JP6008833B2 - 部分放電検出方法および部分放電検出装置 - Google Patents

部分放電検出方法および部分放電検出装置 Download PDF

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Description

本発明は、電気機器などの検査対象物の内部で発生する部分放電を検出するための手法およびそのための装置に関する。
電力用の変電機器や配電機器に代表される電気機器における通常運転時の内部異常の代表として、機器内部で発生する部分放電が挙げられる。部分放電は、電気機器の絶縁破壊(全路破壊)の前駆現象であり、部分放電を確実に検出する技術を確立することで電気機器の絶縁破壊を予防することが可能となる。
一般的に、電気機器において部分放電が発生し得る高電圧充電部は、露出していることはなく、絶縁性の容器または接地電位の金属筐体(タンク)内部に収納されている。つまり、部分放電が発生し得る高電圧充電部は、他の構造物により覆われており、直接観測することができない。それに加えて、機器内部で発生する部分放電に伴う信号は非常に微弱であり、さらに電気機器のフィールドでの運転時には種々の外来ノイズが部分放電に伴う信号に重畳するため、部分放電に伴う信号をノイズ信号と分別して抽出する工夫が必要になる。
電気機器の通常運転時における部分放電の検出手法として、音響(AE:Acoustic Emission)センサを用いる方法が知られている。
例えば、特開2008−180681号公報(特許文献1)は、変圧器内の部分放電によって生じる弾性波(超音波)信号を検出するアコースティックエミッションセンサと、部分放電発生時に接地線を流れる放電パルス信号を検出する電流センサとを含む診断システムを開示する。また、特開2008−232973号公報(特許文献2)は、部分放電によるアースに流れる電流パルスを検出する電流検出器と、部分放電による音響信号を検出する超音波センサとを含む部分放電判定装置を開示する。
これらの先行技術文献に開示される技術は、電流センサを用いて部分放電の発生に伴って生じるタンク壁面または接地線を流れる電流を検出するとともに、音響センサを用いて部分放電の発生に伴って生じる音響信号を検出し、部分放電の発生に伴って生じる電気信号と音響信号との空間伝播速度の違いを利用して、部分放電の発生の有無を判断する。
すなわち、機器内部で部分放電が発生した場合、まず部分放電に起因する電流パルスが電流センサによって検出される。次に、高電圧充電部と音響センサとの間の距離で決まる所定時間後に、音響センサによって部分放電に起因する音響信号が検出される。電流センサにより検出された電流信号が電気機器に対して印加される交流電圧の周期と同期し、かつ電流センサによる検出信号と音響センサによる検出信号との間の時間差が略同一になるケースが所定時間内に所定数ある場合に部分放電と判断される。このような手法を採用することで、部分放電に伴う信号とノイズ信号との分別が可能になる。
特開2008−180681号公報 特開2008−232973号公報
上述の先行技術文献に開示される技術は、電気機器がフィールドに設置された後、経年劣化などによって生じる絶縁破壊を予防するための予防保全技術に向けられており、基本的には、商用電源が印加される通常運転時に適用される。
一方、電力用の変電機器や配電機器といった電気機器には、製品出荷前に、絶縁試験の一つとして雷インパルス耐電圧試験が課せられる場合が多い。標準規格(例えば、電気規格調査会が定める標準規格JEC0103(2005))上は、規定の電圧波形を有するインパルス電圧を印加した際に対象の電気機器が絶縁破壊しなければ、合格であるとされている。しかしながら、製品の絶縁信頼性を保証するため、および、印加電圧に対する絶縁破壊までの裕度を明確にしておくためにも、絶縁破壊の前駆現象である部分放電を検出しておくことが重要である。すなわち、雷インパルス耐電圧試験時においても、部分放電を検出したいというニーズが存在する。
このような部分放電を検出したいというニーズに対して、上述したような先行技術文献に開示される音響センサを用いた手法をそのまま適用することはできない。なぜならば、雷インパルス耐電圧試験時には、より大きなノイズが生じるため、通常運転時での試験が想定されている先行技術文献に記載の手法では、このノイズの影響を受けて部分放電の発生を適切に検出することができないからである。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、検査対象物の充電部にインパルス電圧を印加することで発生する部分放電を、検査対象物に装着された音響センサを用いて検出できる部分放電検出方法および部分放電検出装置を提供することである。
本発明のある局面に係る部分放電検出方法は、検査対象物の充電部に第1のインパルス電圧を印加するステップと、第1のインパルス電圧の印加が開始されたタイミングを取得するステップと、検査対象物の外面に装着された音響センサによって第1の測定信号を取得するステップと、第1の測定信号にローパスフィルタを適用することで第2の測定信号を取得するステップと、第2の測定信号から検査対象物の機械振動に起因するノイズ成分を除去することで第3の測定信号を取得するステップと、取得されたタイミングを基準として、検査対象物における充電部と音響センサとの位置関係に応じて定まる有効測定期間内に現れる、第3の測定信号の時間波形に基づいて、検査対象物での部分放電の発生の有無を判断するステップとを含む。ノイズ成分は、検査対象物で部分放電を発生させない、第1のインパルス電圧より低い第2のインパルス電圧を検査対象物の充電部に印加したときに、音響センサによって取得される第4の測定信号に基づいて決定される。
好ましくは、部分放電検出方法は、検査対象物の充電部に第2のインパルス電圧を印加するステップと、音響センサによって第4の測定信号を取得するステップと、第4の測定信号にローパスフィルタを適用することでノイズ成分を決定するための参照信号を取得するステップとをさらに含む。
好ましくは、部分放電検出方法は、検査対象物の外面に複数の音響センサを装着し、第1の測定信号を取得するステップと、第2の測定信号を取得するステップと、第3の測定信号を取得するステップと、検査対象物での部分放電の発生の有無を判断するステップとを、複数の音響センサの別にそれぞれ実行するステップと、検査対象物で部分放電が発生していると判断されると、複数の音響センサからそれぞれ取得された複数の第3の測定信号において部分放電の発生を示す時間波形が現れるタイミングの差に基づいて、部分放電の発生位置を標定するステップとをさらに含む。
好ましくは、タイミングを取得するステップは、第1のインパルス電圧の印加によって生じる電磁波の変化を電磁波センサによって検出するステップを含む。
好ましくは、タイミングを取得するステップは、第1のインパルス電圧の印加によって生じる電流の変化を電流センサによって検出するステップを含む。
本発明の別の局面によれば、検査対象物の充電部にインパルス電圧を印加することで発生する部分放電を検出する部分放電検出装置が提供される。部分放電検出装置は、第1のインパルス電圧の検査対象物への印加が開始されたタイミングを取得するタイミング取得手段と、検査対象物の外面に装着される音響センサと、音響センサで検出された第1の測定信号にローパスフィルタを適用することで第2の測定信号を出力する第1の信号処理部と、第2の測定信号から検査対象物の機械振動に起因するノイズ成分を除去することで第3の測定信号を出力する第2の信号処理部と、取得されたタイミングを基準として、検査対象物における充電部と音響センサとの位置関係に応じて定まる有効測定期間内に現れる、第3の測定信号の時間波形に基づいて、検査対象物での部分放電の発生の有無を判断する判断手段とを含む。ノイズ成分は、検査対象物で部分放電を発生させない、第1のインパルス電圧より低い第2のインパルス電圧を検査対象物の充電部に印加したときに、音響センサによって取得される第4の測定信号に基づいて決定される。
