JP5987204B1 - レーダ装置 - Google Patents
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Abstract
従来のレーダ装置では、観測中の軌道物体の3次元位置であるプロットを複数抽出し、カルマンフィルタ等を用いた時系列処理を行うことで軌道物体の位置と速度ベクトルを推定する。しかし、軌道物体の軌道要素を推定するためには複数のプロットを推定する必要があり、時間を要する課題があった。本発明では、信号受信手段(10)で受信され、軌道物体の位置を1つのプロットとして検出する際に用いられる複数のパルスヒットに対応する受信信号と、運動仮説生成部(301)で生成される軌道物体の運動仮説に基づいて算出された複数のパルスヒットに対応する運動量との整合性に基づいて、軌道物体の運動仮説を仮説抽出部(50)で推定することで、1つのプロットが検出されるのとほぼ同時に軌道物体の軌道要素を推定する。
Description
本発明は、例えば、レーダセンサによって得られる受信信号に基づき物体の軌道要素を推定するレーダ装置に関するものである。
レーダセンサによって得られる受信信号に基づき軌道物体の軌道要素を推定する従来のレーダ装置としては、例えば、非特許文献1、2に記載された構成がある。この従来のレーダ装置では、レーダセンサによって一定時間の観測を行い、軌道物体からの受信信号に対する信号処理および検出処理を行うことで、軌道物体の3次元位置であるプロットを抽出する。この観測を複数回行い、観測毎のプロットに対してカルマンフィルタ等を用いた時系列処理を行うことで観測中の軌道物体の位置と速度ベクトルを推定する。従来のレーダ装置は、推定された位置と速度ベクトル、および軌道物体に関する運動モデルに基づいて、観測中の軌道物体の軌道要素を推定する。
Oliver Montenbruck & Eberhard Gill,"Satellite Orbits,Models,Methods and Applications,Springer,Corrected 2nd Printing,2001.
X.R.Li and V.P.Jilkov,"A Survey of Maneuvering Target Tracking−Part II:Ballistic Target Models,"Proc.of SPIE Conf. Signal and Data Processing of Small Targets,Volume 4473,p.p.559−581,July−August 2001.
しかしながら、従来のレーダ装置では、軌道物体の軌道要素を推定するために、位置および速度ベクトルで構成された6次元のベクトルが必要となる。この6次元のベクトルを推定するために、物体からの電波の反射を受信することで取得される複数のプロットおよび追尾処理による速度ベクトルの推定が必要となる。そのため、従来のレーダ装置では、複数のプロットを推定するための観測時間を要する問題がある。
また、同一の軌道物体を次の周回などで再び観測する場合には、観測中の軌道物体が過去に観測した軌道物体と同一か否かを判定する同定処理が必要となる。従来技術では、この同定処理にも複数のプロットおよび追尾処理による速度ベクトルの推定が必要となる問題がある。
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、レーダセンサを用いて1プロットが検出されるのとほぼ同時に軌道要素を推定することができるレーダ装置を得ることを目的とする。
本発明に係るレーダ装置は、複数のパルスヒットを積分処理した結果から軌道物体の位置を1プロットとして検出するレーダ装置であって、複数のパルスヒットに対応した受信信号と送信信号との相関演算により、パルスヒットごとに受信信号の遅延時間波形を算出して軌道物体の観測値として出力する観測値出力部と、軌道物体が他の物体の重力の影響を受けて他の物体の周囲を周回する運動モデルに基づいて、軌道物体の位置および速度ベクトルの仮説を複数生成する運動仮説生成部と、運動仮説生成部で生成された複数の仮説をレーダから見た距離速度および距離加速度に変換し、距離速度に基づくレンジ方向のシフト量および距離加速度に基づいて遷移する距離変化量によって遅延時間波形を補正する運動量補償部と、運動仮説生成部で生成された複数の仮説ごとに、運動量補償部で補正された遅延時間波形を複数のパルスヒットに対して積分し、その積分結果を遅延時間波形と仮説との整合性を示す第1の評価値とする積分処理部と、第1の評価値に基づいて抽出した上位仮説の中から、さらに、運動仮説生成部で生成された複数の仮説から導かれる軌道物体の位置情報または速度情報または軌道要素が物理的事実を用いて理論的に求められる運動諸元に従うか否かを表す第2の評価値に基づいて上位仮説を抽出する仮説抽出部とを備え、軌道物体の位置を1プロットとして検出する過程で軌道物体の速度ベクトルを得ることを特徴とするものである
