本発明の一態様によれば、水底下の地質構造の探査のために、強力な、掃引周波数の、パルス符号化された音エネルギ信号を発生させ、水体内に伝搬させる、牽引可能な海中振動エネルギ源が開示されている。
本発明の例示的実施形態によって与えられる数多くの利点は、その流線形の形状と、装置を水体内の指定深度において牽引又は配置して維持する為の制御とによって得られるものである。この海中振動源の滑らかな外形は、システムが、過剰な前進抵抗を引き起こしたり、海洋、海、湖、又は他の水体の底面にある突き出た岩石層や他の物体にはさまったり、ひっかかったりすることなく、底面上の地質構造の地形の上を移動させることを可能にする。この、突起のない、滑らかな形状は又、システムの、探査船への上げ下ろしを支援する。任意選択で、海中振動源を、探査船から低速及び高速で牽引しながら、所望の深度に位置決めすることを支援する深度制御フィンが、システムに取り付けられてよい。システムは更に、水体底面上の固定位置で動作してよい。
本発明の斬新な一態様によれば、振動源は、長い円筒形のステンレス鋼ハウジングとして形成された中間部に、半球形の牽引ヘッドと、流線形の船尾ヘッドとが取り付けられている。牽引ヘッドの上面には、空気管、送水管、水圧制御線、及び電気制御線の接続の為の一連の取り付けポートを有する補助ハッチが取り付けられている。この一連の取り付けポートは、海中振動源が引っ張られている方向とは逆の方向に向かって鋭角に延びている。この逆向きの角度によって、高圧の水圧管、空気管、及び電気ケーブル束の中の応力が軽減される。水圧入力管及び水圧出力管は、それぞれが、主流体伝達アセンブリの入力導管及び出力導管に取り付けられており、各導管は、補助ハッチ内の別々の大きめのサイズの開口を通って延びている。これらの開口は、主配管導管より径が大きくなっており、これは、海中振動源の動作中に、高圧の水圧流体が(例えば、2Hzから200Hzの範囲の周波数で)サーボ弁を出入りする際に、主流体伝達アセンブリが、これらの、より大径の開口の中で振動してもよいようにする為である。補助ハッチに溶接されたステンレス鋼の配管は、各入出力導管を、伸縮性であり弾性であるゴムホースジャンパで取り囲んでおり、ホースジャンパによって、ハッチ配管が、入出力水圧管の着脱自在フィッティングに取り付けられている。牽引ヘッドハウジング内では、高圧水圧流体は更に、主流体伝達アセンブリと一直線上にある脈動抑制器を通っており、これによって、高圧水圧流体の流れ方向の変化によって引き起こされる脈動が除去される。低周波及び高周波の脈動が脈動抑制器に吸収され、これによって、管内の流体圧力が(例えば)3000Psiに達する場合に、サーボ弁又は他のシステム構成要素に対する損傷が防がれ、スプリアスノイズや振動が除去される。
海中振動源の別の重要な態様が、幾つかのピストンチャンバアセンブリの端部同士が結合された中間部が形成された、モジュール式の円筒ハウジングである。ピストンチャンバアセンブリのそれぞれは、軸方向に互いに並んで取り付けられており、前方アセンブリは、牽引ヘッドの外殻に取り付けられており、後方アセンブリは、船尾ヘッドの外殻に取り付けられている。この取り付けには、3つの部品からなるフランジクランプリングが使用されており、これによって、第1のピストンチャンバアセンブリの円筒ハウジングが、チャンバ内の固定バルクヘッドの外径に固定されている。第2のピストンチャンバアセンブリの円筒ハウジングも、クランプリング内で固定バルクヘッドに固定されており、更なる各チャンバが同様に取り付けられて、中間部を形成している。このモジュール式構造によって、必要な数だけチャンバを取り付けることが可能であり、これによって、システムは、特定の水体及び探査に応じた振動出力要件を満たすことに好適な長さ及び寸法に構成されることが可能になる。
これらのモジュール式ピストンチャンバのそれぞれの中では、各ピストンチャンバアセンブリの固定バルクヘッドの開口を貫通して挿入されているしかるべき長さのピストンシャフトに、軸方向に振動可能なピストンが取り付けられている。このピストンシャフトは、固定バルクヘッドの中央穴の中で前後に動く。ピストン及び固定バルクヘッドは、それぞれが、互いに対向して配置された円錐形状面を有しており、これらの円錐形状面が、砂時計形の圧縮チャンバを形成している。ピストンがシャフトとともに前後に動くと、ピストン及びバルクヘッドの円錐形状面間で水が脈動して円錐形状面から押し出され、波が外に伝搬し、海中振動システムの周囲に伝搬する。ピストン及びバルクヘッドの円錐形状面は、円筒ハウジング内で水が押し出されてポートを通る動きを誘導することにより、振動信号の特性を、平坦面ピストンの場合に比べて向上させている。これらの円錐形状面は更に、圧縮チャンバ容積を小さくすることによって、システム全体の出力要件を小さくしている。これは、同等サイズの平坦面ピストンに比べて、動かさなければならない水の量が小さくなる為である。チャンバ内では、シャフト及びピストンが前後に振動して音波を発生させており、この音波を使用して、水体の底面下の地質構造が識別される。
これらの円錐形状ピストンは、例えば、チタンで作られており、内部ガセット及びリブが構造を支持する中空構造である為、システムの全体重量がより軽くなって、出力要件が更に低減されている。これらの円錐形状ピストンは、チタン製スリーブスペーサを使用してチタン製シャフトに沿って配置されており、これらのスリーブスペーサは、円錐形状固定バルクヘッドのそれぞれの開口を貫通して延びている別のスペーサとともに、ピストンを各バルクヘッドの間に位置決めしている。固定バルクヘッドは、ステンレス鋼又はステンレス鋼合金(17−4phなど)などの非腐食性材料で作られている。バルクヘッドも、中空の薄い円環として形成されていて、円錐形状面及び平坦な背面を有しており、この平坦な背面は、隣のピストンアセンブリチャンバ内の円錐形状ピストンの平坦な背面と隣接して配置されている。ピストン及びバルクヘッドの各背面は、一連の穴を有しており、これらの穴は、ピストン及び固定バルクヘッドの内部と共通の空気キャビティを形成している。空気は、探査船上で圧縮機から圧力調整器を通って、チタン製ピストンシャフトの中心にある軸方向通路に強制注入され、ピストン及びバルクヘッドの空気キャビティ及び内部空間に入る。この圧力は、動作中にピストンにかかる力をバランスさせる為に、周囲水圧又はその近辺に維持される。この、バランスがとれた気圧は、牽引ヘッド及び船尾ヘッドの内部区画も満たす。牽引ヘッドの外部外殻に取り付けられたデュアル圧力センサを使用して、内部圧力及び外部圧力が測定され、探査船上の制御システムに中継される。これらの圧力の読みに基づいて、振動信号の特性を変更する為の、システムの気圧の調節が行われてよい。更に、システム圧力を監視することにより、空気漏れ又は他のシステム異常を検出することが可能である。
ピストンシャフトは、牽引ヘッド内で、アクチュエータ円筒ハウジングの中まで延びている。ハウジング内のタンデムアクチュエータピストンアセンブリがピストンシャフトに取り付けられており、アクチュエータピストンの動きは、閉ループ水圧出力伝達循環路によって制御される。アクチュエータ円筒ハウジングの平坦な上面にマニホールドが直接取り付けられており、マニホールドの上部にサーボ弁が直接取り付けられて、マニホールドを直接貫通して各アクチュエータピストンの水圧チャンバまで延びている垂直流体伝達ボアを形成している。伝達ボアは、長さが最小限であって、アクチュエータピストンの径より短く、これによって、流体をシステムに伝達する効率が向上する。動作時には、高圧水圧流体を、前方伝達ボアを通って流れて前方アクチュエータピストン水圧チャンバを満たすように誘導する、変調された掃引(又はパルス)電気信号が、探査船上の制御装置からサーボ弁に送信される。同時に、流体の流れが、後方アクチュエータ水圧チャンバから出て後方アクチュエータピストンから流体を空にするように誘導され、これによって、アクチュエータ及びシャフトが、円錐形状ピストンとともに、シャフトに沿って前方に動く。流体の流れの方向を変更して、水圧流体を、後方アクチュエータピストン水圧チャンバを満たすように誘導し、同時に、前方アクチュエータピストン水圧チャンバから流体を空にするように流れを誘導して、全てのピストンをシャフトに沿って後方に動かすように、サーボ弁を制御する信号が、選択された周波数で送信される。掃引される正弦波状信号及びパルス化正弦波状信号は、2HZから200HZの範囲にあってよく、変調されて、正弦状信号、のこぎり歯状信号、方形波信号、三角波信号、又は他の形状の信号を形成してよく、これによって、各モジュール式チャンバ内でピストンを振動させて、圧縮チャンバ内で水を振動させ、選択された周波数で振動波を伝搬させてよい。周波数及び波形は、キャビテーションを減らして振動波の全体特性を向上させるように調節されてよい。又、ピストンシャフトの端部に取り付けられた測位センサが、電子信号の周波数を、所望の波形、又は一定期間にわたって所望される事前設定周波数範囲に調節する為のフィードバックを、探査船上のコンピュータ制御システムに提供しており、これによって、流体の流れが調節されて、振動源から出て伝搬する音波の周波数が調節される。サーボ弁は、周波数の微細な同調調節を受け入れて速やかに流体の流れを調節することにより、所望の波形又は周波数範囲と合致する真の高度に再現可能な波形を発生させ、且つ、これを維持して、コンピュータ制御システムソフトウェアが水体の底面の何マイルも下の地質構造の構造組成を確実に決定すべく振幅のフィルタリング及び結合を行うことを可能にする。
