特徴#1の反射された超音波ドップラー出力(曲線145)を示す。前記出力は、心筋相対不応期中における、その出現時間の機能として、心臓収縮により生じる。曲線145上のデータ点は、期外収縮に関する特徴#1の出力を表す。TCPMにより測定される出力は、相対不応期中における、心筋の電気的活動の大きさの変化と十分に相関関係にあることが分かる。心臓収縮力は、この活動の大きさに比例する(Cardiovascular Physiology, Berne&Levyを参照のこと)。したがって、結果全体から、TCPMが、心筋の収縮性の変化を検出し得ることが示される。ここで再び、異常な症状を検出し、必要に応じて、通知および/または警報を動作させるのに使用し得る。
TCPMを、LAD冠動脈における流速を測定するのにも使用し得る。図15Aおよび15Bに、不安定な心臓の状態の1人の患者から、約30分間離して記録されて取得された、2つの典型的な表示を示す。図15Aにおいて、表示155は、75cm/秒の平均ピーク速度および、70dBの平均総出力を示す。図15Bにおいて、表示156は、54cm/秒の平均ピーク速度および、68dBの平均総出力を示す。したがって、TCPMにより測定された冠動脈(LAD)における流速の軌跡は、速度および出力のパラメータ値において変化することが分かる。このような冠血流の軌跡は、患者の血液かん流/酸素化における変化をたどるのに役立ち、発作、閉塞、低い大動脈圧等による危険な減退を検出し得る。冠血流のモニタリングには、好ましくは、LADに対する左胸に配置される、コイン型の更なる超音波ドップラープローブを使用する。再度、したがって、異常な症状を検出し、必要に応じて、通知および/または警報を動作させるのに使用し得る。
TCPMを、患者の呼吸容量および深さを測定するのにも使用し得る。前記呼吸容量および深さは、重病の患者の状態を示し得る。図16において、曲線162は、(右側のスケールを使用して)速度を示し、曲線164は、(左側のスケールを使用して)出力を示す。これらの曲線は、呼吸周期と同期して変化する。これを、呼吸周期についての情報の推測に使用し、(例えば、速度曲線162または出力曲線164のいずれかの期間を測定することにより)呼吸数を測定するための更なる方法に使用し得る。さらにもう一度、異常な症状を検出し、必要に応じて、通知および/または警報を動作させるのに使用し得る。
図17に、TCPMにより測定される総肺シグナル出力を示す。総肺シグナル出力は、相対肺容量−より大きい容量、より強いシグナル減衰およびより低い出力により、強く影響を受ける。ここで留意すべきは、縦座標は、対数スケールであること、すなわち、完全に膨張した肺(バー174)と強制呼気中の肺容量(バー172)との間の2桁の大きさで、それらの2つの極の間にあるFRCでの出力(バー173)と共に、出力が変化することである。
TPD測定を、異なる肺の深さから取得し得る。このような測定は、通常、肺容量におけるシグナルの幅広い広がりを示す非常に類似した軌跡を示す。測定を、患者の身体における異なる位置、例えば、肋骨の間にあるスペース(例えば、2番目と3番目の肋骨の間または5番目と6番目の肋骨の間)、ならびに、肋骨を越えた位置からも取得し得る。このような測定を複数の位置で行う場合、一部の場合において、各位置で行われるシグナルの形状、速度および出力の測定間に顕著な差異がある。これらの差異を、TPDを使用して検出し、表示された出力および速度対時間表示から視覚的に、または、参照により本願明細書に取り込まれる、米国出願第12/912,988号に記載のように、適切なパターン認識もしくはパラメータ化ソフトウェアを使用して自動的に、のいずれかで、ある生理的な症状を診断することに依存し得る。
自動特徴認識
