以下、実施例を図面を用いて説明する。
実施例1として、広告商品の在庫量に応じて広告提供をするか否かを決定する広告提供システムの例を説明する。図1は、本発明の実施例1における広告提供システムの構成図である。広告提供システムは、金融システム100及びPOSシステム200を備える。金融システム100及びPOSシステム200は、ネットワーク300を介して接続されることにより連携して、広告提供システムを実現する。ネットワーク300は、専用線等の通信回線である。
金融システム100は、自動取引装置111と顧客情報管理装置(以下CRM装置)121とを備える。自動取引装置111及びCRM装置121は、ネットワーク130を介して接続されている。ネットワーク130は、専用線等の通信回線である。自動取引装置111は、ATM、CD等であり、CPU(このCPUを含め、以下、何れのCPUも図示しない)とメモリ(フラッシュROM、RAM等)(このメモリを含め、以下、何れのメモリも図示しない)とを備える。
自動取引装置111は、銀行、信用金庫、郵便局、消費者金融会社等の金融機関の支店内または店外等(以下、単に「支店」という)110に設置される。自動取引装置111は、CPUとメモリとを備え、金融機関の顧客が自ら操作して入金、出金、通帳記帳、残高照会、振り込み、振替等の金融取引を行うための装置である。
CRM装置121は、金融機関の地区センター120等に設置される。CRM装置121は、CPUとメモリとを備え、顧客、商品、広告情報等を管理する装置である。CRM装置121のメモリは、顧客情報データベース(以下「顧客DB」という)122と、店舗情報データベース(以下「店舗DB」という)123と、CRM情報データベース(以下「CRM DB」という)124とを格納する。
POSシステム200は、ホストコンピュータ211と商品情報管理装置(以下「ストア・コントローラ」という)221とを備える。ホストコンピュータ211及びストア・コントローラ221は、ネットワーク230を介して接続されている。ネットワーク230は、専用線等の通信回線である。ホストコンピュータ211は、CPUとメモリとを備え、小売店本部等(以下「本部」という)210に設置される。ホストコンピュータ211は、本部210の管理下の小売店店舗等(以下「店舗」という)220の情報を一元管理する装置である。ストア・コントローラ221は、店舗220に設置されるコンピュータであり、CPUとメモリとを備える。ストア・コントローラ221は、店舗220で取り扱う商品の商品名、価格、在庫数、店舗220の売り上げ等の情報を管理するために、PLU(Price Look Up)ファイル222、在庫情報データベース(以下在庫DB)223を備える。
図2は、実施例1におけるPLUファイル222に格納されている情報を例示する図である。PLUファイル222は、先述した通りストア・コントローラ221のメモリに格納されている。PLUファイル222は、店舗220で取り扱う商品の商品ID、商品名、価格等の情報を格納する。商品IDは、同一店舗220内で取り扱う商品の種類を一意に識別するための情報である。
図3は、実施例1における在庫DB223に格納されている情報(在庫マスタ)を例示する図である。在庫DB223は、先述した通りストア・コントローラ221のメモリに格納されている。図3に示す在庫マスタは、店舗220で取り扱う商品の商品ID、在庫数等の情報を格納する。ここでの在庫数の情報は、店舗220において顧客が購入可能な商品数を示す。
図4は、本発明の実施例1におけるCRM装置121内の顧客DB122のメモリに格納されている情報(口座マスタ)を例示する図である。図4に示す口座マスタは、顧客が持っている口座の銀行コード、店番号、口座番号、顧客ID等の情報を格納する。銀行コード、店番号、口座番号の組み合わせは、同じ組み合わせが複数、存在しないように定められている。顧客IDは、顧客を一意に識別するための情報である。
図5は、本発明の実施例1におけるCRM装置121内の店舗DB123のメモリに格納されている情報(店舗マスタ)を例示する図である。図5に示す店舗マスタは、店舗ID、店舗名等の情報を格納している。店舗IDは、店舗220を一意に識別するための情報である。なお、店舗マスタは、住所、電話番号、営業時間等の情報を格納していてもよい。
図6は、本発明の実施例1におけるCRM DB124のメモリに格納されている情報(商品マスタ及びサービス決定マスタ)を例示する図である。
図6(a)に示す商品マスタは、コンテンツID、店舗ID、商品ID、商品名、在庫数、価格等の情報を格納する。店舗ID、商品IDの組み合わせは、同じ組み合わせが複数、存在しないように定められている。コンテンツIDは、広告内容を一意に識別するための情報である。
