以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な実施形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
まず、本発明に係る更生管内の水位調整装置を用いた製管方法について説明する。図1は、本発明に係る更生管内の水位調整装置を用いた製管方法を示す、既設管の縦断面模式図である。この更生管の製管方法は、帯状体Bが製管機Pにより螺旋状に巻き回されて製管される更生管Sを、順次既設管K内に回転させつつ挿入する構成において、更生管Sに水位調整装置1,3が設置されているものである。
既設管Kにはマンホールが設けられており、この例ではマンホールM1,M2を利用して既設管K内に更生管Sを製管して挿入する。更生管Sの製管は、既設管KのマンホールM1からマンホールM2に向けて行う。すなわち、マンホールM1の下部内に設置された製管機Pを使用して、地上から供給される帯状体Bを螺旋状に巻き回し順次接合して更生管Sを製管し、更生管S全体を回転させながら既設管K内に挿入していく。
図1に示す製管方法においては、更生管Sの先端に水位調整装置1が設けられており、製管機側には水位調整装置3が設けられている。これらの水位調整装置により更生管内の水が排水され、更生管外の水位がL2であるのに対して更生管内の水位がL2より低いL1となる。この水位差に対応した浮力が更生管Sに作用し、更生管Sの延伸に起因する抵抗を軽減している。なお、更生管Sの先端側の水位調整装置の実施形態は、第1実施形態および第2実施形態に示し、製管機側の水位調整装置の実施形態は、第3実施形態に示す。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る更生管の水位調整装置について、図2から図5に基づき詳細に説明する。図2は、図1における更生管の先端に装着された、本発明の第1実施形態に係る更生管の水位調整装置を拡大して示した拡大縦断面図であり、図3は、図2における矢視A−Aを見た矢視図であり、図4は、図2における断面B−Bを見た断面図である。図5は、図2における拡大断面図を用いて位置調整機構を説明する説明図であり、(a)は吸水口が下方に位置する状態、(b)は吸水口が上方に位置する状態を示す。
本実施形態に係る水位調整装置1は、更生管Sの内外を管軸方向に仕切る仕切具11、更生管内の水を外に排水する排水装置21および排水装置21を支持する支持具31を主な構成要素とする。
仕切具11は、更生管Sの端部を閉塞するように装着されており、更生管内の水を堰き止めている。仕切具11は、管軸方向に垂直に広がる円形の板状の隔壁11aと、隔壁11aの外周に設置され更生管Sの内面と密着するシール11bと、円形の隔壁11aの中心に結合されて軸受を構成するフランジ11cとを主な構成要素としている。なお、円形の隔壁11aは、上部11gと下部11hの、二つの半円形の部品をボルトで結合することで構成されている。上部11gおよび下部11hには、組立の際に用いられるハンドルが設けられている。また、仕切具11の中心には孔11dが設けられており、さらに、仕切具11の中心で、更生管Sの内部側には、軸受を構成するフランジ11cが設けられている。
排水装置21は、更生管内に設けられた吸水口21aから吸水し、排水路21cを通して更生管外に設けられた吐水口21bから吐水することで、更生管内を排水するよう構成されている。
支持具31は、仕切具11に回転可能に支持されているとともに、更生管Sの内面および既設管Kの内面に接地しており、排水装置21を支持するよう構成されている。支持具31は、主軸体31a、枠体31b、受台31c、位置調整機構31d、脚31fおよび脚31gを主要な構成要素とする。
排水装置21のポンプ本体21dは、支持具31の受台31cに載置され、受台31cは枠体31bに結合されている。ここで、受台31cは枠体31bに位置調整機構31dを介して結合されており、受台31cは、枠体31bに対して上下にスライド可能に構成されている。そして、枠体31bは、断面円形の主軸体31aに結合されている。
