以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施形態に関する記載は、法令で要求されている明細書の記載要件(記述要件・実施可能要件)を満たすために、本発明の具体化の単なる一例を、可能な範囲で具体的に記述しているものにすぎない。よって、後述するように、本発明が、以下に説明する実施形態の具体的構成に何ら限定されるものではないことは、全く当然である。本実施形態に対して施され得る各種の変更(変形例:modification)は、当該実施形態の説明中に挿入されると、一貫した実施形態の説明の理解が妨げられるので、末尾にまとめて記載されている。
<レーザープリンタの全体構成>
図1は、本発明の一実施形態が適用された画像形成装置であるレーザープリンタ1の概略構成を示す側断面図である。このレーザープリンタ1は、その内部にて、シート状の記録媒体である用紙Pを用紙搬送経路PP(paper path)に沿って搬送しつつ、当該用紙P上に非磁性一成分現像剤(トナー)による像(以下、「トナー像」と称する。)を形成するように構成されている。
なお、以下の説明では、図1における用紙搬送経路PPに沿って用紙Pが搬送される方向(すなわち用紙搬送経路PPの任意の位置における接線方向)を、「用紙搬送方向」と称する。また、図中右側(y軸正方向側)を「後側」と称し、図中左側(y軸負方向側)を「前側」と称する。よって、図1における左右方向がレーザープリンタ1の前後方向となる。さらに、図1における左右方向(上述の前後方向)及び上下方向(レーザープリンタ1の高さ方向:図中z軸方向)と垂直な方向である、レーザープリンタ1の幅方向を、「用紙幅方向」と称する。この用紙幅方向(図中x軸方向)は、用紙搬送方向及び用紙Pの厚さ方向と垂直な方向である。
具体的には、このレーザープリンタ1は、本体部2と、用紙搬送部3と、プロセスカートリッジ4と、スキャナユニット5と、定着ユニット6と、を備えている。
本体部2は、用紙搬送部3、プロセスカートリッジ4、スキャナユニット5、及び定着ユニット6を支持するための本体フレーム21を備えている。本体フレーム21は、外側カバー22によって覆われている。外側カバー22は、レーザープリンタ1のケーシングを構成する合成樹脂製の箱状部材である。
外側カバー22の天板を構成するトップカバー23には、後側に向かうにつれて深くなるような形状の凹部が設けられている。排紙トレイ24は、この凹部の底面によって形成されている。すなわち、排紙トレイ24は、排紙口25から排出された画像形成済みの用紙Pを受け止めて複数枚積載するために、トップカバー23の前側から後側に向かって斜め下方向に向かう斜面を形成するように設けられている。排紙口25は、外側カバー22における、排紙トレイ24の下端部(後端部)の上方に設けられた開口部であって、用紙幅方向に長手方向を有するスリット状に形成されている。
用紙搬送部3は、用紙カセット31と、給紙ローラ32と、紙粉除去ローラ対33と、レジストローラ対34と、搬送ローラ35と、排紙ローラ対36と、を備えている。この用紙搬送部3は、用紙Pを用紙搬送経路PPに沿って用紙カセット31から排紙トレイ24まで搬送するように構成されている。
用紙カセット31は、本体部2の下方に設けられていて、前後方向にスライドさせることで本体フレーム21に対して着脱自在に(すなわち容易に着脱できるように)構成されている。また、用紙カセット31は、その内側にシート状の用紙Pを積層状態にて多数枚収容し得るように構成されている。
給紙ローラ32は、本体部2の底部にて回転可能に支持されていて、用紙カセット31内にて積層状態に収容された用紙Pにおける最上位のものの先端部と当接し得るように配置されている。この給紙ローラ32は、回転駆動されることで、用紙Pを用紙カセット31から1枚ずつピックアップして紙粉除去ローラ対33に向けて搬送するように構成されている。
紙粉除去ローラ対33は、給紙ローラ32よりも用紙搬送方向における下流側に設けられていて、給紙ローラ32によってピックアップされた用紙P上の紙粉を除去しつつ、かかる用紙Pをレジストローラ対34に向けて送出するようになっている。レジストローラ対34は、後述する転写位置よりも用紙搬送方向における上流側であって、プロセスカートリッジ4の底部に対応する位置に配置されていて、用紙Pの向き及び搬送タイミングを調整するとともに、用紙Pを転写位置に向けて供給するように設けられている。
定着ユニット6よりも用紙搬送方向における下流側には、当該定着ユニット6を経た用紙Pを排紙口25に向けて送出するための搬送ローラ35が設けられている。排紙ローラ対36は、プロセスカートリッジ4及び定着ユニット6を経てトナー像が形成及び定着された用紙Pを排紙トレイ24上に排出し得るように、排紙口25の近傍に設けられている。
本体部2内には、プロセスカートリッジ4が、着脱自在に収容されている。すなわち、プロセスカートリッジ4は、交換あるいはレーザープリンタ1の内部のメンテナンスのために、本体部2に対して容易に着脱できるようになっている。具体的には、プロセスカートリッジ4のケーシングの一部をなすプロセスケース41は、本体フレーム21に対して着脱自在に構成されている。このプロセスケース41には、感光体ドラム42と、帯電器43と、転写ローラ44と、トナーケース45と、が装着されている。
感光体ドラム42は、その外周部に感光体層が形成された、円筒形状の部材であって、回転可能にプロセスケース41によって支持されている。すなわち、感光体ドラム42は、用紙幅方向と平行な軸を中心として回転駆動されることで、その周面である静電潜像担持面が用紙幅方向と直交する方向に移動するようなっている。帯電器43は、この静電潜像担持面を一様に帯電させるために、当該静電潜像担持面と対向配置されている。
転写ローラ44は、転写位置にて用紙搬送経路PPを挟んで静電潜像担持面と対向するように設けられている。ここで、転写位置とは、静電潜像担持面と帯電器43とが対向する位置よりも、感光体ドラム42の回転による静電潜像担持面の移動方向における下流側の位置である。この転写ローラ44は、画像形成時に、感光体ドラム42と連れ回る方向(すなわち感光体ドラム42の回転方向とは反対方向)に回転するようになっている。また、この転写ローラ44は、感光体ドラム42との間に印加される所定の電圧によって、感光体ドラム42の周面上に担持されたトナー像を用紙P上に転写するようになっている。
また、プロセスカートリッジ4のケーシングの一部をなす(プロセスケース41とともにプロセスカートリッジ4のケーシングをなす)トナーケース45は、プロセスケース41に対して着脱自在に構成されている。すなわち、トナーケース45は、交換あるいはメンテナンスのために、プロセスケース41に対して容易に着脱できるようになっている。このトナーケース45は、絶縁性の合成樹脂製の箱状の部材であって、その内部の空間には粉末状の乾式現像剤であるトナーが収容されている。
トナーケース45における、プロセスケース41に装着された際に感光体ドラム42と対向する位置には、用紙幅方向に長手方向を有する開口部が形成されている。トナーケース45における、この開口部の近傍の位置には、現像ローラ46と、供給ローラ47と、が設けられている。また、トナーケース45の内部にてトナーを収容する空間内には、アジテータ48が収容されている。現像ローラ46、供給ローラ47、及びアジテータ48は、トナーケース45によって、回転可能に支持されている。
現像ローラ46は、感光体ドラム42の回転による静電潜像担持面の移動方向における、静電潜像担持面と帯電器43とが対向する位置よりも下流側且つ転写位置よりも上流側の現像位置にて、静電潜像担持面と対向するように、感光体ドラム42と平行に配置されている。また、現像ローラ46は、平滑な円柱面状の周面上にてトナーの薄層を担持し得るように構成されている。この現像ローラ46は、帯電したトナーを静電潜像担持面に供給するために、感光体ドラム42の回転方向とは反対方向に(すなわち上述の現像位置にて現像ローラ46の周面の移動方向が静電潜像担持面の移動方向と同じ方向となるような回転方向に)回転駆動されるようになっている。