CRM DB124は、広告内容を示す情報を、随時、外部から取得する。広告内容を取得すると、CRM装置121は、顧客DB122内の口座マスタに格納されている顧客IDと、CRM DB124内の商品マスタに格納されているコンテンツIDとを、予め定義した条件等で関連付けて、サービス決定マスタに格納する。このように情報が格納されることによって、どの顧客にどの商品の広告を提供するかが一意に決定される。
図6(b)は、サービス決定マスタを例示する図である。サービス決定マスタは、顧客ID、コンテンツID等の情報を格納している。顧客IDは、顧客を一意に識別するための情報である。
図7は、実施例1における各装置の処理と情報の送受信とを例示するシーケンス図である。ストア・コントローラ221が格納する情報が、CRM装置121が格納する情報へ反映されることを、図7と共に説明する。ストア・コントローラ221のCPUは、商品ID、商品名、価格、在庫数等の情報(以下、これらをまとめて「商品情報」という)の入力を受けると、入力された情報に従って、PLUファイル222に格納された情報と、在庫DB223の在庫マスタに格納された情報とを更新する(S11)。上記情報の取得は、POS端末(図示しない)等からの入力を通じて実行される。上記情報の更新とは、情報の追加、変更、削除等である。
ストア・コントローラ221のCPUは、上記情報の更新を実行することによって在庫が0個になった場合および在庫が0個から増えた場合、PLUファイル222又は在庫マスタに格納された商品情報と、店舗ID等の情報(以下、これらをまとめて「商品店舗情報」という)とを、CRM装置121へ送信する(S12)。なお、本部210が商品の在庫数を管理する場合には、同様の情報をストア・コントローラ221からホストコンピュータ211に送信する(S13)。
CRM装置121のCPUは、ストア・コントローラ221から商品店舗情報を取得すると、CRM DB124内の商品マスタに、受信した情報を格納する(S14)。この格納は、該当するレコードに対する上書きによって実現される。
商品の在庫数が0個になった場合について説明する。店舗220で顧客が商品を購入すると、POS端末等は、購入された商品の商品IDと購入数とを示す情報を、操作者による操作に従ってストア・コントローラ221に入力する。ストア・コントローラ221のCPUは、購入された商品の商品ID、購入数を示す情報の入力を受けると、その情報に基づき在庫マスタを更新する(S11)。商品が購入された場合の更新は、入力された商品IDと、在庫DB223内の在庫マスタに格納されている商品IDとを比較し、一致したレコードの在庫数から、入力された購入数を減算することによって実現される。
更新の結果、在庫マスタに格納されている在庫数が0個になった場合、ストア・コントローラ221は、在庫切れになった商品についての商品店舗情報をCRM装置121へ送信する(S12)。
CRM装置121は、ストア・コントローラ221から商品店舗情報を受信すると、受信した商品IDと、CRM DB124内の商品マスタに格納されている商品IDとを比較して、一致したレコードの在庫数を、受信した在庫数(0個)に更新する(S14)。
商品の在庫が補充された場合について説明する。店舗220において在庫マスタに格納されている在庫数が0個であった商品が小売店業者等によって補充された場合、POS端末等は、補充された商品の商品IDと補充数とを示す情報を、操作者による操作に従ってストア・コントローラ221に入力する。ストア・コントローラ221のCPUは、入力された商品IDと、在庫DB223内の在庫マスタに格納されている商品IDとを比較し、一致したレコードの在庫数に、入力された補充数を加算してレコードを更新する(S11)。
ストア・コントローラ221のCPUは、補充された商品についての商品店舗情報をCRM装置121へ送信する(S12)。
CRM装置121のCPUは、ストア・コントローラ221から商品店舗情報を受信すると、受信した商品IDとCRM DB124内の商品マスタに格納されている商品IDとを比較して、一致したレコードの在庫数を、受信した在庫数(補充数)に更新する(S14)。
なお、ストア・コントローラ221からCRM装置121へ送信する情報には、店舗IDが含まれなくてもよい。この場合、CRM装置121は、例えば、予め格納した店舗220を特定するための情報と、通信情報とによって送信元を識別することで、店舗を特定する。
図8は、自動取引装置111とCRM装置121との処理を例示するシーケンス図である。この処理は、自動取引装置111で顧客による取引があった場合に実行される。顧客が支店110に設置された自動取引装置111を操作して金融取引を行うと、自動取引装置111のCPUは、銀行コード、店番号、口座番号等の顧客識別情報を取引媒体(キャッシュカード、通帳等)から取得する(S15)。取引媒体からの情報取得は、顧客によって自動取引装置111の媒体挿入口に挿入された取引媒体を、自動取引装置111が読み込むことで実現される。
