JP5999639B2 - 免疫刺激因子担持微粒子 - Google Patents

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本発明は、免疫刺激因子を担持させた微粒子に関する。より具体的には、免疫細胞の免疫作用を増強することにより癌の治療及び/又は予防などを含む癌免疫療法などに利用することができる免疫刺激因子担持微粒子に関するものである。
免疫アジュバントと抗原とを混合することによりワクチン等の免疫原性組成物を製造できることが知られている。免疫アジュバントとしては従来から無機系の免疫アジュバントが利用されている。例えば、無機系免疫アジュバントとして水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、又はリン酸カルシウム等が利用され医療に応用されてきたが、最近では、高病原性インフルエンザやB型又はC型肝炎等の感染症予防のほか、癌の免疫療法等にも利用できる安全かつ有効な免疫アジュバントの提供を求める強い要望がある。
抗腫瘍免疫反応を誘導する免疫アジュバント及び免疫原性組成物としてリン酸カルシウムを用いた免疫アジュバント及びそれを用いた免疫原性組成物が知られている。例えば、リン酸カルシウムを含む免疫原性組成物(特許文献1、2)、及び金属イオンが一部Caを置換したリン酸カルシウムやリン酸三カルシウムを含む免疫アジュバント(特許文献3、4、5)、リン酸カルシウムを含むヒト又は動物用の免疫アジュバント組成物(特許文献6)、前立腺癌治療用のリン酸カルシウムを含む免疫原性組成物(特許文献7)などがある。リン酸カルシウムには担体としての機能もあるため、リン酸カルシウムに第2の免疫刺激因子を担持できることも開示されている(特許文献3)。しかしながら、これらのリン酸カルシウムを用いた免疫アジュバントに関して、特定のリン酸カルシウムに対して特定の金属イオンを特定濃度範囲で含有させた場合に免疫アジュバントの免疫刺激性、及び免疫原性組成物の免疫原性が飛躍的に高まることは従来全く知られていない。
一方、メソポーラスシリカとは2 nm〜50 nmの多数の微細孔(メソ気孔)を有し、比表面積が極めて高く吸着性能に優れるシリカ(SiO2)である。メソポーラスシリカの免疫刺激性はフロイントの不完全アジュバントと同等であることが開示されている(非特許文献1)。癌の免疫療法に使用可能なシリカ粒子の免疫アジュバントとしては、標的化治療の変異型を回避する免疫応答を惹起する組成物に使用される免疫アジュバント(特許文献8)が知られている。しかしながら、発明者らが知る限り、これらのメソポーラスシリカやシリカ粒子は単に免疫原性組成物に混合されて使用されているだけであり、メソポーラスシリカやシリカ粒子に第2の免疫刺激因子が担持できること、及びそのようなメソポーラスシリカやシリカ粒子が高い免疫刺激性を有することは従来知られていない。さらに、該メソポーラスシリカ又はシリカ上にリン酸カルシウムを用いて刺激因子を担持固定すると、免疫刺激性が飛躍的に高まることはこれまで知られておらず、さらには、このようにシリカとリン酸カルシウムを複合化することにより生体適合性が向上することも知られていない。
抗腫瘍免疫反応誘導以外の作用を有する免疫アジュバント組成物に関して、リン酸カルシウムを用いた免疫アジュバント又はそれを含む免疫原性組成物も開示されている(特許文献9−31)。
しかしながら、これらの文献には、特定のリン酸カルシウムに対して特定の金属イオンを特定濃度範囲で含有させた場合に免疫原性組成物の免疫原性及び免疫アジュバントの免疫刺激性が飛躍的に高まることは示唆ないし教示されていない。
特表2011-506334号公報 特表2006-528650号公報 特開2009-84292号公報 特許4238279号公報 特許 4569946号公報 特開2011-26328号公報 特表2005-511037号公報 特表2009-500454号公報 特表 平11-502415号公報 特表 平10-508303号公報 特表 平10-503933号公報 特開 平 4-224519号公報 特表 平6-503465号公報 特開 昭64-2932号公報 特表 2005-530690号公報 特表 2006-502090号公報 特表 2004-520825号公報 特表平11-500744号公報 特表平11-513372号公報 特表 2007-524609号公報 特開2006-20635号公報 特表 2005-522203号公報 特表 2005-528373号公報 特表 2005-519942号公報 特表 2005-519941号公報 特表 2010-510174号公報 特表 2010-507361号公報 特表 2009-514841号公報 特表 2008-502605号公報 特開 2011-26328号公報 特開 2010-265291号公報
Mercuri, L.P.; Carvalho, L. V.; Lima, F.A.; Quayle C et al., Small 2006, 2, 254.
本発明の課題は、生体適合性に優れ、かつ強い免疫刺激活性を効率的に発揮することができ、免疫細胞の免疫作用を増強することにより癌の治療及び/又は予防などを含む癌免疫療法などに利用することができる免疫アジュバントを提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、メソポーラスシリカ、特定亜鉛含有量の亜鉛含有リン酸三カルシウム、及び特定マグネシウム含有量のマグネシウム含有リン酸三カルシウムから選ばれる材料を含む微粒子を核として用い、例えば特定の免疫刺激因子を溶解したリン酸カルシウムの過飽和溶液に接触させることにより、リン酸カルシウムが該微粒子の表面に析出する際に該免疫刺激因子を伴って該微粒子上に沈着する共沈が生じ、免疫刺激因子がリン酸カルシウムを介して微粒子表面に強固に結合した免疫刺激因子担持微粒子を得ることができること、及びこの免疫刺激因子担持微粒子が強い免疫刺激性能を有していることを見出した。本発明はこれらの知見を基に完成されたものである。
すなわち、本発明により、メソポーラスシリカ、亜鉛含有量0.5〜7 mol%の亜鉛含有リン酸三カルシウム、及びマグネシウム含有量0.5〜7 mol%のマグネシウム含有リン酸三カルシウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上の材料を含む微粒子にツベルクリン、精製ツベルクリン、BCG菌製剤、ヒト型結核菌熱水抽出物、顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子、及びインターロイキン-2からなる群から選ばれる1種又は2種以上の免疫刺激因子をリン酸カルシウムと共に担持させた免疫刺激因子担持微粒子が提供される。上記の亜鉛含有量(mol%)は亜鉛含有リン酸カルシウムにおけるZn/(Zn+Ca)mol%であり、マグネシウム含有量(mol%)はマグネシウム含有リン酸カルシウムにおけるMg/(Mg+Ca)mol%である。亜鉛又はマグネシウムの含有量の範囲は免疫刺激性と生体適合性を両立する範囲に基づいて適宜決定することができる。
本発明の好ましい態様によれば、ツベルクリン、精製ツベルクリン、BCG菌製剤、ヒト型結核菌熱水抽出物、顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子、又はインターロイキン-2のいずれか1種の免疫刺激因子をリン酸カルシウムとともに担持させた上記の免疫刺激因子担持微粒子が提供される。
本発明のさらに好ましい形態によれば、上記メソポーラスシリカを含む微粒子の粒子径が30 nm〜50μmである上記の免疫刺激因子担持微粒子、上記亜鉛含有リン酸三カルシウムを含む微粒子の粒子径が50 nm〜50μmである上記の免疫刺激因子担持微粒子、及び上記マグネシウム含有リン酸三カルシウムを含む微粒子の粒子径が50 nm〜50μm である上記の免疫刺激因子担持微粒子が提供される。免疫刺激作用の発現には粒子が細胞による貪食可能なサイズであることが必要であり、これらの免疫刺激因子担持微粒子は特に優れた免疫刺激能を発揮することができる。
本発明の別の観点からは、上記の免疫刺激因子担持微粒子を含む免疫アジュバント、及び抗原とともにヒトを含む哺乳類動物の体内に投与して該抗原に対する全身性免疫反応を誘導するための免疫アジュバントとして用いるための上記の免疫刺激因子担持微粒子が提供される。この発明の好ましい態様によれば、抗原が腫瘍組織、腫瘍細胞、腫瘍細胞成分、腫瘍抗原タンパク、及び腫瘍抗原ペプチドからなる群から選ばれる1種又は2種以上の抗原であり、抗腫瘍免疫反応を誘導するために用いる上記の免疫アジュバントが提供される。
