JP5976444B2 - 励磁突入電流抑制方法 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、開閉器を投入する際に生じる励磁突入電流を抑制する励磁突入電流抑制方法に関する。
一般に、変圧器鉄心に残留磁束がある状態で電源投入により無負荷励磁を行うと、数サイクルにわたり、大きな励磁突入電流が流れる可能性があることが知られている。この励磁突入電流の大きさは変圧器の定格負荷電流の数倍になる。このように大きな励磁突入電流が流れると、系統電圧が変動し、その電圧変動が大きい場合、需要者に影響を与えることがある。
このため、励磁突入電流を抑制する方法として、直接接地系の三相変圧器を3台の単相型遮断器で投入する際、任意の1相を先行投入し、その後に残りの2相を投入させるようにして励磁突入電流を抑制する方法が知られている。
また、三相変圧器を三相一括操作型遮断器で投入する際の励磁突入電流を抑制する方法として、変圧器が遮断された時の鉄心に残留する磁束の値を計測し、遮断器の投入位相を制御することで、変圧器投入時の励磁突入電流を抑制する方法が知られている。
一方、三相交流電圧を単相交流電圧に変換する方法として、スコット結線が知られている。スコット結線変圧器は、例えば、単相電気炉又は単相交流電気車などに給電する場合に用いられる。
スコット結線変圧器を三相一括操作型遮断器で投入する際の励磁突入電流を抑制する方法として、変圧器が遮断された時の鉄心に残留する磁束の値を計測し、遮断器の投入位相を制御することで、変圧器投入時の励磁突入電流を抑制する方法が知られている。
特開2008−140580号公報 特開2008−160100号公報 特開2011−154974号公報
John H.Brunke、外1名,"Elimination of Transformer Inrush Currents by Controlled Switching −Part I: Theoretical Considerations", IEEE TRANSACTIONS ON POWER DELIVERY, IEEE,2001年4月,Vol.16,No.2,p.276−280
しかしながら、スコット結線変圧器の励磁突入電流を抑制する場合、次のような問題がある。
スコット結線変圧器を停止する際、初めに変圧器三相側の開閉器を開放して変圧器を無負荷にし、次に変圧器単相側の開閉器を開放して、変圧器を停止することがある。このように変圧器を停止させると、単相側の開閉器の電流遮断条件によっては、鉄心に磁束がほとんど残留しないことが起こりうる。変圧器励磁突入電流は、変圧器投入時の定常磁束と残留磁束との差が大きいほど大きくなる。従って、鉄心に磁束がほとんど残留していない変圧器を投入する場合、投入位相を制御しても、定常磁束との関係から変圧器励磁突入電流が充分に抑制されない可能性がある。
本発明の実施形態の目的は、残留磁束が残留していないスコット結線変圧器との接続を開閉する開閉器を投入する際に生じる励磁突入電流を抑制する励磁突入電流抑制方法を提供することにある。
本発明の実施形態の観点に従った励磁突入電流抑制方法は、電源を備えた三相交流の電力系統とスコット結線変圧器との接続を開閉する開閉器を投入する際に生じる励磁突入電流を抑制する励磁突入電流抑制方法であって、前記スコット結線変圧器に残留磁束を残留させるために前記開閉器を投入する第1の投入をし、前記第1の投入による前記開閉器の投入後、前記開閉器を開放し、前記開閉器の前記スコット結線変圧器側の三相交流電圧を計測し、計測した前記開閉器の前記スコット結線変圧器側の三相交流電圧に基づいて、前記スコット結線変圧器に残留する三線間の残留磁束を演算し、前記開閉器の前記電源側の三相交流電圧を計測し、計測した前記開閉器の前記電源側の三相交流電圧及び演算した前記三線間の残留磁束に基づいて、前記スコット結線変圧器の三線間の定常磁束と前記三線間の残留磁束とが三線間のそれぞれで極性が一致する位相を判断し、判断した位相で、前記開閉器を三相一括で投入する第2の投入をすることを含む。
本発明の第1の実施形態に係る励磁突入電流抑制装置が適用された電力系統システムの構成を示す構成図。 第1の実施形態に係るスコット結線変圧器の構成を示す構成図。 第1の実施形態に係るスコット結線変圧器の定常運転時における電圧ベクトルを示すベクトル図。 第1の実施形態に係るスコット結線変圧器の定常運転時における三相側の相電圧の波形を示す波形図。 第1の実施形態に係るスコット結線変圧器の定常運転時における三相側の線間電圧の波形を示す波形図。 第1の実施形態に係るスコット結線変圧器の定常運転時における単相側の電圧の波形を示す波形図。 第1の実施形態に係る定常磁束算出部により演算される線間電圧の波形を示す波形図。 第1の実施形態に係る励磁突入電流抑制装置による投入目標位相範囲を説明するための各種磁束の波形を示す波形図。 第1の実施形態に係る単相側開閉器のT座変圧器に接続された接点の遮断位相と残留磁束との関係を示す相関図。 第1の実施形態に係る三相側開閉器の三線間の残留磁束が全て小さい条件の下での投入位相と励磁突入電流との関係を示す相関図。 第1の実施形態に係る三相側開閉器の三線間の残留磁束が全て小さい条件以外の条件の下での投入位相と励磁突入電流との関係を示す相関図。 第1の実施形態に係るスコット結線変圧器の三相側の線間電圧の波形を示す波形図。 第1の実施形態に係るスコット結線変圧器の三相側の線間磁束の波形を示す波形図。 第1の実施形態に係る三相側開閉器を流れる電流の波形を示す波形図。 本発明の第2の実施形態に係る励磁突入電流抑制装置の適用された電力系統システムの構成を示す構成図。 本発明の第3の実施形態に係る励磁突入電流抑制装置の適用された電力系統システムの構成を示す構成図。 第3の実施形態に係る変圧器電圧計測部により計測された2組の単相側電圧の電圧を示す波形図。 第3の実施形態に係る変圧器電圧変換部による変換後の三相側線間電圧の波形を示す波形図。 第3の実施形態に係るスコット結線変圧器に印加される三相側線間電圧の波形を示す波形図。 本発明の第4の実施形態に係る励磁突入電流抑制装置の適用された電力系統システムの構成を示す構成図。
