JP5999682B2 - 固液二相流体から粒子成分の濃度が低い流体を回収する装置及び方法 - Google Patents

固液二相流体から粒子成分の濃度が低い流体を回収する装置及び方法 Download PDF

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Description

本発明は、固液分離装置及び方法に関する。
従来、固液流体の分離装置の多くは、固液二相流体中の粒子成分をフィルタ膜で捕捉するものであった。しかしながら、フィルタ膜方式においては、フィルタの清掃・交換に伴って時間・金銭的コストが発生する。
この点につき、特開2005−28242号公報(特許文献1)は、二相流体内の比重(密度)の違いを利用して、遠心力の作用で固液を分離する固液分離装置を開示する。しかしながら、この方式は、固相と液相の比重に大きな差がある二相流体にしか適用することができない。
特開2005−28242号公報
本発明は、上記従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、本発明は、フィルタ膜を使用せず、比重に大きな差のない固液二相流体を分離することができる新規な固液分離装置および方法を提供することを目的とする。
本発明者は、フィルタ膜を使用せず、比重に大きな差のない固液二相流体を分離することができる新規な固液分離装置および方法につき鋭意検討した。その結果、本発明者は、固液二相流体が流れる主管に対して、当該主管に直交する形で分岐管を接続した場合、分岐管に流れ込む流体の粒子濃度が主管を流れる流体の粒子濃度よりも小さくなる現象から着想を得て、本発明に至ったのである。
すなわち、本発明によれば、固液二相流体に浸漬される回転構造体であって、平滑面を有し、該平滑面に開口部が形成され、該開口部に連通する流路が内部に形成され、前記平滑面に垂直な回転軸を中心に回転する回転構造体と、前記回転構造体に接続される円筒管であって、前記開口部に連通する流路に接続され、該開口部から流入する流体を回収先に送出するための円筒管を含む回収流路と、前記回転対称形状の平滑面に対して所定の隙間をあけて平行に対峙する平滑面を提供する手段とを含む、固液分離装置が提供される。
本発明においては、前記開口部は、前記回転軸に対して軸対称の位置に複数形成することができ、前記回転対称形状の平滑面と該平滑面に平行に対峙する前記平滑面の間の前記円筒管に対して前記回転軸を中心に回転自在に嵌合される羽根車を設けることができる。
本発明の固液分離方法の原理を説明するための概念図。 本発明の固液分離装置の基本構造を説明するための概念図。 本発明の固液分離装置の機構を説明するための概念図。 本発明の固液分離装置の機構を説明するための概念図。 本発明の固液分離装置の機構を説明するための概念図。 第1の実施形態の固液分離装置を示す図。 本発明の固液分離装置の機構を説明するための概念図。 本発明の固液分離装置の機構を説明するための概念図。 本発明の固液分離装置の機構を説明するための概念図。 第2の実施形態の固液分離装置を示す図。 本発明の固液分離装置を多段式に構成した図。 実験装置を示す図。 実験装置を示す図。 実験装置を示す図。 実験結果を示す図。 実験結果を示す図。 実験結果を示す図。 実験結果を示す図。
以下、本発明を図面に示した実施の形態をもって説明するが、本発明は、図面に示した実施の形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜、その説明を省略するものとする。
最初に、本発明の固液分離方法の原理について説明する。
図1は、主流路Mとこれに直交する分岐流路Dからなる2次元流路を示す。なお、図1(a)は2次元流路を上から見た図を示し、図1(b)は2次元流路を横から見た図を示している。図1に示す2次元流路においては、粒子径dの粒子を含む固液二相流体が主流路Mを紙面左から右へ流下しており、分岐流路Dは、幅hを有するスリット状の開口を介して主流路Mに接続されている。
