以下、図面を参照して、本発明の実施形態の水処理システム1の概略構成について説明する。図1は、本実施形態の水処理システム1を示す概略構成図である。図2は、水処理システム1の制御に係る機能ブロック図である。図3は、ブロー処理と薬注処理との関係を示すタイムチャートである。
図1に示すように、本実施形態の水処理システム1は、空調機や冷凍機に組み込まれた熱交換器等の被冷却装置131を冷却するために、循環水W2(冷却水)を循環させるシステムである。循環水W2は、その節約を図る観点から、冷却塔120で冷却しながら循環して用いられる。本実施形態における冷却塔120は、いわゆる開放式冷却塔である。
本実施形態の水処理システム1は、主な構成として、冷却塔120と、被冷却装置131と、水質検出手段としての電気伝導率センサ133と、薬剤供給手段としての薬剤供給装置134と、システム制御装置100と、を備える。また、水処理システム1は、主なラインとして、循環水ラインL110と、補給水ラインL120と、を備える。なお、「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。また、図1では、電気的な接続の経路を破線で示している。
冷却塔120は、被冷却装置131から回収された循環水W2を冷却する設備である。冷却塔120は、塔本体121と、貯留部122と、を備える。
塔本体121は、冷却塔120の外郭を形成する筐体である。塔本体121は、散水部、ファン、開口部、ルーバー等からなる循環水冷却部(不図示)を有する。循環水W2は、循環水冷却部により冷却され、貯留部122に落下する。塔本体121の下部には、貯留部122が設けられている。
貯留部122は、循環水冷却部で冷却された循環水W2を貯留する部位である。貯留部122は、塔本体121の下部に設けられている。貯留部122の底部には、循環水ラインL110の循環水供給ラインL111(後述)が接続されている。貯留部122に貯留された循環水W2は、循環水供給ラインL111を介して被冷却装置131へ供給される。なお、貯留部122には、給水栓137及び後述するブロー手段としての流入口138が設けられている。
循環水ラインL110は、冷却塔120と被冷却装置131との間で循環水W2を循環させるラインである。循環水ラインL110は、循環水供給ラインL111と、循環水回収ラインL112と、を有する。
循環水供給ラインL111は、冷却塔120の貯留部122と被冷却装置131との間を接続する。貯留部122に貯留された循環水W2は、循環水供給ラインL111を介して被冷却装置131に供給される。
循環水供給ラインL111の途中には、循環水ポンプ132が設けられている。循環水ポンプ132は、循環水ラインL110(循環水供給ラインL111、循環水回収ラインL112)の上流側から下流側へ向けて、循環水W2を送り出すことができる。循環水ポンプ132は、システム制御装置100と電気的に接続されている。循環水ポンプ132の運転(駆動及び停止)は、システム制御装置100から出力される運転信号により制御される。
循環水回収ラインL112は、被冷却装置131と冷却塔120との間を接続するラインである。被冷却装置131において熱交換により加温された循環水W2は、循環水回収ラインL112を介して冷却塔120の循環水冷却部(不図示)に回収される。
被冷却装置131は、循環水W2による冷却が必要な熱交換器等の各種装置である。被冷却装置131は、例えば、各種の化学プラントのターボ冷凍機や吸収冷凍機、建築物の空調用冷却機、食品工場の冷水製造機や真空冷却機等である。
被冷却装置131において、循環水流路の一方の端部には、循環水供給ラインL111の下流側の端部が接続されている。また、被冷却装置131において、循環水流路の他方の端部には、循環水回収ラインL112の上流側の端部が接続されている。
電気伝導率センサ133は、循環水W2の水質として、電気伝導率ECを測定する装置である。電気伝導率センサ133は、接続部J1において循環水供給ラインL111に接続されている。接続部J1は、循環水ポンプ132と被冷却装置131との間に配置されている。電気伝導率センサ133は、システム制御装置100と電気的に接続されている。電気伝導率センサ133で測定された電気伝導率ECは、システム制御装置100へ検出信号として送信される。電気伝導率センサ133は、所定の時間間隔(又はリアルタイム)で電気伝導率ECを測定し、システム制御装置100へ送信する。
薬剤供給装置134は、循環水W2へ薬剤としてのスケール防止剤、防食剤、及び殺菌剤を供給する薬注処理を実行可能な装置である。薬剤供給装置134は、接続部J2において循環水供給ラインL111に接続されている。接続部J2は、接続部J1と被冷却装置131との間に配置されている。
スケール防止剤は、水中でのスケールの成長、或いは配管表面等へのスケールの堆積を防止するために用いられる薬品である。防食剤は、主に配管系等における全面腐食、或いはピッチング等の部分腐食の発生を抑制するために用いられる薬品である。殺菌剤は、水中における微生物の繁殖を抑制するために用いられる薬品であり、スライムコントロール剤とも呼ばれる。本実施形態では、スケール防止剤、防食剤、及び殺菌剤を総称して「薬剤」という。
スケール防止剤、防食剤、及び殺菌剤は、それぞれの薬剤タンク及び薬剤供給ポンプ(不図示)から循環水供給ラインL111に供給される。薬剤供給ポンプは、各薬剤タンクに貯留された薬剤を同時に循環水供給ラインL111へ送り出す設備である。
