JP6003193B2 - エリア判別装置、エリア判別方法及びエリア判別プログラム - Google Patents

エリア判別装置、エリア判別方法及びエリア判別プログラム Download PDF

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Description

本発明は、エリア判別装置、エリア判別方法及びエリア判別プログラムに関する。
位置を検知する技術の一例として、GPS(Global Positioning System)衛星によって発信される電波を用いて位置を測定する技術が知られている。かかるGPSを用いた位置測定は、GPS受信機の上部が遮られない屋外では有用であるものの、屋内ではその精度が低下する。
このことから、屋内においても位置を検知するために、赤外線通信、RFID(Radio Frequency Identification)タグや超音波などが活用されている。ところが、赤外線通信、RFIDタグや超音波などを用いる場合には、専用デバイスを装着する負担を掛けたり、インフラの整備にコストが掛かったりするので、実用性が低いという問題が残る。
また、携帯端末によって測定される無線LAN(Local Area Network)の受信信号強度、いわゆるRSSI(Received Signal Strength Indicator)を用いて位置を検知する技術も提案されている。無線LANへの接続環境は、各種の施設において上記の赤外線通信、RFIDタグや超音波などに比べて整備されているので、コストおよび実用性の両面から有用である。
かかるRSSIを用いて位置を検知する技術の一例として、事前に屋内の各地点におけるRSSIを保持しておき、観測されたRSSIとの間で比較することによって現在位置を特定する対象測位方法が挙げられる。他の一例としては、端末の電波強度から端末の存在領域を求め、壁の所在情報を含む屋内の地図情報を用いて端末の直前位置から見て壁で遮られている箇所を除外することによって端末の存在領域を絞り込んだ上で端末の位置を算出する位置検知サーバが挙げられる。
特開2010−107501号公報 特開2009−110088号公報 特開2009−198454号公報
しかしながら、上記の従来技術には、以下に説明するように、簡易な構成でエリアの判別精度を向上させることができないという問題がある。
すなわち、上記の対象測位方法では、異なるエリア間で類似するRSSIが観測される場合にエリアを精度良く判別することができない。例えば、エリア間の境界が壁によって仕切られている場合には、壁の内側と外側で類似するRSSIが観測される場合がある。この場合、上記の対象測位方法では、実際には壁の内側に位置していたとしても、壁の外側にあるエリアのRSSIと近い値が観測されたならば、現在位置が壁の外側にあるエリアであると特定されるので、誤判定が生じる。また、上記の位置検知サーバでは、屋内の地図情報を予め準備しておく必要がある上、エリアを判別する範囲が広がるほど地図情報に設定しなければならない壁の所在情報も増大する。
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成でエリアの判別精度を向上させることができるエリア判別装置、エリア判別方法及びエリア判別プログラムを提供することを目的とする。
本願の開示するエリア判別装置は、エリア間の出入口ごとに、当該出入口の地点で観測される携帯端末の受信信号強度であって無線構内通信網の発信器によって発信された電波に関する受信信号強度を対応付けて記憶する記憶部を有する。さらに、前記エリア判別装置は、携帯端末によって前記発信器ごとに測定された受信信号強度を取得する取得部を有する。さらに、前記エリア判別装置は、前記発信器ごとに取得された受信信号強度から、前記携帯端末が各エリアに存在する尤もらしさを表す存在尤度をエリア別に算出する第1の算出部を有する。さらに、前記エリア判別装置は、前記発信器ごとに取得された受信信号強度と、前記記憶部に前記出入口ごとに記憶された発信器別の受信信号強度とを用いて、前記携帯端末がエリア間を遷移する尤もらしさを表す遷移尤度を遷移先のエリア別に算出する第2の算出部を有する。さらに、前記エリア判別装置は、前記エリア別に算出された存在尤度および前記遷移先のエリア別に算出された遷移尤度に基づいて前記携帯端末が存在するエリアを判別する判別部を有する。
本願の開示するエリア判別装置の一つの態様によれば、簡易な構成でエリアの判別精度を向上させることができるという効果を奏する。
図1は、実施例1に係る携帯端末の機能的構成を示すブロック図である。 図2は、複数のエリアを含むフロアの一例を示す図である。 図3は、観測RSSIの取得結果の一例を示す図である。 図4は、存在尤度の一例を示す図である。 図5は、エリアの判別履歴の一例を示す図である。 図6は、直前の判別エリアと他のエリアとの出入口RSSIの一例を示す図である。 図7は、RSSI距離の算出結果の一例を示す図である。 図8は、RSSI距離と遷移尤度の関係の一例を示す図である。 図9は、出入口別の遷移尤度の一例を示す図である。 図10は、遷移尤度の算出結果の一例を示す図である。 図11は、事前確率記憶部に記憶される情報の構成例を示す図である。 図12は、観測尤度の算出結果の一例を示す図である。 図13は、事後存在確率の算出結果の一例を示す図である。 図14は、実施例1に係るエリア判別処理の手順を示すフローチャートである。 図15は、応用例を説明するための図である。 図16は、実施例1及び実施例2に係るエリア判別プログラムを実行するコンピュータの一例について説明するための図である。
以下に、本願の開示するエリア判別装置、エリア判別方法及びエリア判別プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例は開示の技術を限定するものではない。そして、各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
[携帯端末の構成]