図1に示す2次元流路において、主流路Mの壁面の近傍を流れる流体の層は分岐流路Dに流れ込み、主流路Mの壁面からある一定距離内を流れる流体が分岐流路Dに流れ込み、それ以上離れた場所を流れる流体は分岐流路Dに流れ込むことなくこれを通過する。図1において、分岐流路Dに流れ込む流体の限界流線の高さをHとする。
ここで、限界流線より下層を流れる流体に含まれる粒子のうち、主流路Mの壁面からある一定距離だけ離れた場所を流れる粒子は、分岐流路Dに流れ込む流体に追随しきれずに分岐流路Dを通過する。図1において、分岐流路Dに流れ込む粒子の限界粒子軌線の高さをYとする。
この場合、主流路Mの壁面からの距離がd/2(粒子半径)より小さい場所を流れる流体には粒子が含まれていないと考えることができるので、主流路Mの壁面からの距離yが、d/2≦y≦Yを満たす層を流れる粒子のみが分岐流路Dに流れ込むものと見積もることができる。
ここで、主流路Mを流れる固液二相流体の流速をU、その粒子成分の体積濃度をα0、分岐流路Dを流れる固液二相流体の流速をu、その粒子成分の体積濃度をαとすると、分岐流路Dに対して単位時間に流入する粒子体積は、
α(Y−d/2)U
となり、分岐流路Dの流量q=UH=uhとすれば、分岐流路Dを流下する固液二相流体の粒子体積濃度αは、下記理論式で表すことができる。下記式(1)において、qは奥行き単位幅当たりの流量で、m2/Sの単位をもつ。
ここで、上記理論式(1)について、
d/H=dU/q=dU/hu=ζ
とおいて整理すると、分岐流路Dを流下する固液二相流体の粒子体積濃度αと主流路Mを流れる固液二相流体の粒子体積濃度α0の比(α/α0)を表す下記理論式(2)が導出される。
ここで、粒子成分と液体成分の比重に大きな差がないケースでは、全ての粒子が流れに追従すると仮定することができるので、Y=Hとなり、上記理論式(2)は、
α/α0=1−ζ/2となる。
理論式α/α0=1−ζ/2によれば、分岐流路Dの粒子体積濃度αと主流路Mの粒子体積濃度α0の比(α/α0)は、無次元数ζ=2のときに0になる。ここで、無次元数ζ=dU/qであるから、2次元流路において、dU/q=2が成立するとき、分岐流路Dの粒子体積濃度αが0になる(すなわち、粒子径dの粒子成分が分岐流路Dに流れ込まない)ことになる。
一方、主流路Mに直交する分岐流路Dの横断面が円形であり、分岐流路Dが直径hの円形開口を介して主流路Mに接続されている3次元流路の場合、全ての粒子が流れに追従する前提において、分岐流路Dの粒子体積濃度αと主流路Mの粒子体積濃度α0の比(α/α0)は、α/α0≒1−ζと近似することができる。この場合は、無次元数ζ=dU/q=1が成立するときに、粒子径dの粒子成分が分岐流路Dに流れ込まないことになる。なお、上記近似式α/α0≒1−ζの導出根拠については、日本機械学会論文集74巻739号583-592(2008-3)「かくはん容器から流出する固液二相流体の体積濃度」(岩永ほか1名)を参照されたい。
以上の検討から、2次元流路あるいは3次元流路のいずれの場合も、分岐流路Dの粒子体積濃度αと主流路Mの粒子体積濃度α0の比(α/α0)は、無次元数ζによって求まり、無次元数ζは、固液二相流体に含まれる粒子の径(d)が与えられる条件の下では、主流路Mの側の流速[U]と分岐流路Dの流量[q]という2つの値によって求まることがわかる。本発明は、この原理を利用して、固液二相流体から液体成分を分岐流路D側に流入させて回収するものである。
図2は、本発明の固液分離装置の基本構造を説明するための概念図である。本発明の固液分離装置の基本構造10は、図2(a)に示すように、回転軸Rを中心に回転する回転構造体12と円筒管13からなる。回転構造体12は、平滑面12aを有し、平滑面12aには、流体を回収するための開口部14が形成される。円筒管13は、その中心軸が平滑面12aに垂直な回転軸Rと一致するように接続され一体化される。
図2(b)は、基本構造10の断面図を示す。図2(b)に示すように、回転構造体12の平滑面12aに形成された開口部14は、回転構造体12の内部に形成された流路15に連通し、流路15は円筒管13に接続される。
