JP5996753B2 - ディスカバリ方法およびそのプログラム - Google Patents

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本発明は、電磁結合により非接触通信を行う非接触通信装置、非接触給電を行う非接触給電装置等の技術に関する。
近年、近距離における非接触通信技術であるNFC(Near Field Communication)を利用した非接触通信システムの普及が著しい。このような非接触通信システムでは、システム専用のリーダ/ライタ(以下、R/Wと記す)装置の送信アンテナ(共振回路)から出力された送信信号を、非接触IC(Integrated circuit)カード内に設けられた受信アンテナが電磁誘導作用により受信する。
このような非接触通信システムでは、良好な通信特性を得るためには、R/W装置内の信号源の周波数と、R/W装置の送信アンテナの共振周波数と、非接触ICカード内の受信アンテナ(共振回路)の共振周波数とが互いに一致することが重要である。しかしながら、非接触ICカードの受信アンテナまたはR/W装置の送信アンテナの共振周波数は、様々な要因により変動する。この場合、非接触ICカードおよびR/W装置間で安定して情報を送受信することが困難になる。
そこで、非接触通信システムの技術分野では、あらゆる条件下において、良好な通信状態を保つための様々な技術が提案されている。特許文献1には、電磁誘導作用により外部と非接触通信を行う送信装置として、送信アンテナ、信号出力部、モニタ回路部、および補正回路部を備える構成として、通信状態をモニターしながら通信特性の最適化を図る技術が開示されている。この送信装置は、モニタ回路部がアンテナコイルに流れる電流に関する情報をモニタして、そのモニタされた情報に基づいて通信状態を判別し、補正回路部がモニタ回路部での判別結果に基づいて、通信特性を補正する(例えば特許文献1の段落[0137]等参照)。
特開2013-58170号公報
上述のように、アンテナの共振周波数は、様々な要因により変動する。例えばそれは、アンテナの特性の製造上のばらつき、使用環境、経時変化等によって変動する。これらの要因に基づく共振周波数の変動に対する新たな対策が望まれる。
本発明の目的は、上記要因による共振周波数の変動に対応でき、良好な通信特性を得ることができる非接触通信装置等の技術を提供することにある。
本発明の一形態に係るディスカバリ方法は、アンテナコイルと、可変容量コンデンサを有するコンデンサ部とを含むアンテナ共振部を備える非接触通信装置によるディスカバリ方法であって、
R/W(リーダ/ライタ)モードで相手側機器の存在を検出し、
前記相手側機器の存在が検出されない場合、カードモードで相手側機器の存在を検出し、
前記カードモードでの前記相手側機器の存在が検出されない場合、前記可変容量コンデンサの容量を制御する制御信号のうち最適制御値を検出することで、前記アンテナ共振部の共振周波数のチューニング処理を実行する。
前記チューニング処理の実行は、前記最適制御値を記憶部に記憶することを含み、
前記最適制御値は、
前記アンテナコイルに流れる電流であるアンテナ電流の位相が0となる制御値、
前記アンテナ電流が最小または最大となる制御値、
インピーダンスの位相が0となる制御値、または、
前記発振部からの前記アンテナ共振部への出力電流の位相が0となる制御値であってもよい。
前記カードモードでの前記相手側機器の存在が検出されない場合、前記R/Wモードでの検出、および前記カードモードでの検出を順に繰り返し、前記R/Wモードでの検出および前記カードモードでの検出の繰り返しの処理時間がタイムアウトした場合、前記チューニングを実行してもよい。
本発明の一形態に係るプログラムは、アンテナコイルと、可変容量コンデンサを有するコンデンサ部とを含むアンテナ共振部を備える非接触通信装置によるディスカバリ処理のプログラムであって、上記ディスカバリ方法を当該非接触通信装置に実行させるプログラムである。
以上、本発明によれば、様々な要因による共振周波数の変動に対応でき、良好な通信特性を得ることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る非接触通信システムの構成を示すブロック図である。 図2は、本発明第1の実施形態に係る非接触通信装置の回路構成を示す。 図3Aは、シングル駆動型のインピーダンスマッチング回路を示し、図3Bは、差動駆動型のインピーダンスマッチング回路を示す。図3Cは図3Bの変形例、図3Dは図3Aの変形例を示す。 図4の上は、LSI電流とその位相、アンテナを流れるアンテナ電流とその位相の特性を示すグラフである。図4の下は、アンテナ駆動部からアンテナを見たインピーダンスとその位相の特性を示すグラフである。 図5は、共振点(位相0の周波数)とインピーダンス最小での周波数とのずれを拡大して示したグラフである。 図6は、共振周波数の、並列共振コンデンサの容量およびインピーダンスとの一般的関係を示すグラフである。 図7は、アンテナコイルの異なるインダクタンスでの、共振周波数とLSI電流との関係を示すグラフである。 図8は、非接触通信装置の工場出荷時において、非接触通信装置が自動で共振周波数のチューニングする処理を示すフローチャートである。 図9は、図8に示した処理のタイミングチャートを示す。 図10は、非接触通信装置の工場出荷後において、非接触通信装置が自動で共振周波数のチューニングする処理を示すフローチャートである。 図11は、図10に示した処理のタイミングチャートを示す。 図12は、本発明の第2の実施形態に係る非接触通信装置の回路構成を示す。 図13は、本発明の第3の実施形態に係る非接触通信装置の回路構成を示す。 図14は、図1に示した非接触通信システムの技術を、非接触給電システム2に適用した形態に係る当該非接触給電システムの構成を示すブロック図である。 図15は、給電装置における受電装置の検出(デバイス検出)から、充電(電力伝送)までのシーケンスを示す。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
[第1の実施形態]
(非接触通信システム)
図1は、本発明の一実施形態に係る非接触通信システムの構成を示すブロック図である。なお、図1では、各回路ブロック間において情報の入出力に関する配線を実線矢印で示し、電力の供給に関する配線を破線矢印で示す。