本発明によれば、検査対象物の充電部にインパルス電圧を印加することで発生する部分放電を、検査対象物に装着された音響センサを用いて検出できる部分放電検出方法および部分放電検出装置を実現できる。
検査対象物の一例である電力用変圧器の構成を示す斜視断面図である。 雷インパルス耐電圧試験の概要を示す模式図である。 本実施の形態に係る部分放電検出装置の装置構成例を示す模式図である。 本実施の形態に係る部分放電検出装置において実行される音響センサ測定信号に対するノイズ除去処理の概要を説明するための図である。 本実施の形態に係る印加されるインパルス電圧の印加電圧(波高値)とインパルス電圧の印加によって生じる機械振動に起因するノイズ成分の振幅値との関係を示す図である。 本実施の形態に係る部分放電検出方法の処理手順を示すフローチャートである。 本実施の形態に係る部分放電検出方法によって取得される時間波形の一例である。 本実施の形態の第1変形例に係る部分放電検出方法の処理手順を示すフローチャートである。 本実施の形態の第1変形例に係る部分放電検出方法によって取得される時間波形の一例である。 本実施の形態の第2変形例に係る部分放電検出方法の処理手順を示すフローチャートである。 本実施の形態の第2変形例に係る部分放電検出方法によって取得される時間波形の一例である。 本実施の形態の第3変形例に係る部分放電検出方法の処理手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態に係る部分放電検出方法および部分放電検出装置について、図面を参照しつつ説明する。以下の実施の形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
以下の説明においては、検査対象物である電気機器の典型例を電力用変圧器としてその内容について説明する。しかしながら、本発明に係る部分放電検出方法および部分放電検出装置の検査対象物としては、電力用の変電機器や配電機器などの任意の電気機器を対象とすることができる。例えば、外鉄型変圧器、内鉄型変圧器、絶縁開閉装置などを検査対象物とすることができる。
[A.関連技術およびその課題]
まず、本発明の関連技術およびその関連技術における課題などについて説明する。
電力用の変電機器や配電機器といった電気機器に対して、製品出荷前に実施される絶縁試験の一つとして雷インパルス耐電圧試験がある。この試験は、電力用変圧器などの電気機器が通常運転中に、外部で生じた雷サージや開閉サージ等の異常電圧波形が課電された場合であっても絶縁性能を保証するための試験である。具体的には、標準規格で定められた電圧波形を電気機器へ印加した場合であっても、絶縁破壊しないことが求められる。但し、製品の絶縁信頼性を保証するため、および、印加電圧に対する絶縁破壊までの裕度を明確にしておくためにも、絶縁破壊の前駆現象である部分放電を検出しておくことが重要である。
図1は、検査対象物の一例である電力用変圧器1の構成を示す斜視断面図である。図1においては、各構成の一部をカットして示している。図1に示す電力用変圧器1は、油冷式の外鉄型電力用変圧器であり、主として、鉄心2と、鉄心2に巻回された巻線からなるコイル3と、鉄心2およびコイル3を収納するタンク4とを含む。タンク4内には図示しない絶縁油が充填されており、絶縁油には鉄心2およびコイル3が浸漬されている。なお、冷却媒体としては、絶縁油ではなく、六フッ化硫黄などのガスあるいは空気などを用いてもよい。
図2は、雷インパルス耐電圧試験の概要を示す模式図である。図2を参照して、検査対象物である電力用変圧器1の充電部(典型的には、端子部)は、インパルス電圧発生装置10と電気的に接続される。インパルス電圧発生装置10は、その発生するインパルス電圧を検査対象物である電力用変圧器1へ印加する。
ここで、雷インパルス耐電圧試験時に用いられるインパルス電圧発生装置10の動作原理を説明する。インパルス電圧発生装置10は、入力端子対16に並列接続された複数のコンデンサ12を含む。入力端子対16を介して入力電圧Vが印加されると、並列接続された複数のコンデンサ12それぞれが入力電圧Vに応じた電圧まで充電される。その後、複数のコンデンサ12にそれぞれ関連付けて設けられている複数の球ギャップ14の各々を、同時に接触させることで、複数のコンデンサ12は模擬的に直列接続になり、放電が開始される。
放電が開始されると、インパルス電圧発生装置10と検査対象物である電力用変圧器1とを含む回路定数によって定まる、波頭長(立ち上がり時間)および波尾長(立ち下がり時間)の波形を有するインパルス電圧が出力される。インパルス電圧発生装置10の出力側には、放電抵抗17および波頭長調整用コンデンサ18が接地線との間にそれぞれ接続されている。標準規格によって定められた電圧波形が検査対象物へ印加されるように、放電抵抗17および波頭長調整用コンデンサ18の大きさが調整される。
インパルス電圧発生装置10を用いる雷インパルス耐電圧試験では、その動作原理上、インパルス電圧の出力と同時に、球ギャップ14間の火花放電に起因する非常に強い電磁ノイズが放射される。この電磁ノイズの存在によって、電力用変圧器1の内部で発生する部分放電を検出することが非常に困難となる。
高電圧の電気機器における部分放電の検出手法として一般的に用いられる方法としては、(1)部分放電の発生に伴って発生する電磁波を電磁波センサ(アンテナ)を用いて検出する電磁波法、(2)部分放電の発生に伴って流れる電流パルスを検出する方法、(3)部分放電の発生に伴って発生する弾性波信号を音響センサによって検出する手法、などが知られている。
(1)の電磁波法を雷インパルス耐電圧試験時に用いると、部分放電に起因する電磁波がインパルス電圧発生装置10からの電磁ノイズに埋没してしまい、部分放電を検出することができない。
(2)の電流パルスを検出する方法については、インパルス電圧発生装置10からの電磁ノイズが検査対象物の静電容量を介して接地線へ流れるので、部分放電に起因する電流パルスに重畳してしまい、部分放電を検出することができない。
(3)の音響センサを用いる従来の方法についても以下のような課題がある。例えば、上述の特開2008−180681号公報(特許文献1)に開示される方法では、電流センサを用いて部分放電の発生に伴って生じるタンク壁面または接地線を流れる電流パルスを検出する必要があるが、インパルス電圧発生装置10から放射される非常に強い電磁ノイズの影響を受けて、部分放電に起因する電流パルスを正しく検出することができない。また、電磁ノイズが検査対象物の静電容量を介して接地線へ流れるので、部分放電に起因する電流パルスに重畳してしまうという問題もある。
