図1は、本発明の実施形態として好適な超音波診断装置の全体構成図である。プローブ10は、診断対象を含む三次元空間内に超音波を送受する超音波探触子である。プローブ10は、複数の振動素子を備えており、各振動素子が送受信部12から得られる送信信号に応じて三次元空間に超音波を送波する。また、三次元空間から超音波の反射波(エコー)を受波した各振動素子がその反射波に応じた受波信号を送受信部12に出力する。
送受信部12は、プローブ10が備える複数の振動素子の各々に対応した送信信号を出力してプローブ10を送信制御する。その送信制御により、超音波の送信ビームが形成され、三次元空間内で送信ビームが走査される。
ビームデータ処理部14は、プローブ10が備える複数の振動素子に対応した複数の受波信号を送受信部12から得て、それら複数の受波信号に対して整相加算処理などのビーム形成処理を施す。これにより、超音波の受信ビームが形成されて三次元空間内で走査される。つまり、受信ビームのビームアドレスを異ならせながら、三次元空間内で受信ビームが走査され、ビームデータ処理部14は、複数のビームアドレスに対応した複数のラインデータを形成する。各ラインデータは、複数のエコーデータで構成される。
こうして、三次元空間内で超音波ビーム(送信ビームとそれに対応した受信ビーム)が立体的に走査され、三次元空間内から複数のエコーデータが得られる。なお、プローブ10は、超音波ビームを三次元空間内において走査して立体的にエコーデータを収集する3Dプローブである。例えば、一次元的に配列された複数の振動素子(1Dアレイ振動子)によって電子的に形成される走査面を機械的に動かすことにより超音波ビームが三次元的に走査される。また、二次元的に配列された複数の振動素子(2Dアレイ振動子)を電子的に制御して超音波ビームが三次元的に走査されてもよい。
ボリュームデータ記憶部16には、三次元空間内から得られた複数のエコーデータに基づくボリュームデータが記憶される。例えば、ビームデータ処理部14が複数のエコーデータに対して座標変換処理等を施し、後段の処理において好適な座標系にデータを変換してから、変換後のデータがボリュームデータとしてボリュームデータ記憶部16に記憶される。
例えば、ビームデータ処理部14は、超音波の走査座標系(例えばrθφ座標系)で得られた複数のエコーデータに対して、三次元の座標変換処理と補間処理などを施すことにより、三次元の直交座標系(xyz座標系)に対応した複数のボクセルデータを形成し、複数のボクセルデータで構成されるボリュームデータがボリュームデータ記憶部16に記憶される。
なお、ビームデータ処理部14が複数のエコーデータに対して二次元の座標変換処理を施すことにより、例えば、走査座標系のうち走査面に対応したrθ座標系が直交座標系(xy座標系)に変換されて、変換後のデータがボリュームデータとしてボリュームデータ記憶部16に記憶されてもよい。また、三次元空間内において超音波を立体的に走査することにより得られた複数のエコーデータが、超音波の立体的な走査に対応した走査座標系(例えばrθφ座標系)に対応したアドレスを付され、ボリュームデータとしてボリュームデータ記憶部16に記憶されてもよい。
ボリュームデータは、複数時相に亘って各時相ごとに次々に形成されてボリュームデータ記憶部16に記憶される。
三次元画像形成部20は、ボリュームデータ記憶部16に記憶されたボリュームデータに基づいて三次元超音波画像を形成する。三次元画像形成部20は、胎児等の診断対象を含む三次元空間に対応したボリュームデータに基づいて、その診断対象を立体的に映し出した三次元超音波画像を形成する。三次元超音波画像の好適な具体例は、公知のボリュームレンダリング処理により得られるレンダリング画像である。
ボリュームレンダリング処理においては、三次元空間に対応したボリュームデータの外側に演算上の仮想的な視点VPが設定され、ボリュームデータを間に挟んで、視点VPと反対側に演算上の二次元平面としてのスクリーンが仮想的に設定される。その視点VPを基準として複数のレイ(透視線)が定義される。各レイは、例えば視点VPを起点としてボリュームデータを貫通してからスクリーン上に達するように設定される。これにより、各レイ上またはそのレイの近傍において、そのレイに対応した複数ボクセルのボクセルデータが対応することになる。そして、各レイごとに、視点VP側から、そのレイに対応した複数ボクセルに対してレンダリング法に基づくボクセル演算を逐次的に実行すると、最終のボクセル演算の結果としてそのレイに対応した画素値が決定される。そして、複数のレイから得られる複数の画素値をスクリーン上にマッピングすることによりレンダリング画像が得られる。
