JP5991831B2 - 蛍光プローブ - Google Patents

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Description

本発明は蛍光プローブに関する。具体的には、試験管内及び生細胞内の鉄(II)イオンを選択的かつ高感度で測定することができる蛍光プローブに関する。
鉄は人体中において最も多く含まれている遷移金属種であり、酸素運搬や呼吸器系における電子伝達などをはじめ、様々な生命現象に関与している。一方、体内における鉄の濃度異常はがん、アルツハイマー病、パーキンソン病などの重篤疾患に関与することが指摘されており、特に、生体内遊離鉄イオンの大半を占める鉄(II)イオンはその高い活性酸素種生成能のために、最近アスベスト発がんやC型肝炎においてもその関与が示唆されている。(例えば、特許文献1及び2、非特許文献1〜5)。そのため、生細胞や生組織中において鉄(II)イオンを選択的に検知できかつ濃度変化を鋭敏に検知できる蛍光プローブが開発できれば、鉄(II)イオンが関与する病態や生命現象の研究、医薬品開発等においてに非常に重要な手法となる。
近年、生体分子、イオン等を標識できる蛍光プローブの開発が積極的に行われており、例えば、フルオレセイン、ローダミン等の蛍光団を基本骨格として有する蛍光プローブが数多く報告されている(例えば、特許文献3及び4、非特許文献6及び7等)。
これまで、鉄イオンを検知する蛍光プローブとしては消光型鉄イオン検出プローブの報告例はあるが(例えば、非特許文献8及び9等)、このプローブでは鉄イオンの検知感度や選択性が低く濃度変化を鋭敏に検知することが困難であった。
また、特許文献5には、アルミニウムイオン及び/又は第二鉄イオン測定用の蛍光プローブが報告されているが、対象が鉄(III)イオンであり鉄(II)イオンを対象とするものではないし、金属イオンの選択性も充分ではない。
このように、依然として、鉄(II)イオンを選択的かつ高感度で測定できる新たな蛍光プローブが望まれていた。
特開2011-79834号公報 米国特許出願公開第2009/137612号明細書 国際公開第01/62755号 国際公開第99/01447号 特開2004-101389号公報
Bartzokis, G. et al. In vivo evaluation of brain iron in Alzheimer's disease and normal subjects using MRI. Biol. Psychiatry 35, 480-487 (1994) Cuajungco, M.P. et al. Metal chelation as a potential therapy for Alzheimer's disease. Ann. N. E. Acad. Sci. 920: 292-304 (2000) Dexter, D. T. et al. Increased Nigral Iron Content and Alterations in Other Metal Ions Occurring in Brain in Parkinson's Disease. J. Neurochem. 52, 1830-1836 (1989) Toyokuni, S. Elucidation of Asbestos-induced Carcinogenesis and Its Application to Prevention, Diagnosis and Treatment in Relation to Iron. Japan. J. of Lung Cancer 49(4), 362-367 (2009) Nishina S, Korenaga M, Hidaka I, Shinozaki A, Sakai A, Gondo T, Tabuchi M, Kishi F, Hino K. Hepatitis C virus protein and iron overload induce hepatic steatosis through the unfolded protein response in mice. Liver Int. 30(5) 683-92 (2010) Kikuchi, K., Komatsu, K. & Nagano, T. Zinc sensing for cellular application. Current opinion in chemical biology 8, 182-91 (2004) Que, E.L., Domaille, D.W. & Chang, C.J. Metals in neurobiology: probing their chemistry and biology with molecular imaging. Chemical reviews 108, 1517-49 (2008) Fakih, S. et al. Targeting the lysosome: fluorescent iron(III) chelators to selectively monitor endosomal/lysosomal labile iron pools. Journal of medicinal chemistry 51, 4539-52 (2008) Rauen, U. et al. Assessment of Chelatable Mitochondrial Iron by Using Mitochondrion-Selective Fluorescent Iron Indicators with Different Iron-Binding Affinities. ChemBioChem 8, 341-352 (2007)
