JP5985503B2 - 定量的増幅のためのユニバーサルリファレンス色素 - Google Patents

定量的増幅のためのユニバーサルリファレンス色素 Download PDF

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Description

関連特許出願の相互参照
本出願は、2010年12月16日出願の米国仮特許出願第61/423,932号;2011年1月21日出願の米国仮特許出願第61/435,209号;および2011年7月15日出願の米国仮特許出願第61/508,453号のそれぞれに対する優先権の恩典を主張するものであり、これらの出願の各々は、すべての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
発明の背景
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)時のDNA増幅のリアルタイム検出は、標的配列の濃度閾値(Ct)に到達するために必要なサーマルサイクリング中の温度サイクルの数を、PCR法の開始時に存在する標的DNAの量に関連づけることによって、増幅されたDNA標的配列の定量的データを提供する。したがって、存在する標的配列の量の正確かつ再現可能な測定は、正確なCt値を検出することによって行うことができる。正確なCt値を決定するための一つの側面は、ハイスループットマルチウェルアッセイ法での試料間のシグナルの正規化およびウェル間の光学的変動の補正のために、パッシブ内部リファレンス色素に、サーマルサイクリング中に生成された蛍光シグナルを関連づけることである(例えば、Real-time PCR, Julie Logan, Kristin Edwards, Nick Saunders編, 2009(非特許文献1); Wong, ML and Medrano, JF, Biotechniques, 39:75-85, 2005(非特許文献2)およびGehua et al. Can. J. Microbiol, 53:391-397, 2007(非特許文献3)を参照されたい)。励起光学はさまざまな機器プラットフォーム間で異なるため、パッシブリファレンス色素の最適濃度は特定のリアルタイムサーマルサイクラーに適合させる必要がある。
5-および/または6-カルボキシ-X-ローダミン(例えば、ROX(商標)として市販される)は、多くの機器においてパッシブリファレンス色素として一般的に使用されている。パッシブ(核酸増幅反応の成分と相互作用しない、(使用する場合)5'-エキソヌクレアーゼにより誘導される蛍光シグナル生成に関与しない、増幅反応効率に影響を与えないなどの)リファレンス5-または6-カルボキシ-X-ローダミン色素は、レポーター色素のシグナルを正規化することができる内部リファレンスを提供する。このシグナルの正規化によって、濃度または体積の変化に起因する蛍光変動を補正することができる。レポーター色素シグナルの正規化は、反復された反応間のデータの精度および再現性の向上につながる。いくつかの「正規化」算出では、アンプリコン量を示すレポーター色素または他の蛍光シグナルの蛍光発光強度を、パッシブリファレンス色素(例えば、5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素)の蛍光発光強度で割って、正規化されたレポーターまたはRnの比率を得る。ベースラインおよびテンプレート含有試料のRn値間の差はデルタ(Δ)Rnに等しく、これはそうした特定のPCR条件下で試料によって生成されたシグナルの大きさを示している。絶対的または相対的発現量は、割り当てられた閾値およびその閾値を超えるのに必要なサイクル数(Ct、CpまたはCq)に基づいて決定することができる。
サーマルサイクラーの設計における違いのため、一部の機器は正規化のために5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素の高濃度を用いる一方で、他の機器は低濃度を用いる。AB7900などの高Rox機器では、光源は480nmで励起するレーザーをベースにしている。580nmに吸収極大を有するRox色素がパッシブ正規化のために使用される場合、それは480nmのレーザーによって効率的に励起されない。Rox色素の低い励起効率を補償するために、かつ適切な正規化のための十分なシグナルを生じさせるために、非常に高濃度のRox色素を使用しなければならない。それゆえに、この機器は「高Rox」プラットフォームと呼ばれている。他の多くのリアルタイムプラットフォームは異なるチャネル内でシグナルを検出するのに対して、AB7900は、異なるビンにおけるシグナルを収集し、ROXのために指定された1セットのビンを有する。
AB7500などの低Rox機器では、広域スペクトル光源が使用されており、さらにそれは、対応するチャネル用のフィルターの使用により4つの励起波長に分割される。発光はそれぞれの指定されたチャネル内で検出される。したがって、Rox色素は「Rox」チャネル内で最大限に励起され、高濃度のRox色素を必要とすることなく正規化のための十分なシグナルを生成することができる。それゆえ、こうした機器および同様の機器は「低Rox」プラットフォームと呼ばれている。典型的には、「高Rox」プラットフォームで用いられるRox濃度は、「低Rox」プラットフォームで用いられる濃度より約10倍高い濃度である。
Real-time PCR, Julie Logan, Kristin Edwards, Nick Saunders編, 2009 Wong, ML and Medrano, JF, Biotechniques, 39:75-85, 2005 Gehua et al. Can. J. Microbiol, 53:391-397, 2007
本発明は、標的核酸のリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅におけるシグナル正規化のための反応混合物を提供し、該混合物は、(a)正規化のためにパッシブリファレンス色素の高濃度を用いるリアルタイムPCR増幅システムと、(b)正規化のためにパッシブリファレンス色素の低濃度を用いるリアルタイムPCR増幅システムとの両方における使用に適合し、該混合物は、増幅反応とは無関係に蛍光シグナルを生成する複数のパッシブリファレンス色素を含む。
いくつかの態様において、前記混合物は、ストークスシフトを有する第1のパッシブリファレンス色素(または他の蛍光剤)であって、低濃度パッシブリファレンス色素正規化で使用するのに十分な濃度であり、第1のパッシブリファレンス色素(または他の蛍光剤)の励起波長極大(吸収極大としても知られる)および第1のパッシブリファレンス色素(または他の蛍光剤)の発光波長極大を有する、第1のパッシブリファレンス色素(または他の蛍光剤);ならびに該第1のパッシブリファレンス色素のストークスシフトより大きいストークスシフトを有する第2のパッシブリファレンス色素(または他の蛍光剤)であって、該第1のパッシブリファレンス色素(または他の蛍光剤)の発光波長極大とほぼ同じ発光波長極大、および該第1のパッシブリファレンス色素(または他の蛍光剤)の励起波長極大と有意に異なる励起波長極大を有する、第2のパッシブリファレンス色素(または他の蛍光剤)を含む。
いくつかの態様において、第2のパッシブリファレンス色素(または他の蛍光剤)は、少なくとも約60nmのストークスシフトを有する。
いくつかの態様において、第1のパッシブリファレンス色素は、5-カルボキシ-X-ローダミンおよび/もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン、またはそれらの類似体を含む。いくつかの態様では、前記混合物は、5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/または6-カルボキシ-X-ローダミン色素;ならびに少なくとも約60nmのストークスシフトを有する第2のパッシブリファレンス色素であって、約620nmの発光波長極大を有する、第2のパッシブリファレンス色素を含む。いくつかの態様では、前記混合物は、5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/または6-カルボキシ-X-ローダミン色素;ならびに少なくとも約60nmのストークスシフトを有する第2のパッシブリファレンス色素であって、約590nmの発光波長極大を有する、第2のパッシブリファレンス色素を含む。
いくつかの態様において、前記混合物は、5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/または6-カルボキシ-X-ローダミン色素;ならびに少なくとも約60nmのストークスシフトを有する第2のパッシブリファレンス色素であって、約620nmの発光波長極大を有する、第2のパッシブリファレンス色素を含む。
いくつかの態様において、5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/または6-カルボキシ-X-ローダミン色素の濃度は100nM未満である。いくつかの態様では、5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素の濃度は約10nMである。
いくつかの態様において、前記混合物は、オリゴヌクレオチドプライマー、1つまたは複数のデオキシヌクレオシド三リン酸、緩衝液、インターカレーティング蛍光色素、およびポリメラーゼのうちの1つまたは複数をさらに含む。
いくつかの態様において、前記混合物はDNAポリメラーゼをさらに含む。いくつかの態様では、ポリメラーゼは抗体と複合体化される。いくつかの態様では、ポリメラーゼは、化学的に不活性化されるが、加熱によって活性化される。
いくつかの態様において、前記混合物は逆転写酵素を含む。
いくつかの態様において、第2のパッシブリファレンス色素は、ある成分にコンジュゲートされている。
いくつかの態様において、第2の蛍光色素(すなわち、少なくとも60nmのストークスシフトを有する)は、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560nmまたはそれ未満の励起波長極大を有する。
いくつかの態様において、ストークスシフトを有する第1および/または第2のパッシブリファレンス色素は、蛍光ドット(例えば、量子ドットまたは半導体ポリマードットを含むが、これらに限定されない)である。
本発明はまた、リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応を実施する方法を提供する。いくつかの態様では、前記方法は、上述したまたは本明細書の他の箇所に記載される混合物を用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施する段階であって、該混合物が、標的核酸を含む可能性があると疑われる生物学的試料をさらに含む、段階を含む。
いくつかの態様において、パッシブリファレンス色素正規化を用いない機器によりまたはパッシブリファレンス色素正規化を用いない増幅方法においてPCRを実施する。
いくつかの態様において、前記方法は、5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素と第2のパッシブリファレンス色素(すなわち、少なくとも60nmのストークスシフトを有する色素)のいずれか一方または両方に由来するシグナルを検出する段階をさらに含む。いくつかの態様では、正規化のために遊離5-カルボキシ-X-ローダミン色素もしくは遊離6-カルボキシ-X-ローダミン色素の高濃度の使用を採用する機器により、または正規化のために遊離5-カルボキシ-X-ローダミン色素もしくは遊離6-カルボキシ-X-ローダミン色素の高濃度の使用を採用する増幅方法においてPCRを実施し、かつ該方法は、第2のパッシブリファレンス色素に由来する、または第2のパッシブリファレンス色素と5-カルボキシ-X-ローダミン色素もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン色素との両方に由来するシグナルを検出する段階をさらに含む。いくつかの態様では、5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素と第2の蛍光色素(すなわち、少なくとも60nmのストークスシフトを有する色素)との両方に由来するシグナルが検出される。いくつかの態様では、前記方法は、第2のパッシブリファレンス色素に由来する、または第2のパッシブリファレンス色素と5-カルボキシ-X-ローダミン色素もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン色素との両方に由来するシグナルを用いて、ポリメラーゼ連鎖反応における標的核酸のシグナルを正規化する段階を含む。