また、メソポーラスシリカ、亜鉛含有量0.5〜7 mol%の亜鉛含有リン酸三カルシウム、及びマグネシウム含有量0.5〜7 mol%のマグネシウム含有リン酸三カルシウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上の材料を含む微粒子の表面にツベルクリン、精製ツベルクリン、BCG菌製剤、ヒト型結核菌熱水抽出物、顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子、及びインターロイキン-2からなる群から選ばれる1種又は2種以上の免疫刺激因子をリン酸カルシウムと共に担持させた微粒子の免疫アジュバントとしての使用も本発明により提供される。
本発明のさらに別の観点からは、ヒトを含む哺乳類動物の腫瘍組織を物理的手段で変性させた後に該腫瘍組織内に投与することにより抗腫瘍免疫反応を誘導するために用いる上記の免疫アジュバントが提供される。この発明の好ましい態様によれば、物理的手段がマイクロウエーブ照射、ラジオフリークエンシー凝固法、凍結凝固法、電気メス加熱、熱水注入、アルコール注入、塞栓法、放射線照射、レーザー光照射、及び超音波破壊からなる群から選ばれる1種又は2種以上の手段である上記の免疫アジュバントが提供される。
さらに本発明により、上記の免疫アジュバントと抗原とを含むワクチンが提供される。この発明の好ましい態様によれば、抗原が腫瘍組織、腫瘍細胞、腫瘍細胞成分、腫瘍抗原タンパク、又は腫瘍抗原ペプチドからなる群から選ばれる1種又は2種以上の抗原であり、腫瘍の治療及び/又は予防に用いるための上記のワクチンが提供される。上記ワクチンの製造のための上記の免疫刺激因子担持微粒子の使用も本発明により提供される。
また、本発明により、ヒトを含む哺乳類動物の全身性免疫反応を誘導する方法であって、上記の免疫刺激因子担持微粒子の有効量をヒトを含む哺乳類動物の体内に免疫アジュバントとして投与する工程を含む方法;ヒトを含む哺乳類動物において抗腫瘍免疫反応を誘導する方法であって、ヒトを含む哺乳類動物の腫瘍組織を物理的手段で変性させた後に上記の免疫刺激因子担持微粒子の有効量を該腫瘍組織内に投与する工程を含む方法;腫瘍の治療及び/又は予防方法であって、上記の免疫刺激因子担持微粒子の有効量とともに腫瘍組織、腫瘍細胞、腫瘍細胞成分、腫瘍抗原タンパク、又は腫瘍抗原ペプチドからなる群から選ばれる1種又は2種以上の抗原を、ヒトを含む哺乳類動物の体内に投与する工程を含む方法が提供される。
本発明により提供される免疫アジュバントは生体適合性に優れており、かつ強い免疫刺激活性を効率的に発揮することができるので、癌の治療及び/又は予防を含む癌免疫療法などに利用することができる。
実施例の例1で調製した各試料の粉末X線回折図を示した図である。a: MS、b: MS/CaP、c: PPD-MS、d: PPD-MS/CaPを示す。 実施例の例1で調製した各試料の透過型電子顕微鏡像、走査型電子顕微鏡像及びエネルギー分散型X線分析による元素マッピング像を示した図である。A及びB: MS/CaPの透過型電子顕微鏡像、C: MS/CaPの走査型電子顕微鏡像、D: MS/CaPの元素(左: 酸素、中央: カルシウム、右: リン)マッピング像を示す。 実施例の例1におけるMS、PPD-MS、PPD-MS/CaPの赤外吸収スペクトルを示した図である。矢印はPPD由来の吸収帯を示す。 実施例の例1で得た精製ツベルクリン担持メソポーラスシリカ微粒子の生体適合性を評価した結果を示した図である。種々の粒子濃度で微粒子(MS及びMS/CaP)を含有する培養液中で培養したNIH3T3の相対細胞数を微粒子含有量が0 μg/mL(比較対照)のデータを100%として相対値で表示した。 PPD-MS/CaP、PPD-MS、及びPPD sol.の腫瘍再発阻止率を示した図である。 抽出法で得られたBSのRSM液への浸漬前後の粒子表面の走査型電子顕微鏡像を示した図である。A-1: BS-A、A-2: RSM液に投入後のBS-A、B-1: BS-B、B-2: RSM液に投入後のBS-B、C-1: BS-C、C-2: RSM液に投入後のBS-C、D-1: BS-D、D-2: RSM液に投入後のBS-Dを示す。 抽出法で得られた各BSの小角X線回折の(A)全体図及び(B)拡大図である。 BS-A及びBS-Dの(A)窒素吸脱着等温線及び(B)細孔分布を示した図である。 抽出法で得られたBS の(A)SSM固定化前及び(B)SSM固定化後の赤外吸収スペクトルを示した図である。A: BS-A、B: BS-B、C: BS-C、D: BS-D、a: SSM-BS-A/CaP、b: SSM-BS-B/CaP、c: SSM-BS-C/CaP、d: SSM-BS-D/CaPを示す。 抽出法で得られたBS の(A)SSM固定化前及び(B)SSM固定化後の赤外吸収スペクトルを示した図である。 実施例の例6で得られた各MSの走査型電子顕微鏡像を示した図である。A: MS-A、B: MS-B、C: MS-C、D: MS-Dを示す。 実施例の例6で得られた各MSの小角X線回折図を示した図である。 実施例の例6で得られた各MSのMS/CaPの細孔分布を示した図である。 実施例の例8における各実験群の免疫治療モデルにおいて再播種したLLCにより形成された腫瘍組織の成長曲線を示した図である。 実施例の例9で調製した各種TCP粉末についてCuKα線を用いて測定した粉末X線回折図を示した図である。(A)各ZnTCP及び(B)各MgTCPを示す。 代表的TCP粉末の走査型電子顕微鏡写真を示した図である。A-1: TCP、A-2: RSM液に投入後のTCP、B-1: Mg1.5、B-2: RSM液に投入後のMg1.5、C-1: Zn1.5、C-2: RSM液に投入後のZn1.5を示す。 SSM担持処理を行った(A)TCP及び各種(B)MgTCP、(C)ZnTCPの赤外吸収スペクトルを示した図である。 例15におけるメソポーラスシリカ微粒子とアラムアジュバントの抗腫瘍免疫反応誘導能の比較において、LLC再播種後に腫瘍形成無し又は腫瘍サイズ0.5mm3未満であるマウスの割合を示した図である。
本発明により提供される免疫刺激因子担持微粒子は、メソポーラスシリカ、亜鉛含有量0.5〜7 mol%の亜鉛含有リン酸三カルシウム、及びマグネシウム含有量0.5〜7 mol%のマグネシウム含有リン酸三カルシウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上の材料を含む微粒子にツベルクリン、精製ツベルクリン、BCG菌製剤、ヒト型結核菌熱水抽出物、顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子、及びインターロイキン-2からなる群から選ばれる1種又は2種以上の免疫刺激因子をリン酸カルシウムと共に担持させたことを特徴としている。
免疫刺激因子は、ヒトを含む哺乳類動物に投与した場合に体内において何らかの免疫反応を惹起及び/又は増強することができる物質であり、ヒトを含む哺乳類動物の抗原提示細胞に体外において添加した場合には該細胞の何らかの活性化を惹起及び/又は増強することができる物質である。従って、上記の性質を有する限り任意の物質を免疫刺激因子として利用することができる。抗原自体も何らかの免疫刺激作用がある限り免疫刺激因子に含まれる。
本発明の免疫刺激因子担持微粒子では、免疫刺激因子が単なる物理吸着や混合により微粒子表面に付着しているのではなく、免疫刺激因子と微粒子とがリン酸カルシウムを介して強固に結合しており、免疫刺激因子は微粒子表面から容易に脱落しない状態となっている。本明細書において「担持」の用語は上記の状態を意味するものとして解釈しなければならない。一般に、タンパク等と無機物とを結合させる手段としてシランカップリング等の共有結合法を利用することもできるが、リン酸カルシウム過飽和溶液に無機物を入れて、リン酸カルシウムとともに共沈させることにより担持させることで結合させて無機物とリン酸カルシウムとを一体化できることも知られていることから(特許第4569946号、特許 4654427号、及び特許 4478754号など)、本発明の免疫刺激因子担持微粒子を製造するためには、リン酸カルシウム過飽和溶液を用いて、リン酸カルシウムとともに免疫刺激因子を微粒子表面に共沈担持させることにより免疫刺激因子と微粒子とを強固に結合させて両者を一体化させることが好ましい。