主軸体31aは、仕切具11のフランジ11cに支持されるとともに、孔11dを通って隔壁11aを貫通し、更生管Sの外に延びている。なお、主軸体31aには径方向に突出する複数の突起部31hが設けられており、主軸体31aは、フランジ11cの内面に突起部31hを当接させながらフランジ11cに対して回転可能に支持されている。
そして、主軸体31aの内部には流路が形成されており、排水装置21の排水路21cの一部を構成するとともに、更生管Sの外側に設けられた吐水口21bに連通している。その一方で、ポンプ本体21dはその底部に吸水口21aを備えており、排水路21cに連通している。すなわち、ポンプ本体21dにより吸水口21aから吸水された水は、図2の矢印で示すように、排水路21cを通り吐水口21bから吐出される。
枠体31bの、図2における右端からは脚31fが延出しており、一方、更生管Sの外側において、主軸体31aから脚31gが延出している。脚31fには、更生管Sの円周方向にのみ回転可能に配向された従動車輪41,41が設けられ、更生管Sの内面に接地している(図4参照)。また、脚31gには、既設管Kの管軸方向にのみ回転可能に配向された従動車輪42,42が設けられ、既設管Kの内面に接地している(図3参照)。
製管工程において、更生管Sは、回転しながら既設管Kの中に挿入されていく。そのため、更生管Sの先端は、回転しながら図2における左方向に移動していく。仕切具11は、シール11bを介して密着しているため、製管工程においては、仕切具11は更生管Sとともに回転する。その一方で、排水装置21の主軸体31aは、仕切具11のフランジ11cに対して回転可能に支持されており、さらに排水装置21に結合された従動車輪41は、更生管Sに接地しつつもその円周方向に回転可能に配向されている。すなわち、排水装置21は、更生管Sに対して円周方向に自由に回転可能に構成されている。
したがって、更生管Sが回転しても、排水装置21は、更生管Sの回転に追従することなく元の位置に留まろうとする。さらに、従動車輪42は、管軸方向にのみ回転可能に配向されて円周方向には回転しないため、円周方向にグリップし、排水装置21が元の位置に留まることに寄与する。なお、従動車輪42は管軸方向には回転可能であるため、更生管Sの先端の、図2における左方向への移動には追従して更生管Sとともに左に移動するよう構成されている。
すなわち、排水装置21は、更生管Sの回転に関わらず一定の位置に維持されるため、排水装置21のポンプ本体21dに設けられた吸水口21aの、更生管Sの底部からの高さもまた、更生管Sの回転位置に関わらず一定に維持される。そのため、この排水装置21の構成により、更生管内の水位が、吸水口21aの位置に応じた水位(L1)となるまで更生管内を排水することが可能となる。
なお、図3,4に示すように、従動車輪41,42は支持具31から分離可能に構成されており、さらに、支持具31と従動車輪41,42との間にはスペーサ43,44が介在している。したがって、既設管Kおよび更生管Sの管径に応じて、介在させるスペーサ43,44の厚さを適宜変更することにより、一つの支持具31でさまざまな管径の既設管Kおよび更生管Sに対応することが可能となる。
次に、吸水口21aの高さを調整するための位置調整機構31dについて、図5に基づき説明する。図5は、図2における拡大断面図を用いて位置調整機構を説明する説明図であり、(a)は吸水口が下方に位置する状態、(b)は吸水口が上方に位置する状態を示す。
支持具31には、受台31cに結合されたワイヤー31eが、突起部31hの内部またはその脇に沿って、仕切具11の孔11dを通過して更生管Sの外まで伸びている。そのため、更生管Sの外の作業者が、ワイヤー31eを操作することができ、ワイヤー31eを引っ張ると吸水口21aが上昇するよう構成されている。
図5(a)は、ワイヤー31eを引っ張る前の状態であり、図5(b)はワイヤー31eを引っ張って吸水口21aが上昇した状態を示す。ワイヤー31eが引っ張られると、ワイヤー31eに結合された受台31cが上方に引っ張られるようにワイヤー31eが配線されている。そのため、ワイヤー31eが引っ張られると、受台31cおよび受台31cに載置されたポンプ本体21dおよび吸水口21aは上昇する。なお、ワイヤー31eの操作によって吸水口21aの位置を決めた後は、ワイヤー31eを適宜な場所に固定することで吸水口21aの位置を固定することができる。