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る励磁突入電流抑制装置8が適用された電力系統システムの構成を示す構成図である。なお、以降の図における同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、異なる部分について主に述べる。
本実施形態に係る電力系統システムは、三相交流電力系統の電源母線1と、単相交流電力系統の母線(単相母線)2と、スコット結線変圧器5と、スコット結線変圧器5の三相側に設けられた開閉器(三相側開閉器)3と、スコット結線変圧器5の単相側に設けられた開閉器(単相側開閉器)4と、電源母線1に設けられた三相分の母線電圧検出器6U,6V,6Wと、スコット結線変圧器5の三相側に設けられた三相分の変圧器電圧検出器7U,7V,7Wと、励磁突入電流抑制装置8とを備えている。
電源母線1は、U相、V相及びW相からなる三相交流電源を備える電力系統の母線である。単相母線2は、スコット結線変圧器5の主座(M座)及びT座の出力に対応した2組の単相交流電力系統の母線である。
スコット結線変圧器5は、三相側が三相側開閉器3を介して電源母線1に、単相側が単相側開閉器4を介して単相母線2に接続されている。スコット結線変圧器5は、三相交流電圧と2組の単相交流電圧との相互の変換を行う。
三相側開閉器3は、電源母線1とスコット結線変圧器5との間に設けられている。三相側開閉器3は、U相、V相及びW相の接点を一括操作する一括操作型の開閉器である。三相側開閉器3が投入されることにより、スコット結線変圧器5は、電源母線1による電源投入がされる。三相側開閉器3が開放されることにより、スコット結線変圧器5は、電源母線1から遮断される。
単相側開閉器4は、単相母線2とスコット結線変圧器5との間に設けられている。単相側開閉器4は、主座及びT座のそれぞれの出力に対応した接点を個別に操作する個別操作型の開閉器である。単相側開閉器4が開放されることにより、スコット結線変圧器5は、単相母線2から遮断される。三相側開閉器3が開放された後に、単相側開閉器4が開放されると、スコット結線変圧器5は、停止する。
三相分の母線電圧検出器6U,6V,6Wは、電源母線1のU相、V相及びW相のそれぞれの相電圧(対地電圧)を計測するための計測用機器である。母線電圧検出器6U,6V,6Wは、例えば、計器用変圧器(VT, Voltage Transformer)である。母線電圧検出器6U,6V,6Wは、三相側開閉器3よりも電源母線1側に設けられている。母線電圧検出器6は、検出値を検出信号として、励磁突入電流抑制装置8に出力する。
三相分の変圧器電圧検出器7U,7V,7Wは、スコット結線変圧器5の三相側の各端子(U相、V相及びW相)のそれぞれの端子電圧を計測するための計測用機器である。変圧器電圧検出器7U,7V,7Wは、例えば、計器用変圧器である。変圧器電圧検出器7U,7V,7Wは、三相側開閉器3よりもスコット結線変圧器5側に設けられている。変圧器電圧検出器7U,7V,7Wは、検出値を検出信号として、励磁突入電流抑制装置8に出力する。
励磁突入電流抑制装置8は、母線電圧検出器6U,6V,6W及び変圧器電圧検出器7U,7V,7Wから受信した検出信号に基づいて、三相側開閉器3の接点に対して開閉指令を出力する。これにより、三相側開閉器3は開閉される。
図2〜図6を参照して、スコット結線変圧器5について説明する。
図2は、本実施形態に係るスコット結線変圧器5の構成を示す構成図である。図3は、本実施形態に係るスコット結線変圧器5の定常運転時における電圧ベクトルを示すベクトル図である。
図4〜図6は、本実施形態に係るスコット結線変圧器5の定常運転時における電圧波形を示す波形図である。図4〜図6に示す基準位相θ0は、同じ位相(時刻)を示している。図4は、スコット結線変圧器5の定常運転時における三相側の相電圧Vu,Vv,Vwを示している。図5は、スコット結線変圧器5の定常運転時における三相側の線間電圧Vuv,Vvw,Vwuを示している。図6は、スコット結線変圧器5の定常運転時における単相側の電圧Vm,Vtの電圧波形を示している。
図中において、電圧Vuvは、スコット結線変圧器5の三相側のUV相間の線間電圧を、電圧Vvwは、スコット結線変圧器5の三相側のVW相間の線間電圧を、電圧Vwuは、スコット結線変圧器5の三相側のWU相間の線間電圧を、電圧Vmは、主座変圧器501の単相側電圧を、電圧Vtは、T座変圧器502の単相側電圧を、電圧Vuは、スコット結線変圧器5の三相側のU相の対地電圧を、電圧Vvは、スコット結線変圧器5の三相側のV相の対地電圧を、電圧Vwは、スコット結線変圧器5の三相側のW相の対地電圧をそれぞれ示している。
スコット結線変圧器5は、主座(M座)変圧器501とT座変圧器502の2台の単相変圧器で構成される。主座変圧器501及びT座変圧器502の三相側巻線と単相側巻線の巻数比は、ともにn1:n2とする。主座変圧器501の三相側巻線の両端子は電源母線1のU相及びW相に接続されている。主座変圧器501は、三相側巻線の1/2(0.5)の部分(中点O)をT座変圧器502の三相側巻線の一端に接続する。T座変圧器502は、主座変圧器501の三相側巻線の両端子に電源母線1のU相及びW相が接続されたときに、電圧がpu値で0.866(√3/2)[p.u.]となるタップを電源母線1のV相に接続する。pu値は、定格に対する割合を表している。スコット結線変圧器5の単相側から90°位相差がある2組の単相交流電圧Vm,Vtが出力される。単相側電圧Vmは、主座変圧器501のa−c端子間から出力される。単相側電圧Vtは、T座変圧器502のb−d端子間から出力される。
