以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。本実施例では、遊技機の一例として弾球遊技機の一種であるパチンコ機、特に、第1種パチンコ遊技機を用いて説明する。なお、本発明を第3種パチンコ遊技機や、コイン遊技機、スロットマシン等の他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
図1は、本実施例のパチンコ機Pの遊技盤の正面図である。遊技盤1の周囲には、打球が入賞することにより5個から15個の球が払い出される複数の入賞口2が設けられている。また、遊技盤1の中央には、複数種類の識別情報としての図柄などを表示する液晶(LCD)ディスプレイ3が設けられている。このLCDディスプレイ3の表示画面は横方向に3分割されており、3分割された各表示領域において、それぞれ右から左へ横方向にスクロールしながら図柄の変動表示が行われる。
LCDディスプレイ3の下方には、図柄作動口(第1種始動口)4が設けられ、打球がこの図柄作動口4を通過することにより、前記したLCDディスプレイ3の変動表示が開始される。図柄作動口4の下方には、特定入賞口(大入賞口)5が設けられている。この特定入賞口5は、LCDディスプレイ3の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、大当たりとなって、打球が入賞しやすいように所定時間(例えば、30秒経過するまで、あるいは、打球が10個入賞するまで)開放される。
この特定入賞口5内には、Vゾーン5aが設けられており、特定入賞口5の開放中に、打球がVゾーン5a内を通過すると、継続権が成立して、特定入賞口5の閉鎖後、再度、その特定入賞口5が所定時間(又は、特定入賞口5に打球が所定個数入賞するまで)開放される。この特定入賞口5の開閉動作は、最高で16回(16ラウンド)繰り返し可能にされており、開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる所定の遊技価値の付与された状態(特別遊技状態)である。
また、遊技盤1およびその周辺の各所には、複数のランプ7が配設されている。これらのランプ7は遊技の内容に応じて点灯又は消灯して、遊技の興趣を盛り上げると共に、遊技の進行状況を遊技者に表示する。
図2は、パチンコ機Pの電気的な構成を概略的に示したブロック図である。図2に示すように、パチンコ機Pは、停電監視回路20を有すると共に、主制御基板Cに、複数の制御基板H,D,S,Lが接続されて構成されている。主制御基板Cは、遊技内容の制御を行うためのものであり、この主制御基板Cに接続された各種スイッチSWから出力される信号と、主制御基板C内に設けられるカウンタ値などとに基づいて、各制御基板H,D,S,Lへ制御コマンドを送信して遊技の制御を行っている。
主制御基板Cには、ワンチップマイコンとしてのMPU11が搭載されている。MPU11は、演算装置としてのCPUと、制御プログラムを記憶するROMと、制御プログラムの実行時に各種のデータを書き替え可能に記憶するRAM12と、タイマ割り込み回路と、フリーランニングカウンタと、ウォッチドッグタイマと、チップセレクトロジックなどとの各種の回路をワンチップに内蔵したものであり、これらの回路の他に、パチンコ機Pの遊技の制御(大当たりの有無を決定する制御)に使用される乱数を発生するための乱数発生回路や、このMPU11に固有の識別番号(ID番号)を記憶してその識別番号を所定の操作により出力するID出力回路を有している。
MPU11には、電源断時においてもバックアップ電圧が供給されている。よって、停電などの発生によって電源がオフされても、MPU11のRAM12のデータは保持(バックアップ)される。RAM12には、賞球の払い出し残数が記憶されるので、停電時においても賞球の払い出し残数を記憶し続けて、停電の解消後に残りの賞球の払い出しを行うことができる。なお、本実施例のRAM12は、その全データがバックアップされており、前記した賞球の払い出し残数以外のデータもバックアップされる。しかし、必ずしもRAM12の全データをバックアップする必要はなく、全データのバックアップに代えて、RAM12の一部分のデータのみをバックアップするように構成しても良い。
払出制御基板Hは、各種スイッチSWから出力される信号や主制御基板Cから送信される制御コマンドに基づいて、賞球や貸し球の払出制御を行うものであり、主制御基板Cの他に、遊技盤1内の遊技領域へ球を発射するための発射モータ10を制御する発射制御基板Bと、賞球や貸し球を払い出すための払出モータ9とが接続されている。
この払出制御基板HのRAM13には、電源断時においてもバックアップ電圧が供給されている。よって、停電などの発生によって電源がオフされた場合にも、RAM13のデータは保持(バックアップ)される。RAM13には、賞球や貸し球の払い出し残数が記憶されるので、停電時にもこれらを記憶し続けて、停電の解消後に残りの賞球や貸し球を払い出すことができる。なお、本実施例のRAM13は、前記したMPU11のRAM12の場合と同様に、その全データがバックアップされているので、賞球や貸し球の払い出し残数以外のデータもバックアップされる。しかし、必ずしもRAM13の全データをバックアップする必要はなく、全データのバックアップに代えて、RAM13の一部分のデータのみをバックアップするように構成しても良い。
主制御基板Cおよび払出制御基板Hにバックアップされるデータは、パチンコ機Pの裏面側に設けられたクリアスイッチSW1を押下することにより、消去(クリア)することができる。なお、かかるバックアップデータのクリアは、そのクリアが誤って行われないように、クリアスイッチSW1が所定のタイミングで操作された場合に限り行われるようにされている。例えば、クリアスイッチSW1を操作した状態で電源が投入された場合や、クリアスイッチSW1を操作した状態で電源がオフされた場合、クリアスイッチSW1が所定時間内に複数回操作された場合、或いは、クリアスイッチSW1を2以上設け、そのクリアスイッチSW1が所定の順序で若しくは同時に操作された場合に、バックアップデータのクリアを行うようにしている。
表示用制御基板Dは、主制御基板Cから送信される制御コマンドに基づいて、LCDディスプレイ3の変動表示を制御するためのものである。効果音制御基板Sは、主制御基板Cから送信される制御コマンドに基づいて、遊技の進行に合わせた効果音をスピーカ6から出力するためのものであり、ランプ制御基板Lは、主制御基板Cから送信される制御コマンドに基づいて、各ランプ7の点灯及び消灯を制御するためのものである。
