本発明の実施形態は、広くは、物理的パラメータの測定に関し、特に、センサの小さな変化の正確な測定を支持する高速応答回路(fast−response circuitry)に関する。
例示的実施形態の以下の説明は本質的に単に例証的なものであり、本発明、その用途または使用をいかようにも限定することを意図するものではない。
当業者に公知のプロセス、技法、装置および材料については詳述しないが、適切な場合には実施可能な記載の一部とすることを意図する。例えば、記載されるステップのそれぞれを達成するための特定のコンピュータコードは記載されないが、当業者であれば、取り消し実験(undo experimentation)なしに、本明細書中の実施可能な開示を前提にそのようなコードを書くことができよう。そのようなコードは少なくとも1つの例示的な実施形態の範囲内であることを意図する。
本明細書中に示されかつ記載されるいずれの例においても、工程段階または特定の構造実装のための温度、時間、エネルギーおよび材料特性などの任意の特定の材料は単に例証的であり、非限定的であると解釈すべきである。当業者に公知のプロセス、技法、装置および材料については詳述しないが、適切な場合には実施可能な記載の一部とすることを意図する。本明細書中に使用される「結合される」という語は、要素が共に直接結合されても、1つまたは複数の介在要素を介して結合されてもよいことを意味することにも留意されたい。
付加的に、例示的実施形態において使用される構造のサイズは本明細書中におけるいずれの記載によっても限定されない(例えば、構造のサイズは、マクロ(センチメートル、メートルおよびそれよりも大きなサイズ)とすることも、マイクロ(マイクロメートル)およびナノメートルサイズおよびそれよりも小さいものとすることができる)。
以下の図において、同様の参照符号および文字は同様の項目を意味し、したがって、1つの図中において項目が定義されると、それについては後の図に記載されることもさらに定義されることもないことに留意されたい。
第1の実施形態においては、超音波測定システムは、1つまたは複数の超音波トランスデューサ、超音波導波路、および伝播調整式発振器(PTO)または位相同期ループ(PLL)を含む。この実施形態の超音波測定システムでは、導波路に加えられる力のレベルを判断するために、連続モード(CM)の動作を利用して閉ループフィードバックにより導波路内の連続的超音波の伝播特性を評価する。
第2実施形態においては、超音波測定システムは、1つまたは複数の超音波トランスデューサ、超音波導波路、および伝播調整式発振器(PTO)または位相同期ループ(PLL)を含む。この実施形態の超音波測定システムでは、導波路に加えられる力のレベルを判断するために、パルスモード(PM)の動作を利用して閉ループフィードバックにより導波路内のパルス超音波の伝播特性を評価する。
第3実施形態においては、超音波測定システムは、1つまたは複数の超音波トランスデューサ、超音波導波路、および伝播調整式発振器(PTO)または位相同期ループ(PLL)を含む。この実施形態の超音波測定システムでは、導波路に加えられる力のレベルを判断するために、パルスエコーモード(PE)の動作を利用して閉ループフィードバックにより導波路内の超音波エコー反射の伝播特性を評価する。
図1は、例示的な実施形態による、大腿骨102と脛骨108との間に接触して配置される、パラメータを測定するためのセンサ100の図である。概して、センサ100はパラメータを測定するために筋肉・骨格系に接触して、またはその近傍に配置される。非限定的な例においては、センサ100は人工関節の取り付けなどの処置時に筋肉・骨格系のパラメータを測定するために使用される。センサ100の実施形態は、広くは、物理的パラメータの測定に関し、特に、媒体中を伝播するパルスエネルギー波の通過時間の変化の測定に関する。整形外科関節インプラント手術時における原位置での測定は、インプラントが、平衡が取れた状態であり、かつ適切な荷重または張力下にあることを確認するのに大きな利点となり得る。一実施形態においては、器具は外科医によって現在使用されている他の器具に類似し、かつそれとなじんで(familiarly)動作する。これにより受容が増加し新技術の採用周期が低減される。測定により、外科医が埋め込み型構成要素を所定の範囲内に取り付けることを確実とすることが可能になり、関節装具の寿命が最大になり、高額な補正が低減される。実時間データの使用による処置の定量的測定および評価の提供はより一貫した結果を生む。さらなる問題は、インプラント手術から術後的におよび長期的に得られるインプラントのデータがほとんどまたは全くないことである。センサ100はインプラントのステータスデータを整形外科メーカおよび外科医に提供することができる。さらに、埋め込み型関節自体の直接測定により得られたデータは埋め込み型関節の動作および関節の摩耗についての知識を大幅に向上させ、それによって、デザインおよび材料の改良につながる。
少なくとも1つの例示的な実施形態においては、エネルギーパルスがパルスモード動作およびパルス整形によってセンサ100内の1つまたは複数の導波路内において誘導される。導波路はエネルギーパルスを所定の方向に案内する導管である。エネルギーパルスは、通常、導波路内に閉じ込められる。一実施形態においては、導波路は高分子材料を含む。例えば、ウレタンまたはポリエチレンは導波路を形成するのに適した高分子である。高分子導波路は圧縮することができ、かつシステムのヒステリシスをほとんどまたは全く有しない。代替的に、エネルギーパルスは筋肉・骨格系を通じて誘導することができる。一実施形態においては、エネルギーパルスは骨密度を測定するために筋肉・骨格系の骨を通じて誘導される。エネルギーパルスの通過時間は、それが移動する媒体の材料特性に関連する。この関係は、いくつかの例を挙げると、距離、重量、ひずみ、圧力、摩耗、振動、粘度および密度等のパラメータの正確な測定値を得るために使用される。
センサ100は、筋肉・骨格系の領域またはツール、機器または人工関節などの構成要素内における取り付けという形態的要素の要求によってサイズの制約を受ける可能性がある。非限定的な例においては、センサ100が取り付けられた人工膝関節の荷重および平衡性を測定するために使用される。膝装具は、大腿骨装具構成要素104と、インサートと、脛骨装具構成要素106とを含む。大腿骨102の遠位端は大腿骨装具構成要素104を受け入れる準備がなされている。大腿骨装具構成要素104は、通常、天然大腿骨を模した2つの顆表面を有する。示されるように、大腿骨装具構成要素104は大腿骨102に結合された単一の顆表面を有する。大腿骨装具構成要素104は、通常、金属または金属合金で作製される。
脛骨108の近位端は脛骨装具構成要素106を受け入れる準備がなされている。脛骨装具構成要素106は脛骨の近位端に固定される支持構造であり、通常、金属または金属合金で作製される。脛骨装具構成要素106は、また、インサートを脛骨108に対して固定位置に保持する。インサートは、大腿骨装具構成要素104と脛骨装具構成要素106との間に取り付けられる。インサートは、大腿骨装具構成要素104の少なくとも顆表面に接している少なくとも1つの支持面を有する。顆表面は、下腿が荷重下で回転することができるようにインサートの支持面に対して動くことができる。インサートは、通常、摩擦を最小にする高摩耗性(high wear)プラスチック材料で作製される。
膝関節置換術では、外科医は大腿骨装具構成要素104を大腿骨102に、脛骨装具構成要素106を脛骨108に取り付ける。脛骨装具構成要素106は、脛骨108の平坦化された近位端に固定されたトレーまたはプレートを含み得る。センサ100は、大腿骨装具構成要素104の顆表面と脛骨装具構成要素106の主表面との間に配置される。顆表面はセンサ100の主表面に接している。センサ100の主表面はインサートの表面に近似する。脛骨装具構成要素106は、主表面上に、測定プロセス中にセンサ100を受け入れかつ保持するキャビティまたはトレーを含み得る。脛骨装具構成要素106とセンサ100は、脛骨装具構成要素106と膝関節の最終(または長期的)インサートとの合計厚さを示す合計厚さを有する。
一実施形態においては、2つのセンサ100が2つの別個のキャビティ内に取り付けられる。キャビティは、脛骨構成要素106によって所定の位置に維持される試行用インサート(脛骨構成要素自体ではなく脛骨インサートとも呼ばれてもよい)内にある。1つまたは2つのセンサ100は、大腿骨装具構成要素104と脛骨装具構成要素106との間に挿入されてもよい。各センサは独立し、それぞれが大腿骨102の各々の顆を測定する。別個のセンサは、1つの顆が治療され、1つのセンサのみが使用される状況にも適応する。代替的に、システムのコストおよび複雑さを低減するために電子機器を2つのセンサ間において共用することができる。共用の電子機器は測定値をとるために各センサモジュール間において適宜多重化させることができる。センサ100によって得られた測定値は、外科医が各顆にかかる絶対荷重および顆間の平衡を変更するに当たり補助する。膝インプラントについて示したが、センサ100は、脊椎、股関節部、肩部、肘、足首、手首、指節間関節、中足趾節関節、中手指節関節およびその他などの他の整形外科関節を測定するために使用され得る。代替的に、センサ100は、また、測定値を提供するために整形外科器具に適合させることができる。
センサ100を組み込んだ装具は天然膝関節の機能を模倣する。センサ100は、可動域全体にわたる様々な箇所の荷重または他のパラメータを測定することができる。センサ100からのデータは有線または無線通信により受信ステーション110に伝送される。第1の実施形態においては、センサ100は使い捨てシステムである。センサ100は、関節インプラントを最適に装着するためにセンサ100を使用後、廃棄され得る。センサ100は、資本金、運転費を低減し、定量的測定の迅速な採用を促進し、証拠に基づく(evidentiary based)整形外科を手ほどきする(initiates)低コストの使い捨てシステムである。第2実施形態においては、センサ100を再利用のため清浄化および滅菌するための手法が導入され得る。第3実施形態においては、センサ100は、置換用関節の構成要素とされる代わりにツールに組み込まれ得る。ツールは使い捨てとすることも、再使用のために清浄化し滅菌することもできる。第4の実施形態では、センサ100は置換用関節の永久構成要素とされ得る。センサ100は埋め込み型関節に関する術後データを短期および長期の両方において提供するために使用され得る。第5の実施形態では、センサ100は筋肉・骨格系に結合させることができる。実施形態の全てにおいて、受信ステーション110は、データ処理、記憶もしく表示、またはそれらの組み合わせを含むことができ、かつ荷重のレベルおよび分布の実時間グラフ表示を提供することができる。受信ステーション110は、センサ100の経理情報を記録し、かつ適切な機関に提供することができる。
術中例においては、センサ100は、大腿骨装具構成要素104および脛骨装具構成要素106上における力(Fx、Fy、Fz)を、対応する位置およびトルク(例えば、Tx、TyおよびTz)と共に測定することができる。外科医が最適な関節圧力および平衡を得るのに必要な任意の調整の特定を支援するための実時間可視化を提供するために測定された力およびトルクのデータが受信ステーション110に伝送される。データは、補修を最低限にし、患者の機能および関節の寿命を最大にするのに必要な荷重および位置合わせの許容度の範囲を決定するにあたり大きな価値を有する。
前述のように、センサ100は他の関節手術に使用することができ、それは1つまたは複数の膝置換インプラントに限定されない。さらに、センサ100は試行測定に限定されない。センサ100は、術後的に、埋め込み型関節が適切に機能しているかどうかを判断するためのデータを提供するために最終関節系(final joint system)に組み込まれ得る。センサ100を使用した、問題の早期判定により、患者が発見することができない問題に意識を向けることによって関節の破滅的な障害を低減することができる。問題はしばしば最小限の侵襲的処置によってより低いコストおよび患者へのストレスで修正され得る。同様に、関節のより長期の監視により、早期に発見されれば最小限の手術で最適な寿命または摩耗表面の交換のため調整することができる摩耗またはズレを判断することができ、それによって、インプラントの寿命が延びる。概して、センサ100は、それが、筋肉・骨格系、関節およびそれに関連するツールに関連する多くの整形外科用途において使用される(または任意の整形外科用途において使用される)耐荷重面にまたは耐荷重面内に配置され得る、または係合され得る、または固定され得るような形状にすることができる。センサ100は、摩耗、応カ、運動学、動力学、固定強度、靭帯の平衡、解剖学的適合および平衡などの対象の1つまたは複数の性能パラメータの組み合わせに関する情報を提供することができる。
図2は、一実施形態によるゼロ交差受信機200のブロック図である。第1の実施形態においては、ゼロ交差受信機200は、対称波形または周期波形(cyclical waveform)の中点を通る各エネルギー波の変化等のエネルギー波の変化状態を検出するために提供される。これは、エネルギー波の通過時間、位相または周波数を含むが、これらに限定されないパラメータの取り込みを可能にする。受信機は信号変化に迅速に応答し、エネルギー波の変化特性に合致するデジタルパルスを最小限の遅延で出力する。ゼロ交差受信機200は、さらに、調節可能なレベルのノイズ除去により、ノイズと、非常に低レベルの波を含む対象のエネルギー波とを区別する。ノイズ除去部218は、低レベルの波を含む広範な振幅にわたりノイズ抑制を正確に実施するためのフィルタリングステージおよびオフセット調整ステージを含む。
第2実施形態においては、ゼロ交差受信機は、入力される対称、周期または正弦波を、非常に低レベルの入力信号において優れた性能を有する方形または矩形デジタルパルスシーケンスに変換するために提供される。デジタルパルスシーケンスは、エネルギー波の変化時間に合致するパルスタイミングインターバルを示す。ゼロ交差受信機は検出アセンブリと結合され、入力される正弦波の変化の測定に応答してデジタルパルスシーケンスを発生させる。このデジタルパルスシーケンスは、検出アセンブリの物理的変化に関連する、加えられる力などの対象のパラメータに関連するタイミング情報を伝達する。
第3実施形態においては、一体型のゼロ交差受信機は伝播調整式発振器(PTO)内に組み込まれ、連続波モードまたはパルスループモードにおいて動作する場合に閉ループ正フィードバックを維持する。一体型のエッジゼロ交差受信機(edge zero−crossing receiver)は入カおよび出力回路の多重化によりPTOと電気的に結合され、超低電力および小さな小型サイズが達成される。PTOの電気的構成要素は低レベル信号への適切な感度を確保するためにゼロ交差受信機の構成要素と結合される。
一実施形態においては、低電力ゼロ交差受信機200は、低い信号レベルにおける性能をさらに向上させるために、伝播調整式発振器の他の回路と結合され得る。ゼロ交差受信機200は、前置増幅器206と、フィルタ208と、オフセット調整回路210と、比較器212と、デジタルパルス回路214と、を含む。以下に説明されるように、フィルタ208およびオフセット調整回路210はノイズ除去部218を構成する。ゼロ交差受信機200は、ディスクリートのアナログ構成要素、デジタル構成要素またはこれらの組み合わせにおいて実施され得る。一体型のゼロ交差受信機200は、特定位置および特定条件下においてエネルギー波の中点を検出する測定方法を実施する。エネルギー波の通過時間、位相または周波数を含むが、これらに限定されないパラメータの取り込みを可能にする。動作の方法の短い説明は以下の通りである。
入力エネルギー波202は、電気接続部、アンテナまたはトランスデューサからゼロ交差受信機200の入カ204に結合される。ゼロ交差受信機200の入カ204は、入力エネルギー波202を増幅するために前置増幅器206に結合される。増幅された信号はフィルタ208によってフィルタリングされる。フィルタ208は、前置増幅器206の出力およびオフセット調整回路210の入カに結合される。1つの構成においては、フィルタ208は入力エネルギー波202の帯域幅上の高周波成分を除去するための低域フィルタである。別の配置においては、フィルタは入力エネルギー波202の帯域幅に合致する通過域を有する帯域フィルタである。しかしながら、それはいずれかの配置に限定されるものではない。フィルタリング後の増幅された波のオフセットはオフセット調整回路210によって調整される。比較器212の入カはオフセット調整回路210の出力に結合される。比較器212は増幅された波形を監視し、事前設定されたトリガレベルが検出されるたびにデジタルパルス回路214をトリガする。デジタルパルス回路214は、比較器212の出力に結合された入カおよびデジタルパルス216を提供するための出力を有する。以下に説明されるように、デジタルパルス216はさらに信号処理回路に結合され得る。
好適な実施形態においては、電子部品は集積回路のブロックとして共に作動的に結合される。以下に示されるように、この集積配置はその特定の機能を最小数の構成要素によって効率的に実施する。これは、最小数の構成要素および最小の電力消費で必要な性能を実現するために、アナログ機能とデジタル機能の革新的区分のみならず、回路部品が集積回路およびディスクリート部品内の構造間において区分されていることが理由である。
図3は、例示的な実施形態による、検出アセンブリ300に結合される一体型のゼロ交差受信機200のブロック図を示す。前置増幅器206およびデジタルパルス回路214が参考および説明のために示される。一実施形態においては、検出アセンブリ300は、送信機トランスデューサ302と、エネルギー伝播構造(または媒体)304と、受信機トランスデューサ306と、を含む。さらに以下に説明されるように、検出アセンブリ300は、一実施形態においては、力、圧力または荷重などのパラメータを測定する感覚デバイス(sensory device)の一部である。非限定的な例においては、加えられる力308などの外部パラメータが検出アセンブリ200に作用する。示されるように、加えられる力308が伝播構造304を寸法的に変更する。概して、検出アセンブリ300は、エネルギー伝播構造304の変化に関連する、距離、力、重量、ひずみ、圧力、摩耗、振動、粘度、密度、方向および変位などの対象の1つまたは複数のパラメータを伝達する。一例では、関節の骨の間にある検出アセンブリ300を使用し、上に開示されるような筋肉・骨格系の関節によって加えられる荷重を測定する。
トランスデューサドライバ回路(図示せず)は、エネルギー伝播構造304内に誘導されるエネルギー波310を生成するために検出アセンブリ300の送信機トランスデューサ302を駆動する。加えられる力308などの、加えられるパラメータによるエネルギー伝播媒体304の変化は、エネルギー波310(またはパルス)の周波数、位相および通過時間を変化させる。一実施形態においては、加えられる力308は、エネルギー波310の伝播の経路の方向における伝播構造304の長さに影響する。ゼロ交差受信機200は、再生エネルギー波202のゼロ交差を検出するために受信機トランスデューサ306に結合される。ゼロ交差デジタルパルスを検出すると、回路214がトリガされパルス216が出力される。デジタルパルス216のタイミングは対象のパラメータ(例えば、距離、力重量、ひずみ、圧力、摩耗、振動、粘度、密度、方向、変位等)を伝達する。
そのようなエネルギー波310またはエネルギー波のパルスの伝播に依存した測定方法はエネルギー波またはパルスの非常に正確かつ制御された検出を実現するために必要である。さらに、エネルギー波のパルスは、その中に、潜在的な検出の曖昧性につながる複合波形を有する複数のエネルギー波を含んでもよい。特に、エネルギー伝播構造304内へのエネルギー波310の誘導は、導波路のヌルおよび共振、ならびに発生したエネルギー波310の特性に起因する干渉パターンを発生させる可能性がある。これら干渉パターンは元のエネルギー波のエッジの歪みを発生させる励振波形を多重化する可能性がある。
図2を再度簡潔に参照すると、エネルギー波のパルスの出現を確実に検出するために、ゼロ交差受信機200では2つの形態のノイズ除去を組み込むノイズ除去部218を活用する。対象のパラメータの物理的測定用の動作周波数を超える周波数はフィルタ208によって減衰される。加えて、入力波形のオフセットレベルはオフセット調整210によって調整され、比較器212が出力パルスをトリガする電圧レベルが最適化される。これは、入カに存在するノイズの余分な増幅が追加されないことから、入力波形の増幅に比べてより信頼性が高い。入力される対称、周期または正弦波の出現への迅速な応答と、調節可能なレベルのノイズ除去の組み合わせにより、非常に低レベルの信号に対する優れた性能を備えた超低電力ゼロ交差受信機200による信頼性の高いゼロ交差検出が実現される。
広範な非医学的および医学的用途に合うように作製することができる高性能の測定モジュールまたはデバイスの設計および構造を可能にする超低電力回路を有する小型測定モジュールまたはデバイスには広範な用途がある。非常に小型の測定モジュールまたはデバイスの用途は、使い捨てのモジュールまたはデバイス、および再利用可能モジュールまたはデバイス、および長期使用用のモジュールまたはデバイスを含んでもよいが、これらに限定されない。非医学的用途に加え、広範な潜在的医学的用途の例は、埋め込み型デバイス、埋め込み型デバイス内のモジュール、術中インプラントまたは試行用インサート内の術中インプラントまたはモジュール、挿入または摂取されたデバイス内のモジュール、着用可能なデバイス内のモジュール、手持型のデバイス内のモジュール、これらの全ての器具、器械、機器または付属品、またはインプラント、試行用インサート、挿入または摂取されたデバイス、着用可能なデバイス、手持型のデバイス、器具、器械、機器内の使い捨て具、またはこれらデバイス、器具、器械または機器の付属品内のモジュールを含んでもよいが、これらに限定されない。
図4は、例示的な実施形態による、閉ループ正フィードバックを維持するための伝播調整式発振器(PTO)404の例示的ブロック図400である。測定システムは、検知集合体401と、検知集合体401の1つまたは複数の導波路403内のエネルギー波402を検出する伝播調整式発振器(PTO)404と、を含む。一実施形態においては、エネルギー波402は超音波である。パルス411はエネルギー波402の検出に応答して発生し、導波路403内において新しいエネルギー波の伝播を開始する。超音波エネルギーパルスまたは波、超音波共振器またはトランスデューサによる超音波パルスまたは波の放出、超音波導波路内における伝送および超音波共振器またはトランスデューサによる検出は、単にエネルギーパルス、波および伝播構造および媒体の例として使用されることに留意されたい。本明細書中において企図される他の実施形態は光などの他の波形態を利用することができる。
検知集合体401は、トランスデューサ405と、トランスデューサ406と、導波路403(またはエネルギー伝播構造)と、を含む。非限定的な例においては、検知集合体401は耐荷重面または接触面408に固定される。接触面408に加えられる外力が導波路403を圧縮し、導波路403の長さを変化する。圧縮下において、トランスデューサ405とトランスデューサ406は、また、互いに近づけられる。距離の変化は、トランスデューサ405とトランスデューサ406との間において伝送および受信されるエネルギー波402の通過時間407に影響する。伝播調整式発振器404は、これら物理的変化に応答して各エネルギー波をより速く(例えば、より短い通過時間)検出し、より短い通過時間に関連する新しいエネルギー波の伝播を開始する。以下に説明されるように、これは、パルス発生器410、モード制御部412および位相検出器414とともに、PTO404によって実現される。
特に、導波路403(1つまたは複数のエネルギー伝播構造)の変化は伝播の媒体の伝播特性(例えば、通過時間407)を変更する。エネルギー波は連続波またはパルスエネルギー波とされ得る。パルスエネルギー波手法では、電力散逸を低減し、動作期間中に電池またはキャパシタなどの仮設電源がシステムに電源を供給することを可能にする。少なくとも1つの例示的な実施形態においては、連続波エネルギー波またはパルスエネルギー波がトランスデューサ405により導波路403の第1の表面に提供される。トランスデューサ405は、導波路403内に結合されるエネルギー波402を発生させる。非限定的な例においては、トランスデューサ405は超音波周波数領域内の音響信号を送信および受信することが可能な圧電デバイスである。
トランスデューサ406は、導波路403の第2の表面に結合され、伝播されたパルス形信号を受信し、対応する電気信号を発生させる。トランスデューサ406によって出力された電気信号は位相検出器414に結合される。概して、位相検出器414は、検出されたエネルギー波の波形上の選択点のタイミングを、他の伝播されたエネルギー波の波形上の同じ点のタイミングと比較する検出回路である。第1の実施形態においては、位相検出器414はゼロ交差受信機とされ得る。第2実施形態においては、位相検出器414はエッジ検出受信機とされ得る。第3実施形態においては、位相検出器414は位相同期ループとされ得る。検知集合体401が圧縮される例では、伝播されたエネルギー波402の検出が、外力が接触面に加えられる前に、信号よりも先に行われる(導波路403の長さ/距離低減に起因する)。パルス発生器410は、位相検出器414による、伝播したエネルギー波402の検出に応答して新しいパルスを発生させる。新しいパルスはトランスデューサ405に提供され、新しいエネルギー波シーケンスが開始される。したがって、各エネルギー波シーケンスは、導波路403内を伝播するエネルギー波402を維持する、エネルギー波伝播、エネルギー波検出およびエネルギー波放出の個々のイベントである。
伝播するエネルギー波の通過時間407はエネルギー波が導波路403の第1の表面から第2の表面に伝播するのにかかる時間である。上記のように、各回路に関連する遅延がある。通常、回路の総遅延は導波路403を通るエネルギー波の伝播時間よりも大幅に短い。加えて、平衡状態下では、回路遅延の変動は最小である。外力の変化が、生理的システムまたは機械的システム等内におけるパルス形信号伝播時間に対して比較的ゆっくりと起こる場合、平均時間を得るために複数のパルス間タイミングが使用され得る。デジタル計数器420は電子部品とともに、伝播したエネルギー波の数をカウントし、導波路403の長さの対応する変化を決定する。これら長さの変化は外力に対して正比例で変化するため、対象の1つまたは複数のパラメータまたはパラメータの変化を電気信号に変換することを可能にする。
ブロック図400は、さらに、計数およびタイミング回路を含む。特に、タイミング、計数およびクロック回路は、デジタルタイマ420と、デジタルタイマ422と、デジタルクロック426と、データレジスタ424と、を含む。測定シーケンス中、デジタルクロック426はデジタル計数器420およびデジタルタイマ422にクロック信号を提供する。デジタル計数器420は伝播調整式発振器404に結合される。デジタルタイマ422はデータレジスタ424に結合される。デジタルタイマ420と、デジタルタイマ422と、デジタルクロック426と、データレジスタ424は、表面408に加えられる対象の物理的パラメータの測定のモードによって、超音波共振器またはトランスデューサ405により放出され、導波路403内を伝播し、または超音波共振器またはトランスデューサ405または406により検出されたエネルギー波402の通過時間407を取り込む。タイミングおよび計数回路の動作については以下により詳細に開示される。