上記では、頻繁に特徴#1−5の参照がなされる。場合により、それらの各特徴間の線引きを認識したソフトウェアが、(図1に示す)パーソナルコンピュータ13に実装されてもよい。自動特徴認識(「AFR」)を、図6との関連で上記した平均化シグナルに実行してもよいし、(例えば、図2に示すような)単一のシグナルに実行してもよいし、NR(すなわち、上記のノイズ低減ルーティンの第1段階)に含まれる平均化演算後に実行してもよい。図18は、後者に基づく自動特徴認識の一例である。図18において、特徴#1−5のそれぞれは、算出された包絡線上の2つの局所最小点により境界が定められ、そのピーク速度の相対的な位置(すなわち、最大点)および、平均化されたシグナルのECG波形により規定される。これらの局所最小点は、種々の特徴間の切り替え181−185を規定し、図18において破線により提供される。正常な心律動では、特徴は、下記のように、ECGシグナル24との関連において規定される。#1は、第1のR波26後の最初の速度ピークを有する区分である。#2は、特徴#1後でECGのT波に先立つ最初の速度ピークを有する区分である。#3は、前記T波終了後の最初の速度ピークを有する区分である。#4は、特徴#3と特徴#5との間で境界線が定められる区分である。#5は、つぎのR波およびつぎの特徴#1の直前の速度ピークを有する区分である。
これらの区分を特徴付ける、絶対的および相対的な算出されたパラメータは、病態およびその場所を分類および診断するのに使用され得るため、AFRは有用である。これらのパラメータは、以下に記載するパラメータ化による、種々の症状の自動認識に有用である。
パラメータ化
パラメータ化を、種々の特徴を特徴付けるのに使用して、種々の病態、例えば、COPD、サルコイドーシス、線維化、ぜんそく、肺気腫、肺高血圧、肺塞栓、腫瘍、肺血管の動脈硬化、肺拡張不全、心収縮機能障害および不整脈等の程度を診断および推定してもよい。種々のパラメータの定量化を、特定の区分およびそれらの間の関係、ならびに、元のスペクトログラム(すなわち、平均化される前)におけるシグナルのばらつきについて行ってもよい。パラメータ化を、2010年2月5日に出願され、参照により本願明細書に取り込まれる、米国出願第12/700,828号(「‘828出願」)に記載の取り組みを使用して実行してもよい。
データの一部は、ドップラー測定により提供されるように、出力スペクトル自身に由来する。これらの出力スペクトルの特徴、例えば、特定の速度での出力、曲線の平均傾き、正および負の特徴における多くの異なる傾き等も、パラメータ化してもよい。パラメータは、速度および出力対時間軌跡にも由来し得る。以下の表には、TPDの結果をパラメータ化するのに使用され得るパラメータの例およびそれらの定義が含まれる。
Figure 0006010050
Figure 0006010050
Figure 0006010050
Figure 0006010050
これらのパラメータを使用して、‘828出願に記載のように、学習工程および分類工程を実行してもよい。
結論
下記の組織および構造体のドップラー特徴は、病態:肺気腫、肺塞栓、肺高血圧、肺血管の狭窄および奇形、肺線維症に関連する症状、肺炎、肺拡張不全、気胸、うっ血性心不全、肺固形腫瘍、肺血管において現れる種々の心臓機能不全、腫瘍ならびに異物等により変化し得る。したがって、TPDを使用して取得される肺のドップラーシグナルを、肺柔組織および血管系の構造および完全性に関する洞察および、潜在的に有用な診断情報を提供するのに使用してもよい。したがって、TPDは、肺の疾病および機能を診断用の、新たな非侵襲的で、非破壊的なツールとして役立ち得る。TPDは、不全肺または心血管系の状態を連続的にモニターすることもでき、最適な治療のために線量校正することができるため、有効性を決定するのに役立つ。
TPDの更なる特有の診断能力は、動脈硬化および他の血管の状態の場合において変化する、肺血管樹の構成要素の適合性(エラスタンス)を測定することである。血管が硬いほど早く伝播するため、血管の適合性を、血管におけるパルス伝播速度に基づいて測定し得る。肺の場合、伝播速度を、伝播経路に沿った種々の位置における、任意の肺シグナル(またはそのピーク等)の出現時間の遅延から測定し得る。このような遅延の測定を、異なる肺の位置または、シグナル位置の下方向の異なる深さで得られた種々の記録において、手動的または、適切なソフトウェアにより自動的になし得る。
本発明について、ある実施形態を参照して開示しているが、添付の特許請求の範囲に規定されるように、本発明の領域および範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に関する多くの修飾、代替および変更が可能である。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されず、下記特許請求の範囲の言語により規定される全範囲およびそれらの均等物を有することを意図している。