なお、図2には、円柱状の回転構造体12を例示したが、本発明は、回転構造体12の形状を円柱状に限定するものではなく、回転対称形状の平滑面を有する構造体であればどのような形状であってもよい。また、図2には、平滑面12aに矩形の開口部14を2つ形成した例を示したが、開口部14は円形であってもよく、平滑面12a上に形成する開口部14の数は1以上の適切な数であればよく、開口部14の数が2以上の場合は、回転軸Rに対して軸対称の位置に開口部14を形成する。
本発明においては、図2(c)に示すように、回転構造体12を、容器16に貯留された固液二相流体に浸漬した状態で、図示しない適切な回転駆動手段によって回転軸Rを中心に回転させながら、開口部14における単位幅当たりの流量がq[m2/S]になるように円筒管13内の流量をQ[m/S]に制御する。このとき、回転構造体12の平滑面12a近傍に存在する固液二相流体と平滑面12aに形成された開口部14(に連通する流路15)との間には、破線矢印で示す相対速度Uが生じる。
図2において、回転構造体12の平滑面12a近傍に存在する固液二相流体と回転構造体12の内部に形成された流路15に流入する流体の関係は、図1に示した2次元流路における主流路Mを流下する固液二相流体と分岐流路Dに流入する流体の関係と等価であり、図1に示した2次元流路における主流路Mの流速[U]、分岐流路Dの流量[q]、および、分岐流路Dの横断面の幅[h]は、それぞれ、相対速度U、回転構造体12の開口部14における単位幅当たりの流量、および、開口部14の幅hに対応する。
つまり、本発明の固液分離装置によれば、相対速度Uを決定する回転構造体12の回転速度および円筒管13を流下する流体の流量qを適切に制御することによって、容器16に貯留された固液二相流体から粒子濃度の低い流体を回転構造体12の流路15に流入させ、流路15に接続される円筒管13を介して図示しない回収先に回収することができる。
本発明者は、既に、上述した機構を実装した装置によって数ミリオーダーの粒子のフィルタリングに成功している。その詳細な内容については、本発明者が先に出願した特願2009−215616号(特開2011−62642号公報)を参照されたい。しかしながら、分離対象の粒子サイズがミリオーダーよりもさらに小さくなると期待した結果が得られない場合がある。この原因について、図3に基づいて説明する。
回転構造体12の開口部14に流入する流体は、図1(b)示した理想状態とは異なり、図3(a)に示すように、その流れには、回転構造体12の平滑面12aに対して垂直方向にゆらぎが生じる。したがって、図3(b)に示すように、固液二相流体に含まれる粒子成分Xの径dに基づく理論上の限界粒子軌線Sを前提にして各種パラメータを設定しても、実際の限界粒子軌線S’がゆらぎによって回転構造体12の平滑面12aからさらに離れると、図3(c)に示すように、本来、開口部14を通過するべき回転構造体12内に流入してしまうといった現象が起きる。この点につき、本発明は、回転構造体12の平滑面12aに対して所定の隙間をあけて平行に対峙する平滑面を近接配置することによってこの問題を解決する。
図4は、図2に示した基本構造10に対してゆらぎ抑制手段18を追加した態様を示す。図4には、図4には円盤状のゆらぎ抑制手段18を例示するが、ゆらぎ抑制手段18は、回転構造体12の平滑面12aに対して所定の隙間をあけて平行に対峙する平滑面であって、平滑面12aを覆うに十分な面積の平滑面を提供する構造体であれば、どのような形状のものであってもよい。
ゆらぎ抑制手段18は、円筒管13に貫かれ、その平滑面18aが回転構造体12の平滑面12aと平行に配置される。このとき、ゆらぎ抑制手段18と円筒管13の間は軸受を介在させるなどして固着せず、円筒管13(回転構造体12)の回転に伴ってゆらぎ抑制手段18が追従して回転しないように固定される。
本発明においては、ゆらぎ抑制手段18の平滑面18aと回転構造体12の平滑面12aの間に離間距離L(以下、隙間Lという)が維持される。ここで、隙間Lは、開口部14に係る限界粒子軌線を理想状態に近づけることができる適切な大きさを維持する。図5は、ゆらぎ抑制手段18が追加された効果を示す図である。図5に概念的に示すように、ゆらぎ抑制手段18の平滑面18aが回転構造体12の平滑面12aに平行に配置されることによって、開口部14に流入する流体のゆらぎが抑制され、開口部14に係る限界粒子軌線は理想状態に近づく。その結果、コンマ数ミリ以下のオーダーの粒子のフィルタリングが可能になる。