別の実施形態では、細長い円筒エラストマダイヤフラムが、中間部の円筒ハウジングを丸く囲むように、牽引ヘッド後部及び船尾ヘッド前部に取り付けられてよい。このダイヤフラムは、牽引ヘッド及び船尾ヘッドでのみ固定されている為、クランプリング上に乗って、ダイヤフラムと円筒ハウジングとの間に調節可能な空間又はチャンバを形成している。ピストン圧縮チャンバは、真水、又は凍結防止の為に真水とプロピレングリコールを混合したもので満たされており、一連のポートがエラストマダイヤフラムと連通している。各ピストンチャンバアセンブリは、複数のポートを有しており、これらのポートの断面積の合計は円錐形状ピストンの断面積より大きく、これによって、各圧縮チャンバに出入りする水の振動流量が最大化されている。ピストンが振動すると、水がダイヤフラム内の調節可能空間を満たして、電気信号の周波数と一致する周波数での、ダイヤフラムの膨張及び収縮を引き起こす。ダイヤフラムの表面領域全体が、水との振動結合となり、波形をポートから大きな均一面にわたって広げる。
本発明のこの態様では、ダイヤフラムは、音伝達部材となり、水中に浸漬された際に、制御システムからの所望の信号又は事前設定周波数範囲をより正確に複製する動きを有する。振動信号サイクルの第1の部分(例えば、正弦波の立ち上がり)では、可動水結合部材は、圧力下で水を押しのける。振動信号サイクルの正弦波の立ち下がり時にピストンが後退して圧縮チャンバ内の空間が膨張すると、結合部材が反転し、外向きに動いている水は、結合部材に追従する為に方向を反転しなければならない。その時点では、界面を挟んだ結合部材と水との間で圧力が希薄化する。海中振動源が水中の浅い深度で動作している場合、特に、圧縮チャンバ内の水が張力下且つ低圧下にある場合の温かい水の中で、結合部材と水との間の界面において、部分的な真空及び水蒸気からなるキャビテーションが発生する可能性がある。キャビテーションは、伝達される音信号において望ましくないスパイクを発生させる。この問題に対する1つの解決策は、振動源をより深い深度で動作させることである。深い深度であれば、水圧がより高く、ピストン又は他の振動伝達部材が後方ストローク時に後方に動いてもキャビテーションが発生しにくい。
本発明の別の実施形態では、音伝達円筒ダイヤフラムの範囲内の調節可能空間に水を加える為の給水管が設けられている。この水は、振動源の動作時に、加えられたり、差し引かれたりしてよい。ダイヤフラムは、強度及び弾性がある為、伸ばされることに対して抵抗力があり、従って、追加の水が加えられるにつれて、ダイヤフラム内の圧力が増加して、圧縮チャンバ内で水と面する円錐形状ピストン面においてキャビテーションが発生する可能性が下がる。これは、振動源を浅い水中で(例えば、沼地や水体の岸辺付近で)動作させる場合には、重要な利点である。円筒ダイヤフラムの、周囲の水に面している表面積が、ピストンの、チャンバ内の水に面している表面積より大きい為、ダイヤフラムの外側表面は、動きが比較的小さく、従って、キャビテーションが発生しにくい。給水管は、補助カバー内に形成されて、空間を満たす為に水を探査船から環状導管を通じて誘導したり、ダイヤフラムの下から空気を放出して、ピストンの高い周波数の動きによって引き起こされるキャビテーションを減らしたりして、振動源の全体的な周波数応答を向上させる。ベントとしての供給導管は更に、動作中にベントから空気が漏れている場合にシステム内の封止材の破損や漏れを検出することにも備えられている。更に、信号処理に使用される基準としての、振動源からの信号を監視して制御システムに中継する水中マイクが、補助ハッチの後面に配置されている。本例示的実施形態では、このシステムは、ピストン及びバルクヘッドの対向する円錐形状から振動パルスが形成されて放出される為に、円筒ダイヤフラムがなくても動作する(これについては本明細書で詳述する)。
本発明の別の態様では、デュアルサーボ弁システムを構築することにより、振動加速が除去され、スプリアスノイズが低減されており、各サーボ弁は、別々のアクチュエータ及び振動源アセンブリに取り付けられており、前方アセンブリ及び後方アセンブリが軸方向に並び端部同士を突き合わせて配置されている。この構成では、各サーボ弁が、各タンデムアクチュエータピストンアセンブリ及び各振動源アセンブリの動きを制御することにより、別々の振動アセンブリが同期して反対の方向に動くことを可能にしている。単一の振動源を使用する場合は、円筒ハウジングの動きとピストンアセンブリの動きの方向が反対であることにより、スプリアスノイズ及び非調和振動が引き起こされる。これらの反対向きの力により、ピストンが、例えば、後方に動くと、ピストンアセンブリに取り付けられていない円筒ハウジングは前方に動き、この、円筒ハウジングの動きが、望ましくないノイズを引き起こす。
2つの振動源アセンブリを、端部同士を突き合わせて配置することにより、各システムの円筒ハウジングの動きが除去されて、倍音及び非調和振動が低減される。前方振動アセンブリと後方振動アセンブリの動作が同期するように、各サーボ制御システムの周波数を調節することによってマニホールドの入力弁及び出力弁への水圧流体の流れを調節する為のフィードバックを、アセンブリの各ピストンシャフトに取り付けられた測位センサがシステム制御装置に提供することにより、音信号の出力の振幅及び分解能が向上する。音源のモジュール式構造は、様々な海中地震探査及び調査用途に有用となる、しかるべき数の円錐形状ピストンチャンバ及びしかるべきピストンシャフト長さを用いて前方及び後方の振動源アセンブリを作成することを容易にしている。
更に別の実施形態では、水圧ポンプを直接駆動する水モータを牽引ヘッド区画内に配置することにより、海中振動源内に閉ループ水圧出力システムを形成してよい。牽引船上の水ポンプが、例えば最大4000psiの圧力で水モータに水を注入する。水モータは、水圧ポンプを回転させる軸と結合されており、水圧ポンプは、マニホールド、サーボ弁、及びアクチュエータに流体を供給する。この水は、システムから外の水体に排出されるので、外部水圧システムで使用される、船への戻り管を追加することが不要になる。水圧流体がアクチュエータピストンチャンバ間で前後に誘導されて振動源アセンブリを振動させる際にシステムの水圧出力管を冷却する為に、水出力管に沿って、熱交換器が取り付けられている。この設計を用いると、水圧流体が水体中に漏れるリスクが大幅に低減される。
更に別の実施形態では、水圧流体の代わりに海水を使用して、振動源アセンブリを駆動してよい。海水は、探査船から直接マニホールド、サーボ弁、及びアクチュエータに注入されて、アクチュエータを駆動し、所定の掃引周波数又はパルス周波数で振動源を振動させる。このシステムからの排出も、水体に誘導されるので、探査船への戻り管を追加するコスト及び必要性が排除されている。より大きな地質構造をカバーする場合は、1つ以上の海中振動源システムを使用して、第1の振動源を、より大きな水体中で牽引されているか配置されている随伴振動源と同期させてよい。
本発明の別の重要な態様は、チタン製中空ピストン、チタン製ピストンシャフト、及びステンレス鋼製中空バルクヘッドを使用して、海中振動源装置の重量を低減することである。ピストン及びバルクヘッドの中空円筒を強化及び支持する為に、内部ガセット及びリブが使用されている。重量の低減により、全体的な出力要件が低減され、中空ピストンをアクチュエートし、動かすことに必要な出力が低減される。
このシステムは更に、装置を所定深度で移動させる為の深度制御フィンを有してよい。制御フィンに取り付けられたモータが、周囲水圧及び事前設定基準圧力に基づいて、フィンのピッチ角度を自動的に調節してよい。海中振動源は、周囲水圧を基準圧力と比較することにより、特定深度に保持されてよい。周囲水圧が基準圧力より高い場合、モータは、制御フィンを時計回りに回転させて、海中振動源に対して上昇力を発生させ、これによって、設定された基準圧力に達するまで、海中振動源は牽引されながら上昇する。所望の深度では、フィンは中立姿勢に位置決めされる。測定された水圧が基準より低い場合は、制御フィンを反時計回りに回転させて、海中振動源を、より深い深度まで移動させる。或いは、装置の深度の調節の為に、装置の前部及び後部に浮きを取り付けてもよい。
