以下、添付図面を参照しながら本発明による循環流動層ボイラの一実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1に示す循環流動層ボイラ100は、高温で流動する固体粒子(循環材、珪砂)を循環させながら、燃料を燃焼して、蒸気を発生させる装置である。循環流動層ボイラ100では、燃料として、例えば、非化石燃料(木質バイオマス、廃タイヤ、廃プラスチック、スラッジなど)を使用することができる。循環流動層ボイラ100で発生した蒸気は、例えば発電タービンの駆動に用いられる。
循環流動層ボイラ100は、火炉1内で燃料を燃焼し、サイクロン2によって排ガスから循環材を分離して、分離された固体粒子を火炉1内に戻して循環させる。分離された循環材は、サイクロン2の下方に接続された循環材回収管3を経由して、火炉1の下部に返送される。サイクロン2によって固体粒子が取り除かれた排ガスは、バックパス5を通り、図示しない排ガス処理装置に供給される。
火炉1は、燃料を燃焼させる燃焼炉である。火炉1には、燃料を投入する投入口(不図示)が設けられている、燃焼用空気を火炉1内に供給するためのファン(不図示)が接続されている。火炉1の上部には、燃焼により生じた排ガスをサイクロン2へ排出する排出口9が設けられている。サイクロン2から排出された排ガスは、流路ユニット13を通過してバックパス5へ供給される。
排ガス流路として機能するバックパス5は、サイクロン2から排出した排ガスを下方へ流す流路を形成している。バックパス5内には、排ガスの熱を回収する伝熱部(排熱回収部)として、過熱蒸気を発生させる過熱器12、及びボイラ給水を予熱する節炭器10が設けられている。バックパス5内を流れる排ガスは、過熱器12及び節炭器10で熱交換されて冷却される。
節炭器10は、排ガスの熱をボイラ給水に伝熱して、ボイラ給水を予熱する。節炭器10は、蒸気ドラム18と配管で接続されており、予熱されたボイラ給水が蒸気ドラム18に貯留される。蒸気ドラム18内のボイラ給水は、火炉1の下部側で火炉管(不図示)に導入されて、火炉1の燃焼によって加熱され、蒸気ドラム18内で蒸発し蒸気となる。蒸気ドラム18は、内部の蒸気を過熱器12に供給する。過熱器12は、排ガスの熱を用いて蒸気を加熱して、過熱蒸気を生成する。過熱蒸気は、循環流動層ボイラ100外へ排出され、発電タービンなどに供給される。
循環流動層ボイラ100の構成について、より詳細に説明する。循環流動層ボイラ100は、設置面GD上に並ぶ複数の主要ユニット10A,10B,10Cを備えている。主要ユニット10A,10B,10Cは、循環流動層ボイラ100の中で主要な機能を果たしているユニットであると共に、物理的にも、大きな体積を占めるユニットである。主要ユニット10A,10B,10Cは、全体として上下方向に延びており、設置面GDに対して略垂直に立設されている。本実施形態においては、火炉1が主要ユニット10Aに該当し、サイクロン2が主要ユニット10Bに該当し、バックパス5が主要ユニット10Cに該当するものとする。
本実施形態では、サイクロン2が、火炉1と水平方向において隣り合うように並べられており、バックパス5は、サイクロン2と反対側の位置で、火炉1と水平方向において隣り合うように並べられている。また、火炉1の上方には、流路ユニット13が設けられている。サイクロン2及びバックパス5は、火炉1の上端よりも上方へ延びた延長部分14,16を有しており、流路ユニット13は、火炉1の上方を水平方向に延びて、サイクロン2の延長部分14とバックパス5の延長部分16とを接続する。流路ユニット13の上方には、蒸気ドラム18が設けられている。なお、循環流動層ボイラ100の全長、すなわち設置面GDから循環流動層ボイラ100の上端までの寸法は、25〜30m程度である。