さらに、早い立ち上がり時間をもつインパルス電圧が検査対象物に印加されると、充電電流が瞬間的に流れることになり、検査対象物自体に機械振動が生じる。本願発明者らは、このインパルス電圧の印加によって生じる機械振動によって、部分放電の適切な検出が阻害されるという新たな課題を見出した。すなわち、インパルス電圧を検査対象物である電力用変圧器1に印加すると、その静電容量を介して充電電流が瞬間的に流れる。充電電流が電力用変圧器1のコイル3を流れることで、各巻線間には物理的な力が発生し、コイル3には機械振動が生じる。コイル3の機械振動により電力用変圧器1のタンク4内を充填する絶縁油に弾性波が伝播することになる。ここで、音響センサ30を用いて、電力用変圧器1の内部に発生する部分放電を検出しようとした場合には、電力用変圧器1の内部での部分放電の発生の有無にかかわらず、機械振動に起因するノイズ成分が音響信号として検出されることが明らかになった。つまり、検査対象物の内部での部分放電の発生の有無にかかわらず、インパルス電圧が印加されてから一定時間経過後に音響センサ30では音響信号が検出されることになる。
上述の特開2008−180681号公報(特許文献1)に開示される手法は、通常運転時における部分放電の有無を検出するものであり、そもそもこのような機械振動が生じるような状況が想定されていない。つまり、特開2008−180681号公報(特許文献1)に開示される手法では、検査対象物自体に生じる機械振動の影響が全く考慮されておらず、また、上述したようなインパルス電圧発生装置10からの電磁ノイズからの影響が非常に大きいので、この電磁ノイズによって部分放電を検出することができない。
上述したような先行技術における課題を考慮して、本実施の形態に係る部分放電検出方法および部分放電検出装置は、インパルス電圧発生装置10から生じる非常に強い電磁ノイズの影響を回避するとともに、雷インパルス耐電圧試験時において特有に生じる検査対象物の機械振動による影響を除去することで、インパルス電圧の印加によって機器内部で発生する部分放電を適切に検出する。
[B.装置構成]
まず、本実施の形態に係る部分放電検出装置の装置構成の一例について説明する。図3は、本実施の形態に係る部分放電検出装置100の装置構成例を示す模式図である。図3を参照して、部分放電検出装置100は、電力用変圧器1(検査対象物)の充電部にインパルス電圧発生装置10からインパルス電圧を印加することで発生する部分放電を検出する。具体的には、部分放電検出装置100は、検査対象物の外面に装着される音響センサ30と、入力回路102と、ローパスフィルタ104と、波形記録部106と、信号処理部108とを含む。
音響センサ30は、典型的には、電力用変圧器1の高電圧充電部を収納する金属筐体(タンク)の外面に装着される。音響センサ30は、物質の機械的な動きによって発生する弾性波(ストレスウェーブ)をAE(Acoustic Emission)法によって検出し、その検出結果を電気信号として出力する。本実施の形態においては、検査対象物の内部で発生した部分放電に起因する音響信号を音響センサ30によって検出する。以下の説明においては、音響センサ30から出力される生の電気信号を「音響センサ測定信号」とも称す。
入力回路102は、インパルス電圧発生装置10と電力用変圧器1とを電気的に接続する印加ケーブル6に電気的に接続され、電力用変圧器1に印加される電圧の時間波形(以下、「印加電圧波形」とも称す。)を波形記録部106に入力可能な電圧値にまで降圧する分圧回路などを含む。すなわち、入力回路102からは、電力用変圧器1に印加される印加電圧波形を示す信号が出力される。入力回路102は、後述するような、インパルス電圧の電力用変圧器1(検査対象物)への印加が開始されたタイミング(以下、「インパルス電圧印加開始時刻」とも称す。)を取得する機能の一部を実現する。
ローパスフィルタ104には、音響センサ30からの音響センサ測定信号が入力され、ローパスフィルタ104を通過後の音響信号(以下、「ローパスフィルタ処理信号」とも称す。)を波形記録部106へ出力する。後述するように、ローパスフィルタ104は、音響センサ30によって取得される音響センサ測定信号に重畳している電磁ノイズを除去する。
波形記録部106は、入力回路102からの印加電圧波形、および、ローパスフィルタ104からのローパスフィルタ処理信号の時間波形を記録する。波形記録部106は、複数回のインパルス電圧の印加それぞれについて、時間波形を記録できるように構成されている。なお、波形記録部106としては、一般的なオシロスコープを採用してもよい。
信号処理部108は、インパルス電圧印加開始時刻を取得するとともに、後述するようなノイズ除去処理を行った上で、電力用変圧器1(検査対象物)の内部での部分放電の発生の有無を判断する。信号処理部108は、この部分放電の検出の有無を診断結果として出力する。なお、後述するような信号処理部108における処理の一部または全部を作業者が行うようにしてもよい。つまり、波形記録部106に記録される信号波形を用いて部分放電の発生の有無を判断する処理については、完全に自動化、一部を自動化、すべてを手動化のいずれで実現してもよい。
[C.ノイズ除去処理の概要]
次に、本実施の形態に係る部分放電検出方法におけるノイズ除去処理の概要について説明する。図4は、本実施の形態に係る部分放電検出装置100において実行される音響センサ測定信号に対するノイズ除去処理の概要を説明するための図である。
図4を参照して、電気機器の雷インパルス耐電圧試験時において、音響センサ30によって取得される音響センサ測定信号20には、本来の検出対象である部分放電に起因する成分22と、インパルス電圧発生装置10に起因するノイズ成分24と、インパルス電圧の印加によって生じる機械振動に起因するノイズ成分26と、外来ノイズ成分28とが含まれる。
(1) インパルス電圧発生装置10に起因するノイズ成分24の分離
本実施の形態に係る部分放電検出方法では、インパルス電圧発生装置10から放射される電磁ノイズの影響(ノイズ成分24)を周波数的に分離することで、部分放電に起因する成分22が電磁ノイズに埋没することを回避する。より具体的には、音響センサ測定信号20にローパスフィルタ104(図3参照)を適用することでローパスフィルタ処理信号が生成され、このローパスフィルタ処理信号においては、ノイズ成分24が実質的に除去されることになる。
(2) 機械振動に起因するノイズ成分26の除去
機械振動に起因するノイズ成分26については、部分放電が発生していないときに測定された音響信号によりノイズ成分26を推定して除去する。より具体的には、部分放電を確実に発生させない波高値の低いインパルス電圧を印加したときに現れる機械振動波形(ノイズ成分26)を利用して、部分放電が発生し得る波高値の高いインパルス電圧を印加したときに現れる機械振動成分を推定し除去することで、部分放電に起因する成分22のみを抽出する。
一般的に、電力用変圧器1のような大容量の電力機器に対して雷インパルス耐電圧試験を行う場合には、標準規格で規定された試験電圧をいきなり印加することはなく、まず規定どおりの波頭長および波尾長を有するインパルス電圧が出力されているかが確認される。このときの確認作業としては、電力用変圧器1の内部で部分放電を確実に発生させない波高値の低いインパルス電圧が数回出力される。波高値の低いインパルス電圧を印加した場合であっても電力用変圧器1のコイル3には充電電流が流れるため、検査対象物自体に機械振動が生じ、音響センサ30では、これに伴う機械振動に起因するノイズ成分26が検出される。
機械振動に起因するノイズ成分26は、検査対象物に印加するインパルス電圧の波高値を変化させても周期は全く同一であり、振幅値のみが変化すると考えられる。本願発明者らは、機械振動に起因するノイズ成分26の振幅値が、各巻線のコイル3に流れる充電電流の二乗に比例する、すなわち印加電圧の二乗に比例することを実験的に明らかにした。
