JP6009377B2 - 2軸押出機の制振機構 - Google Patents
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Description
このような2軸押出機に対して、近年は、生産性向上を目的として、混練スクリュを高回転にしたり、ダイから押し出される材料の押出量(生産量)や押出圧(吐出圧)を大きくしたりするニーズが高まっており、混練スクリュを高速化(高回転化)しても問題が起きないようなより高い機械信頼性が求められるようになっている。
例えば、新たな添加剤などを配合して新材料開発が進んだ結果、2軸押出機に供給される材料はさらに混練が困難となっており、高速運転せずとも新材料混練というだけでバレルに加わる加振力は増大する傾向にある。このように混練時にバレルに加わる加振力が増大すると、バレルに振動が発生する。この加振力により発生する振動は、バレル先端を大きく水平振動させるものとなる。というのも、二軸押出機では数箇所のサポートでバレルをベースに固定するバレルサポート構造が採用されるので、バレルの剛性は前後、鉛直方向に比べて水平方向の方が低くなり、またバレル先端のダイ質量が大きいため、特にバレル先端が大きく水平振動する固有モードが最低次に発生するからである。
なお、バレルの振動を抑制する手段としては、バレルサポートの剛性をアップさせて共振を回避したり、バレルサポートなどにバネやダンパーなどの動吸振器を設けたりする手段が一般に採用される。しかしながら、前者はバレルサポート全体の改造が必要でコストアップになり、今後の更なる高速化を考慮すれば、設置スペースの制約によって対応が困難になる可能性がある。また、後者については、比較的広い周波数範囲で振動抑制が可能であり、可変速仕様の2軸押出機には向くものの、ヒータなどにより200℃近くまで加熱されるバレル周辺では十分な減衰能力を発揮できないという問題がある。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、2軸押出機においてスクリュの高回転などを行った際に発生する振動を確実に防止することができる2軸押出機の制振機構を提供することを目的とする。
即ち、本発明の2軸押出機の制振機構は、互いに回転する一対の混練スクリュと、これら一対の混練スクリュを内部に収容可能な筒状長尺のバレルと、前記バレルの一端側を基礎に対して支持すると共に前記一対の混練スクリュに回転駆動力を付与する駆動装置とを有する2軸押出機に備えられた制振機構であって、前記バレルの下側には、前記バレルの長手方向と垂直となる方向に沿って突出状に形成されることにより、前記バレルを接触状態で支持するバレルサポート部が設けられており、前記基礎側には、前記バレルサポート部を両側から挟み込むように保持する保持部材が設けられていて、前記バレルサポート部と保持部材との間に、前記バレルで発生する振動を減衰する減衰手段が設けられていることを特徴とするものである。
なお、好ましくは、前記バレルサポート部は、バレルの外周面から下方に向かって突出するように形成されており、前記保持部材は、前記基礎の上面から上方に向かって突出して、前記バレルの下方でバレルサポート部を挟持固定する構成とされているとよい。
有する2軸押出機に備えられた制振機構であって、前記バレルと基礎との間には、このバレルを基礎に支持する支持フレームが設けられており、 前記支持フレームの側面には、当該支持フレームの側面から側方に向かって突出するリブが設けられており、前記基礎側の上面には、当該基礎の上面から上方に向かって突出して、前記リブを挟持固定する保持部材が設けられていて、前記リブと保持部材との間に、前記バレルで発生する振動を減衰する減衰手段が設けられていることを特徴とする。
なお、好ましくは、前記減衰手段は、粘弾性材料を用いて板状に形成されたダンパー部材と、前記ダンパー部材の温度上昇を抑制する冷却機構が設けられているとよい。
具体的には、図1及び図2に示すように、本発明の制振機構1が設けられる2軸押出機2は、互いに回転する一対の混練スクリュ4、4と、これら一対の混練スクリュ4、4を内部に収容する長尺な筒状のバレル3と、バレル3の一端側を支持すると共に一対の混練スクリュ4、4に回転駆動力を付与する駆動装置5とを有している。このバレル3及び混練スクリュ4の他端側は上述した駆動装置5を介して基礎Fに対して支持されており、また長手方向の一端側(駆動装置5とは反対側)は支持フレーム6を介して基礎Fに対して支持されている。そして、この支持フレーム6に本発明の制振機構1が設けられている。
まず、制振機構1が設けられた2軸押出機2について説明する。
なお、以降の説明において、図1の紙面の右側を2軸押出機2及び制振機構1を説明する際の上流側とし、紙面の左側を下流側とする。また、図1の紙面の左右方向を2軸押出機2及び制振機構1を説明する際の軸方向とする。さらに、図1の紙面貫通方向を2軸押出機2及び制振機構1を説明する際の左右方向とする。
機能が異なる複数種の混練フライト9を軸方向に備えている。