火炉1は、上下方向に延びる矩形筒状の形状をなすユニットである。火炉1は、四方に平面状の外壁部1aを有している。また、火炉1の下端1bは、設置面GDから離間している。火炉1は、外壁部1aの外周側に設けられるバックステー(補強部材)21を備えている。バックステー21は、四方の外壁部1aを外周側から取り囲むように設けられており、各外壁部1aの外面に直接設けられている(図4参照)。また、バックステー21は、上下方向に所定の間隔を空けて複数設けられている。バックステー21は、火炉1の外壁部1aを補強する機能を有している。具体的には、火炉1内には燃焼ガスが通過することにより、高温状態と低温状態が繰り返されるため、火炉1の外壁部1aは、膨張する場合、及び負圧となり凹む場合がある。バックステー21は、外壁部1aを支持することによって、当該変形を抑制することができる。各辺に設けられたバックステー21は、隣り合う辺のバックステー21と連続するように連結されていてもよく、途切れて離間していてもよい。
サイクロン2は、上下方向に延びる円筒状の形状をなすユニットである。サイクロン2は、円筒状の外壁部2aを有している。サイクロン2は、上端側に径の大きい大径部分17を有し、下端側に径の小さい小径部分19を有している。また、サイクロン2の下端2b(小径部分19の下端)は、設置面GDから離間している。なお、サイクロン2の外壁部2aの外周側にも、円環状のバックステーを設けてもよい。
バックパス5は、上下方向に延びる矩形筒状の形状をなすユニットである。バックパス5は、四方に平面状の外壁部5aを有している。また、バックパス5の下端5bは、設置面GDから離間している。バックパス5は、外壁部5aの外周側に設けられるバックステー(補強部材)22を備えている。バックステー22は、四方の外壁部5aを外周側から取り囲むように設けられており、各外壁部5aの外面に直接設けられている(図4参照)。また、バックステー22は、上下方向に所定の間隔を空けて複数設けられている。バックステー22は、バックパス5の外壁部5aを補強する機能を有している。具体的には、バックパス5内には排ガスが通過することにより、高温状態と低温状態が繰り返されるため、バックパス5の外壁部5aは、膨張する場合、及び負圧となり凹む場合がある。バックステー22は、外壁部5aを支持することによって、当該変形を抑制することができる。各辺に設けられたバックステー22は、隣り合う辺のバックステー22と連続するように連結されていてもよく、途切れて離間していてもよい。
サイクロン2の大径部分17のうち、火炉1の外壁部1aの上端部分と対向する箇所は、当該火炉1の外壁部1aと伸縮継手24を介して接続されている。また、サイクロン2の大径部分17のうち、延長部分14に該当する箇所は、流路ユニット13の一端部と伸縮継手26を介して接続されている。バックパス5の延長部分16は、流路ユニット13の他端部と伸縮継手27を介して接続されている。伸縮継手24,26,27は、ユニット同士の熱膨張差を吸収するための継手である。例えば、火炉1の熱膨張による上方向への延び量と、サイクロン2の熱膨張による上方向への延び量との間に差がある場合、伸縮継手24は、当該延び量の差を吸収することができる。他の伸縮継手24も同趣旨の機能を有する。
本実施形態に係る循環流動層ボイラ100においては、複数の主要ユニット10A,10B,10Cには、設置面GDに延びる脚部30,40,50がそれぞれ設けられている。各主要ユニット10A,10B,10C(すなわち、火炉1、サイクロン2、及びバックパス5)は、当該脚部に支持されることによって、設置面GD上で自立可能である。
主要ユニット10Aである火炉1には脚部30が設けられており、火炉1は、当該脚部30に支持されることによって、設置面GD上で自立可能である。脚部30は、火炉1に直接的に固定された複数本の柱31によって構成されている。柱31は、火炉1の外壁部1aと対向するように当該外壁部1aの外周側の位置において、鉛直方向に延びている。柱31は、火炉1の下端1bよりも下方へ延びており、設置面GDまで延びている。これにより、柱31は、下端1bが設置面GDから離間するように火炉1を支持することができる。柱31は、矩形筒状の火炉1の四隅にそれぞれ設けられている。柱31を四隅に設けることにより、火炉1をバランスよく支持することができる。ただし、主要ユニット10Aである火炉1を自立可能に支持できる限り、柱31の本数は特に限定されず、4本より少なくても多くてもよい。また、柱31を設ける位置も特に限定されない。柱31の断面形状も特に限定されず、断面H状でもよく、断面矩形状(矩形管状)であってもよく、断面円形状(円管状)であってもよい。
