以下、本実施形態にかかる組電池モジュール、当該組電池モジュールを備えた組電池装置、および当該組電池装置を備えた車両について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態にかかる組電池モジュールを備えた車両の模式図である。なお、図1においては、車両100、車両100への二次電池装置(組電池装置)の搭載箇所、および車両100の駆動モータなどは概略的に示している。
二次電池装置は、複数の組電池モジュール101(1)〜101(4)が互いに直列接続されて構成される。ここで、組電池モジュール101(1)〜101(4)は、それぞれ独立して着脱することが可能であり、メンテナンス等において、別の組電池モジュールと交換することができる。組電池モジュール101(1)は、組電池11を有する。組電池モジュール101(2)は、組電池12を有する。また、組電池モジュール101(3)は、組電池13を有する。また、組電池モジュール101(4)は、組電池14を有する。ここで、組電池11は、直列接続された複数の二次電池セル11(1)〜11(x)[x:2以上の整数]を有する(図2参照)。なお、組電池12〜14は、組電池11と同様の構成を有している。本実施形態では、二次電池装置は、4つの組電池モジュール101(1)〜101(4)を直列接続しているが、複数の組電池モジュールを直列接続するものであれば、これに限定するものではない。
二次電池装置が備える複数の組電池モジュール101(1)〜101(4)のうち低電位側に接続された組電池モジュール101(1)の負極端子には、接続ライン31の一方の端子が接続されている。接続ライン31は、インバータ40の負極入力端子に接続されている。
また、二次電池装置が備える複数の組電池モジュール101(1)〜101(4)のうち高電位側に接続された組電池モジュール101(4)の正極端子には、接続ライン32の一方の端子が、スイッチ装置33を介して接続されている。接続ライン32の他方の端子は、インバータ40の正極入力端子に接続されている。
スイッチ装置33は、複数の組電池モジュール101(1)〜101(4)に直列接続され、複数の組電池モジュール101(1)〜101(4)の電気的な接続をオンまたはオフする。つまり、スイッチ装置33は、オンすることにより、組電池11〜14間に電流を流す。本実施形態では、スイッチ装置33は、組電池モジュール101(1)〜101(4)の組電池11〜14が有する二次電池セルへの充電が行われる際にオンするプリチャージスイッチSWP(図3参照)、組電池モジュール101(1)〜101(4)の電力を負荷に供給する際にオンするメインスイッチSWM(図3参照)を含む。より具体的には、メインスイッチSWMは、二次電池セルへの充電が行われる際に二次電池セルへ供給される電力の電流(突入電流)が車両2側の負荷(例えば、モータ45など)に流れ込むのを防止するために、二次電池セルへの充電が行なわれた後にオンする。これにより、突入電流によるメインスイッチSWMの溶着を防止する。プリチャージスイッチSWPおよびメインスイッチSWMは、リレー回路として構成されている。
インバータ40は、印加された直流電圧をモータ駆動用の3相の交流(AC)の電圧に変換する。インバータ40は、後述する電池管理装置(BMU:Battery Management Unit)60または車両100の全体動作を制御するための電気制御装置71からの制御信号に基づいて、交流の電圧への変換が制御される。インバータ40の3相の出力端子は、モータ45の各3相の入力端子に接続されている。モータ45の駆動力(回転)は、例えば差動ギアユニットを介して、駆動輪WR,WLに伝達される。
電池管理装置60には、独立した外部電源70が接続されている。外部電源70は、例えば、車載アクセサリに電力を供給する定格12Vの鉛蓄電池である。また、電池管理装置60には、運転者などの操作入力に応答して車両全体の管理を行う電気制御装置71も接続されている。
図2は、本実施形態にかかる組電池監視回路(VTM:Voltage Temperature Monitoring)の機能ブロックを示す図である。図1および図2に示すように、組電池モジュール101(1)は、組電池11と、組電池監視回路(VTM)21と、を有する。組電池モジュール101(2)は、組電池12と、組電池監視回路22と、を有する。組電池モジュール101(3)は、組電池13と、組電池監視回路23と、を有する。組電池モジュール101(4)は、組電池14と、組電池監視回路24と、を有する。なお、以下の説明では、主として、組電池モジュール101(1)の機能ブロックについて説明するが、組電池モジュール101(2)〜101(4)の機能ブロックも同様の構成となっている。