ボリュームデータ記憶部16には、複数時相のボリュームデータが記憶されており、三次元画像形成部20は、各時相ごとに、その時相に対応したボリュームデータに基づいてその時相に対応した三次元超音波画像(レンダリング画像)を形成する。これにより、複数時相に対応した複数フレームの三次元超音波画像が次々に形成される。そして、中間画像形成部50により、複数フレームの三次元超音波画像の各フレーム間に追加される1又は複数フレームの三次元中間画像が形成される。
図2は、三次元超音波画像と三次元中間画像の具体例を示す図である。図2(A)には複数フレームの三次元超音波画像(3D超音波画像)の具体例が図示されている。図2(A)には、複数フレームのうちのフレーム1〜5までの3D超音波画像が代表的に図示されている。そして、複数フレームの3D超音波画像の各フレーム間に、1又は複数フレームの三次元中間画像(3D中間画像)が追加されて、三次元動画像(3D動画像)用のフレーム列が形成される。
図2(B)には、3D動画像用のフレーム列の具体例が図示されている。図2(B)に示す具体例では、3D超音波画像の各フレーム間に4フレームの3D中間画像が追加されている。つまり、3D超音波画像のフレーム1とフレーム2の間に4フレーム(フレーム数4)の3D中間画像が追加されており、3D超音波画像のフレーム2とフレーム3の間と、フレーム3とフレーム4の間と、フレーム4とフレーム5の間にも、それぞれ、4フレームの3D中間画像が追加されている。
3D中間画像を追加することにより、追加前のフレームレートよりも追加後のフレームレートが高められる。つまり、3D超音波画像のみの場合における単位時間あたりのフレーム数(フレームレート)よりも、3D超音波画像に3D中間画像が追加された3D動画像用フレーム列における単位時間あたりのフレーム数(フレームレート)が多く(高く)なる。例えば、図2に示す具体例においては、図2(A)に示す3D超音波画像のみのフレームレートと比較して、図2(B)に示す3D動画像用フレーム列のフレームレートは5倍となる。
例えば、複数フレームの3D超音波画像のフレームレートをM倍(Mは2以上の整数)にしたいのであれば、3D超音波画像の各フレーム間に(M−1)フレームの3D中間画像を追加すればよい。
図1に戻り、表示画像形成部80は、三次元画像形成部20において形成された複数フレームの三次元超音波画像(3D超音波画像)と、中間画像形成部50において形成された複数フレームの三次元中間画像(3D中間画像)に基づいて、三次元動画像用のフレーム列(図2の3D動画像用フレーム列)を形成する。そして、表示画像形成部80は、三次元動画像用のフレーム列(3D動画像用フレーム列)に基づいて、三次元の超音波画像を動的に示した三次元動画像(3D動画像)を表示部82に表示させる。
なお、三次元中間画像(3D中間画像)の形成に利用される移動ベクトルは、移動ベクトル演算部30において導出される。また、移動ベクトル評価部40において、移動ベクトルの信頼性の程度が評価される。
制御部100は、図1の超音波診断装置内を全体的に制御する。制御部100による全体的な制御には、操作デバイス90を介して、医師や検査技師などのユーザから受け付けた指示も反映される。
図1に示す構成(符号を付された各部)のうち、送受信部12,ビームデータ処理部14,三次元画像形成部20,移動ベクトル演算部30,移動ベクトル評価部40,中間画像形成部50,表示画像形成部80の各部は、例えば電気電子回路やプロセッサ等のハードウェアを利用して実現することができ、その実現において必要に応じてメモリ等のデバイスが利用されてもよい。また、上記各部に対応した機能の少なくとも一部がコンピュータにより実現されてもよい。つまり、上記各部に対応した機能の少なくとも一部が、CPUやプロセッサやメモリ等のハードウェアと、CPUやプロセッサの動作を規定するソフトウェア(プログラム)との協働により実現されてもよい。