いくつかの態様において、正規化のために遊離5-カルボキシ-X-ローダミン色素もしくは遊離6-カルボキシ-X-ローダミン色素の低濃度の使用を用いる機器により、または正規化のために遊離5-カルボキシ-X-ローダミン色素もしくは遊離6-カルボキシ-X-ローダミン色素の低濃度の使用を用いる増幅方法において、PCRを実施し、かつ該方法は、5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素を励起するが、第2のパッシブリファレンス色素(すなわち、少なくとも60nmのストークスシフトを有する色素)を実質的に励起しない段階;および5-カルボキシ-X-ローダミン色素由来もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン色素由来のシグナルを検出する段階をさらに含む。いくつかの態様では、前記方法は、5-カルボキシ-X-ローダミン色素由来または6-カルボキシ-X-ローダミン色素由来であり、かつ第2のパッシブリファレンス色素由来ではないシグナルを用いて、ポリメラーゼ連鎖反応における標的核酸のシグナルを正規化する段階を含む。
いくつかの態様において、ストークスシフトを有する第1および/または第2のパッシブリファレンス色素は蛍光ドットである。
本発明はまた、上述したまたは本明細書の他の箇所に記載される反応混合物を作製する方法を提供する。いくつかの態様では、前記方法は、複数のパッシブリファレンス色素を混合し、それによって反応混合物を生成する段階を含む。
いくつかの態様において、前記混合物は、ストークスシフトを有する第1のパッシブリファレンス色素であって、第1のパッシブリファレンス色素の励起波長極大および第1のパッシブリファレンス色素の発光波長極大を有する、第1のパッシブリファレンス色素;ならびに該第1のパッシブリファレンス色素のストークスシフトより大きいストークスシフトを有する第2のパッシブリファレンス色素であって、該第1のパッシブリファレンス色素の発光波長極大とほぼ同じ発光波長極大、および該第1のパッシブリファレンス色素の励起波長極大と有意に異なる励起波長極大を有する、第2のパッシブリファレンス色素を含む。
いくつかの態様において、第2のパッシブリファレンス色素は少なくとも約60nmのストークスシフトを有する。
いくつかの態様において、第1のパッシブリファレンス色素は5-カルボキシ-X-ローダミンおよび/もしくは6-カルボキシ-X-ローダミンまたはそれらの類似体を含む。
いくつかの態様において、第1のパッシブリファレンス色素は5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン色素またはそれらの類似体を含み、かつ第2のパッシブリファレンス色素は、少なくとも60nmのストークスシフトを有する蛍光色素であり、第2のパッシブリファレンス色素は約620nmまたは約590nmの発光波長極大を有する。
いくつかの態様において、前記方法は、1つまたは複数のデオキシヌクレオシド三リン酸、オリゴヌクレオチドプライマーの1つまたは複数、1つまたは複数のデオキシヌクレオシド三リン酸、緩衝液、インターカレーティング蛍光色素、およびDNAポリメラーゼのうちの少なくとも1つまたは複数を、第1および第2のパッシブリファレンス色素と混合する段階をさらに含む。
いくつかの態様において、前記混合物は逆転写酵素を含む。
いくつかの態様において、ストークスシフトを有する第1および/または第2のパッシブリファレンス色素は蛍光ドットである。
本発明はまた、リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応を実施するためのキットを提供する。いくつかの態様では、前記キットは、ストークスシフトを有する第1のパッシブリファレンス色素であって、第1のパッシブリファレンス色素の励起波長極大および第1のパッシブリファレンス色素の発光波長極大を有する、第1のパッシブリファレンス色素;ならびに該第1のパッシブリファレンス色素のストークスシフトより大きいストークスシフトを有する第2のパッシブリファレンス色素であって、該第1のパッシブリファレンス色素の発光波長極大とほぼ同じ発光波長極大、および該第1のパッシブリファレンス色素の励起波長極大と有意に異なる励起波長極大を有する、第2のパッシブリファレンス色素を含む。
いくつかの態様において、第2のパッシブリファレンス色素は少なくとも約60nmのストークスシフトを有する。
いくつかの態様において、第1のパッシブリファレンス色素は5-カルボキシ-X-ローダミンおよび/もしくは6-カルボキシ-X-ローダミンまたはそれらの類似体を含む。
いくつかの態様において、第1のパッシブリファレンス色素は5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン色素またはそれらの類似体を含み、かつ第2のパッシブリファレンス色素は、少なくとも60nmのストークスシフトを有する蛍光色素であり、第2のパッシブリファレンス色素は約620nmまたは約590nmの発光波長極大を有する。
いくつかの態様において、前記キットは、1つまたは複数のデオキシヌクレオシド三リン酸、オリゴヌクレオチドプライマーの1つまたは複数、1つまたは複数のデオキシヌクレオシド三リン酸、緩衝液、インターカレーティング蛍光色素、およびDNAポリメラーゼのうちの1つまたは複数をさらに含む。
いくつかの態様において、前記混合物は逆転写酵素を含む。
いくつかの態様において、第1のパッシブリファレンス色素および第2のパッシブリファレンス色素を、前記キット内の異なる容器に含む。
いくつかの態様において、第1のパッシブリファレンス色素および第2のパッシブリファレンス色素を、前記キット内の同じ容器に含む。
いくつかの態様において、ストークスシフトを有する第1および/または第2のパッシブリファレンス色素は蛍光ドットである。
[本発明1001]
標的核酸のリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅におけるシグナル正規化のための反応混合物であって、(a)該正規化のためにパッシブリファレンス色素の高濃度を用いるリアルタイムPCR増幅システムと、(b)該正規化のためにパッシブリファレンス色素の低濃度を用いるリアルタイムPCR増幅システムとの両方における使用に適合し、増幅反応とは無関係に蛍光シグナルを生成する複数のパッシブリファレンス色素を含有する、反応混合物。
[本発明1002]
ストークスシフトを有する第1のパッシブリファレンス色素であって、低濃度パッシブリファレンス色素正規化で使用するのに十分な濃度であり、第1のパッシブリファレンス色素の励起波長極大および第1のパッシブリファレンス色素の発光波長極大を有する、第1のパッシブリファレンス色素;ならびに
該第1のパッシブリファレンス色素のストークスシフトより大きいストークスシフトを有する第2のパッシブリファレンス色素であって、該第1のパッシブリファレンス色素の発光波長極大とほぼ同じ発光波長極大、および該第1のパッシブリファレンス色素の励起波長極大と有意に異なる励起波長極大を有する、第2のパッシブリファレンス色素
を含む、本発明1001の混合物。
[本発明1003]
前記第2のパッシブリファレンス色素が少なくとも約60nmのストークスシフトを有する、本発明1002の混合物。
[本発明1004]
前記第1のパッシブリファレンス色素が5-カルボキシ-X-ローダミンおよび/もしくは6-カルボキシ-X-ローダミンまたはそれらの類似体を含む、本発明1002の混合物。
[本発明1005]
5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/または6-カルボキシ-X-ローダミン色素;ならびに
少なくとも約60nmのストークスシフトを有する第2のパッシブリファレンス色素であって、約620nmの発光波長極大を有する、第2のパッシブリファレンス色素
を含む、本発明1001または1002の混合物。
[本発明1006]
5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/または6-カルボキシ-X-ローダミン色素;ならびに
少なくとも約60nmのストークスシフトを有する第2のパッシブリファレンス色素であって、約590nmの発光波長極大を有する、第2のパッシブリファレンス色素
を含む、本発明1001または1002の混合物。
[本発明1007]
前記第2のパッシブリファレンス色素が550nmまたはそれ未満の励起波長極大を有する、本発明1001〜1006のいずれかの混合物。
[本発明1008]
前記5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/または前記6-カルボキシ-X-ローダミン色素の濃度が100nM未満である、本発明1001〜1006のいずれかの混合物。
[本発明1009]
前記5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/または前記6-カルボキシ-X-ローダミン色素の濃度が約10nMである、本発明1001〜1006のいずれかの混合物。
[本発明1010]
オリゴヌクレオチドプライマー、1つまたは複数のデオキシヌクレオシド三リン酸、緩衝液、インターカレーティング色素、逆転写酵素、およびポリメラーゼのうちの1つまたは複数をさらに含む、本発明1001〜1009のいずれかの混合物。
[本発明1011]
DNAポリメラーゼを含む、本発明1010の混合物。
[本発明1012]
前記ポリメラーゼが抗体と複合体化される、本発明1011の混合物。
[本発明1013]
前記ポリメラーゼが、化学的に不活性化されるが加熱によって活性化される、本発明1011の混合物。
[本発明1014]
前記第2のパッシブ色素が蛍光ドットである、本発明1001〜1006のいずれかの混合物。
[本発明1015]
前記第2のパッシブリファレンス色素が、ある成分にコンジュゲートされている、本発明1001〜1006のいずれかの混合物。
[本発明1016]
本発明1001〜1015のいずれかの混合物を用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施する段階であって、該混合物が、標的核酸を含むと疑われる生物学的試料をさらに含む、段階
を含む、リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応を実施する方法。
[本発明1017]
5-カルボキシ-X-ローダミン色素正規化および/もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン色素正規化を用いない機器により、または5-カルボキシ-X-ローダミン色素正規化および/もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン色素正規化を用いない増幅方法において前記PCRを実施する、本発明1016の方法。
[本発明1018]
前記5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/または前記6-カルボキシ-X-ローダミン色素と前記第2のパッシブリファレンス色素のいずれか一方または両方に由来するシグナルを検出する段階をさらに含む、本発明1016の方法。
[本発明1019]
正規化のために遊離5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/もしくは遊離6-カルボキシ-X-ローダミン色素の高濃度を用いる機器により、または正規化のために遊離5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/もしくは遊離6-カルボキシ-X-ローダミン色素の高濃度を用いる増幅方法において前記PCRを実施し、かつ前記第2のパッシブリファレンス色素に由来するか、または該第2のパッシブリファレンス色素と該5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/もしくは該6-カルボキシ-X-ローダミン色素との両方に由来するシグナルを検出する段階をさらに含む、本発明1018の方法。
[本発明1020]
前記5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/または前記6-カルボキシ-X-ローダミン色素と前記第2のパッシブリファレンス色素との両方に由来するシグナルを検出する、本発明1019の方法。
[本発明1021]
(a)前記第2のパッシブリファレンス色素に由来するか、または(b)該第2のパッシブリファレンス色素と前記5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/もしくは前記6-カルボキシ-X-ローダミン色素との両方に由来するシグナルを用いて、前記ポリメラーゼ連鎖反応における前記標的核酸のシグナルを正規化する段階を含む、本発明1019の方法。
[本発明1022]
正規化のために遊離5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/もしくは遊離6-カルボキシ-X-ローダミン色素の低濃度を用いる機器により、または正規化のために遊離5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/もしくは遊離6-カルボキシ-X-ローダミン色素の低濃度を用いる増幅方法において前記PCRを実施し、かつ、
該5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/もしくは該6-カルボキシ-X-ローダミン色素を励起するが、前記第2のパッシブリファレンス色素を実質的に励起しない段階;ならびに
該5-カルボキシ-X-ローダミン色素由来および/もしくは該6-カルボキシ-X-ローダミン色素由来のシグナルを検出する段階
をさらに含む、本発明1018の方法。
[本発明1023]
