JP5999546B2 - 継手部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、鋼管杭、鋼管矢板、パイプルーフ工法用鋼管、建築物用柱材、水道管路等に用いられる部材相互間を連結するための継手部構造に関する。
従来、長尺の鋼管杭や鋼管矢板等の施工においては、運搬や製作上の都合から定尺の鋼管材を施工現場に搬入し、施工現場にて各鋼管材を溶接により連結することで所望の長さとしていた。
しかし、このような溶接による連結作業には、熟練した技術を必要とし、また、気候条件等の作業条件の確保や溶接部の品質管理等に関して厳格な施工管理を必要とするものであった。更に、このような溶接作業に費やされる時間が施工時間に占める割合は大きく、工期の長期化の原因となっていた。
そこで、各鋼管材を施工現場において短期且つ容易に連結できる継手部構造として、互いに連結される一方の鋼管材の端部に固定された筒状の外側継手部材内に他方の鋼管材の端部に固定された筒状の内側継手部材を嵌め込み、その状態で両継手部材に形成された挿入孔の位置を合せ、そこにピン部材を貫通させることにより管周方向の回転を規制した状態で両継手部材を連結する構造のものが開発されている(例えば、特許文献1)。
特開2000−319874号公報
しかしながら、上述の如き従来の技術では、円柱状のピン部材が容易に挿入できるように両継手部材に形成された挿入孔とピン部材との嵌め合いが緩く設定されるため、挿入孔の内周面とピン部材外周面との間に隙間が生じ、両継手部材間でガタつきが発生する虞があった。
また、挿入孔の内周面とピン部材外周面との間に隙間が生じたことにより、継手部、即ち両継手部材間に管軸方向で引張力が作用すると、ピン部材にせん断力とともに曲げモーメントが作用するので、当該曲げモーメントを考慮して継手部における管軸方向の十分な引張強度を確保するためには、外側継手部材内周面と内側継手部材外周面部との間に跨る円弧状のキー部材を設ける等の複雑な構造が必要となりコストが嵩むという問題があった。
本発明は、このような従来の問題に鑑み、鋼管等の部材間を安定して連結でき、しかも安価な継手部構造の提供を目的としてなされたものである。
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明の特徴は、 互いに所定方向に相対移動可能で且つ移動方向の所定位置で重ね合わされる一対の継手部材と、該各継手部材に形成された前記所定位置で重ね合わせ方向に連続する一対の挿入孔に跨って貫通させる移動抑止用ピン部材とを備え、 前記移動抑止用ピン部材の外側面部にテーパ状の嵌込部が形成されるとともに、前記両挿入孔の内周面に跨って前記嵌込部が嵌め込まれるテーパ孔状の被嵌込部が形成され、 前記嵌込部の外側面が前記被嵌込部の内側面に密着した状態で前記移動抑止用ピン部材が前記両挿入孔に跨って貫通されており、該移動抑止用ピン部材を介して前記両継手部材が連結されている継手部構造であって、 前記一方の継手部材表面部に、該表面部より突出した移動抑止用ピン部材の先端が嵌め込まれる補強部材を備えた継手部構造にある。
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記両継手部材はそれぞれ、互いに連結される一方の管材の端部に管軸方向に向けて固定された筒状の外側継手部材と、他方の管材の端部に管軸方向に向けて固定された筒状の内側継手部材とで構成され、該両継手部材を管軸方向で移動させて前記外側継手部材内に前記内側継手部材が嵌め込まれていることにある。
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項2の構成に加え、前記外側継手部材は、内周部に前記他方の管材側に向けて拡開したテーパ状の嵌合用拡幅部を備え、前記内側継手部材は、外周部に前記嵌合用拡幅部と互いに嵌合される前記一方の管材側に向けて縮径したテーパ状の嵌合用縮径部を備えたことにある。