柱31は、上下方向に延びており、上下方向に間隔を空けて設けられる複数のバックステー21のそれぞれに連結されている。本実施形態では、柱31は、バックステー21に直接的に固定されている(図4参照)。ただし、柱31とバックステー21との間に、固定のためのブラケットや振動吸収部材などを配置してもよい。本実施形態では、柱31は、最も下側のバックステー21から、最も上側のバックステー21に至るまで全てのバックステー21に固定されている。ただし、最も上側のバックステー21まで及んでいなくともよい。
主要ユニット10Bであるサイクロン2には脚部40が設けられており、サイクロン2は、当該脚部40に支持されることによって、設置面GD上で自立可能である。脚部40は、サイクロン2に直接的に固定された脚部材41によって構成されている。脚部材41は、サイクロン2の小径部分19を延長するように、円柱状(円筒状)の形状をなしている。脚部材41は、サイクロン2の下端2bから設置面GDまで延びている。これによって、サイクロン2は、下端2bが設置面GDから離間した状態にて、脚部材41に支持される。ただし、脚部材41の形状や大きさは特に限定されず、小径部分19よりも径を大きくしてもよく、形状も矩形などにしてもよい。
主要ユニット10Cであるバックパス5には脚部50が設けられており、バックパス5は、当該脚部50に支持されることによって、設置面GD上で自立可能である。脚部50は、バックパス5に直接的に固定された複数本の柱51によって構成されている。柱51は、バックパス5の外壁部5aと対向するように当該外壁部5aの外周側の位置において、鉛直方向に延びている。柱51は、バックパス5の下端5bよりも下方へ延びており、設置面GDまで延びている。これにより、柱51は、下端5bが設置面GDから離間するようにバックパス5を支持することができる。柱51は、矩形筒状のバックパス5の四隅にそれぞれ設けられている。柱51を四隅に設けることにより、バックパス5をバランスよく支持することができる。ただし、主要ユニット10Cであるバックパス5を自立可能に支持できる限り、柱51の本数は特に限定されず、4本より少なくても多くてもよい。また、柱51を設ける位置も特に限定されない。柱51の断面形状も特に限定されず、断面H状でもよく、断面矩形状(矩形管状)であってもよく、断面円形状(円管状)であってもよい。
柱51は、上下方向に延びており、上下方向に間隔を空けて設けられる複数のバックステー22のそれぞれに連結されている。本実施形態では、柱51は、バックステー22に直接的に固定されている(図4参照)。ただし、柱51とバックステー22との間に、固定のためのブラケットや振動吸収部材などを配置してもよい。本実施形態では、柱51は、最も下側のバックステー22から、上下方向の中途位置に設けられたバックステー22(略中間位置におけるバックステー22)に至るまでの各バックステー22に固定されている。ただし、最も上側のバックステー22まで及び、全てのバックステー22に固定されていてもよい。
主要ユニット100A,100B,100Cの外壁部1a,2a,5a(及び流路ユニット13の外壁部)には、水平方向に広がる床部60A,60B,60Cが設けられている。床部60A,60B,60Cは、作業者が点検などの作業を行う際に用いられる足場であり、必要な箇所に設けられ、特に位置は限定されない。なお、図1においては、循環流動層ボイラ100の構造を明確にするために床面は示しておらず、床部60A,60B,60Cの外形の輪郭のみを太線で示している。なお、太線で囲まれた部分の全域に床面を設ける必要はなく、必要な部分にのみ設けてよい。