なお、受台31cは枠体31bに対して相対的に上下にスライド可能に構成されており、その機構を図5(c)に基づき説明する。図5(c)は、図5(a)の断面C−Cの断面を示す断面図である。枠体31bは、上下に一定断面で延びる溝31iを有しており、受台31cは、上下に一定断面で延びる突起31jを有する。そして、図5(c)に示すように、溝31iに突起31jが係合しており、溝31iに対して突起31jが上下に摺動可能に構成されている。そのため、ワイヤー31eの操作により、枠体31b対して受台31cが上下にスライドする。すなわち、ワイヤー31eの操作により、吸水口21aの高さを調整することができ、排水後の更生管内の水位を調整することが可能となる。
次に、本実施形態に係る水位調整装置1の作用について説明する。まず、更生管Sの端部に水位調整装置1を装着する。仕切具11は、その外周がシール11bを介して更生管Sの内面に密着しているため、更生管Sの端部を水密に閉塞しており、更生管Sの内と外とは確実に仕切られている。そして、製管工程を開始すると、更生管Sは回転しつつ延伸する。このとき、更生管内の水位は、更生管Sの回転に追従することなく一定に保たれる。そして、仕切具11は、その外周がシール11bを介して更生管Sの内面に密着しているため、更生管Sの回転に追従して一体的に回転する。これに対して、支持具31は、更生管Sの管軸方向の移動にのみ追従し、更生管Sの回転には追従することなくその位置を維持する。そして、支持具31に結合されている排水装置21もまた、更生管Sの回転位置に関わらず吸水口21a高さを所定の高さに維持している。
そして、排水装置21は、吸水口21aが水没している限り排水を継続する。したがって、更生管内の水位は、吸水口21aの位置に応じて決まる水位(L1)まで低下する。そして、吸水口21aが水没しないと排水されないため、水位調整装置1を運転している間、更生管内の水位は水位L1で維持されることになる。
そして、吸水口21aの高さは、ワイヤー31eにより調整可能である。そのため、更生管内の水位は、ワイヤー31eの操作によって所望の水位(L1)とすることが可能となる。また、ワイヤー31eは更生管Sの外に延びているため、製管中においても更生管内の水位L1は随時変更することが可能である。
なお、上述の作用の説明においては、吸水口21aの高さを設定した上で排水装置21を継続的に運転することにより、所望の水位を得る方法について説明したが、排水装置21の運転/停止を制御することによって水位を調整することも勿論可能である。
また、仕切具11の隔壁11aは、上部11gと下部hの二つの半円部を結合して構成されているが、三つ以上に分割したものを組み立てるよう構成することも勿論可能である。また、仕切具11はその外周にシール11bが配設されているが、シール11bを使用することなくその外周を更生管Sの内面に当接させるよう構成することも可能である。
また、仕切具11は、フランジ11cを介して支持具31に対して回転可能に支持されているが、ベアリングやスイベル機構など、他の適宜な方法を用いて回転可能に支持することも可能である。
次に、本発明の第1実施形態に係る更生管内の水位調整装置の第1変形例について、図6に基づき説明する。図6は、本発明の第1実施形態に係る更生管内の水位調整装置の第1変形例を示す拡大縦断面図である。なお、図2に示した例との相違点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。図2に示した例と第1変形例との相違点は、仕切具11と更生管Sとの結合方法、および仕切具11と支持具31との結合方法である。
図2の例においては、仕切具11のフランジ11cに支持具31の主軸体31aが回転可能に支持されているのに対し、本変形例では、仕切具11のボス11eが主軸体31aに剛結合されている。なお、剛結合の手段は特に問われないが、図示しないキーを用いてボス11eと主軸体31aとが剛結合されている。また、図2の例においては、円形の板状の仕切具11は、その外周において、シール11bを介して更生管Sの内面に密着しているのに対し、本変形例では、仕切具11の外周11fは、更生管Sの内面に接してはいるものの密着してはおらず、円周方向に相対的に回転可能に構成されている。