これら主制御基板Cと各制御基板H,D,S,Lとの間には、入力及び出力が固定的なバッファ8がそれぞれ接続されている(図2では1つのみ図示している)。よって、主制御基板Cと各制御基板H,D,S,Lとの送受信は、主制御基板Cから各制御基板H,D,S,Lへの一方向にのみ行われ、各制御基板H,D,S,Lから主制御基板Cへ行うことはできない。
停電監視回路20は、電源のオフ時または停電の発生時に、停電信号21を主制御基板Cおよび払出制御基板Hへ出力すると共に、電源のオン時又は停電信号21の出力後の所定条件下においてリセット信号22を各制御基板C,H,D,S,L,Bへ出力するための回路である。主制御基板Cおよび払出制御基板Hは、停電監視回路20から出力される停電信号21を入力すると、それぞれのRAM12,13に記憶されるバックアップデータを適切に保持するために、パチンコ機Pの遊技の制御の終了処理をそれぞれ開始する。後述するように、電源回路30から主制御基板Cおよび払出制御基板Hへ供給される制御系の駆動電圧(5ボルト)は、停電の発生後(又は電源のオフ後)においても、所定時間の間、正常動作範囲の電圧値を保つように構成されている。よって、主制御基板Cおよび払出制御基板Hは、停電信号21の入力後に、遊技の制御の終了処理を開始しても、十分にその終了処理を完了することができるのである。
次に、図3を参照して、このパチンコ機Pの各所への駆動電圧の供給経路について説明する。図3は、パチンコ機Pの電源回路30で生成された駆動電圧が各制御基板C,H,D,S,L,B等へ供給される経路を示した図である。電源回路30は、外部電源40から24ボルトの交流電圧(AC24V)を入力して、32ボルト(+32V)、24ボルト(+24V)、12ボルト(+12V)および5ボルト(+5V)の各直流電圧と、バックアップ用の電圧(VBB)とを生成して、各制御基板C,H,D,S,L,B等へ出力するためのものであり、第1から第4の4つの電源回路31〜34を有している。
第1電源回路31は、外部電源40から出力される24ボルトの交流電圧を入力して33ボルトの直流電圧を生成する33ボルト生成回路31aと、その33ボルト生成回路31aから出力される33ボルトの直流電圧を入力して12ボルトの直流電圧を生成する12ボルト生成回路31bと、その12ボルト生成回路31bから出力される12ボルトの直流電圧を入力して5ボルトの直流電圧を生成する5ボルト生成回路31cと、その5ボルト生成回路31cから出力される5ボルトの直流電圧を入力して略5ボルトのバックアップ用電圧を生成するバックアップ電圧生成回路31dと、前述した停電監視回路20とを備えている。
33ボルト生成回路31aの出力電圧は、12ボルト生成回路31bの他に、停電監視回路20へも出力されている。停電が発生(電源のオフを含む。以下同様)すると、外部電源40からの電力供給が途絶えるので、33ボルト生成回路31aの出力電圧は33ボルトから低下する。停電監視回路20では、この33ボルト生成回路31aの出力電圧が略22ボルト以下になった場合に停電が発生したとして、主制御基板Cおよび払出制御基板Hへ停電信号21を出力する。前述した通り、主制御基板Cおよび払出制御基板Hは、この停電信号21を入力すると、遊技の制御の終了処理を開始する。
また、停電監視回路20へは、5ボルト生成回路31cの出力電圧も供給されている。停電監視回路20では、停電の解消時又は電源のオン時に、33ボルト生成回路31aおよび5ボルト生成回路31cの出力電圧の状態により、各制御基板C,H,D,S,L,Bへリセット信号22を出力する。このリセット信号22の出力によって、各制御基板C,H,D,S,L,Bで遊技の制御が再開(又は開始)される。
第1電源回路31の12ボルト生成回路31bの出力電圧は、主制御基板Cのスイッチ用の駆動電圧として、払出制御基板Hのスイッチ用および払出モータ駆動用の駆動電圧として、更に、発射制御基板Bのタッチセンサ用および発射スイッチ用の駆動電圧として、それぞれ供給される。また、第1電源回路31の5ボルト生成回路31cの出力電圧は、主制御基板C、払出制御基板Hおよび発射制御基板Bのロジック用(制御系)の駆動電圧として供給される。更に、バックアップ電圧生成回路31dの出力電圧は、主制御基板Cおよび払出制御基板Hの各RAM12,13のデータのバックアップ用の電圧として供給される。
第2電源回路32は、外部電源40から出力される24ボルトの交流電圧を入力して33ボルトの直流電圧を生成する33ボルト生成回路32aと、その33ボルト生成回路32aから出力される33ボルトの直流電圧を入力して32ボルトの直流電圧を生成する32ボルト生成回路32bとを備えている。この32ボルト生成回路32bの出力電圧は、主制御基板Cのソレノイド用の駆動電圧として、また、発射制御基板Bのハンドルモータ用の駆動電圧として、それぞれ供給される。
第3電源回路33は、外部電源40から出力される24ボルトの交流電圧を入力して33ボルトの直流電圧を生成する33ボルト生成回路33aと、その33ボルト生成回路33aから出力される33ボルトの直流電圧を入力して12ボルトの直流電圧を生成する12ボルト生成回路33bと、同じく33ボルト生成回路33aから出力される33ボルトの直流電圧を入力して5ボルトの直流電圧を生成する5ボルト生成回路33cとを備えている。
12ボルト生成回路33bの出力電圧は、表示用制御基板DのLCD3のバックライト用の駆動電圧として、効果音制御基板Sのパワーアンプ用の駆動電圧として、更に、ランプ制御基板LのLED用の駆動電圧として、それぞれ供給される。また、5ボルト生成回路33cの出力電圧は、主制御基板Cのサブ制御基板インターフェイス用の駆動電圧として供給されるほか、表示用制御基板D、効果音制御基板Sおよびランプ制御基板Lのロジック用(制御系)の駆動電圧として、それぞれ供給される。
第4電源回路34は、外部電源40から出力される24ボルトの交流電圧を入力して33ボルトの直流電圧を生成する33ボルト生成回路34aと、その33ボルト生成回路34aから出力される33ボルトの直流電圧を入力して24ボルトの直流電圧を生成する24ボルト生成回路34bとを備えている。この24ボルト生成回路34bの出力電圧は、ランプ制御基板Lのランプ用の駆動電圧として供給される。
