JP6003193B2 - エリア判別装置、エリア判別方法及びエリア判別プログラム - Google Patents
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Description
図1は、実施例1に係る携帯端末の機能的構成を示すブロック図である。図1に示す携帯端末10は、無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイント30からの受信信号強度(Received Signal Strength Indicator:RSSI)を用いて、携帯端末10が在圏するエリアを判別するエリア判別処理を実行するものである。なお、以下では、無線LANのアクセスポイント(Access Point)のことを「AP」と記載する場合がある。
続いて、本実施例に係る携帯端末の処理の流れについて説明する。図14は、実施例1に係るエリア判別処理の手順を示すフローチャートである。このエリア判別処理は、各AP30からのRSSIが測定される周期もしくはそれよりも長い周期で繰り返し実行することができる。
上述してきたように、本実施例に係る携帯端末10は、携帯端末10が各エリアに存在する尤度とともに、各AP30の観測RSSIと出入口RSSIからエリア間を遷移する尤度を算出して携帯端末10が存在するエリアを判別する。このため、本実施例に係る携帯端末10では、携帯端末10を保有する利用者が出入口から離れた他のエリアとの境界位置、例えば物理制約があって他のエリアへ遷移できないが他のエリアと同様のRSSIが観測される位置に存在する場合に、誤って他のエリアへ遷移した判別結果を導出するのを防止できる。また、本実施例に係る携帯端末10では、広範に普及しているAP30を流用してエリア判別を行うので、発信器を始めとするインフラの整備が必ずしも必要なく、屋内の地図情報を予め準備しておく必要もない。したがって、本実施例に係る携帯端末10によれば、簡易な構成でエリアの判別精度を向上させることができる。
上記の実施例1では、1つの出入口に関し、出入口の境界一点のRSSIと観測RSSIとの間でRSSI距離を算出する場合を例示したが、必ずしもRSSI距離は開示の装置は、これに限定されない。
開示の装置は、エリア間を遷移し得ない非出入口、例えば出入口から離れた壁際等におけるRSSIをさらに取得した上で、非出入口の遷移尤度の値を「0」、出入口での遷移尤度を「1」としてシグモイド関数に設定するパラメータを学習することもできる。
また、開示の装置は、出入口での遷移尤度の統計量をもとに、シグモイド関数のパラメータλおよびτを設定することもできる。一例としては、開示の装置は、出入口RSSIの学習データから出入口RSSIの平均値を算出し、各々の出入口RSSIの学習データと出入口RSSIの平均値との間でRSSI距離を算出する。その上で、開示の装置は、先に算出したRSSI距離のうちRSSI距離の最大値をパラメータτに設定する。これによって、観測RSSIが出入口RSSIの学習データに含まれる場合に遷移尤度が「0.5」以上の値を取ることを保障できる。他の一例として、開示の装置は、出入口RSSIの学習データから出入口RSSIの分散値を算出する。その上で、開示の装置は、出入口RSSIの分散値が大きいほどパラメータλの値を小さく設定する。これによって、シグモイド関数のカーブを緩くし、RSSI距離がばらつくことに連動して遷移尤度の値がばらつくのを抑制する。一方、開示の装置は、出入口RSSIの分散値が小さいほどパラメータλの値を大きく設定する。これによって、携帯端末10が同じ位置にあるときにRSSI距離を安定して算出できる場合には、シグモイド関数のカーブを急にし、遷移尤度の値をよりピーキーに算出することもできる。
上記の実施例1では、RSSI距離を用いて遷移尤度を算出する場合を例示したが、必ずしもRSSI距離を用いて遷移尤度を算出する必要はない。例えば、開示の装置は、出入口近傍クラスの学習データを用意しておき、1クラス判別器、例えばone-class SVMを用いて出入口近傍の判別モデルを作成できる。かかる1クラス判別器によって判別された確信度を遷移尤度として用いることもできる。なお、上記のSVMは、「Support Vector Machine」の略称である。
例えば、開示の装置は、携帯端末10が有する温度センサ、湿度センサ、マイクを使って遷移尤度の引数とすることもできる。例えば、開示の装置は、温度センサ、湿度センサやマイクを用いてセンシングされたセンサ値の変化が大きいほど値が高くなるように、遷移尤度を算出することもできる。