そのため、図2の例においては、仕切具11は更生管Sと一体的に回転し、仕切具11の回転は支持具31に伝達されない。これに対して、本変形例においては、仕切具11は更生管Sの回転位置に関わらず一定の位置に保たれ、仕切具11と支持具31とが一体的に構成されている。そのため、仕切具11と支持具31の主軸体31aとの間において、回転可能となる機構を省略することができる。
本変形例に係る水位調整装置1の作用は、上述の図2に示す例と同様である。すなわち、仕切具11は更生管Sの端部を閉塞して更生管Sの内と外とを仕切り、支持具31は、更生管Sの管軸方向の移動にのみ追従し、更生管Sの回転には追従せずその位置を維持する。そして支持具31に結合されている排水装置21もまた、更生管Sの回転位置に関わらず吸水口21a高さを所定の高さに維持する。
そして、水位調整装置1を運転している間、更生管内の水位は吸水口21aに位置に応じて決まる水位L1で維持される。この水位L1は、ワイヤー31eの操作によって調整可能である。
なお、上述の通り、仕切具11の外周11fと更生管Sの内面とは密接していないため、わずかな隙間が存在し、そこから更生管Sの内外が通水する可能性がある。しかし、排水装置21を継続的に運転することによって、常時更生管内の水位が所定の水位L1となるよう排水される。したがって、水位調整装置1が有する水位調整機能を隙間が棄損することはない。
また、図6に図示した本変形例においては、主軸体31aが更生管Sの管軸を通るように配置されているが、任意の位置に配置することができ、また、任意の位置で仕切具11と結合することができる。そして、主軸体31aと仕切具11との結合の方法として、溶接などの適宜な方法を用いることができる。
次に、本発明の第1実施形態に係る更生管内の水位調整装置の第2変形例について、図7に基づき説明する。図7は、本発明の第1実施形態に係る更生管内の水位調整装置の第2変形例を示す拡大縦断面図である。なお、図6に示した第1変形例との相違点のみ説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。図6の第1変形例との相違点は、仕切具11の構成、および仕切具11と支持具31との結合方法である。
図6の第1変形例においては、仕切具の形状は円形の板状であったが、本変形例においては、仕切具11の形状は下半分のみの半円形であり、下部11hのみから構成されている。そして、本変形例の仕切具11は、円周方向に延びる溶接部11iで図示する通り、溶接により支持具31の主軸体31aに剛に結合され、溶接部11iが形成されている。そのため、本変形例に係る水位調整装置1は、部品点数が少なく、軽量で運搬および設置が容易である。
半円形の仕切具11の上縁は、直径方向に延びる水平な縁11jで規定されている。そして、仕切具11の弧状の外周11fは、更生管Sの内面の下部に接してはいるものの密着してはおらず、円周方向に相対的に回転可能に構成されている。
本変形例に係る水位調整装置1の作用は、上述の図6に示す変形例1と同様である。なお、本変形例の仕切具11は、縁11jより上側は開放しているため、更生管外の水位L2が縁11jの位置より低い場合に更生管Sの内外を仕切ることが可能である。また、仕切具11は、半円形以外に扇形とすることもでき、さらに縁11jの位置を適宜変更することも可能である。また、図7に図示した本変形例においては、主軸体31aが更生管Sの管軸を通るよう配置されているが、任意の位置に配置することができ、また任意の位置で仕切具11と結合することができる。
また、本変形例に係る仕切具11は、上部が開放した半円形であるため、更生管内の状況を更生管Sの外から見ることができる。すなわち、作業者は更生管内の水位を更生管Sの外から確認することができ、また、吸水口21aが詰まった場合など排水装置21にトラブルが発生した場合でも、作業を行うことが容易である。
次に、本発明の第1実施形態に係る更生管内の水位調整装置の第3変形例について、図8に基づき説明する。図8は、本発明の第1実施形態に係る更生管内の水位調整装置の第3変形例を示す拡大縦断面図である。なお、図6に示した第1変形例との相違点のみ説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。図6の第1変形例との相違点は、仕切具11の構成、および仕切具11と支持具31との結合の有無である。
