JP5978968B2 - ハッチの補強構造 - Google Patents
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Description
ところが、原子炉格納容器の円筒部に取り付けられている機器ハッチでは、内圧が高くなると、原子炉格納容器の周方向の変位と高さ方向(軸方向)の変位との間の相違(周方向変位:長手方向変位=2:1)により、スリーブを取り付けている貫通孔が楕円形状に変形し、これに追従してスリーブもその断面形状が楕円形状に変形(オーバリング)する。
このような背景のもとに、前記特許文献1では、スリーブ(胴部)と蓋体(鏡板)のいずれか一方に、原子炉格納容器の内圧が上昇してスリーブが変形したときに他方に係合してスリーブ(胴部)の変形を規制する規制部材を設けている。
前記密閉容器の円筒部の貫通孔に取り付けられた円筒状のスリーブと、
前記スリーブの、前記密閉容器の内部側の開口部に取り付けられた蓋体と、
前記スリーブの、前記密閉容器の内部側の外周部に周回して取り付けられた環状の補強材と、を備え、
前記補強材は、前記スリーブにおける前記密閉容器の円筒部の周方向の両側に対応する側と、前記密閉容器の円筒部の高さ方向の両側に対応する側とのうち、前記密閉容器の内圧が高まった際に該補強材に生じる曲げモーメントが高くなる側が、他の側より剛性が高く形成されていることを特徴とする。
ここで、前記密閉容器の内圧が高まった際に前記補強材に生じる曲げモーメントが高くなる側は、他の側より、幅が広く形成されるか、厚さが厚く形成されるか、またはリブの高さや厚さが高くあるいは厚く形成されることで、剛性が高く形成されていることが好ましい。
また、スリーブの外周部に環状の補強材を周回させて取り付けた構造としているので、既存のプラントにおけるハッチのスリーブに対しても、補強材を取り付けることによってハッチの口径に制限されることなく、本発明の補強構造を容易に適用することができる。
また、密閉容器の内圧が高まった際に該補強材に生じる曲げモーメントが高くなる側が、他の側より剛性が高く形成されているので、補強材の重量を軽量化することが可能であり、既設プラントの機器ハッチに容易に取り付けることができるようになる。
図1は、本発明のハッチの補強構造の第1実施形態に係る図であって、BWR(沸騰水型軽水炉)I改型の原子炉格納容器を模式的に示す説明図であり、図2は、図1の要部拡大図であって、第1実施形態のハッチの補強構造を示す図である。図1中符号1は、本発明の密閉容器となる原子炉格納容器であり、この原子炉格納容器1は、上下に延びる円筒部2を有し、建屋(図示せず)内に収容されている。
図2に示すようにハッチ3は、原子炉格納容器1の円筒部2の貫通孔4に取り付けられる円筒状のスリーブ5と、スリーブ5の原子炉格納容器1内部側の開口部に取り付けられた蓋体(鏡板フランジ)6と、スリーブ5の内部側(原子炉格納容器1の内部側)の外周部に取り付けられたスイングボルト7と、スリーブ5の内部側(原子炉格納容器1の内部側)の外周部、すなわちスリーブ5の外周面上に周回して取り付けられた環状の補強材8と、を備えて構成されている。
原子炉格納容器1は、前述したように内圧が高くなると、円筒部2の周方向(X方向)の変位の方が高さ方向(Y方向)の変位より大きくなるため、図4(a)中の左右方向に引張荷重Wが作用した状態と同じになる。
円形のリング(補強材8)に図4(a)中の左右方向に引張荷重Wが作用した場合、リングのA点及びB点に作用する曲げモーメントMA、MBは、以下のように求められる。(ただし、リングの厚さはリングの半径Rに対して十分に小さいと想定する。)
MA=WR/π=0.3183WR
MB=(0.5−0.3183)WR=0.1817WR
したがって、曲げモーメントはA点で最大になり、その値はB点の約1.8倍となる。
次いで、蓋体6をスリーブ5側に移動させ、図2に示したように各フランジ9の切欠溝にそれぞれスイングボルト7のボルト部7aを係合させる。
その後、ボルト部7aにナット7bを螺着することにより、蓋部6をスリーブ5に取り付け、蓋部6によってスリーブ5の開口部を気密に閉塞する。このようにして蓋部6を取り付けることにより、補強材8をスイングボルト7の基部7cとフランジ9との間に保持させ、スリーブ5の外周面上に周回させた状態に取り付けることができる。
また、スリーブ5の外周部に環状の補強材8を周回させて取り付けた構造としているので、既存のプラントにおけるハッチ3のスリーブ5に対しても、単に補強材8を取り付けることで本実施形態の補強構造とすることができる。したがって、既存のプラントにおけるハッチ3に対しても、ハッチの口径に制限されることなく、本実施形態の補強構造を容易に適用することができる。
(1)原子炉格納容器1の円筒部2の内側に補強板を溶接で取り付ける方法
(2)スリーブ5に補強板を溶接で取り付ける方法
(3)スリーブ5に補強板をボルト止めで巻き付ける方法
次に、本発明のハッチの補強構造の第2実施形態を説明する。第2実施形態が第1実施形態と異なるところは、補強材の構成にある。図6は、第2実施形態のハッチの補強構造を示す図である。図6に示すように本実施形態の補強材10は、スリーブ5の内部側(原子炉格納容器1の内部側)の外周部にて、スイングボルト7の基部7cと原子炉格納容器1との間に配置され、スリーブ5の外周面を周回して取り付けられている。
端点の回転が拘束されていない半円弧状のリングに、図4(b)中の左方向に引張荷重Wが作用した場合、リングのA点には以下の曲げモーメントMAが作用し、B点には曲げモーメントが生じない。(ただし、半円弧状のリングの厚さはその半径Rに対して十分に小さいと想定する。)
MA=WR/2=0.5WR