本発明に係る継手部構造は、上述したように、互いに所定方向に相対移動可能で且つ移動方向の所定位置で重ね合わされる一対の継手部材と、該各継手部材に形成された前記所定位置で重ね合わせ方向に連続する一対の挿入孔に跨って貫通させる移動抑止用ピン部材とを備え、該移動抑止用ピン部材を介して前記両継手部材が連結されるようにした継手部構造であって、前記移動抑止用ピン部材の外側面部にテーパ状の嵌込部が形成されるとともに、前記両挿入孔の内周面に跨って前記嵌込部が嵌め込まれるテーパ孔状の被嵌込部が形成され、前記嵌込部の外側面が前記被嵌込部の内側面に密着した状態で前記移動抑止用ピン部材が前記両挿入孔内に跨って貫通されるようにしたことにより、両継手部材間のガタつきを防止できるとともに、移動抑止用ピン部材に作用する回転モーメントを抑制し、両継手部材間に作用する引張荷重に対して高い耐力を得ることができる。
また、本発明において、前記一方の継手部材表面部に、該表面部より突出した移動抑止用ピン部材の先端が嵌め込まれる補強部材を備えたことにより、挿入孔を設けたことによる断面欠損部分を補強することができる。
更に本発明において、前記両継手部材はそれぞれ、互いに連結される一方の管材の端部に管軸方向に向けて固定された筒状の外側継手部材と、他方の管材の端部に管軸方向に向けて固定された筒状の内側継手部材とであって、該両継手部材を管軸方向で移動させて前記外側継手部材内に前記内側継手部材を嵌め込むようにしたことにより、移動抑止用ピン部材により管軸方向及び管周方向の移動を防止した状態に両継手部材を連結することができる。
更に本発明において、前記外側継手部材は、内周部に前記他方の管材側に向けて拡開したテーパ状の嵌合用拡幅部を備え、前記内側継手部材は、外周部に前記嵌合用拡幅部と互いに嵌合される前記一方の管材側に向けて縮径したテーパ状の嵌合用縮径部を備えたことにより、外側継手部材への内側継手部材の挿入を容易に行うことができる。
本発明に係る継手部構造を使用した鋼管杭の一例を示す正面図である。 図1中の継手部構造を示す横断面図である。 同上の継手部構造を示す部分拡大縦断面図である。 同上の移動抑止用ピン部材を取り外した状態を示す部分拡大縦断面図である。 同上の両継手部材を分離させた状態を示す部分拡大縦断面図である。 (a)同上の移動抑止用ピン部材を示す正面図、(b)は同平面図、(c)は同底面図である。
次に、本発明に係る継手部構造の実施の態様を図1〜図6に示した実施例に基づいて説明する。尚、図中符号1は鋼管杭や鋼管矢板等に使用される鋼管材である。
各鋼管材1は、鋼材をもって円筒形状に形成され、鋼管材1,1相互間が継手2により連結されるようになっている。
この継手2は、連結される一方の鋼管材1の端部に固定された外側継手部材4と、他方の鋼管材1の端部にフランジ部材3を介して固定された内側継手部材5とを備え、両継手部材4,5を互いに管軸方向で相対移動させて外側継手部材4内に内側継手部材5を嵌め込み管径方向で重ね合わせ、その状態で両継手部材4,5に移動抑止用ピン部材6,6...を重ね合わせ方向、即ち管径方向で貫通させ、それにより両継手部材4,5を管周方向及び管軸方向で移動不能に連結するようになっている。
フランジ部材3は、管軸方向で一定の厚みを有し、且つ外径が鋼管材1の外径と略同一、内径が鋼管材1の内径よりも小さい円環状に形成されている。このフランジ部材3は、その一方の端面の円環状外周部を鋼管材1端面に溶接し、内縁側部が鋼管材1の半径方向内側に張り出した状態に固定され、他方の端面に内側継手部材5が溶接により固定されている。
このフランジ部材3の継手部材側端面には、当て止め溝10が形成され、外側継手部材4の先端部が嵌め込まれ、且つその先端部が当て止め溝10の底部に当接するようになっている。
一方、外側継手部材4の内側面部には、円形断面を有する円環状の当て止め部材11が溶接等により固定され、この当て止め部材11に内側継手部材5の先端部が当て止めされるようになっている。
また、内側継手部材5の先端部には、当て止め部材11の外側面部が嵌め込まれる嵌合溝12が形成されている。
このように外側継手部材4の先端部を当て止め溝10内に嵌合させるとともに、内側継手部材5の先端部を当て止め部材11と嵌合させることにより、継手部2の横方向荷重(管径方向に作用する荷重)に対して高い強度が得られるようになっている。