供給ローラ47は、トナーケース45の内部に収容されたトナーを現像ローラ46の周面上に担持させるように、トナーケース45の内部にてトナーを収容する空間と現像ローラ46との間に配置されている。アジテータ48は、回転駆動されることで、トナーケース45の内部に収容されたトナーを攪拌しつつその一部を供給ローラ47に向けて送出するように設けられている。
スキャナユニット5は、プロセスカートリッジ4の上方に配置されている。このスキャナユニット5は、画像データに基づいて変調されたレーザービーム(図中一点鎖線参照)を生成するとともに、かかるレーザービームを、帯電器43によって一様に帯電された静電潜像担持面上にて用紙幅方向に沿って走査することで、静電潜像担持面上に静電潜像を形成するように構成されている。
具体的には、スキャナユニット5は、ポリゴンミラー51と、レンズ52及び53と、反射鏡54,55及び56と、を備えている。このスキャナユニット5は、図示しない発光部から出射された上述のレーザービームを、ポリゴンミラー51によって用紙幅方向に沿って走査しつつ、レンズ52、反射鏡54、反射鏡55、レンズ53、及び反射鏡56を経て、静電潜像担持面に照射するようになっている。
本発明の定着装置に相当する定着ユニット6は、上述の転写位置(感光体ドラム42と転写ローラ44とが対向する位置)よりも用紙搬送方向における下流側に配置されている。この定着ユニット6は、トナー像を担持した(トナーが像様に静電的に付着した)用紙Pを加熱及び加圧(ニップ)することで、トナー像を用紙P上に熱定着するように構成されている。
<定着ユニットの構成の詳細:第一実施形態>
図2は、図1に示されている定着ユニット6の一実施形態の概略構成を示す側断面図である。以下、図2を参照しつつ、本実施形態の定着ユニット6の構成の特徴について詳細に説明する。
定着ユニット6は、定着ベルト611と、加圧ローラ612と、ニップ板613と、ステイ614と、熱源装置615と、を備えている。
定着ベルト611は、筒状に形成された、いわゆる無端ベルトであって、耐熱性と可撓性とを有するように構成されている。この定着ベルト611は、図示しないガイド部材によって、所定の位置に保持されつつ用紙幅方向と平行な軸を中心として回転可能に支持されている。
本発明の対向部材に相当する加圧ローラ612は、定着ベルト611の外周面と対向配置されている。この加圧ローラ612は、外周部に弾性変形可能な層であるゴム層を有するローラ状部材であって、用紙幅方向と平行な軸を中心として回転可能に支持されている。
本発明のニップ部材に相当するニップ板613は、平板状の部材であって、定着ベルト611を挟んで加圧ローラ612と対向配置されるように、定着ベルト611の内側に収容されている。このニップ板613は、加圧ローラ612における上述のゴム層を弾性変形させるように定着ベルト611の内周面と当接することで、ニップ部NPを用紙搬送方向に沿って所定の幅をもって形成するように設けられている。
ニップ板613は、伝熱部材6131と断熱部材6132とを有している。伝熱部材6131は、断熱部材6132よりも熱伝導率が高い材質から構成されている。具体的には、本実施形態においては、伝熱部材6131は、熱伝導率が高い金属によって形成されている。一方、断熱部材6132は、熱伝導率が低く且つ耐熱性の高い合成樹脂材料によって形成されている。
伝熱部材6131は、熱源装置615からの熱をニップ部NPに伝達するように、当該ニップ部NPの側面視(側断面視)における一部に対応した位置に設けられている。具体的には、伝熱部材6131は、ニップ部NPの用紙搬送方向における上流側の部分に設けられている。
断熱部材6132は、ニップ板613における伝熱部材6131以外の部分である。この断熱部材6132は、伝熱部材6131よりも用紙幅方向における上流側及び下流側の部分と、伝熱部材6131の用紙幅方向における両端部に隣接する部分と、に設けられている(図3参照)。
図3は、図2に示されているニップ板613を拡大した底面図及び断面図である。図中、右側が底面図(図2における下方すなわちニップ部NP側から見た図)であり、左側は右側のA−A断面図である。図3に示されているように、伝熱部材6131は、フランジ6133を介して断熱部材6132によって支持されている。
本実施形態においては、フランジ6133は、伝熱部材6131の長手方向である用紙幅方向における両端部にて、伝熱部材6131と継ぎ目なく一体となるように設けられている。一方、断熱部材6132におけるフランジ6133に対応する位置には、フランジ6133を収容することでフランジ6133を係止するための溝である係止溝6134が形成されている。
再び図2を参照すると、ステイ614は、側断面視にてニップ板613に向けて開口する略“U”字状(図中では略逆“U”字状あるいは“n”字状)の部材であって、ニップ板613を支持するように、定着ベルト611の内側に配置(収容)されている。ステイ614は、熱伝導率が低く且つ耐熱性の高い合成樹脂材料によって形成されている。具体的には、本実施形態においては、ステイ614は、ニップ板613における断熱部材6132と同じ材質によって形成されている。
本実施形態においては、ステイ614は、ニップ板613と密着する(接合される)ことで、ニップ板613の端部を支持しつつ、内部に略閉空間を形成するように設けられている。すなわち、ステイ614の用紙幅方向における両端部には、用紙幅方向と直交する一対の側板が設けられている。
熱源装置615は、ニップ部NPを加熱するように、定着ベルト611の内側に配置されている。具体的には、熱源装置615は、ニップ板613とステイ614とで囲まれる略閉空間内に収容されている。この熱源装置615は、反射鏡6151と、ヒータ6152と、を備えている。
反射鏡6151は、アルミニウム(合金)板を曲げ加工することで形成された、側断面視にて筒状の部材であって、ステイ614によって外側から支持されている。反射鏡6151の内面には、ヒータから発せられる赤外線(遠赤外線を含む)の反射率が高くなるように、鏡面加工が施されている。この反射鏡6151は、側断面視にて、ニップ板613における伝熱部材6131に向けて開口する一方で断熱部材6132に向けては開口しないことで、ヒータ6152から発せられた輻射熱を伝熱部材6131のみに集中的に照射するように設けられている。
ヒータ6152は、いわゆるハロゲンランプからなる発熱体であって、通電により輻射熱を発生するように構成されている。また、本実施形態においては、伝熱部材6131におけるヒータ6152に対向する表面には、黒色塗装からなる黒体面6155が形成されている。
<第一実施形態の構成による作用・効果>
かかる構成を有する、本実施形態の定着ユニット6においては、ヒータ6152から発せられた輻射熱が、伝熱部材6131にて受け取られる。かかる伝熱部材6131にて受け取られた熱は、ニップ部NPに放出される。これにより、ニップ部NPが加熱される。
ここで、本実施形態の構成においては、伝熱部材6131は、ニップ部NPの側断面視における一部(すなわちニップ部NPの用紙搬送方向における一部)に対応した位置に設けられている。このため、ニップ部NPにおける加熱部分(ヒータ6152から発せられた熱が流れ込む部分)が、当該ニップ部NP全体とはならず、その一部の比較的狭い範囲に集中する。よって、用紙P上に担持されたトナーが短時間で集中的に加熱される一方で、用紙P自体への伝熱が可及的に抑制される。
特に、本実施形態の構成においては、伝熱部材6131がニップ部NPの側断面視における上流側の一部に設けられることで、かかる一部に熱が集中的に流入する。すると、ニップ部NPにおける最大圧力が発生する中央部よりも用紙搬送方向における上流側にて、トナーが良好に軟化する。そして、トナーが充分に軟化した状態で用紙Pが加圧されることで、用紙P上にトナー像が良好に定着される。したがって、本実施形態の構成によれば、良好な定着強度及び定着効率が得られ、以てよりいっそうの省電力化やウォームアップ時間の短縮が図られる。