図6は、本発明の第1の実施形態である固液分離装置100の側面断面図を示す。固液分離装置100は、支持体101と、支持体101に固定される円筒状の密閉容器102と、支持体101および密閉容器102を貫通する円筒管103と、円筒管103に接続される円柱状の回転構造体120と、円盤状に形成されたゆらぎ抑制板130を含んで構成されている。
円筒管103は、密閉容器102内の2つの軸受104,104によって回転軸Rを中心に回転自在に支持され、円筒管103の外周面であって密閉容器102の中空部を貫通する位置に開口部103aが形成されている。また、円筒管103の閉塞端はプーリー106を介してモータ107に接続されており、その開放端は回転構造体120に接続されている。さらに、密閉容器102の中空部には配管108が接続され、配管108の下流側に圧送ポンプ109が接続されている。
回転構造体120の上面120aには、回転構造体120の回転軸Rに対して軸対称の位置に、回転軸Rを中心とする円周方向に直交するように対峙する長辺を持つ矩形の開口部122が2つ形成されている。開口部122は、回転構造体120の内部に形成された流路123に連通し、各流路123は、円筒管103の開放端に接続されている。なお、図6においては、矩形の開口部122を例示しているが、開口部122の形状は円形であってもよい。また、図6においては、2つの開口部122を形成した例を示しているが、開口部122の数は、1つであってもよいし、3以上の数であってもよい。
ゆらぎ抑制板130は、平滑面として構成される底面130a(以下、ゆらぎ抑制面130aという)が回転構造体120の上面120aと平行に配置され、ゆらぎ抑制面130aと上面120aの間に隙間Lが維持されるように密閉容器102に固定されている。
ここで、固液分離装置100は、運転時において、少なくとも回転構造体120およびゆらぎ抑制板130を容器110に貯留された固液二流体に浸漬した状態で、モータ107および圧送ポンプ109を駆動する。モータの駆動力は、プーリー106および円筒管103を介して回転構造体120に伝達され、その結果、回転構造体120が回転軸Rを中心に回転する。一方、圧送ポンプ109の駆動によって、容器110に貯留された流体は、回転構造体120の開口部122,122に流入し、回転構造体120内に形成された流路123、円筒管103、密閉容器102の中空部および配管108から構成される回収流路を通って図示しない流体の回収先に回収される。一方、容器110には、回収先に回収された流体を補充する量の新たな固液二流体が配管112に介して容器110に導入され、フィルタリング処理が連続的に実行される。
ここで、上述した回転構造体120の回転速度および圧送ポンプ109の流量(すなわち、回転構造体120内に形成された流路123を流下する流体の流量)は、開口部122の大きさと固液二流体に含まれる粒子の推定サイズに応じて算出された適切なパラメータによって制御される。その結果、配管108に接続された回収先には、粒子濃度が低減した流体が回収される。
ここで、フィルタリング処理のスループット向上の観点から、回転構造体120にできるだけ多くの開口部を形成することが望まれる。しかし、多くの開口部を形成することはフィルタリングの性能の劣化を招く虞がある。以下、この点について、図7(a)に基づいて説明する。
図7は、本発明の固液分離装置の基本構造20において、回転構造体12の平滑面12aに4つの開口部14を形成した態様を示す。図7(a)に示すように、回転構造体12の上面に多くの開口部14を形成すると、流体の相対速度方向(回転軸Rを中心とする円周方向)に開口部14が密集することになり、このような状況下では、各開口部14に流入する流れが相対速度方向手前の開口部14に流入する流れに影響を及ぼすようになる。その結果、図7(b)に示すように、一部の開口部14においては、平滑面12aから離れた場所を流れる層(粒子を含んだ層)が流れ込むようになる。このことに加え、多くの開口部14から同時に液体成分が採取される結果、平滑面12aと平滑面18a(ゆらぎ抑制面)の間に挟まれた流体の粒子濃度が短時間に上昇することも相まって、開口部14に流れ込む粒子が増加する。