よって、リングの変形を防止するためには、補強部材11に生じる曲げモーメントが大きい側部(A点)の剛性を高くすることが効果的である。また、曲げモーメントが生じない接合部(B点)において、ボルト締結構造とすることが可能になる。
また、スリーブ5の外周部に環状の補強材10を周回させて取り付けた構造としているので、既存のプラントにおけるハッチ3のスリーブ5に対しても、単に補強材10を取り付けることで本実施形態の補強構造とすることができる。したがって、既存のプラントにおけるハッチ3に対しても、ハッチの口径に制限されることなく、本実施形態の補強構造を容易に適用することができる。
また、補強材11がスイングボルト7aの回転を阻害しないため、蓋体6の開閉作業時の作業性を損なうことなく、補強構造を適用することができる。
次に、本発明のハッチの補強構造の第3実施形態を説明する。第3実施形態が第2実施形態と異なるところは、補強材の構成にある。すなわち、本実施形態の補強材も、図6に示した構造と同様に、スリーブ5の内部側の外周部にて、スイングボルト7の基部7cより蓋体6と反対の側、すなわち原子炉格納容器1の円筒部2側に配置され、スリーブ5の外周面を周回して取り付けられている。
また、補強材15には、第2実施形態の補強材10と同様に、外側のリブ15bの外周面上に保持部材(図示せず)が設けられている。
このような構成の補強材15は、図8(b)中にXで示す方向が原子炉格納容器1の円筒部2の周方向、Yで示す方向が円筒部2の高さ方向(軸方向)となるように、スリーブ5の外周部(外周面上)に周回した状態で取り付けられている。
端点の回転が拘束されていない半円弧状のリングの両端に、図4(c)中の左右方向に引張荷重Wが作用した場合、リングのA点には以下の曲げモーメントMAが作用し、B点には曲げモーメントが生じない。(ただし、半円弧状のリングの厚さはリングの半径Rに対して十分に小さいと想定する。)
MA=WR
よって、リングの変形を防止するためには、補強部材16に生じる曲げモーメントが大きい側部(A点)の剛性を高くすることが効果的である。また、曲げモーメントが生じない接合部(B点)において、ボルト締結構造とすることが可能になる。
これにより、スリーブ5の内部側の外周部に周回した状態に、補強材15を取り付けることができる。
また、スリーブ5の外周部に環状の補強材10を周回させて取り付けた構造としているので、既存のプラントにおけるハッチ3のスリーブ5に対しても、単に補強材10を取り付けることで本実施形態の補強構造とすることができる。したがって、既存のプラントにおけるハッチ3に対しても、ハッチの口径に制限されることなく、本実施形態の補強構造を容易に適用することができる。
また、補強材11がスイングボルト7aの回転を阻害しないため、蓋体6の開閉作業時の作業性を損なうことなく、補強構造を適用することができる。
また、本発明のハッチの補強構造は、原子炉格納容器以外の密閉容器にも適用することができる。
Claims (6)
- 密閉容器の円筒部に取り付けられたハッチの補強構造であって、
前記密閉容器の円筒部の貫通孔に取り付けられた円筒状のスリーブと、
前記スリーブの、前記密閉容器の内部側の開口部に取り付けられた蓋体と、
前記スリーブの、前記密閉容器の内部側の外周部に周回して取り付けられた環状の補強材と、を備え、
前記補強材は、前記スリーブにおける前記密閉容器の円筒部の周方向の両側に対応する側と、前記密閉容器の円筒部の高さ方向の両側に対応する側とのうち、前記密閉容器の内圧が高まった際に該補強材に生じる曲げモーメントが高くなる側が、他の側より剛性が高く形成されていることを特徴とするハッチの補強構造。 - 前記補強材は、前記スリーブにおける前記密閉容器の円筒部の周方向の両側に対応する側と、前記密閉容器の円筒部の高さ方向の両側に対応する側とのうち、前記密閉容器の内圧が高まった際に該補強材に生じる曲げモーメントが高くなる側が、他の側より、幅が広く形成されるか、厚さが厚く形成されるか、またはリブの高さや厚さが高くあるいは厚く形成されることで、剛性が高く形成されていることを特徴とする請求項1記載のハッチの補強構造。
- 前記補強材は、全体が分割されることなく一体に形成され、かつ、前記スリーブにおける前記密閉容器の円筒部の周方向の両側に対応する側が、前記密閉容器の円筒部の高さ方向の両側に対応する側より、剛性が高く形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のハッチの補強構造。
- 前記補強材は、前記密閉容器の円筒部の周方向と対応する方向で二分割された補強部材が、前記スリーブの外周部を周回するように取り付けられて環状に連結されて形成され、かつ、前記スリーブにおける前記密閉容器の円筒部の周方向の両側に対応する側が、前記密閉容器の円筒部の高さ方向の両側に対応する側より、剛性が高く形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のハッチの補強構造。
- 前記補強材は、前記密閉容器の円筒部の高さ方向と対応する方向で二分割された補強部材が、前記スリーブの外周部を周回するように取り付けられて環状に連結されて形成され、かつ、前記スリーブにおける前記密閉容器の円筒部の高さ方向の両側に対応する側が、前記密閉容器の円筒部の周方向の両側に対応する側より、剛性が高く形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のハッチの補強構造。
- 前記スリーブの外周部には、前記蓋体を固定するためのボルトが、該蓋体側とスリーブ側との間を回動可能に取り付けられており、
前記補強材には、前記ボルトを前記スリーブ側に保持する保持部材が設けられていることを特徴とする請求項4又は5記載のハッチの補強構造。
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