図1は、実施例1に係る携帯端末の機能的構成を示すブロック図である。図1に示す携帯端末10は、無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイント30からの受信信号強度(Received Signal Strength Indicator:RSSI)を用いて、携帯端末10が在圏するエリアを判別するエリア判別処理を実行するものである。なお、以下では、無線LANのアクセスポイント(Access Point)のことを「AP」と記載する場合がある。
かかる携帯端末10は、スマートフォンに代表される携帯電話機を始め、PHSやPDAなどの情報処理端末に上記のエリア判別処理を実行するエリア判別プログラムをインストールさせることによって実装できる。なお、上記の「PHS」は、「Personal Handyphone System」の略称であり、また、上記の「PDA」は、「Personal Digital Assistants」の略称である。
一態様として、携帯端末10は、携帯端末10を保有する利用者が図2に示すフロアの一部を形成するエリアのうちいずれのエリアに在圏するかを判別する。図2は、複数のエリアを含むフロアの一例を示す図である。図2に示すように、フロアは、部屋Aから部屋Dまでの4つのエリアを含んで構成されており、互いのエリアの境界は壁によって区切られている。なお、図2の例では、携帯端末10を保有する利用者が現時点で部屋Bのエリアに存在している場合を想定する。また、図2の例では、エリアを形成する各部屋の境界が壁によって区切られる場合を例示したが、パーティション等によって区切られることとしてもよい。
これら部屋A〜部屋Dの各エリアには、他のエリアとの間で往来するための出入口が設けられており、かかる出入口を経由してエリア間の往来、すなわちエリア間の遷移がなされる。図2の例で言えば、部屋Aと部屋Bの間には、出入口が3つ設けられており、部屋Aと部屋Cの間には、出入口が1つ設けられており、また、部屋Aと部屋Dの間には、出入口が1つ設けられている。このように、部屋B及び部屋C間、部屋B及び部屋D間、部屋C及び部屋D間には、出入口が設けられていないので、これらの遷移は部屋Aを経由してなされる。なお、図2の例では、図示を省略したが、実際にはM個のAP30−1〜AP30−Mが設置されているものとする。以下では、AP30−1〜AP30−Mを総称する場合に「AP30」と記載する場合がある。
図1に示す携帯端末10は、取得部11と、第1の算出部12と、判別履歴記憶部13aと、RSSI記憶部13bと、第2の算出部13と、事前確率記憶部14aと、第3の算出部14と、判別部15とを有する。なお、携帯端末10は、図1に示す機能部以外にも既知の携帯端末が有する各種の機能部、例えばアンテナ、キャリア網を介して通信を行うキャリア通信部、GPS(Global Positioning System)受信機などの機能を有するものとする。
このうち、取得部11は、フロア内に設置されたAP30からのRSSIを取得する処理部である。一態様としては、取得部11は、図示しないNIC(Network Interface Card)などの通信インタフェースによってRSSIが測定される度にRSSIを取得する。以下では、取得部11によって取得されたRSSIのことを「観測RSSI」と記載する場合がある。図3は、観測RSSIの取得結果の一例を示す図である。図3には、M個のAP30−1〜AP30−Mによってそれぞれ測定された観測RSSIの取得結果が図示されている。図3の例では、AP30−1からのRSSIが「-51dBm」であり、AP30−2からのRSSIが「-50dBm」であり、AP30−MからのRSSIが「-91dBm」であることを示す。
第1の算出部12は、AP30ごとの取得RSSIを用いて、携帯端末10を保有する利用者が各エリアに存在する尤もらしさを表す存在尤度をエリア別に算出する処理部である。一態様としては、第1の算出部12は、サポートベクトルマシンやk近傍法などの機械学習方式のアルゴリズムによって実現されるエリア判別器に対し、観測RSSIを適用する。第1の算出部12は、エリア判別器の学習データを取得する。かかる学習データの一例としては、部屋A〜部屋Dのエリアごとに測定された各AP30のRSSI、例えば複数の測定値の分布やそれらの代表値が挙げられる。そして、第1の算出部12は、各AP30の観測RSSIのベクトルデータXtをエリア判別器へ適用する。すると、エリア判別器によって各AP30の観測RSSIの組合せと部屋A〜部屋Bの各エリアの学習データとの距離から確信度c(at|Xt)がエリア別に算出される。このようにエリア別に算出された確信度c(at|Xt)を存在尤度p(Xt|at)と同定して後述の第3の算出部14へ出力される。
例えば、図3に示したRSSIの取得結果がエリア判別器へ入力された場合には、図4に示す存在尤度が得られる。図4は、存在尤度の一例を示す図である。図4の例では、携帯端末10を保有する利用者が部屋Aに存在する確率が「0.7」であり、部屋Bに存在する確率が「0.25」であり、部屋Cに存在する確率が「0.02」であり、また、部屋Dに存在する確率が「0.03」であることを示す。なお、エリア判別器の出力だけを用いてエリアの判別が行われた場合には、利用者が部屋Bに存在するのが真の結果であるにもかかわらず、携帯端末10が部屋Aに存在すると判別される結果、誤判定となる。
判別履歴記憶部13aは、後述の判別部によるエリアの判別履歴を記憶する記憶部である。一態様としては、判別履歴記憶部13aは、エリアの判別結果が時系列に対応付けられたデータを記憶する。例えば、判別履歴記憶部13aは、エリアの遷移尤度を算出するにあたって遷移元のエリアを特定するために、後述の第2の算出部13によって算出される。図5は、エリアの判別履歴の一例を示す図である。図5には、取得部11によってRSSIが取得される周期を時間単位とし、現在時刻から1つ前の周期、すなわち1時刻前〜4時刻前までに判別された結果が図示されている。図5の例では、携帯端末10を保有する利用者が4時刻前に部屋Aに存在し、3時刻前から1時刻前まで部屋Bに存在したことを示す。
RSSI記憶部13bは、各エリアの出入口で観測されるRSSIを記憶する記憶部である。一態様としては、RSSI記憶部13bは、各エリアの出入口ごとに当該出入口で観測されるAP30別のRSSIが対応付けられたデータを記憶する。以下では、RSSI記憶部13bに記憶されたRSSIのことを「出入口RSSI」と記載する場合がある。例えば、RSSI記憶部13bは、観測RSSIと出入口RSSIとの距離を算出するために、後述の第2の算出部13によって参照される。