測定データは正確な、反復可能な、高精度および高分解能の測定を達成するために分析され得る。この方法は、取り込まれたデータの精度または分解能のレベルの、検出およびデータ処理操作の帯域幅を含む測定分解能と周波数との間におけるトレードオフが最適化されるような設定を可能とするため、検出モジュールまたはデバイスが測定の分解能を妥協することなくその最適な動作点で動作することが可能となる。これは、複数の個々の励振の通過時間および通過周期を平均化するのではなく複数周期の励振および通過時間の累積することによって実現される。この結果は、物理的システム内の対象のパラメータの正確な、反復可能な、高精度および高分解能の測定である。
少なくとも1つの例示的な実施形態においては、伝播調整式発振器404は、1つまたは複数の検知集合体401とともに、筋肉・骨格系の測定値を取るために使用される。非限定的な例においては、検知集合体401は、大腿骨装具構成要素と脛骨装具構成要素との間に配置され、人工膝関節の取り付けを補助する、測定した荷重情報を提供する。検知集合体401は、また、関節機能を監視するための永久構成要素または筋肉・骨格関節もしくは人工筋肉・骨格関節とされ得る。測定は伸展時および屈曲時に実施され得る。この例では、集合体401は、顆荷重を、それが既定の範囲および位置内にあるかを判断するために測定するために使用される。測定値に基づき、外科医は、測定された荷重および所定の位置にある最終インサートとの結合(incidence)が既定の範囲内となるようにインサートの厚さを選定することができる。外科医は力または圧力をさらに最適化するために軟組織のテンショニングを使用することができる。同様に、2つの集合体401が両顆を同時に測定するためにまたは多重化(multiplexed)のために使用され得る。顆間の荷重の差(例えば平衡性)が測定され得る。顆間の測定された圧力差を低減するために、高い方の測定された荷重を有する顆にかかる力を低減するために軟組織のテンショニングが使用され得る。
1つの動作の方法では、導波路403内を伝播するエネルギー波の数を整数定数として保持する。エネルギー波の時間周期はエネルギー波の周期性に対応する。安定した時間周期は多くのエネルギー波にわたり時間周期の変化が非常に小さいものである。これは、検知集合体401に作用する条件が一貫または一定を維持する場合に起こる。導波路403内を伝播するエネルギー波の数を整数に保持することは、導波路403の長さが変化した場合にパルス間の時間の変化を強制する制約である。生じた各エネルギー波の時間の変化は、デジタル計数器420を使用し、接触面408に加えられる外力または外部条件の変化の測定値として取り込まれた総エネルギー波時間周期の変化に対応する。
一実施形態による、トランスデューサ405から伝播し、トランスデューサ406によって受信されるエネルギー波402の動作のさらなる方法が以下に記載される。少なくとも1つの例示的な実施形態においては、エネルギー波402は超音波エネルギー波である。トランスデューサ405およびトランスデューサ406は圧電共振器トランスデューサ(piezo−electric resonator transducers)である。記載されないが、波伝播は反対方向に行うことができ、トランスデューサ406によって開始され、トランスデューサ405によって受信される。さらに、選択した伝播モード(例えば、反射検出(reflective sensing))によっては、検出する超音波共振器トランスデューサ406を示されるように別個の超音波共振器とすることもでき、トランスデューサ405を単独で使用することもできる。接触面408に加えられる外力または外部条件の変化は導波路403の伝播特性に作用し、通過時間407を変更する。前述のように、伝播調整式発振器404は、導波路403内を伝播する整数のエネルギー波402(例えば、整数のパルスエネルギー波時間周期)を一定に維持し、それによって、繰り返し数を制御する。上に示したように、PTO404が安定すると、デジタル計数器420はパルスエネルギー波の繰り返し数を、以下により詳細に記載されるように、例えば、エッジ検出によってデジタル化する。
別実施形態においては、トランスデューサ405によって放出されたパルスエネルギー波402の繰り返し数はパルス発生器410によって制御され得る。測定されるパラメータが導波路403内におけるパルスエネルギー波402の通過時間407の測定値に対応する場合、動作は同様のままである。個々の超音波パルスは、減衰する波形状(wave shape)を有する1つまたは複数のエネルギー波を含み得ることに留意されたい。エネルギー波形状は、パルス発生器410と、必要とされる場合は1つまたは複数のインターフェース材料と、超音波共振器またはトランスデューサ405と、の電気的および機械的パラメータによって決定される。個々のパルス内のエネルギー波の周波数は、放出する超音波共振器404の、電気パルス411による励振に対する応答によって決定される。パルスエネルギー波402の導波路403内における伝播のモードはモード制御回路412によって制御される(例えば、反射または一方向)。検出する超音波共振器またはトランスデューサは、選択した伝播モード(反射または一方向)によって、別個の超音波共振器もしくはトランスデューサ406、または放出する共振器もしくはトランスデューサ405のいずれかであってもよい。
概して、物理的パラメータの正確な測定は、いかなる時点においてもエネルギー伝播構造内を整数のパルスが伝播する特性を有する平衡点において実現される。既知の長さの導波路内における超音波エネルギー波の「飛行時間」または通過時間の変化の測定は、対象の1つまたは複数のパラメータまたはパラメータの変化に起因する、伝播媒体を通過する距離もしくは速度の変化、または距離および速度の変化の組み合わせに応じて超音波エネルギー波の繰り返し数を調整することによって実現され得る。
エネルギー波またはエネルギーパルス内のエネルギー波の伝播に依存する測定方法は、特定位置のエネルギー波の特定箇所の検出を必要としてもよく、特定条件下で、エネルギー波の通過時間、位相または周波数を含むが、これらに限定されないパラメータの取り込みを可能にすることを必要としてもよい。個々の超音波導波路の物理的長さの変化の測定はいくつかのモードにおいて実施してもよい。超音波導波路と組み合わせた1つまたは2つの超音波共振器またはトランスデューサの各集合体は、6つの異なるモードにおいて動作するように制御してもよい。これは、連続波またはパルス波の、2つの波形状モードと、超音波の反射、一方向および双方向伝播の3つの伝播モードを含む。これら測定の分解能は、測定データの高度な処理によってさらに向上させることができ、測定分解能と、導波路の長さ、超音波の周波数ならびに検出およびデータ取り込み動作の帯域幅との間のトレードオフの最適化を可能にするため、検出モジュールまたはデバイスの最適な動作点が実現される。
伝播調整式発振器404および検知集合体401による測定は、高感度および高信号対雑音比を可能にする。時間ベースの測定は、主として、電圧または電流により駆動される検出方法およびデバイスに影響を及ぼす可能性のあるほとんどのエラーの原因の影響を受けない。生じる動作の通過時間の変化は迅速にかつ高分解能で測定され得る周波数に対応する。これにより必要な測定精度および精密さが実現されるため、対象の物理的パラメータの変化を取り込み、それらの動的および静的挙動を分析することを可能にする。
これら測定は、センサおよび耐荷重面または接触面を支持する封入構造と、電源と、検出素子と、1つまたは複数のエネルギートランスデューサと、1つまたは複数の弾性エネルギー伝播構造と、1つまたは複数の1つまたは複数の付勢ばね、または他の形態の弾性部材と、加速度計と、アンテナと、測定データを処理すると共に、超音波発生、伝播および検出ならびに無線通信の全動作を制御する電子回路と、を組み込む電子的集合体と、を有する一体型の無線検出モジュールまたはデバイスによって実施されてもよい。電子機器集合体は、また、完成後の無線検出モジュールまたはデバイスの品質、精度および信頼度を保証するテスト性および校正機能を支持する。
エネルギートランスデューサと伝播調整式発振器の電子部品と結合された1つまたは複数のエネルギー伝播構造との集積化によって達成される精度および分解能のレベルは、対象のパラメータを監視または測定するための小型超低電力モジュールまたはデバイスの構築を可能にするが、これに限定されない。広範なサイズの検出モジュールまたはデバイスを構成する柔軟性により、検出モジュールまたはデバイスが、体、器具、装置、車両、機器または他の物理的システムに、上に、または内部に係合しても、配置されても、取り付けられても、固定されてもよく、かつ体、器具、装置、車両、機器、または物理的システムの動作を阻害することなく対象の物理的パラメータに関するデータを監視または収集するように、検出モジュールを広範な用途に合うように作製することが可能になる。
図17を参照すると、例示的な実施形態による、高精度の処理および測定データのための方法ステップの簡略流れ図1700が示される。方法1700は、示されるステップよりも多いまたは少ないステップによって実施することができ、かつ示されるステップの順序に限定されない。方法ステップは図4に対応し、前述の構成要素またはそのような処理に適した任意の他の構成要素、例えば、エネルギーパルスまたは波の放出を制御するための、およびエネルギーパルスの繰り返し数または弾性エネルギー伝播構造または媒体内を伝播するエネルギー波の周波数を取り込むための電気回路によって実施される。
ステップ1702では、プロセスは測定動作を開始する。ステップ1704では、デジタルタイマ422およびデータレジスタ424のリセットによって既知の状態が確立される。ステップ1706では、デジタル計数器420が、測定値が取られかつ収集される測定サイクルの数に事前設定される。ステップ1708では、測定サイクルが開始され、デジタルクロック426のクロック出力が有効にされる。デジタルクロック426からのクロック信号がデジタル計数器420およびデジタルタイマ422の両方に提供される。デジタルクロック426によって出力されたクロック信号の周波数に基づきデジタルタイマ420により所要時間がカウントされる。ステップ1710では、デジタルタイマ422が所要時間のトラッキングを開始する。同時に、各測定シーケンス後、デジタル計数器420がカウントの減数を開始する。一実施形態においては、デジタル計数器420は、各エネルギー波が導波路403内を伝播し、トランスデューサ406によって検出されると減数される。デジタル計数器420は事前設定された測定サイクルの数が完了するまでカウントダウンする。ステップ1712では、デジタル計数器420が伝播するエネルギー波の検出によって減数されるため、エネルギー波伝播が伝播調整式発振器404により持続される。ステップ1714では、デジタル計数器420のカウントがゼロを超えている間、エネルギー波検出、放出および伝播が継続する。ステップ1716では、デジタル計数器420においてゼロカウントに達するとデジタルタイマ422のクロック入カが無効にされるため、デジタル計数器420およびデジタルタイマ422がクロックされることが防止される。一実施形態においては、デジタル計数器420に提供された事前設定された測定サイクルの数がデジタルタイマ422により測定された所要時間によって除算され、伝播したエネルギー波の周波数が計算される。逆に、この数は、デジタルタイマ422からの所要時間を事前設定された測定サイクルの数によって除算することによって通過時間として計算することができる。最後に、ステップ1718では、得られた数値がレジスタ424に転送される。データレジスタ424における数は、ディスプレイおよびデータベースに無線で伝送され得る。データレジスタ424からのデータは測定されるパラメータに相関し得る。力または荷重などのパラメータは、パラメータの変化が測定の周波数または通過時間の計算も変化させるように伝播媒体(例えば導波路403)に加えられる。伝播媒体の材料特性とパラメータとの間の関係は測定数値(例えば、周波数、通過時間、位相)と共にパラメータ数値を計算するために使用される。
図4の集合体例によって、ならびにデジタル計数器420、デジタルタイマ422、デジタルクロック426および関連電子回路によって実施される方法1700は、動作点条件(operating point conditions)に従いデジタル化された測定データを分析する。特に、これら構成要素は、弾性エネルギー伝播構造または媒体内において伝播するエネルギーパルスまたは波の通過時間を変更することができる複数のデジタル化されたデータ値を累積し、弾性エネルギー伝播構造または媒体の長さまたは他の性状の変化の測定値の分解能のレベルを向上する。デジタル化されたデータはデジタル計数器420を複数の測定サイクルにわたり動作するように制御することによって合計される。各サイクルは、連続する測定サイクル間に遅れがなく、かつ総所要時間を取り込むように、励振段階および通過段階(transit phase)を有する。カウンタは、必要な分解能をその累積能力(accumulation capacity)を超えることなく、かつカウンタの最下位ビットの分解能を妥協することなく実現するのに必要な出来る限り多くの測定サイクルの総所要時間をカウントするための大きさにされる。総所要通過時間のデジタル化された測定値は、その後、測定サイクルの数によって除算され、個々の測定サイクルの時間、したがって、励振、弾性エネルギー伝播構造または媒体内における伝播、およびエネルギーパルスまたは波の検出の個々のサイクルの通過時間が推定される。エネルギーパルスまたは波の励振および検出の所要時間が固定されているため、弾性エネルギー伝播構造または媒体内におけるエネルギーパルスまたは波の通過時間の変化の正確な推定値が取り込まれる。
除算する前に個々の測定値を合計して平均測定数値データ値(average measurement value data values)を推定すると、同数のサンプルを平均するよりも優れた結果が得られる。デジタル計数器から回収されるカウントデータの分解能はカウンタの最下位ビットの分解能によって制限される。一連のカウントを取りそれらを平均しても1つのカウントの精度であるためこの最下位ビットを超える精度が得られない。個々の測定値間にランダム変動がある場合は平均化により最終推定値のランダム性は低減されない。多数の測定サイクルのカウントを合計して累積カウントを得、その後、全測定周期の平均値を計算するとカウンタの最下位ビットよりも小さい測定値の成分(component of the measurement)を補間することにより測定の精度が向上する。この手順によって得た精度は、カウンタの最下位ビットの分解能を合計された測定サイクルの数によって除算したものと同程度である。
デジタル計数器のサイズおよび累積される測定サイクルの数は必要なレベルの分解能よりも大きくてもよい。これは、必要なレベルの分解能を実現する性能を保証するのみならず、個々のカウント内のランダム成分を平均化し、必要なレベルの分解能を確実に満足させる、高度に反復可能な測定を生じさせる。
測定サイクルの数は必要なレベルの分解能よりも大きい。これは、必要なレベルの分解能を実現する性能を保証するのみならず、個々のカウント内の任意のランダム成分を平均化し、必要なレベルの分解能を確実に満足させる、高度に反復可能な測定を生じさせる。
図5は、一実施形態による、閉ループ正フィードバックを維持するための連続波多重化構成(continuous wave multiplexing arrangement)にあるゼロ交差受信機200を組み込んだセンサインターフェース図である。閉ループ正フィードバックは太線の経路によって示される。初めに、マルチプレクサ(mux)502は入カとしてクロック信号504を受信し、これがトランスデューサドライバ506に送られ、ドライブライン信号508を生成する。アナログマルチプレクサ(mux)510はドライブライン信号508を受信し、これが送信機トランスデューサ512に送られ、エネルギー波514を発生させる。トランスデューサ512はエネルギー伝播媒体の第1の位置に配置される。放出されたエネルギー波514はエネルギー伝播媒体内を伝播する。受信機トランスデューサ516はエネルギー伝播媒体の第2の位置に配置される。受信機トランスデューサ516はエネルギー波514を取り込み、エネルギー波514はアナログmux520に供給されると共にゼロ交差受信機200に送られる。トランスデューサ516によって取り込まれたエネルギー波はmux520に提供される電波518によって示される。ゼロ交差受信機200は取り込まれた電波518から検出された各ゼロ交差に対応するパルスを出力する。ゼロ交差はカウントされ、エネルギー伝播媒体内において伝播するエネルギー波の位相および周波数の変化を決定するために使用される。非限定的な例においては、加えられる力などのパラメータは、測定された位相および周波数を、パラメータ(例えば力)とエネルギー伝播媒体の材料特性との間の既知の関係に関連付けることによって測定される。概して、パルスシーケンス522は検出された信号周波数に対応する。ゼロ交差受信機200は伝播調整式発振器のフィードバック路にある。パルスシーケンス522は閉ループ正フィードバック路内のmux502により結合される。パルスシーケンス522は、パルスシーケンス522を提供する経路がドライバ506に結合されてエネルギー伝播媒体内へのエネルギー波の放出を継続し、ドライバ506へのクロック信号504の経路が無効にされるように、クロック信号504を無効にする。
図6は、連続波モードにおける動作用のゼロ交差受信機640を組み込んだ伝播調整式発振器(PTO)の例示的ブロック図である。特に、図4に対し、図6は、伝播調整式発振器416の動作による導波路408内の超音波414の通過時間412の閉ループ測定を示す。この例は連続波モードにおける動作用である。システムは、また、パルスモードおよびパルスエコーモードにおいて動作され得る。パルスモードおよびパルスエコーモードはパルスエネルギー波を使用する。パルスエコーモードはエネルギー伝播媒体内にエネルギー波を案内するために反射を使用する。簡潔には、デジタル論理回路646は伝播調整式発振器の動作周波数をデジタル化する。
連続波動作モードにおいては、パラメータを測定するためにトランスデューサ604と、伝播構造602と、トランスデューサ606とを含むセンサが使用される。概して、測定されるパラメータは伝播媒体の特性に作用する。例えば、伝播するエネルギー波の経路内において導波路の長さを変化させる外力または外部条件612が伝播構造602に加えられる。長さの変化は伝播波の通過時間608の変化に対応する。同様に、伝播構造602の長さは加えられる力612に対応する。長さの減少は伝播構造602加えられるより強い力に対応する。逆に、長さの増加は伝播構造602に加えられる力612の低下に対応する。伝播構造602の長さは測定され、既知の長さ対力関係によって力に変換される。
トランスデューサ604は連続波モードの放出デバイスである。パラメータを測定するためのセンサは、第1の位置において伝播構造602に結合されるトランスデューサ604を含む。トランスデューサ606は第2の位置において伝播構造602に結合される。トランスデューサ606は伝播するエネルギー波を取り込むための受信トランスデューサである。一実施形態においては、取り込まれた伝播したエネルギー波はトランスデューサ606によって出力された電気正弦波634である。
制御回路618がスイッチ620を閉じ、発振器622の発振器出力624を増幅器626の入カに結合すると測定シーケンスが開始される。増幅器626に提供された1つまたは複数のパルスが単純または複雑な波形を有するエネルギー波610をエネルギー伝播構造または媒体602中に伝播するための動作を開始する。増幅器626はデジタルドライバ628および整合ネットワーク630を含む。一実施形態においては、増幅器626は、発振器622の発振器出力を、発振器出力624と同じ繰り返し数およびトランスデューサ604を励振するのに十分な振幅を有する電波632の正弦波に変換する。
放出トランスデューサ604は、正弦波632を同じ周波数のエネルギー波610に変換し、それらを第1の位置においてエネルギー伝播構造または媒体602に放出する。エネルギー波610はエネルギー伝播構造または媒体602内を伝播する。第2の位置にあるトランスデューサ606に到達すると、エネルギー波610は取り込まれるか、検知されるか、検出される。取り込まれたエネルギー波はトランスデューサ606によって同じ周波数を有する電波である正弦波634に変換される。
増幅器636は前置増幅器634およびゼロ交差受信機640を含む。増幅器636は、正弦波634を閉ループ回路の挙動を維持するのに十分な継続時間のデジタルパルス642に変換する。制御回路618は、スイッチ620を開き、スイッチ644を閉じることによって増幅器636からのデジタルパルス642に応答する。スイッチ620を開くと発振器出力624を増幅器626の入カから分離する。スイッチ644を閉じると増幅器636の出力を増幅器626の入カに結合し、エネルギー伝播構造または媒体602内におけるエネルギー波の放出、伝播および検出を持続する閉ループ回路を形成する。
この閉ループ回路においてユニティゲインを維持することにより、トランスデューサ604に入カされる正弦波632とトランスデューサ606によって出力される正弦波634とが小さいが一定のオフセットを有する同相である平衡状態が達成される。トランスデューサ606は、上に開示されるように、第2の位置に伝播するエネルギー波を検出すると正弦波634を出力する。平衡状態においては、整数のエネルギー波610がエネルギー伝播構造または媒体602内を伝播する。
エネルギー伝播構造または媒体602の物理的特性の動作または変化はエネルギー波610の通過時間608を変化させる。通過時間608はエネルギー波が伝播構造602の第1の位置から第2の位置に伝播するための時間を含む。したがって、伝播構造602の物理的特性の変化はエネルギー伝播構造または媒体602内におけるエネルギー波610の対応する時間変化を生じる。これらエネルギー波610の時間の変化は閉ループ回路の平衡点および閉ループ回路の動作周波数を変更する。閉ループ回路は正弦波632および正弦波634が新しい平衡点に対応するように調整する。エネルギー波610の周波数および周波数の変化はエネルギー伝播構造または媒体602の物理的特性の変化に相関する。
エネルギー伝播構造602に外力または外部条件612による物理的変化を加え、対象の1つまたは複数のパラメータのレベルおよび変化を、後の処理、記憶および表示のためにデジタル化されてもよい信号に翻訳してもよい。動作周波数の、デジタル2進数への翻訳は、対象の物理的パラメータのレベルおよび変化についての情報の通信、追加処理、記憶および表示を容易にする。同様に、閉ループ回路の動作中のエネルギー波610の周波数およびこの周波数の変化を、エネルギー伝播構造または媒体602の物理的特性の動作または変化を測定するために使用してもよい。
周波数の測定または伝播調整式発振器の動作の前に、制御論理回路618がカウントレジスタ648内に格納されたループカウントをデジタル計数器650にロードする。第1のデジタルパルス642は伝播調整式発振器内における閉ループ動作を開始し、制御回路618に測定動作を開始するよう信号を送る。閉ループ動作の開始時、制御論理回路618はデジタル計数器650およびデジタルタイマ652を有効にする。一実施形態においては、デジタル計数器650は、ゼロ交差受信機640によって出力されたその各デジタルパルスの立ち上がり部分の値を減数する。デジタルタイマ652はそのクロックパルス656の各立ち上がり部分の値を増数する。デジタルパルス642の数が減数されると、デジタル計数器650内の、ストップ信号をゼロにするための数値がデジタル計数器650から出力される。ストップ信号はデジタルタイマ652を無効にし、ロードコマンドをデータレジスタ654に出力するために制御回路618をトリガする。データレジスタ654はエネルギー波またはパルスの周期にカウンタ648の数値を乗じ、クロック周期656で除算したものに等しい2進数をデジタルタイマ652からロードする。一定のクロック周期656によって、データレジスタ654内の数値は測定動作中に累積されたエネルギー波またはパルスの周期の総計に正比例する。測定動作の継続時間および測定値の分解能は、カウントレジスタ648において事前設定される数値を増加または減少することによって調整されてもよい。
図7は、一実施形態による、閉ループ正フィードバックを維持するためにパルス多重化構成にある一体型のゼロ交差受信機200を組み込んだセンサインターフェース図である。一実施形態においては、センサ以外の回路が特定用途用集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)に組み込まれる。閉ループ正フィードバックは太線の経路によって示される。まず、1つまたは複数のデジタルパルス704をトランスデューサドライバ706に結合するためにmux702が有効にされる。トランスデューサドライバ706はデジタルパルス704に対応するパルスシーケンス708を発生させる。パルスシーケンス708を送信機トランスデューサ712に結合するためにアナログmux710が有効にされる。トランスデューサ712は第1の位置において媒体に結合される。トランスデューサ712は、パルスシーケンス708に応答し、第1の位置において媒体内に放出される、対応するエネルギーパルス714を発生させる。エネルギーパルス714は媒体内を伝播する。受信機トランスデューサ716は媒体の第2の位置に配置される。受信機トランスデューサ716はエネルギーパルス714を取り込み、電気パルス718の対応する信号を発生させる。トランスデューサ716はmux720に結合される。Mux720はゼロ交差受信機200に結合するために有効にされる。トランスデューサ716からの電気パルス718はゼロ交差受信機200に結合される。前に説明したように、ゼロ交差受信機200は加えられる力に応答したエネルギーパルスの位相および周波数の変化を決定するために電気パルス718のゼロ交差をカウントする。ゼロ交差受信機200は検出された信号周波数に対応するパルスシーケンス722を出力する。パルスシーケンス722はmux702に結合される。パルス722の検出時、Mux702は、デジタルパルス704の、ドライバ706への接続から分離される。逆に、パルス722の検出時、パルス722をドライバ706に結合するためにmux702が有効にされ、それによって、閉ループ正フィードバック路が形成される。したがって、パルスモードにおいては、ゼロ交差受信機200は、媒体内の通過時間およびパルスの通過時間の変化を測定するために、第1の位置においては媒体へのエネルギーパルスの放出、第2の位置においては検出を継続する閉ループフィードバック路の一部である。
図8は、パルスモードにおける動作用のゼロ交差受信機640を組み込んだ伝播調整式発振器(PTO)の例示的ブロック図である。特に、図4に対し、図8は、伝播調整式発振器416の動作による導波路408内の超音波414の通過時間412の閉ループ測定を示す。この例はパルスモードにおける動作用である。システムは、また、連続波モードおよびパルスエコーモードにおいて動作され得る。連続波モードは連続波信号を使用する。パルスエコーモードはエネルギー伝播媒体内にエネルギー波を案内するために反射を使用する。簡潔には、デジタル論理回路646は伝播調整式発振器の動作周波数をデジタル化する。