共沈担持は、微粒子を免疫刺激因子が含まれるリン酸カルシウム過飽和溶液に接触させることにより低結晶性リン酸カルシウムが免疫刺激因子を捕捉しながら微粒子上に層状に沈着するプロセスであり、免疫刺激因子が単なる吸着により微粒子に付着している状態とは異なり、免疫刺激因子がリン酸カルシウムを介して微粒子上に強固に結合して固定化されるという特徴がある。共沈担持により微粒子表面に固定化された分子は、低結晶性リン酸カルシウムの層内に数十ナノメール間隔で均一に分散した状態になることから(A. Oyane et al., Biomaterials, 27, pp.167-175, 2006)、この手法により微粒子表面に免疫刺激因子を担持させると免疫刺激因子が長時間にわたり徐々に放出し、あるいは該リン酸カルシウム層が溶解することにより初めて免疫刺激因子が放出される。また、このような性質から、免疫刺激因子担持微粒子が抗原提示細胞を含む貪食細胞内において消化される際に免疫刺激因子を放出することが期待される。従って、共沈担持により本発明の免疫刺激因子担持微粒子を調製することにより、極めて有効性の高い免疫アジュバントとして利用することができるようになる。
メソポーラスシリカとはメソ孔を有する二酸化ケイ素である。IUPACではメソ孔とは直径2-50 nmの細孔であると定義されている。多数のメソ孔が規則正しく配列していれば、粉末X線回折法により2-50 nmの格子間隔に相当する位置にピークが出現するが、一般的にはこれを判断基準としてシリカに規則正しいメソ孔があるか否かを判断することができる。このようなピークはCuKαによるX線回折では2θが0.5〜3.0oの範囲に出現する。メソ孔が不規則に配列する場合は透過型電子顕微鏡によりメソ孔を確認することができる。あるいは、自動比表面積/細孔分布測定装置を用いて細孔径を測定することもできる。これらのいずれかの方法でメソ孔の存在が確認できるシリカはいずれもメソポーラスシリカとして本発明の免疫刺激因子担持微粒子の製造に使用することができる。
メソポーラスシリカはテトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラプロポキシシラン、又はケイ酸ナトリウムなどをケイ素源の原材料として用い、ポリ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)−ポリ(エチレンオキシド)などのブロック共重合体又はヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドなどの長鎖アルキルアンモニウムなどに代表される界面活性剤をメソ孔のテンプレートとして使用し、20〜150℃の条件下で溶液を酸性又は塩基性に調整し、好ましくはpH1.0以下又はpH12.0以上に調整してケイ素源の原材料を加水分解した後、テンプレートを抽出法又は燃焼により除去する等の種々の方法で作製することができる。
亜鉛含有リン酸三カルシウム又はマグネシウム含有リン酸三カルシウムは、それぞれ亜鉛又はマグネシウムによりカルシウムの一部が置換されたリン酸三カルシウム(Ca3(PO4)2)である。リン酸三カルシウムとしては低温型のβリン酸三カルシウム又は高温型のαリン酸三カルシウムのいずれを用いてもよいが、亜鉛とマグネシウムで構造が安定化する低温型のβリン酸三カルシウムが好適に用いられる。亜鉛又はマグネシウムを含有したリン酸三カルシウムは、純粋なリン酸三カルシウムと比較すると格子定数が小さくなるため、亜鉛又はマグネシウムを含有したリン酸三カルシウムは純粋なリン酸三カルシウムのX線回折パターンに比べて高角度側にシフトしたX線回折パターンを与える。亜鉛含有リン酸三カルシウム及びマグネシウム含有リン酸三カルシウムとしては高角側にシフトしたX線回折パターンを有するものであれば(Ca+Zn)/Pモル及び(Ca+Mg)/Pモル比が正確に化学量論1.50を与える必要はなく、非化学量論のものを用いることもできる。あるいはウイットロッカイトと呼ばれるHがCaを一部置換したものを用いてもよい。Ca、Zn、Mg、及びPの含有量は誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP)などの公知の方法で確認することができる。
亜鉛含有リン酸三カルシウム又はマグネシウム含有リン酸三カルシウムは、リン酸イオンとカルシウムイオン、及び亜鉛イオン又はマグネシウムイオンを水溶液として反応させて得た沈殿を800〜1000℃に加熱して調製することができる。該水溶液反応を60〜200℃で行うことにより直接調製することもでき、あるいはSol-Gel法又は固相反応法などで調製することもできる。
亜鉛含有リン酸三カルシウムの亜鉛含有量は、モル分率Zn/(Ca+Zn)で定義される含有量が0.5 mol%以上7 mol%以下、好ましくは1.5 mol%以上6.8 mol%以下、より好ましくは1.0 mol%以上3.0 mol%以下である。亜鉛含有量が0.5 mol%未満の場合は亜鉛を含まないリン酸カルシウムと同じ免疫刺激活性であり、亜鉛含有量が7 mol%を超える場合は溶解性の低下により亜鉛含有リン酸カルシウムが生体中で溶解されなくなるとともに(A. Ito et al., J. Biomed Mater Res., 60, 224-231, 2002)、細胞や組織に対する為害性が発現する場合がある。マグネシウム含有リン酸三カルシウムのマグネシウム含有量は、モル分率Mg/(Ca+Mg)で定義される含有量が0.5 mol%以上7 mol%以下、好ましくは1.5 mol%以上6.8 mol%以下、より好ましくは1.0 mol%以上5.0 mol%以下である。マグネシウム含有量が0.5 mol%未満の場合はマグネシウムを含まないリン酸カルシウムと同じ免疫刺激活性であり、マグネシウム含有量が7 mol%を超える場合はマグネシウム含有リン酸カルシウムが生体中で溶解されにくくなる場合がある(X. Li et al., Acta Biomaterialia, 5, 508-517, 2009)。
免疫刺激因子担持微粒子に使用するメソポーラスシリカ微粒子の粒径は特に限定されないが、例えば抗原提示細胞が貪食可能な30 nm以上50μm以下であることが好ましい。より好ましくは30 nm以上1μm以下であり、さらに好ましくは50 nm以上1μm以下である。免疫刺激因子担持微粒子に使用する亜鉛含有リン酸三カルシウム微粒子及びマグネシウム含有リン酸三カルシウム微粒子の粒径も特に限定されないが、例えば抗原提示細胞が貪食可能な50 nm以上50μm以下であることが好ましく、より好ましくは50 nm以上10μm以下であり、さらに好ましくは100 nm以上10μm以下である。免疫刺激因子担持微粒子を構成する微粒子としては、2種以上の異なる粒径の微粒子の組み合わせや、2種以上の異なる亜鉛又はマグネシウム含有量を有する微粒子の組み合わせのほか、メソポーラスシリカ微粒子と亜鉛含有リン酸三カルシウム微粒子又はマグネシウム含有リン酸三カルシウム微粒子の組み合わせ、あるいは亜鉛含有リン酸三カルシウム微粒子及びマグネシウム含有リン酸三カルシウム微粒子の組み合わせなど、適宜の組み合わせからなる微粒子を用いることができる。
結核菌感染歴検出用のツベルクリン、特にツベルクリン中の蛋白成分を硫安沈殿法により精製した精製ツベルクリン(以下、「PPD」と略す場合がある)は、免疫刺激因子として使用可能であることが開示されている(文献4)。本発明で使用するツベルクリンには特に制限は無いが、好ましくは、ヒト型結核菌(青山B株)の培養を加熱殺菌し、除菌ろ過し、そのろ液から結核菌感染者やBCG被接種者に特異的な皮膚反応を起こす活性物質を分離精製し、これを凍結乾燥した原末を有効成分とする一般診断用精製ツベルクリンを用いることができるが、本発明で使用可能なツベルクリンは上記の特定のものに限定されるわけではない。
BCG菌製剤とはBCG菌(Mycobacterium bovis Bacillus Calmette-Guerin)の凍結乾燥物やその抽出物を含む製剤のことであり、好ましくはBCG菌のアルコール抽出物、アセトン抽出物、ピリジン抽出物、及び熱水抽出物からなる群から選ばれる1種又は2種以上の抽出物である。
ヒト型結核菌熱水抽出物としては任意のヒト型結核菌の熱水抽出物を使用することができるが、好ましくは、ヒト型結核菌(青山B株)の熱水抽出物を用いることができ、アラビノース、マンノース及びグルコースを主構成糖とする多糖体並びに核酸を含有する抽出物を用いることができる。該熱水抽出物としては塩化ナトリウム溶液に例示されるような水溶性イオンの溶液に溶解されたものであってもよい。
本発明の免疫刺激因子担持微粒子の製造にあたり共沈担持を行う場合には、微粒子を免疫刺激因子が含まれるリン酸カルシウム過飽和溶液に接触させることにより免疫刺激因子を低結晶性リン酸カルシウムに捕捉させながら微粒子上に層状に沈着させることができる。リン酸カルシウム過飽和溶液は公知の方法(特開2004−173795号公報、特開2005−237632号公報、特許 4478754号等参照)に従い、少なくともカルシウム成分を含有する医療用輸液又は製剤、少なくともリン酸成分を含有する医療用輸液又は製剤、及びpH補正用の適当な酸性輸液又はアルカリ性輸液を混合することにより調製することができる。