本明細書に記載の新規な海中振動音源の使用法によれば、本振動音源は、複数種類の海中環境で地震探査を実施する場合に有利であろう。例えば、音源を牽引することが困難な、岸辺近くや浅い水中の海中環境である(例えば、深度が、例えば、7.62m(25フィート)未満である場合)。一般的な調査での牽引作業は、7.62m(25フィート)から12.19m(40フィート)の深度で実施される為、調査を実施するには水が浅すぎる場合には、この種の海中環境での調査に、音源が水体の底面上を牽引されてよい本発明の振動音源を使用することが有利である。水底地形に刺さったり引っかかったりする可能性がある突起を有しない滑らかなデザインと、牽引ヘッド、船尾ヘッドのチャンバを満たしている空気と、バランスしている空気キャビティの中の空気と、によって、音源の水中重量を、例えば、約226.8kg(500ポンド)から317.5kg(700ポンド)の範囲にすることによって音源を非常に軽量にして浅い深度でも操縦可能にするのに十分な浮力が得られる。
本発明の音源は又、発生させる信号の特性を変えることなく、水中の様々な深度で動作可能である。これは、バランスしている空気チャンバの中の低圧空気を、その動作深度での水の静水圧と合致するように調節することが可能な為である。例えば、大波が存在する悪天候によって引き起こされうる問題を回避する為には、標準的な深度より深い深度まで振動源を牽引することが有利であろう。本発明の振動源は、そのような深度に配備されてよく、必要であれば、何百フィートもの水の中の海洋底上に配備されてもよく、動作は正常であろう。これは、空気をバランスさせている圧力が、動作深度の水圧の1psi以内に合致するように、手動又は自動で変化する為である。従って、本発明の音源は、広い範囲の様々な深度及び海流環境で動作可能である。
本発明による、以上及び他の特徴、利点、及び改良点は、以下の詳細説明及び添付図面を参照することにより、よりよく理解されるであろう。
以下では、添付図面を参照しながら、本発明の幾つかの実施形態を、例示としてのみ説明する。
図1に示されるように、海中振動エネルギ源10が、地震探査船1によって牽引されてよい。振動源10は、チェーン又はケーブル3につながれており、地震探査が必要な水体4内に配置されている。牽引チェーン3に加えて、電気制御線、水圧ホース、及び空気管を有するケーブル束5が、船1から海中振動源10までつながれている。更に、海中振動源10の深度を制御及び調節する為に、海中振動源10の船首部及び船尾部にある牽引箇所ブラケット8に、浮きチェーン7を有する1つ以上の浮き6をつないでよい。振動源10は、細長く、大まかには全体的に円柱状のデザインであり、流体力学的牽引ヘッド12及び船尾部14を有する。これらの船首部12及び船尾部14は、長い円筒管状ハウジングとして形成されてよい中間部15の前端部及び後端部に適切且つ着脱自在に取り付けられている。海中振動源10の流線形のボディは、特にシステム10の下部には突起も肩部もない。これは、システム10の、探査船1への上げ下ろしをより容易にする為であり、且つ、システムに対して余計な摩擦又は前進抵抗を引き起こすことなく、システム10を探査対象水体の底面に沿って引きずることを可能にする為である。この滑らかな流体力学的形状は又、システム10が、海、湖、池、又は他の水体の底面にある岩石層や他の物体にひっかかることを抑止する。中間部15は、図2Aに示されるように、中間部15内を同軸に延びる長手軸XCを有する。中間部15は、様々な探査条件に必要な出力振幅に対応すべく任意の必要な長さまで延びてよく、例えば、3m(10フィート)から5.5m(18フィート)の寸法まで延びてよく、より具体的には、約4.6m(15フィート)まで延びてよく、その結果、牽引ヘッド12及び船尾部14を含めて、装置の、長手軸XC方向の全体長さが6m(20フィート)を超える場合がある。船尾部14には、先細円筒又は円錐の形状の区画17が形成されており、システム10の前進抵抗を減らし、移動性を高めている。船尾部外殻16は、先細形状から滑らかで丸みを帯びた獅子鼻状端部18に至り、ステンレス鋼又は他の非腐食性合金でできた滑らかな表面19を有し、凹凸を除去することにより、海中振動源10が動作しているときの前進抵抗又は振動干渉を更に減らしている。
海中振動源10の前部にある牽引部12のノーズ20も、先細円錐又は半球形前部キャップ21として形成されている。その滑らかな表面22も、同様にステンレス鋼合金で作られており、凹凸を除去することにより、流体力学特性を向上させ、水中を牽引されているときの前進抵抗を減らしている。牽引部12の上面23では、補助ハッチ24が、水圧システム及び制御システムの部品を覆っており、牽引ヘッド区画25へのアクセスを提供している。ケーブル束5の水圧管、空気ホース、及び電気線の接続の為の、1つ以上の水圧管取り付けポート27が、補助ハッチ24を貫通して延びている。
振動源10を操縦して指定深度に向けて上昇又は下降させる為に、船首部12及び船尾部14にある牽引箇所ブラケット8に、浮き6及びチェーン7を取り付けてよい。牽引箇所ブラケット8は、牽引時の移動性を高める為に、スイベルコネクタで作られてよい。代替として、又は追加で、特にシステム10が浮氷の下で牽引される場合のシステム10の移動の為に、深度制御フィン29を牽引部12に取り付けてよい。制御フィン29は、牽引部12の両側から水平方向に延びている。各フィン29は、アクスル30に取り付けられており、アクスル30は、システム10の牽引ヘッド外殻26を貫通して延び、モータ31と接続されている。電動(又はバッテリ駆動)モータ31は、ケーブル束5からの電子ケーブル28に取り付けられており、探査船1上の電子システム制御装置32によって水面から制御される。
羽根姿勢センサ33が、深度制御フィン29がXC軸と一直線に並んでいる姿勢をフィンの基準姿勢として、フィンの姿勢を測定する。牽引ヘッドの外殻26を貫通して取り付けられたデュアル圧力センサ34が、牽引ヘッド区画25及び船尾区画17、並びに一連の空気腔211を含むシステム10の周囲圧力Paと、システム10の外側の水圧Pwとを測定する。これらの圧力Pa、Pwは、電子システム制御装置32に送信され、水体4内のシステムの深度によって決まる外部水圧Rwと一致する気圧を維持する為に、探査船1からの空気流の調節が行われる。
制御フィン29を使用して海中振動システム10の深度を調節する為に、所望深度に対応する基準圧力Prが選択され、制御フィン29を回転させるようにモータ31を制御する信号が、電子制御装置32から送信される。制御フィン29の回転は、周囲システム圧力Pa、外部水圧Pw、及び事前設定された基準圧力Prの比較に基づいて、時計回り又は反時計回りに行われる。モータ31は、外部水圧Pwが基準圧力Prより高い場合には、外部水圧Pwが基準圧力Prに達するまで、制御フィン29を時計回り方向に回転させて、海中振動源10に対して上向きの力を引き起こし、牽引されるにつれて海中振動源10を上昇させる。その後、モータ31は、フィン29をXC軸方向の中立姿勢に調節して、システム10を、基準圧力Prによって設定される深度に維持する。水圧Pwが基準圧力Prより低い場合には、モータ31は、制御フィン29を反時計回り方向に回転させて、海中振動源10をより低い深度へと動かす。重要なこととして、振動源を、より大規模な地質探査の為に配備された1つ以上の他のシステム10と同期させる為にシステムを指定深度に維持することが肝要である場合には、制御フィン29は、システム10の深度を微調節することが可能である。海中振動源10は、制御フィン29又は牽引チェーン7により、水中を牽引されてよく、或いは、水体底部の地表又は底面上の固定位置に保持されてよい。一般に、システムは6m(20フィート)から10m(32フィート)の深度で牽引され、深度要件は、実施されている地質探査と、制御ケーブル及び水圧管の長さと、システム10を所望深度に維持する為に必要な出力要件と、によって決まる。これらの要件に基づいて、海中振動源10は、本明細書に記載のように、任意の深度で動作可能である。