ボリュームデータ記憶部16は、例えば、半導体メモリやハードディスクドライブなどの記憶デバイスによって実現することができる。表示部82の好適な具体例は、液晶ディスプレイ等である。操作デバイス90は、例えばマウス、キーボード、トラックボール、タッチパネル、その他のスイッチ類等のうちの少なくとも一つにより実現できる。そして制御部100は、例えば、CPUやプロセッサやメモリ等のハードウェアと、CPUやプロセッサの動作を規定するソフトウェア(プログラム)との協働により実現することができる。
図1の超音波診断装置の全体構成は以上のとおりである。次に、図1の超音波診断装置により実現される機能の具体例について詳述する。なお、図1に示した構成(符号を付された各部)については、以下の説明において図1の符号を利用する。
図3は、移動ベクトルを導出する処理の具体例を示す図である。移動ベクトル演算部30は、複数フレームの三次元超音波画像(3D超音波画像)の互いに隣接する2つのフレームの間において、三次元超音波画像を構成する複数画素の各々についての移動ベクトルを導出(算出)する。移動ベクトルの導出にはパターンマッチング処理が利用される。
図3には、複数フレームのうちの互いに隣接するフレームn(nは自然数)とフレーム(n+1)の3D超音波画像が図示されている。移動ベクトル演算部30は、フレームnの3D超音波画像を構成する複数画素の各画素ごとに、パターンマッチング処理により移動ベクトルを算出し、フレームnの3D超音波画像を構成する複数画素、望ましくは全画素について、各画素の移動ベクトルを導出する。
パターンマッチング処理においては、フレームnの3D超音波画像の各画素ごとに、例えばその画素を取り囲むようにテンプレートTが設定される。そして、フレーム(n+1)の3D超音波画像内において、例えばテンプレートTに対応した位置の画像領域を含むように探索領域SAが設定される。探索領域SAの設定には、公知の様々な手法を利用することができる。もちろん、例えばフレーム(n+1)の3D超音波画像内の全域が探索領域SAとされてもよい。
テンプレートTと探索領域SAが設定されると、探索領域SA内においてテンプレートTが移動され、各移動位置において、フレームnの3D超音波画像のテンプレートT内の複数画素と、フレーム(n+1)の3D超音波画像のテンプレートT内の複数画素とに基づいて、相関演算が行われる。例えば、フレームn内のテンプレートTに対応した位置を初期位置とし、その初期位置からの各変位(dx,dy)ごとに相関値が算出され、探索領域SA内の全域に亘る複数変位に対応した相関値が算出される。
相関値とは画像データ間(複数画素と複数画素)の相関関係の程度(類似の程度)を示す数値であり、相関値の算出には相関演算の各手法に応じた公知の数式が用いられる。相関値としては、例えば、SSD(Sum of Square Difference:差の二乗和)などが好適であり、SSDは、類似の度合が大きいほど小さな値を示す。なお、例えば、位相限定相関法や相互相関法等により類似の度合が大きいほど大きな値を示す相関値が利用されてもよい。
探索領域SA内の全域に亘る複数変位に対応した相関値が算出されると、複数変位の中から最も類似の度合が大きい変位が特定され、演算対象となる各画素の移動先が決定される。
図3には、フレームnの3D超音波画像を構成する複数画素の代表例として画素Aが図示されている。そして、画素Aに関するパターンマッチング処理により、フレーム(n+1)の3D超音波画像内において、画素Aの移動先として画素Bが特定される。移動ベクトル演算部30は、画素Aの位置(座標)を始点として画素Bの位置(座標)を終点とするベクトルを画素Aの移動ベクトルABとする。移動ベクトル演算部30は、フレームn内の複数画素について、望ましくは全画素について、各画素ごとに、その画素の位置を始点としてその画素の移動先を終点とする移動ベクトルを導出する。
さらに、移動ベクトル演算部30は、フレームnの3D超音波画像を構成する各画素の移動ベクトルに対して、平滑化処理を施すことが望ましい。