医療用輸液は体液またはその成分の欠乏に際してそれを補充するための溶液であり、一般的には水、電解質、及びブドウ糖等を含み、細胞外液と類似した電解質組成を有する。例えば、0〜5%程度のブドウ糖、10〜150 mEq/Lのナトリウム、0〜20 mEq/L程度のカリウムを含む。また、カルシウム成分としては、例えば塩化カルシウム、乳酸カルシウム、酢酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、又はクエン酸カルシウム等が挙げられ、リン酸成分としては、例えばリン酸、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、又はリン酸二水素ナトリウム等が挙げられる。医療用輸液又は製剤としては、例えば、医療用電解質輸液剤、透析・腹膜灌流液、輸液の補正用製剤、カルシウム製剤、透析・腹膜灌流液の補充剤、又は補正用電解質輸液剤等が挙げられる。輸液又は製剤はカルシウム成分又はリン酸成分の少なくとも1つを含んでいればよく、両方を含んでいてもよい。最終的に複数の輸液又は製剤を混合したときにカルシウム成分とリン酸成分の両方が含まれていればよい。また、混合する輸液又は製剤の種類及び数は限定されず、少なくとも2種類、好ましくは3種類以上の輸液又は製剤を混合することができる。少なくともカルシウム成分を含有する医療用輸液の例としては市販のリンゲル液(大塚製薬)や塩化Ca補正液1 mEq/mL (大塚製薬)、少なくともリン酸成分を含有する医療用輸液の例としては市販のクリニザルツ輸液(アイロム製薬)、ソリタ-T2号輸液(味の素製薬)やリン酸二カリウム補正液1 mEq/mL (大塚製薬)、pH補正用電解質輸液の例としては市販のメイロン静注7%(大塚製薬)や透析ろ過型人工腎臓用透析液の補充液であるバイフィル専用炭酸水素ナトリウム補充液1.39%(味の素ファルマ)などのアルカリ化剤が挙げられる。
混合後の溶液中のカルシウムイオン濃度は、例えば1 mM以上、好ましくは1.4〜3.4 mM、混合後の溶液中のリン酸成分の量は、リン酸イオン濃度として0.7〜3.1 mMが好ましい。Ca/Pモル比は、例えば0.5以上、好ましくは1.0〜2.0である。混合溶液中のカルシウムイオン濃度およびリン酸イオン濃度は生体適合性材料により変えることができる。例えば、陽極酸化チタン膜を有する生体適合性基材を用いる場合には、好ましくはカルシウムイオン濃度が1.4〜3.4 mMであり、リン酸イオン濃度が1.4〜3.1 mMである。また、水酸アパタイトセラミック基材を用いる場合、好ましくはカルシウムイオン濃度が1.6〜3.2 mMであり、リン酸イオン濃度が0.7〜2.2 mMである。もっとも、リン酸カルシウム過飽和溶液は上記に限るものでもなく、例えば医療用輸液を使用せずにリン酸カルシウム過飽和溶液を作製することができることは当業者に容易に理解されることである。
本発明の免疫刺激因子担持微粒子の免疫刺激活性は、本明細書の実施例に具体的に説明した方法及び以下に説明する方法により容易に測定可能である。THP-1細胞株はヒト由来のマクロファージ系統の樹立細胞株であり、培養中にPhorbol 12-Myristate 13-Acetate(以下、「PMA」と略す場合がある)を作用させて分化誘導すると貪食能を示し(Kurosaka, K., et al., J. Immunol., 161, pp.6245-6249, 1998)、抗原提示細胞となることが知られている(Hu, P. Q., et al., J. Immunol., 172, pp.1595-1601, 2004)。また、この細胞をIFNγで前処理するとT細胞への抗原提示能が増強される(Brett, S.J., et al., J. Immunol. 150, pp.2869-84, 1993)。THP-1細胞株は分化することによって、抗原提示能を獲得すると同時に顆粒球単球コロニー刺激因子(GM-CSF)を産生するようになる。従って、THP-1細胞株を分化させ、産生するGM-CSFを定量することによって、ヒト抗原提示細胞を含む末梢血由来付着性細胞を使用せずにヒト抗原提示細胞の活性化程度を測定することが可能になる。THP-1細胞は樹立細胞株であることから、ヒト個体差とは無関係に質的に安定した試験材料を確保することができる。
患者の体内にある腫瘍組織を物理的手段によって変性させた後、その組織と本発明の免疫刺激因子担持微粒子とを接触又は混合することにより、患者の体内に生残している腫瘍細胞に対して抗腫瘍免疫反応を誘導する癌免疫療法剤として使用することができる。腫瘍組織の物理的変性の手段は特に限定されないが、例えば、マイクロウエーブ照射、ラジオフリークエンシー凝固法、凍結凝固法、電気メス加熱、熱水注入、アルコール注入、塞栓法、放射線照射、レーザー光照射、又は超音波破壊等の手段を採用することができる。もっとも、物理的変性手段はこれらに限定されるものではなく、腫瘍組織内にある腫瘍細胞の細胞死を誘導することができる手段であればいかなるものを用いてもよい。2以上の物理的手段を適宜組み合わせてもよい。
抗腫瘍免疫反応の誘導は、例えば、以下の方法で確認することができる。C57BL/6Jマウス左後背部皮下に3〜7×105個のLewis肺癌細胞(LLC)を播種し、7〜10日間飼育して腫瘍組織を形成させた後、該腫瘍組織を摘出して液体窒素で凍結凝固により固定化処理して粉砕し、本発明の免疫刺激因子担持微粒子を混合した後、腫瘍摘出術の3日後にマウス皮下に投与する。さらに腫瘍摘出術の7及び14日後に本発明の免疫刺激因子担持微粒子を同一箇所に投与する。腫瘍摘出術の30日後に、右後背部に再度3〜7×105個のLLCを播種し、その後30日間にわたり腫瘍が形成するか否かを観察する。対照群においては、腫瘍摘出術3日後に粉砕した摘出腫瘍のみを投与し、7及び14日後に生理食塩水を投与し、その後30日間にわたって腫瘍が形成するか否かを観察する。本発明の免疫アジュバントが抗腫瘍免疫反応を誘導する活性を有することは、対照群と比較して腫瘍の成長が阻止又は抑制されることにより確認することができる。最初の腫瘍の固定化処理は凍結凝固には限定されず、免疫アジュバントと摘出腫瘍、及び免疫アジュバントの投与時期、観察期間なども適宜設定できることは言うまでもない。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
例1:精製ツベルクリン担持メソポーラスシリカ微粒子の調製
0.28 gの水酸化ナトリウム(NaOH)と1 gのヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(C19H42BrN、別名:cethyltrimethylammonium bromide、以下「CTAB」と略す)を480 mLの水に溶解し、25℃又は60℃に保持し、激しく撹拌しながらオルトケイ酸テトラエチル(Si(OC2H5)4、別名:Tetraethyl orthosilicate、以下「TEOS」と略す)を10 mL滴下した。そのまま2時間撹拌を続け白色の沈殿を得た。沈殿を遠心分離し、超純水とエタノール(99.5%)で洗浄して乾燥させた。その後、沈殿中のCTABをエタノール/塩酸溶液(エタノール(99,5%):塩酸(36.5% HCl)=50 mL:1 mL)で抽出した。得られた固相を超純水及びエタノール(99.5%)でpHが中性になるまで数回洗浄し、これをメソポーラスシリカ(MS)とした。得られたメソポーラスシリカの粒子径は、30〜200 nmであった。
カルシウム含有医療用輸液であるリンゲル液、リン酸含有医療用輸液であるソリタ-T2号輸液、医療用炭酸ナトリウム溶液であるメイロン静注7%液を混合してリン酸カルシウム過飽和溶液(以下「RSM液」と略す)を作製した。RSM液の組成を表1に示す。
精製ツベルクリンを0又は2.5 μg/mLの濃度でRSM液とリン酸緩衝液(以下「PBS(-)」と略す)に溶解し、(A)PPD含有RSM液、(B)PPD非含有RSM液、及び(C)PPD含有PBS(-)を調製した。上記メソポーラスシリカを(A)から(C)の各溶液に投入し、200 rpmで25℃、1日間撹拌した。溶液と一切接触をさせなかったメソポーラスシリカを含めて以下の4種類の微粒子を作製した。
MS:メソポーラスシリカ;
MS/CaP:メソポーラスシリカをPPD非含有RSM液に投入しメソポーラスシリカ上に低結晶性リン酸カルシウムを沈着させた微粒子;