パルス動作モードにおいては、パラメータを測定するためにトランスデューサ604と、伝播構造602と、トランスデューサ606とを含むセンサが使用される。概して、測定されるパラメータは伝播媒体の特性に作用する。例えば、伝播するエネルギー波の経路内において導波路の長さを変化させる外力または外部条件612が伝播構造602に加えられる。長さの変化は伝播波の通過時間608の変化に対応する。伝播構造602の長さが測定され、既知の長さ対力関係によって力に変換される。パルスモード動作の1つの利点は高振幅のパルスエネルギー波の使用である。一実施形態においては、エネルギー波の振幅はエネルギー波が媒体内を伝播するにつれて減衰する。エネルギー波がかなりの距離を移動せねばならない場合、またはエネルギー波が伝播するにつれて媒体による振幅低減の対象となる場合、高振幅パルスの使用は検出可能な信号を生成するための電力効率の高い方法である。
制御回路618がスイッチ620を閉じ、発振器622の発振器出力624を増幅器626の入カに結合すると測定シーケンスが開始される。増幅器626に提供された1つまたは複数のパルスが単純または複雑な波形を有するエネルギー波610をエネルギー伝播構造または媒体602中に伝播するための動作を開始する。増幅器626はデジタルドライバ628および整合ネットワーク630を含む。一実施形態においては、増幅器626は、発振器622の発振器出力を、発振器出力624と同じ繰り返し数およびトランスデューサ604を励振するのに十分な振幅を有する電波832のアナログパルスに変換する。
放出トランスデューサ604は、アナログパルス832を同じ周波数のエネルギー波610に変換し、それらを第1の位置においてエネルギー伝播構造または媒体602に放出する。エネルギー波610はエネルギー伝播構造または媒体602内を伝播する。第2の位置にあるトランスデューサ606に到達すると、エネルギー波610は取り込まれるか、検知されるか、検出される。取り込まれたエネルギー波はトランスデューサ606によって同じ周波数を有する電波であるアナログパルス834に変換される。
増幅器636は前置増幅器638およびゼロ交差受信機640を含む。増幅器636はアナログパルス834を閉ループ回路の挙動を維持するのに十分な継続時間のデジタルパルス642に変換する。制御回路618は、スイッチ620を開き、スイッチ644を閉じることによって増幅器636からのデジタルパルス642に応答する。スイッチ620を開くと発振器出力624を増幅器626の入カから分離する。スイッチ644を閉じると増幅器636の出力を増幅器626の入カに結合し、エネルギー伝播構造または媒体602内におけるエネルギー波の放出、伝播および検出を持続する閉ループ回路を形成する。
この閉ループ回路においてユニティゲインを維持することにより、トランスデューサ604に入カされるパルス832と、トランスデューサ606によって出力されるパルス834とが小さいが一定のオフセットを有する同相である平衡状態が達成される。トランスデューサ606は、上に開示されるように、第2の位置に伝播するエネルギー波を検出するとパルス834を出力する。平衡状態においては、整数のエネルギー波610がエネルギー伝播構造または媒体602内を伝播する。
エネルギー伝播構造または媒体602の物理的特性の動作または変化はエネルギー波610の通過時間608を変化する。通過時間608はエネルギー波が伝播構造602の第1の位置から第2の位置に伝播するための時間を含む。したがって、伝播構造602の物理的特性の変化はエネルギー伝播構造または媒体602内におけるエネルギー波610の対応する時間変化を生じる。これらエネルギー波610の時間の変化は閉ループ回路の平衡点および閉ループ回路の動作周波数を変更する。閉ループ回路はパルス832およびパルス834が新しい平衡点に対応するように調整する。エネルギー波610の周波数および周波数の変化はエネルギー伝播構造または媒体602の物理的特性の変化に相関する。
エネルギー伝播構造602に外力または外部条件612による物理的変化を加え、対象の1つまたは複数のパラメータのレベルおよび変化を、後の処理、記憶および表示のためにデジタル化されてもよい信号に翻訳してもよい。本明細書中で上により詳細に開示したように、動作周波数の、デジタル2進数への翻訳は、対象の物理的パラメータのレベルおよび変化についての情報の通信、追加処理、記憶および表示を容易にする。同様に、閉ループ回路の動作中のエネルギー波610の周波数およびこの周波数の変化を、エネルギー伝播構造または媒体602の物理的特性の動作または変化を測定するために使用してもよい。
図9は、例示的な実施形態によるエッジ検出受信機回路900のブロック図を示す。第1の実施形態においては、エッジ検出受信機900はエネルギー波のパルスの波面を検出するために提供される。これは、エネルギー波の通過時間、位相または周波数を含むが、これらに限定されないパラメータの取り込みを可能にする。一体型のエッジ検出受信機900の回路は迅速なオンセット検出を提供し、エネルギーパルスの出現に素早く応答する。それは、その後、各取り込まれたエネルギーパルスまたはパルスエネルギー波の初期波面(initial wave front)の同じ点においてデジタル出力パルスを確実にトリガする。デジタルパルスは、最小かつ一定の遅延で最適に出力するように構成され得る。エッジ検出受信機900は、干渉および歪み信号の存在下で、初期エネルギー波または波面の特定のポイントを分離し、かつ正確に検出することができ、それによって、エネルギー伝播媒体内において発生した複数の複素信号の1つの検出に一般に付随する問題が克服される。エッジ検出受信機900は、これら機能を非常に低いレベルのエネルギーパルスを含む広範な振幅にわたり正確に実施する。
第2実施形態においては、エッジ検出受信機900は伝播調整式発振器(PTO)内に組み込まれ、パルスまたはパルスエコーモードにおいて動作する場合に閉ループ正フィードバックを維持する。エッジ検出受信機900は入カおよび出力回路の多重化によりPTOの他の回路と結合することができ、超低電力および小さな小型サイズ(small compact size)が実現される。PTOの回路の、エッジ検出受信機との集積化は低レベル信号への感度が増加するという利点を提供する。
ブロック図は、低い信号レベルにおける優れた性能を有する低電力エッジ検出受信機回路900の一実施形態を示す。エッジ検出受信機900は、前置増幅器912と、微分器914と、デジタルパルス回路916と、ブランク除去回路918と、を含む。エッジ検出受信機回路900は、ディスクリートのアナログ構成要素、デジタル構成要素、またはこれらの組み合わせにおいて実施され得る。一実施形態においては、エッジ検出受信機900は以下に記載されるセンサシステムの一部としてASICに組み込まれる。エッジ検出受信機回路900は、エネルギーパルスの通過時間、位相、周波数または振幅を含むが、これらに限定されないパラメータの取り込みを可能にするために、特定位置および特定条件下においてエネルギーパルスまたはパルスエネルギー波を検出する測定方法を実施する。動作の方法の短い説明は以下の通りである。非限定的な例においては、前置増幅器は入力信号の勾配の小さな変化に応答して比較器回路をトリガする。比較器および他のエッジ検出回路は最小限の遅延で迅速に応答する。入力信号の小さな変化の検出はエネルギー波のパルスの出現の迅速な検出を確実とする。最小の位相設計は非本質的な遅延を低減し、それによって、入力されるエネルギーパルスの通過時間、位相、周波数または振幅の測定値に導入されるばらつきが低下する。
エッジ検出受信機900の入カ920は前置増幅器912に結合される。一例として、エッジ検出受信機回路900に入力される波910は電気接続部、アンテナまたはトランスデューサに受信され得る。入力される波910は前置増幅器912によって増幅され、小信号への適切な感度を確保する。微分器回路914は前置増幅器912の出力を監視し、パルスエネルギー波に対応する信号変化が検出されるたびにデジタルパルス回路916をトリガする。例えば、パルスエネルギー波を特定する信号変化はパルスエネルギー波の初期波面または立ち上がり部分である。1つの配置においては、微分器914は、勾配の迅速な検出を実現するために、電圧レベルの変化を測定する代わりに電流の流れの小さな変化を検出することによって、電流の流れ、および特に、エネルギー波910の勾配の変化を検出する。代替的に、微分器914は電圧の変化に対してトリガするように実装され得る。前置増幅器912および微分器916は共に、エネルギー波910の波面の出現のため零入カ電流を監視する。前置増幅器912および微分器916はエネルギー波の低レベルパルスおよびエネルギー波のより高いパルスの出現を検出する。この検出手法は、非常に低レベルの信号に対する優れた性能を実現する。微分器回路912は入力される波910の初期信号ランプ(initial signal ramp)により駆動される電流の流れが検出されるたびにデジタルパルス回路916をトリガする。デジタルパルスは、前置増幅器912の感度を減ずるブランク除去回路918に結合される。例えば、前置増幅器912の感度低下(desensitization)には、ゲインの低減、エネルギー波910からの入カ920の分離、または周波数応答の変更を含み得る。ブランク除去回路918は、また、エネルギー波910の干渉部または歪んだ部分を事実上飛ばす(skip)ために、特定のまたは既定の時間中、電圧または電流レベルを無視する。概して、エネルギー波910は勾配の2つ以上の変化を含み得るものであり、通常、減衰波形である。前置増幅器912の入カ920のパルスエネルギー波の追加信号または波は事前設定されたブランキング時間中には処理されない。この例では、デジタル出力パルス928は、したがって、以下に説明されるように信号処理回路に結合され得る。一実施形態においては、電子部品は集積回路内のブロックとして作動的に結合される。以下に示されるように、この集積配置はその特定の機能を最小数の構成要素によって効率的に実施する。これは、最小数の構成要素および最小の電力消費で必要な性能を実現するために、アナログ機能とデジタル機能の革新的区分のみならず、回路部品が集積回路およびディスクリート部品内の構造間において区分されていることが理由である。
図10は、検出アセンブリ1000に結合されるエッジ検出受信機回路900のブロック図を示す。前置増幅器912およびデジタルパルス回路916が参考および説明のために示される。検出アセンブリ1000は、送信機トランスデューサ1002と、エネルギー伝播媒体1004と、受信機トランスデューサ1006と、を含む。送信機トランスデューサ1002は第1の位置において伝播媒体1004に結合される。受信機トランスデューサ1006は第2の位置においてエネルギー伝播媒体1004に結合される。代替的に、受信機トランスデューサ1006の代わりに反射面を使用することができる。反射面は第1の位置の方に戻るようにエネルギー波を反射する。トランスデューサ1006は、放出トランスデューサおよび受信トランスデューサになることを可能とすることができ、それによって、トランスデューサのコストが節約される。以下にさらに詳細に説明されるように、検出アセンブリ1000は、一実施形態においては、荷重、特に、検出アセンブリ1000に外部から加えられる力1008を評価する感覚デバイスの一部である。トランスデューサドライバ回路(図示せず)が、エネルギー伝播媒体1004内に誘導されるエネルギー波1010を生成するために検出アセンブリ1000の送信機トランスデューサ1002を駆動する。非限定的な例においては、外部から加えられる力1008によるエネルギー伝播媒体1004の変化は、エネルギー伝播媒体1004の第1の位置から第2の位置に伝播するエネルギー波1010の周波数、位相および通過時間1012を変化させる。一体型のエッジ検出受信機回路900は、再生エネルギー波910のエッジを検出し、デジタルパルス928をトリガするために受信機トランスデューサ1006に結合される。概して、デジタルパルス928のタイミングは、外部パラメータによるエネルギー伝播構造1004の変化に関連する対象のパラメータ(例えば、距離、力重量、ひずみ、圧力、摩耗、振動、粘度、密度、方向、変位等)を伝達する。本明細書中で上に記載されるように、例えば、検出アセンブリ1000が膝関節内に配置される。
エネルギーパルスの伝播に依存した測定方法は、エネルギーパルスの通過時間、位相、周波数または振幅を含むが、これらに限定されないパラメータを取り込むことを可能にするために特定位置または特定条件下におけるエネルギーパルスの検出を必要とする。そのような、エネルギー波1010またはエネルギー波のパルスの伝播に依存した測定方法は、エネルギー波またはパルスの非常に正確かつ制御された検出を実現するために必要である。さらに、エネルギー波のパルスは、その中に、潜在的な検出の曖昧性につながる複合波形を有する複数のエネルギー波を含んでもよい。特に、エネルギー伝播構造1004内へのエネルギー波1010の誘導は、導波路のヌルおよび共振、ならびに発生したエネルギー波1010の特性に起因する干渉パターンを発生させる可能性がある。これら干渉パターンは、元のエネルギー波のエッジの歪みにつながる多重励振波形(mutiply excited waveform)を発生させる可能性がある。エネルギー波のパルスの出現を確実に検出するため、エッジ検出受信機900は各パルス内の第1のエネルギー波の立ち上がり部分のみに応答する。これは、各エネルギーパルスの継続時間中にエッジ検出回路900を帰線消去することによって一部実現される。一例として、ブランク除去回路918は、干渉部または波形の歪んだ部分を事実上飛ばすために、特定時間中、電圧または電流レベルを無視する。
図11は、一実施形態による、閉ループ正フィードバック(positive closed−loop feedback)を維持するためのパルスエコー多重化構成にあるエッジ検出受信機回路900を組み込んだセンサインターフェース図である。閉ループ正フィードバックは太線の経路によって示される。初めに、マルチプレクサ(mux)1102がデジタルパルス1104を入カとして受信し、これがトランスデューサドライバ1106に送られ、パルスシーケンス1108を生成する。アナログマルチプレクサ(mux)1110はパルスシーケンス1108を受信し、これがトランスデューサ1112に送られ、エネルギーパルス1114を発生させる。エネルギーパルス1114は媒体の第1の位置に放出され、媒体内を伝播する。パルスエコー例においては、エネルギーパルス1114が、媒体の第2の位置、例えば、導波路または反射器の端部において表面1116に反射され、トランスデューサ1112に戻るように反響される。トランスデューサ1112はその後引き続き反射したパルスエコーを取り込む。パルスエコーモードにおいては、トランスデューサ1112は送信機および受信機の両方として実施される。上に開示されるように、トランスデューサ1112は、エネルギー波の放出と受信との間を往復するようにトグルで切り換える。トランスデューサ1112は反射したエコーパルスを取り込み、反射したエコーパルスはアナログmux1110に結合され、エッジ検出受信機900に誘導される。取り込まれた反射したエコーパルスは電波1120によって示される。エッジ検出受信機900は、前に説明したように、加えられる力に応答したエネルギーパルス1114の位相および周波数の変化を決定するために、伝播するエネルギー波の波面に対応するパルスエッジをロックする。それは、パラメータの中でも特に、検出された信号周波数に対応するパルスシーケンス1118を発生させる。パルスシーケンス1118はmux1102に結合され、ドライバ1106に誘導され、1つまたは複数のエネルギー波の、トランスデューサ1112による媒体内への放出を開始する。パルス1104はドライバ1106への提供から分離される。したがって、信号がドライバ1106に提供されることをmux1102が防止するまでエネルギー波を媒体内に繰り返し可能に放出する閉ループ正フィードバックが形成される。エッジ検出受信機900は媒体の第2の位置に結合され、かつフィードバック路内にある。エッジ検出受信機900は、フィードバック路が閉じた場合に第2の位置において波面を検出すると、パルスエネルギー波の、媒体の第1の位置における提供を開始する。
図12は、パルスエコーモードにおける動作用のエッジ検出受信機回路900を組み込んだ伝播調整式発振器(PTO)の例示的ブロック図である。特に、図4に対し、図12は、伝播調整式発振器416の動作による導波路408内の超音波414の通過時間412の閉ループ測定を示す。この例はパルスエコーモードにおける動作用である。システムは、また、パルスモードおよび連続波モードにおいて動作され得る。パルスモードでは反射した信号を使用しない。連続波モードは連続信号を使用する。簡潔には、デジタル論理回路1246は伝播調整式発振器の動作周波数をデジタル化する。
パルスエコー動作モードでは、パラメータを測定するためにトランスデューサ1204と、伝播構造1202と、反射面1206とを含むセンサが使用される。概して、測定されるパラメータは伝播媒体の特性に作用する。例えば、伝播するエネルギー波の経路内における導波路の長さを変化させる外力または外部条件1212が伝播構造1202に加えられる。長さの変化は伝播波の通過時間の変化に対応する。同様に、伝播構造1202の長さは加えられる力1212に対応する。長さの減少は、伝播構造1202に加えられるより強い力に対応する。逆に、長さの増加は、伝播構造1202に加えられる力1212の低下に対応する。伝播構造1202の長さが測定され、既知の長さ対力関係によって力に変換される。
パルスエコーモードにおいては、トランスデューサ1204は放出デバイスおよび受信デバイスの両方である。パラメータを測定するためのセンサは、第1の位置において伝播構造1202に結合するトランスデューサ1204を含む。反射面は、第2の位置において伝播構造1202に結合される。トランスデューサ1204は、放出モードおよび受信モードを含む2つの動作モードを有する。放出モードにおいては、トランスデューサ1204は第1の位置において伝播構造1202内にエネルギー波を放出する。エネルギー波は第2の位置に伝播し、反射面1206によって反射される。反射エネルギー波は第1の位置に向かって反射され、トランスデューサ1204は、その後、受信モードにおいて、反射エネルギー波に対応する信号を発生させる。
制御回路1218がスイッチ1220を閉じるとパルスエコーモードの測定シーケンスが開始され、発振器1222のデジタル出力1224を増幅器1226の入カに結合する。増幅器1226に提供される1つまたは複数のパルスが単純または複雑な波形を有する1つまたは複数のエネルギー波1210をエネルギー伝播構造または媒体1202内に放出するためのプロセスを開始する。増幅器1226はデジタルドライバ1228および整合ネットワーク1230を含む。一実施形態においては、増幅器1226は発振器1222のデジタル出力をデジタル出力1224と同じ繰り返し数およびトランスデューサ1204を励振するのに十分な振幅を有する電波1232のパルスに変換する。
トランスデューサ1204は電波1232のパルスを同じ繰り返し数のエネルギー波1210のパルスに変換し、それらをエネルギー伝播構造または媒体1202内に放出する。エネルギー波1210のパルスは矢印1214によって示されるように反射面1206に向かってエネルギー伝播構造または媒体1202内を伝播する。反射面1206に達すると、エネルギー波1210は反射面1206によって反射される。反射エネルギー波は矢印1216によって示されるようにトランスデューサ1204に向かって伝播する。反射エネルギー波はトランスデューサ1204によって検出され、同じ繰り返し数を有する電波1234のパルスに変換される。
増幅器1236は前置増幅器1234およびエッジ検出受信機1240を含む。増幅器1236は、閉ループ回路のパルス挙動を維持するために、電波1234のパルスを、十分な継続時間を有するデジタルパルス1242に変換する。制御回路1218はスイッチ1220を開き、スイッチ1244を閉じることによって増幅器1236からのデジタル出力パルス1242に応答する。スイッチ1220を開くと発振器出力1224を増幅器1226の入カから分離する。スイッチ1244を閉じると、増幅器1236の出力を増幅器1226の入カに結合し、エネルギー伝播構造または媒体1202内におけるエネルギーパルスの放出、伝播および検出を持続する閉ループ回路が形成される。
この閉ループ回路においてユニティゲインを維持することにより、トランスデューサ1204に入カされる電波1232とトランスデューサ1204によって出力される電波1234とが小さいが一定のオフセットを有する同相である平衡状態が達成される。上に開示されるように、トランスデューサ1204は反射面1206から反射された反射エネルギー波を検出すると電波1234を出力する。平衡状態においては、整数のエネルギー波1210のパルスがエネルギー伝播構造または媒体1202内を伝播する。
エネルギー伝播構造または媒体1202の物理的特性の動作または変化はエネルギー波1210の通過時間1208を変化させる。通過時間1208は、エネルギー波が伝播構造1202の第1の位置から第2の位置に伝播するための時間と、反射エネルギー波が伝播構造1202の第2の位置から第1の位置に伝播するための時間とを含む。したがって、伝播構造1202の物理的特性の変化は、エネルギー伝播構造または媒体1202内におけるエネルギー波1210の対応する時間変化を生じる。これらエネルギーパルス1210の繰り返し数の時間の変化は閉ループ回路の平衡点および閉ループ回路の動作の繰り返し数を変更する。閉ループ回路は電波1232および電波1234が新しい平衡点に対応するように調整する。エネルギー波1210の繰り返し数および繰り返し数に対する変更はエネルギー伝播構造または媒体1202の物理的特性の変化に相関する。
エネルギー伝播構造1202に外力または外部条件1212による物理的変化を加え、対象の1つまたは複数のパラメータのレベルおよび変化を、後の処理、記憶および表示のためにデジタル化されてもよい信号に翻訳してもよい。動作周波数の、デジタル2進数への翻訳は、対象の物理的パラメータのレベルおよび変化についての情報の通信、追加処理、記憶および表示を容易にする。同様に、閉ループ回路の動作中のエネルギー波1210の周波数およびこの周波数の変化は、エネルギー伝播構造または媒体1202の物理的特性の動作または変化を測定するために使用してもよい。
周波数の測定または伝播調整式発振器の動作の前に、制御論理回路1218はカウントレジスタ1248内に格納されたループカウントをデジタル計数器1250にロードする。第1のデジタルパルス1242は伝播調整式発振器内における閉ループ動作を開始し、制御回路1218に測定動作を開始するよう信号を送る。閉ループ動作の開始時、制御論理回路1218はデジタル計数器1250およびデジタルタイマ1252を有効にする。一実施形態においては、デジタル計数器1250は、エッジ検出受信機1240により出力されたその各デジタルパルスの立ち上がり部分の値を減数する。デジタルタイマ1252はそのクロックパルス1256の各立ち上がり部分の値を増数する。デジタルパルス1242の数が減数されると、デジタル計数器1250内の、ストップ信号をゼロにするための数値がデジタル計数器1250から出力される。ストップ信号はデジタルタイマ1252を無効にし、ロードコマンドをデータレジスタ1254に出力するよう制御回路1218をトリガする。データレジスタ1254は、エネルギー波またはパルスの周期にカウンタ1248の数値を乗じ、クロック周期1256で除算したものに等しい2進数をデジタルタイマ1252からロードする。一定のクロック周期1256によって、データレジスタ1254内の数値は測定動作中に累積されたエネルギー波またはパルスの周期の総計に正比例する。測定動作の継続時間および測定値の分解能を、カウントレジスタ1248において事前設定される数値を増加または減少することによって調整してもよい。
図13は、例示的実施形態による検出モジュール1301の簡略断面図である。検出モジュール(または集合体)は、検出モードに従い構成されかつ動作される場合、正フィードバック閉ループ測定システムとして実行される電気的構成要素および機械的構成要素を含む電気機械式アセンブリである。測定システムは、荷重などの、電気機械式アセンブリに加えられる力を正確に測定することができる。検出モードは、連続モード、パルスモードまたはパルスエコーモードとされ得る。
一実施形態においては、電気的構成要素は、超音波共振器またはトランスデューサ405および406、超音波導波路403、信号処理電子機器1310を含み得るが、これらに限定されない。機械的構成要素は、付勢ばね1332、ばね保持器およびポストおよび荷重台(load platform)1306を含み得るが、これらに限定されない。電気的構成要素および機械的構成要素は、検出モジュール1301内のコヒレントな超音波測定システムとして、および検出モードに従い動作するためにプリント回路基板1336上に相互に組み付けられ得る(inter−assembled)(または集積され得る)。以下により詳細に説明されるように、信号処理電子機器は、超音波共振器またはトランスデューサの動作周波数を制御して高精度の検出を提供するために、伝播調整式発振器(PTO)または位相同期ループ(PLL)を組み込む。さらに、信号処理電子機器は、媒体内を伝播した後のエネルギー波を一貫して検知する検知回路を組み込む。検知により、媒体に結合されてその中を伝播する、新しいエネルギー波の生成が超音波共振器またはトランスデューサによって開始される。媒体内を通るエネルギー波の通過時間の変化が測定され、媒体に加えられる1つまたは複数のパラメータに起因する媒体の材料特性の変化に相関される。
検出モジュール1301は1つまたは複数の集合体401を含み、そのそれぞれが1つまたは複数の超音波共振器405および406を含む。示されるように、導波路403はトランスデューサ(405、406)の間に結合され、かつ耐荷重面または接触面408に固定される。1つの例示的実施形態においては、導波路403内における伝播のために超音波信号が結合される。検出モジュール1301は、検出モジュール401の耐荷重面または接触面408に接触している1つまたは複数の部材1316を有する体、器具または他の物理的システム1318内に配置されるか、検出モジュール401の耐荷重面または接触面408に接触している1つまたは複数の部材1316を有する体、器具または他の物理的システム1318にまたは内に取り付けられるか、検出モジュール401の耐荷重面または接触面408に接触している1つまたは複数の部材1316を有する体、器具または他の物理的システム1318にまたは内に固定される。この配置は、対象のパラメータの、検出モジュール1301内における1つまたは複数の導波路403の長さの変化、または圧縮もしくは伸展への翻訳およびこれら長さの変化の、電気信号への変換を容易にする。これは、広範な用途における体、器具、装置、車両、機器または物理的システム1318の動作に対する最小限の阻害で、データの取り込み、対象のパラメータの測定およびそのデータのデジタル化、したがって、その後、そのデータの、アンテナ1334を通じた外部機器との通信を容易にする。