内部区画の周囲気圧は、船1上の空気圧縮機46及び調整器によって制御される。内部区画圧力及び外部周囲水圧は、牽引ヘッドの外殻26上に取り付けられているデュアル圧力センサ34により監視される。ケーブル束5内にあって補助ハッチ24上の密封管継手48に接続された空気管47を通して、圧縮空気が供給される。図2Bのシステムの上面図に示されるように、電気及び制御信号を内部システム構成要素に送る為の1つ以上の電気用コネクタ50が、空気管コネクタ48に隣接して、補助ハッチ24の表面を貫通して分散されている。図3に示されるように、入力水圧管60が、取り付けポート27の着脱自在管継手64に取り付けられて、水圧管を補助ハッチ24に固定している。入力水圧管60は、高圧水圧流体をシステムに供給し、水圧戻り管62は、システムに入ってシステムを通り抜けた流体を追い出し、閉ループ水圧システム内の探査船1に流体を戻す。探査船1上にある水圧ポンプ45が、例えば、100GPMから250GPMの流量で、且つ最大3000psiの圧力で、流体を水圧システムに注入する。
補助ハッチ24は、ボルト締めフランジ39により、牽引ヘッド外殻26の表面23に固定されており、一連のボルト41及びガスケット(図示せず)によって牽引ヘッド12に対するハッチ24の気密封止が形成されている。取り付けポート27は、互いにオフセットしていてよく、これにより、水圧管60、62を取り付ける為の追加空間が各ポート27の周囲に与えられる。水圧入力管及び出力管の為の各取り付けポート27は、角度が付いたステンレス鋼製管状支持物61で形成されており、管状支持物61は、補助ハッチ24の覆いの中で、各管を囲み、各管用の別々の開口から延びている。主流体伝達アセンブリが、主入力導管36及び主出力導管38を有しており、これらは、それぞれが外に延びて、各ハッチ開口を通り、角度が付いた支持管61を通り、着脱自在水圧管継手64と接続されている。各ハッチ開口は、主導管36、38より径が大きく、これによって、高圧水圧流体がサーボ弁85を出入りする際に主流体伝達アセンブリが、より径が大きい開口の中で振動することが可能である為、高圧水圧流体がシステム10内を行ったり来たりする際のサーボ弁及び他の構成要素の損傷が防がれる。鋼製スペーサ65が各着脱自在管継手64を囲み、管継手64の径を拡張して、角度が付いた支持管61の径と一致させることにより、ゴム製の、又は弾性のホースジャンパ63を、各取り付けポート27の支持管61及びスペーサ65の両方の上に滑り込ませることが可能になるようにしている。ホースジャンパ63は、振動を吸収し、ホース接続部における制動を与え、海中振動源10の動作中に高圧流体がシステム内を流れる際に、各構成要素のずれ及び公差累積を補正する。支持管61は、鋭角に延びて、取り付けポート27を、探査船1から牽引される方向とは逆の方向に向けている。この角度は、例えば、XC軸に対して20°と60°の間の範囲にあり、より好ましくは45°であって、ケーブル束5に逆向きの曲線を形成することによって、海中振動源10が水体4中を牽引されている際に高圧水圧管にかかる応力を解放している。補助ハッチ24内の着脱自在管継手44及びマルチピン電気コネクタにより、ハッチカバーを取り外す為に主入力導管36及び主出力導管38を内部配管から切り離すことが可能である。補助ハッチ24を取り外すと、ハッチ区画42内にある水圧接続及びサーボ弁85へのアクセスが可能になる。
内部管継手44が曲線状鋼製入力導管58及び出力導管59のそれぞれに取り付けられて、各水圧管60、62とマニホールド70との間で水圧流体を行き来させている。各導管58、59の流体経路内に、脈動抑制器67が配置されている。脈動抑制器67は、大量の高圧水圧流体が水圧管内を通される際に、脈動を平滑化してシステム構成要素を保護するように動作する。曲線状導管58、59は、取り付けフランジ68によりマニホールド70に取り付けられており、取り付けフランジ68は、各導管58、59と溶接され、マニホールド70と嵌合している。図4A乃至図4Dに示されるように、取り付けフランジ68は、ボルト66によってマニホールド70に固定されており、ボルト66は、図4Cに示されるマニホールドブロックのねじ山付き穴72に挿入されている。曲線状導管58、59は、径が、マニホールド70の入力伝達ボア84及び出力戻りボア86の径より大きくてよい為、半径69が、流体を、より小さい径のボア84、86に向けるように形成されてよい。各半径69内では、マニホールド70に対して取り付けフランジ68を密封するOリング(図示せず)が配置される。
マニホールド70は、上面74と、下面76と、流体接続の為の第1の端部78と、反対側の端部80と、第1の側端部82と、第2の側端部83と、を有するステンレス鋼のブロックで構築されている。流体接続端部78は、閉ループ水圧システムにおいて水圧流体が水圧ポンプ45から入ってきたり、水圧ポンプ45に戻ったりする為の入力伝達ボア84及び戻りボア86の為の2つの通路がドリルで形成されている。ボア通路84、86は、角度が付けられて、マニホールド70の各側端部82、83から中央部分に向かっており、これによって、取り付けフランジ68及び各曲線状導管58、59の取り付けの為の十分な場所が与えられている。通路84、86に角度が付いていることにより、更に、サーボ弁85内での水圧流体の移動距離が少なくなって、システムの周波数応答が向上する。
マニホールドブロック70の上面74には、サーボ弁85をマニホールド70に直接取り付ける為の一連のねじ山付き穴92が設けられている。サーボ弁85をマニホールドに直接接続することにより、水圧流体通路が短くなり、漏出のリスクが減り、システム内の、且つシステムを通る流体の伝達の遅延がなくなる。図4Aに示されるように、サーボ弁85を取り付ける為のボルト93(簡潔さの為に1個だけが図示されている)は、穴92にねじ込まれ、一部がマニホールドブロック70を貫通して延びる。マニホールドブロック70の外側端部82、83に沿って、マニホールド70をピストンアクチュエータアセンブリ97に直接取り付ける為の一連のボルト穴94が設けられている。ボルト98が締め付けられて、マニホールド70のほぼ平坦な表面74と面一になるように、各穴94内に凹部96が形成されてよい。1つ以上の位置決めピン99が、上面74から延びて、開口と嵌合し、サーボ弁85を水圧通路と位置合わせしてよい。中央部分においては、垂直前方伝達ボア88が、マニホールドブロック70を貫通して形成されて、アクチュエータピストンアセンブリ97の前方アクチュエータピストン100の前方水圧チャンバ106と連通している。長手軸XC方向に、第2の垂直後方伝達ボア90が形成されて、後方アクチュエータピストン102の水圧チャンバ108と連通している。前方及び後方水圧チャンバ106、108及びアクチュエータピストン100、102は、同様の寸法を有しており、前方及び後方にほぼ同等の力を与える。
図5に示された例示的実施形態では、海中振動源10は、ピストンシャフト110に取り付けられてマニホールド70のすぐ隣に位置する2つの別々のアクチュエータピストン100、102を使用する。2つの別々のアクチュエータピストンの配列と、サーボ弁85及びマニホールド70の、アクチュエータピストンアセンブリ97への直接取り付けとにより、水圧管を1つのピストンアセンブリの反対側に延ばすことが不要な場合には、水圧管の長さ及び複雑さが大幅に低減される。アクチュエータピストン100、102のそれぞれは、マニホールド70まで最小限の長さの伝達導管103、105を有しており、これによってアクチュエーションごとのオーバフローが追い出される。重要なこととして、垂直伝達ボア88、90及び伝達導管103、105の全体長さは、アクチュエータピストンの1つの径より短い。
水圧流体が前方アクチュエータピストン水圧チャンバ106に供給され、同時に、後方アクチュエータピストン水圧チャンバ108から流体が追い出されると、アクチュエータピストン100及び102は、ピストンシャフト110を、振動源アセンブリ175のピストン170とともに前方に動かす。一方、流体が後方アクチュエータピストン水圧チャンバ108に供給され、同時に、前方アクチュエータピストン水圧チャンバ106から流体が追い出されると、アクチュエータピストン100、102及びピストンシャフト110は、前方に動く。アクチュエータピストン100、102は、アクチュエータピストンアセンブリ97の正方形ハウジング112内で、ピストンシャフト110に沿って取り付けられている。ステンレス鋼ハウジング112は、主バルクヘッド120から前部キャップ114まで延びており、牽引ヘッド区画25内でアクチュエータピストン100、102及びピストンシャフト110を取り囲んでいる。マニホールド70は、ハウジング112の平坦な上面113に設置されており、ピストン導管103、105は、アクチュエータハウジング112のアクチュエータピストンバルクヘッド116内の中央に位置し、マニホールド70と直接連通する通路として形成されている。ピストン導管103、105のそれぞれは、アクチュエータハウジングバルクヘッド116の中点から対称的に間隔を置いて配置されており、これによって、伝達ボア88及び90並びにサーボ弁85と位置合わせされている。