PPD-MS:メソポーラスシリカをPPD含有PBS(-)に投入しメソポーラスシリカにPPDを吸着させた微粒子;及び
PPD-MS/CaP:メソポーラスシリカをPPD含有RSM液に投入しメソポーラスシリカに低結晶性リン酸カルシウムを用いてPPDを担持したPPD担持メソポーラスシリカ微粒子。
これらの微粒子の粉末X線回折図を図1に示す。
MSとPPD-MSにはメソポーラスシリカ特有のブロードなピークが24°付近に存在するだけであるが、MS/CaPとPPD-MS/CaPにはメソポーラスシリカのピークの他に31.8°付近にリン酸カルシウムであるアパタイト(化学量論組成Ca10(PO4)6(OH)2)のピークが認められた。図2にMS/CaPの透過型顕微鏡写真と走査型顕微鏡写真、及び後者にエネルギー分散型X線分析を組み合わせて得られた化学分析結果を示す。
得られたMS/CaP粒子は大部分が直径50〜100 nmの微粒子であり、内部に2〜4 nmのメソ気孔を有し、表面はリン酸カルシウム質であることから、確かにリン酸カルシウムが沈着したメソポーラスシリカであることがわかった。メソポーラスシリカの粒子径は図2A、Bのメソ気孔のある内部部分の直径に相当し、メソポーラスシリカの粒子径が50〜100 nmであることがわかる。得られたMSとMS/CaPのメソポーラス特性を計測するため、-196℃にて自動比表面積/細孔分布測定装置を用いて吸脱着等温線、細孔分布、BET比表面積、総孔容積を測定した結果を表2に示す。
これらの結果は、MSがメソポーラスシリカであること、及びMS/CaPはリン酸カルシウムが沈着してもメソポーラスシリカのメソポーラス特性が残っていることを示す。図3にMS、PPD-MS、PPD-MS/CaPの赤外吸収スペクトルを示す。
図3のPPD-MSとPPD-MS/CaPにはPPD由来の吸収帯が認められることから、PPD-MSにはPPDが吸着し、PPD-MS/CaPにはPPDが担持されていることが示された。以上により、MSはメソポーラスシリカ、MS/CaPはリン酸カルシウムが沈着したメソポーラスシリカ、PPD-MSは精製ツベルクリンが吸着したメソポーラスシリカ、PPD-MS/CaPは精製ツベルクリンが担持されたメソポーラスシリカであることが確認された。
例2:精製ツベルクリン担持メソポーラスシリカ微粒子の生体適合性と免疫刺激性能
24孔プレートを用い、1x104個のNIH3T3細胞をL-グルタミン(0.3 mg/mL)と10%牛血清を添加した1.0 mLのダルベッコ変法MEM培養液中で6時間培養した。次に培養液を5、20、50、100、300 μg/mLの濃度でMS又はMS/CaPを含有する培養液に交換して、さらに72時間NIH3T3細胞を培養した。培養後細胞数をWST-8法で測定した。比較対照はMSもMS/CaPも含有しない培養液で培養した細胞数とし、それと比較した相対細胞数(%)を生体適合性の指標とした。図4に相対細胞数測定結果を示す。
MSもMS/CaPも粒子濃度が増加するに従って細胞数が減少し、生体適合性が低下する傾向がみられたが、リン酸カルシウムが沈着しているMS/CaPはMSに比較して生体適合性が高いことが示された。さらに、MSは粒子濃度20 μg/mLまで、MS/CaP は50 μg/mLまでは相対細胞数が100%であった。このことは、メソポーラスシリカは20 μg/mLまで、リン酸カルシウムを沈着したメソポーラスシリカは50 μg/mLまでは細胞毒性が無く、生体適合性が高いということを意味している。
細胞毒性を示さない粒子濃度は20 μg/mL以下であることが判明したので、ヒト単球様細胞株THP-1を用い、0.5、1、2、及び5 μg/mLの粒子濃度の範囲でMS、MS/CaP、PPD-MS、PPD-MS/CaPの免疫刺激性を測定した。1600 nMの濃度でホルボールミリスタートアセタート(PMA、Sigma USA)を含む培養液(RPMI1640、Invitrogen USA)でTHP-1細胞を4日間培養してマクロファージ様細胞に分化させた。分化したTHP-1細胞をPBS(-)で洗浄後、PMAを含まない培養液で1日培養し、その後MS、MS/CaP、PPD-MS、PPD-MS/CaPを含む培養液、微粒子を含まない培養液、微粒子を含まずPPDのみ添加した培養液(2.5 μg/mL)に交換した。40時間培養後、分化したTHP-1細胞が産生するGM-CSFをELISA法で測定した。GM-CSFの産生量が多いほど免疫刺激性能が高いことを意味する。結果を表3に示す。
PPD、MS、MS/CaP、PPD-MSを添加した培養液中の分化THP-1細胞のGM-CSF産生量は、何も含まない培養液で培養した場合と同程度であるが、PPD-MS/CaPを添加した培養液を用いた場合はGM-CSFの産生が向上した。このことは、メソポーラスシリカ微粒子に精製ツベルクリンをリン酸カルシウムで担持した免疫刺激因子担持微粒子は、免疫アジュバントとして高い免疫刺激特性があることを示している。
例3:精製ツベルクリン複合メソポーラスシリカ微粒子による抗腫瘍免疫反応の誘導
動物実験でPPD-MS/CaP及びPPD-MSの抗腫瘍免疫反応の誘導効果を確認した。PPD-MS/CaP及びPPD-MSはMSが150 μg/100 μLとなるように調製して生理食塩水に懸濁させて免疫アジュバントとした。MSを添加せず、0.25 μg/mL となるようにPPDのみを添加した生理食塩水(PPD sol.)も作製し、比較対照の免疫アジュバントとした。
動物としてはC57BL/6J(6週齢、メス、日本クレア)マウスを使用した。マウスはあらかじめ、投与する免疫アジュバント(PPD-MS、PPD-MS/CaP又はPPD sol.(PPD溶液))によって群分けした(n=5)。各マウスの左後背部の皮下に3〜7×105個のLewis肺癌細胞(LLC)を播種し、7〜10日間のマウスの飼育の後、直径5〜10 mmの腫瘍組織を形成させた。腫瘍組織は皮膚ごと外科的に各マウスから摘出し、皮膚の切開面同士を縫合した。切除した組織から腫瘍組織のみを回収し、各々液体窒素に30分浸漬して固定した後、物理的に破砕し均質化した。術後3日後に固定化腫瘍組織とPPD-MSの混合物、または固定化腫瘍組織とPPD-MS/CaPの混合物、又は固定化腫瘍組織とPPD sol.の混合物を摘出部皮下(左後背部皮下)に投与し、7及び14日後にPPD-MS、PPD-MS/CaP、又はPPDを同一箇所に投与した。表4に動物群と投与機会毎の投与内容物の対応を示す。
腫瘍摘出術から30日後まで経過観察を行い、腫瘍の再発等健康上の問題が生じないことを確認できたPPD-MS群4匹、PPD-MS/CaP群5匹、PPD sol.群4匹に対し、右後背部に再度3〜7×105個のLLCを播種し、その後30日間に渡って経過観察を行い、右後背部における腫瘍形成の有無及びその成長速度についてデータ取得を行なった。本発明の免疫アジュバントによりマウスがLLCに対する抗腫瘍免疫を獲得していれば、新たに播種したLLCを原因とする腫瘍形成(腫瘍再発に相当する)の頻度が低減するものと予想される。新たにLLCを播種した時の腫瘍形成阻止率、すなわち腫瘍再発阻止率の経時変化を図5に示す。
腫瘍再発阻止率はPPDを担持したPPD-MS/CaPが最も高かった。以上の結果から、リン酸カルシウムでPPDを担持したPPD担持メソポーラスシリカ微粒子を含む免疫アジュバントは、複数の癌抗原を含む固定化腫瘍組織と共に投与すると、抗腫瘍免疫反応を誘導することが示された。
例4:ヒト型結核菌熱水抽出物担持メソポーラスシリカ微粒子の合成
ネジ口の蓋付きガラス容器中で作製した10 mLの濃塩酸(36.5% HCl)と65 mLの超純水の混合溶液を40℃に保持しながら撹拌し、その中に、2.0 gのトリブロック共重合体 (poly(ethylene oxide)-poly(propylene oxide)-poly(ethylene oxide)、PEO20PPO70PEO20、一般名称: Pluronic(登録商標)P123、以下「P123」と記載する)を添加し溶解させた。P123の溶解後、この溶液を激しく撹拌しながら4.56 mLのTEOSを添加し、ガラス容器の蓋を固く閉めた。そのまま5分間撹拌した混合物は、40℃に保持しながら20時間静置した後、さらに加熱温度を35℃、60℃、100℃、又は130℃に変更して24時間静置した。得られた混合物中の固相中間生成物は遠心分離(4000 rpm、10分間)により回収し、超純水で十分に洗浄した後に100℃で乾燥させた。その後抽出法または焼成法で有機物を除去した。なお、抽出法の場合、50 mLのエタノール(99.5%)と1 mLの濃塩酸(36.5% HCl)の混合溶液中に分散し、P123を抽出除去後、超純水で1度洗浄した後、エタノール(99.5%)でpHが中性になるまで数回に渡って洗浄し、100℃で乾燥させ、これを最終生成物のメソポーラスシリカ微粒子とした。焼成法の場合、固相中間生成物を550℃で5時間焼成し、P123を完全に燃焼除去して最終生成物のメソポーラスシリカ微粒子とした。得られたメソポーラスシリカ微粒子(BS)は、調製時の加熱温度の低い順にBS-A(35℃)、BS-B(60℃)、BS-C(100℃)及びBS-D(130℃)と命名した。