本発明の一実施形態に係る非接触通信システム1は、国際標準規格ISO/IEC18092を基礎とするNFC−A、NFC−B、NFC−F等を含む近距離無線通信技術であるNFC(Near Field Communication)や、非接触給電技術であるWPC(Wireless Power Consortium)等に適用される。すなわち、1次側アンテナ部と2次側アンテナ部のコイル間の電磁誘導によって非接触に通信や給電を行う通信・給電システムに適用される。
非接触通信システム1は、送信装置100と、受信装置200とを備える。送信装置100は、非接触通信装置として機能する。非接触通信システム1は、送信装置100と受信装置200との間で非接触通信により情報の送受信を行う。なお、非接触通信システム1の例としては、例えば、Felica(登録商標)に代表されるような非接触ICカード規格と、NFC規格とを組み合わせた通信システムが挙げられる。
(送信装置(非接触通信装置))
送信装置100について説明する。送信装置100は、受信装置200に対して非接触でデータを読み書きするリーダライタ(R/W)機能を有する装置である。送信装置100は、図1に示すように、アンテナ共振部(アンテナ回路)110、システム制御部118、変調回路116、および復調回路117を備える。
アンテナ共振部110は、1次側アンテナ部111およびインピーダンスマッチング部112を有し、後述するように、アンテナコイルおよび共振コンデンサ(可変容量コンデンサを有するコンデンサ部)を備える共振回路を構成する。アンテナ共振部110は、受信装置200の2次側アンテナ部201との間で、電磁結合により信号を送受信する。
送受信制御部113は、共振コンデンサの容量を調整する電圧発生回路(主に後述するDAC133)と、アンテナ駆動部(アンテナ駆動装置)130の出力電流を測定する測定器(主に後述する差動増幅器A3およびADC134)を有する。1次側アンテナ部111は、共振回路により所望の周波数の送信信号を送信すると共に、後述する受信装置200からの応答信号を受信する機能を有する。
インピーダンスマッチング部112は、送信信号生成部114と1次側アンテナ部111との間のインピーダンスの整合を取るマッチング回路としての機能を有する。なお、図1には示さないが、インピーダンスマッチング部112は、可変容量コンデンサ(以下、可変コンデンサという。)を備える。本実施形態では、電圧発生回路で後述するように可変コンデンサの容量を調整することにより、送信信号生成部114と1次側アンテナ部111との間のインピーダンスマッチングおよび共振周波数の最適化を実現する。
可変コンデンサとしては、典型的には、小型セラミックタイプのものが用いられる。その強誘電体材料としては、BaSrTiO3等が用いられ、この材料の比誘電率を変化させることで容量が変化する。可変コンデンサとして、RFスイッチを利用するタイプや、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)タイプが用いられてもよい。
送信信号生成部114は、変調回路116から入力された送信データにより所望の周波数(例えば13.56MHz)のキャリア信号を変調し、インピーダンスマッチング部112を介して、当該変調したキャリア信号を1次側アンテナ部111に出力する機能を有する。
変調回路116は、システム制御部118から入力された送信データを符号化し、当該符号化した送信データを送信信号生成部114に出力する機能を有する。
復調回路117は、1次側アンテナ部111で受信した応答信号をインピーダンスマッチング部112を介して取得し、該応答信号を復調する機能を有する。そして、復調回路117は、復調した応答データをシステム制御部118に出力する機能を有する。
システム制御部118は、外部からの指令や内蔵するプログラムにしたがって、各種制御用のコントロール信号を生成し、該コントロール信号を変調回路116および送受信制御部113に出力して、両回路部の動作を制御する機能を有する。また、システム制御部118は、コントロール信号(指令信号)に対応した送信データを生成し、該送信データを変調回路116に供給する機能を有する。さらに、システム制御部118は、復調回路117で復調された応答データに基づいて所定の処理を行う機能を有する。
なお、図1に示す例では、送信装置100において、送受信制御部113とシステム制御部118をそれぞれ別個に設ける例について説明したが、本発明の一実施形態に係る非接触通信システム1は、この例に限定されない。例えば、送受信制御部113がシステム制御部118に含まれるように、他の回路構成としてもよい。
(受信装置)
次に、受信装置200について説明する。なお、図1に示す例では、受信装置200を非接触ICカード(データキャリア)で構成した例を示す。また、この例では、受信装置200が、自身の共振周波数を調整する機能を備える例を説明する。
受信装置200は、図1に示すように、受信アンテナとしての機能を有する2次側アンテナ部201、整流部204、受信制御部202、復調回路205、システム制御部203、変調回路206、定電圧部207、バッテリ208を備える。
2次側アンテナ部201は、例えば不図示の共振コイルおよび複数の共振コンデンサからなる共振回路を有している。この共振コンデンサは、制御電圧を印加することにより容量が変化する可変コンデンサを含む構成となっている。2次側アンテナ部201は、送信装置100の1次側アンテナ部111と電磁結合により通信を行い、1次側アンテナ部111が発生する磁界を受けて、送信装置100からの送信信号を受信する機能を有する。この際、2次側アンテナ部201の共振周波数が所望の周波数となるように、可変コンデンサの容量が調整される。
整流部204は、例えば、整流用ダイオードと整流用コンデンサとからなる半波整流回路で構成され、2次側アンテナ部201で受信した交流電力を直流電力に整流し、当該整流した直流電力を定電圧部207に出力する機能を有する。
定電圧部207は、整流部204から入力された電気信号(直流電力)に対して電圧変動(データ成分)の抑制処理および安定化処理を施し、当該処理された直流電力を受信制御部202に供給する機能を有する。なお、整流部204および定電圧部207を介して出力された直流電力は、受信装置200内のICを動作させるための電源として使用される。
受信制御部202は、2次側アンテナ部201の共振特性を制御して、受信時における共振周波数の最適化を図る機能を有する。具体的には、2次側アンテナ部201内に含まれる可変コンデンサに制御電圧を印加してその容量を調整し、これにより、2次側アンテナ部201の共振周波数を調整する。