主座変圧器501の三相側の線間電圧Vwuは、主座変圧器の単相側端子a−c間に印加される電圧Vmと逆位相になる。また、T座変圧器502の三相側の相電圧Vvは、T座変圧器502の単相側端子b−d間に印加される電圧Vtと同位相になる。相電圧Vvは、線間電圧Vwuより90度位相が進んでいる。従って、電圧Vmは、電圧Vtよりも90度位相が進む。
図7は、本実施形態に係る定常磁束算出部802により演算される線間電圧Vuv,Vvw,Vwuの波形を示す波形図である。図8は、本実施形態に係る励磁突入電流抑制装置8による投入目標位相範囲Tcを説明するための各種磁束の波形を示す波形図である。図7及び図8に示す位相軸(横軸)は、同一の位相(時刻)を示している。従って、図8に示す各種磁束の波形は、図7に示す線間電圧Vuv,Vvw,Vwuに対応したものである。
図1、図7及び図8を参照して、励磁突入電流抑制装置8の構成について説明する。
励磁突入電流抑制装置8は、母線電圧計測部801と、定常磁束算出部802と、変圧器電圧計測部803と、残留磁束算出部804と、残留磁束値判断部805と、位相検出部806と、投入指令出力部807と、開極位相制御部808と、開極指令出力部809とを備えている。
母線電圧計測部801は、母線電圧検出器6U,6V,6Wにより検出された検出信号に基づいて、電源母線1の各相電圧Vu,Vv,Vwを計測する。母線電圧計測部801は、計測した電源母線1の各相電圧Vu,Vv,Vwを定常磁束算出部802に出力する。
定常磁束算出部802は、母線電圧計測部801により計測された三相電圧Vu,Vv,Vwに基づいて、UV相間、VW相間及びWU相間の各線間電圧Vuv,Vvw,Vwuを演算する。定常磁束算出部802は演算した各線間電圧Vuv,Vvw,Vwuをそれぞれ積分し、各線間の定常磁束φTuv,φTvw,φTwuを算出する。定常磁束算出部802は、演算した三線間の定常磁束φTuv,φTvw,φTwuを位相検出部806に出力する。
変圧器電圧計測部803は、変圧器電圧検出器7U,7V,7Wにより検出された検出信号に基づいて、スコット結線変圧器5の三相側の各端子の相電圧Vu,Vv,Vwを計測する。変圧器電圧計測部803は、計測した各相電圧Vu,Vv,Vwを残留磁束算出部804に出力する。
残留磁束算出部804は、変圧器電圧計測部803により計測された各相電圧Vu,Vv,Vwに基づいて、スコット結線変圧器5の停止前後のUV相間、VW相間、及びWU相間の各線間電圧Vuv,Vvw,Vwuを演算する。残留磁束算出部804は、演算した各線間電圧Vuv,Vvw,Vwuをそれぞれ積分し、スコット結線変圧器5の鉄心に残留した三線間の残留磁束φZuv,φZvw,φZwuを算出する。残留磁束算出部804は、演算した三線間の残留磁束φZuv,φZvw,φZwuを残留磁束値判断部805に出力する。
残留磁束値判断部805には、予め閾値が設定されている。閾値は、励磁突入電流を充分に抑制できる程度に残留磁束φZuv,φZvw,φZwuが残留しているか否かを判断するための値である。残留磁束値判断部805は、この判断を、残留磁束算出部804により演算された三線間の残留磁束φZuv,φZvw,φZwuの絶対値の和が閾値を超えているか否かで判断する。残留磁束値判断部805は、この絶対値の和が閾値を超えている場合は、残留磁束φZuv,φZvw,φZwuが励磁突入電流を充分に抑制できる程度に残留していると判断する。一方、残留磁束値判断部805は、この絶対値の和が閾値を超えていない場合は、残留磁束φZuv,φZvw,φZwuが励磁突入電流を充分に抑制できる程度に残留していないと判断する。
残留磁束値判断部805は、三線間の残留磁束φZuv,φZvw,φZwuの絶対値の和が閾値を超えたと判断した場合には、演算された各線間の残留磁束φZuv,φZvw,φZwuを位相検出部806に出力する。残留磁束値判断部805は、三線間の残留磁束φZuv,φZvw,φZwuの絶対値の和が閾値を超えていないと判断した場合には、投入指令出力部807に三相側開閉器3を投入するための信号S1を出力する。
まず、三線間の残留磁束φZuv,φZvw,φZwuの絶対値の和が閾値を超えている場合の励磁突入電流抑制装置8の動作について説明する。
位相検出部806には、定常磁束算出部802により演算された三線間の定常磁束φTuv,φTvw,φTwu及び残留磁束算出部804により演算され三線間の残留磁束φZuv,φZvw,φZwuが入力される。
位相検出部806は、図8に示すように、線間毎に、定常磁束φTuv,φTvw,φTwuと残留磁束φZuv,φZvw,φZwuとの極性がそれぞれ一致する位相の区間Tuv,Tvw,Twuを検出する。位相検出部806は、検出した線間毎の位相の区間Tuv,Tvw,Twuが3つの全ての区間で重なる区間Tcを同定する。同定した区間Tcは、三相側開閉器3を投入する投入目標位相範囲である。位相検出部806は、検出した投入目標位相範囲Tcを投入指令出力部807に出力する。
投入指令出力部807は、位相検出部806により検出された投入目標位相範囲Tc内で三相側開閉器3が投入されるように、三相側開閉器3の接点を一括駆動する操作機構に対して投入指令Tc2を出力する。これにより、三相側開閉器3は励磁突入電流を抑制するように投入される。
次に、三線間の残留磁束φZuv,φZvw,φZwuの絶対値の和が閾値を超えていない場合の励磁突入電流抑制装置8の動作について説明する。