この点につき、本発明は、羽根車を利用することによって上記問題を解決する。図8は、本発明の固液分離装置の基本構造20に羽根車30を追加した態様を示す。本発明においては、図8(a)に示すように、羽根車30は、回転構造体12の平滑面12aと平滑面18a(ゆらぎ抑制面)の間に配置され、円筒管13に対して回転自在に嵌合される。
羽根車30の羽根は、円筒管13に嵌合される際、平滑面12aに対して垂直に対峙し、回転構造体12を回転させた場合、羽根車30の羽根は流体の抵抗を受けて、平滑面12aに対して回転軸Rを中心とする円周方向に相対速度をもつようになる。その結果、図8(b)に示すように、平滑面12aと平滑面18a(ゆらぎ抑制面)の間に挟まれた流体が羽根車30の羽根の動きによって回転構造体12の半径方向に掃き出される。このとき、羽根の動きは、平滑面12aに対して垂直方向の速度成分を誘起しない。その結果、平滑面12aと平滑面18a(ゆらぎ抑制面)の間に存在する流体の状態が初期化され、図9に概念的に示すように、各開口部14に係る流れの不均衡状態が好適に解消される。上述した羽根車30の機能により、回転構造体12の平滑面12aに多くの開口部14を形成した場合であってもフィルタリングの性能が低下しない。
図10は、本発明の第2の実施形態である固液分離装置200の側面断面図を示す。固液分離装置200は、基本構成において、図6に示した固液分離装置100と共通するので、ここでは、固液分離装置100との相違点についてのみ説明する。
固液分離装置200においては、回転構造体120の上面120aに、回転構造体120の回転軸Rに対して軸対称の位置に8つの開口部122形成されている。そして、回転構造体120の上面120aとゆらぎ抑制面130aの間に羽根車140が配置されている。4つの羽根を有する羽根車140は、円筒管103に対して、回転軸Rを中心に回転自在に嵌合されている。本実施形態においては、例えば、羽根車140の内径を円筒管103の外径よりも若干大きく形成して、羽根車を円筒管103に緩く嵌合することによって回転自在としてもよいし、羽根車140と円筒管103の間に軸受を介在させることによって回転自在としてもよい。
さらに、本実施形態においては、回転構造体120の上面120aに形成される開口部122の数に応じて羽根車140の構造を最適化することが好ましい。具体的には、開口部122の数に応じて、羽根車140の羽根の数を増減させたり、羽根部分に流体を通過させるための開口部を形成して羽根が受ける流体の抵抗を変化させたりすることができる。
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、図6および図10は、円筒管103の一端を閉塞端とし、円筒管103の外周面の開口部103aから流体を回収する構成を例示したが、円筒管103の閉塞端を開放端とし、当該開放端と流体回収用の配管を回転管継手によって接続するように構成してもよい。さらに、図11(a)(b)に示すように、複数の装置を接続して多段式に構成することによって分離効率を最大化することもできる。その他、当業者が推考しうる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
以上、説明したように、本発明によれば、フィルタを使用せず、固相と液相の比重に大きな差がない二相流体にも適用することができる新規な固液分離装置および方法が提供される。本発明の固液分離装置は、その適用範囲を限定するものではないが、本発明の1つの適用例として、機械加工に使用した潤滑油や切削油の再生装置を挙げることができる。従来、使用後の潤滑油や切削油をメッシュフィルタに通すことによって加工屑やスラッジを除去していたが、メッシュフィルタを交換するために相当の頻度で機械を停止する必要があり、生産効率を下げる原因となっていた。この点につき、本発明の固液分離装置をメッシュフィルタの上流側に一次フィルタとして配置すれば、メッシュフィルタの交換サイクルを十数倍から数十倍に伸ばすことが可能になる。