復調回路205は、2次側アンテナ部201で受信した受信信号を復調し、当該復調した信号をシステム制御部203に出力する機能を有する。
システム制御部203は、復調回路205で復調された信号に基づいて、その内容を判断して必要な処理を行い、変調回路206および受信制御部202を制御する機能を有する。
変調回路206は、システム制御部203で判断された結果(復調信号の内容)に従って受信キャリアを変調して応答信号を生成する機能を有する。また、変調回路206は、生成した応答信号を2次側アンテナ部201に出力する機能を有する。変調回路206から出力された応答信号は、非接触通信により、2次側アンテナ部201から1次側アンテナ部111に送信される。
バッテリ208は、システム制御部203に電力を供給する機能を有する。このバッテリ208への充電は、その充電端子を外部電源50に接続することにより行われる。図1に示す例のように、受信装置200がバッテリ208を内蔵する構成である場合には、より安定した電力をシステム制御部203に供給することができ、安定した動作が可能となる。
なお、受信装置200は、バッテリ208を使用せずに、整流部204および定電圧部207を介して生成される直流電力を用いて、システム制御部203を駆動する構成であってもよい。
本実施形態の非接触通信システム1では、送信装置100の1次側アンテナ部111と受信装置200の2次側アンテナ部201との間において、電磁結合を介して非接触でデータ通信を行う。このため、送信装置100および受信装置200において効率良く通信を行うために、1次側アンテナ部111および2次側アンテナ部201の各共振回路が同じキャリア周波数(例えば13.56MHz)で共振するように構成される。
(非接触通信装置の回路構成)
図2は、送信装置100である非接触通信装置の回路構成を示す。非接触通信装置は、アンテナ共振部110、フィルタ部120、アンテナ駆動部130、および制御部140および記憶部141を備える。
アンテナ共振部110は、アンテナコイルL3およびインピーダンスマッチング部112を有する。アンテナ共振部110は、アンテナコイルL3に、インピーダンスマッチング部112が接続されて構成される。インピーダンスマッチング部112は、アンテナ駆動部130とアンテナコイルL3のインピーダンス不整合を防ぎ、アンテナ駆動部130の負荷をアンテナコイルL3によらず常に一定、かつ純抵抗としている。
具体的には、アンテナ共振部110は、例えば可変コンデンサ(並列共振コンデンサ部)VC1が並列接続され、また、固定容量のコンデンサC2、C5(直列共振コンデンサ部)が直列接続された直並列共振回路として構成される。可変コンデンサVC1は、これに入力される制御電圧(制御信号)が変化することにより、容量が変化し、これにより、アンテナ共振部110の共振周波数が変化する。なお、可変コンデンサは、複数設けられ、それら複数の可変コンデンサの容量が、同じ制御電圧値により変化するように構成されていてもよい。
コンデンサC7、C8は、可変コンデンサVC1に印加される上記制御電圧(DC電圧)がアンテナL3に漏れないようにするためのDCカットの機能を有する。コンデンサC9、C10は、アンテナサイズの違いなどによるアンテナ特性差を吸収するための追加のコンデンサである。
また、インピーダンスマッチング部112は、アンテナ共振部110のQ値(Quality Factor、先鋭度)を決めるダンピング抵抗R1、R2を有する。
フィルタ部120は、コイルL1、L2、コンデンサC1、C4を有し、EMC(Electro Magnetic Compatibility)機能を有する。アンテナ駆動部130から出力される高周波の発振信号(上記送信信号)は矩形波である。フィルタ部120は、この発振信号による高周波ノイズを除去する機能を有する。コイルL1、L2は、コンデンサC2、C5の一方の端子にそれぞれ接続されている。コンデンサC1、C4は、コイルL1、L2のそれぞれとグランドとの間に接続されている。
アンテナ駆動部130は、発振周波数を制御可能な発振部131と、発振部131により得られる発振信号をアンテナ共振部110に供給する出力部135と、発振部131の出力ゲインを制御するゲインコントローラ132とを備える。また、アンテナ駆動部130は、後述する制御部140からのデジタルの制御電圧値を、アナログ信号に変換するDAC(デジタル/アナログ変換器)133と、出力部135からの出力電流を測定する差動増幅器A3でなる測定部と、この差動増幅器の出力信号が入力され、これをデジタル信号に変換するADC(アナログ/デジタル変換器)134とを含む。アンテナ駆動部130は、例えばLSI(Large Scale Integration)により構成される。
また、非接触通信装置は、発振部131の発振周波数およびアンテナ共振部110のアンテナ共振周波数を制御する制御部140と、アンテナパラメータや、発振部131による発振周波数等の設定値を記憶する記憶部141とを備える。制御部140は、図1における送受信制御部113、システム制御部118、または、この2つが一体となって機能する要素に相当する。
発振部131は、制御部140から供給される周波数制御信号により発振周波数が例えば12〜17MHzの広範囲に亘って制御可能な周波数可変発振器からなる。特に、発振部131は、後述するように、所定の周波数からオフセットされて設定された発振周波数を持つ信号をアンテナ共振部110に出力することが可能なように構成される。
本実施形態では、「所定の周波数」とは、後述するように、アンテナ共振部110のインダクタンス、Q値、インピーダンス等の設計により決まる設計値であり、インピーダンス位相が0になる周波数である。これらはアンテナ特性を決定する設計値である。インピーダンス位相が0になる周波数は、規格値である13.56MHzと一致する場合もあるし、一致せずにずれる場合もある。
また本実施形態では、その所定の周波数からオフセットされて得られる最終的な発振周波数であるターゲット周波数は、規格値である13.56MHzでもよいし、メーカによってはその規格値と異なる、その規格値の近傍の値に設定される場合もある。ターゲット周波数は、後でも説明するが、アンテナ駆動部130の出力電流(下記ではLSI電流ともいう。)が最小または最大となる周波数である。
すなわち、それら所定の周波数およびターゲット周波数は、メーカや製品モデルによって異なる固有値である。