検出モジュール401は、エネルギー波伝播および測定の3つの動作モードである、反射、一方向および双方向を支持する。これらモードは各個々の用途において適宜使用され得る。一方向モードおよび双方向モードにおいては、選択された超音波共振器またはトランスデューサが超音波のパルスを超音波導波路内に放出するように制御され、1つまたは複数の他の超音波共振器またはトランスデューサが、超音波導波路内の1つまたは複数の特定位置において超音波のパルスの伝播を検出するように制御される。反射またはパルスエコーモードにおいては、単一の超音波またはトランスデューサが超音波のパルスを導波路403内に放出し、その後、選択した特徴部または導波路の終端から反射後のエコー波のパルスを検出する。パルスエコーモードにおいては、パルスのエコーは、放出する超音波共振器またはトランスデューサの動作を放出動作モードと検出動作モードとの間において交互するように制御することによって検出され得る。パルス動作モードおよびパルスエコー動作モードでは、平衡状態において導波路内を伝播する2つ以上のパルスエネルギー波による動作を要してもよい。
物理的システム内または体内の多くの対象のパラメータをエネルギーパルスの通過時間の変化を測定することによって測定することができる。エネルギーパルスの周波数(連続または不連続信号の平均周期の逆数により定義される)およびタイプは、測定の距離、信号が移動する媒体、測定に必要な正確さ、測定に必要な精度、システムによって機能するものの形態的要素、電力制約およびコストなどの要素によって決定される。対象の1つまたは複数の物理的パラメータは、荷重、力、圧力、変位、密度、粘度、局所温度の測定値を含み得るが、これらに限定されない。これらパラメータは、軸または軸の組み合わせに沿った、向き、位置合わせ、方向、または配置、ならびに運動、回転または加速に対する、エネルギーパルスまたは波の伝播時間の変化を、体、器具、装置、車両、機器または他の物理的システム上または内に配置される無線検出モジュールまたはデバイスにより測定することによって評価され得る。
非限定的な例においては、超音波エネルギーのパルスは導波路403内におけるパルスの通過時間を測定するための正確な標識を提供する。概して、超音波信号はヒトの可聴域(例えば>20KHz)を超える周波数を有する音響信号であり、メガヘルツ領域内の周波数を優に含む。一実施形態においては、超音波エネルギーパルスの通過時間の変化は前の状態からの導波路の物理的寸法の差に対応する。例えば、膝関節全体に加えられた力または圧力は導波路403を新しい長さに圧縮し、エネルギーパルスの通過時間を変化する。検出モジュールとして組み込まれ、かつ物理的システムまたは体に挿入されるか結合される場合、これら変化はシステムまたは体の物理的変化に直接相関し、圧力または力として容易に測定され得る。
図14は、例示的な実施形態による、反射モードおよび一方向動作モードを示すための例示的集合体1400である。集合体1400は、1つまたは複数のトランスデューサ1402、1404および1406と、1つまたは複数の導波路1414と、1つまたは複数の任意の反射面1416と、を含む。集合体1400は、反射モードおよび一方向動作モードにおける導波路1414内の超音波1418の伝播を示す。必要であれば、1つまたは複数のインターフェーシング材料1408および1410と併せて、超音波共振器またはトランスデューサ1402および1404のいずれかが超音波1418を導波路1414内に放出するように選択することができる。
一方向モードにおいては、超音波共振器またはトランスデューサのいずれか、例えば1402、が超音波1418を導波路1414内に放出することを可能とすることができる。非放出(non−emitting)超音波共振器またはトランスデューサ1404は超音波共振器またはトランスデューサ1402により放出された超音波1418を検出することを可能とされる。
反射モードでは、超音波1418は、導波路1414の反対端の表面、界面または体から反射後、放出する超音波共振器またはトランスデューサ1402により検出される。このモードにおいては、超音波共振器またはトランスデューサ1402または1404のいずれかが超音波を放出および検出するように選択され得る。超音波を反射するための追加の反射特徴部1416が導波路構造内に追加され得る。これにより、一方向モードと反射モードを組み合わせた動作を支持することができる。この動作モードにおいては、超音波共振器の1つ、例えば共振器1402は、超音波1418を導波路1414内に放出するように制御される。別の超音波共振器またはトランスデューサ1406は、反射特徴部1416による超音波1418の反射後に、放出する超音波共振器1402(またはトランスデューサ)によって放出された超音波1418を検出するように制御される。
図15は、この集合体の双方向動作モードにおける導波路1506内の超音波1510の伝播を示す例示的集合体1500である。このモードにおいては、インターフェーシング材料(interfacing material)1520およびインターフェーシング材料1522に固定された2つの個々の超音波共振器(1502、1504)またはトランスデューサの役割の選択が、必要であれば、定期的に反転される。双方向モードでは、導波路1506内においていずれの方向に伝播する超音波の通過時間も測定することができる。これにより、運動1516中に検出モジュール1508が動作する用途におけるドップラー効果の調整を可能にすることができる。さらに、この動作モードは、この外部運動1516をオフセットするための調整値を算出するためのデータを取り込むことによって、加えられた荷重、力、圧力または変位の正確な測定を確実にする。荷重、圧力または変位の検出時に体、器具、装置、車両、機器または他の物理的システム1514自体が動作しているか移動している状況において利点が提供される。同様に、この機能は、また、体、器具、装置、車両、機器または他の物理的システムが、荷重、力、圧力または変位の検出時に、測定される体、器具、装置、車両、機器または他の物理的システムの部分1512を運動1516させる状況において修正することができる。システム1514の物理的変化の測定値への他の調整は同様の手法で企図され、かつ補償され得る。例えば、システム1514の温度が測定され得ると共に測定値を正規化するために温度対通過時間の関係を有するルックアップテーブルまたは式が使用され得る。当技術分野において公知のように、多くの種類の共通因子を消去するために差分測定法(differential measurement techniques)も使用され得る。
導波路1506の使用は、標準的な部品および製造プロセスを使用し、生物医学的用途の非常に小型の検出モジュール、使い捨てのモジュール、およびデバイスを含む広範なサイズにわたる低コストの検出モジュールおよびデバイスの構築を可能にする。広範なサイズにわたり測定することができる非常に高レベルの測定精度、繰り返し性および分解能を有する検出モジュールおよびデバイスを構成する柔軟性により、検出モジュールおよびデバイスを、広範な医療および非医療用途のための対象の1つまたは複数の物理的パラメータに関するデータに適合し、かつ収集するように作製することを可能にする。
例えば、体、器具、装置、車両、機器または物理的システムの動作を阻害することなく対象の1つまたは複数のパラメータを実時間で検出するために、検出モジュールまたはデバイスは、器具、器械、車両、機器または他の物理的システムならびに動物体および人体を含むが、これらに限定されない広範な物理的システム上または内に配置されても、器具、器械、車両、機器または他の物理的システムならびに動物体および人体を含むが、これらに限定されない広範な物理的システムにまたは内に取り付けられても固定されてもよい。
非医療用途に加えて、広範な潜在的医学的用途の例は、埋め込み型デバイス、埋め込み型デバイス内のモジュール、術中インプラントまたは試行用インサート内のモジュールまたはデバイス、挿入または摂取されたデバイス内のモジュール、着用可能なデバイス内のモジュール、手持型のデバイス内のモジュール、これらの全ての器具、器械、機器または付属品内のモジュール、またはインプラント、試行用インサート、挿入または摂取されたデバイス、着用可能なデバイス、手持型のデバイス、器具、器械、機器内の使い捨て具、またはこれらデバイス、器具、器械または機器の付属品を含んでもよいが、これらに限定されない。血管系、リンパ系、呼吸器系および消化器系全体、ならびに筋、骨、関節および軟組織領域内またはそれらに影響する用途における、個々の関節内の荷重、骨密度、運動、粘度、圧力および局所温度を含むが、これらに限定されない間質液の種々のパラメータを含むが、これらに限定されない動物体または人体内の多くの生理的パラメータが測定されてもよい。例えば、整形外科用途は、膝、股関節部、肩部、肘、手首、足首および脊椎、任意の他の整形外科または筋肉・骨格インプラント、またはこれらの任意の組み合わせの外科的処置のためであるが、これらに限定されない耐荷重装具構成要素または仮のもしくは試行装具構成要素を含んでもよいが、これらに限定されない。
図16は、導波路1606の長さの変化による超音波1614の伝播の変化を示すためのセンサ素子1600の例示的断面図である。概して、パラメータの測定は変位をパラメータに関連付けることによって実現される。一実施形態においては、全測定範囲にわたり必要とされる変位はミクロンで測定される。例えば、外力1608が導波路1606を圧縮し、それによって、導波路1606の長さが変化する。検出回路(図示せず)は、導波路1606の長さの変化を決定するために導波路1606内の超音波信号の伝播特性を測定する。これら長さの変化は、対象のパラメータに対して正比例で変化するため、対象の1つまたは複数のパラメータの変化を電気信号に変換することが可能になる。
示されるように、外力1608が導波路1606を圧縮し、トランスデューサ1602とトランスデューサ1604を距離1610だけ互いに近づける。これは、トランスデューサ1602とトランスデューサ1604との間の導波路1606の長さを導波路の伝播路の距離1612だけ変化させる。動作モードによっては、検出回路は導波路内の超音波の伝播の特性を分析することにより導波路1606の長さの変化を測定する。
図16の1つの解釈は、導波路1606の一端にあるトランスデューサ1602から放出され、導波路1606の他端にあるトランスデューサ1604に伝播する波を示す。この解釈は、導波路1606の動きの効果、したがって、(個々の波の形状または幅を変えずに)導波路1606内において伝播する波の速度、したがって、導波路の各端部にあるトランスデューサ1602とトランスデューサ1604との間の通過時間を含む。この解釈には、逆方向に伝播する波に対する逆の効果をさらに含み、逆の効果は、導波路の速度を推定し、両方向に伝播する波の通過時間を平均化することによりそれを除去するために評価される。
対象の1つまたは複数のパラメータの変化は伝播媒体内のエネルギーパルスまたは波の通過時間の変化を測定することによって測定される。対象の1つまたは複数のパラメータの変化の閉ループ測定は弾性エネルギー伝播構造の伝播特性に応じてエネルギーパルスの繰り返し数またはエネルギー波の周波数を調整することによって実現される。
連続波動作モードでは、位相検出器(図示せず)は周波数および導波路1606内の共振超音波の周波数の変化を評価する。以下に記載されるように、連続波(CW)モードにおける正フィードバック閉ループ回路動作は、導波路1606内の超音波1614の周波数を調整し、導波路1606内において同じ数または整数の周期の超音波を維持する。CW動作は、導波路の長さの変化速度がそれほど急激でなく、伝播調整式発振器(PTO)の周波数が応答し得る前に四分の一波長を超える変化が起こる限りは持続する。この制限は、PTOの性能と位相同期ループ(PLL)の性能との間の有利な相違の1つを例示するものである。トランスデューサが、例えば、2.4MHzの超音波を生成すると想定すると、空気中波長(マイクロ秒あたり343ミクロンの速度を想定する)は約143μであるが、導波路内の波長は制限されない空気(unrestricted air)中にある場合よりも長くてもよい。
パルス動作モードにおいては、位相検出器は、超音波パルスのトランスデューサ1602による伝送時、およびトランスデューサ1604における受信時との間の飛行時間(TOF:time of flight)を測定する。飛行時間は導波路の伝播路の長さを決定し、したがって、導波路1606の長さの変化を明らかにする。別の配置においては、導波路1606の長さの変化を判断するために飛行時間測定値の差(または位相差)が使用され得る。パルスは、1つまたは複数の波のパルスを含む。波は等しい振幅および周波数(矩形波パルス)を有してもよく、またはそれらは、異なる振幅、例えば、崩壊振幅(decaying amplitude)(台形パルス)またはいくつかの他の複合波形を有してもよい。PTOは導波路内を伝播するパルスの立ち上がり部分の位相を一定に維持している。パルスモード動作では、PTOは、各パルスの第1の波の立ち上がり部分をCWモードで使用されるゼロ交差受信機回路よりもむしろエッジ検出受信機で検出する。
図18は、一実施形態例による医療検出システム1800のブロック図を示す。医療検出システムは、図4、図6、図8および図12に記載された医療パラメータを測定するためのシステムと同様に動作する。システム1800のセンサはキャパシタ1802である。キャパシタ1802は測定される医療パラメータによって変化する可変キャパシタである。キャパシタ1802の静電容量値はパラメータの値に相関する。第1の例では、測定されるパラメータは温度である。キャパシタ1802の静電容量は測定される温度に結合される。「温度」におけるキャパシタ1802の静電容量はシステム1800によって正確に測定することができ、かつ温度値と再度相関され得る。パラメータの別の例は力、圧力または荷重である。一実施形態においては、力、圧力または荷重はキャパシタ1802に加えられ得る。「力、圧力または荷重」におけるキャパシタ1802の静電容量はシステム1800によって測定され、力、圧力または荷重値に再度相関される。いずれの例においても、静電容量はパラメータ測定範囲全体にわたり公知の手法によって変化する。概して、パラメータ測定範囲全体にわたる静電容量の変化は規則的に起こる。パラメータシステム1800内の静電容量変化の不規則性は、任意の静電容量変化の不規則性を説明するために、または測定精度をさらに向上するためにパラメータ測定範囲全体にわたり校正され得る。
システム1800は、キャパシタ1802と、信号発生器1804と、デジタルクロック1806と、デジタル計数器1808と、デジタルタイマ1810と、カウンタレジスタ1812と、データレジスタ1814と、を含む。信号発生器1804はキャパシタ1802に結合され、信号を提供するための出力を有する。信号発生器1804は、キャパシタ1802の静電容量に対応する信号1816または波形を発生させる。キャパシタ1802の静電容量が変化するにつれて信号1816は変化する。例えば、信号1816の測定サイクルの時間周期はキャパシタ1802の静電容量に関連し得る。
一実施形態においては、信号発生器1804は発振器である。デジタルクロック1806がデジタル計数器1808およびデジタルタイマ1810に結合されている。デジタルクロック1806は、測定シーケンス中、デジタル計数器1808およびデジタルタイマ1810にクロック信号を提供する。デジタル計数器1808はカウンタレジスタ1812に結合し、かつ信号発生器1804の出力に結合する。カウンタレジスタ1812は測定シーケンスに対応する既定カウントを提供する。概して、測定精度は既定カウントを上げることによって増加され得る。デジタル計数器1808はカウンタレジスタ1812から既定カウントを受信する。測定シーケンスの開始後、デジタル計数器は信号発生器1804の出力における測定サイクルの数を既定カウントと比較する。測定サイクルのカウントが既定カウントに等しい場合、測定シーケンスは終了する。一実施形態においては、信号発生器1804による各測定サイクルの出力は、測定シーケンスの終了を意味するゼロカウントに達するまでデジタル計数器1808を減数させる。デジタルタイマ1810は測定シーケンスの時間周期を測定する。換言すると、デジタルタイマ1810は、信号発生器1804が既定カウントの測定サイクルを出力するのに必要な所要時間を測定する。データレジスタ1814はデジタルタイマ1810に結合し、測定シーケンスの時間周期または所要時間に対応する値を格納する。測定シーケンスの所要時間はキャパシタ1802の統計的に多数の測定に対応する。所要時間は、既定カウントの測定サイクルまたは静電容量の測定値の総計に対応する。データレジスタ1814内に格納された値は、所要時間の、力、圧力または荷重値への翻訳とされ得る。測定シーケンスの時間周期中、測定されるパラメータは安定した静電容量値を生成すべきである。
図19は、一実施形態例による、キャパシタ1802に対応する信号を発生させる発振器1900を示す。発振器1900は図18の信号発生器1804に対応する。発振器1900は、図18の信号1816を発生させるために使用される回路の一例である。発振器1900は、電流源1902と、電流源1904と、比較器1906と、スイッチ1908と、スイッチ1910と、スイッチ制御部1912と、を含む。キャパシタ1802は、電流源1902および電流源1904に結合される。電流源1902および電流源1904はそれぞれ、キャパシタ1802からの電流を吐き出しかつ吸い込む。電流源1902は電流Iを吐き出す。電流源1904は、電流2Iまたは電流源1902によって提供される電流の2倍を吸い込む。スイッチ1910は、電流源1904がアースに結合されている場合、電流を吸い込むことを可能にする。比較器1906は、キャパシタ1802に結合される正入カと、スイッチ1908に結合される負入カと、出力と、を含む。比較器1906の出力はスイッチ制御部1912に結合する。スイッチ制御部1912は、スイッチ位置を制御するためにスイッチ1908およびスイッチ1910に結合する。比較器1906の出力はスイッチ制御部1912への制御信号である。
概して、電流源1902および電流源1904はそれぞれ、キャパシタ1802を充電および放電する。比較器1906の出力がロー状態の場合、キャパシタ1802は電流源1902によって充電される。スイッチ制御部1912はスイッチ1910を開き、比較器1906の出力がロー状態に移行すると、基準電圧Vrefはスイッチ1908によって比較器1906の負入カに結合される。電流源1902からの電流Iが静電容量を充電するにつれてキャパシタ1802の電圧は上昇する。キャパシタの電圧の変化のスルーレートはキャパシタ1802の静電容量および電流Iに関連する。比較器1906の出力は、キャパシタ1802の電圧が基準電圧Vref以上である場合、ロー状態からハイ状態に移行する。スイッチ制御部1912はスイッチ1910を閉じ、基準電圧Vref/2は、比較器1906の出力がハイ状態に移行すると、スイッチ1908によって比較器1906の負入カに結合される。電流源1904のシンク電流は2I、すなわち電流源1902によって吐き出される電流の2倍である。電流源1904はキャパシタ1802からの電流Iおよび電流源1902からの同等の電流を吸い込む。電荷が除去されるにつれてキャパシタ1802の電圧は降下する。比較器の出力は、キャパシタの電圧が基準電圧Vref/2以下である場合にハイ状態からロー状態に変化する。この例では、キャパシタ1802の電圧は基準電圧Vrefと基準電圧Vref/2との間において移行する。キャパシタ電圧の立ち上がり部分および立ち下がり部分のスルーレートは対称である。シーケンスが停止されるまで繰り返すのこぎり歯パターンが発振器1900によって発生する。測定サイクルは単一の三角形の波形を発生させるための時間に対応する。三角形の波形は、キャパシタ1802の電圧をVref/2からVrefに、およびVrefからVref/2に移行するための時間を含む。測定サイクルはキャパシタ1802の静電容量に関連することに留意されたい。キャパシタ1802の静電容量を増加すると、同様に測定サイクルが増加する。逆に、キャパシタ1802の静電容量を減少すると、同様に測定サイクルが減少する。比較器1906の出力における信号は、また、信号1816に対応する。したがって、発振器1900によって出力された信号とキャパシタ1802の静電容量に関係が形成される。
図1を簡潔に参照すると、センサ100は筋肉・骨格系に結合される。この例では、膝関節装具が示され、センサ100は膝領域に結合される。センサ100は筋肉・骨格系に結合されるキャパシタ1802とされ得る。キャパシタ1802は力、圧力または荷重を測定するために膝関節装具の関節面に結合され得る。一実施形態においては、関節面に加えられる力、圧力または荷重は、キャパシタ1802に結合され、それにより、関節面に加えられる力、圧力または荷重によって静電容量が変化する。膝関節が示されるが、図18のキャパシタ1802およびシステム1800は、キャパシタ1802の静電容量に作用するパラメータを測定するために、医療機器、ツール、器具および装具構成要素において使用され得る。同様に、膝関節が例として記載されているが、キャパシタ1802は、加えられた力、圧力または荷重を測定するために、筋肉・骨格医療機器、ツール、器具および装具構成要素に組み込むことができる。さらに、図18のキャパシタ1802およびシステム1800は、膝に限定されず、骨、組織、肩部、足首、股関節部、膝、脊椎、肘、手および足などのパラメータ測定用の装具構成要素に組み込むことができる。
図18および図19を再度参照すると、信号発生器1804はキャパシタ1802の静電容量に対応する反復波形を出力する。発振器1900は、反復波形を変動するまたは発生させる信号発生器1804の実装である。この例では、発振器1900は、対称な立ち上がり部分および立ち下がり部分を有する反復するのこぎり波形を出力する。波形の測定サイクルはVref/2からVrefへの移行および再度Vref/2への移行に必要な時間である。測定サイクルの時間はキャパシタの静電容量に対応する。各測定サイクルの時間は、測定シーケンス中、キャパシタ1802の静電容量が一定に留まる場合は実質的に等しい。一実施形態においては、カウンタレジスタ1812に既定カウントがロードされる。測定シーケンスは波形の既定点において開始され得る。例えば、測定シーケンスを開始するための波形を開始するための電圧Vref/2が検出され得る。その後、電圧Vref/2が検出されるごとに、デジタル計数器1808は減数される。デジタル計数器がゼロに減数すると測定シーケンスは終了する。デジタルタイマ1810は、のこぎり波形の既定カウントの測定サイクルに対応する測定シーケンスの所要時間を測定する。代替的に、比較器1906の出力は発振または反復波形として使用され得る。比較器1906の出力の立ち上がりまたは立ち下がり部分は、デジタル計数器1808を始動および減数するために使用され得る。測定シーケンスは、測定されるパラメータおよびそれに関係してキャパシタ1802の静電容量が実質的に一定である周期中に開始されるように構成される。プロセスでは、静電容量1802を既定カウントに等しい回数測定する。測定値のばらつきは多数の既定カウントを有することによって平均化することができる。プロセスでは、また、静電容量の非常に小さな変化を非常に正確に測定することを可能にする。測定の精度は測定サイクルの既定カウントを上げることによって増加され得る。一実施形態においては、測定された静電容量は測定された所要時間および既定カウントの測定サイクルによって決定された平均値である。測定された静電容量は力、圧力または荷重などの測定されるパラメータに翻訳され得る。データレジスタ1814は、パラメータ測定値またはパラメータ測定値に対応する数値を格納するように構成され得る。
図20は、力、圧力または荷重を測定するための方法2000を開示する。方法の記載は図1、4、6、8、12、13および19に関連するため、それらを参考にすることができる。本明細書中に開示される例では、装具構成要素実装を使用するが、方法2000は任意の他の適切なシステムまたはデバイスにおいて実施することができる。方法2000のステップは開示される順序に限定されない。さらに、方法2000は、また、示されるよりもより多数のステップまたはより少数のステップを有することができる。
ステップ2002では、キャパシタに力、圧力または荷重が加えられる。力、圧力または荷重の変化はキャパシタの静電容量の対応する変化を生成する。ステップ2004では、反復信号が発生される。反復信号の単一波形の時間周期は測定サイクルである。測定サイクルの時間周期はキャパシタの静電容量に対応する。ステップ2006では、波形または信号が既定回数反復される。測定シーケンスは既定回数の反復波形を含む。ステップ2008では、測定シーケンスの所要時間が測定される。所要時間は既定の数の波形を発生させるのに必要な時間である。ステップ2010では、測定シーケンス中、力、圧力または荷重は維持される。概して、キャパシタに結合される力、圧力または荷重は、測定シーケンス中、一定とすべきである。ステップ2012では、測定された所要時間は力、圧力または荷重の測定値に相関される。通常、キャパシタに加えられる力、圧力または荷重の測定範囲は既知である。キャパシタまたは使用されているキャパシタのタイプは、使用前、測定範囲全体にわたり既知の力、圧力および荷重を使用することにより特徴付けられ得る。したがって、静電容量と、力、圧力または荷重との間の相関は既知である。例えば、静電容量と、力、圧力または荷重との間の関係はルックアップテーブル内または数学的表現によって記憶され得る。一実施形態においては、キャパシタは測定範囲全体にわたりほぼ線形に応答する。キャパシタの平均静電容量は、測定シーケンス中、既定の数の波形を発生させるために測定された所要時間を使用して計算され得る。力、圧力または荷重は、その後、前述の特徴付け(characterization)から決定され得る。キャパシタの最終試験時に校正技法を使用することによってさらなる改良が実現され得る。キャパシタ上の校正データは力、圧力または荷重の計算において測定誤差をさらに低減するために使用され得る。ステップ2014では、測定精度を上昇させるために既定の数の波形が増加され得る。増加された数の既定数の波形にわたり力、圧力または荷重が実質的に一定である場合、測定分解能はこの技法によって増加され得る。さらに、力、圧力または荷重測定範囲にわたり静電容量変化が比較的小さい場合、分解能は測定を支持する。
図21は、一実施形態例によるキャパシタ2100を示す。概して、医療環境において使用するためのセンサは正確であり、信頼性が高く、低コストであり、用途に適した形態的要素を有する。電気信号を生成するセンサは、測定データを受信、分析および提供するために電子回路への有線または無線相互接続を必要とする。キャパシタ2100は上記の要求事項を満たす。キャパシタ2100は、様々な医療パラメータを測定するための医療機器、ツールおよび器具において使用され得る。この例では、キャパシタ2100は、筋肉・骨格系のパラメータを測定するためのデバイス、ツール、機器および装具構成要素に組み込むことができる。キャパシタ2100は、取り付けおよび取り付けられた構造の長期測定を支持する術中および埋め込み型装具構成要素に好適である。