本発明は、鉄(II)イオンを選択的かつ高感度で測定できる蛍光特性を有する化合物及びその化合物を用いた鉄(II)イオン選択的蛍光プローブを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、後記一般式(I)で表される化合物が、鉄(II)イオンを選択的かつ高感度で検出(測定)できることを見出した。かかる知見に基づきさらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
本発明は、下記の化合物及び蛍光プローブ(特に、鉄(II)イオン選択的蛍光プローブ)を提供する。
項1.一般式(I):
Figure 0005991831
(式中、
及びRは同一又は異なって、低級アルキル基、カルボキシ低級アルキル基、アリール基又はアリール低級アルキル基であり、
及びRは同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子又は低級アルキル基であり、
及びRが互いに結合して隣接する窒素原子と共にピロリジン環、ピペリジン環又はモルホリン環を形成していてもよく、
及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成していてもよく、
及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成していてもよく、
は水素原子、保護されていてもよい水酸基、低級アルコキシ基又は式(A):−NR5152(式中、R51及びR52は同一又は異なって、低級アルキル基、カルボキシ低級アルキル基、アリール基又はアリール低級アルキル基であり、或いはR51及びR52が互いに結合して隣接する窒素原子と共にピロリジン環、ピペリジン環又はモルホリン環を形成していてもよい。)で示される基であり、
及びRは同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子又は低級アルキル基であり、
が式(A)で示される基のとき、R51及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成していてもよく、R52及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成していてもよく、
は水素原子、水酸基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、−N=C=O、−N=C=S、スルホ基又は活性エステル基であり、m及びnは同一又は異なって、0又は1である。)
で表される化合物。
項2.一般式(I)において、R及びRが同一又は異なって、C1〜C6アルキル基であり、R及びRが水素原子であり、或いはR及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成していてもよく、R及びRが結合してトリメチレン基を形成していてもよく、Rが式(A):−NR5152で示される基であり、R51及びR52は同一又は異なって、C1〜C6アルキル基であり、R及びRが水素原子であり、或いはR51及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成していてもよく、R52及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成していてもよく、Rが水素原子であり、mが0であり、nが0である、項1に記載の化合物。
項3.一般式(I)において、R及びRが同一又は異なって、C1〜C3アルキル基であり、R及びRが水素原子であり、Rが式(A):−NR5152で示される基であり、R51及びR52は同一又は異なって、C1〜C3アルキル基であり、R及びRが水素原子であり、Rが水素原子であり、mが0であり、nが0である、項1又は2に記載の化合物。
項4.項1〜3のいずれか一項に記載の化合物を含む蛍光プローブ(特に、鉄(II)イオン選択的蛍光プローブ)。
項5.一般式(I):
Figure 0005991831
(式中、
及びRは同一又は異なって、低級アルキル基、カルボキシ低級アルキル基、アリール基又はアリール低級アルキル基であり、
及びRは同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子又は低級アルキル基であり、
及びRが互いに結合して隣接する窒素原子と共にピロリジン環、ピペリジン環又はモルホリン環を形成していてもよく、
及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成していてもよく、
及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成していてもよく、
は水素原子、保護されていてもよい水酸基、低級アルコキシ基又は式(A):−NR5152(式中、R51及びR52は同一又は異なって、低級アルキル基、カルボキシ低級アルキル基、アリール基又はアリール低級アルキル基であり、或いはR51及びR52が互いに結合して隣接する窒素原子と共にピロリジン環、ピペリジン環又はモルホリン環を形成していてもよい。)で示される基であり、
及びRは同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子又は低級アルキル基であり、
が式(A)で示される基のとき、R51及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成していてもよく、R52及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成していてもよく、
は水素原子、水酸基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、−N=C=O、−N=C=S、スルホ基又は活性エステル基であり、m及びnは同一又は異なって、0又は1である。)
で表される化合物の製造方法であって、一般式(II):
Figure 0005991831
(式中、R〜R、m及びnは前記に同じ。)