本発明に係るレーダ装置によれば、1プロットが検出されるのとほぼ同時に軌道要素を推定でき、従来技術と比較して短時間で軌道要素を推定できる。
以下、本発明のレーダ装置の好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1におけるレーダ装置1の構成の一例を示すブロック図である。図2は、本発明の実施の形態1におけるレーダ装置1の処理の流れを示すフローチャートである。図3は、本発明の実施の形態1におけるレーダ装置1において、軌道物体の三次元空間における運動を、レーダセンサによるパルスヒット毎のレンジおよびドップラに対するシフト量に変換する際の概念を示した説明図である。
図1は、本発明の実施の形態1におけるレーダ装置1の構成の一例を示すブロック図である。図2は、本発明の実施の形態1におけるレーダ装置1の処理の流れを示すフローチャートである。図3は、本発明の実施の形態1におけるレーダ装置1において、軌道物体の三次元空間における運動を、レーダセンサによるパルスヒット毎のレンジおよびドップラに対するシフト量に変換する際の概念を示した説明図である。
図1に示す本発明の実施の形態1のレーダ装置1は、軌道物体の観測値の出力部である観測値出力部12と、軌道物体の軌道パラメータの算出部であるパラメータ算出手段11とを備える。観測値出力部12は、受信部である信号受信手段10と相関演算部である波形相関演算手段20とを備える。パラメータ算出手段11は、運動仮説生成部301、評価部30、軌道要素推定手段40、仮説抽出部50を備える。さらに、評価部30は、その内部に、運動量補償部302、ヒット方向信号積分処理部(単に積分処理部とも言う)303を有している。なお、以降の各図において同一の符号は、同一または相当部分を示す。また、軌道要素は軌道6要素と呼ばれる要素を表す。具体的には、軌道傾斜角、昇交点赤経、離心率、近地点引数、平均近点角、平均運動の6要素が軌道要素に相当する。
次に、各構成要素の機能について説明する。
レーダ装置1は、電波を照射してその反射波を受信するレーダセンサによる複数のパルスヒットに対する受信信号を積分し、軌道を移動する物体である軌道物体の3次元位置である1プロットを得る過程での処理を特徴とする。レーダセンサとしては一般的な技術を用いるため、レーダセンサの動作および機能に関する詳細な説明は省略する。
観測値出力部12は、アンテナで受信された信号から軌道物体の観測値を求めて出力する。以下、その詳細を説明する。
アンテナは、軌道物体によって反射された電波を受信して信号受信手段10に出力する。
信号受信手段10は、既知のモジュール等によって構成され、アンテナから出力される信号を受信して復調し、受信信号として出力する。信号受信手段10から出力される受信信号は、軌道物体を1プロットとして検出する過程で用いられる複数のパルスヒットに対応した受信信号であり、観測値出力部12内の波形相関演算手段20に対して出力される(ステップST1000)。
波形相関演算手段20は、信号受信手段10からのレーダセンサによるパルスヒット毎の受信信号を入力し、送信信号との相関演算を行う。その結果、図3(a)に示すような相関信号がパルスヒット毎に、受信信号の遅延時間波形として得られる(ステップST2000)。この受信信号の遅延時間波形が、軌道物体の観測値である。
パラメータ算出手段11は、波形相関演算手段20で求めた延時間波形を用いて、軌道物体の初期位置と初期速度ベクトル、および軌道物体の軌道パラメータである軌道要素を算出する。以下に、その詳細を説明する。
パラメータ算出手段11内の運動仮説生成部301は、例えばレーダセンサによる観測範囲、観測する予定の軌道物体の軌道要素等の事前情報に基づき、軌道物体の運動仮説(以下では単に「仮説」とも言う)として三次元直交座標における軌道物体の位置および速度ベクトル(6次元)に関する初期値、すなわち、軌道物体の初期位置および初期速度ベクトルを設定する。この仮説は複数生成される。(ステップST3011)。
ステップST3011において設定する、三次元直交座標における軌道物体の位置および速度ベクトルに関する初期値は、想定範囲において総当りで設定してもよいし、粒子フィルタ的にランダムに生成してもよい。これは以降の実施の形態においても同様である。
次に、運動仮説生成部301は、ステップST3011において設定した三次元直交座標における軌道物体の位置および速度ベクトルに関する初期値と、軌道物体に関する運動モデルに基づき、レーダセンサによる1観測時間内のm回のパルスヒット分の時間に対する軌道物体の三次元空間内での運動(位置および速度ベクトル)を仮説毎に予測する(ステップST3012)。
ステップST3012における軌道物体に関する運動モデルとしては、例えば、非特許文献2などに示されている軌道物体に関する以下の式(1)に示す運動方程式に基づいたモデルを使用する。あるいは、式(1)以外の、軌道物体について定義された運動方程式に基づいたモデルを使用してもよい。