投入指令出力部807は、残留磁束値判断部805から三相側開閉器3を投入するための信号S1を受信した場合は、投入目標位相範囲を設定せずに、三相側開閉器3の接点を一括駆動する操作機構に対して投入指令Tc1を出力する。これにより、三相側開閉器3は投入される。このとき、スコット結線変圧器5に残留磁束φZuv,φZvw,φZwuはほとんど残留していない。このため、スコット結線変圧器5に残留磁束φZuv,φZvw,φZwuが充分に残留している状態で、投入目標位相範囲を設定せずに三相側開閉器3を投入する場合と比較すれば、大きい励磁突入電流で三相側開閉器3が投入されることは避けられる。投入指令出力部807は、投入指令Tc1を出力後に、開極位相制御部808に三相側開閉器3を開放するための信号S2を出力する。
開極位相制御部808は、投入指令出力部807から三相側開閉器3を開放するための信号S2を受信すると、母線電圧計測部801により計測された各相電圧Vu,Vv,Vw及び変圧器電圧計測部803により計測された各相電圧Vu,Vv,Vwに基づいて、三相側開閉器3の投入位相Tc1を検出する。開極位相制御部808は、母線電圧計測部801により計測された各相電圧Vu,Vv,Vwに基づいて、投入指令Tc1で投入された投入位相と一致しないような位相で三相側開閉器3の接点を開放するように開極位相Tpを制御する。これは、投入指令Tc1で投入された投入位相と同一の位相で三相側開閉器3を開放すると、再度、スコット結線変圧器5の鉄心に充分な残留磁束φZuv,φZvw,φZwuが残留しない可能性があるためである。開極位相制御部808は、投入指令Tc1で投入された投入位相と同一の位相にならないように制御した開極位相Tpを開極指令出力部809に出力する。
開極指令出力部809は、開極位相制御部808から受信した開極位相Tpに基づいて、三相側開閉器3の接点を一括駆動する操作機構に対して開極指令Tp1を出力する。これにより、三相側開閉器3は開放される。三相側開閉器3の開放により再停止されたスコット結線変圧器5には、励磁突入電流を充分に抑制できる程度に残留磁束φZuv,φZvw,φZwuが残留する。
スコット結線変圧器5の再停止後は、前述した、三線間の残留磁束φZuv,φZvw,φZwuの絶対値の和が閾値を超えている場合と同様に、投入指令出力部807は、図8に示す投入目標位相範囲Tc内で、三相側開閉器3を投入する。これにより、励磁突入電流が抑制される。
図9〜図14を参照して、励磁突入電流抑制装置8による励磁突入電流Iu,Iv,Iwの抑制について説明する。電流IuはU相電流を、電流IvはV相電流を、電流IwはW相電流をそれぞれ示している。
図9は、単相側開閉器4のT座変圧器502に接続された接点の遮断位相(開極位相)と残留磁束φZuv,φZvw,φZwuとの関係を示す相関図である。図9では、図4〜図6に示す基準位相θ0を0°として、スコット結線変圧器5が定常運転している状態から単相側開閉器4の主座変圧器501に接続された接点を300°で開放し、その後、T座の遮断位相を0°から360°まで30°毎に変化させている。
図9を参照すると、T座の遮断位相が30°又は210°となる条件のように、スコット結線変圧器5の残留磁束φZuv,φZvw,φZwuが三線間とも小さくなる遮断位相があることが分かる。
図10及び図11は、三相側開閉器3の投入位相(閉極位相)と三相側開閉器3に流れる励磁突入電流Iu,Iv,Iwとの関係を示す相関図である。
図10は、三線間の残留磁束φZuv,φZvw,φZwuが全て小さい条件の下で、三相側開閉器3を一括投入する投入位相を0°から360°まで30°毎に変化させた場合の励磁突入電流Iu,Iv,Iwの大きさを表している。具体的には、単相側開閉器4の主座の遮断位相を300°とし、単相側開閉器4のT座の遮断位相を30°としている。
図11は、三線間の残留磁束φZuv,φZvw,φZwuが全て小さい条件でない条件の下で、三相側開閉器3を一括投入する投入位相を0°から360°まで30°毎に変化させた場合の励磁突入電流Iu,Iv,Iwの大きさを表している。具体的には、単相側開閉器4の主座の遮断位相を300°とし、単相側開閉器4のT座の遮断位相を120°としている。
図11を参照して、三線間の残留磁束φZuv,φZvw,φZwuが全て小さい条件でない場合の励磁突入電流Iu,Iv,Iwについて説明する。投入位相が300°のとき、最大1500[A]程度の励磁突入電流Iu,Iv,Iwが流れている。一方、投入位相120°のとき、励磁突入電流Iu,Iv,Iwが三相とも100[A]程度しか流れていない。即ち、残留磁束φZuv,φZvw,φZwuがある程度ある場合は、三相側開閉器3を一括投入する位相を制御することで、三相全てにおける励磁突入電流Iu,Iv,Iwを大きく抑制できる。
図10を参照して、三線間の残留磁束φZuv,φZvw,φZwuが全て小さい場合の励磁突入電流Iu,Iv,Iwについて説明する。全ての投入位相に対する励磁突入電流Iu,Iv,Iwの最大値は、700[A]〜800[A]程度となっている。これは、図11では、最大1500[A]程度の励磁突入電流Iu,Iv,Iwが流れていたことと比較すると、投入位相に関係なく全般的に励磁突入電流Iu,Iv,Iwが抑制されている。しかし、図11では、図10での投入位相が120°のときのように、励磁突入電流Iu,Iv,Iwが三相とも100[A]程度に抑制できるような投入位相はない。従って、三線間の残留磁束φZuv,φZvw,φZwuが全て小さい場合、投入位相を制御しても、三相全ての励磁突入電流Iu,Iv,Iwを大きく抑制することはできない。
図12〜図14を参照して、単相側開閉器4を開放した後に、スコット結線変圧器5に残留磁束φZuv,φZvw,φZwuが残留していない(ほとんど無い)場合の励磁突入電流抑制装置8による励磁突入電流Iu,Iv,Iwの抑制について説明する。