Claims (24)

  1. 患者の呼吸速度を測定する方法であって、
    患者の肺に向けられる超音波プローブを使用して、複数の心臓周期に対応する期間、ドップラー超音波出力および速度のデータを取得する工程と、
    少なくとも1つのノイズ低減アルゴリズムを使用して、前記取得工程において得られた出力および速度のデータを処理する工程と、
    時間に対する前記出力および速度におけるデータの包絡線を抽出する工程と、
    前記抽出工程において抽出された包絡線の周期的な特徴を特定する工程と、
    前記特定工程において特定された周期的な特徴のタイミングを測定する工程と、
    前記測定工程において測定されたタイミングに基づく呼吸速度の表示を出力する工程とを含み、
    前記包絡線抽出工程において使用される少なくとも1つのパラメータは、予期された呼吸周期に対応する変化を監視するために選択される、
    方法。
  2. 前記少なくとも1つのパラメータが、0.25Hz未満の周波数を通過し、1.5Hzより大きい周波数を減衰するように構成される、
    請求項1記載の方法。
  3. 前記取得工程が、肺における血管/軟組織と前記血管を囲む空気で満たされた肺胞との間の境界線を移動することにより生じる、反射された超音波のドップラー偏移を検出する工程を含み、前記境界線の移動は、それらの血管の直径に変化をもたらす前記血管内の圧力波により引き起こされ、
    前記処理工程は、他の反射された超音波シグナルに対する前記移動する境界線に由来するシグナルを向上するように設計されたアルゴリズムにより、前記検出されたドップラー偏移を処理する工程を含む、
    請求項1記載の方法。
  4. 患者の呼吸速度を測定する装置であって、
    超音波トランスデューサを駆動するように構成された超音波振動数シグナル発生器と、
    患者の肺における対象領域から反射された超音波振動数帰還シグナルを受信し、前記帰還シグナルのドップラー偏移を検出するように構成されたレシーバと、
    (a)前記検出されたドップラー偏移を雑音低減のアルゴリズムで処理し、複数の心臓周期に対応する期間、処理された出力および速度のデータを出力し、(b)時間に対する前記出力および速度におけるデータの包絡線を抽出し、前記包絡線抽出に使用される少なくとも1つのパラメータが、予期された呼吸周期に対応する変化を監視するために選択され、(c)前記抽出された包絡線の周期的な特徴を特定し、(d)前記特定された周期的な特徴のタイミングを測定し、(e)前記測定されたタイミングに基づく呼吸速度の表示を出力するように構成されたプロセッサとを含む、
    装置。
  5. 前記帰還シグナルのドップラー偏移が、肺における血管/軟組織と前記血管を囲む空気で満たされた肺胞との間の境界線を移動することにより生じ、前記境界線の移動が、それらの血管の直径に変化をもたらす前記血管内の圧力波により引き起こされる、
    請求項4記載の装置。
  6. 前記少なくとも1つのパラメータが、0.25Hz未満の周波数を通過し、1.5Hzより大きい周波数を減衰するように構成される、
    請求項4記載の装置。
  7. 前記超音波トランスデューサを含む超音波プローブをさらに含む、
    請求項4記載の装置。
  8. 前記超音波プローブが、コイン型である、
    請求項7記載の装置。
  9. 患者の心臓をモニターする方法であって、
    患者の肺に向けられた超音波プローブを使用して、複数の心臓周期に対応する期間、ドップラー超音波出力および速度のデータを取得する工程と、
    少なくとも1つのノイズ低減アルゴリズムを使用して、前記取得工程において得られた出力および速度のデータを処理する工程と、
    心臓周期あたりに1回生じる前記出力および速度のデータにおける特徴を特定する工程と、
    前記特定された特徴間のタイミングを測定する工程とを含