式(1)において、k=1,..,mであり、各パルスヒットに対するサンプルを表す。また、μeは、地心の重力定数である。J2は、重力ポテンシャルの第2次調和係数である。reは、地球の赤道半径である。
運動仮説生成部301は、ステップST3012において予測したレーダセンサによるm回のパルスヒット分の時間に対する軌道物体の三次元空間内での運動に関する情報を評価部30内の運動量補償部302へ出力する。
パラメータ算出手段11内の評価部30は、運動仮説生成部301で生成された複数の運動仮説のそれぞれに対して、観測値出力部12内の波形相関演算手段20から出力される観測値との整合性を示す第1の評価値を算出する。具体的には、運動仮説生成部301で位置および速度の運動諸元を与えられた仮説が、運動補償部302へ出力される。運動補償部302は、距離、速度などの補償をパルスヒット毎に行い、ヒット方向信号積分処理部303へ出力される。ヒット方向信号積分処理部303は、距離、速度などの補償をした遅延時間波形をヒット方向に積分することで信号を積み上げる。この積み上げの結果が第1の評価値となる。
評価部30内の運動量補償部302は、運動仮説生成部301より入力した、前記軌道物体のm回のパルスヒット分の時間に対する三次元直交座標における運動の予測情報を、レーダセンサから見た距離、距離速度および距離加速度に変換する(ステップST3021)。
前述した予測情報の三次元直交座標における運動から、レーダセンサから見た距離Rk、距離速度Rk(ドット)および距離加速度Rk(ダブルドット)への変換は、式(2)によって行われる。
式(2)において、sx,sy,szはレーダセンサの位置のx,y,z座標である。
また、xk(ダブルドット)、yk(ダブルドット)、zk(ダブルドット)は、式(1)中の加速度のx,y,z軸成分である。
また、xk(ダブルドット)、yk(ダブルドット)、zk(ダブルドット)は、式(1)中の加速度のx,y,z軸成分である。
次に、運動量補償部302は、ステップST3021においてレーダセンサから見た距離速度Rk(ドット)に変換した予測情報、および波形相関演算手段20より入力した相互相関の結果である遅延時間波形に基づき、レンジセルのシフトを図3(b)のような形で行い、観測時間内で変化した距離の補正をする(ステップST3022)。
このレンジセルのシフトの補正は、波形相関演算手段20より入力した遅延時間波形の遅延時間に基づく距離から、ステップST3021において距離速度に変換した予測情報に基づくレンジセルのシフト量を差し引くことにより、式(3)のように行われる。
式(3)において、cは光速、δtkは波形相関演算手段20より入力した遅延時間波形の遅延時間、Ri,k(ドット)は運動仮説生成部301におけるi番目の仮説に基づく距離速度、Tはレーダセンサのパルス繰り返し周期、R´i,kはi番目の仮説に基づくレンジセルのシフトの補正後の距離である。
さらに、運動量補償部302は、ステップST3021において距離加速度Rk(ダブルドット)に変換した予測情報に基づき、m回のパルスヒットに対する距離加速度Rk(ダブルドット)によって遷移する距離変化量δRkを計算する(ステップST3023)。
前述した距離加速度Rk(ダブルドット)によって遷移する距離変化量δRkは、波形相関演算手段20の出力である相関波形の位相に付加されており、これがドップラシフトの影響項であることから、距離加速度Rk(ダブルドット)によって遷移する距離変化量δRkの負号を付けた量をパルスヒット毎の位相補償量とする。
次に、評価部30内のヒット方向信号積分処理部303は、運動仮説生成部301におけるi番目の仮説に基づいて補正されたm回のパルスヒット分のレンジセル毎に、運動補償部302によって計算した位相補償量をパルスヒット毎の相関波形に乗算し、ヒット方向にコヒーレント積分する(ステップST3030)。
軌道要素推定手段40は、運動仮説毎の位置・速度ベクトルの初期値から既知の方法で軌道要素を算出する(ステップST4000)
ここで、軌道要素は、軌道6要素と呼ばれる要素を表す。具体的には、軌道傾斜角、昇交点赤経、離心率、近地点引数、平均近点角、平均運動の6要素が軌道要素に相当する。なお、軌道要素推定部40が、軌道傾斜角、昇交点赤経、離心率、近地点引数、平均近点角、平均運動の6要素のうちいずれか1つを算出する構成も本願に含まれる。
仮説抽出部50は、ヒット方向信号積分処理部303の出力である信号積分結果と軌道要素推定手段40の出力である軌道要素推定結果とを仮説毎に保持する。また、その信号積分結果と、軌道要素推定結果と、仮説毎の位置および速度ベクトルの初期値とを用いて、真の運動仮説に最も近い可能性が高い仮説を上位仮説として抽出する。抽出する仮説は1個でも複数個でもよい。運動仮説は位置および速度ベクトルの初期値を表すことから、抽出された上位仮説には真の運動に近い位置と速度ベクトルが得られている。抽出された上位仮説は、推定結果として出力される。(ステップST3040)