組電池監視回路21は、大別すると、第1電源部213、第2電源部214、切換部217、および被駆動部218を備えている。なお、最も低電位側に接続される組電池モジュール101(1)と異なり、組電池モジュール101(2)〜101(4)は、組電池監視回路22〜24が、第2電源部214および切換部217を有していない。
第1電源部213は、組電池11の電力を第1駆動電力として供給する。本実施形態では、第1電源部213は、組電池11が有する二次電池セル11(1)〜11(x)のうち高電位側に接続された二次電池セル11(x)の正極端子および低電位側に接続された二次電池セル11(1)の負極端子に接続され、組電池11の電圧(以下、電池電圧VPとする)の電力を第1駆動電力として被駆動部218に供給する。
また、本実施形態では、第1電源部213は、組電池11が有する二次電池セル11(1)〜11(x)の二次電池セル毎の電圧(以下、セル電圧とする)を検出する。言い換えると、第1電源部213は、組電池11が有する二次電池セル11(1)〜11(x)それぞれの端子間の電圧をセル電圧として検出する。そして、第1電源部213は、検出した全てのセル電圧を表す第1電圧信号を、第1絶縁通信IC604a(図4参照)を介して電池管理装置60に入力する。
さらに、本実施形態では、第1電源部213は、組電池11が有する二次電池セル11(1)〜11(x)の二次電池セル毎または複数の二次電池セルの近傍の温度を検出する温度検出部(図示しない)を有している。そして、第1電源部213は、検出した全ての温度を表す温度信号を、第1絶縁通信IC604a(図4参照)を介して電池管理装置60に入力する。
また、本実施形態では、第1電源部213は、組電池11が有する二次電池セル11(1)〜(x)に蓄えられた電力の電圧を均等化するための均等化処理部(図示しない)を有している。二次電池装置では、二次電池セルの充放電や温度のばらつきなどにより、組み合わされた二次電池セル間の電圧が不均等となってくることが知られている。二次電池セル間の電圧が不均等になることにより、二次電池装置としての機能を最大に発揮できるような効率の良い充放電を行うことができなくなってくる。
均等化処理せずに蓄えられた電力の電圧が高い二次電池セルが存在する状態で充電を行うと、蓄えられた電力の電圧が低い二次電池セルが満充電状態にならないまま、蓄えられた電力の電圧が高い二次電池セルが早く満充電状態となり、全体充電が完了することがある。そこで、充電を行うに際して、第1電源部213により、二次電池セル間の電圧を均等化処理する必要がある。
また、本実施形態では、第1電源部213は、組電池モジュール101(1)の異常を通知する信号であって、予め設定された基本周波数でハイレベルまたはロウレベルに切り換わる脈動信号(矩形波信号)を出力する診断用回路(図示しない)を有している。
第2電源部214は、組電池モジュール101(2)〜101(4)(他の組電池モジュール)の組電池12〜14および組電池11の電力を第2駆動電力として供給する。本実施形態では、第2電源部214は、組電池14が有する二次電池セル14(1)〜14(x)のうち高電位側に接続された二次電池セル14(x)の正極端子、および組電池11が有する二次電池セル11(1)〜11(x)のうち低電位側に接続された二次電池セル11(1)の負極端子に接続され、組電池11の電池電圧VPと組電池12〜14の電池電圧とを合計した電圧(以下、合計電圧VTとする)の電力を第2駆動電力として被駆動部218に供給する。
切換部217は、組電池モジュール101(2)〜101(4)の組電池12〜14と組電池モジュール101(1)の組電池11とが電気的に直列接続されるまでは、第1駆動電力を被駆動部218に供給し、組電池モジュール101(2)〜101(4)の組電池12〜14と組電池モジュール101(1)の組電池11とが電気的に直列接続され全ての組電池11〜14の二次電池セルが直列に接続された後は、第2駆動電力を被駆動部218に供給する。
本実施形態では、切換部217は、電池管理装置60が起動してスイッチ装置33(メインスイッチSWM)がオンされて組電池11〜14が電気的に接続されるまでは、第1駆動電力を被駆動部218に供給し、組電池11〜14が電気的に接続されてスイッチ装置33がオンされた後は、第2駆動電力を被駆動部218に供給する。
また、本実施形態では、切換部217は、電池管理装置60が起動してスイッチ装置33(メインスイッチSWM)がオンされて組電池11〜14が電気的に接続されるまでは、被駆動部218に加えて、第1絶縁通信IC604a(図4参照)および第2絶縁通信IC604b(図4参照)にも第1駆動電力を供給し、スイッチ装置33がオンされて組電池11〜14が電気的に接続された後は、第1駆動電力に代えて、被駆動部218、第1絶縁通信IC604a(図4参照)、および第2絶縁通信IC604b(図4参照)に第2駆動電力を供給する。よって、本実施形態では、第1絶縁通信IC604a(図4参照)および第2絶縁通信IC604b(図4参照)も、第1駆動電力または第2駆動電力により駆動する被駆動部として機能する。