図6A及び図6Bに示されるように、アクチュエータピストンアセンブリハウジング112は、主バルクヘッド120内の中央開口Oの周囲に位置する一連のボルト118によって、バルクヘッド120に取り付けられている。バルクヘッド120内のボルト穴119は、バルクヘッドを正方形アクチュエータハウジング112の面117に対して位置合わせすることにより、主牽引ヘッド区画25内でハウジング112を支持している。主バルクヘッド120は、中空構造であり、リブ支持物122が内側円筒124から外側円筒126まで延びて、中空部128を形成している。第1の円板127が、前方壁を形成し、牽引ヘッド区画25を封鎖しており、その一部分がアクチュエータハウジング112の前面117と当たっている。アクチュエータハウジング112は、XC軸方向に取り付けられて、マニホールド70を取り付ける為の平坦な面を提供している。図6Aに示されるように、アクチュエータハウジング用のボルト穴119は、長手軸XCに垂直な軸YCに対して45°の角度βで延びている。この方向では、ねじ山付きボルト穴119は、アクチュエータハウジング112の正方形の面117の各隅にあるが、図6Bの平面的な側面図では、主バルクヘッド120を貫通する様子が完全には示されていない。第2の円板129が、主バルクヘッド120の中空部128を封鎖しており、各円筒127、129は、主バルクヘッド120の内側円筒124及び外側円筒126に溶接されている。リブ122及び中空部128を有する、主バルクヘッドの構造は、システム10全体の重量を更に低減する。主バルクヘッドの外側円筒126には、クランプリング179を使用してバルクヘッド120をピストンアセンブリチャンバ177の円筒ハウジング174に取り付ける為の中央フランジ130が形成されている(これについては本明細書で詳述する)。
ピストンシャフト110は、主バルクヘッド120の中央開口O内を通り、アクチュエータハウジングバルクヘッド116内のボアOaを通って、アクチュエータハウジング112の前部キャップ114まで延びている。図7に示されるように、ピストンシャフト110は、前方端部142及び後方端部144のそれぞれにおいて、ねじ山付き延長部分140を有する。アセンブリでは、アクチュエータハウジングバルクヘッド116のボアOa内に封止材149が設置されており、ボアOa内には、アクチュエータピストンスペーサ148aが設置され、中央に配置されている。アクチュエータピストン100、102の外側円筒には封止材149及びライダリングベアリング151が設置され、前方アクチュエータピストン100は、アクチュエータハウジング112内を通るように配置され、ハウジングバルクヘッド116の前方端部に当たる。後方アクチュエータピストン102は、主バルクヘッドO内の開口及びアクチュエータハウジング112のボアOaを通るように配置され、バルクヘッド116の後方端部に当たる。ピストンシャフト110は、水平方向スタンドで支持されて、後方アクチュエータピストン102から、アクチュエータハウジングボアOa内のアクチュエータピストンスペーサ148aを通って、前方アクチュエータピストン100を貫通して延びる点まで、挿入されている。シャフトの前方端部142に端部ナット146が取り付けられ、締め付けられてピストンシャフト110と面一になっている。アクチュエータハウジング112に、前部キャップ114が設置されている。アクチュエータピストン100、102の内径da及びスペーサ148の径dsは、ピストンシャフト110の外径Dsとほぼ同じ寸法であり、これによって、ピストンシャフト110の金属面が各円筒及びスペーサ148の内面と嵌合する。スペーサスリーブ148aの壁厚tsは、例えば、1/2”である。バルクヘッド116のボアOaは、内径Daが、ピストンシャフトの径Dsとスペーサスリーブ148aの壁厚の2倍である2tsとの合計よりわずかに大きい。封止材149及びライダリングベアリング151は、アクチュエータ水圧チャンバ106及び108をアクチュエータ圧縮チャンバ109及び111に対して封止し、アクチュエータ100、102がアクチュエータハウジング112内を動く際のアクチュエータとハウジングとの間の摩擦を低減する。主バルクヘッド120は、シャフト110に沿ってスライドし、アクチュエータハウジング112に取り付けられている。
第2のスペーサスリーブ148bが、シャフト110に沿ってスライドし、主バルクヘッド120内の開口Oを通って延び、後方アクチュエータ102に隣接して位置する。第1の円錐形状ピストン170aの外径ODに、封止材149及びライダリング151が設置され、Oリング封止材147が、シャフト110に沿って、第2のスペーサスリーブ148bまでスライドする。第1のピストン170aは、シャフト110に沿ってスライドして、Oリング147及びスペーサ148bに当たる。第1のピストンチャンバアセンブリ177aの、図8Aに示された、第1の円筒ハウジング174aが、ライダリング151及び封止材149を越えて、主バルクヘッド120のパイロット径まで押される。ハウジング174aは、主バルクヘッド中央フランジ130に対して上にスライドする延長リム205を有する。フランジに対してハウジングを所定位置に保持する為に、一時的クランプリングを使用してよい。第3のスペーサスリーブ148c及びOリング封止材147が、ピストンシャフト110に沿って、且つ、第1の円錐形状ピストン170aの内側ハブ243に対して所定位置に設置されている。図9Aに示されるように、第1の固定バルクヘッド172aの外径に沿って、封止材206が設置されており、固定バルクヘッドの内側円筒229によって形成された溝213の中に、Oリング215が設置されている。第1の固定バルクヘッド172aは、スペーサスリーブ148cの上をスライドし、円筒ハウジング174aの延長リム205は、バルクヘッド172aの前部パイロット径201の上をスライドして、固定バルクヘッド中央フランジ199に対してスライドする。第2の円錐形状ピストン170bには封止材149及びライダリング151が設置されており、ピストン170bは、ピストンシャフト110に沿ってスペーサスリーブ148cまでスライドする。スペーサスリーブ148cが固定円筒172aの端部を越えて延びて、第2のピストンシャフト170bと当たると、空気キャビティ211が形成される。固定円筒の外径206及び内径215に沿って設置された封止材と、封止材149及びOリング147とにより、空気キャビティ211への水の浸入が阻止される。空気導管217が、空気キャビティ211を満たす為に、ピストンシャフト110及びスペーサ148を貫通して形成されている。第2の円筒ハウジング174bの延長リム205は、第1の固定バルクヘッド172aの後部パイロット径203の上をスライドする。第2の固定バルクヘッド172bが設置されており、これらの設置プロセスは、必要に応じて、適切な数のピストンチャンバアセンブリ177の分だけ繰り返される。ピストンシャフト110の端部に端部ナット140が設置されて、各円錐形状ピストン170及びスペーサ148がシャフトに沿って所定位置に配置され、各バルクヘッド172の開口を通って一斉に動く単一ユニットとしての複合ピストンが形成される。船尾部外殻16は、最終ピストンチャンバアセンブリ177の固定バルクヘッド172のパイロット径の周囲をスライドし、同様にクランプリングによって固定されている。
主バルクヘッド120、各ピストンチャンバアセンブリ177、及び船尾部外殻16は、それぞれが、3つの部品からなるフランジクランプリング179によって、互いの端部同士で固定されている。クランプリング179は、図10A乃至図10Dに示されるように、半円又は他の部分円の径として形成された剛直なステンレス鋼で作られており、バルクヘッドのパイロット径の周囲に延びている。クランプリング179は、外側表面半円径181及び内側表面半円径183を有しており、内側表面径181は、内径183に垂直な、2つの対向フランジ185を有している。各対向フランジ185は、図10Dに示されるように、クランプリング179の各外側端部に沿って、且つ、内側半円円周183全体に沿って延びている。図9Aに最もよく示されているように、円筒ハウジング174の延長リム205を、主バルクヘッド130の中央フランジ及び固定バルクヘッド199に対して圧縮する際の応力を低減する為に、各フランジ185に沿って、内側コーナー187に丸みが付けられている。ハウジングのステンレス鋼リム205と、中央フランジ130又は199とがクランプリング179内でくさび固定されている為、フランジ185内で密着嵌合が形成されている。第1及び第2のクランプリング170a、179bが、クランプリング179の第1の端部191からのねじ山付きコネクタ189により嵌合されており、捕捉ねじ193又は他の取り付け固定具(ナット及びボルトなど)がクランプリング179の対向端部195に取り付けられて、図10Aに示されるように、バルクヘッドの外径の周囲に円環が形成されている。図10Cに示されるように、ねじ山付きコネクタ189及び取り付けねじ193は、外側表面181と面一であり、リング179の外側表面181は、バリ取りがなされ、丸みが付けられて、突起及び凹凸が除去されている為、滑らかな表面が維持されて、システム10に対する前進抵抗が低減され、船1へのシステム10の上げ下ろしが支援される。丸みが付けられた端部は又、エラストマダイヤフラム197が振動源アセンブリ175を取り囲み、振動源アセンブリ175上に乗っている為の滑らかな表面を提供している。