なお、仮説抽出部50(ステップST3040)で出力された上位仮説の位置と速度ベクトルを運動仮説生成部301に入力し、上位仮説を用いて、運動仮説を粒子フィルタ的にランダムに生成してもよい。
仮説抽出部50が出力した上位仮説の位置および速度ベクトルを入力値として、運動仮説生成部301において、仮説の位置および速度ベクトルを粒子フィルタ的にランダムに生成する方法について、図4を参照して説明する。図4は、仮説抽出部50から運動仮説生成部301の間で行われる、仮説の重みに基づいて仮説を生成する方法を説明する図である。
運動仮説生成部301において仮説の位置および速度ベクトルを粒子フィルタ的にランダムに生成する方法は、図4に示す操作1から操作3により構成される。図4は、真の運動諸元(初期位置および初期速度)SRと、仮説初期値の運動諸元S0と、生成される仮説の運動諸元S1〜S8を、模式的に示したものである。各操作を手順どおりに説明する。
操作1:運動仮説生成部301における初期の仮説生成を示す。図中に黒い三角で示す、仮説の初期値S0の周りにランダムに仮説を生成する。
操作2:仮説抽出部50において尤度を与えられた仮説を図中に黒丸で示す。黒丸の位置は各仮説の運動諸元を示し、黒丸の大きさは仮説に与えられた尤度を示す。操作2では、運動仮説生成部301で生成した仮説をヒット方向信号積分処理部303に入力し、コヒーレント積分を行い、その積分結果から求められる仮説の重みを計算する。例えば、信号最大振幅または信号対雑音比を仮説の重みとして用いても良いし、それ以外の値を重みとして用いても良い。
操作3:運動仮説生成部301において仮説を再び生成した状態を示す。操作3では、仮説抽出部50に仮説毎の位置および速度ベクトルと重みを入力し、重みの小さい仮説を棄却し、重みの大きい仮説を選択し位置および速度ベクトルを上位仮説として運動仮説生成部301に入力する。また、仮説抽出部50に入力するのは位置および速度ベクトルのみでも良く、重みを仮説抽出部50にて算出し、仮説に付加してもよい。
操作2:仮説抽出部50において尤度を与えられた仮説を図中に黒丸で示す。黒丸の位置は各仮説の運動諸元を示し、黒丸の大きさは仮説に与えられた尤度を示す。操作2では、運動仮説生成部301で生成した仮説をヒット方向信号積分処理部303に入力し、コヒーレント積分を行い、その積分結果から求められる仮説の重みを計算する。例えば、信号最大振幅または信号対雑音比を仮説の重みとして用いても良いし、それ以外の値を重みとして用いても良い。
操作3:運動仮説生成部301において仮説を再び生成した状態を示す。操作3では、仮説抽出部50に仮説毎の位置および速度ベクトルと重みを入力し、重みの小さい仮説を棄却し、重みの大きい仮説を選択し位置および速度ベクトルを上位仮説として運動仮説生成部301に入力する。また、仮説抽出部50に入力するのは位置および速度ベクトルのみでも良く、重みを仮説抽出部50にて算出し、仮説に付加してもよい。
操作2と操作3を繰りかえすことで、生成する仮説の位置および速度ベクトルを真の運動(位置および速度ベクトル)に近づけて、上位仮説の推定精度を向上させることができる。この操作で用いられる仮説の重みは、積分結果から求められる信号最大振幅または信号対雑音比以外の値でも良い。
仮説抽出部50における上位仮説の抽出方法としては、例えば、運動仮説毎に保持された信号積分結果において、その振幅、または信号対雑音比が上位のものを上位仮説として抽出する。この処理をSN(Signal to Noise Ratio)評価と呼ぶ。
本実施の形態の仮説抽出部50では、信号対雑音比もしくは信号最大振幅などの指標(第一の評価値)を用いて抽出した上位仮説の中から、さらに、異なる指標(第二の評価値)を用いて上位仮説を抽出する。このように、多次元(複数)の評価値で仮説を抽出することで、1次元(1つ)の評価値を用いて抽出する場合と比較して、より真の運動周辺の仮説のみを選ぶことができるため、推定精度が向上する。
ここで、仮説抽出部50にて用いられる多次元の評価値とその評価値を用いた仮説抽出方法について説明する。つまり、信号対雑音比もしくは信号最大振幅などの第一の評価値とは異なる第二の評価値を用いた上位仮説の抽出方法について説明する。
仮説抽出部50(ステップST3040)における上位仮説の抽出方法として、例えば、ヒット方向信号積分処理部303で出力された信号積分結果から、最大振幅が存在するレンジセル番号と、運動仮説毎に与えられた位置および速度ベクトルから見積もることができるレンジセル番号とを照合し、それらの差が小さいものを上位仮説として抽出する。
レンジセルは、レーダと軌道物体との距離を示す値である。仮説の位置および速度ベクトルから見積もられる理論的なレンジセル番号と、ヒット方向信号積分処理部303で受信信号を仮説で補正して積分した結果から求められるレンジセル番号との差は、仮説の距離(位置)誤差とみなすことができる。真値に近い位置(距離)の仮説の場合、理論的に見積もられるレンジセル番号と、信号の積分結果から求められるレンジセル番号の差は小さくなる。このことから、理論的なレンジセル番号と信号の積分結果から求められるレンジセル番号の差が小さい仮説を選択することで、仮説の位置(距離)の推定精度を向上できる。