前記5-カルボキシ-X-ローダミン色素由来および/または前記6-カルボキシ-X-ローダミン色素由来でありかつ前記第2のパッシブリファレンス色素由来ではないシグナルを用いて、前記ポリメラーゼ連鎖反応における前記標的核酸の該シグナルを正規化する段階を含む、本発明1022の方法。
[本発明1024]
前記複数のパッシブリファレンス色素を混合し、それによって前記反応混合物を生成する段階を含む、本発明1001〜1015のいずれかの反応混合物を作製する方法。
[本発明1025]
前記混合物が、
ストークスシフトを有する第1のパッシブリファレンス色素であって、第1のパッシブリファレンス色素の励起波長極大および第1のパッシブリファレンス色素の発光波長極大を有する、第1のパッシブリファレンス色素;ならびに
該第1のパッシブリファレンス色素のストークスシフトより大きいストークスシフトを有する第2のパッシブリファレンス色素であって、該第1のパッシブリファレンス色素の発光波長極大とほぼ同じ発光波長極大、および該第1のパッシブリファレンス色素の励起波長極大と有意に異なる励起波長極大を有する、第2のパッシブリファレンス色素
を含む、本発明1024の方法。
[本発明1026]
前記第2のパッシブリファレンス色素が少なくとも約60nmのストークスシフトを有する、本発明1025の方法。
[本発明1027]
前記第1のパッシブリファレンス色素が5-カルボキシ-X-ローダミンおよび/もしくは6-カルボキシ-X-ローダミンまたはそれらの類似体を含む、本発明1025の方法。
[本発明1028]
前記第1のパッシブリファレンス色素が5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン色素またはそれらの類似体を含み、かつ、前記第2のパッシブリファレンス色素が、少なくとも約60nmのストークスシフトを有する蛍光色素であり、該第2のパッシブリファレンス色素が約620nmの発光波長極大を有する、本発明1025の方法。
[本発明1029]
前記混合物が、
5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/または6-カルボキシ-X-ローダミン色素;ならびに
少なくとも約60nmのストークスシフトを有する第2のパッシブリファレンス色素であって、約590nmの発光波長極大を有する、第2のパッシブリファレンス色素
を含む、本発明1025の方法。
[本発明1030]
1つまたは複数のデオキシヌクレオシド三リン酸、オリゴヌクレオチドプライマーの1つまたは複数、1つまたは複数のデオキシヌクレオシド三リン酸、緩衝液、インターカレーティング色素、逆転写酵素、およびDNAポリメラーゼのうちの少なくとも1つまたは複数を、前記第1のパッシブリファレンス色素および前記第2のパッシブリファレンス色素と混合する段階をさらに含む、本発明1025の方法。
[本発明1031]
ストークスシフトを有する第1のパッシブリファレンス色素であって、第1のパッシブリファレンス色素の励起波長極大および第1のパッシブリファレンス色素の発光波長極大を有する、第1のパッシブリファレンス色素;ならびに
該第1のパッシブリファレンス色素のストークスシフトより大きいストークスシフトを有する第2のパッシブリファレンス色素であって、該第1のパッシブリファレンス色素の発光波長極大とほぼ同じ発光波長極大、および該第1のパッシブリファレンス色素の励起波長極大と有意に異なる励起波長極大を有する、第2のパッシブリファレンス色素
を含む、リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応を実施するためのキット。
[本発明1032]
前記第2のパッシブリファレンス色素が少なくとも約60nmのストークスシフトを有する、本発明1031のキット。
[本発明1033]
前記第1のパッシブリファレンス色素が5-カルボキシ-X-ローダミンおよび/もしくは6-カルボキシ-X-ローダミンまたはそれらの類似体を含む、本発明1031のキット。
[本発明1034]
前記第1のパッシブリファレンス色素が5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン色素またはそれらの類似体を含み、かつ
前記第2のパッシブリファレンス色素が、少なくとも60nmのストークスシフトを有する蛍光色素であり、該第2のパッシブリファレンス色素が約620nmの発光波長極大を有する、
本発明1031のキット。
[本発明1035]
前記混合物が、
5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/または6-カルボキシ-X-ローダミン色素;ならびに
少なくとも約60nmのストークスシフトを有する第2のパッシブリファレンス色素であって、約590nmの発光波長極大を有する、第2のパッシブリファレンス色素
を含む、本発明1031のキット。
[本発明1036]
1つまたは複数のデオキシヌクレオシド三リン酸、オリゴヌクレオチドプライマーの1つまたは複数、1つまたは複数のデオキシヌクレオシド三リン酸、緩衝液、インターカレーティング色素、逆転写酵素、およびDNAポリメラーゼのうちの1つまたは複数をさらに含む、本発明1031〜1035のいずれかのキット。
[本発明1037]
前記第1のパッシブリファレンス色素および前記第2のパッシブリファレンス色素を前記キット内の異なる容器に含む、本発明1031〜1035のいずれかのキット。
[本発明1038]
前記第1のパッシブリファレンス色素および前記第2のパッシブリファレンス色素を前記キット内の同じ容器に含む、本発明1031〜1035のいずれかのキット。
Chromeo 494およびROXの励起および発光スペクトル。 AB7900におけるパフォーマンス。AB7900およびAB7500の両方において適切なROX正規化を可能にするように配合された、Chromeo 494と低濃度のROXとの混合物を含む、SYBR qPCRスーパーミックス(A)を、対照スーパーミックス(B)(Fast SYBRマスターミックス、Applied Biosystems社)と比較する。 AB7500におけるパフォーマンス。図2で使用されるのと同じSYBR qPCRスーパーミックス(A)および図2で使用されるのと同じ対照スーパーミックス(B)を比較する。 AB7900におけるパフォーマンス。DY-510XL色素と低濃度のROXとの混合物を含むSYBR qPCRスーパーミックス(A)を、図3と同じ対照スーパーミックス(B)と比較する。 AB7500におけるパフォーマンス。図4で使用されるのと同じSYBR qPCRスーパーミックス(A)および図4で使用されるのと同じ対照スーパーミックス(B)を比較する。
定義
「パッシブリファレンス色素」とは、ポリメラーゼ連鎖反応の他の成分と相互作用しない蛍光色素またはドットを指す。例えば、パッシブリファレンス色素は、核酸の存在または非存在に基づいてそのシグナルを有意に変更することがなく、かつPCR反応混合物中の別の色素とのFRET相互作用において有意に相互作用することがない。パッシブリファレンス色素は、核酸に連結され得るが、多くの態様では、核酸に連結されない。パッシブリファレンス色素は、ストークスシフト、すなわち励起波長極大と発光極大とが異なるようなストークスシフトを有することができる。
本明細書中で用いるパッシブリファレンス色素(例えば、ROX(商標)などの5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素)の「低」濃度とは、低濃度ROX増幅(例えば、qPCR)システムで使用するのにそれだけで適しているパッシブリファレンス色素(例えば、5-カルボキシ-X-ローダミン色素もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン色素、または5-カルボキシ-X-ローダミン色素類似体もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン色素類似体)の濃度である。低濃度5-または6-カルボキシ-X-ローダミン色素機器(「正規化のために5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素の低濃度を用いるqPCR機器」)としては、限定するものではないが、Applied Biosystems ABI 7500またはApplied Biosystems ViiA7またはStratagene MXシリーズのリアルタイムPCRシステムが挙げられる。それに伴い、パッシブリファレンス色素(例えば、5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素)の低濃度は、一般的に100nM未満、例えば1〜10nM、10〜100nMなどである。
本明細書中で用いるパッシブリファレンス色素(例えば、ROX(商標)などの5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素)の「高」濃度とは、高濃度5-または6-カルボキシ-X-ローダミン色素増幅(例えば、qPCR)システムで使用するのに適しているパッシブリファレンス色素(例えば、ROX(商標)などの5-もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン色素、または5-もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン色素類似体)の濃度である。高濃度5-または6-カルボキシ-X-ローダミン色素機器(「正規化のために5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素の高濃度の使用を採用するqPCR機器」)としては、限定するものではないが、Applied Biosystems ABI PRISM 7000、7700もしくは7900またはABI 7300リアルタイムPCRシステムまたはABI GeneAmp 5700リアルタイムPCRシステムが挙げられる。それに伴い、パッシブリファレンス色素(例えば、5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素)の高濃度は、一般的に100nM超、例えば100〜300nM、300〜700nMなどである。
「パッシブリファレンス色素の発光波長極大とほぼ同じ発光波長極大」とは、パッシブリファレンス色素の発光波長極大の30nm以内、任意で20、10、5、3または1nm以内にある発光波長極大を指す。
色素の励起波長に関連して「有意に異なる」とは、有意に異なる励起波長極大を有する第2の色素を励起することなくある色素が励起され得る、十分に異なる波長を指す。いくつかの態様では、「有意に異なる」は、2つの色素が、少なくとも10、20、30、40、50、60、70nmまたはそれ以上離れて、励起極大を有することを意味する。
「固相支持体」とは、硬質または半硬質の表面を有する材料または材料のグループを指す。いくつかの態様では、固相支持体は、薄膜または膜、ビーズ、繊維、繊維織物、成形ポリマー、粒子、および、ミクロスフェアを含むがこれに限定されない微粒子の形態をとる。固相支持体は、例えば、ガラスおよびコラーゲンなどの天然材料、またはアクリルアミド、セルロース、ニトロセルロース、シリコーンゴム、ポリスチレン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリエチレン、ポリシリケート、ポリエチレンオキシド、ポリカーボネート、テフロン、フルオロカーボン、ナイロン、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリオルトエステル、ポリプロピルフマレート、グリコサミノグリカン、およびポリアミノ酸などの合成材料の不活性固相支持体から形成することができる。担体の表面上にもともと存在するいくつかの代表的な官能基、例えばカルボン酸(-COOH)、遊離アミン(-NH2)、およびスルフヒドリル(-SH)基は、連結のために使用され得る。このような官能基を天然で用いることができない場合には、カルボン酸基などの所望の官能基、または結合相互作用のパートナーであることが知られている成分(例えば、ビオチンに結合可能なアビジン)を、そうした固相支持体に結合させることが可能である。いくつかの態様では、固相支持体はカルボキシル化ラテックスまたは磁性ミクロスフェアである。
発明の詳細な説明
I. 序論