さらに、本実施形態の構成においては、ニップ部NPにおける、伝熱部材6131よりも用紙搬送方向における下流側の部分は、温度が相対的に低くなる。このため、当該部分におけるトナーの軟化あるいは溶融による、いわゆるホットオフセットの発生が抑制され、以て定着後の画像品質が向上する。
以下、本実施形態の構成による定着強度を、数値計算によって評価した結果について説明する。なお、定着強度の計算法は、「電子写真技術の基礎と応用」(電子写真学会編、1988年コロナ社刊)に詳細に記載されているが、その一部を以下に抜粋して示す。
定着強度Fは、ニップ部内の圧力Pと、トナー粘度μとから、下記の式(1)で示される。
上記(1)式の通り、トナー粘度μは温度Tに依存する。数値計算にあたっては、用紙のニップ部通過時間をΔtで離散化し、通過中の時間ステップi毎に圧力Piと温度Tiとからトナー粘度μiを求め、下記の式(2)により定着強度Fを算出した。
圧力Pについては、弾性ローラが平面に押し当てられているものとみなして、Heltzの接触理論に基づき、ニップ部における用紙搬送方向に沿った圧力分布を放物線状の分布とした(図4参照:図4中の「y」は、図2に示されているニップ部NPの用紙搬送方向における上流端からの距離を示し、y=0は当該上流端に相当するものとする。)。図4に示されている圧力分布グラフにおいては、圧力の最大値を0.14MPaとした。
トナー粘度μについては、下記の式(3)で示されるAndradeの式を用いた。なお、この式における係数A及びBは、測定値をフィッティングすることによって求めた(図5参照)。
式(1)及び式(3)におけるトナー温度Tについては、有限要素法を用いた市販のコンピュータソフトウエアを用いて計算機シミュレーションを行うことによって容易に得られる。図6は、計算機シミュレーションによって熱流(熱伝導)解析するための計算メッシュを示す図である。
なお、図6においては、図示の都合上、ニップ板613、定着ベルト611、用紙P、及び加圧ローラ612は、それぞれ離隔しているように示されている。しかしながら、計算においては、互いに熱的に接触するように設定がなされている。また、定着ベルト611、用紙P、及び加圧ローラ612は、それぞれ、画像形成速度(具体的にはA4規格用紙を長尺方向に搬送した場合の30ppm相当:ppmは「page per minute」の略)に相当する移動が生じるように、計算上設定されている。
代表的な境界条件は、以下の通りである:伝熱部材6131の上面には、800Wに相当する輻射熱が、均等に印加されている。加圧ローラ612のステンレス製シャフトは、室温(25℃)に固定されている。
また、この計算においては、ニップ板613における伝熱部材6131(図2参照)はA5052アルミニウム合金製とし、断熱部材6132(図2参照)はPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)製であるものとし、定着ベルト611はポリイミド製であるものとし、加圧ローラ612はシリコーンゴムの表面をチューブ状のPFA樹脂で被覆したものであるものとする。
図7は、図2に示されているニップ板613及びニップ部NPの用紙搬送方向における幅を一定として、伝熱部材6131の用紙搬送方向における幅を変化させた場合の、定着強度Fの変化の様子を示すグラフである。なお、この計算において、ニップ部NPの用紙搬送方向における幅は8mmとし、伝熱部材6131はニップ部NPの用紙搬送方向における上流端から設けられているものとする。また、図中、横軸の「導熱部幅」は、伝熱部材6131の用紙搬送方向における幅である。すなわち、横軸が「1」の場合、伝熱部材6131は、ニップ部NPの用紙搬送方向における上流端と、かかる上流端から用紙搬送方向における下流側に1mm変位した位置と、にわたって設けられていることになる。
図7の結果から明らかなように、伝熱部材6131の用紙搬送方向における幅を小さくするほど、定着強度が向上することが確認された。
<第一実施形態の構成に対する変形例の例示列挙>
以下、本実施形態(第一実施形態)に対して施され得る変更の具体例(変形例)について説明する。もっとも、かかる実施形態に対する変形例が下記にて例示されたものに限定されるものではないことは、いうまでもない。
以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されている構成要素と同様の構成及び機能を有するものに対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部材の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が援用され得るものとする。もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたもの限定されるものではない。また、複数の変形例が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。さらに、上述の実施形態の一部と、変形例の一部とが、適宜、複合的に適用され得る。
本発明の熱源装置は、ハロゲンランプを用いたものに限定されない。具体的には、例えば、かかる発熱体として、面状ヒータが用いられ得る。この場合、面状ヒータは、図2における伝熱部材6131に密着するように設けられる。また、この場合、黒体面6155は不要である。
図2を参照すると、伝熱部材6131は、アルミニウム(合金)や銅等の、熱伝導率が高い金属によって形成され得る。また、断熱部材6132は、ステンレス鋼等の熱伝導率が低い金属や、セラミックスや、熱伝導率が低く且つ耐熱性の高い合成樹脂材料(液晶ポリマー、ポリイミド、ポリアミドイミド、等。)によって形成され得る。
図8A〜図8Dは、図2に示されているニップ板613の構成の変形例を示す側断面図である。
図8Aに示されているように、伝熱部材6131は、断熱部材6132よりも、厚さが小さく形成されていてもよい。これにより、伝熱部材6131の熱容量が小さくなり、以て温度上昇の立ち上がりが早くなる。
また、図8B示されているように、ニップ板613の加熱側(図中上側:すなわち熱源装置615と対向する側)において、伝熱部材6131と断熱部材6132との間には、空隙G1が設けられていてもよい。かかる空隙G1は、伝熱部材6131の用紙搬送方向及び用紙幅方向における両端部に設けられ得る。
かかる構成によれば、伝熱部材6131における高温の部分が断熱部材6132と接触しないようにすることができる。したがって、かかる構成によれば、断熱部材6132の材質として、耐熱性が過度に高いものを使用しなくてもよくなる。すなわち、断熱部材6132の材質として、より安価なものを選択する余地が生じる。
なお、図8B示されているように、空隙G1は、伝熱部材6131側に設けられていてもよい。あるいは、空隙G1は、断熱部材6132側に設けられていてもよい。
図8Aに示されているように、伝熱部材6131を断熱部材6132よりも薄く形成した場合、伝熱部材6131が長手方向である用紙幅方向に沿って撓むことが懸念される。そこで、この場合、図8C示されているように、伝熱部材6131の長手方向である用紙幅方向に沿って、伝熱部材6131と断熱部材6132とを係合するための突起であるフランジ6135が設けられていてもよい。
かかる構成によれば、伝熱部材6131の、長手方向である用紙幅方向に沿った撓みの発生が良好に抑制される。したがって、かかる構成によれば、伝熱部材6131が良好に保持される。
なお、かかるフランジ6135は、図8C示されているように、伝熱部材6131側に設けられていてもよい。この場合、断熱部材6132には、かかるフランジ6135を収容するための溝が形成される。一方、フランジ6135は、断熱部材6132側に設けられていてもよい。この場合、伝熱部材6131には、かかるフランジ6135を収容するための溝が形成される。
また、図8Dに示されているように、伝熱部材6131は、突起部6136を有していてもよい。この突起部6136は、断熱部材6132よりもニップ部NP(図2参照)に向かって突出するように設けられている。かかる構成によれば、ニップ部NP(図2参照)の突起部6136に対応する位置における、伝熱部材6131、定着ベルト611、及び用紙Pの密着性が向上し、これにより伝熱部材6131によるニップ部NPの当該位置への伝熱効率がよりいっそう向上する。