第2の算出部13は、観測RSSIと出入口RSSIとを用いて、携帯端末10を保有する利用者がエリア間を遷移する尤もらしさを表す遷移尤度を算出する処理部である。
一態様としては、第2の算出部13は、判別履歴記憶部13aに記憶されたエリアの判別履歴のうち直前の判別結果、すなわち1時刻前に判別されたエリアat-1を読み出す。図5に示した判別履歴の例で言えば、1時刻前の判別結果「部屋B」が読み出されることになる。そして、第2の算出部13は、RSSI記憶部13bに記憶された出入口RSSIのうちエリアat-1及びエリアat-1と異なる他のエリアの境界となる出入口RSSIを読み出す。
図6は、直前の判別エリアと他のエリアとの出入口RSSIの一例を示す図である。図6には、直前の判別エリアが部屋Bである場合を想定する。図6に示すように、RSSI記憶部13bから部屋Bと部屋Aの間の出入口、部屋Bと部屋Cの間の出入口、部屋Bと部屋Dの間の出入口が読み出される。このとき、部屋Bと部屋Aの間には、3つの出入口1〜3が存在する。このため、各々の出入口1〜3で観測されたAP30−1〜30−M別のRSSIが読み出される。一方、部屋Bと部屋Cの間および部屋Bと部屋Dの間には、出入口が存在せず、部屋Bと部屋Cの間の出入口RSSIおよび部屋Bと部屋Dの間の出入口RSSIがRSSI記憶部13bに登録されていない。この場合には、部屋Bと部屋Cの間の出入口および部屋Bと部屋Dの間の出入口のRSSIのエントリにNull値が挿入される。これは、部屋Bが部屋Cおよび部屋Dと連続しておらず、他のエリア、すなわち部屋Aを経由せずには遷移できないことを表す。
その後、第2の算出部13は、観測RSSIおよび出入口RSSIを下記の式(1)へ代入することによって観測RSSI及び出入口RSSIのユークリッド距離dtを出入口別に算出する。以下では、観測RSSI及び出入口RSSIのユークリッド距離のことを「RSSI距離」と記載する場合がある。下記の式(1)における「Xt」は、現在時刻に取得された観測RSSIのベクトルを指し、観測RSSIの次元数MはAP30の個数に対応する。下記の式(1)における「m(k) 出入口(at-1,at)」は、エリアat-1−at間の出入口番号kにおけるRSSIのベクトルを指す。かかる変数kがエリアat-1と他のエリアatとの全出入口数Nになるまで更新されることによってRSSI距離が出入口別に算出される。
Figure 0006003193
図7は、RSSI距離の算出結果の一例を示す図である。図7には、図3に示した観測RSSIおよび図6に示した各出入口RSSIを上記の式(1)へ代入することによって算出されたRSSI距離が図示されている。図7の例では、部屋Bと部屋Aの出入口1へのRSSI距離が「52」であり、部屋Bと部屋Aの出入口2へのRSSI距離が「53」であり、部屋Bと部屋Aの出入口3へのRSSI距離が「41」であることを示す。また、図7の例では、部屋Bと部屋Cの出入口1へのRSSI距離が「95」であり、さらに、部屋Bと部屋Dの出入口1へのRSSIの距離が「95」であることを示す。
このように、部屋Bとはエリアが連続しない部屋C及び部屋Dの出入口へのRSSI距離は、部屋Bと出入口を介して連続する部屋Aの出入口へのRSSI距離に比べて大きくなる。なお、図7の例では、部屋Bと連続しない部屋C及び部屋Dの出入口へのRSSI距離を「95」と算出する場合を例示したが、出入口RSSIがNull値である時点でこれらの距離を自動的に上限値または無限とすることもできる。
そして、第2の算出部13は、出入口別に算出されたRSSI距離dtを下記の式(2)の尤度変換関数f(dt)へ代入することによってエリアの遷移尤度p(at-1|at)を出入口別に算出する。下記の式(2)の尤度変換関数f(dt)は、RSSI距離が小さいほど遷移尤度の値が高く導出され、また、RSSI距離が大きいほど遷移尤度の値が低く導出される関数である。かかる尤度変換関数f(dt)の一例としては、下記の式(3)に示すシグモイド関数などを採用することができる。なお、下記の式(3)における「λ」は、シグモイド関数の曲線カーブの緩急を定めるパラメータを指し、また、「τ」は、RSSI距離の基準値を指す。
Figure 0006003193
Figure 0006003193
図8は、RSSI距離と遷移尤度の関係の一例を示す図である。図8のグラフにおいて縦軸は遷移尤度を指し、横軸はRSSI距離を指す。図8に示すように、尤度変換関数にシグモイド関数を用いる場合には、RSSI距離が基準値τを取るときに遷移尤度が「0.5」となる。この基準値τを境にRSSI距離が小さくなるほど遷移尤度の値が大きくなる。このため、携帯端末10を保有する利用者が出入口に近い地点にいるほど遷移尤度が高く算出される。一方、基準値τを境にRSSI距離が大きくなるほど遷移尤度の値が小さくなる。このため、携帯端末10を保有する利用者が出入口に遠い地点にいるほど遷移尤度が低く算出される。このような遷移尤度を用いれば、利用者が出入口から離れた壁付近、すなわち壁が障害となって他のエリアへ遷移できない位置に存在する場合にエリアを遷移した可能性が低いと判別することができる。
図9は、出入口別の遷移尤度の一例を示す図である。図9の例では、部屋Bと部屋Aの出入口のうち出入口1の遷移尤度が「0.07」であり、出入口2の遷移尤度が「0.06」であり、出入口3の遷移尤度が「0.14」であることを示す。また、図9の例では、部屋Bと部屋Cの出入口1の遷移尤度が「0.01」であり、また、部屋Bと部屋Dの出入口の遷移尤度が「0.01」であることを示す。
その後、第2の算出部13は、直前の判別エリアと他のエリアとの間で複数の出入口が存在する場合には、出入口別に算出された遷移尤度のうち最大の遷移尤度を選択する。例えば、図9の例で言えば、部屋Bと部屋Aの間には3つの出入口が存在するが、互いの遷移尤度の大小関係は「出入口2の遷移尤度<出入口1の遷移尤度<出入口3の遷移尤度」である。したがって、部屋Bと部屋Aの間の出入口3の遷移尤度「0.14」が部屋Bから部屋Aへの遷移尤度として選択される。この結果、図10に示す遷移先のエリア別の遷移尤度が算出されることになる。