キャパシタ2100は、誘電層2102と、誘電層2104と、誘電層2106とを含む。キャパシタ2100は、機械的に直列の2つを超えるキャパシタを含む。一実施形態においては、キャパシタ2100は、機械的直列の3つのキャパシタを含む。図22を簡潔に参照すると、図21のキャパシタ2100は、キャパシタ2206、2204および2208を含む。キャパシタ2206、2204および2208は機械的に直列で結合されている。圧縮力、圧力または荷重2202が、直列に結合されたキャパシタ2206、2204、および2208に加えられる。図21を再度参照すると、第1のキャパシタは、導電性領域2108と、誘電層2102と、導電性領域2110とを含む。第1のキャパシタは図22のキャパシタ2204に対応する。導電性領域2108および導電性領域2110は所定の面積を有し、所定の面積、誘電層2102の誘電率および誘電層2102の厚さがキャパシタ2204の静電容量を決定する。一実施形態においては、導電性層2108が導電性層2110の上にあり、導電性層2110と実質的に等しい面積を有し、かつ導電性層2110と整列している。
第2のキャパシタは、導電性領域2108と、誘電層2104と、導電性領域2112とを含む。第2のキャパシタは図22のキャパシタ2206に対応する。一実施形態においては、導電性領域2112は導電性領域2108の上にあり、導電性領域2108とほぼ等しい面積を有し、導電性領域2108と整列している。導電性領域2112の上にある荷重パッド2114が形成される。荷重パッド2114はキャパシタ2100に加えられる力、圧力または荷重による導電性層2112の破損を保護および防止する。
第3のキャパシタは、導電性領域2110と、誘電層2106と、導電性層2116とを含む。第3のキャパシタは図22のキャパシタ2208に対応する。一実施形態においては、導電性領域2116は導電性領域2110の上にあり、導電性領域2110とほぼ等しい面積を有し、導電性領域2110と整列している。導電性領域2116の上にある荷重パッド2118が形成される。荷重パッド2118はキャパシタ2100に加えられる力、圧力または荷重による導電性層2116の破損を保護および防止する。概して、荷重パッド2114および荷重パッド2118は非圧縮性の材料を含む。荷重パッド2114および荷重パッド2218は、金属、複合材料または高分子を含み得る。
図18に開示されるようにキャパシタ2100は電子回路に結合される。キャパシタ2100は並列の2つ以上のキャパシタを含み得る。一実施形態においては、導電性領域2108および導電性領域2110は共同で結合され得る。この例では、導電性領域2108および導電性領域2110は導電性のビア2120によって共同で結合される。導電性領域2112および導電性領域2116は、また、共同で結合されるか、共通の電圧電位に結合される。一実施形態においては、導電性領域2112および導電性領域2116はアースに結合され、シールドを形成する。図23を簡潔に参照すると、キャパシタ2100はキャパシタ2206およびキャパシタ2208を含む。キャパシタ2206とキャパシタ2208は電気的に並列で結合され、アースに結合された端子と、共同で結合された導電性領域2108および導電性領域2110を含む端子と、を有する。キャパシタ2204の導電性領域は互いに短絡されているため、キャパシタ2204はキャパシタ2100の電気等価回路には示されない。図21を再度参照すると、実質的に等しい静電容量を有するキャパシタ2206およびキャパシタ2208が形成され得る。したがって、キャパシタ2100は、機械的に直列の2つ以上のキャパシタを含み、かつ電気的に並列で結合された2つ以上のキャパシタを含む。
この例では、キャパシタ2100は筋肉・骨格系用の力、圧力、または荷重センサとして使用され得る。キャパシタ2100は、筋肉・骨格系によって加えられる力、圧力または荷重を測定するために装具構成要素に組み込むことができる。測定値は、装具構成要素の取り付けを支持し、および埋め込み型システムの長期データ収集のために使用され得る。キャパシタ2100のサイズおよび形状は生物学的検出用途に有利である。キャパシタ2100の形態的要素は非常に小さく作製され得る。さらに、キャパシタ2100は非常に薄く作製することができ、従来のセンサでは達しえない体の領域における組み込みおよび配置を支持する。2.5ミリメートル未満、および通常、1ミリメートル未満の厚さのキャパシタ2100が製造され得る。
一実施形態においては、キャパシタ2100を形成するために多層のインターコネクトが使用され得る。多層インターコネクトは交互する導電性層および誘電層を含む。導電性層は導電性領域およびインターコネクトを形成するためにパターニングされ得る。多層インターコネクトに力、圧力または荷重を加えると誘電層が変形し得る。小さな変形では、刺激が除去されるとインターコネクトの誘電層は弾性的に跳ね返ることが認められている。誘電層の変形はキャパシタ2100の誘電体厚さおよびその静電容量値を変化する。図18のシステム1800は、静電容量の小さな変化の高分解能を支持し、キャパシタ2100の使用を実施可能とする。
概して、インターコネクトの誘電体材料は、ポリマー、ポリエステル、アラミド、接着剤、シリコン、ガラスまたは複合材料を含み得る。キャパシタ2100はポリイミドを含む少なくとも1つの誘電層を含む。1つの例では、誘電層2102、2104および2106はポリイミドを含む。代替的に、層2102はキャパシタ2206とキャパシタ2208を互いに結合する接着層とされ得る。試験下では、ポリイミドは、荷重下において、装具構成要素の荷重測定値に典型的な値に弾性的に圧縮することが示された。概して、キャパシタ2100は、誘電体の弾性領域内における動作を維持するため各キャパシタの厚さの20%未満に圧縮する。一実施形態においては、キャパシタ2100の誘電体は動作範囲全体にわたり誘電体厚さの10%未満圧縮される。例えば、ポリイミド層は約0.0254ミリメートルの厚さとされ得る。膝装具用途の全荷重測定範囲にわたるポリイミドの圧縮は0.0022ミリメートル未満とされ得る。インターコネクトは可撓性とすることができ、非平面領域上の配置を可能にする。さらに、必要であれば、キャパシタ2100は様々な表面形状に合致するものとすることができる。代替的に、キャパシタ2100は曲がりもせず合致することもない圧縮性構造として形成され得る。
前述のように、キャパシタ2100は図18に開示されるもののような電子回路に結合されている。キャパシタ2100を形成するためにインターコネクトを使用すると、キャパシタ2100を電子回路に結合するインターコネクトと一体化することができるというさらなる利点を提供する。これにより、それらは1つの構造として形成されるため、センサとインターコネクトとの間の接続が排除される。一体化されたキャパシタとインターコネクトにより、また、センサの信頼度が増加し、コストが低下し、組み立てが簡略化する。
図24を簡潔に参照すると、上面図が誘電層2104の上に重ねて形成された導電性領域2112を示す。概して、力、圧力または荷重はセンサキャパシタの導電性領域に均一に加えられる。荷重パッドは、全導電性領域にわたる力、圧力または荷重の分配を支持することができる。導電性領域の面積は力、圧力または荷重を加える範囲全体にわたり誘電体材料の弾性圧縮を維持するのに十分なサイズのものである。単位面積当たりの力、圧力または荷重を低減するために導電性領域の面積を増加することができ、それによって、誘電体の圧縮を測定範囲全体にわたり減少させ、信頼度を向上させる。膝装具構成要素例においては、導電性領域2112は円形を有し得る。導電性領域2112の面積は測定される力、圧力または荷重範囲の関数である。膝用途のセンサにおいては、導電性領域2112の直径は約2.0ミリメートルである。破線は導電性領域2112の下にある導電性領域2108の周縁部を示す。この例では、導電性領域2108は約2.2ミリメートルの直径を有する。センサのうち1つより多くを膝の装具構成要素内に取り付けることができる。インターコネクト2124は導電性領域2112に結合される。インターコネクト2124は導電性領域2112と同じ層に形成され得る。図21を再度参照すると、導電性領域2116は導電性領域2112と同様の円形を有し得る。膝用途のセンサにおいては導電性領域2116の直径は約2.0ミリメートルである。導電性領域2112の上にある導電性領域2110は直径約2.2ミリメートルである。インターコネクト2126はポリイミド層2106の上に重ねて形成することができ、かつ導電性領域2116に結合することができる。
この例では、筋肉・骨格系によって力、圧力または荷重が荷重パッド2114および荷重パッド2118に加えられる。力、圧力または荷重は、キャパシタ2100を含む機械的に直列のキャパシタ2206、2204および2208を圧縮する。誘電層2202、2204および2206は力、圧力または荷重下で圧縮する。キャパシタ2204の極板は共同で結合され、キャパシタ2100の静電容量に寄与しない。キャパシタ2100の構造は寄生キャパシタンスの効果を最小にする。導電性領域2112および導電性領域2116はアースに結合されている。導電性領域2112および導電性領域2116はそれぞれ導電性領域2108および導電性領域2110の上および下にあり、それによって、アースシールドとして機能する。シールドは、測定精度に作用するおそれのある、起こり得る導電性領域2112および導電性領域2116との外部容量相互作用(external capacitive interaction)を最小にするまたは遮断する。
図25を簡潔に参照すると、一実施形態例におけるインターコネクト2122、2124および2126の断面図が提供される。本明細書中で上に記載したように、導電性領域2108および導電性領域2110はビア2120によって共同で結合される。インターコネクト2122は導電性領域2108および導電性領域2110に結合する。インターコネクト2122、2124および2126はキャパシタ2100を図18のシステム1800に結合することができる。インターコネクト2124およびインターコネクト2126はアースに結合されている。インターコネクト2124およびインターコネクト2126はインターコネクト2122の上および下にあり、それによって、シールドとして機能する。一実施形態においては、インターコネクト2122はインターコネクト2124およびインターコネクト2126よりも小さい幅を有する。インターコネクト2124およびインターコネクト2126はインターコネクト2122との潜在的な容量相互作用を遮蔽および遮断する。これはインターコネクト2122が図18のシステム1800にルーティングされ、かつ結合されるためである。
図21を再度参照すると、キャパシタ2100に関連する寄生キャパシタンスはパラメータ測定範囲全体にわたり実質的に一定にとどまる。第1の寄生キャパシタンスは、インターコネクト2124と、誘電層2104と、インターコネクト2122とを含む。第2の寄生キャパシタンスは、インターコネクト2126と、誘電層2106と、インターコネクト2122とを含む。第1の寄生キャパシタンスと第2の寄生キャパシタンスとを合わせてキャパシタ2100の静電容量を増加する。力、圧力または荷重は第1の寄生キャパシタンスおよび第2の寄生キャパシタンスに加えられないため、測定中は一定のままである。したがって、本明細書中に開示される方法を使用し、力、圧力または荷重範囲にわたるキャパシタ2100の静電容量の変化をシステム1800により測定することができ、寄生キャパシタンスの変化による二次的影響が最小になる。
図26は、力、圧力または荷重を測定するための方法2600を開示する。方法の記載は、図1、4、6、8、12、13、19および21〜25に関連するため、それらを参考にすることができる。方法2600のステップは開示される順序に限定されない。さらに、方法2600は、また、示されるよりもより多数のステップまたはより少数のステップを有することができる。ステップ2602では、直列の2つ以上のキャパシタが圧縮される。センサキャパシタは、直列で結合された2つ以上のキャパシタを含み得る。力、圧力または荷重が直列に結合されたキャパシタ全体に加えられる。ステップ2604では、並列の2つ以上のキャパシタの静電容量が測定される。センサキャパシタは、電気的に結合された並列の2つ以上のキャパシタを含み得る。
ステップ2606では、並列の2つ以上のキャパシタの静電容量に対応する測定サイクルを有する反復信号が発生される。一実施形態においては、並列の2つ以上のキャパシタが信号発生器回路に結合される。並列の2つ以上のキャパシタに結合した信号発生器回路は発振するように構成される。反復信号は反復測定サイクルを含む。信号発生器によって発生した各測定サイクルの時間周期は並列の2つ以上のキャパシタの静電容量に対応する。
ステップ2608では、反復信号の所要時間が測定される。一実施形態においては、反復信号が既定回数反復される。換言すると、測定サイクルは既定回数反復され、測定サイクルの既定数の所要時間が測定される。ステップ2610では、所要時間は並列の2つ以上のキャパシタの静電容量に相関する。本明細書中に開示されるように、並列の2つ以上のキャパシタの静電容量は加えられた力、圧力または荷重に対応する。加えられた力、圧力または荷重が実質的に一定である間に多数の測定サイクルを測定すると、静電容量と、力、圧力または荷重との間の正確な相関が支持される。
図27は、一実施形態例による、複数のセンサを有する医療機器を示す。概して、本発明の実施形態は物理的パラメータの測定に広く関連する。医療機器は、医療パラメータを測定するように構成され、この例では、筋肉・骨格系の測定に関連する電子機械システムを含む。物理的システム内または体内における多くの対象の物理的パラメータはサイズ、コスト、時間または測定の精度のために目下測定されていない。例えば、膝、股関節部、脊椎、肩部および足首インプラントなどの関節インプラントは、手術中に得られた原位置での測定値により大きく利するものであり、装具システムの取り付けおよび微調整において外科医を補助する。測定値は最適な取り付けを確実とするために外科医の主観的フィードバックを補完することができる。最終装具構成要素内の永久センサは使用中のインプラントの状態に関する周期的データを提供することができる。術中的および長期に回収されたデータは外科的取り付けのためのパラメータ範囲を決定するために、および将来の装具構成要素を向上するために使用され得る。
対象の1つまたは複数の物理的パラメータは、荷重、力、圧力、配置、変位、密度、粘度、pH、偽性加速度(spurious acceleration)および局所温度の測定を含み得るが、これらに限定されない。しばしば、定性的評価を実施するために測定されたパラメータが別の測定されたパラメータと共に使用される。関節再建では、筋肉・骨格系の一部が装具構成要素を受け入れる準備がなされている。準備には、1つまたは複数の装具と嵌合するための骨切断または骨整形を含む。パラメータは、体、器具、装置、車両、機器または他の物理的システム上または内に配置される無線検出モジュールまたはデバイスによる、軸または軸の組み合わせに沿った配向、位置合わせ、方向、変位または配置ならびに運動、回転または加速に対して評価され得る。
本発明においては、パラメータは、i)センサおよび接触面を支持する封入構造と、ii)電源、検出素子、加速度計、アンテナ、測定シーケンスを制御および処理する電子回路、および無線通信回路を組み込む電子的集合体と、を含む一体型の無線検出モジュールまたはデバイスによって測定される。無線検出モジュールまたはデバイスは、対象のパラメータの実時間検出および通信のための、器具、機器、デバイス、装置、車両、機器または他の物理的システム、ならびに動物および人体を含むが、これらに限定されない広範な物理的システム上または内に配置することも、それらと係合することも、それらにまたは内に取り付けるまたは固定することもできる。
パラメータによって変化する静電容量を有するキャパシタなどの、パラメータを間接的に測定することができるセンサが開示される。静電容量または関連因子(例えば、時間)が測定され、その後、パラメータに変換される。測定システムは、人体の動力学と互換性のある形態的要素、電力使用および材料を有する。対象の1つまたは複数の物理的パラメータは、いくつかの例を挙げると、荷重、力、圧力、変位、密度、粘度、pH、距離、体積、疼痛、感染、偽性加速度および局所温度の測定を含み得るが、これらに限定されない。これらパラメータは、体、器具、装置、車両、機器または他の物理的システム上または内に配置される無線検出モジュールまたはデバイスによる軸または軸の組み合わせに沿ったセンサの測定、位置合わせ、案内または配置ならびに運動、回転または加速によって評価され得る。
この例では、インサート2700は、筋肉・骨格系のパラメータを測定するための医療センサを有するデバイスを示す。装具インサート2700は、筋肉・骨格系の結合を可能にする関節置換システムの構成要素である。装具インサート2700は関節置換システムの摩耗構成要素である。装具インサート2700は、関節の結合を可能にする1つまたは複数の関節面を有する。関節置換においては、装具構成要素はインサート2700の関節面に結合する表面を有する。関節面は低摩擦であり、状況または姿勢に基づき自然に生じる荷重を吸収することができる。結合された関節(articulating joint)の表面間の接触域は可動域にわたって変化し得る。関節の動作中に関節面に接触する装具構成要素表面によって生成される摩擦によりインサート2700の関節面は経時的に摩耗する。靭帯、筋および腱は関節を結合させ、関節を可動域全体にわたり作動させる。
インサート2700は、電源2702と、電子回路2704と、荷重パッド2722と、伝送機能(transmit capability)と、装具構成要素の本体内のセンサと、を有する能動デバイスである。電子回路2704は図18および図19の回路を含む。この例では、センサは荷重パッド2722の下にある。センサは、電子回路2704に結合されたインターコネクト2718内に形成されるキャパシタである。インターコネクト2718は可撓性とされ得ると共に非平面形状に合致し得る。一実施形態においては、インサート2700は術中的に使用され、筋肉・骨格系のパラメータを測定し、1つまたは複数の装具構成要素の取り付けを補助する。以下に開示されるように、荷重および平衡性などのパラメータの動作および測定を示すためにインサート2700の動作は膝インサートとして示される。図1を簡潔に参照すると、一般的な膝関節置換システムは、インサートと、大腿骨装具構成要素104と、脛骨装具構成要素106とを含む。インサート内に収容されるが、センサキャパシタは、また、大腿骨装具構成要素104もしくは脛骨装具構成要素106内に収容され得る、またはそれらに結合され得る。図27を再度参照すると、インサート2700は、股関節部、脊椎、肩部、足首およびその他などの関節面を有する他の人工関節における使用に適応させることができる。代替的に、インサート2700はインプラントの寿命全体にわたりパラメータ測定値を得るために使用され得る永久能動デバイスとされ得る。検出システムは装具構成要素例に限定されない。システムは、また、医療ツール、デバイスおよび機器に実装され得る。
インサート2700は寸法が受動最終装具インサートに実質的に等しい。実質的に等しい寸法とは、インサート2700が脛骨装具構成要素内の受動最終装具インサートに実質的に等しく合致することを可能にするサイズおよび形状に相当する。術中例においては、インサート2700を試行用インサートとして使用することにより測定された荷重および平衡性は、同等条件下で最終受動インサートにより認められる荷重および平衡性に実質的に等しい。術中測定用のインサート2700は形状が異なり得るか、手術中、試行物に利することのない特徴が欠けていることに留意されたい。インサート2700は最終インサートの可動域に等しい可動域全体にわたり位置的に安定とすべきである。
インサート2700の外部構造は2つの構成要素を含む。示される実施形態では、インサート2700は、支持構造2706および支持構造2708を含む。支持構造2706および支持構造2708は、筋肉・骨格系によって荷重がかけられる主要支持表面を有する。前述のように、インサート2700は、全般的な概念を示すために膝インサートとして示されるが、この構成に限定されるものではない。支持構造2706は関節面2710および関節面2712を有する。大腿骨装具構成要素の顆は表面2710および表面2712と結合する。膝関節装具にかかる荷重は関節面2710および関節面2712の接触域全体に分配される。支持構造2708は耐荷重面2724を有する。耐荷重面2724は脛骨装具構成要素に結合する。力、圧力または荷重を分配するためのより大きな表面積により、耐荷重面2724にかかる荷重は関節面に加えられるものよりもかなり小さい。
支持構造2706の領域2714には可動域にわたり無荷重または軽荷重がかけられている。領域2714は関節面2710と関節面2712との間に配置されている。関節面2710および関節面2712上には摩耗を最小にしつつ関節の性能を維持するために最小接触域(minimum area of contact)があることに留意されたい。接触位置および接触域のサイズは筋肉・骨格系の位置によって変更することができる。接触域が可動域全体にわたり関節面2710および関節面2712内の所定の領域範囲外にある場合は問題が生じるおそれがある。一実施形態においては、関節面2710および関節面2712に荷重が加えられる位置は検出システムによって決定され得る。ここで外科医は荷重が加えられる場所の定量的情報を有するためこれは有利である。外科医は、その後、各補正の結果を追跡するために検出システムからの実時間フィードバックを使用して、加えられた荷重の位置を所定の領域内において移動するという調整を行うことができる。
支持構造2708は、インサート2700の各関節面にかかる荷重を測定するセンサおよび電子回路2704を支持するために形成され得る。荷重板2716が関節面2710の下にある。同様に、荷重板2720が関節面2712の下にある。インターコネクト2718が荷重板2720の下にある。キャパシタセンサは支持構造2708内の三角形形状のインターコネクト2718の頂点において荷重パッド2722の下にある。一実施形態においては、キャパシタセンサはインターコネクト2718内に形成される。インターコネクト2718はセンサを電子回路2704に結合する。測定範囲全体にわたり精度を確保するために、寄生キャパシタンスおよび結合を最小にするシールドがインターコネクト2718内に形成される。荷重板2720は荷重パッド2722を介してキャパシタセンサに結合する。荷重板2720は関節面2712に加えられた荷重をインサート2700内の所定の位置においてキャパシタセンサに分配する。関節面2712の下にある3つのセンサからの測定値はインサート2700に加えられた荷重の位置を判断するために使用され得る。関節面2710の下にある荷重板2716は同様に動作する。示される荷重板2716および荷重板2720の表面は平坦であるが、それらは非平面とすることができ、センサは非平面表面に合致する。同様に、非平面形状を有するキャパシタセンサが形成され得る。
筋肉・骨格系によって加えられる力、圧力または荷重は装具構成要素インサート2700の関節面2710および関節面2712に結合され、関節面2710および関節面2712はそれぞれプレート2716およびプレート2720に結合する。一実施形態においては、各キャパシタは力、圧力または荷重により弾性的に圧縮する。電子回路2704は荷重板2716および荷重板2720の下にあるキャパシタセンサに作動的に結合されている。測定されるキャパシタの静電容量に対応する信号が発生される。信号は既定回数または既定カウント反復される。既定カウントの所要時間が測定される。所要時間はキャパシタの静電容量に対応する。静電容量と、力、圧力または荷重との間の関係は公知であり、測定数値を決定するために使用される。さらに、測定データは表示および分析のために加工され、インサート2700外部の受信機に伝送され得る。
一実施形態においては、センサおよび電子回路2704の物理的位置はインサート2700内に収容され、それによって、能動構成要素を外部環境から保護する。支持構造2700の領域2714の下にある電子回路2704は関節面2710と関節面2712との間に配置され得る。電子回路2704を収容するためのキャビティは領域2714の下にあり得る。支持構造2708は、キャビティ内に表面を有し、表面はそこから延在して電子回路2704をキャビティ内に配置および保持する保持特徴部を有する。領域2714はインサート2700の無荷重または軽荷重領域であり、それによって、手術中または関節が患者により使用される際の高い圧縮力により電子回路2704を破損する可能性を低減する。一実施形態においては、センサおよび電子回路2704に電源供給するために、電池などの仮設電源、キャパシタ、インダクタまたは他の記憶媒体がインサート2700内に配置されている。
支持構造2706はインサートケーシングまたはハウジングを形成するために支持構造2708に取り付けられている。一実施形態においては、支持構造2706の内部表面と支持構造2708の内部表面は互いに嵌合する。さらに、支持構造2706の内部表面および支持構造2708の内部表面は、検出システムの構成要素を収容および保持するためのキャビティまたは押出部(extrusions)を有し得る。外部に、支持構造2706および支持構造2708は関節の他の装具構成要素に結合する耐荷重面および関節面を提供する。支持構造2708の耐荷重面2724は脛骨装具構成要素に結合する。耐荷重面2724は、1つまたは複数の特徴部または脛骨装具構成要素への結合を補助する形状を有し得る。
支持構造2706と支持構造2708は、互いに一時的または永久的に結合することも、取り付けることも、固定することもできる。示されるように、インサート2700は支持構造2706と支持構造2708を分離するために分解することができる。シールが支持構造2708の内部表面の周縁に配置され得る。一実施形態においては、シールは弾性かつ圧縮性の材料を含むOリングとされ得る。共に取り付けられると、Oリングが圧縮し、支持構造2706および支持構造2708の内部表面に対してシールを形成する。支持構造2706および支持構造2708はハウジングを形成し、それにより、シールの境界内のキャビティまたは凹部が外部環境から分離される。一実施形態においては、固定要素を相互係止するほどOリングが十分に圧縮されると支持構造2706と支持構造2708が共に結合される。支持構造2706と支持構造2708はOリングまたはばねなどの他の手段によって提供される力または圧力下で固定要素によって結合が維持される。
一実施形態においては、支持構造2700は、一般に、受動インサート用に使用される材料を含む。例えば、超高分子量ポリエチレンが使用され得る。材料は、最終インサートに適切な支持および関節面厚さを提供するために成形、形成または機械加工され得る。代替的に、支持構造2706および支持構造2708は試行用途に十分な強度の金属、プラスチックまたは高分子材料で作製され得る。術中例においては、支持構造2706および支持構造2708はポリカーボネートで形成され得る。関節面の長期摩耗は短期間の関節の取り付けにおいては重要度の低い問題であることに留意されたい。ポリカーボネート製関節面によって、可動域全体にわたり動作する際、関節は最終インサートと同様に動く。超高分子量ポリエチレンなどの支持材料が、検出システムを術中的におよび最終インサートとしての両方で使用することを可能にする複合材料の一部である場合、支持構造2706と支持構造2708は複合物として形成され得る。
