JP5998899B2 - インサート樹脂成形体 - Google Patents
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Description
このアクチュエータは、図10および図11に示したように、2つの第1、第2弁体101、102を駆動する回転動力を発生するモータMと、このモータMの回転を2段減速してEGR制御弁の駆動軸(第1弁軸)103に伝達する減速ギア機構と、この減速ギア機構の回転を第1弁体101と異なる第2弁体102の動作パターンを変更して吸気絞り弁の駆動軸(第2弁軸)104に伝達するカムリンク機構とを備えている。
カムリンク機構は、カムプレート108、リンクレバー109、フォロアローラ111およびピボットピン(支軸)112等によって構成されている。
ところが、EGR制御弁の第1弁軸103に配置され、カムリンク機構のカムプレート108と一体回転可能に連結される出力ギア107は、金属歯車であるため、高い強度を有すると共に、回転動力の伝達において高い信頼性はあるが、製品コストおよび重量が増加してしまうという問題があった。
インサート部材114は、第1弁軸103が嵌合する嵌合孔を有する平板状の金属プレート121、およびこの金属プレート121の圧入孔122に圧入嵌合される圧入用の突起123をそれぞれ有する複数の第1〜第3金属ナット124を備えている。
樹脂成形部113の表面側の円筒ボス125には、磁気回路部115がインサート成形されている。また、樹脂成形部113の裏面側の円筒ボス126の外周には、コイルスプリングが巻装されている。
樹脂成形部113の歯形成部127の外周部には、中間ギアと噛み合う出力ギア歯128が設けられている。
一方、高い強度を必要とする第1弁軸103との結合部には、内部に2面幅を有する嵌合孔129が形成された金属製の金属プレート121が使用されている。また、高い強度を必要とするギアカム連結部には、内部に雌螺子孔が形成された金属製の第1〜第3金属ナット124が使用されている。
以上のように、比較例1のインサート樹脂歯車100においては、合成樹脂製の樹脂成形部113に金属プレート121および第1〜第3金属ナット124がインサート成形されているので、出力ギア全体を金属製とする場合と比べてコストダウンおよび軽量化を図ることが可能となる。
インサート樹脂歯車100の表面側では、図9(a)に実線矢印で示したように、流動方向の最上流側である射出ゲートGTから図示右上の第1金属ナット124へ向かう溶融樹脂流れ(A1及びB1)と、射出ゲートGTから図示左下の第2金属ナット124へ向かう溶融樹脂流れ(A2及びB2)とに分かれる。
また、溶融樹脂流れ(A2及びB2)は、第2金属ナット124にぶつかって第2金属ナット124を抱き抱えるように回り込み、樹脂成形部113の外周端縁と第2金属ナット124との間でそれぞれ合流する。これらの合流部で溶融樹脂が固化すると、図9(a)に破線矢印で示したように、合流部上にウェルドラインW2が生じる。
なお、ウェルドラインW1〜W3は、インサート樹脂歯車100の表面において、金属ナット107を起点として樹脂成形部113の外周端縁まで延伸している。
インサート樹脂歯車100の裏面側では、図9(b)に実線矢印で示したように、流動方向の最上流側である射出ゲートGTから第1金属ナット124の底部(金属プレート121の露出部133)へ向かう溶融樹脂流れ(A4及びB4)と、射出ゲートGTから第2金属ナット124の底部(金属プレート121の露出部133)へ向かう溶融樹脂流れ(A5及びB5)とに分かれる。
そして、溶融樹脂流れ(A4及びB4)および溶融樹脂流れ(A5及びB5)は、金属プレート121のを抱き抱えるように回り込み、第1、第2金属ナット124と円環部134とを結ぶ軸線上で分岐が終わり合流する。これらの合流部で樹脂が固化すると、図9(b)に破線矢印で示したように、各合流部上にウェルドラインW4、W5が生じる。
なお、ウェルドラインW4、W5は、円環部134を起点として露出部133まで延伸している。
これにより、比較例1のインサート樹脂歯車100においては、強度を低下させる要因となるウェルドラインW1〜W5を起点として樹脂成形部113にクラック(亀裂)が発生する可能性がある。