次に、上述した本実施例のパチンコ機Pにおいて、停電発生時における各所への駆動電圧の供給動作について説明する。停電が発生すると、外部電源40からの電力供給が途絶えるので、まずはじめに、第1〜第4電源回路31〜34の各33ボルト生成回路31a〜34aの出力電圧が低下していく。第1電源回路34では、この低下によって、33ボルト生成回路31aの出力電圧値が33ボルトから略22ボルト以下になると、停電信号21が停電監視回路20から主制御基板Cおよび払出制御基板Hへ出力される。
主制御基板Cおよび払出制御基板Hのロジック用(制御系)駆動電圧を供給する5ボルト生成回路31cは、12ボルト生成回路31bの出力電圧に基づいて5ボルトの出力電圧を生成しているので、33ボルト生成回路31aの出力電圧が略22ボルトに低下しても、正常な5ボルトの電圧を出力している。よって、主制御基板Cおよび払出制御基板Hの制御系は、この時点において正常動作が可能であるので、停電信号21を入力すると、それぞれ遊技の制御の終了処理を開始することができる。
その後、時間の経過に伴って、各生成回路31a〜31c,32a〜32b,33a〜33c,34a〜34bの出力電圧は、大きな電圧を出力するものから順に低下して、ダウンしていく(正常動作範囲の電圧を出力できなくなっていく)。
ここで、遊技の制御の終了処理を実行している主制御基板Cおよび払出制御基板Hの駆動電圧は、第1電源回路31から供給されているが、この第1電源回路31からは、他に発射制御基板Bへ駆動電圧の供給が行われるのみであり、特に、主制御基板Cおよび発射制御基板Bの中でも比較的消費電力の大きなソレノイド用(主制御基板C)やハンドルモータ用(発射制御基板B)の駆動電圧に至っては、第1電源回路31ではなく、第2電源回路32によって供給されている。また、バックライトを含めたLCD3を駆動する表示用制御基板D、パワーアンプを含めたスピーカ6を駆動する効果音制御基板S、及び、ランプ7やLEDを駆動(点灯)するランプ制御基板Lの各駆動電圧は、第3および第4電源回路33,34から供給されている。更に、払出制御基板Hのサブ制御基板インターフェイス用の駆動電圧も、第1電源回路31ではなく、第3電源回路33によって供給されている。
最短でも、停電の発生から主制御基板C及び払出制御基板Hによる遊技の制御の終了処理がそれぞれ完了するまでの間は、第1電源回路31の5ボルト生成回路31cの出力電圧を正常動作範囲の電圧に維持しなければならない。
上述した通り、第1電源回路31は、第2〜第4電源回路32〜34と電気的に独立して構成されており、即ち、駆動電圧の生成元となる33ボルト生成回路31a〜34aが別個に構成されており、かつ、LCD3やモータなどの比較的消費電力の大きな装置への駆動電圧の供給は、第2〜第4電源回路32〜34により行われている。よって、第1電源回路31の容量を大きくしなくても、停電発生時のパチンコ機Pの作動状況と無関係に、第1電源回路31の5ボルト生成回路31cの出力電圧を、停電の発生から主制御基板Cおよび払出制御基板Hによる遊技の制御の終了処理がそれぞれ完了するまでの間、正常動作範囲の電圧に維持することができる。従って、本実施例のパチンコ機Pによれば、第1電源回路31をローコストかつコンパクトに製造することができる。
また、第2〜第4電源回路32〜34は、比較的消費電力の大きな装置へ駆動電圧を供給しなければならないが、これらはデータのバックアップとは何ら無関係な部分へ駆動電圧を供給するものなので、停電の発生後、直ちに出力電圧がダウンしても構わない。よって、第2〜第4電源回路32〜34についても、その容量を大きくする必要がなく、ローコストかつコンパクトに製造することができる。
次に、図4を参照して、電源回路30の第1電源回路31内に設けられる停電監視回路20の詳細を説明する。図4は、停電監視回路20の概略的な機能を示した回路図である。説明を容易にするために、機能の説明に影響しない抵抗やコンデンサ、ダイオードなどの各素子については、その表記を省略している。
停電監視回路20は、電源回路30の、特に第1電源回路31の33ボルト生成回路31aの33ボルト(+33V)の出力電圧を入力する電圧検出器25を有しており、この電圧検出器25の出力端には、シュミットトリガタイプのバッファBF1が接続されている。バッファBF1の出力端は、2入力アンドAD1の一端と、D形フリップフロップFFのD端子とに、それぞれ接続されている。この電圧検出器25は、具体的には、富士通株式会社製のMB3761で構成され、第1電源回路31の33ボルト生成回路31aから出力される33ボルトの電圧を監視して、これが略22ボルト以下に下がった場合に、停電の発生と判断し、その出力をロウからハイに切り替える。この出力の切替によって、後述するように、停電信号21が主制御基板C及び払出制御基板Hへ出力される。
なお、停電の発生時には、遊技の制御の進行を止めて制御の終了処理を実行する必要があるので、この終了処理が完了するまでの間、主制御基板C及び払出制御基板Hへ制御系の駆動電圧を供給する第1電源回路31の5ボルト生成回路31cの出力電圧が正常動作範囲の電圧(略5ボルト)を維持しなければならない。このため本実施例では、かかる終了処理の時間が十分に確保できるように(具体的には9ms以上の時間が確保できるように)、第1電源回路31の33ボルト生成回路31aの出力電圧が略22ボルト以下に下がった時点で停電信号21を出力するように構成している。終了処理の処理時間や5ボルトの出力電圧が維持される時間は機械の種類によって異なる。従って、当然のことながら、本実施例において停電信号21の出力契機とした略22ボルトの電圧値は、機械の種類によって上下する。
また、停電監視回路20は、第1電源回路31の5ボルト生成回路31cの出力電圧を入力するリセットIC26を有しており、このリセットIC26の出力端には、シュミットトリガタイプのバッファBF2が接続されている。バッファBF2の出力端は、2つの2入力アンドAD1,AD3の一端と、2つの単安定マルチバイブレータMM1,MM2のCLR端子とに、それぞれ接続されている。リセットIC26は、5ボルト生成回路31cから制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧が出力された後、所定時間(本実施例では9ms)ロウを出力し、その後、ハイ出力を維持するものである。後述するように、電源のオン時においては、このリセットIC26の出力がリセット信号22として、各制御基板C,H,D,S,L,Bへ出力される。