で表される化合物を酸化反応に付すことを特徴とする製造方法。
本発明の化合物(一般式(I)で表される化合物)は、試験管内及び細胞内の両方において、鉄(II)イオンを高選択的かつ高感度で検出できる蛍光特性を有している。
具体的には、本発明の化合物は、鉄(II)イオンとの反応により化合物のN‐オキシドが還元されアミノ化合物に変換されて強い蛍光を発するが、鉄(II)イオン以外の金属イオンや鉄(III)イオンとは反応しないため蛍光を発しない。また、遊離している活性な鉄(II)イオンとのみ選択的に反応し、キレート剤で安定化された不活性な鉄(II)イオンとは反応しない。さらに、鉄(II)イオンとの反応により強い蛍光を発するため検出感度が高く、鉄(II)イオンの濃度に応じて蛍光強度の増大が観測されるため、鉄(II)イオン濃度を定量的に評価することができる。
そのため、本発明の化合物は、試験管内及び細胞内における鉄(II)イオンの増減を蛍光顕微鏡等で選択的かつ定量的に検出できるため、鉄(II)イオン選択的蛍光プローブとして極めて有用である。
また、本発明の化合物は、蛍光特性を持つローダミン基本骨格を有する化合物(一般式(II)で表される化合物)のベンゼン環に結合した3級アミノ基を酸化して得られるN−オキシド化合物であり、原料の入手が容易でかつ極めて簡便に製造することができる。
(a) RhoNox-1の蛍光スペクトル変化を示す。破線:硫酸鉄(II)添加前。実線:添加一時間後。励起波長:530 nm。濃度:2 μM RhoNox-1、20 μM 硫酸鉄、50 mM HEPES緩衝液 (pH 7.4)。(b) 金属選択性試験の結果を示す。それぞれ575 nmにおける相対的蛍光強度を示す(コントロールを1とする)。灰色:表記の金属イオンのみを添加した時の蛍光強度変化。黒色:各金属イオンに加え20 μM鉄(II)イオンを添加した際の蛍光強度変化。反応時間:1時間。金属イオン濃度:Na, K, Mg, Ca = 1 mM, 他の金属種 = 20 μM。 (a) 添加した鉄(II)イオンの各濃度に対して得られた蛍光強度増加分をプロットしたグラフである。(b) (a)の拡大図である。 各種活性酸素種および還元剤、キレーターに対する蛍光強度変化を示す。1: RhoNox-1のみ、 2: 100 μM Na2S2O3、 3: 1 mM アスコルビン酸ナトリウム、 4: 1 mM システイン、 5: 1 mM 還元型グルタチオン、 6: 100 μM 亜硝酸ナトリウム、 7: 100 μM 過酸化カリウム、 8: 100 μM 過酸化水素、 9: ・OH, 10: 100 μM NaOCl、 11: 100 μM 2,2'-ビピリジル及び20 μM FeSO4、 12: 20 μM FeSO4. RhoNox-1と硫酸鉄の反応混合物のHPLCチャートを示す。(a) RhoNox-1のみ、(b) 50 μM RhoNox-1に500 μM硫酸鉄を添加し、一時間後の反応混合物、(c) ローダミンBのみ。質量電荷比459.1 (理論値 [RhoNox-1+H]+ = 459.2) が 12.2分において検出され、同様に443.2 (理論値 [Rhodamine B + H]+ = 443.2)が12.9分において検出された。 共焦点蛍光顕微鏡を用いたHepG2細胞における鉄イオン濃度の検出を示す。(a) 5 μM RhoNox-1処理のみの細胞。(b) 100 μMの鉄処理した細胞にRhoNox-1を添加した細胞。(c) (b)の明視野画像と核染色画像の重ね合わせ画像。(d) 鉄処理した細胞に1 mMビピリジルとRhoNox-1を添加した細胞。(e) ビピリジルとRhoNox-1のみを添加した細胞。(f) (a), (b), (d), (e)を定量化したグラフ。** P < 0.005、* P < 0.01 共焦点蛍光顕微鏡を用いたHepG2細胞における鉄イオン濃度の検出を示す。(a) 0 μM、(b) 10 μM、(c) 20 μM、(d) 50 μM、(e) 100 mMのFASで処理し、RhoNox-1を添加した細胞の蛍光イメージング写真。(f)から(j) aからeに対応する明視野画像。(k) イメージング写真からシグナル強度を定量化したもの。**P < 0.01 共焦点蛍光顕微鏡を用いたMCF-7細胞における鉄イオン濃度の検出を示す。(a) 5 μM RhoNox-1のみ。(b) 100 μMの鉄処理した細胞にRhoNox-1を添加した細胞。(c) (b)の明視野画像と核染色画像(Hoechst 33342)の重ね合わせ画像。(d) 鉄処理した細胞にビピリジルとRhoNox-1を添加した細胞。(e) 1 mMビピリジルとRhoNox-1のみを添加した細胞。(f) (a), (b), (d), (e)を定量化したグラフ。** P < 0.01、* P < 0.05
以下、本発明について詳細に説明する。
1.本発明化合物
本発明の化合物は、一般式(I)で表されるN−オキシドを有する化合物であり、鉄(II)イオンを高選択的かつ高感度で検出できる蛍光特性を有しているため、鉄(II)イオン選択的蛍光プローブとして極めて有用である
、R、R、R、R51、R52、R及びRで示される「低級アルキル基」としては、例えば、直鎖又は分枝鎖のC1〜C6アルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基等が挙げられる。好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基のC1〜C3アルキル基であり、より好ましくは、メチル又はエチル基である。
、R、R51及びR52で示される「カルボキシ低級アルキル基」としては、上記「低級アルキル基」の1個以上の水素原子がカルボキシル基で置換された基であり、例えば、1〜3個(特に、1個)のカルボキシル基を有する直鎖又は分枝鎖のC1〜C6アルキル基が挙げられ、具体的には、カルボキシメチル基、2−カルボキシエチル基、3−カルボキシプロピル基、4−カルボキシブチル基等が挙げられる。好ましくは2−カルボキシエチル基である。
