以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本実施形態では、一例として、本発明を適用した場合の移動通信システムの実施形態について、図を用いて詳細に説明する。
[1.第1実施形態]
まず、本発明を適用した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
[1.1 移動通信システムの概要]
図1は、本実施形態における移動通信システム1の概略を説明するための図である。本図に示すように、移動通信システム1は、コアネットワーク3と、ホームネットワーク5と、ブロードバンドアクセスネットワーク7とから構成され、コアネットワーク3とホームネットワーク5とはブロードバンドアクセスネットワーク7を介して相互接続されている。
ブロードバンドアクセスネットワーク7は、広帯域の通信を実現する有線アクセスネットワークであり、例えばADSLや光ファイバー等によって構築される。ただし、これに限らずWiMAXなどの無線アクセスネットワークであっても良い。
コアネットワーク3は、移動通信事業者が運用する移動通信ネットワークであり、MME10と、GW20と、SGW30と、PGW(Packet data network GW)40と、MBMS−GW50とが配置されている。
MME10は、シグナリングを行うエンティティであり、移動局装置(UE90)の位置管理及びEPSベアラの確立手続きを主導する位置管理装置である。EPSベアラとは、UE毎にPGW40とUE90との間で確立されるユーザIPパケットを転送する論理パスのことである。EPSベアラには、特定のQoSレベルを設定することができ、またTFTと関連付けられる。
TFTは、通信データであるフローを識別するフィルター情報の集合で定義され、各フィルター情報に宛先アドレスやポート番号を指定することができる。したがって、TFTによって特定アプリケーションのトラフィックフローや特定の通信相手とのフローを識別することができる。
GW20は、ホームネットワーク5内に設置されているHeNB80と、コアネットワーク内装置との間でゲートウェイとして機能する。MME10とHeNB80間、SGW30とHeNB80間及びMBMS−GW50とHeNB80間の通信は、GW20を介して行われる。
SGW30は、PGW40とHeNB80間でパケットを転送するアクセス制御装置である。なお、PGW40とSGW30とは物理的に同一ノードで構成される場合もある。
PGW40は、インターネット等の外部PDN(Packet Data Network:パケット通信ネットワーク)と接続され、コアネットワーク3とそれらのPDNとを接続するゲートウェイとして機能するとともに、UE90の通信データをSGW30に転送するゲートウェイ装置である。
MBMS−GW50は、MBMSのマルチキャストデータをHeNB80に転送する装置であり、GW20経由でHeNB80と接続され、MME10とも接続されている。
ホームネットワーク5は、家庭内のホームネットワークや企業などのコーポレートネットワークなどであり、ホームGW60と、情報端末70と、HeNB80と、UE90とを含んで構成される。さらに、ホームネットワーク5は、ブロードバンドアクセスネットワーク7に接続している。
ホームGW60は、ホームネットワークとブロードバンドアクセスネットワーク間のゲートウェイ装置であり、ADSLモデム内蔵ルータ等の従来のブロードバンドルータ装置である。
情報端末70は、ホームネットワークに接続されているIP通信可能な機器であり、例えばプリンタ、デジタルビデオレコーダまたは家庭内に接続されるPCなどである。また、UPnPに対応しており、提供するサービス(たとえば「印刷サービス」)をホームネットワーク内にアナウンスする。通常、複数の機器が接続されるが、本実施形態においては、説明の都合上情報端末70一台を例にとって説明する。
HeNB80はホームネットワークに設置されながら、コアネットワーク事業者の提供する基地局としてUEを収容する。典型的には、フェムトセルを形成する3GPP LTE(Long Term Evolution)の基地局などである。
UE90は、HeNBに接続する移動通信端末であり、3GPP LTEの通信インタフェースなどを搭載して接続する。
[1.2 装置構成]
続いて、各装置構成について図を用いて簡単に説明する。なお、GW20と、MBMS−GW50と、PGW40とについては、EPSを利用した移動通信システムにおける従来の装置と同様に構成されているため、その詳細な説明を省略する。
また、ホームGW60は、従来のブロードバンドルータ装置と同様に構成されているため、その詳細な説明を省略する。
[1.2.1 MMEの構成]
図2は、本実施形態におけるMME10の構成を示す。MME10は、制御部100に、送受信部110と、記憶部130とがバスを介して接続されている。
制御部100は、MME10を制御するための機能部である。制御部100は、記憶部130に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種処理を実現する。
送受信部110は、ルータもしくはスイッチに有線接続され、パケットの送受信を行う機能部である。例えば、ネットワークの接続方式として一般的に利用されているEthernet(登録商標)等により送受信する。
記憶部130は、MME10の各種動作に必要なプログラム、データ等を記憶する機能部である。さらに、記憶部130には、サブスクリプションDB(データベース)132と、EPSベアラコンテキスト134とが記憶されている。