図5は、本実施の形態に係る印加されるインパルス電圧の印加電圧(波高値)とインパルス電圧の印加によって生じる機械振動に起因するノイズ成分の振幅値との関係を示す図である。図5に示すように、本願発明者らは、音響センサ測定信号に含まれる機械振動に起因するノイズ成分26の振幅値は、インパルス電圧の波高値の二乗に比例することを見出した。印加されるインパルス電圧の波高値と機械振動に起因するノイズ成分の振幅値との関係を利用して、まず、部分放電が発生しない低いインパルス電圧(波高値V2)の印加時に音響センサ30によって取得される検出信号(音響センサ測定信号20)に現れる機械振動に起因するノイズ成分の時間波形f2(t)を取得する。
次に、雷インパルス耐電圧試験の標準規格に準拠した高いインパルス電圧(波高値V1)を印加したとする。低いインパルス電圧(波高値V2)の印加時に取得された機械振動に起因するノイズ成分の時間波形の振幅値に対して、高電圧印加時の波高値V1を低電圧印加時の波高値V2で除した数値の二乗を乗じることで、高いインパルス電圧を印加したときに生じる機械振動に起因するノイズ成分26を決定できる。つまり、高いインパルス電圧(波高値V1)の印加時に音響センサ30によって取得される検出信号(音響センサ測定信号20)に現れる機械振動に起因するノイズ成分の時間波形f1(t)は、以下のような式で算出できる。
時間波形f1(t)=時間波形f2(t)×(V1/V2)
高電圧印加時に取得されるローパスフィルタ処理信号とこの高電圧印加時の機械振動に起因するノイズ成分の時間波形f1(t)との差分を取ることで、機械振動に起因するノイズ成分26を除去することができる。このような手法を採用することで、インパルス電圧を印加することで検査対象物に充電電流が流れることで生じる検査対象物自体の機械振動の影響を除去することができる。すなわち、時間波形f2(t)は、ノイズ成分26の時間波形f1(t)を決定するための参照信号に相当する。
(3) 外来ノイズ成分28の除去
外来ノイズ成分28としては、例えば、雷インパルス耐電圧試験中に電力用変圧器1のタンク4に異物が衝突することによる衝撃音や、タンク4外で発生する音による弾性波等などに起因して生じ得る。このような外来ノイズ成分28については、部分放電に伴う弾性波信号が音響センサ30まで到達するのに要する最小時間と最大時間とを予め予測しておき、この最小時間から最大時間までの間に音響センサ30に到来する弾性波信号のみを有効な音響信号として取得することで、時間的に分離する。
[D.具体的な処理手順]
次に、本実施の形態に係る部分放電検出方法の具体的な処理手順について、図6および図7を参照しつつ説明する。図6は本実施の形態に係る部分放電検出方法の処理手順を示すフローチャートである。図7は、本実施の形態に係る部分放電検出方法によって取得される時間波形の一例である。
図7(a)には、部分放電が発生しない低いインパルス電圧(波高値V2)を電力用変圧器1の充電部に印加した場合に測定される時間波形を示し、図7(b)には、高いインパルス電圧(波高値V1)を電力用変圧器1の充電部に印加して、実際に部分放電が発生した場合に測定される時間波形を示す。図7において、(i)には、インパルス電圧発生装置10から検査対象物である電力用変圧器1の充電部に印加されるインパルス電圧の時間波形(印加電圧波形)の一例を示し、(ii)には、音響センサ30によって取得される音響センサ測定信号20の時間波形の一例を示し、(iii)には、ローパスフィルタ104を通過後の音響信号(ローパスフィルタ処理信号)の時間波形の一例を示し、(iv)には、ローパスフィルタ処理信号から検査対象物である電力用変圧器1の機械振動に起因するノイズ成分26を除去した後の時間波形の一例を示す。
図6を参照して、まず、インパルス電圧の印加によって生じる機械振動に起因するノイズ成分26を除去するための時間波形f2(t)が予め取得される(ステップS2〜S6)。但し、機械振動に起因するノイズ成分26を除去するための時間波形を取得する処理については、後述のステップS8〜S22の処理とは独立して行ってもよい。例えば、検査対象物が複数の電気機器である場合に、それらの間で電気的特性および機械的特性のバラツキが少ないときには、ある電気機器について、機械振動に起因するノイズ成分26を除去するための時間波形を予め取得しておき、これを複数の電気機器について共通的に用いるようにしてもよい。
より具体的には、検査対象物である電力用変圧器1の充電部にインパルス電圧(波高値V2:第2のインパルス電圧)が印加される(ステップS2)。つまり、電力用変圧器1の内部で部分放電を確実に発生させない波高値の低いインパルス電圧が印加される。ステップS2では、図7(a)の(i)に示すようなインパルス電圧が印加される。
続いて、検査対象物の外面に装着される音響センサ30により、インパルス電圧の印加に伴って発生する音響センサ測定信号20(第4の測定信号)が取得される(ステップS4)。音響センサ30は、典型的にはタンク4の外面に装着される。ステップS4では、図7(a)の(ii)に示すような音響センサ測定信号20が取得される。
さらに、取得された音響センサ測定信号20にローパスフィルタ104を適用することで、部分放電が発生し得る高いインパルス電圧(波高値V1)の印加によって生じる機械振動に起因するノイズ成分26(ノイズ成分)を決定するための時間波形f2(t)(参照信号)が取得される(ステップS6)。つまり、部分放電が発生しない低いインパルス電圧(波高値V2)の印加時に音響センサ30によって取得される検出信号(音響センサ測定信号20)に現れる機械振動に起因するノイズ成分の時間波形f2(t)が取得される。ステップS6では、図7(a)の(iii)に示すようなローパスフィルタ処理信号が時間波形f2(t)として取得される。ローパスフィルタ104の詳細については、後述する。
なお、図7(a)の(iv)の時間波形に示すように、電力用変圧器1の内部で部分放電が発生していなければ、ローパスフィルタ処理信号から電力用変圧器1の機械振動に起因するノイズ成分26を除去すると、実質的に何らの成分も残らない。
以上のステップによって、機械振動に起因するノイズ成分26を音響センサ測定信号20から除去するための参照信号が用意される。そして、通常の雷インパルス耐電圧試験が実行される。
まず、雷インパルス耐電圧試験時に際し、検査対象物である電力用変圧器1の充電部に、標準規格を満たすインパルス電圧(波高値V1:第1のインパルス電圧)が印加される(ステップS8)。すなわち、検査対象物である電力用変圧器1の高電圧充電部を内部に収納した金属筐体(タンク)の外面に音響センサ30を装着し、インパルス電圧を検査対象物に印加する処理が実行される。このとき、電力用変圧器1の内部で部分放電が発生し得る高いインパルス電圧が印加される。一般的な高電圧機器の雷インパルス耐電圧試験時においては、標準規格で、印加されるインパルス電圧波形の波頭長および波尾長が定められており、また電気機器の定格電圧や容量に応じて波高値も定められている。ステップS8では、図7(b)の(i)に示すようなインパルス電圧が印加される。
すると、インパルス電圧の印加が開始されたタイミングが取得される(ステップS16)。すなわち、インパルス電圧波形を波形記録部106に取込み、インパルス電圧印加開始時刻を取得する処理が実行される。このタイミングの取得方法としては、図7(b)の(i)に示すようなインパルス電圧波形を波形記録部106に取込み、その振幅値が予め定められたしきい値を超えたタイミングをインパルス電圧印加開始時刻として決定できる。なお、雷インパルス耐電圧試験時におけるインパルス電圧は高電圧であるため、分圧回路などを含む入力回路102を介して波形記録部106に取込まれる。