図28は、一実施形態例による、非平面表面に結合され、かつそれに適合するセンサを有する1つまたは複数の装具構成要素を示す。非平面センサを説明するために股関節装具構成要素が一例として使用される。股関節装具は、臼蓋カップ2806と、インサート2808と、大腿骨装具構成要素2810とを含む。臼蓋カップ2806は骨盤に結合する。カップ2806は骨盤2802に接合することができ、それによって、装具構成要素を、大腿骨装具構成要素2810を受容するための永久的空間的向き(permanent spatial orientation)において固定する。インサート2808は露出した関節面を有する臼蓋カップ2806に挿入される。大腿骨装具構成要素2810の大腿骨骨頭はインサート2808内に配置され得る。インサート2808は大腿骨骨頭を保持する。インサート2808の関節面は大腿骨装具構成要素2810の大腿骨骨頭に結合し、関節の回転を可能にする。インサート2808の関節面の面積全体に荷重が分配され、それは脚の位置によって変化する。大腿骨装具構成要素2810の軸は大腿骨2804に結合される。大腿骨装具構成要素2810の軸を大腿骨2804に固定するためにセメントが使用され得る。腱、靭帯および筋などの組織は骨盤2802および大腿骨2804に結合して股関節の動きを維持および補助する。本明細書中に開示されるセンサおよび電子回路は股関節部装具構成要素に限定されず、同様に、筋肉・骨格系、骨、器官、頭蓋、膝、肩部、脊椎、足首、肘、手および足を含むが、それらに限らない解剖学的構造の他の部分にも適用され得る。
一実施形態においては、大腿骨装具構成要素2810は電子回路2812を収容することができ、それによって能動構成要素を外部環境から保護する。電子回路2812はキャパシタセンサの静電容量を測定するために図18および図19に開示される回路を含み得る。電子回路2812は、電源、電力管理回路、変換回路、デジタル論理回路、プロセッサ、複数の入出力回路および通信回路をさらに含み得る。電子回路2812は装具構成要素内に取り付けることができる形態的要素を有するモジュールとされ得る。同様に、電子回路2812はツール、デバイスまたは機器に組み込むことができる。代替的に、電子回路2812は、有線または無線接続によりセンサに結合する別個の構成要素とされ得る。
装具構成要素2810の大腿骨骨頭は球形状である。キャパシタ2814は大腿骨骨頭の湾曲した表面に適合しかつ結合するセンサである。第1の実施形態においては、キャパシタ2814は大腿骨骨頭の外部表面の下にあり得る。大腿骨骨頭に加えられる力、圧力または荷重はキャパシタ2814に結合し、かつそれを弾性的に圧縮し得る。装具構成要素が関節の長期監視に好適であるようにキャパシタ2814および電子回路2812は外部環境から保護される。第2実施形態においては、キャパシタ2814は大腿骨骨頭の球形状に一致する表面の部分に露出され得る。第3実施形態においては、非平面形状を有するキャパシタ2814が形成され得る。キャパシタ2814は一度の使用後に廃棄される試行装具構成要素内にあり得る。本明細書中に開示されるように、キャパシタ2814は図21〜25に開示されるようにインターコネクト内に形成され得る。インターコネクトは可撓性とされ得ると共に非平面表面に適合し得る。この例では、計測データを受信および処理するため、キャパシタ2814は、電子回路2812に結合されるインターコネクト内に形成される。インターコネクト、特に、キャパシタ2814は、球形の大腿骨骨頭表面内に配置され、かつそれに結合され、それにより、力、圧力または荷重を所定の位置において測定することができる。したがって、センサシステムは装具構成要素内に完全に収容され得る。同様に、センサは、臼蓋カップ2806およびインサート2808上、臼蓋カップ2806およびインサート2808内、または臼蓋カップ2806とインサート2808との間に配置され得る。一例として、臼蓋カップ2806とインサート2808との間に配置されたキャパシタ2816が示される。キャパシタ2816は、また、インサート2808の関節面の一部の下にあり得るか、それを含み得る。同様に、キャパシタ2816は、臼蓋カップ2806の湾曲した表面の一部の下にあり得るか、それを含み得る。キャパシタ2816は、インサート2808の関節面の様々な領域に加えられる力、圧力または荷重を測定するように構成され得る。キャパシタ2816に結合された電子回路は臼蓋カップ2806、インサート2808の近傍にあり得るか、臼蓋カップ2806、インサート2808内に収容され得る。骨にかかる力、圧力または荷重の測定値はシステムによって支持され得る。キャパシタ2822はそれに加えられる力を測定するために骨盤2802などの骨に埋め込まれ得る。
この例では、キャパシタ2814は大腿骨装具構成要素2810の大腿骨骨頭の所定の位置に配置されている。キャパシタ2814の静電容量は、筋肉・骨格系によって大腿骨骨頭に加えられる力、圧力または荷重に関連し、それによって、大腿骨骨頭の様々な位置における測定データを提供する。一実施形態においては、測定データはキャパシタ2814からリモートシステム2818に実時間において無線で伝送され得る。リモートシステム2818は測定データを表示するように構成されたディスプレイ2820を含む。リモートシステム2818は測定データをさらに処理するコンピュータとされ得る。測定データは、使用者が情報を迅速に評価することを可能にする音響、視覚または触覚形式で提供され得る。下肢を可動域にわたり回転しかつ動かすと、取り付けのために、荷重が股関節の可動域全体にわたりどのように変化するかについての定量的データを提供することができる。下肢の動きはキャパシタ2814をインサート2808の関節面の様々な領域に結合する。下肢が一定平面(constant plane)内において動く場合、キャパシタ2814は弧を描いて動く。測定データは、関節の取り付けに変更を要し得る荷重の変化を示し得る。取り付けはリモートシステム2818によって支持されるワークフロー工程内において行うことができる。さらに、統計的に顕著な数の患者の定量的測定による臨床的証拠は最適なフィット性の目標値または範囲を有する。外科医は実際の測定された定量的データおよび患者への取り付けからの主観的フィードバックに基づきさらに取り付けを微調整することができる。
図29は、一実施形態例による、非平面表面に結合された1つまたは複数の遮蔽されたセンサを有するツールを示す。リーマ2902が、1つまたは複数のセンサを有する医療機器、ツール、器具または構成要素の例として使用される。リーマ2902は、臼蓋カップなどの装具構成要素を受容するため、股関節部人工関節置換手術において骨盤2908内の骨を除去するために使用され得る。リーマ2902は、球形の骨領域を形成するために臼蓋領域2910内の骨を除去するための切刃または研磨剤を有する球形表面2904を有する。リーマ2902の切削ヘッドは臼蓋領域2910を切削するための大きさにされる。領域は寸法がその中に取り付けられる臼蓋カップに実質的に等しい。
一実施形態においては、2つ以上のセンサがリーマ2902の切削ヘッドに結合され得る。非限定的な例においては、センサは力、圧力または荷重を測定するために使用され得る。さらに具体的には、センサは切削ヘッドの表面2904上の対応する位置に配置され得る。センサは表面2904に結合されるが、リーマ2902の切削ヘッドの内部にある。力、圧力または荷重は表面2904からセンサに結合される。センサは、表面2904の様々な位置に加えられる力、圧力または荷重に関する定量的データを提供する。定量的データは、臼蓋カップの最適なフィット性のために材料除去プロセスへのフィードバックとして使用され得る。例えば、力を一方向にかけ過ぎると特定位置の材料を除去しすぎることになる可能性があり、それによって、骨切断の形に影響を及ぼす。
キャパシタ2906は、力、圧力または荷重を測定するためのセンサの一例である。キャパシタ2906はリーマ2902の測定可能範囲全体にわたり弾性的に圧縮可能である。特に、キャパシタ2906を含む誘電体材料は加えられた力、圧力または荷重下で圧縮する。力、圧力または荷重により誘電体材料の厚さが減少するにつれてキャパシタの静電容量は増加する。逆に、キャパシタに加えられる力、圧力または荷重が減少するにつれて誘電体材料の厚さは増加し、それによって、静電容量値は減少する。キャパシタ2906はリーマ2902の切削ヘッドの表面2904の様々な位置に結合する。キャパシタ2906は、材料除去プロセス中に、力、圧力または荷重の大きさおよび異なる表面領域に異なる力、圧力または荷重の大きさを提供するために表面2904全体に分配される。キャパシタ2906によって測定される表面領域はリーマ2902の軌道によって変化する。測定データは、最適な装具構成要素のフィット性のために骨リーミングプロセスを支持するために使用され得る。
一実施形態においては、図21〜25に開示されるようにキャパシタ2906はインターコネクト内に形成される。インターコネクトはポリイミドを含む1つまたは複数の誘電層または基板を含み得る。ポリイミド層は可撓性であり、非平面表面に合致することも、既定の形状を有して形成することもできる。キャパシタ2906はデバイスへの容量結合を低減するために1つまたは複数のシールドを含む。シールドはアースに結合され得ると共に、物理的にキャパシタ2906の導電性領域とインターコネクトの外部環境との間にあり得る。シールドはキャパシタの導電性領域とされ得る。一実施形態においては、キャパシタの導電性領域の上にある第1のシールドが形成され、キャパシタの導電性領域の下にある第2のシールドが形成される。シールドはキャパシタ2906の静電容量値を変化させ得る寄生キャパシタンスを最小にする。
インターコネクトは、キャパシタ2906の導電性領域に結合される1つまたは複数のポリイミド層上に形成され得る。インターコネクトは、各キャパシタの静電容量に対応する信号を発生させるためにキャパシタ2906を電子回路(図示せず)に結合することができる。キャパシタ2906はリーマ2902の切削ヘッドの表面2904に結合する。この例では、キャパシタ2906は表面2904の形状に対応する湾曲または非平面表面に合致する。一実施形態においては、インターコネクトおよびキャパシタ2906は切削ヘッドの内部にあり、それによって外部環境から隔離される。インターコネクトはキャパシタ2906の静電容量を測定するための電子回路に結合される。電子回路はリーマ2902の切削ヘッドまたはハンドル内に収容され得る。電子回路は、電池などの電源、誘導性電源、超キャパシタまたは他の記憶媒体を含み得る。前述のように、キャパシタ2906の静電容量はそれに加えられる力、圧力または荷重に関連し得る。この例では、電子回路は、静電容量値に関連する、キャパシタ2906の各キャパシタのための信号を発生させる。電子回路は、測定データをキャパシタ2906から送信するための伝送および受信回路を含み得る。一実施形態においては、測定されたデータはリモートシステム2818に伝送される。リモートシステム2818は測定データを表示するためのディスプレイ2820を含み得る。測定データを力、圧力または荷重に変換するためのデータ処理はリモートシステム2818によって実行され得る。軌道データおよび力、圧力または荷重の測定値は情報の迅速な評価を可能にする視覚形式で提供され得る。使用者が動作領域の直視を必要とする場合、ディスプレイ2820を補完するために聴覚フィードバックが提供され得る。リモートシステム2818は定量的測定データを分析し、リーマ2902に情報を伝送し得る。リーマ2902は、使用者によって案内される際、軌道または力、圧力もしくは荷重に影響する触覚または他の種類のフィードバックをデバイスに提供する。リーマ2902によって提供される定量的データは実時間で提供され、骨盤2908の骨の除去に変更がどのように影響するかを使用者がディスプレイ2820上で見ることを可能にする。
図30は、力、圧力または荷重を測定するための方法3000を開示する。方法の記載は、図1、4、6、8、12、13、19、21〜25および27〜29に関連するため、それらを参照することができる。方法3000のステップは開示される順序に限定されない。さらに、方法3000は、また、示されるよりもより多数のステップまたはより少数のステップを有することができる。ステップ3002では、キャパシタに力、圧力または荷重が加えられる。力、圧力または荷重の変化はキャパシタの静電容量の対応する変化を生成する。一実施形態においては、キャパシタはインターコネクト上または内に形成される。キャパシタの誘電体材料は弾性的に圧縮可能とされ得る。ステップ3004においては、容量結合を低減するためにキャパシタの少なくとも1つの導電性領域が保護される。一実施形態においては、シールドはキャパシタの極板であるキャパシタの導電性領域を含み得る。代替的に、シールドは別個の構造とされ得る。シールドはキャパシタへの寄生キャパシタンスまたは結合を最小にするために接地され得る。シールドは、キャパシタの外部環境と、遮蔽されているキャパシタの活性導電性領域または極板との間にあり得る。さらに、シールドは、測定精度に影響し得る可変寄生キャパシタンスを低減する。接地された導電性領域は活性導電性領域と外部環境との間にあり得る。ステップ3006においては、キャパシタを電子回路に結合するインターコネクトはさらに容量結合を低減するために遮蔽される。シールドはキャパシタのインターコネクトとされ得る。例えば、接地されたインターコネクトは、外部環境の回路からの容量結合を防止するために信号を運ぶインターコネクトと外部環境との間に配置され得る。代替的に、シールドは別個の構造とされ得る。キャパシタおよびインターコネクトの遮蔽は非常に小さな容量値の測定を支持する。測定された静電容量の変化は総静電容量に比べて小さくなり得る。遮蔽により総静電容量が変わることを防止し、それによって、10ピコファラド未満の静電容量変化を測定することを可能にする。
したがって、本明細書中においては、小さな容量値および静電容量の小さな変化を測定するためのシステムが提供される。システムは、さらに、小型の形態的要素、高信頼化、測定精度および低コストを支持する。力、圧力および荷重測定用のキャパシタは、キャパシタを電子回路に結合するために使用されるインターコネクト内に形成され得る。キャパシタは誘電体材料の実質的に弾性的に圧縮可能な領域内において動作する。キャパシタをインターコネクト内に形成すると、システムの複雑さを低減し、信頼度、製品の一貫性が向上し、組み立て工程が削減される。
力、圧力または荷重下でキャパシタの静電容量に対応する信号が発生する。信号は既定カウント反復される。多数の測定サイクルの所要時間の測定は、測定されるパラメータの変化が筋肉・骨格系内等において生じる生理学的変化に対してゆっくりと起こる場合、測定サイクルの平均時間を得るために使用され得る。測定データは正確な、反復可能な、高精度および高分解能の測定を実現するために分析され得る。本明細書中に開示されるシステムは、検出およびデータ処理操作の帯域幅を含む測定分解能と周波数との間におけるトレードオフを最適化するため、取り込まれたデータの精度または分解能のレベルの設定を可能にし、したがって、検出モジュールまたはデバイスが測定の分解能を妥協することなくその最適な動作点で動作することを可能にする。これは、複数の個々の励振の通過時間および通過周期(transit cycles)を平均化するのではなく複数周期の励振および通過時間を累積することによって達成される。結果は、物理的システム内の対象のパラメータの正確な、反復可能な、高精度および高分解能の測定である。
弾性的に圧縮可能なキャパシタを使用する測定は高感度および高信号対雑音比を可能にする。時間ベースの測定は、主として、電圧または電流により駆動される検出方法およびデバイスに影響を及ぼす可能性のあるほとんどのエラーの原因の影響を受けない。生じる動作の通過時間の変化は迅速にかつ高分解能で測定され得る周波数に対応する。これにより必要な測定精度および精密さが実現され、したがって、対象の物理的パラメータの変化を捉え、それらの動的および静的挙動の分析を可能にする。
さらに、除算して平均測定数値データ値を推定する前に個々の容量測定値を合計すると同数のサンプルを平均するよりも優れた結果を生む。デジタル計数器から回収されるカウントデータの分解能はカウンタの最下位ビットの分解能によって制限される。一連のカウントを取りそれらを平均しても1つのカウントの精度であるためこの最下位ビットを超える精度は生じない。個々の測定値間にランダム変動がある場合は平均化で最終推定値のランダム性が低減される。多数の測定サイクルのカウントを合計して累積カウントを得、その後、全測定周期の平均値を計算すると、カウンタの最下位ビットよりも小さい測定値の成分を補間することにより測定の精度が向上する。この手順によって得た精度は、カウンタの最下位ビットの分解能を合計された測定サイクルの数によって除算したものと同程度である。
図31は、一実施形態例による複数のセンサを有する装具構成要素3100を示す。概して、関節装具および装具構成要素の取り付けを支持する短期術中検出用装具構成要素が必要である。同様に、関節装具は関節を長期的に監視するためのセンサを含む必要がある。装具構成要素3100は、試行装具構成要素として、または体内での長期使用のための永久装具構成要素として使用され得る。装具構成要素3100はこの例では脛骨装具構成要素として示される。装具構成要素3100は、股関節部、膝、肩部、脊椎、足首、肘、足指、手または骨インプラントにおける使用に適応させることができる。装具構成要素3100は、構造3102と、構造3104と、インターコネクト3106と、荷重パッド3108と、電子回路3110とを含む。
装具構成要素3100は、通常、チタン、チタン合金、コバルト、コバルト合金、鋼、または鋼合金などの金属を含む。この材料は、筋肉・骨格系によって生成され関節にかかる荷重に対処するのに適している。代替的に、装具構成要素3100は高分子材料で形成され得る。1つのそのような適切な材料はPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)である。PEEKは、高引張強度を有し、かつ熱、水または生物学的分解に耐性のある半結晶熱可塑性プラスチックである。PEEKは装具構成要素に要求される複雑な形状を形成するために成形され得る。PEEKは軽量であり、接着によって骨に固定され得る。PEEK構成要素はハーメチックシールを形成するために共に溶接され得る。PEEKは、それが通信のためまたはセンサ検出のために使用される信号に対して透過性を有するというさらなる利点を有する。
構造3102は少なくとも1つの支持表面を含む。示されるように、構造3102支持表面3112および支持表面3114を含む。支持表面3112および支持表面3114はインサート3116を受け入れる。インサート3116は、関節の動きを支持する関節面3118および関節面3120を含む。関節面3118および関節面3120はそれぞれ支持表面3112および支持表面3114に重なる。関節面3118および関節面3120に加えられる力、圧力または荷重は対応する力、圧力または荷重を支持表面3112および支持表面3114に加える。軽荷重領域が支持表面3112と支持表面3114との間にある。一実施形態においては、軽荷重領域内の構造3102内にハウジング3122が形成される。ハウジング3122は、装具構成要素3100の測定活動を制御する電子回路3110を受容するためのキャビティを含む。
構造3104は骨に結合する少なくとも1つの特徴部を含む。この例では、脛骨の近位端が構造3104を受け入れるように用意されている。幹状部3124が脛骨の髄管に挿入され得る。幹状部3124は構造3104を脛骨に揃え、かつ支持する。装具構成要素3100を所定の位置に確実に固定するために構造3104は脛骨に接着され得る。代替的に、PEEKを含む構造3104または金属構造は骨成長を支持する点を含み得る。構造3104は骨を固定し、骨成長ホルモンを提供する特徴部を含み得る。骨は装具構成要素内および周囲に成長し、構造3104を脛骨に融合する。固定のための骨成長の利用は、また、接着剤または他の結合剤とともに使用され得る。
一実施形態においては、3つのセンサはセンサアレイを含む。各膝区画にはセンサアレイがある。各センサアレイは膝区画の荷重および荷重の位置を測定するために使用される。インサート3116の関節面3118は装具構成要素3100の第1膝区画に対応する。同様に、インサート3116の関節面3120は装具構成要素3100の第2膝区画に対応する。関節面3118および関節面3120に加えられる力、圧力または荷重はそれぞれ構造3102の支持表面3112および支持表面3114に加えられる。支持表面3112および支持表面3114は力、圧力または荷重を対応するセンサアレイに伝達する。荷重パッド3108が関節面3118および関節面3120に対応する所定の位置にある。荷重パッド3108は測定のために所定の位置において下にあるセンサに力、圧力または荷重を伝達する。したがって、力、圧力または荷重の大きさおよび加えられた力、圧力または荷重の位置は、第1膝区画および第2膝区画内の3つのセンサによる測定値から計算され得る。荷重の位置は関節面3118および関節面3120上の所定位置に並進させて戻すことができる。センサは構造3104の支持表面3126および支持表面3128に重なる。支持表面3126および支持表面3128はそれぞれ第1膝区画および第2膝区画に対応する。一実施形態においては、支持表面3126および支持表面3128は荷重下において剛体である。
荷重を測定するためのセンサは、超音波導波路、圧電抵抗センサ、memsセンサ、ひずみゲージ、高分子センサ、機械的センサ、および容量センサなどのデバイスとされ得る。この例では、装具構成要素3100の形態的要素がセンサの高さを制限する。受動装具構成要素(例えば、センサを有しない)においては、構造は単一デバイスとして形成される。支持表面の厚さは約2ミリメートルである。概して、支持表面3126および支持表面3128に結合された支持表面3112と支持表面3114の合計厚さはセンサがその間にある状態で2ミリメートル以下に維持され得る。したがって、センサは実質的に2ミリメートル未満の厚さの形態的要素を必要とする。一実施形態においては、センサは弾性的に圧縮可能な容量センサである。センサの面積は、測定される荷重範囲およびセンサが弾性のままである圧縮性範囲によって決定される。本明細書中で上に開示したように、測定精度、正確さおよび繰り返し性を可能にする、静電容量の小さな変化に敏感な測定技術が適用され得る。一実施形態においては、弾性的に圧縮可能なキャパシタがインターコネクト3106内に形成される。
構造3102のハウジング3122によって形成されたキャビティ内に電子回路3110が取り付けられ得る。一実施形態においては、キャビティは装具構成要素3100の無荷重または軽荷重領域内に形成される。ハウジング3122の無荷重または軽荷重領域が支持表面3112と支持表面3114との間にある。したがって、電子回路3110は関節の通常動作下において発生する衝撃力および荷重から保護される。インターコネクト3106およびその中にあるセンサは電子回路3110に結合している。インターコネクト3106はセンサを電子回路3110に結合するインターコネクトを含む。キャビティ3130は構造3104の表面上に形成される。キャビティ3130は構造3104の支持表面3126および支持表面3128から電子回路3110に結合するインターコネクト3106を支持する。キャビティ3130はハウジング3122内へのインターコネクト3106のための経路を提供する。
概して、構造3102は装具構成要素3100を形成するために構造3104に結合する。一実施形態においては、構造3102と構造3104はハーメチックシールを形成するために周囲において共に溶接されている。電子回路3110と、センサと、インターコネクト3106とは装具構成要素3100内に収容され、外部環境から気密的に封止される。代替的に、構造3102と構造3104は気密性を維持するために接着することも共に機械的に固定することもできる。構造3102および構造3104は気体、液体または固体の侵入または侵出を防止するシールまたはOリングをさらに含み得る。
インターコネクト3106は構造3104の支持表面3126および表面3128にそれぞれ結合する。前述のように、荷重パッド3108は各センサを支持表面3112および支持表面3114上の対応する位置に結合する。この例では、荷重パッド3108は各膝区画内に、インサート3116の関節面3118および関節面3120に対応する領域を定める。関節面3118および関節面3120に加えられる力、圧力または荷重はそれぞれ構造3102の表面3112および表面3114に伝達される。表面3112および表面3114は弾性であり剛体ではないことに留意されたい。各表面は下にあるセンサが圧縮することを可能にする十分な伸展性を有する。一実施形態においては、表面3112および表面3114は伸展性を得るために薄くされるか薄く作製される。構造3102の表面3112または表面3114と、構造3104の表面3126または表面3128との合計厚さは約2ミリメートルとされ得る。弾性にするために構造3102の表面3112および表面3114は1ミリメートル未満の厚さとされ得る。代替的に、支持構造3112および支持構造3114は高分子材料などの弾性材料を含み得る。
この例では、各センサに加えられる荷重が計算され得る。荷重の大きさは3つの個々の測定値の組み合わせに一致する。加えられた荷重の位置はセンサの固定位置において測定された荷重の大きさから計算され得る。電子回路3110は、入出力回路、タイミング回路、変換回路、論理回路、電力管理回路、伝送および受信回路の複数のチャンネルを含む。電子回路3110は、測定プロセスを動作または制御するためのソフトウェアプログラムを記憶するためのメモリをさらに含み得る。一実施形態においては、低消費電力ソリューションにおいてアナログ回路とデジタル回路を組み合わせるためにASICが使用される。ASICは電子回路3110の形態的要素を低減し、構造3102のハウジング3122内に取り付けることを可能にする。電子回路3110は本明細書中および参照によって組み込まれる開示に記載される回路を含み得る。電子回路3110は、伝送回路と、センサからリモートシステムにデータを伝送するためのアンテナとを含む。電子回路3110は、情報およびプログラミング命令をリモートシステムから受信するための受信回路をさらに含み得る。リモートシステムはデータを報告するためのディスプレイを備えた可搬式デバイスとされ得る。リモートシステムはさらなる調査および分析のためにデータをデータベースに伝送し得る。
図32は、一実施形態例による構造3102の断面図を示す。断面図は、第1膝区画と第2膝区画との間の軽荷重領域のものである。図は、電子回路3110の上にあるハウジング3122の一部を含む。ハウジング3122は電子回路を外部環境から保護および分離する。
