JP5986704B1 - 構造物の応力推定方法 - Google Patents

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Abstract

構造物にかかる応力を容易かつ精度高く推定できる応力推定方法を提供する。本実施形態による応力推定方法は、金属部材を含む構造物(10)の表面に、金属部材内の介在物が割れたときに放出される弾性波(AE)を検知する圧電素子(PE)を取付ける取付工程と、圧電素子(PE)が取付けられた構造物(10)に対して圧力を付与する工程と、圧電素子(PE)が弾性波を検知したときに構造物(10)に付与されていた基準圧力を特定する工程と、介在物が割れたときに金属部材にかかる応力である基準応力と、基準圧力とに基づいて、所定の圧力が構造物に付与されたときに構造物(10)にかかる推定応力を求める応力推定工程とを備える。

Description

本発明は、応力推定方法に関し、さらに詳しくは、熱交換器に代表される構造物の応力推定方法に関する。
構造物にかかる応力を推定する方法として、歪みゲージを用いた応力推定方法がある。この応力推定方法では、構造物のうち、応力を求めたい箇所に歪みゲージを貼り付ける。その後、構造物に荷重をかけて、歪みゲージで歪みを検知する。弾性域であれば、歪みと応力とは比例関係である。そのため、検知された歪みと構造物の弾性率とに基づいて、歪みゲージが貼り付けられた箇所にかかる応力を推定できる。
しかしながら、歪みゲージを用いた応力推定方法では、広い範囲の応力を推定する場合に多くの歪みゲージが必要となる。さらに、熱交換器の内部のフィン等にかかる応力を推定する場合、熱交換器内部のフィン等に歪みゲージを貼り付ける必要があり、測定が困難である。
他の応力推定方法として、特開2002−181677号公報(特許文献1)は、弾性波の伝播速度から応力を推定する方法を提案する。この方法では、測定対象の構造物と同じ材質の試験体で予め求めた、引張及び圧縮応力下での伝播速度のグラフと、実際の構造物に圧縮負荷をかけて測定した伝播速度とに基づいて、無応力時の弾性波速度を求め、得られた弾性波速度に基づいて、構造物の圧縮強度を求める。
しかしながら、この文献の応力推定法は、伝播速度を測定した広い領域の平均値としての応力推定となる。そのため、単純な形状の構造物では精度の高い応力推定ができるものの、熱交換器のように、複雑な構成の構造物に対しては適用しにくい。
熱交換器に代表される、複雑な構成を有する構造物にかかる応力を推定できれば、構造物の耐久性を評価することができる。特開2005−221387号公報(特許文献2)は、熱交換器の耐久性、より具体的には、熱交換器内部のフィンのロウ付け不良の検査方法を開示する。この文献の方法では、熱交換器内にガスを導入して所定の圧力を付与し、ロウ付け不良による剥がれを音で検知する。これにより、従来、熟練工が目視により確認していたロウ付け不良検査を容易に、かつ、確実にできると記載されている。
しかしながら、特許文献2に開示された方法は、ロウ付け不良の有無は確認できるものの、熱交換器にかかる応力を推定して耐久性を評価することはできない。具体的には、特許文献2に開示された方法は、実際の熱交換器で使用する応力より過大な応力を熱交換器に負荷し、その応力に耐えることで熱交換器の健全性を担保できるという考えに基づく検査法である。実際の使用による熱交換器の破壊挙動では、一回の大きな応力負荷による破壊よりも、それよりはるかに小さい応力の繰返し負荷による破壊(つまり疲労破壊)の可能性の方が高い。さらに、過大な負荷を与えた場合には、剥離等の破壊には至らないものの、熱交換器が弾性域を超えて塑性域に達して塑性変形したり、残留応力が残る可能性がある。残留応力が残った熱交換器では、通常の疲労破壊に至る応力よりも低い応力で疲労破壊が発生する。したがって、特許文献2に開示された方法では、熱交換器の耐久性を正確に評価することが困難である。
特開2002−181677号公報 特開2005−221387号公報
本発明の目的は、構造物にかかる応力を容易にかつ精度高く推定できる応力推定方法を提供することである。
本実施形態による応力推定方法は、金属部材を含む構造物の表面に、金属部材内の介在物が割れたときに放出される弾性波を検知する圧電素子を取付ける取付工程と、圧電素子が取付けられた構造物に対して圧力を付与する工程と、圧電素子が弾性波を検知したときに構造物に付与されていた基準圧力を特定する工程と、介在物が割れたときに金属部材にかかる応力である基準応力と、基準圧力とに基づいて、所定の圧力が構造物に付与されたときに構造物にかかる推定応力を求める応力推定工程とを備える。