図10は、遷移尤度の算出結果の一例を示す図である。図10に示すように、部屋Bから部屋Aへの遷移尤度が「0.14」であり、部屋Bから部屋Cへの遷移尤度が「0.01」であり、部屋Bから部屋Dへの遷移尤度が「0.01」と算出される。このようにして遷移元のエリアat-1と遷移先のエリアatとが異なる場合、すなわち遷移ありの場合における遷移尤度が遷移先のエリア別に算出される。一方、遷移元のエリアat-1と遷移先のエリアatとが同一である場合、すなわち遷移なしの場合における遷移尤度には、「0.5」が固定して付与される。
図1の説明に戻り、事前確率記憶部14aは、携帯端末10が存在する事前確率を記憶する記憶部である。一態様としては、事前確率記憶部14aは、エリアごとに当該エリアに携帯端末10が存在する事前確率が対応付けられたデータを記憶する。例えば、事前確率記憶部14aは、携帯端末10が存在する事後確率を算出するために、後述の第3の算出部14によって参照される。また、事前確率記憶部14aには、最新の事後確率を記憶管理するために、後述の第3の算出部14によって算出が実行される度にエリア別の事後確率が登録される。なお、以下では、当該エリアに携帯端末10が存在する事前確率のことを「事前存在確率」と記載し、また、当該エリアに携帯端末10が存在する事後確率のことを「事後存在確率」と記載する場合がある。
図11は、事前確率記憶部14aに記憶される情報の構成例を示す図である。図11の例では、携帯端末10が部屋Aに存在する確率が「0.22」であり、部屋Bに存在する確率が「0.68」であり、部屋Cに存在する確率が「0.09」であり、また、部屋Dに存在する確率が「0.01」であることを示す。図11に示す事前確率の値は、1時刻前に算出された事後確率であってもよいし、所定数の時刻前まで遡った時系列の事後確率であってもよく、また、所定数の時刻前までに算出された事後確率の統計値、例えば相加平均値や加重平均値であってもよい。
第3の算出部14は、各エリアの事後存在確率を算出する処理部である。一態様としては、第3の算出部14は、ベイズの定理にしたがって観測RSSIXtおよび直前の判別エリアat-1を観測した状況の下、真のエリアatの事後存在確率p(at|at-1,Xt)を下記の式(4)を用いて算出する。
ここで、下記の式(4)において事後存在確率p(at|at-1,Xt)の算出に用いる観測尤度p(at-1,Xt|at)は、第2の算出部13によって算出されたエリアの遷移尤度および第1の算出部12によって算出された存在尤度に基づいて導出される。すなわち、第3の算出部14は、遷移尤度p(at-1|at)および存在尤度p(Xt|at)を下記の式(5)の観測尤度の導出式へ代入することによって観測尤度p(at-1,Xt|at)を算出する。
Figure 0006003193
Figure 0006003193
図12は、観測尤度の算出結果の一例を示す図である。図12には、図3に示した存在尤度p(Xt|at)及び図10に示した遷移尤度p(at-1|at)を用いて算出された各エリアの観測尤度p(at-1,Xt|at)が図示されている。図12に示すように、部屋Aの観測尤度は、部屋Bから部屋Aへの遷移尤度「0.14」および部屋Aの存在尤度「0.70」を掛け合わせることによって「0.098」と算出される。また、部屋Bの観測尤度は、部屋Bから部屋Bへの遷移尤度「0.50」および部屋Bの存在尤度「0.25」を掛け合わせることによって「0.125」と算出される。また、部屋Cの観測尤度は、部屋Bから部屋Cへの遷移尤度「0.01」および部屋Cの存在尤度「0.02」を掛け合わせることによって「0.0002」と算出される。また、部屋Dの観測尤度は、部屋Bから部屋Dへの遷移尤度「0.01」および部屋Cの存在尤度「0.03」を掛け合わせることによって「0.0003」と算出される。
その上で、第3の算出部14は、各エリアの観測尤度p(at-1,Xt|at)および事前存在確率p(at)を上記の式(4)へ代入することによって各エリアの事後存在確率p(at|at-1,Xt)を算出する。
図13は、事後存在確率の算出結果の一例を示す図である。図13には、図12に示した観測尤度p(at-1,Xt|at)および図11に示した事前存在確率p(at)を用いて算出された各エリアの事後存在確率p(at|at-1,Xt)が図示されている。図13に示すように、部屋Aの事後存在確率は、部屋Aの観測尤度「0.098」および事前存在確率「0.22」を掛け合わせることによって「0.021600」と算出される。また、部屋Bの事後存在確率は、部屋Bの観測尤度「0.125」および事前存在確率「0.68」を掛け合わせることによって「0.085000」と算出される。また、部屋Cの事後存在確率は、部屋Cの観測尤度「0.0002」および事前存在確率「0.09」を掛け合わせることによって「0.000018」と算出される。また、部屋Dの事後存在確率は、部屋Dの観測尤度「0.0003」および事前存在確率「0.01」を掛け合わせることによって「0.000003」と算出される。
これら部屋A〜部屋Dの各エリアの事後存在確率の総和が1となるように正規化される。このようにして正規化後の部屋Aの事後存在確率「0.2026」、部屋Bの事後存在確率「0.7972」、部屋Cの事後存在確率「0.0002」、部屋Dの事後存在確率「0.0001」が算出される。
判別部15は、各エリアの事後存在確率に基づいて携帯端末10が存在するエリアを判別する処理部である。一態様としては、判別部15は、各エリアの事後存在確率のうち値が最大であるエリアatを今回の判別結果として選択する。図13の例で言えば、部屋A〜部屋Dの事後存在確率「0.2026」、「0.7972」、「0.0002」及び「0.0001」のうち部屋Bの自己存在確率が最大である。したがって、判別部15は、携帯端末10が部屋Bに存在すると判別する。