床部60Aは、火炉1及びサイクロン2に対して設けられる足場であり、火炉1及びサイクロン2周りに設けられる。床部60Bは、バックパス5に対して設けられる足場であり、バックパス5周りに設けられる。床部60Cは、サイクロン2(延長部分14)及び流路ユニット13に対して設けられる足場であり、サイクロン2及び流路ユニット13周りに設けられる。
床部60A,60B,60Cは、火炉1、サイクロン2、又はバックパス5に対して直接的に設けられている。すなわち、床部60A,60B,60Cは、循環流動層ボイラ100の周囲に設けられた構造物(図2に示す鉄骨架構250など)に形成されることによって、火炉1、サイクロン2、又はバックパス5付近に配置されているものではなく、火炉1、サイクロン2、又はバックパス5自身が床部60A,60B,60Cの荷重を支持するように直接的に取り付けられている。
例えば、図3(a)に示すように、床部60A,60B,60Cは、外壁部1a,2a,5aに内側の縁部が固定(ブラケットなどを介してよい)された床部材61と、当該床部材61を下方で支持する支持部材62と、を備えている。支持部材62は、一端で外壁部1a,2a,5aに固定されると共に斜め上方へ傾斜し、他端で床部材61の外側の縁部側に固定される。これによって、床部材61の荷重は支持部材62を介して外壁部1a,2a,5aに伝達される。なお、床部材61及び支持部材62が固定される箇所は、特に限定されず、外壁部1a,2,5aに代えてバックステー21,22であってもよい。なお、支持部材62は、床部材61を支持できるものであれば特に限定されず、斜材でなくともよく、L字状に屈曲するような部材でもよい。
次に、本実施形態に係る循環流動層ボイラ100の作用・効果について説明する。
まず、比較例に係る循環流動層ボイラ200の設置構造について説明する。図2に示すように、比較例に係る循環流動層ボイラ200は、当該循環流動層ボイラ200を取り囲むように設けられた鉄骨架構250に吊り下げられることによって、支持されている。鉄骨架構250は、循環流動層ボイラ200の周りを取り囲むように配置された複数の柱251及び梁252によって構成されている。また、鉄骨架構250には、足場として機能する床部260が設けられている。なお、図2において、太線は、床部260の外形の輪郭を示しているのみならず、梁252が設けられる位置も示している。
梁252は、各柱251同士を連結する梁として機能すると共に、床部260の床部材261(図3(b)参照)を支持する床支持梁としても機能する。また、梁252Aは、火炉1の荷重を支持するための荷重支持梁としても機能する。当該梁252Aは、火炉1の上端部付近と連結される。これにより、火炉1は、梁252Aに吊り下げられた状態となる。また、上下方向の中間位置付近の梁252Bは、サイクロン2及びバックパス5の荷重を支持するための荷重支持梁としても機能する。当該梁252Bは、サイクロン2の中間位置付近と連結されると共に、バックパス5の中間位置付近と連結される。これにより、サイクロン2及びバックパス5は、梁252Bに吊り下げられた状態となる。複数の柱251(図2の例では、6本)は、火炉1の荷重支持梁である梁252A、及びサイクロン2とバックパス5の荷重支持梁である梁252Bと連結されている。従って、複数の柱251は、循環流動層ボイラ200全体の荷重を、全本共通で支持している。
鉄骨架構250が循環流動層ボイラ200を吊り下げるための、梁252と循環流動層ボイラ200との間の連結構造は、特に限定されない。例えば、図4(b)に示すように、荷重支持用の梁252とバックステー21,22との間をアーム256で連結してもよい。
また、比較例に係る循環流動層ボイラ200に設けられる床部260は、図3(b)に示すように、火炉1、サイクロン2、及びバックパス5自体に設けられているのではなく、鉄骨架構250に設けられている。具体的には、床部260の床部材261の外側の縁部は梁252で支持されている。また、床部材261の内側の縁部は、鉄骨架構250に追加で架け渡された梁253で支持される。あるいは、床部材261の内側の縁部は、柱251(あるいは、柱251同士に追加で架け渡される図示されない梁)に連結された支持部材262によって支持される。または、梁253及び支持部材262の両方で支持してもよい。