続いて自動取引装置111のCPUは、読み取った顧客識別情報をCRM装置121へ送信する(S16)。CRM装置121のCPUは、顧客識別情報を自動取引装置111から受信すると、DB検索処理を実行する(S17)。
図9は、DB検索処理を例示するフローチャートである。DB検索処理は、実施例1におけるCRM装置121が提供広告をするか否かを決定するための処理である。図9を参照しながら、CRM装置121が実行するDB検索処理(S17)について説明する。
CRM装置121のCPUは、自動取引装置111から顧客識別情報を受信すると、受信した顧客識別情報と、顧客DB122内の口座マスタに格納されている顧客識別情報とを比較して、一致したレコードの顧客IDを取得する(S31)。
次にCRM装置121のCPUは、取得した顧客IDと、CRM DB124内のサービス決定マスタに格納されている顧客IDとを比較して、一致したレコードのコンテンツIDを取得する(S32)。
続いてCRM装置121のCPUは、取得したコンテンツIDと、CRM DB124内の商品マスタに格納されているコンテンツIDとを比較して、一致したレコードの在庫数の情報を取得し(S33)、商品の在庫が有るか無いかを、取得した在庫数の情報に基づき判断する(S34)。
商品の在庫が有る場合には(S34、あり)、CRM装置121のCPUは、CRM DB124内の商品マスタに格納されている商品店舗情報を取得し(S35)、取得した店舗IDと、顧客DB123内の店舗マスタに格納されている店舗IDとを比較して、一致したレコードの店舗名等の店舗情報を取得し(S36)、処理を終了する。商品の在庫が無い場合には(S34、なし)、広告提供のための情報取得を行わず、処理を終了する。
図8に戻って説明する。CRM装置121は、広告提供のための情報を取得した場合は、取得した商品情報、店舗情報等の広告情報を、自動取引装置111へ送信する(S19)。広告提供のための情報を取得しなかった場合は、広告提供を行わない旨の情報を自動取引装置111へ送信する(S19)。なお、広告提供を行わない場合は、広告提供についての情報を送信しなくてもよい。
自動取引装置111は、CRM装置121内でのDB検索処理(S17)と並行して、顧客の選択した金融取引の処理を行う(S18)。広告提供を行わない旨の情報を自動取引装置111がCRM装置121から受信した場合、又は広告提供についての情報を受信しなかった場合、自動取引装置111のCPUは、未記帳データ印字中、又は現金の計数中等、顧客操作の空き時間に、顧客操作画面に「ただいま処理中です。しばらくお待ちください。」等の処理中メッセージを表示する(S20)。
一方、自動取引装置111が、CRM装置121から商品情報、店舗情報等の広告情報をCRM装置121から受信した場合、自動取引装置111のCPUは、未記帳データ印字中、又は現金の計数中等、顧客操作の空き時間に、上記処理中メッセージに替えて、CRM装置121から受信した店舗名、商品名、値段等の広告情報を、顧客操作画面へ表示する(S21)。
図10は、本発明の実施例1における自動取引装置111の顧客操作画面に表示される広告の例を示す。なお、自動取引装置111の顧客操作画面で表示する広告情報として、店舗220の住所、電話番号、営業時間等を表示させてもよい。
図8に戻って説明する。自動取引装置111は、取引明細票を排出し、取引媒体を返却して、取引を終了する(S22)。金融取引における指示に基づき取引明細票を発行する場合、自動取引装置111は、自動取引装置111の顧客操作画面に表示した広告情報と同様の内容を、排出前の取引明細票に印字する。
なお、広告情報の提供については、自動取引装置111の顧客操作画面への表示及び取引明細票への印字を行うと説明したが、自動取引装置111の顧客操作画面への表示のみ、あるいは取引明細票への印字のみであってもよい。また、広告提供の方法は、顧客操作画面への表示や取引明細票の印字以外にも、音声案内等の手段を組み合わせてもよいし、画面の表示は動画であっても良い。また、自動取引装置111の顧客操作画面によって広告提供を行うタイミングについては金融取引処理の最中であっても、終了後であってもよい。