再び図2を参照すると、断熱部材6132とステイ614とは、異なる材質であってもよい。
図9は、図2に示されている定着ユニット6の一変形例の概略構成を示す側断面図である。断熱部材6132とステイ614とが同じ材質で構成されている場合、図9に示されているように、ステイ614と断熱部材6132とが一体に形成されていてもよい。かかる構成によれば、ニップ板613の強度(剛性)が向上する。
<定着ユニットの構成の詳細:第二実施形態>
図10は、図1に示されている定着ユニット6の他の一実施形態の概略構成を示す側断面図である。以下、図10を参照しつつ、本実施形態の定着ユニット6の構成の特徴について詳細に説明する。
定着ユニット6は、定着ベルト621と、加圧ローラ622と、ニップ板623と、ステイ624と、熱源装置625と、を備えている。
定着ベルト621は、筒状に形成された、いわゆる無端ベルトであって、耐熱性と可撓性とを有するように構成されている。この定着ベルト621は、図示しないガイド部材によって、所定の位置に保持されつつ用紙幅方向と平行な軸を中心として回転可能に支持されている。
本発明の対向部材に相当する加圧ローラ622は、定着ベルト621の外周面と対向配置されている。この加圧ローラ622は、外周部に弾性変形可能な層であるゴム層を有するローラ状部材であって、用紙幅方向と平行な軸を中心として回転可能に支持されている。
本発明のニップ部材に相当するニップ板623は、平板状の部材であって、定着ベルト621を挟んで加圧ローラ622と対向配置されるように、定着ベルト621の内側に収容されている。このニップ板623は、加圧ローラ622における上述のゴム層を弾性変形させるように定着ベルト621の内周面と当接することで、ニップ部NPを用紙搬送方向に沿って所定の幅をもって形成するように設けられている。
ニップ板623は、伝熱部材6231と断熱部材6232とを有している。伝熱部材6231は、断熱部材6232よりも熱伝導率が高い材質から構成されている。具体的には、本実施形態においては、伝熱部材6231は、熱伝導率が高い金属であるアルミニウム(合金)によって形成されている。一方、断熱部材6232は、熱伝導率が低く且つ耐熱性の高い合成樹脂材料によって形成されている。
伝熱部材6231は、受熱面6231aと放熱面6231bとを有している。ここで、受熱面6231aは、熱源装置625に対向することで当該熱源装置625から受熱するように設けられた、伝熱部材6231の表面である。また、放熱面6231bは、ニップ部NPに対向しつつ定着ベルト621の内周面と接触することでニップ部NPに向けて放熱するように設けられた、伝熱部材6231の表面である。そして、この伝熱部材6231は、熱源装置625からの熱を受熱面6231aから放熱面6231bに伝達するように設けられている。
伝熱部材6231は、放熱面6231bが受熱面6231aよりも面積が小さくなるように、側断面視にて台形状に形成されている。具体的には、受熱面6231aは、ニップ板623の上面(熱源装置625側の表面)であって熱源装置625と対向する部分におけるほぼ全面にわたって設けられている。一方、放熱面6231bは、ニップ板623の下面(ニップ部NP側の表面)の側面視における一部分であって、具体的にはニップ部NPの用紙搬送方向における上流側の部分に設けられている。
断熱部材6232は、ニップ板623における伝熱部材6231以外の部分である。この断熱部材6232は、伝熱部材6231のニップ部NPに対向する表面における放熱面6231b以外の部分と、定着ベルト621の内周面と、の間に配置されている。また、この断熱部材6232は、伝熱部材6231の用紙搬送方向における両端部に隣接する位置にも設けられている。
ステイ624は、側断面視にてニップ板623に向けて開口する略“U”字状(図中では略逆“U”字状あるいは“n”字状)の部材であって、ニップ板623を支持するように、定着ベルト621の内側に配置(収容)されている。ステイ624は、熱伝導率が低く且つ耐熱性の高い合成樹脂材料によって形成されている。具体的には、ステイ624は、ニップ板623における断熱部材6232と同じ材質によって形成されている。
本実施形態においては、ステイ624は、ニップ板623と密着する(接合される)ことで、ニップ板623の端部を支持しつつ、内部に略閉空間を形成するように設けられている。すなわち、ステイ624の用紙幅方向における両端部には、用紙幅方向と直交する一対の側板が設けられている。
熱源装置625は、ニップ部NPを加熱するように、定着ベルト621の内側に配置されている。具体的には、熱源装置625は、ニップ板623とステイ624とで囲まれる略閉空間内に収容されている。この熱源装置625は、楕円鏡6251と、ヒータ6252と、を備えている。
楕円鏡6251は、アルミニウム(合金)板を曲げ加工することで形成された、側断面視にて半楕円形状の部材であって、ステイ624によって外側から支持されている。楕円鏡6251の内面には、ヒータから発せられる赤外線(遠赤外線を含む)の反射率が高くなるように、鏡面加工が施されている。この楕円鏡6251は、側断面視にてニップ板623に向けて開口することで、ヒータ6252から発せられた輻射熱を伝熱部材6231における受熱面6231aに照射するように設けられている。
ヒータ6252は、いわゆるハロゲンランプからなる発熱体であって、通電により輻射熱を発生するように構成されている。また、本実施形態においては、受熱面6231aには、黒色塗装からなる黒体面6255が形成されている。
<第二実施形態の構成による作用・効果>
かかる構成を有する、本実施形態の定着ユニット6においては、ヒータ6252から発せられた輻射熱が、伝熱部材6231における受熱面6231aにて受け取られる。かかる受熱面6231aにて受け取られた熱は、伝熱部材6231における受熱面6231aよりも小さな面積の放熱面6231bから、ニップ部NPに放出される。これにより、ニップ部NPが加熱される。
ここで、本実施形態の構成においては、放熱面6231bは、ニップ部NPの用紙搬送方向における一部分に対応して設けられているとともに、受熱面6231aよりも面積が小さい。このため、比較的面積が広い受熱面6231aにて受け取られた熱が、比較的面積が狭い放熱面6231bに集中し、これによりニップ部NPの用紙搬送方向における一部分が集中的に加熱される。このため、用紙P上に担持されたトナーが短時間で集中的に加熱される一方で、用紙P自体への伝熱が可及的に抑制される。したがって、かかる構成によれば、良好な定着強度及び熱効率(定着効率)が得られ、以て画像形成速度の高速化が図られるとともに、よりいっそうの省電力化やウォームアップ時間の短縮が図られる。
さらに、本実施形態の構成においては、ニップ部NPにおける、伝熱部材6231よりも用紙搬送方向における下流側の部分は、温度が相対的に低くなる。このため、当該部分におけるトナーの軟化あるいは溶融による、いわゆるホットオフセットの発生が抑制され、以て定着後の画像品質が向上する。
以下、本実施形態の構成による効果を、上述の図6に示されている計算メッシュと上記の式(1)〜(3)とを用いて、数値計算によって確認した結果について説明する。
図11は、図10に示されている本実施形態の構成における熱流(熱伝導)の様子を示す図である。図12は、図10に示されているニップ板623が一様な一枚のアルミニウム合金(A5052)製である比較例の構成における熱流(熱伝導)の様子を示す図である。なお、図11及び図12においては、熱流の様子が矢印(ベクトル)で示されている。
図11に示されているように、本実施形態の構成においては、ニップ板623の上面(図10における伝熱部材6231の受熱面6231a)に均一に印加された熱が、ニップ部における上流側の一部分に集中している。これに対し、図12に示されているように、比較例の構成においては、このような熱流の集中は発生していない。