出力部135は、発振部131から供給される高周波の発振信号を、正相の発振信号と逆相の発振信号として出力する一対の差動増幅器A1、A2を含む。
測定部は、出力部135の差動増幅器A1の入力端と出力端に接続されている。測定部は、差動増幅器A1の出力電流(I_lsi;以下、LSI電流という。)を測定する。LSI電流は、差動増幅器A1に入力される発振信号の電圧V1および差動増幅器A1から出力される正相の発振信号の電圧V2との電圧差を出力抵抗によって換算することで測定される。測定部は、その測定結果をADC134を介して制御部140に供給する。
制御部140は、非接触通信装置のR/W機能とカード機能を制御する機能を有する。R/W機能は、非接触通信装置が、図1に示した送信装置として、2次側機器(相手側機器)である受信装置200と通信(データの読み書き)を行う機能である。カード機能とは、図1に示した2次側機器である受信装置200の機能であり、非接触通信装置が、その機能を持つことを意味する。
制御部140は、アンテナ共振部110の共振周波数が、設定された所定の周波数になるように、可変コンデンサVC1に印加する制御電圧を制御する。DAC133は、制御部140から出力されるデジタル制御電圧値をアナログ制御電圧信号Vcntに変換して、アンテナ共振部110の制御信号ライン119を介して可変コンデンサVC1に印加するようになっている。これにより、アンテナ共振部110のインピーダンスを1ms以下で高速に変えることが可能となる。なお、制御部140は、例えばCPU(Central Processing Unit)等により構成される。
アンテナ駆動部130において、制御部140からの制御電圧値が入力される端子またはラインが、制御値入力部139である。
NFCシステムなどの非接触通信において使用される基本的なマッチング回路としては、図3A〜Dにそれぞれ示すタイプの回路構成がある。図3Aに示すタイプは、1チャンネルでアンテナコイルL3を駆動するシングル駆動型であり、図3Bに示すタイプは、2チャンネルでアンテナコイルL3を駆動する差動駆動型である。どちらも基本動作は同じである。Tx1端子とTx2端子がアンテナ駆動部130の駆動端子となる。図3Cに示すマッチング回路は、図3Bの変形例であり、図3Bと同様に非接触通信で使われる。図3Dに示すマッチング回路は、図3Aの変形例で直列共振回路の構成となっており、非接触給電で使われることが多い。
非接触通信装置におけるアンテナ共振部110は、2チャンネルでアンテナコイルL3を駆動する差動駆動型の回路構成となっている。
図2において、アンテナ共振部110において、Tx1端子およびTx2にそれぞれ接続されたラインが、発振部131からの発振信号が入力される入力ライン129である。2チャンネルの場合、入力ライン129は2本となり、1チャンネルの場合、入力ライン129は1本となる。
R/Wモードでは、制御部140は、発振部131を上記した周波数範囲のうち任意の周波数で発振させ、出力部135からその周波数を持つ正相の発振信号と逆相の発振信号が、Tx1端子およびTx2端子に出力されるように制御を行う。
カードモードでは、制御部140は、アンテナ共振部110のアンテナコイルL3に誘起される受信信号を図示しない受信回路で検出し、負荷変調により応答する制御を行う。
図4の上は、LSI電流とその位相、アンテナコイルL3を流れるアンテナ電流とその位相の特性を示すグラフである。図4の下は、インピーダンス(アンテナ駆動部130からアンテナを見たインピーダンス)とその位相の特性を示すグラフである。実線がインピーダンス(Ω)、破線が位相(deg)である。横軸が周波数である。上の左縦軸が電流値、右縦軸が位相、下の左縦軸がインピーダンス、下の右縦軸が位相である。
本実施形態のように、直並列共振回路では、下のグラフに示すように、インピーダンス位相が0になる共振点は2箇所存在する(第1の位相0点、第2の位相0点)。周波数が低い方の共振点は、インピーダンス位相がマイナスからプラスになる点であり、主として直列共振コンデンサ部であるコンデンサC2およびC5と、アンテナコイルL3とによる直列共振点である。直列共振によりインピーダンスが最小となる周波数が存在する。直並列共振回路のうち並列共振コンデンサである可変コンデンサVC1等の影響により、位相0の周波数より低い周波数で、インピーダンスが最小となる。
周波数が高い方の共振点は、インピーダンス位相がプラスからマイナスになる点であり、主として、可変コンデンサVC1とアンテナコイルL3との並列共振点である。並列共振によりインピーダンスが最大となる周波数が存在する。直並列共振回路のうち直列共振コンデンサであるコンデンサC2およびC5の影響により、位相0の周波数より高い周波数で、インピーダンスが最大となる。
ここで、一般的な設計として、直列共振点をシステム周波数(例えば13.56MHz)に合わせる方法と、並列共振点をそのシステム周波数に合わせる方法の二通りがあり、使用するLSIによりどちらかが選択される。
共振点(位相0の周波数)とインピーダンス最小または最大での周波数とのずれ量は、アンテナコイルのインダクタンス、Q値、インピーダンス等などの設計値によって変わる。図5は、このずれを拡大して示したグラフである。このグラフは、直並列の各共振コンデンサを固定したまま、発振部131の発振周波数を変えて、アンテナのインピーダンスと、アンテナ共振部110の各電流を計算した結果を示す。ここでは、L=1.25uHのアンテナが用いられ、直列共振点を例えば13.56MHzに合わせインピーダンスZ=8Ω(低インピーダンス型)で設計されている。(これに対し、図4は、並列共振点を13.56MHzに合わせた例を示している。)各電流は、アンテナ電流、LSI電流、フィルタ電流(フィルタ部120を流れる電流)である。
図5に示すように、アンテナ電流は設計どおり13.56MHzでピークとなるが、インピーダンスが最小になる周波数およびLSI電流が最大になる周波数は、13.56MHzから100KHz程度低い周波数である13.46Hzにずれていることがわかる。
このように、共振点(位相0の周波数)(図4参照)とインピーダンス最小または最大での周波数とのずれが発生するため、このずれを補正するために、上述したように、オフセット値(当該ずれ量)に基づくターゲット周波数が設定される。例えば製品モデルごとに計算し実測して、そのオフセット値が定められる。