以上説明した実施例1によれば、店舗220で管理する在庫数情報をCRM装置121に送信し、CRM DB124内の商品マスタに反映したことにより、在庫が有る商品についての広告を、自動取引装置111の利用顧客に提供できる。これによって、広告の訴求効果を高くすることができ、ひいては、サービスが顧客によって十分に活用され、顧客満足度を高くすることができる。また、金融取引を行う顧客は、金融資産を所有している可能性が高く、さらに、現金を引き出した顧客は、現金を所持していることによって購買意欲が高いと推定される。また、レジにおいて広告を提供する場合と異なり、買い物をする前に広告を提供できる。よって、このような顧客に広告を提供することは、効果が高いと言える。また、既存のハードウェアを用いて実現できるので、新たに必要なコストを抑制している。
商品の在庫数が0個になった場合において、ストア・コントローラ221からCRM装置121又はホストコンピュータ211へ送信される在庫数が0個という情報は、在庫無しを示す情報に変更しても良い。或いは、商品の在庫が補充された場合において、CRM装置121内の商品マスタに格納される商品の在庫数を示す情報は、在庫有りを示す情報に変更しても良い。
ストア・コントローラ221からCRM装置121又はホストコンピュータ211へ商品店舗情報を送信するタイミングは、実施例1においては、在庫マスタに格納されている在庫数が0個になった場合、又は0個から1個以上に更新された場合である。この手法に替えて、閾値(0個でない個数を示す値)を採用し、在庫数が閾値を超えた、又は閾値以下になった商品についての商品店舗情報を送信するようにしてもよい(S12)(S13)。
上記閾値の採用に伴い、CRM装置121内での広告提供をするか否かの判断基準を、在庫が有るか否かに替えて、在庫数が閾値以上か否かに変更してもよい。在庫数が閾値以下になった場合は、間もなく売り切れる可能性があることを考慮し、広告提供しないとしてもよい。或いは、在庫数が残りわずかなので急いで買い求めるよう勧めるようなメッセージを表示させてもよい。
実施例2では、POSシステムで管理する販売履歴と販売傾向分析データとを基にして、顧客へ提供する広告を決定する広告提供システムの例を説明する。なお、実施例1と構成、又は各装置に格納されている情報が同じであるものについては説明を省略する。
実施例2における広告提供システムでは、ストア・コントローラ221が履歴DB224(図1参照)を格納する。
図11〜図13を参照しながら、各装置に格納される情報を説明する。これらの情報は、実施例1において説明した情報に対して、追加で格納される。
図11は、本発明の実施例2におけるストア・コントローラ221内の履歴DB224に格納されている履歴情報を例示する図である。図11に示す履歴情報は、商品の購入が行われた日時、商品ID、数量、購買者の年齢層、購買者の性別等の情報を含む。なお、履歴DB224に、購入された商品の商品名、価格等の情報を追加で格納してもよい。
図12は、本発明の実施例2におけるホストコンピュータ211で算出するデータを例示する図である。図12に示す販売傾向分析データは、年齢層、性別、商品ID、売れ行きレベル等の項目を含む。年齢層の項目は、値の範囲が重複しないようになっており、例えば、10歳代、20歳代等である。売り上げレベルは、実施例2では、販売した商品の数量の多さの順位を示す情報とする。
図13は、本発明の実施例2におけるCRM装置121内の顧客DB122に格納されている情報の一部を例示する図である。CRM装置121内の顧客DB122は、図4に示す口座マスタに加え、図13に示す顧客マスタを格納する。顧客マスタは、顧客の顧客ID、年齢、性別等の情報を格納する。なお、顧客マスタには、顧客の顧客名、住所、電話番号等の情報が格納されてもよい。
図14は、本発明の実施例2におけるCRM装置121内のCRM DB124に格納されている情報(サービス決定マスタ)の一部を例示する図である。この情報は、実施例1のサービス決定マスタ(図6(b))の替わりに格納される情報である。図14に示すサービス決定マスタは、年齢層、性別、コンテンツID、優先順位等の情報を格納する。実施例2のサービス決定マスタは、実施例1のサービス決定マスタ(図6(b))に格納されている情報のうち、顧客IDの代わりに年齢層、性別を格納し、さらに優先順位を追加したものである。なお、年齢層、性別の組み合わせには、重複があってもよい。
取り扱う商品の種類が増減、変更、又は価格変更した場合等に、ストア・コントローラ221が格納する情報を、CRM装置121へ反映することについては、実施例1と同様であるため、説明を省略する。但し、サービス決定マスタへ情報を格納する点については、実施例1と異なるので後述する。
商品の在庫数が0個になった場合、及び商品の在庫が補充された場合については、ストア・コントローラ221、CRM装置121の処理動作は実施例1と同様であるため、説明を省略する。
図15は、本発明の実施例2における各装置の処理及び情報の送受信を例示するシーケンス図である。この処理は、実施例1の処理に追加される処理で実行される。店舗220で顧客が商品を購入すると、ストア・コントローラ221のCPUは、POS端末等から履歴情報の入力を受け付け、入力された情報を履歴DBに格納する(S41)。