本発明は、増幅機器または増幅方法がデータの正規化のためにパッシブリファレンス色素(例えば、5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素)の高濃度または低濃度を用いるかどうかに関わらず、あるいは該機器または該方法がパッシブリファレンス色素(例えば、5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素)正規化をまったく用いない場合にも、使用することができる定量的増幅予混合物(「プレミックス」)を提供する。したがって、本発明は、試験される試料およびいくつかの態様では使用されるプライマーを別にすれば、試薬をさらに添加することなく、どのようなタイプのリアルタイム機器またはリアルタイム増幅方法にも使用することができる、ユニバーサルプレミックスを提供する。歴史的に、正規化のためのパッシブリファレンス色素として5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素の高濃度か低濃度かのいずれかの使用を採用する定量的PCR(qPCR)のためのさまざまなタイプの増幅機器および方法、ならびに、それに伴ってqPCRで使用するためのプレミックスは、そのプレミックスが低濃度か高濃度のいずれかの5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素を含んでいたため、「ユニバーサル」でなかった。5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素の高濃度用機器を5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素の低濃度用プレミックスと共に使用したい場合には、そのプレミックスに追加の5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素を添加する必要があったが、それによって、追加の工程が加わり、かつエラーを引き起こす可能性があった。本発明は、試験試料自体および任意でプライマーを別にすれば、どのような試薬も添加することなく、どちらの機器にも使用することができる単一のミックスを提供する。
本発明は、長いストークスシフトを有する蛍光色素(「第2のパッシブリファレンス色素」)ならびに低濃度の第1のパッシブリファレンス色素(例えば、5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素)を含む増幅混合物を提供する。長いストークスシフトを有する蛍光色素が、第1のパッシブリファレンス色素の波長(例えば、5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素は約575nmにおいて励起極大を有する)とは有意に異なる波長で励起されるが、該パッシブリファレンス色素と実質的に同じ(5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素は約620nmの発光波長極大を有する)発光波長極大を有するように、該色素は選択される。混合物中の長いストークスシフトを有する蛍光色素と第1のパッシブリファレンス色素(5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素であり得るが、これに限定されない)の組合せシグナルが、高濃度のパッシブリファレンス色素のリアルタイム増幅機器で使用するのに十分であるように、かつ例えばその後データを正規化することができるように、長いストークスシフトを有する蛍光色素の濃度は決定される。低濃度のパッシブリファレンス色素のリアルタイム増幅機器で使用する場合、長いストークスシフトを有する蛍光色素は、パッシブリファレンス色素(例えば、5-カルボキシ-X-ローダミンまたは6-カルボキシ-X-ローダミン)チャネル内で励起されることはなく、したがって該チャネル内でいかなる追加のシグナルも生成しないので、パッシブリファレンス色素正規化のために検出/使用することができる。プレミックス中に存在する低濃度のパッシブリファレンス色素によって生成されたシグナルが、代わりに正規化のために使用される。その結果、このプレミックスは「高パッシブリファレンス色素」機器と「低パッシブリファレンス色素」機器との両方において使用することができる。
II. 予混合物
本発明は、増幅「プレミックス」、すなわち、試料のみを添加して、または試料およびプライマーおよび/もしくはプローブを添加して、ならびに任意で最小限の他の試薬を添加してもしくは添加せずに、増幅において使用するのに十分な試薬類の水性混合物または再構成混合物を提供する。上述したとおり、このプレミックスは、本明細書の他の箇所に記載されある濃度の長いストークスシフトを有する蛍光色素、ならびに低濃度のパッシブリファレンス色素(5-カルボキシ-X-ローダミン色素もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン色素または5-カルボキシ-X-ローダミン色素類似体もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン色素類似体を含むが、これらに限定されない)を含有する。
いくつかの態様において、パッシブリファレンス色素(例えば、5-カルボキシ-X-ローダミン色素もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン色素または5-カルボキシ-X-ローダミン類似体色素もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン類似体色素)は、例えば1〜10nM、10〜100nMの濃度である。長いストークスシフトを有する蛍光色素の濃度は、正規化のために高Rox濃度を用いる機器プラットフォームの要求を満たすのに十分なシグナルを生成させるために用いられる特定の色素の量子収率に依存する。例えば、いくつかの態様において、蛍光色素はChromeo 494(カルボン酸コンジュゲート化形態)であり、その濃度は1〜5μMである。
プレミックスは、試料の増幅または検出のために有用なかつ/または必要とされる、1つまたは複数の試薬をさらに含むことができる。例示的な可能性のある試薬としては、限定するものではないが、1つまたは複数の塩、1つまたは複数の緩衝液、1つまたは複数の核酸ポリメラーゼおよび/または逆転写酵素、1つまたは複数のオリゴヌクレオチドプライマー、ならびに増幅反応を改善する他の試薬(サルコシンまたはヘパリンを含むが、これらに限定されない)が挙げられる。いくつかの態様では、前記混合物は、標的核酸それ自体を除いて、標的増幅のために、かつ任意で検出のために、必要なすべての試薬を含有する。いくつかの態様では、前記混合物は標的核酸をさらに含有する。
いくつかの態様において、本発明の混合物は1つまたは複数のオリゴヌクレオチドプライマーを含むことができる。本発明で有用なオリゴヌクレオチドプライマーは、長さが2ヌクレオチドまたはそれ以上の任意のオリゴヌクレオチドであり得る。いくつかの態様では、PCRプライマーは、長さが約15〜約30塩基であり、かつ、パリンドローム(自己相補性)でないか、または反応混合物中で用いられる他のプライマーに相補的でないものである。プライマーは、限定するものではないが、ホモポリマー、標的RNAテンプレートに特異的なプライマー(例えば、配列特異的プライマー)、またはランダムプライマーの混合物とすることができる。任意のプライマーは当業者によって合成され得るか、多くの供給業者のいずれかから(例えば、Boehringer Mannheim社, Indianapolis, Ind.; New England Biolabs社, Beverley, Mass.; Pharmacia LKB Biotechnology社, Piscataway, N.J.; Integrated DNA Technology社, Coralville, Iowa; Eurogentec社, San Diego, Calif; Sigma Genesys社, The Woodlands, Tex.から)購入することができる。必要に応じて、前記混合物は1つまたは複数の標識オリゴヌクレオチドを含むことができる。標識としては、例えば、FRET標識を含むがこれに限定されない蛍光標識が挙げられる。こうした標識オリゴヌクレオチドは、例えば、以下でさらに詳述されるTAQMAN(商標)増幅に有用であり得る。本発明では、その範囲または好ましい態様から逸脱することなく、本明細書に具体的に開示されていないものも含めて、莫大な数のプライマーが有用であり得ることを理解すべきである。
本発明において有用なヌクレオチド塩基は、核酸の重合に有用な任意のヌクレオチドであり得る。ヌクレオチドは、天然に存在する、異常な、修飾された、誘導された、または人工的なヌクレオチドであってよい。ヌクレオチドは、未標識であるか、当技術分野で公知の方法により(例えば、放射性同位体、ビタミン、蛍光または化学発光成分、ジゴキシゲニンを用いて)検出可能に標識され得る。いくつかの態様では、ヌクレオチドはデオキシヌクレオシド三リン酸dNTP(例えば、dATP、dCTP、dGTP、dTTP、dUTP、α-チオ-dNIT、ビオチン-dUTP、フルオレセイン-dUTP、ジゴキシゲニン-dUTP、7-デアザ-dGTP)である。dNTPも当技術分野では周知であり、供給業者から(例えば、Boehringer Mannheim社, Indianapolis, Ind.; New England Biolabs社, Beverley, Mass.; Pharmacia LKB Biotechnology社, Piscataway, N.J.から)市販されている。いくつかの態様では、ヌクレオチドはdATP、dCTP、dGTP、dTTP、およびdUTPより選択される1、2、3、または4種類の異なるデオキシヌクレオシド三リン酸を含む。
本発明のヌクレオチドは任意の有効濃度で存在することができる。いくつかの態様では、ヌクレオチドは約1nM〜約1000nMの量で存在する。他の態様では、ヌクレオチドは約10nM〜約750nMの量で存在する。さらに他の態様では、ヌクレオチドは約100nM〜約500nMの量で存在する。当業者であれば、ヌクレオチドの他の濃度が本発明において有用であることを理解するであろう。
本発明において有用な緩衝剤および緩衝化塩は、核酸合成のための、例えばDNAポリメラーゼ活性のための、適切な安定pHおよびイオン条件を提供する。本発明で有用であり得る多種多様な緩衝液および塩溶液および改変緩衝液は、本明細書に具体的に開示されていない作用物質を含めて、当技術分野で知られている。例示的な緩衝剤としては、限定するものではないが、TRIS、TRICINE、BIS-TRICINE、HEPES、MOPS、TES、TAPS、PIPES、およびCAPSが挙げられる。例示的な塩溶液としては、限定するものではないが、以下の溶液が挙げられる:酢酸カリウム、硫酸カリウム、塩化カリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、硫酸マンガン、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化リチウム、および酢酸リチウム。
本発明の緩衝剤は任意の濃度で存在することができる。いくつかの態様では、緩衝液は約0.1mM〜約1000mMの量で存在する。他の態様では、緩衝液は約1mM〜約500mMの量で存在する。さらに他の態様では、緩衝液は約5mM〜約250mMの量で存在する。当業者は、緩衝液の他の濃度が本発明において有用であることを理解するであろう。
本発明の塩は任意の濃度で存在することができる。いくつかの態様では、塩は約0.01mM〜約1000mMの量で存在する。他の態様では、塩は約0.1mM〜約500mMの量で存在する。さらに他の態様では、塩は約1mM〜約100mMの量で存在する。当業者は、塩の他の濃度が本発明において有用であることを理解するであろう。
これらの添加剤の1つまたは複数は、リボ核酸テンプレートからの核酸の生成および複製を最適化するために、本組成物中に組み入れることができる。添加剤は有機または無機化合物であり得る。本発明において有用な阻害緩和物質としては、限定するものではないが、以下のポリペプチドが挙げられる:ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン(BSA)、オボアルブミン、アルブマックス(albumax)、カゼイン、ゼラチン、コラーゲン、グロブリン、リゾチーム、トランスフェリン、ミオグロビン、ヘモグロビン、α-ラクトアルブミン、フマラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、アミログルコシダーゼ、炭酸脱水酵素、β-ラクトグロブリン、アプロチニン、大豆トリプシンインヒビター、トリプシノーゲン、ホスホリラーゼb、ミオシン、アクチン、β-ガラクトシダーゼ、カタラーゼ、トリプシン大豆分解物、トリプトース、レクチン、大腸菌(E. coli)一本鎖結合(SSB)タンパク質、ファージT4遺伝子32タンパク質など、およびそれらの断片または誘導体。非ポリペプチド添加剤の例としては、限定するものではないが、以下が挙げられる:tRNA、rRNA、硫黄含有化合物、酢酸含有化合物、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、ホルムアミド、ベタイン、塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)、ポリエチレングリコール(PEG)、TWEEN 20非イオン性界面活性剤、NP40非イオン性界面活性剤、エクトイン、およびポリオール。代表的な添加剤としては、DMSO、グリセロール、ホルムアミド、ベタイン、TMAC、PEG、TWEEN 20非イオン性界面活性剤、NP40非イオン性界面活性剤、エクトイン、ポリオール、大腸菌(SSB)タンパク質、ファージT4遺伝子32タンパク質、およびBSAが挙げられる。
さらに、プレミックスは増幅産物の検出をもたらす作用物質を含むことができる。例えば、プレミックスは、増幅産物の均質リアルタイム検出のための適切なハイブリダイゼーションプローブを含むことができる。いくつかの態様では、これらのプローブを適宜に蛍光成分で標識することが可能である。他の考えられる成分には、二本鎖DNAに結合する追加の色素が含まれる。いくつかの態様では、その色素はSYBRグリーンであり得る。当業者であれば、他の色素が本発明に有用であることを理解するであろう。