図6の第1変形例においては、仕切具の形状は円形の板状であったが、本変形例においては、仕切具は、弾性体からなる環状の袋体であるパッカー12により構成され、パッカー12の内部に空気が注入されて拡径し、その外周12aが更生管Sの内面に密着して固定されている。そして、環状のパッカー12の内周12bを、支持具31の主軸体31aおよびワイヤー31eが貫通しており、主軸体31aとパッカー12とは結合されていない。そのため、本変形例に係る水位調整装置1は、部品点数が少なく、軽量で運搬および設置が容易である。
本変形例においては、パッカー12は更生管Sと一体的に回転し、パッカー12の回転は支持具31に伝達されないという点で、図2の例と共通している。そして、本変形例は、図2の例とは異なり、主軸体31aとパッカー12とは結合されていないため、仕切具11と支持具31の主軸体31aとを接合するための部品は不要となる。
本変形例に係る水位調整装置1の作用は、上述の図2に示す例と同様である。まず、更生管Sの端部に水位調整装置1を装着する。これにはまず、パッカー12を膨らませていない状態で、支持具31の主軸体31aをパッカー12の内周12bに通した後、パッカー12を更生管内の所定の位置にセットし、その後空気を注入して拡径させ、パッカー12の外周を更生管Sの内面に密着させる。これにより、パッカー12は、更生管Sの端部で更生管Sの内と外とを仕切る。そして、製管工程を開始すると、更生管Sは回転しつつ延伸する。支持具31は、更生管Sの管軸方向の移動にのみ追従し、更生管Sの回転には追従せずその位置を維持する。そして、支持具31に結合されている排水装置21もまた、更生管Sの回転位置に関わらず吸水口21a高さを所定の高さに維持する。
そして、水位調整装置1を運転している間、更生管内の水位は吸水口21aに位置に応じて決まる水位L1で維持される。この水位L1は、ワイヤー31eの操作によって調整可能である。
なお、パッカー12は、その外周12aにおいて水密に更生管Sの内面と密着しているが、内周12bにおいては更生管Sの内外が連通している。そのため、更生管外の水位L2が、内周12bの最低部の位置より低い場合に更生管Sの内外を仕切ることが可能である。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る更生管の水位調整装置について、図9,10に基づき説明する。図9は、本発明の第2実施形態に係る更生管内の水位調整装置を示す拡大縦断面図であり、図10は、図9に示す更生管内の水位調整装置に錘を装着した例を示す拡大縦断面図である。なお、図2に示した第1実施形態との相違点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
本実施形態に係る水位調整装置2は、更生管Sの内外を管軸方向に仕切る仕切具11、更生管内の水を外に排水する排水装置21および排水装置21を支持する梁部材51を主な構成要素とする。第1実施形態と本実施形態との相違点は、更生管Sおよび既設管Kに接地する支持具に代わって、仕切具11から片持ち状に延びる梁部材51が排水装置21を支持するという点である。仕切具11および排水装置21は、第1実施形態と全く同様であるので、梁部材51について詳細に説明する。
梁部材51は、仕切具11に片持ち状に支持されており、排水装置21を支持するよう構成されている。梁部材51は、主軸体51a、受台51cおよび位置調整機構51dを主要な構成要素とする。
主軸体51aは、仕切具11のフランジ11cに支持されるとともに、孔11dを通って隔壁11aを貫通し、更生管Sの外に延びている。なお、主軸体51aには径方向に突出する複数の突起部51hが設けられており、主軸体51aは、フランジ11cの内面に突起部51hを当接させながらフランジ11cに対して回転可能に支持されている。