図11Aに示されるように、固定バルクヘッド172には、中央開口Obが形成されており、その径Dbは、図12Aに示される円錐形状ピストン170の径Dpより大きい。固定バルクヘッドの径Dbは、ピストンシャフト110の径と、ピストンシャフト110を取り囲むスペーサスリーブ148の厚さの2倍である2tsとの合計であり、ピストン170をシャフト110に沿って配置させている。固定バルクヘッド172は、ピストンシャフト110又はスペーサ148に取り付けられておらず、これによって、シャフト110及びピストン170は、固定バルクヘッドの開口Obの中で前後に動くことが可能である。円錐形状ピストン170は、円筒ハウジングに取り付けられておらず、チャンバハウジング174内に乗っており、一連のライダリングベアリング151が、円錐形状ピストンを取り囲むことにより、ピストン170とハウジング174との間の摩擦を低減している。図11A乃至図11Cに示されるように、固定バルクヘッド172は、円錐形状面227を有しており、円錐形状面227は、バルクヘッド円筒200から中央開口Obまで、円筒200の軸Abから角度α3で延びている。角度α3は、20度から70度の間であり、より好ましくは、例えば、60度の角度である。開口Obは、内部円筒229によって形成されており、内部円筒229は、図11Cに示されるように、バルクヘッド172をスペーサ円筒148の周囲で封止する為に、Oリング215を有する溝213を含む。Oリング215は、剛弾性材料で形成されており、例えば、デュロメータ定格が約70から約90の範囲にあるポリウレタンなどで形成されている。バルクヘッド172の中空内部231は、半径方向に位置する一連のリブ233によって支持されており、これらのリブは、バルクヘッド172の面227を貫通して延びて面227に溶接されている1つ以上の舌状物235又はタブを有する。固定バルクヘッド172は、非腐食性金属材料(例えば、17−4PHステンレス鋼合金)で作られてよく、これらの中空構造により、海中振動源10のシステム全体の重量が更に低減される。バルクヘッド172の背面237は、図11Aに示されるように、ほぼ平坦であり、一連の開口Ocを有しており、これらの開口は、圧縮空気がバルクヘッドの中空内部231に供給されることを可能にしている。
図12A乃至図12Cに示されるように、円錐形状ピストン170は、固定バルクヘッド172と同様に形成されており、円錐形状面239が、外側円筒241から中央開口Opまで、円筒241の軸Apから角度α4で延びている。角度α4は、20度から70度の間であり、より好ましくは、大まかに60度の角度である。開口Opは、内部円筒243によって形成されており、内部円筒243は、円錐形状ピストン170とスペーサスリーブ148との間にOリング147を配置する為の切り欠き245を含む。中空内部区画251を形成している円錐形状面239を支持する為に、半径方向に位置する一連のリブ247が、円錐形状ピストン170の平坦な背面249に溶接されて、背面249から延びている。リブ249のそれぞれは、ピストン170の面239を貫通して延びて面239に溶接されている1つ以上の舌状物253又はタブを有する。ピストン170の背面249は、図12Aに示されるように、一連の開口Ocを有しており、開口Ocは、中空ピストンチャンバ251が圧縮空気で満たされることを可能にする。ピストン径Dpは、15.24cm(6インチ)から152.40cm(60インチ)を潜在的な範囲とする任意の好適な寸法であってよいが、例えば、ずっと大きな寸法やずっと小さな寸法も、本発明の範囲内で想定されている。中央開口Opの径は、選択されたピストン径Dpに応じたピストンシャフト径Dsによって決まる。固定バルクヘッド172は、表面積がピストン面239の円錐表面積と一致するか、同様となるように、ピストン170と同様の寸法を有しており、これによって、振動結合領域の振幅を最適化している。各ピストンチャンバアセンブリ177内では、ピストンの円錐形状面239は、固定バルクヘッド172の円錐形状面227と対向するように配置されており、これによって、図13Bに示されるように、ピストンシャフト110の周囲に、体積が低減された砂時計形状の圧縮チャンバ254が形成されている。本発明の、この重要な特徴により、チャンバ254内で振動する水の体積が減り、システム10の全体的な出力要件が下がる。
ピストン170及び固定バルクヘッド172の背面同士の間の空気キャビティ211は、ピストンシャフト110内の小開口217につながっている、スペーサスリーブ148内の溝219及びドリル穿孔通路220を通じて、低い圧力が供給されている。これらの開口217は、ピストンシャフト110内の主空気導管138につながっている。主空気導管138は、ピストンシャフト110の長さ全体にわたって延びており、空気キャビティ211に空気を供給し、船尾区画17に空気を供給する。主空気導管138は、小空気通路136から空気を供給されており、小空気通路136は、主空気導管138を、アクチュエータハウジング112の前部キャップ114内の空気チャンバ134につないでいる。キャップ114内には一連の開口Oeが形成されており、開口Oeは、空気が船首区画25から空気チャンバ134に流れることを可能にしている。空気チャンバ134は、前方ピストンアクチュエータチャンバ109とも連通し、アクチュエータハウジング112内でアクチュエータが前後に動く際に、ピストン100のクッションとして動作する。後方アクチュエータ102用の第2のアクチュエータチャンバ111も同様に、シャフト空気通路217及び主バルクヘッド120の開口Oからの圧縮空気で満たされる。前部キャップ空気チャンバ134は、アクチュエータ100、102、及びシャフト110が動作時に前後に動いて、圧縮空気が自由に押されてチャンバ134に出入りする際に、ピストンシャフト110の端部142で圧力が高まらないようにしている。
システム10は、空気キャビティ211内の内部低圧空気を、周囲水圧±1psi以内になるように自動制御しており、その為、ピストン動作に対する内部システム圧力の影響は最小限に抑えられる。これらの調節は、振動源アセンブリ175を振動させるアクチュエータピストン100、102の動作前又は動作中に行われてよい。圧力が適正に調節されていれば、起動前及び動作中の中立位置において、それらのアクチュエータに同じ力がかかる。デュアル圧力センサ34によって、内部圧力及び外部圧力が常時監視され、探査船1の制御システム32から空気圧を調整することにより、圧力変化を最小限にすることが自動的に行われる。動作中の圧力変化を最小限に保つ能力は、例えば10psiの小さな圧力変化があってもピストンにかかる力のバランスが崩れる場合には、非常に重要な機能である。一例として、海中振動システムは、7個のピストンチャンバアセンブリを有してよく、従って、7組の振動伝達ピストンを有してよく、各ピストンは、前面の断面積が260平方インチであってよく、全ピストンを組み合わせた合計が1819平方インチであってよい。水圧アクチュエータピストンは、断面積が41平方インチである。組み合わされた7個のピストンの、空気圧がバランスしている空間においての1平方インチ当たりの圧力が1ポンドであれば、作用する力は1819ポンドである。作動圧力として、アクチュエータ内の水圧が1000psiであるとすると、作動力は41平方インチ×1000psiとなり、41000ポンドの力がアクチュエータによって発生することになる。