図3は、サブスクリプションDB132の一例を示した図であり、UE識別子(例えば「UE1」)と、CSG識別子(例えば「CSG1」)と、ローカルIPアクセスの利用権限(例えば「許可」)とを対応付けて記憶するデータベースである。CSG(Closed Subscriber Group)識別子とは、HeNB80を一意に識別する識別子であり、サブスクリプションDB132によって、どのHeNB80でローカルIPアクセスが利用できるかが決定される。
図4は、EPSベアラコンテキスト134の一例を示した図であり、UE識別子(例えば「UE1」)と、ベアラID(例えば「ベアラID1」)と、UL TFT(Uplink TFT)(例えば、「総て」)と、LIPA(Local IP Access)設定(例えば、「OFF」)とを対応付けて記憶し、UE90毎に設定されているEPSベアラの状態を管理する。
ベアラIDは、EPSベアラを識別する識別子であり、LIPA設定は、それぞれのEPSベアラでローカルIPアクセスを使用するか否かを示す。UL TFTは、UE90から送信されるフロー(アップリンクフロー)を識別する。
ベアラコンテキストにより、UE90が確立しているベアラを把握することができ、さらにそれぞれのベアラに流れるフローを管理している。さらには、ベアラ毎にローカルIPアクセスを使用するかを管理している。例えば、図4(B)に示すように、UE1はローカルIPアクセスが可能なベアラ2を確立しており、UL TFTに「宛先2001:2:3:4//64」と指定して、ホームネットワークに接続する機器に宛てたフローはベアラ2を用いて通信すると管理する。
[1.2.2 SGWの構成]
続いて、本実施形態におけるSGW30の構成を図5に示す。SGW30は、制御部300に、第1送受信部310と、第2送受信部320と、記憶部330とがバスを介して接続されている。
制御部300は、SGW30を制御するための機能部である。制御部300は、記憶部330に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより処理を実現する。
第1送受信部310及び第2送受信部320は、各装置に有線又は無線接続され、データ、パケットの送受信を行う機能部である。例えば、ネットワークの接続方式として一般的に利用されているEthernet(登録商標)などにより送受信する。また、第1送受信部310は下位層のデータを送受信し、第2送受信部320は、上位層から受け取ったデータを、パケットとして分解し送信する。また、受信したパケットを上位層に渡す機能を実現する。
記憶部330は、SGW30の各種動作に必要なプログラム、データ等を記憶する機能部である。さらに、記憶部330にはEPSベアラコンテキスト332が記憶されている。
図6は、EPSベアラコンテキスト332の一例を示した図であり、MME10のEPSベアラコンテキスト134と同様に、UE識別子(例えば「UE1」)と、ベアラID(例えば「ベアラID1」)と、UL TFT(Uplink TFT)(例えば、「総て」)と、LIPA(Local IP Access)設定(例えば、「OFF」)とを対応付けて記憶し、UE毎に設定されているEPSベアラの状態を管理する。
[1.2.3 HeNBの構成]
図7は、本実施形態におけるHeNB80の構成を示す。HeNB80は、制御部800に、NAT(Network Address Translation)部810と、LTE基地局部820と、記憶部830と、ホームネットワークインタフェース部840とがバスを介して接続されている。
制御部800は、HeNB80を制御するための機能部である。制御部800は、記憶部830に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより処理を実現する。
NAT部810は、LTE基地局部820からパケットを受信し、送信元IPアドレスを書き換え、送信先IPアドレスに基づいてホームネットワークインタフェース部840に転送する。
また、同様にホームネットワークインタフェース部840からパケットを受信し、送信先IPアドレスを書き換えてLTE基地局部820に転送する。
LTE基地局部820は、E−UTRAの基地局として機能し、UEを収容するための機能部である。また、LTE基地局部820には、外部アンテナ822が接続されている。
記憶部830は、HeNB80の各種動作に必要なプログラム、データ等を記憶する機能部である。さらに記憶部830には、マルチキャストグループ参加リスト832とEPSベアラコンテキスト834とが記憶されている。
図8は、マルチキャストグループ参加リスト832の一例を示した図であり、マルチキャストアドレス(例えば「FF02::C」)と、当該マルチキャストアドレスグループに参加しているグループ参加UEの識別子(例えば、「UE1」)と、当該UEがローカルIPアクセスに用いるベアラID(例えば、「ベアラ2」)とを対応付けて記憶し、HeNB80を介してホームネットワーク5上のマルチキャストアドレスグループに参加しているUEを管理する。
図9は、EPSベアラコンテキスト834の一例を示した図である。例えば、図9(A)に示すように、MME10のEPSベアラコンテキスト134と同様に、UE識別子(例えば「UE1」)と、ベアラID(例えば「ベアラ1」)と、UL TFT(例えば「総て」)と、LIPA設定(例えば、「OFF」)とを対応付けて記憶し、UE毎に設定されているEPSベアラの状態を管理する。
HeNB80は、UE90からフローを受信した際に、当該フローがどのEPSベアラを用いて送信されたかを見て、当該EPSベアラのLIPA設定が「ON」である場合には、当該フローをNAT部810経由でホームネットワークインタフェース部840からホームネットワーク5内に直接送信し、LIPA設定が「OFF」である場合には、SGW30に転送する。
ホームネットワークインタフェース部840は、ホームネットワーク5内の他装置とパケット送受信を行う機能部である。例えば、ネットワークの接続方式として一般的に利用されているEthernet(登録商標)などにより送受信する。