そして、主軸体51aの内部には流路が形成されており、排水装置21の排水路21cの一部を構成するとともに、更生管Sの外側に設けられた吐水口21bに連通している。その一方で、ポンプ本体21dはその底部に吸水口21aを備えており、排水路21cに連通している。すなわち、ポンプ本体21dにより吸水口21aから吸水された水は、図2の矢印で示すように、排水路21cを通り吐水口21bから吐出される。
なお、梁部材51は、第1実施形態の支持具31とは異なり、更生管Sおよび既設管Kと全く接触していない。すなわち、梁部材51は、仕切具11のみにより片持ち状に支持されている。ただし、上述の通り、主軸体51aは、仕切具11のフランジ11cに対して回転可能に支持されている。そして、排水装置21は梁部材51にのみ結合されている。
したがって、更生管Sが回転しても、排水装置21は更生管Sの回転に追従することなく、元の位置に留まろうとする。すなわち、排水装置21は、更生管Sの回転に関わらず一定の位置に維持されるため、排水装置21のポンプ本体21dに設けられた吸水口21aの、更生管Sの底部からの高さもまた、更生管Sの回転位置に関わらず一定に維持される。そのため、この排水装置21の構成により、更生管内の水位が、吸水口21aの位置に応じた水位(L1)となるまで更生管内を排水することが可能となる。
なお、梁部材51も、第1実施形態の支持具31と同様に、吸水口21aの高さを調整するための位置調整機構51dを有する。位置調整機構51dは、第1実施形態と同様に、受台51cの枠体51bに対する相対的な上下スライドを可能にする機構であり、その構成も図5に示した構成と全く同様であるため、説明を省略する。また、受台51cに結合されたワイヤー51eが、突起部51hの内部またはその脇に沿って仕切具11の孔11dを通過して更生管Sの外まで伸びている点についても第1実施形態と同様であり、ワイヤー51eの操作の方法も第1実施形態と同様である。
次に、本実施形態に係る水位調整装置2の作用について説明する。まず、更生管Sの端部に水位調整装置2を装着する。このとき仕切具11は、その外周がシール11bを介して更生管Sの内面に密着しているため、更生管Sの端部を水密に閉塞しており、更生管Sの内と外とは確実に仕切られている。そして、製管工程を開始すると、更生管Sは回転しつつ延伸する。このとき更生管内の水位は、更生管Sの回転に追従することなく一定に保たれる。そして、仕切具11は、その外周がシール11bを介して更生管Sの内面に密着しているため、更生管Sの回転に追従して一体的に回転する。これに対して、梁部材51は、更生管Sの管軸方向の移動にのみ追従し、更生管Sの回転には追従することなくその位置を維持する。そして、梁部材51に結合されている排水装置21もまた、更生管Sの回転位置に関わらず吸水口21a高さを所定の高さに維持している。
そして、排水装置21は、吸水口21aが水没している限り排水を継続する。したがって、更生管内の水位は、吸水口21aの位置に応じて決まる水位(L1)まで低下する。そして、吸水口21aが水没しないと排水されないため、水位調整装置1を運転している間、更生管内の水位は水位L1で維持されることになる。
そして、吸水口21aの高さは、ワイヤー31eにより調整可能である。そのため、更生管内の水位は、ワイヤー31eの操作によって所望の水位(L1)とすることが可能となる。また、ワイヤー31eは更生管Sの外に延びているため、製管中においても更生管内の水位L1は随時変更することが可能である。
なお、上述の作用の説明においては、吸水口21aの高さを設定した上で排水装置21を継続的に運転することにより所望の水位を得る方法について説明したが、排水装置21の運転/停止を制御することによって水位を調整することも勿論可能である。
また、上述の図9に示した例では、梁部材51は更生管Sの回転に追従せず元の位置に留まる場合について説明した。しかし、仕切具11と主軸体51aとの間に作用する摩擦力によっては、梁部材51が更生管Sに追従して回転する場合が考えられる。その場合、作業員が更生管Sの外から主軸体51aを操作することにより、梁部材51の回転を抑え、元の位置に維持することが可能となる。
また、図10に示すように、主軸体51aから下方に垂下する錘52を主軸体51aに固定すると、梁部材51が回転した場合、錘52が下方に延びる位置へ復元しようとする力が働くため、梁部材51は元の位置に留まり、それに伴って吸水口21aも所定の位置に維持される。