各々のBSは、カルシウム含有医療用輸液、リン酸含有医療用輸液、医療用炭酸ナトリウム溶液を混合して作製されるリン酸カルシウム過飽和溶液(RSM液: 表1)に投入し、免疫刺激因子の担持に重要なリン酸カルシウムの沈着挙動を調べた。投入によりRSM液のカルシウムイオン濃度とリン酸イオン濃度が減少すれば、BS上にリン酸カルシウムが沈着したことの指標になる。
2 mLのRSM液に対して抽出法及び焼成法で作製した3 mgのBSを各々投入し、合計8種類のBS含有RSM液とし、200rpmで25℃、1日間撹拌した。RSM液の上清中に残留するカルシウム(Ca)及びリン(P)濃度をICPで測定した結果を表5に示す。
メソポーラスシリカ調製時の加熱温度の高低に関わらず、抽出法で作製したBSを使用する方が焼成法で作製したBSを使用するよりも残留Ca及びP濃度が低く、CaやPの減少量が多いことが分かった。減少したCaやPはリン酸カルシウムとしてBS上に沈着したものと考えられることから、リン酸カルシウムの沈着を促進するBSを作製するには抽出法が望ましい。抽出法で得られたBSのRSM液への浸漬前後の粒子表面の走査型電子顕微鏡像を図6に示す。
BS-A、BS-B、BS-C、BS-Dはいずれも500〜1000 nmの径を持つ粒子であり、例1のメソポーラスシリカより粒子径が大きい。BS-A、BS-B、BS-C、BS-Dのいずれリン酸カルシウムの沈着の操作を行なった後もその巨視的な形態を維持していることが分かった。
以後の実験には抽出法で作製したBSを用いた(単にBSと記述した場合でも抽出法で作製したBSを示す)。BSにメソ孔があるかどうかを、粉末X線回折法によって確認した。図7に、各BSの小角X線回折図を示す。
CuKα線を用いて測定を行ったところ、0.5〜3.0oの低角領域に3本のピークが検出され多数のメソ孔があることが確認された。自動比表面積/細孔分布測定装置を用いて、粉末X線回折図で最低角ピークが最も広角側に現れるBS-Aと最も低角側に現れるBS-Dについて、-196℃での窒素の吸脱着等温線及び細孔分布を測定した。両微粒子の窒素の吸脱着等温線及び細孔分布を図8に示す。いずれも窒素の吸脱着等温線がIV型に分類でき、BS-A及びBS-Dはメソ孔構造を有していることが確認できた。また、同試料のメソ孔の気孔径分布を調べると、最頻値となるのはBS-Aの場合で5.5 nm、BS-Dで9.5 nmであった。
次に免疫刺激因子として選択したヒト型結核菌熱水抽出物(SSM: Specific Substance MARUYAMA)を抽出法で作製したBS-A、BS-B、BS-C、BS-D上に担持した。SSM溶液としてアンサー(登録商標)皮下注20 μg(ゼリア新薬)を使用し、これを滅菌下において有効成分を5倍濃縮した(有効成分はD−アラビノース換算糖含量として100 μg/mLを含む)。以下この溶液を5倍濃縮SSMと呼ぶ。160℃で2時間加熱滅菌した3 mgのBS-A、BS-B、BS-C、BS-Dを、200 μLの5倍濃縮SSMと2 mLのRSM液の混合溶液に投入し、200rpmで25℃、1日間撹拌することでSSMをリン酸カルシウムを用いて各BS上に担持した。得られたSSM担持BS微粒子をそれぞれSSM-BS-A/CaP 、SSM-BS-B/CaP、SSM-BS-C/CaP、SSM-BS-D/CaPとする。これらの微粒子の粉末X線回折図を図9に、赤外吸収スペクトルを図10に示す。
BSの粉末X線回折図では規則的な配列構造を構成するシリカ自体がアモルファスであることを示す特有のブロードなピークが24°付近に存在する。一方、BSに対するSSMの担持操作後の粉末X線回折図では若干弱くなったシリカに起因するピークの他に、31.8°付近にリン酸カルシウムであるアパタイトのピークが、特にSSM-BS-B/CaP及びSSM-BS-D/CaPでは明瞭に認められた。他の微粒子は回収量が少なく、微弱なアパタイトのピークが検出できなかったが、アパタイトの沈着反応は起こっているものと考えられる。またBSの赤外吸収スペクトルには認められなかったSSMの吸収帯が、SSM-BS-X/CaP (X=A〜D)のスペクトル中に出現していた。以上の結果から、SSM-BS-X/CaP (X=A〜D)上にはアパタイトとSSMが担持されていることが確認できた。
例5:ヒト型結核菌熱水抽出物担持メソポーラスシリカ微粒子の生体適合性と免疫刺激性能
例1と同じ方法でBS-X (X=A〜D)を含有する培養液中でのNIH3T3細胞の相対細胞数を測定した。比較対照は微粒子を含有しないDMEMで培養した細胞数とし、比較対照と比較した相対細胞数(%)を生体適合性の指標とした。その結果、粒子濃度を100 μg/mLに設定するとBSが細胞毒性を示さないことが判明したので、BSにSSMを担持したSSM-BS-X/CaP (X=A〜D)について、1、4、10 μg/mLの微粒子濃度の範囲でこれらの微粒子のヒト単球様細胞株THP-1に対する免疫刺激性を測定した。実験方法は例1と同様である。すなわちマクロファージ様に分化したTHP-1細胞(以下、分化THP-1細胞)を24孔プレート内でコンフルエントの状態にし、PBS(-)で洗浄後、さらに培養液(RPMI1640)で1日培養し、その後SSM-BS-X/CaP (X=A〜D)を上記各濃度で含む培養液、又は微粒子を含まない培養液に交換した。一定時間培養後、分化THP-1細胞が産生するGM-CSFをELISA法で測定した。GM-CSFの産生量が多いほど免疫刺激性能が高いことを意味する。その結果を表6に示す。
SSM-BS-X/CaP (X=A〜D)は分化THP-1細胞のGM-CSF産生量を1.5倍から2.3倍にまで増大させた。この結果は、メソポーラスシリカ微粒子BSにSSMをリン酸カルシウムで担持した免疫刺激因子担持微粒子は免疫アジュバントとして高い免疫刺激特性があることを示している。また、SSM-BS-X/CaP (X=A〜D)は1〜10 μg/mLのメソポーラスシリカ粒子濃度で高い免疫刺激特性を示すことが分かった。
例6:粒子径の異なるメソポーラスシリカ微粒子を用いたヒト型結核菌熱水抽出物担持メソポーラスシリカ微粒子の調製
4種類の粒子径の異なるメソポーラスシリカ微粒子を合成するため、表7に従って0.28 gのNaOHと1 g又は2 gのCTABを480 mLの超純水に溶解し、25℃又は60℃に保持し、激しく撹拌しながらTEOSを5又は10 mL滴下した。
そのまま2時間撹拌を続け白色の沈殿を得た。沈殿を遠心分離し、超純水とエタノール(99.5%)で洗浄して乾燥させた。その後、沈殿中のCTABをエタノール/塩酸溶液(エタノール(99.5%):塩酸(36.5% HCl)=50 mL:1 mL)で抽出した。得られた固相は、超純水及びエタノール(99.5%)でpHが中性になるまで数回に渡って洗浄し、これをメソポーラスシリカ(MS)とした。以下、各調製条件で得られた微粒子を表7に記載した試料名で記載する。微粒子の外形は走査型電子顕微鏡を用いて観察した。観察像を図11に示す。粒子径はMS-Aは200 nm、MS-Bは110 nm、MS-Cは55 nm、MS-Dは30 nmであった。
MS-A、MS-B、MS-C、MS-D の小角X線回折図形を図12に示す。MS-A、MS-B、MS-C、MS-Dとも0.5〜3.0°にピークが出現した。ピークが3本確認できるのはMS-A及びMS-Bであり、これらの2試料ではメソ孔が規則正しく配列されていることが確認された。MS-C及びMS-Dも同様の構造を有していると予想されるが、粒子径が小さいために相対的に構造の周期性が低くなり、高次ピークが確認できなかったと考えられる。
各試料の細孔分布を図13に示す。最頻値となる細孔径はいずれの試料でも3 nm以下であり、MS-Dでは2 nm程度であることから、これらの試料に形成された孔は比較的気孔径の小さいメソ孔であることが示された。一方、窒素吸脱着実験データから各MSのBET比表面積、総孔容積及びメソ孔容積を求めた結果を表8に示す。