本実施形態による応力推定方法は、構造物にかかる応力を容易にかつ精度高く推定できる。
図1は、第1の実施の形態で用いられる耐久性評価試験装置の模式図である。 図2は、6951のアルミニウム合金の試験片に対して引張試験を実施したときのクロスヘッド変位及び応力の関係と、AE波の振幅との関係を示す図である。 図3は、図2を得るための引張試験に使用された試験片の平面図である。 図4は、第1の実施形態の応力推定方法を利用した耐久性評価試験を説明するための模式図である。 図5は、第1の実施形態の応力推定方法を用いた耐久性評価試験のフロー図である。 図6は、熱交換器の表面に3つの圧電素子を配置した場合の模式図である。 図7は、熱交換器の表面に2つの圧電素子を配置した場合の模式図である。 図8は、第2の実施形態の応力推定方法を用いた耐久性評価試験のフロー図である。
本実施形態による構造物の応力推定方法は、金属部材を含む構造物の表面に、金属部材内の介在物が割れたときに放出される弾性波を検知する圧電素子を取付ける取付工程と、圧電素子が取付けられた構造物に対して圧力を付与する工程と、圧電素子が弾性波を検知したときに構造物に付与されていた基準圧力を特定する工程と、介在物が割れたときに金属部材にかかる応力である基準応力と、基準圧力とに基づいて、所定の圧力が構造物に付与されたときに構造物にかかる推定応力を求める応力推定工程とを備える。
本応力推定方法では、金属中の介在物が割れたときに放出される弾性波(より具体的にはアコースティックエミッション波)を検知し、弾性波が検知されたときの圧力(基準圧力)と、介在物が割れて弾性波を放出するときの応力(基準応力)とに基づいて、所定の圧力を付与した場合に構造物にかかる応力を推定する。介在物が割れて弾性波を放出するときの基準応力は、ほぼ一定の範囲内となる。応力と圧力は比例関係を有する。そのため、介在物が割れて放出された弾性波が検知されたとき(つまり、介在物の基準応力が構造物に付与されたとき)の圧力(基準圧力)が特定できれば、所定の圧力時の応力を容易に、精度高く、推定できる。
上記応力推定方法はさらに、金属部材の素材である金属を用いて、基準応力を測定する工程を含んでもよい。この場合、上記応力推定工程は、予め測定された基準応力と基準圧力とを用いて、推定応力を求める。
好ましくは、上記応力推定方法はさらに、推定応力に基づいて、構造物の耐久性を評価する工程を備える。
この場合、所定の圧力を付与したときの推定応力に基づいて、構造物が想定された環境で使用可能か否かを容易に判定できる。
好ましくは、取付工程では、構造物の表面の複数の位置に複数の圧電素子を取付ける。上記応力推定方法はさらに、複数の圧電素子が弾性波を検知したとき、構造物において弾性波が放出された位置を特定する。
この場合、構造物中において介在物から弾性波が放出されたとき、異なる位置に取付けられた各圧電素子の弾性波の到達時間に基づいて、弾性波を放出した介在物の位置を特定できる。その結果、構造物中において応力が集中しやすい位置を特定できる。
好ましくは、応力推定工程は、特定された位置に使用された金属部材の素材固有の基準応力と、基準圧力とを用いて、推定応力を求める。
構造物に含まれる複数の金属部材の素材がそれぞれ異なる場合もある。弾性波の放出位置が特定できれば、特定された位置の金属部材の素材の基準応力を用いて、推定応力を求めることができる。この場合、推定応力の精度が高まる。
上述の金属部材は、アルミニウム合金製の部材である。
この場合、アルミニウム合金中の介在物は主として金属間化合物であり脆い。そのため、弾性波を放出しやすく、圧電素子がその弾性波を検知しやすい。
上記応力推定方法では、構造物は内部に複数の流路を含む熱交換器であり、圧力を付与する工程では、熱交換器の内部に流体を流入して、熱交換器に対して内圧を付与してもよい。
本実施形態の応力推定方法では、内部に複数の流路を含む熱交換器のような複雑な構造物であっても、容易に精度高く応力を推定できる。複数の流路はたとえば、複数のフィンにより形成される。流体は気体であっても液体であってもよい。好ましい流体は液体である。
以下、図面を参照して本実施形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[第1の実施の形態]
[耐久性評価試験装置]
初めに、本実施形態の構造物の応力推定方法で使用される耐久性評価試験装置について説明する。本例では、構造物の一例として、熱交換器の応力推定方法を説明する。しかしながら、構造物は熱交換器に限定されない。