本発明において有用なDNAポリメラーゼは、DNA分子を複製することができれば、どのようなポリメラーゼであってもよい。代表的なDNAポリメラーゼは、熱安定性ポリメラーゼ、特にPCRで有用なもの、例えば好熱性ポリメラーゼである。熱安定性ポリメラーゼは、以下のなどの多種多様な好熱菌から単離される:サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)(Taq)、サーマス・ブロキアナス(Thermus brockianus)(Tbr)、サーマス・フラバス(Thermus flavus)(Tfl)、サーマス・ルバー(Thermus ruber)(Tru)、サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)(Tth)、サーモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)(Tli)およびサーモコッカス属の他の種、サーモプラズマ・アシドフィラム(Thermoplasma acidophilum)(Tac)、サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)(Tne)、サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritima)(Tma)およびサーモトガ属の他の種、パイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)(Pfu)、パイロコッカス・ヴェッセイ(Pyrococcus woesei)(Pwo)およびパイロコッカス属の他の種、バシラス・ステロサーモフィラス(Bacillus sterothermophilus)(Bst)、スルフォロブス・アシドカリダリウス(Sulfolobus acidocaldarius)(Sac)、スルフォロブス・ソルファタリカス(Sulfolobus solfataricus)(Sso)、ピロディクチウム・オクルタム(Pyrodictium occultum)(Poc)、ピロディクチウム・アビシー(Pyrodictium abyssi)(Pab)、およびメタノバクテリウム・テルモオートトロフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)(Mth)、ならびにこれらの突然変異体、変異体または誘導体。
数種のDNAポリメラーゼは当技術分野で知られており、市販もされている(例えば、Boehringer Mannheim社, Indianapolis, Ind.; Life Technologies社, Rockville, Md.; New England Biolabs社, Beverley, Mass.; Perkin Elmer社, Norwalk, Conn.; Pharmacia LKB Biotechnology社, Piscataway, N.J.; Qiagen社, Valencia, Calif ; Stratagene社, La Jolla, Calif.から販売される)。いくつかの態様では、DNAポリメラーゼはTaq、Tbr、Tfl、Tru、Tth、Tli、Tac、Tne、Tma、Tih、Tfi、Pfu、Pwo、Kod、Bst、Sac、Sso、Poc、Pab、Mth、Pho、ES4、VENT(商標)、DEEPVENT(商標)、およびそれらの活性突然変異体、変異体および誘導体であり得る。当然のことながら、本発明では、その範囲または好ましい態様から逸脱することなく、上記で具体的に開示されていないDNAポリメラーゼを含めて、さまざまなDNAポリメラーゼを使用することができる。
いくつかの態様において、プレミックス中に含まれるポリメラーゼは、ポリメラーゼドメインとDNA結合ドメインとを含むハイブリッドポリメラーゼである。このようなハイブリッドポリメラーゼは増大した処理能力を示すことが知られている。例えば、米国特許出願公開第2006/005174号;同第2004/0219558号;同第2004/0214194号;同第2004/0191825号;同第2004/0081963号;同第2004/0002076号;同第2003/0162173号;同第2003/0148330号;同第2003/0138830号、ならびに米国特許第6,627,424号および同第7,445,898号を参照されたい;これらの各々は、あらゆる目的のために、特に、ポリメラーゼに、ハイブリッド/キメラポリメラーゼに、ならびにそうしたポリメラーゼを製造および使用するためのすべての方法に関連したあらゆる教示のために、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
一局面において、ハイブリッドポリメラーゼは3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を欠くものである。一態様では、このようなハイブリッドポリメラーゼは、このエキソヌクレアーゼ欠損をもたらす二重の点突然変異をポリメラーゼドメイン内に含む。さまざまな突然変異を天然のポリメラーゼドメイン内に導入して、3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を低下させるまたは取り除くことが可能である。例えば、米国特許第6,015,668号、同第5,939,301号および同第5,948,614号には、TmaおよびTne DNAポリメラーゼの3'-5'エキソヌクレアーゼドメイン内の金属結合性アスパラギン酸からアラニン残基への変異が記述されている。こうした変異は、これらの酵素の3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を検出可能レベル未満に低下させる。同様に、米国特許第5,882,904号にはサーモコッカス・バロッシ(Thermococcus barossi)における類似したアスパラギン酸からアラニンへの変異が記述されており、かつ米国特許第5,489,523号にはパイロコッカス・ヴェッセイ(Pyrococcus woesei)DNAポリメラーゼの二重変異D141A E143Aが教示されている。これらの変異型ポリメラーゼは両方とも、実質的に検出可能な3'-5'エキソヌクレアーゼ活性がない。3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を検出する方法は当技術分野で周知である。例えば、Freemont et al., Proteins 1:66(1986); Derbyshire et al., EMBO J. 16:17(1991)およびDerbyshire et al., Methods in Enzymology 262:363 85(1995)を参照されたい。上記の変異はもともと1つのポリメラーゼで同定されたものであるが、一般的に、こうした変異はエキソヌクレアーゼ活性を低下または排除するために他のポリメラーゼにも導入できることが理解されると考えられる。特定の態様では、本発明のポリメラーゼはポリメラーゼドメイン内に二重の点突然変異D141A/E143Aを含む。ポリメラーゼアミノ酸に関して「位置に対応する」という語句は、基準ポリメラーゼアミノ酸配列(例えば、配列番号2)中の同じアミノ酸(例えば、D141またはE143)と一致するアミノ酸を指す。配列比較は、Altschul et al., Nuc. Acids Res. 25:3389 3402(1977)およびAltschul et al., J. Mol. Biol. 215:403 410(1990)にそれぞれ記載される、デフォルトパラメータを用いるBLAST 2.2アルゴリズムを含めて、任意のBLASTを用いて行うことができる。
いくつかの態様において、本発明のハイブリッドポリメラーゼのDNA結合ドメインは、耐熱性の生物に由来し、より高い温度で、例えば45℃を超える温度で、増強された活性を与える。例えば、Sso7dおよびSac7dは、それぞれ超好熱性始原細菌であるスルフォロブス・ソルファタリカスおよびスルフォロブス・アシドカリダリウス由来の小さな(約7kD MW)塩基性の染色体タンパク質である(例えば、Choli et al., Biochimica et Biophysica Acta 950:193-203, 1988; Baumann et al., Structural Biol. 1:808-819, 1994; およびGao et al., Nature Struc. Biol. 5:782-786, 1998を参照されたい)。これらのタンパク質は配列に依存しない方法でDNAに結合し、結合した場合には、DNAのTmをいくつかの条件下で最大40℃まで増加させる(McAfee et al., Biochemistry 34:10063-10077, 1995)。これらのタンパク質およびそれらの相同体は、多くの場合、改善されたポリメラーゼ融合タンパク質における配列非特異的DNA結合ドメインとして使用される。Sso7d、Sac7d、Sac7eおよび関連配列(本明細書では「Sso7配列」または「Sso7ドメイン」と称する)は当技術分野で知られている(例えば、アクセッション番号P39476 (Sso7d); P13123 (Sac7d); およびP13125 (Sac7e)参照)。これらの配列は、典型的には、少なくとも75%またはそれ以上、80%、85%、90%、または95%もしくはそれを上回るアミノ酸配列同一性を有する。例えば、Sso7タンパク質は通常、Sso7d配列に対して少なくとも75%の同一性を有する。
さらなる態様において、本発明で使用するハイブリッドポリメラーゼは、例えば、米国特許出願公開第2006/005174号;同第2004/0219558号;同第2004/0214194号;同第2004/0191825号;同第2004/0081963号;同第2004/0002076号;同第2003/0162173号;同第2003/0148330号;同第2003/0138830号、ならびに米国特許第6,627,424号および同第7,445,898号に記載されており、これらの各々は、あらゆる目的のために、特に、ポリメラーゼに、ハイブリッド/キメラポリメラーゼに、ならびにそうしたポリメラーゼを作製および使用するためのすべての方法に関連したあらゆる教示のために、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。また、ハイブリッドポリメラーゼタンパク質およびハイブリッドタンパク質を作製する方法の例は、WO2004011605にも開示されており、これは、あらゆる目的のために、特にハイブリッドタンパク質の作製に関連したあらゆる教示のために、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。ポリメラーゼドメインと核酸結合ドメインとを含むポリメラーゼを生成するための方法は、例えば、米国特許出願公開第2006/005174号;同第2004/0219558号;同第2004/0214194号;同第2004/0191825号;同第2004/0081963号;同第2004/0002076号;同第2003/0162173号;同第2003/0148330号;同第2003/0138830号、ならびに米国特許第6,627,424号および同第7,445,898号に記載されている。
いくつかの態様において、プレミックスのポリメラーゼは、周囲温度でのプライマーダイマーおよび非特異的増幅産物の生成を減らすための「ホットスタート」法で使用するために調製される。ホットスタート法はいくつか知られている。それらには、ポリメラーゼの物理的分離、低温での伸長反応を阻害するための核酸添加剤(すなわち、アプタマー)の使用、およびポリメラーゼの活性部位への修飾が含まれる。多くの場合、「ホットスタート」ポリメラーゼを使用することが望ましいことがある。ホットスタートポリメラーゼにおいては、典型的には、より低い温度でのポリメラーゼ活性を阻害するために、ある分子がその酵素の活性部位に結合される。該分子は、プロセスの任意の時点でポリメラーゼを機能させるために、高温(例えば、95℃)で取り除かれる。該分子は1つもしくは複数の抗体、ペプチド、または小さい有機分子とすることができる。例えば、ホットスタートは、周囲温度において高い親和性でポリメラーゼに阻害的に結合する1つまたは複数の抗体を用いて、達成することができる。その複合体は高温の予熱段階で解離される。
ポリメラーゼはまた、ホットスタートのために化学的に修飾することもできる。熱不安定性のブロッキング基がポリメラーゼに導入され、それはこの酵素を室温で不活性にする。こうしたブロッキング基は熱サイクルに先立って高温で除去され、その結果、該酵素は活性化される。熱不安定性の修飾は、無水シトラコン酸または無水アコニット酸を該酵素のリシン残基にカップリングすることを含み、当技術分野で知られており、例えば、米国特許第5,677,152号を参照されたく、これは、あらゆる目的のために、特にホットスタート法に関連したあらゆる教示のために、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