また、このフランジ部材3に外側継手部材4の先端部が当て止めされるとともに、当て止め部材11に内側継手部材5の先端部が当て止めされたことにより両継手部材4,5は管軸圧縮方向で互いに支持されるようになっている。
外側継手部材4は、鋼材等をもって円筒形状に形成され、その内周部に他方の鋼管材1側に進むにつれて拡開するテーパ孔状の嵌合用拡幅部4aを備えている。
また、外側継手部材4には、管周方向に間隔を置いて複数の挿通孔15,15...が形成され、この挿通孔15を通して移動抑止用ピン部材6が両継手部材4,5間に貫通されるようになっている。
一方、内側継手部材5は、鋼材等をもって円筒状に形成され、その外周部に一方の鋼管材1側に進むにつれて縮径するテーパ状の嵌合用縮径部5aを備え、この嵌合用縮径部5aが嵌合用拡幅部4a内に嵌合され、外側継手部材4と内側継手部材5とが管径方向で重ね合わされるようになっている。
また、内側継手部材5には、各挿通孔15,15...の位置に対応して管周方向に間隔を置いて複数の挿通孔16,16...が形成されている。
互いに対応する各挿通孔15,16は、内側面が重ね合わせ方向、即ち管径方向で連続するように形成され、移動抑止用ピン部材6が両挿入孔15,16に跨って貫通されるようになっている。
この各挿入孔15,16は、それぞれピン部材貫入方向に進むにつれて同じ傾きによって縮径するとともに、互いに突き合わされる側の孔径が同径のテーパ孔状に形成され、両挿入孔15,16が重ね合わせ方向で連続するように配置されることにより、両挿入孔15,16の内周面に亘ってピン部材貫入方向に進むにつれて縮径するテーパ孔状(円錐台孔状)の被嵌込部17が形成される。
移動抑止用ピン部材6は、図5に示すように、鋼材をもって被嵌込部17と同じ傾きで貫入方向に進むにつれて縮径するテーパ状、即ち円錐台状に形成され、外周部全体にテーパ状の嵌込部18が形成されている。
この移動抑止用ピン部材6の全長は、両継手部材4,5の重ね合わせ部分の厚みより長く形成され、両継手部材4,5に貫通させた際に、移動抑止用ピン部材6の縮径側先端部が内側継手部材5の内側面より内側に突出するようになっている。
また、この移動抑止用ピン部材6は、中央部に貫通方向に向けたボルト挿通孔20が形成され、このボルト挿通孔20の上端部にボルト挿通孔20より広径の係合凹部20aが形成されている。
内側継手部材5の内側表面部には、内側面表面部より突出した移動抑止用ピン部材6の先端が嵌め込まれる補強部材21を備え、挿入孔16を形成したことによる内側継手部材5の断面欠損を補強するようになっている。
補強部材21は、管周方向に長い細長帯状又は無端帯状に形成され、内側継手部材5の内側面に外側面を重ねた配置に溶接により固定されている。
この補強部材21には、挿入孔16の位置に合わせて板圧方向に貫通した嵌合孔22,22...が管周方向に間隔を置いて形成され、この嵌合孔22に移動抑止用ピン部材6の先端部が嵌め込まれるようになっている。
また、補強部材21の内側面部には、嵌合孔22の内面側開口を閉鎖する配置に固定用板材23が溶接により固定され、この固定用板材23にボルト挿通孔20を通した固定用ボルト24の先端部が螺合されるようになっている。
このように構成された継手部構造を使用して両管材1,1を連結するには、まず、各挿通孔15,16の位置を考慮しつつ管軸方向で両継手部材4,5を移動させ、外側継手部材4内に内側継手部材5を嵌め込む。
このとき、外側継手部材4の嵌合用拡幅部4aの先端部内径に対し内側継手部材5の嵌合用縮径部5a先端部外径が小さいので容易に外側継手部材4内に内側継手部材5を挿入することができ、また、挿入後は互いにガイドされつつ先端部がフランジ部材3の当て止め溝10内に当接する位置まで摺動できる。
そして、各挿通孔15,16に移動抑止用ピン部材6を挿入し、移動抑止用ピン部材6の先端部が補強部材21の嵌合孔22に嵌め込まれるまで貫入させる。