図1は、耐久性評価試験装置の模式図である。図1を参照して、耐久性評価試験装置1は、流体源2と、圧力変換器3と、バルブ4と、圧力計5と、チャンバ6と、流体が通る流路7と、制御装置20とを備える。
チャンバ6は図示しない昇温装置を含む。チャンバ6内に熱交換器10が収納される。チャンバ6は、昇温装置を用いて、耐久性評価試験中の熱交換器10の温度を調整する。
構造物である熱交換器10は、周知の構成を有する。たとえば、熱交換器10は、流体が流れる流路を内部に含む本体を有する。熱交換器10はたとえば、内部に複数のフィンを含み、隣り合うフィンの間を流体が流れる。複数のフィンはコルゲートフィンであってもよいし、プレートフィンであってもよい。熱交換器10の本体はチューブプレートを含んでもよい。通常、フィンは本体にろう付けされたり、本体と一体成形されたりする。
熱交換器10には、流入口11と流出口12とを備える。流体は、流入口11を介して熱交換器10の内部に流入する。そして、流体は熱交換器10の本体内で熱交換され、流出口12を介して外部に流出する。
流体源2には、熱交換器10を加圧するための流体が収納されている。本例では流体は液体流体であり、たとえば、油である。流体源2に収納される流体は、好ましくは液体である。液体は収縮膨張しにくいため、気体に比べて試験するうえで安全であるからである。
流路7は、流体源2と熱交換器10との間で流体を循環させる。流路7は流体源2と流入口11との間につながり、さらに、流出口12と流体源2との間につながる。
圧力変換器3は、流路7内の流体の圧力を昇降し、熱交換器10にかかる圧力(内圧)を調整する。調整された圧力は、圧力計5で確認できる。バルブ4は、試験開始時に開かれ、これにより、流路7に流体が流れる。
制御装置20は、耐久性評価試験装置1全体を制御する。具体的には、制御装置20は、流体源2と、圧力変換器3と、バルブ4と、圧力計5と、チャンバ6とを制御する。
制御装置20はさらに、圧電素子PEの検知結果及び圧力計5による熱交換器10内の圧力値を取得し、推定応力を算定する。制御装置20は図示しないコンピュータを内部に含み、コンピュータ内のハードディスク及びメモリには、推定応力を算定するための情報が格納されている。
[応力推定方法の概要]
上記耐久性評価試験装置を用いた応力推定方法の概要について説明する。熱交換器10は複数の金属部材を含む。金属部材の素材である金属には通常、介在物が含まれる。たとえば、航空機用途に使用される熱交換器10には、アルミニウム合金が使用される。アルミニウム合金はたとえば、6000系、3000系等である。
これらのアルミニウム合金は、Fe−Si系介在物や、Fe−Si−Mg系介在物等の介在物を含有する。これらの介在物は金属間化合物等であり、脆い。そして、介在物は母相の破壊応力よりも低い応力で破壊される。以下、介在物が破壊されるときの応力(破壊応力)を「基準応力」という。アルミニウム合金の強度は熱処理条件により変化するものの、特定介在物の基準応力はほぼ一定である。
金属中の介在物が破壊されるとき、内部に蓄えていた弾性エネルギーを弾性波として放出する。ここで放出される弾性波は主として超音波領域(数10kHz〜数MHz)の高い周波数成分を有する。このような弾性波をアコースティックエミッション波という。以下、アコースティックエミッション波を「AE波」という。
上述のとおり、介在物が破壊されてAE波が放出される基準応力はほぼ一定である。図2は、6951のアルミニウム合金の試験片に対して引張試験を実施したときのクロスヘッド変位及び応力の関係と、AE波の振幅との関係を示す図である。図2は次の方法により得られた。
図3に示すように、6951のアルミニウムからなる引張試験片を作製した。6951のアルミニウムの化学組成は、Cu:0.15〜0.4、Si:0.2〜0.5、Fe:0.8以下、Mn:0.1以下、Mg:0.4〜0.8、及び、Zn:0.2以下を含有し、残部はAl及び不純物であった。図3中の数値は寸法(mm)である。試験片の厚さは0.25mm、試験片の長さは190mm、平行部の長さは70mmであった。試験片の一方の表面の中心軸線上に4つの圧電素子(ピコセンサ)PEを図3に示す位置に取付けた。試験片は2つ(TP1、TP2)準備し、圧電素子PEを取付ける前に、各試験片に対して熱処理条件を変えて熱処理を実施した。