他の上位仮説抽出の方法として、運動仮説毎に得られる物理量および推定される物理量を用いて仮説抽出をする。例えば、運動仮説生成部301で仮説毎に与えられる位置および速度ベクトルや軌道要素推定手段40で算出される軌道要素を用いて仮説の選択を行い、最終的に上位仮説を選ぶ方法である。
また、他の抽出方式として、既知の軌道の様な軌道要素等の事前情報を用いず、未知の軌道に対しても仮説を選ぶことを想定し、位置および速度および軌道要素の選択を行うことも可能である。
具体的には、まず、選択したい仮説を「位置および速度および軌道要素の推定精度が最も良い仮説」とする。推定精度が最も良い仮説とは、「位置および速度および軌道要素の推定値と真値の差が小さい仮説」である。しかし、真の軌道情報を知らずに「位置および速度および軌道要素の推定値と真値の差が小さい仮説」を選択することは困難である。そこで、真値の代わりに真値に近い値を基準値として設けて仮説の評価を行い、上位仮説を選択する。
さらに別の抽出方式について説明する。ヒット方向信号積分処理部303の出力値である信号振幅および信号対雑音比(以下、SN比)は、仮説に基づいた運動補償を行い積分した結果であるため、真の運動諸元に近い仮説(位置および速度ベクトル)で補償するほど、積分結果である信号振幅およびSN比は大きい値となる。しかし、真の運動諸元に近い複数の仮説においては信号振幅およびSN比にほとんど差がないため、積分結果のみを用いて、最も真の運動諸元に近い仮説を選択することは難しい。
そこで、「SN比の分布は真の運動諸元に近い仮説で高くなること」と、「SN比が高い仮説は真値をほぼ中心とした分布であること」から、SN評価後に残った仮説の推定要素の中央値を基準値として、「位置および速度および軌道要素の推定値と中央値の差が小さい仮説」を選ぶ。ここで、中央値の他に平均値などの代表値を用いてもよい。また、推定要素とは位置3軸および速度3軸および軌道要素6要素のことを指す。
推定要素毎の中央値とは、仮説の位置および速度と軌道要素推定手段40で算出される軌道要素の推定値を値の小さい順に並び換えた場合に、中央に位置する値のことである。例えば、100仮説の位置Xの中央値は、位置Xの100個の推定値を小さい順に並び替えた時の中央に位置する値である。また、中央値をとる対象仮説はSNおよびその他の指標による評価後に選択された仮説でも、運動仮説生成部301で生成された全ての仮説でも良い。
仮説抽出部50は、仮説毎の位置および速度および軌道要素の推定値と各推定要素に与えられる中央値との差を算出して保持し、各推定要素間で比較をする。また、全ての推定要素において「中央値との差が満遍なく小さい仮説」を上位仮説として抽出する。
以下、「中央値と推定値の差が満遍なく小さい仮説」について説明(定義)する。各推定要素、つまり、位置の3諸元(x,y,z)および速度の3諸元(xyz方向の速度成分であるvx,vy,vz)および軌道要素の6諸元の単位が異なるため、推定値と中央値との差をそのまま加算等の処理をして比較することは難しい。そこで、推定値と中央値との差を正規化した値を正規化誤差と名付け、比較に用いる。
1つの仮説における1つの諸元の正規化誤差は例えば以下の式で算出される。
式(4)のPiは仮説毎の1つの諸元の推定値を表す。iはi=1,…,Nである仮説番号を示す。Nは仮説の数を表し、SN評価後に残存する仮説数でも良いし、運動生成処理部301で生成された全仮説数でも良い。
正規化誤差の式の分母は、中央値と推定値の誤差RMS(平均二乗誤差、root mean square)以外でもよい。また分子は、中央値と推定値の差の絶対値でなく、符号付きの差でもよい。
正規化誤差を用いて仮説を選択する際に、「推定要素(諸元)間で正規化誤差の分散が小さい」仮説且つ「全ての推定要素(諸元)で正規化誤差の値が小さい」仮説を選ぶ。この仮説が「中央値と推定値の差が満遍なく小さい仮説」である。正規化誤差を用いた選択方法として、正規化誤差の分散が小さく、且つ正規化誤差の総和が小さい仮説を上位仮説として選択する。ここで、正規化誤差の比較に用いる推定要素は、位置および速度および軌道要素の全てまたは一部でも良い。
上述のように、SN比評価後の推定要素毎の中央値を基準とすることで、より真の運動諸元に近い仮説を選択することができる。この方法は、既知軌道のように事前情報に基づいて初期仮説を真値に近い値に設定できる場合だけではなく、事前情報がなく初期仮説が真値に近い値でないような未知軌道に対しても用いることができる方法である。
また、仮説抽出部50における、運動仮説毎に得られる物理量(位置、速度)および推定される物理量(軌道要素)を用いた仮説抽出方法として、軌道要素を用いた仮説選択方式を用いてもよい。