以下、本発明の固液分離装置ついて、実施例を用いてより具体的に説明を行なうが、本発明は、後述する実施例に限定されるものではない。
(実験装置)
上述した第1および第2の実施形態を具現化した実験装置を作製し、下記の手順で評価実験を行った。図12は、作製した実験装置1000を示す。なお、図12において、上述した実施形態の装置の構成要素に対応する部材については、同じ符号を用い、その説明を省略するものとする。
実験装置1000においては、密閉容器102と回転構造体120の間に、3つの円盤状部材(a〜c)からなるゆらぎ抑制板130を取り外し自在に挿嵌し、ゆらぎ抑制板130の最下面と回転構造体120の上面の間の隙間が5mmになるように固定した。ゆらぎ抑制板130を構成する円盤状部材bおよびcの厚みを5mmとし、これを1つずつ外すことによって、ゆらぎ抑制板130の最下面(ゆらぎ抑制面に相当)と回転構造体120の上面の間の隙間を10mmあるいは15mmに変更できるようにした。
回転構造体120については、図13に示す3種類の回転構造体120A〜120Cを用意した。回転構造体120A〜120Cの上面には、回転軸に対して軸対称の位置に、それぞれ、2個、8個、16個の円形状の開口部122(直径2mm)を形成した。
また、羽根車140については、図14に示す3種類の羽根車140a〜140cを用意した。図14(a)に示す羽根車140aは、孔の空いていない4つの羽根を有し(以下、この羽根車を孔無羽根車として参照する)、図14(b)に示す羽根車140bは、1.0mm径の孔が複数形成された4つの羽根を有し(以下、この羽根車を1.0mm孔羽根車として参照する)、図14(c)に示す羽根車140cは、0.5mmの孔が複数形成された6つの羽根を有している(以下、この羽根車を0.5mm孔羽根車として参照する)。
(実施例1)
アルミニウム粉末(山石金属製:YP680、直径DP≒0.125mm)を水に分散させて固液二相流体を調整した。調整した固液二相流体を容器110に入れ、図12に示すように、実験装置1000の密閉容器102から下が固液二流体に浸かるようにセットした。
モータ107を駆動し、回転構造体120を回転させた状態で、配管108に接続した図示しない圧送ポンプを10秒間駆動し、流体を透明容器(45×55×90mmの直方体形状)に採取して、その質量を計測した。
なお、上述した手順を、隙間=5mm、10mm、15mm、∞(3つの円盤状部材a〜cを全て取り外した状態)という4つの条件(以下、隙間条件という)について実施した。なお、各隙間条件の下、モータ107の回転速度(=回転構造体120の回転速度)について0〜5000rpmの範囲で複数の条件を設定して実験を行った。
上述した各隙間条件について、流体を採取した容器の45×90mmの側面にシート状のレーザー光を照射し、このとき観察される、アルミニウム粉末による散乱光を容器の55×90mmの側面側からCCDカメラで撮影した。その後、撮影した散乱光画像を画像解析ソフトで解析することによって、採取した流体に残存するアルミニウム粉末の質量濃度αを求めた。
回転構造体120の回転速度=0のときのアルミニウム粉末の質量濃度をα0として、各条件における濃度比αratio(=α/α0)を求めた。さらに、下記式(3)で定義される無次元量ζを求めた。
上記式(3)において、「固相粒子の直径」はアルミニウム粒子の直径0.125mmとし、「開口部の直径」は開口部122の直径(2mm)とし、「開口部の周速」は回転構造体120の回転速度rpmから求め、「回転構造体内の平均流速」は、採取した流体の質量計測結果から算出した。
図15は、4つの隙間条件(5mm、10mm、15mm、∞)における、αratioとζの関係を示す。なお、図15においては、理論値を表す直線(αratio=1−ζ)を併せて示している(以下の図においても同様)。図15に示すように、隙間条件(5mm、10mm、15mm)の結果は、隙間条件(∞)の結果に比較して、いずれも、理論線によく一致した。
次に、隙間条件=5mmの下、図13(a)に示した開口部=8個の回転構造体120bを使用して、上述したのと同様の手順で実験を行った。図16は、開口部=8個の条件における、αratioとζの関係を示す。なお、図16においては、先に実施した開口部=2個の条件における結果を併せて示した。図16に示すように、開口部=8個の条件の結果は、開口部=2個の条件の結果に比較して、理論線からはずれる傾向が見られた。