図33は、一実施形態例による装具構成要素3100およびインサート3116を示す。構造3102は構造3104に結合される。一実施形態においては、構造3102と構造3104とを結合するハーメチックシール3302が形成される。構造3102および構造3104は組み立てを支持する位置および位置合わせ特徴部を有し得る。構造3102および構造3104の周縁部は全周にわたり互いに近傍とされ得る。一実施形態においては、構造3102および構造3104は鋼の合金またはチタンの合金を含む。ハーメチックシール3302は構造3102を構造3104に溶接することによって形成される。溶接部は装具構成要素3100の周囲であり、センサおよび電子回路を外部環境から密封する。溶接は構造3102の金属材料を構造3104に結合し、連続構造を形成する。センサおよび電子回路3110は装具構成要素3100内に完全に封入され外部環境から分離される。溶接部が形成され、それにより、圧力がセンサにほぼまたは全く加えられない。構造3102と構造3104の結合によるあらゆるずれはデバイス校正時に補償され得る。装具構成要素3100は関節の状態に関する周期的データを提供するための長期インプラントとしての使用に好適である。構造がPEEKで形成されている場合は同様の手法が実施され得る。代替的に、構造3102と構造3104を共に結合しハーメチックシールを形成するために、接着剤、機械的結合およびシールを使用する他の手法が使用され得る。
インサート3116は装具構成要素のトレーに嵌め込まれる。装具構成要素のトレー3100はインサート3116を保持するための1つまたは複数の特徴部を有し得る。インサート3116は、通常、超高分子量ポリエチレンなどの高分子材料を含む。関節面3118および関節面3120は関節の別の装具構成要素(図示せず)と結合する。この例では、関節面3118および関節面3120は大腿骨装具構成要素の顆表面と結合し得る。筋、腱および靭帯が人工関節を動かし、それにより、関節面3118および関節面3120が構成要素の互いに対する動きを可能にする。インサート3116は受動部品とすることも1つまたは複数のセンサを含むこともできる。
図34は、一実施形態例によるインターコネクト3106に結合された電子回路3110を示す。電子回路3110は、インターコネクト3106に結合するための1つまたは複数のコネクタを含み得る。一実施形態においては、センサは弾性的に圧縮可能な容量センサである。キャパシタはインターコネクト3106の荷重パッド3108の下にある状態で形成される。図21〜25を簡潔に参照すると、センサ構造が記載されている。荷重パッド3108は非導電性材料または導電性材料を含み得る。この例では、荷重パッド3108は下にあるキャパシタに力、圧力または荷重を伝達するために剛性かつ非圧縮性である。非導電性荷重パッドは高分子材料を含み得る。一実施形態においては、荷重パッド3108はインターコネクト3106の表面上にめっきされた銅または銅合金などの導電性金属を含む。導電性荷重パッド3108はキャパシタの下にある極板に電気的に結合する。
一実施形態においては、キャパシタは可撓性ポリイミド基板上または内に形成され得る。荷重パッド、キャパシタおよびインターコネクトは、リソグラフィ技術を使用して正確かつ繰り返し可能に形成され得る。ポリイミド基板は非常に薄く作製することができ、装具構成要素内における取り付けに好適である。キャパシタはそれが弾性的に圧縮可能な範囲内において動作される。荷重パッド3108の下にある各キャパシタは図21のキャパシタ2100に類似する。キャパシタ2100は、機械的に直列の3つのキャパシタと電気的に並列の2つのキャパシタとを含む。力、圧力または荷重がキャパシタ2204、2206および2208全体に加えられる。一実施形態においては、キャパシタ2204の両極板は共同で結合されることからキャパシタ2204は電気的に回路にない。電気的に、センサキャパシタは並列で電気的に結合されたキャパシタ2206およびキャパシタ2208を含む。一実施形態においては、キャパシタ2206の極板およびキャパシタ2208の極板はアースに結合されている。接地された極板2112および極板2116はそれぞれインターコネクトの外部環境と極板2108および極板2110との間にある。同様に、キャパシタ2100から電子回路へのインターコネクトは同様の配置を有する。接地されたインターコネクト2124およびインターコネクト2126は外部環境と、極板2108および極板2110に結合する信号搬送(signal carrying)インターコネクト2122との間にある。したがって、寄生結合がシールドによって最小になる。さらに、あらゆる寄生キャパシタンスは一定であり、可変ではない。
容量の大きさおよび大きさの変化は図18および図19に開示される回路および方法を使用して正確に測定され得る。図33および図34を簡潔に参照すると、関節面3118および関節面3120に力、圧力または荷重が加えられる。力、圧力または荷重は関節面3118および関節面3120からそれぞれ支持表面3112および支持表面3114に伝達される。前述のように、力、圧力または荷重が荷重パッド3108を介して下にあるセンサに伝達されるように、支持表面3112および支持表面3114は弾性である。センサは剛性かつ非弾性の支持表面3126および支持表面3128によって支持される。センサキャパシタに加えられる力、圧力または荷重は構造を圧縮する。キャパシタ極板間の誘電層は圧縮される。センサキャパシタの静電容量値は誘電層の厚さに関連する。したがって、静電容量および静電容量の変化の測定はそれに加えられる力、圧力または荷重に関連し得る。
センサキャパシタに反復信号が加えられる。概して、センサは特定時間周期内に所定の電圧レベル間において充電および放電される。反復信号の単一波形の時間周期は測定サイクルである。測定サイクルの時間周期はキャパシタの静電容量に対応する。波形または信号は既定回数反復される。測定シーケンスは既定回数の反復波形を含む。測定シーケンスの所要時間が測定される。所要時間は既定の数の波形を発生させるために必要な時間である。測定シーケンス中、力、圧力または荷重は維持される。センサキャパシタの測定された所要時間は力、圧力または荷重の測定値に相関される。静電容量と、力、圧力または荷重との間の関係は公知である。一実施形態においては、各容量センサは、装具構成要素の組み立て後、既知の力、圧力または荷重値を測定し得る。測定値は、装具構成要素内に収容された電子回路の一部であるメモリに記憶され得る。各キャパシタの最終試験中、測定値間の補間および誘電体の非線形圧縮を考慮に入れることができる校正技術またはアルゴリズムを使用することによってさらなる改良が実現され得る。増加された数の既定数の波形にわたり力、圧力または荷重が実質的に一定である場合、測定分解能はこの技法によって増加され得る。さらに、力、圧力または荷重測定範囲にわたり静電容量変化が比較的小さい場合、分解能は測定を支持する。
図35は、一実施形態例による組み立てられた装具構成要素3100を示す。装具構成要素3100は、構造3104に結合された構造3102を含む。装具構成要素3100は電子回路およびセンサを収容する。ハーメチックシール3302は構造3102を構造3104に結合する。一実施形態においては、ハーメチックシール3302は周囲において連続する溶接部である。言及したように、溶接部は支持表面の下にあるセンサに荷重または軽荷重をかけない。この例では、装具構成要素3100は脛骨装具構成要素である。構造3102は、少なくとも1つの関節面を有するインサートを受容するためのトレーを含む。脛骨装具構成要素は1または2区画(dual compartment)デバイスとされ得る。構造3104は骨に結合するための幹状部3124を含む。この例では、幹状部3124は脛骨に結合する。
図36は、一実施形態例による装具構成要素3100の部分断面図を示す。断面図はハーメチックシール3302が構造3102と構造3104とを共に結合する周縁部近傍の領域である。この例では、センサ2100が含まれる。センサ2100はインターコネクト3106内に形成されている。荷重パッド3108がセンサ2100上に形成されている。インターコネクト3106は、さらに、信号結合および寄生キャパシタンスを最小にするためのセンサの遮蔽を示す。
この断面図は、荷重検出のための装具構成要素3100のセンサ2100の配置を示す。構造3104の支持表面3128はセンサ2100を支持する。この例では、支持表面3128は剛体である。導電性領域2116はインターコネクト3106内に形成されたキャパシタの極板である。インターコネクト2126は導電性領域2116を電子回路3110に結合する。導電性領域2116およびインターコネクト2126は支持表面3128に結合される。この例では、導電性領域2116およびインターコネクト2126はアースに結合されている。導電性領域2116はセンサ2100の導電性領域2110および導電性領域2108への信号または寄生結合を防止するためのシールドとしての機能を果たす。同様に、インターコネクト2126は信号または寄生結合を防止するためのインターコネクト2124のシールドとしての機能を果たす。一実施形態においては、支持表面3128は金属などの導電性材料を含む。したがって、構造3104は導電性領域2116およびインターコネクト2126を介してアースに結合される。構造3104は、容量センサへの信号または寄生結合を防止するためのシールドとしての機能を果たす。
構造3102の支持表面3114は荷重パッド3108およびセンサ2100によって支持される。荷重パッド3108は荷重をセンサ2100に分配する。支持表面3114はその上にかけられる荷重に対して弾性がある。一実施形態においては、支持表面3114は曲げを可能にするために薄くされる。概して、支持表面3114は荷重範囲全体にわたり短い距離偏向する。センサ2100は誘電体総厚さの約20%弾性的に圧縮し得る。一実施形態においては、センサ2100の圧縮は誘電体総厚さの10%以下に限定される。例えば、本明細書中に開示されるキャパシタは一般的な装具構成要素の荷重センサの荷重範囲にわたり約0.00254ミリメートル圧縮することができる。一実施形態においては、3つの容量センサの直列スタック(a stack three capacitive sensors in series)、積層材料および絶縁材料は約0.0076ミリメートルの最大荷重下総圧縮を生じる。したがって、支持表面3112または支持表面3114は全荷重範囲にわたり大幅には曲がらない。荷重パッド3108は支持表面3114上の既知の位置に結合する。既知の位置は、また、インサートの関節面上の点に関連する。センサのそれぞれの既知の位置は、測定された荷重の大きさを比較することによって荷重が関節面に結合される場所を決定するために使用される。1つのセンサが示されるが、インターコネクト3106内に形成された他のセンサも同様に構造3102および構造3104に結合される。ハーメチックシール3302は構造3102と構造3104とを共に結合する。ハーメチックシール3302は融解し、構造3102および構造3104の材料と結合する溶接部とされ得る。
導電性領域2112はインターコネクト3106内に形成されたキャパシタの極板である。インターコネクト2124は導電性領域2112を電子回路3110に結合する。この例では、導電性領域2112およびインターコネクト2124はアースに結合されている。導電性領域2108および導電性領域2110はインターコネクト3106内に形成されたキャパシタの極板である。センサ2100の導電性領域2108および導電性領域2110はビア2120によって共同で結合される。インターコネクト2122は導電性領域2108および導電性領域2110を電子回路に結合する。インターコネクト2122はキャパシタを測定するために電子回路からセンサ2100に信号を運ぶ。導電性領域2112は導電性領域2108から誘電層2104によって分離される。同様に、導電性領域2116は導電性領域2110から誘電層2106によって分離される。導電性領域2108と導電性領域2110とは誘電層2102によって分離されるが、前述のように、共同で結合される。一実施形態においては、誘電層2102、2104、および2106はポリイミドを含む。二酸化ケイ素、窒化ケイ素、マイラおよび他の高分子などの他の誘電体が使用され得る。インターコネクト3106およびセンサ2100は基板への堆積、めっきおよびリソグラフィ技術によって形成され得る。
センサ2100のキャパシタは機械的に直列の3つのキャパシタを含む。支持表面3114に加えられる力、圧力または荷重が3つのキャパシタを圧縮する。第1のキャパシタは、導電性領域2112と、誘電層2104と、導電性領域2108とを含む。第2のキャパシタは、導電性領域2108と、誘電層2102と、導電性領域2110とを含む。第3のキャパシタは、導電性領域2108と、誘電層2106と、導電性領域2116とを含む。電気的に、センサ2100のキャパシタは、並列で結合された第1のキャパシタおよび第3のキャパシタを含む。第1のキャパシタおよび第3のキャパシタは、共同で結合された導電性領域2108および導電性領域2110を有する。同様に、第1のキャパシタおよび第3のキャパシタの導電性領域2112および導電性領域2116はアースに結合されている。導電性領域2112および導電性領域2116はそれぞれ導電性領域2108および導電性領域2110をインターコネクト3106の外部への結合および寄生キャパシタンスから遮蔽する。同様に、インターコネクト2124およびインターコネクト2126はインターコネクト2122をインターコネクト3106の外部への信号結合および寄生キャパシタンスから遮蔽する。
構造3102および構造3104は導電性材料を含み得る。例えば、チタン、コバルト、および鋼合金は、装具構成要素3100を製造するために使用される導電性材料である。インターコネクト3106を支持表面3128上に配置すると導電性領域2116およびインターコネクト2126が構造3104に結合する。導電性領域2116および支持表面3128はアースに共同で結合される。同様に、荷重パッド3108は導電性材料を含み得る。一実施形態においては、銅または銅合金などの材料がインターコネクト3106の表面に堆積またはめっきされ得る。荷重パッド3108が導電性領域2112およびインターコネクト2124に結合される。支持表面3114が荷重パッド3108によって導電性領域2112およびインターコネクト2124に結合される。前述のように、導電性領域2112およびインターコネクト2124はアースに結合されている。したがって、構造3102および構造3104はアースに結合されている。代替的に、構造3102および構造3104はセンサ2100以外の代替経路によりアースに結合され得る。一実施形態においては、電子回路およびセンサ2100は装具構成要素3100内に収容される。構造3102および構造3104は電子回路3110およびセンサ2100を外部環境における寄生結合および寄生キャパシタンスから分離するシールドを形成する。この設計は、インターコネクト3106の外部への寄生結合および寄生キャパシタンスを防止または最小化する、キャパシタに組み込まれた内部シールドをさらに組み込む。この例では容量センサが使用されるが、装具構成要素3100内の荷重センサは、ひずみゲージ、memsデバイス、圧電抵抗センサ、機械的センサ、高分子センサ、および超音波センサの1つを含み得る。
図37は、一実施形態例による構造3102を示す。患者の関節領域に実装された際の装具構成要素3100の構造3102は、関節の外部に露出を有する少なくとも1つの領域を含む。図は、透過領域3702を含む、構造3102のハウジング3122を示す。一実施形態においては、透過領域3702は、ガラス、PEEK、プラスチックまたはポリマーを含む。透過領域3702は、鋼合金、チタン、コバルト、合金または金属を含むハウジング3122の壁の開口部に埋め込むことができる。一実施形態においては、ハウジング3122は電子回路を収容する。代替的に、構造3102の一部または全てがスペクトルのいくつかに対して透過性のあるPEEKなどのポリマーを含み得る。一実施形態においては、透過領域3702はセンサ信号および通信信号に対して透過性がある。例えば、構造3102が導電性材料を含み、導電性材料が接地されている場合、信号は遮断され得る。装具構成要素3100はデバイス内に収容された電子回路およびセンサのシールドとして動作し得る。透過領域3702は、音響、超音波、無線周波数、赤外線および光などの信号に対して透過性を有し得る。透過領域3702は関節領域の周囲および近傍の領域に対して露出を有する。一実施形態においては、関節内および周囲にある滑液を監視するために窓3702が使用され得る。
センサは、また、透過領域3702にまたはその近傍に配置され得る。センサは電子回路3110と共に搭載され得る。電子回路3110は、インターコネクトおよびコネクタを有する1つまたは複数のプリント回線基板を含み得る。集積回路、ASICデバイス、電源、通信回路、デジタル論理回路、変換器、電力管理および他のシステムは小型の形態的要素内に共に結合され得る。一実施形態においては、ASICは、形態的要素を最小化するためおよび電力消費を低下させるための特徴の多くを併せ持つ。センサおよび通信回路は透過領域3122の近傍の電子回路3110上に配置され、信号の伝送および受信を可能にする。情報をリモートシステムに送信および受信するための指向性アンテナが透過領域3702の近傍に配置され得る。
概して、センサは関節領域の近傍の滑液を監視するために使用され得る。滑液は筋肉・骨格関節内に見られる天然潤滑剤である。滑液は、肘、膝、肩部、股関節部およびその他などの関節内に見られる。滑液は、ムチン、アルブミン、脂肪、上皮および白血球を含む。潤滑剤は、また、無血管の関節軟骨に栄養を与える。滑液は関節の衝撃を緩衝し、可動域にわたり骨と軟骨が互いに接触する際の摩擦を低減する。滑液は、また、酸素および他の栄養素を軟骨および関節の他の領域に運ぶことができる。同様に、滑液は関節領域から老廃物を除去するための輸送部(transport)としての機能を果たす。滑液は関節内および周囲にとどまる。滑液は潤滑剤を所定の位置に保持する滑膜によって保持され得る。
関節の健康と滑液の状態との間には強い相関がある。温度、pH、色、濁度、粘度、グルコースおよびタンパク質を測定するセンサが滑液を分析するために使用され得る。センサは関節の健康を判断するために個々にまたは互いに組み合わせて使用され得る。装具構成要素3100は、関節を監視するためのセンサの1つまたは複数を含む。この例では、関節は感染について監視される。新規に埋め込まれた関節における感染は重大な問題である。関節インプラントを装着した患者が自身に感染があるかどうかを判断することはしばしば困難である。手術自体および関節リハビリテーションが感染の早期徴候を隠す可能性がある。人工関節は低減なく感染が増殖するには理想的な場所である。人工関節内には、隔離されてはいるが、細菌を宿し、成長を促進し得る栄養素を有する領域がある。感染は、重大な健康リスク、抗生物質治療、リハビリテーションの増加、長期入院およびかなりのコストにつながる可能性がある。感染が深刻な場合、人工関節の除去を要する場合がある。患者は感染が沈静化し、その後、新しい人工関節が埋め込まれるまで固定される。そのような状況下における患者の心的外傷は甚大となり得る。人工関節3100は関節局所の感染を検出し、医師または医療提供者に通知するか、適時適切な処置をとることができる。
一実施形態においては、温度が監視され得る。温度センサ3704が透過領域3702の近傍に取り付けられ得る。温度センサ3704は温度データを受信するために電子回路3110に結合される。一実施形態においては、電子回路3110はセンサに結合するための複数の入出力チャンネルを有する。温度センサ3704は関節の温度を監視する。一実施形態においては、温度センサ3704は滑液の温度を測定する。滑液の測定が定期的に行われ得る。
健康な膝と感染した膝との間における温度差が検出され得る。この例では、温度センサ3704は滑液の常温に校正される。常温は患者の容態によって変化するため校正は定期的に行われ得る。絶対温度および温度の変化が監視される。標準からの温度の変化は感染の表示となり得る。この例では、温度センサは、MEMSセンサ、熱電対、サーミスタまたは他の温度測定器とされ得る。
一実施形態においては、pHが監視され得る。pHセンサ3706が透過領域3702の近傍に取り付けられ得ると共に、pHデータを受信するために電子回路3110に結合され得る。温度と同様、pHセンサ3706は、まず、標準pHに校正され得ると共に、定期的に再校正され得る。標準よりも低いpHは感染の存在を示し得る。細菌の増加を検出するために経時的な絶対pHおよびpH差(differential pH)の測定値が使用され得る。概して、健康な膝は約7.23のpHを有する。感染した膝は約7.06のpHを有する。デバイスは個々の患者の特性に合わせて校正され得る。pHセンサは、MEMSpHセンサ、埋め込み型pH超小型センサ、静電pHセンサまたは他のpH測定器とされ得る。
一実施形態においては、濁度および色が監視され得る。濁度は流体内の微粒子の懸濁による混濁または霞み(haze)の測度である。例えば、滑液は感染が増殖するにつれて濁る。細菌、細菌の老廃物および白血球は滑液中に懸濁し得る微粒子のうちのほんのわずかにすぎない。増加する細菌増殖により感染が悪化するにつれて濁度は増加する。同様に、感染が増加するにつれて滑液の色は変化する。例えば、健康な滑液は比較的透明な液体である。健康から非炎症性、非炎症性から炎症性、および炎症性から敗血症性に関節の状態が変化するにつれて滑液は色を変化する。非炎症性滑液は黄色がかった透明の液体であり、骨関節症などの関節関連の問題を示す。滑液は粘性であり、その潤滑および制動特性を保持する。炎症性滑液は黄色がかった色である。炎症性滑液は霞んでおり透明ではない。それは、また、その粘性特性の一部を失い水様の稠度(watery consistency)を有する。炎症性滑液は、リウマチ様関節炎または感染などの問題を示し得る。敗血症性滑液は色が暗い黄色から赤色となり得る。さらに、敗血症性滑液は不透明である。この滑液は、多数の細菌、菌類、白血球および赤血球を含み得る。色、濁度の測定、または双方の組み合わせが、関節の健康を判断するために使用され得る。
この例では、色および濁度を測定するためにLED3708(発光ダイオード)およびフォトダイオードアレイ3710などの光センサが使用され得る。一実施形態においては、LED3708およびフォトダイオードアレイ3710は透過領域3702の背後に配置される。LED3708およびフォトダイオードアレイ3710は装具構成要素3100内に収容され、電子回路3110に結合することも電子回路3110の一部とすることもできる。前述のように、透過領域3702は光に対して透過性を有するガラスとされ得る。LED3708は白色光を直接フォトダイオードに伝送することができる。フォトダイオードはフォトダイオードアレイ3710の一部または別個のデバイスとされ得る。フォトダイオードはLED3708の校正のため、およびデバイスによる光または強度出力の変化を検出するために使用され得る。LED3708は、また、滑液のサンプルを照らす。示されるように、LED3708によって放出された光は透過領域3702を通じて装具構成要素3100の近傍の滑液に伝送される。一実施形態においては、3つのフォトダイオードがそれぞれ、滑液中に伝送される光を検出する赤色、緑色および青色光学フィルタを有する。各フォトダイオードは赤色、緑色および青色の相対的寄与を測定する。この寄与は、校正フォトダイオードによる測定値に対応する校正値と比率測定的に(ratiometrically)比較され得る。校正値は白色光の赤色、緑色および青色成分の和に対応する。光を送信および受信するために2つ以上の透過領域が使用され得る。また、光を滑液内に案内するため、およびLED3708からの直接光がフォトダイオードアレイ3710上に放射することを防止するために1つまたは複数のバリアまたは透過領域が使用され得る。
測定の式は以下の通りとされ得る。
a)r=赤色、g=緑色、b=青色、c=校正
b)色=[r,g,b]/(r+g+b)
c)濁度=(r+g+b)/3c
フォトダイオードアレイ3710によって測定された色は既知の感染色データと比較され得る。同様に、フォトダイオードアレイ3710による濁度測定値は既知の濁度色データと比較され得る。色および濁度測定値の両方は装具構成要素3100によって得ることができる。両測定値を組み合わせて使用することで、予後のさらなる改善を可能にするデータを提供することができ、それによって、より良好な評価および治療手法を提供する。さらに、定期的な測定値を取り、色および濁度測定値を比較すると、変化率を得ることができる。変化率は感染が増加しているか減少しているかを判断するために使用され得る。経時的な測定値の比較は感染治療が成功したかどうかを判断するために使用され得る。装具構成要素内にセンサを配置することは感染の防止においてかなりの利点がある。統計的に、ほとんどの感染は関節の埋め込み後間もなくまたは手術後最初の数か月以内に発生する。感染は、手術創が治癒し、関節のリハビリテーションが行われた後には発生する可能性が低下する。手術によるおよびリハビリテーション中の疼痛もまた感染症状を隠す可能性がある。感染が発生した場合、それは関節の近傍における局所感染として開始する。第1の利点は、装具構成要素3100は感染が体中に広がる前に関節局所の感染を特定することができることである。第2の利点は、感染の治療を関節局所の領域とすることができることである。第3の利点は、装具構成要素3100が関節の近傍に放出され得る抗生物質も含み得ることである。第4の利点は、装具構成要素3100がリモートシステムおよびデータベースと通信することができることである。リモートシステムは医師の診察を受けるように患者に通知を提供することができる。リモートシステムは、また、分析および治療のためのデータを医師に提供することができる。
装具構成要素3100を使用して長期的に関節を監視する方法が開示される。方法は、示されるステップよりも多いまたは少ないステップによって実施することができ、示されるステップの順序に限定されない。方法は例示の脛骨装具構成要素例に限定されず、股関節部、肩部、足首、肘、脊椎、手、足および骨に使用され得る。第1のステップでは、電子回路および1つまたは複数のセンサが装具構成要素内に収容される。第2のステップでは、装具構成要素の近傍の滑液の特性が定期的に測定される。特性は感染または他の問題の存在を判断するために使用され得る。測定される特性の例は、温度、pH、色、濁度、粘度、グルコースレベルおよびタンパク質である。第3のステップでは、測定値が比較される。一実施形態においては、変化が発生したかどうかを判断するために測定値が互いに比較される。さらに、経時的に実施した複数の測定は傾向を示し得る。別の実施形態においては、測定された特性は感染または同定される他の問題に関連する既知または所定の値と比較され得る。
第4のステップでは、滑液の色が測定される。第5のステップでは、滑液の色は既知の色範囲に対して比較される。第6のステップでは、感染が存在するかどうかが決定され得る。一実施形態においては、比較により既知の滑液色に類似する色が得られる。例えば、透明な滑液は正常である。透明な黄色の滑液は炎症および他の問題を示し得る。霞んだ黄色の滑液は細菌または他の問題の存在を示し得る。赤色の色調を有する滑液は敗血症および滑液中の血液を示し得る。
第7のステップでは、赤色、緑色および青色の相対的寄与が測定される。第8のステップでは、各色の寄与が相対的寄与の和と比率測定的に比較される。滑液の色は赤色、緑色および青色の寄与を評価することによって決定され得る。第9のステップでは、色の変化率が決定される。色の変化率は感染の状態を判断するために使用され得る。例えば、感染が検出されると、変化率は感染の減少または増加に対応する。それは、また、治療の有効性を判断するために使用され得る。治療後、変化率は感染の減少を示すべきである。