被駆動部218は、第1電源部213から供給された第1駆動電力または第2電源部214から供給された第2駆動電力により駆動する。本実施形態では、被駆動部218は、コネクタ51を介して電池管理装置60と接続された第1通信部211と、組電池監視回路22の第1通信部211と接続された第2通信部212と、を有している。また、組電池監視回路22の被駆動部218は、コネクタ51を介して電池管理装置60と接続されかつ組電池監視回路21の第2通信部212と接続された第1通信部211と、組電池監視回路23の第1通信部211と接続された第2通信部212と、を有している。また、組電池監視回路23の被駆動部218は、コネクタ51を介して電池管理装置60と接続されかつ組電池監視回路22の第2通信部212と接続された第1通信部211と、組電池監視回路24の第1通信部211と接続された第2通信部212と、を有している。また、組電池監視回路24の被駆動部218は、コネクタ51を介して電池管理装置60と接続されかつ組電池監視回路23の第2通信部212と接続された第1通信部211と、組電池監視回路24よりも高電位側に接続された組電池監視回路がある場合に当該組電池監視回路に接続された第2通信部212と、を有している。
なお、組電池監視回路21,22間の第1通信部211と第2通信部212とを接続し、かつ組電池監視回路23,24間の第1通信部211と第2通信部212とを接続することにより、組電池監視回路21,23の第1通信部211が、コネクタ51を介して電池管理装置60に接続されるようにしても良い。この場合、組電池監視回路21,22は互いの第1通信部211および第2通信部212を介して接続され双方向通信が可能であり、また組電池監視回路23,24も互いの第1通信部211および第2通信部212を介して接続され双方向通信が可能である。
より具体的には、組電池監視回路21,22を接続する場合、組電池監視回路21の第1通信部211の情報入力出力端子は、コネクタ51を介して電池管理装置60に接続される。組電池監視回路21の第2通信部212の情報入力出力端子は、組電池監視回路22の第1通信部211の情報入力出力端子に接続される。
また、組電池監視回路23,24を接続する場合、組電池監視回路23の第1通信部211の情報入力出力端子は、コネクタ51を介して電池管理装置60に接続される。組電池監視回路23の第2通信部212の情報入力出力端子は、組電池監視回路24の第1通信部211の情報入力出力端子に接続される。
また、被駆動部218は、電圧検出部215、および電流検出部216を備えている。なお、最も低電位側に接続される組電池モジュール101(1)と異なり、組電池モジュール101(2)〜101(4)は、被駆動部218が電圧検出部215および電流検出部216を有していない。電圧検出部215は、組電池11の電池電圧VPと、組電池12〜14の電圧と、を合計した合計電圧VTを検出する。そして、電圧検出部215は、検出した合計電圧VTを表す第2電圧信号を、第2絶縁通信IC604b(図4参照)を介して電池管理装置60に送信する。
電流検出部216は、組電池11〜14に流れる電流を検出する。そして、電流検出部216は、検出された電流を表す電流信号を、第2絶縁通信IC604b(図4参照)を介して電池管理装置60に送信する。
図3は、本実施形態にかかる電池管理装置の全体ブロックを示す図である。図3に示すように、電池管理装置60は、コネクタ51を介して組電池監視回路21〜24の第1通信部211と接続されたインタフェース回路604と、組電池監視回路21〜24の第1電源部213から送信された脈動信号および後述する制御回路CTRから送信されたアラート信号を受信しかつ組電池モジュール101(1)〜101(4)および電池管理装置60における異常を表すアラート信号を出力するアラートシグナルプロセッサ605と、外部電源70から電源電圧の電力が供給される電源供給管理部606と、スイッチ駆動回路608と、メモリ607と、二次電池装置の動作を制御する制御回路(MPU:Micro Processing Unit)CTRと、を備えている。
メモリ607は、例えばEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)である。メモリ607は、制御回路CTRの動作を規定するプログラムが記録されている。