[1.2.4 UEの構成]
次に、本実施形態における移動局であるUE90の構成について説明する。UE90の具体的な一例としては、無線アクセスインタフェースを介して移動通信システムに接続する携帯端末や、PDA等の端末が想定される。図10に示すように、制御部900に、LTEインタフェース部910と、記憶部930とがバスを介して接続されている。
制御部900は、UE90を制御するための機能部である。制御部900は、記憶部930に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種処理を実現する。
LTEインタフェース部910は、UE90がHeNB80に接続するための機能部である。また、LTEインタフェース部910には、外部アンテナ912が接続されている。
記憶部930は、UE90の各種動作に必要なプログラム、データ等を記憶する機能部である。さらに、記憶部930には、マルチキャストアドレス設定表932と、EPSベアラコンテキスト934が記憶されている。
図11は、マルチキャストアドレス設定表932の一例を示した図であり、ローカルIPアクセス経由で参加するマルチキャストグループのIPアドレスを記憶するデータベースである。
図12は、EPSベアラコンテキスト934の一例を示した図であり、MME10のEPSベアラコンテキスト134と同様に、UE識別子(例えば「UE1」)と、ベアラID(例えば「ベアラ1」)と、UL TFT(例えば、「総て」)と、LIPA設定(例えば、「OFF」)とを対応付けて記憶し、UE毎に設定されているEPSベアラの状態を管理する。UE90がフローを送信する際には、フローがどのUL TFTに該当するかを検索し、該当するUL TFTが存在する場合には、当該UL TFTに関連付けられているEPSベアラを用いてフローを送信する。
[1.2.5 情報端末の構成]
図13は、本実施形態における情報端末70の構成を示す。情報端末70は、制御部700に、ホームネットワークインタフェース部710と、記憶部730とがバスを介して接続されている。
制御部700は、情報端末70を制御するための機能部である。制御部70は、記憶部に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種処理を実現する。
ホームネットワークインタフェース部710は、ホームネットワーク5内の他装置とパケット送受信を行う機能部である。例えば、ネットワークの接続方式として一般的に利用されているEthernet(登録商標)等により送受信する。
記憶部730は、情報端末の各種動作に必要なプログラム、データ等を記憶する機能部である。
[1.3 処理の説明]
次に、図1に示すネットワークにおいて、UE90がHeNB80の提供するローカルIPアクセスを用いてマルチキャストデータを送受信するための手続きについて、図を用いて説明する。
[1.3.1 UEの接続処理]
まず、UE90はHeNB80にアタッチ処理を開始して接続する。このときの接続手続きについて、図14を用いて詳細に説明する。
UE90は、上述した非特許文献1に規定された従来手法に従って、アタッチ処理をHeNB80との間で行い、HeNB80に接続する(S100)。
さらに、UE90は従来手法に従って、PGW40に対してPDNコネクション確立処理を行う(S102)。PDNコネクションとは、UE90とPGW40との間で確立される論理パスであり、1つのPDNコネクション内に複数のEPSベアラを確立することができる。なお、PDNコネクション確立処理は、UE90と、HeNB80と、MME10と、SGW30と、PGW40との間で行われる。
PDNコネクション確立処理が完了すると、UE90とPGW40との間には、デフォルトベアラであるEPSベアラ1が確立され(S104)、MME10のEPSベアラコンテキスト134は、図4(A)のように設定される。また同様に、SGW30のEPSベアラコンテキスト332は、図6(A)のように設定され、HeNB80のEPSベアラコンテキスト834は、図9(A)のように設定され、UE90のEPSベアラコンテキスト934は、図12(A)のように設定される。なお、デフォルトベアラは、特定のEPSベアラに関連付けられていないフローの送受信に用いられる。
以後、UE90が送信する通信フローは、UE90のEPSベアラコンテキスト934に従って、EPSベアラ1で送信される(S106)。
[1.3.2 UEのローカルIPアクセス確立処理]
PDNコネクション確立処理を完了したUE90は、続けて、上述した非特許文献2に規定された従来手法に従って、ローカルIPアクセス用のEPSベアラ確立を開始する。
なお、このローカルIPアクセス用EPSベアラ確立を開始する契機は、例えばPCRF(Policy and Charging Rules Function)等のコアネットワーク内のQoS管理装置からの通知であってもよいし、前述のPDNコネクション確立完了に連動して行ってもよいし、コアネットワーク内の加入者管理装置におけるUE90のローカルIPアクセスを許可する加入者情報に基づいて開始してもよいし、これらに限らず他の手段を用いてもよい。
まず、SGW30はベアラ確立要求をMME10に送信する(S110)。ベアラ確立要求には、ローカルIPアクセスを行う対象の通信フローの識別情報(UL TFT)と、当該確立要求するベアラを用いてローカルIPアクセスでの通信を行うことを指示するための識別子(以下、LIPAフラグと呼ぶ)とを含める。ここで、UL TFTには、ホームネットワークに割り当てられているIPアドレスプレフィックス(例えば、「2001:2:3:4::/64」等)を含める。