、R、R51及びR52で示される「アリール基」としては、例えば、単環又は二環のアリール基が挙げられ、具体的には、フェニル基、トルイル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。好ましくはフェニル基である。
、R、R51及びR52で示される「アリール基低級アルキル基」としては、上記「低級アルキル基」の1個以上の水素原子がアリール基で置換された基であり、例えば、ベンジル基、フェネチル基等のフェニルC1〜6アルキル基が挙げられる。好ましくはベンジル基である。
、R、R及びRで示される「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
で示される「低級アルコキシ基」としては、例えば、直鎖又は分枝鎖のC1〜C6アルコキシ基が挙げられ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシル基オキシ、イソヘキシルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基等が挙げられる。
で示される「保護されていてもよい水酸基」における保護基としては、例えば、メトキシメチル基、2−テトラヒドロピラニル(THP)基、アセチル基等が挙げられる。
及びRが互いに結合して隣接する窒素原子と共にピロリジン環、ピペリジン環又はモルホリン環を形成するとは、具体的には、式:
Figure 0005991831
(式中、R又はRは前記に同じ。)
で示される基が、式:
Figure 0005991831
(式中、XはO又はCHである。)
で示される基であることを意味する。
及びRが互いに結合してトリメチレン基(-CH2CH2CH2-;以下同じ)を形成する、及び/又は、R及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成するとは、式:
Figure 0005991831
(式中、R、R、R及びRは前記に同じ。)
で示される基が、式:
Figure 0005991831
(式中、R、R、R及びRは前記に同じ。)
で示される基であることを意味する。
が式(A)で示される基の場合、R51及びR52が互いに結合して隣接する窒素原子と共にピロリジン環、ピペリジン環又はモルホリン環を形成するとは、具体的には、式:
Figure 0005991831
(式中、R51又はR52は前記に同じ。)
で示される基が、式:
Figure 0005991831
(式中、YはO又はCHである。)
で示される基であることを意味する。
が式(A)で示される基のとき、R51及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成する、及び/又は、R52及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成するとは、式:
Figure 0005991831
(式中、R51、R52、R、R及びnは前記に同じ。)
で示される基が、式:
Figure 0005991831
(式中、R51、R52、R及びRは前記に同じ。)
で示される基であることを意味する。
で示される「低級アルコキシカルボニル基」としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基等の直鎖又は分枝鎖の(C1〜C6アルコキシ基)カルボニル基が挙げられる。
で示される活性エステル基としては、カルボキシル基(−COOH)が反応性の高い活性エステルに変換された基であり、例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミドを用いた活性エステル基(例えば、−C(=O)OSu:Suはコハク酸イミド基)、カルボン酸を混合酸無水物にした基(例えば、−C(=O)OC(=O)R:RはC1〜C6アルキル基)、CDIを用いたイミダゾライド基(例えば、−C(=O)−Im:Imは1−イミダゾリル基)等が挙げられる。
が結合するベンゼン環の結合位置として好ましくは、
Figure 0005991831
(式中、Rは前記に同じ。)
が挙げられる。
mは0又は1であり、好ましくは0である。
nは0又は1であり、好ましくは0である。
本発明の化合物の好ましいものとしては、一般式(I)において、R及びRが同一又は異なって、C1〜C6アルキル基であり、R及びRが水素原子であり、或いはR及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成していてもよく、R及びRが結合してトリメチレン基を形成していてもよく、Rが式(A):−NR5152で示される基であり、R51及びR52は同一又は異なって、C1〜C6アルキル基であり、R及びRが水素原子であり、或いはR51及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成していてもよく、R52及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成していてもよく、Rが水素原子であり、mが0であり、nが0である、化合物が挙げられる。
本発明の化合物のより好ましいものとしては、一般式(I)において、R及びRが同一又は異なって、C1〜C3アルキル基であり、R及びRが水素原子であり、Rが式(A):−NR5152で示される基であり、R51及びR52は同一又は異なって、C1〜C3アルキル基であり、R及びRが水素原子であり、Rが水素原子であり、mが0であり、nが0である、化合物が挙げられる。
本発明の化合物の特に好ましいものとしては、一般式(Ia):
Figure 0005991831
(式中、R、R、R、R、R51、R52、R及びRは前記に同じ。)
で表される化合物が挙げられる。