また、米国特許出願公開第2003/0119150号には、熱安定性エキソヌクレアーゼとポリメラーゼとを使用するホットスタートPCRの概念が開示されている。この方法は、少なくとも一方のプライマーの3'末端に化学的修飾を導入することによって、低温でのプライマーの伸長を防止することに基づいている。周囲温度またはそれ以下で不活性である熱安定性エキソヌクレアーゼが使用される。温度が上昇すると、エキソヌクレアーゼは活性になり、プライマーの3'修飾を除去できるようになってそれが増幅反応に関与することを可能にする。さらに、あらゆる目的のために、特にホットスタート法に関連したあらゆる教示のためにその全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第20030119150号には、リアルタイムモニタリングのためにハイブリダイゼーションプローブ、例えば、TaqManハイブリダイゼーションプローブ、分子ビーコン(Molecular Beacon)オリゴヌクレオチド、または2つのオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション法が用いられる場合、熱安定性エキソヌクレアーゼIIIの存在は、3'消化を回避するために、検出プローブの3'末端の適切なブロッキング法を必要とすることが教示されている。
特定の局面においては、qPCRを含むがこれに限定されない増幅反応の効率を上げるための添加剤として追加の化合物を含めることが望ましい場合がある。典型的な添加剤は例えばPCT WO2010/080910に記載されている。いくつかの態様では、その添加剤は、効率を上げるために本発明の増幅反応に含められるオスモライである。オスモライトファミリーのメンバーは、タンパク質の熱安定性を向上させる(Santoro, Biochemistry, 1992)だけでなく、DNA二重らせんの安定性を低下させる(Chadalavada, FEBS Letters, 1997)ことが示されている。いくつかの態様では、オスモライトは、極端な温度、脱水または塩分などの環境ストレスに応じて生物により産生される小分子または化合物であり、こうした分子または化合物は、それらの細胞成分を保護し、かつ最適な細胞質状態を維持するのに役立っている。本発明で用いられるオスモライトとしては、限定するものではないが、サルコシン、トリメチルアミンN-オキシド(TMAO)、ジメチルスルホニオプロピオナート、およびトリメチルグリシンを挙げることができる。サルコシンは化学的にベタインに類似しており、この化学物質ベタインは従来のPCRを改善することが示されている(Henke, Nucleic Acids Research, 1997)。
いくつかの態様において、本発明の方法およびキットではオスモライトの約100〜約1000mMの濃度が用いられる。さらなる態様では、本発明の方法およびキットにおいて約50〜約700、約100〜約600、約150〜約500、約200〜約400mM、および約300〜約350mMオスモライトの濃度が用いられる。いくつかの態様では、オスモライトは(任意で上記の濃度の)サルコシンである。
いくつかの態様において、特に低コピーの標的核酸の増幅では、非プライムド二本鎖核酸標的へのポリメラーゼの結合のため効率が低下する。二本鎖標的へのポリメラーゼの結合は、これらの標的が変性し、プライマーにハイブリダイズして、増幅反応を受けるのを妨げる。プライムドテンプレートに対するポリメラーゼの特異性を向上させるために、いくつかの態様では、本発明の方法はヘパリンを用いる。ヘパリン分子は、負に荷電していて、二本鎖核酸の静電的性質を模倣するために反応混合物中に含めることができる。ヘパリンの添加は、作用機構に限定されることなく、一本鎖のプライムドテンプレートが使用可能になるまで、二本鎖テンプレートに過剰のポリメラーゼが結合するのを防止することができる。いくつかの例示的な態様では、ヘパリンは本発明の方法およびキットにおいて約50〜約750pg/μlの濃度で用いられる。さらなる例示的な態様では、ヘパリンは本発明の方法およびキットにおいて約75〜約700、約100〜約600、約125〜約500、約150〜約400、約175〜約300、および約200〜約250pg/μlの濃度で用いられる。当技術分野で公知の他の分子を同様の方法で使用して、非プライムド二本鎖テンプレートへのポリメラーゼの非特異的結合を防ぐことが可能である。
いくつかの態様において、プレミックスは1つまたは複数の逆転写酵素を含む。いくつかの態様では、プレミックスは1つまたは複数のDNAポリメラーゼと1つまたは複数の逆転写酵素とを含む。典型的な逆転写酵素としては、限定する必要はないが、マウス白血病ウイルス(MLV)逆転写酵素、トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)逆転写酵素、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)逆転写酵素、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)逆転写酵素、ラウス関連ウイルス-2(RAV2)逆転写酵素、スーパースクリプト(SUPERSCRIPT)II逆転写酵素、スーパースクリプトI逆転写酵素、サーモスクリプト(THERMOSCRIPT)逆転写酵素、MMLV RNase H逆転写酵素、ならびにTthおよびTth様DNAポリメラーゼ(Mn2+の存在下で使用する場合に逆転写酵素として機能する)が挙げられる。
III. 長ストークスシフト色素
長ストークスシフト色素は、該色素が、パッシブリファレンス色素(例えば、5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素)と有意に異なる励起波長極大を有しかつ同じ検出チャネルにおいてパッシブリファレンス色素との組合せで検出できる発光波長極大を有する限り、いずれも本発明に従って使用することができる。したがって、励起(または吸収)ピーク波長極大は、5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素がパッシブリファレンス色素である場合に、約560nm未満でピークに達するべきである。いくつかの態様では、長ストークスシフト色素の発光ピーク波長極大は、一般的に590〜630nm、590〜610nm、または610〜630nm、例えば615〜625nmの範囲、例えば約620nmである。通常、色素は核酸に対して有意な親和性をもたないと考えられる。本発明において用いる「色素」とは、励起および発光波長極大を有する任意の蛍光剤を指す。色素は、例えば、水溶液中に完全にもしくは部分的に可溶性であっても、または水溶液中に均一に分布する不溶性の固体(例えば、蛍光粒子)であってもよい。
長ストークスシフト色素およびパッシブリファレンス色素の励起波長極大が十分に異なるように、必要に応じて、長ストークスシフト色素を実質的に励起することなしにパッシブリファレンス色素が励起されることができるように、長ストークスシフト色素はまた選択されることも可能である。それに伴い、いくつかの態様では、長ストークスシフト色素は、460、470、480、490、500、510、520、525、530、540、550、560nm未満、例えば470〜510、490〜510、480〜500nmなどの励起波長極大を有する。特定の励起波長極大は、それがパッシブリファレンス色素の励起波長極大と大幅にオーバーラップせず、リアルタイム増幅機器の光学的設計に適合する限り、任意の波長であり得る。いくつかの態様では、前記色素のストークスシフト(励起波長極大と発光波長極大の差)は、少なくとも、例えば60、75、100、150nmまたはそれ以上(すなわち、パッシブリファレンス色素の励起波長極大から少なくとも5、10、25、50nmまたはそれ以上)である。
代表的な長ストークスシフト色素はChromeo(商標)494であり、これは、例えば、Active Motif社(Carlsbad, CA)から市販されている。Chromeo 494は次の化学物質含有量を有する:C26H32N204、MW 436.55。Chromeo 494は、490nm付近で励起されるが、約620nmで発光する。
別の代表的な長ストークスシフト色素は次式を有する。
Figure 0005985503
この色素はDY-510XL(Dyomics社, Jena, ドイツ)として市販されている。上記色素のさまざまな修飾型、例えば、カルボン酸(C29H34N207S; MW 554.67)、NHS-エステル(C33H37N309S; MW 651.74)、アミノ誘導体(C31H41N406SCI; MW 633,21)、マレイミド(C35H40N4O8S; MW 676.80)、およびdUTP (C41H48N5O20P3S*4Li; MW 1083.61)修飾型を含めて、(例えば、Dyomics社から)入手可能である。このような修飾色素ならびに他の修飾型は本発明に従って使用することができると考えられる。例えば、上記色素のカルボン酸修飾型は509nm/590nmに吸収/発光極大を有する。
いくつかの態様において、プレミックスは、長ストークスシフト色素を化学的修飾またはコンジュゲーションのない形態で含む。あるいは、長ストークスシフト色素は、さらなる化学成分が該色素の励起にまたは特に発光波長極大に有意な影響を与えない限り、1つまたは複数のそうした化学成分を含むことができる(例えば、該化学成分にコンジュゲートされ得る)。したがって、いくつかの実施形態では、長ストークスシフト色素はリンカーまたは他の成分を含む。代表的な成分としては、限定するものではないが、例えば、アジド、アルキン、カルボン酸、NHS-エステル、ビオチンまたはストレプトアビジンが挙げられる。当然のことながら、他の成分はまた、上記の色素の活性に有意な影響を与えることなしに、色素に連結され得る。いくつかの態様では、長ストークスシフト色素はペプチド、オリゴヌクレオチド、または他の分子に連結される。
いくつかの態様において、長ストークスシフト色素は、固相支持体に連結されるか、他の方法で固相支持体と組み合わされるか、または固相支持体内に含まれる。代表的な固相支持体としては、限定するものではないが、ビーズ、粒子、およびミクロスフェアが挙げられる。
いくつかの態様において、長ストークスシフト色素は、蛍光ドットを含むかまたは蛍光ドットである。代表的な蛍光ドットとしては、限定するものではないが、量子ドット(例えば、米国特許第5482890号、同第5229320号および同第6326144号参照)、および両親媒性ポリスチレン半導体ポリマーを含むがこれに限らない半導体ポリマードット(Pdot)(例えば、Wu et al., J Am Chem Soc 132(43):15410-7(2010)参照)が挙げられる。
色素に加えて、長いストークスシフトを有する(すなわち、パッシブリファレンス色素(例えば、5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素)と有意に異なる励起波長極大を有し、かつ同じ検出チャネルにおいてパッシブリファレンス色素との組合せで検出できる発光波長極大を有する)他の蛍光剤もまた、本明細書に記載されるとおりに使用することができる。他の考えられる蛍光剤として蛍光タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
用いる特定の長ストークスシフト色素または蛍光剤の濃度は、用いる特定の色素の量子収率を含めて、さまざまなパラメータに応じて変化する。本発明に有効な濃度は、経験的に決定することができ、例えば、用いる正確な色素およびFRETまたはROXチャネル内でのシグナル強度に左右されることがある。
IV. パッシブリファレンス色素
現在市販されている多くのリアルタイム増幅システムは、パッシブリファレンス色素として5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素を用いている。したがって、多くの態様では、パッシブリファレンス色素は5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素であると考えられる。一般的に用いられる5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素は、ROXとして知られており、5-異性体、6-異性体、またはこれらの混合物として入手可能である。あるいは、5-または6-カルボキシ-X-ローダミン色素正規化に適する5-または6-カルボキシ-X-ローダミン色素類似体(すなわち、5-または6-カルボキシ-X-ローダミン色素正規化のための5-または6-カルボキシ-X-ローダミン色素を交換するのに5-または6-カルボキシ-X-ローダミン色素と十分同一である励起および発光特性を有する色素)を使用することができる。いくつかの5-カルボキシ-X-ローダミン色素類似体または6-カルボキシ-X-ローダミン色素類似体が、例えば米国特許第7,736,624号に記載されている。5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン色素は、正規化色素としてPCRで一般的に使用されることから、本発明を実証するために用いられるが、他のパッシブリファレンス色素もまた本発明での使用に適していることが理解されると考えられる。
いくつかの態様において、プレミックスは、パッシブリファレンス色素を化学的修飾またはコンジュゲーションのない形態で含む。あるいは、上記の長ストークスシフト色素と同様に、パッシブリファレンス色素は、励起および発光特性が大幅に変化しない限り、化学的に修飾することおよび/もしくは別の分子に連結することができるか、またはそうでなければ固相支持体と組み合わせるかもしくは固相支持体内に含めることができる。