そして、インサート部材は、樹脂成形部の射出成形時に溶融樹脂の合流部に発生するウェルドライン上に設けられて、樹脂成形部の表面で露出する露出部を有している。
これによって、樹脂成形部の強度不足を解消することができ、且つ樹脂成形部にクラックが発生するのを解消または抑制できるので、信頼性を向上することができる。
なお、本発明のインサート樹脂成形体を、モータの回転動力を回転従動体に伝達するインサート樹脂歯車に適用した場合には、樹脂成形部の強度不足およびクラック発生を解消または抑制できるので、モータの回転動力の伝達において高い信頼性を得ることができる。
図1ないし図4は、本発明を適用した実施例1を示したもので、図1は、本発明のインサート樹脂成形体を適用したインサート樹脂歯車(出力ギア)を示したものである。
この出力ギア1を備えた電動アクチュエータは、例えば自動車等の車両に搭載される内燃機関(エンジン)の排気管から吸気管へ排気ガス(以下EGRガス)を再循環(還流)させる排気循環装置(以下EGRシステム)に組み込まれている。
なお、出力ギア1の詳細は、後述する。
EGRシステムは、EGRガスの取り出し口がターボチャージャのタービンよりも排気流方向の上流側にある高圧ループEGRシステムと、EGRガスの取り出し口がターボチャージャのタービンよりも排気流方向の下流側にある低圧ループEGRシステムとを併設している。
ここで、低圧ループEGRシステムに使用されるEGRバルブモジュールを説明し、高圧ループEGRシステムに使用されるEGRバルブモジュールの説明を省略する。
吸気絞り弁は、EGRバルブ軸11と並列配置されて、バルブボディ7およびハウジング8に回転可能に支持される第2弁軸(第2バルブ軸:以下スロットルバルブ軸)13と、このスロットルバルブ軸13に支持固定される円板状の第2弁体(第2バルブ:以下スロットルバルブ)14とを備えている。
また、出力ギア1は、モータMの回転動力を3つの第1〜第3スクリュー(以下スクリュー)15、カムプレート16、リンクレバー17、ピボットピン18およびフォロアローラ19等を介して回転従動体(スロットルバルブ14)に伝達するインサート樹脂歯車として使用される。
バルブボディ7には、EGRバルブ軸11がその軸線方向(回転軸方向)に嵌挿される第1貫通孔、およびスロットルバルブ軸13がその軸線方向(回転軸方向)に嵌挿される第2貫通孔等が形成されている。
ハウジング8には、減速機構、カムリンク機構を収容保持するギアケースが一体的に形成されている。このギアケースには、組み付け時にアクチュエータをギア収納凹部内に挿入するための開口部を有している。この開口部は、図示しないセンサカバーにより塞がれている。
センサカバーには、EGR(バルブ)開度センサ(後述する)およびモータMと外部回路(ECUやバッテリ)との電気的な接続を行う外部接続コネクタが設けられている。
モータMは、その軸線方向(回転軸方向)に延びるモータシャフト(モータ軸)を有している。このモータMは、電力の供給を受けて回転動力(トルク)を発生する。そして、モータMは、ECUによって電子制御されるモータ駆動回路を介して、自動車等の車両に搭載されたバッテリに電気的に接続されている。
第2コイルスプリング26は、バルブボディ7またはハウジング8の円筒部(第2ベアリングホルダ)の外周、およびリンクレバー17の円筒ボス28の外周に螺旋状に巻装されている。この円筒ボス28の外周部は、第2コイルスプリング26のコイル内径をガイド(保持)するスプリング内周ガイドとしての機能を有している。
なお、減速機構の詳細は、後述する。
カムプレート16は、例えばステンレス鋼等の金属によって所定の形状に形成されている。
カムプレート16の入力部には、出力ギア1の樹脂成形部2の円筒ボス29の周囲を円周方向に取り囲む円環状の被取付部(円環部)31が設けられている。この被取付部31には、出力ギア1の円筒ボス29の外周に嵌合する嵌合孔32が設けられている。この嵌合孔32には、円筒ボス29の外周面から突出した位置決め突起33と係合する係合孔34が設けられている。これにより、カムプレート16に対する出力ギア1の樹脂成形部2の空回りを防ぐことができる。