    前記取得工程が、肺における血管/軟組織と前記血管を囲む空気で満たされた肺胞との間の境界線を移動することにより生じる、反射された超音波のドップラー偏移を検出する工程を含み、前記境界線の移動は、それらの血管の直径に変化をもたらす前記血管内の圧力波により引き起こされ、
    前記処理工程は、他の反射された超音波シグナルに対する前記移動する境界線に由来するシグナルを向上するように設計されたアルゴリズムにより、前記検出されたドップラー偏移を処理する工程を含む、
    方法。
  10. 前記特定工程において特定された特徴が、(a)収縮期の心室収縮に対応する特徴、(b)心室弛緩に対応する特徴、(c)拡張期の急速充満段階に対応する特徴、(d)心拍静止期に対応する特徴および(e)心房収縮に対応する特徴、の少なくとも1つを含む、
    請求項9記載の方法。
  11. 前記特定工程において特定された特徴が、収縮期の心室収縮に対応する特徴を含む、
    請求項9記載の方法。
  12. 前記測定工程において測定されたタイミングに基づいて、患者の心臓がどの程度速く拍動しているかの表示を出力する工程をさらに含む、
    請求項9記載の方法。
  13. 前記特定工程において特定された特徴が、収縮期の心室収縮に対応する特徴を含む、
    請求項12記載の方法。
  14. さらに、特定の特徴が、特定された特徴の過去の発生に基づいて予期される時間を予測する工程と、
    前記予測工程において予測されなかった時間での前記特定の特徴の存在を検出する工程と、
    前記特定の特徴が予測されない時間で検出されたことの表示を出力する工程とを含む、
    請求項9記載の方法。
  15. 前記特定工程において特定された特徴が、収縮期の心室収縮に対応する特徴を含む、
    請求項14記載の方法。
  16. 患者の心臓をモニターするための装置であって、
    超音波トランスデューサを駆動するように構成された超音波振動数シグナル発生器と、
    患者の肺における対象領域から反射された超音波振動数帰還シグナルを受信し、前記帰還シグナルのドップラー偏移を検出するように構成されたレシーバと、
    (a)前記検出されたドップラー偏移をノイズ低減アルゴリズムで処理し、複数の心臓周期に対応する期間、処理された出力および速度のデータを出力し、(b)心臓周期あたり1回生じる前記出力および速度データにおける特徴を特定し、(c)前記特定された特徴間のタイミングを測定するように構成されたプロセッサとを含
    前記帰還シグナルのドップラー偏移が、肺における血管/軟組織と前記血管を囲む空気で満たされた肺胞との間の境界線を移動することにより生じ、前記境界線の移動が、それらの血管の直径に変化をもたらす前記血管内の圧力波により引き起こされる、
    装置。
  17. 前記特定された特徴が、(a)収縮期の心室収縮に対応する特徴、(b)心室弛緩に対応する特徴、(c)拡張期の急速充満段階に対応する特徴、(d)心拍静止期に対応する特徴および(e)心房収縮に対応する特徴、の少なくとも1つを含む、
    請求項16記載の装置。
  18. 前記特定された特徴が、収縮期の心室収縮に対応する特徴を含む、
    請求項16記載の装置。
  19. 前記プロセッサが、さらに、前記測定されたタイミングに基づいて、患者の心臓がどの程度速く拍動しているかの表示を出力するように構成される、
    請求項16記載の装置。
  20. 前記特定された特徴が、収縮期の心室収縮に対応する特徴を含む、
    請求項19記載の装置。
  21. 前記プロセッサは、さらに、特定の特徴が特定された特徴の過去の発生に基づいて予期される時間を予測し、予測されなかった時間での前記特定の特徴の存在を検出し、前記特定の特徴が予測されない時間で検出されたことの表示を出力するように構成される、
    請求項16記載の装置。
  22. 前記特定された特徴が、収縮期の心室収縮に対応する特徴を含む、
    請求項21記載の装置。
  23. さらに、超音波トランスデューサを含む超音波プローブを含む、
    請求項16記載の装置。
  24. 超音波プローブが、コイン型である、
    請求項23記載の装置。
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