組電池監視回路21からインタフェース回路604には、第1電源部213から入力された第1電圧信号、電圧検出部215から入力された第2電圧信号、第1電源部213から入力された温度信号、電流検出部216から入力された電流信号、第1電源部213から入力された脈動信号等が、コネクタ51を介して供給される。
一方、組電池監視回路22からインタフェース回路604には、第1電源部213から入力された第1電圧信号、温度信号、および脈動信号等が、コネクタ51を介して供給される。組電池監視回路23,24からインタフェース回路604にも、組電池監視回路22からインタフェース回路604に供給される信号と同様の信号が供給される。
インタフェース回路604から組電池監視回路21には、制御回路CTRから送信された各種信号(例えば、ロジック信号など)がコネクタ51を介して入力される。インタフェース回路604から組電池監視回路22〜24にも、インタフェース回路604から組電池監視回路21に入力される信号と同様の各種信号がコネクタ51を介して入力される。
インタフェース回路604は、組電池監視回路21から入力された第1電圧信号、第2電圧信号、温度信号、電流信号等を双方向シリアル通信により制御回路CTRに供給し、組電池監視回路21から入力された脈動信号をアラートシグナルプロセッサ605に供給する。一方、コネクタ51を介して組電池監視回路22〜24と接続されたインタフェース回路604は、組電池監視回路22〜24から入力された第1電圧信号、温度信号等を双方向シリアル通信により制御回路CTRに供給し、組電池監視回路22〜24から入力された脈動信号をアラートシグナルプロセッサ605に供給する。
アラートシグナルプロセッサ605は、インタフェース回路604から供給された脈動信号および制御回路CTRから供給されたアラート信号が正常か異常かを判断する。脈動信号または制御回路CTRから供給されたアラート信号が正常である場合には、アラートシグナルプロセッサ605は、予め設定された周波数でハイレベルまたはロウレベルに切り換わるアラート信号を出力する。脈動信号または制御回路CTRから供給されたアラート信号がハイレベルに切り換わったままである場合には、アラートシグナルプロセッサ605は、例えば、正常時のロウレベルのアラート信号をハイレベルのアラート信号として出力する。
アラートシグナルプロセッサ605から出力されたアラート信号は、制御回路CTR、スイッチ駆動回路608、およびコネクタCN2を介して接続された電気制御装置71に供給される。
スイッチ駆動回路608は、制御回路CTRの制御により、スイッチ装置33のプリチャージスイッチSWPの動作を制御する信号S1と、メインスイッチSWMの動作を制御する信号S2とを出力する。
信号S1,S2は、コネクタCN1を介してスイッチ装置33(図1参照)に供給される。プリチャージスイッチSWPおよびメインスイッチSWMは、信号S1,S2によってオンまたはオフするリレー回路である。
例えば、脈動信号が異常である場合には、制御回路CTRは、供給されたアラート信号により対応する組電池監視回路に異常があると判断し、スイッチ駆動回路608を制御して、プリチャージスイッチSWPおよびメインスイッチSWMをオフさせる。
電源供給管理部606は、アラートシグナルプロセッサ605、メモリ607、および制御回路CTRに電力を供給する。電源供給管理部606は、制御回路CTRへの電力の供給をオンまたはオフする切替回路606Sと、当該切替回路606Sに対して起動を指示するウェイクアップ信号を切替回路606Sに出力するタイマTMと、を備えている。
タイマTMには、外部電源70により印加された12Vの電源電圧がタイマTMの前段に配置されたDC/DC変換回路CAにより5Vの直流電圧に変換されて印加される。そして、タイマTMは、印加された5Vの直流電圧の電力により駆動して、切替回路606Sにウェイクアップ信号を出力する。切替回路606Sには、スタート信号STA、外部充電器信号CHG、および制御回路CTRからの切替制御信号、タイマTMからのウェイクアップ信号、および外部電源70からの電力が供給されている。
なお、タイマTMからのウェイクアップ信号は、設定された時間毎にハイレベルとなる信号である。ウェイクアップ信号がハイレベルとなるタイミングは制御回路CTRによって設定される。
ところで、電池管理装置60には、コネクタCN1を介して、電源電圧、スタート信号STA、および外部充電器信号CHGが、外部電源70、モータ45の駆動を指示するスタートボタン(図示しない)が押下されたことを検知するスタート検知部(図示しない)、および外部充電器(図示しない)から供給されている。また、電池管理装置60は、コネクタCN2を介して、電気制御装置71との間で信号の送信および受信を行っている。