図4は、移動ベクトルに対する平滑化処理の具体例を示す図である。移動ベクトル演算部30は、各注目画素ごとに、その注目画素とその近傍に位置する複数画素に対応した複数の移動ベクトルの平均ベクトルを算出し、算出した平均ベクトルをその注目画素における平滑化後の移動ベクトルとする。
図4には、複数画素の代表例として画素Aが図示されており、画素Aとその周辺の8画素からなる9画素に対応した9つの移動ベクトルの平均ベクトルが算出され、算出された平均ベクトルが画素Aの平滑化後の移動ベクトルとされる。なお、移動ベクトル演算部30は、平均ベクトルの算出において、複数の移動ベクトルの中から特異な移動ベクトルを除外してから平均ベクトルを算出するようにしてもよい。
各画素の移動ベクトルを平滑化処理することにより、例えば、ある画素の移動ベクトルが誤検出された場合においても、その誤検出に伴う悪影響を低減または除去することができる。
移動ベクトル演算部30により、複数画素に対応した複数の移動ベクトル(平滑化後の移動ベクトルが望ましい)が算出されると、算出された移動ベクトルに基づいて三次元中間画像(3D中間画像)が形成される。
図5は、三次元中間画像を形成する処理の具体例1を示す図である。中間画像形成部50は、複数フレームの三次元超音波画像(3D超音波画像)の互いに隣接する2つのフレームの間において得られた複数画素の移動ベクトルに基づいて、そのフレーム間に追加される1又は複数フレームの三次元中間画像(3D中間画像)を形成する。
図5には、3D超音波画像のフレームn(nは自然数)とフレーム(n+1)の間に追加される中間画像を形成する具体例が図示されている。図5(1)に示す移動ベクトルABはフレームnの3D超音波画像内における画素Aに対応した移動ベクトル(図3,図4参照)である。つまり、画素Aの移動先がフレーム(n+1)の3D超音波画像内における画素Bの位置(座標)である。中間画像形成部50は、図5(1)に示す移動ベクトルABから図5(2)に示す中間ベクトルACを得る。
図6は、中間ベクトルの具体例1を示す図である。図6には、フレームnの3D超音波画像とフレーム(n+1)の3D超音波画像の間における中間ベクトルの具体例が図示されている。移動ベクトルABは、フレームnの3D超音波画像内における画素Aに対応した移動ベクトルであり、画素Aの移動先がフレーム(n+1)の3D超音波画像内における画素Bの位置(座標)である。
また、図6には、フレームレートをM倍(Mは2以上の整数)とする具体例が図示されている。つまり、フレームnの3D超音波画像とフレーム(n+1)の3D超音波画像の間に、(M−1)フレームの3D中間画像が追加される。図6に示す具体例では、フレームnの3D超音波画像に近い(時相的に近い)順に、フレーム1,2,3,・・・,M−1の3D中間画像が配置されている。
中間画像形成部50は、画素Aに対応した移動ベクトルABから画素Aに関する中間ベクトルAC(AC1,AC2,AC3,・・・,AC(M−1))を導出する。中間ベクトルACの始点と方向は移動ベクトルABと同じであり、中間ベクトルACの大きさ(ベクトルの長さ)は、3D中間画像のフレーム番号(1,2,3,・・・,M−1)に応じて決定される。
例えば、図6において、フレーム1の3D中間画像に対応した中間ベクトルAC1は、始点と方向は移動ベクトルABと同じであり、大きさ(ベクトルの長さ)が移動ベクトルABの1/Mとされる。また。フレーム2の3D中間画像に対応した中間ベクトルAC2は、始点と方向は移動ベクトルABと同じであり、大きさ(ベクトルの長さ)が移動ベクトルABの2/Mとされる。そして、フレーム(M−1)の3D中間画像に対応した中間ベクトルAC(M−1)は、始点と方向は移動ベクトルABと同じであり、大きさ(ベクトルの長さ)が移動ベクトルABの(M−1)/Mとされる。
中間画像形成部50は、フレームnの3D超音波画像を構成する複数画素の各画素ごとに、その画素に対応した移動ベクトルに基づいて、3D中間画像の各フレームに対応した中間ベクトルを生成する。
図5に戻り、図5(2)に示す中間ベクトルACは、フレームnの3D超音波画像の画素Aに関する中間ベクトルであり、3D中間画像の注目フレーム(例えば図6におけるフレーム1〜M−1までの3D中間画像のいずれか)に対応した中間ベクトルである。