IPアドレスプレフィックスは、HeNB80設置時にコアネットワーク内において管理しておき、こうした静的に設定した情報を参照して取得してもよいし、これまでの接続手続きによってHeNBから通知するなど、動的に設定して取得してもよい。
MME10は、ベアラ確立要求を受信し、従来方法に従って、UE90が接続しているHeNB80のCSGID(CSG1)とUE識別子とを用いて、サブスクリプションDBに利用権限を照合する(S112)。これにより、UE90がHeNB80を用いたローカルIPアクセスの利用権限を持つかどうかを確認し、もし利用権限がない場合には、MME10はベアラ確立拒否をSGW30に送信し、ローカルIPアクセス用EPSベアラ確立処理を終了する。
UE90が利用権限を持つ場合には、受信したベアラ確立要求に従って、MME10は、UE90に新しいEPSベアラ(ベアラ2)を割り当て、EPSベアラコンテキスト134を図4(B)のように更新し(S114)、ベアラ2がローカルIPアクセスに利用可能であることと、ベアラ2で通信するフロー情報を記憶する。
さらに、MME10はセッション管理要求を生成する。セッション管理要求には、前述のUL TFTとEPSベアラID(ベアラ2)と、LIPAフラグとを含める。そして、MME10はセッション管理要求を含んだベアラ設定要求をHeNB80に送信する(S116)。ベアラ設定要求には、ローカルIPアクセスに用いるEPSベアラのベアラID(ベアラ2)と、LIPAフラグとが含まれる。
HeNB80は、ベアラ設定要求を受信し、EPSベアラ2でUE90から受信した通信フローについては、SGW30に転送せず、HeNB80が接続しているホームネットワーク5に直接送信するようにルーティング情報を設定する(S118)。さらに、EPSベアラコンテキスト834を図9(B)のように更新し(S120)、ベアラ2がローカルIPアクセスに利用可能であることと、ベアラ2で通信するフロー情報を記憶する。さらに、ベアラ設定要求に含まれていたセッション管理要求をUE90に転送する(S122)。
UE90は、セッション管理要求に含まれているUL TFTとEPSベアラIDとに従って、UL TFTに該当する通信フローについては、EPSベアラ2を用いてHeNB80に送信するように設定する(S124)。さらに、EPSベアラコンテキスト934を図12(B)のように更新し、ベアラ2で通信するフロー情報とLIPAフラグに基づいてLIPA設定を記憶する。そして、セッション管理応答をHeNBに送信する(S126)。
HeNB80は、セッション管理応答を受信し、当該応答をベアラ設定応答に含めてMME10に送信する(S128)。
MME10は、確立したEPSベアラのベアラID(ベアラ2)を含んだベアラ確立応答をSGW30に送信する(S130)。
SGW30は、ベアラ確立応答を受信し、EPSベアラコンテキスト332を図6(B)のように更新し(S132)、ベアラ2がローカルIPアクセスに利用可能であることと、ベアラ2で通信するフロー情報を記憶する。
以上で、UE90のローカルIPアクセス確立処理(EPSベアラ2)が完了する(S134)。これにより、UE90が送信する通信フローのうち、UL TFTで指定されたフロー識別情報に該当するフローについては、HeNB80がコアネットワーク3に転送せず、直接ホームネットワーク5に転送するようになるため、UE90はコアネットワーク3を経由せず情報端末70と直接通信できるようになる。
また、情報端末70から送信されるUE90宛ての通信データについても同様にコアネットワーク3を経由することなく、HeNB80を介して行われる。なお、UE90はPGW40から割り当てられたIPアドレスを用いて通信を行うため、ホームネットワーク5内のIPアドレス体系との齟齬が生じるので、HeNB80は非特許文献2に記載された従来手法に従って、NAT(Network Address Translation)処理を行い、IPアドレスの書き換えを行う(S140、142)。
[1.3.3 マルチキャストセッション確立処理(第1実施形態)]
次に、UE90はUPnP等のサービス発見のためなど、ホームネットワーク5内で提供されているマルチキャストグループへ参加するため、マルチキャストグループへの参加手続きを行う。以下、図15を用いて説明する。
まず、UE90はベアラ選択処理を行い(S150)、マルチキャストグループ参加要求を送信するベアラを選択する。参加要求は、参加したいマルチキャストグループのIPアドレス(例えば、UPnPで用いる「FF02::C」とする)を含んだIGMPjoinメッセージ或いはMLDjoinメッセージを送信することによって行う。従来方法に従って、いずれのメッセージも参加要求するマルチキャストアドレスグループに関わらず、送信先アドレスは、IPv6であれば、「FF02::16」、IPv4であれば「224.0.0.22」となる。
さらに、UE90は参加要求メッセージを送信する際、ベアラの選択し、選択したベアラを用いて送信する。図16を用いてベアラ選択処理を説明する。
(ベアラ選択処理)
UE90は、参加要求メッセージに含まれるマルチキャストアドレスが、マルチキャストアドレス設定表932のマルチキャストアドレスのリストにあるかどうかで、ローカルIPアクセス経由でのマルチキャストアドレスかを判定する(S10)。
マルチキャストアドレス設定表932には、ホームネットワーク5内のマルチキャストグループであるローカルIPアクセス用に設定されたマルチキャストアドレスが管理されている。マルチキャストアドレス設定表932は、ホームネットワーク5を管理するユーザが予め静的に設定しておく。もしくは、ホームネットワーク5で利用されるマルチキャストアドレスを通信システム全体で割り当てておき、UE90出荷時など、予め静的に設定されていてもよい。