このように、本実施例に係る携帯端末10は、エリア判別器の結果だけでなく、エリアの遷移尤度の大きさによって携帯端末10が各エリアに存在する尤度を変更する。例えば、観測RSSIと出入口RSSIの距離が近いほど遷移尤度を大きくし、距離が遠いほど遷移尤度を小さくする。これによって、携帯端末10を保有する利用者が出入口から離れた壁付近、すなわち物理制約があって他のエリアへ遷移できない位置に存在する場合に、誤って他のエリアへ遷移した判別結果を導出するのを防止できる結果、真の結果を得る可能性を高めることができる。
かかるエリアの判別結果は、任意の出力先、例えば自装置または自装置が通信可能な外部装置で実行されるアプリケーション等へ出力することができる。例えば、システムが人の状況に応じてサービスを自律的に提供するコンテキストアウェアサービスを実現するアプリケーションへ出力できる。かかるコンテキストアウェアサービスの一例としては、購買意欲を向上させるために、利用者が店舗に近づいたときに利用者が保有する端末に店舗のクーポンを配信するサービスが挙げられる。他の一例としては、情報のセキュリティを高めるために、利用者が社外に出たときに利用者が保有する端末で閲覧できる情報を制限するサービスが挙げられる。更なる一例としては、会議が開始されたときに参加者が保有する端末に会議資料を配信するサービスが挙げられる。このように、対象の位置座標を検出せずとも、エリアが判別できれば有用なサービスを提供できる。
なお、取得部11、第1の算出部12、第2の算出部13、第3の算出部14及び判別部15には、各種の集積回路や電子回路を採用できる。例えば、集積回路としては、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。また、電子回路としては、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などが挙げられる。
また、判別履歴記憶部13a、RSSI記憶部13b及び事前確率記憶部14aには、次のようなデバイスを採用できる。例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ(flash memory)などの半導体メモリ素子を採用できる。また、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置も採用できる。
[処理の流れ]
続いて、本実施例に係る携帯端末の処理の流れについて説明する。図14は、実施例1に係るエリア判別処理の手順を示すフローチャートである。このエリア判別処理は、各AP30からのRSSIが測定される周期もしくはそれよりも長い周期で繰り返し実行することができる。
図14に示すように、携帯端末10は、フロア内に設置された各AP30からのRSSIを取得する(ステップS101)。続いて、携帯端末10は、エリア判別器の学習データ、例えば部屋A〜部屋Dのエリアごとに測定された各AP30のRSSI、例えば複数の測定値の分布やそれらの代表値などを取得する(ステップS102)。
そして、携帯端末10は、ステップS101で得られた各AP30の観測RSSIのベクトルデータXtをエリア判別器へ適用することによって存在尤度p(Xt|at)を算出する(ステップS103)。
その後、携帯端末10は、判別履歴記憶部13aに記憶されたエリアの判別履歴のうち直前の判別結果、すなわち1時刻前に判別されたエリアat-1を読み出す(ステップS104)。続いて、携帯端末10は、事前確率記憶部14aに記憶された各エリアの事前存在確率を読み出す(ステップS105)。
そして、携帯端末10は、遷移尤度の算出に用いるパラメータを取得する(ステップS106)。かかるパラメータの一例として、判別履歴記憶部13aに記憶されたエリアの判別履歴のうち直前の判別結果、すなわち1時刻前に判別されたエリアat-1が取得される。
続いて、携帯端末10は、エリアをカウントする変数iを「1」に初期化する(ステップS107)。そして、携帯端末10は、エリアiがエリアat-1と同一であるか否かを判定する(ステップS108)。
このとき、エリアiがエリアat-1と同一でない場合(ステップS108,No)には、携帯端末10は、出入口番号をカウントする変数kを「1」に初期化する(ステップS109)。続いて、携帯端末10は、RSSI記憶部13bに記憶された出入口RSSIのうちエリアiとエリアat-1の境界となる出入口番号kのRSSIを取得する(ステップS110)。
そして、携帯端末10は、観測RSSIおよび出入口RSSIを上記の式(1)へ代入することによってRSSI距離を算出する(ステップS111)。続いて、携帯端末10は、ステップS111で算出されたRSSI距離dtを上記の式(2)の尤度変換関数f(dt)へ代入することによってエリアの遷移尤度p(at-1|at)を算出する(ステップS112)。
その後、出入口番号をカウントする変数kが最後の出入口番号ではない場合(ステップS113,No)には、携帯端末10は、変数kを1つインクリメントし(ステップS114)、ステップS110〜S112までの処理を繰り返し実行する。
そして、出入口番号をカウントする変数kが最後の出入口番号である場合(ステップS113,Yes)には、携帯端末10は、次のような処理を実行する。すなわち、携帯端末10は、ステップS112で出入口別に算出された遷移尤度のうち最大の遷移尤度を選択する(ステップS115)。
また、上記のステップS108の判定においてエリアiがエリアat-1と同一である場合(ステップS108,Yes)には、携帯端末10は、エリアの遷移尤度p(at-1|at)を「0.5」に設定し(ステップS116)、ステップS117へ移行する。
そして、携帯端末10は、遷移尤度p(at-1|at)および存在尤度p(Xt|at)を上記の式(5)の観測尤度の導出式へ代入することによってエリアiの観測尤度p(at-1,Xt|at)を算出する(ステップS117)。
その上で、携帯端末10は、各エリアの観測尤度p(at-1,Xt|at)および事前存在確率p(at)を上記の式(4)へ代入することによってエリアiの事後存在確率p(at|at-1,Xt)を算出する(ステップS118)。
その後、エリアをカウントする変数iが最後のエリアではない場合(ステップS119,No)には、携帯端末10は、変数iを1つインクリメントし(ステップS120)、ステップS108〜S118までの処理を繰り返し実行する。