中間画像形成部50は、フレームnの3D超音波画像を構成する複数画素について、望ましくは全画素について、各画素ごとに中間ベクトルを生成する。そして、中間画像形成部50は、複数画素に対応した複数の中間ベクトルのうち、ベクトルの終点が注目画素Zの位置(座標)に最も近い中間ベクトルを選択する。図5(2)に示す具体例では、中間ベクトルACが選択される。
さらに、中間画像形成部50は、選択した中間ベクトルの終点が注目画素の位置となるように中間ベクトルを平行移動する。図5の具体例では、図5(2)の中間ベクトルACを平行移動した結果として、図5(3)の中間ベクトルA´C´が得られる。
そして、中間画像形成部50は、平行移動後の中間ベクトルの始点近傍における複数画素の画素値に基づいて注目画素の画素値を決定する。例えば、図5(4)に示すように、フレームnの3D超音波画像内における座標A´の近傍4点の画素の画素値から、例えば線形補間処理等により、注目画素Zの画素値が算出される。そして、算出された注目画素Zの画素値が、3D中間画像の注目フレームを構成する中間画素とされる。
中間画像形成部50は、3D中間画像の注目フレームを構成する全画素の各々を注目画素として、図5を利用して説明した処理を実行し、3D中間画像の注目フレームを構成する全画素の画素値を得ることにより、その注目フレームに対応した3D中間画像を形成する。さらに、中間画像形成部50は、複数フレームの3D中間画像(例えば図6におけるフレーム1〜M−1までの3D中間画像)の各フレームを注目フレームとして、図5を利用して説明した処理を実行することにより、複数フレームの3D中間画像を形成する。
図7は、三次元中間画像を形成する処理の具体例2を示す図である。図7には、3D超音波画像のフレームn(nは自然数)とフレーム(n+1)の間に追加される中間画像を形成する具体例が図示されている。図7(1)に示す移動ベクトルABはフレームnの3D超音波画像内における画素Aに対応した移動ベクトル(図3,図4参照)である。つまり、画素Aの移動先がフレーム(n+1)の3D超音波画像内における画素Bの位置(座標)である。中間画像形成部50は、図7(1)に示す移動ベクトルABから図7(2)に示す中間ベクトルCBを得る。
図8は、中間ベクトルの具体例2を示す図である。図8には、フレームnの3D超音波画像とフレーム(n+1)の3D超音波画像の間における中間ベクトルの具体例が図示されている。移動ベクトルABは、フレームnの3D超音波画像内における画素Aに対応した移動ベクトルであり、画素Aの移動先がフレーム(n+1)の3D超音波画像内における画素Bの位置(座標)である。
また、図8には、フレームレートをM倍(Mは2以上の整数)とする具体例が図示されている。つまり、フレームnの3D超音波画像とフレーム(n+1)の3D超音波画像の間に、(M−1)フレームの3D中間画像が追加される。図8に示す具体例では、フレームnの3D超音波画像に近い(時相的に近い)順に、フレーム1,2,3,・・・,M−1の3D中間画像が配置されている。
中間画像形成部50は、画素Aに対応した移動ベクトルABから、移動ベクトルABの終点である画素Bを基準として、中間ベクトルCB(C1B,C2B,C3B,・・・,C(M−1)B)を導出する。中間ベクトルCBの終点と方向は移動ベクトルABと同じであり、中間ベクトルCBの大きさ(ベクトルの長さ)は、3D中間画像のフレーム番号(1,2,3,・・・,M−1)に応じて決定される。
例えば、図8において、フレーム1の3D中間画像に対応した中間ベクトルC1Bは、終点と方向は移動ベクトルABと同じであり、大きさ(ベクトルの長さ)が移動ベクトルABの1/Mとされる。また。フレーム2の3D中間画像に対応した中間ベクトルC2Bは、終点と方向は移動ベクトルABと同じであり、大きさ(ベクトルの長さ)が移動ベクトルABの2/Mとされる。そして、フレーム(M−1)の3D中間画像に対応した中間ベクトルC(M−1)Bは、終点と方向は移動ベクトルABと同じであり、大きさ(ベクトルの長さ)が移動ベクトルABの(M−1)/Mとされる。