空気圧がバランスしているキャビティにおいての空気圧である1psiでシステムが動作している場合、この1psiによって作用する1819ポンドの力が41000ポンドの力に追加され、ピストンアセンブリが後方に動いたときに、合計42819ポンドの力で水がポートから押し出される。ピストンアセンブリが前方に動くと、41000ポンドの力から1819ポンドの力が差し引きされて、ポートから水を引き込むのに利用可能な力が39181ポンドになり、ピストンアセンブリの前方への動きと後方への動きとの間に3638ポンドの力の差ができるが、これは容認できる差である。一方、空気圧がバランスしているキャビティにおいて、バランスしている圧力として10psiが印加されるとすると、アクチュエータ及びピストンアセンブリによって後方に作用する力は、41000+18190=59190ポンドとなる。前方への移動の場合は、バランスしている空間における10psiによって作用する18190ポンドが41000ポンドから差し引きされ、ピストンアセンブリを前方に動かすのに利用可能な力は、41000−18190=22810ポンドとなる。この、59190−22810=36380という差は、容認できない差である。この、ピストンアセンブリの後方への動きと前方への動きとの大きな差は、振動源の所望の信号と比較して、正弦状波形の容認できない歪みを引き起こすであろう。従って、例えば、米国特許出願第6464035号明細書における、空気圧がバランスしているキャビティ内での圧力範囲は35psiから110psiであり、この場合、その先行技術で開示されているシステムは動作しないことになる。自動空気調整器によって、システム10が周囲の水に対して±1psiに維持されるように内部空気圧の調節が管理され、システム内での圧力バランスが崩れたことによって歪みが引き起こされないようにする。
前部キャップ114にはデジタル位置センサ152が取り付けられており、デジタル位置センサ152は、ピストンシャフト110が振動源アセンブリ175とともに振動する際のピストンシャフト110の位置を監視する。ピストンが前後に動く際のピストンの位置及び速度を識別する為の光学的、電気的、又は機械的インジケータ156が、センサに取り付けられている。船1上の電子システム制御装置32が、送信された速度及び位置を比較し、電子周波数を微調節し、従って、サーボ弁85への流体の流れを微調節する。システム制御装置32を使用し、フィードバック調節を行うことにより、海中振動システム10の振動出力を、他のそのような、船1又は他の船に牽引されている振動音源と同期させて、音の出力振幅を大きくすることが可能である。掃引周波数信号が、15秒以上の周期で、低い周波数から始まって、一連の高い周波数に段階的に移行してよい場合に、再現性が向上するように、掃引周波数信号を調節することが可能である。掃引周波数の段階的増加又はパルス信号の使用により、制御装置システム32の一部であるデコンストラクションソフトウェアが振動波パターンをプロットして評価し、水体底面下の様々な地質学的形成を示しうる異常を検出することが可能になる。放射のデコンストラクションを適正に行う為には、波形の再現性及び分解能が動作に不可欠である。位置センサ152からのフィードバックを使用して、制御装置32から信号調節を行うことにより、デュアルサーボ弁及びアクチュエータシステム内で第2の振動源を同期させることも可能である(これについては本明細書で詳述する)。
動作時には、サーボ弁85は、ケーブル束5の電気ケーブル53から延びる制御ケーブル104を通じて、電子周波数信号を受信する。この信号は、水圧入力管60から、マニホールド入力通路84を通り、サーボ弁85を通り、マニホールドの前方伝達ボア88に入り、前方アクチュエータピストン水圧チャンバ106を満たす流れを誘導するように、サーボ弁85を作動させる。同時に、サーボ弁85は、後方ピストン水圧チャンバ108から、後方マニホールドボア90を通り、サーボ弁85を通り、出力通路86から、出力水圧管62に出て、後方アクチュエータ水圧チャンバ108を空にする流れを誘導する。前方水圧チャンバ106が流体で一杯になり、後方水圧チャンバ108の流体が空になると、前方アクチュエータピストン100及び後方アクチュエータピストン102は、前方、即ち、第1の方向に動いて、ピストンシャフト110及び円錐形状ピストン170が前方に動く。第2の電子周波数信号がサーボ弁85に送信されると、入力管60からの流れの方向が後方マニホールド伝達ボア90向けに切り替わって、後方アクチュエータピストン水圧チャンバ108が満たされ、同時に、前方アクチュエータ水圧チャンバ106からマニホールドボア88及びサーボ弁85を通る流れの出力が出力水圧管62向けに切り替わって、シャフト及び円錐形状ピストンが後方、即ち、逆方向に動く。
電子制御装置32からの信号は、任意の変調波形の掃引周波数又はパルス周波数であってよく、例えば、2Hzから200Hzの範囲であってよい。サーボ弁85は、その動作時には、これらの信号に対する応答として、前方アクチュエータピストン100及び後方アクチュエータピストン102への高圧水圧流体の流れを調整して、アクチュエータが、ピストンシャフト110を、ピストン170とともに、前後に振動させるようにする。振動源アセンブリ175内のピストン170は、これによって、軸方向に前後に振動し、これによって、圧縮チャンバ254内の水が円筒ハウジング174の複数のポート256を通って内外に振動し、これによって発生する振動波が、周囲の水体の中に伝搬していき、水体下の地質構造に伝搬していく。1つが設置されていると、その音によってエラストマダイヤフラム260が膨張したり収縮したりする(これについては本明細書で詳述する)。大きなポート256によって円筒ハウジング174から水が強制排出される場合には、ダイヤフラム260がなくても、本システムは完全に機能を果たす。
この別の実施形態では、図8Bに示されるように、音伝達ダイヤフラム260は、中間部15の振動源アセンブリ175を取り囲んでおり、ピストン170の振動放射をモデル化することにより、水体と接触する振動結合表面積が大きくなるようにしている。ダイヤフラム260は、システム10を取り囲むシームレスシート又は円筒として形成されたエラストマ材料からなり、その径は、円筒ハウジング174のクランプリング179より若干大きい。流体がポンプによってシステムを出入りすると、ダイヤフラム260は、それ全体の脈動として、制御システムからサーボ弁85に送信された掃引周波数又はパルス周波数と一致する周波数で振動し、これらの周波数でシャフト110及びピストン170を軸方向に動かす。ダイヤフラム260は、牽引ヘッド12の後部においてのみ固定されており、船尾ヘッド14の前部においては、環状ホースクランプ262によって固定されており、ダイヤフラムの振動面は、若干の隙間を置いてクランプリング179の周囲に乗っており、前方外殻26及び後方外殻16のそれぞれの肩部258に取り付けられている。ダイヤフラム260は、振動源アセンブリ175を封止しており、真水、又は凍結防止の為に真水とプロピレングリコールを混合したもので満たされてよい。ダイヤフラム260の内側表面と円筒ハウジング174の外側表面との間に、長い環状空間265が形成されており、これによって、水がピストンチャンバポート256を通って流れて、ハウジング174の周囲のこの空間265を満たすことによって、ダイヤフラムを膨張させたり収縮させたりして、ダイヤフラムを振動させることが可能になる。アクセスポート264が、図14に示されるように、牽引部又は船尾部の肩部258を貫通して延びており、アクセスポート264は、システム10を水体4内に配備する前に振動源アセンブリ175を真水で満たすことを可能にする。第2のポート266を、システム10が満たされたときに空気を除去する為のベントとして使用してよい。最大表面積にわたって振動結合を提供する為には、ピストンチャンバ254及び空間265が完全に水で満たされることが好ましい。
図15に示される別の実施形態では、水ホース282に給水するリザーバ283が探査船1上に配置されており、水ホース282は、ケーブル束5内に含まれており、着脱自在コネクタ284によって補助ハッチ24に取り付けられている。内部給水管288が、コネクタ284から、補助ハッチ区画42及び前方区画25を通って、牽引ヘッド12の後部にある主バルクヘッド120の近くの肩部258まで延びている。内部給水管288は、前部の肩部258を貫通して延びている伝達ボア289に取り付けられている。動作時には、振動源アセンブリ175は、真水で満たされてから、水中に沈められる。補助ハッチ24に取り付けられた水中マイク267からの信号を用いて周波数応答及び放射品質を調べ、ダイヤフラム空間265に水を追加したり、そこから水を差し引いたり、或いは、キャビテーションによって引き起こされる望ましくないスパイクが、伝達された音信号内に見られる場合には空気システムをベントしたりする為の調節を行ってよい。大量の空気が排出されている場合は、システム内の空気漏れの兆候である可能性もある。システム空気圧及び振動分解能品質を監視することにより、水成分を調整して、高い周波数で急速に動くピストン170の面でのキャビテーションを低減又は除去することが可能である。