ストア・コントローラ221のCPUは、履歴情報を一定期間分集計して蓄積し、蓄積した履歴情報を定期的にホストコンピュータ211へ送信する(S42)。
ホストコンピュータ211のCPUは、本部210管理下の各店舗のストア・コントローラ221から履歴情報を受信し、購買者の年齢層、性別等から、どの商品が多く購入されているかを集計して、年齢層、性別、商品ID、売れ行きレベル等の項目を含む販売傾向分析データを算出(S43)する。ホストコンピュータ211のCPUは、算出した販売傾向分析データを、ストア・コントローラ221へ送信する(S44)。
実施例2では、売れ行きレベルは、例えば、ホストコンピュータ211のCPUが集計した販売情報から、年齢層、性別等の項目ごとに、多く売れた商品の順に順位付けした情報である。
ストア・コントローラ221のCPUは、ホストコンピュータ211から販売傾向分析データを受信すると、受信した販売傾向分析データ、及び店舗220ごとに付与された店舗ID等の情報を、CRM装置121へ送信する(S45)。
CRM装置121のCPUは、ストア・コントローラ221から販売傾向分析データ、店舗ID等の情報を受信すると、受信した商品ID、店舗IDと、CRM DB124内の商品マスタに格納されている商品ID、店舗IDとを比較して、一致したレコードのコンテンツIDを取得する(S46)。
CRM装置121のCPUは、受信した年齢層、性別等の情報、取得したコンテンツIDを、売れ行きレベルの情報を基に設定した優先順位と共に、CRM DB124内のサービス決定マスタに格納する(S47)。
売れ行きレベルと優先順位との対応付けの手法は種々、考えられる。例えば、販売傾向分析データにおいて、ある年齢層、性別に対して売れ行きレベルの高い商品は、その年齢層、性別の顧客への広告効果が高いと考えられるため、サービス決定マスタにおいても、同一の年齢層、性別の顧客に対して、同一商品の優先順位を高く設定することが望ましい。
ここでは売れ行きレベルの情報をそのまま優先順位に格納するが、例えば、売れ行きレベルの1〜10位までを優先順位の情報として優先度が最も高いAとし、売れ行きレベルの11〜20位までを優先順位の優先度が2番目に高いBとする、等のように対応付けて格納してもよい。
自動取引装置111で顧客による取引があった場合について説明する。自動取引装置111で取引があった場合、実施例1と異なるのは、CRM装置内での提供広告決定の流れ(DB検索処理)のみであり、他のステップは同じである。
図16は、実施例2のDB検索処理を例示するフローチャートである。図16に示したDB検索処理は、実施例1のDB検索処理の替わりに実行される処理であり、本発明の実施例2におけるCRM装置121が提供する広告を決定するための処理である。
CRM装置121のCPUは、自動取引装置111から顧客識別情報を受信すると、受信した顧客識別情報と、顧客DB122内の口座マスタに格納されている顧客識別情報とを比較して、一致したレコードの顧客IDを取得する(S61)。
次にCRM装置121のCPUは、取得した顧客IDと、顧客DB122内の顧客マスタに格納されている顧客IDとを比較して、一致したレコードの年齢、性別等の情報を取得する(S62)。
CRM装置121のCPUは、取得した年齢、性別と、CRM DB124内のサービス決定マスタに格納されている年齢層、性別とを比較して、一致したレコードのコンテンツIDを取得する(S63)。一致するレコードが複数ある場合は、取得するコンテンツIDを優先順位に従って決定する。「取得するコンテンツIDを優先順位に従って決定する」とは、例えば、優先順位の高いレコードほど、選択される頻度が高いことを示す。
例えば、顧客DB122内の顧客マスタから25歳という年齢の情報を取得した場合、CRM DB124内のサービス決定マスタにおいては、その年齢の情報は、例えば20歳代(20〜29歳)という年齢層の情報を格納するレコードと一致する。
CRM装置121のCPUは、取得したコンテンツIDと、CRM DB124内の商品マスタに格納されているコンテンツIDとを比較して、一致したレコードの在庫数を取得し(S64)、商品の在庫が有るか無いかを判断する(S65)。
CRM装置121のCPUは、商品の在庫が有る場合には(S65、あり)、CRM DB124内の商品マスタに格納されている商品名、価格等の商品情報、及び店舗IDを取得し(S66)、取得した店舗IDと、顧客DB123内の店舗マスタに格納されている店舗IDとを比較して、一致したレコードの店舗名等の店舗情報を取得し(S67)、処理を終了する。この後、実施例1と同様に、自動取引装置111による広告提供が実行される。