ローカルIPアクセス経由に該当する場合(ステップS10;Yes)、UE90のマルチキャストグループ参加要求は、ローカルIPアクセスでのマルチキャストデータ受信を要求するものであると判定し(ステップS12)、既にUE90がローカルIPアクセス用EPSベアラを確立しているか否かをEPSベアラコンテキスト834にLIPA設定がONのベアラがあるか否かで確認する(ステップS14)。
ローカルIPアクセス用EPSベアラの確立が確認できた場合(ステップS14;Yes)には、ローカルIPアクセス用のベアラ(ベアラ2)を選択してマルチキャスト参加要求を送信し、ベアラ選択処理を終了する(ステップS18)。
なお、ステップS14において、ローカルIPアクセス用EPSベアラの確立が確認できなかった場合(ステップS14;No)には、MME10またはSGW30へ依頼を通知するなどを行い、前述のUEのローカルIPアクセス確立処理を先ず実行してベアラを確立し(ステップS16)、確立したベアラによりマルチキャスト参加要求を送信し、ベアラ選択処理を終了する(ステップS18)。
また、ローカルIPアクセス経由に該当しない場合(ステップS10:No)、UE90はコアネットワークのMBMSサービスでのマルチキャストグループへの参加要求であると判定する(ステップS20)。さらに、UE90は、EPSベアラコンテキストを参照し、LIPA設定がOFFのベアラ(ベアラ1)を選択し、ローカルIPアクセス用ではないベアラによりマルチキャスト参加要求を送信し(ステップS22)、ベアラ選択処理を終了する。
従来では、UE90は、送信するパケットに対してTFTを基にベアラを選択し、選択したベアラにパケットを送信していた。本実施形態では、従来とは異なり、送信元アドレスや送信先アドレスやプロトコル番号などのTFTの情報要素ではベアラ選択できないマルチキャスト参加要求メッセージを、メッセージ内に含まれるマルチキャストアドレスによってベアラを選択する。
図15に戻り、UE90がローカルIPアクセス用を用いてマルチキャストデータを送受信するための手続きの説明を説明する。
UE90は、ベアラ選択処理後(S150)、マルチキャスト参加要求メッセージをローカルIPアクセス用のEPSベアラによって送信する(S152)。
従来では、HeNB80は、ベアラ2を用いて送信されたパケットは、NAT処理を行いそのままホームネットワークへ送信するが、従来とは異なり、ローカルIPアクセスのベアラで送信されてきたパケットであることと、パケットのプロトコル番号によりマルチキャスト参加要求であることにより、マルチキャスト参加要求メッセージで指定されたマルチキャストアドレスのグループへ参加する。
HeNB80は、指定されたマルチキャストアドレスのグループへ参加するためにIGMP Join或いはMLD Joinをホームネットワーク5内に送信し(S162)、指定されたマルチキャストアドレス宛てのデータ受信を開始する(S164)。そして、HeNB80はセッション管理要求をUE90に送信する(S166)。セッション管理要求には、UL TFTとEPSベアラIDとを含めて送信する。ここでは、参加するマルチキャストグループのUL TFTである「FF02::C」と、ローカルIPアクセス用のベアラである「ベアラ2」とを含めて送信する。
UE90は、セッション管理要求に含まれているUL TFTとEPSベアラIDに基づいて、図12(C)のようにEPSベアラコンテキスト934を更新し(S168)、セッション管理応答をHeNB80に送信する(S170)。
HeNB80は、セッション管理応答を受信し、以上でローカルIPアクセス用マルチキャストセッション確立手続きを完了する。HeNB80は、セッション管理要求及びセッション管理応答の送受信により、図9(C)のようにEPSベアラコンテキスト834を更新する。
さらに、マルチキャストグループ参加リスト832に、UE90とマルチキャストアドレスおよびベアラIDを追加する。これにより、UE90とは異なる別のUEがマルチキャスト要求を送信した場合、HeNB80は、参加要求に含まれるマルチキャストアドレスが、すでにUE90が受信しているマルチキャストアドレスか否かを、マルチキャスト参加リスト832を参照して判断し、すでに受信しているマルチキャストアドレスであれば、HeNB80によるマルチキャスト参加要求メッセージの送信(S162)およびマルチキャストの受信開始(S164)を省略してマルチキャストセッション確立手続きを行うことができる。
一方、ベアラ選択処理(S150)において、UE90が従来のMBMSを用いたマルチキャストデータ受信を要求していると判定され、ローカルIPアクセス用ではないベアラ(ベアラ1)が選択された場合にはた場合には、図17に示すように、HeNB80はマルチキャスト参加要求メッセージを、ベアラ1を用いてSGW30へ送信し(S172)、MBMSサービスの通信確立手続きが実行される。
すなわち、SGW30は、UE識別子とマルチキャストアドレスを含めてMBMS通知要求をMME10へ送信し(S174)、MME10は、MBMSコンテキスト活性化開始要求をUE90に送信し(S176)、UE90と、HeNB80と、MME10と、SGW30と、MBMS−GW50との間でMBMSセッション確立処理を行う(S178)。
なお、上述の説明の中で、HeNB80のUE90から送信されたパケットの受信処理を、図18を用いて説明する。HeNB80は、受信したパケットが、ローカルIPアクセス用のベアラ(ベアラID2)を利用して送信されたものか、それ以外のベアラ(ベアラID1)を利用して送信されたものかを判定する(ステップS30)。
ローカルIPアクセス用ベアラ(ベアラID2)送信された場合(ステップS30;Yes)、送信されたパケットが、マルチキャスト参加要求メッセージか否かを判定する(ステップS32)。