電圧検出器25とリセットIC26との出力を、バッファBF1,BF2を介して入力するアンドAD1の出力端は、シュミットトリガタイプのインバータIV1,IV2の入力端と、前段の単安定マルチバイブレータMM1のB端子と、フリップフロップFFのCLR端子とに、それぞれ接続されている。インバータIV1,IV2の出力は、停電信号21として、主制御基板C及び払出制御基板Hへそれぞれ出力される。また、単安定マルチバイブレータMM1のQバー端子は、後段の単安定マルチバイブレータMM2のB端子に接続され、そのQバー端子は、フリップフロップFFのCK端子と、2入力のアンドAD2の一端とに接続されている。フリップフロップFFのQバー端子は、2入力のアンドAD2の他端に接続されている。なお、単安定マルチバイブレータMM1,MM2のA端子はいずれもグランドに接続されている。
単安定マルチバイブレータMM1,MM2は、いずれもHC221のICで構成されている。図5にその真理値表を示すように、CLR端子にハイ信号が入力されている状態ではQバー端子から常時ハイ信号を出力しており、その状態でB端子の入力信号がロウからハイへ立ち上がると、Qバー端子の出力を一定時間(本実施例では9ms)ロウとする。即ち、Qバー端子から9msのワンショットのロウパルスが出力される。本実施例では、Qバー端子からのロウパルスの出力時間が9msになり、かつ、図5の真理値表に示す動作をするように、単安定マルチバイブレータMM1,MM2の他の端子を接続している。なお、Qバー端子からワンショットのロウパルスが出力されている間にB端子へ入力される信号が変化しても、その変化は無視されて、Qバー端子の出力パルスに影響を与えない。図5において、表中の「X」マークは、入力信号の状態を問わないことを示している。
また、フリップフロップFFは、HC74のICで構成されている。図6にその真理値表を示すように、CLR端子にロウ信号が入力されている状態ではQバー端子からハイ信号を出力し、CLR端子及びD端子にハイ信号が入力されている状態でCK端子の入力信号がロウからハイへ立ち上がると、Qバー端子の出力をロウとするものである。なお、図6において、表中の「X」マークは、入力信号の状態を問わないことを示している。
後段の単安定マルチバイブレータMM2のQバー端子とフリップフロップFFのQバー端子とに接続されるアンドAD2の出力端は、2入力のアンドAD3の一端に接続されている。前記した通り、このアンドAD3のもう1つの入力端には、バッファBF2を介してリセットIC26の出力信号が入力される。また、このアンドAD3の出力端には、5つのバッファBF3〜BF8が接続されており、これら5つのバッファBF3〜BF8の出力は、リセット信号22として、各制御基板C,H,D,S,L,Bへそれぞれ出力される。
次に、図7から図9を参照して、停電監視回路20の動作、即ち、停電信号21とリセット信号22との出力動作について説明する。図7は、パチンコ機Pの電源がオンされ安定動作した後で、停電が発生した場合(電源がオフされた場合を含む)の停電監視回路20のタイミングチャートである。
まず、電源のオンにより、第1電源回路31の5ボルト生成回路31cの出力電圧が上昇し、正常動作範囲の電圧に達すると(+5V正常)、停電監視回路20の各ICはそれぞれの初期状態の信号を出力する。リセットIC26も動作を開始し、9msの間ロウ信号を出力した後で、ハイ信号を出力する(BF2の出力参照)。この出力は、リセット信号22として、アンドAD3及び各バッファBF3〜BF8を介して、各制御基板C,H,D,S,L,Bへ出力され、このリセット信号22の立ち上がりにより、各制御基板C,H,D,S,L,Bが動作を開始する。即ち、9msのリセット信号22が各制御基板C,H,D,S,L,Bに入力されることにより、パチンコ機Pが動作を開始する。
停電が発生すると(又は電源がオフされると)、まず、33ボルト生成回路31aの出力電圧が徐々に低下を開始する。これが略22V以下に下がると、電圧検出器25の出力がロウからハイとなり、バッファBF1の出力がハイになる。この間、5ボルト生成回路31cの5ボルトの出力電圧は正常値を維持しているので、リセットIC26はハイを出力しており、バッファBF2の出力はハイとなっている。よって、バッファBF1の出力がハイになると、アンドAD1の出力はロウからハイへ立ち上がり、インバータIV1,IV2の出力は、逆にハイからロウへ立ち下がる。これが停電信号21として、データをバックアップ可能に記憶する主制御基板Cおよび払出制御基板Hへ出力される。
また、アンドAD1の出力が立ち上がると、単安定マルチバイブレータMM1のCLR端子にはハイ信号が入力されているので、そのQバー端子から9msの間ロウを維持するワンショットのロウパルスが出力される。この9msのロウパルスの立ち上がりで、更に、後段の単安定マルチバイブレータMM2のQバー端子から9msの間ロウを維持するワンショットのロウパルスが出力され、これによりアンドAD2の一方の入力がロウとなるので、アンドAD2の出力がハイからロウに変化する。その結果、アンドAD3の出力もハイからロウとなり、バッファBF3〜BF8を介して、リセット信号22が各制御基板C,H,D,S,L,Bへ出力される。
このリセット信号22の出力から9msが経過するタイミング、即ち、単安定マルチバイブレータMM2のQバー端子の出力がロウからハイへ立ち上がるタイミングで、停電が継続していればバッファBF1の出力はハイのままである。よって、アンドAD1の出力もハイなので、フリップフロップFFのD端子及びCLR端子にはハイ信号が入力されており、そのCK端子へ入力される単安定マルチバイブレータMM2のQバー端子の出力が立ち上がると、フリップフロップFFのQバー端子の出力はロウとなる。このQバー端子の出力はアンドAD2に入力されるので、停電が継続している間は、単安定マルチバイブレータMM2のQバー端子の出力がロウからハイへ変わっても、アンドAD2の出力はロウを維持し、その結果、リセット信号22は、停電が継続する間ロウを出力し続ける。
このように、停電信号21が出力された後、前段の単安定マルチバイブレータMM1からワンショットのロウパルスが出力される9msの間は、リセット信号22の出力が待機されるので、停電の発生時にその9msの間、停電処理(停電時における遊技の終了処理)を実行することができる。よって、遊技の終了処理を完了した後に遊技の動作を停止させることができるので、停電の解消後には、停電前の状態から遊技を正常に再開することができる。