熱処理を実施して圧電素子PEを取付けた後、インストロン(商標)型引張試験機を用いて、試験片TP1及びTP2に対して、常温、大気中で引張試験を実施した。クロスヘッドの変位が試験片の伸びに対応した。また、試験片にかかる応力は、荷重をロードセルで測定し、得られた荷重を試験片の断面積で除することにより求めた。さらに、試験中において、圧電素子PEによりAE波を検知したときのAE波形の振幅と、そのときのクロスヘッドの変位とを求めた。得られた結果に基づいて、図2を作成した。
図2を参照して、試験片TP1及びTP2の応力曲線は異なる値を示した。しかしながら、試験片TP1、TP2いずれにおいても、AE波が検知された応力は50〜150MPaの範囲に集中した。そして、AE波が初めに検知されるのは、試験片TP1及びTP2いずれも、50MPa近傍であった。
以上の結果から、アルミニウム合金において、特定介在物が割れるときの基準応力は少なくとも50〜150MPaであり、割れ初めの基準応力は50MPaであることが分かる。
本実施形態の応力推定方法を利用した耐久性評価試験は、この基準応力(介在物の破壊応力)を用いる。図4は、本実施形態の応力推定方法を利用した耐久性評価試験を説明するための模式図である。図4を参照して、熱交換器10は、内部にアルミニウム合金製の複数のフィン50(ここではコルゲートフィン)を収納する。フィン50は熱交換器10の本体の内面にろう付け又は一体成形されている。熱交換器10内に液体流体FLを充填し、内部に圧力(内圧)P1を付与する。このとき、圧力(内圧)P1により、フィン50には引張応力が付与される。熱交換器10内部に所定の圧力P1が付与されたとき、フィン50内の介在物が破壊され、AE波が全方位に放出される。AE波は液体流体FL及び固体内(熱交換器10本体及びフィン50)を伝播して熱交換器10の表面に到達する。圧電素子PEがこのAE波を検知する。
上述のとおり、アルミニウム合金の介在物が破壊されたときの基準応力(破壊応力)はほぼ一定である。したがって、予め介在物の基準応力が分かっていれば、AE波を検知したときの内圧P1のとき、フィン50に基準応力がかかっていることが推定できる。
以上のとおり、本実施形態では、金属中の介在物の脆性を利用して、介在物の破壊応力を基準応力として、AE波が放出されたときの内圧P1のときに熱交換器10(の金属部材)にかかる応力が基準応力であることを推定できる。
内圧P1と応力とは原則比例関係を有する。そのため、耐久性評価試験で所定の圧力を付与したときに熱交換器10にかかる応力(以下、推定応力という)を、基準応力に基づいて求めることができる。したがって、本実施形態の応力推定方法を用いれば、精度の高い推定応力を容易に求めることができ、推定応力に基づいて、熱交換器10の耐久性についても評価できる。たとえば、推定応力が、AE波を放出したアルミニウム合金のS−N曲線の設計疲労サイクル未満であれば、熱交換器10の耐久性が十分であることが予測できる。
以下、本実施形態の応力推定方法を用いた耐久性評価試験について詳述する。
[応力推定方法を用いた耐久性評価試験]
図5は、本実施形態の応力推定方法を用いた耐久性評価試験のフロー図である。図5を参照して、初めに熱交換器10の表面に圧電素子PEを取付ける(S1)。取付ける圧電素子PEは1つであってもよいし、複数であってもよい。図6に示すとおり、表面が二次元的な平面である熱交換器において、AE波を放出した介在物の位置X1を特定する場合、少なくとも3個以上の圧電素子PEを熱交換器10に取付ければ足りる。3つの圧電素子PEの各々がAE波を受信した時間の差分及び各圧電素子PEの位置に基づいて、位置X1を特定することができる。一方、図7に示すとおり、表面を一次元的にとらえることができる(たとえば、表面が狭い)熱交換器10では、2つの圧電素子PEを取付ければ、AE波を放出した介在物の位置X1を特定できる。ただし、位置X1の検出が不要な場合、1つの圧電素子PEを熱交換器10に取付ければ足りる。
続いて、圧電素子PEが取付けられた熱交換器10を、耐久性評価試験装置1に装着する(S2)。具体的には、チャンバ6に熱交換器10を収納し、流入口11と流出口12に流路7を取付ける。
熱交換器10の装着が完了した後、耐久性評価試験を開始する。初めに、制御装置20は、チャンバ6の昇温装置や冷却装置(図示せず)を用いて、熱交換器10の温度を試験温度に調整する。試験温度は、熱交換器10が実際に使用される温度であってもよいし、加速試験の場合は実際の使用での温度域よりも高い温度や逆に低い温度であってもよい。