マルチキャスト参加要求メッセージかどうかの判定は、パケットのプロトコル番号やペイロードを参照することで確認する。例えば、IGMP Joinであることは、送信パケットのIPヘッダに記載されているプロトコル番号が「2」であることからIGMPプロトコルのメッセージであることを判定し、続くペイロード部分のタイプフィールドが「0x22」であることからIGMPv3のマルチキャスト参加要求であることを判定する。
また、MLD Joinであることは、送信パケットのIPヘッダに記載されているプロトコル番号が「58」であることからICMPプロトコルのメッセージであることを判定し、続くペイロード部分のタイプフィールドが「143」であることからMLDv2のマルチキャスト参加要求であることを判定する。
ここで、マルチキャスト参加要求パケットと判定した場合(ステップS32;Yes)、マルチキャストアドレスを取得する(ステップS34)。マルチキャストアドレスは、マルチキャスト参加要求メッセージパケットのIPヘッダに続くペイロード部分から抜き出して取得する。
その後、HeNB80は、取得したマルチキャストアドレスのマルチキャストグループへの参加手続きを行う(ステップS36)。
具体的には、図15で説明したように、HeNB80は、指定されたマルチキャストアドレスのグループへ参加するためにIGMP Join或いはMLD Joinをホームネットワーク5内に送信し(S162)、指定されたマルチキャストアドレス宛てのデータ受信を開始する(S164)。そして、HeNB80はセッション管理要求をUE90に送信する(S166)。セッション管理要求には、UL TFTとEPSベアラIDを含めて送信する。
ここでは、参加するマルチキャストグループのUL TFTである「FF02::C」と、ローカルIPアクセス用のベアラであるベアラ2を含めて送信する。その後マルチキャストデータ送受信処理を行い、UE90はマルチキャスト通信を確立する。
また、UE90が送信したパケットが、マルチキャスト参加要求でないと判定した場合(ステップS32;No),HeNB80はNAT処理を行い、ホームネットワーク5へパケットを送信する(ステップS38)。
また、ステップS30において、UE90がローカルIPアクセス用のものでないベアラ(ベアラID1)を利用してパケットを送信してきたと判定された場合(S30;No)、HeNB80はパケットをSGW30へ従来通り送信する(ステップS40)。
UE90が、MBMSサービスのマルチキャストグループに参加要求を送信する場合は、UE90はローカルIPアクセス用のものでないベアラ(ベアラID1)を利用して参加要求を送信する。その場合、HeNB80は上述した処理に従って、SGW30へパケットを送信する。その後、図17で説明したように、SGW30、MME10によってMBMSサービスのマルチキャスト参加要求を受信して、マルチキャスト通信確立手続きが行われる。
[1.3.4 マルチキャストデータ受信処理]
ローカルIPアクセス用マルチキャストセッションの確立が完了すると、UE90はホームネットワーク5内で送信されたマルチキャストデータの受信が可能となる。
以下、UE90がUPnP等のサービス発見プロトコルに基づいてサービス探索要求を送受信した場合を例に、マルチキャストデータ受信処理について、図19を用いて説明する。
まず、UE90はサービス探索要求を送信する。サービス探索要求の送信先アドレスは、「FF02::C」であるため、UE90は、EPSベアラコンテキストのUL TFTに基づいてベアラ(EPSベアラ2)を選択し(S180)、当該探索要求をEPSベアラ2で送信する(S182)。
HeNB80は、ベアラIDで転送先を判定する(S184)。ここでは、EPSベアラ2経由でサービス探索要求を受信するので、EPSベアラコンテキスト834に基づいてホームネットワークに直接転送することを決定し、NAT処理を行ったうえで(S186)、ホームネットワーク5上でサービス探索要求をマルチキャスト送信する(S188)。
情報端末70は、上記サービス探索要求を受信し、提供するサービスの情報(例えば「印刷サービス」)を含んだサービス探索応答を「FF02::C」宛てにマルチキャスト送信する(S190)。
HeNB80は、サービス探索応答を受信し、マルチキャストグループ参加リスト832を参照し、当該マルチキャストグループに参加している転送先のUEを選択し(S192)、各UEのローカルIPアクセス用のEPSベアラを選択し(S194)、選択したEPSベアラを用いてUE90にサービス探索応答を送信する(S196)。
なお、HeNB80がマルチキャストグループ参加リスト832を参照した結果、当該マルチキャストグループに参加しているUE90が見つからなかった場合には、受信したマルチキャストデータ(ここでは、サービス探索応答)を破棄する。
また、UE90自体がサービスを提供している場合には、UE90は、情報端末70が送信するサービス探索要求をHeNB80経由で受信し、サービス検索応答をEPSベアラ2を用いてHeNB80に送信し、HeNB80がホームネットワーク5上に転送する。
なお、本実施形態では、ホームネットワーク5上に情報端末70のみが存在する場合を例に述べたが、それに限らず複数の情報端末が存在する場合であっても同様に動作する。具体的には、S188において、HeNB80はサービス探索要求を「FF02::C」宛てにマルチキャスト送信するので、ホームネットワーク5上に複数の情報端末が存在する場合であっても、その総ての情報端末が受信することができる。
このように、本実施形態では、ローカルIPアクセス機能を持つHeNB80に接続しているUE90がマルチキャストグループ参加要求を送信した場合、従来SGW30へ送信されてしまうマルチキャスト参加要求を、HeNB80が、当該マルチキャスト参加要求がローカルIPアクセスでのマルチキャストデータ受信を要求するものであるか、或いは従来のMBMSを用いたマルチキャストデータ受信を要求するものであるかを判定し、判定結果に基づいて好適なマルチキャストセッション確立手続きを選択することができる。