図8は、停電時間の極めて短い瞬停が発生した場合の停電監視回路20のタイミングチャートである。図8に示すような瞬停の発生時においても、本実施例の停電監視回路20によれば、9msの停電処理(遊技の終了処理)の時間と、9msのリセット信号22の出力時間とを確保することができる。
停電の発生後、後段の単安定マルチバイブレータMM2のQバー端子から9msのワンショットのロウパルスが出力されている間に停電が解消し、33ボルト生成回路31aの出力電圧が22ボルト(+22V)より大きくなると、電圧検出器25の出力はハイからロウへ立ち下がる。その結果、バッファBF1の出力もハイからロウへ立ち下がり、アンドAD1の出力がロウとなる。すると、インバータIV1,IV2の出力は、逆にロウからハイへ立ち上がり、これにより停電信号21の出力が解除される。
アンドAD1の出力はフリップフロップFFのCLR端子へも入力されているので、アンドAD1の出力がロウとなると、フリップフロップFFのQバー端子の出力は、CK端子へ入力される信号に拘わらず常にハイとなる。よって、単安定マルチバイブレータMM2のQバー端子の出力がロウからハイへ立ち上がるタイミングで、アンドAD2の出力はハイとなり、その結果、アンドAD3の出力もハイとなって、バッファBF3〜BF8を介して、各制御基板C,H,D,S,L,Bへ出力されていたリセット信号22が解除される。
ここで、リセット信号22は、後段の単安定マルチバイブレータMM2のQバー端子の出力がロウになることにより出力されるが、かかるQバー端子の出力は9msの間維持されるので、停電が極めて短時間で解消しても、リセット信号22の出力時間を最低9ms確保することができる。よって、瞬停などの発生時においても、各制御基板C,H,D,S,L,Bに確実にリセットをかけることができる。
なお、図3の回路図から明らかなように、前段の単安定マルチバイブレータMM1のQバー端子からワンショットのロウパルスが出力されている間に停電が解消しても、2つの単安定マルチバイブレータMM1,MM2からは、それぞれ9msのワンショットのロウパルスが出力される。よって、上記の場合と同様に、9msの停電処理(遊技の終了処理)の時間と、9msのリセット信号22の出力時間とを確保することができるのである。この場合、停電信号21の出力時間は停電の継続時間に応じて長短するが、主制御基板C及び払出制御基板Hは、停電信号21の立ち下がりで停電処理を開始するように構成しているので、停電信号21の出力時間が短くなっても、停電処理(停電時における遊技の終了処理)を確実に実行することができるのである。
同様に、前段の単安定マルチバイブレータMM1のQバー端子からワンショットのロウパルスが出力されている間に、停電の発生と解消とが繰り返されても、即ち、バッファBF1の出力がハイとロウとで繰り返し変化しても、この単安定マルチバイブレータMM1,MM2がワンショットのロウパルスを出力している間における入力信号の変化は無視されるので、2つの単安定マルチバイブレータMM1,MM2からは、それぞれ9msのワンショットのロウパルスが出力される。よって、上記の場合と同様に、停電の発生と解消とが繰り返されても、9msの停電処理(遊技の終了処理)の時間と、9msのリセット信号22の出力時間とを確保することができるのである。
図9は、停電信号21の出力時間が18ms以上となる場合の停電監視回路20のタイミングチャートである。図9に示すように、本実施例の停電監視回路20によれば、リセット信号22は、停電が継続する間、その出力が維持される。
停電の発生後、後段の単安定マルチバイブレータMM2のQバー端子から9msのワンショットのロウパルスが出力された後、即ち、単安定マルチバイブレータMM2のQバー端子の出力がロウからハイへ立ち上がるタイミングで、停電が継続していればバッファBF1の出力はハイのままである。よって、アンドAD1の出力もハイなので、フリップフロップFFのD端子及びCLR端子にはハイ信号が入力されており、そのCK端子へ入力される単安定マルチバイブレータMM2のQバー端子の出力が立ち上がると、フリップフロップFFのQバー端子の出力はロウとなる。このQバー端子の出力はアンドAD2に入力されるので、停電が継続している間は、単安定マルチバイブレータMM2のQバー端子の出力がロウからハイへ変わっても、アンドAD2の出力はロウを維持し、その結果、リセット信号22は、停電が継続する間ロウを出力し続ける。
その後、33ボルト生成回路31aの出力電圧が22ボルトより大きくなって、停電が解消すると、電圧検出器25の出力がハイからロウへ立ち下がり、その結果、アンドAD1の出力もロウとなる。すると、インバータIV1,IV2の出力は、逆にロウからハイへ立ち上がり、これにより停電信号21の出力が解除される。
また、停電の解消によりバッファBF1の出力がロウとなると、アンドAD1の出力もロウとなり、フリップフロップFFのCLR端子の入力がロウとなるので、フリップフロップFFのQバー端子の出力はハイとなる。前記した通り、このとき既に、後段の単安定マルチバイブレータMM2のQバー端子の出力はハイとなっているので、アンドAD2の出力もハイとなり、アンドAD3の出力も同様にハイとなって、バッファBF3〜BF8を介して、各制御基板C,H,D,S,L,Bへ出力されていたリセット信号22が解除されるのである。
このように、リセット信号22は、9ms出力された場合であっても、停電が継続する場合にはその出力が維持される。よって、停電中における遊技の再開を防止して、停電の解消後に遊技の制御を再開することができるのである。
以上説明したとおり、本実施例のパチンコ機Pによれば、停電が解消した場合には、その停電の解消が制御系の駆動電圧(5ボルト)がダウンする前であっても、停電監視回路20から各制御基板C,H,D,S,L,Bへリセット信号22を出力することができるので、停電により終了した遊技の制御を確実に再開することができる。よって、停電時間の極めて短い瞬停などが発生しても、パチンコ機Pの動作を継続することができる。
次に、図10を参照して、各制御基板C,H,D,S,L,BのMPUのリセット端子RESET回りの回路について説明する。各制御基板C,H,D,S,L,Bには、MPUが正常に動作しているか否かを監視し、MPUが正常に動作していない場合に、そのMPUへリセット信号を出力して、そのMPUを正常な状態に復帰させるウォッチドッグ回路(本実施例では、ウォッチドッグタイマIC27)が搭載されている。