次に、本発明の第2実施形態に係る更生管内の水位調整装置の変形例について、図11に基づき説明する。図11は、本発明の第2実施形態に係る更生管内の水位調整装置の変形例を示す拡大縦断面図である。なお、図9に示した例との相違点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。図9に示した例と本変形例との相違点は、本変形例においては、吸水口とポンプ本体とが分離したスイープポンプを用いている点、ポンプ本体を更生管の外に配置している点、および水位センサーを設けている点である。
本変形例における水位調整装置2は、仕切具11、排水装置22および梁部材51を主たる構成要素とする。仕切具11については、図9に示した例と同様の構成である。本変形例における排水装置22はスイープポンプを採用しており、吸水口22aは更生管内に配置されているのに対して、ポンプ本体22dは更生管外に配置されており、更生管内の機材の配置をシンプルにしている。吸水口22aから吸水された水は、排水路22cを通って更生管外に配置されたポンプ本体22dに設けられた吐水口22bから吐出されることで、更生管内を排水するよう構成されている。
梁部材51は、仕切具11に片持ち状に支持されており、排水装置22を支持するよう構成されている。梁部材51は、主軸体51aおよび受台51cを主要な構成要素とする。
主軸体51aには、更生管外において、受台51cが吊り下げられて設けられており、受台51cにはポンプ本体22dが載置されている。この配置により、作業者はポンプ本体22dを直接操作することも可能である。
主軸体51aの内部には流路が形成されており、排水路22cの一部を構成している。そして、主軸体51aは、仕切具11に設置されたスイベル22eに回転可能に支持されている。そして、主軸体51aの反対側には、吸水口22aまで連通する屈曲管22fがスイベル22eに結合されている。これにより、吸水口22aから吐水口22bまで連通する排水路22cが仕切具11に対して円周方向に回転可能に構成されている。そして、吸水口22aから吸水された水は、図11の矢印で示すように、排水路21cを通り吐水口21bから吐出される。
また、主軸体51aには、更生管内において、水位センサー支持棒62が鉛直方向に吊り下げられるよう設けられており、水位センサー支持棒62には、複数の水位センサー61,・・・,61が付設されている。
吸水口22a、ポンプ本体22dおよび水位センサー支持棒62は、すべて主軸体51aに結合されており、主軸体51aは仕切具11に対してスイベル22eを介して回転可能に支持されている。そのため、更生管Sが回転しても、吸水口22aは更生管Sの回転に追従することなく元の位置に留まろうとする。すなわち、吸水口22aの、更生管Sの底部からの高さもまた、更生管Sの回転位置に関わらず一定に維持される。
吸水口22aと水位センサー支持棒62とは、主軸体51aに結合されており、これらは更生管Sの回転に追従しないため、鉛直方向に延びる水位センサー支持棒62の位置は、更生管Sの回転位置に関わらず維持される。本変形例においての更生管内の水位調整は、水位センサー61の検知状態に応じてなされる。すなわち、水位センサー61が水に浸漬していれば排水装置22を運転して排水を継続し、水位センサー61が水面から露出すれば排水装置22を停止するよう制御する。このように、水位センサー61の検知状態に応じて排水装置22の作動を制御することにより、更生管内の水位が水位センサー61の位置に応じた水位L1に調整される。
本変形例ではスイープポンプが用いられているため、吸水口22aの位置を更生管Sの内面の近傍まで下げることが可能となり、これにより、更生管内の水をほぼ全て排水して大きな浮力を得ることが可能となる。
なお、図11に示す本変形例では、複数の水位センサー61,・・・,61が設けられており、この中から排水装置22の作動を制御する基準となる水位センサー61を選択できるよう構成されている。そして、排水後の更生管内の水位L1は、選択した水位センサー61の位置に応じて決まる。