熱交換器10の温度を所定温度に調整した後、制御装置20は、熱交換器10に圧力を付与する(S3)。具体的には、流体源2から流路7を介して液体流体を熱交換器10に流入する。さらに、制御装置20が圧力変換器3を動作させ、熱交換器10に対する圧力の付与を開始し、徐々に圧力を増加する(S4でNO、S5)。
圧力(内圧)を増加していくと、所定の圧力となったときに熱交換器10中のフィン50(ここではアルミニウム合金製とする)内の介在物が破壊され、AE波が放出され始める。放出され始めたAE波は液体流体及び熱交換器10の固体部分(本体及びフィン50)を伝播して、圧電素子PEに到達する。
圧電素子PEが放出されたAE波を検知したとき(S4でYES)、制御装置20は、AE波を検知したときに熱交換器10にかかる圧力(内圧)を特定する。上述のとおり、介在物が破壊されるときの応力(基準応力)は、ほぼ一定である。したがって、初めに放出されたAE波を検知したとき、熱交換器10には基準応力がかかる。このときの圧力を、「基準圧力」と定義する(S6)。
続いて、制御装置20は、得られた基準圧力及び基準応力に基づいて、所定圧力において熱交換器10にかかる応力(推定圧力)を求める(S7)。上述のとおり、圧力と応力とは比例関係を有する。したがって、ステップS6において、基準応力がかかったときの基準圧力が特定されれば、所定の圧力において熱交換器10にかかる推定応力は容易に算出される。具体的には、基準応力をSref、基準圧力をPrefとした場合、所定の圧力Pxにより熱交換器10にかかる推定応力Sestは次の式で求めることができる。
Sest=(Sref/Pref)×Px
以上の工程により、介在物が破壊されるときに放出されるAE波を検知して基準圧力を特定することにより、所定の圧力のときに熱交換器10にかかる推定応力が算定される。
ステップS7で得られた推定応力に基づいて、制御装置20は、使用環境で要求される圧力における熱交換器10の耐久性について評価する(S8)。たとえば、得られた推定応力が疲労曲線(S−N曲線)における設計疲労サイクル未満であれば、要求される圧力下においても熱交換器10は破断しない。したがって、熱交換器10は十分な耐久性を有すると判断できる。一方、ステップS7で得られた推定応力が設計疲労サイクルを超えれば、熱交換器10は十分な耐久性を有さないと判断できる。
以上のとおり、本実施形態の応力推定方法では、推定応力を容易に算定できる。そして、推定応力を用いて、熱交換器10の耐久性を容易に評価できる。
[第2の実施の形態]
熱交換器10が、素材の異なる複数の金属部材(たとえばアルミニウム合金部材)を備える場合、AE波を放出した金属部材の素材に応じた基準応力を算定できた方が、推定応力の精度が高まる。
図8は、第2の実施形態による応力推定方法のフロー図である。図8のフロー図は、図5と比較して、ステップS4とステップS6との間に新たにステップS40を含む。図8のその他のステップは図5と同じである。
制御装置20は、圧電素子PEが初めに放出されたAE波を検知したとき(S4でYES)、3つの圧電素子PEのAE波の検知時刻の時間差及び圧電素子PEの配置位置に基づいて、AE波の発生源X0を特定する(S41)。さらに、特定された発生源X0に配置された金属部材の素材を特定する。制御装置20は、熱交換器10内に使用された金属部材の位置情報を格納する。制御装置20はさらに、各金属部材の素材に関する情報(素材情報)を格納する。制御装置20は、格納された位置情報及び素材情報に基づいて、発生源X0に配置された金属部材の素材を特定する(S42)。
制御装置20はさらに、内部に、各素材での基準応力(介在物の破壊応力)に関する基準応力情報を格納する。制御装置20は、基準応力情報に基づいて、発生源X0の金属部材の素材での基準応力を特定する(S43)。
制御装置20は、ステップS6で基準圧力を特定し、ステップS7において、ステップS43で特定された基準応力と基準圧力とに基づいて、推定応力を求める(S7)。以降の動作は図5と同じである。
以上のとおり、第2の実施形態では、AE波の発生源に配置された金属部材の素材固有の基準応力を特定し、推定応力の算定に使用する。そのため、推定応力の精度がさらに高まる。
上述の実施の形態では、制御装置20が基準圧力の特定、推定応力の算定、AE波発生源の特定、素材の特定、基準応力の特定等を行ったが、制御装置20以外、たとえば、作業者、又は別のコンピュータ装置等がこれらの処理を行ってもよい。また、制御装置20が金属部材の位置情報、素材情報、基準応力情報を格納してなくてもよい。