また、被取付部31の所定の箇所には、3つのスクリュー15がそれぞれ挿通する第1〜第3挿通孔35が形成されている。
カムスロット37は、ピボットピン18およびフォロアローラ19をカムスロット37の形成方向に案内(ガイド)するガイド溝である。
なお、カムスロット37は、スロットルバルブ14の全開側端部(カム全閉側端部)が閉塞されており、また、スロットルバルブ14の全閉側端部(カム全開側端部)が開放されている。つまりスロットルバルブ14の全閉側端部には、カムスロット37の形成方向の外部側へ向かって開放された開口部(切欠き)40が設けられている。
リンクレバー17の入力部には、ピボットピン18を嵌合固定するための嵌合孔が形成されている。ピボットピン18の外周には、フォロアローラ19が回転自在に嵌め合わされている。フォロアローラ19は、金属または合成樹脂によって所定の形状に形成されている。このフォロアローラ19は、ピボットピン18の周囲を円周方向に取り囲むように円筒部を有している。
リンクレバー17の出力部には、スロットルバルブ軸13を嵌合固定するための嵌合孔が形成されている。これにより、スロットルバルブ14のスロットルバルブ軸13がリンクレバー17の出力部に一体回転可能に連結される。
減速機構は、モータMの回転動力をEGRバルブ軸11に伝えると共に、カムプレート16およびリンクレバー17を介してスロットルバルブ軸13に伝える動力伝達機構である。
減速機構は、モータMのモータ軸の先端外周に固定されたピニオンギアと、このピニオンギアと噛み合って回転する中間ギアと、この中間ギアと噛み合って回転する出力ギア1と、モータMのモータ軸と中間軸に並列配置されたEGRバルブ軸11およびスロットルバルブ軸13とを備えている。
そして、3つの減速ギヤは、ハウジング8のギアケースとセンサカバーとの間に形成されるギア収納凹部内において回転自在に収容されている。
そして、EGRバルブ軸11は、第1軸受け(ベアリング)を介して、バルブボディ7およびハウジング8の第1ベアリングホルダ42の内部に回転自在に収容されている(図11参照)。
スロットルバルブ軸13は、例えばステンレス鋼等の金属によって一体的に形成されている。このスロットルバルブ軸13は、第2軸受け(ベアリング)を介して、バルブボディ7およびハウジング8の第2ベアリングホルダ43の内部に回転自在に収容されている(図11参照)。
中間ギアは、合成樹脂または金属によって一体的に形成されている。この中間ギアは、中間軸45の外周に相対回転可能に嵌め合わされている(図10参照)。
また、中間ギアは、中間軸の中心軸線周りに回転する円筒部を有している。
また、中間ギアの円筒部の軸線方向の他端部には、出力ギア1と噛み合う小径ギアが形成されている。この小径ギアは、中間ギアの円筒部(小径部)、およびこの円筒部の外周の円周方向全体に形成された複数の凸状歯(中間ギア歯)47を有している(図10参照)。
出力ギア1は、合成樹脂により一体形成される樹脂成形部2と、この樹脂成形部2の円筒部29にインサート成形される磁性金属製の磁気回路部(ヨーク3、磁石4)と、樹脂成形部2のディスク51にインサート成形される金属製のインサート部材(金属プレート5、第1〜第3金属ナット6)とによって構成されたインサート樹脂歯車(インサート樹脂成形体)である。
この樹脂成形部2は、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の熱可塑性樹脂(耐熱性の合成樹脂)によって射出成形されている。
樹脂成形部2の表面には、磁気回路部(ヨーク3、磁石4)に対向配置される磁気センサの周囲を円周方向に取り囲む円筒状の円筒ボス29が一体的に形成されている。この円筒ボス29は、円筒ボス27とは反対側へ向けて突出形成されている。
ディスク51は、カムプレート16のカムスロット37と重なる部分(薄肉部)54と歯形成部52側の肉盛り部55との間に段差56を有している。この段差56は、肉盛り部55の上面(出力ギア1の表面)上にカムプレート16が取り付けられるため、ピボットピン18およびフォロアローラ19との干渉を防止する段差高さを有している。