本実施形態の薬剤供給ポンプは、電磁駆動ダイアフラム式の定量ポンプである。薬剤供給ポンプとして、電磁駆動ダイアフラム式の定量ポンプを用いた場合、ダイアフラムの弁体が往復運動することにより、薬剤が断続的に循環水W2に供給される。
薬剤供給ポンプは、1ストローク当たりの吐出量[mL/ストローク]を所定値に設定し、且つストローク数[ストローク/分]を増減することにより、薬剤の吐出流量[mL/分]を制御できる。ストローク数とは、単位時間当たりに弁体が往復運動する回数をいい、弁体の1往復が1ストロークに相当する。薬剤供給ポンプは、システム制御装置100と電気的に接続されている。薬剤供給ポンプは、システム制御装置100から駆動信号としてのパルス信号が1回出力される毎に、1ストロークに対応する動作としてダイアフラムが1回往復運動する。
なお、本実施形態では、一つの薬剤供給装置134からスケール防止剤、防食剤、及び殺菌剤を配合した複合薬剤を供給する例について説明するが、スケール防止剤及び防食剤と、殺菌剤とをそれぞれ個別の薬剤供給装置で供給してもよい。
また、冷却塔120には、補給水ラインL120が接続されている。補給水ラインL120は、補給水W1を冷却塔120の貯留部122へ補給するラインである。補給水ラインL120の上流側は、水道水や工業用水等の補給水の供給源(不図示)に接続された第1補給水ラインL121である。一方、補給水ラインL120の下流側は、分岐部J3において、第2補給水ラインL122及び第3補給水ラインL123に分岐している。分岐部J3は、補給水W1の供給源(不図示)と冷却塔120との間に配置されている。
第2補給水ラインL122の下流側の端部は、冷却塔120の塔本体121に接続されている。第2補給水ラインL122において、分岐部J3と冷却塔120との間には、補給水バルブ136が設けられている。
補給水バルブ136は、第2補給水ラインL122を開閉することにより、貯留部122に対して補給水W1を強制的に供給する給水設備である。補給水バルブ136は、システム制御装置100と電気的に接続されている。補給水バルブ136における弁体の開閉は、システム制御装置100からの駆動信号により制御される。
第3補給水ラインL123の下流側の端部は、冷却塔120の塔本体121に接続されている。第3補給水ラインL123の下流側の端部には、給水栓137が設けられている。給水栓137は、貯留部122に貯留される循環水W2の水位(すなわち、水量)を管理するボールタップ式の給水設備である。循環水W2の蒸発損失及び飛散損失により貯留部122の水位が低下すると、給水栓137のボールタップが作動し、第3補給水ラインL123を流通する補給水W1が貯留部122に補給される。
排水ラインL130は、貯留部122の内部に立設され、下方に延びている。排水ラインL130の上流側の端部は、循環水W2の流入口138を形成する。流入口138は、給水栓137の管理水位よりも上方に開口している。一方、排水ラインL130の下流側の端部は、貯留部122の外部に通じている。排水ラインL130は、後述するブロー処理において、補給水バルブ136を開放して補給水W1を強制的に供給した場合に、冷却塔120の貯留部122から溢れた循環水W2を、水処理システム1の系外に排出するラインである。
本実施形態において、補給水バルブ136及び流入口138は、補給水W1を冷却塔120に補給しながら、循環水W2の一部を冷却塔120から排出するブロー処理を実行可能なブロー手段を構成する。
次に、図2及び図3を参照して、本実施形態の水処理システム1の制御に係る機能について説明する。
システム制御装置100は、本実施形態の水処理システム1における各部の動作を制御する。図2に示すように、システム制御装置100は、例えば、循環水ポンプ132、電気伝導率センサ133、薬剤供給装置134及び補給水バルブ136に電気的に接続される。
また、システム制御装置100は、水処理システム1の測定装置と電気的に接続され、これら測定装置から測定情報を受信する。例えば、システム制御装置100は、電気伝導率センサ133と電気的に接続される。システム制御装置100において、測定装置から受信した最新の測定情報は、適宜、メモリ300に記憶される。
システム制御装置100は、制御部200と、メモリ300と、を備える。制御部200は、ブロー処理制御部201と、比例薬注制御部202と、補助薬注制御部203と、計時部204と、を有する。制御部200におけるブロー処理制御部201、比例薬注制御部202、補助薬注制御部203、及び計時部204の機能は、CPU及び内部メモリ含むマイクロプロセッサ(不図示)により実現される。
ブロー処理制御部201は、電気伝導率センサ133で検出された循環水W2の電気伝導率ECが、予め設定された許容水質値としての上限閾値ECb1以上となった場合に、補給水バルブ136を制御してブロー処理を実行させる。上限閾値ECb1は、例えば、スケール防止剤及び防食剤の効果の持続性を担保できる濃縮倍数を考慮して決定される。
ブロー処理制御部201は、ブロー処理として、循環水W2の排水及び補給水W1の補給を同時に(又は連続して)実施する。具体的には、ブロー処理制御部201は、電気伝導率EC≧上限閾値ECb1となった場合、すなわち循環水W2の水質が悪化した場合に、補給水バルブ136を開状態として、第2補給水ラインL122を通じて新鮮な補給水W1を貯留部122に強制的に補給する。補給水W1が補給されると、貯留部122の水位が上昇するため、流入口138から溢れた循環水W2が排水ラインL130を通じて外部に排出される。すなわち、ブロー処理が実行されると、濃縮の進んだ循環水W2の一部が補給水W1と入れ替わるため、循環水ラインL110における循環水W2の電気伝導率ECが全体的に低下する。