ステップS16と並行して、検査対象物である電力用変圧器1の外面に装着された音響センサ30によって音響センサ測定信号20(第1の測定信号)が取得される(ステップS10)。すなわち、インパルス電圧波形を波形記録部106に取込む処理と並行して、電力用変圧器1のタンク4の外面に装着した音響センサ30により、インパルス電圧の印加に伴う音響センサ測定信号20を取得する処理が実行される。ステップS10では、図7(b)の(ii)に示すような音響センサ測定信号20が取得される。
続いて、音響センサ測定信号20(第1の測定信号)にローパスフィルタ104を適用することでローパスフィルタ処理信号(第2の測定信号)が取得される(ステップS12)。すなわち、音響センサ30で検出される音響センサ測定信号20に重畳する電磁ノイズを、ローパスフィルタ104を介して除去する処理が実行される。ステップS12では、図7(b)の(iii)に示すようなローパスフィルタ処理信号が取得される。
上述したように、インパルス電圧発生装置10は、装置内に設置された球ギャップ14間に火花放電を発生させることで、要求されたインパルス電圧を出力する。球ギャップ14間の火花放電が発する非常に強い電磁ノイズが、部分放電の検出を困難にしている大きな要因である。一方で、電磁ノイズが集中的に継続する時間は、高々数10マイクロ秒程度である(図7(b)の(ii)に示す時間範囲52)。電力用変圧器1のタンク4内の絶縁油中における音響信号の伝播速度は、一般に毎秒1500メートルである。タンク4のサイズにも依存するが、タンク4内に収納されたコイル3から発せられた音響信号が音響センサ30に到達するためには、およそ数100マイクロ秒から数ミリ秒の時間を要する。すなわち、インパルス電圧の印加に伴って発生する音響信号が音響センサ30によって取得される時間範囲(図7(b)の(ii)に示す時間範囲54)は、インパルス電圧発生装置10から放射される非常に強い電磁ノイズの大半が減衰した後である。これが部分放電の検出手段として、音響センサ30を用いることの大きな利点である。
しかしながら、大半の電磁ノイズが減衰した後であっても、音響センサ測定信号20には依然として電磁ノイズ成分が重畳した波形となっている。そこで、取得された音響センサ測定信号20をローパスフィルタ104に通過させることで、電磁ノイズの成分(インパルス電圧発生装置10に起因するノイズ成分24)を音響センサ測定信号20から除去する。図3に示す部分放電検出装置100のローパスフィルタ104は、音響センサ30で検出された音響センサ測定信号20(第1の測定信号)にローパスフィルタを適用することでローパスフィルタ処理信号(第2の測定信号)を出力する信号処理部に相当する。なお、ローパスフィルタ104の機能を、波形記録部106および/または信号処理部108でのデジタル信号処理によって実現してもよい。
ローパスフィルタ104としては、本来の音響信号と電磁ノイズとを周波数的に分離できるカットオフ周波数特性を有するものが選定される。インパルス電圧発生装置10の球ギャップ14間の火花放電により放射される電磁ノイズは、数100MHzオーダの成分が強い一方で、音響信号は、数10〜数100kHzである。例えば、カットオフ周波数が1MHz程度のローパスフィルタ104を採用することで、音響センサ測定信号20に重畳する電磁ノイズの成分を除去し、検出対象の音響信号の成分のみを通過させることができる。
以上のステップにより、電磁ノイズを除去することでインパルス電圧の印加に伴って生じる音響信号の主成分を取得することができる。しかしこの時点では、電力用変圧器1の内部における部分放電の発生の有無にかかわらず、充電電流が瞬間的に流れることによって生じる電力用変圧器1のコイル3の機械振動に起因するノイズ成分26がローパスフィルタ処理信号に含まれている。そこで、次のステップでは、ローパスフィルタ処理信号に含まれる機械振動に起因するノイズ成分26を除去する処理が実行される。
すなわち、ローパスフィルタ処理信号(第2の測定信号)から検査対象物である電力用変圧器1の機械振動に起因するノイズ成分26を除去することで機械振動除去信号(第3の測定信号)が取得される(ステップS14)。ステップS14では、図7(b)の(iv)に示すような機械振動除去信号が取得される。すなわち、予め取得しておいた、部分放電が発生しない低電圧印加時に音響センサ30に現れる検査対象物の機械振動成分をもとに、高電圧印加時の音響信号から機械振動成分が除去される。
より具体的には、上述のステップS6の実行によって予め取得された時間波形f2(t)(参照信号)の振幅に(波高値V1/波高値V2)を乗じることで、ノイズ成分としての時間波形を算出し、これをローパスフィルタ処理信号から差し引くことで、機械振動除去信号が取得される。このように、インパルス電圧の印加によって生じる機械振動に起因するノイズ成分26は、検査対象物である電力用変圧器1で部分放電を発生させない、標準規格を満たす波高値V1のインパルス電圧(第1のインパルス電圧)より低い波高値V2のインパルス電圧(第2のインパルス電圧)を電力用変圧器1(検査対象物)の充電部に印加したときに、音響センサ30によって取得される音響センサ測定信号20(第4の測定信号)に基づいて決定される。
以上のステップにより、音響センサ30によって取得される音響センサ測定信号から、インパルス電圧発生装置10から放射される電磁ノイズによる影響(ノイズ成分24)、および、電力用変圧器1のコイル3の機械振動に起因する影響(ノイズ成分26)を除去することができる。但し、音響センサ30を用いて取得した音響センサ測定信号には、ここで挙げた部分放電信号由来以外の外来ノイズが重畳している可能性が残っている。例えば、雷インパルス耐電圧試験中に電力用変圧器1のタンク4に異物が衝突することによる衝撃音や、タンク4外で発生する音による弾性波等がタンク4の外面に装着した音響センサ30で外来ノイズとして検出されることなどが考えられる。そこで、本実施の形態に係る部分放電検出方法の最後のステップとして、外来ノイズの影響を除去する処理が実行される。
電力用変圧器1のタンク4内の絶縁油中における音響信号の伝播速度は、一般に毎秒1500メートルである。この伝播速度と予め把握してある電力用変圧器1の構造物における高電圧充電部と音響センサ30との距離に基づいて、インパルス電圧印加開始時刻から、部分放電に伴う弾性波信号が音響センサ30まで到達するまでの時間差をある時間範囲の中で予測しておくことができる。すなわち、部分放電に伴う弾性波信号が音響センサ30まで到達するのに要する最小時間と最大時間とを予め予測しておき、この最小時間から最大時間までの間に音響センサ30に到来する弾性波信号のみを有効な音響信号として取得する。
より具体的には、電力用変圧器1の構造物における高電圧充電部から音響センサ30の装着位置までの最短距離を、絶縁油中の音響信号の伝播速度で除した時間をt1とし、電力用変圧器1の構造物における高電圧充電部と音響センサ30までの最長距離を、絶縁油中の音響信号の伝播速度で除した時間をt2とした場合、インパルス電圧印加開始時刻を基準として、電力用変圧器1の構造物における高電圧充電部と音響センサ30の装着位置との間の距離によって定まる所定の時間範囲t1〜t2の間に現れる音響信号成分のみを用いて、部分放電の発生の有無を判断することで、外来ノイズを部分放電の発生と誤診する可能性を実質的に無くすことができる。つまり、高電圧充電部と音響センサ30との位置関係で決まる所定の時間範囲t1〜t2の間に音響信号成分が現れているか否かが判断される(ステップS18)。そして、所定の時間範囲t1〜t2の間に音響信号成分が現れている場合(ステップS18においてYESの場合)には、検査対象物である電力用変圧器1の内部において部分放電が発生していると判断される(ステップS20)。これに対して、所定の時間範囲t1〜t2の間に音響信号成分が現れていない場合(ステップS18においてNOの場合)には、検査対象物である電力用変圧器1の内部において部分放電が発生していないと判断される(ステップS22)。