肉盛り部55の外周端面には、歯形成部52および出力ギア歯53が形成されていない円弧状の無歯部57が設けられている。この無歯部57は、部分円筒形状の外周端面を有している。
また、無歯部57の外周面には、半径方向の外側に突出した凸状のスプリングフック58が一体的に形成されている。このスプリングフック58には、第1コイルスプリングの端末が係止されている。
回転角度検出装置は、EGRバルブ12の回転角度(EGR制御弁のバルブ開度)を非接触で検出するものであり、出力ギア1の円筒ボス29に一体回転可能に設けられた円筒状の磁気回路部と、この磁気回路部の回転角度を測定して減速機構の出力ギア1、EGRバルブ軸11の回転角度に相当するEGRバルブ開度を検出する磁気センサとを備え、樹脂成形部2と磁気センサとの相対回転角度の変化を磁気センサに与えられる磁気変化によって検出する。
磁気センサは、EGRバルブ開度センサであって、一対のステータコアの対向部間に挟み込まれて保持されている。この磁気センサは、センサカバーのセンサ搭載部から円筒ボス29の内部空間に嵌挿されるように設置されている。また、磁気センサは、半導体ホール素子の感磁面を鎖交する磁束密度に対応した電圧信号をECUへ向けて出力するホールICを主体として構成されている。なお、ホールICの代わりに、ホール素子単体、磁気抵抗素子等の非接触式の磁気検出素子を使用しても良い。
インサート部材は、金属製のインサートプレートである金属プレート5、およびこの金属プレート5と一体部品とされた金属製のインサートナットである3つの第1〜第3金属ナット6を備えている。
インサート部材は、例えばステンレス鋼等の金属によって一体的に形成されている。このインサート部材は、金属プレート5と3つの第1〜第3金属ナット6とが鍛造成形またはプレス成形により一体成形された金属部品で、この金属部品に対して所定の切削加工等を施すことにより製造される。
金属プレート5は、嵌合孔61の周囲を取り囲む円環状の中央基部62を有している。なお、中央基部62は、嵌合孔61の周縁部分であって、樹脂成形部2の表面、特に円筒ボス29の底面で露出している。また、中央基部62は、樹脂成形部2の裏面で露出している。
金属プレート5は、3つの第1〜第3金属ナット6の底部63および中央基部62等の各部が連結部64、65を介して連結している。
3つの雌螺子孔66は、一端側が開口し、この開口側から奥側まで延びる凹溝である。これらの雌螺子孔66の奥側には、雌螺子孔66の他端側を閉塞する円形状の底部63が設けられている。また、各雌螺子孔66の内周には、3つのスクリュー15の各雄螺子と螺合する螺旋状の雌螺子が形成されている。そして、第1〜第3金属ナット6は、雌螺子孔66の開口側が、ディスク51の肉盛り部55の表面より若干突出した状態で露出している。
なお、金属プレート5と第1〜第3金属ナット6を別体部品で構成した場合、金属プレート5に対する第1〜第3金属ナット6の結合方法として溶接や圧入嵌合を用いても良い。
ここで、本実施例の出力ギア1の樹脂成形部2は、図1および図2に示したように、円筒ボス29の周囲を円周方向に取り囲むように円環状のディスク51が一体的に形成されている。このディスク51の肉盛り部55には、第1〜第3金属ナット6を起点としてディスク51の半径方向外側の外周端縁(肉盛り部55の無歯部57の外周端面)まで延びる3つの第1〜第3スリット孔69が設けられている。これらの第1〜第3スリット孔69は、無歯部57の外周端面で外部に向けて開放された開口部をそれぞれ有している。
また、金属プレート5の中央基部62の表面は、円筒ボス29の底面で露出している。
また、第1〜第3金属ナット6の底部63および金属プレート5の連結部64、65の裏面には、ディスク51の肉盛り部55の裏面で露出する露出部72〜75が形成されている。
ここで、露出部72、73は、樹脂成形部2の円筒ボス27の外周よりも半径方向外側に設けられる。また、露出部72は、第1金属ナット6の底部63に対応している。また、露出部73は、第2、第3金属ナット6の底部63および連結部65に対応している。
また、金属プレート5の各露出部72〜75は、金属プレート5の裏面において、出力ギア1のインサート成形時、つまり樹脂成形部2の射出成形時に、射出ゲートGTから射出された溶融樹脂の合流部に発生するウェルドライン発生箇所(図9参照)を食い切る食い切り部を構成している。