例えば、軌道要素のうち離心率を用いた仮説選択の方法の場合を説明する。本発明において、観測する目標が低軌道な高度(例えば「約100km〜2000km」の範囲内にある高度)を飛翔する物体であることと、低軌道高度を飛翔する物体の離心率がほぼ円軌道に近いことから、離心率が0に近い仮説ほど真の軌道に近い値であると判断する。
このことから、軌道要素推定手段40にて出力された仮説毎の離心率を重みとする。仮説の離心率が0に近いほど大きい重みとして、離心率が小さくなる仮説が上位仮説として選択される。また、このとき、粒子フィルタの考え方を用いて、上位仮説に与えられた離心率による重みを、運動仮説生成部301で仮説生成をする際に尤度として用いて、生成する粒子数および仮説を生成する範囲を決めても良い。
さらに、仮説抽出部50における、運動仮説毎に得られる物理量(位置、速度)および推定される物理量(軌道要素)を用いた仮説抽出方法について説明する。仮説毎の位置および速度から物理的に計算された軌道要素と、軌道要素推定手段40で算出された軌道要素(既知の方法で算出した軌道要素(前述、段落[0039]))とを比較し、相違が大きい仮説を棄却することで、物理法則を無視した仮説を排除する方法を用いて上位仮説を抽出してもよい。
例えば、観測する目標が低軌道高度を飛翔する物体であることから、物体の軌道上の速度は第一宇宙速度に近い値であることに着目して仮説を選択する方法がある。運動仮説生成部で与えられる位置ベクトルは3次元直交座標であることから、位置Zは軌道物体の飛翔高度とみなせる。そこで、仮説の初期位置Zの値から求められる第一宇宙速度(軌道上速度)と、仮説の初期速度から求められる軌道上速度とを用いて平均運動を見積もる。仮説の初期位置Zから求められる第一宇宙速度は、以下の物理法則の式より算出される。
式(5)において、Vescは第一宇宙速度、Gは万有引力定数、Mは地球質量、Reは地球半径、Zは仮説の初期位置Zで高度を表すパラメータである。
また、仮説の初期速度から求められる物体の軌道上速度は以下の式により算出される。
式(6)においてVorbは物体の軌道上速度、Vx,Vy,Vzは仮説の初期速度ベクトルである。
VescまたはVorbを用いて平均運動の見積もりを行う。平均運動とは、軌道物体が一日で地球を周回する回数のことである。平均運動は以下の式より算出される。
式(7)においてnは平均運動を示す。仮説に与えられた物理量(位置、速度)を用いて式(5)または式(6)により見積もられた速度を見積もり速度とし、式(7)に従って見積もり平均運動とする。
軌道要素推定手段40にて算出された平均運動(推定平均運動とする)と式(7)で得られた見積もり平均運動を照合し、見積もり平均運動から大きく外れた推定平均運動を棄却し、見積もり平均運動により近い値の推定平均運動を持つ仮説を選択する。
例えば、「低軌道衛星は円軌道とみなせるため、離心率は0に近い」、「軌道上速度は第一宇宙速度に近い値をとる」等の物理的事実を用いて、理論的に求められる運動諸元(例えば軌道上速度、離心率や平均運動)と仮説の位置および速度ベクトルまたはそれを用いて推定された運動諸元を照合し、物理法則に従わない仮説を棄却することで、実際の軌道物体の運動に即した運動諸元(位置および速度および軌道要素)の推定が可能となる。その結果、1観測における軌道物体の位置および速度および軌道要素の推定精度が向上する。
仮説抽出部50における抽出方法として、ヒット方向信号積分処理部303の積分結果から求められる信号振幅または信号対雑音比や、仮説の位置および速度から見積もられるレンジセルや、中央値による仮説選択方法や仮説毎の軌道要素による仮説選択方法を挙げた。これらの指標全て、または一部を組み合わせて仮説を抽出し上位仮説を選んでもよい。
ステップST3040(上位仮説抽出)において生成された上位仮説のうち、最も尤度の高い仮説の尤度が閾値を超えたら、その仮説を算出した運動諸元、軌道要素の推定値を本装置の最終結果として出力する。超えなかったら、上位仮説の持つ初期値の近辺に初期値を持つ仮説を再生成し、ステップST3011(初期値設定)に戻って以降の処理を繰り返す。この尤度の閾値は、事前設定のパラメータとする。
また、ステップST3011(初期値設定)からステップST3040(上位仮説抽出)までを指定回数繰り返し、その後、ステップST3040(上位仮説生成)において生成された上位仮説のうち、最も尤度の高い仮説の算出した運動諸元、軌道要素の推定値を本装置の最終結果として出力してもよい。
また、ステップST3040(上位仮説抽出)において生成された上位仮説のうち、最も尤度の高い仮説の算出した運動諸元、軌道要素の推定値を本装置の最終結果として出力してもよい。