(実施例2)
次に、ゆらぎ抑制板130の底面と回転構造体120の上面の間の円筒管103(外径9mm径)に羽根車140(内径12mm)を緩く嵌合して、上述したのと同様の手順で実験を行った。なお、以下の実験は、隙間条件=5mmの下、図14(a)〜(c)に示した羽根
車140を使用し、開口部=8個および16個の条件について行った。
図17(a)〜(c)は、開口部=8個の条件下におけるαratioとζの関係を示す。なお、図17においては、羽根車を使用しない条件の結果を併せて示している。図17に示すように、開口部=8個の場合、羽根車を使用しない条件に比較して、羽根車を使用した条件においてフィルタリング効果が改善されており、1.0mm孔羽根車を使用した条件の結果の方が、0.5mm孔羽根車を使用した条件の結果よりも、より理論線に一致した。
図18は、開口部=16個の条件下におけるαratioとζの関係を示す。なお、図18においては、羽根車を使用しない条件の結果を併せて示している。図18に示すように、開口部=16個の条件においても、羽根車を使用しない条件に比較して、羽根車を使用した条件においてフィルタリング効果が改善されており、0.5mm孔羽根車を使用した条件の結果の方が、1.0mm孔羽根車を使用した条件の結果よりも、より理論線に一致した。
10…基本構造
12…回転構造体
13…円筒管
14…開口部
15…流路
16…容器
18…ゆらぎ抑制手段
20…基本構造
30…羽根車
100,200…固液分離装置
101…支持体
102…密閉容器
103…円筒管
103a…開口部
104…軸受
106…プーリー
107…モータ
108…配管
109…圧送ポンプ
110…容器
112…配管
120…回転構造体
122…開口部
123…流路
130…ゆらぎ抑制板
140…羽根車
1000…実験装置

Claims (8)

  1. 固液二相流体から粒子成分の濃度が低い流体を回収する装置であって、
    固液二相流体に浸漬される回転構造体であって、回転対称形状の平滑面を有し、該平滑面に開口部が形成され、該開口部に連通する流路が内部に形成され、前記平滑面に垂直な回転軸を中心に回転する回転構造体と、
    前記回転構造体に接続される円筒管であって、前記開口部に連通する流路に接続され、該開口部から流入する前記粒子成分の濃度が低い流体を回収先に送出するための円筒管を含む回収流路と、
    前記平滑面に対して、平行に対峙する平滑面を近接配置することにより、前記粒子成分の濃度が低い流体が前記開口部に流入するための所定の隙間を維持する手段と
    を含む、装置
  2. 前記開口部は、前記回転軸に対して軸対称の位置に複数形成される、請求項1に記載の装置
  3. 前記回転構造体の平滑面と該平滑面に平行に対峙する前記平滑面の間の前記円筒管に対して前記回転軸を中心に回転自在に嵌合される羽根車をさらに含む、請求項1または2に記載の装置
  4. 前記羽根車の羽根に流体を通過させるための開口部が形成される、請求項3に記載の装置
  5. 前記回転構造体は円柱形状を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置
  6. 前記平行に対峙する平滑面を提供する手段は、平滑面を有する盤状部材である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置
  7. 前記平滑面に形成された前記開口部は、前記回転軸を中心とする円周方向に対して対峙する長辺を持つ矩形の形状を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置
  8. 前記平滑面に形成された前記開口部は、円形の形状を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置
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