このように、取得されたインパルス電圧の印加が開始されたタイミングを基準として、検査対象物である電力用変圧器1における充電部と音響センサ30との位置関係に応じて定まる有効測定期間内に現れる、機械振動除去信号(第3の測定信号)の時間波形に基づいて、検査対象物での部分放電の発生の有無が判断される。つまり、機械振動成分を除去した音響信号波形のうち、インパルス電圧印加開始時刻を基準とし、検査対象物の高電圧充電部と音響センサ30の装着位置とによって定まる所定の時間範囲内に現れる音響信号を部分放電であると判断する処理が実行される。
以上のステップにより、電力用変圧器1の雷インパルス耐電圧試験時においても、インパルス電圧発生装置10に起因するノイズ、電力用変圧器1のコイル3の機械振動に起因するノイズ、および他の外来ノイズの影響を回避し、電力用変圧器1の内部で発生する部分放電を適切に検出できる。
図3に示す部分放電検出装置100の信号処理部108は、上述のステップS16に示される、インパルス電圧の印加が開始されたタイミングを取得する機能を含む。また、信号処理部108は、上述のステップS14に示される、ローパスフィルタ処理信号(第2の測定信号)から検査対象物である電力用変圧器1の機械振動に起因するノイズ成分26を除去することで機械振動除去信号(第3の測定信号)を取得する機能と、ステップS20に示される、取得されたタイミングを基準として、検査対象物である電力用変圧器1における充電部と音響センサ30との位置関係に応じて定まる有効測定期間内に現れる、機械振動除去信号(第3の測定信号)の時間波形に基づいて、検査対象物での部分放電の発生の有無を判断する機能とを有する。
このような信号処理部108を有する部分放電検出装置100を用いることで、上述の処理手順を実行することができる。これによって、インパルス電圧発生装置10を用いて検査対象物である電力用変圧器1にインパルス電圧を印加した場合に、電力用変圧器1の内部で発生する部分放電を検出することができる。
また、本実施の形態に係る部分放電検出方法によれば、インパルス電圧発生装置10から放射される電磁ノイズによる影響、および、インパルス電圧を印加することで検査対象物に充電電流が流れることで生じる検査対象物自体の機械振動の影響、を除去することができる。これによって、雷インパルス耐電圧試験時において機器内部で発生する部分放電を適切に検出することができる。
[E.インパルス電圧の印加が開始されたタイミング取得についての第1変形例]
上述の実施の形態においては、インパルス電圧の電力用変圧器1(検査対象物)への印加が開始されたタイミング(インパルス電圧印加開始時刻)を取得する手段として、電力用変圧器1に印加される電圧の時間波形(印加電圧波形)を取込み、この時間的変化に基づいて、インパルス電圧印加開始時刻を取得する方法について例示した。このような手法に代えて、電磁波センサを用いて、電圧印加開始時刻を取得してもよい。以下、電磁波センサを用いて電圧印加開始時刻を取得する変形例について例示する。
図8は本実施の形態の第1変形例に係る部分放電検出方法の処理手順を示すフローチャートである。図9は、本実施の形態の第1変形例に係る部分放電検出方法によって取得される時間波形の一例である。図9(a)には、部分放電が発生しない低いインパルス電圧(波高値V2)を電力用変圧器1の充電部に印加した場合に測定される時間波形を示し、図9(b)には、高いインパルス電圧(波高値V1)を電力用変圧器1の充電部に印加して、実際に部分放電が発生した場合に測定される時間波形を示す。図9において、(i)には、インパルス電圧発生装置10から放射される電磁ノイズを電磁波センサで取得した時間波形の一例を示す。その他の(ii)〜(iv)については、図7の(ii)〜(iv)と同様である。
本変形例においては、図3に示す部分放電検出装置100において、入力回路102に代えて、電磁波センサが設けられている。電磁波センサとしては、典型的には、電磁波アンテナが用いられるが、インパルス電圧発生装置10が放射する電磁ノイズを検出できるデバイスであれば、どのようなものを採用してもよい。
上述したように、インパルス電圧発生装置10は、動作原理として球ギャップ14間の火花放電を利用しており、インパルス電圧の出力と同時に非常に強い電磁ノイズが放射される。この電磁ノイズは、部分放電を検出する上では障害となるものであるが、原理上、インパルス電圧の印加と同じタイミングで放射されるものであるので、インパルス電圧印加開始時刻を取得する際に利用できる。特に、電磁ノイズに含まれる周波数成分としては数100MHz程度の周波数帯域成分が多く、電磁波センサを用いて電磁ノイズの波形を取得すると、その検出信号における立ち上がりが非常に早いという特徴がある(図9(a)および(b)の(i)に示す電磁波センサの検出結果)。
したがって、電磁波センサを用いてインパルス電圧印加開始時刻を取得するという手法を採用することにより、インパルス電圧印加開始時刻をより正確に取得することができる。また、電力用変圧器1に印加される電圧の時間波形(印加電圧波形)を取込む場合には、比較的高圧の信号が入力されるので、入力回路102の絶縁耐性を考慮しなければならないが、電磁波センサの場合であれば、このような点を考慮しなくてもよいという利点もある。
図8に示す本変形例に係る処理手順は、図6に示す本実施の形態に係る処理手順に比較して、ステップS16に代えて、ステップS16Aが採用されている。ステップS16Aにおいては、インパルス電圧発生装置10から放射される電磁ノイズの時間波形を、電磁波センサを用いて波形記録部106に取込み、インパルス電圧印加開始時刻を取得する処理が実行される。このタイミングの取得方法としては、その振幅値が予め定められたしきい値を超えたタイミングをインパルス電圧印加開始時刻として決定できる。つまり、インパルス電圧の印加が開始されたタイミングを取得するステップは、インパルス電圧の印加によって生じる電磁波の変化を電磁波センサによって検出するステップを含む。
本変形例においては、インパルス電圧印加開始時刻を取得するため、電磁波センサが用いられる。このような構成を採用することで、高周波成分を含み、立ち上がりの早い電磁波を利用することができ、インパルス電圧印加開始時刻をより明確に把握することができる。
[F.インパルス電圧の印加が開始されたタイミング取得についての第2変形例]
上述の実施の形態においては、インパルス電圧の電力用変圧器1(検査対象物)への印加が開始されたタイミング(インパルス電圧印加開始時刻)を取得する手段として、電力用変圧器1に印加される電圧の時間波形(印加電圧波形)を取込み、この時間的変化に基づいて、インパルス電圧印加開始時刻を取得する方法について例示した。このような手法に代えて、電流センサを用いて、電圧印加開始時刻を取得してもよい。すなわち、検査対象物である電力用変圧器1にインパルス電圧発生装置10からインパルス電圧を印加すると、電力用変圧器1の静電容量を介して充電電流が流れる。電流センサを用いて、この充電電流が検出される。以下、電流センサを用いて電圧印加開始時刻を取得する変形例について例示する。