CRM装置121のCPUは、商品の在庫が無い場合には(S65、なし)、広告提供のための情報取得を行わず、処理を終了する。
以上説明した実施例2によれば、本部210で管理する販売傾向分析データを、CRM DB124内のサービス決定マスタに反映したことにより、販売傾向データにおける売れ行きレベルの高い商品の広告を自動取引装置111の利用顧客へ提供できる。売れ行きレベルの高い商品は、顧客への広告効果が高いと考えられる。このため、顧客への訴求効果が高くでき、ひいては、サービスが顧客によって十分に活用され、顧客満足度を高くすることができる。
ホストコンピュータ211で算出する販売傾向分析データの売れ行きレベルの項目は、上記では販売した商品の数量で順位付けした情報としたが、商品の売上金額で順位付けした情報でも、販売した商品の数量や、商品の売上金額に応じてランク付けした情報等でもよい。
どの広告を提供するかの判断材料は、上記では顧客の年齢、性別としたが、天候、イベント等の情報を判断材料として追加したり、年齢、性別と置き換えたりしてもよい。追加する場合は、例えば、以下の手順を採用してもよい。
ストア・コントローラ221内の履歴DBに天候、イベント等の情報を格納し(S41)、その他の履歴情報と共に、ホストコンピュータ211へ送信する(S42)。ホストコンピュータ211は天候、イベント等の項目を含む販売傾向分析データを算出し(S43)、算出した販売傾向分析データを、ストア・コントローラ221へ送信する(S44)。ストア・コントローラ221は、ホストコンピュータ211から販売傾向分析データを受信すると、受信した販売傾向分析データ、及び店舗220ごとに付与された店舗ID等の情報を、CRM装置121へ送信する(S45)。CRM装置121は、ストア・コントローラ221から販売傾向分析データ、店舗ID等の情報を受信すると、天候、イベント等の情報を他の情報と共にストア・コントローラ221内のサービス決定マスタへ格納する(S46)。顧客が自動取引装置111による取引をしている時、自動取引装置111は、顧客識別情報に加えて、天候、イベント等の情報をCRM装置121へ送信する(S48)。CRM装置121が顧客識別情報、天候、イベント等の情報を受信すると、顧客DB122内の口座マスタ、及び顧客マスタ、CRM DB124内のサービス決定マスタ、商品マスタを検索し(S49)、受信した天候、イベント等の情報を照合する。
CRM DB124内のサービス決定マスタに格納されている優先順位の情報の設定は、必須ではない。優先順位が設定されていない場合は、CRM装置121内でのDB検索処理(S49)において、サービス決定マスタを検索し(S63)、格納されている年齢層、性別と一致するレコードが複数あった場合に、ランダム、又は一致したレコード順に取得するコンテンツIDを決定する等としてもよい。
実施例3では、POSシステムで管理するセール商品情報を基にして、顧客へ提供する広告を決定する広告提供システムの例を説明する。実施例1と同様であるものについては、説明を省略する。
実施例3における広告提供システムでは、ストア・コントローラ221がセールDB225(図1参照)を格納する。
図17は、本発明の実施例3におけるストア・コントローラ221内のPLUファイル222に格納されている情報を例示する図である。図17を参照しながら、実施例1のPLUファイル222に格納される情報の替わりに、実施例3のストア・コントローラ221内のPLUファイル222に格納される情報について説明する。PLUファイル222は、店舗220で取り扱う商品の商品ID、商品名、値引き前価格、値引き後価格、セールID等の情報を格納する。
セールIDは、店舗220でのセールイベントを一意に識別するための情報である。セールイベントとは、例えば、年末セール、早朝セール、バーゲンセール等を指す。実施例3のPLUファイル222は、実施例1のPLUファイル222(図2)に格納されている情報のうち、価格の代わりに値引き前価格、値引き後価格を格納し、さらにセールIDを追加したものである。セール対象の商品のレコードは、値引き前価格と値引き後価格の情報が異なっており、セールIDに情報が格納されている。セール対象外の商品については、値引き前価格、値引き後価格の両方に同じ情報が格納されており、セールIDに“-”が格納される。
図18は、本発明の実施例3におけるストア・コントローラ221内のセールDBに格納されている情報を例示する図である。図18を参照しながら、ストア・コントローラ221内のセールDB225に格納される情報を説明する。セールDB225は、実施例1の構成に対して追加されるものである。図18に示すセールマスタは、セールID、セール開始日時、セール終了日時等の情報を格納する。