このとき、各挿通孔15,16の位置に多少のずれがあっても、移動抑止用ピン部材6にテーパ状の嵌込部18を備えるとともに、両挿通孔15,16に亘って嵌込部18と傾きを同じくするテーパ孔状の被嵌込部17が形成されているので、移動抑止用ピン部材6の貫入が進むにつれて移動抑止用ピン部材6の外側面に各挿通孔15,16の内側面が押圧されて両継手部材4,5が両挿通孔15,16の中心位置が一致する方向に相対的に移動し、両挿入孔15,16の位置が合わされて連続した配置となる。
そして、固定用ボルト24をボルト挿通孔20に通し、その先端を固定用板材23に螺合させ、この固定用ボルト24を締め付けることにより移動抑止用ピン部材6を更に貫入させ、嵌込部18の外側面が両挿入孔15,16の内側面部に跨って形成された被嵌込部17の内側面に密着させる。
これにより、両継手部材4,5が各移動抑止用ピン部材6,6...を介して管周方向及び管軸方向の移動を規制された状態で連結される。
また、このように構成された継手部構造にあっては、嵌込部18の外側面が被嵌込部17の内側面に密着した状態で移動抑止用ピン部材6が両挿入孔15,16内に跨って貫通されるので、両継手部材4,5同士のガタつきを防止することができる。
更には、移動抑止用ピン部材6の外側面と挿通孔15,16の内側面との間に隙間が生じないので、管軸方向に引張力が作用した場合、移動抑止用ピン部材6に作用する回転モーメントを抑えることができ、その分移動抑止用ピン部材6の引張方向の力に対する強度が増し、キー部材を用いなくとも高い引張強度が得られる。
尚、上述の実施例では、本発明に係る継手部構造を鋼管杭や鋼管矢板に使用する鋼管材間の連結に使用した例について説明したが、その他、パイプルーフ工法用鋼管、建築物用柱材、水道管路等に使用される管材相互の連結に適用することができ、また、本発明に係る管材の継手部構造は、SC杭やコンクリート杭の連結に使用してもよい。
また、回転推進杭に用いられる先端部に掘削用のスパイラル刃を有するスパイラル鋼管の鋼管部とスパイラル刃部との連結に用いてもよい。特に、スパイラル鋼管の場合は、スパイラル刃部と鋼管部とを別々に運搬することにより効率よく運搬することができる一方、施工現場においては短期且つ容易に両者を連結することができる。
また、上述の実施例では、継手部材を円筒状に形成した例について説明したが角筒状であってもよく、また、平板状に形成したものであってもよい。
1 鋼管材
2 継手
3 フランジ部材
4 外側継手部材
5 内側継手部材
6 移動抑止用ピン部材
10 当て止め溝
11 当て止め部材
12 嵌合溝
15 挿通孔
16 挿通孔
17 被嵌込部
18 嵌込部
20 ボルト挿通孔
21 補強部材
22 嵌合孔
23 固定用板材
24 固定用ボルト

Claims (3)

  1. 互いに所定方向に相対移動可能で且つ移動方向の所定位置で重ね合わされる一対の継手部材と、該各継手部材に形成された前記所定位置で重ね合わせ方向に連続する一対の挿入孔に跨って貫通させる移動抑止用ピン部材とを備え、 前記移動抑止用ピン部材の外側面部にテーパ状の嵌込部が形成されるとともに、前記両挿入孔の内周面に跨って前記嵌込部が嵌め込まれるテーパ孔状の被嵌込部が形成され、 前記嵌込部の外側面が前記被嵌込部の内側面に密着した状態で前記移動抑止用ピン部材が前記両挿入孔に跨って貫通されており、該移動抑止用ピン部材を介して前記両継手部材が連結されている継手部構造であって、
    前記一方の継手部材表面部に、該表面部より突出した移動抑止用ピン部材の先端が嵌め込まれる補強部材を備えた継手部構造。
  2. 前記両継手部材はそれぞれ、互いに連結される一方の管材の端部に管軸方向に向けて固定された筒状の外側継手部材と、他方の管材の端部に管軸方向に向けて固定された筒状の内側継手部材とで構成され、該両継手部材を管軸方向で移動させて前記外側継手部材内に前記内側継手部材が嵌め込まれている請求項1に記載の継手部構造。
  3. 前記外側継手部材は、内周部に前記他方の管材側に向けて拡開したテーパ状の嵌合用拡幅部を備え、前記内側継手部材は、外周部に前記嵌合用拡幅部と互いに嵌合される前記一方の管材側に向けて縮径したテーパ状の嵌合用縮径部を備えた請求項2に記載の継手構造。
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