これにより、既存システムとの互換性を維持しながら、MBMSが導入されていないローカルIPアクセス環境においても、UE90がマルチキャストデータの受信を行うことができ、例えば、UPnP等のマルチキャストを用いたサービス発見プロトコルについても何ら変更を加えることなく動作させることができる。
さらに、UE90は、マルチキャスト参加要求に対して、ホームネットワーク5のローカルIPアクセスによるマルチキャストグループに参加するか、コアネットワーク3のMBMSサービスのマルチキャストグループに参加するかの判断やベアラ選択の処理を行うため、HeNB80によってこうした判断や処理の負荷を課す必要が無いことが特徴である。
さらに、本実施形態では、コアネットワーク3内の装置において、ホームネットワーク5のローカルIPアクセスによるマルチキャストグループに参加するか、コアネットワーク3のMBMSサービスのマルチキャストグループに参加するかの判定処理を必要としない。つまり、SGW30、MME10の処理に変更を加えることなく、本実施形態を実現することができる。
[2.第2実施形態]
続いて、本発明を適用した第2実施形態について説明する。本実施形態は、HeNBの構成を除いて、ネットワーク構成及び装置構成は第1実施形態と同様であり、HeNBの構成以外の詳細説明は省略する。
[2.1 装置構成]
まず、各装置構成について図を用いて簡単に説明する。上述したように、第2実施形態は、第1実施形態の構成のHeNB80をHeNB82に置き換えたものとなる。
図20は、本実施形態におけるHeNB82の構成を示す。なお、図20のHeNB82は、図7に示したHeNB80と同一の構成要素には同一の符号を付しており、同一の符号を付した機能部についての説明は省略する。
HeNB80は、制御部800に、NAT(Network Address Translation)部810と、LTE基地局部820と、記憶部830bと、ホームネットワークインタフェース部840とがバスを介して接続されている。
記憶部830bは、HeNB82の各種動作に必要なプログラム、データ等を記憶する機能部である。さらに記憶部830には、マルチキャストグループ参加リスト832と、EPSベアラコンテキスト834と、マルチキャストアドレス設定表836とが記憶されている。
図21は、マルチキャストアドレス設定表836の一例を示した図であり、ローカルIPアクセス経由で参加するマルチキャストグループのIPアドレスを記憶するデータベースである。
[2.2 処理の説明]
第2実施形態は、第1実施形態の図15を用いて説明したマルチキャストセッション確立手続きに違いがあり、図20を用いて、第2実施例のマルチキャストセッション確立手続きを、図15の第1実施形態と対比させながら説明する。
図15の第1実施形態では、UE90のマルチキャスト参加要求送信後(S150)、HeNB80は、マルチキャストアドレス取得処理(S152)およびマルチキャスト受信要求判定処理(S156)を行い、ホームネットワークのローカルIPアクセス用のマルチキャストグループへの参加要求であるかを判定する。
ホームネットワークのローカルIPアクセス用のマルチキャストグループへの参加要求である場合、HeNB80は、ホームネットワーク内にマルチキャスト参加要求を送信し(S162)、マルチキャストグループに参加して指定されたマルチキャストデータの受信を開始する(S164)。
その後、HeNB80とUE90はセッション管理要求、応答を送受信してベアラコンテキストの更新を行う(S166、S168、S170)。そして最後にマルチキャストデータの送受信処理が行われる。
一方で、第2実施形態では、HeNB82は、UE90がマルチキャスト参加要求を送信する以前に予めマルチキャストグループへ参加しておく点が異なる。図22を用いて手続きを説明する。
HeNB82は、UE90がマルチキャスト参加要求を送信する前に、マルチキャスト参加要求をホームネットワーク5へ送信し(S200)、指定したマルチキャストの受信を開始する(S202)。こうして、HeNB80は、マルチキャストアドレス設定表836に設定されたマルチキャストグループに予め参加しておく。
マルチキャストアドレス設定表836は、ホームネットワーク5を管理するユーザが予め静的に設定しておく。もしくは、ホームネットワーク5で利用されるマルチキャストアドレスを通信システム全体で割り当てておき、UE90出荷時など、予め静的に設定されていてもよい。
また、HeNB82は、UE90にセッション管理要求を送信する(S204)。セッション管理要求には、ベアラIDとUL TFTを含んで送信する。UL TFTには、マルチキャストアドレス設定表836から、ホームネットワーク5内のマルチキャストグループであるローカルIPアクセス用に設定されたマルチキャストアドレスを記載する。ここでは、参加するマルチキャストグループのUL TFTである「FF02::C」と、ローカルIPアクセス用のベアラであるベアラ2を含めて送信する。
UE90は、セッション管理要求に含まれているUL TFTとEPSベアラIDに基づいて、図12(C)のようにEPSベアラコンテキスト934を更新し(S168)、セッション管理応答をHeNB82に送信する(S170)。
さらに、マルチキャストアドレス設定表930にUL TFTから「FF02::C」を追加する。これにより、第1実施形態では、UE90は予めマルチキャストアドレス設定表930にマルチキャストアドレスを保持する必要があったが、第2実施形態では、動的に設定することが可能となり、予め保持する必要がない。