装具構成要素3100を使用して長期的に関節を監視する方法が開示される。方法は、示されるステップよりも多いまたは少ないステップによって実施することができ、示されるステップの順序に限定されない。方法は例示の脛骨装具構成要素例に限定されず、股関節部、肩部、足首、肘、脊椎、手、足および骨に使用され得る。第1のステップでは、電子回路および1つまたは複数のセンサが装具構成要素内に収容される。第2のステップでは、装具構成要素の近傍の滑液の濁度が定期的に測定される。濁度は感染または他の問題の存在を判断するために使用され得る。他の測定される特性の例は、温度、pH、色、濁度、粘度、グルコースレベルおよびタンパク質である。第3のステップでは、濁度測定値は、既知の濁度測定値または既定の濁度範囲と比較される。一実施形態においては、定期的な測定値の比較により変化が発生したかどうかを判断する。さらに、経時的に得られた複数の濁度測定値は傾向を示し得る。別の実施形態においては、測定された特性は、感染または解決される他の問題に関連する既知または既定の濁度値と比較され得る。第4のステップでは、感染が存在するかどうかが決定され得る。濁度は物質の混濁または霞み(haziness)の測度である。例えば、健康な滑液は透明である。逆に、感染した滑液は細菌の存在により霞んでいるか混濁している。さらに、感染の重症度は滑液中の微粒子の数に関連し得る。微粒子の数が多いほど感染が悪化している可能性がある。
第5のステップでは、濁度が前の濁度測定値と比較される。第6のステップでは、濁度の変化率が決定される。概して、健康な滑液は透明であるため、濁度が増加していれば感染または問題は悪化している。代替的に、治療が提供されており、濁度が経時的に減少していれば患者の健康は改善している。第7のステップでは、データはリモートシステムに無線で伝送される。一実施形態においては、限定された伝送範囲ゆえにリモートシステムは装具構成要素の近傍にある。リモートシステムはプロセッサおよび画像プロセッサを含み得る。第8のステップでは、装具構成要素の透過領域を通じて光が受信される。装具構成要素の近傍の滑液に光が伝送される。光は滑液を照らし、フォトダイオードアレイによって検出される。フォトダイオードアレイの各ダイオードは装具構成要素の透過領域を通過する入射光を濾光するためのフィルタを有し得る。
図38は、一実施形態例による装具構成要素3100およびリモートシステム3802を示す。リモートシステム3802は、機器、ツール、コンピュータ、ノートパッド、携帯電話、スマートフォンまたは医療機器とされ得る。装具構成要素3100から伝送されるデータはリモートシステム3802によって受信される。同様に、リモートシステム3802は、手術およびセンサ測定を補助する情報を装具構成要素3100に送信し得る。リモートシステム3802は、論理回路、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラまたはデジタル信号プロセッサを含み得る。この例では、リモートシステム3802はディスプレイを備えたラップトップコンピュータである。リモートシステム3802は、装具構成要素3100からの定量的測定データを分析するための、および評価のための情報を表示するためのソフトウェアを含み得る。リモートシステム3802は、装具構成要素3100の電子回路3110に結合するために伝送回路、受信回路またはその両方を含む。同様に、電子回路3110は伝送回路、受信回路またはその両方を含む。この例では、電子回路は伝送および受信回路を有するASICを含む。一実施形態においては、伝送および受信回路は透過領域3702を通じて伝送する。代替的に、アンテナ配置をサポートするために他の透過領域が装具構成要素3100に追加され得る。また、装具構成要素3100は、信号の伝送および受信を可能にするPEEKなどのポリマーから作製され得る。一実施形態においては、リモートシステム3802のデータの伝送は短距離である。伝送距離は、通常、10メートル未満である。取り付けられた装具構成要素では、組織内においてRF伝送が実施される。短い伝送距離は権限のないデータの受信を低減する。一実施形態においては、データ伝送はセキュリティのため暗号化される。データはリモートシステム3802によって解読され得る。
この例では、ハウジング3122は電子回路3110および窓3702を含む。窓3702は、音響、超音波、無線周波数、赤外線および光などの信号に対して透過性を有し得る。窓3702は、装具構成要素の鋼、チタン、コバルト、合金または金属に接着されたガラスを含み得る。代替的に、構造3102の一部または全ては、スペクトルのいくつかに対して透過性を有するPEEKなどのプラスチックまたはポリマーを含み得る。窓3702は人工関節の他の構成要素によって遮断されず、関節領域の周囲および近傍の領域に対して露出を有する。一実施形態においては、窓3702は人工関節の近傍の領域を監視するために使用され得る。同様に、センサは構造3102または構造3104に固定され得ると共に、この領域にさらされ得る。窓3702は、滑液の健康に関連する1つまたは複数のパラメータを測定するために使用され得る。この例では、光センサは色および濁度を測定するために使用される。電子回路3110はセンサのそれぞれに結合される。一実施形態においては、チャンネルが各センサに割り当てられる。チャンネルは直列または並列で動作され得る。電子回路3110の論理回路が測定値をいつ得るかを制御する。測定データは伝送されるまで電子回路3110のメモリに記憶され得る。測定データはデジタルフォーマットに変換され得る。定量的パラメータ測定値は健康問題を判断するために個々にまたは組み合わせて使用され得る。
装具構成要素3100を使用して長期的に関節を監視する方法が開示される。方法は、示されるステップよりも多いまたは少ないステップによって実施することができ、示されるステップの順序に限定されない。方法は例示の脛骨装具構成要素例に限定されず、股関節部、肩部、足首、肘、脊椎、手、足、および骨に使用され得る。第1のステップでは、電子回路および1つまたは複数のセンサが装具構成要素内に収容される。第2のステップでは、装具構成要素の近傍の滑液が監視される。第3のステップでは、滑液の特性が測定される。測定される特性の例は、温度、pH、色、濁度、粘度、グルコースレベルおよびタンパク質である。第4のステップでは、データがリモートシステムに送信される。データは装具構成要素からリモートシステムに無線で伝送され得る。リモートシステムは、デジタル論理回路、プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、画像プロセッサ、通信回路またはアナログ回路を含み得る。一実施形態においては、信号およびそれが移動する媒体の電力制約により伝送は10メートル未満とされ得る。例えば、伝送は装具構成要素と外部環境との間の複数層の組織を通過して送信されなければならない。
第4のステップでは、装具構成要素によって送信されたデータは分析され得る。データはリモートシステムによって分析され得る。データは、また、他の機器、デバイス、コンピュータまたはデータベースに送信され得る。データは関節または装具システムの研究に関連する臨床データベースを作成するために他の情報またはデータと組み合わせることができる。第5のステップでは、レポートが発生される。レポートは装具構成要素内のセンサによって提供される定量的データに基づく。第6のステップでは、レポートは少なくとも1つの実体に送信される。概して、レポートは、装具構成要素内のセンサによって発生した定量的データを使用する。この例では、センサデータは関節の近傍の滑液の分析とされ得る。レポートは処置を取ることにつながり得る。例えば、感染または関節炎などの状態の検出は治療につながり得る。センサは治療の経過を監視するために使用され得る。第7のステップでは、滑液の温度が測定され得る。第8のステップでは、滑液のpHが測定され得る。第9のステップでは、滑液の色または濁度が測定され得る。レポートは患者のセンサデータまたは医師、外科医もしくは病院などの医療提供者に送信される測定されたパラメータ、傾向、およびデータの分析の全ての詳細な一覧のステータス更新と同じくらい簡単とされ得る。実体は情報を使用する権利を有する者または人と広く解釈され得る。レポートは情報の守秘権を維持するために暗号化され得る。同様に、センサデータは、また、荷重および荷重の位置データを含み得る。このセンサデータは、関節に関する運動学の問題および患者がどのように装具に適応しているかに対処するために使用され得る。
図39は、一実施形態例による電子回路3110および構造3104の図である。構造3104は本明細書中に開示される装具構成要素3100の構成要素である。構造3104は電子回路3110を収容するためのキャビティ3902を含み得る。電子回路3110はキャビティ3902内に垂直に配置される。キャビティ3902は構造3104の幹状部3124内に延在する。概して、電子回路は構造3102、構造3104内、またはその両方に収容され得る。
図40は、一実施形態例による電子回路3110および構造3104の図である。構造3104は、電子回路3110を収容するためのキャビティ4002を含み得る。電子回路3110はキャビティ4002内に水平に配置されている。キャビティ4002は、装具構成要素3100の軽荷重領域内の、インターコネクト3106間の中央に配置されている。温度、pH、光、グルコースおよびその他などのセンサをハウジング3122内に搭載することができ、かつ電子回路3110に結合することができる。キャビティ4002がハウジング3122の下にあり、装具構成要素3100の近傍を測定するためのセンサを収容するための室を提供する。インターコネクト3106が支持表面3126および支持表面3128の上にある。各インターコネクト3106はセンサアレイを含み、膝の区画に対応する。力、圧力または荷重を測定するためのセンサがインターコネクト3106の荷重パッド3108の下にある。電子回路3110は関節の位置情報を提供するための加速度計を含み得る。
図41は、システム4100の形態のマシンの例示的概略図を示す。システム4100内において、命令一式が実行されると、マシンが上述の手法の任意の1つまたは複数を実行してもよい。いくつかの実施形態では、マシンはスタンドアローンデバイスとして動作する。いくつかの実施形態では、マシンは(例えばネットワークを使用して)他の機械と連結されてもよい。ネットワーク化された配置において、マシンは、サーバクライアントユーザネットワーク環境内のサーバもしくはクライアントユーザマシンの性能内で、またはピアトゥピア(または分散)ネットワーク環境内のピアマシンとして動作してもよい。
マシンは、サーバコンピュータ、クライアントユーザコンピュータ、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、制御システム、論理回路、センサシステム、ASIC、集積回路、ネットワークルータ、スイッチもしくはブリッジ、またはそのマシンがとるべき動作を指定する(シーケンシャルまたはその他)命令一式を実行することが可能な任意のマシンを含んでも良い。本開示のデバイスが音声、ビデオまたはデータ通信を提供するあらゆる電子デバイスを広く含むことは理解されよう。さらに、1つのマシンが示されているが、用語「マシン」は、また、本明細書中に記載される手法の任意の1つまたは複数を実行するために一式(または複数式)の命令を個々にまたは共に実行するマシンの任意の集合を含むものと解釈される。
システム4100は、バス4108を介して互いに通信する、プロセッサ4102(例えば、中央処理装置(CPU)、画像処理装置(GPU、または両方)、メインメモリ4104およびスタティックメモリ4106を含んでもよい。システム4100は、ビデオディスプレイ装置4110(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、フラットパネル、固体ディスプレイまたはブラウン管(CRT))をさらに含んでもよい。システム4100は、入力デバイス4112(例えば、キーボード)、カーソル制御デバイス4114(例えば、マウス)、ディスクドライブユニット4116、信号発生デバイス4118(例えば、スピーカまたはリモートコントローラ)およびネットワークインターフェースデバイス4120を含んでもよい。
ディスクドライブユニット4116はフラッシュメモリなどの他の種類のメモリとすることができ、かつ機械可読媒体4122を含んでもよい。機械可読媒体4122には、上に説明した方法を含む、本明細書中に記載される手法または機能の任意の1つまたは複数を具現化した1つまたは複数セットの命令(例えば、ソフトウェア4124)が格納されている。命令4124は、また、システム4100によるその実行中、完全にまたは少なくとも部分的に、メインメモリ4104内、スタティックメモリ4106内および/またはプロセッサ4102内に存在してもよい。メインメモリ4104およびプロセッサ4102は、また、機械可読媒体を含んでもよい。
特定用途用集積回路、プログラマブル論理アレイおよび他のハードウェアデバイスを含むが、それらに限定されない専用ハードウェア実装は、同様に、本明細書中に記載される方法を実行するように構成することができる。種々の実施形態の装置およびシステムを含んでもよい適用例には、種々の電子およびコンピュータシステムを広く含む。いくつかの実施形態は、モジュール間および内において通信される関連の制御およびデータ信号を有する2つ以上の特定の相互連結したハードウェアモジュールまたはデバイスにおいて、または特定用途用集積回路の一部として機能を実施する。したがって、例示のシステムはソフトウェア、ファームウェアおよびハードウェア実装に適用可能である。
本開示の種々の実施形態によれば、本明細書中に記載される方法は、コンピュータプロセッサ上で動作するソフトウェアプログラムとしての動作を意図したものである。さらに、分散処理またはコンポーネント/オブジェクト分散処理、並列処理または仮想マシン処理を含み得るが、それらに限定されないソフトウェア実装もまた本明細書中に記載される方法を実施するように構成することができる。
本開示は、命令4124を含む機械可読媒体、またはネットワーク環境4126に結合されたデバイスが、音声、ビデオまたはデータを送信または受信することができ、かつ命令4124を使用してネットワーク4126上で通信することができるように伝播された信号からの命令4124を受信および実行する機械可読媒体を企図する。命令4124は、さらに、ネットワークインターフェースデバイス4120を介してネットワーク4126上で伝送されても受信されてもよい。
実施形態例においては、機械可読媒体4122は単一媒体で示されるが、用語「機械可読媒体」は、1つまたは複数セットの命令を格納する単一媒体または複数媒体(例えば、集中または分散データベースおよび/または関連するキャッシュおよびサーバ)を含むものと解釈すべきである。用語「機械可読媒体」は、マシンにより実行するための、および本開示の手法の任意の1つまたは複数をマシンに実行させる命令一式を格納する、コード化するまたは運ぶことが可能な任意の媒体を含むものと解釈されるものとする。
用語「機械可読媒体」は、したがって、メモリカードなどの固体メモリまたは1つまたは複数の読み出し専用(不揮発性)メモリ、ランダムアクセスメモリまたは他の書き換え可能(揮発性)メモリを収容する他のパッケージ、ディスクまたはテープなどの光磁気または光媒体、および伝送媒体内のコンピュータ命令を具現化した信号などの搬送波信号、および/または有形記憶媒体と同等の配布媒体(distribution medium)とみなされる電子メールのデジタルファイル添付または他の自己内蔵型情報アーカイブまたはアーカイブ一式を含むが、それらに限定されないものと解釈されるものとする。したがって、本開示は、本明細書中に記載され、本明細書中のソフトウェア実装が格納される当業者に周知の均等物および後継媒体を含む機械可読媒体または配布媒体の任意の1つまたは複数を含むものとみなされる。
本明細書は、特定の標準およびプロトコルに関連する実施形態において実施されるコンポーネントおよび機能を記載するが、本開示は、そのような標準およびプロトコルに限定されるものではない。インターネットおよび他のパケット交換式ネットワーク伝送(例えば、TCP/IP、UDP/IP、HTML、HTTP)の各標準は従来技術の例を示す。そのような標準は実質的に同じ機能を有するより高速のまたはより効率的な均等物によって定期的に取って代わられる。したがって、同じ機能を有する代替標準およびプロトコルは均等物とみなされる。
図42は、例示的な実施形態による測定および報告用の通信ネットワーク4200の図である。簡潔には、通信ネットワーク4200は他のデバイスまたはサービスとの広域データ接続性を拡張する。示されるように、測定および報告システム4255は通信ネットワーク4200および任意の関連システムまたはサービスに通信的に結合され得る。
一例として、測定システム4255は、例えば、手術状況または結果を分析または報告するために、その対象のパラメータ(例えば、角度、荷重、平衡性、距離、配列、変位、動き、回転および加速)を遠隔のサービスまたはプロバイダと共用することができる。このデータは、例えば、経過の監視のためサービスプロバイダと、または外科的監視目的または有効性の研究のため計画管理者(plan administrators)と共用され得る。通信ネットワーク4200は、さらに、医療情報技術手法(health information technology practices)を実施するために電子医療記録(EMR)システムと連結させることができる。他の実施形態においては、通信ネットワーク4200は、HIS病院情報システム、HIT病院情報技術システムおよびHIM病院情報管理システム、EHR電子健康記録システム、CPOE(Computerized Physician Order Entry)コンピュータ化医師向けオーダエントリシステムおよびCDSSコンピュータ化意思決定支援システムに通信的に結合され得る。これにより、様々な情報通信技術システムおよびソフトウェアアプリケーションが通信する機能、データを正確に、効果的におよび一貫して交換する機能、および交換されたデータを使用する機能を提供する。
通信ネットワーク4200は、ローカルエリアネットワーク(LAN)4201、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)4205、セルラーネットワーク4214および/または他の無線周波数(RF)システム(図4を参照)上における有線または無線接続性を提供することができる。LAN4201およびWLAN4205は、例えば、電話局を通じてインターネット4220に通信的に結合され得る。電話局は、電気通信サービスを配信するための共通のネットワーク交換機を収容することができる。電気通信サービスは、旧来のPOTS(基本電話サービス:Plain Old Telephone Service)およびケーブル、HDTV、DSL、VoIP(ボイスオーバーインターネットプロトコル)、IPTV(インターネットプロトコルテレビジョン)、インターネットサービス等のような広帯域サービスを含み得る。
通信ネットワーク4200は、一般的なコンピューティングおよび通信技術を利用して回線交換式および/またはパケット交換式通信をサポートすることができる。インターネット4220および他のパケット交換式ネットワーク伝送(例えば、TCP/IP、UDP/IP、HTML、HTTP、RTP、MMS、SMS)の各標準は従来技術の例を示す。そのような標準は実質的に同じ機能を有するより高速のまたはより効率的な均等物によって定期的に取って代わられる。したがって、同じ機能を有する代替標準およびプロトコルは均等物とみなされる。
セルラーネットワーク4214は、GSM(登録商標)−GPRS、EDGE、CDMA、UMTS、WiMAX、2G、3G、WAP、ソフトウェア無線(SDR)および他の公知の技術などの多くのアクセス技術における音声およびデータサービスをサポートすることができる。セルラーネットワーク4214は、携帯機器4202との通信のためにベース受信機4210と周波数再使用プラン(frequency−reuse plan)下で結合され得る。
ベース受信機4210は、さらには、携帯機器4202をパケット交換リンクによってインターネット4220に結合することができる。インターネット4220は、測定システム4255から携帯機器4202にデータを分配するためのアプリケーションサービスおよびサービス層をサポートすることができる。携帯機器4202は、また、無線通信チャンネルを使用してインターネット4220を通じ他の通信デバイスに結合することができる。
携帯機器4202は、また、WLAN4205によってインターネット4220に結合することができる。無線ローカルアクセスネットワーク(WLAN)は、局所的な地理的区域内における無線アクセスを提供する。WLANは、通常、基地局としても公知のアクセスポイント(AP)4204の群を含む。測定システム4255は、基地局区域内のノート型パソコン4203などの他のWLANステーションと通信することができる。典型的なWLAN実装では、物理層は802.11bまたは802.11gWLAN技術などの種々の技術を使用する。物理層は、2.4GHz帯の赤外線、周波数ホッピングスペクトラム拡散、2.4GHz帯の直接シーケンススペクトラム拡散、または、例えば、5.8GHzISM帯またはより高いISM帯(例えば、24GHz等)の他のアクセス技術を使用してもよい。
データの交換のため、測定システム4255は通信ネットワーク4200を介してネットワーク上のリモートサーバ4230および他の携帯機器との接続を確立することができる。リモートサーバ4230は、ローカル的またはリモート的に保存され、特定用途用データを含み得るデータベース4240へのアクセスを有し得る。リモートサーバ4230は、また、直接的にまたはインターネット4220によってアプリケーションサービスのホストとなり得る。
埋め込み型整形外科デバイス上にあるデータは非常に少ないことに留意されたい。データのほとんどは、ヒト被験者または模擬使用(simulated use)において使用された整形外科デバイスを分析することにより実験的に得られる。摩耗パターン、材料事項(material issue)および故障メカニズムが研究される。この種の研究を通じて情報を得ることはできるが、初期取り付け、術後使用および長期使用についての重要なデータは測定の見地から得る。各人が異なるように、初期荷重、平衡性および位置合わせに差を有することから各デバイスの取り付けは異なる。データを測定し、このデータを使用して整形外科デバイスを取り付ければインプラント処置の一貫性が大幅に増し、それによって、補修を低減し、デバイスの寿命が最大になる。少なくとも1つの例示的な実施形態においては、測定されたデータはデータベースに回収することができ、そこで保存および分析され得る。例えば、測定されたデータの関連サンプルが回収されると、それは、寿命および埋め込み型整形外科デバイスの使用性を最大化するための最適な初期測定設定値、幾何学的配置および位置合わせを定義するために使用され得る。
本発明は、周波数補償、物理的システムの制御または警報、または対象の物理的パラメータの監視または測定を含むが、それらに限定されない広範な医学的および非医学的用途に適用可能である。非常に小型の検出モジュールまたはデバイスにおいて達成可能な精度および繰り返し性のレベルは、骨密度、運動、粘度および種々の体液の圧力、局所温度等を含むが、それらに限定されない人体中の生理的パラメータを監視または測定する多くの医学的用途、血管系、リンパ系、呼吸器系、消化器系、筋、骨および関節、他の軟組織領域、および間質液における用途に適用可能であってもよい。
本発明は特定の実施形態を参照して説明されたが、当業者であれば、本発明の範囲および精神から逸脱することなく本発明に多くの変更を施してもよいことは理解されよう。これら実施形態およびその明白な変形形態はいずれも本発明の範囲および精神内にあるものと考えられる。
いくつかの実施形態は、筋肉・骨格系のパラメータを測定するためのシステムを含む。システムは、透過領域と、骨に結合するように構成された少なくとも1つの特徴部とを有する装具構成要素を含む。さらに、システムは、電子回路と、筋肉・骨格系のパラメータを測定するように構成された少なくとも1つのセンサとを含む。電子回路は少なくとも1つのセンサに結合することができ、装具構成要素は、電子回路および少なくとも1つのセンサを収容することができる。
いくつかの実施形態は脛骨装具構成要素を含む。脛骨装具構成要素は少なくとも1つの滑液センサを含む。少なくとも1つの滑液センサは脛骨装具構成要素の近傍に位置する滑液を監視するように構成することができる。脛骨装具構成要素は、また、少なくとも1つの滑液センサに結合された電子回路を含む。さらに、少なくとも1つの滑液センサおよび電子回路は脛骨装具構成要素内に収容することができる。
いくつかの実施形態は装具構成要素を含む。装具構成要素は、少なくとも1つの光センサと、少なくとも1つの光センサに結合された電子回路とを含み得る。電子回路は装具構成要素内に収容することができ、少なくとも1つの光センサおよび電子回路は装具構成要素の近傍に位置する滑液を監視するように構成することができる。
いくつかの実施形態は長期的に関節を監視する方法を含む。方法は、電子回路および1つまたは複数のセンサを装具構成要素内に収容するステップと、装具構成要素の近傍に位置する滑液の特徴を1つまたは複数のセンサによって定期的に測定するステップと、滑液の特徴の測定値を比較するステップと、を含み得る。
いくつかの実施形態は長期的に関節を監視する方法を含む。方法は、電子回路および1つまたは複数のセンサを装具構成要素内に収容するステップと、装具構成要素の近傍に位置する滑液の濁度を定期的に測定するステップと、を含み得る。
いくつかの実施形態は装具構成要素を含む。装具構成要素は、温度センサと、温度センサに結合された電子回路とを含む。電子回路は装具構成要素内に収容することができ、温度センサおよび電子回路は装具構成要素の近位の温度を測定するように構成することができる。
いくつかの実施形態は装具構成要素を含む。装具構成要素は、pHセンサと、pHセンサに結合された電子回路とを含む。電子回路は装具構成要素内に収容することができ、pHセンサおよび電子回路は装具構成要素の近傍のpHを測定するように構成することができる。
いくつかの実施形態は長期的に関節を監視する方法を含む。方法は、電子回路および1つまたは複数のセンサを装具構成要素内に提供するステップと、装具構成要素の近傍に位置する滑液を定期的に監視するステップと、滑液の特徴を測定するステップと、データをリモートシステムに送信するステップと、を含み得る。
いくつかの実施形態はシステムを含む。システムは、少なくとも1つの滑液センサを有する装具構成要素を含む。少なくとも1つの滑液センサは装具構成要素の近傍の滑液を監視するように構成することができる。システムは、また、少なくとも1つの滑液センサに結合された電子回路を含む。少なくとも1つの滑液センサおよび電子回路は装具構成要素内に収容することができる。
これらまたは他の実施形態においては、装具構成要素は透過領域を含み得る。さらに、少なくとも1つの滑液センサは、光センサ、pHセンサ、超音波センサ、または温度センサの少なくとも1つを含み得る。また、透過領域はガラスを含み得る。
また、これらまたは他の実施形態においては、システムは、装具構成要素の支持表面に加えられる力、圧力または荷重の少なくとも1つを測定するように構成された少なくとも1つの力センサ、圧力センサまたは荷重センサを含み得る。種々の実施形態においては、装具構成要素はポリエーテルエーテルケトンを含み得る。