以上のように、本実施の形態のレーダ装置1は、軌道物体の観測値を出力する観測値出力部12と、軌道物体の複数の運動仮説を生成する運動仮説生成部301と、運動仮説生成部301で生成された複数の運動仮説のそれぞれに対して、観測値出力部12から出力される観測値との整合性を示す第1の評価値を算出する評価部30と、評価部30で算出された第1の評価値と複数の運動仮説から導かれる第2の評価値とに基づき、複数の運動仮説の中の一部の運動仮説を抽出する仮説抽出部50とを備える。
第2の評価値は、複数の運動仮説のそれぞれで想定される軌道物体の位置情報または速度情報または軌道要素、または位置情報の中央値と位置情報との誤差、または速度情報の中央値と速度情報との誤差、または軌道情報の中央値と軌道情報との誤差としてもよい。
また、運動仮説生成部301は、仮説抽出部50で抽出された一部の運動仮説に基づき、軌道物体の運動仮説を再生成する。
さらに、観測結果出力部12は、軌道物体の位置を検出する過程で用いられる複数のパルスヒットに対応した信号を受信する信号受信手段10と、信号受信手段10で受信された複数のパルスヒットに対応した信号と送信パルスとの相関演算により信号の遅延時間波形をパルスヒットごとに算出する波形相関演算部20とを備え、評価部30は、運動仮説生成部301で生成された運動仮説に基づいて、波形相関演算部20で算出された信号の遅延時間波形を補正し、位相補償量として出力する運動量補償部302と、運動量補償部302から出力される位相補償量を複数のパルスヒットに対して積分し、その積分結果を評価値とするヒット方向信号積分処理部303とを備える。なお、複数のパルスヒットは、軌道物体の位置を1プロットとして検出する過程で用いられる。
次に、レーダ装置1のハードウェア構成について説明する。
図5は実施の形態1に係るレーダ装置1のハードウェア構成例を示す図である。図6は実施の形態1に係るレーダ装置1の他のハードウェア構成例を示す図である。
レーダ装置1における、信号受信手段10、波形相関演算手段20、運動仮説生成部301、運動量補償部302、ヒット方向信号積分処理部303、軌道要素推定手段40、仮説抽出部50の各機能は、処理回路(Processing Circuitry)60により実現される。
処理回路60は、専用のハードウェアであっても、メモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサー、DSPともいう)であってもよい。
図5は、処理回路が専用のハードウェアである場合の構成を示す。処理回路60は、例えば、単一回路(a single circuit)、複合回路(multiple circuits)、プログラム化したプロセッサー(a programmed processor)、並列プログラム化したプロセッサー(multiple programmed processors)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。信号受信手段10、波形相関演算手段20、運動仮説生成部301、運動量補償部302、ヒット方向信号積分処理部303、軌道要素推定手段40、仮説抽出部50の各部の機能をそれぞれの処理回路で実現してもよいし、各部の機能をまとめて処理回路で実現してもよい。
処理回路60がCPUの場合、レーダ装置1は、図6に示すように、処理回路60とメモリ70とを備える。信号受信手段10、波形相関演算手段20、運動仮説生成部301、運動量補償部302、ヒット方向信号積分処理部303、軌道要素推定手段40、仮説抽出部50の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアやファームウェアはプログラムとして記述され、メモリに格納される。処理回路は、メモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。
ここで、メモリとは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリや、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等が該当する。
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアによって、上述の各機能を実現することができる。
このように、実施の形態1によれば、レーダセンサによる1観測時間内のm回のパルスヒットの受信信号に対して、軌道物体の運動を仮定した運動モデルに基づくレンジ方向およびドップラ方向のシフトを補正した信号積分処理を行い、かかる信号積分処理の結果として軌道物体の位置が算出されると共に、かかる信号積分処理において軌道物体の運動を仮定した運動モデルによって補正されたレンジ方向およびドップラ方向のシフトに基づいて軌道物体の速度ベクトルが算出されることにより、m回のパルスヒットの受信信号に対する積分処理の結果であるプロットを検出する過程で、軌道物体の位置および速度ベクトルを推定している。
そして、かかる推定された位置および速度ベクトルに基づき、軌道物体の軌道要素を推定している。