そして、ブロー処理制御部201は、補給水バルブ136を開状態とした後、電気伝導率EC≦下限閾値ECb2となった場合、すなわち循環水W2の水質が回復した場合に、補給水バルブ136を閉状態として、補給水W1の補給を停止させる。なお、当然ながら、ブロー処理の開始点である上限閾値ECb1とブロー処理の終了点である下限閾値ECb2との関係は、上限閾値ECb1>下限閾値ECb2である。
また、ブロー処理制御部201は、計時部204において、ブロー処理の実行時間Taを計時させると共に、ブロー処理の実行後に、計時された実行時間Taをメモリ300に記憶する。
比例薬注制御部202は、ブロー処理の実行後に、ブロー処理の実行時間Taに比例した投入量の薬剤が循環水W2に供給されるように薬剤供給装置134において薬注処理を実行させる。比例薬注制御部202は、薬剤供給装置134において薬注処理を実行させるために、薬剤供給ポンプ(不図示)を駆動するためのパルス信号を薬剤供給装置134に出力する。計時部204では、このパルス信号の出力情報を利用して、薬注処理の実行時間を計時する。以下、ブロー処理の実行後に実行される薬注処理を「通常薬注処理」ともいう。
比例薬注制御部202は、ブロー処理の実行後に通常薬注処理を実行させる。言い換えると、比例薬注制御部202は、ブロー処理の実行中には通常薬注処理を実行させない。また、比例薬注制御部202は、通常薬注処理の実行中に次のブロー処理が実行された場合には、その通常薬注処理を中断させ、そのブロー処理の実行後に、中断させた通常薬注処理を再開させる。
比例薬注制御部202は、中断した通常薬注処理を再開させた際に、中断させた通常薬注処理において薬剤が循環水W2に供給されなかった時間と、次のブロー処理の実行時間Taとを合計した時間に比例した量の薬剤が循環水W2に供給されるように薬剤供給装置134において通常薬注処理を実行させる。
ここで、通常薬注処理における薬剤の投入量について、図3を参照しながら説明する。図3に示すタイムチャートおいて、上段は、補給水バルブ136の開時間(ブロー時間)を示す。また、図3において、下段は、薬剤供給装置134(薬剤供給ポンプ)の運転時間(薬注時間)を示す。下段では、通常薬注処理及び補助薬注処理を示している。なお、図3では、それぞれの時間間隔を概念的な長さで示しており、実際の時間間隔とは対応していない。
図3に示すように、本実施形態の水処理システム1では、ブロー処理A、B、C、…の実行後に、通常薬注処理a、b、c、…が実行される。
通常薬注処理においては、例えば、ブロー処理Aに示すように、ブロー処理Aの実行時間T1と同じ時間が通常薬注処理aにおける薬剤の投入時間T1として設定される。そして、ブロー処理Aの実行後の通常薬注処理aにおいて、投入時間T1に比例した投入量の薬剤が循環水W2に供給される。他のブロー処理も同じである。
また、図3に示すように、例えば、通常薬注処理cを実行している間に、次のブロー処理Dが実行された場合において、比例薬注制御部202は、通常薬注処理cを中断させ、ブロー処理Dの実行後に、通常薬注処理cを再開させる。また、比例薬注制御部202は、通常薬注処理cに引き続いて、ブロー処理Dに対応する通常薬注処理dを実行する。
比例薬注制御部202は、通常薬注処理cを再開させると、中断する前の通常薬注処理cにおいて薬剤が循環水W2に供給されなかった時間(T3−t3)と、ブロー処理Dの実行時間T4とを合計した時間(T3−t3)+T4に比例した量の薬剤が循環水W2に供給されるように薬剤供給装置134において通常薬注処理を実行させる。これにより、通常薬注処理cの実行中にブロー処理Dが実行された場合でも、ブロー処理Dの実行後に、速やかに必要量の薬剤を循環水W2に供給することができる。
次に、補助薬注制御部203について説明する。
補助薬注制御部203は、比例薬注制御部202による通常薬注処理が予め設定された許容待機時間Twを超過しても実行されない場合、すなわち計時部204(後述)の計時する滞留時間TTが許容待機時間Twを超過した場合に、薬剤が予め設定された投入時間に亘って循環水W2に供給されるように、薬剤供給装置134において薬注処理を実行させる。
ここで、許容待機時間Twとは、薬注処理の実行後において、補助薬注処理を実行するか否かを判定する際の閾値となる時間である。補助薬注制御部203は、薬剤供給ポンプ(不図示)を駆動するためのパルス信号を薬剤供給装置134に出力して、薬注処理を実行させる。計時部204では、このパルス信号の出力情報を利用して、薬注処理の実行時間を計時する。
以下、ブロー処理の実行後において、許容待機時間Twを超過した場合に実行される薬注処理を「補助薬注処理」ともいう。また、以下の説明において、通常薬注処理又は補助薬注処理を、適宜に「薬注処理」と総称する。
次に、補助薬注処理における許容待機時間Tw及び投入時間Tfについて、図3に示すタイムチャートを参照しながら説明する。
補助薬注制御部203は、メモリ300に記憶された過去の直近3回分の薬注処理の実行間隔Z(Zi、Zi+1、Zi+2)に基づいて、移動平均値を求める下記の式(1)により最新の許容待機時間Twを算出する。
Tw=(Zi+Zi+1+Zi+2)/3 式(1)
但し、Zi(直近3回前の実行間隔:最古のデータ)、Zi+1(直近2回前の実行間隔)、Zi+2(直近1回前の実行間隔:最新のデータ)とする。