スタート信号STAは、スタート検知部(図示しない)によりスタートボタン(図示しない)が押下されたことが検知されるとハイレベルとなり、再度スタートボタン(図示しない)が押下されたことが検知されるとロウレベルとなる信号である。外部充電器信号CHGは、外部充電器が二次電池装置に接続されたらハイレベルとなり、接続が解除されたらロウレベルとなる信号である。ウェイクアップ信号、スタート信号STA、および外部充電器信号CHGは、制御回路CTRにも供給されている。
なお、二次電池装置が車両以外の機器に搭載される場合には、スタート信号STAは、二次電池装置が搭載された機器の電源オン操作が成された場合にハイレベルとなり、電源オフ操作が成された場合にはロウレベルとなる信号となる。
スタート信号STA、外部充電器信号CHG、およびウェイクアップ信号のうち少なくとも1つがハイレベルとなることにより、切替回路606Sは、外部電源70から印加された12Vの電源電圧を内部のDC/DC変換回路によって5Vの直流電圧に変換して、アラートシグナルプロセッサ605および制御回路CTRに印加する。
制御回路CTRには、タイマTMからウェイクアップ信号が供給され、コネクタCN1を介してスタート信号STA、および外部充電器信号CHGが供給される。そのため、制御回路CTRは、切替回路606Sにより5Vの直流電圧が印加された場合に、供給された信号のうちいずれの信号がハイレベルになったかを検出することにより、いずれの信号がハイレベルになったことにより切替回路606Sがオンされたかを検出することができる。いずれの信号により電力が供給されたかを検出できたら、制御回路CTRは、切替制御信号をハイレベルにし、切替回路606Sから電力が供給されている状態を維持させる。
また、制御回路CTRは、ウェイクアップ信号、スタート信号STA、および外部充電器信号CHGを監視し、全ての信号がロウレベルになると、切替制御信号をロウレベルにし、切替回路606Sをオフさせる。したがって、制御回路CTR、およびアラートシグナルプロセッサ605への電力の供給が停止される。
また、制御回路CTRは、エネルギー偏差算出部601および放電時間換算部603を備える。エネルギー偏差算出部601は、第1電源部213から入力された第1電圧信号および電流検出部216から入力された電流信号を、インタフェース回路604を介して取り込む。
放電時間換算部603は、取り込まれた第1電圧信号が表すセル電圧が予め定めた特定電圧に到達するまでの到達時間と、取り込まれた電流信号が表す電流値とから二次電池セル間の容量差を算出し、算出した容量差および到達時間から、二次電池セルの残り容量を同じにするため(すなわち、第1電源部213(均等化処理部)により均等化処理を行うため)の各二次電池セルの放電時間を算出する。
さらに、制御回路CTRは、組電池監視回路21〜24に動作を継続させるためのロジック信号をインタフェース回路604に供給する。
図4は、本実施形態にかかるインタフェース回路および組電池モジュールの構成例を示す図である。なお、図4には、コネクタ51を介して接続された組電池モジュール101(1)およびインタフェース回路604を示しているが、コネクタ51を介して接続された組電池モジュール101(2)〜101(4)およびインタフェース回路604も同様の構成を有している。ただし、組電池モジュール101(2)〜101(4)は、上述したように、第2電源部214、切換部217、電圧検出部215、および電流検出部216を有していない点において、組電池モジュール101(1)とは異なる。
まず、組電池モジュール101(1)の構成について説明する。図4に示すように、組電池モジュール101(1)は、組電池11が有する二次電池セル11(1)〜11(x)のうち高電位側に接続された二次電池セル11(x)の正極端子、および組電池11が有する二次電池セル11(1)〜11(x)のうち低電位側に接続された二次電池セル(1)の負極端子に接続されて組電池11の電池電圧VPが印加される第1電源部213を備えている。
第1電源部213は、組電池11の電池電圧VPの電力により駆動されて、組電池11の電力を第1駆動電力として供給する。本実施形態では、第1電源部213は、被駆動部218に第1駆動電力を供給するとともに、コネクタ51を介して第1絶縁通信IC604aおよび第2絶縁通信IC604bに第1駆動電力を供給する。
本実施形態では、第1電源部213は、AFE−IC(Analog Front End Integrated Circuit)等として構成され、二次電池セル11(1)〜11(x)毎のセル電圧を検出し、検出した全てのセル電圧を表すアナログ信号をアンプ(図示しない)で増幅し、AD変換器(図示しない)を介してデジタル信号(第1電圧信号)に変換して第1絶縁通信IC604aに出力する。