このうち特に好ましいものとしては、R、R、R51及びR52が同一又は異なって、C1〜C3アルキル基(さらにメチル基又はエチル基、特にエチル基)であり、R、R、R及びRが水素原子である化合物が挙げられる。
2.製造方法
本発明の化合物は、例えば次のようにして製造することができる。
Figure 0005991831
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、m及びnは前記に同じ。)
一般式(I)で表される化合物は、一般式(II)で表される化合物を酸化反応に付すことにより製造することができる。
一般式(II)で表される化合物は、市販されているか、或いは、例えば、Bioorg. Med. Chem. 17 (2009) 6952-6958、Org. Lett. 12 (2007) 496-499、Org. Lett. 13 (2010), 6354-6357、Tetrahedron 61 (2005) 3097-3105等の記載に従い又は準じて製造することができる。
本反応は、通常、溶媒中、酸化剤の存在下に実施することができる。
溶媒としては、本反応に悪影響を与えない溶媒であれば特に限定はなく、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド等の酸アミド類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の有機硫黄類;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;アセトニトリル;酢酸;水;及びそれらの混合物が挙げられる。
酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過硫酸、メタクロロ過安息香酸(m−CPBA)等が挙げられる。酸化剤の使用量は、通常、一般式(II)で表される化合物1モルに対し、1モル量以上であり、好ましくは1〜5モル量であり、より好ましくは1〜2モル量であり、特に好ましくは1〜1.5モル量である。或いは、レニウム触媒と過酸化物からなる酸化剤(例えば、メチルトリオキソレニウム/過炭酸ナトリウム;Synlett, 2006, No. 16, pp 2661-2663)を用いることもできる。
なお、原料である一般式(II)で表される化合物が酸付加塩(例えば、塩酸塩等)を形成している場合には、例えば、塩基性化合物の存在下に上記の反応を実施することもできる。塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基が挙げられる。塩基性化合物の使用量は、通常、一般式(II)で表される化合物1モルに対し、1モル量以上であり、好ましくは1〜5モル量であり、より好ましくは1〜2モル量であり、特に好ましくは1〜1.5モル量である。
本反応の反応温度は、通常、−10〜100℃、好ましくは0℃〜50℃の範囲であり、反応時間は、通常、5分〜50時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物に水を加えた後に有機溶媒抽出、濃縮等の通常の後処理操作を行い、一般式(I)で表される化合物を単離することができる。さらに、必要に応じ単離された一般式(I)で表される化合物はクロマトグラフィー、再結晶、蒸留等の操作によって精製することもできる。
原料である一般式(II)で表される化合物は、基R及びRが結合する窒素原子からの電子供与により、キサンテン骨格のベンゼン環の共役系が移動してラクトン環が開環した、一般式(IIa):
Figure 0005991831
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、m及びnは前記に同じ。)
で表される化合物となる場合もある。この化合物は、通常、強い蛍光を発する。一般式(II)で表される化合物及び/又は一般式(IIa)で表される化合物を媒体(溶媒)に溶解した場合には、通常、一般式(II)で表される化合物及び一般式(IIa)で表される化合物の平衡状態にあり、その媒体(溶媒)の極性やpH等によりその平衡の偏りが変動し得る。そのため、本明細書では、一般式(II)で表される化合物及び一般式(IIa)で表される化合物をまとめて、一般式(II)で表される化合物として表記することとする。
3.蛍光プローブ
本発明の化合物は、蛍光プローブ、特に、鉄(II)イオン選択的蛍光プローブとして用いることができる。
この蛍光プローブを用いて鉄(II)イオンを測定(又は検出)する方法としては、鉄(II)イオンを含む検体に蛍光プローブを作用させ、励起光を当てて蛍光を測定するという、従来公知の方法を採用することができる。例えば、適当な緩衝液中で鉄(II)イオンを含む検体及び蛍光プローブを混合しインキュベートした後、この混合物に励起光を当てて蛍光を測定することができる。
緩衝液としては特に限定はなく、例えば、HEPES緩衝液(pH 7.4)等の公知の物を用いることができる。緩衝液中の蛍光プローブの濃度も特に限定はなく、通常、1μM〜0.1mM程度、好ましくは、5μM〜20μM程度である。インキュベーションの温度及び時間は、特に限定されず、例えば、0〜40℃程度で10分〜2時間程度である。検体が細胞又は組織である場合には、その培養に適した温度(例えば、ヒト由来の細胞又は組織であれば37℃)であることが好ましい。
蛍光の測定は、市販の蛍光計を用いることができる。細胞内の鉄(II)イオンの動態を調べる場合には、蛍光顕微鏡、共焦点レーザー走査蛍光顕微鏡等の公知の方法を用いて観察することができる。
次に、本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
下記実施例において、化合物の精製にはシリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用し、化合物の同定には薄層クロマトグラフィー(TLC)、ESI-MS(JEOL JMS-T100TD)、1H-NMR,13C-NMR(JEOL ECA-500 spectrometer)を使用した。