本実施例では、かかるリセット端子RESET回りの回路について、ランプ制御基板Lを例にして説明する。図10は、ランプ制御基板LのウォッチドッグタイマIC27に関連する部分の回路図である。図10では、説明を容易にするために、機能の説明に影響しない抵抗やコンデンサ、ダイオードなどの各素子については、その表記を省略している。なお、当然のことながら、この回路は、ランプ制御基板Lに限らず、他のすべての制御基板C,H,D,S,Bに搭載されている。
停電監視回路20のバッファBF7の出力端(図4参照)、即ち、停電監視回路20のランプ制御基板Lに対するリセット信号22の出力端は、ランプ制御基板LのバッファBF11の入力端と接続されている。このバッファBF11の出力端は、2入力ノアNORの一端と、HC221で構成される単安定マルチバイブレータMM3のCLR端子とに接続されている。ノアNORの出力端は、インバータIV11の入力端に接続され、更に、そのインバータIV11の出力端は、ランプ制御基板LのMPU28のリセット端子RESETに接続されている。
MPU28のTO端子は、2入力のナンドNANDの一端に接続されており、そのナンドNANDの他端には、単安定マルチバイブレータMM3のQバー端子が接続されている。ナンドNANDの出力端は、微分波生成用の2200pFのコンデンサC1の一端に接続され、そのコンデンサC1の他端は、ウォッチドッグ回路としてのウォッチドッグタイマIC27のWD端子に接続されている。このウォッチドッグタイマIC27のRST端子は、前記した2入力ノアNORの他端に接続されている。
ここで、ウォッチドッグタイマIC27は、そのWD端子に、最短3μsのパルス幅を有するハイパルスが0.2〜0.5秒の間に(本実施例では0.2秒の間に)一度も入力されない場合、RST端子から所定のロウパルス(リセットパルス)を出力するためのICである。本実施例では、このウォッチドッグタイマIC27として、株式会社東芝製のバイポーラ形リニア集積回路のTA8030Sを使用している。また、MPU28は、TO端子から定期的に(本実施例では2ms毎に)ロウパルスを出力するように、ソフトウエアによってプログラムされている。
前記した通り、MPU28のTO端子の出力は、ナンドNAND及びコンデンサC1を介して、ウォッチドッグタイマIC27のWD端子に接続されている。よって、MPU28が正常に動作している場合には、WD端子へ2ms毎にハイパルスが入力されるので、ウォッチドッグタイマIC27のRST端子からロウパルス(リセットパルス)が出力されることはない。逆に、MPU28が正常に動作していない場合、即ちMPU28が異常状態にある場合には、MPU28のTO端子からはロウパルスが出力されないので、WD端子へハイパルスが入力されず、その結果、ウォッチドッグタイマIC27のRST端子からロウパルス(リセットパルス)が出力される。このロウパルスは、MPU28のリセット端子RESETへ入力され、異常状態にあるMPU28をリセットして、そのMPU28を正常な状態に復帰させるのである。
次に、図11のタイミングチャートに基づいて、瞬停などの発生時におけるMPU28のリセットのタイミングについて説明する。前記した通り、瞬停などの発生時においては、制御系の駆動電圧(5ボルト)は正常動作範囲の電圧を維持したままであるので、停電監視回路20からリセット信号22が出力される前の状態では、MPU28は正常に動作しており、そのTO端子からは定期的にロウパルスが出力されている(図11の(a))。よって、ウォッチドッグタイマIC27のRST端子からリセットパルスは出力されず、その出力はハイのままとなっている。
停電監視回路20からリセット信号22が出力され、バッファBF11の入力がロウになると、インバータIV11の出力もロウになって、MPU28のリセット端子RESETへリセット信号が入力される(図11の(b))。MPU28へリセット信号が入力されている間は、MPU28は動作を停止する。よって、TO端子からロウパルスは出力されず、その出力はハイのままとなる。このため、ナンドNANDの出力はロウのままとなって、ウォッチドッグタイマIC27のWD端子へハイパルスが入力されなくなる。
かかる状態が0.2秒続く毎に、ウォッチドッグタイマIC27のRST端子からMPU28をリセットするためのロウパルス(リセットパルス)(図11の(c))が出力される。なお、このリセットパルスは、リセット信号22が出力されている状態では、ノアNORにより吸収され、MPU28のリセット端子RESETへは現れない。
その後、停電監視回路20からのリセット信号22が解除されると(図11の(d))、単安定マルチバイブレータMM3のCLR端子の入力が立ち上がるので、このQバー端子からワンショットのロウパルスが出力される(図11の(e))(MM3の動作は図5を参照)。このワンショットのロウパルスによりナンドNANDの出力が立ち上がり(図11の(f))、ウォッチドッグタイマIC27のWD端子へハイパルスが入力される。これにより、ウォッチドッグタイマIC27内の監視タイマがクリアされる。
また、リセット信号22の解除により(図11の(d))、MPU28のリセット端子RESETへの入力がハイとなって、MPU28が動作を開始する。これにより、MPU28のTO端子から定期的にロウパルスが出力され、ナンドNAND及びコンデンサC1を介して、ウォッチドッグタイマIC27のWD端子へ入力される(図11の(g))。
このように、制御系の駆動電圧(5ボルト)が正常動作範囲にある状態で、停電監視回路20からリセット信号22が出力されると、MPU28はその動作を停止するので、ウォッチドッグタイマIC27はMPU28の異常と判断して、RST端子からリセットパルスを出力する。かかるリセットパルスが、リセット信号22の解除後に出力されると、MPU28に対してリセットが2回かけられることになり、MPU28のリセット処理が2回繰り返されて、その結果、MPU28の立ち上げ時間に遅れを生じてしまう。ランプ制御基板Lは、主制御基板Cから送信されるコマンドに基づいて動作するので、リセット信号22の入力後の立ち上がり時間が遅れると、受信できないコマンドが生じて正常に動作することができない。