また、第1電源部213は、二次電池セル11(1)〜11(x)の二次電池セル毎または複数の二次電池セルの近傍の温度を検出し、検出した全ての温度を表すアナログ信号をアンプ(図示しない)で増幅し、AD変換器(図示しない)を介してデジタル信号(温度信号)に変換して第1絶縁通信IC604aに出力する。さらに、第1電源部213は、予め設定された基本周波数でハイレベルまたはロウレベルに切り換わる脈動信号を第1絶縁通信IC604aに出力する。
また、組電池モジュール101(1)は、組電池モジュール101(2)〜101(4)(他の組電池モジュール)の組電池12〜14および組電池11の電力を第2駆動電力として供給する第2電源部214を備えている。本実施形態では、第2電源部214は、組電池14が有する二次電池セル14(1)〜14(x)のうち高電位側に接続された二次電池セル14(x)の正極端子、および組電池11が有する二次電池セル11(1)〜11(x)のうち低電位側に接続された二次電池セル11(1)の負極端子に接続されている。そして、本実施形態では、第2電源部214には、組電池11の電池電圧VPと組電池12〜14の電圧とを合計した合計電圧VTの電力が供給され、組電池11の電池電圧VPより高い所定電圧に調整して、第2駆動電力として供給するレギュレータを用いる。
そして、本実施形態では、第2電源部214は、組電池11および組電池12〜14の電圧の電力を第2駆動電力として被駆動部218に供給するとともに、コネクタ51を介して第1絶縁通信IC604aおよび第2絶縁通信IC604bに第2駆動電力を供給する。
分圧抵抗R1〜R4は、組電池モジュール101(4)が有する組電池14の二次電池セル14(1)〜14(x)のうち高電位側に接続された二次電池セル14(x)の正極端子と、組電池モジュール101(1)が有する組電池11の二次電池セル11(1)〜11(x)のうち低電位側に接続された二次電池セル11(1)の負極端子と、の間に接続されている。
電圧検出部215は、組電池11の電池電圧VPと、組電池12〜14の電圧と、を合計した合計電圧VTを検出する。本実施形態では、電圧検出部215は、オペアンプ215aおよびAD変換器215bを備えている、オペアンプ215aは、スイッチ装置33がオンした場合に組電池モジュール101(4)が有する組電池14の二次電池セル14(1)〜14(x)のうち高電位側に接続された二次電池セル14(x)の正極端子側に、正の端子が接続される。また、オペアンプ215aは、組電池モジュール101(1)が有する組電池11の二次電池セル11(1)〜11(x)のうち低電位側に接続された二次電池セル11(1)の負極端子側に、負の端子が接続されている。そして、オペアンプ215aの正の端子および負の端子には、分圧抵抗R4の両端の電圧が印加される。
AD変換器215bは、オペアンプ215aに印加された電圧をデジタル信号に変換した信号を第2電圧信号として、コネクタ51を介して第2絶縁通信IC604bに出力する。
電流検出部216は、組電池11〜14に流れる電流を検出して、検出した電流を表す電流信号を第2絶縁通信IC604bに出力する。本実施形態では、電流検出部216は、組電池モジュール101(1)の組電池11が有する二次電池セル11(1)〜11(x)のうち低電位側に接続された二次電池セル11(1)の負極端子、および当該負極端子側に一端が接続された電流検出抵抗R5の他端に接続されて、直流検出抵抗R5の両端電圧に基づいて組電池11〜14に流れる電流を検出する。そして、電流検出部216は、検出した電流を表すアナログ信号を、AD変換器(図示しない)によってデジタル信号に変換して電流信号として第2絶縁通信IC604bに出力する。
切換部217は、全ての組電池モジュール101(1)〜101(4)の組電池11〜14が電気的に直列接続されるまでは、第1駆動電力を被駆動部(被駆動部218、第1絶縁通信IC604a、第2絶縁通信IC604b)に供給する。一方、切換部217は、全ての組電池モジュール101(1)〜101(4)の組電池11〜14が電気的に直列接続された後は、第2電源部214からの第2駆動電力を被駆動部(被駆動部218、第1絶縁通信IC604a、第2絶縁通信IC604b)に供給する。
切換部217は、第1電源部213からの第1駆動電力および第2電源部214からの第2駆動電力のうち高い電圧を有する電力を、被駆動部(被駆動部218、第1絶縁通信IC604a、第2絶縁通信IC604b)に供給する。具体的には、本実施形態では、切換部217は、第1電源部213にアノード端子が接続された第1ダイオード217aと、当該第1ダイオード217aのカソード端子にカソード端子が共通接続され第2電源部214にアノード端子が接続された第2ダイオード217bと、を有する。