図3において、補助薬注制御部203による補助薬注処理αは、(Z1+Z2+Z3)/3により算出された許容待機時間Twを経過した時点で実行される。補助薬注処理αが実行されると、算出済みの許容待機時間Twが、新たに直近1回前における最新の実行間隔Z4としてメモリ300に記憶される。また、このときに、実行間隔Z1(直近3回前:最古のデータ)がメモリ300から削除される。これにより、図3に示すように、補助薬注処理αの実行後における次の許容待機時間Twは、(Z2+Z3+Z4)/3により算出される。そして、次回の補助薬注処理βが実行されると、算出済みの許容待機時間Twが、新たに直近1回前における最新の実行間隔Z5としてメモリ300に記憶される。
また、補助薬注制御部203は、メモリ300に記憶された過去の直近3回分の薬注処理の実行時間T(Ti、Ti+1、Ti+2)に基づいて、移動平均値を求める下記の式(2)により薬剤の投入時間Tfを算出する。
Tf=(Ti+Ti+1+Ti+2)/3 式(2)
但し、Ti(直近3回前の実行時間:最古のデータ)、Ti+1(直近2回前の実行時間)、Ti+2(直近1回前の実行時間:最新のデータ)とする。
図3において、補助薬注制御部203による補助薬注処理αでは、(T2+T3+T4)/3により算出された投入時間T5(=Tf)に亘って薬剤が循環水W2に供給される。補助薬注処理αが実行されると、算出済みの投入時間T5が、新たに直近1回前における最新のデータとしてメモリ300に記憶される。また、このときに、投入時間T2(直近3回目:最古のデータ)がメモリ300から削除される。これにより、図3に示すように、補助薬注処理αの次回に予定される補助薬注処理βの投入時間T6(=Tf)は、(T3+T4+T5)/3により算出される。そして、次回の補助薬注処理βが実行されると、算出済みの投入時間T6が、新たに直近1回前における最新のデータとしてメモリ300に記憶される。
また、図3に示すように、例えば、補助薬注処理βを実行している間に、ブロー処理Eが実行された場合、補助薬注制御部203は、補助薬注処理βを中断させる。一方、比例薬注制御部202は、ブロー処理Eの実行後に、通常薬注処理eを実行する。前記したように、通常薬注処理eにおける薬剤の投入時間T7は、ブロー処理Eの実行時間T7と同じ時間に設定される。
ここで、補助薬注制御部203は、中断する前の補助薬注処理βにおいて薬剤が循環水W2に供給されなかった時間(T6−t5)に比例した量の薬剤については、薬注処理を実行しない。補助薬注処理は、循環水W2の長時間の滞留に伴う薬効の低下や喪失を補うものとして実行される。ブロー処理Eが実行されれば、その後の通常薬注処理eにより新規の薬剤が供給され、循環水W2中の薬剤が入れ替わる。そのため、ブロー処理Eの実行後においては、通常薬注処理eで必要となる投入時間T7を超える薬注処理は無駄となるため、実行しないようにしている。
なお、補助薬注制御部203は、薬剤供給装置134による過去の直近3回分の薬注処理の実行間隔Z、及び薬注処理の実行時間Tがメモリ300に存在しない場合には、メモリ300に予め設定された既定値を許容待機時間Tw及び投入時間Tfとして使用する。そのため、システムの運用開始直後においても、補助薬注処理を実行することができる。なお、規定値としては、季節的な冷却塔の負荷にもよるが、例えば、許容待機時間Twを6時間に、投入時間Tfを1分に設定することができる。
再び、図2に戻って説明する。
計時部204は、通常薬注処理又は補助薬注処理の実行後からの経過時間を、滞留時間TTとして計時する。計時部204は、通常薬注処理又は補助薬注処理の実行が終了すると同時に滞留時間TTの計時をスタートさせ、通常薬注処理又は補助薬注処理の実行が開始されると同時に滞留時間TTの計時をリセットする。
計時部204は、比例薬注制御部202又は補助薬注制御部203から出力されるパルス信号(薬剤供給ポンプを駆動するためのパルス信号)に基づいて、通常薬注処理又は補助薬注処理の実行後からの経過時間を計時する。すなわち、計時部204は、パルス信号が出力されなくなると滞留時間TTの計時をスタートさせ、パルス信号が出力されると滞留時間TTの計時をリセットする。
なお、薬剤供給ポンプ(不図示)として、ストローク数が1〜360ストローク/分の範囲で調節可能な電磁駆動ダイアフラム式の定量ポンプを用いた場合に、計時部204は、前回のパルス信号の出力がOFFになってから60秒を経過した後に計時を開始する。これは、上記ストローク数の範囲では、比例薬注制御部202又は補助薬注制御部203から出力されるパルス信号の間隔が60〜0.17秒となるため、パルス信号の出力がOFFしてから60秒を経過してもパルス信号の出力がONにならなければ、間違いなく薬剤供給ポンプが停止していると判定できるからである。
また、計時部204は、ブロー処理の実行時間Ta、及び通常薬注処理又は補助薬注処理の実行時間Tを計時する。計時部204は、通常薬注処理の実行がブロー処理により中断した場合には、中断している間の時間を計時する。更に、計時部204は、中断した通常薬注処理が再開された場合には、再開されてからの時間を計時する。
メモリ300は、薬剤供給装置134による薬注処理の時間に関するデータを記憶する記憶装置である。以下、メモリ300に記憶されるデータについて説明する。
メモリ300は、薬剤供給装置134による過去の直近3回分の薬注処理の実行間隔Z(Zi、Zi+1、Zi+2)、及びこれらのデータに基づいて算出された許容待機時間Twを記憶する。また、メモリ300は、薬剤供給装置134による過去の直近3回分の薬注処理の実行時間T(Ti、Ti+1、Ti+2)、及びこれらのデータに基づいて算出された補助薬注処理の投入時間Tfを記憶する。