中間画像形成部50は、フレームnの3D超音波画像を構成する複数画素の各画素ごとに、その画素に対応した移動ベクトルに基づいて、3D中間画像の各フレームに対応した中間ベクトルを生成する。
図7に戻り、図7(2)に示す中間ベクトルCBは、フレームnの3D超音波画像の画素Aに関する中間ベクトルであり、3D中間画像の注目フレーム(例えば図8におけるフレーム1〜M−1までの3D中間画像のいずれか)に対応した中間ベクトルである。
中間画像形成部50は、フレームnの3D超音波画像を構成する複数画素について、望ましくは全画素について、各画素ごとに中間ベクトルを生成する。そして、中間画像形成部50は、複数画素に対応した複数の中間ベクトルのうち、ベクトルの始点が注目画素Zの位置(座標)に最も近い中間ベクトルを選択する。図7(2)に示す具体例では、中間ベクトルCBが選択される。
さらに、中間画像形成部50は、選択した中間ベクトルの始点が注目画素の位置となるように中間ベクトルを平行移動する。図7の具体例では、図7(2)の中間ベクトルCBを平行移動した結果として、図7(3)の中間ベクトルC´B´が得られる。
そして、中間画像形成部50は、平行移動後の中間ベクトルの終点近傍における複数画素の画素値に基づいて注目画素の画素値を決定する。例えば図7(4)に示すように、フレーム(n+1)の3D超音波画像内における座標B´の近傍4点の画素の画素値から、例えば線形補間処理等により、注目画素Zの画素値が算出される。そして、算出された注目画素Zの画素値が、3D中間画像の注目フレームを構成する中間画素とされる。
中間画像形成部50は、3D中間画像の注目フレームを構成する全画素の各々を注目画素として、図7を利用して説明した処理を実行し、3D中間画像の注目フレームを構成する全画素の画素値を得ることにより、その注目フレームに対応した3D中間画像を形成する。さらに、中間画像形成部50は、複数フレームの3D中間画像(例えば図8におけるフレーム1〜M−1までの3D中間画像)の各フレームを注目フレームとして、図7を利用して説明した処理を実行することにより、複数フレームの3D中間画像を形成する。
例えば、図5と図6を利用して説明した具体例1または図7と図8を利用して説明した具体例2により、複数フレームの3D超音波画像の複数フレーム間に追加される複数フレームの3D中間画像が形成される。
上述したように、三次元中間画像(3D中間画像)の形成には、移動ベクトル演算部30において導出される移動ベクトルが利用される。移動ベクトル演算部30は、三次元超音波画像(3D超音波画像)のフレームn内の複数画素について、望ましくは全画素について、各画素ごとに、その画素の位置を始点としてその画素の移動先を終点とする移動ベクトルを導出する(図3参照)。
移動ベクトル評価部40は、3D超音波画像の各フレーム内の複数画素に対応した複数の移動ベクトルに関する信頼性を評価する。例えば、移動ベクトル演算部30によるパターンマッチング処理において、最も相関が強い(最も類似の度合が大きい)として選択された各画素の移動先における相関値に基づいて移動ベクトルの信頼性が評価される。
具体的には、相関が強い(類似の程度が大きい)ほど小さな値となる相関値が利用されており、算出された相関値が閾値を超えた場合(または閾値以上の場合)には、その相関値が信頼できる値ではなく、その相関値に基づいて得られた移動ベクトルの信頼性が低いと判定される。そして、例えば、3D超音波画像の各フレームごとに、そのフレームを構成する複数画素のうちの、移動ベクトルの信頼性が低いと判定された画素数の割合が、そのフレームにおける移動ベクトルの信頼性の評価値とされる。この具体例の場合、各フレームごとに得られる信頼性の評価値が大きいほど、そのフレームの移動ベクトルの信頼性が低いことを示している。
そして、例えば、各フレームの移動ベクトルの信頼性が低い場合には、例えば、信頼性の評価値が閾値よりも大きい場合には、例えば、パターンマッチングにおける探索領域SA(図3)が広げられ、各画素の移動先の選択範囲を広げて移動先の特定精度を高めることが望ましい。なお、探索領域SAを広げるとパターンマッチングの処理時間が増大するため、例えば、その処理時間の増大に応じて、3D超音波画像の各フレーム間に追加される3D中間画像のフレーム数(フレームの枚数)を少なくするようにしてもよい。また、各フレームの移動ベクトルの信頼性が低い場合に、テンプレートT(図3)を大きくすることにより、各画素の移動先の特定精度を高めるようにしてもよい。