図13は、図10に示されている本実施形態の構成における定着強度の計算のための、伝熱部材6231の形状についての条件を示す図である。図中、wは、図10に示されている伝熱部材6231の受熱面6231aの用紙搬送方向における下流端を基点とした、放熱面6231bの用紙搬送方向における下流端の位置を示す。このwの値が大きいほど、受熱面6231aから放熱面6231bへの「絞り込み」が大きくなる。なお、かかる定着強度の計算においては、ニップ部の幅を8mmとし、受熱面6231aの用紙幅方向の幅w0=8[mm]、伝熱部材6231の厚さth0=0.8[mm]、th1=0.2[mm]とした。
図14は、図13におけるwの値を変化させたときの、定着強度F(計算結果)の変化の様子を示すグラフである。図14に示されているように、受熱面6231aから放熱面6231bへの「絞り込み」が大きくなるほど定着強度が上昇することが確認された。
図15は、図14におけるw=7[mm]の場合に、受熱面6231aへの印加熱量を変化させたときの、定着強度F(計算結果)の変化の様子を示すグラフである。図15の結果から、図12に示されている比較例の構成の場合に印加熱量が800Wであるときの定着強度(図中破線参照)が、w=7[mm]の場合には586Wの印加熱量で得られることが確認された。
<第二実施形態の構成に対する変形例の例示列挙>
以下、本実施形態(第二実施形態)に対して施され得る変更の具体例(変形例)について説明する。もっとも、かかる実施形態に対する変形例が下記にて例示されたものに限定されるものではないことは、いうまでもない。
以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されている構成要素と同様の構成及び機能を有するものに対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部材の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が援用され得るものとする。もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたもの限定されるものではない。また、複数の変形例が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。さらに、上述の実施形態の一部と、変形例の一部とが、適宜、複合的に適用され得る。
本発明の熱源装置における発熱体は、ハロゲンランプを用いたものに限定されない。具体的には、例えば、かかる発熱体として、面状ヒータが用いられ得る。この場合、面状ヒータは、図10における受熱面6231aに密着するように設けられる。また、この場合、黒体面6255は不要である。
図10を参照すると、伝熱部材6231は、アルミニウム(合金)以外の熱伝導率が高い金属(銅等)によって形成され得る。また、断熱部材6232は、ステンレス鋼等の熱伝導率が低い金属や、セラミックスや、熱伝導率が低く且つ耐熱性の高い合成樹脂材料(液晶ポリマー、ポリイミド、ポリアミドイミド、等。)によって形成され得る。
断熱部材6232は、ステイ624と一体に形成されていてもよい。あるいは、断熱部材6232は、ステイ624とは異なる材質によって形成されていてもよい。
上述の実施形態においては、受熱面6231aは、ニップ板623の上面であって熱源装置625と対向する部分におけるほぼ全面にわたって設けられているが、本発明は何らこれに限定されない。すなわち、ニップ板623の上面であって熱源装置625と対向する部分のうちの用紙搬送方向における下流側の一部に、受熱面6231aではない部分が設けられていてもよい。
図16は、図10に示されているニップ板623の構成の一変形例を示す側断面図である。図16に示されているように、伝熱部材6231と断熱部材6232との間には、空隙G2が設けられていてもよい。これにより、熱エネルギーの収束効果がよりいっそう高められる。なお、この空隙G2内は、空気であってもよい。あるいは、空隙G2内には、断熱部材6232よりも断熱性の高い(すなわち熱伝導率の低い)材料が充填されていてもよい。
図17は、図10に示されているニップ板623の構成の他の一変形例を示す側断面図である。図17に示されているように、伝熱部材6231は、突起部6236を有していてもよい。この突起部6236は、断熱部材6232よりもニップ部NP(図10参照)に向かって突出するように設けられている。かかる構成によれば、ニップ部NP(図10参照)の突起部6236に対応する位置における、伝熱部材6231、定着ベルト621、及び用紙Pの密着性が向上し、これにより伝熱部材6231によるニップ部NPの当該位置への伝熱効率がよりいっそう向上する。
<定着ユニットの構成の詳細:第三実施形態>
図18は、図1に示されている定着ユニット6の他の一実施形態の概略構成を示す側断面図である。以下、図18を参照しつつ、本実施形態の定着ユニット6の構成の特徴について詳細に説明する。
定着ユニット6は、定着ベルト631と、加圧ローラ632と、ニップ板633と、ステイ634と、熱源装置635と、を備えている。
定着ベルト631は、筒状に形成された、いわゆる無端ベルトであって、耐熱性と可撓性とを有するように構成されている。この定着ベルト631は、図示しないガイド部材によって、所定の位置に保持されつつ用紙幅方向と平行な軸を中心として回転可能に支持されている。
本発明の対向部材に相当する加圧ローラ632は、定着ベルト631の外周面と対向配置されている。この加圧ローラ632は、外周部に弾性変形可能な層であるゴム層を有するローラ状部材であって、用紙幅方向と平行な軸を中心として回転可能に支持されている。
本発明のニップ部材に相当するニップ板633は、平板状の部材であって、定着ベルト631を挟んで加圧ローラ632と対向配置されるように、定着ベルト631の内側に収容されている。このニップ板633は、加圧ローラ632における上述のゴム層を弾性変形させるように定着ベルト631の内周面と当接することで、ニップ部NPを用紙搬送方向に沿って所定の幅をもって形成するように設けられている。
ニップ板633は、放熱部材6331と放熱部材支持部6332とを有している。放熱部材6331は、放熱部材支持部6332よりも熱伝導率が高い材質から構成されている。具体的には、本実施形態においては、放熱部材6331は、熱伝導率が高い金属であるアルミニウム(合金)によって形成されている。一方、放熱部材支持部6332は、熱伝導率が低く且つ耐熱性の高い合成樹脂材料である液晶ポリマーによって形成されている。
本発明の伝熱部材に相当する放熱部材6331は、ニップ部NPの側面視における一部に対応した位置に設けられている。具体的には、本実施形態においては、放熱部材6331は、ニップ部NPの用紙搬送方向における上流部に設けられている。
本発明の支持部材に相当するステイ634は、側断面視にてニップ板633に向けて開口する略“U”字状(図中では略逆“U”字状あるいは“n”字状)の部材であって、ニップ板633を支持するように、定着ベルト631の内側に配置(収容)されている。ステイ634は、熱伝導率が低く且つ耐熱性の高い合成樹脂材料である液晶ポリマーによって形成されている。すなわち、ステイ634は、ニップ板633における放熱部材支持部6332と同じ材質によって形成されている。
本実施形態においては、ステイ634は、ニップ板633と密着する(接合される)ことで、ニップ板633の端部を支持しつつ、内部に略閉空間を形成するように設けられている。すなわち、ステイ634の用紙幅方向における両端部には、用紙幅方向と直交する一対の側板が設けられている。
熱源装置635は、ニップ部NPを加熱するように、定着ベルト631の内側に配置されている。具体的には、熱源装置635は、ニップ板633とステイ634とで囲まれる略閉空間内に収容されている。この熱源装置635は、楕円鏡6351と、ヒータ6352と、受熱部材6353と、中間伝熱部材6354と、を備えている。