ここで、直列共振点を13.56MHzに合わせるタイプの低インピーダンス型のアンテナデバイスは、LSIの出力抵抗の影響を受けやすく、1Ω以下の出力抵抗を持つLSIと組み合わされて使うのが一般的である。直列共振点を使用するので、共振点近傍では共振周波数ずれに対してインピーダンスの変化が小さく安定である。
一方、並列共振点を13.56MHzに合わせるタイプの高インピーダンス型のアンテナデバイス(例えば図4に示したグラフを参照)は、LSIの出力抵抗が大きくても、その影響を受けににくく、出力抵抗が数ΩのLSIと組み合わされて使われるのが一般的である。並列共振点を利用してインピーダンスを高くすることでLSI電流を減らすことができるメリットがある。
図4に示した例は、上記のように並列共振点を13.56MHzに合わせるタイプの高インピーダンス型(例えば80Ω)のアンテナデバイスの特性を示している。ここで、本実施形態では、高インピーダンス型のアンテナデバイスのマッチング定数を設計した例を主として説明する。
図6は、共振周波数の、並列共振コンデンサ部の容量およびインピーダンスとの一般的関係を示すグラフである。(なお、このグラフについての関係性(特性)が一般的であり、数値自体は一般的なものではない。)アンテナコイルのインダクタンスは1.25μHである。共振周波数と容量との関係は直線で近似できる。インピーダンスは13.56MHz近傍でピークとなる。並列共振コンデンサの容量を変えることにより、共振周波数とインピーダンスを変えることができるのがわかる。
図7は、アンテナコイルの異なるインダクタンス(L=0.75μH、1.0μH、1.25μH、1.5μH)での、共振周波数とLSI電流との関係を示すグラフである。アンテナコイルのインダクタンスに無関係にLSI電流の最小値は一致している。これにより、インダクタンスに無関係に、共振周波数≒LSI電流最小での周波数が成り立つことがわかる。つまり、本開示の発明者は、所定の周波数からオフセットされた発振周波数をターゲット周波数として使用することで、直並列共振回路の並列共振コンデンサの容量を変化させて並列共振点を使って共振周波数のチューニングを行なう場合、並列共振コンデンサの容量を変化させながらLSI電流を測定してその最小値を検出すればよいことを見出した。直列共振点を使って共振周波数のチューニングを行なう場合は、それとは逆に、並列共振コンデンサの容量を変化させながらLSI電流の最大値を検出すればよい。
このように、図4に示したように、実際に位相0となる共振周波数とインピーダンスが最大(LSI電流が最小)になる周波数とがずれる。したがって、上述のように、設計者が、アンテナ共振部110の設計値(インダクタンス、Q値、インピーダンス等)、およびLSI電流が最小となる周波数に基づいて、所定の周波数およびそれからのずれ量(オフセット値)を予め見積り、それらの値を例えば記憶部141(図2参照)に記憶しておく。この場合、オフセットされて得られる周波数であるターゲット周波数が記憶されてもよいし、所定の周波数およびオフセット値の両方が記憶されてもよい。
制御部140は、このターゲット周波数を得るために、LSI電流の最小値を得るための、可変コンデンサVC1への制御電圧信号である最適制御値を出力する。この場合、例えば図4で示したように、並列共振点は、所定の周波数(典型的には13.56MHz)から低い方へずれる場合、チューニング用の周波数、つまりターゲット周波数として、並列共振点からオフセット値分低く設定しておく。
直並列共振回路の並列共振コンデンサ、つまり可変コンデンサVC1を変化させて、直列共振点を使って共振周波数のチューニングを行う場合も上記と同様である。この場合、実際に位相0となる共振周波数とインピーダンスが最小になる周波数とが図4に示したようにずれる。直列共振点は、所定の周波数(典型的には13.56MHz)から高い方へずれるため、ターゲット周波数として、直列共振点からオフセット値分だけ高く設定しておけばよい。
上述したように、メーカによっては、通信特性が最良になるように経験的に得た、13.56MHzからずらした周波数を、ターゲット周波数として、設定する場合もある。
本実施形態に係る非接触通信装置は、特許文献1に示されているアンテナ電流ではなくLSI電流を使ったチューニングを行うことで、後でも述べるように、LSIに低コストでチューニング機能を搭載することができる。ただし図5に示したように、インピーダンス位相(図4参照)が0となる共振周波数とアンテナ電流の最大値は良く一致するが、LSI電流の最小または最大値がずれるため、このことが誤差の要因となっている。したがって、このずれをオフセットとして補正することで、正確なチューニングを行えるようにしている。
上述したように、オフセット値は周波数として記憶する以外にも、例えば図6に示した容量対共振周波数の特性から、周波数オフセットを容量オフセットに変換し、その容量オフセットに相当する電圧値として記憶することも可能である。この場合、製造段階において、オフセット無しの所定の周波数にて共振周波数のチューニングを実行し、求めた電圧値に上記オフセットに相当する電圧を加えることで、周波数オフセットと同等な効果を得ることができる。この場合、周波数オフセットが不要であるため、所定の周波数がシステム周波数の13.56MHzである場合は、発振部131は発振周波数を固定周波数13.56MHzに設定でき、LSIの回路が簡単になると言うメリットがある。
(非接触通信装置の処理)
<工場出荷時>
図8は、この非接触通信装置の工場出荷時において、非接触通信装置が自動で共振周波数のチューニングする処理を示すフローチャートである。
制御部140は、初期化として、所定の周波数からオフセットされた、ターゲット周波数f0を、記憶部141から読み出し、これを発振部131に設定する(ステップ101)。
制御部140は、初期化として、予め記憶部141に記憶されているアンテナパラメータを、制御部140の内部レジスタやゲインコントローラ132等に設定する(ステップ102)。アンテナパラメータとは、例えば、インピーダンス、Q値、発振部131から出力される発振信号のゲイン、可変コンデンサVC1へのDAC133の制御電圧値(ここでは初期値として例えば0V)等である。
制御部140は、DAC133への制御電圧値を、例えば0Vから1ステップごとに、単位電圧ずつ増加させ、その1ステップごとに測定部によりLSI電流を測定する(ステップ103)。例えば制御部140は、システム電圧の最大値である3Vまで制御電圧値を増加させていく。0〜3Vまでの間に、制御部140がLSI電流の最小値を検出すると(ステップ104のYES)、制御部140は、LSI電流が最小のときの、DAC133への制御電圧値である最適制御値を、記憶部141に記憶する(ステップ105)。