上記の実施例1では、現在時刻に取得された観測RSSIをそのままエリア判別に用いることとしたが、必ずしも現在時刻の観測RSSIをエリア判別に使用する必要はない。例えば、開示の装置は、携帯端末10が内蔵する加速度センサのセンシング値を用いて、利用者が停止状態にあるか否か、例えば立ち止まったり、座り込んだりしているか否かを判定する。このとき、利用者が停止状態にある場合には、開示の装置は、停止状態が開始された開始時点の観測RSSIや開始時点から現在時刻までの観測RSSIの統計値などをエリア判別に用いる。これによって、観測RSSIに欠損が生じた場合でも、欠損が発生した時点の前後の観測RSSIで補間されたRSSIをエリア判別に用いることができる。
上記の実施例1では、エリア判別プログラムが携帯端末10に実装される場合を例示したが、必ずしもエリア判別プログラムは携帯端末10に実装される必要はない。他の実装例としては、エリア判別プログラムを実行するWebサーバとして実装することとしてもよいし、また、画像処理サービスをアウトソーシングにより提供するクラウドとして実装することもできる。
例えば、エリア判別プログラムがサーバやクラウドとして実装される場合には、携帯端末10の利用者が使用するパーソナルコンピュータ(Personal Computer)のログを採取するPCロガーがONまたはOFFであるかによって事前存在確率を更新することもできる。すなわち、PCロガーがONである場合には、自席でPCの操作がなされているので、利用者が自席のあるエリア以外には存在しないと推定できる。この場合には、開示の装置は、事前確率記憶部14aに記憶された各エリアの事前存在確率を破棄し、利用者の自席があるエリアの事前存在確率を「1」とし、それ以外のエリアの事前存在確率を「0」に更新することもできる。
また、開示の装置は、携帯端末10が内蔵する加速度センサを使って利用者の姿勢を推定し、その姿勢に応じて事前存在確率を更新することもできる。すなわち、利用者の姿勢が座っていると推定された場合には、オフィスや会議室で着座している可能性が高いとみなすことができる。この場合には、開示の装置は、廊下の事前存在確率を「0」とし、オフィスや会議室の事前存在確率を「1」に更新することもできる。
開示の装置は、エリア判別器をフロアごとに分割することもできる。この場合には、フロアを判別する機能をさらにアドオンするのが好ましい。その上で、開示の装置は、判別されたフロアに対応するエリア判別器を用いることによって計算量を削減することができる。
また、図示した各装置の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、取得部11、第1の算出部12、第2の算出部13、第3の算出部14または判別部15を携帯端末10の外部装置としてネットワーク経由で接続するようにしてもよい。また、取得部11、第1の算出部12、第2の算出部13、第3の算出部14または判別部15を別の装置がそれぞれ有し、ネットワーク接続されて協働することで、上記の携帯端末10の機能を実現するようにしてもよい。
また、上記の実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図16を用いて、上記の実施例と同様の機能を有するエリア判別プログラムを実行するコンピュータの一例について説明する。
11 取得部
12 第1の算出部
13a 判別履歴記憶部
13b RSSI記憶部
13 第2の算出部
14a 事前確率記憶部
14 第3の算出部
15 判別部
Claims (5)
- エリア間の出入口ごとに、当該出入口の地点で観測される携帯端末の受信信号強度であって無線構内通信網の発信器によって発信された電波に関する受信信号強度を対応付けて記憶する記憶部と、
携帯端末によって前記発信器ごとに測定された受信信号強度を取得する取得部と、
前記発信器ごとに取得された受信信号強度から、前記携帯端末が各エリアに存在する尤もらしさを表す存在尤度をエリア別に算出する第1の算出部と、
前記発信器ごとに取得された受信信号強度と、前記記憶部に前記出入口ごとに記憶された発信器別の受信信号強度とを用いて、前記携帯端末がエリア間を遷移する尤もらしさを表す遷移尤度を遷移先のエリア別に算出する第2の算出部と、
前記エリア別に算出された存在尤度および前記遷移先のエリア別に算出された遷移尤度に基づいて前記携帯端末が存在するエリアを判別する判別部とを有し、