メモリ300に記憶される許容待機時間Tw及び投入時間Tfは、上述したように、移動平均値を求める式により算出される。そして、補助薬注処理が実行されると、算出済みの許容待機時間Tw及び投入時間Tfが、実行間隔Z及び実行時間Tの最新データとしてメモリ300に記憶される。
また、メモリ300には、過去の直近3回分の薬注処理の実行間隔Z及び実行時間Tが記憶されていない場合に用いられるデフォルト値として、予め設定された許容待機時間Tw及び実行時間Tfに係る既定値が記憶される。
また、メモリ300には、電気伝導率センサ133で測定された電気伝導率EC(更新値)、ブロー処理の開始点である上限閾値ECb1(設定値)、及びブロー処理の終了点である下限閾値ECb2(設定値)が記憶される。
次に、本実施形態の水処理システム1において、制御部200により実行されるブロー処理、通常薬注処理、及び補助薬注処理の動作を、図4〜図7のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、ブロー処理の制御について説明する。図4は、制御部200においてブロー処理の制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。図4に示すフローチャートの制御は、メモリ300に記憶された制御プログラムに基づいて、制御部200のブロー処理制御部201により実行される。また、図4に示すフローチャートの処理は、水処理システム1の運転中において、繰り返し実行される。
図4に示すステップST101において、ブロー処理制御部201は、電気伝導率センサ133で測定された循環水W2の電気伝導率EC、及びブロー処理の開始点である上限閾値ECb1をメモリ300から取得する。
ステップST102において、ブロー処理制御部201は、電気伝導率ECが上限閾値ECb1以上か否かを判定する。このステップST102において、ブロー処理制御部201により、電気伝導率EC≧上限閾値ECb1である(YES)と判定された場合には、循環水W2の濃縮度が高くブロー処理が必要と考えられるため、処理はステップST103へ移行する。また、ステップST102において、ブロー処理制御部201により、電気伝導率EC<上限閾値ECb1である(NO)と判定された場合には、循環水W2の濃縮度が低くブロー処理が不要と考えられるため、処理はステップST101へ戻る。
ステップST103(ステップST102:YES)において、ブロー処理制御部201は、補給水バルブ136を開状態として、ブロー処理を開始する。また、ブロー処理制御部201は、計時部204を起動して、ブロー処理の実行時間Taの計時をスタートさせる。
ステップST103においてブロー処理を実行することにより、補給水W1が冷却塔120の貯留部122に強制的に補給される一方、貯留部122に滞留する循環水W2の一部が排水ラインL130から外部に排出されるため、循環水W2の電気伝導率ECは徐々に低下する。
ステップST104において、ブロー処理制御部201は、電気伝導率センサ133で測定された循環水W2の電気伝導率EC、及びブロー処理の終了点である下限閾値ECb2をメモリ300から取得する。
ステップST105において、ブロー処理制御部201は、電気伝導率ECが下限閾値ECb2以下か否かを判定する。このステップST105において、ブロー処理制御部201により、電気伝導率EC≦下限閾値ECb2である(YES)と判定された場合には、循環水W2の濃縮度が十分に低下したと考えられるため、処理はステップST106へ移行する。また、ステップST105において、ブロー処理制御部201により、電気伝導率EC>下限閾値ECb2である(NO)と判定された場合には、循環水W2の濃縮度が低下していないと考えられるため、処理はステップST104へ戻る。
ステップST106(ステップST105:YES)において、ブロー処理制御部201は、補給水バルブ136を閉状態として、ブロー処理を終了する。
ステップST107において、ブロー処理制御部201は、計時部204で計時されたブロー処理の実行時間Taをメモリ300に記憶させると共に、計時部204における実行時間Taの計時をリセットする。これにより、本フローチャートの処理は終了する(ステップST101へリターンする)。
次に、通常薬注処理の制御について説明する。図5は、制御部200において通常薬注処理の制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。図5に示すフローチャートの制御は、メモリ300に記憶された制御プログラムに基づいて、制御部200の比例薬注制御部202により実行される。また、図5に示すフローチャートの処理は、水処理システム1の運転中において、繰り返し実行される。
図5に示すステップST201において、比例薬注制御部202は、ブロー処理が開始(実行)されたか否かを判定する。このステップST201において、比例薬注制御部202により、ブロー処理が開始された(YES)と判定された場合に、処理はステップST202へ移行する。また、ステップST201において、比例薬注制御部202により、ブロー処理が開始されていない(NO)と判定された場合に、処理はステップST201へ戻る。