図10は、本実施の形態の第2変形例に係る部分放電検出方法の処理手順を示すフローチャートである。図11は、本実施の形態の第2変形例に係る部分放電検出方法によって取得される時間波形の一例である。図11(a)には、部分放電が発生しない低いインパルス電圧(波高値V2)を電力用変圧器1の充電部に印加した場合に測定される時間波形を示し、図11(b)には、高いインパルス電圧(波高値V1)を電力用変圧器1の充電部に印加して、実際に部分放電が発生した場合に測定される時間波形を示す。図11において、(i)には、インパルス電圧発生装置10からインパルス電圧が印加された際に、電力用変圧器1の静電容量を介して流れる充電電流を電流センサで取得した時間波形の一例を示す。その他の(ii)〜(iv)については、図7および図9の(ii)〜(iv)と同様である。
本変形例においては、図3に示す部分放電検出装置100において、入力回路102に代えて、電流センサが設けられている。
上述したように、インパルス電圧発生装置10からインパルス電圧が電力用変圧器1に印加されると、電力用変圧器1の静電容量を介して充電電流が流れる。インパルス電圧の立ち上がり時間は1マイクロ秒程度と短いため、充電電流の周波数成分も高くなるため、電流センサを用いてインパルス電圧印加開始時刻を取得するという処理により、電圧印加開始時刻を明確に取得することが可能となる(図11(a)および(b)の(i)に示す電磁波センサの検出結果)。
したがって、電力用変圧器1の静電容量を介して流れる充電電流を、電流センサを用いて測定することで、インパルス電圧印加開始時刻を取得するという手法を採用することにより、インパルス電圧印加開始時刻をより正確に取得することができる。
図10に示す本変形例に係る処理手順は、図6に示す本実施の形態に係る処理手順に比較して、ステップS16に代えて、ステップS16Bが採用されている。ステップS16Bにおいては、インパルス電圧発生装置10からインパルス電圧が印加されることで電力用変圧器1の静電容量を介して流れる充電電流の時間波形を、電流センサを用いて波形記録部106に取込み、インパルス電圧印加開始時刻を取得する処理が実行される。このタイミングの取得方法としては、その振幅値が予め定められたしきい値を超えたタイミングをインパルス電圧印加開始時刻として決定できる。つまり、インパルス電圧の印加が開始されたタイミングを取得するステップは、インパルス電圧の印加によって生じる電流の変化を電流センサによって検出するステップを含む。
本変形例においては、インパルス電圧印加開始時刻を取得するため、電流センサが用いられる。このような構成を採用することで、高周波成分を含み、立ち上がりの早い電流信号を利用することができ、インパルス電圧印加開始時刻をより明確に把握することができる。
[G.部分放電が発生している位置の標定機能(第3変形例)]
上述の実施の形態およびその変形例の説明においては、基本的な構成として、1つの音響センサ30を用いて、検査対象物の内部で発生する部分放電を検出する実施形態について説明したが、複数の音響センサ30を検査対象物の外面に装着し、部分放電が発生している位置を標定(特定)してもよい。
3次元構造をもつタンク4の内部で発生する部分放電の位置を一意に標定するためには、原理的に4つの音響センサ30が必要である。但し、5つ以上の音響センサ30で同時計測を行うことで、部分放電の位置標定の精度を高めることができる。以下、電力用変圧器1の高電圧充電部を収納するタンク4の外面に、4つ以上の音響センサ30が装着されているとして説明を行う。また、図3に示す部分放電検出装置100においては、装着された音響センサ30の数と同数のローパスフィルタ104が設けられており、また波形記録部106は、それぞれのローパスフィルタ104から出力されるローパスフィルタ処理信号を記録できるように構成されているとする。その他の部位については、上述した構成と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
タンク4の外面に複数の音響センサ30を装着した場合にも、電力用変圧器1にインパルス電圧を印加する、音響センサ30の各々において電力用変圧器1のコイル3の機械振動に起因するノイズ成分が検出される。但し、一般的には、電力用変圧器1の構造物における高電圧充電部と各音響センサ30との距離が互いに異なっていたり、各音響センサ30から高電圧充電部への角度が異なっていたりしているため、音響センサ30の各々では互いに異なった固有の機械振動波形が検出される。
このような場合であっても、音響センサ30の各々に現れる機械振動に起因するノイズ成分26は、検査対象物に印加するインパルス電圧の波高値を変化させても周期は全く同一であり、振幅値のみが変化する。また、機械振動に起因するノイズ成分26の振幅値は、各巻線のコイル3に流れる充電電流の二乗に比例する、すなわち印加電圧の二乗に比例する。このような特徴については、音響センサ30が一つの場合と変わらない。但し、振幅値の変化に係る比例定数は、音響センサ30毎に異なったものとなる。
このような特徴を考慮すると、部分放電を確実に発生させない波高値の低いインパルス電圧を印加したときに現れる機械振動波形(ノイズ成分26)を音響センサ30毎にそれぞれ測定しておき、実際に、標準規格で定められた波高値をもつインパルス波形を印加した際に音響センサ30の各々に現れる機械振動波形から、上述した手法を用いて機械振動波形を除去すれば、音響センサ30の各々において、本来の検出対象である部分放電に起因する成分のみを抽出することができる。
なお、充電部と音響センサ30の各々との位置関係に応じて定まる有効測定期間内に現れる、機械振動除去信号(第3の測定信号)の時間波形に基づいて、検査対象物での部分放電の発生の有無が判断されるが、この有効測定期間(時間範囲t1〜t2)についても、音響センサ30の各々について固有の値が用いられる。
その上で、インパルス電圧印加開始時刻を共通の基準として、音響センサ30の各々について、インパルス電圧印加開始時刻から各音響信号が現れるまでの時間遅れに基づいて、電力用変圧器1の内部における部分放電の発生位置を標定することができる。つまり、音響センサ30の各々に現れる部分放電信号の到達時間差を波形記録部106から取得することで、絶縁油中の音響信号の伝播速度に基づいて、部分放電の発生位置を標定できる。この部分放電の発生位置の標定方法については、公知の方法を採用できるので、詳細な説明は行わない。
図12は本実施の形態の第3変形例に係る部分放電検出方法の処理手順を示すフローチャートである。図12に示すステップのうち、図6に示すフローチャートに示すステップと実質的に同一の処理を行うものについては、同一のステップ番号を付与している。具体的には、N個(N≧4)の音響センサ30が装着されているとして、例えば、ステップS4_1については、1番目の音響センサ30について、図6のステップS4と実質的に同一の処理が実行されることを示す。
図12を参照して、まず、検査対象物である電力用変圧器1の充電部にインパルス電圧(波高値V2:第2のインパルス電圧)が印加される(ステップS2)。そして、音響センサ30の各々について、ステップS4およびS6が実行されて、ノイズ成分26(ノイズ成分)を決定するための、各音響センサ30固有の時間波形f2(t)(参照信号)が取得される。
続いて、検査対象物である電力用変圧器1の充電部に、標準規格を満たすインパルス電圧(波高値V1:第1のインパルス電圧)が印加される(ステップS8)。すると、インパルス電圧の印加が開始されたタイミングが取得される(ステップS16)。