そして、エリアをカウントする変数iが最後のエリアである場合(ステップS119,Yes)には、携帯端末10は、各エリアの事後存在確率のうち値が最大であるエリアatを今回の判別結果として選択し(ステップS121)、処理を終了する。
[実施例1の効果]
上述してきたように、本実施例に係る携帯端末10は、携帯端末10が各エリアに存在する尤度とともに、各AP30の観測RSSIと出入口RSSIからエリア間を遷移する尤度を算出して携帯端末10が存在するエリアを判別する。このため、本実施例に係る携帯端末10では、携帯端末10を保有する利用者が出入口から離れた他のエリアとの境界位置、例えば物理制約があって他のエリアへ遷移できないが他のエリアと同様のRSSIが観測される位置に存在する場合に、誤って他のエリアへ遷移した判別結果を導出するのを防止できる。また、本実施例に係る携帯端末10では、広範に普及しているAP30を流用してエリア判別を行うので、発信器を始めとするインフラの整備が必ずしも必要なく、屋内の地図情報を予め準備しておく必要もない。したがって、本実施例に係る携帯端末10によれば、簡易な構成でエリアの判別精度を向上させることができる。
また、本実施例に係る携帯端末10は、存在尤度および遷移尤度を観測尤度とし、各エリアの事前存在確率を用いて、各エリアの事後存在確率をエリア別に算出し、最も事後存在確率が高いエリアを判別結果として選択する。このため、本実施例に係る携帯端末では、各AP30との間で観測されるRSSIに欠損が生じた場合でも、欠損が生じる前のエリアの判別結果が各エリアの事後存在確率に反映される。それゆえ、本実施例に係る携帯端末では、RSSIの欠損に起因してエリアの判別精度が低下するのを抑制できる。
さて、これまで開示の装置に関する実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
[RSSI距離]
上記の実施例1では、1つの出入口に関し、出入口の境界一点のRSSIと観測RSSIとの間でRSSI距離を算出する場合を例示したが、必ずしもRSSI距離は開示の装置は、これに限定されない。
すなわち、携帯端末10を保有する利用者がエリア間を遷移したとしても、出入口の境界地点の滞在時間が観測RSSIの取得周期に比べて短い場合には、出入口の境界地点とは隔てた位置で観測RSSIが取得される場合もある。出入口の内側と外側では、観測されるRSSIが出入口の境界地点と比べて大きく変化するので、RSSI距離が大きくなるに伴って遷移尤度も低くなり、エリア遷移が判別されないおそれもある。
これを防止するために、開示の装置は、出入口を境界に当該出入口によって区分けされる第1のエリアの出入口近傍で観測されるRSSIと第2のエリアの出入口近傍で観測されるRSSIとをRSSI記憶部13bに記憶しておき、第1のエリアの出入口近傍へのRSSI距離および第2のエリアの出入口近傍へのRSSI距離のうち最小値の距離を用いて遷移尤度を算出することもできる。
図15は、応用例を説明するための図である。図15に示すように、出入口の境界地点から見て内側にある内側地点で観測されるRSSIと出入口の境界地点から見て外側にある外側地点で観測されるRSSIとを出入口RSSIとして記憶しておく。その上で、開示の装置は、観測RSSIと内側地点の出入口RSSIと、観測RSSIと外側地点のRSSIとを下記の式(6)へ代入する。
Figure 0006003193
すなわち、開示の装置は、出入口の内側地点へのRSSI距離および出入口の外側地点へのRSSI距離のうち値が小さい方のRSSI距離を用いて、遷移尤度を算出する。これによって、利用者の出入口の境界地点における滞在時間が観測RSSIの取得周期に比べて短い場合でも誤判別を抑制することができる。
[シグモイド関数のパラメータ設定方法1]
開示の装置は、エリア間を遷移し得ない非出入口、例えば出入口から離れた壁際等におけるRSSIをさらに取得した上で、非出入口の遷移尤度の値を「0」、出入口での遷移尤度を「1」としてシグモイド関数に設定するパラメータを学習することもできる。
例えば、開示の装置は、出入口でのRSSIおよび非出入口でのRSSIを下記の式(7)へ代入することによって出入口での二乗誤差和および非出入口での二乗誤差和の総和Eが最小となるパラメータλ及びτを算出する。
Figure 0006003193
これによって、非出入口、例えば出入口から離れた壁際等で測定したRSSIを追加するだけで、シグモイド関数のパラメータの設定を自動化することが可能になる。
[シグモイド関数のパラメータ設定方法2]
また、開示の装置は、出入口での遷移尤度の統計量をもとに、シグモイド関数のパラメータλおよびτを設定することもできる。一例としては、開示の装置は、出入口RSSIの学習データから出入口RSSIの平均値を算出し、各々の出入口RSSIの学習データと出入口RSSIの平均値との間でRSSI距離を算出する。その上で、開示の装置は、先に算出したRSSI距離のうちRSSI距離の最大値をパラメータτに設定する。これによって、観測RSSIが出入口RSSIの学習データに含まれる場合に遷移尤度が「0.5」以上の値を取ることを保障できる。他の一例として、開示の装置は、出入口RSSIの学習データから出入口RSSIの分散値を算出する。その上で、開示の装置は、出入口RSSIの分散値が大きいほどパラメータλの値を小さく設定する。これによって、シグモイド関数のカーブを緩くし、RSSI距離がばらつくことに連動して遷移尤度の値がばらつくのを抑制する。一方、開示の装置は、出入口RSSIの分散値が小さいほどパラメータλの値を大きく設定する。これによって、携帯端末10が同じ位置にあるときにRSSI距離を安定して算出できる場合には、シグモイド関数のカーブを急にし、遷移尤度の値をよりピーキーに算出することもできる。
[遷移尤度1]
上記の実施例1では、RSSI距離を用いて遷移尤度を算出する場合を例示したが、必ずしもRSSI距離を用いて遷移尤度を算出する必要はない。例えば、開示の装置は、出入口近傍クラスの学習データを用意しておき、1クラス判別器、例えばone-class SVMを用いて出入口近傍の判別モデルを作成できる。かかる1クラス判別器によって判別された確信度を遷移尤度として用いることもできる。なお、上記のSVMは、「Support Vector Machine」の略称である。