楕円鏡6351は、アルミニウム(合金)板を曲げ加工することで形成された、側断面視にて楕円形状の筒状部材であって、ステイ634によって外側から支持されている。楕円鏡6351の内面には、ヒータから発せられる赤外線(遠赤外線を含む)の反射率が高くなるように、鏡面加工が施されている。この楕円鏡6351は、側断面視にて、2つの焦点(第一焦点FP1及び第二焦点FP2)を有するように形成されている。なお、本実施形態においては、第一焦点FP1は、側断面視にて、第二焦点FP2よりも、用紙搬送方向における下流側で且つ用紙P(図1における用紙搬送経路PP)に近い位置に設けられている。
ヒータ6352は、いわゆるハロゲンランプからなる発熱体であって、通電により輻射熱を発生するように構成されている。このヒータ6352は、第一焦点FP1に対応する位置に配置されている。すなわち、ヒータ6352は、その内部にて用紙幅方向に延設されたフィラメントが第一焦点FP1と略一致するように配置されている。
受熱部材6353は、ヒータ6352からの輻射熱を受けるように、第二焦点FP2に対応する位置に配置されている。本実施形態においては、受熱部材6353は、ヒータ6352と平行に配置された丸棒状の部材であって、熱伝導率が高い金属であるアルミニウム(合金)によって形成されている。すなわち、受熱部材6353は、その中心軸が第二焦点FP2と略一致するように配置されている。また、受熱部材6353は、ニップ板633における放熱部材6331と同じ材質によって形成されている。
中間伝熱部材6354は、側断面視にて屈曲した板状部材であって、受熱部材6353と放熱部材6331とを接続することで、受熱部材6353にて受け取られた熱をニップ板633における放熱部材6331に伝達するように設けられている。具体的には、本実施形態においては、中間伝熱部材6354は、楕円鏡6351を貫通するように、当該楕円鏡6351に対して固定的に設けられている。すなわち、楕円鏡6351は、中間伝熱部材6354と密着することで、ヒータ6352の略全周を覆うように設けられている。
本実施形態においては、中間伝熱部材6354は、熱伝導率が高い金属であるアルミニウム(合金)によって形成されている。すなわち、中間伝熱部材6354は、受熱部材6353及びニップ板633における放熱部材6331と同じ材質によって形成されている。さらに、受熱部材6353と、中間伝熱部材6354と、ニップ板633における放熱部材6331とは、継ぎ目なく一体に形成されている。
また、本実施形態においては、中間伝熱部材6354は、厚さが受熱部材6353の外径よりも小さくなるように形成されている。そして、受熱部材6353の、楕円鏡6351の内面と対向する部分には、黒色塗装からなる黒体面6355が形成されている。
<第三実施形態の構成による作用・効果>
かかる構成を有する、本実施形態の定着ユニット6においては、楕円鏡6351における第一焦点FP1に配置されたヒータ6352から発せられた輻射熱が、第二焦点FP2に配置された受熱部材6353に集中する。この受熱部材6353によって受け取られた熱は、中間伝熱部材6354を介して、ニップ部NPの側面視における一部(上流部)に対応した位置に設けられた放熱部材6331に伝達される。
すると、ヒータ6352の通電開始後、ニップ部NPの当該一部(上流部)は、トナー定着のために適正な温度まで急速に加熱される。また、ヒータ6352から発せられた輻射熱は、ニップ部NPの当該一部(上流部)に集中的に伝達される。これにより、画像形成速度の向上や、省電力化や、ウォームアップ時間の短縮が図られる。さらに、ニップ部NPにおける、放熱部材6331よりも用紙搬送方向における下流側の部分は、温度が相対的に低くなる。このため、当該部分におけるトナーの軟化あるいは溶融による、いわゆるホットオフセットの発生が抑制され、以て定着後の画像品質が向上する。
特に、本実施形態の構成においては、楕円鏡6351が、中間伝熱部材6354と密着しつつ、ヒータ6352の略全周を覆うように設けられている。また、楕円鏡6351及びヒータ6352が、ニップ板633とステイ634とによって囲まれた略閉空間内に収容されている。さらに、ニップ板633が、熱伝導率の高い放熱部材6331が熱伝導率の低い(すなわち実質的に断熱材として機能する)放熱部材支持部6332によって囲まれた構造を有している。
かかる構成によれば、ニップ板633とステイ634とによって囲まれた略閉空間内における第二焦点FP2にて集中的に集められた輻射熱が、中間伝熱部材6354を介して、ニップ部NPの側面視における一部に対応した位置に設けられた放熱部材6331に集中的に伝達される。すると、ニップ部NPにおいては、放熱部材6331に対応する位置が集中的に加熱される。このため、用紙P上に担持されたトナーが短時間で集中的に加熱される一方で、用紙P自体への伝熱が可及的に抑制される。したがって、かかる構成によれば、熱効率(定着効率)及び定着強度のいっそうの向上が図られる。
このように、本実施形態の定着ユニット6においては、ヒータ6352から発せられた輻射熱が、受熱部材6353によって効率的に集められた上で、ニップ部NPの側面視における一部に集中的に伝達される。したがって、本実施形態の定着ユニット6によれば、よりいっそうの省電力化やウォームアップ時間の短縮が図られる。
<第三実施形態の構成に対する変形例の例示列挙>
以下、本実施形態(第三実施形態)に対して施され得る変更の具体例(変形例)について説明する。もっとも、かかる実施形態に対する変形例が下記にて例示されたものに限定されるものではないことは、いうまでもない。
以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されている構成要素と同様の構成及び機能を有するものに対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部材の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が援用され得るものとする。もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたもの限定されるものではない。また、複数の変形例が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。さらに、上述の実施形態の一部と、変形例の一部とが、適宜、複合的に適用され得る。
図18を参照すると、放熱部材6331、受熱部材6353、及び中間伝熱部材6354は、アルミニウム(合金)以外の熱伝導率が高い金属(銅等)によって形成され得る。なお、放熱部材6331、受熱部材6353、及び中間伝熱部材6354は、それぞれ異なる材質によって形成されていてもよい。また、放熱部材6331と中間伝熱部材6354とは、別体のものであって、互いに接するように設けられていてもよい。
放熱部材支持部6332は、ステンレス鋼等の熱伝導率が低い金属や、セラミックスや、熱伝導率が低く且つ耐熱性の高い他の合成樹脂材料(ポリイミド、ポリアミドイミド、等。)によって形成されていてもよい。また、放熱部材支持部6332は、ステイ634と一体に形成されていてもよい。
受熱部材6353の側断面視における中心と、第二焦点FP2とは、必ずしも完全に一致していなくてもよい。すなわち、受熱部材6353の側断面視における外形線よりも内側に第二焦点FP2が存在していればよい。ヒータ6352と第一焦点FP1との関係も同様である。
図19は、図18に示されている定着ユニット6の一変形例を示す側断面図である。図19に示されているように、第一焦点FP1と第二焦点FP2とは、側断面視にて用紙P(図1における用紙搬送経路PP)とほぼ等距離に設けられていてもよい。かかる構成によれば、熱源装置635やステイ634の小型化が可能になる。
受熱部材6353の形状も、上述の実施形態に示されている具体例に何ら限定されない。すなわち、例えば、受熱部材6353の側断面視における形状は、円形に限定されない。また、受熱部材6353の外径と、中間伝熱部材6354の厚さとは、略同一であってもよい。