また、本実施形態では、UE90がマルチキャストアドレス設定表930に保存するマルチキャストアドレスを、HeNB82がセッション管理要求(S204)によって通知する例を示したが、HeNB82はセッション管理要求(S204)以外のメッセージによって通知してもよい。
さらに、本実施形態では、HeNB82がマルチキャストグループへの参加要求メッセージを送信し(S200)、指定されたマルチキャストの受信を開始後(S202)、UE90へマルチキャストアドレスを通知する例を示したが、HeNB82は、マルチキャストグループへ参加要求メッセージを送信する前に、UE90へマルチキャストアドレスを通知してもよい。例えば、第1実施例で図14を用いて説明したベアラ確立手続きにおける、セッション管理要求(S122)に通知してもよい。
その後、UE90はベアラ選択処理(S212)を行い、マルチキャスト参加要求メッセージを送信し(S214)、マルチキャストデータ送受信処理を行う。ベアラ選択処理(S212)、マルチキャスト参加要求メッセージ送信処理(S214)及びマルチキャストデータ送受信処理については、第1実施形態と同様であり、詳細説明は省略する。
第2実施形態では、第1実施形態と異なり、HeNB82がマルチキャストアドレス設定表836を予め保持し、ローカルIPアクセスで提供されるマルチキャストグループのマルチキャストアドレスをUE90へ通知する。これにより、UE90は予めマルチキャストアドレス設定表932にマルチキャストアドレスを保持する必要がなく、動的に設定することでできるようになる。
また、第2実施形態では、HeNB82がマルチキャストグループへ予め参加しており、第1実施形態と比較して、UE90のマルチキャスト参加要求を契機に、HeNB82がマルチキャストグループへ参加して受信する必要が無い。そのため、UE90がマルチキャスト参加要求を送信してからマルチキャストデータ送受信を行うまでの時間および処理を短縮することができるため、速やかにマルチキャストデータ送受信を開始することができる。
しかしながら、HeNB82がマルチキャストグループへ予め参加していない場合でも、UE90が送信するマルチキャスト参加要求(S212)を受信したことに連動して、HeNB82がマルチキャスト参加要求を送信し(S200)、マルチキャスト通信の確立を行ってもよい。
[3.変形例]
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
また、各実施形態において、IPv6を用いた通信を例に述べたが、IPv4のマルチキャストアドレスを基にマルチキャスト参加要求をすることで、IPv4での通信においても同様に適用できる。
また、第1及び第2実施形態では、UE90のマルチキャスト参加要求に対して、HeNB80がマルチキャストグループに参加して、UE90へマルチキャストパケットを送信する例を示した。したがって、HeNB80(82)は、マルチキャスト参加のための制御手続きや、マルチキャストパケットの受信手続きを行う必要があった。
ここで、図23を変形例として示す。第1及び第2実施形態で説明したように、UE90は、ベアラ選択処理を行って(S150)、ローカルIPアクセス用ベアラ(ベアラID2)を利用して送信し(S152)、それを受信したHeNB80(82)は、従来のユーザデータを受信した場合と同様に、NAT処理を行ってホームネットワークへ送信する。これにより、HeNB80(82)はマルチキャスト参加手続きに対して処理を必要とすることなく。UE90はマルチキャストグループへ参加することができる(S300)。その後、マルチキャストデータ送受信を行ってUE90はマルチキャスト通信を行う(S302)。
第1及び第2実施形態では、HeNB80(82)がマルチキャストグループに参加することにより、HeNB80(82)にマルチキャスト通信を行う複数のUE90が接続した場合、HeNB80(82)が受信したマルチキャストパケットをコピーして各UEへ送信することができたが、上述の例では、UE毎にマルチキャストパケットがHeNB80(82)を経由して送信される。
このように、図23で示した処理を行う場合、第1及び第2実施形態と比べ、データ送信量は増えてしまうものの、一方で、HeNB80(82)の処理を簡素化することができる。
また、各実施形態において各装置で動作するプログラムは、上述した実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的に一時記憶装置(例えば、RAM)に蓄積され、その後、各種ROMやHDDの記憶装置に格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。
ここで、プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROMや、不揮発性のメモリカード等)、光記録媒体・光磁気記録媒体(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、MO((Magneto Optical Disc)、MD(Mini Disc)、CD(Compact Disc)、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
また、市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれるのは勿論である。
また、上述した実施形態における各装置の一部又は全部を典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現してもよい。各装置の各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部、または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能であることは勿論である。