実施例1
3’−(ジエチルアミノ)−N,N−ジエチル−3−オキソ−3H−スピロ[イソベンゾフラン−1,9’−キサンテン]−6’−アミンオキサイド(以下、「RhoNox-1」と表記する)の合成
Figure 0005991831
ローダミンBベース100 mg (0.21 mmol)と炭酸水素ナトリウム19 mg (0.23 mmol)を酢酸エチル10 mLに加え、0 ℃に冷却し、そこにメタクロロ過安息香酸40 mg (0.23 mmol) を加えた。室温にて3時間撹拌した後、不溶物をろ過にて除去、次いで溶媒を減圧留去し茶色固体を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて生成し、RhoNox-1を40 mg、収率42%で淡紫色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3)δ : 1.18-1.13 (m, 12H), 3.36 (q, 4H, J = 6.9 Hz), 3.70 (brs, 4H), 6.38 (dd, 1H, J = 9.1, 2.3 Hz), 6.47 (d, 1H, J = 2.3 Hz ), 6.58 (d, 1H, J = 8.6 Hz ), 6.84 (d, 1H, J = 8.6 Hz ), 7.21 (d, 1H, J = 7.4 Hz ), 7.26 (br, 1H), 7.65 (t, 1H, J = 7.5 Hz ), 7.69 (t, 1H, J = 7.4 Hz ), 7.97 (d, 1H, J = 2.3 Hz ), 8.04 (d, 1H, J = 7.5 Hz );
13C NMR (125 MHz, CDCl3)δ: 8.4, 12.6, 44.6, 67.1, 83.3, 97.7, 102.7, 104.5, 108.9, 112.6, 115.8, 120.4, 124.1, 125.2, 127.0, 128.9, 129.0, 129.9, 135.2, 149.9, 152.7, 152.8, 169.4;
HRMS (ESI+): m/z calculated for C28H31N2O4 +: 459.2278, found 459.2264。
試験例1(各種分光学的測定)
RhoNox-1の50 mM HEPES緩衝液中pH7.4における蛍光特性を調べた。以下の測定は特別な記述がない限りすべてこの条件下にて行なった。
RhoNox-1について得られた各パラメータを以下に示す。蛍光量子収率はエタノール中におけるローダミンBの蛍光量子収率である0.97を基準として求めた。
λabs,max = 492 nm (ε = 17,000 M-1 cm-1)
λem,max = 575 nm
蛍光量子収率 Φ = 0.010
(1)蛍光強度の測定
生理的条件下におけるRhoNox-1の蛍光応答を調べるために2 μMのRhoNox-1に対して20 μMのFeSO4を加え、一時間後の蛍光強度を調べた(励起波長540 nm)。図1(a)にその結果を示す。
(2)金属イオン選択性試験
金属イオン選択性試験については、金属種としてMnSO4、CoSO4、NiSO4、FeSO4、FeCl3、CuSO4、ZnSO4、NaCl、KCl、MgCl2、CaCl2を用い、遷移金属イオンについては10 mM、アルカリ金属、アルカリ土類金属イオンは1Mの水溶液を作成し、これらを使用した。銅(I)については10 mM の[Cu(CH3CN)4]PF4のアセトニトリル溶液を作成し、これを用いた。上記のストック溶液を用いて20 μMの遷移金属イオン及び1 mMのアルカリ、アルカリ土類金属イオンを2 μMのRhoNox-1に添加し、一時間後の575 nmにおける蛍光強度を比較した。さらに、鉄(II)イオンに対する応答性が他種の金属イオン種により阻害されないことを確かめるために上記の金属イオンの存在下において硫酸鉄(II)を加え、一時間後の蛍光強度を同様に調べた。その結果を、図1(b)に示す。
(3)鉄(II)イオン濃度と蛍光強度変化
様々な濃度の硫酸鉄(II)を、2 μMのRhoNox-1に対して行った上記(1)と同条件において添加し、575 nmにおける蛍光強度変化を測定した。得られた蛍光強度の変化量を加えた硫酸鉄(II)の濃度に対してプロットし、その検出限界および定量性について調べた。その結果を、図2に示す。
(4)各種試薬の存在下での蛍光強度変化
各種還元剤、活性酸素種、およびキレーターを用いた選択性試験は、2 μMのRhoNox-1に対して以下の濃度で試薬を加え、一時間後の蛍光強度変化を調べることにより行った。その結果を、図3に示す。
還元剤:
・チオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3): 100 μM(100 mM水溶液より調製)
・アスコルビン酸ナトリウム: 1 mM(100 mM水溶液より調製)
・システイン: 1 mM(100 mM水溶液より調製)
・還元型グルタチオン: 1 mM (100 mM HEPES緩衝液(pH 7.4)より調製)
・亜硝酸ナトリウム(NaNO2): 100 μM(100 mM水溶液より調製)
活性酸素種:
・スーパーオキシドラジカルアニオン(O2 ・-): 100 μM(1 mM KO2 DMSO溶液より調製)
・過酸化水素(H2O2): 100 μM(100 mM水溶液より調製)
・ヒドロキシルラジカル(・OH): 200 μM H2O2に20 μM FeSO4.を加えて調製(それぞれ100 mM水溶液および10 mM水溶液より調製)
・次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl): 100 μM(100 mM水溶液より調製)