前記記憶部は、前記出入口ごとに、前記出入口を境界に当該出入口によって区分けされる第1のエリアの出入口近傍で観測される受信信号強度と前記第1のエリアと前記出入口を介して隣接する第2のエリアの出入口近傍で観測される受信信号強度とを対応付けて記憶し、
前記第2の算出部は、前記発信器ごとに取得された受信信号強度と前記第1のエリアの出入口近傍で観測される発信器別の受信信号強度との距離、及び、前記発信器ごとに取得された受信信号強度と前記第2のエリアの出入口近傍で観測される発信器別の受信信号強度との距離のうち最小値の距離を用いて、前記遷移尤度を算出することを特徴とするエリア判別装置。 - 前記第2の算出部は、前記発信器ごとに取得された受信信号強度と、前記記憶部に前記出入口ごとに記憶された発信器別の受信信号強度との距離が小さいほど値が大きくなるように前記遷移尤度を前記遷移先のエリア別に算出することを特徴とする請求項1に記載のエリア判別装置。
- 前記携帯端末が存在する事前確率をエリア別に導出する導出部と、
前記エリア別に算出された存在尤度および前記遷移先のエリア別に算出された遷移尤度を観測尤度とし、前記エリア別に導出された事前確率を用いて、前記携帯端末が存在する事後確率をエリア別に算出する第3の算出部とをさらに有し、
前記判別部は、前記エリア別に算出された事後確率のうち最も事後確率が高いエリアを判別結果として選択することを特徴とする請求項1または2に記載のエリア判別装置。 - コンピュータが、
携帯端末によって無線構内通信網の発信器ごとに測定された受信信号強度を取得し、
前記発信器ごとに取得された受信信号強度から、前記携帯端末が各エリアに存在する尤もらしさを表す存在尤度をエリア別に算出し、
エリア間の出入口ごとに当該出入口の地点で観測される携帯端末の受信信号強度であって前記発信器によって発信された電波に関する受信信号強度を対応付けて記憶する記憶部に前記出入口ごとに記憶された発信器別の受信信号強度と、前記発信器ごとに取得された受信信号強度とを用いて、前記携帯端末がエリア間を遷移する尤もらしさを表す遷移尤度を遷移先のエリア別に算出し、
前記エリア別に算出された存在尤度および前記遷移先のエリア別に算出された遷移尤度に基づいて前記携帯端末が存在するエリアを判別する処理を実行し、
前記記憶部は、前記出入口ごとに、前記出入口を境界に当該出入口によって区分けされる第1のエリアの出入口近傍で観測される受信信号強度と前記第1のエリアと前記出入口を介して隣接する第2のエリアの出入口近傍で観測される受信信号強度とを対応付けて記憶し、
前記遷移尤度を算出する処理は、前記発信器ごとに取得された受信信号強度と前記第1のエリアの出入口近傍で観測される発信器別の受信信号強度との距離、及び、前記発信器ごとに取得された受信信号強度と前記第2のエリアの出入口近傍で観測される発信器別の受信信号強度との距離のうち最小値の距離を用いて、前記遷移尤度を算出することを特徴とするエリア判別方法。 - コンピュータに、
携帯端末によって無線構内通信網の発信器ごとに測定された受信信号強度を取得し、
前記発信器ごとに取得された受信信号強度から、前記携帯端末が各エリアに存在する尤もらしさを表す存在尤度をエリア別に算出し、
エリア間の出入口ごとに当該出入口の地点で観測される携帯端末の受信信号強度であって前記発信器によって発信された電波に関する受信信号強度を対応付けて記憶する記憶部に前記出入口ごとに記憶された発信器別の受信信号強度と、前記発信器ごとに取得された受信信号強度とを用いて、前記携帯端末がエリア間を遷移する尤もらしさを表す遷移尤度を遷移先のエリア別に算出し、
前記エリア別に算出された存在尤度および前記遷移先のエリア別に算出された遷移尤度に基づいて前記携帯端末が存在するエリアを判別する処理を実行させ、
前記記憶部は、前記出入口ごとに、前記出入口を境界に当該出入口によって区分けされる第1のエリアの出入口近傍で観測される受信信号強度と前記第1のエリアと前記出入口を介して隣接する第2のエリアの出入口近傍で観測される受信信号強度とを対応付けて記憶し、
前記遷移尤度を算出する処理は、前記発信器ごとに取得された受信信号強度と前記第1のエリアの出入口近傍で観測される発信器別の受信信号強度との距離、及び、前記発信器ごとに取得された受信信号強度と前記第2のエリアの出入口近傍で観測される発信器別の受信信号強度との距離のうち最小値の距離を用いて、前記遷移尤度を算出することを特徴とするエリア判別プログラム。
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