なお、制御部140、必ずしも3Vまで制御電圧値を増加させる必要はなく、0Vからの制御電圧値の増加途中で、制御部140が最小値を検出すれば、その時点でステップ105へ進めばよい。
直列共振点をターゲット周波数に合わせるタイプの低インピーダンス型のアンテナ共振部110を使用する場合、ステップ104では、LSI電流の最大値が検出される。
その後、制御部140は、通信用の発振周波数(例えば13.56MHz)を、発振部131に設定する(ステップ106)。制御部140は、通信用のアンテナパラメータを設定して(ステップ107)、チューニング処理を終了する。通信用のアンテナパラメータの1つとして、記憶部141に記憶された最適制御値がある。つまり、通信時には、制御部140は、記憶部141に記憶された最適制御値を使用して共振周波数を制御する。
なお、以下でも説明するように、通信用のアンテナパラメータとして、チューニング用のそれとは異なるパラメータがある。そのパラメータの1つは、例えば発振部131による発振信号のゲインである。
図9は、図8に示した処理のタイミングチャートを示す。横方向は時間経過、縦方向はLSI電流値を模式的に示す。制御部140は、チューニング用のアンテナパラメータを設定後、1ステップごとに、単位電圧ずつDAC133への制御電圧値を上げることにより、LSI電流の変化を検出し、最小値(または最大値)を検出する。その後、通信用のアンテナパラメータが設定され、通信が行われる。
LSI電流の最小値(または最大値)の検出期間は、50〜100μsが望ましい。これは、後述するディスカバリ時間の300msに比べると十分に小さい値である。
ここで、図9に示すように、LSI電流の大きさ、つまり、出力部135からの発振信号のゲインとして、通信時での値(第1の値)より、検出期間での値(第2の値)の方が大きくなるように、当該ゲインが設定される。これにより、検出時において電流信号のSN比を高めることができるので、制御部140は、正確な最適制御値を得ることができる。例えば、第2の値が、第1の値の1.5〜2倍とされるのが好ましいが、LSIの許容電流の範囲内に設定される。
<工場出荷後>
図10は、非接触通信装置の工場出荷後、例えば、ユーザがこの非接触通信装置を使用する場合の、非接触通信装置が自動で共振周波数のチューニングする処理を示すフローチャートである。本実施形態に係るチューニング処理は、非接触通信装置(またはこれを搭載した電子機器)がディスカバリ処理時において所定の条件を満たした時に、図8に示したチューニング処理を行うものである。ディスカバリ処理とは、例えば非接触通信装置が、R/W機能およびカード機能の両方を備える場合に、R/W機能を持つ機器と、カード機能を持つ機器とに交互に入れ替わり、2次側機器を検出する処理である。具体的には、以下のような処理が行われる。
制御部140は、初期モードがR/Wモードである場合(ステップ201)、2次側機器として例えば周辺にICカードが存在するか否かを監視する(ステップ202)。ステップ202では、非接触通信装置が所定時間間隔で発振信号を出力することで、その存在の有無を検出する。
制御部140は、ICカードが存在すれば通信を開始し、存在しなければ、R/Wモードからカードモードに動作モードを切り替える(ステップ203)。そして、制御部140は、相手側機器としてR/Wが存在するか否かを監視する(ステップ204)。
R/Wが存在する場合、制御部140は通信を開始し、存在しなければ、タイムアウトしたか否かを検出する(ステップ205)。制御部140は、例えばステップ203でカードモードに切り替えるタイミングで、タイマーのカウントアップを開始し、タイムアウトするまで、ステップ202〜204の処理を繰り返せばよい。
ステップ205でタイムアウトした場合、例えば非接触通信装置による電力の消耗を減らすため、ディスカバリを停止し、スタンバイ等の低消費モードに移行する。そして、制御部140は、図8に示したステップ101〜107のチューニング処理を実行する(ステップ206)。これによりディスカバリ処理が終了する。
ステップ205でタイムアウトした場合は、主として、周囲にICカードも、R/Wも存在しない状態であり、かつ、ユーザが非接触通信装置を、他の機能を持つ機器として使用している(または全く使用していない)、と想定される。したがって、この場合、非接触通信装置にとって、外乱のない安定な状況と考えられるため、工場出荷後のチューニング処理を行なうための最適な時間である。したがって、タイムアウトした場合、一般的には、そのままディスカバリ処理が終了するが、本実施形態では、その場合に図8で示したチューニング処理が実行される。
本例では、チューニング処理を行うステップ206では、図8のST101〜ST107の処理、つまりLSI電流の最小または最大を検出するとして説明している。しかし、このようなチューニング処理に代えて、他の値を検出することにより、最適制御値を検出するようにしてチューニング処理を実行してもよい。上記他の値として、以下の複数の例1)〜4)が挙げられる。
1)アンテナコイルに流れる電流であるアンテナ電流の位相が0となる制御電圧値、
2)アンテナ電流が最小または最大となる制御電圧値、
3)アンテナインピーダンスの位相が0となる制御電圧値、
4)LSI電流の位相が0となる制御電圧値
上記1)、3)、4)の各位相が0になる点は、図4において破線で示す曲線の位相0°の点に相当する。
なお、図4はシミュレーション結果を示しており、上記1)のアンテナ電流位相については、-270°の点が本来の位相0°に相当し、上記4)のLSI電流の位相については、-180°の点が本来の位相0°に相当することに注意する必要がある。
チューニング期間は、前述したように50〜100μs程度であるため、電力の消費もほぼ無視でき、ユーザはチューニング処理について意識することはない。
図11は、図10に示した処理のタイミングチャートを示す。このタイミングチャートの見方は、図9に示したものと同様である。上記ステップ201、202のICカードの待ち受け期間、以下、図8に示した処理である、チューニング用のアンテナパラメータ設定期間、LSI電流の最小値または最大値の検出期間、および通信用のアンテナパラメータ設定期間が設けられる。ICカードの待ち受け期間およびディスカバリ終了後は、縦方向のLSI電流値が最小限(実際は電流が流れない場合もある)となっており、これは発振信号が発生していない状態を示している。