図2に示すような循環流動層ボイラ200の支持構造の場合、据え付け工事上、鉄骨架構250を設置場所に先行して設け、当該鉄骨架構250に対して循環流動層ボイラ200本体を据え付ける必要があった。また、循環流動層ボイラ200全体を吊り下げることができる程度の大きな鉄骨架構250を設ける必要があった。しかしながら、このような構造では、据え付け作業に手間がかかることにより、工期が長期化してしまうという問題があった。
本実施形態に係る循環流動層ボイラ100によれば、複数の主要ユニット10A,10B,10Cには、設置面GDに向かって延びる脚部30,40,50がそれぞれ設けられている。また、脚部30,40,50に支持されることによって、複数の主要ユニット10A,10B,10Cは、設置面GD上で自立可能である。このような構成により、設置場所に先行して鉄骨架構250などを設ける工程を不要とすることができる。すなわち、工場では主要ユニット10A,10B,10Cに脚部30,40,50を設けたものを予め作り込んでおき、それらを設置場所に運搬した後、直ちに自立させることによって循環流動層ボイラ100の据え付けを完了させることができる。また、循環流動層ボイラ100を設置面GD上に立たせるのに必要な構造は、図2の鉄骨架構250のような大型の構造物ではなく、シンプル且つ小型の構造物である、脚部30,40,50だけである。従って、脚部30,40,50を各主要ユニット10A,10B,10Cに設ける作業も容易に、短期間で行うことができる。以上によって、据え付けを容易に行うことができる。これにより、循環流動層ボイラ100の据え付けのための工期を短縮することができる。
なお、「自立」とは、主要ユニット自体に直接設けられた部材(脚部)の支持力によって、鉛直方向に作用する主要ユニットの自重を支えることができる状態である。各主要ユニットは、他の主要ユニットへの荷重分散や、外部の鉄骨架構などの支えがなくても、自身に設けられた脚部の支持力のみで、自重を支えられる。図2に示す構造のように、独立して自立可能な鉄骨架構250のような構造物に吊り下げられることによって姿勢を維持された状態は、「自立」には該当しない。なお、主要ユニットは、脚部の支持力によって、鉛直方向に作用する自重のみならず、水平方向のバランスをとる(また、風や地震などの際に作用する水平方向の荷重も支えることができる)ことができることが好ましい。すなわち、各ユニットは、脚部の支持力によって、独立して水平方向のバランスを取り、水平方向の荷重に耐えて、姿勢を維持できることが好ましい。ただし、水平方向のバランス及び荷重に関しては、主要ユニット単独で独立して姿勢を維持できる必要はなく、少なくとも、循環流動層ボイラ100全体の据え付けが完了した状態で、他の主要ユニットとの関わり合いによって、姿勢が維持できていればよい(その場合でも、鉛直方向への自重に関しては、自身の脚部で支持できている)。例えば、サイクロン2は、脚部40の支持力によって、独立して(すなわち、火炉1やバックパス5の支えが無くとも)水平方向のバランスを取れるような構造とすることが好ましいが、据え付け完了の状態にて、火炉1やバックパス5による水平方向の支持力によってバランスを取ることが出来ていればよい。
また、例えば、主要ユニットのうち、一部の主要ユニットが自立構造であり、他の一部の主要ユニットが吊り下げ構造で支持されていた場合は、次のような問題が生じる。例えば、主要ユニット10A(火炉1)が鉄骨架構で吊り下げ支持され、主要ユニット10B(サイクロン2)が自立構造であった場合、自立構造に係るサイクロン2は上方に向かって熱膨張する一方、吊り下げ支持に係る火炉1は下方に向かって熱膨張する。このように各主要ユニット10A,10Bが異なる方向へ熱膨張するため、伸縮継手26として、大きな熱膨張差を吸収可能なものを採用しなくてはならい。当該部分への大きな伸縮継手の設置は、循環粒子の多いことによる摩耗による消耗リスクと、高温化での運用による寿命リスクを考慮する必要性が生じる。これに対して、本実施形態に係る循環流動層ボイラ100は、全ての主要ユニット10A,10B,10Cが自立構造を有しているため、熱膨張の方向が全て上方へ向いている。従って、伸縮継手26,27を必要以上に大きくする必要がなくなる。