また、水位センサーを複数設けてその中から基準となる水位センサーを一つ選択する方法の他に、一つ設けた水位センサーの位置を変更することによって水位を調整することも可能である。水位センサーの位置の変更には、第1実施形態で示した位置調整機構と同様な構成にすることにより実現可能である。
また、図11に示す本変形例では、水位センサー61を水に浸漬したとき排水装置22を作動させるスイッチとして構成しているが、水圧の測定により水位を計測するような水位センサーや、水面位置を光学的に測定して水位を計測するような水位センサーを採用することも勿論可能である。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る更生管の水位調整装置について、図12,13に基づき説明する。図12は、図1における更生管の製管機付近を、一部の部材を切断して拡大した拡大縦断面図であり、図13は、図12における矢視D−Dを見た矢視図である。
本実施形態に係る水位調整装置3は、更生管Sの内外を管軸方向に仕切る仕切具13、更生管内の水を外に排水する排水装置23および排水装置23を支持する支持具33を主な構成要素とする。
仕切具13は、更生管Sの製管機P側に配置され、更生管内の水を堰き止めている。仕切具13は、管軸方向に垂直な面上に広がる扇形の板状に形成されている。そして、仕切具13の外周は、更生管Sの内面に接してはいるものの、密着してはおらず、円周方向に相対的に回転可能に構成されている。
排水装置23は、更生管内に設けられた吸水口23aから吸水し、排水路23cを通して更生管外に設けられた吐水口23bから吐水することで、更生管内を排水するよう構成されている。
支持具33は、製管機PのフレームFに結合されているのと同時に仕切具13と結合されており、排水装置23を支持するよう構成されている。支持具33は、取付板33a、アーム33b、受台33cおよび位置調整機構33dを主要な構成要素とする。
排水装置23のポンプ本体23dは、支持具33の受台33cに載置され、受台33cは取付板33aに結合されている。ここで、受台33cは取付板33aに位置調整機構33dを介して結合されており、受台33cは、取付板33aに対して上下にスライド可能に構成されている。なお、受台33cに取り付けられた寸切りボルトが、取付板33aに取り付けられた部材を貫通してナットが取り付けられており、ナットを締めることによって受台33cの上下方向の位置を決めるよう構成されている。
取付板33aは矩形の板状であり、仕切具13と板厚方向に重ねられてボルト・ナットで結合されている。また、取付板33aからはアーム33b,33bが延出しており、アーム33bは製管機PのフレームFにボルト・ナットで結合されている(図13参照)。
ポンプ本体23dは、その底部に吸水口23aを備えており、また、ポンプ本体23dには吸水口23aから連通する排水路23cが延出し、更生管Sの外側に設けられた吐水口23bまで延びている。すなわち、ポンプ本体23dにより吸水口23aから吸水された水は、図12の矢印で示すように、排水路23cを通り吐水口23bから吐出される。
製管工程において、製管機Pによって後続する帯状体Bが更生管Sに順次接合されていき、更生管SはガイドローラRに沿って回転しながら既設管Kの中に挿入されていく。これに対して、仕切具13および排水装置23は、支持具33を介して製管機PのフレームFに固定されている。したがって、更生管Sが回転しても、仕切具13および排水装置23は更生管Sの回転に追従することなく元の位置に留まる。
したがって、排水装置23は、更生管Sの回転に関わらず一定の位置に維持されるため、排水装置23のポンプ本体23dに設けられた吸水口23aの、更生管Sの底部からの高さもまた、更生管Sの回転位置に関わらず一定に維持される。そのため、この排水装置23の構成により、更生管内の水位が、吸水口23aの位置に応じた水位(L1)となるまで更生管内を排水することが可能となる。
本実施形態に係る水位調整装置3の作用については、図7に示した第1実施形態に係る水位調整装置の第2変形例と同様であるため、説明を省略する。
なお、仕切具13は、図12,13に示すように、更生管Sの上部を開放する半円形として構成することも可能であるが、円形に構成することも勿論可能である。また、扇形とすることもでき、更生管外の水位に応じて上縁の位置を適宜変更することも可能である。