V. 使用方法
上述したとおり、(1)結果を正規化するためにパッシブリファレンス色素の高濃度を用いるか、(2)結果を正規化するためにパッシブリファレンス色素の低濃度を用いるか、または(3)データを正規化するためにパッシブリファレンス色素を使用しない、増幅機器、方法およびシステムにおいて、本発明のプレミックスを使用することができる。したがって、どのような機器、方法またはシステムを用いようと、本発明のプレミックスは有効である。
結果を正規化するために5-カルボキシ-X-ローダミンまたは6-カルボキシ-X-ローダミンの高濃度を用いる増幅機器またはプラットフォームを使用する状況(例えば、Applied Biosystems ABI PRISM 7000、7700もしくは7900またはABI 7300リアルタイムPCRシステムまたはABI GeneAmp 7500リアルタイムPCRシステム)では、その機器は、5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素と長ストークスシフト色素との両方を励起するように較正され得る。結果として生じる2つの色素の発光は本質的に同じ波長であり、そのため、それらの組合せシグナルは、単一の検出器で検出することができ、それによって、正規化で使用するための「5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素の高濃度」値と同等のシグナルをもたらす。例えば、長ストークスシフト色素はAB7900または同様に構成されたシステムで低Roxとともに使用される場合、それは480nmレーザーによって最適に励起されて、正規化で使用するためのRox色素と同じ発光波長の付近で十分なシグナルを生成する。この状況における低いRox色素量の寄与は無視してよい。
結果を正規化するために5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素の低濃度を用いる増幅機器またはシステムを使用する状況(例えば、Applied Biosystems ABI 7500またはStratagene MXシリーズのリアルタイムPCRシステム)では、その機器は、5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素を励起するが長ストークスシフト色素を励起しないように較正され得る。例えば、機器の励起スペクトルは、5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素の励起(約620nm)においてまたはその付近において狭く設定することができ、その結果、異なる励起波長極大を有する長ストークスシフト色素は実質的に励起されない。その後、結果として生じる5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素の発光が測定され、長ストークスシフト色素由来のシグナルの干渉なしに、正規化に使用される。例えば、長ストークスシフト色素が、AB7500または同様に構成されたシステムで低濃度のRoxとともに使用される場合、長ストークスシフト色素はFAMチャネル内で励起されるが、その発光は検出されない。というのは、対応する検出フィルターが、約50nmの通常のストークスシフトを有するFAM発光を検出するように設計されているからである。
最後に、5-カルボキシ-X-ローダミン色素正規化もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン色素正規化を用いない増幅機器またはシステムを使用する状況では、その機器は、長ストークスシフト色素または5-カルボキシ-X-ローダミン色素もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン色素のいずれかを単に励起しないまたは検出しないように、較正され得る。
5-カルボキシ-X-ローダミン色素または6-カルボキシ-X-ローダミン色素を用いて増幅データを正規化する方法は周知であるためここでは繰り返さない。
VI. キット
本発明はまた、本明細書に記載されるプレミックスを作製または使用するためのキットを提供する。いくつかの態様において、前記キットは、パッシブリファレンス色素(例えば、5-カルボキシ-X-ローダミン色素もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン色素またはそれらの類似体)および長ストークスシフト色素、ならびに任意で他の試薬を含む1つの容器を含む。他の試薬には、例えば、1つまたは複数の塩、1つまたは複数の緩衝液、1つまたは複数の核酸ポリメラーゼ、1つまたは複数のオリゴヌクレオチドプライマー、ならびに増幅反応を改善する他の試薬(サルコシンまたはヘパリンを含むが、これらに限定されない)のいずれかまたはすべてが含まれる。
あるいは、前記キットは、最終ユーザが最後の予混合物を生成するように設計されることができる。例えば、本発明は、パッシブリファレンス色素(例えば、5-カルボキシ-X-ローダミン色素もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン色素またはそれらの類似体)を含有する容器と、長ストークスシフト色素を含有する別の容器とを含むキットを提供する。必要に応じて、一方または両方の容器はさらに、本明細書に記載されるとおりの増幅で使用するための任意の他の試薬を含むことができ、こうした試薬には、限定するものではないが、1つまたは複数の塩、1つまたは複数の緩衝液、1つまたは複数の核酸ポリメラーゼ、1つまたは複数のオリゴヌクレオチドプライマー、ならびに増幅反応を改善する他の試薬(サルコシンまたはヘパリンを含むが、これらに限定されない)が含まれる。あるいは、追加の試薬の1つまたは複数は1つまたは複数の追加の容器に含有されることができる。
パッシブリファレンス色素(例えば、5-カルボキシ-X-ローダミン色素もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン色素またはそれらの類似体)を、長ストークスシフト色素、さらに1つまたは複数の塩、1つまたは複数の緩衝液、1つまたは複数の核酸ポリメラーゼ、1つまたは複数のオリゴヌクレオチドプライマー、ならびに増幅反応を改善する他の試薬(サルコシンまたはヘパリンを含むが、これらに限定されない)の一部または全部と混合することによって、増幅で使用するための混合物を作製することができる。いくつかの態様では、前記混合物はインターカレーティング蛍光色素(例えば、SYBR GREEN(商標))を含む。前記混合物を用いる場合には、その混合物に核酸試料を添加することもできる。
実施例1
高濃度のパッシブリファレンス色素を用いる機器および低濃度のパッシブリファレンス色素を用いる機器を含めてすべてのリアルタイム機器プラットフォームで使用することができる色素ベースqPCRミックスが開発された。本発明の混合物は、低濃度のパッシブリファレンス色素と混合された、長いストークスシフトを有する蛍光色素を含有する。開発された特定の態様において、長ストークスシフト色素であるChromeo 494は、フルオレセイン、SYBR Green色素、またはEvaGreen色素と類似した波長(例えば、約490nm)で励起され、かつパッシブリファレンス色素(例えば、約605nm)と類似した波長範囲(例えば、約628nm)の蛍光シグナルを発する。該ミックスがパッシブリファレンス色素正規化を用いない機器で使用される場合、長ストークスシフト色素およびパッシブリファレンス色素は、FAMチャネル内で検出されないので、干渉を引き起こすことはない。パッシブリファレンス色素の高濃度を用いかつ広範な励起スペクトルを有する機器で該ミックスが使用される場合、長ストークスシフト色素は励起されて、パッシブリファレンス色素チャネルまたはビン内でシグナルを発する。遊離パッシブリファレンス色素の存在もまた、パッシブリファレンス色素チャネル内で低レベルのシグナルを生成し、かつパッシブリファレンス色素チャネル内での両シグナルの組合せが正規化の間に使用される。チャネルごとに別々の励起および対応する検出フィルターを有する、パッシブリファレンス色素の低濃度を用いる機器において該ミックスを使用する場合、長ストークスシフト色素はシグナルを生成しないのに対して、低濃度のパッシブリファレンス色素の存在は、正規化に使用される適切なレベルのシグナルをパッシブリファレンス色素チャネル内で生成する。
代表的な長ストークスシフト色素であるChromeo 494の励起/発光スペクトル、および通常のRoxリファレンス色素の励起/発光スペクトルは、図1に示される。
正規化のために高Rox濃度を用いる機器AB 7900でのChromeo 494(カルボン酸コンジュゲート)とパッシブリファレンス色素とを含有するSYBR Green qPCRミックス、および正規化のために低Rox濃度を用いる機器AB7500での同スーパーミックスのqPCRパフォーマンスデータは、それぞれ図2および図3に示される。
また、Dynomics社(ドイツ)製のDY-510XLと低濃度のRoxとを含有するSYBR Green qPCRミックスが試験された。正規化のために高Rox濃度を用いる機器AB 7900における、および正規化のために低Rox濃度を用いる機器AB7500におけるqPCRパフォーマンスデータは、それぞれ図4および図5に示される。
実施例2
パッシブリファレンス色素の高濃度を用いる機器を含めてすべてのリアルタイム機器プラットフォームで使用することができるプローブベースqPCRミックスが開発された。この混合物は、低濃度のパッシブリファレンス色素と混合された、長いストークスシフトを有する蛍光色素を含有する。開発された特定の態様において、長ストークスシフト色素であるDY510-XLは、フルオレセインと類似した波長で励起され、かつパッシブリファレンス色素ROX(例えば、約590nm)と類似した波長範囲(例えば、約628nm)の蛍光シグナルを発する。本実施例は、あらかじめ配合されたqPCRミックスと混合された、パッシブリファレンス色素(すなわち、Rox)と長ストークスシフト色素の組合せの使用が、Rox正規化を適用した場合の標準偏差の改善によって反映されるように、高Rox機器での反復qPCR反応の再現性を向上できることを実証する(表1参照)。96回の同一のqPCR反応は、パッシブリファレンス色素および長ストークスシフト色素の適切な量を、PCR増幅を支持する他のすべての必要な試薬とともに含有する、プレミックスを用いて、AB7900(高Rox機器)でセットアップされた。平均Ct値および標準偏差は、ソフトウェアのRox正規化機能をオフまたはオンにして、データを解析することによって決定された。標準偏差はRox正規化の使用により0.16サイクルから0.09サイクルに改善され、この場合には長いストークスシフトを有する第2のパッシブリファレンス色素にRox正規化が依存している。
(表1)増幅再現性の向上
Figure 0005985503
本明細書に記載の実施例および態様は例示目的のみのためであり、それらを踏まえて、さまざまな修飾または変更が当業者に示唆されるであろうが、それらは本出願の精神および範囲内に、ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれるべきであることが理解される。本明細書中で引用したすべての刊行物、特許、および特許出願は、あらゆる目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。

Claims (41)

  1. 標的核酸のリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅におけるシグナル正規化のための反応混合物であって、試験される試料および任意でプライマーを別にして、試薬をさらに添加することなく、(a)該正規化のためにパッシブリファレンス色素の高濃度を用いるリアルタイムPCR増幅システムと、(b)該正規化のためにパッシブリファレンス色素の低濃度を用いるリアルタイムPCR増幅システムとの両方における使用に適合し、増幅反応とは無関係に蛍光シグナルを生成する複数のパッシブリファレンス色素を含有
    ストークスシフトを有する第1のパッシブリファレンス色素であって、低濃度パッシブリファレンス色素正規化で使用するのに十分な濃度であり、第1のパッシブリファレンス色素の励起波長極大および第1のパッシブリファレンス色素の発光波長極大を有する、第1のパッシブリファレンス色素;ならびに
    該第1のパッシブリファレンス色素のストークスシフトより大きいストークスシフトを有する第2のパッシブリファレンス色素であって、該第1のパッシブリファレンス色素の発光波長極大から30nm以内にある発光波長極大、および該第1のパッシブリファレンス色素の励起波長極大と少なくとも10nm離れた励起波長極大を有する、第2のパッシブリファレンス色素
    を含む、反応混合物。
  2. 前記第2のパッシブリファレンス色素が少なくとも60nmのストークスシフトを有する、請求項1記載の混合物。
  3. 前記第1のパッシブリファレンス色素が5-カルボキシ-X-ローダミンおよび/もしくは6-カルボキシ-X-ローダミンまたはそれらの類似体を含む、請求項1記載の混合物。