ステップST202(ステップST201:YES)において、比例薬注制御部202は、通常薬注処理の実行中か否かを判定する。このステップST202において、比例薬注制御部202により、通常薬注処理の実行中である(YES)と判定された場合に、処理はステップST203へ移行する。また、ステップST202において、比例薬注制御部202により、通常薬注処理の実行中ではない(NO)と判定された場合に、処理はステップST204へ移行する。
ステップST203(ステップST202:YES)において、比例薬注制御部202は、薬剤供給装置134による通常薬注処理を中断させる。また、比例薬注制御部202は、計時部204において計時された、通常薬注処理の開始から中断までの間の実行時間をメモリ300に記憶する。なお、通常薬注処理の計時は、ステップST209(後述)の処理においてスタートする。
ステップST204(ステップST203:終了/ステップST202:NO)において、比例薬注制御部202は、ブロー処理が終了したか否かを判定する。このステップST204において、比例薬注制御部202により、ブロー処理が終了した(YES)と判定された場合に、処理はステップST205へ移行する。また、ステップST204において、比例薬注制御部202により、ブロー処理が終了していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST204へ戻る。
ステップST205(ステップST204:YES)において、比例薬注制御部202は、通常薬注処理を中断しているか否かを判定する。このステップST205において、比例薬注制御部202により、通常薬注処理を中断している(YES)と判定された場合に、処理はステップST206へ移行する。また、ステップST205において、比例薬注制御部202により、通常薬注処理を中断していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST208へ移行する。
ステップST206(ステップST205:YES)において、比例薬注制御部202は、中断していた通常薬注処理を再開させる。再開した通常薬注処理では、中断する前の通常薬注処理において薬剤が循環水W2に供給されなかった時間と、ステップST201で実行中と判定されたブロー処理の実行時間とを合計した時間に比例した量の薬剤が循環水W2に供給される。
なお、中断する前の通常薬注処理において薬剤が循環水W2に供給されなかった時間は、ステップST201で実行が通知されたブロー処理の実行時間から、通常薬注処理の開始から中断までの間の実行時間(ステップST203にてメモリ300に記憶)を減算することにより算出できる。ステップST206の通常薬注処理が終了すると、処理はステップST207へ移行する。
ステップST207において、比例薬注制御部202は、計時部204で計時された通常薬注処理の実行時間(中断があった場合には、先のブロー処理の実行時間に対応する通常薬注処理の実行時間と、次のブロー処理の実行時間に対応する通常薬注処理の実行時間の各々)をメモリ300に記憶させると共に、計時部204における通常薬注処理の実行時間の計時をリセットする。これにより、本フローチャートの処理は終了する(ステップST201へリターンする)。
一方、ステップST205(NO)から移行したステップST208において、比例薬注制御部202は、ステップST201で実行中と判定されたブロー処理の実行時間Taをメモリ300から取得する。
ステップST209において、比例薬注制御部202は、ステップST208で取得したブロー処理の実行時間Taに比例した投入量の薬剤が循環水W2に供給されるように薬剤供給装置134により通常薬注処理を実行させる。また、比例薬注制御部202は、計時部204を起動して、通常薬注処理の実行時間の計時をスタートさせる。
ステップST210において、比例薬注制御部202は、ブロー処理が開始(実行)された否かを判定する。このステップST210において、比例薬注制御部202により、ブロー処理が開始された(YES)と判定された場合に、処理はステップST203へ移行する。また、ステップST210において、比例薬注制御部202により、ブロー処理が開始されていない(NO)と判定された場合に、処理はステップST211へ移行する。
ステップST211(ステップST210:NO)において、比例薬注制御部202は、薬剤供給装置134による通常薬注処理が終了したか否かを判定する。このステップST211において、比例薬注制御部202により、通常薬注処理が終了した(YES)と判定された場合に、処理はステップST207へ移行する。また、ステップST211において、比例薬注制御部202により、通常薬注処理が終了していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST210へ戻る。
次に、補助薬注処理の制御について説明する。図6及び図7は、制御部200において補助薬注処理の制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。図6及び図7に示すフローチャートの制御は、メモリ300に記憶された制御プログラムに基づいて、制御部200の補助薬注制御部203により実行される。また、図6及び図7に示すフローチャートの処理は、水処理システム1の運転中において、繰り返し実行される。