キレーター:
・2,2’-ビピリジル: 100 μM (100 mM DMSO溶液より調製)
図1から図3に示す結果から、硫酸鉄(II)を添加した時のみRhoNox-1は蛍光強度の増加を示し、他の遷移金属イオン、アルカリ金属、およびアルカリ土類金属種に対してはほとんど応答が見られなかった。特筆すべきことにRhoNox-1はもう一つの鉄の安定酸化状態である鉄(III)イオンに対しては全く応答せず、鉄イオンの価数の違いを区別して鉄(II)のみを選択的に検出することができることがわかった。さらに、生体内に存在しうる酸化剤や還元剤への暴露に対しても安定であることを確認し、RhoNox-1の蛍光応答が鉄(II)イオンに対して非常に高選択的であることがわかった。
(5)反応物の解析
RhoNox-1と硫酸鉄(II) の反応後生成物についてはHPLC分析にて調べた(図4)。50 μM のRhoNox-1の50 mM HEPES 溶液 (pH 7.4) に対して 500 μM の硫酸鉄(II) を加え一時間室温にて静置した。この反応混合物を逆相高速液体クロマトグラフィー一体型質量分析計(HP 1100 LC system、Agilent 1946B ESI-mass system、Waters symmetry C18 column, 3.5 mm, 4.6 × 100 mm) にて分析した。保持時間の基準物質として同濃度のローダミンB を使用した。また、HPLC分析の溶出条件は以下の通りである。A液(0.05%ギ酸水溶液)、B液(0.05% ギ酸アセトニトリル溶液);5-20 min、30-95% B。540 nmの吸光度により検出した。
図4の3つのクロマトグラムを比較すると、(b)において出発物質であるRhoNox-1の他にはローダミンBのみが検出されている。すなわち、RhoNox-1が鉄(II)イオンにより還元され、脱酸素化反応が進行し、ローダミンBが主生成物として得られていることを確認できた。なお、ローダミンBは通常下記の平衡状態にあり、左の化合物が強い蛍光を発する。
Figure 0005991831
試験例2(細胞培養実験)
ヒト肝ガン細胞(HepG2) は使用二日前に約10万個の細胞をガラスボトムシャーレに撒き、10%ウシ胎児血清(FBS, Gibco)、および2 mMグルタミンを含むMEM培地にて37℃で培養した。
共焦点蛍光顕微鏡による観察:
共焦点蛍光顕微鏡による蛍光イメージングはZeiss社製 LSM 700 レーザースキャン蛍光顕微鏡システムを用い、レンズは40倍油浸レンズを使用した。一連のイメージング実験には、カルシウム、マグネシウム含有、フェノールレッド不含有のHank’s Balanced Salt Solution (HBSS, Gibco) を用いた。
鉄の取り込み実験においては、HepG2細胞を100 μMの硫酸アンモニウム鉄(II) (FAS, Fe(NH4)2(SO4)2)を添加したFBS不含有MEM培地にて37 ℃で30分間インキュベートした。対照実験として、硫酸アンモニウム鉄(II)を添加せずに同様の条件にてインキュベートした。
鉄のインキュベート後細胞をHBSSで二回洗浄し、5 μMのRhoNox-1 を添加したHBSSを加え、37 ℃で1時間インキュベートした。また、キレーター処理する細胞はRhoNox-1と同時に1 mMの2,2'-ビピリジルを加え、同様にインキュベートした。核染色には1.0 μg/mL Hoechst 33342(Dojindo)を使用し、これをイメージング実験15分前に細胞に加えることで核の染色を行った(図5)。画像解析にはImageJを用いた。
また、上記と同条件にて添加するFASの濃度を変えてイメージングを行った。(図6)
また、同様のイメージング実験をヒト乳ガン細胞(MCF-7)にて行った。RhoNox-1および2,2'-ビピリジルを加えた際のインキュベート時間が15分である以外はHepG2細胞のときと全く同様の手順で行った。(図7)
まず、図5(a)と(b)を比較すると、コントロールの細胞に比べ鉄を添加した細胞においては非常に強い蛍光シグナルが見られた。また、(c)の明視野画像および核染色の結果からRhoNox-1の細胞毒性が低いことがわかった。鉄処理した細胞に鉄(II)のキレーターである2,2'-ビピリジルを添加した(d)の場合、その蛍光シグナルはコントロールと同程度まで低下した。このことから、(b)において見られた強い蛍光シグナルが鉄(II)に由来するものであると言える。さらに、鉄処理無しでキレーターを作用させた(e)においてはコントロールである(a)の場合よりも弱い蛍光シグナルが得られる結果となった。この事実はRhoNox-1が細胞内在性の鉄(II)イオンにより還元され、ローダミンBへと変換されていることを示しており、RhoNox-1によって細胞内在性の鉄(II)イオンの濃度変化を検出可能であることがわかった。
次に、種々の鉄濃度で処理した細胞に対してRhoNox-1を作用させたところ(図6)、添加した鉄濃度に応じた蛍光シグナルの増大が観察され、細胞内においても鉄(II)イオンの濃度をある程度定量的に議論できることがわかった。
最後にヒト乳ガン細胞(MCF-7)を用いて同様のイメージング実験を行ったところ、図7に示すようにHepG2細胞のときと同様に、鉄の添加による蛍光シグナルの増大が観察され、キレーターの使用により蛍光シグナルが抑制されることがわかった((a)、(b)、(d))。さらに、(e)に示すように、鉄処理をしない細胞にキレーターを添加したものではコントロールよりも弱い蛍光シグナルを示したことから、やはりRhoNox-1が内在性の鉄(II)イオンを検知したことが示唆される。
以上の実験から、ローダミンBのアミノ基をN-オキシドへと変換した化合物であるRhoNox-1は試験管内、細胞内の両方において鉄(II)イオンを高選択的かつ高感度で検出できる蛍光プローブ分子であることがわかった。これはローダミンおよびその誘導体をN-オキシド化することで新たな鉄(II)イオンのプローブ分子へと展開できることを示唆している。