本例では、非接触通信装置が、R/W機能およびカード機能の両方を備える場合について述べたが、R/W機能のみ、または、カード機能のみを備える非接触通信装置においても、同様の処理を行うことができる。例えば非接触通信装置は、R/W機能のみを有する場合、R/W機能として周辺にICカードが存在するか否かを監視し、その存在が検出されない場合、タイムアウトすればよい。非接触通信装置は、カード機能のみを有する場合、カード機能として周辺にR/Wが存在するかを監視し、その存在が検出されない場合、タイムアウトすればよい。
(まとめ)
以上のように、本実施形態に係る非接触通信装置では、測定部が、発振部131からの出力電流を測定し、制御部140が、その出力電流の最小値または最大値を検出し、それら最小値または最大値に対応する最適制御値を使用して共振周波数を制御する。したがって、アンテナ特性の製造上のばらつきによって、あるいは、使用環境や経時変化によって共振周波数が変動する場合があっても、設定された共振周波数による良好な通信特性を得ることができる。
本実施形態に係る非接触通信装置では、LSI電流の測定部である差動増幅器A3が、アンテナ駆動部130内に設けられる。したがって、特許文献1のようにアンテナ共振部110におけるアンテナ電流をモニタするための抵抗や配線を、アンテナ共振部110とアンテナ駆動部130との間に設ける必要がない。またそのために、アンテナ駆動部130の端子数も増やすことがないので、シンプルな回路構成とすることができる。これにより、アンテナ駆動部130の設計の容易化、低コスト化を実現できる。また、これにより、ノイズが発生しにくくなり、良好な通信特性を得ることができる。
本実施形態に係る非接触通信装置は、工場出荷時に、自動でチューニングを行うことが可能な構成であるので、製造ライン上での作業者による手動でのチューニングを必要としない。これにより低コスト化を実現できる。
非接触通信装置の使用環境、アンテナ共振部110の経時変化により、上記工場出荷時の最適制御値と、ユーザの非接触通信装置の使用時の最適制御値が異なる場合もある。本実施形態に係る非接触通信装置は、工場出荷後にユーザがこれを使用する場面でも、自動チューニングが可能な構成であるので、良好な通信特性を維持することができる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。これ以降の説明では、第1の実施毛形態に係る装置が含む部材や機能等について実質的に同様の要素については同一の符号を付し、その説明を簡略化または省略し、異なる点を中心に説明する。
図12は、第2の実施形態に係る非接触通信装置の回路構成を示す。この非接触通信装置300のコンデンサ部は、上記実施形態と同様に、直列共振コンデンサ部および並列共振コンデンサ部を備える。上記実施形態と異なる点として、直列共振コンデンサ部は、例えば2つの可変コンデンサVC1、VC2を含み、並列共振コンデンサ部は、例えば2つの固定容量コンデンサC9、C10を含む。可変コンデンサVC1に、DCカットのためのコンデンサC2、C5が直列接続され、また、同様に可変コンデンサVC2に、コンデンサC3、C6が直列接続されている。制御部140は、アンテナ駆動部130内に設けられたDAC133を介して、制御電圧信号Vcntを可変コンデンサVC1、VC2に出力し、これらの容量を可変に制御する。
このように、直列共振コンデンサ部の容量が可変に制御されることにより、上記第1の実施形態と同様に、様々な要因による共振周波数の変動を吸収することができ、良好な通信特性を得ることができる。
[第3の実施形態]
図13は、本発明の第3の実施形態に係る非接触通信装置の回路構成を示す。この非接触通信装置400では、コンデンサ部としての、直列共振コンデンサ部および並列共振コンデンサ部の両方が、可変容量コンデンサを含む。並列共振コンデンサ部は、図2に示すそれと同様の可変コンデンサVC1で構成される。直列共振コンデンサ部は、図12で示すそれと同様に、2つの可変コンデンサVC2、VC3で構成される。
制御部140は、DAC(1)135Aを介して、制御電圧信号Vcnt1を可変コンデンサVC1に出力し、DAC(2)135Bを介して、制御電圧信号Vcnt2を可変コンデンサVC2、VC3に出力して、これらの容量を可変に制御する。本実施形態では、並列共振コンデンサ部(可変コンデンサVC1)の容量を変化させた場合、その変化に見合った、直列共振コンデンサ部(可変コンデンサVC2、VC3)の容量の変化が必要となるので、トラッキング調整が行われる。
具体的には、例えば、並列共振コンデンサ部の容量の変化(またはそれに対応するDAC(1)133Aによる制御値)に、最適な直列共振コンデンサ部の容量(またはそれに対応するDAC(2)133Bによる制御値)を関連付け、これをテーブルとして予め記憶部141に記憶しておけばよい。そして、チューニング処理では、制御部140は、図8で示したフローチャートにおけるステップ105において最適制御値を得、テーブルに基づき、その最適制御値に対応する直列共振コンデンサ部への最適制御値を得ることで、共振周波数を最適に制御することができる。
[第4の実施形態]
図14は、上記非接触通信システム1(図1参照)の技術を、非接触給電システム2に適用した形態に係る当該非接触給電システム2の構成を示すブロック図である。非接触給電システム2においてもデータ通信を行うので、その点は非接触通信システム1と同じである。この非接触給電システム2と、図1に示す非接触通信システム1の異なる点は、給電モードが設けられる点であり、受電装置250に充電制御部219が設けられる点である。ここでは、送受の双方向通信に対応する方式を示している。
給電装置150のアンテナ共振部110は、LCの共振回路で構成されており、例えばQiフォーマットで知られる電磁誘導方式では、100~200kHzの出力周波数を持つ。このようにシステムが、フォーマットとして複数の方式を許容する場合、LSI(アンテナ駆動部130)により使用する発振周波数や、アンテナ共振部110におけるアンテナコイルの仕様が違ってくる。
この非接触給電システム2の給電方式として、電磁誘導や磁界共鳴等の方式が適用可能であり、方式によらない。給電装置150は、キャリア信号を送出し、1次側アンテナ部111を経てアンテナに電流を流す。アンテナコイルに流れた電流により発生する磁界が、受電装置250の2次側アンテナ部201と磁気的に結合することで、2次側アンテナ部201に電圧が励起されエネルギーの伝送が行われる。