[遷移尤度2]
例えば、開示の装置は、携帯端末10が有する温度センサ、湿度センサ、マイクを使って遷移尤度の引数とすることもできる。例えば、開示の装置は、温度センサ、湿度センサやマイクを用いてセンシングされたセンサ値の変化が大きいほど値が高くなるように、遷移尤度を算出することもできる。
[観測RSSI]
上記の実施例1では、現在時刻に取得された観測RSSIをそのままエリア判別に用いることとしたが、必ずしも現在時刻の観測RSSIをエリア判別に使用する必要はない。例えば、開示の装置は、携帯端末10が内蔵する加速度センサのセンシング値を用いて、利用者が停止状態にあるか否か、例えば立ち止まったり、座り込んだりしているか否かを判定する。このとき、利用者が停止状態にある場合には、開示の装置は、停止状態が開始された開始時点の観測RSSIや開始時点から現在時刻までの観測RSSIの統計値などをエリア判別に用いる。これによって、観測RSSIに欠損が生じた場合でも、欠損が発生した時点の前後の観測RSSIで補間されたRSSIをエリア判別に用いることができる。
[携帯端末以外の実装例]
上記の実施例1では、エリア判別プログラムが携帯端末10に実装される場合を例示したが、必ずしもエリア判別プログラムは携帯端末10に実装される必要はない。他の実装例としては、エリア判別プログラムを実行するWebサーバとして実装することとしてもよいし、また、画像処理サービスをアウトソーシングにより提供するクラウドとして実装することもできる。
[事前存在確率1]
例えば、エリア判別プログラムがサーバやクラウドとして実装される場合には、携帯端末10の利用者が使用するパーソナルコンピュータ(Personal Computer)のログを採取するPCロガーがONまたはOFFであるかによって事前存在確率を更新することもできる。すなわち、PCロガーがONである場合には、自席でPCの操作がなされているので、利用者が自席のあるエリア以外には存在しないと推定できる。この場合には、開示の装置は、事前確率記憶部14aに記憶された各エリアの事前存在確率を破棄し、利用者の自席があるエリアの事前存在確率を「1」とし、それ以外のエリアの事前存在確率を「0」に更新することもできる。
[事前存在確率2]
また、開示の装置は、携帯端末10が内蔵する加速度センサを使って利用者の姿勢を推定し、その姿勢に応じて事前存在確率を更新することもできる。すなわち、利用者の姿勢が座っていると推定された場合には、オフィスや会議室で着座している可能性が高いとみなすことができる。この場合には、開示の装置は、廊下の事前存在確率を「0」とし、オフィスや会議室の事前存在確率を「1」に更新することもできる。
[判別対象とするエリア]
開示の装置は、エリア判別器をフロアごとに分割することもできる。この場合には、フロアを判別する機能をさらにアドオンするのが好ましい。その上で、開示の装置は、判別されたフロアに対応するエリア判別器を用いることによって計算量を削減することができる。
[分散および統合]
また、図示した各装置の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、取得部11、第1の算出部12、第2の算出部13、第3の算出部14または判別部15を携帯端末10の外部装置としてネットワーク経由で接続するようにしてもよい。また、取得部11、第1の算出部12、第2の算出部13、第3の算出部14または判別部15を別の装置がそれぞれ有し、ネットワーク接続されて協働することで、上記の携帯端末10の機能を実現するようにしてもよい。
[エリア判別プログラム]
また、上記の実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図16を用いて、上記の実施例と同様の機能を有するエリア判別プログラムを実行するコンピュータの一例について説明する。
図16は、実施例1及び実施例2に係るエリア判別プログラムを実行するコンピュータの一例について説明するための図である。図16に示すように、コンピュータ100は、操作部110aと、スピーカ110bと、カメラ110cと、ディスプレイ120と、通信部130とを有する。さらに、このコンピュータ100は、CPU150と、ROM160と、HDD170と、RAM180とを有する。これら110〜180の各部はバス140を介して接続される。
HDD170には、図16に示すように、上記の実施例1で示した取得部11、第1の算出部12、第2の算出部13、第3の算出部14及び判別部15と同様の機能を発揮するエリア判別プログラム170aが予め記憶される。このエリア判別プログラム170aについては、図1に示した各々の取得部11、第1の算出部12、第2の算出部13、第3の算出部14及び判別部15の各構成要素と同様、適宜統合又は分離しても良い。すなわち、HDD170に格納される各データは、常に全てのデータがHDD170に格納される必要はなく、処理に必要なデータのみがHDD170に格納されれば良い。
そして、CPU150が、エリア判別プログラム170aをHDD170から読み出してRAM180に展開する。これによって、図16に示すように、エリア判別プログラム170aは、エリア判別プロセス180aとして機能する。このエリア判別プロセス180aは、HDD170から読み出した各種データを適宜RAM180上の自身に割り当てられた領域に展開し、この展開した各種データに基づいて各種処理を実行する。なお、エリア判別プロセス180aは、図1に示した取得部11、第1の算出部12、第2の算出部13、第3の算出部14及び判別部15にて実行される処理、例えば図14に示す処理を含む。また、CPU150上で仮想的に実現される各処理部は、常に全ての処理部がCPU150上で動作する必要はなく、処理に必要な処理部のみが仮想的に実現されれば良い。
なお、上記のエリア判別プログラム170aについては、必ずしも最初からHDD170やROM160に記憶させておく必要はない。例えば、コンピュータ100に挿入されるフレキシブルディスク、いわゆるFD、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させる。そして、コンピュータ100がこれらの可搬用の物理媒体から各プログラムを取得して実行するようにしてもよい。また、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ100に接続される他のコンピュータまたはサーバ装置などに各プログラムを記憶させておき、コンピュータ100がこれらから各プログラムを取得して実行するようにしてもよい。