SSM非含有RSM液を用いMS-A、MS-B、MS-C、MS-Dにリン酸カルシウムを沈着し、SSM含有RSM液を用いMS-A、MS-B、MS-C、MS-DにSSMを担持した。すなわち、160℃で2時間加熱滅菌した3 mgのMSを、2 mLのRSM液に投入し、200rpmで25℃、1日間撹拌することでリン酸カルシウムをMS上に沈着した。得られた微粒子を、それぞれMS-A/CaP、MS-B/CaP、MS-C/CaP、MS-D/CaPとした。次に、SSM溶液としてアンサー(登録商標)皮下注20 μg(ゼリア新薬)を使用し、これを滅菌下にて5倍濃縮した(有効成分はD−アラビノース換算糖含量として100 μg/mLを含む)。160℃で2時間加熱滅菌した3 mgのMSを、200 μLの5倍濃縮SSMと2 mLのリン酸カルシウム過飽和溶液の混合溶液に投入し、200rpmで25℃、1日間撹拌することでSSMをMS上に担持した。得られた微粒子を、それぞれSSM-MS-A/CaP、SSM-MS-B/CaP、SSM-MS-C/CaP、SSM-MS-D/CaPとした。
例7:ヒト型結核菌熱水抽出物担持した粒子径の異なるメソポーラスシリカ微粒子の生体適合性と免疫刺激性能
例1と同じ方法でMS-A、MS-B、MS-C、MS-D、MS-A/CaP、MS-B/CaP、MS-C/CaP、MS-D/CaP 微粒子の生体適合性を評価したところ、全ての微粒子で細胞毒性を示さない粒子濃度は20 μg/mL以下であることが判明したので、分化THP-1細胞を用い、1、4、又は10 μg/mLの粒子濃度の範囲でSSM-MS-X/CaP (X=A〜D)の免疫刺激性を測定した。例1と同様にして分化THP-1細胞をPBS(-)で洗浄後、培養液(RPMI164)で1日培養し、その後SSM-MS-X/CaP (X=A〜D)を含む培養液、微粒子を含まない培養液に交換した。一定時間の培養後、分化THP-1細胞が産生するGM-CSFをELISA法で測定した。GM-CSFの産生量が多いほど免疫刺激性能が高いことを意味する。結果を表9に示す。
この結果から、微粒子の粒径が小さくなるほどGM-CSFの産生量が低くなる傾向が認められた。SSM-MS-D/CaPを用いた場合以外は微粒子による刺激を行なわなかった比較対照よりもGM-SCF産生量が増大し、特にSSM-MS-A/CaPで刺激するとGM-CSF産生量は2.4倍になった。つまり、SSM-MS-X/CaP (X=A〜D)で免疫刺激を行なう場合には、粒径が免疫刺激性能を左右するパラメータとなりうることが示された。以上の結果から、免疫刺激性能が最も高いのは、粒子径200nmのSSM-MS-A/CaPを1 μg/mL の濃度で使用する場合であることがわかった。
例8:ヒト型結核菌熱水抽出物担持メソポーラスシリカ微粒子による抗腫瘍免疫反応の誘導
細胞試験で最も免疫刺激性能が高かったSSM-MS-A/CaP(以下、例8ではこれをMSと標記する) を用いた免疫アジュバントの抗腫瘍免疫反応の誘導能力を検討した。動物実験モデルは例3と同じである。摘出腫瘍組織は液体窒素に30分浸漬して固定した後、物理的に破砕し均質化した。均質化した固定化腫瘍組織(以下「T」と略す)は、150 μgのMSを分散した100 μLの生理食塩水と混合した。また、固定化腫瘍組織が単独で免疫刺激性能を示す可能性についても検討するため、生理食塩水(以下「S」と略す)と混合した固定化腫瘍組織、及び生理食塩水のみの2試料も調製し、これらを投与した。表10に動物群と投与機会毎の投与内容物の対応を示す。
腫瘍組織摘出術から3日後にそれぞれの腫瘍を摘出した元のマウスの縫合部の皮下に、表10に示した投与物を全量(添加物なしの生理食塩水は100 μL)注入した。さらに腫瘍摘出術から7及び14日後に100 μLの投与物(表10)を同一箇所に投与した。腫瘍摘出術から30日後まで経過観察を行い、腫瘍再発等健康上の問題が生じないことを確認できたMS+T+S群5匹、T+S群4匹、S群4匹に対し、右後背部に再度3〜7×105個のLLCを播種し、その後30日間に渡って経過観察を行い、右後背部における腫瘍形成の有無およびその成長速度についてデータ取得を行なった。もし、先の免疫治療モデル作製操作でマウスがLLCに対する免疫を獲得していれば、新たに播種したLLCを原因とする腫瘍の形成頻度が低減し、腫瘍が形成されてもその成長は緩やかになると予想される。LLC再播種30日後の腫瘍再発阻止率を表11に、形成された腫瘍組織の成長曲線を図14に示す。腫瘍再発阻止率が100%を維持できた群はなかったものの、MS+T+S群ではT+S群及びS群の腫瘍再発阻止率よりも高く、80%を維持した。
MS+T+S群では、腫瘍再発阻止率が100%を維持できなかったものの、再播種LLCで形成される腫瘍のサイズはほとんど成長しなかった(図14)。一方、T+S群やS群ではLLCが急速に成長した。以上のことから、リン酸カルシウムでヒト型結核菌熱水抽出物を担持した、SSM担持メソポーラスシリカを含む免疫アジュバントは、癌抗原を複数含む固定化腫瘍組織と共に投与すると抗腫瘍免疫反応を誘導することが示された。
例9:ヒト型結核菌熱水抽出物担持リン酸三カルシウム微粒子の合成
以下、リン酸三カルシウムをTCP、亜鉛含有リン酸三カルシウムをZnTCP、マグネシウム含有リン酸三カルシウムをMgTCPと記す。免疫刺激因子を担持する亜鉛、又はマグネシウム含有リン酸三カルシウム微粒子を作製するために、亜鉛を11.8 mol%含有するZnTCP(ADVANCE)及びマグネシウムを6.8 mol%含有するMgTCP(ADVANCE)をそれぞれの原料粉とした。各原料粉は純粋なTCP(ADVANCE)粉末と表12に示す重量比混合した後、さらに乳鉢・乳棒を使用してよく粉砕混合し、850℃で1時間加熱処理を行うことで亜鉛含有量の異なるZnTCP又はマグネシウム含有量の異なるMgTCP粉末とした。比較対照としてTCPも使用した。表12の金属元素含有量は、亜鉛の場合Zn/(Zn+Ca)mol%、マグネシウムの場合はMg/(Mg+Ca)mol%を示す。
各ZnTCP又はMgTCPの粉末X線回折図(図15)はTCPと同様のプロファイルを示しており、亜鉛やマグネシウムを含有してもTCPの結晶構造を維持していることが分かった。亜鉛又はマグネシウムの添加量が増大するにしたがって回折ピークが全体的に高角側にシフトしている。これは格子定数が小さくなったことを表しており、カルシウムよりイオン半径が小さい亜鉛やマグネシウムが均一に結晶格子に取り込まれてカルシウムを置換したことを示している。
図16に代表的なTCP粉末の走査型電子顕微鏡写真を示す。TCPは径が1000 nmに満たない粒子が大半を占めていることが分かる。一方ZnTCPやMgTCPの場合、1000 nmを超える径の粒子も確認できるようになった。
次に例4と同様の方法により、TCP、ZnTCP及びMgTCPにリン酸カルシウムを用いてSSMを担持した。すなわち、160℃で2時間加熱滅菌した0.3 mgのTCP、ZnTCP又はMgTCPを、200 μLの5倍濃縮SSMと2 mLのRSM液の混合溶液に投入し、200rpmで25℃、1日間撹拌することでSSMをTCP、ZnTCP又はMgTCPに担持した。得られた微粒子はそれぞれ表10での名称を用いて、SSM-X/CaP (Xは微粒子の名称)と呼ぶ。担持前の粒子表面は比較的滑らかな外見をしていたが(図16のA-1、B-1及びC-1)、SSM担持処理後の粒子表面には図16のA-2、B-2及びC-2と同様の沈着物による微細な突起物が密に表面を覆っている様子が見られた。これらの微粒子の赤外吸収スペクトルを図17に示す。またSSMの担持操作を行なった全ての試料の赤外吸収スペクトルで、SSM由来の吸収帯(1480〜1700cm-1)が確認できた。以上の結果は、SSMが、TCP、ZnTCP、MgTCP微粒子にリン酸カルシウムと共に担持されたことを示す。
例10:ヒト型結核菌熱水抽出物担持リン酸三カルシウム微粒子の生体適合性と免疫刺激性能
例1と同じ方法でTCP、ZnTCP、MgTCPを含有する培養液中でのNIH3T3細胞の相対細胞数を測定した。比較対照は微粒子を含有しないDMEMで培養した細胞数とし、比較対照と比較した相対細胞数(%)を生体適合性の指標とした。その結果、粒子濃度を10μg/mLまで細胞毒性を示さないことが判明したので、SMMを担持し、亜鉛含有量とマグネシウム含有量の異なるZnTCP、MgTCP、TCP微粒子のヒト単球様細胞株THP-1に対する免疫刺激性を、4 μg/mLの粒子濃度の範囲で測定した。その結果を表13に示す。
単にSSMを培養液に投入した場合、分化THP-1細胞のGM-CSF産生量は、培養液だけの場合とほぼ同じであり、SSMの単独投与では免疫アジュバント効果は少なかった。一方で、SSMを担持した亜鉛含有量1-6.8mol%のZnTCP微粒子によるGM-CSF産生量は、培養液のみ、SSM含有培養液、SSM担持TCP微粒子によるGM-CSF産生量より高く、特に亜鉛含有量1.5mol%のZnTCPの場合でGM-CSFの産生量が最大になった。またSSMを担持したマグネシウム含有量1-6.8mol%のMgTCP微粒子によるGM-CSF産生量は、培養液のみ、SSM含有培養液、SSM担持TCP微粒子によるGM-CSF産生量より高く、特にマグネシウム含有量1.5mol%のMgTCPの場合でGM-CSFの産生量が最大になった。