図12〜図14は、三相側が無負荷であるスコット結線変圧器5を、単相側開閉器4を開放して停止させた後に三相側開閉器3から投入させた状態の一例を示す各種の波形図である。図12は、スコット結線変圧器5の三相側の線間電圧Vuv,Vvw,Vwuの波形を示している。図13は、スコット結線変圧器5の三相側の線間磁束φuv,φvw,φwuの波形を示している。図14は、三相側開閉器3を流れる電流Iu,Iv,Iwの波形を示している。なお、図13に示す三相側の線間磁束φuv,φvw,φwuは、スコット結線変圧器5が停止している状態では、残留磁束φZuv,φZvw,φZwuを示している。
スコット結線変圧器5の単相側に電圧が印加されている状態で、主座及びT座のそれぞれの出力に対応した単相側開閉器4を開放した時点(開極位相)Tpm,Tptの後は、図13に示す残留磁束φuv,φvw,φwuが残留する。残留した残留磁束φuv,φvw,φwuは、単相側開閉器4を開放する前の定常磁束φuv,φvw,φwuのピ−ク値に比べ、非常に小さい値となっている。
残留磁束値判断部805により残留磁束φuv,φvw,φwuが残留していないと判断されると、投入目標位相範囲が設定されない投入指令(投入位相)Tc1により三相側開閉器3が投入される。これにより、三相側開閉器3の各相に励磁突入電流Iu,Iv,Iwが流れる。このとき、三相電流Iu,Iv,Iwの最大値は、V相電流Ivの800[A]程度となっている。仮に、三相側開閉器3を開放せずに投入したままの状態にすると、この三相電流Iu,Iv,Iwが数サイクルの間、流れ続けることになる。
投入指令Tc1による三相側開閉器3の投入後、投入位相Tc1の近傍にならないような開極位相Tpで三相側開閉器3を開放すると、図13に示すように、残留磁束φuv,φvw,φwuが残留する。開極位相Tp後に残留した残留磁束φuv,φvw,φwuは、投入位相Tc1前に残留していた残留磁束φuv,φvw,φwuよりも大きい値になっている。
残留磁束値判断部805により残留磁束φuv,φvw,φwuが残留していると判断されると、図8に示す投入目標位相範囲Tc内の投入位相(投入指令)Tc2で、三相側開閉器3が投入される。このとき、各相電流Iu,Iv,Iwの最大値は、U相電流Iu及びW相電流Iwの200[A]程度となっている。従って、1回目の投入位相Tc1による投入時よりも励磁突入電流Iu,Iv,Iwが抑制されている。
本実施形態によれば、スコット結線変圧器5を停止させた際に、三線間とも残留磁束φZuv,φZvw,φZwuが残留していない場合においても、次のようにして、励磁突入電流抑制装置8は、励磁突入電流Iu,Iv,Iwを大きく抑制することができる。
励磁突入電流抑制装置8は、スコット結線変圧器5に残留磁束φZuv,φZvw,φZwuが残留していない状態で、三相側開閉器3を投入してスコット結線変圧器5に電圧を印加した後に、三相側開閉器3を開放してスコット結線変圧器5を再停止させる。これにより、スコット結線変圧器5に残留磁束φZuv,φZvw,φZwuが残留する。励磁突入電流抑制装置8は、残留した残留磁束φZuv,φZvw,φZwu及び定常磁束φTuv,φTvw,φTwuに基づいて、図8に示す投入目標位相範囲Tcで、三相側開閉器3を再投入する。このようにして、励磁突入電流抑制装置8は、励磁突入電流Iu,Iv,Iwを大きく抑制することができる。
(第2の実施形態)
図15は、本発明の第2の実施形態に係る励磁突入電流抑制装置8Aの適用された電力系統システムの構成を示す構成図である。
本実施形態に係る電力系統システムは、図1に示す第1の実施形態に係る電力系統システムにおいて、励磁突入電流抑制装置8を励磁突入電流抑制装置8Aに代えたものである。励磁突入電流抑制装置8Aは、第1の実施形態に係る励磁突入電流抑制装置8において、定常磁束算出部802を取り除き、位相検出部806を位相検出部806Aに代えたものである。その他の構成については、第1の実施形態と同様である。
位相検出部806Aは、残留磁束算出部804により演算された三線間の残留磁束φZuv,φZvw,φZwuのうち最も大きな残留磁束の線間を検出する。位相検出部806Aは、検出した線間の電圧がこの線間の残留磁束(最も大きな残留磁束)と同極性から逆極性に遷移する電圧零点を検出する。位相検出部806Aは、検出した電圧零点を投入指令出力部807に出力する。
投入指令出力部807は、位相検出部806Aにより検出された電圧零点を投入目標位相として、三相側開閉器3に投入指令を出力する。
図7及び図8を参照して、位相検出部806Aによる投入目標位相の検出方法について説明する。
図8において、三線間の残留磁束φZuv,φZvw,φZwuのうち最も大きな残留磁束は、UV相間の残留磁束φZuvである。従って、位相検出部806Aは、UV相間を検出する。
また、UV相間の残留磁束φZuvは、正極である。従って、位相検出部806Aは、UV相間の電圧Vuvが残留磁束φZuvと同極性である正極性から逆極性である負極性に遷移する電圧零点を検出する。図7では、UV相間の電圧Vuvが正極性から負極性に遷移する電圧零点の位相は、150°である。従って、位相検出部806Aは、位相150°を投入目標位相として検出する。
ここで、位相150°は、図8に示すように、第1の実施形態で検出した投入目標位相範囲Tcのほぼ中心となる位相である。従って、上述のように検出した投入目標位相で三相側開閉器3を投入することで、第1の実施形態で検出した投入目標位相範囲Tc内で三相側開閉器3が投入されることになる。
本実施形態によれば、第1の実施形態で演算した定常磁束φTuv,φTvw,φTwuを演算しなくても、残留磁束が最大である線間の電圧零点の位相で三相側開閉器3を投入することで、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(第3の実施形態)