また、一対の金型(可動型91および固定型92)には、金属プレート5の裏面と第1〜第3金属ナット6の先端環状端面とを挟持する複数の挟持部96、97が設けられている。
また、複数の挟持部96、97は、露出部72〜75と面接触する当接部を構成している。
次に、本実施例の出力ギア1のインサート成形方法を図1ないし図4に基づいて簡単に説明する。
また、鍛造成形またはプレス成形や切削加工を施すことにより、金属プレート5および第1〜第3金属ナット6が一体形成されたインサート部材を製造する。
また、金属プレート5の各露出部72〜75が射出成形型(可動型91および固定型92)に直接面接触した状態で、射出成形型に保持される。
なお、磁気回路部(ヨーク3、磁石4)の内周部を保持するために可動型91および固定型92とは別体の中子(図示せず)を使用しても良い。
そして、冷却して固化したら射出成形型から、磁気回路部(ヨーク3、磁石4)およびインサート部材(金属プレート5、第1〜第3金属ナット6)がインサート成形された樹脂成形部2を取り出す。
このような射出成形法を用いて、樹脂成形部2に磁気回路部およびインサート部材がインサート成形された出力ギア本体が成形される。
このとき、樹脂成形部2に第1〜第3スリット孔69が形成される。
次に、本実施例の低圧ループEGRシステムの作動を図1ないし図4に基づいて簡単に説明する。
ここで、モータMへの電力供給が成されていない場合には、第1コイルスプリングの付勢力(スプリング力)によって第1導入流路21を全閉する全閉姿勢となるようにEGRバルブ12の開度が設定される。つまりEGRバルブ12が全閉状態となっており、第1導入流路21が閉鎖される。
このとき、第2コイルスプリングの付勢力(スプリング力)によって第2導入流路22および合流部23を全開する全開姿勢となるようにスロットルバルブ14の開度が設定される。つまりスロットルバルブ14が全開状態となっており、第2導入流路22および合流部23が開放される。
これにより、EGRガスが新気(エアクリーナで濾過された清浄な吸入空気)に混入しない。
これによって、モータMのモータシャフトが全開方向に回転する。これにより、モータMのトルク(モータトルク)が、ピニオンギア、中間ギアおよび出力ギア1に伝達される。そして、出力ギア1からモータトルクが伝達されたカムプレートが、出力ギア1の回転に伴って所定の回転角度(出力ギア1の作動角度と等しい回転角度)だけ開弁方向に回転する。
これによって、カムプレート16の回転角度が最小値から中間値までの範囲内の所定値(所定の回転角度)に変更され、リンクレバー17の回転角度はスロットルバルブ14の全開状態を維持する角度に止まるため、EGRバルブ12がエンジンの運転状況に対応した開度分だけ開き、スロットルバルブ14は全開状態を継続する。これにより、2つの第1、第2導入流路21、22は開放される。
一方、エアクリーナで濾過された吸入空気は、バルブボディ7の吸気導入ポートから流入し、バルブボディ7の第2導入流路22を通って合流部23に導入される。
そして、合流部23および吸気導入流路24内でEGRガスと吸入空気とが混合されて混合ガスとなり、エンジン側の吸気管およびインテークマニホールド内に形成される吸気通路を通って、エンジンの各気筒毎の吸気ポートに流入し、各吸気ポートからエンジンの各気筒毎の燃焼室に導入される。
これによって、エンジンの排気ガス中に含まれる有害物質(例えばNOx)の低減が図られる。
これによって、モータMのモータ軸がさらに全開方向に回転する。これにより、モータトルクが、ピニオンギア、中間ギアおよび出力ギア1に伝達される。そして、出力ギア1からモータトルクが伝達されたカムプレートが、出力ギア1の回転に伴って所定の回転角度だけさらに開弁方向に回転する。
すると、カムプレート16およびEGRバルブ軸11の回転に伴ってEGRバルブ12がEGRバルブ軸11を中心にして全開方向に回転するのとは逆に、スロットルバルブ軸13の回転に伴ってスロットルバルブ14がスロットルバルブ軸13を中心にして閉弁方向に回転する。