しかし、本実施例のパチンコ機Pによれば、上述した通り、停電監視回路20から出力されるリセット信号22の解除時には、ウォッチドッグタイマIC27のWD端子へハイパルスを出力して、ウォッチドッグタイマIC27内の監視タイマをクリアするので、リセット信号22の解除後に、ウォッチドッグタイマIC27のRST端子からリセットパルスが出力されることはない。よって、MPU28のリセット処理を1回で終了させることができ、MPU28を迅速に立ち上げることができる。従って、コマンドの受信漏れを生じることなく、正常に動作させることができるのである。
次に、図12から図15を参照して、かかるMPU28のリセット端子RESET回りの回路の変形例について説明する。図12は、単安定マルチバイブレータMM3に代えて、所定の周期で発振する発振回路29を用いたものの、リセット端子RESET回りの回路図であり、図13は、そのタイミングチャートである。この発振回路29は、コンデンサや抵抗、コンパレータなどを組み合わせて構成した公知の発振回路であり、入力端子INにハイ信号が入力されている場合には出力端子OUTからハイ信号を出力し(図13の(a))、入力端子INにロウ信号が入力されている場合には出力端子OUTから所定の周波数で発振する発振パルスを出力する回路である(図13の(b))。
この変形例によれば、停電監視回路20からリセット信号22が出力されていない場合には(図13の(a))、入力端子INにハイ信号が入力されるので、出力端子OUTからはハイ信号が出力される。その結果、ナンドNANDから、MPU28のTO端子の出力を反転した信号が出力され、これがコンデンサC1を介してウォッチドッグタイマIC27のWD端子へ入力される。よって、停電監視回路20からリセット信号22が出力されていない場合には、MPU28のTO端子から定期的にロウパルスが出力される限り、即ちMPU28が正常に動作している限り、ウォッチドッグタイマIC27のRST端子からリセットパルスが出力されることはない。
一方、停電監視回路20からリセット信号22が出力された場合には(図13の(b))、入力端子INにロウ信号が入力されるので、出力端子OUTからは所定の周波数で発振する発振パルスが出力される。リセット信号22の入力により、MPU28は動作を停止するので、TO端子の出力はハイのままとなっている。よって、ナンドNANDから、発振回路29の発振パルスを反転した信号が出力され、これがコンデンサC1を介してウォッチドッグタイマIC27のWD端子へ入力される。よって、停電監視回路20からリセット信号22が出力されている場合には、ウォッチドッグタイマIC27内の監視タイマはクリアされ続けるので、リセット信号22の出力が解除されても、ウォッチドッグタイマIC27のRST端子からリセットパルスが出力されることはなく、MPU28にリセットを2重にかけることはない。
図14は、更に別の変形例であって、図11のナンドNAND及び単安定マルチバイブレータMM3に代えて、インバータIV12を接続すると共に、NPN形のトランジスタTRを用いて、停電監視回路20からリセット信号22が出力されている場合には(バッファBF11の出力がロウの場合には)、ウォッチドッグタイマIC27への駆動電圧の供給を断って、ウォッチドッグタイマIC27を停止するようにしたものの、リセット端子RESET回りの回路図である。図15は、そのタイミングチャートである。
この変形例によれば、停電監視回路20からリセット信号22が出力されていない場合には(図15の(a))、バッファBF11からはハイ信号が出力されるので、トランジスタTRがオンして、ウォッチドッグタイマIC27へ5ボルトの駆動電圧が供給される。MPU28が正常に動作している場合、MPU28のTO端子からは定期的にロウパルスが出力され、このロウパルスを反転したものが、インバータIV12からコンデンサC1を介してウォッチドッグタイマIC27のWD端子へ入力される。よって、停電監視回路20からリセット信号22が出力されていない場合には、MPU28が正常に動作している限り、ウォッチドッグタイマIC27のRST端子からリセットパルスが出力されることはない。
一方、停電監視回路20からリセット信号22が出力された場合には(図15の(b))、バッファBF11からロウ信号が出力されるので、トランジスタTRがオフして、ウォッチドッグタイマIC27への5ボルトの駆動電圧の供給が断たれる。その結果、ウォッチドッグタイマIC27が動作を停止し、RST端子の出力はロウとなる。また、リセット信号22の入力により、MPU28は動作を停止しているので、TO端子の出力はハイのままとなり、インバータIV12からは、これを反転したロウ信号がコンデンサC1を介してウォッチドッグタイマIC27のWD端子へ入力される。前記した通り、ウォッチドッグタイマIC27は動作を停止しているので、そのWD端子にハイパルスが入力されなくても、影響はない。
リセット信号22の出力が解除されると(図15の(c))、トランジスタTRがオンされ、ウォッチドッグタイマIC27へ駆動電圧が供給される。これによりウォッチドッグタイマIC27が始動し、その後、ウォッチドッグタイマIC27の各端子に接続される抵抗やコンデンサの大きさにより定まる所定時間(図15の(d))の経過後に、RST端子の出力がハイとなり(図15の(e))、その結果、ノアNORの出力がロウとなって、インバータIV11からハイ信号が出力され、MPU28が動作を開始する。
このように、図14の変形例によれば、停電監視回路20からリセット信号22が出力されている間は、ウォッチドッグタイマIC27への駆動電圧の供給を断って、そのウォッチドッグタイマIC27を停止しているので、リセット信号22の解除後に、ウォッチドッグタイマIC27のRST端子から、MPU28が二重にリセットされる形でリセットパルスを出力することがない。よって、MPU28を迅速に立ち上げることができる。
なお、上記実施例において、請求項1記載の制御手段としては、各制御基板C,H,D,S,L,Bにそれぞれ搭載され、その制御基板において制御の実行主体となる各MPU11,28がそれぞれ該当する。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施例では、図10から図15におけるMPUのリセット端子RESET回りの回路については、ランプ制御基板Lを例に説明したが、これらの回路はランプ制御基板Lの他、主制御基板C、払出制御基板H、表示用制御基板D、効果音制御基板S、及び、発射制御基板Bのすべてに採用される。