各端部ナット140を締め付け、スペーサスリーブ148を使用して各ピストン170を定位置にロックしたことによる、ピストンシャフト110及び円錐形状ピストン170の複合構造は、ナット、ボルト、フィッティング、又は他の取り付け具を不要にしている。シャフト110及びピストン170は、完全に同時に動いて、再現可能な周波数応答をもたらし、圧縮チャンバ254内で水蒸気又はキャビテーションを発生させる可能性のある、フィッティングからの突起物又は障害物がない。ピストン170が前後に動くと、水がピストンチャンバ254から押し出され、ダイヤフラム260が膨張したり収縮したりする。これは、ピストン239の円錐形状面が固定バルクヘッド172の円錐形状面227に向かって水を圧縮する為である。対向する円錐形状239、227は、ピストン170及びシャフト110を動かすのに必要なサイズ及びエネルギ量を低減している。これは、平坦面ピストンの場合と比べて、チャンバ254を出入りする水の量が少なくなる為である。
振動源の周波数応答及び再現性は、図16に示されるような、2つのサーボ弁システムと第1及び第2の振動源とを有するデュアル海中振動源290の構造により、更なる向上が可能である。この構造では、第1のサーボ弁85aが、長手軸XCに沿って、第2のサーボ弁85bと同軸に配置されている。各サーボ弁は、マニホールド70a、70b上、且つ、完全に別々のアクチュエータアセンブリ97a、97b上に配置されており、アクチュエータアセンブリ97a、97bは、互いに反対の方向に延びる別々の振動源アセンブリ175a、175bに取り付けられている。第1のアセンブリ175aは、船首側の牽引ヘッド12に向かって延びており、第2のアセンブリ175bは、船尾部14に向かって延びている。各システムの構成要素は、前述のものと同一であり、水圧入力管60及び水圧出力管62に沿って配置されたT字形フィッティング270、272が追加されている。補助ハッチ24内では、入力管60がT字形フィッティング270において分割され、配管274を通って前方マニホールド70aに向かう流れと、配管276を通って後方マニホールド70bに向かう流れとが誘導されている。水圧出力管62は、前方マニホールド70aから前方出力導管278を通ってくる流れと、後方マニホールド70bから後方出力導管280を通ってくる流れとを受ける。
動作時には、各サーボ弁85a、85bは、電気信号を同時に受信し、これによって、第1の弁85aは、水圧アクチュエータチャンバ108aが満たされ、水圧アクチュエータチャンバ106aが空になって、アクチュエータピストン100a、102aが前方に動くように、流体の流れを誘導するように作動する。一方、反対側のアクチュエータアセンブリ97bでは、第2のサーボ弁85bは、水圧アクチュエータチャンバ108bが満たされ、水圧アクチュエータチャンバ106bが空になって、アクチュエータピストン100b、102bが反対側である後方に動くように、流体の流れを誘導する。振動源アセンブリ175a、175bが互いに反対の方向に動作することで、単一の振動源アセンブリ175のみを有するシステム10において、円筒ハウジング174の逆方向の動きによって引き起こされる非調和運動及びスプリアスノイズが補正される。各振動源アセンブリを、同期させて、互いに反対の方向に動かすことにより、円筒ハウジングの動きが妨げられ、円筒ハウジングの動きによって引き起こされるノイズが抑えられて、単一振動源175を有するシステム10に比べて発生音の質が向上する。
この構成では、アクチュエータアセンブリ97a及び97bが互いに反対の方向に延びている為、第1のアクチュエータアセンブリ97aと第2のアクチュエータアセンブリ97bとを比べると、水圧チャンバ106及び108は、互いに逆の位置にある。振動源アセンブリ175a及び175bを互いに向けて近づけ、最小延伸点まで動かした場合、流体は、最も内側の水圧チャンバ106a及び106bに誘導される。振動源アセンブリ175a及び175bを互いから離れるように遠ざけ、最も外側まで延ばした場合、流体は、外側の水圧チャンバ108a及び108bに誘導され、第1の振動源アセンブリ175aは、その更に前方に延び、アセンブリ175bは、その更に後方に延びる。
位置センサ152a及び152bは、各ピストンシャフト110a及び110bの速度及び位置についてのフィードバックを提供し、これによって、電子制御装置32は、各振動源アセンブリ175a及び175bの動きが同期するように、周波数を調節することが可能になり、従って、アクチュエータアセンブリ97a及び97bへの流体の流れを調節することが可能になり、これによって、出力振幅を大きくすることが可能になる。2つのアセンブリ175a及び175bを使用して掃引(パルス)周波数が増幅されて振動エネルギが放射される為、周波数応答が向上する。図17に示されるように、補助ハッチ24は、海中振動源290の中央に位置しており、任意の長さ又は寸法であってよく、探査要件及び地質学的要件に応じて、所望のモジュール式ピストン部177が選択される。海中振動デュアルサーボ弁システム290は、タンデム又はより大きな数で使用されてよく、それぞれは地質探査領域内に配置されて、出力振幅を大きくし、より広い面積をカバーする。
別の実施形態では、水圧流体に起因する水体の漏れ及び汚染のリスクを低減する為に、海中振動システムは、内部閉ループ水圧システム310を有するように構成されてよい。図18に概略的に示されるように、海水又は真水のポンプ312が探査船1上に配置され、単一の伝達管314を提供している。牽引ヘッド区画25内では、海水が(例えば、200GPMの流量で)水モータ324に注入されると、脈動抑制器316が、振動を低減し、システム構成要素を損傷から保護するように動作する。水モータ324は、水圧ポンプ336を駆動する軸334に直結されている。
水圧ポンプ336は、水圧流体をシステム310に供給するリザーバ342を有する閉ループシステム内にある。上述のように、電子制御装置32は、サーボ弁85に信号を送信し、サーボ弁85は、水圧流体をマニホールド70に誘導してピストンアクチュエータ100、102を前方又は後方に動かし、これによって、振動源アセンブリ175が前後に振動して、音波を海中振動源システム10の外部及び周囲に伝搬させる。水圧流体は、水圧入力管338を通ってマニホールド70及びサーボ弁85まで誘導されて、ピストンアクチュエータアセンブリ97内で、第1のアクチュエータ水圧チャンバ100を満たし、同時に、第2のアクチュエータ水圧チャンバ102を空にする。閉ループシステム310では、空になったチャンバからの流体は、水圧出力管352を通って脈動抑制器340まで誘導されて、システム内を通る高圧の水圧流体の動きによって引き起こされるシステム振動を低減する。そして、流体は、水モータ324から、水出口管354に沿って配置された熱交換器350に誘導される。加熱された水圧管352は、冷たい水出口管354と隣接して、熱交換器350内を延びており、これは、システム310内で水圧流体を冷却する為である。冷却後、水圧管358は、水圧流体をリザーバ342に戻して、水圧ポンプ336に供給する。この、閉ループ水圧システムの実施形態310は、汚染の低減、コスト及び複雑さの低減など、多くの利点を有する。これは、海水又は真水を水モータに供給することには単一の伝達管があればよく、その水は排出されて水体に戻される為である。更に、水圧システム内の管が短くなるため、水圧管が長い場合に高圧によって引き起こされるシステム構成要素の摩耗や裂けが低減される。利用可能な水は又、水圧ポンプを駆動する為の無限の源を提供している。
図19A及び図19Bに示される、更に別の実施形態では、探査船上の水圧ポンプ45を駆動する出力伝達流体が、海水又は真水のポンプ312に置き換えられており、水を用いてアクチュエータピストンアセンブリ97を駆動する。このシステムの動作は、既述のものと同じであるが、排出管354が水体に戻るように仕向けられている為に、伝達管314は1つだけあればよいという利点がある。サーボ弁及びアクチュエータの構成要素の幾つかは、海水中で動作していてもロバストであるセラミックやプラスチックなどの材料で構築されている。
本発明を、本発明の特定の好ましい実施形態を特に参照して詳細に説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲に収まる変形及び修正であれば実施可能であることを理解されたい。