以上の結果は、免疫アジュバントとしてのリン酸カルシウムには、その種類によって免疫刺激能力がさまざまに異なることを示す。また、特定亜鉛含有量の亜鉛含有リン酸三カルシウム、特定マグネシウム含有量のマグネシウム含有リン酸三カルシウムから選ばれる微粒子にヒト型結核菌熱水抽出物を担持した微粒子を含む免疫アジュバントには高い免疫刺激特性があることを示している。
例11(比較例)
例1と同様の方法で、メソポーラスシリカ上にIL-1βを担持し、THP-1細胞を用いてGM-CSFの産生量を測定した。なお、IL-1βは1μg/mLの濃度でRSM液に添加して担持した。その結果、GM-CSFの産生量は何も添加しない培養液と同レベルであった。
例12(比較例)
ゾルゲル法により、ルチル型構造の酸化チタン微粒子、及びアナターゼ型構造の酸化チタン微粒子を作製した。例4と同様の方法でこれらの酸化チタン微粒子にヒト型結核菌熱水抽出物を担持し、THP-1細胞を用いてGM-CSFの産生量を測定した。その結果、GM-CSFの産生量は何も添加しない培養液と同レベルであった。なお、アナターゼ型酸化チタンのほうがルチル型酸化チタンより、GM-CSF産生量が高い傾向があった。
例13(比較例)
例9と同じ方法で、TCPにヒト型結核菌熱水抽出物を担持し、実施例6よりさらに高い微粒子濃度(7、10μg/mL)で培養液に添加して、THP-1細胞を用いてGM-CSFの産生量を測定した。その結果、GM-CSFの産生量は何も添加しない培養液と同レベルか僅かに低いレベルであった。
例14:BCG菌製剤担持メソポーラスシリカ微粒子の調製と免疫刺激能
例1記載の方法でMS/CaP微粒子を作製した。このMS/CaP(乾燥メソポーラスシリカとしては1 mg)を9 mLのRSM液に懸濁し、BCG菌製剤として作製したBCGワクチンのアルコール抽出液1 mLを添加し、一夜37℃でインキュベートした。BCGワクチンのアルコール抽出液とは、市販の乾燥BCGワクチン(経皮用・1人用)2本にエタノール1 mLを加え、一夜、室温で抽出した液である。
このBCG菌製剤担持MS/CaP微粒子を遠心分離し、RSM液10 mLに懸濁した。この懸濁液を例2記載のTHP-1細胞用培養液にて希釈し、例2記載の方法によって、分化したTHP-1細胞が産生するGM-CSFを測定した。この実施例では、GM-CSF産生能のベースラインレベル(培養液のみの測定値)を引き算した結果を表14に示す。
培養液中の分化THP-1細胞のGM-CSF産生量は、培養液のみの場合に比べ、BCG菌製剤担持MS/CaPを添加した培養液を用いた場合は、用量依存的にGM-CSFの産生が向上した。表3に示したように、2 μg/mLとなるようにMS/CaPを添加したとき、GM-CSF産生量が2.77 pg/mLであり、培養液のみのベースラインレベルを引き算すると、MS/CaPの刺激による産生量はわずか0.62 pg/mLとなる。表14では、表3の場合より少ない1.5 μg/mLのBCG菌製剤担持MS/CaPを添加した場合でも5倍以上の産生量(3.53 pg/mL)となったことを勘案すると、メソポーラスシリカ微粒子にBCG菌製剤をリン酸カルシウムを介して担持した免疫刺激因子担持微粒子は、免疫アジュバントとして高い免疫刺激特性があることを示している。
例15:ヒト型結核菌熱水抽出物担持メソポーラスシリカ微粒子とアラムアジュバントの抗腫瘍免疫反応誘導能の比較
例8と同様の動物実験モデルを用いて、本発明の免疫刺激因子担持微粒子と免疫刺激剤として古くから広範に使用されている水酸化アルミニウムアジュバントの抗腫瘍免疫反応誘導能を比較した。C57BL/6J(6週齢、メス、日本クレア)マウスにLewis肺癌細胞(LLC)を左後背部に播種して腫瘍を形成した。使用した本発明の免疫刺激因子担持微粒子は例8のSSM-MS-A/CaP (以下、例15でもこれを「MS」とする)である。比較物として市販の水酸化アルミニウムアジュバント(ALUM水酸化アルミニウムゲルアジュバント、コスモバイオ(株)) とSSMの混合物を使用した(以下、この水酸化アルミニウムアジュバントとSSMの混合物を「AL」と記す)。摘出腫瘍組織は液体窒素に30分浸漬して固定した後、物理的に破砕し均質化した。均質化した固定化腫瘍組織(以下「T」と略す)とMS又はALを混合した。両混合物ともメソポーラスシリカ又は水酸化アルミニウムの動物への投与量が600μgになるように、さらにSSM投与量も群間に差が出ないように調整した。これをさらに生理食塩水(以下「S」と略す)に懸濁して投与した。表15に動物群と投与機会毎の投与内容物の対応を示す。
腫瘍組織摘出術から3日後にそれぞれの腫瘍を摘出した元のマウスの左後背部縫合部の皮下に、表15に示した投与物を注入した。更に腫瘍摘出術から7及び14日後にも表15に示す投与物を同一箇所に投与した。腫瘍摘出術から27−29日後まで経過観察を行い、健康上の問題が生じないことを確認できたMS+T+S群11匹、AL+T+S群10匹、T+S群14匹に対し、反対側の右後背部に3〜7×105個のLLCを播種し、その後30日間に渡って経過観察を行い、右後背部における腫瘍形成の有無を観察した。これは腫瘍再発阻止のモデル実験であり、投与物がLLCに対する免疫を誘導していれば、再発が阻止されて右後背部に腫瘍形成が生じないことが予想される。観察結果は右後背部の腫瘍が0.5mm3に成長したことを以て「死」と定義するカプランマイヤー曲線で評価した(図18)。
図18に示すように、MS+T+S群では腫瘍サイズ0.5mm3未満であったマウスが30日後でも45.4%生存していたのに対して、AL+T+S群は10%、T+S群は14.3%であった。このことは、本発明の免疫刺激因子担持微粒子が従来から広範に使用されていた水酸化アルミニウムアジュバントより優れた抗腫瘍免疫反応誘導性があることを示している。

Claims (9)

  1. メソポーラスシリカ、亜鉛含有量0.5〜7 mol%の亜鉛含有リン酸三カルシウム、及びマグネシウム含有量0.5〜7 mol%のマグネシウム含有リン酸三カルシウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上の材料を含む微粒子の表面にツベルクリン、精製ツベルクリン、BCG菌製剤、ヒト型結核菌熱水抽出物、顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子、及びインターロイキン-2からなる群から選ばれる1種又は2種以上の免疫刺激因子をリン酸カルシウムと共に担持させた免疫刺激因子担持微粒子。
  2. 上記メソポーラスシリカを含む微粒子の粒子径が30 nm〜50μmである請求項1に記載の免疫刺激因子担持微粒子。
  3. 上記亜鉛含有リン酸三カルシウムを含む微粒子又は上記マグネシウム含有リン酸三カルシウムを含む微粒子の粒子径が50 nm〜50μmである請求項1に記載の免疫刺激因子担持微粒子。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の免疫刺激因子担持微粒子を有効成分として含む免疫アジュバント。
  5. 抗原とともにヒトを含む哺乳類動物の体内に投与して該抗原に対する全身性免疫反応を誘導するための免疫アジュバントとして用いるための請求項1ないし3のいずれか1項に記載の免疫刺激因子担持微粒子。
  6. 抗原が腫瘍組織、腫瘍細胞、腫瘍細胞成分、腫瘍抗原タンパク、及び腫瘍抗原ペプチドからなる群から選ばれる1種又は2種以上の抗原であり、抗腫瘍免疫反応を誘導するために用いる請求項5に記載の免疫刺激因子担持微粒子。
  7. 腫瘍組織を物理的手段で変性させた後の腫瘍組織内に投与することにより抗腫瘍免疫反応を誘導するための請求項1ないし3のいずれか1項に記載の免疫刺激因子担持微粒子。
  8. 物理的手段がマイクロウエーブ照射、ラジオフリークエンシー凝固法、凍結凝固法、電気メス加熱、熱水注入、アルコール注入、塞栓法、放射線照射、レーザー光照射、及び超音波破壊からなる群から選ばれる1種又は2種以上の手段である請求項7に記載の免疫刺激因子担持微粒子。
  9. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の免疫刺激因子担持微粒子と抗原とを含むワクチン。
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