また、移動ベクトル評価部40において得られた移動ベクトルの信頼性の評価値に基づいて、制御部100が超音波の送受信を制御するようにしてもよい。例えば、制御部100は、移動ベクトル評価部40から得られる移動ベクトルの信頼性の評価値に基づいて、ボリュームレートを制御してもよい。
図9は、ボリュームレート制御の具体例を示す図である。図9(1)には、複数時相に亘って各時相ごとに得られるボリュームデータの具体例が図示されている。つまり、時相1〜時相6に対した複数のボリュームデータが代表的に図示されている。なお、図示省略した時相7以降においても各時相ごとにボリュームデータが得られてもよい。
図9(2)には、複数フレームの三次元超音波画像(3D超音波画像)の具体例が図示されている。各フレームの3D超音波画像は、そのフレームに対応した時相のボリュームデータに基づいて形成される。図9に示す具体例において、時相1のボリュームデータに基づいてフレーム1の3D超音波画像が形成され、時相2のボリュームデータに基づいてフレーム2の3D超音波画像が形成される。つまり、ボリュームデータの時相番号と3D超音波画像のフレーム番号が互いに対応している。
図9(3)には、三次元中間画像(3D中間画像)の具体例が図示されており、図9(4)には、三次元動画像(3D動画像)の具体例が図示されている。図9に示す具体例では、例えば、3D超音波画像のフレーム1とフレーム2の間に3フレーム(フレーム数3)の3D中間画像が追加され、3D超音波画像のフレーム2とフレーム3の間にも3フレーム(フレーム数3)の3D中間画像が追加され、さらに、3D超音波画像のフレーム3以降にも各フレーム間に3D中間画像が追加されて、3D動画像のフレーム列が構成されている。
図9に示す具体例では、3D超音波画像のフレーム1とフレーム2の間において得られた移動ベクトルの信頼性が低い。移動ベクトルの信頼性が低い場合に、制御部100は、ボリュームレートを増加させる。但し、図9に示す具体例では、時相2のボリュームデータが得られた直後から、標準レート(標準のボリュームレート)で時相3のボリュームデータの取得が開始されているため、その標準レートを維持したまま時相3のボリュームデータが取得される。そして、時相3のボリュームデータが取得された直後からボリュームレートが増大され、高レート(標準よりも高いボリュームレート)で時相4と時相5のボリュームデータが取得される。なお、時相2のボリュームデータが得られた直後から高レートに切り換えて時相3のボリュームデータを得るようにしてもよい。
また、図9に示す具体例では、3D超音波画像のフレーム3とフレーム4の間において得られた移動ベクトルの信頼性が高い。移動ベクトルの信頼性が高い場合に、制御部100は、ボリュームレートを減少させてもよい。但し、図9に示す具体例では、時相4のボリュームデータが得られた直後から、高レートで時相5のボリュームデータの取得が開始されているため、その高レートを維持したまま時相5のボリュームデータが取得される。そして、時相5のボリュームデータが取得された直後からボリュームレートが減少され、つまり標準レートに戻され、標準レートで時相6のボリュームデータが取得される。なお時相4のボリュームデータが得られた直後から標準レートに切り換えて時相5のボリュームデータを得るようにしてもよい。
制御部100は、超音波の送受に係る複数の送受信パラメータに基づいてボリュームレートを制御する。複数の送受信パラメータには、例えば、空間フレーム数(空間フレーム密度)、ビームライン数(ライン密度)、PRT(pulse repetition time)などが含まれる。
空間フレーム数は、超音波が立体的に送受されるボリューム(三次元領域)を構成する空間的なフレーム(空間フレーム)の枚数(フレーム数)である。例えば、ボリュームの大きさが一定で空間フレーム数が変化すると空間フレーム密度も変化する。ビームライン数は、各空間フレームを構成する受信ビームラインの本数である。例えば、各空間フレームの大きさが一定でビームライン数が変化するとライン密度も変化する。そして、PRTは、超音波のパルス繰り返し周期である。