また、上記実施例の停電回路20では(図4参照)、停電処理(停電時における遊技の終了処理)が9ms以内に終了することから、停電信号21の出力後、前段の単安定マルチバイブレータMM1から出力されるワンショットのロウパルスの出力時間を9msに設定した。しかし、停電処理の実行時間が9ms以上となる場合には、その停電処理の実行時間に合わせて、該ワンショットのロウパルスの出力時間を変更する。例えば、停電処理の実行に220ms必要であれば、前段の単安定マルチバイブレータMM1から出力されるワンショットのロウパルスの出力時間を220msに設定するのである。
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に有利な大当たり状態が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。
以下に本発明の変形例を示す。請求項1記載の遊技機において、前記リセット防止手段は、前記リセット手段によるリセット信号の出力後に、前記監視手段の監視状態をクリアするものであることを特徴とする遊技機1。リセット手段によるリセット信号の出力中は制御手段は動作しないが、そのリセット信号の出力後に、リセット防止手段によって、監視手段による監視状態がクリアされる。よって、リセット手段によるリセット信号の出力後に、そのリセット信号の出力を原因として、監視手段からリセット信号が出力されることがないので、制御手段の立ち上げを迅速に行うことができる。このリセット防止手段としては、図10に示す単安定マルチバイブレータMM3が該当する。
請求項1記載の遊技機において、前記リセット防止手段は、前記リセット手段によるリセット信号の出力中に、前記監視手段へ前記制御手段の正常動作信号を擬似的に出力するものであることを特徴とする遊技機2。リセット手段によるリセット信号の出力中は制御手段は動作しないが、その間、リセット防止手段によって、制御手段の正常動作信号が監視手段へ擬似的に出力されるので、監視手段は制御手段が正常動作していると判断する。よって、リセット手段によるリセット信号の出力後に、そのリセット信号の出力を原因として、監視手段からリセット信号を出力することがないので、制御手段の立ち上げを迅速に行うことができる。このリセット防止手段としては、図12に示す発振回路29が該当する。
請求項1記載の遊技機において、前記リセット防止手段は、前記リセット手段によるリセット信号の出力中に、前記監視手段による監視動作を停止させるものであることを特徴とする遊技機3。リセット手段によるリセット信号の出力中は制御手段は動作しないが、その間、リセット防止手段によって、監視手段の監視動作が停止される。よって、リセット手段によるリセット信号の出力後に、そのリセット信号の出力を原因として、監視手段からリセット信号を出力することがないので、制御手段の立ち上げを迅速に行うことができる。このリセット防止手段としては、図14に示すトランジスタTRが該当する。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から3のいずれかにおいて、前記監視手段はウォッチドッグ回路で構成されていることを特徴とする遊技機4。なお、ウォッチドッグ回路としては、実施例で示したウォッチドッグタイマIC27の他、MPUに内蔵されるものや、複数の電子部品でアセンブルされるものなどが含まれる。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から4のいずれかにおいて、前記リセット手段は、停電の発生時に停電信号を出力する一方、その停電信号の出力後に停電が解消した場合にリセット信号を出力するものであることを特徴とする遊技機5。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から5のいずれかにおいて、前記リセット手段へ駆動電圧を供給する第1電源手段と、前記監視手段へ駆動電圧を供給する第2電源手段とは別々に構成されていることを特徴とする遊技機6。かかる構成によれば、第2電源手段によって監視手段へ正常な駆動電圧が供給されている場合であっても、第1電源手段によりリセット手段へ正常な駆動電圧が供給されない場合があり、その結果、監視手段の動作中に、リセット手段からリセット信号が出力されることがある。
遊技機1から6のいずれかにおいて、電源の供給が途絶えてもデータを保持する不揮発性の記憶手段と、その記憶手段の内容をクリアするためのクリアスイッチとを備えていることを特徴とする遊技機7。なお、かかるクリアスイッチによるバックアップデータのクリアは、例えば、次の場合に行うことができる。(1)クリアスイッチが操作された場合。(2)クリアスイッチを操作した状態で電源が投入された場合。(3)クリアスイッチを操作した状態で電源がオフされた場合。この場合には、終了処理においてバックアップデータのクリアが行われるか、或いは、終了処理においては電源オフ時にクリアスイッチが操作されたことを記憶しておき、次の電源投入時にバックアップデータをクリアするようにしても良い。(4)クリアスイッチが所定時間内に複数回操作された場合。(5)クリアスイッチを2以上設け、そのクリアスイッチが所定の順序で、或いは、同時に操作された場合。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から7のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機8。中でも、パチンコ機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において変動表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から8のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機9。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から7のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機10。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の変動開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。