したがって、低圧ループEGRシステムを使用して多量のEGRガスを還流させる運転領域では、EGRバルブ12を開き、スロットルバルブ14を閉じて、排気通路側と吸気通路側との差圧を大きくすることができるので、低圧ループEGRシステムを使用して多量のEGRガスをエンジンの各気筒毎の吸気ポートおよび燃焼室へ還流することができる。
以上のように、本実施例の出力ギア1においては、インサート部材の第1〜第3金属ナット6の一方側を回り込む溶融樹脂の流れと第1〜第3金属ナット6の他方側を回り込む溶融樹脂の流れとの合流により生成されるウェルドライン発生箇所を、射出成形型(可動型91または固定型92)の食い切り部94、95で食い切ることにより、溶融樹脂の合流部が形成されず、溶融樹脂の合流部に、強度を低下させる要因となるウェルドラインが生成されることはない。
これによって、出力ギア1における樹脂成形部2の強度不足を解消することができ、且つ樹脂成形部2のディスク51にクラックが発生するのを防ぐことができる。
そして、本発明を適用した出力ギア1は、モータMの回転動力をEGRバルブ軸11およびカムプレート16に伝達する動力伝達機構を構成するものであるため、樹脂成形部2の強度不足およびクラック発生を防止できるので、モータMの回転動力の伝達において高い信頼性を得ることができる。
図5および図6は、本発明のインサート樹脂成形体を適用したインサート樹脂歯車(出力ギア)を示したものである。
ここで、実施例1と同じ符号は、同一の構成または機能を示すものであって、説明を省略する。
第1〜第3金属ナット6の各雌螺子孔66の開口側は、ディスク51の肉盛り部55の表面より若干突出した状態で露出している。
また、第1〜第3金属ナット6の底部63および金属プレート5の連結部64、65の裏面には、露出部72〜74が形成されている。
露出部72、73は、樹脂成形部2の円筒ボス27の内周よりも半径方向外側に設けられる。また、露出部74は、樹脂成形部2の円筒ボス27の内周よりも半径方向内側に設けられる。
複数の凹溝83は、肉盛り部55の裏面で開口し、この開口側から奥側まで延びる凹部である。これらの凹溝83の奥側には、底部(底面)が設けられている。複数の凹溝83は、長円形状の開口部の円筒ボス29側に開口面積を小さくする凸曲面形状の張出部を有する開口形状を備えている。
また、一対の金型(可動型91および固定型92)には、金属プレート5の裏面と第1〜第3金属ナット6の先端環状端面とを挟持する複数の挟持部96、97が設けられている。
また、一対の金型(可動型91および固定型92)には、露出部72〜74と面接触する当接部97、98が設けられている。
なお、磁気回路部(ヨーク3、磁石4)の内周部を保持するために可動型91および固定型92とは別体の中子(図示せず)を使用しても良い。
ディスク51の肉盛り部55の表面側では、2つの射出ゲートGTから各第1〜第3金属ナット6へ向かう溶融樹脂は、各第1〜第3金属ナット6にぶつかって分岐し、各第1〜第3金属ナット6を抱き抱えるように回り込み、各第1〜第3金属ナット6と肉盛り部55の無歯部57の外周端面との間で分岐が終わり合流する。これらの合流部で溶融樹脂が固化すると、図5(a)に矢印で示したように、合流部上にウェルドラインW1〜W3が生じる。
そして、上記のウェルドラインW1〜W3は、肉盛り部55の無歯部57の外周端面を通って、図5(b)に矢印で示したように、第1〜第3金属ナット6の底部63(露出部72)、連結部64(露出部73)および凹溝83近傍まで延伸している。
以上のように、出力ギア1の樹脂成形部2の裏面においては、露出部71〜74および凹溝83近傍にウェルドラインW1〜W5が形成されるため、出力ギア1の強度が低下するという問題が生じる。
これにより、強度を低下させる要因となるウェルドラインW1〜W5を起点として樹脂成形部2にクラック(亀裂)が発生する可能性がある。
これによって、出力ギア1の樹脂成形部2の強度不足を解消することができ、且つ樹脂成形部2のディスク51にクラックが発生するのを解消または抑制できるので、信頼性を向上することができる。
以上のように、本実施例のインサート樹脂成形体においては、実施例1と同様な効果を奏する。