図20は、図18及び図19に示されている受熱部材6353の一変形例を示す側断面図である。図20に示されているように、受熱部材6353は、略円筒形状に形成されていてもよい。すなわち、受熱部材6353の内部であって中心軸付近には、キャビティCが形成されていてもよい。これにより、受熱部材6353の熱容量が小さくなり、以て温度上昇の速度が向上する。例えば、図20に示されているように、一枚の薄板材を曲げ加工することで、内部にキャビティCを有する受熱部材6353が、中間伝熱部材6354と一体的に形成される。
図21は、図18に示されているニップ板633の構成の一変形例を示す側断面図である。図21に示されているように、放熱部材6331は、突起部6336を有していてもよい。この突起部6336は、放熱部材支持部6332よりもニップ部NP(図18参照)に向かって突出するように設けられている。かかる構成によれば、ニップ部NP(図18参照)の突起部6336に対応する位置における、放熱部材6331、定着ベルト631、及び用紙Pの密着性が向上し、これにより放熱部材6331によるニップ部NPの当該位置への伝熱効率がよりいっそう向上する。
<定着ユニットの構成の詳細:第四実施形態>
図22は、図1に示されている定着ユニット6の他の一実施形態の概略構成を示す側断面図である。以下、図22を参照しつつ、本実施形態の定着ユニット6の構成の特徴について詳細に説明する。
定着ユニット6は、定着ベルト641と、加圧ローラ642と、ニップ板643と、ステイ644と、熱源装置645と、を備えている。
定着ベルト641は、筒状に形成された、いわゆる無端ベルトであって、耐熱性と可撓性とを有するように構成されている。この定着ベルト641は、図示しないガイド部材によって、所定の位置に保持されつつ用紙幅方向と平行な軸を中心として回転可能に支持されている。
本発明の対向部材に相当する加圧ローラ642は、定着ベルト641の外周面と対向配置されている。この加圧ローラ642は、外周部に弾性変形可能な層であるゴム層を有するローラ状部材であって、用紙幅方向と平行な軸を中心として回転可能に支持されている。
本発明のニップ部材に相当するニップ板643は、平板状の部材であって、定着ベルト641を挟んで加圧ローラ642と対向配置されるように、定着ベルト641の内側に収容されている。このニップ板643は、加圧ローラ642における上述のゴム層を弾性変形させるように定着ベルト641の内周面と当接することで、ニップ部NPを用紙搬送方向に沿って所定の幅をもって形成するように設けられている。
ニップ板643は、伝熱部材6431(6431a及び6431b)と断熱部材6432とを有している。すなわち、本実施形態においては、伝熱部材6431は、用紙搬送方向について、伝熱部材6431aと伝熱部材6431bとに分割されている。
伝熱部材6431a及び6431bは、断熱部材6432よりも熱伝導率が高い材質から構成されている。具体的には、本実施形態においては、伝熱部材6431a及び6431bは、熱伝導率が高い金属であるアルミニウム(合金)によって形成されている。一方、断熱部材6432は、熱伝導率が低く且つ耐熱性の高い合成樹脂材料によって形成されている。
伝熱部材6431a及び6431bは、熱源装置645からの熱をニップ部NPに伝達するように、当該ニップ部NPの側面視(側断面視)における一部に対応した位置に設けられている。具体的には、伝熱部材6431a及び6431bは、ニップ部NPの用紙搬送方向における上流側の部分に設けられている。
本実施形態においては、伝熱部材6431a及び6431bは、用紙幅方向に長手方向を有する棒状あるいは長尺板状の部分であって、互いに平行に設けられている。伝熱部材6431aは、伝熱部材6431bよりも用紙搬送方向における上流側にて、当該伝熱部材6431bと隣接するように配置されている。具体的には、伝熱部材6431a及び6431bは、用紙搬送方向について互いに密着するように設けられている。
断熱部材6432は、ニップ板643における伝熱部材6431a及び6431b以外の部分である。この断熱部材6432は、伝熱部材6431a及び6431bよりも用紙幅方向における上流側及び下流側の部分と、伝熱部材6431a及び6431bの用紙幅方向における両端部に隣接する部分と、に設けられている。
ステイ644は、側断面視にて略逆“U”字状あるいは“n”字状の部材であって、ニップ板643を支持するように、定着ベルト641の内側に配置(収容)されている。ステイ644は、熱伝導率が低く且つ耐熱性の高い合成樹脂材料によって形成されている。具体的には、本実施形態においては、ステイ644は、ニップ板643における断熱部材6132と一体に形成されている。
熱源装置645は、ニップ部NPを加熱するように、定着ベルト641の内側に配置されている。具体的には、熱源装置645は、ニップ板643とステイ644とで囲まれる略閉空間内に収容されている。この熱源装置645は、集熱部材6451と、ヒータ6452と、を備えている。
集熱部材6451は、アルミニウム(合金)板を曲げ加工することで形成された、側断面視にて筒状の部材であって、ヒータ6452の周囲を囲むことで内部にヒータ6152を収容するように設けられている。本実施形態においては、集熱部材6451におけるヒータ6452に対向する内側表面と、ヒータ6452との間には、所定間隔のギャップが設けられている。この集熱部材6451は、ヒータ6452から受けた熱をニップ板643における伝熱部材6431a及び6431bに伝達するように、これら伝熱部材6431a及び6431bと接続されている。
本実施形態においては、集熱部材6451は、ニップ板643における伝熱部材6431a及び6431bと同一の材質によって、これら伝熱部材6431a及び6431bと一体的に形成されている。具体的には、集熱部材6451の一方の端部6451aは、伝熱部材6431aと継ぎ目なく一体に形成されている。また、集熱部材6451の他方の端部6451bは、伝熱部材6431bと継ぎ目なく一体に形成されている。
ヒータ6452は、いわゆるハロゲンランプからなる発熱体であって、通電により輻射熱を発生するように構成されている。また、本実施形態においては、集熱部材6451におけるヒータ6452に対向する内側表面には、黒色塗装からなる黒体面6455が形成されている。
ステイ644の内側表面には、複数の集熱部材支持部6456が設けられている。集熱部材支持部6456は、集熱部材6451の外表面と当接することで集熱部材6451を外側から支持するための突起状の部材であって、集熱部材6451に向かって突出するように設けられている。すなわち、集熱部材6451は、複数の集熱部材支持部6456を介して、ステイ644の内部に支持されている。本実施形態においては、用紙幅方向に長手方向を有する4つの略棒状の集熱部材支持部6456が、集熱部材6451の側断面視における四方を囲むように配置されている。
これらの集熱部材支持部6456は、断熱性の高い(すなわち熱伝導率の低い)材質によって形成されている。具体的には、これらの集熱部材支持部6456は、熱伝導率が低く且つ耐熱性の高い合成樹脂材料によって形成されている。
<第四実施形態の構成による作用・効果>
かかる構成を有する、本実施形態の定着ユニット6においては、ヒータ6452から発せられた輻射熱が、集熱部材6451にて受け取られる。かかる集熱部材6451にて受け取られた熱は、伝熱部材6431(6431a及び6431b)を介してニップ部NPに放出される。これにより、ニップ部NPが加熱される。
ここで、本実施形態の構成においては、伝熱部材6431は、ニップ部NPの側断面視における一部(すなわちニップ部NPの用紙搬送方向における一部)に対応した位置に設けられている。このため、ニップ部NPにおける加熱部分(ヒータ6452から発せられた熱が流れ込む部分)が、当該ニップ部NP全体とはならず、その一部の比較的狭い範囲に集中する。よって、用紙P上に担持されたトナーが短時間で集中的に加熱される一方で、用紙P自体への伝熱が可及的に抑制される。
特に、本実施形態の構成においては、伝熱部材6431がニップ部NPの側断面視における上流側の一部に設けられることで、かかる一部に熱が集中的に流入する。すると、ニップ部NPにおける最大圧力が発生する中央部よりも用紙搬送方向における上流側にて、トナーが良好に軟化する。そして、トナーが充分に軟化した状態で用紙Pが加圧されることで、用紙P上にトナー像が良好に定着される。したがって、本実施形態の構成によれば、良好な定着強度及び定着効率が得られ、以てよりいっそうの省電力化やウォームアップ時間の短縮が図られる。