そして、スイッチ装置33がオフしている場合には、組電池11と組電池12〜14との間に電流が流れず、第2駆動電力を供給できないため、第1駆動電力(つまり、第1電源部213により供給される第1駆動電力の電圧)が高くなる。そのため、第1駆動電力の電流が第1ダイオード217aに流れ込み、切換部217を介して、第1電源部213により供給された第1駆動電力が、被駆動部218、第1絶縁通信IC604a、および第2絶縁通信IC604bに供給される。
一方、スイッチ装置33がオンした場合には、組電池11と組電池12〜14との間に電流が流れ、第1駆動電力の電圧よりも、第2駆動電力の電圧(つまり、第2電源部214により所定電圧の調整された電圧)の方が高くなる。そのため、第1駆動電力の電流は、第1ダイオード217aに流れ込むことができず、切換部217を介して、第2電源部214により供給された第2駆動電力が、被駆動部218、第1絶縁通信IC604a、および第2絶縁通信IC604bに供給される。
スイッチ装置33がオンして第2駆動電力の供給が開始された後(つまり、電池管理装置60の起動時以外)は、第1電源部213からの第1駆動電力の供給が行われなくなり、組電池11の電力だけが消費されることを防止して、組電池11〜14間における消費電力の差を低減することができる。
なお、本実施形態では、第1電源部213に第1ダイオード217aが接続されているため、第1ダイオード217aから供給される第1駆動電力の電池電圧VPより高い電圧(つまり、第2電源部214により所定電圧に調整された電圧)の第2駆動電力が第2ダイオード217bから供給されたとしても、第2ダイオード217bからの第2駆動電力が第1電源部213に供給されることを防止することができる。
また、本実施形態では、第1電源部213から供給される第1駆動電力および第2電源部214から供給される第2駆動電力のうち、高い電圧を有する方を供給するOR回路を切換部217として用いているが、これに限定するものではない。例えば、切換部217は、電圧検出部215から出力された第2電圧信号または電流検出部216から出力された電流信号を取得し、取得した第2電圧信号が表す電圧または取得した電流信号が表す電流値に従って、組電池11と組電池12〜14との間に電流が流れているか否か(つまり、スイッチ装置33がオンしたか否か)を判断する。そして、切換部217は、スイッチ装置33がオンしたと判断した場合に、第1電源部213による第1駆動電力の電力を停止するように構成しても良い。
なお、本実施形態では、直列接続された複数の組電池モジュール101(1)〜101(4)のうち低電位側に接続された組電池モジュール101(1)の組電池監視回路21に、第2電源部214および切換部217を設けたが、直列接続された複数の組電池モジュール101(1)〜101(4)のうち2以上の組電池モジュールの組電池監視回路に、第2電源部214および切換部217を設けても良い。
次に、インタフェース回路604の構成について説明する。組電池監視回路21〜24と電池管理装置60とでは、基準電位が異なるため(組電池監視回路21〜24側の基準電位が、電池管理装置60側の基準電位よりも高いため)、組電池監視回路21〜24と、電池管理装置60とは、電気的に絶縁された通信経路を介して通信を行う。なお、以下の説明では、コネクタ51を介して組電池監視回路21と接続されたインタフェース回路604について説明するが、コネクタ51を介して組電池監視回路22〜24と接続されたインタフェース回路604も同様の構成を有しているものとする。
ただし、コネクタ51を介して組電池監視回路22〜24と接続されたインタフェース回路604は、組電池監視回路22〜24が備える電圧検出部215および電流検出部216から出力された第2電圧信号および電流信号を制御回路CTRに送信する必要がないため、後述する第2絶縁通信IC604bを有していない。
切換部217によって供給された第1駆動電力または第2駆動電力がコネクタ51を介してインタフェース回路604に供給されると、供給された電力(第1駆動電力または第2駆動電力)は、第1絶縁通信IC604aおよび第2絶縁通信IC604bに供給される。これにより、第1絶縁通信IC604aおよび第2絶縁通信IC604bは、外部電源70から電池管理装置60への電圧の供給が停止されて電池管理装置60が停止状態にある場合であっても、切換部217から供給された第1駆動電力または第2駆動電力によって動作状態を維持することができる。
第1絶縁通信IC604aは、電気的に絶縁された通信経路を介して、電池管理装置60と通信する絶縁通信部である。本実施形態では、第1絶縁通信IC604aは、コネクタ51を介して、第1電源部213から出力された信号(第1電圧信号、温度信号、脈動信号など)を、電気的に絶縁された通信経路を介して電池管理装置60に送信する。また、第1絶縁通信IC604aは、制御回路CTRから出力されたロジック信号を、電気的に絶縁された通信経路を介して受信する。そして、第1絶縁通信IC604aは、コネクタ51を介して、受信したロジック信号を第1電源部213に出力する。