ステップS16と並行して、音響センサ30の各々について、ステップS10〜S14が実行されて、機械振動除去信号(第3の測定信号)がそれぞれ取得される。さらに、音響センサ30の各々について、対応する機械振動除去信号において、高電圧充電部と音響センサ30との位置関係で決まる各音響センサ30に固有の時間範囲t1〜t2の間に音響信号成分が現れているか否かが判断される(ステップS18)。所定の時間範囲t1〜t2の間に音響信号成分が現れていない場合(ステップS18においてNOの場合)には、検査対象物である電力用変圧器1の内部において部分放電が発生していないと判断される(ステップS22)。
これに対して、所定の時間範囲t1〜t2の間に音響信号成分が現れている場合(ステップS18においてYESの場合)には、検査対象物である電力用変圧器1の内部において部分放電が発生していると判断される(ステップS20)。すると、ステップS30の部分放電が発生している位置の標定処理が実行される。なお、電力用変圧器1の内部で部分放電が発生している場合には、通常は、すべての音響センサ30について、ステップS18においてYESと判断されることになる。
このように、検査対象物の外面に複数の音響センサ30を装着し、音響センサ測定信号20(第1の測定信号)を取得するステップS10と、ローパスフィルタ処理信号(第2の測定信号)を取得するステップS12と、機械振動除去信号(第3の測定信号)を取得するステップS14と、検査対象物での部分放電の発生の有無を判断するステップS18とが、複数の音響センサ30の別にそれぞれ実行される。
そして、検査対象物である電力用変圧器1の内部で部分放電が発生していると判断されると(ステップS18においてYESの場合)、複数の音響センサ30からそれぞれ取得された複数の機械振動除去信号において部分放電の発生を示す時間波形が現れるタイミングの差に基づいて、部分放電の発生位置が標定される(ステップS30)。すなわち、各音響センサ30に現れる部分放電に起因する音響信号の時間差をもとに、部分放電の発生位置が標定される。
本変形例によれば、電気機器の雷インパルス耐電圧試験時において、複数の音響センサ30を用いて、各音響センサ30によって部分放電に起因する音響信号を検出し、それぞれに現れる部分放電を示す時間波形の時間差に基づいて、電力用変圧器1の内部における部分放電の発生箇所を標定することが可能となる。そのため、電気機器の設計にフィードバックしたり、補修時における有益な情報を取得したりすることができる。
[H.利点]
本実施の形態に係る部分放電検出方法によれば、電気機器の雷インパルス耐電圧試験時において、インパルス電圧発生装置10から放射される電磁ノイズによる影響、インパルス電圧を印加することで検査対象物に充電電流が流れることで生じる検査対象物自体の機械振動の影響、および、外来ノイズの影響を除去した上で、機器内部で発生する部分放電を判断する。そのため、雷インパルス耐電圧試験時といった外来からのノイズが多い状態であっても、機器内部で発生する部分放電を適切に検出することができる。
上述の実施の形態として例示した構成は、本発明の実施の形態の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 電力用変圧器、2 鉄心、3 コイル、4 タンク、6 印加ケーブル、10 インパルス電圧発生装置、12 コンデンサ、14 球ギャップ、16 入力端子対、17 放電抵抗、18 波頭長調整用コンデンサ、20 音響センサ測定信号、30 音響センサ、100 部分放電検出装置、102 入力回路、104 ローパスフィルタ、106 波形記録部、108 信号処理部。

Claims (6)

  1. 検査対象物の充電部に第1のインパルス電圧を印加するステップと、
    前記第1のインパルス電圧の印加が開始されたタイミングを取得するステップと、
    前記検査対象物の外面に装着された音響センサによって第1の測定信号を取得するステップと、
    前記第1の測定信号にローパスフィルタを適用することで第2の測定信号を取得するステップと、
    前記第2の測定信号から前記検査対象物の機械振動に起因するノイズ成分を除去することで第3の測定信号を取得するステップと、
    前記取得されたタイミングを基準として、前記検査対象物における前記充電部と前記音響センサとの位置関係に応じて定まる有効測定期間内に現れる、前記第3の測定信号の時間波形に基づいて、前記検査対象物での部分放電の発生の有無を判断するステップとを備え、
    前記ノイズ成分は、前記検査対象物で部分放電を発生させない、前記第1のインパルス電圧より低い第2のインパルス電圧を前記検査対象物の前記充電部に印加したときに、前記音響センサによって取得される第4の測定信号に基づいて決定される、部分放電検出方法。
  2. 前記検査対象物の前記充電部に前記第2のインパルス電圧を印加するステップと、
    前記音響センサによって前記第4の測定信号を取得するステップと、
    前記第4の測定信号に前記ローパスフィルタを適用することで前記ノイズ成分を決定するための参照信号を取得するステップとをさらに備える、請求項1に記載の部分放電検出方法。
  3. 前記検査対象物の外面に複数の音響センサを装着し、前記第1の測定信号を取得するステップと、前記第2の測定信号を取得するステップと、前記第3の測定信号を取得するステップと、前記検査対象物での部分放電の発生の有無を判断するステップとを、前記複数の音響センサの別にそれぞれ実行するステップと、
    前記検査対象物で部分放電が発生していると判断されると、複数の音響センサからそれぞれ取得された複数の第3の測定信号において部分放電の発生を示す時間波形が現れるタイミングの差に基づいて、部分放電の発生位置を標定するステップとをさらに備える、請求項1または2に記載の部分放電検出方法。
  4. 前記タイミングを取得するステップは、前記第1のインパルス電圧の印加によって生じる電磁波の変化を電磁波センサによって検出するステップを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の部分放電検出方法。
  5. 前記タイミングを取得するステップは、前記第1のインパルス電圧の印加によって生じる電流の変化を電流センサによって検出するステップを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の部分放電検出方法。
  6. 検査対象物の充電部にインパルス電圧を印加することで発生する部分放電を検出する部分放電検出装置であって、
    第1のインパルス電圧の前記検査対象物への印加が開始されたタイミングを取得するタイミング取得手段と、
    前記検査対象物の外面に装着される音響センサと、
    前記音響センサで検出された第1の測定信号にローパスフィルタを適用することで第2の測定信号を出力する第1の信号処理部と、
    前記第2の測定信号から前記検査対象物の機械振動に起因するノイズ成分を除去することで第3の測定信号を出力する第2の信号処理部と、
    前記取得されたタイミングを基準として、前記検査対象物における前記充電部と前記音響センサとの位置関係に応じて定まる有効測定期間内に現れる、前記第3の測定信号の時間波形に基づいて、前記検査対象物での部分放電の発生の有無を判断する判断手段とを備え、
    前記ノイズ成分は、前記検査対象物で部分放電を発生させない、前記第1のインパルス電圧より低い第2のインパルス電圧を前記検査対象物の前記充電部に印加したときに、前記音響センサによって取得される第4の測定信号に基づいて決定される、部分放電検出装置。
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