また、本実施形態の構成においては、ニップ部NPにおける、伝熱部材6431よりも用紙搬送方向における下流側の部分は、温度が相対的に低くなる。このため、当該部分におけるトナーの軟化あるいは溶融による、いわゆるホットオフセットの発生が抑制され、以て定着後の画像品質が向上する。
さらに、本実施形態の構成においては、ニップ部NPを加熱するための伝熱部材6431a及び6431bと、ヒータ6452を囲むことでヒータ6452からの輻射熱を受ける集熱部材6451とが、一体に(すなわち実質的に一部材として)形成されている。このため、かかる構成によれば、良好な熱効率が得られるとともに、構造の簡略化が図られる。
<第四実施形態の構成に対する変形例の例示列挙>
以下、本実施形態(第四実施形態)に対して施され得る変更の具体例(変形例)について説明する。もっとも、かかる実施形態に対する変形例が下記にて例示されたものに限定されるものではないことは、いうまでもない。
以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されている構成要素と同様の構成及び機能を有するものに対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部材の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が援用され得るものとする。もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたもの限定されるものではない。また、複数の変形例が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。さらに、上述の実施形態の一部と、変形例の一部とが、適宜、複合的に適用され得る。
集熱部材6451の外表面には、鏡面加工が施されていてもよい。これにより、集熱部材6451の外側(すなわち集熱部材6451とステイ644との間の空間)への放熱量が少なくなり、以て熱効率が向上する。
ステイ644と集熱部材支持部6456とは、同一の材質によって形成されていてもよい。この場合、ステイ644と集熱部材支持部6456とは、一体に形成され得る。あるいは、ステイ644と集熱部材支持部6456とは、異なる材質によって形成されていてもよい。
図23は、図22に示されている定着ユニット6の一変形例を示す側断面図である。図23に示されているように、黒体面6155は、省略され得る。また、集熱部材6451におけるヒータ6452に対向する内側表面と、ヒータ6452とは、接触していてもよい。さらに、集熱部材6451における端部6451bには、集熱部材6451の温度変化による伸縮に対応して変形し得るように、弛みが設けられていてもよい(図中矢印参照)。
図24は、図22に示されている定着ユニット6の他の一変形例を示す側断面図である。図24に示されているように、集熱部材6451における一方の端部(図24では端部6451b)は、他方の端部(図24では端部6451a)と当接するように設けられていてもよい。この場合、当該他方の端部と一体に形成された1つの伝熱部材6431のみが設けられる。かかる構成においては、ヒータ6452から発せられた熱が、1つの伝熱部材6431に集約された状態で、ニップ部NPに印加される。
図25は、図22に示されているニップ板643の一変形例を示す側断面図である。図25に示されているように、伝熱部材6431は、突起部6436を有していてもよい。この突起部6436は、断熱部材6432よりもニップ部NP(図22参照)に向かって突出するように設けられている。かかる構成によれば、ニップ部NP(図22参照)の突起部6436に対応する位置における、伝熱部材6431、定着ベルト641、及び用紙Pの密着性が向上し、これにより伝熱部材6431によるニップ部NPの当該位置への伝熱効率がよりいっそう向上する。
図26は、図22に示されている定着ユニット6の他の一変形例を示す側断面図である。図26に示されているように、ニップ板643には、側断面視にて略L字形に形成された伝熱部材6431cを有していてもよい。すなわち、かかる構成においては、集熱部材6451と伝熱部材6431cとによって一体的に形成された部材における、端部6451a側の部分が、側断面視にて略L字形に屈曲されている。
本発明の熱源装置は、ハロゲンランプを用いたものに限定されない。具体的には、例えば、ヒータ6452として、面状ヒータが用いられ得る。この場合、面状ヒータであるヒータ6452は、図23に示されているように、集熱部材6451に密着するように設けられる。また、この場合、図23に示されているように、黒体面6155は不要である。
<各実施形態に共通する変形例の例示列挙>
なお、上述の各実施形態は、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の代表的な実施形態を、単に例示したものにすぎない。よって、本発明はもとより上述の実施形態に何ら限定されるものではない。したがって、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、上述の各実施形態に対して種々の変更が施され得ることは、当然である。
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されている構成要素と同様の構成及び機能を有するものに対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部材の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が援用され得るものとする。
もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたもの限定されるものではない。また、複数の変形例が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。さらに、上述の各実施形態の一部と、変形例の一部とが、適宜、複合的に適用され得る。
本発明の適用対象は、単色のレーザープリンタに限定されない。例えば、本発明は、カラーのレーザープリンタや、単色及びカラーの複写機等の、いわゆる電子写真方式の画像形成装置に対して、好適に適用され得る。このとき、感光体の形状は、上述の実施形態のようなドラム状でなくてもよい。例えば、平板状や無端ベルト状等であってもよい。露光方式(アナログ又はデジタル)についても、特段の限定はない。
また、本発明の適用対象は、非磁性一成分現像に限定されない。したがって、本発明は、例えば、磁性二成分現像方式の画像形成装置に対しても好適に適用され得る。あるいは、本発明は、感光体を用いない画像形成方式(例えば、マルチスタイラス電極やアパチャー電極によって電荷や現像剤の飛翔や付着を直接的に制御する画像形成方式)の画像形成装置に対しても好適に適用され得る。
図1を参照すると、プロセスカートリッジ4におけるプロセスケース41とトナーケース45とは、分離不能であってもよい。あるいは、トナーケース45のみが、本体フレーム21に対して着脱自在であってもよい。
本発明の「対向部材」は、ローラ状の部材に限定されない。例えば、本発明の「対向部材」として、板状の部材やベルト状の部材が用いられ得る。
ステイは、上部が開放された形状(すなわち平面視にて略矩形状)に形成されていてもよい。
黒体面は、黒色塗装に限定されない。例えば、黒体面として、有機あるいは無機の赤外線吸収膜や、凹凸形状(溝形状)を形成してもよい。
その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。さらに、本明細書にて引用した他の出願や公報の内容(明細書及び図面を含む)は、本明細書の一部を構成するものとして、必要に応じて且つ技術的に矛盾しない範囲内において援用され得る。