10 携帯端末
11 取得部
12 第1の算出部
13a 判別履歴記憶部
13b RSSI記憶部
13 第2の算出部
14a 事前確率記憶部
14 第3の算出部
15 判別部

Claims (5)

  1. エリア間の出入口ごとに、当該出入口の地点で観測される携帯端末の受信信号強度であって無線構内通信網の発信器によって発信された電波に関する受信信号強度を対応付けて記憶する記憶部と、
    携帯端末によって前記発信器ごとに測定された受信信号強度を取得する取得部と、
    前記発信器ごとに取得された受信信号強度から、前記携帯端末が各エリアに存在する尤もらしさを表す存在尤度をエリア別に算出する第1の算出部と、
    前記発信器ごとに取得された受信信号強度と、前記記憶部に前記出入口ごとに記憶された発信器別の受信信号強度とを用いて、前記携帯端末がエリア間を遷移する尤もらしさを表す遷移尤度を遷移先のエリア別に算出する第2の算出部と、
    前記エリア別に算出された存在尤度および前記遷移先のエリア別に算出された遷移尤度に基づいて前記携帯端末が存在するエリアを判別する判別部とを有し、
    前記記憶部は、前記出入口ごとに、前記出入口を境界に当該出入口によって区分けされる第1のエリアの出入口近傍で観測される受信信号強度と前記第1のエリアと前記出入口を介して隣接する第2のエリアの出入口近傍で観測される受信信号強度とを対応付けて記憶し、
    前記第2の算出部は、前記発信器ごとに取得された受信信号強度と前記第1のエリアの出入口近傍で観測される発信器別の受信信号強度との距離、及び、前記発信器ごとに取得された受信信号強度と前記第2のエリアの出入口近傍で観測される発信器別の受信信号強度との距離のうち最小値の距離を用いて、前記遷移尤度を算出することを特徴とするエリア判別装置。
  2. 前記第2の算出部は、前記発信器ごとに取得された受信信号強度と、前記記憶部に前記出入口ごとに記憶された発信器別の受信信号強度との距離が小さいほど値が大きくなるように前記遷移尤度を前記遷移先のエリア別に算出することを特徴とする請求項1に記載のエリア判別装置。
  3. 前記携帯端末が存在する事前確率をエリア別に導出する導出部と、
    前記エリア別に算出された存在尤度および前記遷移先のエリア別に算出された遷移尤度を観測尤度とし、前記エリア別に導出された事前確率を用いて、前記携帯端末が存在する事後確率をエリア別に算出する第3の算出部とをさらに有し、
    前記判別部は、前記エリア別に算出された事後確率のうち最も事後確率が高いエリアを判別結果として選択することを特徴とする請求項1または2に記載のエリア判別装置。
  4. コンピュータが、
    携帯端末によって無線構内通信網の発信器ごとに測定された受信信号強度を取得し、
    前記発信器ごとに取得された受信信号強度から、前記携帯端末が各エリアに存在する尤もらしさを表す存在尤度をエリア別に算出し、
    エリア間の出入口ごとに当該出入口の地点で観測される携帯端末の受信信号強度であって前記発信器によって発信された電波に関する受信信号強度を対応付けて記憶する記憶部に前記出入口ごとに記憶された発信器別の受信信号強度と、前記発信器ごとに取得された受信信号強度とを用いて、前記携帯端末がエリア間を遷移する尤もらしさを表す遷移尤度を遷移先のエリア別に算出し、
    前記エリア別に算出された存在尤度および前記遷移先のエリア別に算出された遷移尤度に基づいて前記携帯端末が存在するエリアを判別する処理を実行し、
    前記記憶部は、前記出入口ごとに、前記出入口を境界に当該出入口によって区分けされる第1のエリアの出入口近傍で観測される受信信号強度と前記第1のエリアと前記出入口を介して隣接する第2のエリアの出入口近傍で観測される受信信号強度とを対応付けて記憶し、
    前記遷移尤度を算出する処理は、前記発信器ごとに取得された受信信号強度と前記第1のエリアの出入口近傍で観測される発信器別の受信信号強度との距離、及び、前記発信器ごとに取得された受信信号強度と前記第2のエリアの出入口近傍で観測される発信器別の受信信号強度との距離のうち最小値の距離を用いて、前記遷移尤度を算出することを特徴とするエリア判別方法。
  5. コンピュータに、
    携帯端末によって無線構内通信網の発信器ごとに測定された受信信号強度を取得し、
    前記発信器ごとに取得された受信信号強度から、前記携帯端末が各エリアに存在する尤もらしさを表す存在尤度をエリア別に算出し、
    エリア間の出入口ごとに当該出入口の地点で観測される携帯端末の受信信号強度であって前記発信器によって発信された電波に関する受信信号強度を対応付けて記憶する記憶部に前記出入口ごとに記憶された発信器別の受信信号強度と、前記発信器ごとに取得された受信信号強度とを用いて、前記携帯端末がエリア間を遷移する尤もらしさを表す遷移尤度を遷移先のエリア別に算出し、
    前記エリア別に算出された存在尤度および前記遷移先のエリア別に算出された遷移尤度に基づいて前記携帯端末が存在するエリアを判別する処理を実行させ、
    前記記憶部は、前記出入口ごとに、前記出入口を境界に当該出入口によって区分けされる第1のエリアの出入口近傍で観測される受信信号強度と前記第1のエリアと前記出入口を介して隣接する第2のエリアの出入口近傍で観測される受信信号強度とを対応付けて記憶し、
    前記遷移尤度を算出する処理は、前記発信器ごとに取得された受信信号強度と前記第1のエリアの出入口近傍で観測される発信器別の受信信号強度との距離、及び、前記発信器ごとに取得された受信信号強度と前記第2のエリアの出入口近傍で観測される発信器別の受信信号強度との距離のうち最小値の距離を用いて、前記遷移尤度を算出することを特徴とするエリア判別プログラム。
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