図16は、本発明の第3の実施形態に係る励磁突入電流抑制装置8Bの適用された電力系統システムの構成を示す構成図である。
本実施形態に係る電力系統システムは、図1に示す第1の実施形態に係る電力系統システムにおいて、励磁突入電流抑制装置8を励磁突入電流抑制装置8Bに代え、三相分の変圧器電圧検出器7U,7V,7Wを2つの単相電圧分の変圧器電圧検出器7M,7Tに代えたものである。励磁突入電流抑制装置8Bは、第1の実施形態に係る励磁突入電流抑制装置8において、変圧器電圧計測部803を変圧器電圧計測部803Bに代え、残留磁束算出部804を残留磁束算出部804Bに代え、変圧器電圧変換部810を追加した構成である。その他の構成については、第1の実施形態と同様である。
2つの変圧器電圧検出器7M,7Tは、スコット結線変圧器5の単相側の2組(主座及びT座)の単相電圧Vm,Vtを計測するための計測用機器である。変圧器電圧検出器7M,7Tは、例えば、計器用変圧器である。変圧器電圧検出器7M,7Tは、単相側開閉器4よりもスコット結線変圧器5側に設けられている。変圧器電圧検出器7M,7Tは、検出値を検出信号として、励磁突入電流抑制装置8Bの変圧器電圧計測部803Bに出力する。
変圧器電圧計測部803Bは、変圧器電圧検出器7M,7Tにより検出された検出信号に基づいて、スコット結線変圧器5の2組の単相側電圧Vt,Vmを計測する。電圧Vmは、主座変圧器501の単相側電圧(端子a−c間電圧)である。電圧Vtは、T座変圧器502の単相側電圧(端子b−d間電圧)である。変圧器電圧計測部803Bは、計測した2組の単相側電圧Vt,Vmを変圧器電圧変換部810に出力する。
変圧器電圧変換部810は、変圧器電圧計測部803Bにより計測された2組の単相交流電圧Vt,Vmを、次式により、三線間の三相側線間電圧VDuv,VDvw,VDwuに変換する。線間電圧VDuvは、変換後のUV相間の線間電圧である。線間電圧VDvwは、変換後のVW相間の線間電圧である。線間電圧VDwuは、変換後のWU相間の線間電圧である。変圧器電圧変換部810は、変換した三線間の三相側線間電圧VDuv,VDvw,VDwuを残留磁束算出部804Bに出力する。
VDuv=−(√3/2)Vt+(1/2)Vm …式(1)
VDvw=(√3/2)Vt+(1/2)Vm …式(2)
VDwu=−Vm …式(3)
なお、√3/2は、0.866と置き換えてもよい。
図17〜図19を参照して、本実施形態に係る変圧器電圧変換部810による演算処理について説明する。
図17は、変圧器電圧計測部803Bにより計測された2組の単相側電圧Vt,Vmの波形を示す波形図である。図18は、変圧器電圧変換部810による変換後の三相側線間電圧VDuv,VDvw,VDwuの波形を示す波形図である。図19は、スコット結線変圧器5に印加される三相側線間電圧Vuv,Vvw,Vwuの波形を示す波形図である。
変圧器電圧変換部810は、図17に示す2組の単相側電圧Vt,Vmを、図18に示す三相側線間電圧VDuv,VDvw,VDwuに変換する。これにより、変圧器電圧変換部810は、pu値で換算して、図19に示すスコット結線変圧器5に実際に印加される三相側線間電圧Vuv,Vvw,Vwuと同一の電圧波形を求めることができる。
残留磁束算出部804Bは、スコット結線変圧器5の停止前後に、変圧器電圧変換部810により変換された各線間電圧VDuv,VDvw,VDwuをそれぞれ積分する。残留磁束算出部804Bは、この積分された値を、スコット結線変圧器5の鉄心の残留磁束φZuv,φZvw,φZwuとする。残留磁束算出部804Bは、演算した残留磁束φZuv,φZvw,φZwuを残留磁束値判断部805に出力する。
残留磁束値判断部805は、残留磁束φZuv,φZvw,φZwuが残留していると判断すれば、投入目標位相範囲Tc内で三相側開閉器3を投入するために、各線間の残留磁束φZuv,φZvw,φZwuを位相検出部806に出力する。一方、残留磁束値判断部805は、残留磁束φZuv,φZvw,φZwuが残留していないと判断すれば、投入指令出力部807に三相側開閉器3を投入するための信号S1を出力する。その他の点は、第1の実施の形態と同様である。
本実施形態によれば、スコット結線変圧器5の単相側にのみ変圧器電圧検出器7M,7Tが設置されている場合であっても、スコット結線変圧器5の単相側電圧Vt,Vmから三相側線間電圧VDuv,VDvw,VDwuに変換することで、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(第4の実施形態)
図20は、本発明の第4の実施形態に係る励磁突入電流抑制装置8Cの適用された電力系統システムの構成を示す構成図である。
励磁突入電流抑制装置8Cは、図16に示す第3の実施形態に係る励磁突入電流抑制装置8Bにおいて、定常磁束算出部802を取り除き、位相検出部806を第2の実施形態に係る位相検出部806Aに代えたものである。その他の構成については、第3の実施形態と同様である。
位相検出部806Aは、第2の実施形態と同様に、残留磁束算出部804Bにより演算された三線間の残留磁束φZuv,φZvw,φZwuのうち最も大きな残留磁束の線間を検出する。位相検出部806Aは、検出した線間の電圧がこの線間の残留磁束(最も大きな残留磁束)と同極性から逆極性に遷移する電圧零点を検出する。位相検出部806Aは、検出した電圧零点を投入指令出力部807に出力する。
本実施形態によれば、第3の実施形態で演算した定常磁束φTuv,φTvw,φTwuを演算しなくても、残留磁束が最大である線間の電圧零点の位相で三相側開閉器3を投入することで、第3の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