本実施例では、本発明のインサート樹脂成形体を、樹脂成形体14に少なくともインサート部材をインサート成形した出力ギア1に適用しているが、本発明のインサート樹脂成形体を、合成樹脂製の樹脂成形体に金属製のバルブ軸をインサート成形した樹脂バルブに適用しても良い。
また、合成樹脂製の樹脂成形体に金属製のベアリングをインサート成形した樹脂ハウジング(バルブボディ、スロットルボディ)に適用しても良い。
なお、流体制御弁の一例である吸気制御弁としては、スロットル弁等の吸気流量制御弁、吸気絞り弁、タンブル制御弁、スワール制御弁、吸気流路切替弁等が考えられる。
また、流体制御弁の一例である排気制御弁としては、ウェイストゲート弁、スクロール切替弁、排気流量制御弁、排気圧力制御弁、排気流路切替弁、排気絞り弁等が考えられる。
また、流体制御弁の弁体としてバタフライバルブ、プレートバルブ、ロータリバルブ等の回転型バルブを採用しても良い。
また、インサート樹脂歯車の回転運動を流体制御弁の弁体であるポペットバルブの直線往復運動に変換する変換機構(カム機構)を設けても良い。
2 樹脂成形部
3 ヨーク(インサート部材、磁気回路部)
4 磁石(インサート部材、磁気回路部)
5 金属プレート(インサート部材、インサートプレート)
6 第1〜第3金属ナット(インサート部材、インサートナット)
94 食い切り部
95 食い切り部
GT 射出ゲート
Claims (7)
- ゲート(GT)から成形型(91、92)内に射出充填される合成樹脂よりなる樹脂成形部(2)にインサート部材(5、6)がインサート成形されたインサート樹脂成形体(1)において、
前記インサート部材(5、6)は、前記樹脂成形部(2)の射出成形時に溶融樹脂の合流部に発生するウェルドライン(W1〜W4)上に設けられて、前記樹脂成形部(2)の表面で露出する露出部(72〜75)を有していることを特徴とするインサート樹脂成形体。 - 請求項1に記載のインサート樹脂成形体において、
前記樹脂成形部(2)は、前記露出部(72〜75)が底面で露出する有底の凹溝(83)を有していることを特徴とするインサート樹脂成形体。 - 請求項1または請求項2に記載のインサート樹脂成形体において、
前記成形型(91、92)は、前記インサート部材(5、6)を挟持する挟持部(96、97)を有していることを特徴とするインサート樹脂成形体。 - 請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載のインサート樹脂成形体において、
前記インサート部材(5、6)は、先端面で開口し、この開口側から奥側まで延びる雌螺子孔(66)を有する金属製のインサートナットであって、
前記インサートナットは、前記雌螺子孔(66)の開口側が、前記樹脂成形部(2)の表面で露出していることを特徴とするインサート樹脂成形体。 - 請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載のインサート樹脂成形体において、
前記インサート部材は、流体制御弁の弁軸(5)が嵌合する嵌合孔(61)を有する金属製のインサートプレート(5)であって、
前記インサートプレート(5)は、前記嵌合孔(61)の周縁部分が、前記樹脂成形部(2)の表面で露出していることを特徴とするインサート樹脂成形体。 - 請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載のインサート樹脂成形体において、
前記樹脂成形部(2)は、磁気センサの周囲を周方向に取り囲む円筒ボス(29)を有し、
前記インサート樹脂成形体(1)は、前記円筒ボス(29)と一体回転可能な磁性金属製の磁気回路部(3、4)を備え、
前記磁気回路部(3、4)は、その内周部分が、前記円筒ボス(29)の内周面で露出していることを特徴とするインサート樹脂成形体。 - 請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載のインサート樹脂成形体において、
前記インサート樹脂成形体は、モータ(M)の回転動力を回転従動体(11、12)に伝達するインサート樹脂歯車(1)として使用されることを特徴とするインサート樹脂成形体。
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