これら複数の送受信パラメータによりボリュームレートが決定される。標準レート(標準のボリュームレート)に対応した複数の送受信パラメータは、例えば、ボリュームデータのデータ密度を重視して設定される。一方、高レートに対応した複数の送受信パラメータは、標準レート(標準のボリュームレート)よりもボリュームレートが高くなるように設定される。
例えば、高レートの空間フレーム数は標準レートの空間フレーム数よりも小さく(少なく)設定され、高レートのビームライン数は標準レートのビームライン数よりも小さく(少なく)設定され、高レートのPRTは標準レートのPRTよりも小さく(短く)設定される。
制御部100は、標準レートに対応した複数の送受信パラメータで送受信部12を制御することにより、標準レートによるボリュームデータの取得を実現し、高レートに対応した複数の送受信パラメータで送受信部12を制御することにより、高レートによるボリュームデータの取得を実現する。
なお、送受信パラメータとして、パラレル受信(パラレル受信の本数(1本以上))やTHI(tissue harmonic imagingを行うか否か)が変更されて、ボリュームレートが変更されてもよい。
図9に示す具体例では、ボリュームレートの変更に係わらず、3D動画像のフレームレートを一定に維持することができる。
例えば、高レート(高いボリュームレート)が標準レート(標準のボリュームレート)の2倍である場合に、標準レートに対応した3D超音波画像の各フレーム間に3フレームの3D中間画像を追加し、高レートに対応した3D超音波画像の各フレーム間に1フレームの3D中間画像を追加することにより、3D動画像のフレーム間隔(時相間隔)が一定に維持され、3D動画像のフレームレートを一定に維持することができる。なお、図9に示す具体例はあくまでも一例であり、3D動画像のフレームレートを必ずしも一定にする必要はない。
また、3D動画像のフレームレートは、表示部82において対応可能な表示フレームレートに応じて決定されることが望ましい。例えば、表示部82の表示フレームレートが60Hz(ヘルツ)であるならば、3D動画像のフレームレートが60Hzとなるように、ボリュームレートと3D中間画像のフレーム数(3D超音波画像の各フレーム間に追加される3D中間画像のフレーム数)を決定すればよい。
さらに、表示画像形成部80は、3D動画像をスロー再生するようにしてもよい。そして、スロー再生時には、再生速度に応じて3D中間画像のフレーム数(3D超音波画像の各フレーム間に追加される3D中間画像のフレーム数)を決定することが望ましい。
例えば、通常再生(1倍速再生)時における各フレーム間の3D中間画像の枚数(フレーム数)がK枚(フレーム数K:但しKは自然数)の場合に、通常再生の1/2倍速のスロー再生時における各フレーム間の3D中間画像の枚数(フレーム数)を2Kとし、通常再生の1/3倍速のスロー再生時における各フレーム間の3D中間画像の枚数(フレーム数)を3Kとし、通常再生の1/4倍速のスロー再生時における各フレーム間の3D中間画像の枚数(フレーム数)を4Kとする。つまり、通常再生の1/S倍速(Sは自然数)のスロー再生時における各フレーム間の3D中間画像の枚数(フレーム数)をS×Kとする。
一般に従来のスロー再生では、通常再生で利用される複数の画像フレームのうちの各画像フレームが複数の表示フレームに対応付けられて繰り返し再生される。つまり、同一の画像フレームが複数の表示フレームで利用される。
これに対し、スロー再生時に再生速度に応じて3D中間画像のフレーム数を決定する上記処理により、同一の画像フレーム(3D動画像の各フレーム)が利用される表示フレーム数を少なくすることができ、望ましくは、各画像フレームと各表示フレームとを1対1に対応付けたスロー再生を実現することができる。これにより、例えば、画像内容が滑らかに変化するスロー再生が可能になる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。