また、本実施形態に係る循環流動層ボイラ100において、主要ユニット10A,10Cは、外壁部1a,5aの外周側に設けられたバックステー21,22を、上下方向に複数備え、脚部30,50は、それぞれのバックステー21,22に連結されていている。このように、バックステー21,22に脚部30,50の柱31,51を連結させることによって、主要ユニット10A,10Cの補強構造と自立構造とを共通化させることができる。これにより、自立構造を容易な構造にて構成することが可能となる。また、このように強度の高いバックステー21,22に直接柱31,51を連結させることで、高い強度を維持しながらも、部品点数を減らすことができると共に、脚部30,50が占める空間を小さくすることができる。例えば、図4(b)に示すように、比較例に係る構造では、外壁部1a,5aから離間する位置に、柱251に加えて梁252も設ける必要があった。従って、部品点数が増えると共に、鉄骨架構250が占める空間も大きくなる。一方、図4(a)に示すように、本実施形態では、脚部30,50を設けるには、柱31,51が四本あればよく、それらが占める空間も、外壁部1a,5aの周辺の僅かな空間のみである。
ここで、各主要ユニット10A,10B,10Cが脚部30,40,50によって自立しているため、鉄骨架構250を設ける必要がないが、当該鉄骨架構250に支持されていた床部260を設けることもできない。それに対し、本実施形態に係る循環流動層ボイラ100では、主要ユニット10A,10B,10Cには、水平方向に広がる床部60A,60B,60Cが設けられている。このように、主要ユニット10A,10B,10C自身に床部60A,60B,60Cを設けることで、鉄骨架構250に構成される床部を設けることなく、主要ユニット10A,10B,10Cの点検を行うことが可能となる。
また、図2にように鉄骨架構250に床部260を設ける場合、当該床部260の構成は、柱251及び梁252の配置等によって限定される。すなわち、床部260を自由な位置に自由に設けようとしても、柱251及び梁252の配置の制限を受けてしまう。一方、本実施形態では、床部60A,60B,60Cを主要ユニット10A,10B,10Cに直接設けているため、所望の位置に所望の大きさのものを設けることができる。脚部30,40,60も主要ユニット10A,10B,10Cに直接設けられ、自立構造と床部60A,60B,60Cの構造は互いに独立しているため、脚部30,40,60は、床部60A,60B,60Cを設ける際の制限にはならない。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、各主要ユニット10A,10B,10Cの配置、すなわち、火炉1、サイクロン2及びバックパス5の配置は、図1に示すものに限られず、あらゆる配置を採用してよい。また、火炉1、サイクロン2及びバックパス5以外の主要ユニットを更に追加してもよい。また、実施形態では、主要ユニットが三つあったが、(何れかを一つのユニットに共通化することにより)二つであってもよい。
また、脚部の構造は、主要ユニットの自立構造を実現できるものであれば、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、棒状の柱でなくともよく、火炉1及びバックパス5に対して四方にパネル状の部材を設けてもよい。また、サイクロン2も円柱状の脚部材41ではなく、側面に設けた柱で支持されてもよい。また、脚部の固定位置は、強度の高いバックステーが好ましいが、外壁部に直接固定してもよい。