Claims (5)

  1. 一般式(I):
    Figure 0005991831
    (式中、
    及びRは同一又は異なって、低級アルキル基又はカルボキシ低級アルキル基であり、
    及びRは同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子又は低級アルキル基であり、
    及びRが互いに結合して隣接する窒素原子と共にピロリジン環、ピペリジン環又はモルホリン環を形成していてもよく、
    及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成していてもよく、
    及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成していてもよく、
    は水素原子、保護されていてもよい水酸基、低級アルコキシ基又は式(A):−NR5152(式中、R51及びR52は同一又は異なって、低級アルキル基、カルボキシ低級アルキル基、アリール基又はアリール低級アルキル基であり、或いはR51及びR52が互いに結合して隣接する窒素原子と共にピロリジン環、ピペリジン環又はモルホリン環を形成していてもよい。)で示される基であり、
    及びRは同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子又は低級アルキル基であり、
    が式(A)で示される基のとき、R51及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成していてもよく、R52及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成していてもよく、
    は水素原子、水酸基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、−N=C=O、−N=C=S、スルホ基又は活性エステル基であり、m及びnは同一又は異なって、0又は1である。)
    で表される化合物。
  2. 一般式(I)において、R及びRが同一又は異なって、C1〜C6アルキル基であり、R及びRが水素原子であり、或いはR及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成していてもよく、R及びRが結合してトリメチレン基を形成していてもよく、Rが式(A):−NR5152で示される基であり、R51及びR52は同一又は異なって、C1〜C6アルキル基であり、R及びRが水素原子であり、或いはR51及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成していてもよく、R52及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成していてもよく、Rが水素原子であり、mが0であり、nが0である、請求項1に記載の化合物。
  3. 一般式(I)において、R及びRが同一又は異なって、C1〜C3アルキル基であり、R及びRが水素原子であり、Rが式(A):−NR5152で示される基であり、R51及びR52は同一又は異なって、C1〜C3アルキル基であり、R及びRが水素原子であり、Rが水素原子であり、mが0であり、nが0である、請求項1又は2に記載の化合物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物を含む蛍光プローブ。
  5. 一般式(I):
    Figure 0005991831
    (式中、
    及びRは同一又は異なって、低級アルキル基又はカルボキシ低級アルキル基であり、
    及びRは同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子又は低級アルキル基であり、
    及びRが互いに結合して隣接する窒素原子と共にピロリジン環、ピペリジン環又はモルホリン環を形成していてもよく、
    及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成していてもよく、
    及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成していてもよく、
    は水素原子、保護されていてもよい水酸基、低級アルコキシ基又は式(A):−NR5152(式中、R51及びR52は同一又は異なって、低級アルキル基、カルボキシ低級アルキル基、アリール基又はアリール低級アルキル基であり、或いはR51及びR52が互いに結合して隣接する窒素原子と共にピロリジン環、ピペリジン環又はモルホリン環を形成していてもよい。)で示される基であり、
    及びRは同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子又は低級アルキル基であり、
    が式(A)で示される基のとき、R51及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成していてもよく、R52及びRが互いに結合してトリメチレン基を形成していてもよく、
    は水素原子、水酸基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、−N=C=O、−N=C=S、スルホ基又は活性エステル基であり、m及びnは同一又は異なって、0又は1である。)
    で表される化合物の製造方法であって、一般式(II):
    Figure 0005991831
    (式中、R〜R、m及びnは前記に同じ。)
    で表される化合物を酸化反応に付すことを特徴とする製造方法。
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