図6に示すステップST301において、補助薬注制御部203は、薬注処理(通常薬注処理又は補助薬注処理)が終了したか否かを判定する。このステップST301において、補助薬注制御部203により、薬注処理が終了した(YES)と判定された場合に、処理はステップST302へ移行する。また、ステップST301において、補助薬注制御部203により、薬注処理が終了していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST301へ戻る。
ステップST302(ステップST301:YES)において、補助薬注制御部203は、計時部204を起動して、滞留時間TTの計時をスタートさせる。滞留時間TTは、薬注処理の実行後からの経過時間である。
ステップST303において、補助薬注制御部203は、計時部204で計時されている滞留時間TTが許容待機時間Twを超過したか否かを判定する。補助薬注制御部203は、許容待機時間Twをメモリ300から取得する。このステップST303において、補助薬注制御部203により、滞留時間TT>許容待機時間Twである(YES)と判定された場合に、処理はステップST306へ移行する。また、ステップST303において、補助薬注制御部203により、滞留時間TT≦許容待機時間Twである(NO)と判定された場合に、処理はステップST304へ移行する。
ステップST304(ステップST303:NO)において、補助薬注制御部203は、通常薬注処理が実行されたか否かを判定する。このステップST304において、補助薬注制御部203により、通常薬注処理が実行された(YES)と判定された場合に、処理はステップST305へ移行する。また、ステップST304において、補助薬注制御部203により、通常薬注処理が実行されていない(NO)と判定された場合に、処理はステップST303へ戻る。
ステップST305(ステップST304:YES)において、補助薬注制御部203は、計時部204による滞留時間TTの計時をリセットさせる。これにより、本フローチャートの処理は終了する(ステップST301へリターンする)。滞留時間TTが許容待機時間Twに達する前に通常薬注処理が実行された場合には、補助薬注処理を実行しないためである。
一方、ステップST306(ステップST303:YES)において、補助薬注制御部203は、補助薬注処理の投入時間Tfをメモリ300から取得する。
ステップST307において、補助薬注制御部203は、ステップST306で取得した投入時間Tfに比例した投入量の薬剤が循環水W2に供給されるように薬剤供給装置134により補助薬注処理を実行させる。また、補助薬注制御部203は、計時部204を起動して、補助薬注処理の実行時間の計時をスタートさせる。
次に、図7に示すステップST308において、補助薬注制御部203は、ブロー処理が開始(実行)されたか否かを判定する。このステップST308において、補助薬注制御部203により、ブロー処理が開始された(YES)と判定された場合に、処理はステップST309へ移行する。また、ステップST308において、補助薬注制御部203により、ブロー処理が開始されていない(NO)と判定された場合に、処理はステップST314へ移行する。
ステップST309(ステップST308:YES)において、補助薬注制御部203は、薬剤供給装置134による補助薬注処理を終了させる。なお、補助薬注処理の中断があった場合は、ステップST306で取得された投入時間Tfをそのまま薬注処理の実行時間Tとしてメモリ300に記憶する。
ステップST310において、補助薬注制御部203は、ブロー処理が終了したか否かを判定する。このステップST310において、補助薬注制御部203により、ブロー処理が終了した(YES)と判定された場合に、処理はステップST311へ移行する。また、ステップST310において、補助薬注制御部203により、ブロー処理が終了していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST310へ戻る。
ステップST311(ステップST310:YES/ステップST315:YES)において、補助薬注制御部203は、過去の直近3回分の薬注処理の実行時間Tに基づいて薬剤の投入時間Tfを算出し、メモリ300に記憶する。
ステップST312において、補助薬注制御部203は、過去の直近3回分の薬注処理の実行間隔Zに基づいて薬注処理の許容待機時間Twを算出し、メモリ300に記憶する。これにより、本フローチャートの処理は終了する(図6のステップST305へ移行する)。
ステップST313(ステップST308:NO)において、補助薬注制御部203は、補助薬注処理が終了したか否かを判定する。このステップST313において、補助薬注制御部203により、補助薬注処理が終了した(YES)と判定された場合に、処理はステップST311へ移行する。また、ステップST313において、補助薬注制御部203により、補助薬注処理が終了していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST308へ戻る。
上述した本実施形態の水処理システム1によれば、例えば、以下のような効果を奏する。
本実施形態の水処理システム1は、過去の直近3回分の薬注処理の実行間隔Zに基づいて算出した時間を許容待機時間Twとして設定し、通常薬注処理が許容待機時間Twを超過しても実行されない場合に補助薬注処理を実行させる補助薬注制御部203を備える。
水処理システム1において、薬注処理の実行間隔Zは、冷却塔の負荷に比例する。すなわち、薬注処理の実行間隔Zは、冷却塔の負荷が高くなれば短くなり、負荷が低くなれば長くなる。補助薬注制御部203は、過去の直近3回分の薬注処理の実行間隔に基づいて許容待機時間Twを算出する。そのため、水処理システム1では、冷却塔の負荷に見合った実行間隔Tで補助薬注処理が実行される。従って、本実施形態の水処理システム1は、補助薬注処理において、薬剤を適切なタイミングで循環水W2に供給することができる。