駆動装置5は、バレル3の一端側(上流側)を支持すると共に混練スクリュ4に回転駆動力を付与するものである。駆動装置5は図示しないモータなどで発生した回転駆動力を減速して一対の混練スクリュ4、4のそれぞれに伝達する構成とされており、駆動装置5とは反対側の混練スクリュ4の端部には荷重などを支持する支持機構が通常は設けられていない。つまり、混練スクリュ4は、下流側先端が軸受等で支持されていない「片持ち構造」になっており、上流側だけが駆動装置5の内部に設けられた減速機出口近傍に備えられた軸受等で支持されている。
つまり、本発明の2軸押出機2には、バレル3の下側に、バレル3の長手方向と垂直となる方向に沿って突出状に形成されたバレルサポート部10が設けられている。また、基礎F側には、バレルサポート部10を両側から挟み込むように保持する保持部材11が設けられている。
そして、本発明の制振機構1は、バレルサポート部10と保持部材11との間に、バレル3で発生する振動を減衰する減衰手段12を有することを特徴としている。この減衰手段12は、粘弾性材料を用いて板状に形成されたダンパー部材13と、ダンパー部材13の温度上昇を抑制する冷却機構14とを有している。
バレルサポート部10は、バレル3の長手方向と垂直となる方向(バレル3の軸心と垂直となる方向)に沿ってバレル3の外周面から外方に向かって突出するように形成された部材であり、本実施形態ではバレル3の外周面から下方に向かって突出する板状に形成されている。具体的には、本実施形態のバレルサポート部10は、バレル3の下面から下方に向かって伸びる帯板状の部材であり、バレル3の重量をバレル3の下方から支持できるようになっている。またバレルサポート部10の左右方向の幅はバレル3の幅よりやや狭く形成されていて、バレル3の下方の限られたスペースに対応して設置が容易なサイズとされている。
保持部材11は、上述したバレルサポート部10を挟み込むように保持する部材であり、図例では左方または右方から見た断面が略H字状となるような形状に形成されている。この保持部材11は、バレルサポート部10を表側と裏側との双方から挟み込む一対の挟持部16F、16Rと、一対の挟持部16F、16Rの間に架け渡されると共にバレルサポート部10を下方より支持する支持部17とを有している。
持部16F、16Rとバレルサポート部10とは互いに軸方向に対面するように配備されている。
具体的には、この減衰手段12は、粘弾性材料を用いて板状に形成されたダンパー部材13と、ダンパー部材13の温度上昇を抑制する冷却機構14とを有している。
なお、上述した2軸押出機2には、バレル3を加熱する加熱器(ヒータ)が設けられることがある。また、バレル3内で材料を混練すると、混練スクリュ4とバレル3との間で摩擦熱が発生し、バレル3が高温になる場合もある。それゆえ、混練時に発生した熱がダンパー部材13に伝達し、ダンパー部材13の温度が高くなることは十分に起こり得る。
冷却水供給部18は、ダンパー部材13に用いられる粘弾性材料が所望の粘弾性特性を発揮するのに必要とされる温度範囲に調整された冷却水を供給するものであり、温度調整された冷却水を複数の冷却流路15に分岐して供給するようになっている。
上述した減衰手段12をバレルサポート部10材と挟持部16F、16R(保持部材11)との間に設ければ、バレル3に発生する振動を、加振力に起因する低周波数のものから、共振に起因する高周波数のものまで、広い周波数領域に亘って抑制することができる。
ところが、バレルサポート部10材と挟持部16F、16Rとの間にダンパー部材13を設ければ、ダンパー部材13が水平方向(左右方向)に沿って剪断変形し、この剪断変形によりバレル3で発生した振動の大部分が吸収される。それゆえ、上述の減衰手段12を設ければ、バレル3の振動を効果的に防止乃至抑制することができるようになる。
[第2実施形態]
次に、図5及び図6を用いて第2実施形態の制振機構1について説明する。
このリブ20は、支持フレーム6の右側面の下端側に、右方の外方に向かって突出するように形成されている。それぞれのリブ20は、上側から右下側に向かって張り出すような略三角形状の板部材であり、軸方向に板面を向ける向きに取り付けられている。そして、このリブ20が、第2実施形態の制振機構1におけるバレルサポート部10とされている。
[第3実施形態]
次に、図7を用いて第3実施形態の制振機構1について説明する。
この摩擦力調整部23は、突出片21とスペーサ部材22との中央を軸方向に沿って水平に貫通する固定軸24と、固定軸24の両端側にそれぞれ設けられて、保持部材11の挟持部16F、16Rを両側から締め付ける付勢部材25と、付勢部材25による挟持部16F、16Rの締め付け力を調整する調整ネジ26とを備えている。具体的には、固定軸24は、突出片21とスペーサ部材22とが積層したバレルサポート部10と、バレルサポート部10を挟み込むように保持する挟持部16F、16Rとの双方を貫通するように設けられており、これらの部材を固定するために設けられている。つまり、固定軸24の上流側の端部は、上流側の挟持部16Fよりもさらに上流側まで突出しており、また下流側の端部は、下流側の挟持部16Rよりもさらに下流側まで突出している。そして、この挟持部16F、16Rよりも更に上流側と下流側とに突出した固定軸24の両端側に上述した付勢部材25や調整ネジ26が取り付けられている。また、固定軸24の両端には、調整ネジ26を取り付けるためのネジ部27が形成されている。