非接触通信システム1の通信状態では、送信装置100と受信装置200との通信距離が長く、距離が変わる。しかし、例えば給電方式として、Qiフォーマットで知られる電磁誘導方式では、給電装置150(例えば給電送信パッド)に受電装置250(例えば携帯電話デバイス)を置く形となるため、両者の距離は常にほぼ一定となる。このような非接触給電システム2は、給電装置150および受電装置250にそれぞれ共振回路を有しており、位置ずれや給電される機器によりその共振周波数がずれるという課題は、上記非接触通信システム1の(非接触通信システム1で解決される)課題と同じである。
具体的には、1次側アンテナ部111および2次側アンテナ部201は、効率的な伝送を行うため、キャリア周波数で共振するように共振回路により構成されている。一般にエネルギー効率は、電磁誘導結合の結合係数kとアンテナのQ値の掛け算で決まるため、大きなkと高いQであることが望ましい。しかしながら共振回路のQを高くすると、定数のばらつきにより共振周波数が大きくずれてしまうため、非常に高精度の部品を使うか、前述したように共振周波数を調整する必要がある。
図15は、給電装置150における受電装置の検出(デバイス検出)から、充電(電力伝送)までのシーケンスを示す。非接触給電システム2は、エネルギーを伝送するとともに、キャリア信号の大きさを変調することによりデータ通信を行い、機器認証や必要受電電力量の要求を行う。例えばQiフォーマットでは、受電装置250が、負荷変調、つまり負荷の大きさを変えることでキャリアを変調し、これにより各種のデータを送信する。
非接触給電の場合、給電装置150は、一般的に、50〜100μs程度の短い時間、1次側アンテナ部111に電流を間欠的に流し、その電流値が変化した場合に、受電装置250がおかれたと判断する。これが、反応確認(PING)に相当する。図15には、「信号強度」と表しているが、実際には給電装置150が1次側アンテナ部111の電流の変化を検出する。したがって、この電流変化がない状態で、給電装置150が、図8に示したチューニング処理を開始することで、製品の工場出荷後についても、上記実施形態と同様にチューニングを行うことが可能となる。認証OKの場合は、給電装置150は、電力伝送モードで動作し、電力を受電装置250に伝送する。この場合、給電装置150は、長時間の充電を行うため、認識処理を間欠的に行うことで安全性を確保している。
[その他の実施形態]
本発明は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態を実現することができる。
上記実施形態において、通信時には、制御部140は、可変コンデンサVC1への制御電圧値として最適制御値を使用して共振周波数を制御した。しかし、必ずしも最適制御値に限られず、LSI電流の最小または最大値の、例えば隣の値に対応する制御値により、共振周波数が制御されてもよい。すなわち制御部140は、最適制御値を含む任意の範囲の制御値で共振周波数を制御してもよい。
上記第1、第2の実施形態では、並列共振コンデンサ部は、1つの可変コンデンサVC1により構成されていたが、複数の可変コンデンサにより構成されていてもよい。
上記各実施形態では、例えば図2等に示すように、制御部140および記憶部141は、アンテナ駆動部130の外に設けられていたが、これらは、アンテナ駆動部130内、例えばLSIに一体として設けられていてもよい。
以上説明した各形態の特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。
VC1、VC2、VC3…可変コンデンサ
L3…アンテナコイル
1…非接触通信システム
2…非接触給電システム
100、300、400…送信装置(非接触通信装置)
110…アンテナ共振部
113…送受信制御部
119…制御信号ライン
129…入力ライン
130…アンテナ駆動部
131…発振部
132…ゲインコントローラ
133…DAC
134…ADC
135…出力部
139…制御値入力部
140…制御部
141…記憶部
150…給電装置
250…受電装置

Claims (4)

  1. アンテナコイルと、可変容量コンデンサを有するコンデンサ部とを含むアンテナ共振部を備える非接触通信装置によるディスカバリ方法であって、
    R/W(リーダ/ライタ)モードで相手側機器の存在を検出し、
    前記相手側機器の存在が検出されない場合、カードモードで相手側機器の存在を検出し、
    前記カードモードでの前記相手側機器の存在が検出されない場合、前記可変容量コンデンサの容量を制御する制御信号のうち最適制御値を検出することで、前記アンテナ共振部の共振周波数のチューニング処理を実行する
    ディスカバリ方法。
  2. 請求項1に記載のディスカバリ方法であって、
    前記チューニング処理の実行は、前記最適制御値を記憶部に記憶することを含み、
    前記最適制御値は、
    前記アンテナコイルに流れる電流であるアンテナ電流の位相が0となる制御値、
    前記アンテナ電流が最小または最大となる制御値、
    インピーダンスの位相が0となる制御値、または、
    前記発振部からの前記アンテナ共振部への出力電流の位相が0となる制御値である
    ディスカバリ方法。
  3. 請求項1に記載のディスカバリ方法であって、
    前記カードモードでの前記相手側機器の存在が検出されない場合、前記R/Wモードでの検出、および前記カードモードでの検出を順に繰り返し、前記R/Wモードでの検出および前記カードモードでの検出の繰り返しの処理時間がタイムアウトした場合、前記チューニングを実行する
    ディスカバリ方法。
  4. アンテナコイルと、可変容量コンデンサを有するコンデンサ部とを含むアンテナ共振部を備える非接触通信装置によるディスカバリ処理のプログラムであって、
    R/W(リーダ/ライタ)モードで相手側機器の存在を検出し、
    前記相手側機器の存在が検出されない場合、カードモードで相手側機器の存在を検出し、
    前記カードモードでの前記相手側機器の存在が検出されない場合、前記可変容量コンデンサの容量を制御する制御信号のうち最適制御値を検出することで、前記アンテナ共振部の共振周波数のチューニングを実行する
    ことを前記非接触通信装置に実行させるプログラム。
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