また、補助薬注制御部203は、過去の直近3回分の薬注処理の実行時間Tに基づいて算出した時間を薬剤の投入時間Tfとして設定する。薬注処理の実行時間Tは、補給水W1の水質に応じて変化する。すなわち、薬注処理の実行時間Tは、補給水W1の水質が悪化すれば長くなり、水質が回復すれば短くなる。補助薬注制御部203は、過去の直近3回分の薬注処理の実行時間Tに基づいて薬剤の投入時間Tfを算出する。そのため、水処理システム1では、薬剤が補給水W1の水質に見合った投入時間Tfに亘って循環水W2に供給される。従って、本実施形態の水処理システム1は、補助薬注処理において、適切な投入量の薬剤を循環水W2に供給することができる。
また、補助薬注制御部203は、過去の直近3回分の薬注処理の実行間隔Z、及び薬注処理の実行時間Tがメモリ300に存在しない場合には、メモリ300に予め設定された既定値を許容待機時間Tw及び投入時間Tfとして使用する。そのため、水処理システム1は、システムの運転開始直後においても、補助薬注処理を実行することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
本実施形態では、薬剤を循環水供給ラインL111に供給する例について説明した。しかし、薬剤を循環水W2へ供給することができれば、薬剤を供給する位置はこの例に限定されない。例えば、薬剤を冷却塔120の散水部(不図示)、貯留部122又は循環水回収ラインL112に供給してもよい。また、薬剤を補給水W1に供給してもよいし、補給水W1及び循環水W2の両方に供給してもよい。
本実施形態では、ブロー処理として、循環水W2の一部を冷却塔120から系外に排出する例について説明した。この例に限らず、ブロー処理として、循環水W2の一部を循環水ラインL110から系外に排出してもよい。また、ブロー処理として、循環水W2の一部を冷却塔120及び循環水ラインL110の両方から系外に排出してもよい。
本実施形態では、通常薬注処理として、ブロー処理の実行後に、ブロー処理の実行時間Taに比例した投入量の薬剤を循環水W2に供給させる例について説明した。これに限らず、通常薬注処理として、ブロー処理の実行後に、ブロー処理中の補給水量(補給水W1の積算流量)に比例した投入量の薬剤を循環水W2に供給させてもよい。その場合に、ブロー処理中の補給水量は、例えば、第1補給水ラインL121に流量センサを設けることにより計測することができる。また、排水ラインL130に流量センサを設け、ブロー処理中に排出された循環水W2を計測することにより、その積算流量をブロー処理中の補給水量と看做してもよい。
本実施形態では、水質検出手段としての電気伝導率センサ133をする例について説明した。これに限らず、電気伝導率センサ133を循環水回収ラインL112に接続してもよく、或いは貯留部122内に配置してもよい。
本実施形態では、補助薬注制御部203において、過去の直近3回分の薬注処理の実行間隔Zに基づいて許容待機時間Twを算出する例について説明した。これに限らず、許容待機時間Twは、少なくとも過去の直近2回分の薬注処理の実行間隔Zに基づいて算出されればよい。すなわち、過去の直近n(n≧2)回分の薬注処理の実行間隔Zに基づいて許容待機時間Twを算出すればよい。
なお、移動平均値を算出する際の「n」を、例えば5回(又はそれ以上)に設定した場合には、仮に直近1回目の薬注処理の実行間隔が延びても、算出される許容待機時間Twの増加が緩やかになるため、比較的早いタイミングで補助薬注処理が実行される。薬注処理の実行間隔が延びる原因の一つに、被冷却装置131における熱負荷の低下が挙げられる。この場合、循環水W2の濃縮度が低い状態が続くため、スケール防止剤や防食剤の消費は少なくなるが、循環水W2中の菌類は増殖するため、殺菌剤は消費される。そのため、移動平均値を算出する際の「n」を5回(又はそれ以上)に設定することにより、菌類の繁殖を効果的に抑制することができる。
本実施形態では、補助薬注制御部203において、過去の直近3回分の薬注処理の実行時間Tに基づいて薬剤の投入時間Tfを算出する例について説明した。これに限らず、薬剤の投入時間Tfは、少なくとも過去の直近2回分の薬注処理の実行時間Tに基づいて算出されればよい。すなわち、補助薬注制御部203において、過去の直近n(n≧2)回分の薬注処理の実行時間Tに基づいて薬剤の投入時間Tfを算出すればよい。また、薬剤の投入時間Tfを、予め設定された固定値としてもよい。
なお、過去の直近n回分の薬注処理の実行間隔Zに基づいて、移動平均により許容待機時間Twを算出する例に限らず、例えば、過去の直近n回分のそれぞれの薬注処理の実行間隔Zに異なる重み付けを行いながら移動平均を算出する、いわゆる加重移動平均により許容待機時間Twを算出してもよい。過去の直近n回分の薬注処理の実行時間Tに基づいて薬剤の投入時間Tfを算出する例についても同じである。
本実施形態では、薬剤供給装置134の薬剤供給ポンプ(不図示)として、電磁駆動ダイアフラム式の定量ポンプを用いる例について説明した。この例に限らず、薬剤供給ポンプとして、プランジャーポンプ、ベローズポンプ等の定量吐出ポンプを用いてもよい。
本実施形態では、冷却塔120を開放式冷却塔として構成した例について示した。この例に限らず、冷却塔120を密閉式冷却塔として構成してもよい。