  4. 5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/または6-カルボキシ-X-ローダミン色素;ならびに
    少なくとも60nmのストークスシフトを有する第2のパッシブリファレンス色素であって、620nmの発光波長極大を有する、第2のパッシブリファレンス色素
    を含む、請求項1記載の混合物。
  5. 5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/または6-カルボキシ-X-ローダミン色素;ならびに
    少なくとも60nmのストークスシフトを有する第2のパッシブリファレンス色素であって、590nmの発光波長極大を有する、第2のパッシブリファレンス色素
    を含む、請求項1記載の混合物。
  6. 前記第2のパッシブリファレンス色素が550nmまたはそれ未満の励起波長極大を有する、請求項15のいずれか一項記載の混合物。
  7. 前記5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/または前記6-カルボキシ-X-ローダミン色素の濃度が100nM未満である、請求項35のいずれか一項記載の混合物。
  8. 前記5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/または前記6-カルボキシ-X-ローダミン色素の濃度が10nMである、請求項35のいずれか一項記載の混合物。
  9. オリゴヌクレオチドプライマー、1つまたは複数のデオキシヌクレオシド三リン酸、緩衝液、インターカレーティング色素、逆転写酵素、およびポリメラーゼのうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項記載の混合物。
  10. DNAポリメラーゼを含む、請求項9記載の混合物。
  11. 前記ポリメラーゼが抗体と複合体化されている、請求項10記載の混合物。
  12. 前記ポリメラーゼが、化学的に不活性化されるが加熱によって活性化される、請求項10記載の混合物。
  13. 前記第2のパッシブリファレンス色素が蛍光ドットである、請求項15のいずれか一項記載の混合物。
  14. 前記第2のパッシブリファレンス色素が、ある成分にコンジュゲートされている、請求項15のいずれか一項記載の混合物。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項記載の混合物を用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施する段階であって、該混合物が、標的核酸を含むと疑われる生物学的試料をさらに含む、段階
    を含む、リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応を実施する方法。
  16. 5-カルボキシ-X-ローダミン色素正規化および/もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン色素正規化を用いない機器により、または5-カルボキシ-X-ローダミン色素正規化および/もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン色素正規化を用いない増幅方法において前記PCRを実施する、請求項15記載の方法。
  17. 前記5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/または前記6-カルボキシ-X-ローダミン色素と前記第2のパッシブリファレンス色素のいずれか一方または両方に由来するシグナルを検出する段階をさらに含む、請求項15記載の方法。
  18. 正規化のために遊離5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/もしくは遊離6-カルボキシ-X-ローダミン色素の高濃度を用いる機器により、または正規化のために遊離5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/もしくは遊離6-カルボキシ-X-ローダミン色素の高濃度を用いる増幅方法において前記PCRを実施し、かつ前記第2のパッシブリファレンス色素に由来するか、または該第2のパッシブリファレンス色素と該5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/もしくは該6-カルボキシ-X-ローダミン色素との両方に由来するシグナルを検出する段階をさらに含む、請求項17記載の方法。
  19. 前記5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/または前記6-カルボキシ-X-ローダミン色素と前記第2のパッシブリファレンス色素との両方に由来するシグナルを検出する、請求項18記載の方法。
  20. (a)前記第2のパッシブリファレンス色素に由来するか、または(b)該第2のパッシブリファレンス色素と前記5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/もしくは前記6-カルボキシ-X-ローダミン色素との両方に由来するシグナルを用いて、前記ポリメラーゼ連鎖反応における前記標的核酸のシグナルを正規化する段階を含む、請求項18記載の方法。
  21. 正規化のために遊離5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/もしくは遊離6-カルボキシ-X-ローダミン色素の低濃度を用いる機器により、または正規化のために遊離5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/もしくは遊離6-カルボキシ-X-ローダミン色素の低濃度を用いる増幅方法において前記PCRを実施し、かつ、
    該5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/もしくは該6-カルボキシ-X-ローダミン色素を励起するが、前記第2のパッシブリファレンス色素を実質的に励起しない段階;ならびに
    該5-カルボキシ-X-ローダミン色素由来および/もしくは該6-カルボキシ-X-ローダミン色素由来のシグナルを検出する段階
    をさらに含む、請求項17記載の方法。
  22. 前記5-カルボキシ-X-ローダミン色素由来および/または前記6-カルボキシ-X-ローダミン色素由来でありかつ前記第2のパッシブリファレンス色素由来ではないシグナルを用いて、前記ポリメラーゼ連鎖反応における前記標的核酸のシグナルを正規化する段階を含む、請求項21記載の方法。
  23. 前記複数のパッシブリファレンス色素を混合し、それによって前記反応混合物を生成する段階を含む、請求項1〜14のいずれか一項記載の反応混合物を作製する方法。
  24. 前記混合物が、
    ストークスシフトを有する第1のパッシブリファレンス色素であって、第1のパッシブリファレンス色素の励起波長極大および第1のパッシブリファレンス色素の発光波長極大を有する、第1のパッシブリファレンス色素;ならびに
    該第1のパッシブリファレンス色素のストークスシフトより大きいストークスシフトを有する第2のパッシブリファレンス色素であって、該第1のパッシブリファレンス色素の発光波長極大とほぼ同じ発光波長極大、および該第1のパッシブリファレンス色素の励起波長極大と有意に異なる励起波長極大を有する、第2のパッシブリファレンス色素
    を含む、請求項23記載の方法。
  25. 前記第2のパッシブリファレンス色素が少なくとも60nmのストークスシフトを有する、請求項24記載の方法。
  26. 前記第1のパッシブリファレンス色素が5-カルボキシ-X-ローダミンおよび/もしくは6-カルボキシ-X-ローダミンまたはそれらの類似体を含む、請求項24記載の方法。
  27. 前記第1のパッシブリファレンス色素が5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン色素またはそれらの類似体を含み、かつ、前記第2のパッシブリファレンス色素が、少なくとも60nmのストークスシフトを有する蛍光色素であり、該第2のパッシブリファレンス色素が620nmの発光波長極大を有する、請求項24記載の方法。
  28. 前記混合物が、
    5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/または6-カルボキシ-X-ローダミン色素;ならびに
    少なくとも60nmのストークスシフトを有する第2のパッシブリファレンス色素であって、590nmの発光波長極大を有する、第2のパッシブリファレンス色素
    を含む、請求項24記載の方法。
  29. 1つまたは複数のデオキシヌクレオシド三リン酸、オリゴヌクレオチドプライマーの1つまたは複数、1つまたは複数のデオキシヌクレオシド三リン酸、緩衝液、インターカレーティング色素、逆転写酵素、およびDNAポリメラーゼのうちの少なくとも1つまたは複数を、前記第1のパッシブリファレンス色素および前記第2のパッシブリファレンス色素と混合する段階をさらに含む、請求項24記載の方法。
  30. ストークスシフトを有する第1のパッシブリファレンス色素であって、第1のパッシブリファレンス色素の励起波長極大および第1のパッシブリファレンス色素の発光波長極大を有する、第1のパッシブリファレンス色素;ならびに
    該第1のパッシブリファレンス色素のストークスシフトより大きいストークスシフトを有する第2のパッシブリファレンス色素であって、該第1のパッシブリファレンス色素の発光波長極大とほぼ同じ発光波長極大、および該第1のパッシブリファレンス色素の励起波長極大と有意に異なる励起波長極大を有する、第2のパッシブリファレンス色素
    を含む、リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応を実施するためのキット。
  31. 前記第2のパッシブリファレンス色素が少なくとも60nmのストークスシフトを有する、請求項30記載のキット。
  32. 前記第1のパッシブリファレンス色素が5-カルボキシ-X-ローダミンおよび/もしくは6-カルボキシ-X-ローダミンまたはそれらの類似体を含む、請求項30記載のキット。
  33. 前記第1のパッシブリファレンス色素が5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン色素またはそれらの類似体を含み、かつ
    前記第2のパッシブリファレンス色素が、少なくとも60nmのストークスシフトを有する蛍光色素であり、該第2のパッシブリファレンス色素が620nmの発光波長極大を有する、
    請求項30記載のキット。
  34. 前記混合物が、
    5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/または6-カルボキシ-X-ローダミン色素;ならびに
    少なくとも60nmのストークスシフトを有する第2のパッシブリファレンス色素であって、590nmの発光波長極大を有する、第2のパッシブリファレンス色素
    を含む、請求項30記載のキット。
  35. 1つまたは複数のデオキシヌクレオシド三リン酸、オリゴヌクレオチドプライマーの1つまたは複数、1つまたは複数のデオキシヌクレオシド三リン酸、緩衝液、インターカレーティング色素、逆転写酵素、およびDNAポリメラーゼのうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項3034のいずれか一項記載のキット。
  36. 前記第1のパッシブリファレンス色素および前記第2のパッシブリファレンス色素を前記キット内の異なる容器に含む、請求項3034のいずれか一項記載のキット。
  37. 前記第1のパッシブリファレンス色素および前記第2のパッシブリファレンス色素を前記キット内の同じ容器に含む、請求項3034のいずれか一項記載のキット。
  38. 前記第2のパッシブリファレンス色素が前記第1のパッシブリファレンス色素の発光波長極大の30nm以内に発光波長極大を有する、請求項1記載の混合物。
  39. ストークスシフトを有する第1のパッシブリファレンス色素であって、低濃度パッシブリファレンス色素正規化で使用するのに十分な濃度であり、第1のパッシブリファレンス色素の励起波長極大および第1のパッシブリファレンス色素の発光波長極大を有し、かつ5-カルボキシ-X-ローダミン色素および/もしくは6-カルボキシ-X-ローダミン色素またはそれらの類似体を含む、第1のパッシブリファレンス色素;ならびに
    該第1のパッシブリファレンス色素のストークスシフトより大きいストークスシフトを有する第2のパッシブリファレンス色素であって、該第1のパッシブリファレンス色素の発光波長極大の30nm以内にある発光波長極大、および550nm以下の励起波長極大を有する、第2のパッシブリファレンス色素
    を含む、請求項1記載の混合物。
  40. 前記第2のパッシブリファレンス色素が590〜630nmの発光波長極大および470〜510nmの励起波長極大を有する、請求項39記載の混合物。
  41. 逆転写酵素をさらに含む、請求項1記載の混合物。
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