なお、各実施形態において、電源電圧検出器6U,6V,6Wにより、電源母線1の各相電圧を計測したが、電源母線1の各線間電圧を計測してもよい。各線間電圧を相電圧に変換することで、各実施形態と同様の構成にすることができる。変圧器電圧検出器7U,7V,7Wについても同様である。
各実施形態において、三線間の残留磁束φZuv,φZvw,φZwuの絶対値の和が閾値を超えていない場合に、残留磁束φZuv,φZvw,φZwuが励磁突入電流を充分に抑制できる程度に残留していないと判断したが、残留磁束φZuv,φZvw,φZwuの判断方法は、これに限らない。スコット結線変圧器5の鉄心に残留磁束φZuv,φZvw,φZwuが残留しているか否かを判断するために、三線間の残留磁束φZuv,φZvw,φZwuをどのように演算してもよいし、任意の一線間又は二線間の残留磁束に基づいて、判断してもよい。また、閾値もどのように設定してもよい。さらに、系統条件等に基づいて、残留磁束φZuv,φZvw,φZwuが残留しているか否かを判断してもよい。例えば、三相側開閉器3が開放された後に、単相側開閉器4が開放されてスコット結線変圧器5が停止した場合、スコット結線変圧器5の鉄心には、残留磁束φZuv,φZvw,φZwuが常に残留していないと判断して、実際に残留している残留磁束φZuv,φZvw,φZwuに関係なく、三相側開閉器3を開放後に再投入させてもよい。
各実施形態において、投入目標位相範囲Tc及び投入位相Tc1,Tc2は、補正をしてもよい。例えば、三相側開閉器3の投入において、接点間に発生するプレア−クと呼ばれる先行放電や、操作機構の動作ばらつきなどに起因する投入時間のばらつきが存在する。このプレア−クによる投入ばらつきや、遮断器投入時のばらつきは、あらかじめその特性を取得しておくことにより、位相制御を行う際にこの特性による補正をすることが可能である。このような補正をすることで、これらのばらつきがあっても、励磁突入電流をより確実に抑制することができる。
各実施形態において、定常磁束φTuv,φTvw,φTwu又は残留磁束φZuv,φZvw,φZwuを演算する場合に、電圧を変換してから磁束を求めたが、磁束を求めた後に、磁束を変換してもよい。例えば、第1の実施形態において、電源母線1の三相電圧Vu,Vv,Vwから三線間の定常磁束φTuv,φTvw,φTwuを求める場合、先に三相電圧Vu,Vv,Vwを積分して三相の磁束を求めた後に、三線間の磁束を求めてもよい。また、その他の演算においても、結果が同じになるのであれば、演算の順序や演算をさせる場所(励磁突入電流抑制装置の内部や外部を問わず、コンピュ−タや各種検出器等)は、適宜変更することができる。
各実施形態において、三相側開閉器3は、三相一括操作型の遮断器としたが、相毎に操作する各相操作型の遮断器でもよい。各相操作型遮断器であれば、各相の遮断器を同時に投入することで、三相一括操作型遮断器と同様の作用効果を得ることができる。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…電源母線、2…単相母線、3…三相側開閉器、4…単相側開閉器、5…スコット結線変圧器、6U,6V,6W…母線電圧検出器、7U,7V,7W…変圧器電圧検出器、8…励磁突入電流抑制装置。

Claims (12)

  1. 電源を備えた三相交流の電力系統とスコット結線変圧器との接続を開閉する開閉器を投入する際に生じる励磁突入電流を抑制する励磁突入電流抑制方法であって、
    前記スコット結線変圧器に残留磁束を残留させるために前記開閉器を投入する第1の投入をし、
    前記第1の投入による前記開閉器の投入後、前記開閉器を開放し、
    前記開閉器の前記スコット結線変圧器側の三相交流電圧を計測し、
    計測した前記開閉器の前記スコット結線変圧器側の三相交流電圧に基づいて、前記スコット結線変圧器に残留する三線間の残留磁束を演算し、
    前記開閉器の前記電源側の三相交流電圧を計測し、
    計測した前記開閉器の前記電源側の三相交流電圧及び演算した前記三線間の残留磁束に基づいて、前記スコット結線変圧器の三線間の定常磁束と前記三線間の残留磁束とが三線間のそれぞれで極性が一致する位相を判断し、
    判断した位相で、前記開閉器を三相一括で投入する第2の投入をすること
    を含むことを特徴とする励磁突入電流抑制方法。
  2. 電源を備えた三相交流の電力系統とスコット結線変圧器との接続を開閉する開閉器を投入する際に生じる励磁突入電流を抑制する励磁突入電流抑制方法であって、
    前記スコット結線変圧器に残留磁束を残留させるために前記開閉器を投入する第1の投入をし、
    前記第1の投入による前記開閉器の投入後、前記開閉器を開放し、
    前記開閉器の前記スコット結線変圧器側の単相交流電圧を計測し、
    計測した前記開閉器の前記スコット結線変圧器側の単相交流電圧に基づいて、前記スコット結線変圧器に残留する三線間の残留磁束を演算し、
    前記開閉器の前記電源側の三相交流電圧を計測し、
    計測した前記開閉器の前記電源側の三相交流電圧及び演算した前記三線間の残留磁束に基づいて、前記スコット結線変圧器の三線間の定常磁束と前記三線間の残留磁束とが三線間のそれぞれで極性が一致する位相を判断し、
    判断した位相で、前記開閉器を三相一括で投入する第2の投入をすること
    を含むことを特徴とする励磁突入電流抑制方法。
  3. 前記スコット結線変圧器に前記残留磁束が残留しているか否かを判断することを含み、
    前記三線間の残留磁束が残留していないと判断した場合、前記第1の投入をすること
    を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の励磁突入電流抑制方法。