具体的には、本実施形態では、第1絶縁通信IC604aには、トランス回路を用いるものとする。そして、第1絶縁通信IC604aには、コネクタ51を介して、第1電圧信号、温度信号、脈動信号が入力され、トランス回路が有するコイルに電流が流れることにより、制御回路CTRに第1電圧信号および温度信号を送信し、アラートシグナルプロセッサ605に脈動信号を送信する。また、第1絶縁通信IC604aは、制御回路CTRからロジック信号が入力され、トランス回路が有するコイルに電流が流れることにより、ロジック信号を受信する。
なお、本実施形態では、第1絶縁通信IC604aは、トランス回路を用いることにより、第1電圧信号、温度信号、および脈動信号を制御回路CTRに送信、制御回路CTRからロジック信号を受信しているが、電気的に絶縁された通信経路を介して、当該信号を送信するものであれば、これに限定するものではない。例えば、第1絶縁通信IC604aは、フォトカプラなどを用いて、光により信号を送信する素子を用いて、電池管理装置60と電気的に絶縁された状態で信号を送信または受信しても良い。
第2絶縁通信IC604bは、電気的に絶縁された通信経路を介して、電池管理装置60と通信する絶縁通信部である。本実施形態では、第2絶縁通信IC604bは、コネクタ51を介して、電圧検出部215から入力された第2電圧信号および電流検出部216から入力された電流信号を、電気的に絶縁された通信経路を介して制御回路CTRに送信する。具体的には、本実施形態では、第2絶縁通信IC604bには、トランス回路を用いるものとする。そして、第2絶縁通信IC604bには、コネクタ51を介して、第2電圧信号または電流信号が入力され、トランス回路に電流が流れることにより、制御回路CTRに第2電圧信号または電流信号を送信する。
なお、本実施形態では、第2絶縁通信IC604bは、トランス回路を用いることにより、第2電圧信号および電流信号を制御回路CTRに送信しているが、電気的に絶縁された通信経路を介して、当該信号を送信するものであれば、これに限定するものではない。例えば、第2絶縁通信IC604bは、フォトカプラなど、光により信号を送信する素子を用いることにより、電池管理装置60と電気的に絶縁された状態で信号を送信しても良い。
なお、本実施形態では、組電池モジュール101(1)〜101(4)のうち低電位側に接続された組電池モジュール101(1)とコネクタ51を介して接続されたインタフェース回路604に第2絶縁通信IC604bを設けているが、第2電源部214、切換部217、電圧検出部215、および電流検出部216を備えた組電池監視回路21を有する組電池モジュールと接続されたインタフェース回路604に第2絶縁通信IC604bが設けられていれば、これに限定するものではない。
このように本実施形態にかかる組電池モジュール101(1)および二次電池装置(組電池装置)によれば、組電池モジュール101(2)〜101(4)の組電池12〜14と組電池モジュール101(1)の組電池11とが電気的に直列接続されるまでは、第1駆動電力を被駆動部に供給し、組電池モジュール101(2)〜101(4)の組電池12〜14と組電池モジュール101(1)の組電池11とが電気的に直列接続された後は、第2駆動電力を被駆動部に供給することにより、電池管理装置60が起動してスイッチ装置33がオンした後は、組電池モジュール101の組電池11および組電池モジュール101(2)〜101(4)の第2駆動電力により被駆動部を駆動させることができるので、直列接続された複数の組電池モジュール101(1)〜101(4)のうち特定の組電池モジュール101(1)の組電池11の消費電力だけが大きくなることを防止できる。また、従来のように、電気的に絶縁された経路を介して電池管理装置60から電力の供給を受けるサブ電源からの電力を用いて、被駆動部を駆動させる必要がなくなるので、外部電源70の消費電力を削減することができる。
特に、本実施形態にかかる組電池装置を電動バイクに適用した場合、スタートボタンが押下された直後にスイッチ装置33がオンされるので、電池管理装置60が起動してスイッチ装置33がオンするまでの間に、組電池モジュール101(1)の組電池11の電力が、被駆動部に供給される時間は短いため、組電池モジュール101(1)〜101(4)の組電池11〜14間の消費電力のバランスが崩れる可能性を低くすることができる。
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。