上述の実施の形態では、金属としてアルミニウム合金を例とし、介在物として、Fe−Si系介在物の破壊応力を基準応力として定義した。しかしながら、介在物はFe−Si系介在物に限定されない。たとえば、Fe−Si−Mg系介在物を介在物として、その破壊応力を求めてもよい。要するに、アルミニウム合金の化学組成に応じて、AE波を放出する介在物は異なる。そのため、アルミニウム合金の種類に応じて、基準応力(破壊応力)を決定すればよい。
また、金属はアルミニウム合金に限定されない。本実施形態の金属には、他の合金や鋼等も含まれる。好ましくは、上記応力推定方法は、アルミニウム合金部材を含む構造物に適用される。アルミニウム合金の介在物は主として金属間化合物であり、割れやすく、AE波を検出しやすいからである。
上述の実施形態では、熱交換器10に使用したアルミニウム合金の試験片を用いて、引張試験により、特定介在物のAE波が放出されるときのアルミニウム合金にかかる応力を予め測定し、その値を基準応力とした。しかしながら、基準応力の定義はこの方法に限定されない。たとえば、シミュレーションにより基準応力を求めてもよいし、他の方法により基準応力を求めてもよい。好ましくは、耐久性試験を実施する前に、試験片を用いて引張試験を実施して、基準応力を求めるのが好ましい。この場合、基準応力の精度が高いため、耐久性の評価の精度を高めることができる。
上述の実施形態では、構造物としてフィンにより構成された複数の流路を含む熱交換器を例に説明した。しかしながら、複数の流路はフィンによる構成に限定されない。たとえば、複数の流路はチューブや押出し成形により構成されていてもよい。また、構造物は熱交換器に限定されない。金属部材を含む構造物であれば、熱交換器以外の構造物に対しても、上述の応力推定方法を適用できる。
以上、本発明の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。
1 耐久性評価試験装置
3 圧力変換器
5 圧力計
10 熱交換器
PE 圧電素子

Claims (7)

  1. 金属部材を含む構造物の表面に、前記金属部材内の介在物が割れたときに放出される弾性波を検知する圧電素子を取付ける取付工程と、
    前記圧電素子が取付けられた前記構造物に対して圧力を付与する工程と、
    前記圧電素子が前記弾性波を検知したときに前記構造物に付与されていた基準圧力を特定する工程と、
    前記介在物が割れたときに前記金属部材にかかる応力である基準応力と、前記基準圧力とに基づいて、所定の圧力が前記構造物に付与されたときに前記構造物にかかる推定応力を求める応力推定工程とを備える、構造物の応力推定方法。
  2. 請求項1に記載の応力推定方法であってさらに、
    前記金属部材の素材である金属を用いて、前記基準応力を測定する工程を備え、
    前記応力推定工程は、前記予め測定された前記基準応力と前記基準圧力とを用いて、前記推定応力を求める、応力推定方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の応力推定方法であってさらに、
    前記推定応力に基づいて、前記構造物の耐久性を評価する工程を備える、応力推定方法。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の応力推定方法であって、
    前記取付工程では、前記構造物の表面の複数の位置に複数の前記圧電素子を取付け、
    前記応力推定方法はさらに、
    複数の前記圧電素子が前記弾性波を検知したとき、前記構造物において前記弾性波が放出された位置を特定する工程を備える、応力推定方法。
  5. 請求項4に記載の応力推定方法であってさらに、
    前記応力推定工程は、
    前記特定された位置に使用された前記金属部材の素材固有の前記基準応力と、前記基準圧力とを用いて、前記推定応力を求める、応力推定方法。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の応力推定方法であって、
    前記金属部材は、アルミニウム合金製の部材である、応力推定方法。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の応力推定方法であって、
    前記構造物は内部に複数の流路を含む熱交換器であり、
    前記圧力を付与する工程では、前記熱交換器の内部に流体を流入して、前記熱交換器に対して内圧を付与する、応力推定方法。
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