  4. 前記スコット結線変圧器に前記残留磁束が残留しているか否かを判断することを含み、
    前記三線間の残留磁束が残留していると判断した場合、前記第1の投入をせずに、前記第2の投入をすること
    を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の励磁突入電流抑制方法。
  5. 計測した前記開閉器の前記電源側の三相交流電圧に基づいて、前記三線間の定常磁束を演算することを含み、
    前記位相は、演算した前記三線間の定常磁束及び演算した前記三線間の残留磁束に基づいて、判断されること
    を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の励磁突入電流抑制方法。
  6. 演算した前記三線間の残留磁束のうち絶対値が最大の残留磁束の線間を検出することを含み、
    前記位相は、計測した前記開閉器の前記電源側の三相交流電圧の検出した前記線間の電圧が、前記線間の残留磁束と同極性から逆極性に遷移する電圧零点の位相と判断されること
    を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の励磁突入電流抑制方法。
  7. 電源を備えた三相交流の電力系統とスコット結線変圧器との接続を開閉する開閉器を投入する際に生じる励磁突入電流を抑制する励磁突入電流抑制装置であって、
    前記スコット結線変圧器に残留磁束を残留させるために前記開閉器を投入する第1の投入手段と、
    前記開閉器の前記スコット結線変圧器側の三相交流電圧を計測する変圧器側電圧計測手段と、
    前記変圧器側電圧計測手段により計測された前記開閉器の前記スコット結線変圧器側の三相交流電圧に基づいて、前記スコット結線変圧器に残留する三線間の残留磁束を演算する残留磁束演算手段と、
    前記開閉器の前記電源側の三相交流電圧を計測する電源側電圧計測手段と、
    前記電源側電圧計測手段により計測された前記開閉器の前記電源側の三相交流電圧及び前記残留磁束演算手段により演算された前記三線間の残留磁束に基づいて、前記スコット結線変圧器の三線間の定常磁束と前記三線間の残留磁束とが三線間のそれぞれで極性が一致する位相を判断する位相判断手段と、
    前記位相判断手段により判断された前記位相で、前記開閉器を三相一括で投入する第2の投入手段と
    を備えることを特徴とする励磁突入電流抑制装置。
  8. 電源を備えた三相交流の電力系統とスコット結線変圧器との接続を開閉する開閉器を投入する際に生じる励磁突入電流を抑制する励磁突入電流抑制装置であって、
    前記スコット結線変圧器に残留磁束を残留させるために前記開閉器を投入する第1の投入手段と、
    前記開閉器の前記スコット結線変圧器側の単相交流電圧を計測する変圧器側電圧計測手段と、
    前記変圧器側電圧計測手段により計測された前記開閉器の前記スコット結線変圧器側の単相交流電圧に基づいて、前記スコット結線変圧器に残留する三線間の残留磁束を演算する残留磁束演算手段と、
    前記開閉器の前記電源側の三相交流電圧を計測する電源側電圧計測手段と、
    前記電源側電圧計測手段により計測された前記開閉器の前記電源側の三相交流電圧及び前記残留磁束演算手段により演算された前記三線間の残留磁束に基づいて、前記スコット結線変圧器の三線間の定常磁束と前記三線間の残留磁束とが三線間のそれぞれで極性が一致する位相を判断する位相判断手段と、
    前記位相判断手段により判断された前記位相で、前記開閉器を三相一括で投入する第2の投入手段と
    を備えることを特徴とする励磁突入電流抑制装置。
  9. 前記スコット結線変圧器に前記残留磁束が残留しているか否かを判断する残留磁束判断手段を備え、
    前記残留磁束判断手段により前記三線間の残留磁束が残留していないと判断した場合、前記第1の投入手段により前記開閉器を投入すること
    を特徴とする請求項7又は請求項8に記載の励磁突入電流抑制装置。
  10. 前記スコット結線変圧器に前記残留磁束が残留しているか否かを判断する残留磁束判断手段を備え、
    前記残留磁束判断手段により前記三線間の残留磁束が残留していないと判断した場合、前記第1の投入手段による前記開閉器の投入をせずに、前記第2の投入手段により前記開閉器を投入すること
    を特徴とする請求項7又は請求項8に記載の励磁突入電流抑制装置。
  11. 前記電源側電圧計測手段により計測された前記開閉器の前記電源側の三相交流電圧に基づいて、前記三線間の定常磁束を演算する定常磁束演算手段を備え、
    前記位相判断手段は、前記定常磁束演算手段により演算された前記三線間の定常磁束及び前記残留磁束演算手段により演算された前記三線間の残留磁束に基づいて、前記位相を判断すること
    を特徴とする請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の励磁突入電流抑制装置。
  12. 前記残留磁束演算手段により演算された前記三線間の残留磁束のうち絶対値が最大の残留磁束の線間を検出する線間検出手段を備え、
    前記位相判断手段は、前記電源側電圧計測手段により計測された前記開閉器の前記電源側の三相交流電圧の前記線間検出手段により検出された前記線間の電圧が、前記線間の残留磁束と同極性から逆極性に遷移する電圧零点を前記位相と判断すること
    を特徴とする請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の励磁突入電流抑制装置。
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