図19は、本発明の実施例3におけるCRM装置121内のCRM DB124に格納されている情報を例示する図である。図19を参照しながら、実施例1の商品マスタとサービス決定マスタとの替わりに、CRM装置121内のCRM DB124に格納される商品マスタとサービス決定マスタについて説明する。
図19(a)に示す商品マスタは、コンテンツID、店舗ID、商品ID、商品名、在庫数、値引き前価格、値引き後価格、セール開始日時、セール終了日時等の情報を格納する。図6(a)に示した商品マスタに格納されている情報のうち、価格の代わりに値引き前価格、値引き後価格を格納し、さらにセール開始日時、セール終了日時を追加したものである。セール対象の商品は、値引き前価格と値引き後価格の情報が異なっており、セール開始日時、セール終了日時に情報が格納されている。セール対象外の商品については、値引き前価格、値引き後価格の両方に同じ情報が格納されており、セール開始日時、セール終了日時に“-”が格納される。
図19(b)に示すサービス決定マスタは、顧客ID、コンテンツID、優先順位等の情報を格納する。図19(b)に示すサービス決定マスタは、図6(b)に示したサービス決定マスタに格納されている情報に、優先順位を追加したものである。優先順位は、例えば、セール終了日時の日時情報が直近であるものから、優先度が高く設定される。
ストア・コントローラ221が格納する情報を、CRM装置121へ反映することについて説明する。実施例1と異なる点は、在庫数に変化があった場合に加え、セールに関する情報に変化があった場合にも、その変化がCRM装置121へ反映されることである。以下で具体的に説明する。
ストア・コントローラ221は、商品またはセールに関する情報の入力を受け付けると、入力された情報に従って、PLUファイル222に格納された情報に対して追加、変更、削除を行う。その後、ストア・コントローラ221は、入力されたセールID、セール開始日時、セール終了日時等の情報に従って、セールDB内のセールマスタに格納された情報に対して、追加、変更、削除を行う。商品またはセールに関する情報とは、商品ID、商品名、値引き前価格、値引き後価格、セールID、セール開始日時、セール終了日時、在庫数等の商品情報、セール情報等である。ストア・コントローラへの情報入力は、店舗220で取り扱う商品の種類が増減または変更したり、価格が変更されたりした場合、或いは店舗220でのセールイベントが企画、変更、中止された場合等に実行される。ストア・コントローラへの情報入力は、ホストコンピュータ211又はPOS端末等を通じて行われる。なお、在庫DB223内の在庫マスタに格納された情報に対する追加、変更、削除は、実施例1と同様であるため、説明を省略する。
そして、ストア・コントローラ221は、PLUファイル222、セールマスタ、在庫マスタに格納された商品ID、商品名、値引き前価格、値引き後価格、在庫数、セール開始日時、セール終了日時等の商品情報、及び店舗220ごとに付与された店舗ID等の情報を、CRM装置121へ送信する。
CRM装置121は、ストア・コントローラ221から商品ID、商品名、値引き前価格、値引き後価格、在庫数、セール開始日時、セール終了日時、店舗ID等の情報を受信すると、CRM DB124内の商品マスタに、受信した店舗ID、商品ID、商品名、在庫数、値引き前価格、値引き後価格、セール開始日時、セール終了日時等を、レコードを一意に識別するコンテンツIDと共に格納する。さらに、どの顧客にどの商品を広告提供するかを定義するために、顧客DB122内の口座マスタに格納されている顧客IDと、CRM DB124内の商品マスタに格納されているコンテンツIDとを、あらかじめ定義した条件等で関連付けて、優先順位と共にサービス決定マスタへ格納する。
ここで、CRM DB124内の商品マスタに格納されているコンテンツIDを抽出する条件は、例えば、セール対象の商品である。セール対象の商品かどうかは、値引き前価格と値引き後価格の情報に差がある、又はセール開始日時、セール終了日時に日時情報が格納されているレコードとする。
商品の在庫数が0個になった場合、商品の在庫が補充された場合、又は自動取引装置111で顧客による取引があった場合については、各装置の処理動作は実施例1と同様であるため、説明を省略する。
図20は、本発明の実施例3におけるDB検索処理を例示するフローチャートである。この検索処理は、実施例1のDB検索処理の替わりに実行される。
CRM装置121のCPUは、自動取引装置111から顧客識別情報を受信すると、受信した銀行コード、店番号、口座番号等の顧客識別情報と、顧客DB122内の口座マスタに格納されている銀行コード、店番号、口座番号等の顧客識別情報を比較して、一致したレコードの顧客IDを取得する(S71)。