また、調整ネジ26は、ネジ部27に対して螺合させることで、軸方向での取り付け位置を調整できるようになっており、付勢部材25で発生する締め付け力を調整できるようになっている。つまり、調整ネジ26を一方向に回転させれば、調整ネジ26が軸方向に沿って固定軸24の中央側に移動し、付勢部材25で発生する付勢力を大きくすることが可能となり、バレル3に発生した振動を減衰するための摩擦力が大きくすることができる。また、調整ネジ26を他方向に回転させれば、調整ネジ26が軸方向に沿って固定軸24の端部側に移動し、付勢部材25で発生する付勢力を小さくすることが可能となり、バレル3に発生した振動を摩擦力を用いて効果的に減衰することが可能となる。
開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
2 2軸押出機
3 バレル
4 混練スクリュ
5 駆動装置
6 支持フレーム
7 ホッパ
8 ベント
9 混練フライト
10 バレルサポート部
11 保持部材
12 減衰手段
13 ダンパー部材
14 冷却機構
15 冷却流路
16F 前側(上流側)の挟持部
16R 後側(下流側)の挟持部
17 支持部
18 冷却水供給部
19 冷却水排出部
20 リブ
21 突出片
22 スペーサ部材
23 摩擦力調整部
24 固定軸
25 付勢部材
26 調整ネジ
27 ネジ部
F 基礎
Claims (6)
- 互いに回転する一対の混練スクリュと、これら一対の混練スクリュを内部に収容可能な筒状長尺のバレルと、前記バレルの一端側を基礎に対して支持すると共に前記一対の混練スクリュに回転駆動力を付与する駆動装置とを有する2軸押出機に備えられた制振機構であって、
前記バレルの下側には、
前記バレルの長手方向と垂直となる方向に沿って突出状に形成されることにより、前記バレルを接触状態で支持するバレルサポート部が設けられており、
前記基礎側には、前記バレルサポート部を両側から挟み込むように保持する保持部材が設けられていて、
前記バレルサポート部と保持部材との間に、前記バレルで発生する振動を減衰する減衰手段が設けられていることを特徴とする2軸押出機の制振機構。 - 前記バレルサポート部及び保持部材は、互いに対面する板状に形成されており、
前記保持部材は、前記バレルサポート部を表裏両側から挟み込む一対の挟持部と、
前記一対の挟持部の間に架け渡されると共にバレルサポート部を下方より支持する支持部とを有していることを特徴とする請求項1に記載の2軸押出機の制振機構。 - 前記バレルサポート部は、バレルの外周面から下方に向かって突出するように形成されており、
前記保持部材は、前記基礎の上面から上方に向かって突出して、前記バレルの下方でバレルサポート部を挟持固定する構成とされていることを特徴とする請求項1または2に記載の2軸押出機の制振機構。 - 互いに回転する一対の混練スクリュと、これら一対の混練スクリュを内部に収容可能な筒状長尺のバレルと、前記バレルの一端側を基礎に対して支持すると共に前記一対の混練スクリュに回転駆動力を付与する駆動装置とを有する2軸押出機に備えられた制振機構であって、
前記バレルと基礎との間には、このバレルを基礎に支持する支持フレームが設けられており、
前記支持フレームの側面には、当該支持フレームの側面から側方に向かって突出するリブが設けられており、
前記基礎側の上面には、当該基礎の上面から上方に向かって突出して、前記リブを挟持固定する保持部材が設けられていて、
前記リブと保持部材との間に、前記バレルで発生する振動を減衰する減衰手段が設けられていることを特徴とする2軸押出機の制振機構。 - 前記減衰手段は、粘弾性材料を用いて板状に形成されたダンパー部材と、前記ダンパー部材の温度上昇を抑制する冷却機構が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の2軸押出機の制振機構。
- 互いに回転する一対の混練スクリュと、これら一対の混練スクリュを内部に収容可能な筒状長尺のバレルと、前記バレルの一端側を基礎に対して支持すると共に前記一対の混練スクリュに回転駆動力を付与する駆動装置とを有する2軸押出機に備えられた制振機構であって、
前記バレルの長手方向と垂直となる方向に沿って突出状に形成されることにより、前記バレルを接触状態で支持するバレルサポート部が設けられており、
前記バレルサポート部は、前記バレルの外周面から下方に向かって突出すると共にバレルの長手方向に沿って所定の距離をあけて複数設けられた突出片と、隣り合う突出片同士間のスペースを埋めるスペーサ部材とを有しており、
前記基礎側には、前記突出片とスペーサ部材とを互いに積層された状態のまま両側から挟持する保持部材が設けられていて、
前記突出片とスペーサ部材との間には、隣り合う突出片とスペーサ部材との間に発生する摩擦力により前記バレルで発生する振動を減衰する減衰手段が設けられていることを特徴とする2軸押出機の制振機構。
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