この結果、レーダセンサによる一定時間の観測で得られた複数のプロットに対する追尾処理を行うことを必要とせず、プロットを1個検出する過程で、軌道物体の軌道要素を推定することができる。
さらに、この実施の形態1によれば、仮説抽出部50は、仮説毎に運動情報(位置、速度)より計算した中央値あるいは軌道要素により仮説を選択するので、妥当な位置、速度、軌道要素を有する仮説を選択できる。結果として、位置、速度、軌道要素を精度良く推定できる。
つまり、実施の形態1によれば、軌道物体の観測値から軌道物体の位置情報等を高精度に推定するため、複数の運動仮説を生成し、その複数の運動仮説のそれぞれに対して観測値との整合性を示す第1の評価値を算出するとともに、第1の評価値と複数の運動仮説のそれぞれに対して導かれる軌道物体の位置情報、速度情報、軌道情報等を示す第2の評価値に基づき、複数の運動仮説の中から適した運動仮説を抽出する。第1の評価値のみならず、軌道物体の位置情報、速度情報、軌道情報等を示す第2の評価値を用いて仮説を抽出することにより、軌道物体の観測値と整合性の高い運動仮説を抽出することができ、軌道物体の位置情報等を高精度に推定することができる。
1 レーダ装置、10 信号受信手段、11 パラメータ算出手段、12 観測値出力部、20 波形相関演算手段、30 評価部、40 軌道要素推定手段、50 仮説抽出部、60 処理回路、70 メモリ、301 運動仮説生成部、302 運動量補償部、303 ヒット方向信号積分処理部。
Claims (5)
- 複数のパルスヒットを積分処理した結果から軌道物体の位置を1プロットとして検出するレーダ装置であって、
前記複数のパルスヒットに対応した受信信号と送信信号との相関演算により、パルスヒットごとに前記受信信号の遅延時間波形を算出して前記軌道物体の観測値として出力する観測値出力部と、
前記軌道物体が他の物体の重力の影響を受けて前記他の物体の周囲を周回する運動モデルに基づいて、前記軌道物体の位置および速度ベクトルの仮説を複数生成する運動仮説生成部と、
前記運動仮説生成部で生成された複数の仮説をレーダから見た距離速度および距離加速度に変換し、前記距離速度に基づくレンジ方向のシフト量および前記距離加速度に基づいて遷移する距離変化量によって前記遅延時間波形を補正する運動量補償部と、
前記運動仮説生成部で生成された複数の仮説ごとに、前記運動量補償部で補正された前記遅延時間波形を前記複数のパルスヒットに対して積分し、その積分結果を前記遅延時間波形と前記仮説との整合性を示す第1の評価値とする積分処理部と、
前記第1の評価値に基づいて抽出した上位仮説の中から、さらに、前記運動仮説生成部で生成された複数の仮説から導かれる前記軌道物体の位置情報または速度情報または軌道要素が物理的事実を用いて理論的に求められる運動諸元に従うか否かを表す第2の評価値に基づいて上位仮説を抽出する仮説抽出部とを備え、
前記軌道物体の位置を1プロットとして検出する過程で前記軌道物体の速度ベクトルを得ることを特徴とするレーダ装置。 - 第2の評価値は、前記複数の仮説のそれぞれで想定される前記軌道物体の位置情報の中央値と該位置情報との誤差、または前記複数の仮説のそれぞれで想定される前記軌道物体の該速度情報の中央値と該速度情報との誤差、または前記複数の仮説のそれぞれで想定される前記軌道物体の軌道要素の中央値と該軌道要素との誤差、またはそれぞれの誤差を正規化した正規化誤差であることを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
- 第2の評価値は、前記積分結果において最大振幅が存在するレンジセル番号と、前記複数の仮説から見積もることができるレンジセル番号との差であることを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
- 前記仮説抽出部は、低軌道高度を飛翔する物体を対象とする場合には、前記複数の仮説ごとに得られる離心率を前記第2の評価値とし、前記第2の評価値が0に近い仮説を抽出することを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
- 前記仮説抽出部は、低軌道高度を飛翔する物体を対象とする場合には、前記複数の仮説のそれぞれで想定される前記軌道物体の位置情報および速度情報ごとに前記軌道物体が一日で地球を周回する回数である平均運動を算出して推定平均運動とし、前記複数の仮説のそれぞれで想定される前記軌道物体の位置情報のうち高さを表すパラメータを前記軌道物体の飛翔高度とみなして求められる軌道上速度、または前記複数の仮説のそれぞれの速度ベクトルから求められる軌道上速度を用いて見積もられる平均運動を見積もり平均運動とし、前記推定平均運動と前記見積もり平均運動との差を前記第2の評価値とすることを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
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