次にCRM装置121のCPUは、取得した顧客IDと、CRM DB124内のサービス決定マスタに格納されている顧客IDを比較して、一致したレコードのコンテンツIDを取得する(S72)。一致するレコードが複数ある場合は、最も優先順位の高いコンテンツIDが取得される。
続いてCRM装置121のCPUは、コンテンツIDを取得したかを判断し(S73)、取得しなかった場合は(S73、なし)、広告提供のための情報取得を行わず、処理を終了する。取得した場合は、取得したコンテンツIDと、CRM DB124内の商品マスタに格納されているコンテンツIDとを比較して、一致したレコードのセール開始日時とセール終了日時とを取得し(S74)、現時点の日時と比較して、セール期間中であるかを判断する(S75)。
CRM装置121のCPUは、セール期間内である場合には(S75、期間内)、CRM DB124内の商品マスタの検索において一致したレコードの在庫数を取得し(S76)、商品の在庫が有るか無いかを判断する(S77)。
CRM装置121のCPUは、セール期間中であり(S75、期間内)、かつ商品の在庫が有る場合には(S77、あり)、CRM DB124内の商品マスタに格納されている商品名、値引き前価格、値引き後価格、セール開始日時、セール終了日時等の商品情報、及び店舗IDを取得し(S78)、取得した店舗IDと、顧客DB123内の店舗マスタに格納されている店舗IDを比較して、一致したレコードの店舗名等の店舗情報を取得し(S79)、処理を終了する。
CRM装置121のCPUは、セール期間中でない場合(S75、期間外)、又は商品の在庫が無い場合には(S77、なし)、先述のS72の前に戻り、同一の顧客IDに対して、次に優先順位が高いコンテンツIDを検索する(S72)。
CRM装置121のCPUは、優先順位が次に高いコンテンツIDを取得できたかを判断し(S73)、コンテンツIDを取得できた場合(S73、あり)、取得したコンテンツIDと、CRM DB124内の商品マスタに格納されているコンテンツIDとを比較して、一致したレコードの情報が、セール期間内(S75、期間内)、かつ商品の在庫有り(S77、あり)という条件を満たすまで、CRM DB124内のサービス決定マスタ、商品マスタを検索する処理を繰り返す(S72〜S77)。
CRM装置121のCPUは、CRM DB124内のサービス決定マスタの検索(S72)の繰り返しにおいて、S71で取得した顧客IDと一致した全てのレコードが、セール期間内(S75、期間内)、かつ商品の在庫有り(S77、あり)という条件を満たさなかったと判断した場合は(S73、なし)、広告提供のための情報取得を行わず、処理を終了する。
以上説明した実施例3によれば、店舗220で管理するセール情報をCRM装置121に送信し、CRM DB124内の商品マスタ、サービス決定マスタに反映したことにより、自動取引装置111の利用顧客にリアルタイムかつ訴求効果の高いセール商品の広告を提供することができる。ひいては、サービスが顧客によって十分に活用され、顧客満足度を高くすることができる。また、顧客に広告提供しようとしたセール商品の在庫がない場合でも、代わりに在庫が有る他のセール商品の広告を優先順位に従って提供できるため、顧客への訴求機会を活用することができる。
商品がセール期間中かどうかの判断(S75)と、商品の在庫が有るか無いかの判断(S77)は、どちらが先であってもよい。
ストア・コントローラ221内のPLUファイル222、CRM DB124内の商品マスタに格納されている値引き前価格、値引き後価格は、値引き対象外の商品については、両方に同じ情報が格納されるものとしたが、片方だけに情報を格納してもよい。その場合は、DB検索処理のS75の判断は、値引き前価格と値引き後価格の情報に差があるかどうかの判断ではなく、値引き前価格と値引き後価格の片方だけに情報が格納されているという判断になる。
ストア・コントローラ221内のPLUファイル222、CRM DB124内の商品マスタに格納されている価格情報は、上記では値引き前価格と値引き後価格としたが、定価および割引率、定価および値引き額等であってもよい。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するためのプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するためのプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD(登録商標)等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上の制御線や情報線を必ずしも全て示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。